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特開2024-146638近接覚センサ及びそれを用いたロボットシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146638
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】近接覚センサ及びそれを用いたロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/00 20060101AFI20241004BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20241004BHJP
   G01B 21/22 20060101ALI20241004BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20241004BHJP
   G01N 21/3554 20140101ALI20241004BHJP
【FI】
G01B21/00 E
B25J13/08 A
G01B21/22
G01C3/06 120R
G01N21/3554
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059663
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】522324004
【氏名又は名称】株式会社Thinker
(74)【代理人】
【識別番号】100147647
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】藤本 弘道
(72)【発明者】
【氏名】中野 基輝
【テーマコード(参考)】
2F069
2F112
2G059
3C707
【Fターム(参考)】
2F069AA04
2F069AA72
2F069BB04
2F069DD15
2F069EE02
2F069GG04
2F069GG06
2F069GG07
2F069GG08
2F069GG66
2F112AD01
2F112AD03
2F112BA06
2F112BA07
2F112CA04
2F112DA21
2F112FA45
2F112FA50
2G059AA05
2G059BB08
2G059CC09
2G059EE02
2G059EE11
2G059GG01
2G059HH01
2G059KK03
2G059KK10
2G059MM01
2G059MM10
3C707BS10
3C707KS36
3C707KT03
3C707KT06
3C707KV18
3C707KX08
3C707LW12
3C707MT04
(57)【要約】
【課題】 対象物の特性や対象物との位置関係から受ける影響を低減することにより、高精度な測定を行うことが可能な近接覚センサを提供する。
【解決手段】 本発明の近接覚センサ4Aは、対象物Obに関する情報を取得可能な情報取得装置群9と、情報取得装置群9を構成する各情報取得装置8が当該情報取得装置8に起因して発生させる電気物理量の主値と、当該情報取得装置8以外の他の情報取得装置8に起因して発生させる電気物理量のクロストーク値とがそれぞれ入力されて、所定の物理量を出力する学習済みモデル20と、を備え、情報取得装置群9が、取得する情報の内容または情報の取得方法が相異なる複数種類の情報取得装置8を含んでいる。
【選択図】 図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に関する情報を取得可能な情報取得装置群と、
前記情報取得装置群を構成する各情報取得装置が当該情報取得装置に起因して発生させる電気物理量の主値と、当該情報取得装置以外の他の情報取得装置に起因して発生させる電気物理量のクロストーク値とがそれぞれ入力されて、所定の物理量を出力する学習済みモデルと、
を備える近接覚センサであって、
前記情報取得装置群が、取得する情報の内容または情報の取得方法が相異なる複数種類の情報取得装置を含むことを特徴とする近接覚センサ。
【請求項2】
前記電気物理量のクロストーク値が、取得する情報の内容または情報の取得方法が相異なる前記他の情報取得装置に起因して発生したものを含むことを特徴とする請求項1に記載の近接覚センサ。
【請求項3】
前記情報取得装置群が、前記対象物に対して相異なる周波数の光を照射する複数種類の光センサを含むことを特徴とする請求項1に記載の近接覚センサ。
【請求項4】
前記学習済みモデルは、出力する物理量として、前記対象物の水分含有量を含んでいることを特徴とする請求項3に記載の近接覚センサ。
【請求項5】
前記情報取得装置群が、超音波センサを含むことを特徴とする請求項1に記載の近接覚センサ。
【請求項6】
前記学習済みモデルは、出力する物理量として、前記対象物の硬度及び材質の少なくとも何れか一方を含んでいることを特徴とする請求項5に記載の近接覚センサ。
【請求項7】
前記情報取得装置群が、ToF式レーザーセンサを含むことを特徴とする請求項1に記載の近接覚センサ。
【請求項8】
前記学習済みモデルは、出力する物理量として、前記対象物までの絶対距離を含んでいることを特徴とする請求項7に記載の近接覚センサ。
【請求項9】
前記情報取得装置群が、静電容量センサを含むことを特徴とする請求項1に記載の近接覚センサ。
【請求項10】
前記学習済みモデルは、出力する物理量として、前記対象物の有無を含んでいることを特徴とする請求項9に記載の近接覚センサ。
【請求項11】
前記情報取得装置群が、磁気センサを含むことを特徴とする請求項1に記載の近接覚センサ。
【請求項12】
前記学習済みモデルは、出力する物理量として、前記対象物から基準面までの3次元距離及び前記対象物の基準面に対する3次元角度の少なくとも何れか一方を含んでいることを特徴とする請求項11に記載の近接覚センサ。
【請求項13】
前記学習済みモデルは、出力する物理量として、前記対象物から基準面までの所定の閾値以上の距離及び当該対象物の基準面に対する角度の少なくとも何れか一方を含んでいることを特徴とする請求項5又は7に記載の近接覚センサ。
【請求項14】
前記情報取得装置群が、温度センサを含むことを特徴とする請求項1に記載の近接覚センサ。
【請求項15】
前記学習済みモデルは、出力する物理量として、生体である前記対象物の生体情報を含んでいることを特徴とする請求項14に記載の近接覚センサ。
【請求項16】
前記情報取得装置群が、力センサを含むことを特徴とする請求項1に記載の近接覚センサ。
【請求項17】
前記学習済みモデルは、出力する物理量として、前記対象物に印加された力の角度を考慮した力の大きさを含んでいることを特徴とする請求項16に記載の近接覚センサ。
【請求項18】
前記情報取得装置群が、慣性計測装置を含むことを特徴とする請求項1に記載の近接覚センサ。
【請求項19】
前記対象物を把持可能なロボットハンドを有するロボットと、
前記ロボットハンドに把持された前記対象物の周辺を撮像するカメラと、
少なくとも前記カメラの死角領域において前記対象物に関する情報を取得する請求項1から12及び14から18の何れか一項に記載の近接覚センサと、
を備えることを特徴とするロボットシステム。
【請求項20】
前記情報取得装置群が、前記対象物の周辺を撮像するカメラを含むことを特徴とする請求項1に記載の近接覚センサ。
【請求項21】
前記学習済みモデルは、出力する物理量として、前記対象物の柔らかさ及び前記対象物のサイズの少なくとも何れか一方を含んでいることを特徴とする請求項20に記載の近接覚センサ。
【請求項22】
前記対象物を把持可能なロボットハンドを有するロボットと、
少なくとも前記カメラの死角領域において前記対象物に関する情報を取得する請求項20又は21に記載の近接覚センサと、
を備えることを特徴とするロボットシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物に関する種々の情報を取得可能な近接覚センサ及びそれを用いたロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ロボットハンドの指先等に装備されるセンサとして、近距離にある対象物との距離や角度を非接触で検出可能な、いわゆる近接覚センサ(近接センサとも呼ばれる)が広く用いられている。この近接覚センサにおいては、複数の非線形なセンサを組み合わせることにより、線形な出力を得ることが可能となる。例えば、特許文献1では、発光素子と受光素子とで構成される光センサが、基材の上に複数設けられている(図1及び図2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-190552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の近接覚センサは、それを構成する複数のセンサが、一種類のセンサ例えば光センサのみで構成されている。このような構成によれば、対象物の特性や対象物との位置関係によっては、測定精度が低下する可能性があるという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、かかる事情に鑑みて創案され、その目的は、対象物の特性や対象物との位置関係から受ける影響を低減することにより、高精度な測定を行うことが可能な近接覚センサ、及びそれを用いたロボットシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様に係る近接覚センサは、対象物に関する情報を取得可能な情報取得装置群と、前記情報取得装置群を構成する各情報取得装置が当該情報取得装置に起因して発生させる電気物理量の主値と、当該情報取得装置以外の他の情報取得装置に起因して発生させる電気物理量のクロストーク値とがそれぞれ入力されて、所定の物理量を出力する学習済みモデルと、を備える近接覚センサであって、前記情報取得装置群が、取得する情報の内容または情報の取得方法が相異なる複数種類の情報取得装置を含んでいる。
【0007】
なお、本発明の一の態様に係る近接覚センサにおいては、前記情報取得装置群が、前記対象物に対して相異なる周波数の光を照射する複数種類の光センサを含んでもよい。
【0008】
また、本発明の一の態様に係る近接覚センサにおいては、前記学習済みモデルは、出力する物理量として、前記対象物の水分含有量を含んでもよい。
【0009】
また、本発明の一の態様に係る近接覚センサにおいては、前記情報取得装置群が、超音波センサを含んでもよい。
【0010】
また、本発明の一の態様に係る近接覚センサにおいては、前記学習済みモデルは、出力する物理量として、前記対象物の硬度及び材質の少なくとも何れか一方を含んでもよい。
【0011】
また、本発明の一の態様に係る近接覚センサにおいては、前記情報取得装置群が、ToF式レーザーセンサを含んでもよい。
【0012】
また、本発明の一の態様に係る近接覚センサにおいては、前記学習済みモデルは、出力する物理量として、前記対象物までの絶対距離を含んでもよい。
【0013】
また、本発明の一の態様に係る近接覚センサにおいては、前記情報取得装置群が、静電容量センサを含んでもよい。
【0014】
また、本発明の一の態様に係る近接覚センサにおいては、前記学習済みモデルは、出力する物理量として、前記対象物の密度を含んでもよい。
【0015】
また、本発明の一の態様に係る近接覚センサにおいては、前記情報取得装置群が、磁気センサを含んでもよい。
【0016】
また、本発明の一の態様に係る近接覚センサにおいては、前記学習済みモデルは、出力する物理量として、前記対象物から基準面までの3次元距離及び前記対象物の基準面に対する3次元角度の少なくとも何れか一方を含んでもよい。
【0017】
また、本発明の一の態様に係る近接覚センサにおいては、前記学習済みモデルは、出力する物理量として、前記対象物から基準面までの所定の閾値以上の距離及び当該対象物の基準面に対する角度の少なくとも何れか一方を含んでもよい。
【0018】
また、本発明の一の態様に係る近接覚センサにおいては、前記情報取得装置群が、温度センサを含んでもよい。
【0019】
また、本発明の一の態様に係る近接覚センサにおいては、前記学習済みモデルは、出力する物理量として、生体である前記対象物の生体情報を含んでもよい。
【0020】
また、本発明の一の態様に係る近接覚センサにおいては、前記情報取得装置群が、力センサを含んでもよい。
【0021】
また、本発明の一の態様に係る近接覚センサにおいては、前記学習済みモデルは、出力する物理量として、前記対象物に印加された力の角度を考慮した力の大きさを含んでもよい。
【0022】
また、本発明の一の態様に係る近接覚センサにおいては、前記情報取得装置群が、慣性計測装置を含んでもよい。
【0023】
本発明の一の態様に係るロボットシステムは、前記対象物を把持可能なロボットハンドを有するロボットと、前記ロボットハンドに把持された前記対象物の周辺を撮像するカメラと、少なくとも前記カメラの死角領域において前記対象物に関する情報を取得する近接覚センサと、を備えている。
【0024】
また、本発明の一の態様に係る近接覚センサにおいては、前記情報取得装置群が、前記対象物の周辺を撮像するカメラを含んでもよい。
【0025】
また、本発明の一の態様に係る近接覚センサにおいては、前記学習済みモデルは、出力する物理量として、前記対象物の柔らかさ及び前記対象物のサイズの少なくとも何れか一方を含んでもよい。
【0026】
本発明の一の態様に係るロボットシステムは、前記対象物を把持可能なロボットハンドを有するロボットと、少なくとも前記カメラの死角領域において前記対象物に関する情報を取得する近接覚センサと、を備えている。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一の態様に係る近接覚センサ及びそれを用いたロボットシステムによれば、対象物の特性や対象物との位置関係から受ける影響を低減することにより、高精度な測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態に係る近接覚センサ4Aを備えたロボットシステム1の概略構成を示す模式図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る近接覚センサ4Aの概略構成を示す模式図である。
図3】近接覚センサ4Aの機能的な構成を示すブロック図である。
図4】近接覚センサ4Aによる対象物Obの測定手順の流れを示すフローチャートである。
図5】第一実施形態に係る電気物理量取得処理(S1)の詳細な流れを示すフローチャートである。
図6】第二実施形態に係る近接覚センサ4B及び第三実施形態に係る近接覚センサ4Cの機能的な構成を示すブロック図である。
図7】第二実施形態に係る電気物理量取得処理(S1)の詳細な流れを示すフローチャートである。
図8】第四実施形態に係る近接覚センサ4D、第五実施形態に係る近接覚センサ4E、及び第八実施形態に係る近接覚センサ4Hの機能的な構成を示すブロック図である。
図9】第四実施形態に係る電気物理量取得処理(S1)の詳細な流れを示すフローチャートである。
図10】第六実施形態に係る近接覚センサ4Fの機能的な構成を示すブロック図である。
図11】第六実施形態に係る電気物理量取得処理(S1)の詳細な流れを示すフローチャートである。
図12】第七実施形態に係る近接覚センサ4Gの機能的な構成を示すブロック図である。
図13】第七実施形態に係る電気物理量取得処理(S1)の詳細な流れを示すフローチャートである。
図14】第九実施形態に係る近接覚センサ4Iの機能的な構成を示すブロック図である。
図15】第九実施形態に係る電気物理量取得処理(S1)の詳細な流れを示すフローチャートである。
図16】第十実施形態に係る近接覚センサ4Jの機能的な構成を示すブロック図である。
図17】第十実施形態に係る電気物理量取得処理(S1)の詳細な流れを示すフローチャートである。
図18】第十一実施形態に係る近接覚センサ4Kの機能的な構成を示すブロック図である。
図19】第十一実施形態に係る電気物理量取得処理(S1)の詳細な流れを示すフローチャートである。
図20】第十二実施形態に係る近接覚センサ4Lの機能的な構成を示すブロック図である。
図21】第十二実施形態に係る電気物理量取得処理(S1)の詳細な流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態に係る近接覚センサについて、図面を参照しつつ説明する。
【0030】
(ロボットシステムの構成)
まず、本発明の実施形態に係る近接覚センサを備えたロボットシステムの構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るロボットシステム1の構成を模式的に示す模式図である。ロボットシステム1は、ロボット2と、カメラ3と、近接覚センサ4と、を備えている。
【0031】
ロボット2は、対象物Obを操作するものであり、複数の関節を有して多軸方向に移動可能なロボットアーム5と、このロボットアーム5の先端部に設けられて対象物Obを把持可能なロボットハンド6を有している。
【0032】
カメラ3は、ロボットハンド6の周辺を撮像するものであり、ロボット2の上方であってロボットハンド6を俯瞰可能な位置に設置されている。このカメラ3としては、いわゆる二次元カメラ、三次元カメラ、ToFカメラ等、従来公知の撮像装置を用いることができる。なお、カメラ3の設置位置は、本実施形態に限られず任意に変更が可能である。また、このカメラ3が撮像した画像から所定の特徴量を抽出し、当該特徴量に基づいて、後述する各学習済みモデル20に対して入力される入力パラメータや、後述する各センサの制御パラメータを調整することも可能である。この特徴量としては、対象物Obの透明度に関する特徴量、対象物Obの柔らかさに関する特徴量、対象物Obの重心位置に関する特徴量、対象物Obの大きさに関する特徴量等が挙げられる。
【0033】
(第一実施形態に係る近接覚センサの構成)
次に、本発明の第一実施形態に係る近接覚センサ4Aの構成について説明する。本実施形態の近接覚センサ4Aは、水分を多く含む対象物Obを高精度に測定することを目的とするものである。図2は、第一実施形態に係る近接覚センサ4Aの概略構成を示す模式図である。近接覚センサ4Aは、少なくともカメラ3の死角領域、本実施形態ではロボットハンド6の下部において対象物Obに関する情報を取得する役割を果たす。この近接覚センサ4Aは、円形の基板7と、基板7上に設けられた複数の情報取得装置8から成る情報取得装置群9と、を備えている。なお、基板7の形状は、本実施形態に限定されず任意に設計変更が可能である。このように構成される近接覚センサ4Aは、図1に示すように、ロボットハンド6の先端部に装着されている。
【0034】
図3は、第一実施形態に係る近接覚センサ4Aの機能的な構成を示すブロック図である。近接覚センサ4Aは、情報取得装置群9と、取得部10と、変換部11と、入力処理部12と、記憶部13と、出力部14と、通信部15と、通信バス16と、制御部17と、を備えている。
【0035】
情報取得装置群9は、図3に示すように、第一赤外線センサ18(本発明に係る「光センサ」に相当)と、第二赤外線センサ19(「光センサ」に相当)と、を有している。第一赤外線センサ18は、図に詳細は示さないが、第一の周波数の赤外線を対象物Obに対して照射し、受光した反射波の強度に応じた光電流(本発明に係る「電気物理量」に相当)を発生させる。一方、第二赤外線センサ19は、第一の周波数とは異なる第二の周波数の赤外線を対象物Obに対して照射し、受光した反射波の強度に応じた光電流を発生させる。第一赤外線センサ18及び第二赤外線センサ19は、何れか一方が例えば遠赤外線センサであるのが好ましい。
【0036】
なお、基板7上における情報取得装置8の個数や設置位置は、本実施形態に限定されず任意に設計変更が可能である。また、第一赤外線センサ18及び第二赤外線センサ19だけに限られず、第三の周波数の赤外線を照射する第三赤外線センサ(不図示)等、相異なる周波数の光を照射可能な複数種類の赤外線センサを情報取得装置群9に含めることが可能である。更に、赤外線センサだけに限らず、他の種類の情報取得装置8を情報取得装置群9に含めることも可能である。また、本発明に係る光センサとしては、赤外線センサに限定されず、可視光やレーザー光を対象物Obに照射可能な公知のセンサを用いることができる。なお、以上のことは、後述する他の実施形態においても同様である。
【0037】
取得部10は、情報取得装置群9が発生させる電気物理量を取得する。本実施形態では、この取得部10は、第一赤外線センサ18が発生させる電気物理量としての光電流と、第二赤外線センサ19が発生させる電気物理量としての光電流とをそれぞれ取得する。
【0038】
変換部11は、取得部10が取得した電気物理量に対して、予め定められた演算を施すことにより、所定の演算値へと変換する。入力処理部12は、変換部11が変換した演算値を、後述する学習済みモデル20に対し入力パラメータとして入力する。
【0039】
記憶部13は、図3に示すように、各種プログラムや一時的な情報と共に、学習済みモデル20を記憶する。この学習済みモデル20は、いわゆるニューラルネットワークとして構成され、情報取得装置8が発生させる電気物理量と、対象物Obに関する物理量との関係を予め機械学習させたモデルである。本実施形態では、情報取得装置8が発生させる電気物理量として、第一赤外線センサ18及び第二赤外線センサ19が発生させる光電流の値またはその演算値が用いられる。一方、対象物Obに関する物理量として、基板7上の所定の基準面から対象物Obまでの距離、基準面に対して対象物Obが成す角度、及び対象物Obの水分含有量が用いられる。なお、対象物Obに関する物理量は、少なくとも対象物Obの水分含有量を含んでいれば足りる。
【0040】
出力部14は、各種の情報と共に、学習済みモデル20による算出結果を出力する。本実施形態では、基準面から対象物Obまでの距離、基準面に対して対象物Obが成す角度、及び対象物Obの水分含有量がそれぞれ出力される。
【0041】
通信部15は、有線接続や無線接続によりインターネットやLAN等のネットワークに接続する。これにより、近接覚センサ4Aは、各種情報を外部から受信し又は外部へ送信することができる。なお、近接覚センサ4Aを構成する各部は、その全てが基板7上に設けられた形態でもよいし、或いはその一部がネットワークを介した遠隔地に設けられて、通信部15を介して互いに接続された形態であってもよい。
【0042】
通信バス16は、近接覚センサ4Aを構成する各部を互いに電気的に接続する。制御部17は、通信バス16を介して各部の動作を制御する。
【0043】
(第一実施形態に係る近接覚センサによる対象物の測定手順)
次に、本発明の第一実施形態に係る近接覚センサ4Aによる対象物Obの測定手順について説明する。図4は、近接覚センサ4Aによる対象物Obの測定手順の流れを示すフローチャートである。対象物Obの測定が開始されると、まず、図3に示す制御部17は、情報取得装置群9及び取得部10を制御することにより、電気物理量取得処理(S1)を実行する。
【0044】
ここで、図5は、第一実施形態に係る電気物理量取得処理(S1)の詳細な流れを示すフローチャートである。電気物理量取得処理(S1)が開始されると、まず第一赤外線センサ18の1つが、第一の周波数の赤外線を対象物Obに対して照射する(S5)。そして、当該第一赤外線センサ18自身が、その反射光を対象物Obから受光し、その強度に応じた光電流を発生させる。取得部10は、この光電流を、電気物理量の主値として取得する(S6)。またこの時、当該第一赤外線センサ18以外の他の第一赤外線センサ18や第二赤外線センサ19も、反射光を対象物Obから受光し、その強度に応じた光電流をそれぞれ発生させる。取得部10は、これら光電流を、電気物理量のクロストーク値としてそれぞれ取得する(S7)。なお、主値及びクロストーク値の取得ステップは、本実施形態とは逆の順序で、すなわちクロストーク値の取得ステップが先に実行されてもよい。そして、図5に詳細は示さないが、全ての第一赤外線センサ18について、このようなステップが順次行われる。
【0045】
次に、第二赤外線センサ19の1つが、第二の周波数の赤外線を対象物Obに照射する(S8)。そして、当該第二赤外線センサ19自身が、その反射光を対象物Obから受光し、その強度に応じた光電流を発生させる。取得部10は、この光電流を、電気物理量の主値として取得する(S9)。またこの時、当該第二赤外線センサ19以外の他の第二赤外線センサ19や第一赤外線センサ18も、反射光を対象物Obから受光し、その強度に応じた光電流をそれぞれ発生させる。取得部10は、これら光電流を、電気物理量のクロストーク値としてそれぞれ取得する(S10)。そして、図5に詳細は示さないが、全ての第二赤外線センサ19について、このようなステップが順次行われる。
【0046】
なお、第一赤外線センサ18の光照射による電気物理量の取得ステップ(S5からS7)と、第二赤外線センサ19の光照射による電気物理量の取得ステップ(S8からS10)とは、本実施形態とは逆の順序で、すなわち第二赤外線センサ19の光照射による電気物理量の取得ステップが先に行われてもよい。
【0047】
次に、図4に示すように、制御部17は、変換部11を制御することにより、変換処理(S2)を実行する。すなわち、変換部11が、取得部10によって取得された電気物理量に対し、予め定められた演算を施すことにより、所定の演算値へと変換する。次に、制御部17は、入力処理部12(図3を参照)を制御することにより、入力処理(S3)を実行する。すなわち、入力処理部12が、変換部11によって変換された演算値を、学習済みモデル20に対して入力パラメータとして入力する。これにより、学習済みモデル20が、対象物Obに関する物理量を算出する。本実施形態では、対象物Obに関する物理量として、基準面から対象物Obまでの距離と、基準面に対して対象物Obが成す角度と、対象物Obの水分含有量とがそれぞれ算出される。
【0048】
最後に、制御部17は、出力部14を制御することにより、出力処理(S4)を実行する。すなわち、出力部14が、学習済みモデル20によって算出された対象物Obに関する各物理量を、任意の出力装置(不図示)にそれぞれ出力する。これにより、近接覚センサ4Aによる対象物Obの測定が終了する。
【0049】
このように、本実施形態に係る近接覚センサ4Aによれば、出力部14が出力する物理量として、対象物Obの水分含有量が含まれているので、対象物Obが多くの水分を含みその蒸発によって収縮しやすい特性を有する場合でも、対象物Obの収縮分を考慮したロボットハンド6及びロボットアーム5の制御が可能となる。従って、対象物Obの水分含有量の影響を低減することにより、もしくは対象物Obとの距離や角度の影響を低減することにより、ロボット2による対象物Obの正確な操作が可能となる。
【0050】
(第二実施形態に係る近接覚センサの構成)
次に、本発明の第二実施形態に係る近接覚センサの構成について説明する。本実施形態の近接覚センサは、光を吸収しやすい特性を有する対象物Obを高精度に測定することを目的とするものである。本実施形態の近接覚センサ4Bも、図2に示すように、円形の基板7と、基板7上に設けられた複数の情報取得装置8から成る情報取得装置群21と、を備えている。
【0051】
図6は、第二実施形態に係る近接覚センサ4Bの機能的な構成を示すブロック図である。近接覚センサ4Bは、情報取得装置群21と、取得部10と、変換部11と、入力処理部12と、記憶部22と、出力部14と、通信部15と、通信バス16と、制御部17と、を備えている。このうち、情報取得装置群21と記憶部22とを除く他の構成については、第一実施形態と同様の機能を果たすため、ここでは説明を省略する。
【0052】
情報取得装置群21は、図6に示すように、赤外線センサ23と、超音波センサ24と、を有している。赤外線センサ23は、図に詳細は示さないが、対象物Obに対して赤外線を照射し、受光した反射光の強度に応じた光電流を発生させる。一方、超音波センサ24は、図に詳細は示さないが、対象物Obに対して超音波を発信し、受信した反射波の強度に応じた電圧(本発明に係る「電気物理量」に相当)を発生させる。
【0053】
記憶部22は、図6に示すように、各種プログラムや一時的な情報と共に、学習済みモデル25を記憶する。この学習済みモデル25は、第一実施形態の学習済みモデル20と比較して、機械学習に用いられる教師データが異なっている。すなわち、本実施形態では、情報取得装置8が発生させる電気物理量として、赤外線センサ23が発生させる光電流の値またはその演算値と、超音波センサ24が発生させる電圧値またはその演算値が用いられる。一方、対象物Obに関する物理量として、基板7上の所定の基準面から対象物Obまでの距離、及び基準面に対して対象物Obが成す角度が用いられる。
【0054】
(第二実施形態に係る近接覚センサによる対象物の測定手順)
次に、本発明の第二実施形態に係る近接覚センサ4Bによる対象物Obの測定手順について説明する。本実施形態の測定手順では、図4に示すように、電気物理量取得処理(S1)と、変換処理(S2)と、入力処理(S3)と、出力処理(S4)とが実行される。
【0055】
図7は、第二実施形態に係る電気物理量取得処理(S1)の詳細な流れを示すフローチャートである。電気物理量取得処理(S1)が開始されると、第一実施形態と同様に、まず赤外線センサ23の1つが、対象物Obに対して赤外線を照射し(S11)、取得部10が、電気物理量の主値を取得する(S12)と共に、電気物理量のクロストーク値を取得する(S13)。そして、図7に詳細は示さないが、全ての赤外線センサ23について、このようなステップが順次行われる。
【0056】
次に、超音波センサ24の1つが、対象物Obに対して超音波を発信する(S14)。そして、当該超音波センサ24自身が、その反射波を対象物Obから受信し、その強度に応じた電圧を発生させる。取得部10は、この電圧を、電気物理量の主値として取得する(S15)。また、当該超音波センサ24以外の他の超音波センサ24も、反射波を対象物Obから受信し、その強度に応じた電圧を発生させる。取得部10は、これら電圧を、電気物理量のクロストーク値として取得する(S16)。更にこの時、赤外線センサ23も、超音波を受けて振動している状態の対象物Obに対して、赤外線をそれぞれ照射する。そして、当該赤外線センサ23自身がその反射光を対象物Obからそれぞれ受光し、その強度に応じた光電流をそれぞれ発生させる。取得部10は、これら光電流を、電気物理量のクロストーク値としてそれぞれ取得する(S17)。そして、図7に詳細は示さないが、全ての超音波センサ24について、このようなステップが順次行われる。
【0057】
その後、図4に示すように、変換処理(S2)が実行されることにより、取得部10によって取得された電気物理量が、変換部11によって所定の演算値へと変換される。次に、入力処理(S3)が実行されることにより、変換部11によって変換された演算値が、学習済みモデル25に対して入力パラメータとして入力される。これにより、学習済みモデル20が、対象物Obに関する物理量を算出する。本実施形態では、対象物Obに関する物理量として、基準面から対象物Obまでの距離と、基準面に対して対象物Obが成す角度とがそれぞれ算出される。最後に、出力処理(S4)が実行されることにより、学習済みモデル20によって算出された対象物Obに関する物理量が、出力部14によって出力される。これにより、近接覚センサ4Bによる対象物Obの測定が終了する。
【0058】
このように、本実施形態に係る近接覚センサ4Bによれば、情報取得装置群21の中に超音波センサ24が含まれているので、対象物Obが光を吸収しやすい特性を有し、赤外線センサ23では対象物Obの測定が難しい場合でも、その特性の影響を受けにくい超音波センサ24により、対象物Obを高精度に測定することができる。これにより、対象物Obまでの距離や対象物Obの角度が正確に算出されるので、光を吸収しやすい特性を有する対象物Obであっても、ロボット2による対象物Obの正確な操作が可能となる。
【0059】
(第三実施形態に係る近接覚センサの構成)
次に、本発明の第三実施形態に係る近接覚センサの構成について説明する。本実施形態の近接覚センサは、柔らかい対象物Obを高精度に測定することを目的とするものである。本実施形態の近接覚センサ4Cも、図2に示すように、円形の基板7と、基板7上に設けられた複数の情報取得装置8から成る情報取得装置群21と、を備えている。
【0060】
本実施形態の近接覚センサ4Cは、図6に示すように、機能的な構成として、情報取得装置群21と、取得部10と、変換部11と、入力処理部12と、記憶部26と、出力部14と、通信部15と、通信バス16と、制御部17と、を備えている。このうち、記憶部26を除く他の構成については、第二実施形態と同様の機能を果たすため、ここでは説明を省略する。
【0061】
記憶部26は、図6に示すように、各種プログラムや一時的な情報と共に、学習済みモデル27を記憶する。この学習済みモデル27は、第二実施形態の学習済みモデル20と比較して、機械学習に用いられる教師データが異なっている。すなわち、本実施形態では、情報取得装置8が発生させる電気物理量として、赤外線センサ23が発生させる光電流の値またはその演算値と、超音波センサ24が発生させる電圧値またはその演算値が用いられる点は、学習済みモデル20と同様である。一方、対象物Obに関する物理量として、基板7上の所定の基準面から対象物Obまでの距離、及び基準面に対して対象物Obが成す角度に加えて、対象物Obの硬度及び材質を含んでいる点で学習済みモデル20と異なっている。なお、対象物Obに関する物理量は、対象物Obの硬度及び材質の少なくとも何れか一方を含んでいれば足りる。
【0062】
(第三実施形態に係る近接覚センサによる対象物の測定手順)
次に、本発明の第三実施形態に係る近接覚センサ4Cによる対象物Obの測定手順について説明する。本実施形態の測定手順では、図4に示すように、電気物理量取得処理(S1)と、変換処理(S2)と、入力処理(S3)と、出力処理(S4)とが実行される。
【0063】
電気物理量取得処理(S1)は、第二実施形態と同様であるため(図7を参照)、ここでは説明を省略する。電気物理量取得処理(S1)の終了後、図4に示すように、変換処理(S2)が実行されることにより、取得部10によって取得された電気物理量が、変換部11によって所定の演算値へと変換される。次に、入力処理(S3)が実行されることにより、変換部11によって変換された演算値が、学習済みモデル27に対して入力パラメータとして入力される。これにより、学習済みモデル27が、対象物Obに関する物理量を算出する。本実施形態では、対象物Obに関する物理量として、基準面から対象物Obまでの距離と、基準面に対して対象物Obが成す角度と、対象物Obの硬度及び材質とがそれぞれ算出される。最後に、出力処理(S4)が実行されることにより、学習済みモデル27によって算出された対象物Obに関する物理量が、出力部14によって出力される。これにより、近接覚センサ4Cによる対象物Obの測定が終了する。
【0064】
このように、本実施形態に係る近接覚センサ4Cによれば、出力部14が出力する物理量として対象物Obの硬度及び材質の少なくとも何れか一方が含まれているので、対象物Obが柔らかく強い握力で把持すると破損しやすい特性を有する場合でも、対象物Obの柔らかさに応じたロボットハンド6の握力制御が可能となる。従って、対象物Obの柔らかさの影響を低減することにより、もしくは対象物Obとの距離や角度の影響を低減することにより、ロボット2による対象物Obの正確な操作が可能となる。
【0065】
(第四実施形態に係る近接覚センサ4Aの構成)
次に、本発明の第四実施形態に係る近接覚センサの構成について説明する。本実施形態の近接覚センサは、光を反射しにくい特性を有する対象物Obを高精度に測定することを目的とするものである。本実施形態の近接覚センサ4Dも、図2に示すように、円形の基板7と、基板7上に設けられた複数の情報取得装置8から成る情報取得装置群28と、を備えている。
【0066】
図8は、第四実施形態に係る近接覚センサ4Dの機能的な構成を示すブロック図である。近接覚センサ4Dは、情報取得装置群28と、取得部10と、変換部11と、入力処理部12と、記憶部29と、出力部14と、通信部15と、通信バス16と、制御部17と、を備えている。このうち、情報取得装置群28と記憶部29とを除く他の構成については、第一実施形態と同様の機能を果たすため、ここでは説明を省略する。
【0067】
情報取得装置群28は、図8に示すように、赤外線センサ23と、ToF(Time of Flight)式レーザーセンサ30と、を有している。赤外線センサ23は、図に詳細は示さないが、対象物Obに対して赤外線を照射し、受光した反射光の強度に応じた光電流を発生させる。一方、ToF式レーザーセンサ30は、対象物Obに対して光を照射し、その反射光が戻ってくるまでの時間を計測することにより、対象物Obまでの距離を測定するセンサである。このToF式レーザーセンサ30は、反射光が戻ってくるまでの時間の長さに応じた電気信号を発生させる。なお、本実施形態のToF式レーザーセンサに代えて、超音波センサを用いることも可能である。
【0068】
記憶部29は、図8に示すように、各種プログラムや一時的な情報と共に、学習済みモデル31を記憶する。この学習済みモデル31は、第一実施形態の学習済みモデル20と比較して、機械学習に用いられる教師データが異なっている。すなわち、本実施形態では、情報取得装置8が発生させる電気物理量として、赤外線センサ23が発生させる光電流の値またはその演算値と、ToF式レーザーセンサ30が発生させる電気信号の値またはその演算値とが用いられる。一方、対象物Obに関する物理量として、基板7上の所定の基準面から対象物Obまでの距離、及び基準面に対して対象物Obが成す角度が用いられる。
【0069】
(第四実施形態に係る近接覚センサによる対象物の測定手順)
次に、本発明の第四実施形態に係る近接覚センサ4Dによる対象物Obの測定手順について説明する。本実施形態の測定手順では、図4に示すように、電気物理量取得処理(S1)と、変換処理(S2)と、入力処理(S3)と、出力処理(S4)とが実行される。
【0070】
図9は、第四実施形態に係る電気物理量取得処理(S1)の詳細な流れを示すフローチャートである。電気物理量取得処理(S1)が開始されると、第一実施形態と同様に、まず赤外線センサ23の1つが、対象物Obに対して赤外線を照射し(S18)、取得部10が、電気物理量の主値を取得する(S19)と共に、電気物理量のクロストーク値を取得する(S20)。更にこの時、ToF式レーザーセンサ30も、反射光を対象物Obから受光し、赤外線センサ23による照射から反射光を受光するまでの時間の長さに応じた電気信号をそれぞれ発生させる。取得部10は、これら電気信号も、電気物理量のクロストーク値としてそれぞれ取得する(S21)。そして、図9に詳細は示さないが、全ての赤外線センサ23について、このようなステップが順次行われる。
【0071】
次に、ToF式レーザーセンサ30の1つが、対象物Obに対して光を照射する(S22)。そして、当該ToF式レーザーセンサ30自身が、その反射光を対象物Obから受光し、反射光を受光するまでの時間の長さに応じた電気信号をそれぞれ発生させる。取得部10は、この電気信号を、電気物理量の主値として取得する(S23)。また、当該ToF式レーザーセンサ30以外の他のToF式レーザーセンサ30も、反射光を受光するまでの時間の長さに応じた電気信号をそれぞれ発生させる。取得部10は、これら電気信号を、電気物理量のクロストーク値として取得する(S24)。更にこの時、赤外線センサ23も、対象物Obから反射光を受光し、その強度に応じた光電流をそれぞれ発生させる。取得部10は、これら光電流も、電気物理量のクロストーク値としてそれぞれ取得する(S25)。そして、図9に詳細は示さないが、全てのToF式レーザーセンサ30について、このようなステップが順次行われる。
【0072】
その後、図4に示すように、変換処理(S2)が実行されることにより、取得部10によって取得された電気物理量が、変換部11によって所定の演算値へと変換される。次に、入力処理(S3)が実行されることにより、変換部11によって変換された演算値が、学習済みモデル31に対して入力パラメータとして入力される。これにより、学習済みモデル31が、対象物Obに関する物理量を算出する。本実施形態では、対象物Obに関する物理量として、基準面から対象物Obまでの距離と、基準面に対して対象物Obが成す角度とがそれぞれ算出される。最後に、出力処理(S4)が実行されることにより、学習済みモデル31によって算出された対象物Obに関する物理量が、出力部14によって出力される。これにより、近接覚センサ4Dによる対象物Obの測定が終了する。
【0073】
このように、本実施形態に係る近接覚センサ4Dによれば、情報取得装置群28の中にToF式レーザーセンサ30が含まれているので、対象物Obが光を反射しにくい特性を有し、赤外線センサ23では対象物Obの測定が難しい場合でも、僅かな受光量でも測定が可能なToF式レーザーセンサ30により、対象物Obを高精度に測定することができる。これにより、対象物Obまでの距離や対象物Obの角度が正確に算出されるので、光を反射しにくい特性を有する対象物Obであっても、ロボット2による対象物Obの正確な操作が可能となる。
【0074】
(第五実施形態に係る近接覚センサの構成)
次に、本発明の第五実施形態に係る近接覚センサの構成について説明する。本実施形態の近接覚センサは、対象物Obの形状や素材に起因して基準面のオフセット調整が必要な対象物Obを高精度に測定することを目的とするものである。本実施形態の近接覚センサ4Eも、図2に示すように、円形の基板7と、基板7上に設けられた複数の情報取得装置8から成る情報取得装置群28と、を備えている。
【0075】
本実施形態の近接覚センサ4Eは、図8に示すように、機能的な構成として、情報取得装置群28と、取得部10と、変換部11と、入力処理部12と、記憶部32と、出力部14と、通信部15と、通信バス16と、制御部17と、を備えている。このうち、記憶部32を除く他の構成については、第四実施形態と同様の機能を果たすため、ここでは説明を省略する。
【0076】
記憶部32は、図8に示すように、各種プログラムや一時的な情報と共に、学習済みモデル33を記憶する。この学習済みモデル33は、第四実施形態の学習済みモデル31と比較して、機械学習に用いられる教師データが異なっている。すなわち、本実施形態では、情報取得装置8が発生させる電気物理量として、赤外線センサ23が発生させる光電流の値またはその演算値と、ToF式レーザーセンサ30が発生させる電気信号の値またはその演算値が用いられる点は、学習済みモデル31と同様である。一方、対象物Obに関する物理量として、基板7上の所定の基準面から対象物Obまでの距離、及び基準面に対して対象物Obが成す角度に加えて、ToF式レーザーセンサ30から対象物Obまでの絶対距離を含んでいる点で学習済みモデル31と異なっている。
【0077】
(第五実施形態に係る近接覚センサによる対象物の測定手順)
次に、本発明の第五実施形態に係る近接覚センサ4Eによる対象物Obの測定手順について説明する。本実施形態の測定手順では、図4に示すように、電気物理量取得処理(S1)と、変換処理(S2)と、入力処理(S3)と、出力処理(S4)とが実行される。
【0078】
電気物理量取得処理(S1)は、第四実施形態と同様であるため(図8を参照)、ここでは説明を省略する。電気物理量取得処理(S1)の終了後、図4に示すように、変換処理(S2)が実行されることにより、取得部10によって取得された電気物理量が、変換部11によって所定の演算値へと変換される。次に、入力処理(S3)が実行されることにより、変換部11によって変換された演算値が、学習済みモデル33に対して入力パラメータとして入力される。これにより、学習済みモデル33が、対象物Obに関する物理量を算出する。本実施形態では、対象物Obに関する物理量として、基準面から対象物Obまでの距離と、基準面に対して対象物Obが成す角度と、ToF式レーザーセンサ30から対象物Obまでの絶対距離とがそれぞれ算出される。最後に、出力処理(S4)が実行されることにより、学習済みモデル33によって算出された対象物Obに関する物理量が、出力部14によって出力される。これにより、近接覚センサ4Eによる対象物Obの測定が終了する。
【0079】
このように、本実施形態に係る近接覚センサ4Eによれば、出力部14が出力する物理量としてToF式レーザーセンサ30から対象物Obまでの絶対距離が含まれているので、対象物Obの形状や素材に起因して基準面のオフセット調整が必要な場合に、自動的にオフセット調整を行うことが可能となる。従って、対象物Obの形状や素材の影響を低減することにより、もしくは対象物Obとの距離や角度の影響を低減することにより、ロボット2による対象物Obの正確な操作が可能となる。
【0080】
(第六実施形態に係る近接覚センサの構成)
次に、本発明の第六実施形態に係る近接覚センサの構成について説明する。本実施形態の近接覚センサは、小さい対象物Obを高精度に測定することを目的とするものである。本実施形態の近接覚センサ4Fも、図2に示すように、円形の基板7と、基板7上に設けられた複数の情報取得装置8から成る情報取得装置群34と、を備えている。
【0081】
図10は、第六実施形態に係る近接覚センサ4Fの機能的な構成を示すブロック図である。近接覚センサ4Fは、情報取得装置群34と、取得部10と、変換部11と、入力処理部12と、記憶部35と、出力部14と、通信部15と、通信バス16と、制御部17と、を備えている。このうち、情報取得装置群34と記憶部35とを除く他の構成については、第一実施形態と同様の機能を果たすため、ここでは説明を省略する。
【0082】
情報取得装置群34は、図10に示すように、赤外線センサ23と、静電容量センサ36と、を有している。赤外線センサ23は、図に詳細は示さないが、対象物Obに対して赤外線を照射し、受光した反射光の強度に応じた光電流を発生させる。一方、静電容量センサ36は、電界を発生可能な発振回路を有し、電界内に対象物Obが進入して発振回路の発振周波数が変化したことを検知することにより、対象物Obの有無を検知するセンサである。この静電容量センサ36は、電界内における対象物Obの有無に応じて、ONまたはOFFの電気信号を発生させる。
【0083】
記憶部35は、図10に示すように、各種プログラムや一時的な情報と共に、学習済みモデル37を記憶する。この学習済みモデル37は、第一実施形態の学習済みモデル20と比較して、機械学習に用いられる教師データが異なっている。すなわち、本実施形態では、情報取得装置8が発生させる電気物理量として、赤外線センサ23が発生させる光電流の値またはその演算値と、静電容量センサ36が発生させる電気信号の値またはその演算値とが用いられる。一方、対象物Obに関する物理量として、基板7上の所定の基準面から対象物Obまでの距離、及び基準面に対して対象物Obが成す角度、及び対象物Obの有無に関する情報が用いられる。
【0084】
(第六実施形態に係る近接覚センサによる対象物の測定手順)
次に、本発明の第六実施形態に係る近接覚センサ4Fによる対象物Obの測定手順について説明する。本実施形態の測定手順では、図4に示すように、電気物理量取得処理(S1)と、変換処理(S2)と、入力処理(S3)と、出力処理(S4)とが実行される。
【0085】
図11は、第六実施形態に係る電気物理量取得処理(S1)の詳細な流れを示すフローチャートである。電気物理量取得処理が開始されると、第一実施形態と同様に、まず赤外線センサ23の1つが、対象物Obに対して赤外線を照射し(S26)、取得部10が、電気物理量の主値を取得する(S27)と共に、電気物理量のクロストーク値を取得する(S28)。そして、図11に詳細は示さないが、全ての赤外線センサ23について、このようなステップが順次行われる。
【0086】
次に、静電容量センサ36の1つが、発振回路を発信させて電界を発生させる(S29)。そして、当該静電容量センサ36自身が、発振回路の発振周波数が変化したことを検知すると、電界内における対象物Obの存在を示す電気信号を発生させる。取得部10は、この電気信号を、電気物理量の主値として取得する(S30)。またこの時、当該静電容量センサ36以外の他の静電容量センサ36も、発振回路の発振周波数が変化したことを検知すると、電界内における対象物Obの存在を示す電気信号を発生させる。取得部10は、これら電圧を、電気物理量のクロストーク値として取得する(S31)。そして、図11に詳細は示さないが、全ての静電容量センサ36について、このようなステップが順次行われる。
【0087】
その後、図11に示すように、変換処理(S2)が実行されることにより、取得部10によって取得された電気物理量が、変換部11によって所定の演算値へと変換される。次に、入力処理(S3)が実行されることにより、変換部11によって変換された演算値が、学習済みモデル37に対して入力パラメータとして入力される。これにより、学習済みモデル37が、対象物Obに関する物理量を算出する。本実施形態では、対象物Obに関する物理量として、基準面から対象物Obまでの距離と、基準面に対して対象物Obが成す角度と、電界内における対象物Obの有無がそれぞれ算出される。最後に、出力処理(S4)が実行されることにより、学習済みモデル37によって算出された対象物Obに関する物理量が、出力部14によって出力される。これにより、近接覚センサ4Fによる対象物Obの測定が終了する。
【0088】
このように、本実施形態に係る近接覚センサ4Fによれば、情報取得装置群34の中に静電容量センサ36が含まれているので、対象物Obが小さく、赤外線センサ23では対象物Obの測定が難しい場合でも、静電容量センサ36で対象物Obの有無を確実に検知することにより、対象物Obを高精度に測定することができる。これにより、対象物Obまでの距離や対象物Obの角度が正確に算出されるので、小さい対象物Obであっても、ロボット2による対象物Obの正確な操作が可能となる。
【0089】
(第七実施形態に係る近接覚センサの構成)
次に、本発明の第七実施形態に係る近接覚センサの構成について説明する。本実施形態の近接覚センサは、磁力を持った小さい対象物Obを高精度に測定することを目的とするものである。本実施形態の近接覚センサ4Gも、図2に示すように、円形の基板7と、基板7上に設けられた複数の情報取得装置8から成る情報取得装置群38と、を備えている。
【0090】
図12は、第七実施形態に係る近接覚センサ4Gの機能的な構成を示すブロック図である。近接覚センサ4Gは、情報取得装置群38と、取得部10と、変換部11と、入力処理部12と、記憶部39と、出力部14と、通信部15と、通信バス16と、制御部17と、を備えている。このうち、情報取得装置群38と記憶部39とを除く他の構成については、第一実施形態と同様の機能を果たすため、ここでは説明を省略する。
【0091】
情報取得装置群38は、図12に示すように、赤外線センサ23と、ホールセンサ(本発明に係る「磁気センサ」に相当)40と、を有している。赤外線センサ23は、図に詳細は示さないが、対象物Obに対して赤外線を照射し、受光した反射光の強度に応じた光電流を発生させる。一方、ホールセンサ40は、ホール素子と垂直磁束との間に生じるいわゆるホール効果を利用して磁界を検出するセンサである。このホールセンサ40は、磁界の大きさや変化量に応じた電気信号(本発明に係る「電気物理量」に相当)を発生させる。なお、本発明に係る磁気センサとしては、ホールセンサ40に限定されず、磁気抵抗素子を用いたMRセンサ等公知のセンサを用いることができる。
【0092】
記憶部39は、図12に示すように、各種プログラムや一時的な情報と共に、学習済みモデル41を記憶する。この学習済みモデル41は、第一実施形態の学習済みモデル20と比較して、機械学習に用いられる教師データが異なっている。すなわち、本実施形態では、情報取得装置8が発生させる電気物理量として、赤外線センサ23が発生させる光電流の値またはその演算値と、ホールセンサ40が発生させる電気信号の値またはその演算値とが用いられる。一方、対象物Obに関する物理量として、対象物Obから基準面までの3次元距離及び対象物Obの基準面に対する3次元角度が用いられる。なお、対象物Obに関する物理量は、3次元距離及び3次元角度の少なくとも何れか一方を含んでいれば足りる。
【0093】
(第七実施形態に係る近接覚センサによる対象物の測定手順)
次に、本発明の第七実施形態に係る近接覚センサ4Gによる対象物Obの測定手順について説明する。本実施形態の測定手順では、図4に示すように、電気物理量取得処理(S1)と、変換処理(S2)と、入力処理(S3)と、出力処理(S4)とが実行される。
【0094】
図13は、第七実施形態に係る電気物理量取得処理(S1)の詳細な流れを示すフローチャートである。電気物理量取得処理(S1)が開始されると、第一実施形態と同様に、まず赤外線センサ23の1つが、対象物Obに対して赤外線を照射し(S32)、取得部10が、電気物理量の主値を取得する(S33)と共に、電気物理量のクロストーク値を取得する(S34)。そして、図13に詳細は示さないが、全ての赤外線センサ23について、このようなステップが順次行われる。
【0095】
次に、ホールセンサ40の1つが通電され、検出した磁界の大きさに応じた電気信号を発生させる(S35)。取得部10は、この電気信号を、電気物理量の主値として取得する(S36)。そして、図13に詳細は示さないが、全てのホールセンサ40について、このようなステップが順次行われる。
【0096】
その後、図4に示すように、変換処理(S2)が実行されることにより、取得部10によって取得された電気物理量が、変換部11によって所定の演算値へと変換される。次に、入力処理(S3)が実行されることにより、変換部11によって変換された演算値が、学習済みモデル41に対して入力パラメータとして入力される。これにより、学習済みモデル41が、対象物Obに関する物理量を算出する。本実施形態では、対象物Obに関する物理量として、対象物Obから基準面までの3次元距離及び対象物Obの基準面に対する3次元角度の少なくとも何れか一方が出力される。最後に、出力処理(S4)が実行されることにより、学習済みモデル41によって算出された対象物Obに関する物理量が、出力部14によって出力される。これにより、近接覚センサ4Gによる対象物Obの測定が終了する。
【0097】
このように、本実施形態に係る近接覚センサ4Gによれば、情報取得装置群38の中にホールセンサ40が含まれているので、磁力を持った対象物Obが小さく、赤外線センサ23では対象物Obの測定が難しい場合でも、ホールセンサ40で対象物Obの3次元位置及び3次元角度の少なくとも何れか一方を確実に検知することにより、対象物Obを高精度に測定することができる。これにより、磁力を持った小さい対象物Obであっても、ロボット2による対象物Obの正確な操作が可能となる。なお、対象物Ob自体が磁力を持たない場合には、対象物Obに予めマグネットを取り付けておく、若しくはロボットハンド6にマグネットが仕込まれた手袋等を装着させておくことにより、ホールセンサ40による検知が可能となる。
【0098】
(第八実施形態に係る近接覚センサの構成)
次に、本発明の第八実施形態に係る近接覚センサの構成について説明する。本実施形態の近接覚センサは、遠距離に位置する対象物Obを高精度に測定することを目的とするものである。本実施形態の近接覚センサ4Hも、図2に示すように、円形の基板7と、基板7上に設けられた複数の情報取得装置8から成る情報取得装置群28と、を備えている。
【0099】
本実施形態の近接覚センサ4Hは、図8に示すように、機能的な構成として、情報取得装置群28と、取得部10と、変換部11と、入力処理部12と、記憶部42と、出力部14と、通信部15と、通信バス16と、制御部17と、を備えている。このうち、記憶部42を除く他の構成については、第四実施形態と同様の機能を果たすため、ここでは説明を省略する。なお、情報取得装置群28は、図8に示すToF式レーザーセンサ30に代えて、或いはToF式レーザーセンサ30と共に、超音波センサを含んでもよい。
【0100】
記憶部42は、図8に示すように、各種プログラムや一時的な情報と共に、学習済みモデル43を記憶する。この学習済みモデル43は、第四実施形態の学習済みモデル20と比較して、機械学習に用いられる教師データが異なっている。すなわち、本実施形態では、情報取得装置8が発生させる電気物理量として、赤外線センサ23が発生させる光電流の値またはその演算値と、ToF式レーザーセンサ30が発生させる電気信号の値またはその演算値が用いられる点は、第四実施形態と同様である。一方、対象物Obに関する物理量として、近距離に位置する対象物Obの姿勢だけでなく、遠距離に位置する対象物Obの姿勢に関するデータも含まれる点で、第四実施形態とは異なっている。詳細には、対象物Obに関する物理量として、基板7上の所定の基準面から対象物Obまでの距離(近距離のデータ)、及び基準面に対して対象物Obが成す角度(近距離のデータ)に加えて、基準面から対象物Obまでの所定の閾値以上の距離(遠距離のデータ)、及び基準面に対して対象物Obが成す角度(遠距離のデータ)が用いられる。なお、対象物Obに関する物理量は、距離(遠距離のもの)及び角度(遠距離のもの)の少なくとも何れか一方を含んでいれば足りる。
【0101】
(第八実施形態に係る近接覚センサによる対象物の測定手順)
次に、本発明の第八実施形態に係る近接覚センサ4Hによる対象物Obの測定手順について説明する。本実施形態の測定手順では、図4に示すように、電気物理量取得処理(S1)と、変換処理(S2)と、入力処理(S3)と、出力処理(S4)とが実行される。
【0102】
本実施形態では、図9に示す第四実施形態と同様の手順で電気物理量取得処理(ステップS1)が実行されるが、ToF式レーザーセンサ30が、所定の閾値以上の遠距離に位置する対象物Obの測定を行う点で、第四実施形態とは異なっている。
【0103】
その後、図4に示すように、変換処理(S2)が実行されることにより、取得部10によって取得された電気物理量が、変換部11によって所定の演算値へと変換される。次に、入力処理(S3)が実行されることにより、変換部11によって変換された演算値が、学習済みモデル43に対して入力パラメータとして入力される。これにより、学習済みモデル43が、対象物Obに関する物理量を算出する。本実施形態では、対象物Obに関する物理量として、基準面から対象物Obまでの距離(近距離に位置する対象物Ob)と、基準面に対して対象物Obが成す角度(近距離に位置する対象物Ob)と、基準面から対象物Obまでの所定の閾値以上の距離(遠距離に位置する対象物Ob)と、基準面に対して対象物Obが成す角度(遠距離に位置する対象物Ob)とがそれぞれ算出される。最後に、出力処理(S4)が実行されることにより、学習済みモデル43によって算出された対象物Obに関する物理量が、出力部14によって出力される。これにより、近接覚センサ4Hによる対象物Obの測定が終了する。
【0104】
このように、本実施形態に係る近接覚センサ4Hによれば、情報取得装置群28の中に、遠距離に位置する対象物Obの測定を行うToF式レーザーセンサ30が含まれているので、測定範囲の狭い赤外線センサ23では測定が難しい対象物Obも、僅かな受光量で測定が可能なToF式レーザーセンサ30により高精度に測定することができる。これにより、遠距離に位置する対象物Obに対してロボット2を近付けてから操作する必要がある場合でも、遠距離測定用のセンサを別途設けることなく、近接覚センサ4Hのみでロボット2による対象物Obの正確な操作が可能となる。
【0105】
(第九実施形態に係る近接覚センサの構成)
次に、本発明の第九実施形態に係る近接覚センサの構成について説明する。本実施形態の近接覚センサは、情報取得装置群にカメラを含めることで対象物Obを高精度に測定することを目的とするものである。本実施形態の近接覚センサ4Iは、図1及び図2に示すように、円形の基板7と、複数の情報取得装置8から成る情報取得装置群44と、を備えている。
【0106】
図14は、第九実施形態に係る近接覚センサ4Iの機能的な構成を示すブロック図である。近接覚センサ4Iは、情報取得装置群44と、取得部10と、特徴量抽出部45と、変換部11と、入力処理部12と、記憶部46と、出力部14と、通信部15と、通信バス16と、制御部17と、を備えている。このうち、情報取得装置群44と特徴量抽出部45と記憶部46とを除く他の構成については、第一実施形態と同様の機能を果たすため、ここでは説明を省略する。
【0107】
情報取得装置群44は、図14に示すように、赤外線センサ23と、赤外線カメラ47と、を有している。赤外線センサ23は、図に詳細は示さないが、対象物Obに対して赤外線を照射し、受光した反射光の強度に応じた光電流を発生させる。一方、赤外線カメラ47は、対象物Obに対して赤外線を照射し、その反射光を受光することにより対象物Obの画像を生成する。なお、本発明に係るカメラとしては、赤外線カメラ47に限定されず、いわゆる2次元カメラ、3次元カメラ、ToFカメラ等、従来公知の撮像装置を用いることができる。また、この赤外線カメラ47を、図1に示すカメラ3と兼用することも可能である。また、情報取得装置群44には、カメラ以外にも、超音波センサやToF式レーザーセンサ等、他の種類の情報取得装置8を含めることが可能である。
【0108】
特徴量抽出部45は、赤外線センサ23が生成した対象物Obの画像から、所定の特徴量を抽出し、その大きさに応じた電気信号を発生させる。本実施形態では、対象物Obの画像から、対象物Obの柔らかさ(例えばヤング率等)、及び対象物Obのサイズが、特徴量としてそれぞれ抽出される。なお、特徴量としては、これらに限られず、対象物Obの特性に応じて適宜選択することが可能である。
【0109】
記憶部46は、図14に示すように、各種プログラムや一時的な情報と共に、学習済みモデル48を記憶する。この学習済みモデル48は、第一実施形態の学習済みモデル20と比較して、機械学習に用いられる教師データが異なっている。すなわち、本実施形態では、情報取得装置8が発生させる電気物理量として、赤外線センサ23が発生させる光電流の値またはその演算値と、赤外線カメラ47が発生させる電気信号の値またはその演算値が用いられる。一方、対象物Obに関する物理量として、基板7上の所定の基準面から対象物Obまでの距離、基準面に対して対象物Obが成す角度に加えて、対象物Obの柔らかさ及び対象物Obのサイズが用いられる。なお、対象物Obに関する物理量は、対象物Obの柔らかさ及び対象物Obのサイズの少なくとも何れか一方を含んでいれば足りる。
【0110】
(第九実施形態に係る近接覚センサによる対象物の測定手順)
次に、本発明の第九実施形態に係る近接覚センサ4Iによる対象物Obの測定手順について説明する。本実施形態の測定手順では、図4に示すように、電気物理量取得処理(S1)と、変換処理(S2)と、入力処理(S3)と、出力処理(S4)とが実行される。
【0111】
図15は、第九実施形態に係る電気物理量取得処理(S1)の詳細な流れを示すフローチャートである。電気物理量取得処理が開始されると、第一実施形態と同様に、まず赤外線センサ23の1つが、対象物Obに対して赤外線を照射する(S37)。そして、取得部10が、当該赤外線センサ23自身から電気物理量の主値を取得する(S38)と共に、他の赤外線センサ23から電気物理量のクロストーク値を取得する(S39)。そして、図15に詳細は示さないが、全ての赤外線センサ23について、このようなステップが順次行われる。
【0112】
次に、赤外線カメラ47の1つが、対象物Obに対して赤外線を照射し(S40)、その反射光を受光することにより、対象物Obの画像を生成する(S41)。そして、特徴量抽出部45が、この画像から対象物Obの柔らかさと対象物Obのサイズとを特徴量としてそれぞれ抽出し(S42)、特徴量それぞれの大きさに応じた電気信号をそれぞれ発生させる。取得部10は、これら電気信号を、電気物理量の主値としてそれぞれ取得する(S43)。またこの時、他の赤外線カメラ47も、対象物Obから反射光をそれぞれ受光し、その強度に応じた光電流をそれぞれ発生させる。取得部10は、これら光電流を、電気物理量のクロストーク値としてそれぞれ取得する(S44)。そして、図15に詳細は示さないが、全ての赤外線カメラ47について、このようなステップが順次行われる。
【0113】
その後、図4に示すように、変換処理(S2)が実行されることにより、取得部10によって取得された電気物理量が、変換部11によって所定の演算値へと変換される。次に、入力処理(S3)が実行されることにより、変換部11によって変換された演算値が、学習済みモデル48に対して入力パラメータとして入力される。これにより、学習済みモデル48が、対象物Obに関する物理量を算出する。本実施形態では、対象物Obに関する物理量として、基準面から対象物Obまでの距離と、基準面に対して対象物Obが成す角度とに加えて、対象物Obの柔らかさ及び対象物Obのサイズの少なくとも何れか一方が算出される。最後に、出力処理(S4)が実行されることにより、学習済みモデル48によって算出された対象物Obに関する物理量が、出力部14によって出力される。これにより、近接覚センサ4Iによる対象物Obの測定が終了する。
【0114】
このように、本実施形態に係る近接覚センサ4Iによれば、情報取得装置群44の中に赤外線カメラ47が含まれているので、赤外線センサ23だけでは測定が難しい対象物Obの特性を、例えば対象物Obの柔らかさや対象物Obのサイズを、赤外線カメラ47を組み合わせることにより、高精度に測定することができる。これにより、対象物Obの特性の影響を低減することにより、もしくは対象物Obの距離や角度の影響を低減することにより、ロボット2による対象物Obの正確な操作が可能となる。
【0115】
(第十実施形態に係る近接覚センサの構成)
次に、本発明の第十実施形態に係る近接覚センサの構成について説明する。本実施形態の近接覚センサは、対象物Obである生物の生体情報を高精度に測定することを目的とするものである。本実施形態の近接覚センサ4Jも、図2に示すように、円形の基板7と、基板7上に設けられた複数の情報取得装置8から成る情報取得装置群49と、を備えている。
【0116】
図16は、第十実施形態に係る近接覚センサ4Jの機能的な構成を示すブロック図である。近接覚センサ4Jは、情報取得装置群49と、取得部10と、変換部11と、入力処理部12と、記憶部51と、出力部14と、通信部15と、通信バス16と、制御部17と、を備えている。このうち、情報取得装置群49と特徴量抽出部50と記憶部51とを除く他の構成については、第一実施形態と同様の機能を果たすため、ここでは説明を省略する。
【0117】
情報取得装置群49は、図16に示すように、赤外線センサ23と、温度センサ52と、を有している。赤外線センサ23は、図に詳細は示さないが、対象物Obに対して赤外線を照射し、受光した反射光の強度に応じた光電流を発生させる。一方、温度センサ52は、対象物Obである生物から放出される赤外線エネルギーを検出することにより、当該生物の体温を測定し、その値に応じた電気信号を発生させる。
【0118】
記憶部51は、図16に示すように、各種プログラムや一時的な情報と共に、学習済みモデル53を記憶する。この学習済みモデル53は、第一実施形態の学習済みモデル20と比較して、機械学習に用いられる教師データが異なっている。すなわち、本実施形態では、情報取得装置8が発生させる電気物理量として、赤外線センサ23が発生させる光電流の値またはその演算値と、温度センサ52が発生させる電気信号の値またはその演算値が用いられる。一方、対象物Obに関する物理量として、基板7上の所定の基準面から対象物Obまでの距離、基準面に対して対象物Obが成す角度に加えて、対象物Obが行っている運動の運動強度、及び対象物Obの脱水具合が用いられる。なお、対象物Obに関する物理量は、運動強度及び脱水具合の少なくとも何れか一方を含んでいれば足りる。
【0119】
(第十実施形態に係る近接覚センサによる対象物の測定手順)
次に、本発明の第十実施形態に係る近接覚センサ4Jによる対象物Obの測定手順について説明する。本実施形態の測定手順では、図4に示すように、電気物理量取得処理(S1)と、変換処理(S2)と、入力処理(S3)と、出力処理(S4)とが実行される。
【0120】
図17は、第十実施形態に係る電気物理量取得処理(S1)の詳細な流れを示すフローチャートである。電気物理量取得処理(S1)が開始されると、第一実施形態と同様に、まず赤外線センサ23の1つが、対象物Obに対して赤外線を照射する(S45)。そして、取得部10が、当該赤外線センサ23自身から電気物理量の主値を取得する(S46)と共に、他の赤外線センサ23から電気物理量のクロストーク値を取得する(S47)。またこの時、温度センサ52も対象物Obから反射光を受光し、その体温に応じた電気信号をそれぞれ発生させる。取得部10は、これら電気信号を、電気物理量のクロストーク値としてそれぞれ取得する(S48)。そして、図17に詳細は示さないが、全ての赤外線センサ23について、このようなステップが順次行われる。
【0121】
次に、温度センサ52の1つが、対象物Obの所定部位の体温を測定し(S49)、その値に応じた電気信号を発生させる。取得部10は、この電気信号を、電気物理量の主値として取得する(S50)。そして、図17に詳細は示さないが、全ての温度センサ52について、このようなステップが順次行われる。
【0122】
その後、図4に示すように、変換処理(S2)が実行されることにより、取得部10によって取得された電気物理量が、変換部11によって所定の演算値へと変換される。次に、入力処理(S3)が実行されることにより、変換部11によって変換された演算値が、学習済みモデル53に対して入力パラメータとして入力される。これにより、学習済みモデル53が、対象物Obに関する物理量を算出する。本実施形態では、対象物Obに関する物理量として、基準面から対象物Obまでの距離と、基準面に対して対象物Obが成す角度とに加えて、対象物Obが行っている運動強度及び対象物Obの脱水具合の少なくとも何れか一方が算出される。最後に、出力処理(S4)が実行されることにより、学習済みモデル53によって算出された対象物Obに関する物理量が、出力部14によって出力される。これにより、近接覚センサ4Jによる対象物Obの測定が終了する。
【0123】
このように、本実施形態に係る近接覚センサ4Jによれば、情報取得装置群49の中に温度センサ52が含まれているので、赤外線センサ23だけでは測定が難しい生物の生体情報、例えば運動強度や脱水具合を、温度センサ52を組み合わせることにより、高精度に測定することができる。もしくは、運動強度や脱水具合から受ける影響を低減することにより、基準面から対象物Obまでの距離や基準面に対して対象物Obが成す角度を、高精度に測定することができる。
【0124】
(第十一実施形態に係る近接覚センサの構成)
次に、本発明の第十一実施形態に係る近接覚センサの構成について説明する。本実施形態の近接覚センサは、対象物Obに対する高速な接近と角度によらない優しい接触を目的とするものである。本実施形態の近接覚センサ4Kも、図2に示すように、円形の基板7と、基板7上に設けられた複数の情報取得装置8から成る情報取得装置群54と、を備えている。
【0125】
図18は、第十一実施形態に係る近接覚センサ4Kの機能的な構成を示すブロック図である。近接覚センサ4Kは、情報取得装置群54と、取得部10と、変換部11と、入力処理部12と、記憶部55と、出力部14と、通信部15と、通信バス16と、制御部17と、を備えている。このうち、情報取得装置群54と記憶部55とを除く他の構成については、第一実施形態と同様の機能を果たすため、ここでは説明を省略する。
【0126】
情報取得装置群54は、図18に示すように、赤外線センサ23と、力センサ56と、を有している。赤外線センサ23は、図に詳細は示さないが、対象物Obに対して赤外線を照射し、受光した反射光の強度に応じた光電流を発生させる。一方、力センサ56は、一方向の力の大きさを測定可能なロードセルであって、力の大きさに応じた電気信号を発生させる。
【0127】
記憶部55は、図18に示すように、各種プログラムや一時的な情報と共に、学習済みモデル57を記憶する。この学習済みモデル57は、第一実施形態の学習済みモデル20と比較して、機械学習に用いられる教師データが異なっている。すなわち、本実施形態では、情報取得装置8が発生させる電気物理量として、赤外線センサ23が発生させる光電流の値またはその演算値と、力センサ56が発生させる電気信号の値またはその演算値が用いられる。一方、対象物Obに関する物理量として、基板7上の所定の基準面から対象物Obまでの距離、基準面に対して対象物Obが成す角度に加えて、対象物Obに印加された力の角度を考慮した力の大きさが用いられる。
【0128】
(第十一実施形態に係る近接覚センサによる対象物の測定手順)
次に、本発明の第十一実施形態に係る近接覚センサ4Kによる対象物Obの測定手順について説明する。本実施形態の測定手順では、図4に示すように、電気物理量取得処理(S1)と、変換処理(S2)と、入力処理(S3)と、出力処理(S4)とが実行される。
【0129】
図19は、第十一実施形態に係る電気物理量取得処理(S1)の詳細な流れを示すフローチャートである。電気物理量取得処理(S1)が開始されると、第一実施形態と同様に、まず赤外線センサ23の1つが、対象物Obに対して赤外線を照射する(S51)。そして、取得部10が、当該赤外線センサ23自身から電気物理量の主値を取得する(S52)と共に、他の赤外線センサ23から電気物理量のクロストーク値を取得する(S53)。そして、図19に詳細は示さないが、全ての赤外線センサ23について、このようなステップが順次行われる。
【0130】
次に、力センサ56の1つが、対象物Obの所定部位に印加された力の大きさを測定し(S54)、その値に応じた電気信号を発生させる。そして、取得部10が、この電気信号を、電気物理量の主値として取得する(S55)。そして、図19に詳細は示さないが、全ての力センサ56について、このようなステップが順次行われる。
【0131】
その後、図4に示すように、変換処理(S2)が実行されることにより、取得部10によって取得された電気物理量が、変換部11によって所定の演算値へと変換される。次に、入力処理(S3)が実行されることにより、変換部11によって変換された演算値が、学習済みモデル57に対して入力パラメータとして入力される。これにより、学習済みモデル57が、対象物Obに関する物理量を算出する。本実施形態では、対象物Obに関する物理量として、基準面から対象物Obまでの距離と、基準面に対して対象物Obが成す角度とに加えて、対象物Obに印加された力の角度を考慮した力の大きさが算出される。最後に、出力処理(S4)が実行されることにより、学習済みモデル57によって算出された対象物Obに関する物理量が、出力部14によって出力される。これにより、近接覚センサ4Kによる対象物Obの測定が終了する。
【0132】
このように、本実施形態に係る近接覚センサ4Kによれば、情報取得装置群54の中に力センサ56が含まれているので、赤外線センサ23によって対象物Obが検出されるまでは対象物Obに対して高速に接近させることができ、対象物Obに接触した後は、力センサ56によって対象物Obに印加される力を測定することができる。またこの時、近接覚センサ4Kは対象物Obに印加された力の角度を考慮した力の大きさを出力するので、力が印加された方向が対象物Obに対して垂直方向でなくても、その大きさを高精度に測定することができる。これにより、ロボット2による対象物Obの正確な操作が可能となる。
【0133】
(第十二実施形態に係る近接覚センサの構成)
次に、本発明の第十二実施形態に係る近接覚センサの構成について説明する。本実施形態の近接覚センサは、光センサでは測定が難しいガラスや鏡を高精度に測定することを目的とするものである。本実施形態の近接覚センサ4Lも、図2に示すように、円形の基板7と、基板7上に設けられた複数の情報取得装置8から成る情報取得装置群58と、を備えている。
【0134】
図20は、第十二実施形態に係る近接覚センサ4Lの機能的な構成を示すブロック図である。近接覚センサ4Lは、情報取得装置群58と、取得部10と、変換部11と、入力処理部12と、記憶部59と、出力部14と、通信部15と、通信バス16と、制御部17と、を備えている。このうち、情報取得装置群58と記憶部59とを除く他の構成については、第一実施形態と同様の機能を果たすため、ここでは説明を省略する。
【0135】
情報取得装置群58は、図20に示すように、赤外線センサ23と、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)60と、を有している。赤外線センサ23は、図に詳細は示さないが、対象物Obに対して赤外線を照射し、受光した反射光の強度に応じた光電流を発生させる。一方、慣性計測装置60は、直交3軸方向の並進運動及び回転運動をそれぞれ検出し、検出結果に応じた電気信号をそれぞれ発生させる。
【0136】
記憶部59は、図20に示すように、各種プログラムや一時的な情報と共に、学習済みモデル61を記憶する。この学習済みモデル61は、第一実施形態の学習済みモデル20と比較して、機械学習に用いられる教師データが異なっている。すなわち、本実施形態では、情報取得装置8が発生させる電気物理量として、赤外線センサ23が発生させる光電流の値またはその演算値と、慣性計測装置60が発生させる電気信号の値またはその演算値が用いられる。一方、対象物Obに関する物理量として、基板7上の所定の基準面から対象物Obまでの距離と、基準面に対して対象物Obが成す角度とが用いられる。
【0137】
(第十二実施形態に係る近接覚センサによる対象物の測定手順)
次に、本発明の第十二実施形態に係る近接覚センサ4Lによる対象物Obの測定手順について説明する。本実施形態の測定手順では、図4に示すように、電気物理量取得処理(S1)と、変換処理(S2)と、入力処理(S3)と、出力処理(S4)とが実行される。
【0138】
図21は、第十二実施形態に係る電気物理量取得処理(S1)の詳細な流れを示すフローチャートである。電気物理量取得処理(S1)が開始されると、第一実施形態と同様に、まず赤外線センサ23の1つが、対象物Obに対して赤外線を照射する(S56)。そして、取得部10が、当該赤外線センサ23自身から電気物理量の主値を取得する(S57)と共に、他の赤外線センサ23から電気物理量のクロストーク値を取得する(S58)。そして、図21に詳細は示さないが、全ての赤外線センサ23について、このようなステップが順次行われる。
【0139】
次に、慣性計測装置60の1つが、対象物Obの所定部位について直交3軸方向の並進運動及び回転運動をそれぞれ測定し(S59)、その値に応じた電気信号をそれぞれ発生させる。そして、取得部10が、この電気信号を、電気物理量の主値としてそれぞれ取得する(S60)。またこの時、赤外線センサ23が、対象物Obの当該部位に対して赤外線を照射し、受光した反射光の強度に応じた光電流を発生させる。取得部10は、この光電流を、電気物理量のクロストーク値として取得する(S61)。そして、図21に詳細は示さないが、全ての慣性計測装置60について、このようなステップが順次行われる。
【0140】
その後、図4に示すように、変換処理(S2)が実行されることにより、取得部10によって取得された電気物理量が、変換部11によって所定の演算値へと変換される。次に、入力処理(S3)が実行されることにより、変換部11によって変換された演算値が、学習済みモデル61に対して入力パラメータとして入力される。これにより、学習済みモデル61が、対象物Obに関する物理量を算出する。本実施形態では、対象物Obに関する物理量として、基準面から対象物Obまでの距離と、基準面に対して対象物Obが成す角度とが算出される。最後に、出力処理(S4)が実行されることにより、学習済みモデル61によって算出された対象物Obに関する物理量が、出力部14によって出力される。これにより、近接覚センサ4Lによる対象物Obの測定が終了する。
【0141】
このように、本実施形態に係る近接覚センサ4Lによれば、情報取得装置群58の中に慣性計測装置60が含まれているので、光センサでは測定が難しいガラスや鏡を高精度に測定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明に係る近接覚センサは、ロボットハンド以外の産業機械に対しても装備が可能である。
【符号の説明】
【0143】
1 ロボットシステム
2 ロボット
3 カメラ
6 ロボットハンド
8 情報取得装置
18 第一赤外線センサ
19 第二赤外線センサ
24 超音波センサ
30 ToF式レーザーセンサ
36 静電容量センサ
40 ホールセンサ
52 温度センサ
56 力センサ
60 慣性計測装置
4A,4B,4C,4D,4E,4F,4G,4H,4I,4J,4K,4L 近接覚センサ
9,21,28,34,38,44,49,54,58 情報取得装置群
20,25,27,31,33,37,41,43,48,53,57,61 学習済みモデル
Ob 対象物

図1
図2
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