(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146592
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】方法、設備管理装置、プログラム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
H04Q9/00 311H
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059591
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 宏貴
(72)【発明者】
【氏名】前田 親良
【テーマコード(参考)】
5K048
【Fターム(参考)】
5K048BA34
5K048BA51
5K048DA02
5K048EB02
5K048EB06
5K048FB10
5K048FB15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ユーザーインターフェース側のモデルデータポイントと、設備機器側のデバイスデータポイントとを自動で対応付ける方法、設備管理装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】設備機器を管理する設備管理装置は、検索部61が検索に適合すると判断した、設備機器を監視制御するアプリケーションで用いるデータを保持するモデルデータポイントと、物件に設置された設備機器から入力又は出力するデータを保持するデバイスデータポイントとを、モデルデータポイントとデバイスデータポイントに付与された識別情報に基づいて対応付ける識別情報に基づいて対応付けるを有する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備機器を管理する設備管理装置が、
前記設備機器を監視制御するアプリケーションで用いるデータを保持するモデルデータポイントと、
物件に設置された前記設備機器から入力又は出力するデータを保持するデバイスデータポイントと、を対応付ける方法であって、
制御部が、前記モデルデータポイントと前記デバイスデータポイントに付与された識別情報に基づいて、前記モデルデータポイントと前記デバイスデータポイントを対応付ける方法。
【請求項2】
前記モデルデータポイントは、前記設備機器の種類ごとに用意されたモデルテンプレートに基づいて生成され、
前記モデルテンプレートには、前記設備機器の監視制御に用いる前記モデルデータポイントが定義されると共に、前記モデルデータポイントごとに識別情報が定義される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記設備管理装置は、対応付ける前記モデルデータポイント及び前記デバイスデータポイントに付与された識別情報を定めたリンクルールを保持しており、
前記制御部は、前記リンクルールに基づき対応づける前記モデルデータポイントと前記デバイスデータポイントを判断し、対応付ける請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記デバイスデータポイントは、前記設備機器の型番ごとに用意されたデバイステンプレートに基づいて生成され、
前記デバイステンプレートには、前記設備機器が保持する全ての前記デバイスデータポイントが定義されると共に、前記デバイスデータポイントごとに識別情報が定義される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記制御部は、
前記デバイスデータポイントに保持されたデータが変更された場合、前記モデルデータポイントに保持されたデータを変更し、
前記モデルデータポイントに保持されたデータが変更された場合、前記デバイスデータポイントに保持されたデータを変更すると共に、前記設備機器に対してデータ変更要求を出力する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記モデルデータポイントは、前記設備機器の種類ごとに用意されたモデルテンプレートに基づいて生成され、
前記モデルテンプレートには、前記設備機器の監視制御に用いる前記モデルデータポイントが定義されると共に、前記モデルデータポイントごとに識別情報が定義され
前記デバイスデータポイントは、前記設備機器の型番ごとに用意されたデバイステンプレートに基づいて生成され、
前記デバイステンプレートには、前記設備機器が保持する全ての前記デバイスデータポイントが定義されると共に、前記デバイスデータポイントごとに識別情報が定義され、
前記制御部は、前記モデルテンプレートの前記モデルデータポイントと、前記デバイステンプレートの前記デバイスデータポイントを、前記モデルデータポイントと前記デバイスデータポイントに付与されている識別情報に基づいて対応付ける請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記デバイスデータポイントのデータ形式を前記モデルデータポイントのデータ形式に変換するか、又は、前記モデルデータポイントのデータ形式を前記デバイスデータポイントのデータ形式に変換するデータ変換テンプレートに、
前記デバイスデータポイントのデータを前記モデルデータポイントに中継し、又は、前記モデルデータポイントのデータを前記デバイスデータポイントに中継する変換データポイントが設定されており、
前記制御部は、前記変換データポイントと前記デバイスデータポイントに付与されている識別情報に基づいて、前記変換データポイントと前記デバイスデータポイントを対応付け、
前記変換データポイントと前記モデルデータポイントに付与されている識別情報に基づいて、前記変換データポイントと前記モデルデータポイントを対応付ける請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記データ変換テンプレートは、前記変換データポイントと対応づけられた前記デバイスデータポイントが出力するデータのデータ形式を、前記変換データポイントと対応づけられた前記モデルデータポイントが対応する第1のデータ形式と第2のデータ形式に変換するか、又は、
前記変換データポイントと対応づけられた前記モデルデータポイントが対応する第1のデータ形式と第2のデータ形式を、前記変換データポイントと対応づけられた前記デバイスデータポイントに入力されるデータのデータ形式に変換する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記データ変換テンプレートは、前記変換データポイントと対応づけられた前記デバイスデータポイントが出力する、keyとvalueの複数の組を有するデータ形式を、前記変換データポイントと対応づけられた前記モデルデータポイントが対応する、二値をとるデータ形式と、keyとvalueの複数の組を有するデータ形式とに変換するか、又は、
前記変換データポイントと対応づけられた前記モデルデータポイントが対応する、二値をとるデータ形式及びkeyとvalueの複数の組を有するデータ形式を、前記変換データポイントと対応づけられた前記デバイスデータポイントに入力されるkeyとvalueの複数の組を有するデータ形式に変換する請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記データ変換テンプレートは、前記変換データポイントと対応づけられた前記デバイスデータポイントが出力する、数値のデータ形式を、前記変換データポイントと対応づけられた前記モデルデータポイントが対応する、二値をとるデータ形式と、keyとvalueの複数の組を有するデータ形式とに変換するか、又は、
前記変換データポイントと対応づけられた前記モデルデータポイントが対応する、二値をとるデータ形式及びkeyとvalueの複数の組を有するデータ形式を、前記変換データポイントと対応づけられた前記デバイスデータポイントに入力される数値のデータ形式に変換する請求項7に記載の方法。
【請求項11】
設備機器を管理する設備管理装置であって、
前記設備機器を監視制御するアプリケーションで用いるデータを保持するモデルデータポイントと、
物件に設置された前記設備機器から入力又は出力するデータを保持するデバイスデータポイントとを、
前記モデルデータポイントと前記デバイスデータポイントに付与された識別情報に基づいて対応付ける制御部、
を有する設備管理装置。
【請求項12】
設備機器を管理する設備管理装置を、
前記設備機器を監視制御するアプリケーションで用いるデータを保持するモデルデータポイントと、
物件に設置された前記設備機器から入力又は出力するデータを保持するデバイスデータポイントとを、
前記モデルデータポイントと前記デバイスデータポイントに付与された識別情報に基づいて対応付ける制御部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、方法、設備管理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビルなどの建造物には、空調や照明などの電気機器や防災機器等の設備機器が導入されている。このような設備機器を一括で管理する設備管理装置が知られている。設備管理装置を使用することで、ユーザーは、メーカーや機種が異なる設備機器に対し、共通のユーザーインターフェースから任意の設備機器を操作することが可能になる。設備管理装置は、例えば温度や湿度など、設備機器の制御に関するデータをデバイスデータポイントで保持し、ユーザーインターフェース側では同様のデータをモデルデータポイントで保持する。1つの設備機器には複数のデバイスデータポイントが存在し、それぞれのデバイスデータポイントはユーザーインターフェースにおける異なるモデルデータポイントに対応する。従来、導入作業者はデバイスデータポイントとモデルデータポイントとを接続する作業を行っていた。
【0003】
ソフトウェア内のモジュールを、タグを用いて接続させる技術が知られている(例えば特許文献1参照。)。特許文献1には、コントローラで用いられるI/OタグT2と、I/OモジュールのI/OポートPの各々に設定されたI/OタグT1との対応付けを行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、ユーザーインターフェース側のモデルデータポイントと、設備機器側のデバイスデータポイントとが自動で対応付けられていなかったため、作業者による煩雑な作業が必要であった。モデルデータポイントとデバイスデータポイントを自動で対応付けるには各データポイントを識別する情報が必要であるが、データポイントの数が多いため、これまで、識別情報を付与すること自体が行われておらず、そのため一致する識別情報のデータポイントを自動で対応付けることも行われていなかった。
【0006】
本開示は、上記課題に鑑み、ユーザーインターフェース側のモデルデータポイントと、設備機器側のデバイスデータポイントとを自動で対応付ける技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様は、
設備機器を管理する設備管理装置が、
前記設備機器を監視制御するアプリケーションで用いるデータを保持するモデルデータポイントと、
物件に設置された前記設備機器から入力又は出力するデータを保持するデバイスデータポイントと、を対応付ける方法であって、
制御部が、前記モデルデータポイントと前記デバイスデータポイントに付与された識別情報に基づいて、前記モデルデータポイントと前記デバイスデータポイントを対応付ける方法である。
【0008】
本開示の第1の態様によれば、設備管理装置の導入作業の工数を低減することができる。
【0009】
本開示の第2の態様は、第1の態様に記載の方法であって、
前記モデルデータポイントは、前記設備機器の種類ごとに用意されたモデルテンプレートに基づいて生成され、
前記モデルテンプレートには、前記設備機器の監視制御に用いる前記モデルデータポイントが定義されると共に、前記モデルデータポイントごとに識別情報が定義される。
【0010】
本開示の第3の態様は、第1又は第2の態様に記載の方法であって、
前記設備管理装置は、対応付ける前記モデルデータポイント及び前記デバイスデータポイントに付与された識別情報を定めたリンクルールを保持しており、
前記制御部は、前記リンクルールに基づき対応づける前記モデルデータポイントと前記デバイスデータポイントを判断し、対応付ける。
【0011】
本開示の第4の態様は、第1~第3の態様に記載の方法であって、
前記デバイスデータポイントは、前記設備機器の型番ごとに用意されたデバイステンプレートに基づいて生成され、
前記デバイステンプレートには、前記設備機器が保持する全ての前記デバイスデータポイントが定義されると共に、前記デバイスデータポイントごとに識別情報が定義される。
【0012】
本開示の第5の態様は、第1~第4の態様に記載の方法であって、
前記制御部は、
前記デバイスデータポイントに保持されたデータが変更された場合、前記モデルデータポイントに保持されたデータを変更し、
前記モデルデータポイントに保持されたデータが変更された場合、前記デバイスデータポイントに保持されたデータを変更すると共に、前記設備機器に対してデータ変更要求を出力する。
【0013】
本開示の第6の態様は、第1の態様に記載の方法であって、
前記モデルデータポイントは、前記設備機器の種類ごとに用意されたモデルテンプレートに基づいて生成され、
前記モデルテンプレートには、前記設備機器の監視制御に用いる前記モデルデータポイントが定義されると共に、前記モデルデータポイントごとに識別情報が定義され
前記デバイスデータポイントは、前記設備機器の型番ごとに用意されたデバイステンプレートに基づいて生成され、
前記デバイステンプレートには、前記設備機器が保持する全ての前記デバイスデータポイントが定義されると共に、前記デバイスデータポイントごとに識別情報が定義され、
前記制御部は、前記モデルテンプレートの前記モデルデータポイントと、前記デバイステンプレートの前記デバイスデータポイントを、前記モデルデータポイントと前記デバイスデータポイントに付与されている識別情報に基づいて対応付ける。
【0014】
本開示の第7の態様は、第1~第6の態様に記載の方法であって、
前記デバイスデータポイントのデータ形式を前記モデルデータポイントのデータ形式に変換し、前記 モデルデータポイントのデータ形式を前記デバイスデータポイントのデータ形式に変換するデータ変換テンプレートに、前記デバイスデータポイントのデータを前記モデルデータポイントに中継し 、又は、前記モデルデータポイントのデータを前記デバイスデータポイントに中継する変換 データポイントが設定されており、
前記制御部は、前記変換データポイントと前記デバイスデータポイントに付与されている識別情報に基づいて、前記変換データポイントと前記デバイスデータポイントを対応付け、
前記変換データポイントと前記モデルデータポイントに付与されている識別情報に基づいて、前記変換データポイントと前記モデルデータポイントを対応付ける。
【0015】
本開示の第8の態様は、第7の態様に記載の方法であって、
前記データ変換テンプレートは、前記変換データポイントと対応づけられた前記デバイスデータポイントが出力するデータのデータ形式を、前記変換データポイントと対応づけられた前記モデルデータポイントが対応する第1のデータ形式と第2のデータ形式に変換するか、又は、
前記変換データポイントと対応づけられた前記モデルデータポイントが対応する第1のデータ形式と第2のデータ形式を、前記変換データポイントと対応づけられた前記デバイスデータポイントに入力されるデータのデータ形式に変換する。
【0016】
本開示の第9の態様は、第7の態様に記載の方法であって、
前記データ変換テンプレートは、前記変換データポイントと対応づけられた前記デバイスデータポイントが出力する、keyとvalueの複数の組を有するデータ形式を、前記変換データポイントと対応づけられた前記モデルデータポイントが対応する、二値をとるデータ形式と、keyとvalueの複数の組を有するデータ形式とに変換するか、又は、
前記変換データポイントと対応づけられた前記モデルデータポイントが対応する、二値をとるデータ形式及びkeyとvalueの複数の組を有するデータ形式を、前記変換データポイントと対応づけられた前記デバイスデータポイントに入力されるkeyとvalueの複数の組を有するデータ形式に変換する。
【0017】
本開示の第10の態様は、第7の態様に記載の方法であって、
前記データ変換テンプレートは、前記変換データポイントと対応づけられた前記デバイスデータポイントが出力する、数値のデータ形式を、前記変換データポイントと対応づけられた前記モデルデータポイントが対応する、二値をとるデータ形式と、keyとvalueの複数の組を有するデータ形式とに変換するか、又は、
前記変換データポイントと対応づけられた前記モデルデータポイントが対応する、二値をとるデータ形式及びkeyとvalueの複数の組を有するデータ形式を、前記変換データポイントと対応づけられた前記デバイスデータポイントに入力される数値のデータ形式に変換する。
【0018】
本開示の第11の態様は、
設備機器を管理する設備管理装置であって、
前記設備機器を監視制御するアプリケーションで用いるデータを保持するモデルデータポイントと、
物件に設置された前記設備機器から入力又は出力するデータを保持するデバイスデータポイントとを、
前記モデルデータポイントと前記デバイスデータポイントに付与された識別情報に基づいて対応付ける制御部、を有する。
【0019】
本開示の第11の態様によれば、設備管理装置の導入作業の工数を低減することができる。
【0020】
本開示の第12の態様は、
設備機器を管理する設備管理装置を、
前記設備機器を監視制御するアプリケーションで用いるデータを保持するモデルデータポイントと、
物件に設置された前記設備機器から入力又は出力するデータを保持するデバイスデータポイントとを、
前記モデルデータポイントと前記デバイスデータポイントに付与された識別情報に基づいて対応付ける制御部、として機能させるためのプログラムである。
【0021】
本開示の第12の態様によれば、設備管理装置の導入作業の工数を低減することができる。
【発明の効果】
【0022】
本開示は、設備管理装置の導入作業の工数を低減する技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】設備管理装置がネットワークを介して各種の設備機器を制御する設備管理システムのシステム構成図の一例である。
【
図2】設備管理システムを制御するソフトウェアの構造を説明する図である。
【
図3】導入作業者がソフトウェアツールにおいてデバイスデータポイントとモデルデータポイントとを接続する作業を模式的に説明する図である。
【
図4】対応情報作成装置で動作するソフトウェアと設備機器との対応を模式的に示す図である。
【
図5】対応情報作成装置で動作するソフトウェアツールの構成を説明する図である。
【
図6】デバイスデータポイントとモデルデータポイントの接続例を説明する図である。
【
図7】対応情報作成装置の一例のハードウェア構成図である。
【
図8】オートリンクモジュールが動作する対応情報作成装置の一例の機能ブロック図である。
【
図9】デバイステンプレート情報記憶部に保存されているデバイステンプレート情報の一例を示す図である。
【
図10】モデルテンプレート情報記憶部に保存されているモデルテンプレート情報の一例を示す図である。
【
図11】データ変換テンプレート情報記憶部に保存されているデータ変換テンプレート情報の一例を示す図である。
【
図13】導入作業者が、対応情報作成装置に対して行う作業を示す一例のフローチャート図である。
【
図14】オートリンクモジュールがモデルテンプレートのモデルデータポイントをデバイステンプレートのデバイスデータポイントに接続する処理を説明するフローチャート図の一例である。
【
図15】オートリンクモジュールが作成した対応情報を模式的に説明する図である。
【
図17】データ変換の一例として、MultiをBooleanとMultiに変換する例を示す図である。
【
図18】
図17において、モデルテンプレートから見て同じデータ形式がデバイステンプレートに存在しない場合のデータ形式の変換例を示す図である。
【
図19】データ変換の一例として、NumericをBoolean及び Multiに変換する例を示す図である。
【
図20】
図19において、モデルテンプレートから見て、モデルテンプレートとデバイステンプレートでファン回転数及びON/OFFの指令方法が異なる場合のデータ形式の変換例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示を実施するための形態の一例として、設備管理システムと設備管理システムが行う対応付け方法について説明する。
【0025】
<設備管理システムについて>
オフィスビル、商業施設、学校、病院など多くの物件に設備管理システムが設置されている。設備管理システムは、BAS(Building Automation System)、BEMS(Building Energy Management System)、BMS(Bill Management System)、BACS(Building Automation and Control System)等と呼ばれる。これらに厳密な定義はないがそれぞれを簡単に説明する。
【0026】
BASは、物件にある設備を自動制御するシステムである。管理者が手動で管理していた空調、照明、防犯セキュリティシステム、電力メーターといったあらゆる設備機器をネットワーク経由で一括制御し、監視を行うことができる。
【0027】
BEMSは、物件のエネルギーを管理するためのシステムである。BASでもエネルギーを管理することは可能だが、BEMSは「エネルギー消費の可視化」により焦点を当てたシステムである。BEMSによる消費エネルギーの可視化は、リアルタイムで現在の消費エネルギーがわかるだけでなく、前日、前月、前年度のデータと比較して表示できるため、現在のエネルギー消費量が適切であるかどうかの判断が容易になる。
【0028】
BMSとは、物件の電力、空調、照明、防災、防犯等の各種設備機器を監視制御するシステムである。オフィスビルをはじめとする物件においては、これら各種の設備機器が稼働する。これらを安全な状態で維持し、本来の機能を発揮するために、その状態を監視したり、異常が起きた場合に異常の内容を即座に検出したりする必要がある。また、管理者が設備機器を直接、操作しなくても、遠隔から操作したり、設定変更したりできれば、作業負担を低減できる。
【0029】
BACSとは、厳密ではないが、BASとBMSとBEMSとを合わせたシステムをいい、ISO:16484-5に登録されている。
【0030】
以下では、BAS、BEMS、BMS、BACS又はこれらに類似する設備や物件のシステムを特に区別せず、設備管理システムとして説明する。
【0031】
<システム構成例>
図1は、設備管理装置10がネットワークを介して各種の設備機器20を制御する設備管理システム100のシステム構成図の一例である。
図1に示すように、設備管理装置10と各種の設備機器20がネットワークN1を介して通信可能に接続されている。このネットワークN1は、例えばBACnetが想定される。BACnetはBACnetプロトコルを用いて設備管理システム100が各種の設備機器20と通信するネットワークである。ネットワークN1は、専用のケーブルが使用されてもよいし、通常のLANと同様にイーサネットケーブル(登録商標)が使用されてもよい。設備管理システム100はネットワーク通信にBACnetプロトコルを使用する必要はなく、BACnetプロトコルは一例に過ぎない。例えば通信プロトコルは、Modbus等でもよい。
【0032】
設備機器20としては、例えば、空調機、照明装置、防犯装置、防災装置、電力装置、及び、エレベータが図示されているが、これらは一例である。なお、設備機器20とBACnetの間にはBACnetゲートウェイと呼ばれるゲートウェイ装置が置かれる場合がある。BACnetゲートウェイは、BACnetプロトコルに対応した通信データを、各設備機器20が対応する通信プロトコルの通信データに変換し、各設備機器20が対応する通信プロトコルの通信データをBACnetプロトコルに対応した通信データに変換する。各設備機器20が対応する通信プロトコルとは、設備機器20を製造した企業などが定めた独自の通信プロトコルである。したがって、設備機器20は製造元の企業やブランドが異なっていてもよい。
【0033】
設備管理装置10はWebサーバの機能を有しており、設備機器20を管理する画面をHTML等で作成し、ネットワークN2を介して端末装置50に送信する。ネットワークN2は例えばインターネットなどである。ユーザーは、端末装置50を任意の場所から設備管理装置10に接続させることで、設備機器20を監視できる。端末装置50がない場合でも、ユーザーは設備管理装置10が有するコンソール(ディスプレイやキーボード)を直接、操作して設備機器20を監視できる。
【0034】
また、ネットワークN2には対応情報作成装置60が通信可能に接続されている。対応情報作成装置60はネットワークN2を介して設備管理装置10と通信可能であればよく、常に、ネットワークN2と接続している必要はない。本開示で説明されるデバイスデータポイント16とモデルデータポイント15との接続を行う際、設備管理装置10は単体で可能である。
【0035】
対応情報作成装置60は、Windows(登録商標)などのOSがインストールされた任意の情報処理装置でよい。対応情報作成装置60には後述するソフトウェアツールがインストールされており、モデルデータポイントとデバイスデータポイント(これらの詳細は後述する)とを接続する(又は対応付ける)処理を行う。本開示では、「接続する」という用語を使用する。なお、対応情報作成装置60は、ソフトウェアツールが動作可能であればよく、PC(Personal Computer)、タブレット端末、スマートフォン等でよい。
【0036】
BACnetでは設備機器20の機能がオブジェクトという概念で扱われる。オブジェクトは様々な情報がグループ化されて表現されたものであり、オブジェクトに関連した情報をBACnetではプロパティという。例えば、空調機がオブジェクトだった場合、空調機で可能な制御内容(温度や風量等)がプロパティに相当する。また、BACnetでは、オブジェクト又は関連するプロパティを読み出したり、書き込んだりすることをサービスという。本開示の以下の説明では、説明の便宜上、オブジェクトとプロパティを区別せずに単に「デバイスデータポイント」と称している。
【0037】
<情報処理システム内のソフトウェア構造>
図2は、設備管理システム100を制御するソフトウェア201の構造を説明する図である。このソフトウェア201は設備管理装置10で動作する。上記のように、設備管理装置10には実際に存在する設備機器20が通信可能に接続されている。ソフトウェア201はこれら設備機器20の制御及び監視を行うアプリケーションである。ソフトウェア201は、設備機器20を設備管理装置10上で扱うため、設備機器20とのインターフェースとなるデバイスデータポイント16を有している。デバイスデータポイント16は、設備機器20へ入力される又は設備機器20が出力するデータを保持する。デバイスデータポイント16は、アナログ信号やデジタル信号など設備機器20に対し入出力されるデータの種類や形式に応じて用意されており、設備機器20によって異なる場合が多い。ユーザーは設備管理装置10上で設備機器20のデバイスデータポイント16を操作できる。
【0038】
また、ソフトウェア201は、エンジニアが作成したユーザーインターフェースやシステム制御のロジックを有している。
図2では、ユーザーインターフェースとして空調機1,2のグラフィック21を示した。また、システム制御のロジックとして、デマンド制御22と照明スケジュール制御23を示した。デマンド制御22は、設備機器20を任意の設定値に制御する。照明スケジュール制御23は、照明の点灯や明るさの制御をスケジューリングする。
【0039】
ユーザーインターフェースやシステム制御のロジックは、ユーザーが異なる設備機器20を容易に操作できるようにするため、異なる設備機器20に共通のユーザーインターフェースやシステム制御のロジックが提供される。ただし、ユーザーインターフェースやシステム制御のロジックが、設備機器20ごとに存在してもよい。
【0040】
ユーザーインターフェースからユーザーがデバイスデータポイント16を経由して設備機器20を操作できるように、従来、設備管理システム100を稼働させる前に、導入作業者が、ユーザーインターフェースやシステム制御のロジック等の各モデルデータポイント15をデバイスデータポイント16と接続させる作業を行う。モデルデータポイント15は、設備機器20を監視制御するアプリケーション(上記のソフトウェア201)で用いるデータを保持する。
【0041】
図2では、空調機1,2のグラフィック21に関するモデルデータポイント15は、デバイスデータポイント16である例えばON/OFF、又は、運転モードと接続させられる。デマンド制御22に関するモデルデータポイント15は、デバイスデータポイント16である例えば空調機の設定値と接続させられる。照明スケジュール制御23に関するモデルデータポイント15は、デバイスデータポイント16である例えば照明コントローラのON/OFF又は照度と接続させられる。従来、導入作業者はこのようにユーザーインターフェースや制御のモデルデータポイント15と設備機器側のデバイスデータポイント16を接続させる。
【0042】
設備管理システム100の納入先の物件ごとにどのような設備機器20があるかは様々なので、設備管理システム100の作業導入者は、設備管理システム100をゼロから構築している。設備管理システム100の構築方法の1つに、専用のソフトウェアツール上で、導入作業者がモデルデータポイント15とデバイスデータポイント16を手作業で接続する方法がある。
【0043】
図2ではいくつかの矢印が接続を模式的に示している。双方向の矢印は、デバイスデータポイント16とモデルデータポイント15の間で双方向にデータ通信が可能であることを意味し、片方向の矢印は、デバイスデータポイント16とモデルデータポイント15の間で片方向にのみデータ通信が可能であることを意味する。
【0044】
ユーザーが、設備管理装置10が提供するユーザーインターフェースにデータを入力すると、設備管理装置10は、ユーザーインターフェースのモデルデータポイント15に接続されたデバイスデータポイント16にデータを出力する。デバイスデータポイント16はBACnetを通じてデータを設備機器20に送信する。このように、ユーザーは、ソフトウェア201から実機器の制御を行うことができる。逆に、設備機器20からBACnetを通じてデバイスデータポイント16に届いたデータはモデルデータポイント15に届くので、ユーザーは、設備機器20の状態を確認できる。
【0045】
<比較例>
本開示の技術との比較例として、導入作業者が手動でデバイスデータポイント16とモデルデータポイント15を接続する作業について説明する。導入作業のためのソフトウェアツールが存在し、導入作業者は、対応情報作成装置60を操作して作業を行う。
【0046】
図3は、導入作業者がソフトウェアツールにおいてデバイスデータポイント16とモデルデータポイント15とを接続する作業を模式的に説明する図である。
【0047】
導入作業者は、
A.設備機器20とデバイスデータポイント16
B.デバイスデータポイント16とモデルデータポイント15
を手作業で接続する。本開示では、このうちBの接続作業を自動化できる。
【0048】
<ソフトウェア、ソフトウェアツールの構成例>
図4は、対応情報作成装置60で動作するソフトウェアと設備機器20との対応を模式的に示す図である。上記のように設備機器20と設備管理装置10がネットワークN1を介して接続されている。ネットワークN1には収集データ記憶部39も接続されている。収集データ記憶部39は、設備機器20から取得される各種の情報を保存している。
【0049】
図4では1つ又は複数の設備機器20に1つのコントローラ32が接続されてる。コントローラ32は、ハードウェアとしての設備機器20の操作を受け付ける機能と設備機器20に制御信号を送信する機能を有する。すなわち、コントローラ32を共通とする1つ以上の設備機器20とコントローラ32が接続されている。
【0050】
なお、ソフトウェアとソフトウェアツールには実質的な違いがないが、説明の便宜上、導入までに使用されるものをソフトウェアツール、導入後に使用されるものをソフトウェアと称する。
【0051】
このソフトウェアツールには、ステーションテンプレート17と、モデルテンプレート14と、デバイステンプレート19と、が用意されている。ステーションテンプレート17はステーションファイルをテンプレート化したものである。ステーションファイルは設備管理システム100を抽象化したものである。
【0052】
モデルテンプレート14は、モデルデータポイント15が配置される作業領域である。 モデルデータポイント15は、設備機器20の種類ごとに用意されたモデルテンプレートに基づいて生成され、モデルテンプレート14には、設備機器20の監視制御に用いるモデルデータポイント15が定義されると共に、モデルデータポイント15ごとに識別情報(後述するタグ)が定義される。モデルテンプレート14には、
図2に示したユーザーインターフェースや制御に対応するモデルデータポイント15が設定される。
【0053】
デバイステンプレート19は、デバイスデータポイント16が配置される作業領域である。デバイスデータポイント16は、設備機器20の型番ごとに用意されたデバイステンプレート19に基づいて生成され、デバイステンプレート19には、設備機器20が保持する全てのデバイスデータポイント16が定義されると共に、デバイスデータポイント16ごとに識別情報(後述するタグ)が定義される。デバイステンプレート19には、
図2に示したデバイスデータポイント16が設定される。
【0054】
モデルテンプレート14は設備機器20の種類ごとに用意され、デバイステンプレート19は型番ごとに用意される。種類は、設備機器20のシリーズ名やブランド名を表す。型番は、設備機器20が同じシリーズ名やブランド名で展開された機種等に相当する。
図4では、空調機A001、空調機A002、空調機B001、が型番であり、空調機A、空調機Bが種類である。
【0055】
ステーションテンプレート17に導入作業者がデバイステンプレート19とモデルテンプレート14を追加して設備管理システム100の機能を作成していく。つまり、ステーションテンプレート17は設備管理システムの基盤となるものでデバイステンプレート19とモデルテンプレート14をまとめるものである。
【0056】
ステーションテンプレート17は2つのレイヤ(モデルレイヤ18bとドライバレイヤ18a)を有している。ドライバレイヤ18aは、設備機器20側のレイヤであり、モデルレイヤ18bは、ユーザーインターフェース側のレイヤである。設備機器20側のドライバレイヤ18aには設備機器20の型番ごとにデバイステンプレート19が配置される。デバイステンプレート19には設備機器20に入出力されるデータを保持するデバイスデータポイント16が設定される。ユーザーインターフェース側のモデルレイヤ18bには設備機器20の種類ごとにモデルテンプレート14が配置される。モデルテンプレート14には設備機器20に関するデータを保持するモデルデータポイント15が設定される。型番の数≧種類の数、という関係があるため、デバイステンプレート19が有するデバイスデータポイント16の数は、モデルテンプレート14が有するモデルデータポイント15の数以上である。モデルテンプレート14内のモデルデータポイント15を同じ製品区分である種類でまとめることで、多くのパターンのモデルテンプレート14を作成する必要がなく、工数を削減できる。また、モデルデータポイント15とデバイスデータポイント16の接続は、モデルテンプレート14が有するリンクルールを起点に行われるので、接続処理の回数を低減できる。
【0057】
デバイスデータポイント16とモデルデータポイント15はそれぞれデータを保持するものである。デバイスデータポイント16が有するデータはコントローラ32で参照可能であり、モデルデータポイント15に設定されたデータはユーザーインターフェースで参照可能である。モデルデータポイント15は、モデルデータポイント15に接続されたデバイスデータポイント16に設備機器20から送信されたデータを受け取る。このデータには表示処理やロジック処理などモデルデータポイント15に応じた加工が行われる。デバイスデータポイント16は、デバイスデータポイント16に接続されたモデルデータポイント15から送信されたデータを受け取って設備機器20に送信する。本開示の対応情報作成装置60は、設備管理装置10において、モデルデータポイント15とデバイスデータポイント16のとの間の参照が可能になるように、デバイステンプレート19のデバイスデータポイント16とモデルテンプレート14のモデルデータポイント15とを自動で接続する。
【0058】
次に、
図5を参照して、ソフトウェアツールによるデバイスデータポイント16とモデルテンプレート14の自動接続について説明する。
図5は、対応情報作成装置60で動作するソフトウェアツールの構成を説明する図である。
図5に示すようにソフトウェアツールでは、ステーションテンプレート17にモデルテンプレート14とデバイステンプレート19が配置される。これらは導入作業者が設定できる。ステーションテンプレート17においてモデルテンプレート14が配置されるレイヤを上記のモデルレイヤ18bといい、デバイステンプレート19及びデータ変換テンプレート31が配置されるレイヤをドライバレイヤ18aという。
【0059】
モデルテンプレート14では、複数のフォルダ33が階層構造を有している。そして、各フォルダ33に1つ以上のモデルデータポイント15が含まれる。モデルデータポイント15はその機能が類似するものがまとめて同じフォルダ33に格納される。フォルダ33の下位の丸や四角がモデルデータポイント15を示す。導入作業者がこのようにフォルダ33にモデルデータポイント15を格納するのは、これらの数が多いため管理をしやすくするためと、全システム内に同じ識別情報(後述するタグ)のモデルデータポイント15が存在しても接続処理の対象のモデルデータポイント15をフォルダ33内のものに制限するため等が理由である。
【0060】
デバイステンプレート19も1つ以上のフォルダ35を有している。
図5ではデバイステンプレート19が1つのフォルダ35を有しているが、通常は、複数のフォルダ35が存在する。フォルダ35には1つ以上のデバイスデータポイント16が含まれる。デバイスデータポイント16はその機能が類似するものがまとめて同じフォルダ35に格納される。フォルダ35の下位の丸がデバイスデータポイント16を示す。導入作業者がこのようにフォルダ35にデバイスデータポイント16を格納するのは、これらの数が多いため管理をしやすくするためと、全システム内に同じ識別情報(後述するタグ)のデバイスデータポイント16が存在しても接続処理の対象のデバイスデータポイント16をフォルダ35内のものに制限するため等が理由である。
【0061】
また、デバイステンプレート19のデバイスデータポイント16のデータ形式を変換してモデルテンプレート14のデータ形式に適合させる(又はこの逆)データ変換テンプレート31が使用される場合がある。データ変換テンプレート31は、デバイスデータポイント16とモデルデータポイント15のデータ形式を相互に変換するためのツールのひな型である。
【0062】
データ変換テンプレート31も1つ以上のフォルダ36を有している。
図5ではデータ変換テンプレート31が1つのフォルダ36を有しているが、これは作図の便宜上のために過ぎず、通常は、複数のフォルダ36が存在する。フォルダ36には1つ以上の変換データポイント34が含まれる。データ変換テンプレート31はモデルテンプレート14側の変換データポイント34aとデバイステンプレート19側の変換データポイント34bとを有している。
【0063】
本開示では、対応情報作成装置60が上記のBの接続を自動的に行う。自動的に接続するソフトウェアツールにおける機能をオートリンクモジュール30という。オートリンクモジュール30は、ドライバレイヤ18aで動作するが、モデルレイヤ18b又はドライバレイヤ18aとモデルレイヤ18bの両方で動作してもよい。オートリンクモジュール30は、リンクルールに基づいてデバイスデータポイント16とモデルデータポイント15を接続させる。リンクルールについて詳細は
図12にて説明する。
【0064】
<デバイスデータポイントとモデルデータポイントの接続例>
以上の構成に基づいて、本開示の自動接続の概略を説明する。まず、導入作業者は、デバイスデータポイント16とモデルデータポイント15のそれぞれについてタグ(識別情報)を付与する。対応情報作成装置60は、タグをもとにモデルテンプレート14のモデルデータポイント15と接続すべきデバイステンプレート19のデバイスデータポイント16を特定し、自動で接続する。また、モデルテンプレート14とデバイステンプレート19でデータ形式が異なる場合、対応情報作成装置60は、デバイステンプレート19のデバイスデータポイント16とデータ変換テンプレート31の変換データポイント34bを接続し、変換データポイント34aとモデルテンプレート14のモデルデータポイント15を自動で接続する。
【0065】
図6は、デバイスデータポイント16とモデルデータポイント15の接続例を説明する図である。
図6に示すように、デバイステンプレート19に複数のデバイスデータポイント16が存在し、モデルテンプレート14に複数のモデルデータポイント15が存在する。デバイスデータポイント16とモデルデータポイント15はそれぞれ1つのデータと対応する。設備管理システムでは種々のデータが扱われるが、データは、例えば室内温度、ファンのOn/Off、又は、吹き出し口温度等である。
【0066】
導入作業者は、デバイスデータポイント16と各モデルデータポイント15に特徴を示すタグを設定する。タグは、デバイスデータポイント16とモデルデータポイント15の識別情報となるが、導入作業者が判別しやすいタグを設定してよい。自動接続を実施する際、対応情報作成装置60は、モデルテンプレート14にあるモデルデータポイント15のタグと、同一のタグを有するデバイステンプレート19のデバイスデータポイント16を探し、それらを接続する。
【0067】
図6では、一部のモデルデータポイント15に対しデータ変換テンプレート31が配置されている。導入作業者は、デバイステンプレート19のデバイスデータポイント16のデータ形式と、モデルテンプレート14のモデルデータポイント15のデータ形式とを知っているので、両者のデータ形式が異なる場合、デバイステンプレート19とモデルテンプレート14との間に設定されるデータ変換テンプレート31を用意する。導入作業者は、自動接続を実施する場合、例えば、データ変換テンプレート31が必要なデバイステンプレート19とモデルテンプレート14をソフトウェアツールで選択したのち、接続処理を実行する。
【0068】
<ハードウェア構成例>
図7は、設備管理装置10及び対応情報作成装置60のハードウェア構成図である。
図7に示されているように、設備管理装置10及び対応情報作成装置60は、コンピュータ500によって構築されており、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、バスライン510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0069】
これらのうち、CPU501は、コンピュータ500全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークI/F509は、ネットワークN1、N2を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン510は、
図7に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0070】
また、キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RWは、DVD-R等であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0071】
<機能について>
図8は、オートリンクモジュール30が動作する対応情報作成装置60の機能ブロック図である。この対応情報作成装置60は、PCなど任意のコンピュータでよい。対応情報作成装置60は、検索部61、表示制御部62、リレーション設定部63、リンク作成部64、及び、操作受付部65を有している。対応情報作成装置60が有するこれら各機能部は、対応情報作成装置60にインストールされた1以上のプログラムに含まれる命令を
図5に示したCPU501が実行することで実現される機能又は手段である。このプログラムはソフトウェアツールでよい。
【0072】
また、対応情報作成装置60は、デバイステンプレート情報記憶部66、モデルテンプレート情報記憶部67、データ変換テンプレート情報記憶部68、及び、リンクルール記憶部69を有している。これら各記憶部は、
図5に示したHD504やRAM503等に構築される。
【0073】
検索部61は、2つの検索を行う。1つめとして、検索部61は、モデルテンプレート14において指定されたタグ名をデバイステンプレート19のフォルダから検索する。モデルテンプレート14とデバイステンプレート19のフォルダ間にはリレーションが設定される。2つめとして、検索部61は、設定されたリレーション内で、モデルデータポイント15により特定されるリンクルールを満たすデバイスデータポイント16を検索する。
【0074】
表示制御部62は、ソフトウェアツール(ステーションテンプレート17、モデルテンプレート14、デバイステンプレート19、データ変換テンプレート31等)を導入作業者が操作するための各種の画面を表示させる。
【0075】
リレーション設定部63は、検索部61が検索に適合すると判断したモデルテンプレート14のフォルダ33とデバイステンプレート19のフォルダ35との間にリレーションを設定する。リレーションは、検索されるデバイスデータポイント16の範囲を制限する。なお、リレーション設定部63は、モデルテンプレート14のフォルダ33とデータ変換テンプレート31のフォルダ36との間、及び、データ変換テンプレート31のフォルダ36とデバイステンプレート19のフォルダ35との間にも、リレーションを設定する。
【0076】
リンク作成部64は、検索部61が検索に適合すると判断した、モデルテンプレート14のモデルデータポイント15と、デバイステンプレート19のデバイスデータポイント16とにリンクを作成する。このリンクが本開示におけるデバイスデータポイント16とモデルデータポイント15の接続(対応付け)に相当する。また、リンク作成部64は、検索部61が検索に適合すると判断した、データ変換テンプレート31の変換データポイント34とデバイステンプレート19のデバイスデータポイント16とにリンクを作成し、データ変換テンプレート31の変換データポイント34とモデルテンプレート14のモデルデータポイント15とにリンクを作成する。
【0077】
操作受付部65は、対応情報作成装置60で動作するソフトウェアツールに対する、導入作業者の各種の操作を受け付ける。
【0078】
図9は、デバイステンプレート情報記憶部66に保存されているデバイステンプレート情報の一例である。
図9のデバイステンプレート情報は、デバイステンプレート19が有するデバイスデータポイント16を示す。デバイステンプレート情報は、型番ID、タグ、及びデバイスデータポイントIDの各項目を有する。
・型番IDの項目には、デバイステンプレート19に対応する設備機器20の型番の識別情報が格納される。
・タグの項目には、デバイスデータポイント16を導入作業者が識別する名称などが格納される。タグの項目には、検索の対象となるタグが格納される。デバイスデータポイント16のタグは、モデルデータポイント15又は変換データポイント34との接続時に検索対象となる。
・デバイスデータポイントIDには、ソフトウェアに設定されたデバイスデータポイント16の識別情報が格納される。
【0079】
図10(a)は、モデルテンプレート情報記憶部67に保存されているモデルテンプレート情報の一例である。
図10(a)のモデルテンプレート情報は、モデルテンプレート14が有するモデルデータポイント15を示す。モデルテンプレート情報は、種類ID、タグ、及びモデルデータポイントIDの各項目を有する。
・種類IDの項目には、モデルテンプレート14に対応する設備機器20の種類の識別情報が格納される。
・タグの項目には、モデルデータポイント15を導入作業者が識別する名称などが格納される。モデルデータポイント15のタグは、デバイスデータポイント16又は変換データポイント34との接続時に検索対象となる。
・リンクルールIDの項目には、モデルデータポイント15に設定されたリンクルールの識別情報が格納される。リンクルールはモデルテンプレート14ごとに用意される。
・モデルデータポイントIDには、ソフトウェアに設定されたモデルデータポイント15の識別情報が格納される。
【0080】
図10(b)は、あるモデルテンプレート14に対応付いているリンクルール情報を示す。1つ以上のリンクルールが、モデルテンプレート14ごとに用意されている。
【0081】
図11(a)は、データ変換テンプレート情報記憶部68に保存されているデータ変換テンプレート情報の一例である。
図11(a)のデータ変換テンプレート情報は、データ変換テンプレート31が有する変換データポイント34を示す。データ変換テンプレート情報は、種類ID、タグ、及び変換データポイントIDの各項目を有する。種類IDについてはモデルテンプレート情報と同様でよい。
・タグの項目には、変換データポイント34を導入作業者が識別する名称などが格納される。デバイスデータポイント用のタグと、モデルデータポイント用のタグがある。これらは同じでもよい。変換データポイント34のタグは、デバイスデータポイント16又はモデルデータポイント15との接続時に検索対象となる。
・変換データポイントIDには、ソフトウェアに設定された変換データポイントの識別情報が格納される。デバイスデータポイント用とモデルデータポイント用で別々のIDが割り当てられてもよい。
【0082】
図11(b)は、あるデータ変換テンプレート31に対応付いているリンクルール情報を示す。1つ以上のリンクルールが、データ変換テンプレート31ごとに用意されている。
・リンクルールID(for デバイスデータポイント)の項目には、デバイステンプレート19のデバイスデータポイント16とデータ変換テンプレート31の変換データポイント34を接続するためのリンクルールの識別情報が格納される。
・リンクルールID(for モデルデータポイント)の項目には、モデルテンプレート14のモデルデータポイント15とデータ変換テンプレート31の変換データポイント34を接続するためのリンクルールの識別情報が格納される。
【0083】
なお、リンクルールは、デバイスデータポイント16側とモデルデータポイント15側で同じでもよい。
【0084】
図12は、リンクルールの一例を示す。リンクルールとは、モデルデータポイント15とデバイスデータポイント16とを接続するためのルール(規則)である。また、リンクルールは、変換データポイント34とデバイスデータポイント16とを接続するためのルール(規則)であり、変換データポイント34とモデルデータポイント15とを接続するためのルール(規則)である。
【0085】
リンクルールは、モデルテンプレート14とデータ変換テンプレート31のみに設定される(デバイスデータポイント16には設定されない)。導入作業者は、モデルテンプレート14とデータ変換テンプレート31をステーションテンプレート17に追加する際に、リンクルールも設定する。
【0086】
リンクルールは以下の項目を有している。
【0087】
・Rule Name201は、リンクルールの名称であり、導入作業者が任意に設定したものである。
【0088】
・Device Relationship202は、リンクを作成するためのリレーションを示す。リレーションは、データの受け渡しとは関係なく、リンクを作るための場所を示す。リレーションの好適な例としてはフォルダとフォルダのリレーションがある。
【0089】
・Point Query203は、デバイステンプレート19のタグを検索するためのクエリ(検索条件)を示す。
図12では、Point Query203に「hs:alarm and hs:sensor」が記載されている。これは、デバイステンプレート19の、hs:alarmとhs:sensorという名称(タグ)に適合するデバイスデータポイント16と、着目しているモデルテンプレート14のモデルデータポイント15を接続することを意味する。andは論理演算子である。or、not、xorなどの論理演算子も使用できる。ユーザーはクエリで接続すべきデバイスデータポイント16を指定できる。
【0090】
データ変換テンプレート31のリンクルールの場合、Point Query203には、デバイスデータポイント16、及び、モデルテンプレート14のタグを検索するためのクエリが設定されていてよい。
【0091】
・Link Direction204は、モデルテンプレート14又はデータ変換テンプレート31から見た、リンクの方向である。Inは、デバイステンプレート19からモデルテンプレート14にデータが入力される。Inは、デバイステンプレート19からデータ変換テンプレート31にデータが入力される。Inは、データ変換テンプレート31からモデルテンプレート14にデータが入力される。Outはこれらの逆である。
【0092】
・From Slot Name205は、始点の名称である。
【0093】
・To Slot Name206は、終点の名称である。
【0094】
<動作又は処理>
図13を参照して、導入作業者が行うオートリンクモジュール30のための作業を説明する。この作業は、オートリンクモジュール30がリンクを作成するための前準備である。
図13は、導入作業者が、オートリンクモジュール30が動作する対応情報作成装置60に対して行う作業を示すフローチャート図である。
【0095】
導入作業者は、対応情報作成装置60を操作してステーションテンプレート17を追加する(S1)。すなわち、導入作業者は、デバイステンプレート19とモデルテンプレート14を追加するためのステーションテンプレート17(設備管理システムを抽象化してソフトウェアで表したもの)を用意する。
【0096】
そして、導入作業者は、デバイステンプレート19をステーションテンプレート17に追加する(S2)。導入作業者は、モデルテンプレート14をステーションテンプレート17に追加する(S3)。
【0097】
また、導入作業者は、デバイステンプレート19のデバイスデータポイント16のデータ形式を変換してモデルテンプレート14に適合させる必要がある場合(S4のYes)、データ変換テンプレート31をステーションテンプレート17に追加する(S5)。
【0098】
次に、
図14を参照して、デバイスデータポイント16とモデルデータポイント15とを接続する処理を説明する。
図14は、オートリンクモジュール30がモデルテンプレート14のモデルデータポイント15をデバイステンプレート19のデバイスデータポイント16に接続する処理を説明するフローチャート図である。
図14では、モデルテンプレート14のモデルデータポイント15とデバイステンプレート19のデバイスデータポイント16とを接続する場合を説明するが、データ変換テンプレート31の変換データポイント34とデバイステンプレート19のデバイスデータポイント16、及び、変換データポイント34とモデルデータポイント15を接続する場合も同様でよい。
【0099】
まず、導入作業者は、オートリンクモジュール30を内蔵するテンプレートをステーションテンプレート17に追加する(S11)。オートリンクモジュール30は、モデルテンプレート14又はデータ変換テンプレート31に設定されたリンクルールを1つずつ参照する。なお、導入作業者が設備機器20の種類(すなわち、モデルテンプレート14)を指定して、該種類についてのみオートリンクモジュール30に処理させてよい。あるいは、オートリンクモジュール30が異なる種類の設備機器20について順番に処理してもよい。
【0100】
オートリンクモジュール30の検索部61は、導入作業者が指定した機器種別が設定されているフォルダ33、35をデバイステンプレート19から検索する(S12)。機器種別とは、空調機、照明など設備機器20の種別をいう。すなわち、接続処理は1つの設備機器20ごとに実施される。フォルダ33,35は、設備機器20ごとに作成されており、設備機器20のフォルダ33,35の下位に機能や性質に応じてデバイスデータポイント16やモデルデータポイント15が分類されている。下位のフォルダ33、35は、例えば、温度を表すフォルダ、湿度を表すフォルダ等でよい。
【0101】
ステップS12の機器種別を持つフォルダ33、35がモデルテンプレート14とデバイステンプレート19に存在する場合(S13のYes)、表示制御部62は、ステップS12の機器種別を持つフォルダ33、35の一覧を表示する(S14)。
【0102】
導入作業者は、リレーションを張るモデルテンプレート14側のフォルダ33とデバイステンプレート19側のフォルダ35を指定する(S15)。操作受付部65が指定を受け付ける。
【0103】
オートリンクモジュール30のリレーション設定部63は、導入作業者が指定したフォルダ33とフォルダ35にリレーションを設定する(S16)。リレーションとは、データの受け渡しは行われないがリンクを作成する場所である。
【0104】
次に、検索部61は、リレーションが張られたフォルダ33を有するモデルテンプレート14に対応づけられたリンクルールを取得する(
図10参照)。検索部61は、ステップS16で設定したリレーション内(デバイステンプレート19のフォルダ35内とモデルテンプレート14内のフォルダ33)で、リンクルールを満たすデバイスデータポイント16とモデルデータポイント15を検索する(S17)。すなわち、検索部61は、リンクルールのPoint Queryに設定されているクエリに適合するタグを有する、デバイスデータポイント16とモデルデータポイント15を検索する。
【0105】
リンク作成部64は、ステップS17で検索に適合するデバイスデータポイント16とモデルデータポイント15がある場合(S18のYes)、モデルテンプレート14のモデルデータポイント15とデバイステンプレート19のデバイスデータポイント16とのリンクを作成する(S19)。
【0106】
ステップS18で検索に適合するデバイスデータポイント16又はモデルデータポイント15がない場合(S18のNo)、検索部61は、リレーションが張られたフォルダ33を有するモデルテンプレート14に対応づけられた次のリンクルールがあるか判断する(S20)。
【0107】
次のリンクルールがある場合、処理はステップS17に戻り(S21)、次のリンクルールがない場合、
図14の処理は終了する。
【0108】
データ変換テンプレート31について補足する。オートリンクモジュール30は、データ変換テンプレート31については、
図14と同じ処理をデバイステンプレート19側とモデルテンプレート14側で2回行う。検索部61は、データ変換テンプレート31が有するリンクルール(for デバイスデータポイント)のPoint Queryで、変換データポイント34のデバイスデータポイント用のタグを検索し、デバイスデータポイント16のタグを検索する。検索部61は、データ変換テンプレート31が有するリンクルール(for モデルデータポイント)のPoint Queryで、変換データポイント34のモデルデータポイント用のタグを検索し、モデルデータポイント15のタグを検索する。
【0109】
検索に適合すると、リンク作成部64は、リンクルール(for デバイスデータポイント)のPoint Queryに適合するタグを持つ、デバイステンプレート19のデバイスデータポイント16とデータ変換テンプレート31の変換データポイント34とを接続する。リンク作成部64は、リンクルール(for モデルデータポイント)のPoint Queryに適合するタグを持つ、モデルテンプレート14のモデルデータポイント15とデータ変換テンプレート31の変換データポイント34とを接続する。
【0110】
<オートリンクモジュールが作成した対応情報>
図15は、オートリンクモジュール30が作成した対応情報を模式的に説明する図である。
図15では、左から右に行くほどユーザーに近いレイヤを示す。デバイステンプレート19には1~6の数字(デバイスデータポイント16)があり、モデルテンプレート14には1~6の数字(モデルデータポイント15)がある。
【0111】
オートリンクモジュール30は、リンクルールに基づいて、同じ数字(タグを表す)のモデルデータポイント15とデバイスデータポイント16を接続する。また、データ変換が必要なデバイスデータポイント16とモデルデータポイント15については、データ変換テンプレート31を介してモデルデータポイント15とデバイスデータポイント16が接続される。数字と数字を結ぶ点線が、リンク作成部64が作成したリンクを示す。1つの以上のリンクが対応情報40である。
【0112】
このように接続されることで、設備管理システム100は、デバイスデータポイント16に保持されたデータが変更された場合、モデルデータポイント15に保持されたデータを変更し、モデルデータポイント15に保持されたデータが変更された場合、デバイスデータポイント16に保持されたデータを変更すると共に、設備機器20に対してデータ変更要求を出力する。
【0113】
プログラムモジュール部41は、設備管理システム100が有する機能を提供するソフトウェア群である。プログラムモジュール部41は、例えば、画面作成、アラーム発報、グラフ作成、スケジュール管理、タグ情報管理などを行う。
【0114】
ユーザーインターフェース部42は、ディスプレイに表示される画面を構築する機能である。ユーザーインターフェース部42は、例えばカレンダー、ユーザー管理、ダッシュボード(複数のグラフ、表など種々のデータを表示する)、アラーム管理などの画面を表示する。
【0115】
<データ形式の変換>
図16~
図20を参照し、データ変換テンプレート31によるデータの中継とデータ形式の変換について説明する。データ変換テンプレート31には変換データポイント34が設定されており、変換データポイント34は、データ形式を変換すると共に、デバイスデータポイント16のデータをモデルデータポイント15に中継し、又は、モデルデータポイント15のデータをデバイスデータポイント16に中継する。
【0116】
図16は、データ形式を説明する図である。
図16(a)~(c)に示すように、データ形式には、例えば、以下の3つがある。
(i) Boolean
(ii) Numeric
(iii) Multi
Booleanは、True or Falseの二値をとるデータ形式である。例えば、空調機のONとOFFを制御するモデルデータポイント15が取るBoolean形式の値として、True(ONを表す)とFalse(OFFを表す)がある。
【0117】
Numericは、1つの数値を取るデータ形式である。値は、整数又は小数のいずれでもよい。例えば、部屋の室内温度を表示するモデルデータポイント15が取るNumeric形式の値として24.6℃等があり、部屋の湿度を表示するモデルデータポイント15が取るNumeric形式の値として62%等がある。
【0118】
Multiは、「key : value」 の値を有するデータ形式である。keyは整数、valueはtrue/false、 数値、又は、文字列などでよい。例えば、空調機の運転モードを制御するモデルデータポイント15が取るMulti形式の値は、「1 : 自動」「2 : 冷房」「3 : 暖房」「4 : 送風」「5 : OFF」などがある。
【0119】
データ変換テンプレート31は、Boolean、Numeric、及び Multiのデータ形式を一方から他方に、他方から一方に変換できる。
【0120】
図17は、データ変換の一例として、MultiをBooleanとMultiに変換する例を示す。
図17の変換例は、デバイステンプレート19に空調機のON又はOFFを表示するデバイスデータポイント16が存在しないが、モデルテンプレート14側で空調機のON又はOFFを表示する仕様である場合に、デバイスデータポイント16が有するMulti形式のデータをモデルデータポイント15が有するBoolean形式とMulti形式のデータに変換するデータ変換である。
【0121】
デバイステンプレート19のデバイスデータポイント16は運転モードを表示するデバイスデータポイント16である。データ形式はMultiであり、デバイスデータポイント16は、「1 : 自動」「2 : 冷房」「3 : 暖房」「4 : 送風」「5 : OFF」の値を有する。
【0122】
一方、モデルテンプレート14では、導入作業者が空調機のON又はOFFを表示させたい。また、モデルテンプレート14もMulti型のデータ形式を有しているが、「key : value」 がデバイステンプレート19の「key : value」と異なっている。
【0123】
このため、データ変換テンプレート31は以下の変換を行う。まず、データ変換テンプレート31は、デバイスデータポイント16が示すMulti形式の値である「1 : 自動」「2 : 冷房」「3 : 暖房」「4 : 送風」をBoolean形式(第1のデータ形式の一例)のONに変換し、同様に、「5 : OFF」をOFFに変換する。モデルテンプレート14では、ONがTrueに対応し、OFFがFalseに対応する。また、データ変換テンプレート31は、Multi形式であるデバイステンプレート19のkeyと、Multi形式(第2のデータ形式の一例)であるモデルテンプレート14のkeyの対応を変換する。すなわち、データ変換テンプレート31は、key=1~4を変更しないが、key=5をkey=0に変換する。モデルテンプレート14では、1が自動、2が冷房、3が暖房、4が送風、0がOFFに対応する。
【0124】
このような変換により、モデルテンプレート14は、デバイスデータポイント16がBooleanのデータ形式でなくても、ON又はOFFを表示できる。また、モデルテンプレート14は、デバイステンプレート19とモデルテンプレート14のkeyの対応が異なっていても、Multi形式で運転モードを表示できる。
【0125】
この場合、リンク作成部64は、デバイステンプレート19のMulti形式のデバイスデータポイント16を、データ変換テンプレート31のBoolean→Multi変換用の変換データポイント34cと接続する。データ変換テンプレート31は、key=1~4、又はkey=5に応じて、True又はFalseに変換する。
【0126】
また、リンク作成部64は、デバイステンプレート19のMulti形式のデバイスデータポイント16を、データ変換テンプレート31のMulti→Multi変換用の変換データポイント34dと接続する。データ変換テンプレート31は、key=1~4を変換しないが、key=5をkey=0に変換する。
【0127】
また、リンク作成部64は、データ変換テンプレート31のBoolean→Multi変換用の変換データポイント34cを、モデルテンプレート14のBoolean形式のモデルデータポイント15cと接続し、データ変換テンプレート31のMulti→Multi変換用の変換データポイント34dを、モデルテンプレート14のMulti形式のモデルデータポイント15dと接続する。
【0128】
これにより、デバイステンプレート19のデバイスデータポイント16が保持するMulti形式のデータはデータ変換テンプレート31でBoolean形式のデータ及びMulti形式のデータに変換され、モデルテンプレート14のBoolean形式とMulti形式のモデルデータポイント15に送信される。
【0129】
図18は、
図17において、モデルテンプレート14から見て同じデータ形式がデバイステンプレート19に存在しない場合のデータ形式の変換例を示す。
図18では、モデルテンプレート14から見たデータの流れを説明する。
図18では、デバイステンプレート19に、モデルテンプレート14が有する空調機のON又はOFFを指令するデバイスデータポイント16が存在しない。このため、空調機のON又はOFFを指令するデータ変換テンプレート31が必要である。同様に、モデルテンプレート14のMulti形式のkeyとvalueの対応が、デバイステンプレート19のkeyとvalueの対応と異なる。このため、モデルテンプレート14の運転モードを、デバイステンプレート19の運転モードに変換するデータ変換テンプレート31が必要である。
【0130】
そこで、
図18では、データ変換テンプレート31が、モデルテンプレート14のTrueをMulti形式のkey=1に変換し、モデルテンプレート14のFalseをMulti形式のkey=5に変換する。また、データ変換テンプレート31は、Multi形式であるモデルテンプレート14のkeyと、Multi形式であるデバイステンプレート19のkeyの対応を変換する。すなわち、データ変換テンプレート31は、key=1~4を変更しないが、key=0をkey=5に変換する。
【0131】
このような変換により、モデルテンプレート14は、デバイスデータポイント16がBooleanのデータ形式でなくても、ON又はOFFをデバイステンプレート19に指示できる。また、モデルテンプレート14は、デバイステンプレート19とモデルテンプレート14のkeyの対応が異なっていても、Multi形式で運転モードをデバイステンプレート19に指示できる。
【0132】
リンク作成部64は、モデルテンプレート14のBoolean形式のモデルデータポイント15cをデータ変換テンプレート31のBoolean→Multi変換用の変換データポイント34cと接続し、モデルテンプレート14のMulti形式のモデルデータポイント15dをデータ変換テンプレート31のMulti→Multi形式変換用の変換データポイント34dと接続する。
【0133】
また、リンク作成部64は、データ変換テンプレート31のBoolean→Multi形式変換用の変換データポイント34cを、デバイスデータポイント16のMulti形式のデバイスデータポイント16と接続する。リンク作成部64は、データ変換テンプレート31のMulti→Multi形式変換用の変換データポイント34dを、デバイステンプレート19のMulti形式のデバイスデータポイント16と接続する。
【0134】
図18によれば、モデルテンプレート14のモデルデータポイント15が保持するBoolean形式のデータはデータ変換テンプレート31でMulti形式のkey(Trueが1、Falseが5)に変換され、デバイステンプレート19のデバイスデータポイント16に送信される。モデルテンプレート14のモデルデータポイント15が保持するMulti形式のデータはデータ変換テンプレート31でkeyの対応が変換され(0を5に変換)、デバイステンプレート19のデバイスデータポイント16に送信される。
【0135】
図19は、データ変換の一例として、NumericをBoolean及び Multiに変換する例を示す。
図19の変換例は、デバイステンプレート19のデバイスデータポイント16ではファン回転数が表示されるが、モデルテンプレート14ではファンのON/OFFと運転モードが表示される場合のデータ変換である。
【0136】
デバイステンプレート19のデバイスデータポイント16はファン回転数を表示するデバイスデータポイント16である。データ形式はNumericである。一方、モデルテンプレート14は、ファンのON又はOFFを表示させる仕様である。また、モデルテンプレート14は、運転モード(「1 : OFF」「2 : 弱」「3 : 中」「4 : 強」)を表示させる仕様である。
【0137】
このため、データ変換テンプレート31は以下の変換を行う。まず、データ変換テンプレート31は、デバイスデータポイント16が示す値(Numeric)が0の場合、Falseに変換し、0より大きい場合、Trueに変換する。モデルテンプレート14では、ONがTrueに対応し、OFFがFalseに対応する。また、データ変換テンプレート31は、デバイスデータポイント16が示す値(Numeric)に応じて、この値をMulti形式のkey(1~4)に変換する。すなわち、データ変換テンプレート31は、ファン回転数が0の場合、key=1に変換し、ファン回転数が1~100の場合、key=2に変換し、ファン回転数が101~500の場合、key=3に変換し、ファン回転数が500超の場合、key=4に変換する。モデルテンプレート14では、1がOFF、2が弱、3が中、4が強に対応する。これらの数値は一例である。
【0138】
このような変換により、モデルテンプレート14は、デバイスデータポイント16がBooleanのデータ形式でなくても、ファンの回転数から変換したON又はOFFを表示できる。また、デバイステンプレート19がMulti形式でなくても、モデルテンプレート14がMulti形式で運転モードを表示できる。
【0139】
リンク作成部64は、デバイステンプレート19のNumeric形式のデバイスデータポイント16を、データ変換テンプレート31のNumeric→Boolean変換用の変換データポイント34eと接続し、Numeric形式のデバイスデータポイント16を、データ変換テンプレート31のNumeric→Multi変換用の変換データポイント34fと接続する。また、リンク作成部64は、データ変換テンプレート31のNumeric→Boolean変換用の変換データポイント34eを、モデルテンプレート14のBoolean形式のモデルデータポイント15eと接続し、データ変換テンプレート31のNumeric→Multi変換用の変換データポイント34fを、モデルテンプレート14のMulti形式のモデルデータポイント15fと接続する。
【0140】
これにより、デバイステンプレート19のデバイスデータポイント16が保持するNumeric形式のデータはデータ変換テンプレート31でBoolean形式のデータ及びMulti形式のデータに変換され、モデルテンプレート14のBoolean形式とMulti形式のモデルデータポイント15に送信される。
【0141】
図20は、
図19において、モデルテンプレート14とデバイステンプレート19で、ファン回転数及び運転モードのデータ形式が異なる場合のデータ形式の変換例を示す。
図20では、モデルテンプレート14から見たデータの流れを説明する。
図20では、デバイステンプレート19に、モデルテンプレート14が有するファンのON又はOFFを指令するデバイスデータポイント16が存在しない。このため、ファンのON又はOFFを指令するデータ変換テンプレート31が必要である。同様に、デバイステンプレート19に、モデルテンプレート14が有する運転モードを表示するデバイスデータポイント16が存在しない。このため、運転モードを表示するデータ変換テンプレート31が必要である。
【0142】
そこで、
図20では、データ変換テンプレート31が、モデルテンプレート14のTrueをNumeric形式の100rpmに変換し、モデルテンプレート14のFalseをNumeric形式の0rpmに変換する。また、データ変換テンプレート31が、モデルテンプレート14のMulti形式の「1:OFF」の「1」をNumeric形式の0に変換し、モデルテンプレート14のMulti形式の「2:弱」の「2」をNumeric形式の100に変換し、モデルテンプレート14のMulti形式の「3:中」の「3」をNumeric形式の300に変換し、モデルテンプレート14のMulti形式の「4:強」の「4」をNumeric形式の500に変換する。
【0143】
このような変換により、モデルテンプレート14は、デバイスデータポイント16がBooleanのデータ形式でなくても、ファンのON又はOFFをデバイステンプレート19に指示できる。また、デバイステンプレート19がMulti形式でなくても、モデルテンプレート14がMulti形式で運転モードをデバイステンプレート19に指示できる。
【0144】
リンク作成部64は、モデルテンプレート14のBoolean形式のモデルデータポイント15eを、データ変換テンプレート31のBoolean→Numeric変換用の変換データポイント34eと接続し、モデルテンプレート14のMulti形式のモデルデータポイント15fを、データ変換テンプレート31のMulti→Numeric変換用の変換データポイント34fと接続する。また、リンク作成部64は、データ変換テンプレート31のBoolean→Numeric形式変換用の変換データポイント34eを、デバイステンプレート19のNumeric形式のデバイスデータポイント16と接続し、データ変換テンプレート31のMulti→Numeric変換用の変換データポイント34fを、デバイステンプレート19のNumeric形式のデバイスデータポイント16と接続する。
【0145】
図20によれば、モデルテンプレート14のモデルデータポイント15eが保持するBoolean形式のデータはデータ変換テンプレート31でNumeric形式のファン回転数に変換され、デバイステンプレート19のデバイスデータポイント16に送信される。モデルテンプレート14のモデルデータポイント15fが保持するMulti形式のデータはデータ変換テンプレート31でファン回転数に変換され、デバイステンプレート19のデバイスデータポイント16に送信される。したがって、デバイステンプレート19に、モデルテンプレート14が有するファンのON又はOFFを指令するデバイスデータポイント16が存在しなくても、ユーザーがファンのON又はOFFを指令できる。デバイステンプレート19に、モデルテンプレート14が有する運転モードを扱うデバイスデータポイント16が存在しなくても、ユーザーが運転モードを指令できる。
【0146】
図17~
図20では、データ変換テンプレート31が1つのデータ形式を2つのデータ形式に変換したが、1つのデータ形式を3つ以上のデータ形式に変換してもよい。また、データ変換テンプレート31は、モデルテンプレート14の1つのデータ形式を、デバイステンプレート19の2つ以上のデータ形式に変換してもよい。
【0147】
<主な効果>
本開示の情報処理方法は、手作業でデバイスデータポイント16とモデルデータポイント15の接続作業を行う場合と比較して作業者によるミスが少なくなり、現場での接続テストなどの工数を減らすことができる。設備管理システム100構築の工数削減により必要経費を下げることが可能である。
【0148】
<その他の適用例>
以上、本開示を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本開示はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0149】
例えば、本開示では、設備管理システム100について説明したが、ソフトウェア内で一方のデータポイントと他方のデータポイントとを接続する場合に好適に適用できる。
【0150】
また、デバイスデータポイント16とモデルデータポイント15とを自動で対応付ける処理は、対応情報作成装置60でなく設備管理装置10が行ってもよい。
【0151】
また、本開示では、モデルテンプレート14又はデータ変換テンプレート31がリンクルールを有すると説明したが、モデルデータポイント15又は変換データポイント34にリンクルールが対応付けられていてもよい。
【0152】
また、
図8などの構成例は、対応情報作成装置60による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本開示が制限されることはない。対応情報作成装置60の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0153】
また、実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、対応情報作成装置60は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
【0154】
上記で説明した本開示の各機能は、プログラムの実行によるソフトウェア処理だけでなく、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」は、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、及び、従来の回路モジュール等のデバイスを含む。
【0155】
<効果が生じる理由>
・本開示の第1の態様は、「設備機器を監視制御するアプリケーションで用いるデータを保持するモデルデータポイントと、物件に設置された前記設備機器から入力又は出力するデータを保持するデバイスデータポイントと」を、「制御部が、前記モデルデータポイントと前記デバイスデータポイントに付与された識別情報に基づいて、前記モデルデータポイントと前記デバイスデータポイントを対応付ける」ので、手作業で行われていた対応付けの作業を自動化でき、対応付けの作業負担を低減できる。第1の態様の識別情報とは、モデルデータポイント15又はデバイスデータポイント16を一意に識別又は特定するための、文字、数字、記号、アルファベット、又は、これらの組み合わせである。本実施形態では、タグという用語で説明される。
【0156】
・本開示の第2の態様は、「前記モデルデータポイントは、前記設備機器の種類ごとに用意されたモデルテンプレートに基づいて生成され」るので、モデルテンプレート14内のモデルデータポイント15を同じ製品区分である種類でまとめることで、多くのパターンのモデルテンプレート14を作成する必要がなく、工数を削減できる。また、「前記モデルテンプレートには、前記設備機器の監視制御に用いる前記モデルデータポイントが定義されると共に、前記モデルデータポイントごとに識別情報が定義される」ので、モデルデータポイントにより設備機器を監視制御できる。
【0157】
・本開示の第3の態様は、「前記設備管理装置は、対応付ける前記モデルデータポイント及び前記デバイスデータポイントに付与された識別情報を定めたリンクルールを保持しており、前記制御部は、前記リンクルールに基づき対応づける前記モデルデータポイントと前記デバイスデータポイントを判断し、対応付ける」ので、ユーザーはリンクルールを適切に設定することで、モデルデータポイントとデバイスデータポイントの接続を制御できる。
【0158】
・本開示の第4の態様は、「前記デバイスデータポイントは、前記設備機器の型番ごとに用意されたデバイステンプレートに基づいて生成され、前記デバイステンプレートには、前記設備機器が保持する全ての前記デバイスデータポイントが定義されると共に、前記デバイスデータポイントごとに識別情報が定義される」ので、モデルデータポイント15とデバイスデータポイント16の接続が、モデルテンプレート14が有するリンクルールを起点に行われるので、接続処理の回数を低減できる。
【0159】
・本開示の第5の技術は、「前記制御部は、前記デバイスデータポイントに保持されたデータが変更された場合、前記モデルデータポイントに保持されたデータを変更し、前記モデルデータポイントに保持されたデータが変更された場合、前記デバイスデータポイントに保持されたデータを変更すると共に、前記設備機器に対してデータ変更要求を出力する」ので、デバイスデータポイント16から送信されたデータを設備管理装置10が表示してユーザーが確認でき、ユーザーがデータを変更すると、このデータを設備機器20に送信できる。
【0160】
・本開示の第6の態様は、モデルデータポイントが設備機器20の種類ごとに用意されたモデルテンプレートに基づいて生成され、デバイスデータポイント16が設備機器20の型番ごとに用意されたデバイステンプレートに基づいて生成され、「前記モデルテンプレートの前記モデルデータポイントと、前記デバイステンプレートの前記デバイスデータポイントを、前記モデルデータポイントと前記デバイスデータポイントに付与されている識別情報に基づいて対応付ける」ので、設備機器20の種類とこれに適合する型番のデータポイント同士を接続できる。
【0161】
・本開示の第7の態様は、「前記変換データポイントと前記デバイスデータポイントに付与されている識別情報に基づいて、前記変換データポイントと前記デバイスデータポイントを対応付け、前記変換データポイントと前記モデルデータポイントに付与されている識別情報に基づいて、前記変換データポイントと前記モデルデータポイントを対応付ける」ので、デバイスデータポイント16のデータ形式をモデルデータポイントのデータ形式に変換し、モデルデータポイント15のデータ形式をデバイスデータポイント16のデータ形式に変換できる。
【0162】
・本開示の第8の態様は、「デバイスデータポイントが出力するデータのデータ形式を、前記変換データポイントと対応づけられた前記モデルデータポイントが対応する第1のデータ形式と第2のデータ形式に変換するか」「前記モデルデータポイントが対応する第1のデータ形式と第2のデータ形式を、前記変換データポイントと対応づけられた前記デバイスデータポイントに入力されるデータのデータ形式に変換する」ので、モデルデータポイント15が2つのデータ形式のデータを保持しても、デバイスデータポイント16の1つのデータ形式を、モデルデータポイント15のデータ形式に変換できる。
【0163】
・本開示の第9の態様は、デバイスデータポイント16が扱う、keyとvalueの複数の組を有するデータ形式を、モデルデータポイント15が扱う、二値をとるデータ形式と、keyとvalueの複数の組を有するデータ形式とに変換でき、又は、
モデルデータポイント15が扱う、二値をとるデータ形式及びkeyとvalueの複数の組を有するデータ形式を、デバイスデータポイント16が扱うkeyとvalueの複数の組を有するデータ形式に変換できる。
【0164】
・本開示の第10の態様は、デバイスデータポイント16が扱う、数値のデータ形式を、モデルデータポイント15が扱う、二値をとるデータ形式と、keyとvalueの複数の組を有するデータ形式とに変換でき、又は、
モデルデータポイント15が扱う、二値をとるデータ形式及びkeyとvalueの複数の組を有するデータ形式を、デバイスデータポイント16が扱う数値のデータ形式に変換できる。
【符号の説明】
【0165】
14 モデルテンプレート
15 データポイント
16 デバイスデータポイント
19 デバイステンプレート
20 設備機器
60 対応情報作成措置
100 設備管理システム
【手続補正書】
【提出日】2024-08-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備機器を管理する設備管理装置が、
前記設備機器を監視制御するアプリケーションで用いるデータを保持するモデルデータポイントと、
物件に設置された前記設備機器から入力又は出力するデータを保持するデバイスデータポイントと、を対応付ける方法であって、
制御部は、前記モデルデータポイント及び前記デバイスデータポイントに付与された識別情報を検索する検索条件を定めたリンクルールを保持しており、
前記検索条件に適合した識別情報を有する、前記モデルデータポイントと前記デバイスデータポイントを対応付ける方法。
【請求項2】
前記モデルデータポイントは、前記設備機器の種類ごとに用意されたモデルテンプレートに基づいて生成され、
前記モデルテンプレートには、前記設備機器の監視制御に用いる前記モデルデータポイントが定義されると共に、前記モデルデータポイントごとに識別情報が定義される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御部は、前記リンクルールに基づき対応づける前記モデルデータポイントと前記デバイスデータポイントを判断し、前記モデルデータポイントと前記デバイスデータポイントを対応付ける請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記デバイスデータポイントは、前記設備機器の型番ごとに用意されたデバイステンプレートに基づいて生成され、
前記デバイステンプレートには、前記設備機器が保持する全ての前記デバイスデータポイントが定義されると共に、前記デバイスデータポイントごとに識別情報が定義される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記制御部は、
前記デバイスデータポイントに保持されたデータが変更された場合、前記モデルデータポイントに保持されたデータを変更し、
前記モデルデータポイントに保持されたデータが変更された場合、前記デバイスデータポイントに保持されたデータを変更すると共に、前記設備機器に対してデータ変更要求を出力する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記モデルデータポイントは、前記設備機器の種類ごとに用意されたモデルテンプレートに基づいて生成され、
前記モデルテンプレートには、前記設備機器の監視制御に用いる前記モデルデータポイントが定義されると共に、前記モデルデータポイントごとに識別情報が定義され
前記デバイスデータポイントは、前記設備機器の型番ごとに用意されたデバイステンプレートに基づいて生成され、
前記デバイステンプレートには、前記設備機器が保持する全ての前記デバイスデータポイントが定義されると共に、前記デバイスデータポイントごとに識別情報が定義され、
前記制御部は、前記モデルテンプレートの前記モデルデータポイントと、前記デバイステンプレートの前記デバイスデータポイントを、前記モデルデータポイントと前記デバイスデータポイントに付与されている識別情報に基づいて対応付ける請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記デバイスデータポイントのデータ形式を前記モデルデータポイントのデータ形式に変換するか、又は、前記モデルデータポイントのデータ形式を前記デバイスデータポイントのデータ形式に変換するデータ変換テンプレートに、
前記デバイスデータポイントのデータを前記モデルデータポイントに中継し、又は、前記モデルデータポイントのデータを前記デバイスデータポイントに中継する変換データポイントが設定されており、
前記制御部は、前記変換データポイントと前記デバイスデータポイントに付与されている識別情報に基づいて、前記変換データポイントと前記デバイスデータポイントを対応付け、
前記変換データポイントと前記モデルデータポイントに付与されている識別情報に基づいて、前記変換データポイントと前記モデルデータポイントを対応付ける請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記データ変換テンプレートは、前記変換データポイントと対応づけられた前記デバイスデータポイントが出力するデータのデータ形式を、前記変換データポイントと対応づけられた前記モデルデータポイントが対応する第1のデータ形式と第2のデータ形式に変換するか、又は、
前記変換データポイントと対応づけられた前記モデルデータポイントが対応する第1のデータ形式と第2のデータ形式を、前記変換データポイントと対応づけられた前記デバイスデータポイントに入力されるデータのデータ形式に変換する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記データ変換テンプレートは、前記変換データポイントと対応づけられた前記デバイスデータポイントが出力する、keyとvalueの複数の組を有するデータ形式を、前記変換データポイントと対応づけられた前記モデルデータポイントが対応する、二値をとるデータ形式と、keyとvalueの複数の組を有するデータ形式とに変換するか、又は、
前記変換データポイントと対応づけられた前記モデルデータポイントが対応する、二値をとるデータ形式及びkeyとvalueの複数の組を有するデータ形式を、前記変換データポイントと対応づけられた前記デバイスデータポイントに入力されるkeyとvalueの複数の組を有するデータ形式に変換する請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記データ変換テンプレートは、前記変換データポイントと対応づけられた前記デバイスデータポイントが出力する、数値のデータ形式を、前記変換データポイントと対応づけられた前記モデルデータポイントが対応する、二値をとるデータ形式と、keyとvalueの複数の組を有するデータ形式とに変換するか、又は、
前記変換データポイントと対応づけられた前記モデルデータポイントが対応する、二値をとるデータ形式及びkeyとvalueの複数の組を有するデータ形式を、前記変換データポイントと対応づけられた前記デバイスデータポイントに入力される数値のデータ形式に変換する請求項7に記載の方法。
【請求項11】
設備機器を管理する設備管理装置であって、
前記設備機器を監視制御するアプリケーションで用いるデータを保持するモデルデータポイントと、
物件に設置された前記設備機器から入力又は出力するデータを保持するデバイスデータポイントと、を対応付ける制御部であって、
前記モデルデータポイント及び前記デバイスデータポイントに付与された識別情報を検索する検索条件を定めたリンクルールを保持しており、
前記検索条件に適合した識別情報を有する、前記モデルデータポイントと前記デバイスデータポイントとを対応付ける制御部、
を有する設備管理装置。
【請求項12】
設備機器を管理する設備管理装置を、
前記設備機器を監視制御するアプリケーションで用いるデータを保持するモデルデータポイントと、
物件に設置された前記設備機器から入力又は出力するデータを保持するデバイスデータポイントと、を対応付ける制御部であって、
前記モデルデータポイント及び前記デバイスデータポイントに付与された識別情報を検索する検索条件を定めたリンクルールを保持しており、
前記検索条件に適合した識別情報を有する、前記モデルデータポイントと前記デバイスデータポイントを対応付ける制御部、
として機能させるためのプログラム。