(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146634
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/52 20060101AFI20241004BHJP
B65G 23/00 20060101ALI20241004BHJP
B65G 17/48 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B65G47/52 B
B65G23/00 Z
B65G17/48 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059658
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000237466
【氏名又は名称】富士車輌株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100199761
【弁理士】
【氏名又は名称】福屋 好泰
(74)【代理人】
【識別番号】100182121
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 紘子
(72)【発明者】
【氏名】望月 安久
(72)【発明者】
【氏名】西垣 正樹
(72)【発明者】
【氏名】池下 昌輝
【テーマコード(参考)】
3F034
3F044
【Fターム(参考)】
3F034QA01
3F034QB02
3F044AA01
3F044CD04
3F044CD19
(57)【要約】
【課題】設置スペースをコンパクト化しつつ高い位置まで搬送対象物を搬送可能な搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送装置10は、第2傾斜部α2(
図3参照)を有する搬送経路αに沿って下方に設けられた投入部20aから上方の排出口20bまで物品を搬送する無端搬送体22と、無端搬送体22の上方に配置された無端ベルト42とを備え、無端搬送体22によって傾斜部α2(
図3参照)を物品が搬送されるときに無端ベルト42が物品を上方から覆うように構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜部を有する搬送経路に沿って下方に設けられた投入位置から上方の搬出位置まで物品を搬送する無端搬送体と、
前記無端搬送体の上方に配置された無端ベルトと、
を備え、
前記無端搬送体によって前記傾斜部を物品が搬送されるときに、前記無端ベルトが物品を上方から覆うように構成される、
搬送装置。
【請求項2】
前記無端搬送体には、所定間隔ごとに仕切板が設けられている、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記無端搬送体によって搬送される物品に前記無端ベルトが覆い被さる位置を調節する位置調節機構を有する、
請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記搬出位置の下方には、搬出方向を変更可能に構成された搬出ガイドが設けられている、
請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記仕切板は、前記無端搬送体によって搬送される物品を介して予め設定された大きさ以上の付勢力で付勢された場合に変位するように構成されている、
請求項2に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品を搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送対象物である物品を、例えば、次工程の装置に投入するために比較的高い位置に設けられた投入位置まで搬送装置を用いて搬送する場合がある。このような場合において、直線方向にのみ搬送可能なベルトコンベアなどの搬送装置を用いて上記投入位置まで物品を搬送することが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、搬送対象物を直線方向に搬送可能なベルトコンベア2を用いて搬送対象物である異種材料Sを材料仕分け部4の上方に向かって緩やかな勾配となるように設定された上記ベルトコンベア2の搬送路を用いて搬送する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の搬送装置では、搬送対象物が自重により斜め下方に移動してしまうことを防ぐために搬送路の勾配を緩やかなものとする必要がある。このため、搬送路の長さが長くなるため搬送装置の設置スペースが大きくなるという問題がある。
【0006】
本発明は、設置スペースをコンパクト化しつつ高い位置まで搬送対象物を搬送可能な搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の搬送装置は、傾斜部を有する搬送経路に沿って下方に設けられた投入位置から上方の搬出位置まで物品を搬送する無端搬送体と、無端搬送体の上方に配置された無端ベルトと、を備え、無端搬送体によって傾斜部を物品が搬送されるときに、無端ベルトが物品を上方から覆うように構成されるものである。
【0008】
本発明の搬送装置において、無端搬送体には、所定間隔ごとに仕切板が設けられてもよい。
【0009】
本発明の搬送装置において、無端搬送体によって搬送される物品に無端ベルトが覆い被さる位置を調節する位置調節機構を有してもよい。
【0010】
本発明の搬送装置において、搬出位置の下方には、搬出方向を変更可能に構成された搬出ガイドが設けられてもよい。
【0011】
本発明の搬送装置において、仕切板は、無端搬送体によって搬送される物品を介して予め設定された大きさ以上の付勢力で付勢された場合に変位するように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の搬送装置によれば、無端搬送体によって物品が傾斜部を搬送されるときに無端ベルトが物品に覆われた状態で搬送されることとなる。これにより、傾斜部を搬送中に物品が搬送方向における上流側である斜め下方に移動してしまうことが抑制される。
【0013】
この結果、勾配の大きい領域を含む搬送経路に沿って物品を搬送しても物品が斜め下方に移動することを抑制しつつ物品を円滑に搬送することができるため、装置の設置スペースをコンパクト化しつつ高い位置まで搬送対象物を搬送することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態である搬送装置の外観図である。
【
図2】
図1に示す搬送装置の構成を模式的に示す図である。
【
図3】
図2に示す搬送経路における第1傾斜部,第2傾斜部,水平部の構成を示す図である。
【
図4】
図4(a)は
図2に示すA-A線で切断したときの断面構成を示す図であり、
図4(b)は
図2に示すB方向からガイドローラ部44aを見た場合の構成を模式的に示す図である。
【
図5】
図1に示す搬送装置が物品を搬送するときの状態を
図2と同様に模式的に示す図である。
【
図6】
図1に示す搬送装置において、物品が重なり合った状態で搬送されている場合における無端ベルトの付加的な作用について模式的に説明する図である。
【
図7】
図1に示す搬送装置における仕切板の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態である搬送装置10について、図面を参照しながら説明する。以下の説明において、X方向は水平方向である長手方向であり、Y方向はX方向に直交する幅方向を示し、Z方向は上下方向を示すものとする。
図1は、搬送装置10の外観構成を示す図である。
図2は、搬送装置10に含まれる無端搬送体22および無端ベルトユニット40の構成を模式的に示す図である。
図2において、搬送チェーンCH1を1点鎖線で示すとともに連動チェーンRHを2点鎖線で模式的に示している。また、
図2の一部に含まれる部分拡大図において、シート材SHを破線で示している。
【0016】
図1および
図2に示すように、搬送装置10は、搬送対象物である物品を下方から上方まで搬送する装置本体20と、装置本体20の上方に配置された無端ベルトユニット40と、装置本体20を支えるために装置本体20の外側に配置され複数の鋼材を組合せて構成される支持枠60とを備える。
【0017】
装置本体20は、下方に設けられた投入部(投入位置)20aに投入される物品を上方の排出口(搬出位置)20bまで搬送経路αに沿って搬送する無端搬送体22を備える。投入部20aは、上方の方が下方よりも拡幅するように構成された例えば投入ホッパーにより構成されており上方より投入される物品を直下方の無端搬送体22に案内する役割を有する。
【0018】
本実施形態において、物品には、小物樹脂部品を袋詰めにしたものや、ペットボトルやその他樹脂製容器など比較的軽量な樹脂製品単体(換言すると、内容物を含まない樹脂製容器)や、長尺棒状の巻回されたフィルムなどの長尺物が含まれる。
【0019】
ここで、
図3は、
図2に示す無端搬送体22における物品の搬送経路αの構成を示す図である。
図3に示すように、搬送経路αは、緩やかな勾配からなる第1傾斜部α1と、第1傾斜部α1よりも大きな勾配、換言すると急勾配で形成された第2傾斜部α2と、略水平に搬送する水平部α3とを含む屈曲した搬送路により構成される。このように急勾配である第2傾斜部α2を設けることで搬送距離を大幅に短縮しつつ高い位置まで物品を搬送することが可能となる。
【0020】
図4(a)は、
図2に示すA―A線で切断したときの断面の構成を模式的に示す図である。
図4(a)において、断面ハッチングを一部省略して示すとともに後述するシート材SHを1点鎖線で示している。
【0021】
図2~
図4(a)に示すように、無端搬送体22は、無端状に各々構成された一対の搬送チェーンCH1,CH2(以下、特に区別する必要がない場合は「搬送チェーンCH」と適宜表記)と、一対の搬送チェーンCHに両端を各々連結される複数の細長いプレート26a,26b,26c,…(以下、特に区別する必要がない場合は「プレート26」と適宜表記)を含み、投入部20aに投入された物品を上述した搬送経路αに沿って排出口20bまで物品を搬送する機能を有する。搬送チェーンCH1,CH2の構成およびその周辺構成は同一であるため以下の説明では搬送チェーンCH1の構成およびその周辺構成についてのみ説明を行うものとする
【0022】
図4(a)に示すように、搬送チェーンCH1は、装置本体20に設けられたガイドレールGL1,GL2(以下、特に区別する必要がない場合は「ガイドレールGL」と適宜表記)によって往路および復路を各々案内されるとともに搬送経路αの両端側に配置された駆動スプロケットSP1および従動スプロケットSP2を介して反転することにより搬送経路αに沿って循環移動するように構成される。また、駆動スプロケットSP1は、駆動軸27を介して
図1に示す駆動モータ28によって回転駆動される。また、駆動軸27には、後述する無端ベルト42を駆動するための駆動ギア27gが取り付けられている。
【0023】
図2に示すように、各プレート26は、ポリウレタンなどからなるシート材SH1,SH2,SH3,…(以下、特に区別する必要がない場合には適宜「シート材SH」と表記)によって表面を覆われている。また、
図2に示すように、一部のプレート26には、仕切板29a,29b,29c,…(以下特に区別する必要がない場合には「仕切板29」と適宜表記)が取り付けられている。
【0024】
この仕切板29は、本実施形態ではプレート6枚ごとに配置されている。また、仕切板29と同仕切板29が固定されているプレート26の間にはシート材SHの端部が各々挟み込まれた状態で固定されている。仕切板29は、搬送経路αの第2傾斜部α2(
図3参照)を移動するときに物品が搬送経路αにおける上流側、すなわち、斜め下方向となる後方に、自重によりずり落ちてしまうのを抑制する役割を有する。本実施形態では、各仕切板29の間隔は、一例として600mm程度となるように設置されている。
【0025】
図2に示すように、無端ベルトユニット40は、無端ベルト42と、無端ベルト42を案内する回転可能に支持されたガイドローラ部44a,44b,44cと、無端ベルト42を回転駆動する駆動ローラ46とを備える。
【0026】
無端ベルト42は、ポリ塩化ビニルやゴムなどのシート材により構成され、ガイドローラ部44a,44b,44cおよび駆動ローラ46に架け渡され、搬送経路αに沿って搬送される物品が第1傾斜部α1(
図3参照)から第2傾斜部α2(
図3参照)に差し掛かる領域で搬送中の物品に覆いかぶさるように垂れ下がりつつ移動方向βに沿って循環移動するように構成される。
【0027】
図2に示すように、駆動ローラ46の軸方向における両端部にはフランジ46aが設けられている。フランジ46aは、無端ベルト42の脱落を防止する役割を有する。
【0028】
また、駆動ローラ46の回転軸に取り付けられた従動ギア46gと、この従動ギア46gの周囲に配置された2つの案内ギア48a,48bと、上述した駆動ギア27gとの間には無端状に構成された連動チェーンRHが架け渡され、同連動チェーンRHを介して駆動モータ28の駆動力が駆動ローラ46に伝達されることによって、無端ベルト42を無端搬送体22の駆動に連動させて移動方向βに沿って循環移動させるように構成される。
【0029】
これにより、搬送経路αに沿って搬送される物品を無端搬送体22との間で挟み込んだ状態で搬送経路αの第2傾斜部α2(
図3参照)を搬送することができる。本実施形態では、移動方向βに進む無端ベルト42の搬送速度は、搬送経路αに沿って進む無端搬送体22の搬送速度(すなわち、プレート26の移動速度)と同じ速度となるように設定してもよいし、無端搬送体22の搬送速度と異なる速度となるように各ギア27g,46g,48a,48bのギア比を設定してもよいし、別途、減速機構などを用いて無端ベルト42の搬送速度を調節するようにしてもよい。
【0030】
図2に示すように、ガイドローラ部44a,44b,44cのうちガイドローラ部44a,44bは各々支持枠60に固定設置されている。一方、最も下方に位置するガイドローラ部44cは長手方向Xに移動可能に移動機構50を介して支持枠60に支持されている。この移動機構50は、例えば、長手方向Xに移動可能に構成された手動式のスライド機構やリニアアクチュエータなど電動式のスライド機構によって構成される。
【0031】
これにより、
図2に破線で示すようにガイドローラ部44cの長手方向Xの位置を変更して無端ベルト42の垂れ下がる位置を調節できる。この結果、搬送経路αに沿って移動する物品の大きさや形状に応じて無端ベルト42が上方から覆いかぶさる位置を調節することができる。
【0032】
また、ガイドローラ部44a,44b,44cは、各々回転可能に支持された複数のローラを幅方向Yに並べて構成してもよい。ここで、
図4(b)は、
図2に示すB方向から見た場合におけるガイドローラ部44aおよび無端ベルト42の配置構成を模式的に示す図である。なお、
図4(b)において無端ベルト42を破線で示すとともに断面ハッチングを省略して示している。
図4(b)に示すように、ガイドローラ部44aは、ローラ44a-1,44a-2が幅方向Yにおいて各々正反対の向きに(換言すると、互いに向かい合う方向に)同じ大きさの角度だけわずかに傾けて配置されている。
【0033】
これにより、同ローラ部44aに架け渡される無端ベルト42は両端側よりも中央側の方が低い位置で両ローラ44a-1,44a-2に支持されつつ送り出されることとなる。従って、無端ベルト42は中央部よりも両端側の方が両ローラ44a―1,44a―2に強く接触した状態で案内されることとなる。
【0034】
これにより、無端ベルト42は、幅方向Yにおける位置を位置決めされた状態で両ローラ44a-1,44a-2によって送り出されることとなる。この結果、無端ベルト42の蛇行が抑制される。
【0035】
また、ガイドローラ部44bおよびガイドローラ部44cも、上述したガイドローラ部44aと同様の構成を備えることが好ましい。これにより、ガイドローラ部44b,44cにおいてもガイドローラ部44aと同様に架け渡されている無端ベルト42の蛇行を抑制しつつ移動方向βにおける下流側に同ベルト42を送り出すことができる。
【0036】
また、無端搬送体22には、排出口20bの直下方に排出ガイド(搬出ガイド)70が取り付けられている。この排出ガイド70は、搬送経路αに沿って搬送された物品を排出する排出方向を
図2に実線で示す第1の排出位置と、
図2に破線で示す第2の排出位置とに切り換える機能を有する。
【0037】
ここで、排出ガイド70の支持構造について説明を行う。この排出ガイド70は、一端側が支持枠60(
図1参照)に回転自在に取り付けられるとともに支持枠60(
図1参照)に面する側の中央部付近をスライド機構72のロッド76の先端部に回転自在に支持されている。
【0038】
図2に示すように、スライド機構72は、例えば、空気圧シリンダなどにより構成され、支持枠60(
図1参照)に軸支された本体74と、本体から突き出す方向およびその反対方向に移動可能に本体74に取り付けられたロッド76とを含む。このスライド機構72にロッド76を介して付勢されることによって、排出ガイド70は
図2に実線で示す第1の排出位置と破線で示す第2の排出位置のいずれかに移動するように構成される。
【0039】
また、無端搬送体22は、仕切板29の通過を検出する検出ユニット80と、無端搬送体22およびスライド機構72の駆動を制御する制御装置(制御部)90を備えている。この検出ユニット80は、透過形光電センサなどにより構成され、仕切板29が予め設定された検出位置を通過するのを検出するために装置本体20の背面側、すなわち、搬送経路αの第2傾斜部α2と向かい合う位置を通過する仕切板29を検知する機能を有する。検出ユニット80は、仕切板29の通過を検出すると検出信号を制御装置90に送信する。本実施形態では、検出ユニット80として透過形光電センサを用いているが、反射形光電センサを用いてもよい。
【0040】
制御装置90は、スライド機構72の駆動を制御して検出ユニット80から送信される検出信号を受信するごとに排出ガイド70を第1の排出位置と第2の排出位置とに交互に切り換える。これにより、排出口20bから逐次排出される物品の排出方向を仕切板29の通過タイミングを基準として交互に切り替えることが可能となる。
【0041】
また、本実施形態では、検出ユニット80から送信される検出信号を用いて排出ガイド70の位置を切り替えているが、検出信号を受信したタイミングから所定時間が経過したときに制御装置90は排出ガイド70の位置を切り替えるようにしてもよい。また、制御装置90は、検出信号を用いずに所定時間が経過するごとに排出ガイド70の位置を切り替えるようにしてもよい。
【0042】
続いて、搬送装置10における物品の搬送および排出の流れについて
図5を用いて説明を行う。
図5は、無端搬送体22上を搬送される物品に無端ベルト42が覆いかぶさるときの状態を模式的に示す図である。
図5に示すように、投入部20aより投入された物品は、搬送経路α(
図3参照)に沿って搬送され第1傾斜部α1(
図3参照)から第2傾斜部α2(
図3参照)に差し掛かると上方から垂れ下がる無端ベルト42が覆いかぶさる状態となる。このため、第2傾斜部α2(
図3参照)を搬送される物品は、無端ベルト42に覆われた状態で水平部α3に差し掛かる位置まで搬送される。
【0043】
これにより、第2傾斜部α2(
図3参照)の急勾配を搬送されるときに物品は無端ベルト42の自重によって上方から付勢された状態となる。この結果、物品が後方に移動しにくくなる。さらに、無端ベルト42には、仕切板29が設けられているため、仕切板29によっても物品の後方への移動は規制されることとなる。
【0044】
上記構成により、物品として、比較的軽量で嵩高いものでも確実に排出口20bまで搬送することができる。そして、水平部α3に到達した物品は排出口20bより排出され、排出ガイド70によって第1の排出位置または第2の排出位置のいずれかの方向に排出される。
【0045】
次に、搬送装置10における無端ベルト42の付加的な作用について
図6を用いて説明を行う。
図6に示すように、無端搬送体22上を搬送される一の物品BP1の上に他の物品BP2が重なり合った状態で搬送されている場合も考えられる。このような場合には、搬送経路αの第1傾斜部α1から急勾配である第2傾斜部α2に差し掛かるときに他の物品BP2には搬送経路αの上流側、すなわち、搬送方向と反対方向である斜め後方に付勢する付勢力が無端ベルト42を介して作用する。
【0046】
また、他の物品BP2は、一の物品BP1に乗り上げている状態において仕切板29よりも高い位置にあるため仕切板29によって他の物品BP2の後方への移動が妨げられることもない。このため、無端ベルト42の付勢力によって、他の物品BP2を後方に押し出すことで物品同士の重なり合った状態を解消させることができる。
【0047】
また、急勾配である第2傾斜部α2を搬送中においても上述した他の物品BP2と同様に、他の物品の上に重なりあっている物品がある場合には同物品に対して斜め後方に付勢する付勢力が無端ベルト42を介して作用するため後方に押し出して物品同士の重なり合った状態を解消させることができる。
【0048】
上述のように無端ベルト42が上方から物品に覆いかぶさることにより物品が重なり合った状態を徐々に解消して物品を分散させつつ搬送することが可能となる。
【0049】
なお、この付勢力の大きさは、移動機構50を介して長手方向Xにおける上述したガイドローラ部44cの位置を変更することにより調節することが可能であるため、例えば、物品の形状や大きさ、或いは、重量などに応じて適宜最適な位置に変更することができる。
【0050】
本実施形態の搬送装置10によれば、無端搬送体22によって第2傾斜部α2(
図3参照)を搬送されるときに物品は無端ベルト42によって上方から覆われた状態で搬送される。これにより、第2傾斜部α2を搬送中に物品が搬送経路αにおける上流側である斜め下方に転がるなどして移動してしまうことを抑制することができる。
【0051】
この結果、第2傾斜部α2を搬送されるときに物品が斜め下方に移動することを抑制しつつ物品を斜め上方に向かって円滑に搬送することが可能となる。このため、装置の設置スペースをコンパクト化しつつ高い位置まで搬送対象物である物品を搬送することができる。
【0052】
上記実施形態では、仕切板29が無端搬送体22のプレート26に固定支持されている例を挙げて説明しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、仕切板はプレート26に回転可能に取り付けられていてもよい。この場合における仕切板29の変形例について
図7を用いて説明を行う。
【0053】
図7は、仕切板29の変形例である仕切板100を備える搬送装置120の構成および機能を説明する模式図である。以下の説明において、上記実施形態に係る搬送装置10と同一の構成部分については適宜同一の符号を付して示しつつ適宜説明を省略し、主に構成の異なる部分についてのみ説明を行うものとする。
【0054】
図7に示すように、搬送装置120は、仕切板29の代わりに仕切板100a,100b,100c…(以下特に区別する必要がない場合は「仕切板100」と表記)を備える点を除いて上記実施形態に係る搬送装置10と同一の構成を具備する。
【0055】
仕切板100は、搬送経路αにおける上流側に位置する端部に回転軸102が設けられており、この回転軸102がプレート26の端部に設けられた回転支持部104に回転可能に軸支されている。また、回転軸102には、仕切板29を搬送経路αの下流側(換言すると、斜め上方)に向かう方向である方向Mに沿って回転させるように付勢するバネなどの弾性部材(不図示)が取り付けられている。これにより、仕切板100は、搬送経路αにおける上流側、換言すると後方に向かって予め設定された大きさ以上の荷重Fが作用したときに
図7に破線で示す仕切板100のように回転する。
【0056】
この変形例に係る仕切板100を用いることにより、
図7に示すように、フィルムなどを巻回してなる長尺状の物品BP3が第1傾斜部α1(
図3参照)から第2傾斜部α2(
図3参照)に差し掛かる屈曲した領域を搬送されるときに上流側と下流側の仕切板100の間に挟まれ、物品BP3から予め設定された大きさ以上の付勢力が下流側の仕切板100bに作用すると仕切板100bが搬送経路αの上流側、換言すると後方に回転する。これにより、長尺の物品が隣接する仕切板100同士の間に挟み込まれても仕切板100に過大な荷重が作用するまえに仕切板100が回転変位するため仕切板の破損を防ぐことが可能となる。
【0057】
上記実施形態では、駆動ローラ46および駆動スプロケットSP1を同じ駆動モータ28で駆動する例を挙げて説明しているが、別々の駆動モータで駆動するようにしてもよい。この場合にも、制御装置90が各々の駆動モータの駆動を制御することで上記実施形態における搬送装置10と同様の効果を得ることができる。
【0058】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、何れかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
【符号の説明】
【0059】
10,120 搬送装置
20 装置本体
20a 投入部(投入位置)
20b 排出口(搬出位置)
22 無端搬送体
26,26a,26b,26c プレート
29,29a,29b,29c 仕切板
40 無端ベルトユニット
42 無端ベルト
44a,44b,44c ガイドローラ部
46 駆動ローラ
50 移動機構
60 支持枠
70 排出ガイド(搬出ガイド)
72 スライド機構
74 本体
76 ロッド
80 検出ユニット
90 制御装置(制御部)
100,100a,100b,100c 仕切板
α 搬送経路
α1 第1傾斜部
α2 第2傾斜部
α3 水平部
β 移動方向
X 長手方向
Y 幅方向
Z 上下方向