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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146600
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】ヘッドアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
B41J2/17 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059601
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 正広
(72)【発明者】
【氏名】恒岡 佑哉
(72)【発明者】
【氏名】鳥飼 孝介
(72)【発明者】
【氏名】八太 郁佳
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056FA04
2C056FA13
2C056HA09
2C056HA15
2C056HA51
(57)【要約】
【課題】基板に実装された電源を冷却することができ、且つ、ヘッドを用いて印刷を行う際に発生する微小インク滴のミストが舞い上がることによる汚れを抑制するための技術を提供する。
【解決手段】
ヘッドアセンブリ10は、複数のヘッド11を備えるヘッド群20と、ヘッド群20のヘッド11に対応した複数のリジッド基板110と、水冷式の冷却器600とを備えている。各ヘッド11は複数の駆動素子46を備えており、駆動素子46はそれぞれ個別電極45を備えている。各リジッド基板110には、複数の電源112a~112eが実装されており、各電源112a~112eは対応するヘッド11の複数の個別電極45に接続されている。冷却器600はリジッド基板110に実装された電源112a~112eを冷却する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが電極を有する複数の圧力発生機を備えるヘッドを複数備えるヘッド群と、
前記ヘッド群の前記複数のヘッドに対応して、前記複数のヘッドに電気的に接続された複数の基板を備える基板群と、
水冷式の冷却器と、を備え、
前記基板群に含まれる前記複数の基板には、それぞれ、対応する前記ヘッドの前記複数の電極に接続するように構成された電源が実装され、
前記冷却器は、前記複数の基板のそれぞれに実装された前記電源を冷却するように構成されていることを特徴とするヘッドアセンブリ。
【請求項2】
前記基板群に含まれる前記複数の基板は、第1方向に沿って列状に並んでおり、
前記冷却器は、前記第1方向に沿って延在する水冷部を備える請求項1に記載のヘッドアセンブリ。
【請求項3】
前記基板群に含まれる前記複数の基板は、前記第1方向に直交する第2方向に沿って並んだ2つの基板列を構成するように前記第1方向に沿って並んでおり、
前記水冷部は、前記2つの基板列に対応して、それぞれが前記第1方向に沿って延在し、且つ、前記第2方向に沿って並んだ2つの水冷ブロックを備える請求項2に記載のヘッドアセンブリ。
【請求項4】
前記2つの水冷ブロックは、それぞれ冷却水の入口及び出口を備え、
前記冷却器は、前記2つの水冷ブロックの2つの入口に接続され、且つ、前記冷却水を前記2つの入口に向けて分岐する分岐部と、前記2つの水冷ブロックの2つの出口に接続され、且つ、前記前記2つの出口から出た冷却水を合流する合流部とを備える請求項3に記載のヘッドアセンブリ。
【請求項5】
前記2つの基板列のうちの一方の基板列に含まれる前記基板の、前記電源が実装された実装面の裏面と、他方の基板列に含まれる前記基板の、前記電源が実装された実装面の裏面とが、前記第2方向において互いに向かい合う請求項3に記載のヘッドアセンブリ。
【請求項6】
前記第2方向において、前記2つの水冷ブロックの間に、前記2つの基板列が位置している請求項5に記載のヘッドアセンブリ。
【請求項7】
さらに、前記複数の基板を前記第1方向と交差する挿抜方向に挿入するように構成されたコネクタを備え、
前記冷却器の前記水冷部は、前記複数の基板に対して、前記第1方向及び前記挿抜方向に交差する離間方向に沿って離間するように構成されている請求項2に記載のヘッドアセンブリ。
【請求項8】
さらに、前記複数の基板を支持する支持部を備え、
前記冷却器は、さらに、
前記支持部に固定された固定部と、
一端が前記固定部に当接し、且つ、他端が前記水冷部を前記離間方向に沿って付勢するように構成された付勢部材と、
前記水冷部に対して前記挿抜方向に沿ってスライド可能なレバーであって、前記水冷部から前記離間方向に離間した第1部分と、前記第1部分と異なる第2部分であって、前記第1部分の前記挿抜方向の一方に位置して前記水冷部に当接した第2部分とにわたって前記挿抜方向に沿って延在するスリットが形成されたレバーと、
前記離間方向に延び且つ前記スリットに挿入された位置決めピンと、を備え、
前記冷却器は、前記位置決めピンが前記レバーの前記第1部分に当接するように、前記レバーを前記水冷部に対して前記挿抜方向にスライドさせたときに、前記水冷部が前記固定部に対して前記離間方向に最も近づくように構成されていることを特徴とする請求項7に記載のヘッドアセンブリ。
【請求項9】
前記冷却器は、前記位置決めピンが前記レバーの前記第1部分に当接する状態から、前記位置決めピンが前記レバーの前記第2部分に位置するように、前記レバーを前記水冷部に対して前記挿抜方向の他方側にスライド移動させたときに、前記水冷部が前記固定部に対して前記離間方向に離間するように構成されている請求項8に記載のヘッドアセンブリ。
【請求項10】
前記複数の基板は、それぞれ、前記電源を含む複数の電源と、前記複数の電源に熱接触するヒートスプレッダとを備え、
前記複数の電源は、前記ヒートスプレッダを介して前記冷却器と熱接触している請求項2に記載のヘッドアセンブリ。
【請求項11】
前記複数の電源と前記ヒートスプレッダとの間には、熱伝導シートが位置しており、前記熱電導シートは、前記複数の電源の少なくとも1つと、前記ヒートスプレッダとに接触している請求項10に記載のヘッドアセンブリ。
【請求項12】
前記ヒートスプレッダの、前記複数の電源のうち最も発熱量が大きい電源と重なる部分の、前記最も発熱量が大きい電源と反対側の面に熱伝導シートが位置し、
前記熱伝導シートは前記冷却器と熱接触している請求項10に記載のヘッドアセンブリ。
【請求項13】
前記ヒートスプレッダの、前記複数の電源のうち2番目に発熱量が大きい電源と重なる部分の、前記2番目に発熱量が大きい電源と反対側の面に、前記熱伝導シートが位置している請求項12に記載のヘッドアセンブリ。
【請求項14】
前記複数のヘッドは、それぞれ、ICと、前記ICを水冷するIC冷却部とを備え、
前記冷却器と前記IC冷却部とは、流体的に接続されている請求項1に記載のヘッドアセンブリ。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のヘッドアセンブリと、
記録媒体を搬送するように構成された搬送機構と、
を備える印刷装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のヘッドを有するヘッド群を備えるヘッドアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
ある公知のヘッドアセンブリは、複数のヘッドと、中継基板を通じて複数のヘッドに電気的に接続される複数の基板(リジッド基板)とを備えている。各基板(リジッド基板)には、ヘッドに対して電圧を供給する電源が実装されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-154429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
公知のヘッドアセンブリは、上下の2つの空間に区画された筐体を有しており、筐体内の上方の空間に複数の基板(リジッド基板)が位置している。そして、筐体の、上方の空間を形成する壁には、上方の空間に風を送るためのファンが位置している。
【0005】
上記の公知のヘッドアセンブリは、ファンにより複数の基板(リジッド基板)に実装された電源を冷却することができる。しかしながら、ヘッドを用いて印刷を行う際に、微小インク滴のミストが発生することがあり、ファンからの気流によって、ミストが舞い上がる。その舞い上がったミストが、ヘッドアセンブリやヘッドアセンブリを有する印刷装置内を汚すおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、基板に実装された電源を冷却することができ、且つ、ヘッドを用いて印刷を行う際に発生する微小インク滴のミストが舞い上がることによる汚れを抑制するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に従えば、それぞれが電極を有する複数の圧力発生機を備えるヘッドを複数備えるヘッド群と、
前記ヘッド群の前記複数のヘッドにそれぞれ対応する複数の基板を備える基板群と、
水冷式の冷却器と、を備え、
前記基板群に含まれる前記複数の基板は、それぞれ、対応する前記ヘッドに電気的に接続され、且つ、対応する前記ヘッドの前記電極に接続するように構成された電源が実装され、
前記冷却器は、前記複数の基板のそれぞれに実装された前記電源を冷却するように構成されていることを特徴とするヘッドアセンブリが提供される。
【発明の効果】
【0008】
基板に実装された電源は、冷却器により水冷されている。これにより、電源を効率的に冷却することができる。さらに、ヘッドを用いて印刷を行う際に発生する微小インク滴のミストが舞い上がることによる汚れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は印刷装置1の概略を示す平面図である。
図2図2は印刷装置1の概略を示す概略図である。
図3図3はヘッド群20に含まれるヘッド11の並びを説明するための概略図である。
図4図4は流路ユニット42の内部を説明するための概略説明図である。
図5図5はヘッドアセンブリ10の概略説明図である。
図6】(a)は中継基板300の上面図であり、(b)は中継基板300の下面図である。
図7図7はリジッド基板110の分解斜視図である。
図8図8は冷却器600の概略説明図である。
図9図9は水冷ブロック610の冷却水の流路を説明するための説明図である。
図10図10はレバー640の操作を説明するための概略説明図である。
図11図11はレバー640の操作を説明するための概略説明図である。
図12図12は電源112a~112eと、駆動素子46の個別電極45との接続について説明するための説明図である。
図13図13は電源112a~112eと、駆動素子46の個別電極45との接続処理(電源接続処理)について説明するためのフローチャートである。
図14図14図13のS10の処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る印刷装置1を、図面に基づいて説明する。図1において、記録媒体4の搬送方向は印刷装置1の前後方向に対応する。また記録媒体4の幅方向は印刷装置1の左右方向に対応する。また前後方向及び左右方向と直交する方向、即ち図1における紙面に垂直な方向は印刷装置1の上下方向に対応する。
【0011】
図1、2に示すように、印刷装置1は、筐体2内に収容されたプラテン3、3つのヘッドアセンブリ10(本発明のヘッドアセンブリの一例)、2つの搬送ローラ5A、5B、アーチフレーム6、コントローラ7、5つのインクリザーバ8等を備える。なお、図1、2においては、図面を簡略化するために1つのインクリザーバ8だけが図示されている。
【0012】
図1、2に示されるように、プラテン3の上面には、記録媒体4が載置される。3つのヘッドアセンブリ10は、プラテン3の上方において、プラテン3に対向するように位置している。各ヘッドアセンブリ10には、インクリザーバ8からインクが供給される。ヘッドアセンブリ10の構造については後ほど説明する。なお、3つのヘッドアセンブリ10は、前後方向(記録媒体4の搬送方向)に沿って並んだ状態でアーチフレーム6に固定されている。図2に示されるように、アーチフレーム6はアーチ形状を有しており、3つのヘッドアセンブリ10はそれぞれ異なる角度で水平面に対して傾いている。
【0013】
図1、2に示すように、二つの搬送ローラ5A、5Bは、プラテン3の後方及び前方にそれぞれ位置している。二つの搬送ローラ5A、5Bは、図示しないモータによって駆動される。図2に示されるように、記録媒体4はロール状に巻かれた給送ロール4Aから送出されて、巻取ロール4Bに巻き取られる。例えば、記録媒体4はロール紙である。給送ロール4A及び巻取ロール4Bには、それぞれ、不図示のモータにより回転する回転シャフト4C、4Dが固定されている。これらの二つの回転シャフト4C、4D及び二つの搬送ローラ5A、5Bが協働して、記録媒体4が給送ロール4Aから送出され、プラテン3の上を通るように搬送方向の下流(前方)へ搬送されて巻取ロール4Bに巻き取られる。二つの回転シャフト4C、4D及び二つの搬送ローラ5A、5Bは、本発明の搬送機構の一例である。
【0014】
図3に示されるように、各ヘッドアセンブリ10は、複数のヘッド11(例えば12個のヘッド11)を有するヘッド群20を備えている。複数のヘッド11は前後方向に並んだ2つのヘッド列を構成している。各ヘッド列には、それぞれ、左右方向に並ぶ6つのヘッド11が含まれている。左右方向に並ぶ6つのヘッド11の、前後方向の位置は同じである。但し、以下の説明において、位置が同じであるということは、厳密に位置が同じであることを意図しているのでは無く、製造誤差及び取り付け誤差の範囲内で位置が同じであることを意図している。なお、2つのヘッド列に含まれるヘッド11の左右方向の位置は互いにずれている。つまり、ヘッド群20の12個のヘッド11は千鳥状に位置している。
【0015】
各ヘッド11の下面は複数のノズル11aが形成されたノズル面11bである。図3に示すように、ヘッド11の複数のノズル11aは、ヘッド群20(ヘッドアセンブリ10)の長手方向である左右方向に沿って列状に並んでいる。なお、本実施形態においては、ヘッド11は2列のノズル列を備えているが、これはあくまでも例示であり、ヘッド11が2列以上のノズル列を備えてもよい。また、図3においては、図面の簡略化のため、各ノズル列に含まれるノズル11aの数を減らして図示しているが、各ノズル列に含まれるノズル11aの数は任意の数にすることができる。例えば、各ノズル列が1000個以上のノズル11aを備えてもよい。なお、ヘッド11の内部にはヘッド内流路が形成されているが、ヘッド内流路の形状等については後述する。
【0016】
上述のように、各ヘッドアセンブリ10(ヘッド群20)の12個のヘッド11は、2つのヘッド列を形成している。上述のように、各ヘッド11は2列のノズル列を有している。各ノズル列から、それぞれ異なる色のインクを吐出することが可能であるので、各ヘッド11は、最大で2色のインクを吐出することができる。最も後方(搬送方向の最も上流)に位置するヘッドアセンブリ10の12個のヘッド11には、5つのインクリザーバ8の1つから、ホワイトインクが供給される。ホワイトインクは、下地印刷に用いることができる。後方から2番目(搬送方向において上流から2番目)のヘッドアセンブリ10の12個のヘッド11には、5つのインクリザーバ8のうちの2つのインクリザーバ8から、それぞれイエローインクとマゼンダインクとが供給される。各ヘッド11の、後方(搬送方向の上流)のノズル列からイエローインクが吐出され、前方(搬送方向の下流)のノズル列からマゼンタインクが吐出される。最も前方(搬送方向の最も下流)に位置するヘッドアセンブリ10の12個のヘッド11には、5つのインクリザーバ8のうちの2つのインクリザーバ8から、それぞれシアンインクとブラックインクとが供給される。各ヘッド11の、後方(搬送方向の上流)のノズル列からシアンインクが吐出され、前方(搬送方向の下流)のノズル列からブラックインクが吐出される。このように、搬送方向に並んだ3つのヘッドアセンブリ10から、搬送方向の上流から下流に向かって順に淡色から濃色のインクが吐出される。なお、ホワイトインク、イエローインク、マゼンダインク、シアンインク、ブラックインクは、例えば、いずれもUV硬化インクである。UV硬化インクの粘度は、温度によって大きく変動する。吐出不良を防ぐためには、インクの粘度を適正な範囲内に保つ必要がある。そのためには、UV硬化インクの温度を適正な温度に保つ必要がある。
【0017】
次に、図3、4を参照しつつ、各ヘッド11を構成する流路ユニット42及びアクチュエータユニット40について説明する。なお、流路ユニット42及びアクチュエータユニット40の構造は、12個のヘッド11において共通しているため、1個のヘッド11における流路ユニット42及びアクチュエータユニット40について説明する。
【0018】
図4に示されるように、流路ユニット42は、上下方向に積層された複数の金属プレート及びノズルプレート41により形成されている。複数の金属プレートには、エッチングにより、圧力室12aを含む個別流路12、供給マニホルド13a及び帰還マニホルド13b等のインク流路が形成されている。ノズルプレート41は、例えば、ポリイミド等の高分子合成樹脂材料により形成され、積層された金属プレートの下面に接着剤で接合される。ノズルプレート41の下面が上述のノズル面11bとなっている。なお、ノズルプレート41も、ステンレス鋼等の金属材料で形成されていてもよい。
【0019】
図4に示されるように、流路ユニット42の内部には、各ノズル11aに連通する個別流路12と、個別流路12に連通する供給マニホルド13a及び帰還マニホルド13bが形成されている。図には示されていないが、供給マニホルド13a及び帰還マニホルド13bは左右方向(図4においては紙面に垂直な方向)に延びている。供給マニホルド13aは、流路ユニット42に形成された不図示のインク供給口を介して、ヘッド11の外部に位置するタンク400に接続されている。帰還マニホルド13bは、流路ユニット42に形成された不図示のインク排出口を介して、ヘッド11の外部に位置するタンク400に接続されている。これにより、タンク400から出たインクが、供給マニホルド13a、個別流路12、帰還マニホルド13bを通ってタンク400に戻るインクの循環経路が形成される。
【0020】
なお、図示はされていないが、上述のように複数のノズル11aが、左右方向に延びる2列のノズル列を形成するように位置していることに対応して、流路ユニット42には、ノズル11aにそれぞれ対応する複数の個別流路12が、左右方向に延びる2列の個別流路列を形成するように位置している。また、流路ユニット42には、供給マニホルド13a及び帰還マニホルド13bがそれぞれ12本形成されており、各供給マニホルド13a及び各帰還マニホルド13bは、2列分の個別流路列を構成する複数の個別流路12に連通している。これにより、流路ユニット42の内部には、供給マニホルド13aから複数の個別流路12の圧力室12aを通ってノズル11a及び帰還マニホルド13bに至る、複数のインク流路が形成されている。なお、流路ユニット42に形成される供給マニホルド13a及び帰還マニホルド13bの数は、ノズル11aの数に合わせて調整される。また各供給マニホルド13a及び各帰還マニホルド13bと連通する個別流路12の数もノズル11aの数に合わせて調整される。
【0021】
図4に示すように、各個別流路12には圧力室12aが形成されており、圧力室12aの上方には、アクチュエータユニット40が位置している。アクチュエータユニット40は、全ての圧力室12aを覆うように流路ユニット42の上面に配置された振動板43と、振動板43の上面の、圧力室12aと対向する位置にそれぞれ位置した複数の圧電体44と、複数の圧電体44の上面にそれぞれ配置された複数の個別電極45とを備えている。後述のように、振動板43は共通電極として機能している。共通電極としての振動板43と、個別電極45と、圧電体44とが、1つの駆動素子46を形成している。つまり、アクチュエータユニット40には、複数のノズル11aにそれぞれ対応する複数の駆動素子46が含まれる。
【0022】
振動板43は、平面視で略矩形状の金属板であり、例えば、ステンレス鋼等の鉄系合金、銅系合金、ニッケル系合金、あるいは、チタン系合金などからなる。導電性を有する振動板43の上面は、圧電体44の下方に位置している。そのため、振動板43の上面は、共通電極を兼ねることができる。共通電極としての振動板43は、アクチュエータユニット40を駆動するドライバIC28(図12参照)のグランド配線に接続されて、常にグランド電位に保持される。なお、振動板43は必ずしも金属板である必要は無く、例えば、圧電体44と同じ圧電材料から形成され、その上面に共通電極としての金属膜が形成されていてもよい。
【0023】
圧電体44は、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との固溶体であり強誘電体であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とする圧電材料により形成される。圧電体44は、少なくとも圧力室12aと対向する領域(個別電極45と振動板43とに挟まれた部分)において厚み方向(上下方向)に分極されている。本実施形態においては、複数の圧力室12aに対応して、複数の圧電体44があるが、圧電体44は、振動板43の上面において、複数の圧力室12aに跨って連続的に形成された圧電体の層(圧電層)であってもよい。この場合には、共通電極としての振動板43と、個別電極45と、圧電体44の個別電極45と振動板43とに挟まれた部分とが、1つの駆動素子46を形成している。
【0024】
次に、インク噴射時におけるアクチュエータユニット40の駆動素子46の作用について説明する。ある個別電極45に対して、ドライバIC28(図12参照)から所定の駆動電位が付与されたときには、この駆動電位が付与された個別電極45とグランド電位に保持されている共通電極としての振動板43との間に電位差が生じる。これにより、個別電極45と振動板43の間に挟まれた圧電体44に厚み方向の電界が作用する。この電界の方向は圧電体44の分極方向と平行である。そのため、個別電極45と対向する領域(活性領域)の圧電体44が厚み方向と直交する面方向に収縮する。ここで、圧電体44の下方の振動板43は流路ユニット42に固定されている。そのため、この振動板43の上面に位置する圧電体44が面方向に収縮するのに伴って、振動板43の圧力室12aを覆う部分が圧力室12aに向かってに凸となるように変形する(ユニモルフ変形、図4参照)。このとき、圧力室12a内の容積が減少するために圧力室12a内のインク圧力が上昇し、この圧力室12aに連通するノズル11aからインクが噴射される。
【0025】
コントローラ7は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。なおコントローラ7はCPU(Central Processing Unit)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を備えてもよい。コントローラ7は、PC等の外部装置9(図1参照)とデータ通信可能に接続されており、外部装置9から送られた印刷データに基づいて、印刷装置1の各部を制御する。コントローラ7は、後述の電源接続処理(図13、14参照)を実行する。
【0026】
コントローラ7は、回転シャフト4C、4Dを駆動するモータ及び搬送ローラ5A、5Bを駆動するモータを制御して、二つの搬送ローラ5A、5Bに記録媒体4を搬送方向に搬送させる。また、コントローラ7は、3つのヘッドアセンブリ10を制御し、ノズル11aから記録媒体4に向けてインクを吐出させる。これにより、記録媒体4に画像が印刷される。
【0027】
<ヘッドアセンブリ10の構造>
次に、ヘッドアセンブリ10の構造について、図面を参照しつつ説明する。なお、3つのヘッドアセンブリ10は、同じ構造を有しているので、1つに着目して説明する。上述のように、3つのヘッドアセンブリ10は水平面に対してそれぞれ異なる角度で傾いている。しかしながら、説明を簡略化するために、以下の記載においては、ヘッドアセンブリ10が水平面に対して垂直な状態であるものとして方向を定義する。図5に示されるように、各ヘッドアセンブリ10は、筐体500と、12個のヘッド11を含むヘッド群20と、10枚のリジッド基板110と、12枚のフレキシブル基板280と、中継基板300と、タンク400と、ヒータ250と、ヘッド11とタンク400とを繋ぐ複数のチューブ416と、冷却器600とを主に備える。なお、図面を簡略化するため、図5においては、12枚のリジッド基板110のうち10枚のリジッド基板が図示され、12枚のフレキシブル基板280のうちの5枚のフレキシブル基板280が図示されている。
【0028】
<筐体500>
図5に示されるように、筐体500は略直方体の形状を有しており、第1空間S1を画定する第1フレーム部510と、第2空間S2を画定する第2フレーム部520と、第1フレーム部510の上方に位置する蓋530とを有する。筐体500の上面510Uにはグリップ108が設けられている。なお、図5においては、第1空間S1及び第2空間S2を見やすくするために、第1フレーム部510及び第2フレーム部520の前方及び後方の側壁は取り除かれている。また、後述の冷却器600の構成の一部(レバー640、固定部630など)の図示も省略されている。なお、左右方向は第1フレーム部510及び第2フレーム部520の奥行き方向に対応し、前後方向は第1フレーム部510及び第2フレーム部520の幅方向に対応する。左右方向(第1フレーム部510及び第2フレーム部520の奥行き方向に対応)は、上下方向及び前後方向(第1フレーム部510及び第2フレーム部520の幅方向に対応)の両方に直交する。
【0029】
図5に示されるように、第1フレーム部510は、略直方体形状を有するフレーム部材である。第1フレーム部510は、底面510Dと、底面510Dの左右方向両端から上方に延びる右の側壁510R及び左の側壁510Lと、上面510Uとを有する。底面510Dには不図示の開口が形成されている。また、上面510Uには別の開口(不図示)が形成されており、この開口を覆うように蓋530が、上面510Uに位置している。右の側壁510Rには電源入力ポート211が位置している。
【0030】
第2フレーム部520は、略直方体形状を有するフレーム部材である。第2フレーム部520は、底面520Dと、底面520Dの左右方向両端から上方に延びる右の側壁520R及び左の側壁520Lと、上面520Uとを有する。第2フレーム部520の右の側壁520Rは、第1フレーム部510の右の側壁510Rと連続している。第2フレーム部520の左の側壁520Lは、第1フレーム部510の左の側壁510Lと連続している。右の側壁520Rには、4つのインクポート221と、冷却水ポート225とが位置している。
【0031】
冷却水ポート225は、ヘッド11を冷却するための冷却水を供給するためのポートである。ヘッド11内の駆動素子46及び駆動素子46を駆動するドライバIC28(図12参照)は、駆動素子46の駆動に伴って発熱する。そのため、ヘッド11が充分に冷却されない場合には、ヘッド11内に温度ムラが発生し、それに起因して、あるノズル11aと別のノズル11aの間でインクの粘度が異なってしまうことがある。その場合には、同じ波形の駆動信号を入力した場合であっても、上記のあるノズル11aと別のノズル11aとから吐出されるインク滴の大きさに差がでることがあり、印字品質の低下に繋がる恐れがある。そこで、本実施形態においては、冷却水ポート225から冷却水を導入し、ヘッド11を冷却している。冷却水ポート225から導入された冷却水の経路が本発明のIC冷却部に対応する。第2空間S2に配置されているヘッド11を冷却した冷却水は、中継ポート226を介して第1空間S1に送られて、後述の水冷ブロック610を冷却する冷却水として用いられる。この場合には、ヘッド11を冷却する冷却水と、冷却器600を冷却する冷却水を共通にすることができるため、冷却水の循環系の構成を簡素化できる。
【0032】
電源入力ポート211には、不図示の外部電源からの不図示の電源ケーブルが接続される。4つのインクポート221は、インク供給ポート221fとインク排出ポート221dのペアを2対を有しており、それぞれ、タンク400が有する不図示の供給ポート及び排出ポートに接続されている。インク供給ポート221fとインク排出ポート221dのペアは、同一のインクリザーバ8(図1、2参照)に接続されており、同一のインクが流れる。なお、一方のインク供給ポート221fとインク排出ポート221dのペアに流れるインクと、他方のインク供給ポート221fとインク排出ポート221dのペアに流れるインクとは、必ずしも同じインクで無くてもよく、例えば別の色のインクであってもよい。
【0033】
図5に示されるように、4つのインクポート221は、電源入力ポート211の下方に位置しているので、インクポート221からインクが漏れて下に垂れた場合に、電源入力ポート211にインクが付着する恐れがない。これにより、電源入力ポート211の汚損及びインクの付着によるショートを防ぐことができる。
【0034】
第2フレーム部520の上面520Uと、第1フレーム部510の底面510Dとは、同一の板材の上面と下面に相当する。そのため、上述の第1フレーム部510の底面510Dに形成された不図示の開口は、第2フレーム部520の上面520Uにも開口している。そして、第2フレーム部520の上面520Uの不図示の開口を塞ぐように、中継基板300が位置している。これにより、中継基板300の上面は第1空間S1の一部を画定し、中継基板300の下面は第2空間S2の一部を画定している。
【0035】
<中継基板300>
図6(a)、6(b)に示されるように、中継基板300は、12個の第1コネクタ301と、12個の第2コネクタ302と、電源コネクタ303とを備えている。第1コネクタ301が本発明のコネクタに対応する。電源コネクタ303は中継基板300の右端に位置している。上述のように、第2筐体200の右の側壁202Rには、電源入力ポート211が位置している。図4に示されるように、中継基板300の電源コネクタ303と電源入力ポート211とは、電源ケーブル304により接続されている。また、第1空間S1に露出している中継基板300の上面には、12個の第1コネクタ301が位置している(図6(a)参照)。言い換えると、第1空間S1に向かい合う中継基板300の上面には12個の第1コネクタ301が位置している。12個の第1コネクタ301は前後方向に2列に並んでいる。第1コネクタ301の各列は、左右方向に並んだ6つの第1コネクタ301を含んでいる。つまり、第1コネクタ301の列の延びる方向(列方向)は、奥行き方向(左右方向)に平行である。図6(b)に示されるように、第2空間S2に露出している中継基板300の下面には、12個の第2コネクタ302が位置している。言い換えると、第2空間S2に向かい合う中継基板300の下面には、12個の第2コネクタ302が位置している。12個の第2コネクタ302も幅方向(前後方向)に2列に並んでおり、第2コネクタ302の各列は、奥行き方向(左右方向)に並んだ6つの第2コネクタ302を含んでいる。つまり、第2コネクタ302の列の延びる方向(列方向)は、奥行き方向(左右方向)に平行である。左右方向は本発明の第1方向の一例であり、前後方向は本発明の第2方向の一例である。
【0036】
中継基板300は、12個の第1コネクタ301と12個の第2コネクタ302とをそれぞれ繋ぐ不図示の配線を備えている。これにより、中継基板300の下面に位置している第2コネクタ302と、上面に位置している第1コネクタ301とが電気的に接続されている。さらに、中継基板300は、電源コネクタ303と12個の第1コネクタ301とを繋ぐ不図示の電源配線と、電源コネクタ303と12個の第2コネクタ302とを繋ぐ不図示の電源配線とを備えている。これにより、中継基板300は、第1コネクタ301及び第2コネクタ302に接続された機器等に対して、不図示の外部電源からの電力を供給することができる。なお、不図示の外部電源は、後述のリジッド基板110の電源112とは異なる。
【0037】
<第1空間S1>
以下、第1空間S1に位置する部材について図面を参照しつつ説明する。
【0038】
<リジッド基板110>
図5に示されるように、12個のリジッド基板110が第1空間S1に配置されている。図7に示されるように、リジッド基板110は、略矩形状の基板であり、ヘッド11を駆動し制御するためのヘッド制御基板である。リジッド基板110が本発明の基板に対応する。各リジッド基板110には、基板コネクタ111と5つの電源112a~112eと複数の回路素子113と、ヒートスプレッダ114と、熱伝導シート115(熱伝導シート115a、115b)とを主に備える。リジッド基板110の第1面110aには、5つの電源112a~112eと複数の回路素子113の一部が実装される。なお、以下の説明において、電源112a~112eを特に区別しない場合、これらを総称して単に電源112と呼ぶことがある。図7においては図示されていないが、第1面110aの裏面である第2面110b(図8参照)には、電源112は実装されておらず、複数の回路素子113の一部(例えば、高速信号を処理するための回路素子)が実装されている。なお、複数の回路素子113は、全てが同じ種類の回路素子ではなく、複数の種類の回路素子を含んでいる。
【0039】
リジッド基板110の第1面110aに実装されている電源112の高さは、裏面である第2面110bに実装されている複数の回路素子113の高さよりも高い。なお、ここでいう高さは、リジッド基板110に垂直な法線方向(図5では前後方向に平行)における、第1面110a(又は第2面110b)からの高さを表している。
【0040】
電源112a~112eは、リジッド基板110の第1面110aにおいて、上下方向に分散するように実装されている。電源112a~112eが上下方向に分散するとは、5つの電源112a~112eのうち、少なくとも1つの電源の上下方向の位置が、他の電源の上下方向の位置とは異なることをいう。本実施形態においては、図7に示されるように、電源112aが最も上方に位置し、電源112b、112cは電源112aの下方に位置している。電源112bと電源112cとの上下方向の位置はほぼ同じである。電源112dは電源112b、112cの下方に位置しており、電源112eは電源112dの下方に位置している。
【0041】
リジッド基板110の第1面110aには、ヒートスプレッダ114が重ねられる。ヒートスプレッダ114はアルミニウムなどの金属製の板によって形成されている。ヒートスプレッダ114の、リジッド基板110の第1面110aと対向する面は、熱伝導シート115aを介して電源112a~112eと熱接触している。ヒートスプレッダ114と電源112a~112eとの間に、熱伝導シート115aが位置している。熱伝導シート115aは弾性を有しているので、電源112a~112eの実装時にハンダの量のばらつきによって発生する若干の高さの差がある場合においても高さの差を吸収することができる。つまり、電源112a~112eに若干の高さの差がある場合においても、熱伝導シート115aと電源112a~112eとを確実に接触させることができる。これにより、ヒートスプレッダ114と電源112a~112eとを確実に熱接触させることができる。
【0042】
また、ヒートスプレッダ114の、リジッド基板110と反対側の面の、前後方向において電源112a及び回路素子113Hと重なる位置には、熱伝導シート115bが位置している。後述のように、5つの電源112a~112eのうち、電源112aが最も多くの個別電極45と接続される電源である。そのため、電源112aは、5つの電源112a~112eの中で最も発熱量が大きくなる。また、回路素子113Hは複数の回路素子113の1つであり、リジッド基板110に実装された複数の回路素子113と5つの電源112a~112eのうちで最も発熱量が大きい。
【0043】
本実施形態においては、後述のように、熱伝導シート115bに水冷ブロック610が当接している。これにより、5つの電源112a~112eの中で最も発熱量が大きくなる電源112aと、リジッド基板110に実装された複数の回路素子113と5つの電源112a~112eのうちで最も発熱量が大きい回路素子113Hとを、確実に水冷ブロック610に熱接触させることができる。
【0044】
基板コネクタ111は、リジッド基板110の下端に位置しており、中継基板300の第1コネクタ301に挿抜可能に構成されている。リジッド基板110の挿抜方向は上下方向に対応する。これにより、リジッド基板110は、第1コネクタ301に挿入された状態では、中継基板300に対して垂直に立つように固定される(図8参照)。上述のように、第1コネクタ301が2列に並んでいるので、リジッド基板110も2列に並ぶ。図8に示されるように、電源112が実装された第1面110aが幅方向(前後方向)に対向しないように、各列のリジッド基板110は背中合わせで2列に配列されている。
【0045】
<冷却器600>
図8、9、10に示されるように、冷却器600は、2つの水冷ブロック610を有する水冷部601と、水冷部601の水冷ブロック610を前後方向に沿って付勢する4つのバネ620(本発明の付勢部材の一例)と、2本のシャフト625と、シャフト625の一端を固定する固定部630と、4本のレバー640とを主に備える(図10、11参照)。固定部630は、2列に並んだリジッド基板110の間を、左右方向に沿って延びる板状の部材であり、リジッド基板110を支持する支持部410(図10、11参照)に対して固定されている。
【0046】
図8に示されるように、水冷ブロック610は、固定部630とほぼ平行に左右方向に沿って延びる略直方体の部材であり、冷却水の入口612と、出口613とを備える。水冷ブロック610の内部には、入口612から左右方向に沿って延在し、水冷ブロック610の左右方向の端部でUターンして出口613まで戻る、略U字状の冷却水路が形成されている(図9参照)。水冷ブロック610の左右方向の両端には、シャフト625を挿通するための貫通孔611が形成されている(図10、11参照)。
【0047】
図8に示されるように、ヘッド11を冷却した冷却水は、中継ポート226を通ったあと、分岐部227で分岐されて、2つの水冷ブロック610の入口612に導入される。上記の水冷ブロック610の内部の冷却水路を通ったあと、2つの水冷ブロック610の出口613から出た冷却水は、合流部228において合流する。
【0048】
次に、図10、11を参照しつつ、シャフト625の形状について説明する。固定部630の左端には、2本のシャフト625のうち、1本のシャフト625が固定されている。シャフト625は、固定部630の左端の後面から、前後方向に沿って後方に延びるとともに、固定部630の左端の前面から、前後方向に沿って前方に延びている。つまり、シャフト625は、固定部630を貫いて前後方向の両側に延びている。シャフト625の前後方向の略中央部が固定部630に固定されている。図示はされていないが、固定部630の右端にも同様に1本のシャフト625が固定されている。各シャフト625は、水冷ブロック610の左右方向の端に形成された貫通孔611に挿通されており、シャフト625の先端(固定部630と反対側の端部)は貫通孔611を通ってさらに前後方向に突出してレバー640に当接している。レバー640の、シャフト625と当接している部分には、上下方向に延びるスリット641が形成されている。シャフト625の径はレバー640のスリット641の幅よりも大きいので、シャフト625の先端がスリット641を通って前後方向に突出することはできず、上述のようにシャフト625の先端はレバー640に当接している。シャフト625の先端には、前後方向に沿って固定部630から離れる向きに突出する位置決めピン626が位置している。位置決めピン626の径はレバー640のスリット641の幅よりも小さく、位置決めピン626の先端はレバー640のスリット641を通って前後方向に突出している。そして、位置決めピン626の先端には抜け止め用のワッシャ627が位置している。ワッシャ627の径はスリット641の幅よりも大きいため、位置決めピン626がレバー640のスリット641から抜けることが防止される。これにより、位置決めピン626がレバー640のスリット641に挿入された状態で、レバー640が前後方向においてシャフト625の先端とワッシャ627とに挟まれている。
【0049】
コイルバネである当該バネ620の内径内に、各シャフト625が位置している。バネ620の一端は固定部630に当接し、他端は水冷ブロック610の固定部630と対向する面に当接している。バネ620は、前後方向において固定部630から離れる向きに水冷ブロック610を付勢している。
【0050】
水冷ブロック610の貫通孔611の上方には、前後方向において固定部630から離れる向きに突出するガイドピン628が立てられている。ガイドピン628もレバー640に形成されたスリット641に挿入されており、ガイドピン628の先端はレバー640のスリット641から前後方向に突出している。位置決めピン626の先端と同様に、ガイドピン628の先端にも抜け止め用のワッシャ629が位置しており、ガイドピン628がレバー640のスリット641から抜けることが防止される。これにより、ガイドピン628がレバー640のスリット641に挿入された状態で、レバー640が前後方向において水冷ブロック610の固定部630と反対側の面とワッシャ627とに挟まれている。
【0051】
図10、11に示されるように、レバー640は上下方向に長尺なL字状の部材である。レバー640は、前後方向において、水冷ブロック610の固定部630と反対側に位置している。レバー640の上部はユーザがレバー640を把持して操作する操作部分であり、上下方向に沿って延びた後、前後方向に沿って固定部630に近づく向きに延在している。レバー640の下部には上下方向に沿って延びるスリット641が形成されている。レバー640の、スリット641が形成された部分は、第1部分640aと、第1部分640aと異なる第2部分640bとを備える。第1部分640aは、前後方向において、水冷ブロック610の固定部630と反対側の面から離間している。第2部分640bは、第1部分640aの上下方向の両側に位置し、且つ、水冷ブロック610の固定部630と反対側の面に当接する。
【0052】
図10に示されるように、レバー640の第1部分640aと位置決めピン626とが重なる位置にあり、レバー640の第2部分640bとガイドピン628とが重なる位置にある場合、水冷ブロック610は固定部630に対して前後方向に最も近づく。このとき、水冷ブロック610は、ヒートスプレッダ114に貼り付けられた熱伝導シート115b(図7参照)に当接する。これにより、水冷ブロック610を熱伝導シート115bに確実に押し当てることができ、熱伝導シート115bと前後方向に重なるように位置にする電源112a及び回路素子113Hを水冷ブロック610により水冷することができる。これに対して、図11に示されるように、レバー640の第1部分640aと位置決めピン626とが重なる位置にあり、レバー640の第2部分640bとガイドピン628とが重なる位置にある場合、水冷ブロック610はバネ620によって付勢されて固定部630に対して前後方向に最も遠ざかる。このとき、水冷ブロック610は、ヒートスプレッダ114に貼り付けられた熱伝導シート115bから離間する。リジッド基板110に実装された電源112が故障した場合などには、リジッド基板110を交換することがある。水冷ブロック610をヒートスプレッダ114に貼り付けられた熱伝導シート115bから離間させることができるので、リジッド基板110の交換の際に、容易にリジッド基板110を抜き取ることができる。このように、ユーザはレバー640を上下方向にスライドさせるだけで、容易に水冷ブロック610を容易に前後方向に移動させることができる。前後方向は本発明の離間方向の一例である。
【0053】
<第2空間S2>
次に、第2空間S2に配置されている部材について説明する。図5に示されるように、第2空間S2には、中継基板300の下面が露出している。さらに、第2空間S2には、12個のヘッド11を含むヘッド群20と、12枚のフレキシブル基板280と、タンク400と、ヒータ250と、12個のヘッド11とタンク400とを繋ぐ複数のチューブ416とが位置している。なお、上述のように、図面を簡略化するため、図5においては、ヘッド11、チューブ416、フレキシブル基板280の数を減らして図示している。
【0054】
<フレキシブル基板280>
各フレキシブル基板280の一端は、中継基板300の第2コネクタ302の1つに接続される。また、各フレキシブル基板280の他端は、ヘッド11の1つに接続される。なお、上述のように中継基板300の第2コネクタ302は中継基板300の上面に位置した第1コネクタ301と電気的に接続されており、さらに第1コネクタ301はリジッド基板110の基板コネクタ111に電気的に接続されている。つまり、ヘッド11を駆動し制御するためのヘッド制御基板であるリジッド基板110は、中継基板300及びフレキシブル基板280を介してヘッド11に接続される。これにより、各リジッド基板110は、ヘッド11のアクチュエータユニット40の駆動素子46に対する駆動信号等のヘッド11に対する制御信号を、中継基板300及びフレキシブル基板280を介してヘッド11の1つに送信することができる。
【0055】
<タンク400>
図5に示されるように、第2空間S2の、中継基板300の下方には、タンク400が位置している。タンク400は、左右方向に長尺な略直方体の形状を有する。タンク400は12個のヘッド11とそれぞれ、チューブ416を介して接続される。図面を簡略化するため、図8においてはタンク400に接続されるチューブ416の数を減らして図示している。
【0056】
<ヒータ250>
本実施形態においては、UV硬化インクを用いているので、インクの温度を所定の温度に維持する必要がある。そこで、本実施形態のヘッドアセンブリ10は、タンク400とヘッド11とを繋ぐチューブ416内のインクを温めるためのヒータ250を有する。図5に示されるように、ヒータ250は、チューブ416と前後方向に重なるように位置している。ヒータ250として、例えばカーボンシートに電流を流すことによって発熱するカーボンヒータを用いることができる。なお、タンク400内のインクを予め温めるために、タンク400の下面に、例えばシート状のヒータを位置させてもよい。
【0057】
次に、電源112a~112eと、駆動素子46の個別電極45との接続について説明する。図12に示されるように、電源112a~112eは、ドライバIC28に含まれるスイッチング回路27を介して、第1電源線PL(1)~第n電源線PL(n)(nは2以上の整数)に接続される。FPGA113aは、スイッチング回路27に対して、第1電源線PL(1)~第n電源線PL(n)のそれぞれを電源112a~112eのいずれかに接続させるための信号を出力する。スイッチング回路27は、FPGA113aからの信号に基づいて、第1電源線PL(1)~第n電源線PL(n)のそれぞれを電源112a~112eのいずれかに接続させる。
【0058】
図示はされていないが、スイッチング回路27の第1電源線PL(1)~第n電源線PL(n)は、不図示のCMOS回路(詳細には、CMOS回路のPMOSトランジスタのソース端子)に接続されている。ドライバIC28は、当該CMOS回路を含み、このCMOS回路は、駆動素子46の個別電極45に接続されている。さらに、FPGA113aは、第1制御線CL(1)~第n制御線CL(n)(nは2以上の整数)を介して、CMOS回路に対してゲート信号を出力する。これにより、FPGA113aからのゲート信号に基づいて、CMOS回路を通じて、電源112a~112eのいずれかの出力電圧信号が、駆動素子46の個別電極45に出力される。
【0059】
本実施形態においては、上述のように、ヘッド11にはノズル11aの数に対応した複数の駆動素子46、つまり、ノズル11aの数に対応した複数の個別電極45が含まれている。そして、各個別電極45には、上記のように、CMOS回路を通じて、電源112a~112eのいずれかの出力電圧信号が供給される。各個別電極45の接続先が、5つの電源112a~112eのうち、どの電源であるかの情報(以下、接続先情報という)は、ヘッド11の不揮発性メモリ11mに保持されている。FPGA113aは、不揮発性メモリ11mに保持された接続先情報に基づいて、スイッチング回路27を制御して各個別電極45の接続先を電源112a~112eのいずれか1つに設定している。
【0060】
個別電極45を、5つの電源112a~112eのうち、どの電源と接続されるかに応じて、5つのグループに分けることができる。本実施形態においては、5つのグループに含まれる個別電極45の数は全て同じではない。本実施形態においては、接続先情報を不揮発性メモリ11mに保持する際に、最も多くの個別電極45が含まれるグループに対応する接続先は、電源112aとなっている。また、2番目に多くの個別電極45が含まれるグループに対応する接続先は、電源112eとなっている。さらに、3番目に多くの個別電極45が含まれるグループに対応する接続先は、電源112bとなっている。なお、上述のように、リジッド基板110の第1面110aにおいて、5つの電源112a~112eのうち電源112aが最も上方に位置し、電源112eは電源112dの下方に位置している。そして、電源112bは電源112aと電源112eとの間に位置している。
【0061】
次に、コントローラ7が実行する電源接続処理について、図13及び図14を参照しつつ説明する。
【0062】
図13に示されるように、コントローラ7は、不揮発性メモリ11mに保持されている5つのグループと個別電極45(駆動素子46)との対応関係に基づいて、各駆動素子46の接続先となる電源を電源112a~112eのいずれか一つに決定し、決定した接続先情報を不揮発性メモリ11mに保持させる(ステップS10)。
【0063】
具体的には、図14に示すように、コントローラ7は、個別電極45の数が最も多いグループに含まれる個別電極45の接続先を、リジッド基板110において最も上方に位置する電源112aに決定する(ステップS11)。次に、コントローラ7は、個別電極45の数が2番目に多いグループに含まれる個別電極45の接続先を、リジッド基板110において最も下方に位置する電源112eに決定する(ステップS12)。なお、ステップS11とステップS12の順序は逆であってもよい。即ち、まずステップS12を実行し、その後にステップS11を実行してもよい。そして、コントローラ7は、個別電極45の数が3番目に多いグループに含まれる個別電極45の接続先を、リジッド基板110において最も上方に位置する電源112aと最も下方に位置する電源112eとの間に位置する電源112bに決定する(ステップS13)。そして、コントローラ7は、決定した接続先情報を不揮発性メモリ11mに保持させる(ステップS14)。
【0064】
コントローラ7は、FPGA113aに、不揮発性メモリ11mに保持された接続先情報を読み込ませ、さらに、FPGA113aに、読み込ませた接続先情報に基づいて各個別電極45を電源112a~112eのいずれか1つに接続させるよう、FPGA113aを制御する(ステップS20)。
【0065】
<実施形態の作用効果>
【0066】
上記実施形態において、ヘッドアセンブリ10は、複数のヘッド11を備えるヘッド群20と、ヘッド群20のヘッド11に対応した複数のリジッド基板110(本発明の基板群の一例)と、水冷式の冷却器600とを備えている。なお、1つのヘッド11に1枚のリジッド基板110が対応しており、これらが電気的に接続されている。各ヘッド11は複数の駆動素子46を備えており、駆動素子46はそれぞれ個別電極45を備えている。各リジッド基板110には、複数の電源112a~112eが実装されており、各電源112a~112eは対応するヘッド11の複数の個別電極45に接続されている。そして、冷却器600はリジッド基板110に実装された電源112a~112eを冷却する。
【0067】
リジッド基板110に実装された電源112a~112eは、冷却器600により水冷されている。これにより、電源112a~112eを効率的に冷却することができる。従来のように、リジッド基板に実装された電源をファンにより空冷するヘッドの場合には、印刷を行う際に、微小インク滴のミストが発生することがあった。この場合には、ファンからの気流によって舞い上がったミストが、ヘッドアセンブリやヘッドアセンブリを有する印刷装置内を汚すおそれがあった。これに対して、本実施形態においては、リジッド基板110に実装された電源112a~112eは、冷却器600により水冷されている。すなわち、従来ではファンによる空冷であったが、本実施形態では冷却器600による水冷であるので、ファンのような空冷によって発生する気流がない。そのため、印刷を行う際に、微小インク滴のミストの舞い上がりを抑制できる。これにより、従来で発生していた課題、つまり、ファンからの気流によって舞い上がったミストが、ヘッドアセンブリ10の内部やヘッドアセンブリ10を有する印刷装置1の内部を汚すこと、を解決することができる。
【0068】
複数のリジッド基板110は、左右方向(本発明の第1方向の一例)に沿って列状に並んでおり、冷却器600は左右方向に沿って延在する水冷部601を備えている。また、リジッド基板110は、左右方向に直交する前後方向(本発明の第2方向の一例)に沿って2列に並んでいる。そして、冷却器600の水冷部601は、リジッド基板110の列に対応して前後方向に並んだ2つの水冷ブロック610を備えている。各水冷ブロック610は左右方向に延在している。これにより、1つの水冷ブロック610で、一列に並んだ複数のリジッド基板110を同時に冷却することができ、冷却器600の省スペース化に寄与することができる。
【0069】
上記実施形態において、中継基板300は、12個の第1コネクタ301(本発明のコネクタの一例)を備えている。そして、リジッド基板110は、上下方向(本発明の挿抜方向の一例)に挿抜可能に第1コネクタ301に挿入されている。そして、冷却器600の水冷ブロック610は、左右方向及び上下方向に交差する前後方向に沿って、リジッド基板110に対して離間するように構成されている。水冷ブロック610をリジッド基板110に対して離間させた状態で、リジッド基板110を挿抜できるので、リジッド基板110のメンテナンスなどの際に容易にリジッド基板110の挿抜を行うことができる。
【0070】
本実施形態においては、水冷ブロック610をリジッド基板110から離間させるための機構として、冷却器600が固定部630と、バネ620(本発明の付勢部材の一例)と、レバー640とを備えている。レバー640は水冷ブロック610に対して上下方向にスライド可能である。レバー640には、水冷ブロック610に対して前後方向に離間した第1部分640aと、水冷ブロック610に当接した第2部分640bとにわたって、上下方向に延在するスリット641が形成されている。上記のように、冷却器600はシャフト625を備えており、シャフト625の先端には位置決めピン626が位置している。この場合において、レバー640の第1部分640aと位置決めピン626とが重なる位置にあるとき、水冷ブロック610は固定部630に対して前後方向に最も近づく。これにより、水冷ブロック610を熱伝導シート115bに確実に押し当てることができ、熱伝導シート115bと前後方向に重なる位置に配置されている電源112a及び回路素子113Hを水冷ブロック610により水冷することができる。
【0071】
また、レバー640の第2部分640bとガイドピン628とが重なる位置にある場合、水冷ブロック610はバネ620によって付勢されて固定部630に対して前後方向に最も遠ざかる。この場合には、リジッド基板110に実装された電源112の交換などの際に、容易にリジッド基板110を抜き取ることができる。
【0072】
本実施形態のように、水冷ブロック610と熱伝導シート115bとが接触する場合には、水冷ブロック610をリジッド基板110から離間させるための機構があることが有効である。仮に、水冷ブロック610をリジッド基板110から離間させるための機構がない場合には、水冷ブロック610と熱伝導シート115bとが接触した状態でリジッド基板110を抜き取る必要がある。この場合には、水冷ブロック610と熱伝導シート115bとの間の接触抵抗により、熱伝導シート115bに歪みが生じてヒートスプレッダ114から剥がれる可能性がある。これに対して、本実施形態においては、上述のように、水冷ブロック610をリジッド基板110から容易に離間させることができる。そのため、リジッド基板110を抜き取る際に、熱伝導シート115bがヒートスプレッダ114から剥がれることを抑制することができる。
【0073】
上記実施形態において、リジッド基板110の、電源112が実装された面には、ヒートスプレッダ114が位置しており、電源112はヒートスプレッダ114を介して冷却器600の水冷ブロック610に熱接触している。このような構成により、電源112の形状に合わせてヒートスプレッダ114の形状を調整すればよく、水冷ブロック610の形状を電源112の高さに応じて調整する必要がない。そのため、内部に冷却水の流路が形成される水冷ブロック610の作製が容易となる。
【0074】
また、ヒートスプレッダ114と電源112との間に熱伝導シート115aを介在させることができる。。ヒートスプレッダ114と電源112(電源112a~112e)との間に、熱伝導シート115aが挟まれているので、電源112a~112eに若干の高さの差がある場合においても高さの差を吸収することができ、ヒートスプレッダ114と電源112a~112eとを確実に熱接触させることができる。また、、ヒートスプレッダ114の、リジッド基板110と反対側の面の、前後方向において電源112aと重なる位置には、熱伝導シート115bが位置している。上述のように、熱伝導シート115bには、水冷ブロック610を当接させることができる。そのため、5つの電源112a~112eの中で最も発熱量が大きくなる電源112aを、確実に水冷ブロック610に熱接触させることができる。
【0075】
なお、上記実施形態においては、5つの電源112a~112eの中で2番目に発熱量が大きくなる電源112eを、リジッド基板110の最も下方に実装していた。しかしながら、電源112eを、熱伝導シート115bと重なる位置におくことができる。この場合には、5つの電源112a~112eの中で2番目に発熱量が大きくなる電源112eを、確実に水冷ブロック610に熱接触させることができる。
【0076】
今回開示した実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではない。上記実施形態で示された各構成は、全てが必須のものではなく、必要に応じて構成を変更又は省略することができる。
【0077】
上記実施形態において、リジッド基板110の挿抜方向は上下方向であり、水冷ブロック610の離間方向は、上下方向に直交する前後方向であった。本発明はそのような態様には限られず、挿抜方向が上下方向と必ずしも平行でなくてもよい。また、離間方向は挿抜方向と交差していればよく、必ずしも離間方向と挿抜方向とが直交していなくてもよい。
【0078】
上記実施形態においては、ヘッドアセンブリ10の数は3つであった。しかしながら本発明はそのような態様には限られず、ヘッドアセンブリ10の数や配置は適宜変更しうる。同様に、1つのヘッド群20に含まれるヘッド11の数や配置等は適宜変更しうる。また、各ヘッド11に含まれるノズル11aの数や配置等も適宜変更しうる。また、上記実施形態においては、印刷装置1にコントローラ7が設けられていたが、本発明はそのような態様には限られない。例えば、ヘッドアセンブリ10にコントローラ7が設けられていてもよい。また、上記実施形態において、不揮発性メモリ11mは各ヘッド11に備えられていたが、不揮発性メモリ11mが例えばリジッド基板110に備えられていてもよく、コントローラ7に備えられていてもよい。
【0079】
上記実施形態において、冷却器600は水冷ブロック610を備えていたが、必ずしもブロック状の形状を有していなくてもよい。例えば、水冷ブロック610に代えて、水冷管を用いることができる。
【0080】
上記実施形態において、記録媒体4として、ロール状に巻かれた記録媒体(例えばロール紙)が用いられている。しかしながら本発明はそのような態様には限られず、必要に応じて適宜の形状及び材質の記録媒体4を用いることができる。上記実施形態において、タンク400の構造、形状、材質等は適宜変更しうる。例えば、上記実施形態の印刷装置1は、3つのヘッドアセンブリ10を備えており、ホワイトインク、シアンインク、マゼンダインク、イエローインク、ブラックインクの5色のインクを吐出するように構成されていた。本発明はそのような態様には限られず、印刷装置1が適宜の色のインクを吐出するように構成することができる。また、本実施形態においては、UV硬化インクが用いられていた。しかしながら、本発明はそのような態様には限られず、UV硬化インク以外のインク(例えば、水性インク、顔料インクなど)を用いることもできる。
【0081】
また、本発明は必ずしもラインヘッドを含むヘッドアセンブリに限定されず、複数のヘッドを含むヘッドアセンブリに広く適用できる。また、本発明はインクを吐出するインクジェット形式の印刷装置には限られない。また、画像等の印刷以外の様々な用途で使用される印刷装置においても本教示は適用されうる。例えば、基板に導電性の液体を吐出して、基板表面に導電パターンを形成する印刷装置にも、本教示を適用することは可能である。本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0082】
1 印刷装置
10 ヘッドアセンブリ
11 ヘッド
110 リジッド基板
112a~112e 電源
113 回路素子
114 ヒートスプレッダ
600 冷却器
610 水冷ブロック
640 レバー
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