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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014661
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】武道用衣服
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/00 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
A41D13/00 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178172
(22)【出願日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】P 2022117392
(32)【優先日】2022-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522294659
【氏名又は名称】TASUKI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】中村 佳央
(72)【発明者】
【氏名】久保 尚士
【テーマコード(参考)】
3B011
3B211
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AA02
3B011AB14
3B011AC22
3B211AA01
3B211AA02
3B211AB14
3B211AC22
(57)【要約】
【課題】簡単な構造で着脱が容易な武道用衣服を提供する。
【解決手段】前身頃、後身頃及び左右の袖部を有する本体部と、前身頃又は後身頃を着用者の胴体に固定する紐状部材と、を備える。前身頃及び後身頃は上端部で一体化されておいる。袖部は、前袖部と後袖部とを含み、前袖部及び後袖部は上端部に連続する上側の辺である上辺で一体化されている。また、前袖部及び後袖部には、上辺と反対側の辺である下辺に沿って、少なくとも袖口から所定の長さで接続して筒状に形成されている。紐状部材は、着用者の前側及び後側にそれぞれ前身頃及び後身頃が配置された状態で一部が前身頃及び後身頃に当接する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身頃、後身頃及び左右の袖部を有する本体部と、
前記前身頃及び前記後身頃を着用者の胴体に固定する紐状部材と、
を備え、
前記前身頃及び前記後身頃は、上端部で一体化されており、
前記袖部は、前袖部と後袖部とを含み、
前記前袖部と前記後袖部は、前記上端部に連続する上側の辺である上辺で一体化されており、かつ、前記上辺と反対側の辺である下辺に沿って、少なくとも袖口から所定の長さで接続されて筒状に形成されており、
前記紐状部材は、前記着用者の前側及び後側にそれぞれ前記前身頃及び前記後身頃が配置された状態で一部が前記前身頃及び前記後身頃に当接する
ことを特徴とする武道用衣服。
【請求項2】
前記本体部は、前記前身頃及び前記前袖部を含む一枚の裁断布である前面部と、前記後身頃及び前記後袖部を含む一枚の裁断布である背面部と、を有し、
前記前面部及び前記背面部は、前記上端部及び前記上辺で一体化されており、
前記袖部は、前記下辺に、前記前袖部及び前記後袖部を接続する接続部が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の武道用衣服。
【請求項3】
前記前面部及び前記背面部は、一枚の裁断布からなる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の武道用衣服。
【請求項4】
前記接続部は、帯状の面ファスナーであり、長手方向が前記下辺に沿うように設けられている
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の武道用衣服。
【請求項5】
左右の前記袖部は、それぞれ、前記前袖部と前記後袖部とを含む1枚の裁断布である袖布で構成されており、
前記袖部は、前記袖布を長手方向に沿った中心線を前記上辺とし、かつ、前記袖布の長手方向に沿った両側の側辺の一部を縫合することで筒状に形成されており、
左右の前記袖部は、それぞれ、前記前身頃及び前記後身頃と縫合されており、
前記袖布は、前記前身頃及び前記後身頃を構成する布地よりも強度が高い
ことを特徴とする請求項1に記載の武道用衣服。
【請求項6】
前記本体部は、首が挿入される挿入孔と、前記挿入孔に沿って設けられた襟部と、前記本体部と前記襟部とを接続する襟接続部と、を有し、
前記襟部は、前記前身頃又は前記後身頃と同じ裁断片に含まれており、
前記襟接続部は、前記前身頃及び前記後身頃と、前記襟部とにそれぞれ設けられた一対の接続部材であり、
前記襟部は、折り返し線に沿って折り曲げられ、前記襟接続部により前記前身頃又は前記後身頃に固定されている
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の武道用衣服。
【請求項7】
前記本体部は、首が挿入される挿入孔と、前記挿入孔に沿って設けられた襟部と、を有し、
前記襟部は、前記前身頃及び前記後身頃を構成する布地よりも強度が高い1枚の帯状の裁断布である襟布で構成されており、
前記襟布を長手方向に沿った線で折り曲げ、当該折り曲げられた前記襟布で前記挿入孔を覆うように前記襟布を配置した状態で、前記襟布と前記本体部とが縫合されている
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の武道用衣服。
【請求項8】
前記前身頃及び前記後身頃の少なくとも一方は、脇下から裾に向かうにつれて幅が広くなる末広がりの形状を有する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の武道用衣服。
【請求項9】
前記前身頃と前記後身頃とは同形状である
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の武道用衣服。
【請求項10】
前記前身頃の丈は、前記後身頃の丈より長い
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の武道用衣服。
【請求項11】
前記本体部には、1又は複数のマーキングが設けられている
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の武道用衣服。
【請求項12】
前記マーキングには、第1マーキング取付部が設けられており、
前記本体部には、前記第1マーキング取付部が取り付けられる第2マーキング取付部が設けられており、
前記マーキングは、前記第1マーキング取付部及び前記第2マーキング取付部により前記本体部に着脱可能である
ことを特徴とする請求項11に記載の武道用衣服。
【請求項13】
前記マーキングは、前記前身頃及び前記後身頃に少なくとも1つ設けられており、
前記前身頃における前記マーキングと前記後身頃における前記マーキングとは、前記前身頃及び前記後身頃の中心線を軸とした線対称となるように配置される
ことを特徴とする請求項11に記載の武道用衣服。
【請求項14】
前記紐状部材は、前記前身頃又は前記後身頃に設けられており、左端近傍に設けられた第1連結紐部と右端近傍に設けられた第2連結紐部とを有し、
前記紐状部材の前記前身頃又は前記後身頃から突出している部分の長さは、前記前身頃及び前記後身頃の幅の半分以上である
ことを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の武道用衣服。
【請求項15】
前記紐状部材は、前記前身頃に設けられており、
前記紐状部材の長手方向の中心が、前記前身頃の中心線の近傍に位置し、
前記紐状部材の長さは、前記紐状部材が設けられた位置における前記前身頃の幅の4倍以上であり、
前記紐状部材と前記前身頃とは、前記前身頃の左端及び右端の少なくとも一方の近傍で固定されており、前記前身頃の中央近傍は固定されていない
ことを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の武道用衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、武道用衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、着衣した際に肩部を境に前側に配置される前面部と、着衣した際に肩部を境に後側に配置される背面部と、着衣する際に頭及び首を挿入するために前面部から背面部にわたって形成された挿入部とを備え、前面部と背面部が肩部において繋がっており、脇部において前面部と背面部が開放されている汗取りベストが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-53485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、引用文献1に記載の発明は、袖を有しないため、衣服の袖を掴む必要がある柔道等の武道をする際に用いることはできない。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、簡単な構造で着脱が容易な武道用衣服を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る武道用衣服は、例えば、前身頃、後身頃及び左右の袖部を有する本体部と、前記前身頃及び前記後身頃を着用者の胴体に固定する紐状部材と、を備え、前記前身頃及び前記後身頃は、上端部で一体化されており、前記袖部は、前袖部と後袖部とを含み、前記前袖部と前記後袖部は、前記上端部に連続する上側の辺である上辺で一体化されており、かつ、前記上辺と反対側の辺である下辺に沿って、少なくとも袖口から所定の長さで接続されて筒状に形成されており、前記紐状部材は、前記着用者の前側及び後側にそれぞれ前記前身頃及び前記後身頃が配置された状態で一部が前記前身頃及び前記後身頃に当接する。これにより、簡単な構造で着脱が容易な武道用衣服を提供することができる。
【0007】
前記本体部は、前記前身頃及び前記前袖部を含む一枚の裁断布である前面部と、前記後身頃及び前記後袖部を含む一枚の裁断布である背面部と、を有し、前記前面部及び前記背面部は、前記上端部及び前記上辺で一体化されており、前記袖部は、前記下辺に、前記前袖部及び前記後袖部を接続する接続部が設けられていてもよい。これにより、本体部の形状を形成するのに縫製が不要又は最小限の縫製ですみ、武道用衣服を安価に製作することができる。
【0008】
前記前面部及び前記背面部は、一枚の裁断布からなってもよい。これにより、本体部の形状を形成するのに縫製が不要であり、武道用衣服を安価に製作することができる。
【0009】
前記接続部は、帯状の面ファスナーであり、長手方向が前記下辺に沿うように設けられていてもよい。これにより、高い強度で腕を固定することができる。また、武道用衣服を着用して組み合うときに、相手が手で袖の下側を握りやすい。
【0010】
左右の前記袖部は、それぞれ、前記前袖部と前記後袖部とを含む1枚の裁断布である袖布で構成されており、前記袖部は、前記袖布を長手方向に沿った中心線を前記上辺とし、かつ、前記袖布の長手方向に沿った両側の側辺の一部を縫合することで筒状に形成されており、左右の前記袖部は、それぞれ、前記前身頃及び前記後身頃と縫合されており、前記袖布は、前記前身頃及び前記後身頃を構成する布地よりも強度が高くてもよい。これにより、袖部の強度を高くすることができる。
【0011】
前記本体部は、首が挿入される挿入孔と、前記挿入孔に沿って設けられた襟部と、前記本体部と前記襟部とを接続する襟接続部と、を有し、前記襟部は、前記前面部又は前記背面部と同じ裁断布に含まれており、前記襟接続部は、前記前身頃及び前記後身頃と、前記襟部とにそれぞれ設けられた一対の接続部材であり、前記襟部は、折り返し線に沿って折り曲げられ、前記襟接続部により前記前身頃又は前記後身頃に固定されていてもよい。これにより、襟部を前面部又は背面部と同じ1枚の布で形成することができる。また、襟部を前身頃、後身頃の表面に固定することができ、武道用衣服を着用して組み合ったときに、相手が手で襟部を掴みやすい。
【0012】
前記本体部は、首が挿入される挿入孔と、前記挿入孔に沿って設けられた襟部と、を有し、前記襟部は、前記前身頃及び前記後身頃を構成する布地よりも強度が高い1枚の帯状の裁断布である襟布で構成されており、前記襟布を長手方向に沿った線で折り曲げ、当該折り曲げられた前記襟布で前記挿入孔を覆うように前記襟布を配置した状態で、前記襟布と前記本体部とが縫合されていてもよい。これにより、襟部の強度を高くすることができる。
【0013】
前記前身頃及び前記後身頃の少なくとも一方は、脇下から裾に向かうにつれて幅が広くなる末広がりの形状を有してもよい。これにより、着用者の体型によらず、また、着用時に相手が本体部を手で掴んで引っ張ったとしても、着用者の体側が露出し難い。
【0014】
前記前身頃と前記後身頃とは同形状であってもよい。これにより、前面部を着用者の前側に、背面部を着用者の後側に配置させて武道用衣服を着用したり、背面部を着用者の前側に、前面部を着用者の後側に配置させて武道用衣服を着用したりすることができる。そのため、着用者が細身の場合には、第1連結紐部及び第2連結紐部が設けられた部位(例えば、背面部)を着用者の前側にし、第1連結紐部及び第2連結紐部をそれぞれ一旦着用者の後ろに回してから先端を前に回し、第1連結紐部及び第2連結紐部を前で結ぶようなことが可能となり、武道用衣服の使い勝手が良くなる。
【0015】
前記前身頃の丈は、前記後身頃の丈より長くてもよい。これにより、武道用衣服を着用して組み合ったときに、相手が前身頃を手で掴んで引っ張ったとしても、前身頃の裾が紐状部材の上に引き上げられ難くなり、使い勝手が良い。
【0016】
前記本体部には、1又は複数のマーキングが設けられてもよい。これにより、武道用衣服を着用して組み合ったときに、相手が手で掴むべき位置をマーキングで表すことができる。
【0017】
前記マーキングには、第1マーキング取付部が設けられており、前記本体部には、前記第1マーキング取付部が取り付けられる第2マーキング取付部が設けられており、前記マーキングは、前記第1マーキング取付部及び前記第2マーキング取付部により前記本体部に着脱可能であってもよい。これにより、マーキングの有無を使用時に選択することができる。
【0018】
前記マーキングは、前記前身頃及び前記後身頃に少なくとも1つ設けられており、前記前身頃における前記マーキングと前記後身頃における前記マーキングとは、前記前身頃及び前記後身頃の中心線を軸とした線対称となるように配置されてもよい。これにより、前身頃を着用者の前側に配置させて武道用衣服を着用したり、後身頃を着用者の前側に配置させて武道用衣服を着用しても、マーキングを同じ位置に配置することができる。したがって、武道用衣服を着用して組み合ったときに、相手が掴むべき位置を指導者が指示しやすくなることから、使い勝手が良い。
【0019】
前記紐状部材は、前記前身頃又は前記後身頃に設けられており、左端近傍に設けられた第1連結紐部と右端近傍に設けられた第2連結紐部とを有し、前記紐状部材の前記前身頃又は前記後身頃から突出している部分の長さは、前記前身頃及び前記後身頃の幅の半分以上であってもよい。これにより、帯等の紐状部材を別途用意することなく、前身頃及び後身頃を着用者の胴体にしっかりと固定することができる。また、紐状部材の先端を着用時に正面から見て前身頃の前面で結んで、前身頃及び後身頃を着用者の胴体にしっかりと固定することができる。また、前身頃及び後身頃を着用者の胴体にしっかりと固定するため、本体部や紐状部材が破損し難く、また着崩れを防ぐことができる。
【0020】
前記紐状部材は、前記前身頃に設けられており、前記紐状部材の長手方向の中心が、前記前身頃の中心線の近傍に位置し、前記紐状部材の長さは、前記紐状部材が設けられた位置における前記前身頃の幅の4倍以上であり、前記紐状部材と前記前身頃とは、前記前身頃の左端及び右端の少なくとも一方の近傍で固定されており、前記前身頃の中央近傍は固定されていなくてもよい。これにより、前身頃及び後身頃を着用者の胴体にしっかりと固定することができる。また、実際に道着を着用するときに帯を締めるのと同様の方法で、紐状部材を結ぶことができる。
【発明の効果】
【0021】
簡単な構造で着脱が容易な武道用衣服を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】武道用衣服1の概略を示す図であり、(A)は展開図であり、(B)は使用時(着用時)の様子を示す正面図である。
図2】接続部41が左袖52を筒状にする様子を示す図である。
図3】(A)は武道用衣服1Aの着用時の概略を示す図であり、(B)は武道用衣服1Bの着用時の概略を示す図である。
図4】(A)は武道用衣服1Cの展開時の概略を示す図であり、(B)は武道用衣服1Dの展開時の概略を示す図である。
図5】武道用衣服2の概略を示す図であり、(A)は展開図であり、(B)は着用時の様子を示す正面図である。
図6】武道用衣服3の概略を示す図であり、(A)は展開図であり、(B)は着用時の様子を示す正面図である。
図7】武道用衣服4の概略を示す図であり、(A)は展開図であり、(B)は着用時の様子を示す正面図である。
図8】武道用衣服4Aの概略を示す図であり、(A)は展開図であり、(B)は着用時の様子を示す正面図である。
図9】武道用衣服5の概略を示す図であり、(A)は展開図であり、(B)は着用時の様子を示す正面図である。
図10】武道用衣服5Aの概略を示す図であり、(A)は展開図であり、(B)は着用時の様子を示す正面図である。
図11】武道用衣服5Bの概略を示す図であり、(A)は展開図であり、(B)は着用時の様子を示す正面図である。
図12】武道用衣服5Cの概略を示す図であり、(A)は展開図であり、(B)は着用時の様子を示す正面図である。
図13】武道用衣服5Dの概略を示す図であり、(A)は展開図であり、(B)は着用時の様子を示す正面図である。
図14】武道用衣服6の概略を示す図であり、(A)は展開図であり、(B)は着用時の様子を示す正面図である。
図15】武道用衣服7の概略を示す図であり、(A)は本体部50の展開図であり、(B)は紐状部材30Aの展開図であり、(C)は着用時の様子を示す正面図である。
図16】武道用衣服8の概略を示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は背面図であり、(C)は着用時の様子を示す正面図である。
図17】袖部53Cの概略を示す模式図である。
図18】襟部55の概略を示す模式図である。
図19】武道用衣服8Aの概略を示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は着用時の様子を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。本発明の武道用衣服は、武道をする際にTシャツ等の上に着用するものである。本発明において、武道とは、柔道、空手道、少林寺拳法、合気道、躰道、テコンドー、柔術等を含む。以下、本発明の武道用衣服について、柔道に用いる場合を例に説明する。
【0024】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる武道用衣服1の概略を示す図であり、(A)は展開図であり、(B)は使用時(着用時)の様子を示す正面図である。図1(A)においては、着用時に着用者の身体側に位置する面(裏面)が紙面裏側になり、着用時に露出する面(表面)が紙面表側になるように図示している。また、前後左右は着用者を基準にしている。
【0025】
武道用衣服1は、主として、前面部10及び背面部20を有する本体部50と、紐状部材30とを有する。展開時は、本体部50が1つの平面上に位置し、前面部10と背面部20とが隣接する。
【0026】
前面部10は、前身頃11及び前袖部12、13を含む一枚の裁断布からなる。背面部20は、後身頃21及び後袖部22、23を含む一枚の裁断布からなる。前身頃11は着用者の上半身前面を覆う部位であり、後身頃21は着用者の上半身背面を覆う部位である。前面部10及び背面部20をそれぞれ一枚の裁断布とすることで、縫製が不要、すなわち製造が容易となる。
【0027】
また、前面部10の上端部及び背面部20の上端部は一体化されている。具体的には、前身頃11及び後身頃21は肩部で一体化されており、前袖部12及び後袖部22は肩部に連続する上側の辺(上辺)で一体化されており、前袖部13及び後袖部23は上辺で一体化されている。肩部及び上辺は、折り畳み線L上に位置する。
【0028】
本実施の形態では、前面部10及び背面部20は一体であり(つながっており)、本体部50は連続した一枚の裁断布からなる。言い換えれば、本体部50は、1枚の布から切り抜かれている。これにより、本体部50の形状を形成するのに縫製が不要であり、製作が容易となる。
【0029】
なお、前面部10及び背面部20をそれぞれ一枚の裁断布とすればよく、前面部10の上端部と背面部20の上端部とを縫い合わせて本体部50を製作してもよい。また、前身頃11及び後身頃21を一枚の裁断布とし、前袖部12及び後袖部22を一枚の裁断布とし、前袖部13及び後袖部23を一枚の裁断布とし、これらを縫い合わせて本体部50を製作してもよい。これらの場合であっても、直線上に縫い合わせればよいため、製作が容易である。
【0030】
本体部50は、裏面が内側を向くように、前面部10及び背面部20を折り畳み線Lで折り曲げて使用される。言い換えれば、図1(A)に示す状態の本体部50を折り畳み線Lで山折りすると、図1(B)に示す本体部50の状態となる。
【0031】
前面部10(前身頃11)及び背面部20(後身頃21)には、それぞれ、着脱時に頭及び首が通る挿入孔14、24が設けられている。挿入孔14、24は例えば半円形状であり、本体部50を展開した状態では挿入孔14及び挿入孔24が1つの円形状となる。
【0032】
本体部50の裏面には、接続部41、42が設けられている。接続部41は前袖部12及び後袖部22に設けられており、接続部42は前袖部13及び後袖部23に設けられている。接続部41、42は、面ファスナーであり、フック状に起毛されたフック面41a、42aと、ループ状(丸い輪状)に起毛されたループ面41b、42bとを有する。
【0033】
接続部41、42は、それぞれ、下辺12a、13a、22a、23aに沿って設けられている。下辺12a、13a、22a、23aは、前袖部12、13及び後袖部22、23の上辺(折り畳み線L上に位置する)と反対側の辺である。本実施の形態では、下辺12a、13aに沿ってそれぞれフック面41a、42aが設けられており、下辺22a、23aに沿ってそれぞれループ面41b、42bが設けられている。なお、フック面41a、42aがそれぞれ下辺22a、23aに沿って設けられ、ループ面41b、42bがそれぞれ下辺12a、13aに沿って設けられていてもよい。
【0034】
接続部41、42の長さL1は、袖丈L2の半分以上である。また、接続部41、42の一端は、袖口52a、53aに隣接して設けられている。したがって、接続部41、42は、それぞれ、前袖部12、13及び後袖部22、23の少なくとも袖口52a、53aから袖丈の半分以上にわたって接続して袖(左袖52、右袖53)を筒状に形成する。
【0035】
図2は、接続部41が左袖52を筒状にする様子を示す図である。フック面41a及びループ面41bが裏面に設けられているため、フック面41a及びループ面41bが接続されることで、裏面が内側になるように左袖52が筒状になる。また、下辺12a、22aから接続部41の幅Wだけ平坦面となるため、武道用衣服1を着用して組み合うときに、相手が袖の下側を握りやすくなる。
【0036】
図1の説明に戻る。紐状部材30は、前身頃11又は後身頃21に設けられている。本実施の形態では、紐状部材30は後身頃21に設けられている。
【0037】
紐状部材30は、後身頃21の左右の端近傍に設けられた一対の連結紐部31、32を有する。連結紐部31、32は、後身頃21の裏面に縫い止めされている。連結紐部31(本発明の第1連結紐部に相当)は、後身頃21の左端21a近傍に設けられており、連結紐部32(本発明の第2連結紐部に相当)は、後身頃21の右端21b近傍に設けられている。連結紐部31、32の後身頃21から突出している部分の長さは、前身頃11及び後身頃21の幅の半分以上であり、好ましくは前身頃11及び後身頃21の幅以上である。したがって、着用時に正面から見て連結紐部31、32を前身頃11の前面で結ぶことができる(図1(B)参照)。なお、連結紐部31、32を設ける形態は縫い止めに限定されず、例えば接着でもよい。
【0038】
なお、連結紐部31、32は、紐であればよいが、帯のように幅が広い(例えば4cm程度)平紐であることが望ましい。
【0039】
このように構成された武道用衣服1を着用するときには、図1(A)に示す展開状態から折り畳み線Lで裏面を内側にして本体部50を折り畳んで着用者の上方から被せ、着用者の頭を挿入孔14、24に通す。これにより、前面部10が着用者の前側に、背面部20が着用者の後側に配置される。
【0040】
その後、着用者の左腕を前袖部12及び後袖部22の間に入れた状態で接続部41を接続して、着用者の左腕が入った状態で左袖52を筒状にする。同様に、着用者の右腕を前袖部13及び後袖部23の間に入れた状態で接続部42を接続して、着用者の右腕が入った状態で右袖53を筒状にする。また、連結紐部31、32の後身頃21に設けられていない端(先端)を前身頃11の前に回して連結紐部31、32を結ぶことで、胴体部51(前身頃11及び後身頃21)が着用者の胴体に固定される。
【0041】
本実施の形態によれば、簡単な構造の武道用衣服1を提供することができる。また、本体部50の形状を形成するのに縫製が不要であり、武道用衣服1を安価に製作することができる。そのため、武道用衣服1を気軽に着用することができる。また、本体部50を裁断する布を薄手の布(例えば、合成繊維)にすることで、武道用衣服1が安価になり、かつ、武道用衣服1の保管時に嵩張らない。
【0042】
また、本実施の形態によれば、本体部50を頭から被り、左袖52、右袖53を接続部41、42で接続するだけで武道用衣服1が着用できるため、袖を有する武道用衣服1の着脱が容易である。したがって、道着を所有していない初心者が柔道の練習をする際に有用である。
【0043】
また、本実施の形態によれば、紐状部材30を後身頃21から前身頃11の前に回し、連結紐部31、32を前で結んで胴体部51を着用者の胴体に固定するため、胴体部51を着用者の胴体にしっかりと固定することができる。したがって、武道用衣服1を着用して組み合い、相手が手で武道用衣服1を掴んだとしても、前身頃11と後身頃21とが開け難い。また、紐状部材30が本体部50に設けられているため、武道用衣服1のみで着用が可能であり、帯等を別途用意する必要がない。
【0044】
例えば、前面部と背面部のそれぞれの脇部に設けられた紐どうしを結ぶことで前面部と背面部の間を接続する場合には、前面部と背面部の接続が弱く、着用した状態で前面部等に外力が加わることで、前面部や背面部、紐等が破損するおそれがある。それに対し、連結紐部31、32を前で結ぶ武道用衣服1は、紐状部材30が丈夫であり、また、紐状部材30が胴体部51を着用者の胴体に固定するため、胴体部51や紐状部材30が破損し難い。
【0045】
また、本実施の形態によれば、前面部10と背面部20とが同形状であるため、背面部20を着用者の前側に、前面部10を着用者の後側に配置させて武道用衣服1を着用することができる。例えば、着用者が細身の場合には、背面部20を着用者の前側にし、連結紐部31、32をそれぞれ一旦着用者の後ろに回してから先端を前に回して、連結紐部31、32を前で結ぶようにしてもよい。これにより、武道用衣服1の使い勝手がよくなる。
【0046】
なお、本実施の形態では、フック面41a、42aとループ面41b、42bとを有する面ファスナーである接続部41、42を用いて、前袖部12と後袖部22を筒状にして前袖部13と後袖部23を筒状にしたが、接続部の形態はこれに限られない。例えば、ファスナーを接続部としてもよい。また、例えば、下辺12a、22a、22a、23aに沿って連続して複数のスナップボタンやホックを設け、これらを接続部としてもよい。ただし、面ファスナーは強度が高く、硬い部品が露出せず安全であるため、接続部41、42を面ファスナーとすることが望ましい。
【0047】
また、本実施の形態では、接続部41、42の一端が袖口52a、53aに隣接して設けられており、接続部41、42の長さL1が袖丈L2の半分以上であったが、接続部の位置及び大きさはこれに限られない。例えば、接続部41、42の長さL1が袖丈L2と略同じであってもよい。また、例えば、長さL1の接続部41、42が下辺12a、22a、22a、23aの略中央に設けられていてもよい。ただし、着用後の使い勝手を良くするためには、接続部41、42の一端が袖口52a、53aに隣接して設けられていることが望ましい。
【0048】
また、本実施の形態では、紐状部材30を用いて胴体部51を着用者の胴体に固定したが、面ファスナー等の接続部を前身頃11及び後身頃21の側面に設けてこれらを留めることで胴体部51が着用者の胴体を覆うようにしてもよい。ただし、胴体部51を着用者の胴体に固定して武道用衣服1の着崩れを防ぐためには、紐状部材30を用いて胴体部51を着用者の胴体に固定することが望ましい。
【0049】
また、本実施の形態では、挿入孔14、24が半円形状であり、本体部50を展開した状態では挿入孔14、24が円形状になったが、挿入孔の形状はこれに限られない。図3(A)は、変形例にかかる武道用衣服1Aの着用時の概略を示す図であり、図3(B)は、変形例にかかる武道用衣服1Bの着用時の概略を示す図である。
【0050】
武道用衣服1A、1Bは武道用衣服1に対して挿入孔の形状のみが異なる。武道用衣服1Aは、挿入孔14Aが設けられた前身頃11Aを有する前面部10A及び挿入孔24Aが設けられた後身頃21Aを有する背面部20Aを有する。挿入孔14A、24Aが半楕円形状であり、展開した状態では挿入孔14A、24Aが楕円形状となる。武道用衣服1Bは、挿入孔14Bが設けられた前身頃11Bを有する前面部10B及び挿入孔24Bが設けられた後身頃21Bを有する背面部20Bを有する。挿入孔14B、24Bが三角形状であり、展開した状態では挿入孔14B、24Bが矩形形状となる。
【0051】
また、本実施の形態では、連結紐部31、32を有する紐状部材30が後身頃21の左右の側面かつ裏側に設けられていたが、紐状部材の形態はこれに限られない。例えば、連結紐部31、32を有する紐状部材30が後身頃21の左右の側面かつ表側に設けられていてもよい。
【0052】
また、例えば、紐状部材が1本の紐(第1連結紐部及び第2連結紐部が連結されている)でもよい。図4(A)は、変形例にかかる武道用衣服1Cの展開時の概略を示す図である。武道用衣服1Cは武道用衣服1に対して紐状部材の形態のみが異なる。武道用衣服1Cは、1本の紐状部材30Aが後身頃21に縫い止めされている。紐状部材30Aは、後身頃21の裏面に設けられていてもよいし、表面に設けられていてもよい。図4(A)では、後身頃21の中央部の縫い目33の部分で後身頃21と紐状部材30Aとが縫い止めされているが、縫い目33の長さはこれに限られない。例えば、後身頃21の幅方向略全体で後身頃21と紐状部材30Aとが縫い止めされていてもよい。なお、紐状部材30Aを設ける形態は縫い止めに限定されず、例えば接着でもよい。また、紐状部材30Aは前身頃11に設けられていてもよい。
【0053】
図4(B)は、変形例にかかる武道用衣服1Dの展開時の概略を示す図である。武道用衣服1Dは武道用衣服1に対して紐状部材の形態のみが異なる。武道用衣服1Dは、連結紐部31、32と、2本の線状のマーキング34を有する紐状部材30Bを有する。マーキング34は、連結紐部31、32の両側の端の位置と略一致しており、後身頃21の幅方向全体に設けられている。マーキング34は、例えば、縫い目やプリントであり、帯を模式的に示すことができる。
【0054】
また、本実施の形態では、前身頃11と前袖部12、13の下辺12a、13aとの境界、及び、後身頃21と後袖部22、23の下辺22a、23aとの境界、すなわち脇が直角であるが、前身頃11と前袖部12、13の下辺12a、13a及び後身頃21と後袖部22、23の下辺22a、23aが円弧で接続されていてもよい。
【0055】
また、本実施の形態では、前袖部12、13及び後袖部22、23の幅が一定であったが、前袖部12、13及び後袖部22、23の形状はこれに限られない。例えば、前袖部及び後袖部の袖口が細く、前身頃11及び後身頃21に向かうにつれて太くなっていてもよい。
【0056】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施の形態に係る武道用衣服2について説明する。武道用衣服2は、襟を有する形態である。なお、武道用衣服1と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0057】
図5は、本発明の第2の実施の形態にかかる武道用衣服2の概略を示す図であり、(A)は展開図であり、(B)は着用時の様子を示す正面図である。図5(A)においては、裏面が紙面裏側になり、表面が紙面表側になるように図示している。
【0058】
武道用衣服2は、主として、前面部10C及び背面部20Cを有する本体部50Cと、紐状部材30とを有する。前面部10Cは、挿入部15が設けられた前身頃11Cと、前袖部12、13とを含む一枚の裁断布からなる。背面部20Cは、挿入部25が設けられた後身頃21Cと後袖部22、23とを含む一枚の裁断布からなる。また、本体部50Cは連続した一枚の裁断布からなる。
【0059】
使用時には、挿入部15、25は三角形状であり、頂点の1つが前身頃11C、後身頃21Cの略中心線上に位置する。挿入部15、25は、それぞれ、襟部15a、15b、25a、25bと、前身頃11C及び後身頃21Cと襟部15a、15b、25a、25bとを接続する襟接続部と、を有する。襟接続部は、ここでは面ファスナーであり、フック面15d、15f、25d、25f及びループ面15e、15g、25e、25gを有する。
【0060】
襟部15a、15b、25a、25bは、折り曲げ線15c、25cにより構成される矩形形状の挿入孔54よりも小さい矩形形状の切り抜き線54aで前面部10C及び背面部20Cに孔を形成し、切り抜き線54aの角にエッジ状の切り欠き54bを設けることで形成される。つまり、襟部15a、15bは前面部10Cと同じ裁断布に含まれ、襟部25a、25bは背面部20Cと同じ裁断布に含まれる。また、襟部15a、15b、25a、25bは、折り曲げ線15c、25cで折り曲げ可能である。
【0061】
フック面15d、15f、25d、25fは前身頃11C及び後身頃21Cの表面に設けられており、ループ面15e、15g、25e、25gは襟部15a、15b、25a、25bの表面に設けられている。襟部15a、15b、25a、25bを折り曲げ線15c、25cで表側に向けて折り曲げ(表面から見て谷折り)、一対のフック面15d、15f、25d、25fとループ面15e、15g、25e、25gとをそれぞれ留めることで、前身頃11C、後身頃21Cの表面にそれぞれ襟部15a、15b、25a、25bが固定される。その結果、折り曲げ線15c、25cにより囲まれた孔が、首が挿入される挿入孔54となる。また、襟部15a、15b、25a、25bが挿入孔54に沿って設けられる。
【0062】
なお、本実施の形態では、フック面15d、15f、25d、25fが前面部10C及び背面部20Cに設けられており、ループ面15e、15g、25e、25gが襟部15a、15b、25a、25bに設けられていたが、フック面15d、15f、25d、25fが襟部15a、15b、25a、25bに設けられており、ループ面15e、15g、25e、25gが前面部10C及び背面部20Cに設けられていてもよい。
【0063】
このように構成された武道用衣服2を着用するときには、前身頃11C、後身頃21Cの表面にそれぞれ襟部15a、15b、25a、25bを固定した状態で、展開状態から折り畳み線Lで裏面を内側にして本体部50Cを折り畳んで着用者の上方から被せ、着用者の頭を挿入孔54に通す。これにより、前面部10Cが着用者の前側に、背面部20Cが着用者の後側に配置される。
【0064】
その後、着用者の左腕及び右腕をそれぞれ前袖部12、13及び後袖部22、23の間に入れた状態で接続部41、42を接続して、着用者の左腕及び右腕が入った状態で左袖52及び右袖53を筒状にする。また、連結紐部31、32の先端を前身頃11Cの前に回して連結紐部31、32を結ぶことで、胴体部51Cが着用者の胴体に固定される。
【0065】
本実施の形態によれば、前身頃11A、後身頃21Cの表面に襟部15a、15b、25a、25bが固定されるため、武道用衣服2を着用して組み合ったときに、相手が手で襟部15a、15b、25a、25bを掴みやすくする。また、前面部10Cと背面部20Cとが同形状であるため、背面部20Cを着用者の前側に、前面部10Cを着用者の後側に配置させて武道用衣服2を着用することができ、かつ使い勝手が良い。
【0066】
なお、本実施の形態では、襟接続部が面ファスナーであったが、襟接続部の形態はこれに限られない。例えば、襟接続部は一対のスナップボタンでもよい。また、襟部15a、15b、25a、25bの大きさや形状も図示した形態に限られない。
【0067】
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施の形態に係る武道用衣服3について説明する。武道用衣服3は、表面にマーキングが付された形態である。なお、武道用衣服1と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0068】
図6は、本発明の第3の実施の形態にかかる武道用衣服3の概略を示す図であり、(A)は展開図であり、(B)は着用時の様子を示す正面図である。図6(A)においては、裏面が紙面裏側になり、表面が紙面表側になるように図示している。
【0069】
武道用衣服3は、主として、前面部10D及び背面部20Dを有する本体部50Dと、紐状部材30とを有する。前面部10Dは、マーキング16(16a、16b、16c、16d)が設けられた前身頃11Dと、前袖部12、13とを含む一枚の裁断布からなる。背面部20Cは、マーキング26(26a、26b、26c、26d)が設けられた後身頃21Dと後袖部22、23とを含む一枚の裁断布からなる。前身頃11D、後身頃21Dは、前身頃11、後身頃21とマーキングの有無のみが異なり、その他は同一である。また、本体部50Dは連続した一枚の裁断布からなる。なお、マーキング16、26は、印刷等により前身頃11D又は後身頃21Dに設けられていてもよいし、接着や縫い付け等により前身頃11D又は後身頃21Dに設けられていてもよい。
【0070】
前面部10Dを着用者の前側に、背面部20Dを着用者の後側に配置させて武道用衣服3を着用したときに、マーキング16aは、前身頃11Dの左側の襟に相当する位置に設けられており、マーキング16bは、前身頃11Dの右側の襟に相当する位置に設けられており、マーキング16cは、左袖である前袖部12に設けられており、マーキング16dは、右袖である前袖部13に設けられている。
【0071】
背面部20Dを着用者の前側に、前面部10Dを着用者の後側に配置させて武道用衣服3を着用したときに、マーキング26aは、後身頃21Dの左側の襟に相当する位置に設けられており、マーキング26bは、後身頃21Dの右側の襟に相当する位置に設けられており、マーキング26cは、左袖である後袖部23に設けられており、マーキング26dは、右袖である後袖部22に設けられている。
【0072】
マーキング16a~16dはそれぞれ形状が異なり、マーキング26a~26dはそれぞれ形状が異なる。前面部10Dにおけるマーキング16と背面部20Dにおけるマーキング26は、前面部10D及び背面部20の中心線axを軸とした線対称となるように配置されている。すなわち、前面部10Dを着用者の前側に配置させた場合や、背面部20Dを着用者の前側に配置させた場合でも、着用者の前面左側の襟に相当する位置に正方形状のマーキング16a、26aが配置され、着用者の前面右側の襟に相当する位置に菱形状のマーキング16b、26bが配置され、着用者の左袖前面に三角形状のマーキング16c、26cが設けられており、着用者の右袖前面に丸形状のマーキング16d、26dが配置される。
【0073】
なお、図6では、マーキング16a、16b、16c、16d、26a、26b、26c、26dが幾何学模様であったが、マーキング16a~26dの形状はこれに限られない。例えば、マーキングが花、動物等の形状であってもよいし、数字含んでもよい。また、マーキング16a~26dの大きさや位置もこれに限られない。
【0074】
また、図6では、マーキング16、26がそれぞれ4個ずつのマーキングを有したが、マーキングの数はこれに限られない。マーキングは1又は複数であればよく、例えば、マーキング16、26がそれぞれ1つのマーキングからなってもよいし、1つのマーキング16のみ(マーキング26を有しない)からなってもよい。
【0075】
本実施の形態によれば、マーキング16a~26dが設けられているため、武道用衣服3を着用して組み合ったときに、相手の手が掴むべき位置をマーキング16a~26dで表すことができる。また、前面部10Cと背面部20Cとが同形状であるため、背面部20Cを着用者の前側に、前面部10Cを着用者の後側に配置させて武道用衣服3を着用することができ、かつ使い勝手が良い。
【0076】
また、本実施の形態によれば、展開時に複数のマーキング16、26が前面部10D及び後身頃21Dの中心線を軸に線対称に配置されているため、前面部10Dを着用者の前側に配置させて武道用衣服3を着用したり、背面部20Dを着用者の前側に配置させて武道用衣服3を着用しても、同じ形状のマーキングが同じ位置に配置される。したがって、武道用衣服3を着用して組み合ったときに、相手が掴むべき位置を指導者が指示しやすく、使い勝手が良い。
【0077】
なお、本実施の形態では、マーキング16a~26dを前身頃11D又は後身頃21Dに設けられたが、マーキング16a~26dを前身頃11D又は後身頃21Dに着脱可能に設けてもよい。例えば、前身頃や後身頃にループ面(本発明の第2マーキング取付部に相当)を設け、マーキングの裏面にフック面(本発明の第1マーキング取付部に相当)を設け、フック面をループ面に取り付けることで所望の位置にマーキングを取り付けることで、マーキングが前身頃11D又は後身頃21Dに着脱可能であってもよい。これにより、マーキングの有無を使用時に選択することができる。また、前身頃や後身頃にループ面を設けることで、マーキングが取り付けられていない場合でも肌触りが良くなる。
【0078】
<第4の実施形態>
本発明の第4の実施の形態に係る武道用衣服4について説明する。武道用衣服4は、前身頃と後身頃の長さ(丈)が異なる形態である。なお、武道用衣服1と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0079】
図7は、本発明の第4の実施の形態にかかる武道用衣服4の概略を示す図であり、(A)は展開図であり、(B)は着用時の様子を示す正面図である。図7(A)においては、裏面が紙面裏側になり、表面が紙面表側になるように図示している。
【0080】
武道用衣服4は、主として、前面部10E及び背面部20Eを有する本体部50Eと、紐状部材30とを有する。前面部10Eは、前身頃11Eと、前袖部12A、13Aとを含む一枚の裁断布からなる。背面部20Eは、後身頃21Eと後袖部22A、23Aとを含む一枚の裁断布からなる。また、本体部50Eは連続した一枚の裁断布からなる。
【0081】
前面部10Eは、脇が円弧形状になっている点及び前身頃11Eの長さが前面部10と異なり、その他は前面部10と同一である。前面部10Eでは、前身頃11Eと前袖部12A、13Aの下辺との間が円弧形状の脇部17となっている。また、前身頃11Eの丈は、後身頃21Eの丈よりも長い。
【0082】
背面部20Eは、脇が円弧形状になっている点で背面部20と異なり、その他は背面部20と同一である。背面部20Eでは、後身頃21Eと後袖部22A、23Aの下辺との間が円弧形状の脇部27となっている。
【0083】
武道用衣服4を着用するときには、図7(A)に示す展開状態から折り畳み線Lで裏面を内側にして本体部50Eを折り畳んで着用者の上方から被せ、着用者の頭を挿入孔14、24に通す。これにより、前面部10Eが着用者の前側に、背面部20Eが着用者の後側に配置される。
【0084】
その後、着用者の左腕及び右腕をそれぞれ前袖部12A、13A及び後袖部22A、23Aの間に入れた状態で接続部41、42を接続して、着用者の左腕及び右腕が入った状態で左袖52A及び右袖53Aを筒状にする。また、連結紐部31、32の先端を前身頃11Gの前に回して連結紐部31、32を結ぶ。これにより、前身頃11E及び後身頃21Eを有する胴体部51Eが着用者の胴体に固定される。
【0085】
本実施の形態によれば、前身頃11Eの丈が後身頃21Eの丈よりも長いため、武道用衣服4を着用して組み合ったときに、相手が前身頃を手で掴んで引っ張ったとしても、前身頃11Eの裾が紐状部材30の上に引き上げられ難くなり、使い勝手が良い。
【0086】
なお、本実施の形態では、前身頃11Eの丈が後身頃21Eの丈よりも長いが、後身頃21Eの丈が前身頃11Eの丈よりも長くてもよい。図8は、変形例にかかる武道用衣服4Aの概略を示す図であり、(A)は展開図であり、(B)は着用時の様子を示す正面図である。武道用衣服4Aは、主として、前面部10F及び背面部20Fを有する本体部50Fと、紐状部材30とを有する。
【0087】
前面部10Fは、前身頃11Fと前袖部12A、13Aの下辺との間が脇部17になっている点が前面部10と異なり、その他は前面部10と同一である。背面部20Fは、後身頃21Fと後袖部22A、23Aの下辺との間が脇部27になっている点及び後身頃21Fの長さが背面部20と異なり、その他は背面部20と同一である。後身頃21Fは、前身頃11Fよりも丈が長い。
【0088】
<第5の実施形態>
本発明の第5の実施の形態に係る武道用衣服5について説明する。武道用衣服5は、前身頃及び後身頃の少なくとも1方が脇下から裾に向かうにつれて幅が広くなる末広がりの形状を有する形態である。なお、武道用衣服1と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0089】
図9は、本発明の第5の実施の形態にかかる武道用衣服5の概略を示す図であり、(A)は展開図であり、(B)は着用時の様子を示す正面図である。図9(A)においては、裏面が紙面裏側になり、表面が紙面表側になるように図示している。
【0090】
武道用衣服5は、主として、前面部10G及び背面部20Gを有する本体部50Gと、紐状部材30とを有する。本体部50Gは連続した一枚の裁断布からなる。
【0091】
前面部10Gは、前身頃11Gと、前袖部12A、13Aとを含む一枚の裁断布からなる。背面部20Gは、後身頃21Gと後袖部22A、23Aとを含む一枚の裁断布からなる。前身頃11G及び後身頃21Gは、脇下(脇部17、27の近傍)から裾11c、21cに向かうにつれて幅が広くなる末広がりの形状を有する。
【0092】
連結紐部31、32は、後身頃21Gの表面に縫い止めされている。連結紐部31は、後身頃21Gの左端21d近傍に設けられており、連結紐部32は、後身頃21Gの右端21e近傍に設けられている。
【0093】
武道用衣服5を着用するときには、図9(A)に示す展開状態から折り畳み線Lで裏面を内側にして本体部50Gを折り畳んで着用者の上方から被せ、着用者の頭を挿入孔14、24に通す。これにより、前面部10Gが着用者の前側に、背面部20Gが着用者の後側に配置される。
【0094】
その後、着用者の左腕及び右腕をそれぞれ前袖部12A、13A及び後袖部22A、23Aの間に入れた状態で接続部41、42を接続して、着用者の左腕及び右腕が入った状態で左袖52A及び右袖53Aを筒状にする。また、前身頃11G及び後身頃21Gが末広がりの形状を有するため、前身頃11Gの一部(両端)を後身頃21Gの内側に入れ、後身頃21Gの一部(両端)を前身頃11Gの上に被せた状態で、連結紐部31、32の先端を前身頃11Gの前に回して連結紐部31、32を結ぶ。これにより、前身頃11G及び後身頃21Gを有する胴体部51Gが着用者の胴体に固定される。
【0095】
本実施の形態によれば、前身頃11G及び後身頃21Gが末広がりの形状を有するため、着用者の体型によらず体側が露出し難い。また、武道用衣服5を着用して組み合ったときに、相手が前身頃11Gを手で掴んで引っ張ったとしても、着用者の体側が露出し難い。
【0096】
なお、本実施の形態では、前身頃11G及び後身頃21Gが脇下から裾に向かうにつれて幅が広くなる末広がりの形状を有したが、前身頃11G及び後身頃21Gの少なくとも一方が末広がりの形状を有すればよい。図10、11は、変形例にかかる武道用衣服5A、5Bの概略を示す図であり、(A)は展開図であり、(B)は着用時の様子を示す正面図である。武道用衣服5Aは、後身頃のみが末広がりである形態であり、主として、前面部10F及び背面部20Gを有する本体部50Hと、紐状部材30とを有する。武道用衣服5Bは、前身頃のみが末広がりである形態であり、主として、前面部10G及び背面部20Eを有する本体部50Iと、紐状部材30とを有する。前身頃11G及び後身頃21Gの少なくとも一方が末広がりの形状を有する場合でも、着用者の体側が露出し難いという効果が得られる。
【0097】
また、本実施の形態では、前身頃11Gの丈が後身頃21Gの丈と同じ長さであるが、前身頃11Gの丈の長さと後身頃21Gの丈の長さが異なってもよい。図12、13は、変形例にかかる武道用衣服5C、5Dの概略を示す図であり、(A)は展開図であり、(B)は着用時の様子を示す正面図である。武道用衣服5Cは、後身頃のみが末広がりであり、かつ後身頃の丈が前身頃の丈より長い形態であり、主として、前面部10F及び背面部20Hを有する本体部50Jと、紐状部材30とを有する。背面部20Hは、後身頃21Hと後袖部22A、23Aとを含む一枚の裁断布からなる。背面部20Hは脇下から裾に向かうにつれて幅が広くなる末広がりの形状を有し、背面部20Hの丈は前身頃11Fの丈よりも長い。武道用衣服5Dは、前身頃のみが末広がりであり、かつ前身頃の丈が後身頃の丈より長い形態であり、主として、前面部10H及び背面部20Eを有する本体部50Kと、紐状部材30とを有する。前面部10Hは、前身頃11Hと前袖部12A、13Aとを含む一枚の裁断布からなる。前面部10Hは脇下から裾に向かうにつれて幅が広くなる末広がりの形状を有し、前面部10Hの丈は後身頃21Eの丈よりも長い。
【0098】
<第6の実施形態>
本発明の第6の実施の形態に係る武道用衣服6について説明する。武道用衣服6は、上半身のみでなく下半身をも覆う形態である。なお、武道用衣服1と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0099】
図14は、本発明の第6の実施の形態にかかる武道用衣服6の概略を示す図であり、(A)は展開図であり、(B)は着用時の様子を示す正面図である。図16(A)においては、裏面が紙面裏側になり、表面が紙面表側になるように図示している。
【0100】
武道用衣服6は、主として、前面部10I及び背面部20Iを有する本体部50Lと、紐状部材30とを有する。前面部10Iは、前身頃11、18と、前袖部12、13とを含む一枚の裁断布からなる。背面部20Iは、後身頃21、28と後袖部22、23とを含む一枚の裁断布からなる。
【0101】
前身頃11は、上衣の一部であり、着用者の上半身前面を覆う部位である。前身頃18は、下衣の一部であり、着用者の下半身前面を覆う部位である。後身頃21は、上衣の一部であり、着用者の上半身背面を覆う部位である。後身頃28は、下衣の一部であり、着用者の下半身背面を覆う部位である。前身頃11と前身頃18は一体であり、後身頃21と後身頃28とは一体である。図14では、説明のため、前身頃11と前身頃18との境界及び後身頃21と後身頃28と境界を点線で示している。
【0102】
前面部10Iの上端部及び背面部20Iの上端部は折り畳み線Lの位置であり、折り畳み線Lで前面部10I及び背面部20Iがつながっている。すなわち、前面部10I及び背面部20Iは一体であり、本体部50Lは1枚の布から切り抜かれた一枚の裁断布からなる。これにより、縫製が不要であり、製作が容易となる。本体部50Lは、裏面が内側を向くように、前面部10I及び背面部20Iを折り畳み線Lで折り曲げて使用される。
【0103】
本体部50Iの裏面には、接続部41、42及び接続部61、62、63、64、65、66、67、68が設けられている。接続部61~68は、面ファスナーであり、フック状に起毛されたフック面61a~68aと、ループ状に起毛されたループ面61b~68bとを有する。フック面61a~68aは前身頃18に設けられており、ループ面61b~68bは後身頃28に設けられている。
【0104】
接続部61、62は、前身頃18及び後身頃28の左脚部18a、28aの外側の辺に沿って設けられており、接続部63、64は、左脚部18a、28aの内側の辺に沿って設けられている。また、接続部65、66は、前身頃18及び後身頃28の右脚部18b、28bの外側の辺に沿って設けられており、接続部67、68は、右脚部18b、28bの内側の辺に沿って設けられている。したがって、接続部61~68を留めることで、左脚部18a、28a及び右脚部18b、28bがそれぞれ筒状になる。
【0105】
なお、接続部61~68の位置や大きさは図示した形態に限定されず、接続部61~68により左脚部18a、28a及び右脚部18b、28bをそれぞれ筒状にすることができればよい。また、接続部61~68は面ファスナーに限定されず、スナップボタン等でもよい。
【0106】
このように構成された武道用衣服6を着用するときには、図14(A)に示す展開状態から折り畳み線Lで裏面を内側にして本体部50Lを折り畳んで着用者の上方から被せ、着用者の頭を挿入孔14、24に通す。これにより、前面部10Iが着用者の前側に、背面部20Iが着用者の後側に配置される。
【0107】
その後、着用者の左腕及び右腕を前袖部12、13及び後袖部22、23の間に入れた状態で接続部41、42を接続して、着用者の左腕、右腕が入った状態で左袖52、右袖53を筒状にする。また、接続部61~64を留めて、着用者の左脚を覆うように左脚部18a、28aを筒状にし、接続部65~68を留めて、着用者の右脚を覆うように右脚部18b、28bを筒状にする。これにより、本体部50Lが着用者の全身を覆う。そして、紐状部材30を前身頃11の前に回して連結紐部31、32を結ぶことで、胴体部51Lが着用者の胴体に固定される。
【0108】
本実施の形態によれば、簡単な構造の武道用衣服6で全身を覆うことができ、また、着脱が容易である。したがって、道着を所有していない初心者が柔道の練習をする際に有用である。また、武道用衣服6は下衣を有するため、寝技等の道着の脚の部分を掴む練習にも適している。
【0109】
<第7の実施形態>
本発明の第7の実施の形態に係る武道用衣服7について説明する。武道用衣服7は、本体部50と紐状部材30が別々になっている形態である。なお、武道用衣服7と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0110】
図15は、本発明の第7の実施の形態にかかる武道用衣服7の概略を示す図であり、(A)は本体部50の展開図であり、(B)は紐状部材30Aの展開図であり、(C)は着用時の様子を示す正面図である。図15(A)においては、裏面が紙面裏側になり、表面が紙面表側になるように図示している。
【0111】
武道用衣服7は、主として、前面部10及び背面部20を有する本体部50と、紐状部材30Aとを有する。紐状部材30Aは本体部50に設けられておらず、紐状部材30A及び本体部50は別々の部材で構成されている。
【0112】
このように構成された武道用衣服7を着用するときには、図15(A)に示す展開状態から折り畳み線Lで裏面を内側にして本体部50を折り畳んで着用者の上方から被せ、着用者の頭を挿入孔14、24に通す。これにより、前面部10が着用者の前側に、背面部20が着用者の後側に配置される。
【0113】
その後、着用者の左腕及び右腕をそれぞれ前袖部12、13及び後袖部22、23の間に入れた状態で接続部41、42を接続して、着用者の左腕及び右腕が入った状態で左袖52及び右袖53を筒状にする。
【0114】
また、胴体部51の上に紐状部材30Aを設け、胴体部51の上側で紐状部材30Aを縛る。具体的には、着用者の前側及び後側にそれぞれ前面部10及び背面部20が配置された状態で、紐状部材30Aの一部を前身頃11及び後身頃21に当接させる。そして、紐状部材30Aの両端近傍を前身頃11の前側で縛って、胴体部51(前身頃11及び後身頃21)を着用者の胴体に固定する。
【0115】
このとき、紐状部材30Aの中央近傍を後身頃21に当接させ、前身頃11の前側で紐状部材30Aの両端近傍を縛ってもよいし、紐状部材30Aの中央近傍を前身頃11に当接させ、紐状部材30Aの両端をそれぞれ一旦着用者の後ろに回して紐状部材30Aを後身頃21の上に回してから端を前に回して、前身頃11の前側で紐状部材30Aの両端近傍を縛ってもよい。
【0116】
本実施の形態によれば、簡単な構造の武道用衣服7を提供することができる。また、紐状部材31Aを本体部50に設ける必要がなく、武道用衣服7をさらに安価に製作することができる。
【0117】
<第8の実施形態>
本発明の第8実施の形態に係る武道用衣服8について説明する。武道用衣服8は、袖と身頃が別の布で形成されている形態である。なお、武道用衣服1と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0118】
図16は、本発明の第8の実施の形態にかかる武道用衣服8の概略を示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は背面図であり、(C)は着用時の様子を示す正面図である。図16の点線は、縫い目を示す。
【0119】
武道用衣服8は、主として、本体部50Mと、紐状部材30Cとを有する。本体部50Mは、挿入孔14Cが設けられた前身頃11Iと、挿入孔24Cが設けられた後身頃21Iと、左右の袖部52C、53Cと、襟部55とを有する。
【0120】
前身頃11Iと後身頃21Iとは、それぞれ一枚の裁断布であり、上端部で縫合されている。前身頃11Iと後身頃21Iとは直線上に縫合すればよいため、製作が容易である。なお、前身頃11Iと後身頃21Iとを一体(一枚の裁断布)とし、上端部で折り畳んでもよい。
【0121】
袖部52C、53Cは、それぞれ、前袖部52b、53bと後袖部52c、53cとを含む1枚の裁断布である袖布で構成されている。また、袖部52C、53Cは、それぞれ、前身頃11I及び後身頃21Iと縫合されている。具体的には、前袖部52b、53bがそれぞれ前身頃11Iと縫合されており、後袖部52c、53cがそれぞれ後身頃21Iと縫合されている。
【0122】
図17は、袖部53Cの概略を示す模式図である。図17では、袖部53Cを下側からみた図である。また、図17の点線は縫い目を示す。袖部52C、53Cは同一形状であるため、以下、袖部52C、53Cについて右側の袖部53Cを用いて説明する。
【0123】
袖部53Cは、袖布を長手方向に沿った中心線を折り畳み線L、すなわち上辺とする。また、袖部53Cは、袖布の長手方向に沿った両側の側辺53d、53eの一部を縫合することで筒状に形成されている。なお、「長手方向に沿った」は、長手方向と平行な場合のみでなく、長手方向に対して数度~十数度傾いている場合を含むものとする。
【0124】
側辺53d、53eを縫合する長さL3は、袖丈L1の半分以下であり、例えば袖丈L2の1/3程度である。これにより、予め袖部52C、53Cの袖口53aの近傍が縫合されていたとしても、武道用衣服8の着脱が容易である。
【0125】
なお、本実施の形態では、側辺53d、53eを縫合する長さL3を袖丈L2の1/3程度としたが、長さL3はこれに限られない。例えば、長さL3が数cmであってもよいし、長さL3が袖丈L1の8割程度であってもよいし、長さL3が袖丈L1とほぼ同じであってもよい。ただし、袖部52C、53Cの強度を高くし、かつ、着脱を容易にするためには、長さL3を袖丈L1の1/3程度とすることが望ましい。
【0126】
図16の説明に戻る。袖部52C、53Cを構成する袖布は、前身頃11I及び後身頃21Iを構成する布地よりも強度が高い。これにより、柔道の練習をする際に袖部52C、53Cが引っ張られたとしても、袖部52C、53Cが破れないようにすることができる。
【0127】
襟部55は、1枚の帯状の裁断布である襟布で構成されており、首が挿入される挿入孔14C、24Cに沿って設けられている。襟布は、前身頃11I及び後身頃21Iを構成する布地よりも強度が高い。これにより、柔道の練習をする際に襟部55が引っ張られたとしても、襟部55が破れないようにすることができる。
【0128】
図18は、襟部55の概略を示す模式図である。図18において、点線は縫い目を示し、破線は視認できない裏面の様子を模式的に示す。襟布を長手方向に沿った線L3で折り曲げ、折り曲げられた襟布で挿入孔14C、24Cを覆うように襟部55を配置した状態で、襟布と前身頃11I及び後身頃21Iとが縫合されている。これにより、襟部55が前身頃11I及び後身頃21Iに固定される。
【0129】
線L3は、襟部55の長手方向に沿った中心線からずれている。前身頃11I又は後身頃21Iの表側に配置された端55aは、前身頃11I又は後身頃21Iの裏側に配置された端55bよりも内側(線L3側)に位置している。言い換えれば、外側の布の幅W2は内側の布の幅W1より広くなっている。そして、襟布で前身頃11I、後身頃21Iを挟んだ状態で、端55aに沿って襟布を縫合することで、襟部55を形成する。
【0130】
なお、図18では縫い目が1本(端55aに沿った縫い目)であるが、幅W2を内側の布の幅W1より広くすることで、襟部55を2本の縫い目(端55aに沿った縫い目及び端55bに沿った縫い目)で前身頃11I及び後身頃21Iに縫合することもできる。これにより、襟部55の縫合強度が高くなり、柔道の練習をする際に襟部55が引っ張られたとしても、襟部55と前身頃11I、後身頃21Iとの縫い目が破れにくくなる。
【0131】
図16の説明に戻る。武道用衣服8は、1本の紐状部材30Cを有する。紐状部材30Cは、紐状部材30Aより長い点で紐状部材30Aと異なる。紐状部材30Cの長さは、紐状部材30Cが設けられた位置における前身頃11Iの幅の4倍以上である。紐状部材30Cは、前身頃11Iに設けられている。また、紐状部材30Cの長手方向の中心は、前身頃11Iの中心線の近傍に位置する。なお、本実施の形態では、紐状部材30Cは前身頃11Iに縫い止めされているが、紐状部材30Cは前身頃11Iに接着されていてもよい。
【0132】
紐状部材30Cと前身頃11Iとは、前身頃11Iの左端11a及び右端11bの近傍で固定(ここでは、縫合)されており、前身頃11Iの中央近傍は縫合されていない。これにより、図16(C)に示すように、武道用衣服8を着用したときに、紐状部材30Cを一旦着用者の後ろに回してから再び着用者の正面に回し、前身頃11Iの中央近傍において、着用者の正面に回した紐状部材30Cを前身頃11Iと紐状部材30Cとの間に通してから紐状部材30Cを結ぶことができる。これにより、実際に道着を着用するときに帯を締めるのと同様の方法で、紐状部材30Cを結ぶことができる。また、前身頃11I及び後身頃21Iを着用者の胴体にしっかりと固定することができる。
【0133】
本実施の形態によれば、簡単な構造の武道用衣服8を提供することができる。また、予め袖部52C、53Cの側辺53d、53eが縫合されているため、接続部41、42(面ファスナー)で袖部を筒状にする必要がなく、また、縫合の長さL3が袖丈L2の半分以下の長さであるため、予め袖部52C、53Cが縫合されていたとしても、武道用衣服8の着脱が容易である。
【0134】
なお、本実施の形態では、紐状部材30Cと前身頃11Iとは、前身頃11Iの左右の両端(左端11a及び右端11b)近傍で固定されているが、紐状部材30Cと前身頃11Iとの固定位置はこれに限られない。
【0135】
図19は、変形例にかかる武道用衣服8Aの概略を示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は着用時の様子を示す正面図である。武道用衣服8Aは、主として、前面部10J及び背面部20Jを有する本体部50Nと、紐状部材30Cとを有する。
【0136】
前面部10Jは、前身頃11Iと前袖部52b、53bとが一体となった1枚の裁断布である。背面部20Jは、後身頃21Iと後袖部52c、53cとが一体となった1枚の裁断布である。前面部10Jの上端部及び背面部20Jの上端部は、例えば縫合により一体化されている。
【0137】
なお、本体部50Nの構成はこれに限られず、前面部10J及び背面部20Jを1枚の裁断布とし、折り畳み線L(図1等参照)で折り曲げるようにしてもよい。
【0138】
前面部10Jの前袖部52bと背面部20Jの後袖部52cは、袖口52aの近傍で縫合されて袖部52Cとなる。また、前面部10Jの前袖部53bと背面部20Jの後袖部53cは、袖口53aの近傍で縫合されて袖部53Cとなる。
【0139】
紐状部材30Cは、前身頃11Iに固定されている。本変形例では、紐状部材30Cは、前身頃11Iの右端11bの近傍で固定されており、前身頃11Iの中央近傍は固定されていない。
【0140】
このように、紐状部材30Cは、前身頃11Iの左端11a及び右端11bの少なくとも一方の近傍で固定されていればよい。これにより、実際に道着を着用するときに帯を締めるのと同様の方法で、紐状部材30Cを結ぶことができる。
【0141】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成の追加、削除、置換等をすることが可能である。
【0142】
また、本発明において、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。例えば、「略円筒形状」とは、厳密に円筒形状の場合には限られない。また、例えば、単に略中央等と表現する場合において、厳密に中央等の場合のみでなく、略中央等の場合を含むものとする。
【0143】
また、「近傍」とは、基準となる位置の近くのある範囲(任意に定めることができる)の領域を含むことを意味する。例えば、端近傍という場合に、端の近くのある範囲の領域であって、端を含んでもいても含んでいなくてもよいことを示す概念である。
【符号の説明】
【0144】
1、1A、1B、1C、1D、2、3、4、4A、5、5A、5B、5C、5D、6、7、8、8A:武道用衣服
10、10A、10B、10C、10D、10E、10F、10G、10H、10I、10J:前面部
11、11A、11B、11C、11D、11E、11F、11G、11H、11I:前身頃
20、20A、20B、20C、20D、20E、20F、20G、20H、20I、20J:背面部
21、21A、21B、21C、21D、21E、21F、21G、21H、21I:後身頃
11a、21a、21d:左端
11b、21b、21e:右端
11c、21c:裾
12、12A、13、13A:前袖部
22、22A、23、23A:後袖部
12a、13a、22a、23a:下辺
14、14A、14B、14C、15、24、24A、24B、24C、25:挿入孔
15a、15b、25a、25b:襟部
15c、25c:折り曲げ線
15d、15f、25d、25f:フック面
15e、15g、25e、25g:ループ面
16、16a、16b、16c、16d、26、26a、26b、26c、26d:マーキング
17、27:脇部
18 :前身頃
28 :後身頃
18a、28a:左脚部
18b、28b:右脚部
30、30A、30B、30C:紐状部材
31、32:連結紐部
33:縫い目
34:マーキング
41、42:接続部
41a、42a:フック面
41b、42b:ループ面
50、50C、50D、50E、50F、50G、50H、50I、50J、50K、50L、50M、50N:本体部
51、51C、51E、51G、51L:胴体部
52、52A、52C:左袖
53、53A、53C:右袖
52a、53a:袖口
54:挿入孔
52b、53b:前袖部
52c、53c:後袖部
54a:切り抜き線
54b:切り欠き
61、62、63、64、65、66、67、68:接続部
61a、62a、63a、64a、65a、66a、67a、68a:フック面
61b、62b、63b、64b、65b、66b、67b、68b:ループ面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19