(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146590
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】光学積層体及び画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20241004BHJP
H05B 33/14 20060101ALI20241004BHJP
H10K 50/86 20230101ALI20241004BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20241004BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20241004BHJP
C09J 4/02 20060101ALI20241004BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20241004BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G02B5/30
H05B33/14 Z
H10K50/86
H10K59/10
C09J7/38
C09J4/02
G09F9/00 313
H05B33/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059587
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004314
【氏名又は名称】弁理士法人青藍国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100222302
【弁理士】
【氏名又は名称】南原 克行
(72)【発明者】
【氏名】杉山 翔平
(72)【発明者】
【氏名】木村 智之
(72)【発明者】
【氏名】山本 悟士
【テーマコード(参考)】
2H149
3K107
4J004
4J040
5G435
【Fターム(参考)】
2H149AA02
2H149AA18
2H149AB11
2H149BA02
2H149CA02
2H149DA02
2H149EA02
2H149EA12
2H149EA22
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2H149FA66
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2H149FD35
3K107AA01
3K107AA05
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3K107FF15
4J004AA10
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4J040NA17
5G435AA01
5G435BB05
5G435BB12
5G435FF05
5G435KK07
(57)【要約】
【課題】光学積層体を用いて作製された画像表示装置において、狭い接触面積で小物体が画面に衝突したり画面を押圧したりした場合であっても、表示不良の抑制に適した光学積層体を提供する。
【解決手段】光学積層体10Aは、第一光学フィルム1、第一粘着シート2、第二光学フィルム3、及び第二粘着シート4がこの順に積層された構成を有する。第一粘着シート2の厚みT
1は、30μm以上1000μm以下である。加えて、第一粘着シートの破断伸度は、500%以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一光学フィルム、第一粘着シート、第二光学フィルム、及び第二粘着シートがこの順に積層された光学積層体であって、
前記第一粘着シートの厚みT1は、30μm以上1000μm以下であり、前記第一粘着シートの破断伸度は、500%以下である、光学積層体。
【請求項2】
前記第一粘着シートは、単量体群及び/又は前記単量体群の部分重合物を含む、光硬化型の粘着剤組成物(I)から形成されている、請求項1に記載の光学積層体。
【請求項3】
前記光硬化型の粘着剤組成物(I)は、架橋剤を含み、前記光硬化型の粘着剤組成物(I)における前記架橋剤の配合量は、前記単量体群及び前記部分重合物の合計100重量部に対して0.4重量部以上20重量部以下である、請求項2に記載の光学積層体。
【請求項4】
前記光学積層体の厚みTは、200μm以上である、請求項1に記載の光学積層体。
【請求項5】
前記第二光学フィルムは、複数の層を含み、
前記複数の層は、偏光子と、前記偏光子と前記第二粘着シートとの間に配置された少なくとも1つのフィルムとを含み、
前記少なくとも1つのフィルムの光弾性係数は、それぞれ4×10-11m2/N以下である、請求項1に記載の光学積層体。
【請求項6】
請求項1に記載の光学積層体を備えた、画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学積層体及び画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置及びエレクトロルミネセンス(EL)表示装置(例えば、有機EL表示装置、無機EL表示装置)に代表される画像表示装置が急速に普及している。これら各種の画像表示装置は、例えば、液晶セル、EL発光素子等の画像表示セルと、光学積層体と、の積層構造を有している。光学積層体は、位相差フィルム及び偏光フィルム等の光学フィルムと粘着シートとを備える。粘着シートは、主に、光学積層体に含まれるフィルム間の接合や、画像表示セルと光学積層体との接合に使用される。
【0003】
特許文献1は、光学フィルム用粘着剤組成物、及びこの組成物から得られた粘着剤層を少なくとも片方の面に設けた光学フィルムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像表示装置の使用時及び運搬時において、狭い接触面積で小物体が画面に衝突したり画面を押圧したりすることによって、画像表示装置に大きな負荷がかかることがある。光学積層体を用いて作製された画像表示装置に上記した負荷がかかると、光学積層体に含まれる光学フィルムに損傷が生じる場合がある。光学積層体の損傷は、画像表示装置の表示不良の原因になりうる。
【0006】
そこで、本発明は、光学積層体を用いて作製された画像表示装置において、狭い接触面積で小物体が画面に衝突したり画面を押圧したりした場合であっても、表示不良の抑制に適した光学積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
第一光学フィルム、第一粘着シート、第二光学フィルム、及び第二粘着シートがこの順に積層された光学積層体であって、
前記第一粘着シートの厚みT1は、30μm以上1000μm以下であり、前記第一粘着シートの破断伸度は、500%以下である、光学積層体を提供する。
【0008】
さらに本発明は、
上記の光学積層体を備えた、画像表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光学積層体を用いて作製された画像表示装置において、狭い接触面積で小物体が画面に衝突したり画面を押圧したりした場合であっても、表示不良の抑制に適した光学積層体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る光学積層体の一例を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、第一粘着シートの製造方法の一例を説明するための模式図である。
【
図3】
図3は、第一粘着シートの製造方法の別の一例を説明するための模式図である。
【
図4A】
図4Aは、第二光学フィルムの一例を模式的に示す断面図である。
【
図4B】
図4Bは、第二光学フィルムの別の一例を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る光学積層体の別の一例を模式的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る画像表示装置の一例を模式的に示す断面図である。
【
図7】
図7は、実施例1~4、6、及び比較例1~4に係る光学積層体を模式的に示す断面図である。
【
図8】
図8は、実施例5に係る光学積層体を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1態様に係る光学積層体は、
第一光学フィルム、第一粘着シート、第二光学フィルム、及び第二粘着シートがこの順に積層された光学積層体であって、
前記第一粘着シートの厚みT1は、30μm以上1000μm以下であり、前記第一粘着シートの破断伸度は、500%以下である。
【0012】
本発明の第2態様において、例えば、第1態様に係る光学積層体では、前記第一粘着シートは、単量体群及び/又は前記単量体群の部分重合物を含む、光硬化型の粘着剤組成物(I)から形成されている。
【0013】
本発明の第3態様において、例えば、第2態様に係る光学積層体では、前記光硬化型の粘着剤組成物(I)は、架橋剤を含み、前記光硬化型の粘着剤組成物(I)における前記架橋剤の配合量は、前記単量体群及び前記部分重合物の合計100重量部に対して0.4重量部以上20重量部以下である。
【0014】
本発明の第4態様において、例えば、第1~第3態様のいずれか1つに係る光学積層体では、前記光学積層体の厚みTは、200μm以上である。
【0015】
本発明の第5態様において、例えば、第1~第4態様のいずれか1つに係る光学積層体では、前記第二光学フィルムは、複数の層を含み、
前記複数の層は、偏光子と、前記偏光子と前記第二粘着シートとの間に配置された少なくとも1つのフィルムとを含み、
前記少なくとも1つのフィルムの光弾性係数は、それぞれ4×10-11m2/N以下である。
【0016】
本発明の第6態様に係る画像表示装置は、
第1~第5態様のいずれか1つに係る光学積層体を備える。
【0017】
以下に本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
【0018】
まず、本明細書で使用する用語の意味を説明する。「主面」は、フィルム又は層の最も広い面積を有する面を意味する。「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルを意味する。例えば、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートを意味する。「主成分」は、組成物において最も含有率の大きな成分を意味する。「実質的に含まない」は、化合物、ポリマー、又は溶媒等の物質の含有率が、例えば0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下、より好ましくは0.01重量%以下であることを意味する。「主たる単位」は、ポリマーが有する全構成単位のうち、50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上を占める単位を意味する。「長鎖アルキル基」は、炭素数6~30のアルキル基を意味する。「実質的に平行」は、2つの方向のなす角度が0°±7°であり、好ましくは0°±5°であり、さらに好ましくは0°±3°であることを意味する。「実質的に直交」は、2つの方向のなす角度が90°±7°であり、好ましくは90°±5°であり、さらに好ましくは90°±3°であることを意味する。
【0019】
[光学積層体の実施形態]
本実施形態に係る光学積層体は、第一光学フィルム、第一粘着シート、第二光学フィルム、及び第二粘着シートがこの順に積層されている。第一粘着シートの厚みT1は、30μm以上1000μm以下である。加えて、第一粘着シートの破断伸度は、500%以下である。
【0020】
図1は、本実施形態に係る光学積層体の一例を模式的に示す断面図である。光学積層体10Aは、第一光学フィルム1、第一粘着シート2、第二光学フィルム3、及び第二粘着シート4を備える。光学積層体10Aは、第一光学フィルム1、第一粘着シート2、第二光学フィルム3、及び第二粘着シート4がこの順に積層された構造を有する。
【0021】
第一光学フィルム1は、第一粘着シート2に接している。第一光学フィルム1は、第一粘着シート2の一方の主面に接して配置されている。
図1では、第一光学フィルム1は、第一粘着シートの一方の主面の全体に接している。ただし、第一粘着シート2の一方の主面の一部のみに第一光学フィルム1が接していてもよい。
【0022】
第一粘着シート2は、第二光学フィルム3上に形成されている。第一粘着シート2は、第二光学フィルム3の一方の主面に形成されている。
図1では、第一粘着シート2は、第二光学フィルム3の一方の主面の全体に形成されている。ただし、第二光学フィルム3の一方の主面の一部のみに第一粘着シート2が形成されていてもよい。
【0023】
第二粘着シート4は、第二光学フィルム3上に形成されている。詳細には、第二粘着シート4は、第二光学フィルム3の第一粘着シート2が形成されている主面とは反対側の主面に形成されている。
図1では、第二粘着シート4は、第二光学フィルム3の一方の主面の全体に形成されている。ただし、第二光学フィルム3の一方の主面の一部のみに第二粘着シート4が形成されていてもよい。
【0024】
(第一粘着シート)
上記したとおり、第一粘着シート2の厚みT1は、30μm以上1000μm以下であり、好ましくは40μm以上800μm以下であり、より好ましくは45μm以上700μm以下であり、さらに好ましくは50μm以上500μm以下であり、特に好ましくは80μm以上300μm以下である。第一粘着シート2の厚みT1が30μm以上1000μm以下であることによって、光学積層体10Aの厚み方向に強い圧力が加えられた場合でも、この圧力は分散されうる。このため、第二光学フィルム3にかかる応力が大きくなりにくく、第二光学フィルム3の損傷をより抑制できる。その結果、光学積層体10Aは、表示不良を抑制できる。
【0025】
上記したとおり、第一粘着シート2の破断伸度は、500%以下であり、好ましくは400%以下であり、より好ましくは350%以下であり、さらに好ましくは200%以下であり、特に好ましくは100%以下である。第一粘着シート2の破断伸度の下限値は、例えば、10%である。第一粘着シート2の破断伸度が500%以下であることによって、光学積層体10Aの厚み方向に強い圧力が加えられた場合でも、第一粘着シート2が変形しにくい。その結果、第二光学フィルム3の損傷をより抑制できる。
【0026】
第一粘着シート2は、光硬化型の粘着剤組成物(I)又は溶剤型の粘着剤組成物(II)から形成されている。光硬化型の粘着剤組成物(I)は、光が照射されることによって第一粘着シート2を形成する粘着剤組成物である。溶剤型の粘着剤組成物(II)は、例えば、ポリマーと溶媒とを含む粘着剤組成物である。以下、光硬化型の粘着剤組成物(I)及び溶剤型の粘着剤組成物(II)の詳細について述べる。
【0027】
(光硬化型の粘着剤組成物)
光硬化型の粘着剤組成物(I)は、例えば、単量体群及び/又は当該単量体群の部分重合物を含む。光硬化型の粘着剤組成物(I)における単量体群は、(メタ)アクリル系単量体を含むことが好ましい。光硬化型の粘着剤組成物(I)は、(メタ)アクリル系成分、すなわち(メタ)アクリル系単量体及びその重合物を主成分として含んでいてもよい。すなわち、光硬化型の粘着剤組成物(I)における、(メタ)アクリル系単量体及びその部分重合物、の含有率は、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、さらには80重量%以上であってもよい。この場合、(メタ)アクリル系重合体及びその架橋物を主成分とする(メタ)アクリル系の第一粘着シート2を形成できる。ただし、光硬化型の粘着剤組成物(I)は上記例に限定されない。
【0028】
(メタ)アクリル系単量体の例は、炭素数1~20のアルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。アルキル基の炭素数は、7以下、6以下、5以下、さらには4以下であってもよい。アルキル基は、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、n-へキシル(メタ)アクリレート、イソヘキシル(メタ)アクリレート、イソヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレート(ラウリル(メタ)アクリレート)、n-トリデシル(メタ)アクリレート、n-テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート及びオクタデシル(メタ)アクリレートである。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、n-ブチル(メタ)アクリレートであってもよい。
【0029】
単量体群100重量部のうち、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合量は、例えば40重量部以上であり、50重量部以上、60重量部以上、70重量部以上、80重量部以上、85重量部以上、90重量部以上、さらには95重量部以上であってもよい。なお、特定の単量体の配合量の計算にあたり、部分重合物の重量は、重合前の各単量体としての重量に換算する。
【0030】
単量体群は、カルボキシル基含有単量体を含んでいてもよい。カルボキシル基含有単量体は(メタ)アクリル系単量体であってもよく、換言すれば、(メタ)アクリル系単量体がカルボキシル基含有単量体を含んでいてもよい。カルボキシル基含有単量体の例は、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸及びクロトン酸である。単量体群100重量部のうち、カルボキシル基含有単量体の配合量は、例えば10重量部以下であり、9重量部以下、8重量部以下、7重量部以下、6重量部以下、5重量部以下、4.8重量部以下、4重量部以下、3重量部以下、2重量部以下、1重量部以下、さらには0.5重量部以下であってもよい。配合量の下限は、例えば0.1重量部以上であり、場合によっては、0.5重量部以上であってもよい。単量体群は、カルボキシル基含有単量体を含んでいなくてもよい。
【0031】
単量体群は、ヒドロキシ基含有単量体を含んでいてもよい。ヒドロキシ基含有単量体は(メタ)アクリル系単量体であってもよく、換言すれば、(メタ)アクリル系単量体がヒドロキシ基含有単量体を含んでいてもよい。ヒドロキシ基含有単量体は、粘着シートの凝集力向上に寄与しうる。ヒドロキシ基含有単量体の例は、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリル及び(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)-メチルアクリレートである。ヒドロキシ基含有単量体は、好ましくは、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルである。単量体群100重量部のうち、ヒドロキシ基含有単量体の配合量は、例えば20重量部以下であり、15重量部以下、10重量部以下、7.5重量部以下、5重量部以下、4重量部以下、3重量部以下、2重量部以下、1重量部以下、さらには0.5重量部以下であってもよい。配合量の下限は、例えば0.01重量部以上であり、0.03重量部以上、さらには0.05重量部以上であってもよい。単量体群は、ヒドロキシ基含有単量体を含んでいなくてもよい。
【0032】
単量体群は、エーテル基含有単量体を含んでいてもよい。エーテル基含有単量体は(メタ)アクリル系単量体であってもよく、換言すれば、(メタ)アクリル系単量体がエーテル基含有単量体を含んでいてもよい。エーテル基含有単量体は、第一光学フィルム1と第一粘着シート2との接着力の向上に寄与しうる。
【0033】
エーテル基含有単量体は、アルコキシ基含有単量体であることが好ましい。アルコキシ基含有単量体としては、例えば、以下の化学式(1)に示すアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。式(1)のR
1は、水素原子又はメチル基である。式(1)のR
2は、アルキル基である。アルキル基は、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。R
2は、好ましくは直鎖状のアルキル基である。R
2の例は、メチル基及びエチル基である。式(1)のnは、1~30の整数であり、好ましくは1~12の整数であり、より好ましくは1~5の整数である。
【化1】
【0034】
式(1)に示すアルキレンオキサイド付加物の例は、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートであり、好ましくは2-メトキシエチルアクリレート(MEA)である。
【0035】
エーテル基含有単量体は、上記のアルキレンオキサイド付加物に限定されない。エーテル基含有単量体は、環構造を有していてもよく、当該環構造がエーテル基を有していてもよい。エーテル基を有する環構造としては、テトラヒドロフラン環、ジオキサン環などが挙げられる。環構造を有するエーテル基含有単量体の例は、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート及びテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートである。
【0036】
単量体群100重量部のうち、エーテル基含有単量体の配合量は、例えば1重量部以上であり、5重量部以上、10重量部以上、20重量部以上、25重量部以上、30重量部以上、40重量部以上、50重量部以上、60重量部以上、70重量部以上、80重量部以上、さらには90重量部以上であってもよい。配合量の上限は、例えば99重量部以下であり、場合によっては50重量部以下であってもよい。単量体群は、エーテル基含有単量体を含んでいなくてもよい。
【0037】
光硬化型の粘着剤組成物(I)において、上述した各単量体は部分重合物として含まれていてもよい。部分重合物は、単一重合体及び共重合体のいずれであってもよい。部分重合物は、光硬化型の粘着剤組成物(I)の粘度を適度に増大させることで、後述する塗布層の安定した形成に寄与しうる。
【0038】
光硬化型の粘着剤組成物(I)は、通常、光重合開始剤を含有する。光重合開始剤の例は、波長450nmよりも短い波長の可視光及び/又は紫外線によりラジカルを発生する光ラジカル発生剤である。
【0039】
光重合開始剤の例は、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾインエーテル類;アニソールメチルエーテル等の置換ベンゾインエーテル;2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン等の置換アセトフェノン;1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン等のα-ヒドロキシアルキルフェノン;2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン等の置換アルファーケトール;2-ナフタレンスルホニルクロライド等の芳香族スルホニルクロライド;1-フェニル-1,1-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)-オキシム等の光活性オキシム;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、O-(アセチル)-N-(1-フェニル-2-オキソ-2-(4’-メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;並びにチタノセン系化合物である。光硬化型の粘着剤組成物(I)は、1種又は2種以上の光重合開始剤を含んでいてもよい。
【0040】
光硬化型の粘着剤組成物(I)における光重合開始剤の配合量は、単量体群及びその部分重合物の合計100重量部に対して、例えば0.02~10重量部であり、0.05~5重量部であってもよい。
【0041】
光硬化型の粘着剤組成物(I)は、架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤の例は、1分子中に2以上の重合性官能基を有する多官能単量体である。多官能単量体は(メタ)アクリル系単量体であってもよい。多官能単量体の例は、1分子中に2以上のC=C結合を有する単量体、及び1分子中に1以上のC=C結合と、1以上のエポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、ヒドラジン基、メチロール基等の重合性官能基とを有する単量体である。多官能単量体は、好ましくは、1分子中に2以上のC=C結合を有する単量体である。
【0042】
多官能単量体の例は、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2-エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート(NDDA)、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート(多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物等);アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレートである。多官能単量体は、好ましくは、多官能アクリレートであり、より好ましくは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートである。
【0043】
架橋剤は、上記の多官能単量体以外の他の架橋剤を含んでいてもよい。他の架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤が挙げられる。光硬化型の粘着剤組成物(I)は、架橋剤として、イソシアネート系架橋剤を含んでいてもよく、上記の多官能単量体及びイソシアネート系架橋剤の両方を含むことが好ましい。イソシアネート系架橋剤は、第一光学フィルム1と第一粘着シート2との接着力の向上に寄与しうる。
【0044】
イソシアネート系架橋剤としては、少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物(イソシアネート化合物)を用いることができる。イソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基の数は、3以上であることが好ましい。イソシアネート基の数の上限値は、特に限定されず、例えば5である。イソシアネート化合物としては、芳香族イソシアネート化合物、脂環族イソシアネート化合物、脂肪族イソシアネート化合物などが挙げられる。
【0045】
芳香族イソシアネート化合物としては、例えば、フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0046】
脂環族イソシアネート化合物としては、例えば、1,3-シクロペンテンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0047】
脂肪族イソシアネート化合物としては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0048】
イソシアネート系架橋剤としては、上記イソシアネート化合物の多量体(2量体、3量体、5量体など)、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールに付加して得られた付加物、ウレア変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、イソシアヌレート変性体、カルボジイミド変性体、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなどに付加して得られたウレタンプレポリマーなども挙げられる。
【0049】
イソシアネート系架橋剤は、好ましくは脂肪族イソシアネート化合物及び/又は脂肪族イソシアネート化合物の誘導体を含む。イソシアネート系架橋剤は、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)系架橋剤(PDI及びその誘導体)及びヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系架橋剤(HDI及びその誘導体)からなる群より選ばれる少なくとも1つであることが特に好ましい。PDI系架橋剤の具体例は、PDIのイソシアヌレート変性体などである。HDI系架橋剤の具体例は、HDIのイソシアヌレート変性体やビウレット変性体などである。
【0050】
光硬化型の粘着剤組成物(I)における架橋剤の配合量は、分子量や官能基数等により異なるが、単量体群及びその部分重合物の合計100重量部に対して、好ましくは0.4重量部以上20重量部以下であり、さらに好ましくは0.4重量部以上10重量部以下であり、さらに好ましくは0.5重量部以上5重量部以下である。光硬化型の粘着剤組成物(I)における架橋剤の配合量を適切に調節することによって、画像表示装置の表示不良をより抑制できる。加えて、光硬化型の粘着剤組成物(I)における架橋剤の配合量を適切に調節することによって、第一粘着シート2と第一光学フィルム1及び/又は第二光学フィルム3との接着力を向上させることができる。
【0051】
なお、光硬化型の粘着剤組成物(I)がイソシアネート系架橋剤を含む場合、イソシアネート系架橋剤の配合量は、単量体群及びその部分重合物の合計100重量部に対して、例えば0.02重量部以上であり、0.05重量部以上、0.1重量部以上、0.5重量部以上、さらには1重量部以上であってもよい。
【0052】
イソシアネート系架橋剤を添加した場合、特に高温環境下で、粘着シートが硬くなることがある。このような場合、粘着シートの応力緩和性が損なわれるため、光学フィルムの膨張や収縮応力が粘着シートと被着体との界面に伝わりやすくなり、剥がれが生じやすい傾向がある。イソシアネート系架橋剤の添加以外の手段で、粘着シートと光学フィルム間の接着力を確保できる場合、光硬化型の粘着剤組成物(I)は、イソシアネート系架橋剤を含まないことが望ましい。
【0053】
光硬化型の粘着剤組成物(I)は、上述した以外の添加剤を含んでいてもよい。添加剤の例は、連鎖移動剤、シランカップリング剤、粘度調整剤、粘着性付与剤、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、充填剤、着色剤、酸化防止剤、界面活性剤、帯電防止剤及び紫外線吸収剤である。
【0054】
光硬化型の粘着剤組成物(I)における溶剤の含有率は、例えば5重量%以下であり、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、さらには0.5重量%以下であってもよい。光硬化型の粘着剤組成物(I)は、溶剤を実質的に含まなくてもよい。
【0055】
光硬化型の粘着剤組成物(I)の粘度は、好ましくは、5~150ポイズである。上記範囲の粘度を有する光硬化型の粘着剤組成物(I)は、後述する塗布層の形成に特に適している。
【0056】
第一粘着シート2における単量体群の重合率は、好ましくは90%以上である。重合率は、95%以上、98%以上、さらには99%以上であってもよい。
【0057】
第一粘着シート2のゲル分率は、例えば50%以上であり、75%以上、80%以上、さらには85%以上であってもよい。
【0058】
[第一粘着シートの製造方法]
第一粘着シート2が光硬化型の粘着剤組成物(I)から形成される場合、第一粘着シート2は、例えば、次の方法によって製造できる。
図2は、第一粘着シートの製造方法の一例を説明するための模式図である。
図2(a)に示すように、基材シート21、光硬化型の粘着剤組成物(I)を含む塗布層22、及びはく離ライナー23をこの順に含む第一の積層体15を作製する。次に、第一の積層体15に光14を照射する。このとき、光14は、基材シート21を透過して塗布層22に到達し、塗布層22を硬化させる。第一の積層体15に対する光14の照射は、典型的には、基材シート21の側から実施する。ただし、光14の照射は、はく離ライナー23の側から実施してもよい。これにより、
図2(b)に示すように、塗布層22から第一粘着シート2が形成される。すなわち、基材シート21、第一粘着シート2、及びはく離ライナー23をこの順に含む第二の積層体16が得られる。
【0059】
第一粘着シート2が光硬化型の粘着剤組成物(I)から形成される場合、第一粘着シート2は、例えば、別の方法によっても製造できる。
図3は、第一粘着シートの製造方法の別の一例を説明するための模式図である。
図3(a)に示すように、基材シート21、光硬化型の粘着剤組成物(I)を含む塗布層22、及びはく離ライナー23をこの順に含む第一の積層体15を作製する。次に、第一の積層体15に光14を照射する。
図3(a)に示すように、光14の照射は、はく離ライナー23及び基材シート21の双方の側から実施する。これにより、
図3(b)に示すように、塗布層22から第一粘着シート2が形成される。すなわち、基材シート21、第一粘着シート2、及びはく離ライナー23をこの順に含む第二の積層体16が得られる。
【0060】
塗布層22から形成された第一粘着シート2は、はく離ライナー23が剥離されるまでは、基材シート21及びはく離ライナー23によって挟持されて、第二の積層体16の一部を構成していてもよい。
【0061】
はく離ライナー23の基材(以下、「ライナー基材」)の例は、樹脂フィルムである。ライナー基材に含まれうる樹脂の例は、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル、アセテート樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、(メタ)アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリアリレート、並びにポリフェニレンサルファイドである。樹脂は、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルである。
【0062】
はく離ライナー23は、光14の透過性を有していてもよく、基材シート21と同程度の光14の透過性を有していてもよい。
【0063】
はく離ライナー23の厚さは、例えば10~200μmであり、25~150μmであってもよい。
【0064】
はく離ライナー23は、ライナー基材以外の層を備えていてもよい。はく離ライナー23は、離型層を備えていてもよい。はく離ライナー23は、例えば、ライナー基材と、ライナー基材の一方の面に形成された離型層とを備える。このはく離ライナー23は、離型層が塗布層22の側となるように使用できる。
【0065】
離型層は、典型的には、離型剤を含む離型剤組成物の硬化層である。離型剤には、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、長鎖アルキル系離型剤、脂肪酸アミド系離型剤、シリカ粉等の種々の離型剤を使用できる。はく離ライナー23は、シリコーン系離型剤を主成分として含む離型剤組成物の硬化層(以下「シリコーン離型層」)を備えていてもよい。シリコーン離型層は、第一粘着シート2に対する密着性及び剥離性の両立に特に適している。
【0066】
シリコーン系離型剤は、例えば、付加反応型、縮合反応型、紫外線硬化型、電子線硬化型、無溶媒型等の各種の硬化型シリコーン材料であり、付加反応硬化型シリコーン材料が好ましい。付加反応硬化型シリコーン材料は、第一粘着シート2に対する密着性及び剥離性の両立した離型層の形成に特に適している。硬化型シリコーン材料は、ウレタン、エポキシ、アルキッド樹脂等の有機樹脂にグラフト重合等により反応性シリコーンを導入したシリコーン変性樹脂であってもよい。
【0067】
付加反応硬化型シリコーン材料の例は、ビニル基又はアルケニル基を分子内に有するポリオルガノシロキサンである。付加反応硬化型シリコーン材料は、ヒドロシリル基を有さなくてもよい。アルケニル基の例は、3-ブテニル基、4-ペンテニル基、5-ヘキセニル基、6-ヘプテニル基、7-オクテニル基、8-ノネニル基、9-デセニル基、10-ウンデセニル基、及び11-ドデセニル基である。ポリオルガノシロキサンの例は、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン及びポリメチルエチルシロキサン等のポリアルキルアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、並びにポリ(ジメチルシロキサン-ジエチルシロキサン)等の複数種のSi原子含有モノマーの共重合体である。ポリオルガノシロキサンは、好ましくはポリジメチルシロキサンである。
【0068】
シリコーン系離型剤を主成分として含む離型剤組成物(以下「シリコーン離型剤組成物」)は、通常、架橋剤を含む。架橋剤の例は、ヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサンである。架橋剤は、一分子中に2以上のヒドロシリル基を有していてもよい。
【0069】
シリコーン離型剤組成物は、硬化触媒を含んでいてもよい。硬化触媒の例は、白金系触媒である。白金系触媒の例は、塩化白金酸、白金のオレフィン錯体、塩化白金酸のオレフィン錯体である。白金系触媒の使用量は、組成物の全固形分に対して、例えば10~1000ppm(重量基準、白金換算)である。
【0070】
シリコーン離型剤組成物は、添加剤を含んでいてもよい。添加剤の例は、剥離コントロール剤及び密着性向上剤である。剥離コントロール剤の例は未反応性のシリコーン樹脂であり、より具体的な例は、オクタメチルシクロテトラシロキサン等のオルガノシロキサン、及びMQレジンである。剥離コントロール剤及び密着性向上剤の使用量は、組成物の全固形分に対して合計で、例えば1~30重量%である。添加剤のさらなる例は、充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤及び着色剤である。さらなる添加剤の使用量は、組成物の全固形分に対して合計で、例えば10重量%以下である。
【0071】
シリコーン離型剤組成物は、有機溶媒を含んでいてもよい。有機溶媒の例は、シクロヘキサン、n-ヘキサン、n-ヘプタン等の炭化水素系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒である。2種以上の有機溶媒が含まれていてもよい。有機溶媒の使用量は、好ましくは、シリコーン離型剤組成物の80~99.9重量%である。
【0072】
離型層は、例えば、ライナー基材上に形成した離型剤組成物を含む塗布膜を加熱及び乾燥して形成できる。離型剤組成物の塗布には、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコート等の各種の塗布方法を適用できる。加熱及び乾燥には、例えば熱風乾燥を適用できる。加熱温度及び時間は、ライナー基材の耐熱性により異なるが、通常、80~150℃及び10秒~10分程度である。必要に応じて、紫外線等の活性エネルギー線の照射を併用してもよい。
【0073】
離型層の厚さは、例えば10~300nmである。厚さの上限は、200nm以下、150nm以下、120nm以下、110nm以下、100nm以下、100nm未満、90nm以下、80nm以下、70nm以下、70nm未満、さらには65nm以下であってもよい。厚さの下限は、15nm以上、20nm以上、25nm以上、30nm以上、35nm以上、40nm以上、45nm以上、さらには50nm以上であってもよい。
【0074】
はく離ライナー23は、枚葉状であっても長尺状であってもよい。
【0075】
基材シート21の例は、樹脂フィルムである。基材シート21に含まれる樹脂の例は、ライナー基材に含まれうる樹脂の例と同じである。
【0076】
基材シート21は、光14の透過性に優れることが好ましい。
【0077】
基材シート21の厚さは、例えば10~200μmであり、25~150μmであってもよい。
【0078】
基材シート21は、塗布層22の側の面に離型層を備えていてもよい。基材シート21が備えうる離型層及びその製法の例は、はく離ライナー23が備えうる離型層及びその製法の例と同じである。はく離ライナー23及び基材シート21の双方が離型層を備えていてもよい。この場合、双方の離型層は、同じ離型剤を主成分として含む離型剤組成物から形成されていてもよい。また、双方の離型層の厚さは異なっていてもよく、例えば、基材シート21が備える離型層の方が厚くてもよい。
【0079】
基材シート21には、通常、第一粘着シート2との剥離力がはく離ライナー23に比べて大きなシートを選択できる。
【0080】
基材シート21は、枚葉状であっても長尺状であってもよい。
【0081】
第一の積層体15は、例えば、基材シート21(又ははく離ライナー23)の上に塗布層22を形成し、形成した塗布層22の上にはく離ライナー23(又は基材シート21)を配置して形成できる。また、互いの主面が向き合うように所定の間隔に保持された基材シート21及びはく離ライナー23の間の空間に、光硬化型の粘着剤組成物(I)を流しこむように塗布して第一の積層体15を形成してもよい。
【0082】
塗布層22の形成には、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコート等の各種の塗布方法を適用できる。
【0083】
塗布層22の厚さは、目的とする第一粘着シート2の厚さに応じて調整でき、例えば5~500μmであり、5~250μm、5~150μm、5~100μm、5~50μm、5~30μm、5~25μm、さらには5~20μmであってもよい。
【0084】
第一の積層体15に照射する光14は、例えば、波長450nmよりも短い波長を有する可視光又は紫外線である。光14は、光硬化型の粘着剤組成物が含む光重合開始剤の吸収波長と同じ領域の波長の光を含んでいてもよい。波長300nm以下の短波長光をフィルター等でカットした光14を照射してもよく、短波長光をカットすることは、光14による基材シート21の劣化の抑制に適している。光14の光源は、例えば紫外線照射ランプを備える光照射装置である。紫外線照射ランプの例は、紫外光LED、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、マイクロウエーブ励起水銀灯、ブラックライトランプ、ケミカルランプ、殺菌ランプ、低圧放電水銀ランプ、エキシマレーザーである。2以上の紫外線照射ランプが組み合わされていてもよい。
【0085】
光14の照射は、連続的であっても断続的であってもよい。
【0086】
光14の照度は、例えば1~20mW/cm2である。光14の照射時間は、例えば5分~5時間である。第一の積層体15に対する光14の積算光量は、例えば100~5000mJ/cm2である。
【0087】
(溶剤型の粘着剤組成物)
上記したとおり、溶剤型の粘着剤組成物(II)は、例えば、ポリマーと溶媒とを含む粘着剤組成物である。溶剤型の粘着剤組成物(II)から第一粘着シート2が形成される場合、第一粘着シート2を構成する粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ポリエーテル系粘着剤等が挙げられる。なお、第一粘着シート2を構成する粘着剤は、単独又は2種以上を組み合わせて用いられる。ただし、透明性、加工性、耐久性、密着性等の点から、(メタ)アクリル系ポリマーを含有するアクリル系粘着剤(組成物)を単独で用いることが好ましい。言い換えると、第一粘着シート2は、ポリマーとして(メタ)アクリル系ポリマーを含むことが好ましい。
【0088】
[(メタ)アクリル系ポリマー(A)]
(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、炭素数1~30のアルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリル系単量体(A1)に由来する構成単位を主たる単位として有することが好ましい。アルキル基は、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、(メタ)アクリル系単量体(A1)に由来する構成単位を1種又は2種以上有していてもよい。(メタ)アクリル系単量体(A1)の例は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、n-へキシル(メタ)アクリレート、イソヘキシル(メタ)アクリレート、イソヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレート(ラウリル(メタ)アクリレート)、n-トリデシル(メタ)アクリレート及びn-テトラデシル(メタ)アクリレートである。
【0089】
(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、長鎖アルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリル系単量体(A1)に由来する構成単位を有していてもよい。当該単量体(A1)の例は、n-ドデシル(メタ)アクリレート(ラウリル(メタ)アクリレート)である。
【0090】
(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、ホモポリマーとしたときにガラス転移温度(Tg)が-70~-20℃の範囲にある(メタ)アクリル系単量体(A1)に由来する構成単位を有していてもよい。当該単量体(A1)の例は、n-ブチルアクリレートである。
【0091】
(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、(メタ)アクリル系単量体(A1)に由来する構成単位以外の構成単位を有していてもよい。当該構成単位は、(メタ)アクリル系単量体(A1)と共重合可能な単量体(A2)に由来する。(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、当該構成単位を1種又は2種以上有していてもよい。
【0092】
単量体(A2)の例は、芳香環含有単量体である。芳香環含有単量体は、芳香環含有(メタ)アクリル系単量体であってもよい。芳香環含有単量体の例は、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル化β-ナフトール(メタ)アクリレート及びビフェニル(メタ)アクリレートである。(メタ)アクリル系ポリマー(A)における芳香環含有単量体に由来する構成単位の含有率は、例えば0~50重量%であり、1~30重量%、5~25重量%、8~20重量%、10~18重量%、12~16重量%、更には12~16重量%であってもよい。芳香環含有単量体に由来する構成単位を(メタ)アクリル系ポリマー(A)が有することは、(メタ)アクリル系ポリマー(A)と、架橋剤(B)及びその自己重合体との相溶性の向上に寄与しうる。
【0093】
単量体(A2)の別の例は、水酸基含有単量体である。水酸基含有単量体は、水酸基含有(メタ)アクリル系単量体であってもよい。水酸基含有単量体の例は、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート及び12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、並びに(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)-メチルアクリレートである。なお、水酸基は、各種の架橋剤と反応しうる。形成する架橋構造の均一性を高める観点からは、(メタ)アクリル系ポリマー(A)における水酸基含有単量体に由来する構成単位の含有率は、1重量%以下であってもよく、0.5重量%以下、更には0.1重量%以下であってもよく、0重量%であっても(当該構成単位を含まなくても)よい。
【0094】
単量体(A2)は、カルボキシル基含有単量体、アミノ基含有単量体、アミド基含有単量体であってもよい。カルボキシル基含有単量体の例は、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸及びクロトン酸である。アミノ基含有単量体の例は、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びN,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートである。アミド基含有単量体の例は、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチロール-N-プロパン(メタ)アクリルアミド、アミノメチル(メタ)アクリルアミド、アミノエチル(メタ)アクリルアミド、メルカプトメチル(メタ)アクリルアミド及びメルカプトエチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド系単量体;N-(メタ)アクリロイルモルホリン、N-(メタ)アクリロイルピペリジン及びN-(メタ)アクリロイルピロリジン等のN-アクリロイル複素環単量体;並びにN-ビニルピロリドン及びN-ビニル-ε-カプロラクタム等のN-ビニル基含有ラクタム系単量体である。
【0095】
単量体(A2)は、多官能性単量体であってもよい。多官能性単量体の例は、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート(1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート)、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート及びウレタンアクリレート等の多官能アクリレート;並びにジビニルベンゼンである。多官能アクリレートは、好ましくは1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートである。
【0096】
(メタ)アクリル系ポリマー(A)におけるカルボキシル基含有単量体、アミノ基含有単量体、アミド基含有単量体及び多官能性単量体に由来する構成単位の含有率の合計は、好ましくは20重量%以下であり、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは8重量%以下である。(メタ)アクリル系ポリマー(A)が当該構成単位を有する場合、含有率の合計は、例えば0.01重量%以上であり、0.05重量%以上であってもよい。(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、多官能性単量体に由来する構成単位を含まなくてもよい。カルボキシル基含有単量体、特にアクリル酸、に由来する構成単位、及び/又は、アミド基含有単量体に由来する構成単位を(メタ)アクリル系ポリマー(A)が有することで、例えば、架橋剤(B)の自己重合性を高めることができる。架橋剤(B)の自己重合性の向上は、特に、加湿環境下における粘着シートの剥がれの抑制や、架橋剤(B)の含有率が高い系における粘着シートの物性の安定化に寄与しうる。
【0097】
その他の単量体(A2)の例は、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸3-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-メトキシブチル及び(メタ)アクリル酸4-エトキシブチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸グリシジル及び(メタ)アクリル酸メチルグリシジル等のエポキシ基含有単量体;ビニルスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸基含有単量体;リン酸基含有単量体;(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル及び(メタ)アクリル酸イソボルニル等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;スチレン及びビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン及びイソブチレン等のオレフィン類、又はジエン類;ビニルアルキルエーテル等のビニルエーテル類;並びに塩化ビニルである。
【0098】
(メタ)アクリル系ポリマー(A)における上記その他の単量体(A2)に由来する構成単位の含有率の合計は、例えば30重量%以下であり、10重量%以下であってもよく、0重量%である(当該構成単位を含まない)ことが好ましい。
【0099】
(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、上述した1種又は2種以上の単量体を公知の方法により重合して形成できる。単量体と、単量体の部分重合物とを重合してもよい。重合は、例えば、溶液重合、乳化重合、塊状重合、熱重合、活性エネルギー線重合により実施できる。光学的透明性に優れる粘着シートを形成できることから、溶液重合、活性エネルギー線重合が好ましい。重合は、単量体及び/又は部分重合物と酸素との接触を避けて実施することが好ましく、このために、例えば、窒素等の不活性ガス雰囲気下における重合、あるいは樹脂フィルム等により酸素を遮断した状態での重合を採用できる。形成する(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれの態様であってもよい。
【0100】
(メタ)アクリル系ポリマー(A)を形成する重合系は、1種又は2種以上の重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤の種類は、重合反応により選択でき、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤であってもよい。
【0101】
溶液重合に使用する溶媒は、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類である。ただし、溶媒は上記例に限定されない。溶媒は、2種以上の溶媒の混合溶媒であってもよい。
【0102】
溶液重合に使用する重合開始剤は、例えば、アゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤、レドックス系重合開始剤である。過酸化物系重合開始剤は、例えば、ジベンゾイルペルオキシド、t-ブチルペルマレエートである。なかでも、特開2002-69411号公報に開示のアゾ系重合開始剤が好ましい。当該アゾ系重合開始剤は、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4’-アゾビス-4-シアノバレリアン酸である。ただし、重合開始剤は上記例に限定されない。アゾ系重合開始剤の使用量は、例えば、単量体の全量100重量部に対して0.05~0.5重量部であり、0.1~0.3重量部であってもよい。
【0103】
活性エネルギー線重合に使用する活性エネルギー線は、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線等の電離性放射線、及び紫外線である。活性エネルギー線は、紫外線が好ましい。紫外線の照射による重合は、光重合とも称される。活性エネルギー線重合の重合系は、典型的には、光重合開始剤を含む。活性エネルギー重合の重合条件は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)が形成される限り、限定されない。
【0104】
光重合開始剤は、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α-ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤である。ただし、光重合開始剤は上記例に限定されない。
【0105】
ベンゾインエーテル系光重合開始剤は、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、アニソールメチルエーテルである。アセトフェノン系光重合開始剤は、例えば、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-(t-ブチル)ジクロロアセトフェノンである。α-ケトール系光重合開始剤は、例えば、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエチル)フェニル]-2-メチルプロパン-1-オンである。芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤は、例えば、2-ナフタレンスルホニルクロライドである。光活性オキシム系光重合開始剤は、例えば、1-フェニル-1,1-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)-オキシムである。ベンゾイン系光重合開始剤は、例えば、ベンゾインである。ベンジル系光重合開始剤は、例えば、ベンジルである。ベンゾフェノン系光重合開始剤は、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである。ケタール系光重合開始剤は、例えば、ベンジルジメチルケタールである。チオキサントン系光重合開始剤は、例えば、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンである。
【0106】
光重合開始剤の使用量は、例えば、単量体の全量100重量部に対して0.01~1重量部であり、0.05~0.5重量部であってもよい。
【0107】
(メタ)アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)は、例えば、100万~280万であり、粘着シートの耐久性及び耐熱性の観点からは、120万以上、更には140万以上であってもよい。本明細書におけるポリマー及びオリゴマーの重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)の測定に基づく値(ポリスチレン換算)である。
【0108】
粘着剤組成物(II)における(メタ)アクリル系ポリマー(A)の含有率は、固形分比で、例えば50重量%以上であり、60重量%以上、70重量%以上、更には80重量%以上であってもよい。含有率の上限は、例えば99重量%以下であり、97重量%以下、95重量%以下、93重量%以下、更には90重量%以下であってもよい。
【0109】
[架橋剤(B)]
架橋剤(B)は、典型的には、1分子あたり2以上の架橋反応基を有する多官能性架橋剤である。架橋剤(B)は、1分子あたり3以上の架橋反応基を有する3官能以上の架橋剤であってもよい。3官能以上の架橋剤(B)は、自己重合体を形成しやすい。1分子あたりの架橋反応基の数の上限は、例えば5である。
【0110】
架橋剤(B)は、例えば、イソシアネート系架橋剤である。イソシアネート系架橋剤は、架橋反応基としてイソシアネート基を含む。イソシアネート系の架橋剤(B)は、芳香族イソシアネート化合物、脂環族イソシアネート化合物、脂肪族イソシアネート化合物であってもよい。
【0111】
架橋剤(B)に使用しうる芳香族イソシアネート化合物の例は、フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート及び1,5-ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートである。
【0112】
架橋剤(B)に使用しうる脂環族イソシアネート化合物の例は、1,3-シクロペンテンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート及び水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネートである。
【0113】
架橋剤(B)に使用しうる脂肪族イソシアネート化合物の例は、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートである。
【0114】
架橋剤(B)は、上記イソシアネート化合物の誘導体であってもよい。誘導体の例は、多量体(2量体、3量体、5量体等)、トリメチロールプロパン等の多価アルコールに付加して得た付加物(アダクト体)、ウレア変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、イソシアヌレート変性体、カルボジイミド変性体、並びにポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等に付加して得たウレタンプレポリマーである。
【0115】
架橋剤(B)は、好ましくは芳香族イソシアネート化合物及びその誘導体であり、より好ましくは、トリレンジイソシアネート及びその誘導体(換言すれば、トリレンジイソシアネート系(TDI系)架橋剤)である。TDI系架橋剤は、キシリレンジイソシアネート及びその誘導体(換言すれば、キシリレンジイソシアネート系(XDI系)架橋剤)に比べて反応の均一性に優れる。TDI系架橋剤の例は、トリレンジイソシアネートと多官能アルコールとの付加物であり、より具体的な例は、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物である。
【0116】
架橋剤(B)には市販品を使用できる。市販品の例は、ミリオネートMT、ミリオネートMTL、ミリオネートMR-200、ミリオネートMR-400、コロネートL、コロネートHL及びコロネートHX(以上、東ソー製:いずれも商品名)、並びにタケネートD-102、タケネートD-103、タケネートD-110N、タケネートD-120N、タケネートD-140N、タケネートD-160N、タケネートD-165N、タケネートD-170HN、タケネートD-178N、タケネート500及びタケネート600(以上、三井化学製;いずれも商品名)である。架橋剤(B)には、コロネートL、タケネートD-102及びタケネートD-103(いずれもトリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物)を好ましく使用できる。
【0117】
粘着剤組成物(I)における架橋剤(B)の配合量は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、5重量部以上であり、6重量部以上、7重量部以上、8重量部以上、9重量部以上、10重量部以上、10重量部超、更には11重量部以上であってもよい。配合量の上限は、例えば30重量部以下であり、28重量部以下、25重量部以下、23重量部以下、20重量部以下、19重量部以下、18重量部以下、更には15重量部以下であってもよい。
【0118】
粘着剤組成物(I)は、1種又は2種以上の架橋剤(B)を含んでいてもよい。
【0119】
粘着剤組成物(II)から形成された粘着シートは、(メタ)アクリル系ポリマー(A)の架橋物と、架橋剤(B)の自己重合体との相互侵入網目(IPN)構造を有していてもよい。IPN構造は、粘着シートの耐久性の向上に適している。
【0120】
架橋剤(B)の他の例は、過酸化物系架橋剤、エポキシ系架橋剤、イミン系架橋剤及び多官能性金属キレートである。ただし、架橋剤(B)は、好ましくはイソシアネート系である。イソシアネート系以外の架橋剤(B)を粘着剤組成物(II)が含む場合、その配合量の合計は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、0.1~5重量部が好ましく、0.1~3重量部、0.1~2重量部及び0.1~1重量部の順に、より好ましい。粘着剤組成物(II)は、イソシアネート系以外の架橋剤(B)、例えばエポキシ系架橋剤、を含まなくてもよい。
【0121】
[添加剤]
粘着剤組成物(II)は、その他の添加剤を含んでいてもよい。添加剤の例は、シランカップリング剤、多官能アルコール、顔料及び染料等の着色剤、界面活性剤、可塑剤、粘着性付与剤、表面潤滑剤、レベリング剤、リワーク向上剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、帯電防止剤(イオン性化合物であるアルカリ金属塩、イオン液体、イオン固体等)、無機充填材、有機充填材、金属粉等の粉体、粒子、箔状物である。添加剤は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、例えば10重量部以下、好ましくは5重量部以下、より好ましくは1.5重量部以下の範囲で配合できる。
【0122】
シランカップリング剤の例は、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン及び2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤;3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン及びN-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン及び3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤;並びに3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基含有シランカップリング剤である。
【0123】
粘着剤組成物(II)がシランカップリング剤を含む場合、その配合量は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、例えば5重量部以下であり、3重量部以下、1重量部以下、0.5重量部以下、0.2重量部以下、0.1重量部以下、さらには0.05重量部以下であってもよい。粘着剤組成物(I)は、シランカップリング剤を含まなくてもよい。
【0124】
粘着剤組成物(II)は、多官能アルコールを含んでいてもよい。多官能アルコールの分子量は、例えば240以下であり、230以下、220以下、210以下、200以下、190以下、180以下、170以下、160以下、さらには150以下であってもよい。分子量の下限は、例えば60以上であり、80以上、90以上、さらには100以上であってもよい。
【0125】
多官能アルコールの例は、エチレングリコール及びプロピレングリコール等のアルキレングリコール及びその重合体;ジエチレングリコール等のエーテルグリコール及びその重合体;トリメチロールエタン;トリメチロールプロパン;グリセリン;並びにペンタエリスリトール及びソルビトール等の糖アルコールである。多官能アルコールは、好ましくはトリメチロールプロパン、グリセリン、並びにジエチレングリコール及びその重合体であり、より好ましくはトリメチロールプロパンである。
【0126】
多官能アルコールは3官能以上であってもよい。3官能の多官能アルコールの例は、トリメチロールプロパン及びグリセリンである。
【0127】
多官能アルコールは、水酸基以外に、架橋剤(B)との反応性を有する反応基を有さなくてもよい。当該反応基は、例えば、アミノ基、カルボキシル基及びエポキシ基から選ばれる少なくとも1種であり、特にアミノ基、である。
【0128】
粘着剤組成物(II)における多官能アルコールの配合量は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、例えば、0.5重量部以上20重量部以下である。配合量の上限は、15重量部以下、10重量部以下、8重量部以下、5重量部以下、4重量部以下、さらには3重量部以下であってもよい。
【0129】
粘着剤組成物(II)は、触媒等の架橋促進剤を含まなくてもよい。架橋促進剤の一例は、架橋剤(B)との反応性を有する反応基を有するポリエーテル、ポリエーテルポリオール、リン酸エステルである。反応基は、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基及びエポキシ基から選ばれる少なくとも1種であり、特に水酸基又はアミノ基、である。粘着剤組成物(II)は、アミノ基を有するポリエーテルポリオールを含まなくてもよく、水酸基を有するリン酸エステルを含まなくてもよい。溶媒型粘着剤(II)は、紫外線硬化剤等の光硬化剤を含まなくてもよい。
【0130】
[第一粘着シートの製造方法]
第一粘着シート2が溶剤型の粘着剤組成物(II)から形成される場合、第一粘着シート2は、例えば、(メタ)アクリル系ポリマー(A)の架橋物を含む。第一粘着シート2は、溶剤型の粘着剤組成物(II)から、以下の方法によって形成できる。
【0131】
第一粘着シート2の製造方法は、例えば、(メタ)アクリル系ポリマー(A)及び架橋剤を含む溶剤型の粘着剤組成物(II)を基材に塗布し、塗布膜を形成することと、得られた塗布膜を乾燥することと、を含む。
【0132】
基材としては、例えば、離型フィルムを用いることができる。離型フィルムに形成された第一粘着シート2は、例えば、光学フィルムなどに転写できる。基材は、第一光学フィルム1又は第二光学フィルム3であってもよい。この場合、第一粘着シート2を第一光学フィルム1又は第二光学フィルム3に形成でき、第一粘着シート付き光学フィルムを得ることができる。
【0133】
離型フィルムは、第一粘着シート2を第一光学フィルム1又は第二光学フィルム3に転写した後において、第一粘着シート2が実用に供されるまでセパレータとして用いることができ、工程面における簡略化ができる。
【0134】
離型フィルムの構成材料としては、例えば、プラスチックフィルム、紙、布、不織布などの多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、及びこれらのラミネート体などの適宜な薄葉体などをあげることができるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
【0135】
プラスチックフィルムとしては、特に限定されず、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルムなどが挙げられる。
【0136】
離型フィルムの厚みは、通常5~200μm、好ましくは5~100μm程度である。離型フィルムには、例えば、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系などの離型処理が施されている。離型フィルムには、脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型及び防汚処理、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理が施されていてもよい。
【0137】
基材には、溶剤型の粘着剤組成物(II)を含む溶液(粘着剤溶液)を塗布してもよい。粘着剤溶液の固形分濃度は、例えば5~50重量%であり、好ましくは10~40重量%である。なお、粘着剤溶液は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)の重合形態に応じて、重合溶剤と同じ溶媒又は異なる溶媒を溶剤型の粘着剤組成物(II)に適宜添加することによって調製できる。
【0138】
溶剤型の粘着剤組成物(II)を基材に塗布する方法としては、各種方法が用いられ、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーターなどによる押出しコート法などの方法が挙げられる。溶剤型の粘着剤組成物(II)の塗布量は、目的とする第一粘着シート2の厚さに応じて適宜調節できる。
【0139】
塗布膜を乾燥させることによって塗布膜が硬化し、第一粘着シート2が形成される。塗布膜の乾燥温度は、例えば130℃以下であり、好ましくは125℃以下であり、より好ましくは120℃以下であり、さらに好ましくは110℃以下であり、特に好ましくは100℃以下である。塗布膜の乾燥温度は、60℃以上であってもよく、80℃以上であってもよい。乾燥温度が60℃以上である場合、例えば、イソシアネート系架橋剤の反応がスムーズに進行し、第一粘着シート2の凝集力を向上させることができ、画像表示装置の表示ムラを低減できる傾向がある。乾燥温度が130℃以下である場合、例えば、イソシアネート系架橋剤の反応速度を適切に調整でき、透明性を確保できる傾向がある。
【0140】
塗布膜の乾燥時間は、溶剤型の粘着剤組成物(II)の組成に応じて適宜調節でき、好ましくは30秒~300秒、さらに好ましくは40秒~240秒、特に好ましくは60秒~180秒である。
【0141】
上記したとおり、第一粘着シート2は、光硬化型の粘着剤組成物(I)又は溶剤型の粘着剤組成物(II)から形成されている。言い換えると、第一粘着シート2は、光硬化型の粘着剤組成物(I)の硬化物又は溶剤型の粘着剤組成物(II)の硬化物である。第一粘着シート2は、好ましくは光硬化型の粘着剤組成物(I)から形成されている。すなわち、第一粘着シート2は、単量体群及び/又は前記単量体群の部分重合物を含む、光硬化型の粘着剤組成物(I)から形成されていることが好ましい。光硬化型の粘着剤組成物(I)から形成された第一粘着シート2は、その表面の平滑性に優れている傾向がある。第一粘着シート2が平滑であることによって、第一粘着シート2と第一光学フィルム1及び/又は第二光学フィルム3との密着性を向上させることができる。加えて、平滑な第一粘着シート2によれば、色ムラなどの外観不良の発生を抑制できる傾向がある。すなわち、光硬化型の粘着剤組成物(I)から形成された第一粘着シート2を使用することによって、画像表示装置は、狭い接触面積で小物体が画面に衝突したり画面を押圧したりした場合であっても、表示不良の抑制に適するという効果に加え、色ムラなどの外観不良の発生を抑制できる効果を奏することができる。
【0142】
(第二粘着シート)
第二粘着シート4の厚みT2は、例えば5μm以上100μm以下であり、好ましくは8μm以上80μm以下であり、より好ましくは10μm以上50μm以下であり、さらに好ましくは12μm以上30μm以下である。第二粘着シート4の厚みを適切に調節することによって、第二光学フィルム3と第二粘着シート4との密着性を向上させることができる。
【0143】
第二粘着シート4の破断伸度は、例えば、500%以上である。第二粘着シート4の破断伸度は、好ましくは700%以上であり、より好ましくは800%以上であり、さらに好ましくは1000%以上である。第二粘着シート4の破断伸度の上限値は、例えば、2000%である。
【0144】
第二粘着シート4は、公知の粘着剤を使用できる。第二粘着シート4は、光硬化型の粘着剤組成物(I)から形成された粘着シートであってもよく、溶剤型の粘着剤組成物(II)から形成された粘着シートであってもよい。第一粘着シート2を第二粘着シート4に使用してもよい。第二粘着シート4は、光硬化型の粘着剤組成物(I)から形成された粘着シートであることが好ましい。
【0145】
(第一光学フィルム)
図1に示すように、第一光学フィルム1は、互いに対向する2つの主面を有する。一方の主面は、例えば、光学積層体10Aの外部に露出している。第一光学フィルム1の他方の主面は、第一粘着シート2に対向しており、第一光学フィルム1の第一粘着シートが積層された表面である。
【0146】
第一光学フィルム1は、単一の層により構成されていてもよく、複数の層の積層体であってもよい。言い換えると、第一光学フィルム1は、単一のフィルムにより構成されていてもよく、複数のフィルムの積層体であってもよい。第一光学フィルム1を構成する各フィルムは、任意の接着剤及び任意の粘着シートを介して貼り合わされていてもよい。第一光学フィルム1は、例えば、偏光フィルム及び位相差フィルムからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。第一光学フィルム1は、偏光フィルムを含んでいてもよい。第一光学フィルム1は、偏光フィルム及び/又は位相差フィルムを含む積層フィルムであってもよい。
【0147】
偏光フィルムは、偏光子を含む。偏光フィルムは、典型的には、偏光子及び保護フィルム(透明保護フィルム)を含む。保護フィルムは、例えば、偏光子の主面に接して配置されている。偏光子は、2つの保護フィルムの間に配置されていてもよい。保護フィルムは、偏光子の少なくとも一方の面に配置されていてもよい。
【0148】
偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素、二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの;ポリビニルアルコールの脱水処理物、ポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。偏光子は、典型的には、ポリビニルアルコール系フィルム(ポリビニルアルコール系フィルムには、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムが含まれる)、及び、ヨウ素等の二色性物質からなる。
【0149】
偏光子の厚さは、例えば80μm以下であり、50μm以下、30μm以下、25μm以下、さらには20μm以下であってもよい。偏光子の厚さの下限は、特に限定されず、例えば1μm以上であり、5μm以上、10μm以上、さらには15μm以上であってもよい。薄型の偏光子(例えば、厚さ20μm以下)は、寸法変化が抑制されており、光学積層体の耐久性、特に高温下の耐久性、の向上に寄与しうる。
【0150】
保護フィルムの材料としては、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性等に優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、及び、これらの混合物が挙げられる。保護フィルムの材料は、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂又は紫外線硬化型樹脂であってもよい。偏光フィルムが2つの保護フィルムを有する場合、2つの保護フィルムの材料は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、偏光子の一方の主面に対して、接着剤を介して、熱可塑性樹脂で構成された保護フィルムが貼り合わされ、偏光子の他方の主面に対して、熱硬化性樹脂又は紫外線硬化型樹脂で構成された保護フィルムが貼り合わされていてもよい。保護フィルムは、任意の添加剤を1種類以上含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤等が挙げられる。
【0151】
保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には、強度及び取扱性等の作業性、薄膜性等の点より10~200μm程度である。
【0152】
偏光子と保護フィルムとは通常、水系接着剤等を介して密着している。水系接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス、水系ポリウレタン、水系ポリエステル等を例示できる。上記の接着剤以外の他の接着剤としては、紫外線硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤等が挙げられる。電子線硬化型偏光板用接着剤は、各種の保護フィルムに対して、好適な接着性を示す。接着剤は、金属化合物フィラーを含んでいてもよい。
【0153】
偏光フィルムでは、保護フィルムに代えて、位相差フィルム等を偏光子上に形成することもできる。保護フィルム上には、さらに別の保護フィルムを設けること、位相差フィルム等を設けること等もできる。
【0154】
保護フィルムについて、偏光子と接着している表面と対向する表面には、ハードコート層が設けられていてもよく、反射防止、スティッキング防止、拡散、アンチグレア等を目的とした処理を施すこともできる。
【0155】
偏光フィルムは、円偏光フィルムであってもよい。
【0156】
位相差フィルムとしては、高分子フィルムを延伸させて得られるものや液晶材料を配向、固定化させたものを用いることができる。位相差フィルムは、例えば、面内及び/又は厚さ方向に複屈折を有する。
【0157】
位相差フィルムとしては、反射防止用位相差フィルム(特開2012-133303号公報〔0221〕、〔0222〕、〔0228〕参照)、視野角補償用相差フィルム(特開2012-133303号公報〔0225〕、〔0226〕参照)、視野角補償用の傾斜配向位相差フィルム(特開2012-133303号公報〔0227〕参照)等が挙げられる。
【0158】
位相差フィルムとしては、実質的に上記の機能を有するものであれば、例えば、位相差値、配置角度、3次元複屈折率、単層か多層かなどは特に限定されず、公知の位相差フィルムを使用することができる。
【0159】
位相差フィルムの厚みは、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは10μm以下であり、さらに好ましくは1~9μmであり、特に好ましくは3~8μmである。
【0160】
位相差フィルムは、例えば、液晶材料が配向、固定化された1/4波長板、1/2波長板の2層から構成される。
【0161】
(第二光学フィルム)
図1に示すように、第二光学フィルム3は、互いに対向する2つの主面を有する。一方の主面は、第一粘着シート2に対向しており、第二光学フィルム3の第一粘着シート2が積層された表面である。第二光学フィルム3の他方の主面は、第二粘着シート4に対向しており、第二光学フィルム3の第二粘着シート4が積層された表面である。
【0162】
第二光学フィルム3は、単一の層により構成されていてもよく、複数の層の積層体であってもよい。言い換えると、第二光学フィルム3は、単一のフィルムにより構成されていてもよく、複数のフィルムの積層体であってもよい。第二光学フィルム3を構成する各フィルムは、任意の接着剤及び任意の粘着シートを介して貼り合わされていてもよい。第二光学フィルム3が複数のフィルムの積層体である場合、第二光学フィルム3は、例えば、偏光フィルム及び位相差フィルムからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。第二光学フィルム3は、偏光フィルム及び/又は位相差フィルムを含む積層体であってもよい。
【0163】
第二光学フィルム3は、複数の位相差フィルムの積層体を含んでいてもよい。第二光学フィルム3は、第一位相差フィルムと第二位相差フィルムとの積層体を含んでいてもよい。第一位相差フィルムは、任意の接着剤及び任意の粘着シートを介して、第二位相差フィルムに貼り合わされていてもよい。
【0164】
第二光学フィルム3は、例えば、複数の層を含む。複数の層は、例えば、偏光子と、少なくとも1つのフィルムと、を含む積層体である。第二光学フィルム3が有する少なくとも1つのフィルムは、偏光子と第二粘着シートとの間に配置されていてもよい。すなわち、第二光学フィルム3は、偏光子よりも第二粘着シートに近い位置に、少なくとも1つのフィルムが配置されていてもよい。
【0165】
図4Aは、第二光学フィルムの一例を模式的に示す断面図である。
図4Aに示すように、第二光学フィルム3Aは、フィルムA31、偏光子32、フィルムB33、及びフィルムC34がこの順に積層されている。フィルムA31及びフィルムB33は、偏光子の保護フィルムであってもよい。フィルムC34は、位相差フィルムであってもよい。ただし、フィルムA~Cは、上記以外の機能を奏するフィルムであってもよい。例えば、フィルムA及び/又はフィルムBは、位相差フィルムとしての機能を備えていても構わない。
【0166】
偏光子32と第二粘着シート4との間に配置された、フィルムB33及びフィルムC34の光弾性係数は、それぞれ4×10-11m2/N以下であることが好ましい。光弾性係数は、好ましくは2×10-11m2/N以下であり、より好ましくは1×10-11m2/N以下であり、さらに好ましくは5×10-12m2/N以下である。光弾性係数の下限は、特に限定されないが、例えば2×10-13m2/N以上であり、好ましくは5×10-13m2/N以上であり、より好ましくは1×10-12m2/N以上である。偏光子32と第二粘着シート4との間には、少なくとも1つの位相差フィルムが配置されていてもよい。
【0167】
以下では、フィルムB33及びフィルムC34がともに位相差フィルムとして機能する態様を対象として、フィルムB33を第一位相差フィルム33、フィルムC34を第二位相差フィルム34と呼ぶことがある。
【0168】
(偏光板)
偏光板30は、例えば、偏光子32と、偏光子32の視認側に配置される保護フィルム31との積層体である。保護フィルム31は、代表的には、任意の適切な接着シートを介して偏光子32の視認側に貼り合わされている。保護フィルム31は、偏光子32と第一粘着シート2との間に位置し、第一粘着シート2に接している。偏光板30は、偏光子32の視認側と反対側に第2の保護フィルムをさらに備え他積層体であってもよい。
【0169】
(偏光子)
偏光子32としては、任意の適切な偏光子が採用され得る。例えば、偏光子32を形成する樹脂フィルムは、単層の樹脂フィルムであってもよく、二層以上の積層体であってもよい。
【0170】
単層の樹脂フィルムから構成される偏光子の具体例としては、PVA系樹脂フィルムにヨウ素による染色処理及び延伸処理(代表的には、一軸延伸)が施されたものが挙げられる。上記ヨウ素による染色は、例えば、PVA系フィルムをヨウ素水溶液に浸漬することにより行われる。上記一軸延伸の延伸倍率は、好ましくは3~7倍である。延伸は、染色処理後に行ってもよいし、染色しながら行ってもよい。また、延伸してから染色してもよい。必要に応じて、PVA系樹脂フィルムに、膨潤処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理等が施される。例えば、染色の前にPVA系樹脂フィルムを水に浸漬して水洗することで、PVA系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるだけでなく、PVA系樹脂フィルムを膨潤させて染色ムラなどを防止できる。
【0171】
積層体を用いて得られる偏光子の具体例としては、樹脂基材と当該樹脂基材に積層されたPVA系樹脂層(PVA系樹脂フィルム)との積層体、あるいは、樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子が挙げられる。樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子は、例えば、PVA系樹脂溶液を樹脂基材に塗布し、乾燥させて樹脂基材上にPVA系樹脂層を形成して、樹脂基材とPVA系樹脂層との積層体を得ること;当該積層体を延伸および染色してPVA系樹脂層を偏光子とすること;により作製され得る。樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子は、好ましくは、樹脂基材の片側に、ハロゲン化物とポリビニルアルコール系樹脂とを含むポリビニルアルコール系樹脂層を形成する。延伸は、代表的には積層体をホウ酸水溶液中に浸漬させて延伸することを含む。さらに、延伸は、必要に応じて、ホウ酸水溶液中での延伸の前に積層体を高温(例えば、95℃以上)で空中延伸することをさらに含み得る。加えて、積層体は、好ましくは、長手方向に搬送しながら加熱することにより幅方向に2%以上収縮させる乾燥収縮処理に供される。代表的には、偏光子の製造方法は、積層体に、空中補助延伸処理と染色処理と水中延伸処理と乾燥収縮処理とをこの順に施すことを含む。補助延伸を導入することにより、熱可塑性樹脂上にPVAを塗布する場合でも、PVAの結晶性を高めることが可能となり、高い光学特性を達成することが可能となる。また、同時にPVAの配向性を事前に高めることで、後の染色工程や延伸工程で水に浸漬された時に、PVAの配向性の低下や溶解などの問題を防止することができ、高い光学特性を達成することが可能になる。さらに、PVA系樹脂層を液体に浸漬した場合において、PVA系樹脂層がハロゲン化物を含まない場合に比べて、ポリビニルアルコール分子の配向の乱れ、および配向性の低下が抑制され得る。これにより、染色処理および水中延伸処理など、積層体を液体に浸漬して行う処理工程を経て得られる偏光子の光学特性を向上し得る。さらに、乾燥収縮処理により積層体を幅方向に収縮させることにより、光学特性を向上させることができる。得られた樹脂基材/偏光子の積層体はそのまま用いてもよく(すなわち、樹脂基材を偏光子の保護層としてもよく)、樹脂基材/偏光子の積層体から樹脂基材を剥離し、当該剥離面に目的に応じた任意の適切な保護層を積層して用いてもよい。このような偏光子の製造方法の詳細は、例えば特開2012-73580号公報、特許第6470455号に記載されている。これらの公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。
【0172】
偏光子32は、好ましくは二層以上の積層体から構成され、より好ましくは樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体から構成され得る。
【0173】
偏光子32の厚みは、好ましくは15μm以下、より好ましくは12μm以下、さらに好ましくは10μm以下、特に好ましくは8μm以下であり、代表的には1μm以上、好ましくは3μm以上である。偏光子32の厚みがこのような範囲であれば、高湿環境下における光学積層体の反りの発生をより安定して抑制できる。
【0174】
偏光子32は、好ましくは、波長380nm~780nmのいずれかの波長で吸収二色性を示す。偏光子32の単体透過率は、例えば41.5%~46.0%であり、好ましくは43.0%~46.0%であり、より好ましくは44.5%~46.0%である。偏光子32の偏光度は、好ましくは97.0%以上であり、より好ましくは99.0%以上であり、さらに好ましくは99.9%以上である。
【0175】
(保護フィルム)
保護フィルム31は、偏光子32の保護層として使用できる任意の適切なフィルムで形成される。当該フィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、(メタ)アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂又は紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001-343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換又は非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN-メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。当該ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。
【0176】
保護フィルム31は、例えば、(メタ)アクリル系樹脂を含む。(メタ)アクリル系樹脂として、例えば、グルタルイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が用いられる。グルタルイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、例えば、特開2006-309033号公報、特開2006-317560号公報、特開2006-328329号公報、特開2006-328334号公報、特開2006-337491号公報、特開2006-337492号公報、特開2006-337493号公報、特開2006-337569号公報、特開2007-009182号公報、特開2009-161744号公報、特開2010-284840号公報に記載されている。これらの記載は、本明細書に参考として援用される。
【0177】
保護フィルム31の厚みは、代表的には300μm以下であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは5μm~80μm、さらに好ましくは10μm~60μmである。
【0178】
(第一位相差フィルム)
フィルムB33が位相差フィルムとして機能する場合、第一位相差フィルム33は、目的に応じて任意の適切な光学的特性及び/又は機械的特性を有する位相差フィルムで構成され得る。第一位相差フィルム33は、例えば、単一の層により構成されている。第一位相差フィルム33は、上記した偏光板30の視認側と反対側に位置する。詳細には、第一位相差フィルム33は、任意の適切な粘着シートを介して、偏光子32の視認側と反対側に貼り合わせられている。この場合、第一位相差フィルム33は、偏光子32と第二粘着シート4との間に配置される。すなわち、第一位相差フィルム33は、偏光子32よりも第二粘着シート4に近い位置に設けられている。第一位相差フィルム33は、偏光子32の視認側と反対側の保護層を兼ねてもよい。
【0179】
第一位相差フィルム33の厚みは、好ましくは10μm~60μmであり、より好ましくは20μm~50μmである。
【0180】
第一位相差フィルム33の面内位相差Re(550)は、好ましくは80nm~150nmであり、より好ましくは90nm~140nmであり、さらに好ましくは100nm~130nmである。
【0181】
第一位相差フィルム33の屈折率特性は、好ましくはnx>ny>nzの関係を示す。第一位相差フィルム33のNz係数は、好ましくは1.1~3.0であり、より好ましくは1.3~2.7である。
【0182】
第一位相差フィルム33は、好ましくは、その遅相軸が偏光子の吸収軸と実質的に平行となるよう配置され得る。
【0183】
第一位相差フィルム33の光弾性係数は、例えば、上記したとおりである。第一位相差フィルム33の光弾性係数を適切に調節することによって、狭い接触面積で小物体が画面に衝突したり画面を押圧したりした場合であっても、表示不良の抑制により適した光学積層体10Aを得ることができる。加えて、第一位相差フィルム33の光弾性係数を適切に調節することによって、加熱時の収縮応力が発生した場合に位相差変化が生じにくい。したがって、第一位相差フィルム33の光弾性係数を適切に調節することによって、光学積層体10Aを画像表示装置に適用した場合に熱ムラが良好に防止され得る。
【0184】
第一位相差フィルム33は、位相差値が測定光の波長に応じて大きくなる逆分散波長特性を示してもよく、位相差値が測定光の波長に応じて小さくなる正の波長分散特性を示してもよく、位相差値が測定光の波長によってもほとんど変化しないフラットな波長分散特性を示してもよい。第一位相差フィルム33は、フラットな波長分散特性を示すことが好ましい。具体的には、第一位相差フィルム33のRe(450)/Re(550)は、好ましくは0.99~1.03であり、Re(650)/Re(550)は、好ましくは0.98~1.02である。フラットな波長分散特性を有するλ/2板とλ/4板とを所定の軸角度で配置することにより、理想的な逆波長分散特性に近い特性を得ることが可能であり、結果として、非常に優れた反射防止特性を実現できる。
【0185】
第一位相差フィルム33は、上記のような特性を満足し得る任意の適切な樹脂フィルムで構成され得る。そのような樹脂の例は、環状オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、及びアクリル系樹脂である。第一位相差フィルム33には、環状オレフィン系樹脂が好適に用いられ得る。第一位相差フィルム33は、例えば、上記樹脂から形成されたフィルムを適切に延伸することにより得られる。
【0186】
(第二位相差フィルム)
フィルムC34が位相差フィルムとして機能する場合、第二位相差フィルム34は、目的に応じて任意の適切な光学的特性及び/又は機械的特性を有する位相差フィルムで構成され得る。第二位相差フィルム34は、例えば、単一の層により構成されている。第二位相差フィルム34は、第一位相差フィルム33の視認側と反対側に位置する。第二位相差フィルム34は、偏光子32と第二粘着シート4との間に配置される。すなわち、第二位相差フィルム34は、偏光子32よりも第二粘着シート4に近い位置に設けられている。第二位相差フィルム34は、好ましくは、第一位相差フィルム33と第二粘着シート4との間に配置される。
【0187】
第二位相差フィルム34の厚みは、好ましくは5μm~50μmであり、より好ましくは5μm~40μmである。
【0188】
第二位相差フィルム34の面内位相差Re(550)は、好ましくは10nm~60nmであり、より好ましくは20nm~50nmであり、さらに好ましくは30nm~40nmである。
【0189】
第二位相差フィルム34の屈折率特性は、好ましくはnz>nx>nyの関係を示す。第二位相差フィルム34のNz係数は、好ましくは-10~-0.1であり、より好ましくは-5~-1である。
【0190】
第二位相差フィルム34は、好ましくは、その遅相軸が偏光子の吸収軸と実質的に直交するようにして配置され得る。
【0191】
第二位相差フィルム34は、上記のような特性を満足し得る任意の適切な樹脂フィルムで構成され得る。そのような樹脂の例は、負の固有複屈折を有するポリマーであり得る。負の固有複屈折を有するポリマーとは、ポリマーを延伸等により配向させた場合に、その配向方向の屈折率が相対的に小さくなるポリマーである。負の固有複屈折を有するポリマーとしては、例えば、芳香族やカルボニル基などの分極異方性の大きい化学結合及び官能基がポリマーの側鎖に導入されているものが挙げられる。負の固有複屈折を有するポリマーの具体例としては、変性ポリオレフィン系樹脂(例えば、変性ポリエチレン系樹脂)、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、マレイミド系樹脂、フマル酸エステル系樹脂等が挙げられる。第二位相差フィルムは、例えば、上記樹脂から形成されたフィルムを適切に延伸することにより得られ得る。
【0192】
なお、光学積層体10Aは、第二光学フィルム3として、第一位相差フィルム及び第二位相差フィルムからなる群より選ばれる少なくとも1つを備えていてもよく、光学積層体10Aは、第一位相差フィルム及び/又は第二位相差フィルムを備えなくてもよい。
【0193】
図4Bは、第二光学フィルムの別の一例を模式的に示す断面図である。
図4Bに示すように、第二光学フィルム3Bは、フィルムA31、偏光子32、及びフィルムD35がこの順に積層されている。フィルムA31は、偏光子の保護フィルムであってもよい。フィルムD35は、位相差フィルムであってもよく、偏光子の保護フィルムであってもよい。フィルムD35が偏光子の保護フィルムである場合、フィルムA31とフィルムD35とは、同じ種類の保護フィルムであってもよく、異なる種類の保護フィルムであってもよい。フィルムAは、上記以外の機能を奏するフィルムであってもよい。例えば、フィルムAは、位相差フィルムとしての機能を備えていても構わない。
【0194】
偏光子32と第二粘着シート4との間に配置されたフィルムD35の光弾性係数は、4×10-11m2/N以下であることが好ましい。光弾性係数は、好ましくは2×10-11m2/N以下であり、より好ましくは1×10-11m2/N以下であり、さらに好ましくは5×10-12m2/N以下である。光弾性係数の下限は、特に限定されないが、例えば2×10-13m2/N以上であり、好ましくは5×10-13m2/N以上であり、より好ましくは1×10-12m2/N以上である。偏光子32と第二粘着シート4との間には、少なくとも1つの位相差フィルムが配置されていてもよい。
【0195】
以下では、フィルムD35が偏光子の保護フィルムとして機能する態様について述べる。
【0196】
図4Bに示すように、第二光学フィルム3Bは、偏光子32を含む。加えて、第二光学フィルム3Bは、偏光子32と第二粘着シート4との間に保護フィルム35が配置された構成を有する。すなわち、第二光学フィルム3Bにおいて、保護フィルム35は、偏光子32よりも第二粘着シート4に近い位置に設けられている。
【0197】
保護フィルム35の光弾性係数は、例えば、上記したとおりである。保護フィルム35の光弾性係数を適切に調節することによって、狭い接触面積で小物体が画面に衝突したり画面を押圧したりした場合であっても、表示不良の抑制により適した光学積層体10Aを得ることができる。
【0198】
(光学積層体)
光学積層体10Aの厚みTは、例えば、200μm以上である。光学積層体10Aの厚みは、好ましくは250μm以上であり、より好ましくは500μm以上であり、さらに好ましくは1000μm以上であり、特に好ましくは1500μm以上である。光学積層体10Aの厚みの上限は、例えば、5000μm以下であり、好ましくは3000μm以下であり、より好ましくは2000μm以下であり、さらに好ましくは1000μm以下である。
【0199】
光学積層体10Aは、第一光学フィルム1の第一粘着シート2が形成されてる側とは反対側の表面にカバーガラスを含んでいなくてもよい。このような構成であっても、光学積層体10Aが第一粘着シート2を含んでいるので、光学積層体10Aを含む画像表示装置において、狭い接触面積で小物体が画面に衝突したり画面を押圧したりした場合でも、画像表示装置の表示不良をより抑制できる。
【0200】
図5は、光学積層体の別の一例を模式的に示す断面図である。
図5に示すように、光学積層体10Bは、光学積層体10A、第三光学フィルム5、及び第三粘着シート6を備える積層体である。詳細には、光学積層体10Bは、第一光学フィルム1、第一粘着シート2、第二光学フィルム3、第二粘着シート4、第三光学フィルム5、及び第三粘着シート6がこの順に積層された積層構造を有する。光学積層体10Bは、例えば、第三粘着シート6を介して画像形成層に貼付して使用できる。
【0201】
光学積層体10Bの厚みは、例えば、200μm以上である。光学積層体10Bの厚みは、好ましくは250μm以上であり、さらに好ましくは300μm以上である。光学積層体10Bの厚みの上限は、例えば、6000μm以下であり、好ましくは5000μm以下であり、より好ましくは3000μm以下であり、さらに好ましくは2000μm以下であり、特に好ましくは1000μm以下である。
【0202】
(第三粘着シート)
第三粘着シート6は、第三光学フィルム5上に形成されている。第三粘着シート6は、第三光学フィルム5の一方の主面に形成されている。
図5では、第三粘着シート6は、第三光学フィルム5の一方の主面の全体に形成されている。ただし、第三光学フィルム5の一方の主面の一部のみに第三粘着シート6が形成されていてもよい。
【0203】
第三粘着シート6の厚みT3は、例えば5μm以上100μm以下であり、好ましくは8μm以上80μm以下であり、より好ましくは10μm以上50μm以下であり、さらに好ましくは12μm以上30μm以下である。第三粘着シート6の厚みを適切に調節することによって、第三光学フィルム5と第三粘着シート6との密着性を向上させることができる。
【0204】
第三粘着シート6には、公知の粘着剤を使用できる。第三粘着シート6は、光硬化型の粘着剤組成物(I)から形成された粘着シートであってもよく、溶剤型の粘着剤組成物(II)から形成された粘着シートであってもよい。第一粘着シート2又は第二粘着シート4を第三粘着シート6に使用してもよい。
【0205】
(第三光学フィルム)
図5に示すように、第三光学フィルム5は、互いに対向する2つの主面を有する。一方の主面は、第二粘着シート4に対向しており、第三光学フィルム5の第二粘着シート4が積層された表面である。第三光学フィルム5の他方の主面は、第三粘着シート6に対向しており、第三光学フィルム5の第三粘着シート6が積層された表面である。
【0206】
第三光学フィルム5は、例えば、偏光フィルム及び位相差フィルムからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。第三光学フィルム5は、偏光フィルム及び/又は位相差フィルムを含む積層フィルムであってもよい。
【0207】
[画像表示装置の実施形態]
本実施形態の画像表示装置の一例を
図6に示す。
図6の画像表示装置11は、光学積層体10A、画像形成層(例えば有機EL層又は液晶層)7及び基板8がこの順に積層された積層構造を有している。すなわち、
図6の画像表示装置11は、第一光学フィルム1、第一粘着シート2、第二光学フィルム3、第二粘着シート4、画像形成層7、及び基板8がこの順に積層された積層構造を有している。画像表示装置11は、光学積層体10Aに代えて、
図5の光学積層体10Bを有していてもよい。画像形成層7及び基板8は、公知の画像表示装置が備える画像形成層及び基板と、それぞれ同様の構成を有していてもよい。
【0208】
図6の画像表示装置11は、有機ELディスプレイであってもよく、液晶ディスプレイであってもよい。ただし、画像表示装置11はこの例に限定されない。画像表示装置11は、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PD)、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)などであってもよい。画像表示装置11は、家電用途、車載用途、パブリックインフォメーションディスプレイ(PID)用途などに用いることができる。
【0209】
本実施形態の画像表示装置は、本実施形態の光学積層体を備える限り、任意の構成を有しうる。
【実施例0210】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
【0211】
図7は、実施例1~4、6、及び比較例1~4に係る光学積層体を模式的に示す断面図である。
図7に示すように、実施例1~4、6、及び比較例1~4に係る光学積層体40は、第一光学フィルム1、第一粘着シート2、第二光学フィルム3A、及び第二粘着シート4がこの順に積層された積層体である。第二光学フィルム3Aは、保護フィルム31、偏光子32、第一位相差フィルム33、及び第二位相差フィルム34がこの順に積層された構造を有していた。第一位相差フィルム33及び第二位相差フィルム34は、偏光子32と第二粘着シート4との間に配置されていた。すなわち、第一位相差フィルム33及び第二位相差フィルム34は、偏光子32よりも第二粘着シート4に近い位置に設けられていた。
【0212】
図8は、実施例5に係る光学積層体を模式的に示す断面図である。
図8に示すように、実施例5に係る光学積層体41は、第一光学フィルム1、第一粘着シート2、第二光学フィルム3B、及び第二粘着シート4がこの順に積層された積層体である。第二光学フィルム3Bは、保護フィルム31、偏光子32、及び保護フィルム35がこの順に積層された構造を有していた。保護フィルム35は、偏光子32と第二粘着シート4との間に配置されていた。すなわち、保護フィルム35は、偏光子32よりも第二粘着シート4に近い位置に設けられていた。
【0213】
以下、便宜上、
図7及び
図8で付した参照符号をもとに説明する。
【0214】
[評価方法]
<破断伸度>
実施例1~5及び比較例1~4では、第一粘着シート2の厚みを20μmにしたことを除き、後述する積層体L1bと同じ作製方法によって、はく離ライナーA、第一粘着シート2(厚み20μm)、及びはく離ライナーBにより構成される積層体LXを作製した。この積層体LXを、幅3cm×長さ10cmのサイズに切り出し、はく離ライナーBを剥離して試験サンプルを作製した。実施例6では、第一粘着シート2の厚みを20μmにしたことを除き、後述する積層体L6と同じ作製方法によって、PETフィルムの表面に第一粘着シート2(厚み20μm)が形成された積層体LYを作製した。この積層体LYを、幅3cm×長さ10cmのサイズに切り出し、試験サンプルを作製した。各試験サンプルにおいて、第一粘着シート2を、はく離ライナー上で、長さ方向にひも状に丸めることによって試験片を作製した。この試験片からはく離ライナーを剥離してひも状の第一粘着シート2を引張試験機にセットし、初期のチャック間距離10mm、引張速度300mm/minの条件で引張試験を行った。引張試験によって試験片が破断したときの試験片の長さを測定しL1[mm]とした。破断伸度は、以下の式により算出した。
破断伸度[%]={(L1-L0)/L0}×100
【0215】
上記式において、L0[mm]は、初期(引張試験前)の試験片の長手方向の長さを示す。引張試験機は、島津製作所製の引張試験機「オートグラフAG-10G」を用いた。引張試験は、試験片の長手方向に試験片を引っ張ることによって行った。
【0216】
第二粘着シート4の破断伸度については、積層体L2aを使用したことを除き、上記と同じ方法によって第二粘着シート4の破断伸度を算出した。
【0217】
<突き刺し試験>
実施例及び比較例に係る光学積層体40及び41を、5cm×5cmのサイズに切り出し、試験サンプルとした。次いで、当該試験サンプルを、第二粘着シート4を介して、厚み1.2mmのガラス板に貼り合わせることによって測定サンプルを作製した。
【0218】
実施例及び比較例に係る測定サンプルを、突き刺し治具を装着したインデンターCMS試験機(インストロン社製、製品名:5581)のステージ上に載置した。突き刺し治具は、先端が丸みを帯びて尖っていた。加えて、突き刺し治具の先端部の曲率半径Rは、550μmであった。室温(23℃±3℃)環境下、ステージ上の試験サンプルに、突き刺し治具を荷重5kgで突き刺した。突き刺し試験後の光学積層体40及び41を、光学積層体40及び41の偏光子32と、顕微鏡に付属されている偏光子とがクロスニコルとなるように配置した。このときの光抜けを、顕微鏡(対物レンズの倍率:5倍)で観察した。以下の基準で評価した。
A:光抜けは認められない。
B:光抜けが認められるが、実用上影響はない。
C:光抜けが実用上許容不可能なほど顕著である。
【0219】
<光弾性係数>
実施例及び比較例で用いた第二光学フィルム3A及び3Bにおいて、偏光子32と第二粘着シート4との間に配置されているフィルム(層)を、それぞれ20mm×100mmのサイズに切り出して試料を作製した。この試料をエリプソメーター(日本分光社製、M-150)により波長550nmの光で測定し、光弾性係数を測定した。
【0220】
<平滑性>
実施例及び比較例に係る光学積層体40及び41を、第二粘着シート4を介して、黒色の板に貼り付けることによって評価サンプルを作製した。この評価サンプルにおいて、平滑かどうか、を、評価サンプルの第一光学フィルム1側から目視で確認して、以下の基準により評価した。
A:目立たない凹凸感であった。
B:著しく目立つ凹凸感であった。
【0221】
<(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量>
(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定した。
・分析装置:東ソー社製、HLC-8120GPC
・カラム:東ソー社製、G7000HXL+GMHXL+GMHXL
・カラムサイズ:各7.8mmφ×30cm 計90cm
・カラム温度:40℃
・流量:0.8mL/min
・注入量:100μL
・溶離液:テトラヒドロフラン
・検出器:示差屈折計(RI)
・標準試料:ポリスチレン
【0222】
[第一光学フィルム1(偏光フィルム)]
熱可塑性樹脂基材として、長尺状で、Tg約75℃である、非晶質のイソフタル共重合ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:100μm)を用い、樹脂基材の片面に、コロナ処理を施した。
【0223】
ポリビニルアルコール(重合度4200、ケン化度99.2モル%)及びアセトアセチル変性PVA(日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマー」)を9:1で混合したPVA系樹脂100重量部に、ヨウ化カリウム13重量部を添加したものを水に溶かし、PVA水溶液(塗布液)を調製した。
【0224】
樹脂基材のコロナ処理面に、上記PVA水溶液を塗布して60℃で乾燥することにより、厚み13μmのPVA系樹脂層を形成し、積層体を作製した。
【0225】
得られた積層体を、130℃のオーブン内で縦方向(長手方向)に2.4倍に一軸延伸した(空中補助延伸処理)。
【0226】
次いで、空中補助延伸処理後の積層体を、液温40℃の不溶化浴に30秒間浸漬させた(不溶化処理)。不溶化浴は、水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合して得られたホウ酸水溶液である。
【0227】
次いで、液温30℃の染色浴に、最終的に得られる偏光子の単体透過率(Ts)が所望の値となるように濃度を調整しながら60秒間浸漬させた(染色処理)。染色浴は、水100重量部に対して、ヨウ素とヨウ化カリウムを1:7の重量比で配合して得られたヨウ素水溶液である。
【0228】
次いで、液温40℃の架橋浴に30秒間浸漬させた(架橋処理)。架橋浴は、水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合し、ホウ酸を5重量部配合して得られたホウ酸水溶液である。
【0229】
その後、積層体を、液温70℃のホウ酸水溶液に浸漬させながら、周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に総延伸倍率が5.5倍となるように一軸延伸を行った(水中延伸処理)。ホウ酸水溶液は、ホウ酸濃度4重量%、ヨウ化カリウム濃度5重量%を含む水溶液である。
【0230】
その後、積層体を液温20℃の洗浄浴に浸漬させた(洗浄処理)。洗浄浴は、水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを4重量部配合して得られた水溶液である。
【0231】
その後、約90℃に保たれたオーブン中で乾燥しながら、表面温度が約75℃に保たれたSUS製の加熱ロールに接触させた(乾燥収縮処理)。
【0232】
このようにして、樹脂基材上に厚み約5μmの偏光子を形成した。
【0233】
得られた偏光子の表面(樹脂基材とは反対側の面)に、保護層としてのグルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂フィルム(厚み:40μm)を、紫外線硬化型接着剤を介して貼り合せた。具体的には、硬化型接着剤の総厚みが約2.0μmになるように塗工し、ロール機を使用して貼り合わせた。その後、UV光線をアクリル系樹脂フィルム側から照射して接着剤を硬化させた。次いで、樹脂基材を剥離して、アクリル系樹脂フィルム(保護層)/偏光子の構成を有する偏光フィルム(第一光学フィルム1)を得た。
【0234】
[第二光学フィルム]
実施例1~4、6、及び比較例1~4(
図7を参照)では、第二光学フィルム3Aとして、保護フィルム31、偏光子32、第一位相差フィルム33、及び第二位相差フィルム34がこの順に積層された構成を有する積層体Xを使用した。偏光子32は、上記で作製した偏光子を使用した。保護フィルム31は、グルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂フィルム(カネカ社製、製品名;HTX)(厚み:40μm)を使用した。保護フィルム31と偏光子32とは、紫外線硬化型接着剤を介して貼り合せた。
【0235】
第一位相差フィルム33は、環状オレフィン系フィルム(日本ゼオン社製、製品名;ゼオノアフィルムZT12-50135)を使用した。第一位相差フィルム33の厚みは、18μmであった。
【0236】
第二位相差フィルム34は、以下のようにして作製した。
【0237】
[ポリマーの合成及びドープの調製]
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えたオートクレーブに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、商品名メトローズ60SH-50)48重量部、蒸留水15601重量部、フマル酸ジイソプロピル8161重量部、アクリル酸3-エチル-3-オキセタニルメチル240重量部及び重合開始剤であるt-ブチルパーオキシピバレート45重量部を入れ、窒素バブリングを1時間行った後、攪拌しながら49℃で24時間保持することにより、ラジカル懸濁重合を行なった。次いで、室温まで冷却し、生成したポリマー粒子を含む懸濁液を遠心分離した。得られたポリマーを蒸留水で2回及びメタノールで2回洗浄した後、減圧乾燥して、白色のフマル酸エステル系樹脂を得た。
【0238】
得られたフマル酸エステル系樹脂を、メチルエチルケトンに溶解して固形分濃度20重量%の溶液とした。さらに、フマル酸エステル系樹脂100重量部に対し、可塑剤としてトリブチルトリメリテート5重量部を添加して、ドープを調製した。
【0239】
支持体フィルムとして、厚み75μmのポリエステルフィルム(ポリエチレン-テレフタレート/イソフタレート共重合体の二軸延伸フィルム)を用いた。上記のドープを、乾燥後の膜厚が約6μmとなるように塗布して乾燥させ、支持体上に、フマル酸エステル系樹脂のコーティング膜が密着積層された積層体Aを得た。
【0240】
上記の積層体Aを、自由端一軸延伸して、支持体上に、nz>nx>nyの屈折率異方性を有する第二位相差フィルム34(ポジティブBプレート)が密着積層された積層体Bを得た。積層体Bから支持体を剥離することによって、屈折率異方性を有する第二位相差フィルム34(ポジティブBプレート)を得た。なお、第一位相差フィルム33と第二位相差フィルム34とは、紫外線硬化型接着剤を介して貼り合せた。
【0241】
保護フィルム31の光弾性係数は、3×10-12m2/Nであった。第一位相差フィルム33の光弾性係数は、1×10-12m2/Nであった。第二位相差フィルム34の光弾性係数は、5×10-11m2/Nであった。
【0242】
実施例5(
図8を参照)では、第二光学フィルム3Bとして、保護フィルム31、偏光子32、及び保護フィルム35がこの順に積層された構成を有する積層体Yを使用した。偏光子32は、上記で作製した偏光子32を使用した。保護フィルム31及び35は、グルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂フィルム(カネカ社製、製品名;HTX)(厚み:40μm)を使用した。
【0243】
[はく離ライナーA]
付加反応硬化型シリコーン(ヘキセニル基含有ポリオルガノシロキサンを含むLTC761、30重量%トルエン溶液、東レ・ダウコーニング製)30重量部、剥離コントロール剤(未反応性シリコーン樹脂を含むBY24-850、東レ・ダウコーニング製)0.9重量部、及び硬化触媒(白金触媒を含むSRX212、東レ・ダウコーニング製)2重量部、及び希釈溶媒としてトルエン/ヘキサン混合溶媒(体積比1:1)を混合して、シリコーン系離型剤組成物を得た。離型剤組成物におけるシリコーン固形分の濃度は、1.0重量%であった。次に、ライナー基材(ポリエステルフィルムであるルミラーXD500P、厚さ75μm)の片面に離型剤組成物をワイヤーバーにより塗布し、130℃で1分間加熱して、離型層(厚さ60nm)を片面に備えるはく離ライナーAを作製した。
【0244】
[はく離ライナーB]
ライナー基材に塗布する離型剤組成物の厚さを変更した以外は、はく離ライナーAと同じ方法によって、離型層(厚さ120nm)を片面に備えるはく離ライナーBを作製した。
【0245】
[モノマーシロップA1]
n-ブチルアクリレート(BA)100重量部及びアクリル酸(AA)5重量部と、光重合開始剤として1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン(Omnirad184、IGM Resins B.V.社製)0.16重量部、及びビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(Omnirad819、IGM Resins B.V.社製)0.04重量部とを4つロフラスコに投入し、窒素雰囲気下で紫外線を照射することによって、部分的に光重合したモノマーシロップA1を得た。紫外線の照射は、フラスコ内の液体の粘度(計測条件:BH粘度計No.5ローター、10rpm、測定温度30℃)が約20Pa・sになるまで実施した。
【0246】
【0247】
表1中の略称は以下のとおりである。
BA:n-ブチルアクリレート
AA:アクリル酸
【0248】
[光硬化型の粘着剤組成物C1~C6]
次に、以下の表2に示す組成となるように、モノマーシロップ及び架橋剤を混合して、光硬化型の粘着剤組成物C1~C3を得た。表2中の略称「NDDA」は、1,9-ノナンジオールジアクリレートを示す。
【0249】
【0250】
(実施例1)
図7を参照する。はく離ライナーAの離型層の面に、光硬化型の粘着剤組成物C1をアプリケーターにより塗布し、塗布層(厚み50μm)を形成した。次に、形成した塗布層の上に、上述のはく離ライナーBを配置して積層体L1aを得た。はく離ライナーBは、離型層が塗布層に接するように配置した。次に、積層体L1aにおけるはく離ライナーAの側から、照度9mW/cm
2の条件(積算光量868mJcm
2)で光を照射した。これにより、塗布層が光硬化して、はく離ライナーA、第一粘着シート2(厚み50μm)、及びはく離ライナーBにより構成される積層体L1bが形成された。光源にはブラックライト光源とLEDとを組み合わせたものを使用した。LEDにおいて、照射した光のピーク波長は340nmであった。積算光量は、双方の光源による積算光量の合算である。
【0251】
次に、積層体L1bからはく離ライナーBを剥離し、第一粘着シート2の露出面に上述の偏光フィルム(第一光学フィルム1)を配置することによって、はく離ライナーA、第一粘着シート2、偏光フィルムがこの順に積層された積層体L1cを得た。なお、偏光フィルムは、変性アクリル系ポリマーからなる透明保護フィルム側の表面が第一粘着シート2に接するように配置した。
【0252】
これとは別に、はく離ライナーAの離型層の面に、光硬化型の粘着剤組成物C3をアプリケーターにより塗布し、塗布層(厚み15μm)を形成した。次に、形成した塗布層の上に、上述のはく離ライナーBを配置して積層体L2aを得た。はく離ライナーBは、離型層が塗布層に接するように配置した。次に、積層体L2aにおけるはく離ライナーAの側から光を照射した。これにより、塗布層が光硬化して、はく離ライナーA、第二粘着シート4(厚み15μm)、及びはく離ライナーBにより構成される積層体L2bが形成された。光の照射条件は、第一粘着シート2を作製したときの光の照射条件と同じであった。
【0253】
次に、積層体L2bからはく離ライナーBを剥離し、第二粘着シート4の露出面に、第二光学フィルム3Aとして上記した積層体Xを、第二位相差フィルム34が第二粘着シート4に接するように配置することによって、はく離ライナーA、第二粘着シート4、第二光学フィルム3Aがこの順に積層された積層体L2cを得た。なお、積層体Xは、第二位相差フィルム34が第二粘着シート4に接するように配置した。
【0254】
積層体L1cからはく離ライナーAを剥離して積層体L1dを得た。積層体L1dの第一粘着シート2を積層体L2cの保護フィルム31に転写することによって、偏光フィルム(第一光学フィルム1)、第一粘着シート2、第二光学フィルム3A、第二粘着シート4、及びはく離ライナーAがこの順に積層された積層体L3を得た。積層体L3からはく離ライナーAを剥離することによって、実施例1に係る光学積層体40を得た。
【0255】
(実施例2)
第一粘着シート2の厚みを100μmに変更したことを除き、実施例1と同じ方法によって、実施例2に係る光学積層体40を得た。
【0256】
(実施例3)
光硬化型の粘着剤組成物C1に代えて光硬化型の粘着剤組成物C2を使用したことを除き、実施例1と同じ方法によって、実施例3に係る光学積層体40を得た。
【0257】
(実施例4)
第一粘着シート2の厚みを100μmに変更したことを除き、実施例3と同じ方法によって、実施例4に係る光学積層体40を得た。
【0258】
(実施例5)
図8を参照する。第二光学フィルムとして、積層体Xに代えて積層体Yを使用したことを除き、実施例4と同じ方法によって、実施例5に係る光学積層体41を得た。
【0259】
(実施例6)
[(メタ)アクリル系ポリマーB1の調製]
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管及び冷却器を備えた4つ口フラスコに、n-ブチルアクリレート(BA)79.9重量部、アクリル酸(AA)5重量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)0.1重量部、及びベンジルアクリレート15重量部を含有する単量体混合物を仕込んだ。さらに、単量体混合物100重量部に対して、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN;キシダ化学社製)0.1重量部を酢酸エチルと共に仕込んで混合物を調製した。混合物を緩やかに攪拌しながら、フラスコ内について窒素ガスを導入して窒素置換した。フラスコ内の液温を55℃付近に維持して7時間重合反応を行った。その後、得られた反応液に酢酸エチルを加えて固形分濃度30%に調整して、重量平均分子量(Mw)220万の(メタ)アクリル系ポリマーB1の溶液を調製した。
【0260】
[粘着シート]
(メタ)アクリル系ポリマーB1の溶液の固形分100重量部に対して、12重量部の架橋剤(三井化学社製、製品名;タケネートD-101E)、0.1重量部のシランカップリング剤(信越化学工業社製、製品名;KBM-403)、及び1重量部のアルコキシシリル基を有するポリエーテル化合物(カネカ社製、製品名;サイリルSAT10)をさらに配合することによって、実施例6の(メタ)アクリル系粘着剤組成物D1(溶剤系の粘着剤組成物)の溶液を調製した。タケネートD-101Eは、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物である。KBM-403は、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランである。
【0261】
基材フィルム(はく離ライナー)であるPETフィルムの表面に、乾燥後の粘着シートの厚さが100μmになるように、(メタ)アクリル系粘着剤組成物D1を塗布した。(メタ)アクリル系粘着剤組成物D1の塗布には、ファウンテンコーターを使用した。塗布により形成された塗布膜に対して、空気循環式恒温オーブンにて90℃で1分間乾燥処理を行うことで、PETフィルムの表面に第一粘着シート2が形成された積層体L6を得た。粘着シートの厚さは、100μmであった。
【0262】
[光学積層体]
図7を参照する。得られた積層体L6の第一粘着シート2を上述の偏光フィルム(第一光学フィルム1)に転写することによって、偏光フィルム(第一光学フィルム1)、第一粘着シート2、及び基材フィルムがこの順に積層された積層体L7を作製した。
【0263】
積層体L7から基材フィルムを剥離して、第一粘着シート2の露出面を、上述の積層体L2cの保護フィルム31に転写することによって、偏光フィルム(第一光学フィルム1)、第一粘着シート2、第二光学フィルム3A、第二粘着シート4、及びはく離ライナーAがこの順に積層された積層体L8を得た。
【0264】
積層体L8からはく離ライナーAを剥離することによって、実施例6に係る光学積層体40を得た。
【0265】
(比較例1)
光硬化型の粘着剤組成物C1に代えて光硬化型の粘着剤組成物C3を使用したことと、第一粘着シート2の厚みを12μmに変更したこととを除き、実施例1と同じ方法によって、比較例1に係る光学積層体40を得た。
【0266】
(比較例2)
第一粘着シート2の厚みを50μmに変更したことを除き、比較例1と同じ方法によって、比較例2に係る光学積層体40を得た。
【0267】
(比較例3)
第一粘着シート2の厚みを100μmに変更したことを除き、比較例1と同じ方法によって、比較例3に係る光学積層体40を得た。
【0268】
(比較例4)
第一粘着シート2の厚みを12μmに変更したことを除き、実施例3と同じ方法によって、比較例4に係る光学積層体40を得た。
【0269】
【0270】
【0271】
【0272】
表3に示すように、各実施例では、突き刺し試験の結果が良好であった。実施例に係る光学積層体によれば、表示不良の抑制に適している。