(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146646
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】光起電システム
(51)【国際特許分類】
H02S 50/00 20140101AFI20241007BHJP
H02S 40/12 20140101ALI20241007BHJP
H02S 40/00 20140101ALI20241007BHJP
【FI】
H02S50/00
H02S40/12
H02S40/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059678
(22)【出願日】2023-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】506249347
【氏名又は名称】株式会社発明屋
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 謙治
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251JA03
5F251JA05
5F251JA09
5F251JA15
5F251JA27
5F251JA30
5F251KA08
5F251KA10
(57)【要約】
【課題】光起電モジュールの水没による二次災害を抑制する。鳥の糞又は雪による起電力低下を抑制する。
【解決手段】光起電モジュール10は、水没すると、その存在を周囲に報知する。これにより、感電の危険性による二次災害を抑制し得る。光起電モジュール1は、鳥を忌避するための空気振動又は雪の滑落を促進するための固体振動を、光起電モジュール10のカバーガラス側に発生させる。これにより、鳥の糞又は雪による起電力低下を抑制し得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水没した光起電モジュールが存在することを周囲に報知するための第1の振動発生部と、光起電モジュールの受光面側に振動を発生させるための第2の振動発生部と、を有することを特徴とする光起電モジュール。
【請求項2】
前記第2の振動発生部は、鳥を忌避するための空気振動を前記光起電モジュールのカバーガラス側に発生させる、請求項1の光起電モジュール。
【請求項3】
前記第2の振動発生部は、雪の滑落を促進するための固体振動を前記光起電モジュールのカバーガラス側に発生させる、請求項1の光起電モジュール。
【請求項4】
前記カバーガラスを囲むフレームを有し、
前記フレームの下端部は、前記カバーガラスの下端部の表面から前記カバーガラスの厚さ方向に突出していない、請求項3の光起電モジュール。
【請求項5】
前記第1の振動発生部及び前記第2の振動発生部は、前記光起電モジュールが出力する電力で動作する、請求項1から4のいずれかの光起電モジュール。
【請求項6】
光起電モジュールと、水没した前記光起電モジュールが存在することを周囲に報知するための第1の振動発生部と、前記光起電モジュールのカバーガラス側に振動を発生させるための第2の振動発生部と、を有し、前記第1の振動発生部及び前記第2の振動発生部は、前記光起電モジュールが出力する電力で動作することを特徴とする光起電システム。
【請求項7】
光起電モジュールに装着可能な水没報知装置であって、
水没した前記光起電モジュールが存在することを周囲に報知するための第1の振動発生部と、前記光起電モジュールのカバーガラス側に振動を発生させるための第2の振動発生部と、を有し、前記第1の振動発生部及び前記第2の振動発生部は、前記光起電モジュールが出力する電力で動作することを特徴とする付属装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光起電システムの安全性を向上させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
光起電モジュール(以下、単に「モジュール」と称す)と光起電インバータ(以下、単に「インバータ」と称す)とを有する光起電システム(以下、「PVシステム」と称す)がある。モジュールは、家屋の屋根など太陽光の当たる場所に設置される。モジュールは太陽光を受光して発電する。インバータは、モジュールで発電した直流電力を交流電力に変換する。ほとんどの場合、インバータはモジュールよりも低い位置に設置される。
【0003】
PVシステムは火力を使用しないため安全性が高いといわれる。
しかし、PVシステムが水没すると漏電や感電の危険性がある。PVシステムは、モジュールに太陽光が当たっているかぎり、モジュールにより発電し続けるからである。
【0004】
そこで、水没が発生したときにモジュールからインバータへの電力を遮断するPVシステムが提案された(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のPVシステムによれば、インバータの電力入力部における感電の危険性を低減し得る。
しかし、モジュールは、太陽光が当たっているかぎり発電し続けるため、モジュールの出力電流による感電の危険性がある。このため例えば、漂流しているモジュールや漂着・放置されているモジュールは、インバータと切り離されているか否かにかかわらず、感電の危険がある。
【0007】
したがって、PVシステムは、平常時には安全性が高い反面、モジュールが水没すると感電の危険性があり、二次被害を引き起こす可能性がある。すなわち、モジュールが設置された家屋が津波や河川の反乱などにより水没した場合、晴天の日中は感電の危険性がある。また、モジュールが設置されている可能性のある家屋やモジュールが漂着している可能性のある場所では、モジュールの存在が確認されていなくても慎重に作業を行う必要がある。このため、避難、救助、復旧作業、等が遅れてしまう可能性がある。
【0008】
本発明はモジュールの水没による二次災害を抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態のモジュールは、水没したモジュールが存在することを周囲に報知するための第1の振動発生部と、モジュールのカバーガラス側に振動を発生させるための第2の振動発生部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
一実施形態のモジュールは、水没したモジュールが存在することを周囲に報知することにより二次災害を抑制し得る。
また、一実施形態のモジュールは、受光面側に振動を発生させることにより受光面への鳥の糞又は雪の付着を抑制し、もって起電力低下を抑制し得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態のPVシステムの概念図である。
【
図2】第1実施形態の水没報知装置の概念図である。
【
図3】第1実施形態の検知部の概念図である。(a)は非水没時の状態を示す図である。(b)は水没時の状態を示す図である。
【
図4】第2実施形態のPVシステムの概念図である。
【
図5】第2実施形態の水没報知装置の概念図である。
【
図6】第3実施形態のPVシステムの概念図である。
【
図7】第3実施形態の媒介装置の第1の概念図である。
【
図8】第3実施形態の検知部の概念図である。(a)は非水没時の状態を示す図である。(b)は水没時の状態を示す図である。
【
図9】第3実施形態の媒介装置の第2の概念図である。
【
図10】第4実施形態のPVシステムの概念図である。
【
図11】第5実施形態のPVシステムの概念図である。
【
図12】第6実施形態のPVシステムの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
[第1実施形態]
[構成]
図1に示すように、第1実施形態のPVシステム1は、モジュール10と、接続箱20と、インバータ30と、を有する。
モジュール10は、複数の光起電セル(以下。「PVセル」と称す)10cと、PVセル10cの受光面を覆うカバーガラス10gと、PVセル10cの裏面を覆うバックシート(不図示)と、これらを保持するフレーム10fと、を有する。カバーガラス10gは、モジュール10のPVセル10cの受光面を覆う透明な板状の保護部材である。カバーガラス10gは、文字通りのガラスである必要はなく、ガラスと同等の光透過度を有する板状の保護部材(例えば、樹脂板)であってもよい。
【0014】
モジュール10は一対の出力端子11を有する。接続箱20は一対の入力端子21と一対の出力端子22とを有する。インバータ30は一対の入力端子31と一対の出力端子32とを有する。モジュール10の出力端子11は、ケーブル80を介して接続箱20の入力端子21に接続されている。接続箱20の出力端子22は、ケーブル80を介してインバータ30の入力端子31に接続されている。インバータ30の一対の出力端子32はケーブル(不図示)を介して受電設備(不図示)に接続されている。モジュール10は出力端子11から直流電力を出力する。接続箱20は、モジュール10が出力する直流電力を集電し、インバータ30に供給する。インバータ30は、モジュール10から接続箱20を介して供給される直流電力を交流電力に変換し、受電設備(不図示)に供給する。
【0015】
モジュール10は、水没報知装置40を備える。水没報知装置40は、水没したモジュール10が存在することを周囲に報知するための付属装置である。ここで、水没とは、モジュール10の全体又は一部が水没したことを意味する。また、周囲とは、モジュール10の近くの領域(例えば、モジュール10から数メートル以内の領域)、モジュール10の近くにいる人(例えば、モジュール10から数メートル以内の距離にいる人)、水没したモジュール10の出力電流による感電の危険性のある人、水没したモジュール10の近くにいる人、等を意味する。これらの人には、例えば、モジュール10が設置された家屋などから避難する人、モジュール10が設置された家屋などから人やペットの救助を行う人、モジュール10が設置された家屋などを含む領域で復旧作業を行う人、モジュール10が設置された家屋などを含む領域で捜索作業を行う人、等が含まれる。
【0016】
水没報知装置40は耐水性である。水没報知装置40は、モジュール10が出力する直流電力を用いて動作する。水没報知装置40は、
図2に示すように、検知部41と報知部42と鳥忌避部43とを有する。
図1には、水没報知装置40がモジュール10の下端部に設けられているが、これは説明の便宜のためであり、水没報知装置40の設置位置は任意である。検知部41、報知部42及び鳥忌避部43は、互いに異なる位置に設けられてもよい。
【0017】
検知部41は、モジュール10が水没したことを検知するための構成要素である。モジュール10が水没したことを検知する方法は任意である。
図3に例示する検知部41は、一対の電極411、412を有する。電極411、412は、例えばモジュール10の背面(下面)又はその近傍に設けられる。
図3(a)に示すように、通常時(非水没時)には、電極411、412間は空気Aにより絶縁されている。一方、
図3(b)に示すように、水没時には、両電極411、412間は水Wにより短絡する。矢印Cは、短絡により両電極411、412間に流れる電流を表している。検知部41は、両電極411、412間の短絡をモジュール10の水没として検知する。なお、両電極411、412間の距離は、両電極411、412が同時に水没すること以外の原因、たとえば通常の雨量の降雨によって、短絡しない距離である。
【0018】
報知部42は、水没したモジュール10が存在することを周囲に報知するための構成要素である。報知部42は、検知部41により水没が検知されると(
図3の例では、両電極411、412間が短絡すると)、水没したモジュール10が存在することを周囲に報知する。
【0019】
報知部42は、
図2に示すように、報知振動発生装置(第1の振動発生部)421を有する。報知振動発生装置421の構成例として、スピーカ421a、バイブレータ421b、等を備えた構成を挙げることができる。スピーカ421aは、警報音(空気振動)を発生する手段である。警報音を発生することにより、水没したモジュール10の存在を周囲に聴覚的に報知できる。また、警報音として、水没したモジュール10による感電の危険性があることを報知するための音声メッセージをスピーカから出力することにより、感電の危険性をより明確に周囲に報知し注意を促すことができる。音声メッセージには、それが放音されている場所すなわち、水没したモジュール10に近づかないように促すメッセージ(例えば、「感電!危険!近づかないで!感電!危険!近づかないで!・・・」、「水没した太陽光パネルがあります。感電の危険があります。近づかないでください」、等)が含まれる。バイブレータ421bは、モジュール10そのものを振動(固体振動)させる手段である。モジュール10そのものを振動させることにより、水没したモジュール10の存在を周囲に視覚的に報知できる。例えば、モジュール10の振動により水面に一定周期で波紋が発生することにより、水没したモジュール10の存在を報知し注意を促すことができる。また、モジュール10の振動に起因して可聴音が発生することにより、水没したモジュール10の存在を聴覚的に報知し注意を促すことができる。
【0020】
報知部42を作動させる態様は任意である。例えば、報知部42の非作動/作動を切り替える切替手段として、公知の常開接点装置を使用することができる。常開接点装置は、固定接点と、固定接点に対して接離可能な可動接点と、を有する。常開接点装置は報知部42への電力供給路に設けられる。常開接点装置は通常時(非水没時)には開いた状態を維持し、報知部42への電力の供給を遮断している。一方、検知部41の両電極411、412間が短絡すると、そのことをトリガとして、常開接点装置は閉じる。これにより、報知部42に電力が供給される。電力が供給されることにより、報知部42は作動し、水没したモジュール10が存在することを周囲に報知する。
【0021】
また、
図3に例示する一対の電極411、412自体を、報知部42の非作動/作動を切り替える切替手段として使用することもできる。この場合、両電極411、412は、報知部42への電力供給路に設けられ、両電極411、412間が短絡することにより報知部42に電力が供給される。電力が供給されることにより、報知部42は作動し、水没したモジュール10が存在することを周囲に報知する。
【0022】
鳥忌避部43は、カラスなど害鳥がモジュール10に近寄らないようにするための構成要素である。鳥忌避部43は、
図2に示すように、忌避振動発生装置(第2の振動発生部)431を有する。忌避振動発生装置431は、鳥が嫌う周波数の空気振動をモジュール10の少なくともカバーガラス10g側に発生させるための構成要素である。
【0023】
忌避振動発生装置431の構成例として、所定範囲へ向けて超音波を発生可能なスピーカ(パラメトリックスピーカ)431aと、このスピーカ431aから超音波を発生させる振動制御装置431bと、を有する構成を挙げることができる。振動制御装置431bは、例えば、追払音生成部(不図示)と、超音波変調部(不図示)と、駆動部(不図示)と、を備える。振動制御装置431bの機能は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサが所定のプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。追払音生成部は、可聴周波数(鳥類に聞こえる周波数)の追払音信号を発生させる。超音波変調部は、追払音生成部から出力された追払音信号を超音波変調する。駆動部は、超音波変調部から出力された超音波変調された追払音信号によってスピーカを駆動して、スピーカから超音波(聞こえない周波数の空気振動)を発生させる。スピーカから所定方向へ向けて放出された超音波は、空気の粘性等によって鈍(なま)され、超音波に含まれていた振幅成分が自己変調(復調)される。すなわち、スピーカから所定方向へ放出された超音波が空気中で可聴周波数(鳥類に聞こえる周波数)の追払音に変調される。その結果、スピーカが向けられた所定範囲において可聴周波数(鳥類に聞こえる周波数)の追払音が再生される。スピーカが向けられた所定範囲とは、モジュール10のカバーガラスの上方を含む範囲である。
【0024】
[作用]
上記のように構成された第1実施形態のPVシステム1、モジュール10及び水没報知装置40は、モジュール10が水没すると、水没したモジュール10が存在することを周囲に報知する。
また、上記のように構成された第1実施形態のPVシステム1、モジュール10及び水没報知装置40は、鳥が嫌う周波数の空気振動をモジュール10の少なくともカバーガラス側に発生させる。
【0025】
[効果]
上記のように作用する第1実施形態のPVシステム1、モジュール10及び水没報知装置40によれば、水没したモジュール10の存在を周囲に報知して注意を促し、感電の危険性による二次災害を抑制し得る。水没したモジュール10の存在が周囲に報知されることで、水没したモジュール10の周囲にいる者は、感電しないように注意しつつ、避難、救助、復旧作業、等を行うことができる。
【0026】
また、上記のように作用する第1実施形態のPVシステム1、モジュール10及び水没報知装置40によれば、鳥が嫌う周波数の空気振動をモジュール10のカバーガラス10g側に発生させて、カラスなど害鳥がモジュール10及びその上方に近寄らないようにすることができる。これにより、モジュール10のカバーガラス10gへの鳥の糞の付着を抑制し、受光量低下に伴うPVシステム1の起電力低下を抑制し得る。また、カラスがモジュール10及びその上方に近寄らないようにすることで、モジュール10に対するカラスの悪戯(石置き、石落とし、塵置き、等)を抑制し、モジュール10の損傷(ガラス割れなど)を抑制し得る。
【0027】
このように、第1実施形態の水没報知装置40は、モジュール10の水没時には、水没したモジュール10の存在を周囲に報知するための水没報知装置として機能し、モジュール10の非水没時には、カラスなど害鳥がモジュール10に近寄らないようにするための鳥類忌避装置として機能する。このため、第1実施形態の水没報知装置40は、水没報知に特化した装置と比較して、有用性が格段に高い。モジュール10が水没する事態は滅多に起こらないが、カラスなど害鳥による被害は何時でも起こり得るからである。
【0028】
したがって、第1実施形態の水没報知装置40は、これをモジュール10に設置(装着)することへのインセンティブをユーザに与え得る。第1実施形態の水没報知装置40が設置(装着)されたモジュール10の普及率が向上することにより、PVシステム1の安全性が向上する。
【0029】
以下の説明では、既に説明した構成要素と共通の構成要素には同一符号を付してその説明を適宜省略する。
【0030】
[第2実施形態]
[構成]
図4に示すように、第2実施形態のPVシステム2のモジュール10は、水没報知装置60を備える。水没報知装置60は耐水性である。水没報知装置60は、モジュール10が出力する直流電力を用いて動作する。水没報知装置60は、
図5に示すように、検知部41と報知部42と除雪部61とを有する。
図4には、水没報知装置60がモジュール10の下端部に設けられているが、これは説明の便宜のためであり、水没報知装置60の設置位置は任意である。検知部41、報知部42及び除雪部61は、互いに異なる位置に設けられてもよい。
【0031】
除雪部61は、モジュール10のカバーガラス10gの表面に付着した雪を滑落させて排除するための構成要素である。したがって、モジュール10は傾斜(例えば、地面に対して略30度傾斜)して設置されていることを前提とする。また、モジュール10のフレーム10fの下端部10fmは、カバーガラス10gの表面から突出していないことが望ましい。モジュール10のフレーム10fの下端部10fmが、カバーガラス10gの表面から突出していると、雪が滑落し難くなるからである。
【0032】
除雪部61は、
図5に示すように、除雪振動発生装置(第2の振動発生部)62を有する。除雪振動発生装置62は、雪の滑落を促進するための固体振動を、モジュール10のカバーガラス10g側に発生させるための構成要素である。
【0033】
除雪振動発生装置62の構成例として、モジュール10に振動を与える加振部621と、加振部621の振動を制御(オンオフ)する制御部622と、を有する構成を挙げることができる。制御部622の機能は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現される。加振部621として、例えば振動モータ、圧電素子、等を使用することができる。モジュール10に振動を与えることにより、カバーガラスを振動させることができる。カバーガラス10gが振動することにより、カバーガラス10gの表面と雪との間の摩擦力が減少し、雪の滑落を促進させることができる。加振部621によりモジュール10を加振する態様は任意である。一例として、モジュール10に裏面(下面)側から振動を与える態様を挙げることができる。モジュール10に裏面側から振動を与えることにより、カバーガラス10gを厚さ方向に振動(例えば微小に波打つように振動)させることができる。これにより、カバーガラス10gの表面と雪との間の摩擦力を効果的に減少させて、雪の滑落を促進できる。
【0034】
[作用]
上記のように構成された第2実施形態のPVシステム2、モジュール10及び水没報知装置60は、モジュール10が水没すると、水没したモジュール10が存在することを周囲に報知する。
また、上記のように構成された第2実施形態のPVシステム1、モジュール10及び水没報知装置60は、雪の滑落を促進するための固体振動を、モジュール10のカバーガラス10gに発生させる。
【0035】
[効果]
上記のように作用する第2実施形態のPVシステム2、モジュール10及び水没報知装置60によれば、水没したモジュール10の存在を周囲に報知して注意を促し、感電の危険性による二次災害を抑制し得る。水没したモジュール10の存在が周囲に報知されることで、感電しないように注意しつつ、避難、救助、復旧作業、等を行うことができる。
【0036】
また、上記のように作用する第2実施形態のPVシステム2、モジュール10及び水没報知装置60によれば、雪の滑落を促進するための固体振動をモジュール10のカバーガラス10gに発生させ、カバーガラス10gの表面に付着した雪を滑落させて排除することができる。これにより、モジュール10のカバーガラス10gへの雪の付着を抑制し、受光量低下に伴うPVシステム1の起電力低下を抑制し得る。
【0037】
このように、第2実施形態の水没報知装置60は、モジュール10の水没時には、水没したモジュール10の存在を周囲に報知するための水没報知装置として機能し、積雪時には、モジュール10のカバーガラス10gの表面に付着した雪を除去するための除雪装置として機能する。このため、第2実施形態の水没報知装置60は、水没報知に特化した装置と比較して、有用性が格段に高い。モジュール10が水没する事態は滅多に起こらないが、積雪は比較的高頻度で起こり得るからである。
【0038】
したがって、第2実施形態の水没報知装置60は、これをモジュール10に設置(装着)することへのインセンティブをユーザに与え得る。第2実施形態の水没報知装置60が設置(装着)されたモジュール10の普及率が向上することにより、PVシステム1の安全性が向上する。
【0039】
[第3実施形態]
[構成]
図6に示すように、第3実施形態のPVシステム3は、モジュールストリング50と、接続箱20と、インバータ30と、を有する。モジュールストリング50は、複数のモジュール10を有する。複数のモジュール10は、電気的に互いに直列に接続されている。隣り合うモジュール10同士は、媒介装置70及び2本のケーブル80を介して電気的に接続されている。媒介装置70は、相隣接する両モジュール10を互いに電気的に直列に接続する2本のケーブル(電力経路)80を媒介する。媒介装置70は、自身が媒介する両ケーブル80の端子80a、80b間の電気的接続を、非常時(水没時)に遮断する機能(電力経路遮断機能)を有する。
【0040】
モジュール10は、水没報知装置(水没報知装置兼鳥類忌避装置)40を各々備える。水没報知装置40は、モジュール10の水没を検知すると、水没したモジュール10が存在することを周囲に報知する。
【0041】
媒介装置70は耐水性である。媒介装置70はモジュール10の背面(下面)又はその近傍に配置される。媒介装置70は、モジュール10が出力する直流電力により動作する。媒介装置70は、
図7に示すように、検知部71と通電遮断部72とを有する。検知部71は、モジュール10が水没したことを検知するための構成要素である。通電遮断部72は、相隣接するモジュール10から延びるケーブル80の端子80aと端子80bとの間の導通を遮断するための構成要素(通電遮断装置)である。
【0042】
モジュール10が水没したことを検知する態様は任意である。
図8に例示する検知部71は、一対の電極711、712を有する。電極711、712は、例えば媒介装置70の筐体73(
図9参照)の外面に設けられる。
図8(a)に示すように、通常時(非水没時)には、電極711、712間は空気Aにより絶縁されている。一方、
図8(b)に示すように、水没時には、両電極711、712間は水Wにより短絡する。矢印Cは、短絡により両電極711、712間に流れる電流を示している。検知部71は、両電極711、712間の短絡をモジュール10の水没として検知する。
【0043】
通電遮断部72は、検知部71により水没が検知されると(
図8の例では、両電極711、712間が短絡すると)、自身が媒介する両ケーブル80間の電気的接続を遮断する。その結果、互いに直列に接続された相隣接するモジュール10間の電気的接続(通電)が遮断される。
【0044】
両ケーブル80間の電気的接続を遮断する態様は任意である。例えば、
図7に示すように、通電遮断部72として常閉接点装置721を使用することができる。常閉接点装置721は、固定接点721aと、固定接点721aに対して接離可能な可動接点721bと、を有する。常閉接点装置721は両ケーブル80の端子80a、80b間の電力経路に設けられる。常閉接点装置721は通常時(非水没時)には閉じた状態を維持し、両ケーブル80間を電気的に接続している。この場合、検知部71の両電極711、712間が短絡したことをトリガとして、破線で示すように常閉接点装置721が開く。これにより、両ケーブル80間の電気的接続が遮断される。
【0045】
また、通電遮断部72として、
図9に例示するように、アクチュエータ722を使用することができる。
図9(a)に例示するように、アクチュエータ722の作動前には、ケーブル80の端子(雄端子)80aと媒介装置70の端子(雌端子)70bとは互いに接続されている。アクチュエータ722は、検知部71の両電極711、712間が短絡したことをトリガとして作動する。アクチュエータが作動すると、
図9(b)に例示するように、ケーブル80が媒介装置70から完全に切り離される。すなわち、アクチュエータ722は、媒介装置70により媒介される両ケーブル80を電気的並びに構造的(機械的)に分離する。これにより、両ケーブル80間の電気的接続がより効果的に遮断される。アクチュエータ722の動力源として例えば電磁ソレノイドを用いることができる。
【0046】
[作用]
上記のように構成された第3実施形態のPVシステム3は、モジュール10が水没すると、互いに直列に接続された相隣接するモジュール10間の電気的接続を遮断する。その結果、平常時には電気的に互いに直列に接続されていた複数のモジュール10が、各々電気的に単体のモジュール10に分離される。これにより、複数のモジュール10が電気的に互いに直列に接続されている場合と比較して出力電圧が低下し、感電事故の危険度が低減される。例えば、
図6に例示するモジュールストリング50の場合、各々電気的に単体の3台のモジュール10に分離することにより、開放電圧を理論上3分の1に低減することができる。
【0047】
また、上記のように構成された第3実施形態のPVシステム3は、モジュール10が水没すると、水没したモジュール10が存在することを周囲に報知する。
また、上記のように構成された第3実施形態のPVシステム3は、鳥が嫌う周波数の空気振動をモジュール10の少なくともカバーガラス側に発生させる。
【0048】
[効果]
上記のように作用する第3実施形態のPVシステム3によれば、水没したモジュール10の存在を周囲に報知して注意を促し、感電の危険性による二次災害(避難、救助、復旧作業、等の遅れ)を抑制し得るとともに、感電事故が発生した場合の危険度を減少させ得る。水没したモジュール10の存在が周囲に報知されることで、感電しないように注意しつつ、避難、救助、復旧作業、等を行うことができる。
【0049】
また、上記のように作用する第3実施形態のPVシステム3によれば、鳥が嫌う周波数の空気振動をモジュール10のカバーガラス10g側に発生させて、カラスなど害鳥がモジュール10及びその上方に近寄らないようにすることができる。これにより、モジュール10のカバーガラス10gへの鳥の糞の付着を抑制し、受光量低下に伴うPVシステム3の起電力低下を抑制し得る。
【0050】
[第4実施形態]
[構成]
図10に示すように、第4実施形態のPVシステム4のモジュール10は、水没報知装置(水没報知装置兼除雪装置)60を各々備える。その他の構成は、第3実施形態と同じである。
【0051】
[作用]
上記のように構成された第4実施形態のPVシステム4は、モジュール10が水没すると、互いに直列に接続された相隣接するモジュール10間の電気的接続を遮断する。その結果、平常時には電気的に互いに直列に接続されていた複数のモジュール10が、各々電気的に単体のモジュール10に分離される。これにより、複数のモジュール10が電気的に互いに直列に接続されている場合と比較して出力電圧が低下し、感電事故の危険度が低減される。
【0052】
また、上記のように構成された第4実施形態のPVシステム4は、モジュール10が水没すると、水没したモジュール10が存在することを周囲に報知する。
また、上記のように構成された第4実施形態のPVシステム4は、雪の滑落を促進するための固体振動を、モジュール10のカバーガラス10gに発生させる。
【0053】
[効果]
上記のように作用する第4実施形態のPVシステム4によれば、水没したモジュール10の存在を周囲に報知して注意を促し、感電の危険性による二次災害(避難、救助、復旧作業、等の遅れ)を抑制し得るとともに、感電事故が発生した場合の危険度を減少させ得る。水没したモジュール10の存在が周囲に報知されることで、感電しないように注意しつつ、避難、救助、復旧作業、等を行うことができる。
【0054】
また、上記のように作用する第4実施形態のPVシステム4によれば、雪の滑落を促進するための固体振動をモジュール10のカバーガラス10gに発生させ、カバーガラス10gの表面に付着した雪を滑落させて排除することができる。これにより、モジュール10のカバーガラス10gへの雪の付着を抑制し、受光量低下に伴うPVシステム1の起電力低下を抑制し得る。
【0055】
[第5実施形態]
[構成]
図11に示すように、第5実施形態のPVシステム5の水没報知装置90は、モジュール10に装着される。水没報知装置90は耐水性である。水没報知装置90は、モジュール10が出力する直流電力を用いて動作する。水没報知装置90は、モジュール10の両出力端子11に接続される一対の入力端子91と、ケーブル80がそれぞれ接続される一対の出力端子92と、太陽光パネル10が水没したことを検知するための検知部41と、太陽光パネル10が水没したことを報知するための報知部42と、カラスなど害鳥がモジュール10に近寄らないようにするための鳥忌避部43とを有する。報知部42は、太陽光パネル10が水没したことが検知部41により検知されたら、水没した太陽光パネル10が存在することを周囲に報知する。鳥忌避部43は、鳥が嫌う周波数の空気振動をモジュール10の少なくともカバーガラス10g側に発生させる。
【0056】
[作用]
上記のように構成された第5実施形態の水没報知装置90は、既存のモジュール10に後付けで装備可能である。そして、水没報知装置90は、それが装着されたモジュール10が水没した場合に、水没した当該モジュール10の存在を周囲に報知する。また、上記のように構成された第5実施形態の水没報知装置90は、それが装着されたモジュール10モジュール10の少なくともカバーガラス側に、鳥が嫌う周波数の空気振動を発生させる。
【0057】
[効果]
上記のように構成され動作する第5実施形態の水没報知装置90によれば、水没したモジュール10の存在を周囲に報知して注意を促し、感電の危険性による二次災害を抑制し得る。水没したモジュール10の存在が周囲に報知されることで、感電しないように注意しつつ、避難、救助、復旧作業、等を行うことができる。
【0058】
また、上記のように作用する第5実施形態の水没報知装置90によれば、鳥が嫌う周波数の空気振動をモジュール10のカバーガラス10g側に発生させて、カラスなど害鳥がモジュール10及びその上方に近寄らないようにすることができる。これにより、モジュール10のカバーガラス10gへの鳥の糞の付着を抑制し、受光量低下に伴うPVシステム1の起電力低下を抑制し得る。また、カラスがモジュール10及びその上方に近寄らないようにすることで、モジュール10に対するカラスの悪戯(石置き、石落とし、塵置き、等)を抑制し、モジュール10の損傷(ガラス割れなど)を抑制し得る。
【0059】
このように、第5実施形態の水没報知装置90は、モジュール10の水没時には、水没したモジュール10の存在を周囲に報知するための水没報知装置として機能し、モジュール10の非水没時には、カラスなど害鳥がモジュール10に近寄らないようにするための鳥類忌避装置として機能する。このため、第5実施形態の水没報知装置40は、水没報知に特化した装置と比較して、有用性が格段に高い。モジュール10が水没する事態は滅多に起こらないが、カラスなど害鳥による被害は何時でも起こり得るからである。
【0060】
したがって、第5実施形態の水没報知装置90は、これをモジュール10に後付けで装着することへのインセンティブをユーザに与え得る。第5実施形態の水没報知装置90の装備率が向上することにより、PVシステム1の安全性が向上する。
【0061】
[第6実施形態]
[構成]
図12に示すように、第6実施形態のPVシステム6の水没報知装置100は、モジュール10に装着される。水没報知装置100は耐水性である。水没報知装置100は、モジュール10が出力する直流電力を用いて動作する。水没報知装置100は、モジュール10の両出力端子11に接続される一対の入力端子101と、ケーブル80がそれぞれ接続される一対の出力端子102と、太陽光パネル10が水没したことを検知するための検知部41と、太陽光パネル10が水没したことを報知するための報知部42と、モジュール10からの雪の滑落を促進するための除雪部61とを有する。報知部42は、太陽光パネル10が水没したことが検知部41により検知されたら、水没した太陽光パネル10が存在することを周囲に報知する。除雪部61は、雪の滑落を促進するための固体振動を、モジュール10のカバーガラス10g側に発生させる。
【0062】
[作用]
上記のように構成された第6実施形態の水没報知装置100は、既存のモジュール10に後付けで装備可能である。そして、水没報知装置100は、それが装着されたモジュール10が水没した場合に、水没した当該モジュール10の存在を周囲に報知する。また、上記のように構成された第6実施形態の水没報知装置100は、それが装着されたモジュール10のカバーガラス10g側に、雪の滑落を促進するための固体振動を発生させる。
【0063】
[効果]
上記のように構成され動作する第6実施形態の水没報知装置100によれば、水没したモジュール10の存在を周囲に報知して注意を促し、感電の危険性による二次災害を抑制し得る。水没したモジュール10の存在が周囲に報知されることで、感電しないように注意しつつ、避難、救助、復旧作業、等を行うことができる。
【0064】
また、上記のように作用する第6実施形態の水没報知装置100によれば、雪の滑落を促進するための固体振動をモジュール10のカバーガラス10gに発生させ、カバーガラス10gの表面に付着した雪を滑落させて排除することができる。これにより、モジュール10のカバーガラス10gへの雪の付着を抑制し、受光量低下に伴うPVシステム1の起電力低下を抑制し得る。
【0065】
このように、第6実施形態の水没報知装置100は、モジュール10の水没時には、水没したモジュール10の存在を周囲に報知するための水没報知装置として機能し、積雪時には、モジュール10のカバーガラス10gの表面に付着した雪を除去するための除雪装置として機能する。このため、第6実施形態の水没報知装置100は、水没報知に特化した装置と比較して、有用性が格段に高い。モジュール10が水没する事態は滅多に起こらないが、積雪は比較的高頻度で起こり得るからである。
【0066】
したがって、第6実施形態の水没報知装置100は、これをモジュール10に後付けで装着することへのインセンティブをユーザに与え得る。第6実施形態の水没報知装置100の装備率が向上することにより、PVシステム1の安全性が向上する。
【0067】
[その他の実施形態]
【0068】
第1実施形態及び第3実施形態において、水没報知装置40は、既存のすなわち水没報知装置40を有していないモジュール10に後付けで装備されるものであってもよい。また、水没報知装置40は、モジュール10に統合されたものであってもよい。
【0069】
第2実施形態及び第4実施形態において、水没報知装置60は、既存のすなわち水没報知装置60を有していないモジュール10に後付けで装備されるものであってもよい。また、水没報知装置60は、モジュール10に統合されたものであってもよい。
【0070】
第3実施形態及び第4実施形態において、媒介装置70は、モジュール10の水没時の異常電流により溶断する電流ヒューズを有してもよい。この構成によれば、モジュール10の水没時に電流ヒューズが溶断し、太陽電池モジュールストリング50を構成するモジュール10間の電気的接続が遮断される。この場合、電流ヒューズは、検知部71及び通電遮断部72として機能する。
【0071】
第3実施形態及び第4実施形態において、媒介装置70は、モジュール10に統合されたものであってもよい。この場合、検知部71は、例えばモジュール10の背面(下面)に設けられる。また、通電遮断部72は、例えばモジュール10の出力端子11部に設けられる。そして、通電遮断部72は、モジュール10の水没が検知部71により検知されると、モジュール10の出力端子11と当該出力端子11に接続されたケーブル80との間の電気的接続を遮断する。これにより、モジュールストリング50を構成するモジュール10間の電気的接続が遮断される。この構成によれば、ケーブル80間を媒介する媒介装置70を省略し、PVシステム3、4の構成を簡略化できる。
【0072】
第3実施形態及び第4実施形態において、PVシステム3、4は、複数のモジュールストリング50を互いに並列に電気的に接続した太陽電池モジュールアレイを有するものであってもよい。
【0073】
第1実施形態及び第3実施形態では、水没報知装置40をモジュール10に設けたが、PVシステム1、3のその他の構成要素(例えば、接続箱20、ケーブル80、等)に設けてもよい。
【0074】
第2実施形態及び第4実施形態では、水没報知装置60をモジュール10に設けたが、PVシステム2、4のその他の構成要素(例えば、接続箱20、ケーブル80、等)に設けてもよい。
【0075】
第5実施形態及び第6実施形態において、水没報知装置90及び100は、通電遮断部72を有するものであってもよい。この場合、通電遮断部72は、モジュール10が水没したことが検知部41により検知されると、モジュール10の出力端子11と当該出力端子11に接続されたケーブル80との間の電気的接続を遮断する。この構成は、第3実施形態及び第4実施形態の場合のように、太陽電池モジュールストリング50を有するPVシステム3、4の水没報知装置に好適である。すなわち、通電遮断部72を有する水没報知装置90及び100を、太陽電池モジュールストリング50を構成する既存のモジュール10に装備することにより、ケーブル80とケーブル80とを媒介する媒介装置70を省略し、PVシステム5、6の構成を簡素化することができる。そして、モジュール10が水没した場合に、互いに直列に接続された相隣接するモジュール10間の電気的接続を遮断するとともに、水没したモジュール10の存在を周囲に報知することができる。
【0076】
第1実施形態、第3実施形態及び第5実施形態において、報知振動発生装置421(第1の振動発生部)及び忌避振動発生装置431(第2の振動発生部)は、同一の振動発生装置であってもよい。報知振動発生装置421及び忌避振動発生装置431を共通化することにより、すなわち一つの振動発生装置に、報知振動発生機能及び忌避振動発生機能を持たせることにより、水没報知装置40、90の構成を簡略化し得る。この場合、報知部42としてのたとえばスピーカ421aは、通常時(非水没時)には、たとえば振動制御装置431bにより制御され、鳥が嫌う周波数の空気振動をモジュール10の少なくともカバーガラス10g側に発生させる。したがって、スピーカ431aは省略可能である。
【0077】
第2実施形態、第4実施形態及び第6実施形態において、報知振動発生装置421(第1の振動発生部)及び除雪振動発生装置62(第2の振動発生部)は、同一の振動発生装置であってもよい。報知振動発生装置421及び除雪振動発生装置62を共通化することにより、すなわち一つの振動発生装置に、報知振動発生機能及び除雪振動発生機能を持たせることにより、水没報知装置60、100の構成を簡略化し得る。この場合、報知部42としてのたとえばバイブレータ421bは、通常時(非水没時)には、たとえば制御部622により制御され、雪の滑落を促進するための固体振動を、モジュール10のカバーガラス10g側に発生させる。したがって、加振部621は省略可能である。
【0078】
上記実施形態において、水没報知装置40、60、90、100の報知部42は、晴天の日中でも視認可能な輝度で発光可能な光源を有し、モジュール10が水没したときに当該光源を発光させて、水没した太陽光パネルが存在することを周囲に視覚的に報知するものであってもよい。また、報知部42は、当該光源と報知振動発生装置421とを有し、発光及び振動(空気振動、固体振動)による報知動作を行うものであってもよい。これにより、水没したモジュール10の存在をより確実に周囲に報知できる。発光の態様は任意である。発光の態様の態様として、例えば、一定輝度で発光を継続する連続発光、所定の周期で発光(点灯)と非発光(消灯)とを繰り返す点滅発光、所定の周期で発光波長を変化させる変色発光、振動のパターンに同期して発光(点灯)又は非発光(消灯)する同期発光、等を挙げることができる。
【0079】
上記実施形態において、PVシステム1、2、3、4、5、6は、家屋や地面に設置されるものであっても、移動体(車両、航空機、船舶、等)に搭載されるものであってもよい。
【0080】
上記実施形態において、モジュール10は、所謂屋根一体型太陽光パネルであってもよい。屋根一体型太陽光パネルが水没報知装置(水没報知装置40、水没報知装置60、水没報知装置90及び水没報知装置100)を備えることにより、屋根一体型太陽光パネル(モジュール10)の水没が発生した場合に、屋根一体型太陽光パネル(モジュール10)の存在を周囲に報知して、感電の危険性による二次災害を抑制し得る。
【0081】
上記実施形態において、水没報知装置(水没報知装置40、水没報知装置60、水没報知装置90及び水没報知装置100)は、必ずしも各モジュール10に一つずつ設けることを要しない。たとえば、複数のモジュール10が互いに強固に連結され、水没時に個々のモジュール1に分離しない可能性が十分に高い場合、当該複数のモジュール10に対して一つの水没報知装置を設ければよい。
【0082】
この明細書は少なくとも以下の構成を開示するものである。なお、本発明の構成要素は以下の括弧内の構成要素に限定されない。
【0083】
構成1:
水没したモジュールが存在することを周囲に報知するための水没報知装置(水没報知装置40、水没報知装置60、水没報知装置90、水没報知装置100)を備えたモジュール(モジュール10)。
この構成によれば、水没したモジュールの存在を周囲に報知して、感電の危険性による二次災害を抑制し得る。
【0084】
構成2:
構成1のモジュールにおいて、前記水没報知装置は前記モジュールが出力する電力で動作する。
この構成によれば、外部から電力供給を受けることなく或いはバッテリを装備することなく、水没したモジュールの存在を周囲に報知し得る。水没報知装置は、モジュールに太陽光が当たっているときにのみ機能し、モジュールに太陽光が当たっていなければ、モジュールの水没時であっても機能しない。しかし、太陽光が当たっていなければモジュールは発電せず、感電の危険はないので問題ない。
【0085】
構成3:
構成1又は構成2のモジュールにおいて、前記水没報知装置は、前記モジュールが水没したことを検知するための検知部(検知部41)と、水没したモジュールが存在することを周囲に報知するための報知部(報知部42)と、を有する。報知部は、モジュールが水没したことが検知部により検知されたら、水没したモジュールが存在することを周囲に報知する。
この構成によれば、モジュールの水没を検知部により検知し報知部により報知する、という簡単な構成により、モジュールの水没発生時にそのことを確実に周囲に報知できる。
【0086】
構成4:
構成3のモジュールにおいて、前記報知部は、水没したモジュールが存在することを振動により周囲に報知するための振動発生源(報知振動発生装置421、第1の振動発生部421)を有する。
この構成によれば、水没したモジュールが存在することを周囲に報知するための水没報知手段として振動発生源を採用したことにより、モジュールの水没が晴天の日中に発生した場合でも、水没したモジュールが存在することを効果的に周囲に報知することができる。すなわち、モジュールが発電するのはモジュールに太陽光が当たっているときであるので、水没報知手段として光源を採用し発光による報知を行ったとしても、その報知動作は認識され難い可能性が高いが、振動発生源により振動(音、水没報知装置の振動、モジュールの振動、水没報知装置の振動に伴う水面の振動、モジュールの振動に伴う水面の振動、モジュールに接する物の振動、水没報知装置に接する物の振動、等)を発生させて報知を行うことにより、その報知動作は認識され易くなる。音には、水没報知装置の振動音、モジュールの振動音、が含まれる。モジュールに接する物及び水没報知装置に接する物の例として、水害により流出した塵、瓦礫、木の枝葉、等を挙げることができる。
【0087】
構成5:
構成3のモジュールにおいて、前記検知部は、水没によって短絡する一対の電極を有し、前記報知部は、前記一対の電極の間が短絡したら、水没したモジュールが存在することを周囲に報知する。
この構成によれば、モジュールの水没を検知するための水没検知手段として、水没によって短絡する一対の電極を採用したことにより、水没検知手段を極めて簡単な構成で実現できる。
【0088】
構成6:
電気的に互いに直列に接続された複数のモジュールと、水没したモジュールが存在することを周囲に報知するための水没報知装置と、前記モジュールが水没したときにモジュール間の通電を遮断するための通電遮断装置(通電遮断部72)と、を有するPVシステム。
この構成によれば、PVシステムは、モジュールが水没したときに電力経路を遮断するとともに、水没したモジュールが存在することを周囲に報知する。水没したモジュールが存在することを周囲に報知して注意を促すことにより、感電の危険性による二次災害を抑制し得る。相隣接する両モジュールを互いに電気的に直列に接続する電力経路を遮断して、互いに電気的に直列に接続された複数のモジュールを有するシステムの太陽光発電による出力電圧を低下させることにより、感電事故が発生した場合の危険度を減少させ得る。
【0089】
構成7:
モジュールに装着される水没報知装置(水没報知装置40、水没報知装置60、水没報知装置90、水没報知装置100)であって、前記モジュールが水没したことを検知するための検知部と、水没したモジュールが存在することを周囲に報知するための報知部と、を有し、前記報知部は、前記モジュールが水没したことが前記検知部により検知されたら、水没したモジュールが存在することを周囲に報知する水没報知装置。水没報知装置は、例えば、モジュールの出力端子部に装着され、モジュールが出力する直流電力により動作する。
この構成によれば、水没報知装置をモジュールに装着しておくことにより、モジュールが水没した場合に、水没したモジュールの存在を周囲に報知して、感電の危険性による二次災害を抑制し得る。
【0090】
構成8:
モジュールを有するPVシステムであって、前記モジュールは、水没したモジュールが存在することを周囲に報知するための水没報知装置を備えているPVシステム(PVシステム1、PVシステム2、PVシステム3、PVシステム4、PVシステム5、PVシステム6)。
この構成によれば、モジュールが水没したときに、水没したモジュールが存在することを周囲に報知して、感電の危険性による二次災害を抑制し得る。
【0091】
構成9:
相隣接する両モジュールを互いに電気的に直列に接続する電力経路(ケーブル80)を媒介する媒介装置(媒介装置70)であって、前記モジュールが水没したことを検知するための検知部と、前記電力経路を遮断するための通電遮断部と、水没したモジュールが存在することを周囲に報知するための報知部と、を有し、前記通電遮断部は、前記モジュールが水没したことが前記検知部により検知されたら前記電力経路を遮断し、前記報知部は、前記モジュールが水没したことが前記検知部により検知されたら、水没したモジュールが存在することを周囲に報知する、媒介装置。媒介装置は、モジュールが出力する直流電力により動作する。
この構成によれば、相隣接する両モジュールを互いに電気的に直列に接続する電力経路に媒介装置を介在させておくことにより、モジュールが水没したときに電力経路を遮断するとともに、水没したモジュールが存在することを周囲に報知することができる。水没したモジュールが存在することを周囲に報知して注意を促すことにより、感電の危険性による二次災害を抑制し得る。相隣接する両モジュールを互いに電気的に直列に接続する電力経路を遮断して、互いに電気的に直列に接続された複数のモジュールを有するシステムの太陽光発電による出力電圧を低下させることにより、感電事故が発生した場合の危険度を減少させ得る。
【0092】
構成10:
水没したモジュールが存在することを周囲に報知するための第1の振動発生部(報知振動発生装置421)と、モジュールの受光面側に振動を発生させるための第2の振動発生部(忌避振動発生装置431、除雪振動発生装置62)と、を有することを特徴とするモジュール。
この構成によれば、水没したモジュールが存在することを周囲に報知することにより二次災害を抑制し得る。また、この構成によれば、受光面側に振動を発生させることにより受光面への鳥の糞又は雪の付着を抑制し、もって起電力低下を抑制し得る。
【0093】
構成11:
前記第2の振動発生部は、鳥を忌避するための空気振動(可聴音)を前記モジュールのカバーガラス(カバーガラス10g)側に発生させる、構成10のモジュール。
この構成によれば、モジュールの受光面への鳥の糞又は雪の付着を抑制し、もって起電力低下を抑制し得る。
【0094】
構成12:
前記第2の振動発生部は、雪の滑落を促進するための固体振動を前記モジュールのカバーガラス側に発生させる、構成10のモジュール。
この構成によれば、モジュールの受光面側に振動を発生させることにより受光面への雪の付着を抑制し、もって起電力低下を抑制し得る。
【0095】
構成13:
前記カバーガラスを囲むフレーム(フレーム10f)を有し、
前記フレームの下端部(下端部10fm)は、前記カバーガラスの表面から突出していない、構成12のモジュール。
この構成によれば、カバーガラスに付着した雪が滑落し易くなる。
【0096】
構成14:
前記第1の振動発生部及び前記第2の振動発生部は、前記モジュールが出力する電力で動作する、構成10から13のいずれかのモジュール。
この構成によれば、外部から電力供給を受けることなく或いはバッテリを装備することなく、水没したモジュールの存在を周囲に報知し得る。水没報知装置は、モジュールに太陽光が当たっているときにのみ機能し、モジュールに太陽光が当たっていなければ、モジュールの水没時であっても機能しない。しかし、太陽光が当たっていなければモジュールは発電せず、感電の危険はないので問題ない。
【0097】
構成15:
モジュールと、水没したモジュールが存在することを周囲に報知するための第1の振動発生部と、モジュールのカバーガラス側に振動を発生させるための第2の振動発生部と、を有し、前記第1の振動発生部及び前記第2の振動発生部は、前記モジュールが出力する電力で動作することを特徴とする光起電システム。
この構成によれば、水没したモジュールが存在することを周囲に報知することにより二次災害を抑制し得る。また、この構成によれば、受光面側に振動を発生させることにより受光面への鳥の糞又は雪の付着を抑制し、もって起電力低下を抑制し得る。
【0098】
構成16:
モジュールに装着可能な付属装置であって、
水没したモジュールが存在することを周囲に報知するための第1の振動発生部と、前記モジュールのカバーガラス側に振動を発生させるための第2の振動発生部と、を有し、前記第1の振動発生部及び前記第2の振動発生部は、前記モジュールが出力する電力で動作することを特徴とする水没報知装置。
この構成によれば、水没報知装置をモジュールに装着しておくことにより、水没したモジュールが存在することを周囲に報知することが可能になるとともに、受光面への鳥の糞又は雪の付着によるモジュールの起電力低下を抑制することが可能になる。
【符号の説明】
【0099】
1 PVシステム(光起電システム)
2 PVシステム(光起電システム)
3 PVシステム(光起電システム)
4 PVシステム(光起電システム)
5 PVシステム(光起電システム)
6 PVシステム(光起電システム)
10 モジュール(太陽光パネル)
11 出力端子
20 接続箱
21 入力端子
22 出力端子
30 パワーコンディショナ
31 入力端子
32 出力端子
40 水没報知装置(付属装置)
41 検知部
411 電極
412 電極
42 報知部
421 報知振動発生装置(第1の振動発生部)
421a スピーカ
421b バイブレータ
43 鳥忌避部
431 忌避振動発生装置(第2の振動発生部)
431a スピーカ
431b 振動制御装置
50 太陽電池モジュールストリング
60 水没報知装置(付属装置)
61 除雪部
62 除雪振動発生装置(第2の振動発生部)
621 加振部
622 制御部
70 媒介装置
71 検知部
72 通電遮断部(通電遮断装置)
711 電極
712 電極
721 常閉接点装置
721a 固定接点
721b 可動接点
722 アクチュエータ
73 筐体
80 ケーブル(電力経路)
80a 端子
80b 端子
90 水没報知装置
91 入力端子
92 出力端子
100 水没報知装置
101 入力端子
102 出力端子
A 空気
W 水