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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146554
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】蓄電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20241004BHJP
   H01M 50/287 20210101ALI20241004BHJP
   H01M 50/583 20210101ALI20241004BHJP
   H01M 50/317 20210101ALI20241004BHJP
   H01M 50/24 20210101ALI20241004BHJP
【FI】
H01M50/204 101
H01M50/287
H01M50/583
H01M50/317 201
H01M50/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059533
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】507317502
【氏名又は名称】エリーパワー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】湯淺 智行
【テーマコード(参考)】
5H012
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H012CC01
5H012DD03
5H012EE01
5H040AA03
5H040AA32
5H040AY05
5H040AY08
5H043GA03
5H043JA03
(57)【要約】
【課題】ヒューズの交換を容易に行うことができると共にヒューズへの水分の付着を低減した蓄電池を提供する。
【解決手段】電池10と、ケース20と、中蓋30と、上蓋50と、を具備し、中蓋30は、上蓋50を向く面に電池10と電気的に接続され、且つ交換可能な電子部品33が設置される基準面32と、基準面32から上蓋50に向かって突出して電子部品33を囲む第1壁部40と、を有し、上蓋50は、中蓋30を向く面に開口する凹部51を形成する第2壁部52を有し、第2壁部52は、第1壁部40を囲む位置に配置され、第2壁部52の先端52cが中蓋30に当接すると共に、先端52cは、第1壁部40の上蓋50側の先端40aよりもケース20側に位置し、第1壁部40の先端40aと凹部51の底面との間には、電子部品33が配置された空間を密閉するシール部材55が挟持されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池と、前記電池を収容する収容部を有するケースと、前記ケースの前記収容部の開口を覆う中蓋と、前記中蓋の前記ケースとは反対側に着脱可能に固定される上蓋と、を具備し、
前記中蓋は、前記上蓋を向く面に前記電池と電気的に接続され、且つ交換可能な電子部品が設置される基準面と、前記基準面から前記上蓋に向かって突出して前記電子部品を囲む第1壁部と、を有し、
前記上蓋は、前記中蓋を向く面に開口する凹部を形成する第2壁部を有し、前記第2壁部は、前記第1壁部を囲む位置に配置され、
前記第2壁部の先端が前記中蓋に当接すると共に、前記先端は、前記第1壁部の前記上蓋側の先端よりも前記ケース側に位置し、
前記第1壁部の前記先端と前記凹部の底面との間には、前記電子部品が配置された空間を密閉するシール部材が挟持されていることを特徴とする蓄電池。
【請求項2】
前記シール部材は、弾性材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の蓄電池。
【請求項3】
前記電子部品は、ヒューズであることを特徴とする請求項1に記載の蓄電池。
【請求項4】
前記第2壁部の内部には、前記電子部品に対する交換用電子部品が収容されていることを特徴とする請求項1に記載の蓄電池。
【請求項5】
前記中蓋の前記基準面には、前記電池の電極の端子を露出するためのスリットと、前記スリットを覆って前記収容部を密閉する密閉部材と、を具備することを特徴とする請求項1に記載の蓄電池。
【請求項6】
前記密閉部材は、前記収容部と外部とを連通する排気口と、前記排気口を塞いで前記収容部からの外部への気体を通過させると共に外部からの気体が前記収容部に侵入するのを抑制する弁体と、を具備することを特徴とする請求項5に記載の蓄電池。
【請求項7】
前記中蓋は、前記中蓋と前記上蓋との積層方向からの平面視において、長方形状を有し、前記密閉部材の前記長方形状の長辺に沿った方向の前記排気口の両側には、排気口保護壁が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の蓄電池。
【請求項8】
前記中蓋は、前記中蓋と前記上蓋との積層方向からの平面視において、長方形状を有し、前記長方形状の短辺部分には、前記上蓋に向かって突出する第3壁部を有し、
前記第3壁部の先端面と、前記第2壁部の先端面とが当接することを特徴とする請求項7に記載の蓄電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池と、この電池と電気的に接続され、交換可能な電子部品とを有する蓄電池に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電池は、単体または複数の電池セルにより構成される電池を筐体に収容して構成されている。また、蓄電池は電池セルのセル電圧や温度、充電状態を監視し、過充電等から電池セルを保護する電池監視ユニット(BMU:Battery Management Unit)として機能する集積回路が内蔵されたものが知られている。BMUは、複数の電池セルに対して充電状態のバランス制御を行う機能を有するものもある。
【0003】
しかしながら、蓄電池にBMUを搭載することによって蓄電池の小型化にも限度があり、BMUの大きさによっては蓄電池が大型化してしまうという問題がある。また、蓄電池を自動二輪車や自動車などに搭載する場合、自動二輪車や自動車は原動機や走行による振動が発生するため、振動によってBMUが破損しないように、BMUを保護するための対策が必要となりコストが高くなってしまうという問題がある。また、BMUは半導体製品として所望の機能を果たすべく高度な制御を実現するため比較的高価なことから、BMUを搭載することにより蓄電池のコストも高くなってしまう。さらに、BMUは、漏れた電解液や水分によりBMUの構成要素間での短絡や誤った導通等も引き起こす恐れがあるために、BMUに対する水分(電解液のみならず雨水等外部からのものなど)対策も必要となる。
【0004】
このため、蓄電池にBMUを設けずにBMUが行っていた機能を他の工夫により補うものとして、レドックスシャトル剤を電解液に導入することが知られている。レドックスシャトル剤を電解液に導入することで、複数の電池セルの充電状態のバランスをとることができるようになる。
【0005】
ただし、レドックスシャトル剤を導入しただけではBMUが果たしていた機能を十分補えるものではなく、過充電や過放電に対する対策などは別の対策、例えば、電流の遮断を行う回路遮断部としてヒューズを搭載することで、ヒューズによって電池の過充電、過放電を制御する必要がある(例えば、特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2016/199558号
【特許文献2】特開2011-49014号公報
【特許文献3】特開2019-114429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
集積回路で構成されたBMUは故障等以外は基本的に交換の必要がないため、水分等から保護されるよう密閉しておくのが望ましい。しかしながら、蓄電池にヒューズを設けた場合、ヒューズに過電流が流れることでヒューズが溶融した際には、過電流に対する保護機能を戻すために、溶融して電気的に遮断したヒューズをユーザーが容易に交換できるように、ヒューズの交換が可能な構造が必要になる。このようにヒューズを交換可能とする構造とするため、ヒューズを保持する空間を完全に密閉することは難しく、外部からヒューズが保持された空間内に水分が侵入し易くなるため、ヒューズに水分が付着することによってヒューズが腐食するという問題もある。
【0008】
このためヒューズの交換を容易に行うことができ、且つヒューズへの水分の付着を低減した蓄電池が望まれている。
【0009】
なお、このような問題は、ヒューズ等の回路遮断部として機能する電子素子のような電子部品が設けられた蓄電池に限定されず、電池と電気的に接続され、交換可能な電子部品を有する蓄電池においても同様に存在する。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑み、電子部品の交換を容易に行うことができ、且つ電子部品への水分の付着を低減した蓄電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する本発明の態様は、電池と、前記電池を収容する収容部を有するケースと、前記ケースの前記収容部の開口を覆う中蓋と、前記中蓋の前記ケースとは反対側に着脱可能に固定される上蓋と、を具備し、前記中蓋は、前記上蓋を向く面に前記電池と電気的に接続され、且つ交換可能な電子部品が設置される基準面と、前記基準面から前記上蓋に向かって突出して前記電子部品を囲む第1壁部と、を有し、前記上蓋は、前記中蓋を向く面に開口する凹部を形成する第2壁部を有し、前記第2壁部は、前記第1壁部を囲む位置に配置され、前記第2壁部の先端が前記中蓋に当接すると共に、前記先端は、前記第1壁部の前記上蓋側の先端よりも前記ケース側に位置し、前記第1壁部の前記先端と前記凹部の底面との間には、前記電子部品が配置された空間を密閉するシール部材が挟持されていることを特徴とする蓄電池にある。
【0012】
かかる態様では、電子部品が配置された空間がシール部材によって密閉されているため、中蓋と上蓋との間に水分が侵入したとしても、電子部品に水分が付着するのを抑制することができる。また、たとえ上蓋と中蓋との間の境界部分に隙間が生じることで、中蓋と上蓋との間に水分が侵入したとしても、水分が侵入した位置よりも高い第1壁部によって水分が電子部品の保持された空間に侵入するのを抑制することができる。したがって、電子部品に水分が付着することによる腐食を抑制することができる。また、電子部品を用いることで、BMUを用いる場合に較べて、蓄電池の小型化を図ることができると共に必要となる性能を十分に備えた蓄電池を実現できる。
【0013】
ここで、前記シール部材は、弾性材料で形成されていることが好ましい。これによれば、シール部材によって回路遮断部の保持された空間を容易に密閉することができる。
【0014】
また、電子部品は、ヒューズであることが好ましい。これによれば、ヒューズによって電池セルの過充電、過放電を制御することができ、溶断したヒューズを容易に交換することができる。
【0015】
ここで、前記第2壁部の内部には、前記電子部品に対する交換用電子部品が収容されていることが好ましい。これによれば、電子部品が交換を必要とした際に、交換用電子部品を在庫させておく必要がなく、且つ交換用電子部品を探す必要がなく、利便性を向上することができる。
【0016】
また、前記中蓋の前記基準面には、前記電池の電極の端子を露出するためのスリットと、前記スリットを覆って前記収容部を密閉する密閉部材と、を具備することが好ましい。これによれば、スリットを介して収容部内に水分が侵入することや、収容部内の液体が外部に漏出することを抑制することができる。
【0017】
また、前記密閉部材は、前記収容部と外部とを連通する排気口と、前記排気口を塞いで前記収容部からの外部への気体を通過させると共に外部からの気体が前記収容部に侵入するのを抑制する弁体と、を具備することが好ましい。これによれば、電池から発生するガスや温度変化によって収容部内の圧力が変化することで、収容部や中蓋の変形や収容部と中蓋との密閉不良が発生することを抑制することができる。
【0018】
また、前記中蓋は、前記中蓋と前記上蓋との積層方向からの平面視において、長方形状を有し、前記長方形状の長辺に沿った方向の前記排気口の両側には、排気口保護壁が設けられていることが好ましい。これによれば、水分が侵入しやすい側に排気口保護壁が設けられることで、たとえ中蓋と上蓋との間に水分が侵入しても排気口保護壁によって排気口に水分が侵入するのを抑制することができる。
【0019】
また、前記中蓋は、前記中蓋と前記上蓋との積層方向からの平面視において、長方形状を有し、前記長方形状の短辺部分には、前記上蓋に向かって突出する第3壁部を有し、前記第3壁部の先端面と、前記第2壁部の先端面とが当接することが好ましい。これによれば、排気口の水分が侵入しやすい側に第3壁部と第2壁部とを設けた構成とし、第2壁部と第3壁部とが互いに当接する位置を上蓋側に配置することで、この部分から中蓋と上蓋との間に水分が侵入し難くして、排気口への水分の侵入を抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、第1壁部及び第2壁部によって電子部品が収容された空間内に水分が入り込むのを低減し、電子部品に水分が付着するのを低減することができ、且つ、上蓋を着脱可能にすることで電子部品の交換を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る蓄電池の分解斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る中蓋の上面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る中蓋の配線構成を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る蓄電池の断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る蓄電池の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本発明の一態様を示すものであって、本発明の範囲内で任意に変更可能である。各図において同じ符号を付したものは、同一の部材を示しており、適宜説明が省略されている。また、各図においてX、Y、Zは、互いに直交する3つの空間軸を表している。本明細書では、これらの軸に沿った方向をX方向、Y方向、及びZ方向とする。各図の矢印が向かう方向を正(+)方向、矢印の反対方向を負(-)方向として説明する。また、Z方向は、鉛直方向を示し、+Z方向は鉛直下向き、-Z方向は鉛直上向きを示す。さらに、正方向及び負方向を限定しない3つの空間軸の方向については、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向として説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る蓄電池1の分解斜視図である。図2は、中蓋30の平面図である。図3は、中蓋30の配線を示す平面図である。図4は、図2のA-A′線に準じる蓄電池1の断面図である。図5は、図2のB-B′線に準じる蓄電池1の断面図である。
【0024】
図示するように、蓄電池1は、+Z方向に見てX軸方向に沿って長辺となり、Y軸方向に沿って短辺となる長方形状を有する四角柱形状を有する。つまり、X軸方向は、図1における蓄電池の面積の広い側面の幅方向を示し、Y軸方向は、図1における面積の狭い側面の幅方向(面積の広い側面を正面にみた場合における蓄電池の奥行方向)を示すものである。
【0025】
蓄電池1は、電池10とケース20と中蓋30と上蓋50とを具備する。
【0026】
ケース20は、-Z方向の面に開口を有する収容部21が内部に形成された中空の箱部材からなる。ケース20は、例えば、金属材料や樹脂材料等の弾性変形し難い材料で形成された、所謂、ハードケースからなる。本実施形態ではケース20を絶縁材料からなるものとしている。ケース20の側面は、長辺を有する長方形状である面積の広い第1の側面の1対と、短辺を有する長方形状である面積の狭い第2の側面の1対と、を有した構成となっている。
【0027】
これら第1の側面対と第2の側面対で取り囲まれて形成されたケース20の収容部21には、電池10が収容される。電池10は、複数の電池セル(以下、単にセルと称する)が並列または直列に接続したモジュール(組電池)からなる。このような電池10は、特に図示していないが、複数の単セルと、各単セルの正極板および負極板にそれぞれ接続される一対の集電部材となどを備える。
【0028】
中蓋30は、ケース20の収容部21の-Z方向の開口を塞ぐものである。このような中蓋30は、ケース20に接着剤による接着または溶着等によって固定されることで、ケース20から容易に取り外せないようになっている。この接着または溶接によって固定された部分から収容部21に水分が入り込まないように密着固定されている。中蓋30は、例えば、樹脂材料のような絶縁材料からなる。なお、収容部21内のセルのリード端子と蓄電池1の外部接続端子31とを電気的に接続するための導電性の配線を中蓋30に設けて、リード端子や外部接続端子31と電気的接続を確保するようなものがよい。
【0029】
中蓋30の-Z方向を向く面には一対の外部接続端子31が設けられる。一方の外部接続端子31は、電池10の負極に配線される負極外部端子31aであり、他方は、詳しくは後述する電子部品の一例であるヒューズ33を介して電池10の正極に配線される正極外部端子31bである。以降、負極外部端子31a、正極外部端子31bを区別しない場合には、外部接続端子31と称する。
【0030】
中蓋30は、-Z方向を向く面に基準面32を有する。本実施形態では、基準面32は、中蓋30の-Z方向を向く第1面30aよりも-Z方向に突出して設けられた台座の-Z方向側の先端面となっている。
【0031】
この基準面32上には、電池10と電気的に接続され、且つ交換可能な電子部品として回路遮断部の一例であるヒューズ33が設けられている。ヒューズ33は、定格以上の電流が流れたとき、可溶部分が溶断することによって電流を遮断し、回路を開放する過電流保護装置である。ヒューズ33は、例えば、本体部331と、本体部331の両端に配置された一対の接続部332と、を有する。本体部331は、例えば、外部短絡等により定格以上の電流が流れたときに溶断する導体と、導体を覆う保護ケースとを有する。各接続部332は、導体の端部に接続された導電性を有する平板状の部材である。ヒューズ33は、本体部331の導体によって両端の接続部332が導通した状態となっている。また、ヒューズ33に定格以上の電流が流れたときに導体が溶断することで両端の接続部332同士が非導通状態となる。導体の溶断によって周辺にある電子部品に溶断によって発生した金属材が付着することによる悪影響を防ぐため保護ケースを有するものとしている。この保護ケースはヒューズ33の導通状態(導体の溶断状態)が目視できるように透明度の高い絶縁材が用いられている。このようなヒューズ33は、中蓋30に設けられたヒューズ接続端子35に着脱可能に固定される。本実施形態では、接続部332には、Z軸方向に中蓋30を貫通する貫通孔333が設けられており、この貫通孔333を挿通するヒューズ用ネジ34によってヒューズ接続端子35が設けられた中蓋30に固定される。また、ヒューズ用ネジ34を取り外すことで、ヒューズ33は、ヒューズ接続端子35が設けられた中蓋30から取り外すことができる。つまり、本実施形態では、ヒューズ33は、中蓋30にヒューズ用ネジ34によって着脱可能、すなわち、交換可能に固定される。
【0032】
中蓋30には、上述した配線として、第1バスバー36と第2バスバー37と第3バスバー38とがインサート成形によって一体的に設けられている。もちろん、中蓋30をZ軸方向に複数分割し、分割した部材で第1バスバー36、第2バスバー37、第3バスバー38を挟み込んだ状態で分割した部材を接着剤による接着または溶着等により接合する構成でもよい。
【0033】
また、中蓋30には、Z軸方向に中蓋30を貫通する2個のスリット39が設けられている。スリット39は、中蓋30の-Z方向を向く第1面30aに開口して設けられている。
【0034】
第1バスバー36は、一端が、一方のスリット39内で電池10の負極側の電極に接続された端子11aと溶着等によって電気的に接続される。また、第1バスバー36の他端は、負極外部端子31aとなっており、外部、すなわち、中蓋30の-Z方向を向く第1面30a側に露出される。なお、負極外部端子31aは第1バスバー36とは別の導電部材で中蓋30上に設け、第1バスバー36と負極外部端子31aとを電気的に接続するものとしてもよい。
【0035】
第2バスバー37は、一端が、他方のスリット39内で電池10の正極側の電極に接続された端子11bと溶着等によって電気的に接続される。また、第2バスバー37の他端は、基準面32に露出されて、ヒューズ33が接続されるヒューズ接続端子35となっている。
【0036】
第3バスバー38は、一端が基準面32に露出されてヒューズ33が接続されるヒューズ接続端子35となっている。また、第3バスバー38の他端は、正極外部端子31bとなっており、外部、すなわち、中蓋30の-Z方向を向く第1面30a側に露出される。なお、正極外部端子31bは第3バスバー38とは別の導電部材で中蓋30上に設け、第3バスバー38と正極外部端子31bとを電気的に接続するものとしてもよい。
【0037】
また、ヒューズ33を着脱可能に固定する方法は、ヒューズ用ネジ34による締結に限定されない。例えば、ヒューズ接続端子35は、ヒューズ33の接続部332を挟み込む板バネであってもよい。ただし、本実施形態のようにヒューズ33をヒューズ用ネジ34によって固定することで、振動や衝撃によってヒューズ33がヒューズ接続端子35から外れ易くなることを低減することができる。
【0038】
また、基準面32には、-Z方向に突出して設けられた第1壁部40を有する。第1壁部40は、図4に示すように、+Z方向に見てヒューズ33を囲むように設けられている。本実施形態において、第1壁部40は、ヒューズ33を連続して囲んで設けられている。つまり、ヒューズ33は、第1壁部40と中蓋30の基準面32とによって形成された凹形状を有するヒューズ保持部41内に配置されている。
【0039】
また、本実施形態では、第1壁部40によって形成されたヒューズ保持部41内には、交換用ヒューズ33Aが配置可能な空間が設けられ、この空間にヒューズ33に対する交換用ヒューズ33Aが配置されている。交換用ヒューズ33Aとは、本実施形態ではヒューズ33と互換性を有するものとしている。ここで、交換用ヒューズ33Aがヒューズ33と互換性を有するとは、交換用ヒューズ33Aがヒューズ33と同じ電気的な機能を有するものであり、且つ2つのヒューズ接続端子35に着脱可能なものである。つまり、ヒューズ33に代えて交換用ヒューズ33Aをヒューズ接続端子35に固定した際に、交換用ヒューズ33Aがヒューズ33と同じ電気的な動作を行うものである。このようにヒューズ保持部41内に、交換用ヒューズ33Aを配置する空間を設けておくことで、交換用ヒューズ33Aを蓄電池1に準備しておくことができ、ヒューズ33を交換するための交換用ヒューズ33Aを探す必要がなく、交換作業の効率を向上することができる。
【0040】
また、交換用ヒューズ33Aは、ヒューズ33よりも-Z方向に位置することが好ましい。これにより、交換用ヒューズ33Aをヒューズ保持部41内においてネジ等で固定しなくとも、中蓋30に上蓋50を固定した際に、シール部材55と中蓋30との間で交換用ヒューズ33Aを挟持させて、ヒューズ保持部41内で交換用ヒューズ33Aが移動することを抑制することができる。したがって、交換用ヒューズ33Aがヒューズ保持部41内で移動することで基準面32や第1壁部40に交換用ヒューズ33Aが衝突することによる交換用ヒューズ33Aの破損を抑制することができる。もちろん、交換用ヒューズ33Aもヒューズ33のようにネジで固定するようにしてもよい。この場合は、ヒューズ33よりも-Z方向に位置する必要はない。交換用ヒューズ33Aもネジ固定する場合、ネジが必要になるものの、このネジも、ヒューズ33を固定するネジを紛失した場合に、紛失したネジの代わりにすることができる。
【0041】
なお、第1壁部40の-Z方向の高さは、ヒューズ33よりも高い。すなわち、第1壁部40の-Z方向に突出した先端40aの位置は、ヒューズ33よりも-Z方向に位置する。また、第1壁部40のZ軸方向の高さは、交換用ヒューズ33Aに対しても同様である。これにより、詳しくは後述する上蓋50を、シール部材55を介して中蓋30に固定した際に、ヒューズ33及び交換用ヒューズ33Aが上蓋50に当接することを抑制して、中蓋30と上蓋50との間で後述するシール部材55を十分に弾性変形させてヒューズ保持部41を密閉することができる。もちろん、上述のように、シール部材55に交換用ヒューズ33Aを当接させる場合には、第1壁部40のZ軸方向の高さは、交換用ヒューズ33Aと同じか、若干高い位置とすればよい。
【0042】
また、中蓋30に設けられた2つのスリット39は、密閉部材42によって覆われている。密閉部材42は、+Z方向に開口して2つのスリット39を覆う凹部43を有する。密閉部材42は、中蓋30に接着剤による接着または溶着などによって接合されている。つまり、密閉部材42は、スリット39を介して収容部21内に水分が浸入することを防止するため、中蓋30から容易に取り外すことができない状態で固定されることが望ましい。
【0043】
また、密閉部材42は、排気口44を有する。排気口44は、密閉部材42の凹部43の内部と外部とを連通するように密閉部材42をZ軸方向に貫通して設けられる。また、密閉部材42の-Z方向を向く面には、-Z方向に向かって突出する突起部45が設けられている。この突起部45の-Z方向の先端面に排気口44が開口する。
【0044】
また、突起部45には、排気口44の開口を覆う弁体46が設けられている。弁体46は、例えば、ゴム等で形成されて突起部45を覆うキャップ形状を有し、排気口44の開口を塞ぐ。この弁体46は、凹部43内の気体を、排気口44を介して外部に排出すると共に、外部の気体や水分が凹部43内に入るのを防ぐ機能を有する。弁体46によって凹部43にスリット39を介して連通する収容部21内の気体を外部に排出することで、収容部21の内部の圧力が一定に保たれる。つまり、電池10から発生するガスや、温度変化によって収容部21内の圧力が変化することで、収容部21や中蓋30の変形や収容部21と中蓋30との密閉不良が発生することを抑制することができる。
【0045】
また、密閉部材42の-Z方向を向く面には、突起部45の周囲に-Z方向に向かって突出する排気口保護壁47を有する。また、本実施形態では、排気口保護壁47は、突起部45のY軸方向の両側にそれぞれ設けられている。つまり、排気口保護壁47は突起部45の周囲を2つの排気口保護壁47で取り囲むように設けられている。本実施形態では、中蓋30は、中蓋30と上蓋50との積層方向であるZ軸方向からの平面視においてX軸方向に沿って長辺、Y軸方向に沿って短辺となる長方形状を有する。このため、排気口保護壁47は、中蓋30の長方形状の長辺に沿った方向に円弧状に延在するよう排気口44の両側のそれぞれに設けられている。このように排気口保護壁47を設けることで、中蓋30と上蓋50との間の空間内にX軸方向に延在する長辺側の両側にて、中蓋30と上蓋50との間に水分が侵入しても、侵入した水分が排気口保護壁47によって排気口44側に移動することを阻まれるため、水分によって弁体46の動作不良が生じることや、水分が排気口44から収容部21内に侵入することを抑制することができる。蓄電池1は、+Z方向に見て、X軸方向に沿って長辺、Y軸方向に沿って短辺を有する長方形状を有するため、長辺に沿った面の方が短辺に沿った面に比べて面積が大きい。したがって、蓄電池1は、外部からの水分が当接する面積が広い方、つまり、長辺に沿った面から水分が侵入し易い。このため、弁体46に対して水分が侵入し易い方向では保護壁47が連続しているように、すなわち、Y軸方向の両側に排気口保護壁47を設けることで、外部から水分が侵入したとしても排気口保護壁47が弁体46側への水分の侵入を防ぐことができる。また、突起部45の周囲に不連続となるように2つの排気口保護壁47を設けることで、排気口44から排出された収容部21内の気体を2つの排気口保護壁47の間の隙間から中蓋30と上蓋50との間の空間に容易に排出することができる。なお、排気口保護壁47を突起部45の周囲に亘って連続して設けてもよいが、排気口保護壁47と突起部45との間の空間が狭く、収容部21内の気体が排出される空間が狭くなることで、排気不良が発生する虞がある。もちろん、排気口保護壁47の先端と詳しくは後述する上蓋50との間に十分な間隔があれば、排気口保護壁47を突起部45の周囲に亘って連続して設けてもよい。なお、排気口保護壁47を不連続にして隙間を設けておいた方が、この隙間を利用しての弁体46の取り付け・取り外しも行い易い。
【0046】
また、中蓋30には、-Z方向に向かって突出する第3壁部48が設けられている。第3壁部48は、短辺に沿った部分と、この短辺に沿った部分に繋がる長辺の一部とに連続して設けられる。
【0047】
上蓋50は、中蓋30の-Z方向に着脱可能に固定されるものであり、Z軸方向に見て矩形状を基本として、外部接続端子31を-Z方向に向かって露出するように外部接続端子31に対応する部分が切り欠いた形状を有する。
【0048】
また、上蓋50は、中蓋30に向かって、すなわち+Z方向に向かって開口する凹部51を形成する第2壁部52を有する。第2壁部52は、+Z方向に見て第1壁部40を連続して囲む大きさを有する。本実施形態では、第2壁部52は、+Z方向に見て上蓋50の外周に沿って形成されることで、第1壁部40とスリット39及び密閉部材42を覆う大きさで形成されている。
【0049】
第2壁部52は、上蓋50の短辺に沿った部分に+Z方向に突出する高さが低い第1部分52aと、長辺に沿った部分に+Z方向に突出する高さが第1部分52aに比べて高い第2部分52bと、を具備する。
【0050】
上蓋50は、第2壁部52の+Z方向の先端52c、52dを中蓋30に当接した状態で、中蓋30に着脱可能に固定される。具体的には、第2壁部52は、図4に示すように、第1部分52aの先端52cを第3壁部48の先端48aに当接させると共に、図5に示すように、第2部分52bの先端52dを第1面30aに当接させた状態で中蓋30に着脱可能に固定される。
【0051】
このような上蓋50は、本実施形態では、上蓋用ネジ53によって中蓋30に着脱可能に固定されている。具体的には、中蓋30には、第1面30aから-Z方向に向かって突出する固定部49が設けられている。固定部49には、-Z方向の先端に内壁に雌ネジとなる溝が形成された固定穴49aが設けられている。上蓋50には、Z軸方向に亘って貫通する段付きの貫通孔54が設けられており、上蓋50の貫通孔54を挿通させた上蓋用ネジ53を中蓋30の固定穴49aに螺合させることで上蓋50は中蓋30に固定される。このように上蓋50は、上蓋用ネジ53によって中蓋30に固定されているため、上蓋用ネジ53を緩めることで、上蓋50を中蓋30から容易に取り外すことができる。ちなみに、上蓋50の貫通孔54を段付き、つまり、貫通孔54は、-Z方向側に内径が大きい部分と、+Z方向側に内径が小さい部分とで構成し、-Z方向側の内径が大きい部分の内径を上蓋用ネジ53の頭部分よりも大きな内径とすることで、上蓋用ネジ53が上蓋50の-Z方向側の表面から突出するのを抑制することができる。望ましくは、上蓋用ネジ53の頭部より上蓋50の外側表面(-Z方向側の表面)の方が高い位置となるよう内径の高さを設定するのがよい。これにより、上蓋用ネジ53が、上蓋50の外側表面から外部に突出することがなく、上蓋用ネジ53が他の部材が衝突することによって締結の緩みが生じることや破損することを低減することができる。なお、「孔」とは貫通した形状をいい、「穴」は有底の窪んだ形状をいう。本実施形態では上蓋用ネジ53が螺合する対象は固定穴49aであるがこの形状に限らず、固定孔としてもよいが、固定孔の場合は、漏れた電解液がこの孔を介して上蓋用ネジ53触れて上蓋用ネジ53が腐食することで上蓋50の中蓋30への固定が緩む可能性を考慮すると、有底の固定穴とした方が好適である。
【0052】
また、中蓋30の第1壁部40の先端40aと、上蓋50の凹部51の底面との間には、シール部材55が設けられている。シール部材55は、例えば、ゴム、発泡体、エラストマー等の弾性材料で形成された板状部材からなり、第1壁部40の先端40aと凹部51の底面との間に弾性変形した状態で挟持されることで、第1壁部40と上蓋50の凹部51の底面とで画定されたヒューズ保持部41を液密に密閉する。したがって、たとえ上蓋50と中蓋30との最も外周側の隙間を介して外部からの水分が凹部51内に侵入したとしても、シール部材55によって密閉されたヒューズ保持部41内に水分が侵入するのを抑制して、ヒューズ33に水分が付着することによるヒューズ33の腐食を抑制することができる。また、たとえ収容部21内に収容された電池10の電解液がスリット39を介して中蓋30と上蓋50との間に漏れ出たとしても、ヒューズ保持部41がシール部材55によって密閉されているため、ヒューズ保持部41内に電解液が浸入するのを抑制することができる。したがって、電解液によるヒューズ33の腐食を抑制することができる。もちろん、スリット39以外から電解液が漏れ出た場合であっても同様の効果を奏する。なお、シール部材55は、上蓋50に接着剤によって接着または熱溶着等によって接合されていてもよく、2色成形することによって上蓋50と一体的に形成されていてもよい。このようにシール部材55は、上蓋50に接着、接合または一体的に設けることで、中蓋30に上蓋50を固定する際および固定した後の振動や衝撃等によってシール部材55が第1壁部40に対して位置ずれすることを抑制することができる。このため、第1壁部40と上蓋50との間でシール部材55による密閉不良が生じることを抑制して、ヒューズ保持部41内に外部から水分が入り込むことを抑制することができる。また、シール部材55は、中蓋30と一体的に設けられたものであってもよいが、シール部材55を中蓋30に接着、接合または一体的に設ける場合には、シール部材55を第1壁部40の先端40aのみに設けることになる。シール部材55を上蓋50側に設ける場合、シール部材55によるヒューズ保持部41内の密閉を確実にするため、凹部51の底面全体(固定部49の周囲を除く)に設けてもよい。ただし、シール部材55による密閉効果が期待できない範囲までシール部材55を設けることでコスト高になることを避けるためには、第1壁部40の配置よりヒューズ保持部41が内側であるとみた場合、ヒューズ保持部41上、第1壁部40上、及び第1壁部40の配置より少し外側までを覆うことができる程度のシール部材55を設ければ、シール部材55の配置位置ずれなどを考慮したとしても、シール部材55と第1壁部40の上端とが確実に当接することができ、水密に密閉することができる。
【0053】
なお、本実施形態では、シール部材55は,弾性材料で形成されたものを例示したが、特にこれに限定されず、ゴム、発泡体、エラストマー等の弾性材料に比べて硬質な材料、例えば、樹脂や金属等で形成されたものであってもよい。シール部材55として樹脂や金属等を用いる場合、シール部材55は弾性変形し難いため、第1壁部40とシール部材55と上蓋50との間に隙間が生じないように高精度に形成する必要がある。ただし、上述のようにシール部材55を弾性材料で形成することで、中蓋30、上蓋50及びシール部材55の寸法交差を、シール部材55を弾性変形させることで吸収して、シール部材55によってヒューズ保持部41を容易に密閉することができるため、シール部材55を硬質な材料で形成する場合に比べて中蓋30、上蓋50及びシール部材55に高い寸法精度が不要となり製造コストを低減することができる。
【0054】
また、上蓋50の第2壁部52の+Z方向の先端52c、52dは、第1壁部40の-Z方向の先端よりもケース20側、すなわち、+Z方向側に位置する。つまり、第2壁部52の第1部分52aの先端52c及び第2部分52bの先端52dは、それぞれ、第1壁部40の先端40aよりも+Z方向側に位置する。そして、上蓋50と中蓋30とが最も外周側で当接する位置は、第2壁部52と中蓋30とが当接する部分、つまり、第2壁部52の第1部分52aの先端52cと第3壁部48の先端48aとが当接する位置と、第2部分52bの先端52dと第1面30aとが当接する位置と、になっている。このため、第2壁部52が中蓋30に当接する位置は、第1壁部40の先端40aの位置よりも+Z方向に位置する。したがって、たとえ上蓋50と中蓋30とが最も外周側で当接する位置、つまり第2壁部52と中蓋30とが当接する部分を介して外部から凹部51内に水分が侵入したとしても、第1壁部40により侵入した水分がただちにヒューズ33に到達することが阻まれ、また、この侵入した水分が第1壁部40を乗り越え難く、ヒューズ保持部41内に水分が侵入するのを抑制することができる。したがって、ヒューズ33に水分が付着し難く、ヒューズ33に水分が付着することによるヒューズ33の腐食を抑制することができる。また、電解液についても同様に、たとえ収容部21内に収容された電池10の電解液がスリット39を介して中蓋30と上蓋50との間に漏れ出たとしても、電解液が第1壁部40を乗り越え難く、ヒューズ保持部41内に電解液が浸入するのを抑制することができる。したがって、電解液によるヒューズ33の腐食を抑制することができる。もちろん、スリット39以外から電解液が漏れ出た場合であっても同様の効果を奏する。
【0055】
このように、たとえ上蓋用ネジ53が振動や衝撃によって緩んだ場合や、上蓋用ネジ53の締め付け不良、シール部材55の不良等が発生して、ヒューズ保持部41の密閉が不十分となった場合に、第2壁部52と中蓋30との間に生じた隙間を介して外部から凹部51内に水分が侵入したとしても、侵入した水分が第1壁部40を乗り越え難く、ヒューズ保持部41内に水分が侵入するのを抑制することができる。したがって、ヒューズ33の水分による腐食を抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態では、中蓋30に第3壁部48を設け、第2壁部52は、第3壁部48に当接する第1部分52aと、第1部分52aよりも+Z方向で中蓋30に当接する第2部分52bとを有するため、第1部分52aと中蓋30とが当接する部分に比べて、第2部分52bと中蓋30とが当接する部分を介して外部からの水分が凹部51内に侵入し難い。ちなみに、上述したように、蓄電池1は、+Z方向に見て、X軸方向に沿って長辺、Y軸方向に沿って短辺を有する長方形状を有するため、長辺に沿った面の方が短辺に沿った面に比べて面積が大きい。したがって、蓄電池1は、外部からの水分が当接する面積が広い方、つまり、長辺に沿った面から水分が侵入し易い。このため、水分が侵入し易い面において第2壁部52が中蓋30に当接する位置を、水分が侵入し難い面において第2壁部52が中蓋30に当接する位置よりも+Z方向に配置することで、蓄電池1の凹部51内に外部から水分が侵入し難い。
【0057】
また、排気口44に水分が侵入し易い2つの排気口保護壁47の隙間側に第3壁部48を設けることで、中蓋30と上蓋50との間に水分が侵入し難くして、排気口44に水分が侵入するのを抑制することができる。つまり、第3壁部48によって短辺側からの中蓋30と上蓋50との間への水分の侵入を抑制し、たとえ長辺側から中蓋30と上蓋50との間に水分が侵入したとしても、その水分が排気口保護壁47によって排気口44に侵入するのを抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態の蓄電池1は、ヒューズ33を用いたため、BMUを設ける場合に較べて、構造を簡略化して小型化を図ることができる。また、ヒューズ33を用いることで、振動や衝撃に強い蓄電池1を実現できる。
【0059】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
【0060】
上述した一実施形態では、電池10は、複数のセルを有するモジュールとしたが、特にこれに限定されず、電池10は、BMUやレドックスシャトル剤を用いたバランス制御の必要がない単セルであってもよい。このように電池10が単セルの場合であっても、セルの過充電及び過放電を制御するヒューズ33等の回路遮断部としての電子部品が必要になるため、本発明を適用することで、上述した一実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0061】
また、例えば、上述した一実施形態では、電池10の端子11a、11bを露出するスリット39を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、中蓋30にスリット39が設けられていなくてもよい。この場合、電池10の端子11a、11bは、プリント配線板のように中蓋30に形成された配線によりヒューズ33や外部接続端子31と電気的に接続されるように構成すればよい。また、中蓋30にスリット39が設けられていない場合には、密閉部材42を設ける必要はない。ただし、密閉部材42を設けない場合には、中蓋30に直接、排気口44および弁体46を設けるようにすればよい。
【0062】
また、上述した一実施形態では、ヒューズ33が収容されたヒューズ保持部41に交換用ヒューズ33Aを1個搭載するようにしたが、ヒューズ保持部41内に収容する交換用ヒューズ33Aの数は、1個に限定されず2個以上の複数であってもよい。もちろん、ヒューズ保持部41内に交換用ヒューズ33Aを収容しなくてもよい。
【0063】
また、上述した一実施形態では、中蓋30に第3壁部48を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、第3壁部48を設けないようにしてもよい。このように中蓋30に第3壁部48を設けない場合には、上蓋50の第2壁部52は、全周に亘って第2部分52bと同じZ軸方向の高さとなるように設ければよい。
【0064】
また、上述した一実施形態では、電池10と電気的に接続され、且つ交換可能な電子部品として回路遮断部の一例であるヒューズ33を例示したが、電子部品はこれに限定されるものではない。他の回路遮断部としては、例えば、リレーやFET(Field effect transistor)等が挙げられる。また、回路遮断部の他の構成としては、例えば、車載用のエアバックの原理を応用した火薬内蔵素子が挙げられる。火薬内蔵素子は、電池10の異常を検出した際に、電気信号を火薬内蔵素子に与えることで、素子内部の火薬を爆発させ、その爆発力を用いて素子内部の導電部分を物理的に遮断するものである。リレーやFETの場合、異常時に回路を遮断した後、電気信号により復帰することができるものであるが、本発明によれば、これらの回路遮断部を水分から守り、回路遮断部の水分による故障を防ぎ、且つ回路遮断部が故障等により交換が必要になった際に容易に交換することができる。
また、蓄電池に設けられて電池10と電気的に接続された電子部品は、回路遮断部に限定されず、本発明のように、交換し易く取り付けられ、着脱可能な上蓋等で水分による腐食等から保護されて配置された電子部品であれば適用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1…蓄電池、10…電池、11a…端子、11b…端子、20…ケース、21…収容部、30…中蓋、30a…第1面、31…外部接続端子、31a…負極外部端子、31b…正極外部端子、32…基準面、33…ヒューズ(電子部品)、33A…交換用ヒューズ、34…ヒューズ用ネジ、35…ヒューズ接続端子、36…第1バスバー、37…第2バスバー、38…第3バスバー、39…スリット、40…第1壁部、41…ヒューズ保持部、42…密閉部材、43…凹部、44…排気口、45…突起部、46…弁体、47…排気口保護壁、48…第3壁部、49…固定部、49a…固定穴、50…上蓋、51…凹部、52…第2壁部、52a…第1部分、52b…第2部分、53…上蓋用ネジ、54…貫通孔、55…シール部材、331…本体部、332…接続部、333…貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5