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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146587
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】森林管理の方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20240101AFI20241004BHJP
   G06Q 50/02 20240101ALI20241004BHJP
【FI】
G06Q50/26
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059578
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】520069523
【氏名又は名称】アスエネ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138221
【弁理士】
【氏名又は名称】影山 剛士
(72)【発明者】
【氏名】西和田 浩平
(72)【発明者】
【氏名】石坂 達也
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC01
5L049CC35
5L050CC01
5L050CC35
(57)【要約】
【課題】適正な森林管理によるカーボンクレジットの評価方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の一実施形態による、森林量及び森林量より算出される温室効果ガス排出量に基づいて付与されるカーボンクレジットの評価方法であって、事業者端末より受信した森林量及び購入元事業者に関する購入情報を参照し、前記購入情報に基づいて、前記森林量に関する衛星画像を参照し、前記衛星画像に基づいて、実際の森林量を算出し、前記算出した森林量に基づいて、前記カーボンクレジットを評価する。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
森林量及び森林量より算出される温室効果ガス排出量に基づいて付与されるカーボンクレジットの評価方法であって、
事業者端末より受信した森林量及び購入元事業者に関する購入情報を参照し、
前記購入情報に基づいて、前記森林量に関する衛星画像を参照し、
前記衛星画像に基づいて、実際の森林量を算出し、
前記算出した森林量に基づいて、前記カーボンクレジットを評価する、方法。
【請求項2】
前記衛星画像を解析することは、前記衛星画像に含まれる森林の面積、体積及び森林の種類を分析することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記衛星画像に含まれる森林が占める面積をピクセル毎に解析する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記カーボンクレジットを評価することは、前記算出された森林量と前記購入情報に含まれる森林量とを比較することを含む、請求項1に記載の方法。






























【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、森林管理の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、環境保護等の見地から事業者による取水量や排水量等の水処理に関する情報を把握する動きが見られる。
【0003】
特許文献1には、取水事業者及び排水事業者から、取水量及び排水量に関する情報を収集するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-190663公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の技術は、同一水源から取水する事業者及び排水する事業者から各々、取水量や排水量に関する情報を収集し、再生水のマッチングを行なったり、取水量や排水量を調節する方法を開示するものの、森林の管理については開示されていない。
【0006】
そこで、本発明は、適正な森林管理によるカーボンクレジットの評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態による、森林量及び森林量より算出される温室効果ガス排出量に基づいて付与されるカーボンクレジットの評価方法であって、事業者端末より受信した森林量及び購入元事業者に関する購入情報を参照し、前記購入情報に基づいて、前記森林量に関する衛星画像を参照し、前記衛星画像に基づいて、実際の森林量を算出し、前記算出した森林量に基づいて、前記カーボンクレジットを評価する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、適正な森林管理によるカーボンクレジットの評価方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態による森林管理システムを説明する図である。
図2】森林管理システムを構成する管理端末の機能ブロック図である。
図3】森林管理システムを構成する事業者端末の機能ブロック図である。
図4】本発明の第1の実施形態による事業者データの詳細を説明する図である。
図5】本発明の第1の実施形態による森林管理方法を説明するフローチャート図である。
図6】本発明の第1の実施形態による森林管理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による森林管理システム(以下単に「システム」という)は、以下のような構成を備える。
[項目1]
森林量及び森林量より算出される温室効果ガス排出量に基づいて付与されるカーボンクレジットの評価方法であって、
事業者端末より受信した森林量及び購入元事業者に関する購入情報を参照し、
前記購入情報に基づいて、前記森林量に関する衛星画像を参照し、
前記衛星画像に基づいて、実際の森林量を算出し、
前記算出した森林量に基づいて、前記カーボンクレジットを評価する、方法。
[項目2]
前記衛星画像を解析することは、前記衛星画像に含まれる森林の面積、体積及び森林の種類を分析することを含む、項目1に記載の方法。
[項目3]
前記衛星画像に含まれる森林が占める面積をピクセル毎に解析する、項目2に記載の方法。
[項目4]
前記カーボンクレジットを評価することは、前記算出された森林量と前記購入情報に含まれる森林量とを比較することを含む、項目1に記載の方法。
【0011】
<第1の実施形態>
以下、本発明の実施の形態によるシステムについて、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施形態による森林管理システムを説明する図である。
【0013】
図1に示されるように、本実施形態における森林管理システム1において、管理者端末100と複数の事業者端末200A、200Bとが、通信ネットワークNWを介して相互に接続する。
【0014】
例えば、管理端末100は、事業者端末200A、200Bから、事業者に関する基本情報、森林管理に関連する入力情報(例えば、取水量及び排水量に関するデータ)を受信する。
【0015】
管理端末100は、ウォレットを有しており、図示しないパブリックブロックチェーンネットワークNWに接続することができる。管理端末100は、上記所定期間毎の温室効果ガス排出量に関する情報を基に、SHA256または他のハッシュ関数を用いて単一のハッシュ値を生成し、トランザクション情報としてブロックチェーン・ネットワークに記録する。ブロックチェーン・ネットワーク上で、トランザクション情報、直前のブロックに記録されたハッシュ値及びノードにより採掘されたナンス値を基に、本ブロックが生成され、直前のブロックに続いて記録され、ブロックチェーンが形成される。ここで、上記ハッシュ生成、及び/またはトランザクション情報のブロックチェーンへの記録を管理端末100でなく、他の端末を介して行うこともできる。管理端末100は、温室効果ガス排出量に関する情報を、スマートコントラクトとしてブロックチェーン・ネットワークに記録することができる。スマートコントラクトを用いることで、上記温室効果ガス排出量に関する情報を基に、必要に応じて他の事業者との間の排出量取引に関する契約を、第三者を介さずに自動生成し、承認及び実行をすることができる。また、スマートコントラクトにより、各事業者が、管理端末を介することなく、トランザクション情報を参照することが可能となり、サービス利便性が高まり、運用コストも軽減される。
【0016】
ここで、パブリックブロックチェーンは、上述の通り、取引の承認を特定の管理者ではなく、不特定多数のノードやマイナーが行うため、プライベートブロックチェーンと比較して、データのより高い非改ざん性と耐障害性を担保することができ、よって、取引の安全性が担保されることから、本実施形態において電力取引を記録する先としてパブリックブロックチェーンであることが好ましい。代表的なパブリックブロックチェーンとして、Bitcoin(ビットコイン)、Ethereum(イーサリアム)等が挙げられるが、例えば、Ethereumは、パブリックブロックチェーンの中でも、非改ざん性、信頼性がより高い。
【0017】
また、管理端末100は、温室効果ガス排出量に関する情報を識別子等により関連づけ、ノンファンジブルトークン(Non-Fungible Token(以下、「NFT」))として、ブロックチェーン・ネットワークに記録することができる。NFTは、例えば、ブロックチェーン・ネットワークのプラットフォームであるEtheriumの「ERC721」という規格で発行されるトークンであって、ブロックチェーン・ネットワークに記録されるデータの単位であり、非代替性の性格を有する。NFTはブロックチェーン上にスマートコントラクトとともに記録され、追跡可能であるため、温室効果ガス排出量を管理する事業者情報等の詳細及び履歴を含む取引情報を証明することができる。
【0018】
図2は、管理システムを構成する管理端末の機能ブロック図である。
【0019】
通信部110は、ネットワークNWを介して外部の端末と通信を行うための通信インターフェースであり、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の通信規約により通信が行われる。
【0020】
記憶部120は、各種制御処理や制御部130内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等から構成される。また、記憶部120は、事業者に関連する各種データを格納する、事業者データ格納部121、及び森林に関する衛星画像データ及び解析データを格納する、分析データ格納部122を有する。なお、各種データを格納したデータベース(図示せず)が記憶部120または管理端末100外に構築されていてもよい。
【0021】
制御部130は、記憶部120に記憶されているプログラムを実行することにより、管理端末100の全体の動作を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等から構成される。制御部130の機能として、事業者端末200等外部の端末からの情報を受け付ける情報受付部131、事業者端末より受信した、森林管理に関する情報を処理する、森林管理情報処理部132、及び森林に関する衛星画像データを解析することで、実際の森林量を算出する解析処理部133を有する。
【0022】
また、図示しないが、制御部130は、画像生成部を有し、事業者端末200等外部の端末のユーザインターフェースを介して表示される画面情報を生成する。例えば、記憶部120に格納された画像及びテキストデータを素材として、所定のレイアウト規則に基づいて、各種画像及びテキストをユーザインターフェースの所定の領域に配置することで、ユーザインターフェースに表示される情報を生成する。画像生成部に関連する処理は、GPU(Graphics Processing Unit)によって実行することもできる。
【0023】
また、管理端末100は、さらに、ブロックチェーン・ネットワークに対しトランザクション情報を記録するために必要な(図示しない)ウォレットを有する。なお、本ウォレットは管理端末100外部に有することもできる。
【0024】
図3は、森林管理システムを構成する事業者端末の機能ブロック図である。
【0025】
事業者端末200は、通信部210と、表示操作部220と、記憶部230と、制御部240とを備える。
【0026】
通信部210は、ネットワークNWを介して管理端末100と通信を行うための通信インターフェースであり、例えばTCP/IP等の通信規約により通信が行われる。
【0027】
表示操作部220は、事業者が指示を入力し、制御部240からの入力データに応じてテキスト、画像等を表示するために用いられるユーザインターフェースであり、事業者端末200がパーソナルコンピュータで構成されている場合はディスプレイとキーボードやマウスにより構成され、事業者端末200がスマートフォンまたはタブレット端末で構成されている場合はタッチパネル等から構成される。この表示操作部220は、記憶部230に記憶されている制御プログラムにより起動されてコンピュータ(電子計算機)である事業者端末200により実行される。
【0028】
記憶部230は、各種制御処理や制御部240内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAMやROM等から構成される。また、記憶部230は、管理端末100との通信内容を一時的に記憶している。
【0029】
制御部240は、記憶部230に記憶されているプログラムを実行することにより、事業者端末200の全体の動作を制御するものであり、CPUやGPU等から構成される。
【0030】
図4は、本発明の第1の実施形態による事業者データの詳細を説明する図である。
【0031】
図4に示す事業者データ1000は、事業者端末200を介して事業者から取得した、事業者に関連する各種データを格納する。図4において、説明の便宜上、一事業者(事業者ID「10001」で識別される事業者)の例を示すが、複数の事業者の情報を格納することができる。事業者に関連する各種データとして、例えば、事業者の基本情報(例えば、事業者の法人名、ユーザ名、事業所情報(例えば、事業所毎の住所情報等)、業種、連絡先、メールアドレス、事業所名、関連会社名、サプライチェーン上で関連する事業者名等)、カーボンクレジット情報(例えば、購入した製品(森林に関する製品を含む)から推定された森林量、推定森林量に基づいて算出された温室効果ガス排出量等)、及び購入情報(例えば、事業者が購入した製品(森林に関する製品を含む)、購入元事業者)を含むことができる。
【0032】
図5は、本発明の第1の実施形態による森林管理方法を説明するフローチャート図である。
【0033】
まず、ステップS101の前処理として、管理端末100の制御部130の情報取得部131は、事業者端末200から、ネットワークNWを介して、事業者により入力された、購入情報、カーボンクレジットに関する情報を受信する。購入情報として、製品(森林に関する情報を含む)に関する情報及び製品の購入元事業者に関する情報を含む。また、カーボンクレジットに関する情報として、製品情報から推定される森林量及び森林量及び排出原単位情報に基づいて算出された温室効果ガス排出量に関する情報を含む。情報取得部131が取得した情報は、記憶部120の事業者データ格納部121に事業者データとして格納される。
【0034】
続いて、ステップS101の処理として、管理端末100の制御部130の森林管理情報処理部132は、事業者端末200から受信した購入情報を参照し、情報取得部131は、購入元事業者の情報から推定または特定される森林に関する衛星画像データを事業者端末200または第三のソースから取得し、取得した衛星画像データを記憶部120の分析データ格納部122に格納する。
【0035】
続いて、ステップS102の処理として、制御部130の解析処理部133は、取得した衛星画像データを基に衛星画像の画像解析を行う。例えば、上記森林のもう乳元事業者が管理/運営する事業所に関連する森林の衛星画像を基に、図6に示すように、ピクセル毎に画像を解析し、色の特徴量を基に森林の種類を特定する。例えば、解析処理部133は、ピクセル単位で、色の特徴量を分析し、森林の面積を示す色の特徴量から森林の種類を特定する。また、解析処理部133は、特徴量として認識される森林の色により占められる面積及び画像分析によって取得可能な森林を構成する木々の高さを特定し、森林量を算出する。ここで、衛星画像データについては、周期的に画像を取得することで、森林量の時系列的な変化を推定することもできるため、購入情報から特定される購入時期の森林量を推定することもできる。
【0036】
続いて、ステップS103の処理として、制御部130の森林管理情報処理部132は、上記分析の結果得られた実際の森林量(または時系列の変化から推定された森林量)と、カーボンクレジットに関する情報として参照される推定森林量とを比較することで、カーボンクレジットの評価を行う。このように、上記実際の森林量等を特定することで、より精度の高い森林量に基づいた温室効果ガス排出量の算出を行うことができ、カーボンクレジットの適正な評価が可能となる。また、衛星画像データの分析により、森林量の減少リスクを評価することもでき、管理端末100は、このような減少リスクについて事業者端末200にアラートを送信することもできる。
【0037】
以上のように、本実施形態によれば、衛星画像を用いることで、事業者から取得される森林量に関する情報及びクレジットに関する情報が適正であるかを評価することができ、また、森林管理上のリスクを評価し、把握する方法を提供することができる。
【0038】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【0039】
例えば、上記実施形態においては、衛星画像を用いて森林量を評価する方法につて説明したが、衛星画像に変えて、ドローンによる撮影された画像、その他、光学、SAR/レーダー、LiDARなど、利用可能なデータを活用することもできる。
【符号の説明】
【0040】
100 管理端末
200 事業者端末





























図1
図2
図3
図4
図5
図6