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  • 特開-破砕処理装置 図1
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  • 特開-破砕処理装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146639
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】破砕処理装置
(51)【国際特許分類】
   B02C 23/02 20060101AFI20241004BHJP
   B65G 11/00 20060101ALI20241004BHJP
   B65G 11/20 20060101ALI20241004BHJP
   B02C 13/18 20060101ALN20241004BHJP
   B02C 13/286 20060101ALN20241004BHJP
【FI】
B02C23/02
B65G11/00 B
B65G11/20 Z
B02C13/18
B02C13/286
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059664
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000237466
【氏名又は名称】富士車輌株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100199761
【弁理士】
【氏名又は名称】福屋 好泰
(74)【代理人】
【識別番号】100182121
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 紘子
(72)【発明者】
【氏名】池下 昌輝
(72)【発明者】
【氏名】出井 安正
(72)【発明者】
【氏名】望月 安久
【テーマコード(参考)】
3F011
4D065
4D067
【Fターム(参考)】
3F011AA00
3F011BA04
3F011BC08
4D065BB20
4D065EB20
4D065ED02
4D067EE04
4D067GA18
(57)【要約】
【課題】破砕処理をスムーズに行うことが可能な破砕処理装置を提供する。
【解決手段】破砕処理装置10は、物品を投入するための投入口40aが設けられた破砕ユニット40と、投入口40aに物品を投下する排出位置Pまで物品を搬送する搬送ユニット20と、破砕ユニット20内で打撃が加えられることによって投入口40aから飛び出した破砕片が搬送ユニット40に進入するのを規制する跳ね返り抑制部60とを備える。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を投入するための投入口が設けられている破砕ユニットと、
前記投入口の上方に位置する排出位置まで物品を搬送する搬送ユニットと、
前記破砕ユニット内で打撃が加えられることによって前記投入口から飛び出した物品の破砕片が前記搬送ユニットに進入するのを抑制する跳ね返り抑制部と、
を備える破砕処理装置。
【請求項2】
前記跳ね返り抑制部は、前記排出位置から前記投入口に至る経路を遮るように吊り下げられたチェーンを含む、
請求項1に記載の破砕処理装置。
【請求項3】
前記跳ね返り抑制部は、前記チェーンよりも前記排出位置側に配置され前記経路を遮るように吊り下げられたシート材を含む、
請求項2に記載の破砕処理装置。
【請求項4】
前記跳ね返り抑制部は、上下方向の位置を調節可能に構成されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の破砕処理装置。
【請求項5】
前記跳ね返り抑制部は、着脱可能に取り付けられている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の破砕処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は破砕処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコンや扇風機などの電化製品を含む物品を破砕することにより、鉄や、非鉄金属、プラスチック類などを破砕片とすることで素材ごとに分離する破砕処理装置が開発されている。このような破砕処理装置では、物品を破砕する破砕ユニットと、破砕ユニットに物品を投入するために例えばエプロンコンベアなどで構成される搬送ユニットを備える。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数のロータを重ね合わせた状態で回転可能に構成されるとともに各ロータに軸支された打撃部材が同ロータの回転に伴ってロータの径方向外側に突き出すように配置された回転構造体とを含み、上部に設けられた投入口から破砕対象物である物品を投入するように構成された破砕ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-109114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の破砕処理装置の一部を構成する破砕ユニットでは、物品に打撃が加えられたときに物品が跳ね返って投入口から搬送ユニットの方に飛び出してしまう場合がある。このように物品が投入口から搬送ユニットの方に飛び出してしまうと飛び出した物品を破砕ユニットに再度投入する必要が生じるため破砕処理をスムーズに行うことができないという問題がある。
【0006】
本発明は、破砕処理をスムーズに行うことが可能な破砕処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の破砕処理装置は、物品を投入するための投入口が設けられている破砕ユニットと、投入口の上方に位置する排出位置まで物品を搬送する搬送ユニットと、破砕ユニット内で打撃が加えられることによって投入口から飛び出した物品の破砕片が搬送ユニットに進入するのを抑制する跳ね返り抑制部と、を備えるものである。
【0008】
本発明の破砕処理装置において、跳ね返り抑制部は、排出位置から投入口に至る経路を遮るように吊り下げられたチェーンを含んでもよい。
【0009】
本発明の破砕処理装置において、チェーンよりも排出位置側に配置され経路を遮るように吊り下げられたシート材を含んでもよい。
【0010】
本発明の破砕処理装置において、跳ね返り抑制部は、上下方向の位置を調節可能に構成してもよい。
【0011】
本発明の破砕処理装置において、跳ね返り抑制部は、着脱可能に取り付けられてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の破砕処理装置によれば、破砕ユニット内から飛び出した物品の破砕片が搬送ユニットに進入するのを抑制することができる。このため、破砕処理をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態である破砕処理装置の外観を示す図である。
図2図1に示す破砕処理装置における搬送ユニットの排出位置周辺の構成と破砕ユニットの構成を模式的に示す図である。
図3図3(a)は図2に示すA方向から見たときの跳ね返り抑制部の構成を示す図であり、図3(b)は図2に示すB方向から見たときの跳ね返り抑制部の構成を示す図である。
図4図4(a)は搬送ユニットから物品が投入口に向かって投入されるときの状態を模式的に示す図である。図4(b)は破砕ユニットで破砕された物品の破砕片が跳ね返ったときに跳ね返り抑制部に衝突して投入口に向かって落下する状態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態である破砕処理装置10について、図面を参照しながら説明する。以下の説明において、X方向は水平方向である長手方向Xを示し、Y方向は幅方向Yを示し、Z方向は上下方向Zを示すものとする。図1は、本発明の一実施形態である破砕処理装置10の外観構成を示す図である。また、図2は、図1に示す破砕処理装置10における搬送ユニット20の排出位置P周辺の構成と排出位置Pの下方に位置する破砕ユニット40の構成を模式的に示す図である。図2において、カバー部50の図示を一部省略するとともに断面ハッチングを一部省略して示している。また、煩雑な図示を避けるためコンベアチェーンCHを破線で示し、駆動スプロケットSPを1点鎖線で示している。
【0015】
図1および図2に示すように、破砕処理装置10は、パソコンや扇風機などの電化製品を含む物品を破砕する機能を有する。この破砕処理装置10は、物品を床FLとほぼ同じ上下方向位置に設置された投入口21から破砕ユニット40の直上方の排出位置Pまで搬送する搬送ユニット20と、搬送ユニット20を介して搬送される物品を破砕する破砕ユニット40と、搬送ユニット20によって排出位置Pまで搬送された物品を破砕ユニット40の投入口40aまで落下移動させるためのカバー部50とを備える。このカバー部50には、後段にて詳述する破砕片の跳ね返りを抑制する跳ね返り抑制部60が含まれている。
【0016】
搬送ユニット20は、エプロンコンベアであり、床FLに設置された投入口21から破砕ユニット40の直上方に位置する排出位置P(図2参照)まで斜め上方に物品を傾斜搬送する機能を有する無端搬送体23を含む装置本体22と、装置本体22を支持する複数の支持部24a,24b,24c,…(以下、特に区別する必要がない場合には適宜「支持部24」と表記)から構成される。
【0017】
図1および図2に示すように、装置本体22に含まれる無端搬送体23は、床FLに位置する投入口21側の端部22aと破砕ユニット40の直上方側端部22bとに各々従動スプロケット(不図示)と駆動スプロケットSPを有しており、両スプロケットに巻き掛けられた無端状のコンベアチェーンCH1,CH2,CH3,…がガイドレール(不図示)に沿って循環移動するように構成されている。
【0018】
各コンベアチェーンCH1,CH2,CH3,…は同一構成を具備するため、以下の説明において特に区別する必要がない場合は「コンベアチェーンCH」と適宜表記する。また、上述したコンベアチェーンCHおよび駆動スプロケットSP,従動スプロケットと同一構成を具備するコンベアチェーン(不図示)、駆動スプロケット(不図示)、従動スプロケット(不図示)がコンベアチェーンCHと幅方向Yにおいて対向するように配置されている。
【0019】
図2に示すように、受板(エプロン)APは、細長い鋼板等により形成された板状部材であり、上述したコンベアチェーンCHおよび同チェーンCHに対向配置されたコンベアチェーンに両端部が各々取り付けられている。受板APには、搬送中に物品が移動するのを抑制するために仕切り板Tが立設している。
【0020】
上述のように、無端状に連結された両コンベアチェーンの各々に受板APが架設され無端状に連なることにより物品が載置される搬送路面が構成される。
【0021】
図2に示すように、破砕ユニット40は、上部に設けられた投入口40aから投入される物品を破砕する機能を有する竪型破砕機である。破砕ユニット40は、下方に向かって幅が狭くなるように形成され、すり鉢状の外観を呈する筐体42と、筐体42内に格納された回転構造体44とを備える。
【0022】
この回転構造体44は、中心軸まわりに回転可能に支持されており、複数の略円盤状の外観を呈するロータR1,R2,R3,…(以下、特に区別する必要がない場合には「ロータR」と適宜表記)を重ねて構成されるとともに各ロータRに打撃部材H1,H2,H3,・・・(以下、特に区別する必要がない場合には「打撃部材H」と適宜表記)が各々回転自在に取り付けられている。そして、回転構造体44が回転駆動された状態で上部の投入口40aから物品が投入されると打撃部材Hの打撃によって破砕されつつ下方に設けられた排出口から破砕片が排出されるように構成されている。
【0023】
図2に示すように、カバー部50は、支持部24上部に設置されており、排出位置P周辺の搬送ユニット20を囲繞するように構成されている。カバー部50に含まれる跳ね返り抑制部60は、搬送ユニット20の排出位置Pと破砕ユニット40の投入口40aの間に配置されている。より詳しくは、跳ね返り抑制部60は、排出位置Pから投入口40aに至る物品の落下経路において排出位置Pに近接する位置に配置されている。
【0024】
また、カバー部50には、排出位置Pの直下方に排出位置Pから投下される物品が破砕ユニット40の投入口40aに向かって落下するように物品を滑らせつつ案内する機能を有するシューター52が設けられている。このシューター52は、板金などで構成された板状の部材である。
【0025】
図3(a)は図2に示すA方向から見た場合における跳ね返り抑制部60の構成を示す図であり、図3(b)は図2に示すB方向から見た場合における跳ね返り抑制部60の構成を示す図である。
【0026】
図3(a)および図3(b)に示すように、跳ね返り抑制部60は、排出位置P側に配置されたシート材62と投入口40a側に配置された複数本のチェーン64a,64b,64c,…(以下、特に区別する必要がない場合は「チェーン64」と適宜表記)と、シート材62および各チェーン64の上端部をカバー部50の上部50Tに設けられたスリット状の貫通孔50Hからカバー部50内に吊り下げるための固定部66とを備える。
【0027】
このシート材62は、ゴムなどの樹脂製部材により構成され、切り込み62a,62b,62c,62dが上下方向Zに沿って下端側から中央部にかけて設けられている。各切込み62a~62dは、ほぼ等間隔となるように設けられ、排出位置Pから投入口40aに至る物品の落下経路を遮るように吊り下げられている。このように切り込み62a~62dを設けることにより、搬送ユニット20における排出位置Pに到達した物品が落下経路に沿って落下するときにシート材62を押しのけやすくしている。
【0028】
固定部66は、カバー部50の上部50Tに取り付けられた2つのブラケット67,68を含み、両ブラケット67,68の間にシート材62の上端部をボルトおよびナットを用いて締め付けて挟み込むことにより着脱可能な状態でシート材62を固定している。このため、シート材62の交換を行う場合にはボルトを緩めることによりシート材62をブラケット67,68から取り外して容易に交換することができる。
【0029】
また、両ブラケット67,68がシート材62を挟み込んで固定している位置よりも上方で、押さえ部材69(図2参照)がブラケット67との間にシート材62の上端部を挟み込んだ状態でボルトおよびナットにより締め付けることによりシート材62をブラケット67に取り付けて固定している。このように、シート材62は、ブラケット67に対して上下2か所で各々ボルトを用いて着脱可能に固定されている。
【0030】
このため、シート材62の交換を行う場合にはボルトを緩めることによりシート材62をブラケット67,68および押さえ部材69から取り外すことで容易に交換することができる。
【0031】
なお、本実施形態では、両ブラケット67,68の間に挟み込むシート材62の位置を上端部としているが、両ブラケット67,68の間に挟み込むシート材62の上下方向位置を変更してもよい。これにより、破砕片の飛散具合などに応じて落下経路に吊り下げられるシート材62の上下方向Zの長さを調節できる。
【0032】
本実施形態では、シート材62のみ着脱可能にカバー部50に取り付ける例を挙げて説明しているが、複数本のチェーン64についても例えば、上述したブラケット68にボルト等を用いて係合可能な部分を設けて取り付けるようにしてもよいし、ラッチ付きフックなど外れ止め機能を有する係合部をブラケット68に設けて各チェーン64を吊り下げるようにしてもよい。これらの場合には、係合部に対してチェーン64を係合させる上下方向Zの位置を変更することによりチェーン64の上下方向位置を調節することが可能となる。
【0033】
複数本のチェーン64は、シート材62を間に挟んで搬送ユニット20と対向するように幅方向Yに沿って等間隔で設置されている。各チェーン64は、上端をブラケット68に連結された状態でカバー部50内に吊り下げられている。
【0034】
続いて、跳ね返り抑制部60の作用について図4(a)および図4(b)を用いて説明を行う。図4(a)は、搬送ユニット20によって搬送される物品が排出位置Pから落下する直前の状態を示す図である。図4(b)は、破砕ユニット40によって破砕された物品の破砕片BPが跳ね返ったときの状態を模式的に示す図である。図4(a)および図4(b)において、コンベアチェーンCHを破線で示し、駆動スプロケットSPを1点鎖線で示している。
【0035】
図4(a)に示すように、排出位置Pより物品が下方の破砕ユニット40に向かって落下するときは、破砕ユニット40によって破砕された物品の破砕片が跳ね返されるときの速度と比較すると低速で移動しているため物品がシート材62やチェーン64に接触してもシート材62やチェーン64から大きな付勢力を受けることはない。このため、物品の付勢力によってシート材62やチェーン64を押しのけつつ物品が下方に落下することとなる。
【0036】
本実施形態では、上述したようにシート材62には4つの切り込み62a~62dを幅方向Yにおいてほぼ等間隔に設けているが、切り込みの数は3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよい。また、上下方向Zにおける切り込みの長さについても搬送対象物である物品の形状や重量等によってより長く設けることとしてもよいし、より短くなるようにしてもよい。
【0037】
一方、図4(b)に示すように、破砕ユニット40の投入口40aから破砕片BPが排出位置Pの方に飛び出してきた場合には、破砕片BPの飛散速度は上述した排出位置Pから物品が落下するときの速度と比べて比較的高速であるためチェーン64やシート材62に衝突したときに比較的大きな付勢力がチェーン64やシート材62から破砕片BPに対して作用することとなる。このため、破砕片BPは大きく減速し自重により直下方のシューター52に向かって落下する。この結果、飛び出した破砕片は、再び破砕ユニット40内に戻り破砕処理されることとなる。
【0038】
また、飛散した破砕片が比較的大きなサイズである場合も想定されるが、大きなサイズの破砕片が飛散した場合には、破砕片は最初にチェーン64に衝突することとなりチェーン64から受ける付勢力によって飛散速度を減速させつつシート材62にさらに衝突することとなる。
【0039】
このように、破砕片が比較的大きなサイズの場合においてもチェーン64およびシート材62の双方の部材によって2段階で減速することとなる。この結果、搬送ユニット20の方に破砕片が跳ね返るのを抑制することが可能となる。
【0040】
本実施形態の破砕処理装置10によれば、破砕ユニット40内から飛び出した物品の破砕片が搬送ユニット20に進入するのを抑制することができる。このため、破砕処理をスムーズに行うことができる。
【0041】
上記実施形態では、搬送ユニットとしてエプロンコンベアである搬送ユニット20を例に挙げて説明しているが、本発明はこれに限定されるものではない。搬送ユニットとして、例えば、ベルトコンベアなど他の搬送装置を備えるものとしてもよい。
【0042】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、何れかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
【符号の説明】
【0043】
10 破砕処理装置
20 搬送ユニット
40 破砕ユニット
60 跳ね返り抑制部
62 シート材
64,64a,64b,64c チェーン
66 固定部
図1
図2
図3
図4