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  • 特開-有機性廃棄物資源化装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146683
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】有機性廃棄物資源化装置
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/60 20220101AFI20241004BHJP
   C05F 17/90 20200101ALI20241004BHJP
   C02F 11/02 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B09B3/60
C05F17/90 ZAB
C02F11/02
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112021
(22)【出願日】2023-07-07
(62)【分割の表示】P 2023057292の分割
【原出願日】2023-03-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】524032541
【氏名又は名称】株式会社杜と水技研
(74)【代理人】
【識別番号】100074734
【弁理士】
【氏名又は名称】中里 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100086265
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100076451
【弁理士】
【氏名又は名称】三嶋 景治
(72)【発明者】
【氏名】田巻 成友
(72)【発明者】
【氏名】大山 光俊
【テーマコード(参考)】
4D004
4D059
4H061
【Fターム(参考)】
4D004AA01
4D004AC04
4D004BA04
4D004CA15
4D004CA19
4D004CA22
4D004CB04
4D004CB31
4D004CC01
4D004CC02
4D004DA02
4D059AA03
4D059BA03
4D059BA56
4D059BJ01
4D059CB06
4D059CC01
4D059EA06
4D059EA10
4D059EB06
4H061AA03
4H061GG12
4H061GG16
4H061GG18
4H061GG43
4H061GG49
4H061HH41
(57)【要約】      (修正有)
【課題】周辺環境の汚染の防止に効果がある、有機性廃棄物資源化装置を提供する。
【解決手段】装置は、横型円筒形状で、好気性好熱菌により原料を発酵処理する発酵処理容器12、原料を一時的に貯蔵する原料ホッパー22、原料供給手段20、および排出手段30を備え、原料ホッパーの周囲を、原料ホッパーの外壁との間に間隔を持った状態でジャケット50により包囲して、原料ホッパー内の原料である有機性廃棄物を加温するための加温ガスを通す加温ガス用空間52を形成し、発酵処理容器の他端から加温ガス用空間に延び、発酵処理容器内での発酵に伴って発生した排出ガスを発酵処理容器から加温ガス用空間に加温ガスとして供給する加温ガス通路60、および加温ガス用空間内の加温ガスを、発酵処理容器内に導入する第1加温ガス導入管路を備えていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横型円筒形状で、好気性好熱菌により、原料である有機性廃棄物を発酵処理する発酵処理容器、この発酵処理容器の一端に設けられ、原料である有機性廃棄物を一時的に貯蔵する原料ホッパーを有し、この原料ホッパーに一時的に貯蔵された原料を前記発酵処理容器内に供給する原料供給手段、および前記発酵処理容器の他端に設けられ、発酵処理された処理済み原料を、前記発酵処理容器外に排出するための排出手段を備え、前記発酵処理容器を中心軸周りに回転させることにより、所定日数かけて原料を前記発酵処理容器内の一端側から他端側に向けて徐々に移動させつつ発酵処理を行い、有機性廃棄物の資源化を行う有機性廃棄物資源化装置において、
前記原料ホッパーの周囲を、該原料ホッパーの外壁との間に間隔を持った状態でジャケットにより包囲して、前記原料ホッパー内の原料である有機性廃棄物を加温するための加温ガスを通す加温ガス用空間を形成し、そして
前記発酵処理容器の他端から前記加温ガス用空間に延び、前記発酵処理容器内での発酵に伴って発生した排出ガスを該発酵処理容器から前記加温ガス用空間に加温ガスとして供給する加温ガス通路、および
前記加温ガス用空間内の加温ガスを、前記発酵処理容器内に導入する第1加温ガス導入管路
を備えていることを特徴とする有機性廃棄物資源化装置。
【請求項2】
前記発酵処理容器内に外部からの空気を導入するための通気管、この通気管に空気を送り込む通気ブロワ、および前記通気管と通気ブロワを連通する連通管路を備えている請求項1の有機性廃棄物資源化装置。
【請求項3】
前記加温ガス用空間内の加温ガスを、前記通気ブロアに導入する第2加温ガス導入管路を設けた請求項2の有機性廃棄物資源化装置。
【請求項4】
前記第2加温ガス導入管路に設けられ、前記通気ブロアに送られる加温ガスを制御する開閉バルブを備えた請求項3の有機性廃棄物資源化装置。
【請求項5】
前記発酵処理容器に、内部の原料を撹拌するための撹拌手段を設けた請求項1の有機性廃棄物資源化装置。
【請求項6】
前記通気管または連通管路に設けられ、通気管または連通管路を通る外部からの空気を加温する外部空気加温手段を備えている請求項2の有機性廃棄物資源化装置。
【請求項7】
前記通気管を前記発酵処理容器の一端側に設けた請求項2の有機性廃棄物資源化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性廃棄物資源化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機性廃棄物資源化装置としては、横型円筒形状で、好気性超好熱菌(以下、超高温菌と称することがある)により、原料である有機性廃棄物を発酵処理する発酵処理容器、この発酵処理容器の一端に設けられ、原料である有機性廃棄物を一時的に貯蔵する原料ホッパーを有し、この原料ホッパーに一時的に貯蔵された原料を前記発酵処理容器内に供給する原料供給手段、および前記発酵処理容器の他端に設けられ、発酵処理された処理済み原料を、前記発酵処理容器外に排出するための排出手段を備え、前記発酵処理容器を中心軸周りに回転させることにより、所定日数かけて原料を前記発酵処理容器内の一端側から他端側に向けて徐々に移動させつつ発酵処理を行い、有機性廃棄物の資源化、すなわち堆肥化・肥料化を行う有機性廃棄物堆肥化・肥料化装置、すなわち密閉型有機性廃棄物堆肥化・肥料化装置(以下、密閉型堆肥化装置という)が知られている。
【0003】
ところで、このような密閉型堆肥化装置における原料である有機性廃棄物の一つとしては、下水汚泥が考えられるが、このような下水汚泥は、冬期にあっては氷点下になることも考えられる。
【0004】
また、発酵処理に用いられる微生物として、本発明のように好気性超好熱菌を用いた場合、通常の温度であっても、前記菌の活動温度より低いという問題がある。
【0005】
このような問題を解決するため、特開平11-292669号では、次のような構成の「好気性発酵肥料の製造方法および製造装置」を提案している。ただし、この公報で対象とされる発酵装置は、建屋の床に仕切り壁を設けて発酵槽とした開放型であり、本発明のような密閉型堆肥化装置ではない。
【0006】
前記公開公報に開示された好気性発酵肥料の製造方法は、好気性超高温菌を含む菌体培養物と有機廃棄物とからなる有機物原料を発酵槽内に堆積し有機物原料に空気を送り込んで発酵を進行させる好気性発酵肥料の製造方法において、発酵の開始前から発酵の初期の段階の間で有機物原料を加熱してその温度を所定の発酵温度以上に昇温させることを特徴とするものである。
【0007】
また、この製造方法において、発酵の開始前から発酵の初期の段階の間で有機物原料を加熱してその温度を所定の発酵温度以上に昇温させ、発酵の進行に伴って外部に放散される熱及び余剰熱を熱源とするヒートポンプにより吸入空気を加熱し、加熱した空気を有機物原料に送り込んで有機物原料の温度を所定の発酵温度以上に昇温させ、さらなる発酵の進行に伴って外部に放散される熱及び余剰熱を熱源とするヒートポンプにより吸入空気を加熱する工程を繰り返し行なうとともに、発酵の進行状況に応じて有機物原料の加熱温度を制御する方法が提案されている。
【0008】
前記公開公報に開示された好気性発酵肥料の製造装置は、床部に空気吹き出し口を有する発酵槽と、発酵槽内の有機物原料を周囲から加熱する原料加熱手段と、発酵の開始前に吸入空気を加熱するとともに発酵の進行に伴って外部に放散される熱及び余剰熱を吸収しこの熱を熱源として吸入空気を加熱することができる熱交換手段と、加熱された空気を発酵槽の空気吹き出し口に供給する空気送り込み手段とからなることを特徴とするものである。
【0009】
また、この製造装置において、仕切り壁によって区画され床部に空気吹き出し口を有する発酵槽と、床部もしくは壁部又は床部と壁部の両方に取り付けてある伝熱パイプからなる原料加熱手段と、発酵槽の上方に設置してある熱吸収器及び送風機に連結してある空気加熱器並びにこの両者の間に設けてあり空気加熱器と伝熱パイプにそれぞれ熱を供給するヒートポンプとからなる熱交換手段と、空気加熱器によって加熱された空気を発酵槽の空気吹き出し口に供給する送風機及びダクトからなる空気送り込み手段とで構成することを特徴とする装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11-292669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記公報による提案では、発酵の開始前から有機物原料を加熱してその温度を所定の発酵温度以上に昇温させるには、従来の発酵槽に追加して予熱のための槽を設けなければならず、設置場所が余分に必要となることもあいまって、コストの増大につながる。
【0012】
また、上記の構成を本発明のような密閉型横型有機性廃棄物堆肥化・肥料化装置に用いた場合、装置の長さが長くなり、大型化してしまうという問題がある。
【0013】
さらに、原料供給手段の原料ホッパー内の原料に直接温風を吹き込んで、加温する場合には、この原料ホッパー自体は密閉型でないので、原料か粉塵となって舞うとともに、また加温により、ある程度発酵が進むので、臭気を伴う排ガスが拡散することにより、近隣の環境汚染につながるおそれがあるという問題も生じてくる。
【0014】
そこで、本発明は、従来装置の上記したような問題点を解消した有機性廃棄物資源化装置を提案することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題は、下記(1)~(7)の構成の有機性廃棄物資源化装置により解決される。
(1)
横型円筒形状で、好気性好熱菌により、原料である有機性廃棄物を発酵処理する発酵処理容器、この発酵処理容器の一端に設けられ、原料である有機性廃棄物を一時的に貯蔵する原料ホッパーを有し、この原料ホッパーに一時的に貯蔵された原料を前記発酵処理容器内に供給する原料供給手段、および前記発酵処理容器の他端に設けられ、発酵処理された処理済み原料を、前記発酵処理容器外に排出するための排出手段を備え、前記発酵処理容器を中心軸周りに回転させることにより、所定日数かけて原料を前記発酵処理容器内の一端側から他端側に向けて徐々に移動させつつ発酵処理を行い、有機性廃棄物の資源化を行う有機性廃棄物資源化装置において、
前記原料ホッパーの周囲を、該原料ホッパーの外壁との間に間隔を持った状態でジャケットにより包囲して、前記原料ホッパー内の原料である有機性廃棄物を加温するための加温ガスを通す加温ガス用空間を形成し、そして
前記発酵処理容器の他端から前記加温ガス用空間に延び、前記発酵処理容器内での発酵に伴って発生した排出ガスを該発酵処理容器から前記加温ガス用空間に加温ガスとして供給する加温ガス通路、および
前記加温ガス用空間内の加温ガスを、前記発酵処理容器内に導入する第1加温ガス導入管路
を備えていることを特徴とする有機性廃棄物資源化装置。
(2)
前記発酵処理容器内に外部からの空気を導入するための通気管、この通気管に空気を送り込む通気ブロワ、および前記通気管と通気ブロワを連通する連通管路を備えている前記(1)の有機性廃棄物資源化装置。
(3)
前記加温ガス用空間内の加温ガスを、前記通気ブロアに導入する第2加温ガス導入管路を設けた前記(2)の有機性廃棄物資源化装置。
(4)
前記第2加温ガス導入管路に設けられ、前記通気ブロアに送られる加温ガスを制御する開閉バルブを備えた前記(3)の有機性廃棄物資源化装置。
(5)
前記発酵処理容器に、内部の原料を撹拌するための撹拌手段を設けた前記(1)の有機性廃棄物資源化装置。
(6)
前記通気管または連通管路に設けられ、通気管または連通管路を通る外部からの空気を加温する外部空気加温手段を備えている前記(2)の有機性廃棄物資源化装置。
(7)
前記通気管を前記発酵処理容器の一端側に設けた前記(2)の有機性廃棄物資源化装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明の有機性廃棄物資源化装置においては、原料供給手段の原料ホッパー外側にジャケットを配し、加温ガス用空間を形成して、この加温ガス用空間内に加温用ガスを導入して原料を加温することとしたので、原料である有機性廃棄物の昇温および低含水量化を図れると共に、原料に直接加温ガスを吹き込まないので、原料の舞い上がりや臭気の拡散による周辺環境の汚染の防止に効果があるものである。
したがって、本発明の有機性廃棄物資源化装置は、肥料の製造を農地内で行うような都市型農業に用いて特に効果を発するものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例による有機性廃棄物資源化装置を概念的に示す垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施の形態による有機性廃棄物資源化装置10(以下、有機性廃棄物堆肥化・肥料化装置と称することもある)を説明する。
【0019】
有機性廃棄物堆肥化・肥料化装置10は、横型円筒形状で、好気性好熱菌により、原料である有機性廃棄物を発酵処理する発酵処理容器12、この発酵処理容器の一端12aに設けられた原料供給手段20、および前記発酵処理容器12の他端12bに設けられ、発酵処理された処理済み原料mを、前記発酵処理容器外に排出するための排出手段30を備えている。
【0020】
前記原料供給手段20は、原料mである有機性廃棄物を一時的に貯蔵する原料ホッパー22を有し、この原料ホッパー22には、その内部に一時的に貯蔵された原料を前記発酵処理容器内に供給するためのコンベア24が設けられている。
前記原料ホッパー22には、垂直に該原料ホッパー内に延びる回転軸26aと、この回転軸26aに取り付けられ水平に延びる撹拌羽根等の撹拌部材26bが設けられた回転型の撹拌手段26が設けられており、原料の舞い上がりや臭気の拡散が起こらない程度の周速(例えば、0.1~0.5m/s程度)で回転して、原料の撹拌を行うようになっている。この原料の撹拌により、原料に温度分布および含水率の分布の均一化が図れる。
【0021】
前記発酵処理容器12は、固定の一対の端板14および16と、これらの間に中心軸の周りに回転可能に取り付けられた円筒形の発酵処理ドラム18を有している。この発酵処理ドラム18の内壁には、推進羽根19が設けられている。この発酵処理ドラム18は、回転駆動装置40によって回転駆動され、その一端12aに投入された原料を推進羽根19により、所定日数(例えば、21日程度)かけて他端12b側に向けて徐々に移動させつつ発酵処理を行い、有機性廃棄物の資源化、すなわち堆肥化・肥料化を行うものである。なお、この発酵は、好気性好熱菌によって行われる。好熱菌とは、株式会社東京化学同人発行の「生化学辞典(第4版)によれば、通常55℃以上で生育できる菌を指し、75℃以上でも生育できる好熱菌を高度好熱菌、90℃以上で生育できる菌を超好熱菌というとしている。本発明においては、高度好熱菌以上の菌(微生物)を用いることが望ましい。この好気性高度好熱菌としては、例えば、サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)等を用いることができる。このような、好気性高度好熱菌を用いて有機性廃棄物の発酵を行うことにより、例えば、資源化が堆肥化・肥料化である場合、植物の育成に害となる原料中の植物種子や病原菌等を分解死滅させることができる。
【0022】
前記原料ホッパー22の周囲には、該原料ホッパーの外壁との間に間隔を持った状態で、該原料ホッパーを包囲するようにジャケット50が配置されており、該原料ホッパー内の原料である有機性廃棄物を加温するための加温ガスを通す加温ガス用空間52が形成されている。
【0023】
前記発酵処理容器12の他端12bから前記加温ガス用空間52に延びるように、前記発酵処理容器内での発酵に伴って発生した排出ガスを該発酵処理容器から前記加温空気用空間に加温ガスとして供給する加温ガス通路60が設けられている。この加温ガス通路60の前記発酵処理容器12の他端12b側には、発酵処理容器12内に発酵に伴って発生する排出ガスを装置外に排出するための排気ファン62が設けられている。
【0024】
前記加温ガス通路60には、内部を通る排出ガスを加温するための加温手段70が設けられている。上記したように、本発明の有機性廃棄物堆肥化・肥料化装置においては、有機性廃棄物の発酵に超好熱菌を用いるので、原料である有機性廃棄物を発酵のために適温に予熱するためと、有機性廃棄物の含水率を適正値にする目的で、加温ガスを加温するために、この加温手段70が設けられている。
【0025】
この加温手段70の作動を制御するため、加温手段制御手段72が設けられている。また、この加温手段制御手段72により前記加温手段70を目的に沿って制御するため、前記加温ガス通路60には、排出ガス温度監視手段74が設けられて、その中を流れる加温ガスの温度を検出・監視している。また、前記原料ホッパー22内には、原料温度監視手段76が設けられて、該原料ホッパー内の原料の温度を検出・監視している。更には、前記発酵処理容器12の前記他端12bの内部または前記排出手段30には、発酵原料含水率監視手段78が設けられて、その部分に存在する発酵原料の含水率を検出・監視している。
前記排出ガス温度監視手段74は、排出ガス(加温ガス)の温度が所定温度(例えば、40℃)を下回るとき、それを知らせる信号を前記加温手段制御手段72に送って、前記加温手段70を作動するようになっている。前記原料温度監視手段76は、原料の温度が所定温度(例えば、35℃~40℃、特に35℃)を下回るとき、それを知らせる信号を前記加温手段制御手段72に送って、前記加温手段70を作動するようになっている。前記発酵原料含水率監視手段78は、発酵原料の含水率が所定値(例えば30%~40%、特に35%)を超えているとき、それを知らせる信号を前記加温手段制御手段72に送って、前記加温手段70を作動するようになっている。
【0026】
有機性廃棄物堆肥化・肥料化装置10には、前記好気性好熱菌による有機性廃棄物である原料の発酵が良好に進行するように、該発酵処理容器12内の原料を加温する通気手段90が設けられている。
【0027】
この通気手段90は、少なくとも前記発酵処理容器12の一端12aに(好ましくは、他端12bにも)設けられた通気管92、94を備えている。これらの通気管92、94の先端は、発酵処理容器12の下部空間内に延びている。これらの通気管92、94には、連通管路96によって通気ブロア98が連通されており、この通気プロア98からの外気が供給されて、発酵処理容器12内の原料に空気(酸素)を送り込み、発酵に寄与する好気性菌を活性化する。前記通気管92、94には、発酵処理容器12内に供給される外気を加温して、発酵の一助となるようにする外気加温手段92a、94bが設けられている。
【0028】
前記加温ガス用空間52には、該加温ガス用空間52から排出される加温ガスを前記発酵処理容器12の上部空間に導入するための第1加温ガス導入管路100が接続されていることが好ましい。この第1加温ガス導入管路100により、加温ガスを前記発酵処理容器12の上部空間に導入する。
【0029】
前記加温ガス用空間52内の加温ガスは、第2加温ガス導入管路102を設けて、前記通気ブロア98に導入するようにしてもよい。これは、低温である外気の導入を少なくし、効果的な熱循環を行うためである。すなわち、廃蒸気の吸出、顕熱にかかるコストの削減が見込まれる。
【0030】
上記した加温ガス通路60には、切り替えバルブ60aを設けて、加温ガスを外部に放出してもよい。この加温ガスの臭気を、取り除くため、図示したように薬液洗浄器104を設けることが好ましい。また、連通管路96、第1加温ガス導入管路100および第2加温ガス導入管路102には、それぞれその中を流れるガスの流量を制御するための開閉バルブ96a、100a、102aを設けてもよい。
【0031】
本発明の有機性廃棄物堆肥化・肥料化装置10においては、上記の構成により、原料ホッパーにおける原料を30℃~40℃以上に加温し(これに伴い含水率を下げ)、これを発酵処理容器内に導入しているので、原料ホッパーへの投入時から速やかに発酵が開始され、発酵処理容器から排出される時には、良好に発酵した堆肥・肥料状態となっている。
【符号の説明】
【0032】
10 有機性廃棄物堆肥化・肥料化装置
12 発酵処理容器
20 原料供給手段
22 原料ホッパー
24 コンベア
26 攪拌部材
30 排出手段
40 回転駆動装置
50 ジャケット
52 加温ガス用空間
60 加温ガス通路
70 加温手段
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-01-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横型円筒形状で、好気性好熱菌により、原料である有機性廃棄物を発酵処理する発酵処理容器、この発酵処理容器の一端に設けられ、原料である有機性廃棄物を一時的に貯蔵する原料ホッパーを有し、この原料ホッパーに一時的に貯蔵された原料を前記発酵処理容器内に供給する原料供給手段、および前記発酵処理容器の他端に設けられ、発酵処理された処理済み原料を、前記発酵処理容器外に排出するための排出手段を備え、前記発酵処理容器を中心軸周りに回転させることにより、所定日数かけて原料を前記発酵処理容器内の一端側から他端側に向けて徐々に移動させつつ発酵処理を行い、有機性廃棄物の資源化を行う有機性廃棄物資源化装置において、 前記原料ホッパーの周囲を、該原料ホッパーの外壁との間に間隔を持った状態でジャケットにより包囲して、前記原料ホッパー内の原料である有機性廃棄物を加温するための加温ガスを通す加温ガス用空間を形成し、そして
前記発酵処理容器の他端から前記加温ガス用空間に延び、前記発酵処理容器内での発酵に伴って発生した排出ガスを該発酵処理容器から前記加温ガス用空間に加温ガスとして供給する加温ガス通路、および
前記加温ガス用空間内の加温ガスを、前記発酵処理容器内に導入する第1加温ガス導入管路を備えていることを特徴とする有機性廃棄物資源化装置。
【請求項2】
前記発酵処理容器内に外部からの空気を導入するための通気管、この通気管に空気を送り込む通気ブロワ、および前記通気管と通気ブロワを連通する連通管路を備えている請求項1の有機性廃棄物資源化装置。
【請求項3】
前記加温ガス用空間内の加温ガスを、前記通気ブロワに導入する第2加温ガス導入管路を設けた請求項2の有機性廃棄物資源化装置。
【請求項4】
前記第2加温ガス導入管路に設けられ、前記通気ブロワに送られる加温ガスを制御する開閉バルブを備えた請求項3の有機性廃棄物資源化装置。
【請求項5】
前記発酵処理容器に、内部の原料を撹拌するための撹拌手段を設けた請求項1の有機性廃棄物資源化装置。
【請求項6】
前記通気管または連通管路に設けられ、通気管または連通管路を通る外部からの空気を加温する外部空気加温手段を備えている請求項2の有機性廃棄物資源化装置。
【請求項7】
前記通気管を前記発酵処理容器の一端側に設けた請求項2の有機性廃棄物資源化装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
上記課題は、下記(1)~(7)の構成の有機性廃棄物資源化装置により解決される。
(1)
横型円筒形状で、好気性好熱菌により、原料である有機性廃棄物を発酵処理する発酵処理容器、この発酵処理容器の一端に設けられ、原料である有機性廃棄物を一時的に貯蔵する原料ホッパーを有し、この原料ホッパーに一時的に貯蔵された原料を前記発酵処理容器内に供給する原料供給手段、および前記発酵処理容器の他端に設けられ、発酵処理された処理済み原料を、前記発酵処理容器外に排出するための排出手段を備え、前記発酵処理容器を中心軸周りに回転させることにより、所定日数かけて原料を前記発酵処理容器内の一端側から他端側に向けて徐々に移動させつつ発酵処理を行い、有機性廃棄物の資源化を行う有機性廃棄物資源化装置において、
前記原料ホッパーの周囲を、該原料ホッパーの外壁との間に間隔を持った状態でジャケットにより包囲して、前記原料ホッパー内の原料である有機性廃棄物を加温するための加温ガスを通す加温ガス用空間を形成し、そして
前記発酵処理容器の他端から前記加温ガス用空間に延び、前記発酵処理容器内での発酵に伴って発生した排出ガスを該発酵処理容器から前記加温ガス用空間に加温ガスとして供給する加温ガス通路、および
前記加温ガス用空間内の加温ガスを、前記発酵処理容器内に導入する第1加温ガス導入管路
を備えていることを特徴とする有機性廃棄物資源化装置。
(2)
前記発酵処理容器内に外部からの空気を導入するための通気管、この通気管に空気を送り込む通気ブロワ、および前記通気管と通気ブロワを連通する連通管路を備えている前記(1)の有機性廃棄物資源化装置。
(3)
前記加温ガス用空間内の加温ガスを、前記通気ブロワに導入する第2加温ガス導入管路を設けた前記(2)の有機性廃棄物資源化装置。
(4)
前記第2加温ガス導入管路に設けられ、前記通気ブロワに送られる加温ガスを制御する開閉バルブを備えた前記(3)の有機性廃棄物資源化装置。
(5)
前記発酵処理容器に、内部の原料を撹拌するための撹拌手段を設けた前記(1)の有機性廃棄物資源化装置。
(6)
前記通気管または連通管路に設けられ、通気管または連通管路を通る外部からの空気を加温する外部空気加温手段を備えている前記(2)の有機性廃棄物資源化装置。
(7)
前記通気管を前記発酵処理容器の一端側に設けた前記(2)の有機性廃棄物資源化装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
この通気手段90は、少なくとも前記発酵処理容器12の一端12aに(好ましくは、他端12bにも)設けられた通気管92、94を備えている。これらの通気管92、94の先端は、発酵処理容器12の下部空間内に延びている。これらの通気管92、94には、連通管路96によって通気ブロワ98が連通されており、この通気プロア98からの外気が供給されて、発酵処理容器12内の原料に空気(酸素)を送り込み、発酵に寄与する好気性菌を活性化する。前記通気管92、94には、発酵処理容器12内に供給される外気を加温して、発酵の一助となるようにする外気加温手段92a、94bが設けられている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
前記加温ガス用空間52内の加温ガスは、第2加温ガス導入管路102を設けて、前記通気ブロワ98に導入するようにしてもよい。これは、低温である外気の導入を少なくし、効果的な熱循環を行うためである。すなわち、廃蒸気の吸出、顕熱にかかるコストの削減が見込まれる。