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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146564
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B62K 25/08 20060101AFI20241004BHJP
   B62J 23/00 20060101ALI20241004BHJP
   B62K 5/01 20130101ALI20241004BHJP
【FI】
B62K25/08 Z
B62J23/00 A
B62K5/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059547
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101351
【弁理士】
【氏名又は名称】辰巳 忠宏
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 健祐
(72)【発明者】
【氏名】田中 達也
【テーマコード(参考)】
3D011
3D014
【Fターム(参考)】
3D011AA07
3D011AB01
3D011AC03
3D011AD03
3D014DD02
3D014DE02
3D014DE27
(57)【要約】
【課題】ユーザインタフェース等の新たな電子機器を要することなくサスペンションを容易に調整できる、車両を提供する。
【解決手段】車両10は、前輪14a,14bと、後輪16a,16bと、鞍乗り型のシート20と、ステアリングシャフト38と、グリップ18a,18bを有するバーハンドル18と、前輪14a,14bの上方に設けられかつ平面視において前輪14a,14b間に跨るフロントフェンダ80と、平面視においてグリップ18a,18bの前方でグリップ18a,18bの幅方向端部よりも車幅方向中央寄りに上端が位置するサスペンション58a,58bとを備える。サスペンション58a,58bは、その上部に位置するサスペンション調整部74a,74bを含む。フロントフェンダ80は、サスペンション調整部74a,74にアクセス可能に開口80a,80bを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の前輪と、
一対の後輪と、
車幅方向中央部に設けられる鞍乗り型のシートと、
前記シートの前方に設けられるステアリングシャフトと、
グリップを有しかつ前記ステアリングシャフトの上部に接続されるバーハンドルと、
前記一対の前輪の上方に設けられかつ平面視において前記一対の前輪間に跨るフロントフェンダと、
平面視において前記グリップの前方で前記グリップの幅方向端部よりも車幅方向中央寄りに上端が位置するサスペンションとを備え、
前記サスペンションは、その上部に位置するサスペンション調整部を含み、
前記フロントフェンダは、前記サスペンション調整部にアクセス可能に開口を含む、車両。
【請求項2】
前記サスペンションの上端は、前記前輪の中心より後方に位置する、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記フロントフェンダは、前記前輪の上端と前記グリップとを結ぶ線分と交差するように設けられる、請求項1または2に記載の車両。
【請求項4】
平面視において前記開口から前記サスペンションの上端が露出する、請求項1から3のいずれかに記載の車両。
【請求項5】
正面視において前記サスペンションの上端が前記フロントフェンダの前端より上方に位置する、請求項1から4のいずれかに記載の車両。
【請求項6】
前記サスペンションの上端は前記開口の上方に位置する、請求項1から5のいずれかに記載の車両。
【請求項7】
前記サスペンションは、さらにショックアブソーバを含み、
前記サスペンション調整部は、前記ショックアブソーバの減衰力を調整する減衰力調整部を含む、請求項1から6のいずれかに記載の車両。
【請求項8】
前記サスペンションは、前記ショックアブソーバの下端が接続されるアッパーアームをさらに含む、請求項7のいずれかに記載の車両。
【請求項9】
前記減衰力調整部は、前記ショックアブソーバの上端より車幅方向外側に位置する、請求項7または8に記載の車両。
【請求項10】
前記減衰力調整部は、平面視において前記ステアリングシャフトの上端部から前記グリップの端部までを半径とした円の内側に位置する、請求項7から9のいずれかに記載の車両。
【請求項11】
前記サスペンションは、さらにスプリングを含み、
前記サスペンション調整部は、前記スプリングのプリロードを調整する負荷調整部を含む、請求項1から10のいずれかに記載の車両。
【請求項12】
一対の前輪と、
一対の後輪と、
車幅方向中央部に設けられる鞍乗り型のシートと、
前記シートの前方に設けられるステアリングシャフトと、
グリップを有しかつ前記ステアリングシャフトの上端部に接続されるバーハンドルと、
前記一対の前輪の上方に設けられかつ平面視において前記一対の前輪間に跨るフロントフェンダと、
平面視において前記グリップの前方で前記グリップの幅方向端部よりも車幅方向中央寄りに上端が位置するサスペンションとを備え、
前記サスペンションは、ショックアブソーバと、前記ショックアブソーバの下端が接続されるアッパーアームとを含み、
前記フロントフェンダは、前記ショックアブソーバにアクセス可能に開口を含み、
正面視において前記ショックアブソーバの上端が前記フロントフェンダの前端より上方に位置する、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は車両に関し、より特定的にはATV(All Terrain Vehicle)などの鞍乗り型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術の一例として、特許文献1においてサスペンションを有する車両が開示されている。この車両において、複数の車輪などの地面接触部材と車両フレームとの間に位置するサスペンションを有する車両用減衰制御システムは、調整可能な減衰特性を有するショックアブソーバを含む。また、システムは、ショックアブソーバの減衰特性を調整するためにショックアブソーバに結合されたコントローラと、コントローラに結合され、車両の運転者がアクセス可能なユーザインタフェースとを含む。ユーザインタフェースは、車両の動作中にショックアブソーバの減衰特性の手動調整を可能にするユーザ入力を含む。また、コントローラには、センサ出力信号によって決定される車両状態に基づいてショックアブソーバの減衰特性を調整するために、車両センサが結合される。
【0003】
また、特許文献2において開示されている車両は、ROVであり、車幅方向に並ぶ複数のシートと、左ショックアブソーバと、右ショックアブソーバと、フロントカバーとを備える。フロントカバーには、左右の開口が形成される。左ショックアブソーバの上端部および右ショックアブソーバの上端部は、車両平面視において左右の開口内にて視認されるように配置される。また、左ショックアブソーバの左方には、左ショックアブソーバの減衰力を調整する左減衰力調整器が配置され、右ショックアブソーバの右方には、右ショックアブソーバの減衰力を調整する右減衰力調整器が配置される。左減衰力調整器の一部は、左開口の上方に配置され、右減衰力調整器の一部は、右開口の上方に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/0086578号明細書
【特許文献2】米国特許第9862425号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の車両では、ショックアブソーバの減衰力が電気的に制御されるが、この場合にはユーザインタフェース等の新たな電子機器が必要となる。
【0006】
また、特許文献2の車両では、左右の減衰力調整器の一部が、フロントカバーの左右の開口より上方に位置するが、車両はROVであり、運転者がシートに着座した状態で減衰力調整器にアクセスし操作することはできない。
【0007】
それゆえにこの発明の主たる目的は、ユーザインタフェース等の新たな電子機器を要することなくサスペンションを容易に調整できる、車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、一対の前輪と、一対の後輪と、車幅方向中央部に設けられる鞍乗り型のシートと、シートの前方に設けられるステアリングシャフトと、グリップを有しかつステアリングシャフトの上部に接続されるバーハンドルと、一対の前輪の上方に設けられかつ平面視において一対の前輪間に跨るフロントフェンダと、平面視においてグリップの前方でグリップの幅方向端部よりも車幅方向中央寄りに上端が位置するサスペンションとを備え、サスペンションは、その上部に位置するサスペンション調整部を含み、フロントフェンダは、サスペンション調整部にアクセス可能に開口を含む、車両が提供される。
【0009】
この発明では、グリップの近くにサスペンション調整部が位置し、フロントフェンダの開口からサスペンション調整部に直接アクセスできる。したがって、新たな電子機器を要することなく、サスペンション調整部を操作でき、サスペンションを容易に調整できる。
【0010】
好ましくは、サスペンションの上端は、前輪の中心より後方に位置する。この場合、バーハンドル付近からもサスペンション調整部にアクセスできる。
【0011】
また好ましくは、フロントフェンダは、前輪の上端とグリップとを結ぶ線分と交差するように設けられる。この場合、サスペンション調整部にアクセス可能な開口を、フロントフェンダに容易に形成できる。
【0012】
さらに好ましくは、平面視において開口からサスペンションの上端が露出する。この場合、サスペンションの上部に位置するサスペンション調整部に容易にアクセスできる。
【0013】
好ましくは、正面視においてサスペンションの上端がフロントフェンダの前端より上方に位置する。この場合、サスペンションの上部に位置するサスペンション調整部に容易にアクセスできる。また、フロントフェンダより上方に飛び出るような長いサスペンションを用いることができ、ホイールトラベルを大きくできる。
【0014】
また好ましくは、サスペンションの上端は開口の上方に位置する。この場合、サスペンションの上部に位置するサスペンション調整部に容易にアクセスできる。また、フロントフェンダより上方に飛び出るような長いサスペンションを用いることができ、ホイールトラベルを大きくできる。
【0015】
さらに好ましくは、サスペンションは、さらにショックアブソーバを含み、サスペンション調整部は、ショックアブソーバの減衰力を調整する減衰力調整部を含む。この場合、減衰力調整部によってショックアブソーバの減衰力を容易に調整できる。
【0016】
好ましくは、サスペンションは、ショックアブソーバの下端が接続されるアッパーアームをさらに含む。この場合、サスペンションストロークを確保しながらも、アッパーアームの回避構造などが不要でありショックアブソーバの設計自由度を向上できる。
【0017】
また好ましくは、減衰力調整部は、ショックアブソーバの上端より車幅方向外側に位置する。この場合、ショックアブソーバが邪魔にならず、減衰力調整部に円滑にアクセスできる。
【0018】
さらに好ましくは、減衰力調整部は、平面視においてステアリングシャフトの上端部からグリップの端部までを半径とした円の内側に位置する。この場合、バーハンドルの近くに減衰力調整部を配置でき、減衰力調整部に容易にアクセスできる。
【0019】
好ましくは、サスペンションは、さらにスプリングを含み、サスペンション調整部は、スプリングのプリロードを調整する負荷調整部を含む。この場合、負荷調整部によってスプリングのプリロードを容易に調整できる。
【0020】
また、一対の前輪と、一対の後輪と、車幅方向中央部に設けられる鞍乗り型のシートと、シートの前方に設けられるステアリングシャフトと、グリップを有しかつステアリングシャフトの上端部に接続されるバーハンドルと、一対の前輪の上方に設けられかつ平面視において一対の前輪間に跨るフロントフェンダと、平面視においてグリップの前方でグリップの幅方向端部よりも車幅方向中央寄りに上端が位置するサスペンションとを備え、サスペンションは、ショックアブソーバと、ショックアブソーバの下端が接続されるアッパーアームとを含み、フロントフェンダは、ショックアブソーバにアクセス可能に開口を含み、正面視においてショックアブソーバの上端がフロントフェンダの前端より上方に位置する、車両が提供される。
【0021】
この発明では、フロントフェンダを取り外すことなく、開口を通してショックアブソーバを取り外すことができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、ユーザインタフェース等の新たな電子機器を要することなく、サスペンションを容易に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明の一実施形態に係る車両を示す側面図である。
図2図1の車両を示す平面図である。
図3図1の車両を示す底面図である。
図4図1の車両を示す正面図である。
図5図1の車両を示す背面図である。
図6図1の車両から車輪およびフロントフェンダ等を取り外した状態を示す側面図である。
図7図1の車両から車輪およびフロントフェンダ等を取り外した状態を示す平面図である。
図8図1の車両から車輪およびフロントフェンダ等を取り外した状態を示す底面図である。
図9図1の車両から車輪およびフロントフェンダ等を取り外した状態を示す正面図である。
図10図1の車両から車輪およびフロントフェンダ等を取り外した状態を示す背面図である。
図11図1の車両の内部構造を示す平面図である。
図12図11のA-A断面図である。
図13】減衰力調整部および負荷調整部の近傍を示す拡大側面図である。
図14】減衰力調整部および負荷調整部の近傍を示す拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。
【0025】
図中において、「Fr」は前方を示し、「Rr」は後方を示し、「R」は右方を示し、「L」は左方を示し、「U」は上方を示し、「Lo」は下方を示す。
【0026】
図1図5を参照して、この発明の一実施形態に係る車両10は、鞍乗型車両、より具体的には四輪タイプのATVであり、車体フレーム12と、一対の前輪14a,14bと、一対の後輪16a,16bと、バーハンドル18と、鞍乗り型のシート20と、一対のフートレスト22a,22bとを含む。
【0027】
図6図10をも参照して、一対の前輪14a,14bは、一対のサスペンション58a,58b(後述)を介して車体フレーム12の前部に設けられる。一対の後輪16a,16bは、一対のサスペンション60a,60b(後述)を介して車体フレーム12の後部に設けられる。バーハンドル18は、車幅方向中央部においてステアリングシャフト54(後述)の上部に接続され、かつ側面視で前輪14a,14bの上方に設けられる。バーハンドル18は、その両端にグリップ18a,18bを有する。シート20は、車幅方向中央部に設けられ、側面視で前輪14a,14bおよび後輪16a,16bよりも上方かつ前輪14a,14bと後輪16a,16bとの間に設けられ、車体フレーム12に支持される。一対のフートレスト22a,22bはそれぞれ、運転者の足を載せる部分であり、側面視で前輪14a,14bと後輪16a,16bとの間に配置され、車体フレーム12に設けられる。
【0028】
図11および図12を参照して、車両10はさらに、原動機としてのエンジン24と、無段変速機26と、変速機28とを含む。エンジン24、無段変速機26および変速機28は、車体フレーム12に設けられる。
【0029】
この実施形態では、エンジン24は、並列2気筒エンジンである。エンジン24は、車体フレーム12の前後方向中央部よりやや後方において、斜め後方に傾斜するように配置される。すなわち、エンジン24は、リアミッドシップにレイアウトされる。エンジン24からの出力が伝達される無段変速機26は、エンジン24の外方(この実施形態では、左方)に設けられる。変速機28は、無段変速機26からの出力を変速するために、エンジン24の前方に設けられる。したがって、エンジン24と変速機28とは、無段変速機26を介して接続される。
【0030】
車両10はさらに、変速機28に接続されかつ前後方向に延びるプロペラシャフト30と、プロペラシャフト30の前端部に接続されかつ前後方向に延びる前部シャフト32と、変速機28からプロペラシャフト30および前部シャフト32を介して伝達される回転を一対の前輪14a,14bに伝達する回転伝達部34(図8参照)と、プロペラシャフト30の後端部に接続されかつ前後方向に延びる後部シャフト(図示せず)と、変速機28からプロペラシャフト30および後部シャフトを介して伝達される回転を一対の後輪16a,16bに伝達する回転伝達部36とを含む。
【0031】
回転伝達部34は、前部シャフト32、プロペラシャフト30、変速機28および無段変速機26を介してエンジン24に連結される。回転伝達部36は、後部シャフト、プロペラシャフト30、変速機28および無段変速機26を介してエンジン24に連結される。したがって、エンジン24の回転は、無段変速機26および変速機28によって変速された後、プロペラシャフト30、前部シャフト32および回転伝達部34を介して一対の前輪14a,14bに伝達される。それにより、一対の前輪14a,14bが回転する。また、エンジン24の回転は、無段変速機26および変速機28によって変速された後、プロペラシャフト30、後部シャフト、および回転伝達部36を介して一対の後輪16a,16bに伝達される。それにより、一対の後輪16a,16bが回転する。
【0032】
車両10はさらに、エンジン24に吸気するためにエンジン24に接続される吸気管38と、吸気管38に接続されるエアクリーナ40と、エンジン24から排気するためにエンジン24に接続される排気管42と、排気管42に接続されるマフラ44とを含む。
【0033】
エアクリーナ40は、正面視においてエンジン24と重なるようにエンジン24の前方に設けられ、かつシート20の下方に設けられる。マフラ44は、エンジン24の後方に設けられる。吸気管38はエンジン24の前部に接続され、排気管42はエンジン24の後部に接続される。したがって、エンジン24は、前方吸気、後方排気の構造を呈する。
【0034】
車両10はさらに、エンジン24へ供給される燃料が収容される燃料タンク46と、燃料タンク46の上方に設けられるバッテリ48および電装ボックス50とを含む。
【0035】
燃料タンク46は、変速機28の前方斜め上方かつエアクリーナ40の前方に設けられる。バッテリ48および電装ボックス50は、並置され、かつシート20の前方に設けられる。
【0036】
車両10はさらに、一対の前輪14a,14bを操舵するステアリング機構52を含む。
【0037】
ステアリング機構52は、ステアリングシャフト54と、ステアリングシャフト54に設けられる電動パワーステアリング(EPS)56とを含む。ステアリングシャフト54は、シート20の前方に設けられる。電動パワーステアリング56は、燃料タンク46の前方に設けられる。
【0038】
車両10はさらに、車体フレーム12に設けられかつ一対の前輪14a,14bを懸架する一対のサスペンション58a,58bと、車体フレーム12に設けられかつ一対の後輪16a,16bを懸架する一対のサスペンション60a,60bとを含む。
【0039】
図2を参照して、一対のサスペンション58a,58bの上端T1,T2はそれぞれ、平面視においてグリップ18a,18bの前方でグリップ18a,18bの幅方向端部よりも車幅方向中央寄りにかつ前輪14a,14bの中心より後方に位置する。
【0040】
図6図9を参照して、一対のサスペンション58a,58bはそれぞれ、ショックアブソーバ62a,62bと、スプリング64a,64bと、リザーバタンク66a,66bと、アッパーアーム68a,68bと、ロアアーム70a,70bと、ナックル72a,72bとを含む。
【0041】
スプリング64a,64bはそれぞれ、ショックアブソーバ62a,62bの外周に嵌められる。ショックアブソーバ62a,62bはそれぞれ、リザーバタンク66a,66bに、上端部で接続される。アッパーアーム68a,68bはそれぞれ、車体フレーム12に揺動可能に接続される。ロアアーム70a,70bはそれぞれ、アッパーアーム68a,68bの下方に位置し、車体フレーム12に揺動可能に接続される。ナックル72a,72bはそれぞれ、アッパーアーム68a,68bとロアアーム70a,70bとを連結する。ショックアブソーバ62a,62bの上端は車体フレーム12に接続され、ショックアブソーバ62a,62bの下端はそれぞれ、アッパーアーム68a,68bに接続される。
【0042】
さらに、サスペンション58a,58bはそれぞれ、その上部に位置するサスペンション調整部74a,74bを含む。サスペンション調整部74a,74bはそれぞれ、ショックアブソーバ62a,62bの減衰力を調整する減衰力調整部76a,76bと、スプリング64a,64bのプリロードを調整する負荷調整部78a,78bとを含む。減衰力調整部76a,76bはそれぞれ、ショックアブソーバ62a,62bの上端(サスペンション58a,58bの上端T1,T2)より車幅方向外側に位置する。また、図7を参照して、減衰力調整部76a,76bはそれぞれ、平面視においてステアリングシャフト54の上端部からグリップ18a(18b)の端部までを半径とした円Cの内側に位置する。図13および図14を参照して、この実施形態では、減衰力調整部76a,76bはそれぞれ、ショックアブソーバ62a,62bとリザーバタンク66a,66bとの接続部の車幅方向外端部に設けられるつまみからなる。減衰力調整部76a,76bであるつまみを廻すことによって、減衰力を調整できる。負荷調整部78a,78bはそれぞれ、ダブルナットからなり、ショックアブソーバ62a,62bの外周に嵌められたスプリング64a,64の上端の位置を規制するように、ショックアブソーバ62a,62bの外周の上部に取り付けられる。ショックアブソーバ62a,62bの長手方向における負荷調整部78a,78bの取付位置を調整することによって、スプリング64a,64のプリロードを調整できる。
【0043】
図1図5に戻って、車両10はさらに、フロントフェンダ80と、リアフェンダ82とを含む。フロントフェンダ80は、一対の前輪14a,14bの上方に設けられ、かつ平面視において一対の前輪14a,14b間に跨る。すなわち、フロントフェンダ80は、前輪14aの上方から前輪14bの上方まで繋がっている。図2を参照して、フロントフェンダ80は、前輪14aの上端とグリップ18aとを結ぶ線分L1と交差しかつ前輪14bの上端とグリップ18bとを結ぶ線分L2と交差するように設けられる。リアフェンダ82は、一対の後輪16a,16bの上方に設けられ、かつ平面視において一対の後輪16a,16b間に跨る。すなわち、リアフェンダ82は、後輪16aの上方から後輪16bの上方まで繋がっている。フロントフェンダ80は、一体もあっても、複数の部品を組み合わせて形成されてもよい。リアフェンダ82も同様である。
【0044】
図2および図7を参照して、フロントフェンダ80は、サスペンション調整部74a,74bおよびショックアブソーバ62a,62bにアクセス可能に2つの切り欠き状の開口80a,80bを含む。平面視において、サスペンション58a,58bの上端T1,T2はそれぞれ、開口80a,80bから露出する。
【0045】
図4および図9をも参照して、サスペンション58a,58bの上端T1,T2はそれぞれ、開口80a,80bの上方に位置する。言い換えれば、ショックアブソーバ62a,62bの上端はそれぞれ、開口80a,80bの上方に位置する。また、減衰力調整部76a,76bもそれぞれ、開口80a,80bの上方に位置する。正面視において、サスペンション58a,58bの上端T1,T2は、フロントフェンダ80の前端Bより上方に位置する。言い換えれば、正面視において、ショックアブソーバ62a,62bの上端は、フロントフェンダ80の前端Bより上方に位置する。
【0046】
このような車両10によれば、グリップ18a,18bの近くにサスペンション調整部74a,74bが位置し、フロントフェンダ80の開口80a,80bからサスペンション調整部74a,74bに直接アクセスできる。したがって、新たな電子機器を要することなく、サスペンション調整部74a,74bを操作でき、サスペンション58a,58bを容易に調整できる。
【0047】
サスペンション58a,58bの上端T1,T2は、前輪14a,14bの中心より後方に位置するので、バーハンドル18付近からもサスペンション調整部74a,74bにアクセスできる。
【0048】
フロントフェンダ80は、前輪14aの上端とグリップ18aとを結ぶ線分L1と交差しかつ前輪14bの上端とグリップ18bとを結ぶ線分L2と交差するように設けられるので、サスペンション調整部74a,74bにアクセス可能な開口80a,80bを、フロントフェンダ80に容易に形成できる。
【0049】
平面視において開口80a,80bからサスペンション58a,58bの上端T1,T2が露出するので、サスペンション58a,58bの上部に位置するサスペンション調整部74a,74bに容易にアクセスできる。
【0050】
正面視においてサスペンション58a,58bの上端T1,T2がフロントフェンダ80の前端Bより上方に位置するので、サスペンション58a,58bの上部に位置するサスペンション調整部74a,74bに容易にアクセスできる。また、フロントフェンダ80より上方に飛び出るような長いサスペンション58a,58bを用いることができ、ホイールトラベルを大きくできる。
【0051】
サスペンション58a,58bの上端T1,T2は開口80a,80bの上方に位置するので、サスペンション58a,58bの上部に位置するサスペンション調整部74a,74bに容易にアクセスできる。また、フロントフェンダ80より上方に飛び出るような長いサスペンション58a,58bを用いることができ、ホイールトラベルを大きくできる。
【0052】
減衰力調整部76a,76bによってショックアブソーバ62a,62bの減衰力を容易に調整できる。
【0053】
ショックアブソーバ62a,62bの下端は、アッパーアーム68a,68bに連結されるので、サスペンションストロークを確保しながらも、アッパーアーム68a,68bの回避構造などが不要でありショックアブソーバ62a,62bの設計自由度を向上できる。
【0054】
減衰力調整部76a,76bは、ショックアブソーバ62a,62bの上端より車幅方向外側に位置するので、ショックアブソーバ62a,62bが邪魔にならず、減衰力調整部76a,76bに円滑にアクセスできる。
【0055】
減衰力調整部76a,76bは、平面視においてステアリングシャフト54の上端部からグリップ18a(18b)の端部までを半径とした円Cの内側に位置するので、バーハンドル18の近くに減衰力調整部76a,76bを配置でき、減衰力調整部76a,76bに容易にアクセスできる。
【0056】
負荷調整部78a,78bによってスプリング64a,64bのプリロードを容易に調整できる。
【0057】
また、車両10によれば、フロントフェンダ80を取り外すことなく、開口80a,80bを通してショックアブソーバ62a,62bを取り外すことができる。
【0058】
なお、上述の実施形態では、フロントフェンダ80の開口80a,80bは、切り欠き状に形成されたが、これに限定されない。開口は、フロンフェンダに形成された貫通孔であってもよい。
【0059】
また、フロントフェンダ80の開口80a,80bには、開閉可能なカバーが設けられてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 車両
12 車体フレーム
14a,14b 前輪
16a,16b 後輪
18 バーハンドル
18a,18b グリップ
20 シート
22a,22b フートレスト
52 ステアリング機構
54 ステアリングシャフト
58a,58b,60a,60b サスペンション
62a,62b ショックアブソーバ
64a,64b スプリング
68a,68b アッパーアーム
70a,70b ロアアーム
74a,74b サスペンション調整部
76a,76b 減衰力調整部
78a,78b 負荷調整部
80 フロントフェンダ
80a,80b 開口
82 リアフェンダ
B フロントフェンダの前端
C ステアリングシャフトの上端部からグリップの端部までを半径とした円
L1,L2 前輪の上端とグリップとを結ぶ線分
T1,T2 サスペンションの上端
図1
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