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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146658
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】吐出器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20241004BHJP
   B05B 11/10 20230101ALI20241004BHJP
   B05B 11/00 20230101ALI20241004BHJP
   F04B 9/14 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B65D47/34 200
B05B11/10 102A
B05B11/10 102E
B05B11/10 102G
B05B11/00 102A
B05B11/00 102E
B05B11/00 102G
F04B9/14 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073955
(22)【出願日】2023-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2023056958
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100165607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一成
(74)【代理人】
【識別番号】100196690
【弁理士】
【氏名又は名称】森合 透
(72)【発明者】
【氏名】砂川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏太郎
【テーマコード(参考)】
3E084
3H075
【Fターム(参考)】
3E084AA22
3E084AA24
3E084AA32
3E084AB01
3E084AB10
3E084BA02
3E084CB02
3E084CB04
3E084CC03
3E084DB12
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB17
3E084JA20
3E084KA20
3E084LC01
3E084LD22
3H075AA01
3H075BB03
3H075CC36
3H075DA30
3H075DB14
(57)【要約】
【課題】 吐出ヘッドを押下させる操作レバー及び吐出ヘッドの押下を規制するストッパ部材に対する操作性を向上させた吐出器を創出することを課題とする。
【解決手段】装着キャップ11と、ポンプ機構20と、ステム22と、吐出ヘッド23と、操作レバー24とを備え、装着キャップ11は操作レバー24を回動可能に支持する支持部15が形成されると共に支持部15の外側に設けられたストッパ部材30を有し、ストッパ部材30は、操作主面31Aと、規制部33が設けられて操作主面31Aから延設されたアーム部32とを有し、支持部15にはアーム部32が挿通された状態でその回動を許容する貫通孔15bが形成され、ストッパ部材30を支持部15に接近させてロック状態としたときには規制部33が吐出ヘッド23の押し下げを規制し且つストッパ部材30を支持部15から離間させて非ロック状態としたときには規制部33による規制が解除される構成とする。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体(2)が装着される装着キャップ(11)と、前記容器本体(2)から内容液を汲み上げるポンプ機構(20)と、該ポンプ機構(20)に対して上下動可能に設けられたステム(22)と、該ステム(22)の上端に連結されると共に前記ステム(22)を通じて汲み上げられた内容液を吐出する吐出ヘッド(23)と、該吐出ヘッド(23)を押し下げて前記ポンプ機構(20)を駆動させる操作レバー(24)と、を備えた吐出器であって、
前記装着キャップ(11)には前記操作レバー(24)を回動可能に支持する支持部(15)が形成されると共に、前記装着キャップ(11)に対して回動可能に軸支されることにより前記支持部(15)の外側に接近及び離間可能に設けられたストッパ部材(30)を有しており、
該ストッパ部材(30)は、操作主面(31A)と、規制部(33)が設けられて前記操作主面(31A)から延設されたアーム部(32)とを有し、支持部(15)には前記アーム部(32)が挿通された状態でその回動を許容する貫通孔(15b)が形成されており、
前記ストッパ部材(30)を前記支持部(15)に接近させてロック状態としたときには前記規制部(33)が前記吐出ヘッド(23)の押し下げを規制し、且つ該ストッパ部材(30)を前記支持部(15)から離間させて非ロック状態としたときには前記規制部(33)による前記規制が解除されることを特徴とする吐出器。
【請求項2】
アーム部(32)に、前記貫通孔(15b)と係止することにより、前記ストッパ部材(30)を非ロック状態に設定する第1係止凸部(32a)及びロック状態に設定する第2係止凸部(32b)が設けられている請求項1記載の吐出器。
【請求項3】
アーム部(32)は、長孔(32A)と、該長孔(32A)に沿って形成された弾性変形可能な上縁部(32B)とを有して形成されており、第1係止凸部(32a)及び第2係止凸部(32b)が前記上縁部(32B)に形成されている請求項2記載の吐出器。
【請求項4】
ストッパ部材(30)の操作主面(31A)が、非ロック状態において指の保持を可能とする保持部とされる請求項1乃至3のいずれか一項に記載の吐出器。
【請求項5】
支持部(15)に、回動するストッパ部材(30)に設けられた規制部(33)と接触したときに音を発する音出しリブ(34)が設けられている請求項1又は2に記載の吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作レバーの操作を規制するストッパ部材を備えた吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
操作レバー(トリガーレバー)を操作すると、それに連係して吐出ヘッド付きステムが押し下げられてポンプ機構が駆動され、内容液が容器本体からステムを通じて汲み上げられ、更に吐出ヘッドから吐出されるようにした吐出器において、操作レバーが誤操作されることによる内容液の液漏れ等を防止すべく、操作レバーをロックすると共にそのロック解除を行うストッパ部材を設けた構成が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-98241公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の吐出器では、ストッパ部材が小さく、しかも操作レバーと支持部との間の隠れた位置に設けられた構成であるため、そのロック及びロック解除を行う際の操作性(使用性)になお改善の余地があった。
【0005】
また従来の吐出器において内容液を吐出させるには、ロックを解除した後に操作レバーを回動可能に支持する支持部側を親指で抑えると共に、残り複数の指を使って操作レバーを握る操作を行うのが通常である。この際、支持部側では親指は保持固定されず、操作レバーを操作する度に親指が支持部に沿って摺動しやすい構成であることから、操作が安定せず、更には長時間使用し続けた場合には指に疲労が溜まりやすい(疲れやすい)という問題があった。
【0006】
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、吐出ヘッドを押下させる操作レバー及び吐出ヘッドの押下を規制するストッパ部材に対する操作性を向上させた吐出器を創出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の第1の手段は、
容器本体が装着される装着キャップと、前記容器本体から内容液を汲み上げるポンプ機構と、該ポンプ機構に対して上下動可能に設けられたステムと、該ステムの上端に連結されると共に前記ステムを通じて汲み上げられた内容液を吐出する吐出ヘッドと、該吐出ヘッドを押し下げて前記ポンプ機構を駆動させる操作レバーと、を備えた吐出器であって、
前記装着キャップには前記操作レバーを回動可能に支持する支持部が形成されると共に、前記装着キャップに対して回動可能に軸支されることにより前記支持部の外側に接近及び離間可能に設けられたストッパ部材を有しており、
該ストッパ部材は、操作主面と、規制部が設けられて前記操作主面から延設されたアーム部とを有し、支持部には前記アーム部が挿通された状態でその回動を許容する貫通孔が形成されており、
前記ストッパ部材を前記支持部に接近させてロック状態としたときには前記規制部が前記吐出ヘッドの押し下げを規制し、且つ該ストッパ部材を前記支持部から離間させて非ロック状態としたときには前記規制部による前記規制が解除されることを特徴とする、と云うものである。
【0008】
本発明の第1の手段では、ストッパ部材を支持部の外側(後方)の位置に設けることにより、ストッパ部材を従来よりも大きな構成とすることが可能となるため、操作しやすいストッパ部材とすることができる。
【0009】
また本発明の第2の手段は、上記第1の手段に、アーム部に、前記貫通孔と係止することにより、前記ストッパ部材を非ロック状態に設定する第1係止凸部及びロック状態に設定する第2係止凸部が設けられている、との手段を加えたものである。
上記手段では、ストッパ部材を非ロック状態及びロック状態に保持固定することができるため、吐出器の操作性を向上させることができる。
【0010】
また本発明の第3の手段は、上記第2の手段に、アーム部は、長孔と、該長孔に沿って形成された弾性変形可能な上縁部とを有して形成されており、第1係止凸部及び第2係止凸部が前記上縁部に形成されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、第1係止凸部及び第2係止凸部が貫通孔の内縁部を乗り越える度に上縁部が弾性変形するようになるため、ストッパ部材を時計回り方向及び反時計回り方向に回動させるという操作を行うだけで、容易に非ロック状態及びロック状態に設定することができる。
【0011】
また本発明の第4の手段は、上記第1乃至第3のいずれかの手段に、ストッパ部材の操作主面が、非ロック状態において指の保持を可能とする保持部とされる、と云うものである。
上記手段では、保持部に指(主として親指)を当接させて保持した状態で吐出器の使用ができるため、操作レバーを把持したり解放したりする往復操作を繰り返しても指が上下方向に位置ずれし難くなることから、結果として操作レバーに対する操作を安定して行うことができると共に長時間使用しても疲れにくい吐出器とすることができる。
【0012】
また本発明の第5の手段は、上記第1又は第2の手段に、支持部に、回動するストッパ部材に設けられた規制部と接触したときに音を発する音出しリブが設けられている、との手段を加えたものである。
上記手段では、使用者は、吐出器がロック状態から非ロック状態に至ったこと、又はロック状態が解除されたことを弾き音の有無で確認することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明で、ストッパ部材を従来よりも大きくできるため、操作性に優れたストッパ部材とすることができる。
またストッパ部材の操作主面を、指を保持する保持部として使用できるため、操作レバーに対する操作を安定させ且つ長時間使用しても疲れにくい吐出器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態としての吐出容器の側面図である。
図2】本発明に係る吐出器の第1実施例を示す分解斜視図である。
図3】ロック状態を示す吐出器の部分断面図である。
図4】非ロック状態を示す吐出器の部分断面図である。
図5】第2実施例としてのロック状態を示す吐出器の部分断面図である。
図6】第2実施例としての非ロック状態を示す吐出器の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の実施の形態としての吐出容器の側面図、図2は本発明に係る吐出器の第1実施例を示す分解斜視図である。また図3はロック状態を示す吐出器の部分断面図であり、図4は非ロック状態を示す吐出器の部分断面図である。
図1に示すように、吐出容器1は、液体が収容される有底筒状の容器本体2と、容器本体2の口部3に着脱可能に取り付けられた吐出器10とを備え、これらはすべて合成樹脂材料によって形成されている。
【0016】
吐出器10は、装着キャップ11と、ポンプ機構20と、汲上げ筒21と、ステム22と、吐出ヘッド23と、操作レバー24と、ストッパ部材30と、を備える。本実施例における吐出器10は、操作レバー24を把持する操作を行うことで吐出ヘッド23が下降し、内容液が吐出ヘッド23のノズル部23Aの先端から噴出されるトリガー式の液体噴出器である。容器本体2に収容される内容液としては、例えば化粧水、洗浄液、アルコール消毒液等などであるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
尚、以下においては、容器軸Oに沿ってステム22が延びる方向を上下方向とし、上下方向における容器本体2側を下方とし、吐出ヘッド23側を上方とする。また上下方向に直交する一方向を前後方向とし、上下方向及び前後方向の双方に直交する方向を左右方向とする。また前後方向のうち、吐出ヘッド23の先端から内容液が吐出される側を前方といい、その逆側を後方という。尚、図1は、吐出容器1を左方向から見た側面図であって、容器本体2を破断させてその内側の構造を示した図に相当する。
【0018】
装着キャップ11は径寸法の異なる下筒部12、中筒部13及び上筒部14を同軸にして高さ方向に重ねるようにして形成されている。中筒部13と上筒部14は一体に形成され、シリンダ20A上端部の嵌合筒に外嵌している。最も大きな径寸法から成る下筒部12は、容器本体2の口部3に螺合させることにより、容器本体2に対して着脱可能に装着されている。
【0019】
図2に示すように、中筒部13には後方側の側面から延びる支持部15が一体に形成され、また中筒部13の左右両側面には凸形状から成る軸部13aが突設されている。支持部15は上方に向かって傾斜状に延びる傾斜面15Aと左右に側面15Bを夫々有して構成され、両側面15Bの上端には凸形状から成る回転軸15aが突設され、傾斜面15Aには前後方向及び上下方向に貫通する長方形状の貫通孔15bが穿設されている。
【0020】
ポンプ機構20は、シリンダ20A及びシリンダ20A内に配設されるピストン(図示せず)などを有して構成される。ポンプ機構20は、操作レバー24を前後方向に把持とその解除による往復操作を行うことによって、容器本体2内の内容液を、汲上げ筒21の下端からステム22を通じて汲み上げ、更にはステム22の上端に連結されている吐出ヘッド23のノズル部23A先端から外部に向けて吐出可能に構成されている。尚、汲上げ筒21はシリンダ20Aから下方に向けて延びており、その下端は容器本体2の底部近傍に配置される。
【0021】
図1に示すように、ステム22は、シリンダ20Aから上方に向かって延びており、装着キャップ11の下筒部12、中筒部13及び上筒部14内を通って上方に突出している。尚、ステム22の下部は、シリンダ20A内の図示しないピストンに連係されており、ステム22が下降するとピストンもシリンダ20A内で下降するように構成されている。シリンダ20A内にはステム22及びピストンを上方に付勢する付勢部材(図示せず)が配設されており、ステム22は吐出ヘッド23と一体となって上下動可能に構成されている。
【0022】
図2に示すように、吐出ヘッド23は、ステム22の上端に接続される連結部23Bと、連結部23Bから前方に向かって延びるノズル部23Aと、連結部23Bから後方に向かって突出するヘッド後部23Cとを有して構成されている。ノズル部23Aの内部には連結部23Bを介してステム22に連通する流路(図示せず)が形成されている。
【0023】
操作レバー24は、回転軸15aを介して支持部15に回転可能に支持されている。操作レバー24の先端部が後方に向かって引かれるように操作されると、操作レバー24が回転軸15aを中心に反時計回りに回動し、このとき操作レバー24の一部がノズル部23Aを押下するため、吐出ヘッド23を下方に押し下げることが可能となっている。尚、操作レバー24には吐出ヘッド23のノズル部23Aが挿通される窓部24Aが形成されている。
【0024】
図2に示すように、ストッパ部材30は、支持部15の外側(後方の位置)において傾斜面15Aに対向配置される操作主面31A及びこの操作主面31Aの左右両側に連設された一対の操作側面31Bを有して構成される操作部31と、操作主面31Aから前方に延設された側面視略円弧状から成るアーム部32と、アーム部32の前方の端部に形成された規制部33と、を有して一体に形成されている。また操作側面31Bの下端には対向間隔を左右方向に拡幅させて成る一対の拡幅部31Cが連設されており、これら一対の拡幅部31Cには軸部13aが挿入される軸孔31aが夫々形成されている。
【0025】
アーム部32は側面に円弧状に開口する長孔32Aと、その上部に長孔32Aに沿って設けられた円弧状の上縁部32Bとを有し、上縁部32Bは長孔32Aに向かって弾性変形可能に構成されている。上縁部32Bの後方寄りの所定の位置には凸形状から成る第1係止凸部32aが突設され、また上縁部32Bの前方寄りの所定の位置にも同様の第2係止凸部32bが突設され、最も前方寄りの位置には第3係止凸部32cが突設されている。
【0026】
規制部33はアーム部32の前方側の端部に一体に形成されている。規制部33の前方の対向面はステム22の側面に倣って接触又は近接できるように略半円筒状の面で形成されている。後述するロック状態において、規制部33の上端は吐出ヘッド23のヘッド後部23Cの下面に当接し、同時に規制部33の下面は上筒部14の上端に当接可能とされている。
【0027】
ストッパ部材30は、アーム部32を後方から前方に向かって支持部15の貫通孔15bに挿通させた状態において、一対の拡幅部31Cで中筒部13を左右両側から挟み込み、各拡幅部31Cに形成されている軸孔31a内に中筒部13側の軸部13aを夫々挿設させることにより回動可能に軸支されている。ストッパ部材30は、貫通孔15bがアーム部32の回動を許容することで反時計回り方向及び時計回り方向に回動する。
【0028】
ストッパ部材30は、上端30Aを押し上げて最も反時計回り方向に回動して支持部15に接近した状態がロック状態であり、上端30Aを押し下げて最も時計回り方向に回動して支持部15から離間した状態が非ロック状態である。
【0029】
図3に示すように、ロック状態では、第1係止凸部32aが貫通孔15bの上方側の内縁部15cに係止されることでストッパ部材30が支持部15に接近した位置で保持固定されており、これによりストッパ部材30の軸部13a回りの回動が規制されている。同時に、規制部33はステム22の後方側の側面に接触又は近接し、ヘッド後部23Cの下面と上筒部14の上端との間に上下方向から挟まれるように配置される。よって、吐出ヘッド23の押し下げを規制することが可能となっている。
【0030】
またロック状態において、ストッパ部材30の上端30Aを押し下げると、図4に示すように、第1係止凸部32aが貫通孔15bの内縁部15cを時計回り方向に乗り越えて係止が解除されるため、ストッパ部材30を時計回り方向に回動させることができる。これにより、規制部33がステム22から後方に離間しステム22の上下方向への移動が可能となるため、吐出ヘッド23の押し下げ規制が解除された非ロック状態に設定することができる。
【0031】
更にストッパ部材30を時計回り方向に最後まで回動させると、第2係止凸部32bが貫通孔15bの内縁部15cを乗り越え、第2係止凸部32bと第3係止凸部32cとの間で貫通孔15bの内縁部15cを係止することが可能となる。このため、ストッパ部材30を支持部15の傾斜面15Aから離間した下方の位置で確実に保持固定することが可能となる。尚、第2係止凸部32bのみが貫通孔15bの内縁部15cに係止されることでストッパ部材30の保持固定が可能な場合には、第3係止凸部32cを有しない構成とすることができる。
【0032】
第1係止凸部32a及び第2係止凸部32bが貫通孔15bの内縁部15cを乗り越える際には、上縁部32Bが長孔32A側に弾性変形することが可能である。このため、ストッパ部材30を時計回り方向及び反時計回り方向に回動させるという操作を行うだけで、容易に非ロック状態及びロック状態に設定することが可能である。
【0033】
このように、本発明の吐出器10では、ストッパ部材30の特に操作主面31Aを支持部15の外側(後方に位置)に設けることが可能であるため、操作主面31Aを従来に比較して大きく構成することができる。よって、操作主面31Aを用いてロック状態に設定する操作及び非ロック状態に設定するロック解除操作の操作性(使用性)を向上させることができる。
【0034】
また上記吐出容器1において内容液を吐出させる操作を行うには、吐出器10のストッパ部材30をロック状態から非ロック状態に設定して行う必要があるが、上記のように非ロック状態ではストッパ部材30は支持部15の傾斜面15Aから離間させて開いた状態で保持固定されている(図4参照)。このため、使用者が吐出容器1を使用する際には、親指をストッパ部材30の操作主面31Aに当接させて保持した状態で、残りの他の複数の指を使用して操作レバー24を操作することができる。すなわち、非ロック状態において、開いた状態で保持固定されているストッパ部材30の操作主面31Aを使用者の指(主として親指)の保持固定を可能とする保持部として利用できる。よって、この状態で操作レバー24を把持したり解放したりする往復操作を繰り返しても親指が上下方向に位置ずれすることを防止することが可能となり、結果として操作レバー24に対する操作を安定させることができると共に長時間使用しても疲れにくい吐出器10とすることができる。
【0035】
図5は第2実施例としてのロック状態を示す吐出器の部分断面図、図6は第2実施例としての非ロック状態を示す吐出器の部分断面図である。
第2実施例としての吐出器10が上記第1実施例と異なる点は、ストッパ部材30を非ロック状態に設定したとき、及び非ロック状態から解除したときに弾き音が発生するようにした点にあり、その他の構成及び効果は上記第1実施例同様である。このため、以下においては、異なる点を中心に同一部材については同一符号を付して説明する。
【0036】
図5及び図6に示すように、第2実施例の吐出器10では、支持部15を構成する傾斜面15Aの内周面で且つ貫通孔15bの上縁の位置から上方に向かって延びる音出しリブ34が一体に形成されている。音出しリブ34は全体が断面略コの字状で形成されており、傾斜面15Aの内周面に連結された固定端側の基部34aと、基部34aから上方に向かって延びる本体部34b及び略コの字状に折り曲げられて下方に向く弾部34cとからなる自由端側とを有して形成されている。自由端側である本体部34b及び弾部34cは、固定端側である基部34aを支点に前後方向に揺動可能に支持されている。そして、弾部34cを前後方向に弾くと、自由端側である本体部34b及び弾部34cが振動し、音出しリブ34から弾き音を発することが可能とされている。尚、弾部34cの下端は、規制部33の上端部33aの回動軌跡上に配置されているため、上端部33aには接触可能であるが、アーム部32の上縁部32Bには接触不可に設定されている。尚、第2実施例におけるアーム部32は、側面に円弧状に開口する長孔32Aが設けられていない点において上記第1実施例と異なるが、第1実施例同様に長孔32Aを設けた構成であっても良い。
【0037】
上記同様に、使用者がストッパ部材30の上端30Aを押し下げると、アーム部32が貫通孔15b内を時計回り方向に回動し、吐出器10は図5に示すロック状態から図6に示す非ロック状態に設定される。この際、規制部33の上端部33aが、その回動軌跡上に配置されている弾部34cに接触して弾部34cを弾くため、音出しリブ34から弾き音が発生する。これにより、使用者は、吐出器10がロック状態から非ロック状態に至ったことを弾き音の有無で確認することができる。
【0038】
また非ロック状態において、使用者がストッパ部材30を押し上げ、アーム部32を反時計回り方向に回動させてロック状態に設定しようとすると、規制部33の上端部33aが弾部34cに接触して弾部34cを弾くため、上記同様に音出しリブ34から弾き音が発生する。これにより、使用者は、吐出器10が非ロック状態から解除されたことを弾き音の有無で確認することができる。
【0039】
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
例えば上記実施例では、装着キャップ11を構成する中筒部13及び上筒部14が一体に形成され、下筒部12がこれらとは別に形成された場合を示して説明したが、下筒部12、中筒部13及び上筒部14が一体に形成された構成であってもよい。
また上記実施例では、容器本体2を合成樹脂材料で形成された場合を示して説明したが、ガラス製、金属製などであってもよい。
【0040】
またストッパ部材30の操作主面31A(保持部)に親指を当接させて使用する場合を示して説明したが、操作主面31A(保持部)に親指以外の部分、例えば親指と人差し指の間の部分を添えて使用するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、操作レバーを操作することで内容液が吐出される吐出器の分野における用途展開を更に広い領域で図ることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 :吐出容器
2 :容器本体
3 :口部
10 :吐出器
11 :装着キャップ
12 :下筒部
13 :中筒部
13a :軸部
14 :上筒部
15 :支持部
15A :傾斜面
15B :側面
15a :回転軸
15b :貫通孔
15c :内縁部
20 :ポンプ機構
20A :シリンダ
21 :汲上げ筒
22 :ステム
23 :吐出ヘッド
23A :ノズル部
23B :連結部
23C :ヘッド後部
24 :操作レバー
24A :窓部
30 :ストッパ部材
30A :上端
31 :操作部
31A :操作主面
31B :操作側面
31C :拡幅部
31a :軸孔
32 :アーム部
32A :長孔
32B :上縁部
32a :第1係止凸部
32b :第2係止凸部
32c :第3係止凸部
33 :規制部
33a :上端部
34 :音出しリブ
34a :基部
34b :本体部
34c :弾部
O :容器軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6