(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146660
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】液冷放熱装置
(51)【国際特許分類】
F28F 9/02 20060101AFI20241004BHJP
F28D 1/047 20060101ALI20241004BHJP
F28F 1/02 20060101ALI20241004BHJP
F28F 1/14 20060101ALI20241004BHJP
F28F 1/24 20060101ALI20241004BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20241004BHJP
G06F 1/20 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
F28F9/02 301D
F28D1/047 C
F28F9/02 E
F28F9/02 301Z
F28F1/02 A
F28F1/14
F28F1/24
H05K7/20 M
G06F1/20 A
G06F1/20 C
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078255
(22)【出願日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】112112565
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】505446862
【氏名又は名称】▲黄▼ 崇賢
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 崇賢
【テーマコード(参考)】
3L103
5E322
【Fターム(参考)】
3L103BB19
3L103CC01
3L103CC22
3L103DD33
3L103DD43
5E322AA01
5E322AA05
5E322DA01
5E322DA04
5E322FA01
(57)【要約】
【課題】液冷放熱装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る液冷放熱装置は、液冷ヘッドと、液冷ラジエータと、液冷ヘッドと液冷ラジエータとの間に連結される輸液管とを備える。液冷ラジエータは、液体ポンプボックスと、放熱ラジエータ管と、液戻しボックスとを有する。液体ポンプボックス内は、空気遮断空間を介して熱液室と冷液室とが区画されてなり、熱液室の空間は、冷液室の空間よりも小さく形成されることで、熱液を、液体ポンプボックスを迅速に通過して放熱ラジエータ管に進入させ、液体ポンプボックス内の熱液は、蓄熱しやすく、及び熱が冷液に伝導される問題を克服する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサ上に設置するために用いられる液冷ヘッドと、前記液冷ヘッドと分離して放熱のために用いられる液冷ラジエータと、前記液冷ヘッドと前記液冷ラジエータとの間に連結される2つの輸液管とを備える液冷放熱装置であって、
前記液冷ラジエータは、金属で作製されるボックス体と、ボックス蓋とを含む液体ポンプボックスと、放熱ラジエータ管と、液戻しボックスとを有し、前記ボックス体は、底壁と、四周側壁と、開口とから一体成形されてなり、前記ボックス体の左側壁または右側壁に両列に垂直に配列される複数の並列管挿通孔が設けられ、前記放熱ラジエータ管は、両列に垂直に配列される複数の扁管と、前記扁管の上下両平面に接合される複数の放熱フィンとを有し、前記扁管は、一端が前記ボックス体の並列管挿通孔に挿入されて接合され、他端が前記液戻しボックスに挿入されて接合され、
前記ボックス体の内部に空気遮断空間を有し、前記空気遮断空間の一端が前記ボックス体の前側壁の内面に隣接し、前記空気遮断空間の他端が湾曲後に前記ボックス体の左側壁の内面または右側壁の内面に隣接すると共に、両列の前記並列管挿通孔の間の位置に位置しており、前記ボックス体の内部は、前記空気遮断空間を介して熱液入液室と冷液出液室とが区画されてなり、前記熱液入液室の空間は、前記冷液出液室の空間よりも小さく形成され、前記熱液入液室は、そのうちの一列の並列管挿通孔に連通され、前記冷液出液室は、そのうちの他列の並列管挿通孔に連通され、前記熱液入液室と前記冷液出液室とは、いずれも前記空気遮断空間と連通しないように仕切られ、前記ボックス体の前側壁には、前記熱液入液室に連通される入液管と、前記冷液出液室に連通される出液管とが設けられ、
前記空気遮断空間は、間隔をおいて配列される熱液折曲仕切板と、冷液折曲仕切板とを含み、前記熱液折曲仕切板及び前記冷液折曲仕切板は、一端がそれぞれ前記ボックス体の前側壁の内面に接合され、他端がそれぞれ前記ボックス体の左側壁の内面または右側壁の内面に接合されると共に、両列の前記並列管挿通孔の間の位置に位置しており、その底端がそれぞれ前記ボックス体の底壁の内面に接合されることで、前記空気遮断空間を前記熱液折曲仕切板と前記冷液折曲仕切板との間に位置させ、
前記ボックス蓋で前記ボックス体の開口上を覆蓋して、前記空気遮断空間、前記熱液入液室及び前記冷液出液室を密封し、前記ボックス蓋は、前記熱液折曲仕切板と前記冷液折曲仕切板との上端に密接することを特徴とする、液冷放熱装置。
【請求項2】
前記空気遮断空間は、L形のように湾曲しており、前記熱液折曲仕切板と前記冷液折曲仕切板とは、それぞれL形折曲仕切板であることを特徴とする、請求項1に記載の液冷放熱装置。
【請求項3】
前記液体ポンプボックスの前記ボックス体の内部または前記液体ポンプボックスの前記ボックス蓋の内部に設置される液体ポンプをさらに備えることを特徴とする、請求項2に記載の液冷放熱装置。
【請求項4】
前記ボックス体または前記ボックス蓋の内面から液体ポンプ基台が突設され、前記ボックス体または前記ボックス蓋の外面に前記液体ポンプ基台まで凹入する液体ポンプ取付室が形成され、前記液体ポンプ取付室の端面には、前記冷液出液室に連通される入液孔が設けられ、前記液体ポンプ取付室の側面には、前記出液管に連通される出液孔が設けられることを特徴とする、請求項3に記載の液冷放熱装置。
【請求項5】
前記放熱ラジエータ管の両列の複数の前記扁管は、水平及び垂直になるように間隔をおいて配列され、複数の前記放熱フィンの幅は、両列の複数の前記扁管の合計幅と等しく、複数の前記放熱フィンは、両列の複数の前記扁管の上下両平面を跨ぐように接合されることを特徴とする、請求項1に記載の液冷放熱装置。
【請求項6】
複数の前記放熱フィンは、垂直プレートと、その上下両端の両水平プレートとで一体成形されており、前記垂直プレート及び両前記水平プレートと両列の複数の前記扁管とは、相互に垂直方向に沿って配列されており、かつ前記垂直プレートは、前記ボックス体の一側壁と互いに平行になるよう配置されると共に、前記水平プレートを両列の複数の前記扁管の外表面に接合させ、複数の前記放熱フィン同士は、互いに緊密に寄せ集まり、前記水平プレートを相隣り合う別の前記放熱フィンの前記垂直プレートに当て止めし、前記放熱ラジエータ管の風流入端は、前記ボックス体の前側壁近傍に位置しており、前記放熱ラジエータ管の風流出端は、前記ボックス体の後側壁近傍に位置していることを特徴とする、請求項5に記載の液冷放熱装置。
【請求項7】
前記扁管の内部には、その上下両管壁を連結する熱伝導シートを有することを特徴とする、請求項5に記載の液冷放熱装置。
【請求項8】
両フィン外蓋をさらに備え、各前記フィン外蓋は、広さが前記放熱フィンの前記水平プレートが互いに並列する総面積と同等の範囲に設けられると共に、前記放熱ラジエータ管の上下両面の前記放熱フィンの前記水平プレートに接合されることを特徴とする、請求項6に記載の液冷放熱装置。
【請求項9】
少なくとも1つのファンをさらに備え、前記ファンは、ねじを介して両フィン外蓋の一端の多数個の錠止部に螺着され、前記ファンは、前記ボックス体の前側壁近傍に位置している風流入端に向けて気流を送り出すことを特徴とする、請求項7に記載の液冷放熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバーの液冷放熱の技術分野に係り、特に、サーバー(Server)内に取り付けられたそのプロセッサに対して行う放熱に適用される液冷放熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現今のサーバーのプロセッサを作動させるときに発熱しやすく、従来の空冷放熱装置では、既にニーズに不向きで選択幅を欠けており、その代わりとして冷却効率がさらに良好な液冷放熱システムが使用されている。従来の液冷放熱システムは、液冷ヘッドと、液冷ラジエータ(Radiator)と、液体ポンプと、液管とを備えることにより、一セットの密封液体循環システムを構成する。その内、液冷ラジエータは、分流ボックスと、流し戻しボックスと、分流ボックスと流し戻しボックスとの間に連結される放熱ラジエータ管とを有し、通常、分流ボックスの内部は、熱液の入液室と冷液の出液室とが区画されてなる。上記の液体ポンプを運転すると、加工液を液冷ヘッドに流過させるように促し、プロセッサを降温させて加工液が昇温されて熱液となり、この熱液は、液冷ラジエータの分流ボックスの入液室に進入した後、次に順次に一半分の放熱ラジエータ管、流し戻しボックス及び他半分の放熱ラジエータ管を経て出液室に流れ込み、この時の熱液は、既に放熱されて冷液となり、液冷ヘッドに再び流れ込んでプロセッサに対して冷却が行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の熱液は、入液室に存在するときに、金属仕切板を通して熱が出液室の冷液に伝導されることにより、冷却後の冷液が加熱されることになる。なおかつ、従来の入液室の空間は、出液室と同サイズに形成されることで、入液室に熱液を素早く通過させて放熱ラジエータ管に流し込むことができなくなり、結果として分流ボックスでの熱液の熱蓄積が起こり、続いて水冷ラジエータ全体の前部(放熱ラジエータ管の前端を含む)に熱伝導することで、放熱後の冷液が流過するときに加熱されてしまうおそれがある。そのほか、従来の放熱ラジエータ管は、多数本の扁管と、扁管の両面に結合される波浪状の放熱フィンとを有し、波浪状の放熱フィンは、扁管の表面に対して、局部的な線接触状態のみで接触し、扁管と放熱フィンとの間の熱伝導効率に影響を与え、放熱効果が低下することとなる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上述に鑑みてなされたものであり、その目的は、液冷放熱装置における液体ポンプボックスの設計を通して、液体ポンプボックスに流入させた熱液を素早く通過させて放熱ラジエータ管中に流し込んで放熱することができ、熱液の液体ポンプボックスでの蓄熱を回避すると共に、液体ポンプボックス内の空気遮断空間の設計を通して、熱液からの熱を冷液に熱伝導させることができないようにし、これにより液体ポンプボックスでの蓄熱を防止したり、液体ポンプボックスにおいて熱液から冷液への熱伝導を防止する液冷放熱装置を提供することにある。
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明の液冷放熱装置では、プロセッサ上に設置するために用いられる液冷ヘッドと、前記液冷ヘッドと分離して放熱のために用いられる液冷ラジエータと、前記液冷ヘッドと前記液冷ラジエータとの間に連結される2つの輸液管とを備える。
前記液冷ラジエータは、金属で作製されるボックス体と、ボックス蓋とを含む液体ポンプボックスと、放熱ラジエータ管と、液戻しボックスとを有し、前記ボックス体は、底壁と、四周側壁と、開口とから一体成形されてなり、前記ボックス体の左側壁または右側壁に両列に垂直に配列される複数の並列管挿通孔が設けられ、前記放熱ラジエータ管は、両列に垂直に配列される複数の扁管と、前記扁管の上下両平面に接合される複数の放熱フィンとを有し、前記扁管は、一端が前記ボックス体の並列管挿通孔に挿入されて接合され、他端が前記液戻しボックスに挿入されて接合され、前記ボックス体の内部に空気遮断空間を有し、前記空気遮断空間の一端が前記ボックス体の前側壁の内面に隣接し、前記空気遮断空間の他端が湾曲後に前記ボックス体の左側壁の内面または右側壁の内面に隣接すると共に、両列の前記並列管挿通孔の間の位置に位置している。
本発明の液冷放熱装置では、その好適な技術方案において、前記液冷ラジエータにおける液体ポンプボックスの構造設計を通して、前記液体ポンプボックス内は、前記空気遮断空間、熱液折曲仕切板と冷液折曲仕切板を利用して、熱液入液室と冷液出液室とが区画されてなり、かつ前記熱液入液室の空間は、前記冷液出液室の空間よりも小さく形成されることで、液体ポンプボックスに流入させた熱液を素早く通過させて放熱ラジエータ管中に流し込んで放熱することができ、熱液の液体ポンプボックスでの蓄熱を回避する。それと共に、前記空気遮断空間の設計を通して、前記空気遮断空間によって前記液体ポンプボックスに流入させた熱液からの熱を阻止し、冷液に熱伝導させることができないようにする。
前記熱液入液室は、そのうちの一列の並列管挿通孔に連通され、前記冷液出液室は、そのうちの他列の並列管挿通孔に連通され、前記熱液入液室と前記冷液出液室とは、いずれも前記空気遮断空間と連通しないように仕切られ、前記ボックス体の前側壁には、前記熱液入液室に連通される入液管と、前記冷液出液室に連通される出液管とが設けられ、前記空気遮断空間は、間隔をおいて配列される熱液折曲仕切板と、冷液折曲仕切板とを含み、前記熱液折曲仕切板及び前記冷液折曲仕切板は、一端がそれぞれ前記ボックス体の前側壁の内面に接合され、他端がそれぞれ前記ボックス体の左側壁の内面または右側壁の内面に接合されると共に、両列の前記並列管挿通孔の間の位置に位置しており、その底端がそれぞれ前記ボックス体の底壁の内面に接合されることで、前記空気遮断空間を前記熱液折曲仕切板と前記冷液折曲仕切板との間に位置させ、前記ボックス蓋で前記ボックス体の開口上を覆蓋して、前記空気遮断空間、前記熱液入液室及び前記冷液出液室を密封し、前記ボックス蓋は、前記熱液折曲仕切板と前記冷液折曲仕切板との上端に密接する。
【0006】
本発明の副次的な目的は、放熱ラジエータ管の両列の複数の扁管、及びその表面に溶接によって接合される放熱フィンの構造設計を通して、放熱フィンを面状の溶接によって扁管の表面に接合することで、放熱ラジエータ管の構造をさらに強固に保持することができると共に、扁管内に流通させた熱液からの熱をより速やかに放熱フィンへと伝導させる液冷放熱装置を提供することにある。
【発明の効果】
【0007】
本発明の液冷放熱装置によれば、以下の効果を得ることができる。
(一)空気遮断空間を介して熱液折曲仕切板と冷液折曲仕切板とを互いに接触させないようにし、入液室の熱液から出液室の冷液への熱伝導を阻止することができ、降温した冷液が加熱されてしまうおそれを防止して、液冷ヘッドの冷却効率を向上させることができる。
【0008】
(二)本発明の液冷放熱装置の入液室の空間を出液室よりもさらに小さくすることで、熱液を入液室に進入させた後、放熱ラジエータ管に素早く流し込んで放熱を行うことにより、熱液の液体ポンプボックスでの蓄熱を防止して、放熱効率を向上させる効果を奏することができる。
【0009】
(三)放熱ラジエータ管の改良を通して、放熱フィンと扁管との両者間の熱伝導効果を増進すると同時に、放熱フィンを利用して扁管を強固に保持するように、放熱ラジエータ管の構造強度を増大させている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の液冷放熱装置をラックマウント型サーバーに取り付ける状態を示す模式的斜視図である。
【
図2】本発明の液冷放熱装置の組合せ模式的斜視図である。
【
図3】本発明の液冷放熱装置の模式的分解斜視図である。
【
図4】本発明の液冷放熱装置の液体ポンプボックスの模式的分解斜視図である。
【
図5】本発明の液冷放熱装置の液体ポンプの模式的分解斜視図である。
【
図6】本発明の液冷放熱装置の熱液と冷液が液体ポンプボックスを流過する状態を示す模式的断面図である。
【
図7】本発明の液冷放熱装置の放熱ラジエータ管とフィン外蓋の模式的分解斜視図である。
【
図8】本発明の液冷放熱装置の放熱フィンと扁管の模式的分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態による液冷放熱装置を図面に基づいて説明する。
図1及び
図2に示すように、本発明に係る液冷放熱装置は、サーバー100内に取り付けられたプロセッサ200に対して行う放熱に適用される分離型液冷放熱システムであり、その好適な具体的な実施形態としては、プロセッサ200上に設置するために用いられる液冷ヘッド300と、液冷ヘッド300と所定距離分離して放熱のために用いられる液冷ラジエータ400と、液冷ヘッド300と液冷ラジエータ400との間に連結される2つの輸液管500とを備える。
【0012】
その内、液冷ヘッド300は、現有の装置であり、2つの輸液管500を液冷ヘッド300に連結した後、液冷ラジエータ400の冷液を輸液管500から液冷ヘッド300内に流して進入させて、プロセッサ200の熱を冷却することができ、熱交換作用を通して冷液を熱液に転換させてから、別の輸液管500から液冷ラジエータ400に向けて流し、この熱液は、液冷ラジエータ400によって放熱し、そこで降温されて冷液となる。2つの輸液管500は、プラスチック製軟質管、アクリル製硬質管または銅製管などであってもよく、冷液と熱液を輸送するために用いられる。
【0013】
図3に示すように、本発明の液冷ラジエータ400は、液体ポンプボックス10と、放熱ラジエータ管20と、液戻しボックス30とを有し、液体ポンプボックス10は、放熱に適するアルミニウム合金を採用して作製される矩形のボックス体11と、ボックス蓋12とを含み、ボックス体11は、底壁111と、四周側壁112,112´と、開口113とから一体成形されてなり、ボックス体11の左側壁または右側壁112´に両列に垂直に配列される複数の並列管挿通孔114,114´が設けられ、並列管挿通孔114,114´は、水平に延伸する細長状孔であると共に、ボックス体11の内部まで連通しており、ボックス蓋12でボックス体11の開口113上を覆蓋して、開口113を密封する。放熱ラジエータ管20は、アルミニウム合金を採用して作製され、それは、両列に垂直に配列される複数の扁管21,21´と、扁管21,21´の上下両平面に溶接によって接合される複数の放熱フィン22とを有し、扁管21,21´は、一端がボックス体11の一側の並列管挿通孔114,114´に挿入されて溶接によって接合され、他端が液戻しボックス30に挿入されて溶接によって接合される。液戻しボックス30の内部空間が遮断されることなく、熱液が放熱ラジエータ管20のうちの一列の扁管21を経由して液戻しボックス30に流れ進み、これから液戻しボックス30から放熱ラジエータ管20のうちの他列の扁管21´に向かって流れ、次に液体ポンプボックス10内に流れ戻ることになる。
【0014】
図4及び
図6に示すように、本発明のボックス体11の内部には、特に、空気遮断空間115を有するように実施され、空気遮断空間115は、一端がボックス体11の前側壁112の内面に隣接し、他端が湾曲後にボックス体11の左側壁の内面または右側壁112´の内面に隣接すると共に、両列の並列管挿通孔114,114´の間の位置に位置しており、空気遮断空間115は、下端が底壁111の内面に隣接し、そして反対の上端がボックス蓋12の内面に隣接し、このようにしてボックス体11の内部は、空気遮断空間115を介して熱液入液室116と冷液出液室117とが区画されてなり、なおかつ熱液入液室116の熱液を素早く通過させるために用いられるには、熱液入液室116の空間は、冷液出液室117の空間よりも小さく形成される必要がある。熱液入液室116は、そのうちの一列の並列管挿通孔114に連通され、冷液出液室117は、そのうちの他列の並列管挿通孔114´に連通され、熱液入液室116と冷液出液室117とは、いずれも空気遮断空間115と連通しないように仕切られる。また、ボックス体11の前側壁112には、熱液入液室116に連通される入液管40と、冷液出液室117に連通される出液管50とが設けられる。
【0015】
上記の空気遮断空間115は、好適な実施形態において、間隔をおいて配列される熱液折曲仕切板118と、冷液折曲仕切板119とを含み、熱液折曲仕切板118及び冷液折曲仕切板119は、それぞれアルミニウム合金をプレス加工して作製されるL形折曲仕切板である。それをボックス体11の内部に組み付けるときに、熱液折曲仕切板118及び冷液折曲仕切板119は、一端がそれぞれボックス体11の前側壁112の内面に溶接によって接合され、他端がそれぞれボックス体11の左側壁の内面または右側壁112´の内面に溶接によって接合され、なおかつ両列の並列管挿通孔114,114´の間の側壁112´の内面に位置しており、熱液折曲仕切板118及び冷液折曲仕切板119の底端がそれぞれボックス体11の底壁111の内面に溶接によって接合され、これにより空気遮断空間115は、熱液折曲仕切板118と冷液折曲仕切板119との間に位置しているL形湾曲空間に形成される。上記のボックス蓋12でボックス体11の開口113上を覆蓋するときと共に、空気遮断空間115、熱液入液室116及び冷液出液室117を密封することで、ボックス蓋12の内面を、熱液折曲仕切板118と冷液折曲仕切板119との上端に密接させる。
【0016】
図6に示すように、本発明において、ボックス体11は、上記の液体ポンプボックス10の空気遮断空間115、熱液折曲仕切板118及び冷液折曲仕切板119によって、熱液入液室116と冷液出液室117とが区画されてなり、熱液入液室116の空間が冷液出液室117の空間よりも小さく形成される必要がある構造設計を通して、熱液が入液管40を経由して熱液入液室116に流入した後、空間不足に起因して素早く放熱ラジエータ管20の一列の扁管21に流れ進む必要があるため、熱液を放熱ラジエータ管20に素早く流し込んで放熱を行うことにより、熱液の液体ポンプボックス10での蓄熱を防止する作用及び効果が実現される。さらに、空気遮断空間115の設計を通して、空気の熱伝導係数は2~25h(W/m2.K)だけである一方、アルミニウム合金の熱伝導係数は約130~150h(W/m2.K)であるから、熱液入液室116の熱が冷液出液室117の冷液に伝導されるのを遮断することができて、冷液が流出する前に加熱昇温されてしまうおそれを防止する。
【0017】
図3及び
図5に示すように、本発明の液体ポンプボックス10に液体ポンプ60が設けられてもよく、液体ポンプ60は、液体ポンプボックス10のボックス体11の内部またはボックス蓋12の内部に設置される。具体的な実施形態の一つにおいて、ボックス蓋12の内面から液体ポンプ基台121が突設され、ボックス蓋12の外面に液体ポンプ基台121まで凹入する液体ポンプ取付室122が形成され、液体ポンプ取付室122の端面には、冷液出液室117に連通される入液孔123が設けられ、液体ポンプ取付室122の側面には、出液管50に連通される出液孔124が設けられる。液体ポンプ60は、液体ポンプ蓋61と、モータ固定子62と、羽根車回転子63と、シールリング64とを有し、液体ポンプ蓋61は、ボックス蓋12の外面の嵌合窪み125に嵌め込まれ、液体ポンプ蓋61の外側面には、その内側面へ凹状に窪ませた環状窪み611を有し、液体ポンプ蓋61の内側面には、その外側面へ凹状に窪ませた凹孔612を有し、凹孔612と環状窪み611とが同軸心で形成される。モータ固定子62は、外側の環状窪み611中に設置されると共に、環状窪み611を密封閉止し、そして羽根車回転子63は、内側の凹孔612に設置されることで、モータ固定子62は、液体ポンプ蓋61を隔てて羽根車回転子63を液体ポンプ取付室122中に回動させるように駆動することができ(
図6を参照)、液体が密封循環システムにおいて流動するように促される。シールリング64は、液体ポンプ取付室122の開口箇所のシールリング取付部126中に設置されることで、シールリング64をシールリング取付部126と液体ポンプ蓋61の内面との間に当て止めして、密封漏れ防止効果を得る。
【0018】
次に、
図7及び
図8に示すように、本発明の放熱ラジエータ管20の両列の複数の扁管21,21´は、水平及び垂直になるように間隔をおいて配列され、複数の放熱フィン22の幅は、両列の複数の扁管21,21´の合計幅と等しく、複数の放熱フィン22は、両列の複数の扁管21,21´の上下両平面を跨ぐように溶接によって接合される。複数の放熱フィン22は、垂直プレート221と、その上下両端の両水平プレート222とで一体成形されており、垂直プレート221及び両水平プレート222と両列の複数の扁管21,21´とは、相互に垂直方向に沿って配列されており、かつ垂直プレート221は、ボックス体11の一側壁112´と互いに平行になるよう配置される。複数の放熱フィン22同士は、互いに緊密に寄せ集まり、その水平プレート222を相隣り合う別の放熱フィン22の垂直プレート221に当て止めすると共に、放熱ラジエータ管20の風流入端23は、ボックス体11の前側壁112近傍に位置しており、放熱ラジエータ管20の風流出端24は、ボックス体11の後側壁近傍に位置している。その内、
図8に示すように、扁管21,21´の内部には、その上下両管壁を連結する熱伝導シート211を有することにより、熱液と扁管21,21´の内部との接触面積を増やすことが可能となり、その放熱効率を増進する。
【0019】
次に、
図1、
図3及び
図7に示すように、本発明は、両フィン外蓋70をさらに備え、各フィン外蓋70は、広さが放熱フィン22の水平プレート222が互いに並列する総面積と同等の範囲に設けられると共に、放熱ラジエータ管20の上下両面の放熱フィン22の水平プレート222上に溶接によって接合される。両フィン外蓋70の一端は、少なくとも1つのファン80(
図2及び
図3に示すのは、両ファン80の例である)を組み付けるために供してもよく、ファン80は、ねじを介して両フィン外蓋70の一端の多数個の錠止部71に螺着されることで、ファン80は、ボックス体11の前側壁近傍に位置している風流入端23に向けて気流を送り出すものとしての役割を果たす。
以上、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0020】
100:サーバー
200:プロセッサ
300:液冷ヘッド
400:液冷ラジエータ
500:輸液管
10:液体ポンプボックス
11:ボックス体
111:底壁
112,112´:側壁
113:開口
114,114´:並列管挿通孔
115:空気遮断空間
116:熱液入液室
117:冷液出液室
118:熱液折曲仕切板
119:冷液折曲仕切板
12:ボックス蓋
121:液体ポンプ基台
122:液体ポンプ取付室
123:入液孔
124:出液孔
125:嵌合窪み
126:シールリング取付部
20:放熱ラジエータ管
21,21´:扁管
211:熱伝導シート
22:放熱フィン
221:垂直プレート
222:水平プレート
23:風流入端
24:風流出端
30:液戻しボックス
40:入液管
50:出液管
60:液体ポンプ
61:液体ポンプ蓋
611:環状窪み
612:凹孔
62:モータ固定子
63:羽根車回転子
64:シールリング
70:フィン外蓋
71:錠止部
80:ファン