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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146571
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B62K 25/10 20060101AFI20241004BHJP
   B62K 5/01 20130101ALI20241004BHJP
【FI】
B62K25/10
B62K5/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059554
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101351
【弁理士】
【氏名又は名称】辰巳 忠宏
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昌浩
【テーマコード(参考)】
3D011
3D014
【Fターム(参考)】
3D011AA07
3D011AB01
3D011AC01
3D011AD04
3D011AD11
3D014DD06
3D014DF02
3D014DF33
(57)【要約】
【課題】ロアアームおよび車体フレームの応力を低減でき、ロアアームおよび車体フレームを軽くできる、車両を提供する。
【解決手段】車両10は、車体フレーム12と、車体フレーム12に設けられる鞍乗り型のシート20と、車体フレーム12の前部および後部に設けられる前輪14a,14bおよび後輪16a,16bと、後輪16a,16bの間に設けられるリアギヤ38と、シート20の下方に設けられるエンジン24と、アッパーアーム72a,72bおよびロアアーム74a,74bを含み、後輪16a,16bを支持するサスペンション64a,64bとを備える。ロアアーム74a,74bは、側面視で前後方向においてエンジン24の後端Bよりも前方の位置で車体フレーム12に接続される前アーム部78a,78bと、側面視で前後方向においてリアギヤ38の中心Cよりも後方の位置で車体フレーム12に接続される後アーム部80a,80bとを含む。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、
前記車体フレームに設けられる鞍乗り型のシートと、
前記車体フレームの前部に設けられる一対の前輪と、
前記車体フレームの後部に設けられる一対の後輪と、
前記一対の後輪の間に設けられるリアギヤと、
前記シートの下方に設けられる駆動源と、
アッパーアームおよびロアアームを含み、前記後輪を支持するサスペンションとを備え、
前記ロアアームは、側面視で前後方向において前記駆動源の後端よりも前方の位置で前記車体フレームに接続される前アーム部と、側面視で前後方向において前記リアギヤの中心よりも後方の位置で前記車体フレームに接続される後アーム部とを含む、車両。
【請求項2】
前記後アーム部は、側面視で前後方向において前記リアギヤの後端よりも前方の位置で前記車体フレームに接続される、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記前アーム部における前記車体フレームへの接続点は、前記後アーム部における前記車体フレームへの接続点よりも車幅方向外方に位置する、請求項1または2に記載の車両。
【請求項4】
前記ロアアームのピボット軸が、平面視においてその前方が外側に開くように車両前後方向に対して傾斜する、請求項1から3のいずれかに記載の車両。
【請求項5】
前記車体フレームは、フレーム中央部と、前記フレーム中央部よりも車幅方向の間隔が狭くなるように前記フレーム中央部から後方に延びるフレーム後部とを含み、
前記前アーム部は、前記フレーム中央部に接続される、請求項1から4のいずれかに記載の車両。
【請求項6】
前記後アーム部は、前記フレーム後部に接続される、請求項5に記載の車両。
【請求項7】
前記後アーム部と前記アッパーアームとを連結するために上下方向に延びる連結ブラケットをさらに含み、
前記リアギヤに接触しないように前記連結ブラケットの車両中央側が湾曲する、請求項1から6のいずれかに記載の車両。
【請求項8】
前記サスペンションは、前記車体フレームと前記ロアアームとを連結するショックアブソーバをさらに含む、請求項1から7のいずれかに記載の車両。
【請求項9】
前記ショックアブソーバは、前記アッパーアームの前方に位置する、請求項8に記載の車両。
【請求項10】
前記アッパーアームは、前記ショックアブソーバを避けるように曲がって形成される、請求項9に記載の車両。
【請求項11】
前記前アーム部は屈曲部を有し、
前記ショックアブソーバは、前記屈曲部近傍において前記ロアアームに接続される、請求項8から10のいずれかに記載の車両。
【請求項12】
前記ロアアームは、前記屈曲部と前記後アーム部とを連結する補強部材をさらに含み、
前記ショックアブソーバは、前記補強部材に接続される、請求項11に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は車両に関し、より特定的にはATV(All Terrain Vehicle)などの鞍乗り型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術の一例として、特許文献1において鞍乗り型車両が開示されている。この車両は、ロアパイプと、ロアパイプの後端から上方に延びるリアパイプと、ロアパイプおよびリアパイプを連結するリアサスペンションアーム支持パイプと、後輪を支持する後輪サスペンションとを含む。後輪サスペンションは、ロアパイプの後部およびリアサスペンションアーム支持パイプの後部を連結する。後輪サスペンションは、フロントアーム部とバックアーム部とを有しかつロアパイプの後部に接続されるロアアームと、リアサスペンションアーム支持パイプに接続されるアッパーアームと、ロアアームのバックアーム部とリアパイプとの間に配置される後輪ショックアブソーバとを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7770907号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この車両では、ロアアームのフロントアーム部およびバックアーム部は、ロアパイプに対して略同角度をなすように傾斜して、ロアパイプに接続される。すなわち、フロントアーム部とバックアーム部とは、それぞれの端部がさほど開かずにロアパイプに接続される。したがって、ロアアームのアームスパンを広げてロアアームおよびロアパイプの応力を低減する点について改良の余地がある。
【0005】
それゆえにこの発明の主たる目的は、ロアアームおよび車体フレームの応力を低減でき、ロアアームおよび車体フレームを軽くできる、車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、車体フレームと、車体フレームに設けられる鞍乗り型のシートと、車体フレームの前部に設けられる一対の前輪と、車体フレームの後部に設けられる一対の後輪と、一対の後輪の間に設けられるリアギヤと、シートの下方に設けられる駆動源と、アッパーアームおよびロアアームを含み、後輪を支持するサスペンションとを備え、ロアアームは、側面視で前後方向において駆動源の後端よりも前方の位置で車体フレームに接続される前アーム部と、側面視で前後方向においてリアギヤの中心よりも後方の位置で車体フレームに接続される後アーム部とを含む、車両が提供される。
【0007】
この発明では、後輪側のサスペンションのロアアームについて、前アーム部は、側面視で前後方向において駆動源の後端よりも前方の位置で車体フレームに接続され、後アーム部は、側面視で前後方向においてリアギヤの中心よりも後方の位置で車体フレームに接続される。このように、前アーム部を駆動源の側方まで延ばして、前アーム部における車体フレームへの接続点を前方に位置させる。また、前アーム部と後アーム部とを、平面視において一対の後輪の中心を結ぶ直線の両側に開く形で車体フレームに接続する。すなわち、前アーム部および後アーム部を、一対の後輪の中心を結ぶ直線に対して前後に傾斜させる。これによって、ロアアームのアームスパンを広げてロアアームおよび車体フレームの応力を低減でき、ロアアームおよび車体フレームを軽くできる。
【0008】
好ましくは、後アーム部は、側面視で前後方向においてリアギヤの後端よりも前方の位置で車体フレームに接続される。この場合、車両の腹打ち、すなわち車両の下面が地面に接触することを抑制できる。
【0009】
また好ましくは、前アーム部における車体フレームへの接続点は、後アーム部における車体フレームへの接続点よりも車幅方向外方に位置する。この場合、ロアアームのピボット軸を前開きとなるように傾斜させ易くなり、駆動源を後方に配置し易くなる。
【0010】
さらに好ましくは、ロアアームのピボット軸が、平面視においてその前方が外側に開くように車両前後方向に対して傾斜する。この場合、ロアアームのピボット軸が前開きとなるように傾斜し、駆動源を後方に配置し易くなる。
【0011】
好ましくは、車体フレームは、フレーム中央部と、フレーム中央部よりも車幅方向の間隔が狭くなるようにフレーム中央部から後方に延びるフレーム後部とを含み、前アーム部は、フレーム中央部に接続される。この場合、前アーム部における車体フレームへの接続点を前方に位置させることができ、ロアアームのアームスパンを広くできる。
【0012】
また好ましくは、後アーム部は、フレーム後部に接続される。この場合、後アーム部における車体フレームへの接続点を後方に位置させることができ、ロアアームのアームスパンを広くできる。
【0013】
さらに好ましくは、後アーム部とアッパーアームとを連結するために上下方向に延びる連結ブラケットをさらに含み、リアギヤに接触しないように連結ブラケットの車両中央側が湾曲する。この場合、アッパーアーム長およびロアアーム長を適切に確保できるとともに、リアギヤを組み立て易くなる。
【0014】
好ましくは、サスペンションは、車体フレームとロアアームとを連結するショックアブソーバをさらに含む。この場合、ショックアブソーバをロアアームに接続することによって、長いショックアブソーバを用いることができる。
【0015】
また好ましくは、ショックアブソーバは、アッパーアームの前方に位置する。
【0016】
さらに好ましくは、アッパーアームは、ショックアブソーバを避けるように曲がって形成される。この場合、ショックアブソーバをアッパーアームの前方に配置し易くなる。
【0017】
好ましくは、前アーム部は屈曲部を有し、ショックアブソーバは、屈曲部近傍においてロアアームに接続される。
【0018】
また好ましくは、ロアアームは、屈曲部と後アーム部とを連結する補強部材をさらに含み、ショックアブソーバは、補強部材に接続される。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、ロアアームおよび車体フレームの応力を低減でき、ロアアームおよび車体フレームを軽くできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明の一実施形態に係る車両を示す側面図である。
図2図1の車両を示す平面図である。
図3図1の車両を示す底面図である。
図4図1の車両を示す正面図である。
図5図1の車両を示す背面図である。
図6図1の車両から車輪およびフロントフェンダ等を取り外した状態を示す側面図である。
図7図1の車両から車輪およびフロントフェンダ等を取り外した状態を示す平面図である。
図8図1の車両から車輪およびフロントフェンダ等を取り外した状態を示す底面図である。
図9図1の車両から車輪およびフロントフェンダ等を取り外した状態を示す正面図である。
図10図1の車両から車輪およびフロントフェンダ等を取り外した状態を示す背面図である。
図11図1の車両の内部構造を示す平面図である。
図12図11のA-A断面図である。
図13】後輪側のサスペンション近傍を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。
【0022】
図中において、「Fr」は前方を示し、「Rr」は後方を示し、「R」は右方を示し、「L」は左方を示し、「U」は上方を示し、「Lo」は下方を示す。
【0023】
図1図5を参照して、この発明の一実施形態に係る車両10は、鞍乗型車両、より具体的には四輪タイプのATVであり、車体フレーム12と、一対の前輪14a,14bと、一対の後輪16a,16bと、バーハンドル18と、鞍乗り型のシート20と、一対のフートレスト22a,22bとを含む。
【0024】
図6図10をも参照して、車体フレーム12は、フレーム中央部12aと、フレーム中央部12aよりも車幅方向の間隔が漸次狭くなるようにフレーム中央部12aから後方に延びるフレーム後部12bとを含む。一対の前輪14a,14bは、一対のサスペンション62a,62b(後述)を介して車体フレーム12の前部に設けられる。一対の後輪16a,16bは、一対のサスペンション64a,64b(後述)を介して車体フレーム12の後部に設けられる。バーハンドル18は、車幅方向中央部においてステアリングシャフト58(後述)の上部に接続され、かつ側面視で前輪14a,14bの上方に設けられる。シート20は、車幅方向中央部に設けられ、側面視で前輪14a,14bおよび後輪16a,16bよりも上方かつ前輪14a,14bと後輪16a,16bとの間に設けられ、車体フレーム12に支持される。一対のフートレスト22a,22bはそれぞれ、運転者の足を載せる部分であり、側面視で前輪14a,14bと後輪16a,16bとの間に配置され、車体フレーム12に設けられる。
【0025】
図11および図12を参照して、車両10はさらに、原動機としてのエンジン24と、無段変速機26と、変速機28とを含む。エンジン24、無段変速機26および変速機28は、車体フレーム12に設けられる。
【0026】
この実施形態では、エンジン24は、並列2気筒エンジンであり、シート20の下方に設けられる。エンジン24は、車体フレーム12の前後方向中央部よりやや後方において、斜め後方に傾斜するように配置される。すなわち、エンジン24は、リアミッドシップにレイアウトされる。エンジン24からの出力が伝達される無段変速機26は、エンジン24の外方(この実施形態では、左方)に設けられる。変速機28は、無段変速機26からの出力を変速するために、エンジン24の前方に設けられる。したがって、エンジン24と変速機28とは、無段変速機26を介して接続される。
【0027】
車両10はさらに、変速機28に接続されかつ前後方向に延びるプロペラシャフト30と、プロペラシャフト30の前端部に接続されかつ前後方向に延びる前部シャフト32と、変速機28からプロペラシャフト30および前部シャフト32を介して伝達される回転を一対の前輪14a,14bに伝達する回転伝達部34(図8参照)と、プロペラシャフト30の後端部に接続されかつ前後方向に延びる後部シャフト(図示せず)と、変速機28からプロペラシャフト30および後部シャフトを介して伝達される回転を一対の後輪16a,16bに伝達する回転伝達部36とを含む。回転伝達部36は、リアギヤ38と、一対のドライブシャフト40a,40bとを含む(図10参照)。リアギヤ38は、一対の後輪16a,16bの間に設けられ、リアギヤ38には、後部シャフトの回転が伝達される。一対のドライブシャフト40a,40bはそれぞれ、リアギヤ38と一対の後輪16a,16bとの間に設けられる。したがって、リアギヤ38の回転は、一対のドライブシャフト40a,40bを介して一対の後輪16a,16bに伝達される。
【0028】
回転伝達部34は、前部シャフト32、プロペラシャフト30、変速機28および無段変速機26を介してエンジン24に連結される。回転伝達部36は、後部シャフト、プロペラシャフト30、変速機28および無段変速機26を介してエンジン24に連結される。したがって、エンジン24の回転は、無段変速機26および変速機28によって変速された後、プロペラシャフト30、前部シャフト32および回転伝達部34を介して一対の前輪14a,14bに伝達される。それにより、一対の前輪14a,14bが回転する。また、エンジン24の回転は、無段変速機26および変速機28によって変速された後、プロペラシャフト30、後部シャフト、および回転伝達部36を介して一対の後輪16a,16bに伝達される。それにより、一対の後輪16a,16bが回転する。
【0029】
車両10はさらに、エンジン24に吸気するためにエンジン24に接続される吸気管42と、吸気管42に接続されるエアクリーナ44と、エンジン24から排気するためにエンジン24に接続される排気管46と、排気管46に接続されるマフラ48とを含む。
【0030】
エアクリーナ44は、正面視においてエンジン24と重なるようにエンジン24の前方に設けられ、かつシート20の下方に設けられる。マフラ48は、エンジン24の後方に設けられる。吸気管42はエンジン24の前部に接続され、排気管46はエンジン24の後部に接続される。したがって、エンジン24は、前方吸気、後方排気の構造を呈する。
【0031】
車両10はさらに、エンジン24へ供給される燃料が収容される燃料タンク50と、燃料タンク50の上方に設けられるバッテリ52および電装ボックス54とを含む。
【0032】
燃料タンク50は、変速機28の前方斜め上方かつエアクリーナ44の前方に設けられる。バッテリ52および電装ボックス54は、並置され、かつシート20の前方に設けられる。
【0033】
車両10はさらに、一対の前輪14a,14bを操舵するステアリング機構56を含む。
【0034】
ステアリング機構56は、ステアリングシャフト58と、ステアリングシャフト58に設けられる電動パワーステアリング(EPS)60とを含む。ステアリングシャフト58は、シート20の前方に設けられる。電動パワーステアリング60は、燃料タンク50の前方に設けられる。
【0035】
車両10はさらに、車体フレーム12に設けられかつ一対の前輪14a,14bを懸架する一対のサスペンション62a,62bと、車体フレーム12に設けられかつ一対の後輪16a,16bを懸架する一対のサスペンション64a,64bとを含む。
【0036】
図6図8および図10を参照して、一対のサスペンション64a,64bはそれぞれ、ショックアブソーバ66a,66bと、スプリング68a,68bと、リザーバタンク70a,70bと、アッパーアーム72a,72bと、ロアアーム74a,74bと、ナックル76a,76bとを含む。
【0037】
スプリング68a,68bはそれぞれ、ショックアブソーバ66a,66bの外周に嵌められる。ショックアブソーバ66a,66bはそれぞれ、リザーバタンク70a,70bに、上端部で接続される。アッパーアーム72a,72bはそれぞれ、車体フレーム12に揺動可能に接続される。ロアアーム74a,74bはそれぞれ、アッパーアーム72a,72bの下方に位置し、車体フレーム12に揺動可能に接続される。ナックル76a,76bはそれぞれ、アッパーアーム72a,72bとロアアーム74a,74bとを連結する。ショックアブソーバ66a,66bはそれぞれ、アッパーアーム72a,72bの前方に位置し、車体フレーム12とロアアーム74a,74bとを連結する。アッパーアーム72a,72bはそれぞれ、ショックアブソーバ66a,66bを避けるように曲がって形成される。
【0038】
ロアアーム74a,74bはそれぞれ、前アーム部78a,78bと、後アーム部80a,80bとを含む。
【0039】
図8および図13を参照して、前アーム部78a,78bは、側面視で前後方向においてエンジン24の後端Bよりも前方の位置で車体フレーム12に接続される。前アーム部78a,78bは、フレーム中央部12aに接続される。後アーム部80a,80bは、側面視で前後方向において、リアギヤ38の中心Cよりも後方かつリアギヤ38の後端Dよりも前方の位置で車体フレーム12に接続される。後アーム部80a,80bは、フレーム後部12bに接続される。前アーム部78a,78bにおける車体フレーム12への接続点E1,E2はそれぞれ、後アーム部80a,80bにおける車体フレーム12への接続点F1,F2よりも車幅方向外方に位置する。したがって、ロアアーム74a,74bの仮想的なピボット軸G1,G2が、平面視においてその前方が外側に開くように車両前後方向に対して傾斜する。
【0040】
前アーム部78a,78bはそれぞれ、屈曲部82a,82bを有する。ロアアーム74a,74bはそれぞれ、屈曲部82a,82bと後アーム部80a,80bとを連結する補強部材84a,84bをさらに含む。ショックアブソーバ66a,66bはそれぞれ、屈曲部82a,82b近傍においてロアアーム74a,74bに接続され、より具体的には、補強部材84a,84bに接続される。
【0041】
図10を参照して、後アーム部80a,80bとアッパーアーム72a,72bとはそれぞれ、上下方向に延びる連結ブラケット86a,86bによって連結される。リアギヤ38に接触しないように、連結ブラケット86a,86bの車両中央側H1,H2が湾曲している。
【0042】
図1図5に戻って、車両10はさらに、フロントフェンダ88と、リアフェンダ90とを含む。フロントフェンダ88は、一対の前輪14a,14bの上方に設けられ、かつ平面視において一対の前輪14a,14b間に跨る。リアフェンダ90は、一対の後輪16a,16bの上方に設けられ、かつ平面視において一対の後輪16a,16b間に跨る。
【0043】
このような車両10によれば、後輪側のサスペンション64a,64bのロアアーム74a,74bについて、前アーム部78a,78bは、側面視で前後方向においてエンジン24の後端Bよりも前方の位置で車体フレーム12に接続され、後アーム部80a,80bは、側面視で前後方向においてリアギヤ38の中心Cよりも後方の位置で車体フレーム12に接続される。このように、前アーム部78a,78bをエンジン24の側方まで延ばして、前アーム部78a,78bにおける車体フレーム12への接続点E1,E2を前方に位置させる。また、前アーム部78a,78bと後アーム部80a,80bとを、平面視において一対の後輪16a,16bの中心を結ぶ直線P(図8参照)の両側に開く形で車体フレーム12に接続する。すなわち、前アーム部78a,78bおよび後アーム部80a,80bを、一対の後輪16a,16bの中心を結ぶ直線Pに対して前後に傾斜させる。これによって、ロアアーム74a,74bのアームスパンS(図13参照)を広げてロアアーム74a,74bおよび車体フレーム12の応力を低減でき、ロアアーム74a,74bおよび車体フレーム12を軽くできる。
【0044】
後アーム部80a,80bは、側面視で前後方向においてリアギヤ38の後端Dよりも前方の位置で車体フレーム12に接続されるので、車両12の腹打ち、すなわち車両12の下面が地面に接触することを抑制できる。
【0045】
前アーム部78a,78bにおける車体フレーム12への接続点E1,E2は、後アーム部80a,80bにおける車体フレーム12への接続点F1,F2よりも車幅方向外方に位置するので、ロアアーム74a,74bのピボット軸G1,G2を前開きとなるように傾斜させ易くなり、エンジン24を後方に配置し易くなる。
【0046】
ロアアーム74a,74bのピボット軸G1,G2が、平面視においてその前方が外側に開くように車両前後方向に対して傾斜するので、ロアアーム74a,74bのピボット軸G1,G2が前開きとなるように傾斜し、エンジン24を後方に配置し易くなる。
【0047】
前アーム部78a,78bは、フレーム中央部12aに接続されるので、前アーム部78a,78bにおける車体フレーム12への接続点E1,E2を前方に位置させることができ、ロアアーム74a,74bのアームスパンSを広くできる。
【0048】
後アーム部80a,80bは、フレーム後部12bに接続されるので、後アーム部80a,80bにおける車体フレーム12への接続点F1,F2を後方に位置させることができ、ロアアーム74a,74bのアームスパンSを広くできる。
【0049】
リアギヤ38に接触しないように連結ブラケット86a,86bの車両中央側H1,H2が湾曲するので、アッパーアーム長およびロアアーム長を適切に確保できるとともに、リアギヤ38を組み立て易くなる。
【0050】
ショックアブソーバ66a,66bをロアアーム74a,74bに接続することによって、長いショックアブソーバを用いることができる。
【0051】
アッパーアーム72a,72bは、ショックアブソーバ66a,66bを避けるように曲がって形成されるので、ショックアブソーバ66a,66bをアッパーアーム72a,72bの前方に配置し易くなる。
【0052】
上述の実施形態では、原動機としてエンジン24が用いられたが、これに限定されない。原動機はモータであってもよい。
【符号の説明】
【0053】
10 車両
12 車体フレーム
12a フレーム中央部
12b フレーム後部
14a,14b 前輪
16a,16b 後輪
18 バーハンドル
20 シート
22a,22b フートレスト
24 エンジン
38 リアギヤ
62a,62b,64a,64b サスペンション
66a,66b ショックアブソーバ
72a,72b アッパーアーム
74a,74b ロアアーム
78a,78b 前アーム部
80a,80b 後アーム部
82a,82b 屈曲部
84a,84b 補強部材
86a,86b 連結ブラケット
B エンジンの後端
C リアギヤの中心
D リアギヤの後端
E1,E2 前アーム部における車体フレームへの接続点
F1,F2 後アーム部における車体フレームへの接続点
G1,G2 ピボット軸
H1,H2 連結ブラケットの車両中央側
S アームスパン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13