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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146696
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20241004BHJP
   H01C 1/14 20060101ALI20241004BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H01G4/30 201K
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
H01G4/30 201N
H01G4/30 516
H01G4/30 512
H01G4/30 513
H01C1/14 Z
H01F27/29 123
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023139985
(22)【出願日】2023-08-30
(31)【優先権主張番号】10-2023-0042918
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】李 忠烈
(72)【発明者】
【氏名】姜 銓一
(72)【発明者】
【氏名】鄭 喜貞
(72)【発明者】
【氏名】李 鍾祿
(72)【発明者】
【氏名】金 ▲清▼
(72)【発明者】
【氏名】岡田 浩樹
【テーマコード(参考)】
5E001
5E028
5E070
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AD01
5E001AJ03
5E028BB08
5E028BB11
5E028CA02
5E028DA04
5E070AA01
5E070AB01
5E070BA12
5E070CB13
5E070EA01
5E070EB04
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC32
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG26
5E082GG28
5E082PP04
5E082PP09
(57)【要約】
【課題】積層型電子部品の小型化及び高容量化を達成し、信頼性を向上させ、本体と外部電極との間の剥離(delamination)または浮き現象を抑制する。
【解決手段】本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層及び内部電極を含む本体と、上記本体上に配置される外部電極と、を含み、上記本体の表面の少なくとも一部には、格子状に配列された複数の溝を有する格子状の溝形状が形成されることができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び内部電極を含む本体と、
前記本体上に配置される外部電極と、を含み、
前記本体の表面の少なくとも一部には、格子状に配列された複数の溝を有する格子状の溝形状が形成されている、積層型電子部品。
【請求項2】
前記格子状の溝形状は、外壁及び前記外壁で囲まれた溝を含み、
前記溝は前記本体の内部方向に幅が狭くなる形状である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記格子状の溝形状は、ワッフル形状、ウェーブ形状、及びドーム形状のうち一つ以上を含む、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記溝の十点平均表面粗さをR2zと定義するとき、R2z≧3μmを満たす、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
平面図を基準として前記格子状の溝形状の最大長さをLと定義するとき、L≦10μmを満たす、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
平面図を基準として前記格子状の溝形状の面積をAと定義するとき、A≦0.5×Lを満たす、請求項5に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記格子状の溝形状は、前記外部電極と接する前記本体の表面の少なくとも一部に形成されている、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記格子状の溝形状が形成された面積は、前記外部電極と接する前記本体の表面の面積の10%以上である、請求項7に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記格子状の溝形状は、前記外部電極が配置されていない前記本体の表面にさらに形成されている、請求項7に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記本体は、前記誘電体層及び前記誘電体層を挟んで第1方向に交互に配置される前記内部電極を含む容量形成部と、前記容量形成部の前記第1方向の両端面にそれぞれ配置されるカバー部を含み、前記第1方向に互いに向かい合う第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、第2方向に互いに向かい合う第3面及び第4面、前記第1面~前記第4面と連結され、第3方向に互いに向かい合う第5面及び第6面を含み、
前記本体の第5面及び第6面にそれぞれ配置されるサイドマージン部をさらに含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記内部電極は、前記本体の第3面と接する第1内部電極及び前記本体の第4面と接する第2内部電極を含み、
前記格子状の溝形状は、前記第3面と接する第1内部電極の一面と前記第4面と接する第2内部電極の一面には形成されない、請求項10に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記格子状の溝形状は、前記サイドマージン部の外表面の少なくとも一部にさらに形成されている、請求項10に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記外部電極は、前記本体上に配置されて前記内部電極と連結される電極層を含み、
前記電極層の平均厚さは1μm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記電極層は銅(Cu)を含む、請求項13に記載の積層型電子部品。
【請求項15】
前記外部電極は、前記電極層上に配置されるめっき層をさらに含み、
前記めっき層は、銅(Cu)めっき層、ニッケル(Ni)めっき層、及びスズ(Sn)めっき層の少なくとも一つを含む、請求項13に記載の積層型電子部品。
【請求項16】
前記めっき層は、銅(Cu)めっき層、ニッケル(Ni)めっき層、及びスズ(Sn)めっき層の順に配置される、請求項15に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi‐Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話などの様々な電子製品のプリント回路基板に装着されて電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のキャパシタである。
【0003】
このような積層セラミックキャパシタは、小型でありながら高容量が保証され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として使用されることができる。コンピュータ、モバイル機器など各種電子機器が小型化、高出力化され、積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化の要求が増大している。
【0004】
一方、積層型電子部品の小型化及び高容量化を同時に達成するための方法として、誘電率の高い材料を用いるか、誘電体層又は内部電極層の厚さを薄くする方法等がある。但し、誘電体層の厚さを過度に減少させる場合、絶縁破壊電圧(BDV)が低下したり、信頼性が劣化したりするなどの問題点が発生するおそれがある。
【0005】
そのため、外部電極を薄膜化する方法を適用して、積層型電子部品の容量に直接的に関係しない部分の体積を最小化させ、有効体積を最大化させることができる。外部電極を薄膜化する方法で外部電極をめっき膜で形成したり、スパッタリングなどの薄膜堆積法を適用したりする方法があるが、このような方法で外部電極を形成した場合、セラミック本体との接合力が不足して本体と外部電極との間の剥離(delamination)が発生するおそれがある。
【0006】
このような問題点を解決するために、セラミック本体と外部電極間の接合が容易になるように、本体に表面粗さを形成したり、他の物質を形成したりするなど、様々な前処理を進行する研究が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2021-0033132号公報
【特許文献2】韓国公開特許第10-2022-0063556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとするいくつかの課題の一つは、積層型電子部品の小型化及び高容量化を達成することである。
【0009】
本発明が解決しようとするいくつかの課題の一つは、積層型電子部品の信頼性を向上させることである。
【0010】
本発明が解決しようとするいくつかの課題の一つは、本体と外部電極との間の剥離(delamination)または浮き現象を抑制することである。
【0011】
但し、本発明が解決しようとするいくつかの課題は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層及び内部電極を含む本体と、上記本体上に配置される外部電極と、を含み、上記本体の表面の少なくとも一部には、格子状に配列された複数の溝を有する格子状の溝形状が形成されることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の様々な効果の一つは、積層型電子部品の小型化及び高容量化を達成することができることである。
【0014】
本発明の様々な効果の一つは、積層型電子部品の信頼性を向上させることである。
【0015】
本発明の様々な効果の一つは、本体と外部電極との間の界面接合力を向上させることである。
【0016】
但し、本発明の多様でありながらも有意義な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程で、より容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものである。
図2図1の積層型電子部品における外部電極を除いた斜視図を概略的に示したものである。
図3】内部電極の積層構造を示した分離斜視図を概略的に示したものである。
図4図1のI-I’線に沿った断面図を概略的に示したものである。
図5図1のII-II’線に沿った断面図を概略的に示したものである。
図6】本発明の他の一実施形態のI-I’線に沿った断面図を概略的に示したものである。
図7】本発明の他の一実施形態のI-I’線に沿った断面図を概略的に示したものである。
図8】本発明の他の一実施形態のI-I’線に沿った断面図を概略的に示したものである。
図9】本発明の他の一実施形態のI-I’線に沿った断面図を概略的に示したものである。
図10図4の外部電極のI-I’構造を細分化した断面図を概略的に示したものである。
図11】(a)は実施例のボディ表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した画像であり、(b)は比較例のボディ表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した画像である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上に同一符号で示される要素は同一要素である。
【0019】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、図示した各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意で示したものであるため、本発明は必ずしも図示により限定されない。また、同一の思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を用いて説明することができる。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0020】
図面において、第1方向は積層方向または厚さ(T)方向、第2方向は長さ(T)方向、第3方向は幅(W)方向と定義することができる。
【0021】
積層型電子部品
図1は、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものであり、図2は、図1の積層型電子部品における外部電極を除いた斜視図を概略的に示したものであり、図3は、内部電極の積層構造を示した分離斜視図を概略的に示したものであり、図4は、図1のI-I’線に沿った断面図を概略的に示したものであり、図5は、図1のII-II’線に沿った断面図を概略的に示したものであり、図6は、本発明の他の一実施形態のI-I’線に沿った断面図を概略的に示したものである、図7は、本発明の他の一実施形態のI-I’線に沿った断面図を概略的に示したものであり、図8は、本発明の他の一実施形態のI-I’線に沿った断面図を概略的に示したものであり、図9は、本発明の他の一実施形態のI-I’線に沿った断面図を概略的に示したものであり、図10は、図4の外部電極構造を細分化した断面図を概略的に示したものである。
【0022】
以下、図1図11を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品について詳細に説明する。但し、積層型電子部品の一例として積層セラミックキャパシタについて説明するが、本発明は誘電体組成物を利用する様々な電子製品、例えば、インダクタ、圧電体素子、バリスタ、またはサーミスタなどにも適用されることができる。
【0023】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111及び内部電極121、122を含む本体110と、上記本体110上に配置される外部電極131、132と、を含み、上記本体110の表面の少なくとも一部には、格子状に配列された複数の溝を有する格子状の溝形状141が形成されることができる。
【0024】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されている。
【0025】
より具体的には、本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を挟んで互いに向かい合うように交互に配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量を形成する容量形成部Acを含むことができる。
【0026】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように本体110は六面体状やこれと類似した形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体状ではなく、実質的に六面体状を有することができる。
【0027】
本体110は、第1方向に互いに向かい合う第1面1及び第2面2、第1面1及び第2面2と連結され、第2方向に互いに向かい合う第3面3及び第4面4、第1面~第4面(1、2、3、4)と連結され、第3方向に互いに向かい合う第5面5及び第6面6を有することができる。
【0028】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であり、隣接する誘電体層111間の境界は走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0029】
誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量が得られる限り、制限されない。一般的に、ペロブスカイト(ABO)系材料を用いることができ、例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料またはチタン酸ストロンチウム系材料などを用いることができる。チタン酸バリウム系材料は、BaTiO系セラミック粉末を含むことができ、セラミック粉末の例示として、BaTiO、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCa)TiO(0<x<1)、Ba(Ti1-yCa)O(0<y<1)、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O(0<x<1、0<y<1)またはBa(Ti1-yZr)O(0<y<1)などが挙げられる。
【0030】
また、誘電体層111を形成する原料は、チタン酸バリウム(BaTiO)などの粉末に本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0031】
誘電体層111の厚さtdは特に限定する必要はない。
【0032】
但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために誘電体層111の厚さは0.6μm以下であることができ、より好ましくは0.4μm以下であることができる。
【0033】
ここで、誘電体層111の厚さtdは、第1内部電極121と第2内部電極122との間に配置される誘電体層111の厚さtdを意味することができる。
【0034】
一方、誘電体層111の厚さtdは、誘電体層111の第1方向のサイズを意味することができる。なお、誘電体層111の厚さtdは、誘電体層111の平均厚さtdを意味することができ、誘電体層111の第1方向の平均サイズを意味することができる。
【0035】
誘電体層111の第1方向の平均サイズは、本体110の第1方向及び第2方向の断面(cross‐section)を倍率1万倍の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてイメージをスキャンして測定することができる。より具体的には、一つの誘電体層111の第1方向の平均サイズは、スキャンされたイメージにおいて一つの誘電体層111を第2方向に等間隔の30つの地点で第1方向のサイズを測定して計算した平均値を意味することができる。上記等間隔の30つの地点は容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値測定を10つの誘電体層111に拡張して平均値を測定すると、誘電体層111の第1方向の平均サイズをさらに一般化することができる。
【0036】
内部電極121、122は誘電体層111と交互に積層されることができる。
【0037】
内部電極121、122は第1内部電極121及び第2内部電極122を含むことができ、第1内部電極121及び第2内部電極122は本体110を構成する誘電体層111を挟んで互いに向かい合うように交互に配置され、本体110の第3面3及び第4面4にそれぞれ露出することができる。
【0038】
より具体的には、第1内部電極121は第4面4と離隔して第3面3と接しながら露出することができ、第2内部電極122は第3面3と離隔して第4面4と接しながら露出することができる。本体110の第3面3には第1外部電極131が配置されて第1内部電極121と連結され、本体110の第4面4には第2外部電極132が配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0039】
すなわち、第1内部電極121は第2外部電極132とは連結されず、第1外部電極131と連結され、第2内部電極122は第1外部電極131とは連結されず、第2外部電極132と連結されることができる。このとき、第1内部電極121及び第2内部電極122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。
【0040】
一方、本体110は、第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシートと第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシートを交互に積層した後、焼成して形成されることができる。
【0041】
内部電極121、122を形成する材料は特に制限されず、電気導電性に優れた材料を用いることができる。例えば、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができる。
【0042】
また、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷して形成することができる。上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0043】
一方、内部電極121、122の厚さteは特に限定する必要はない。
【0044】
但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、内部電極121、122の厚さは0.6μm以下であることができ、より好ましくは0.4μm以下であることができる。
【0045】
ここで、内部電極121、122の厚さteは、内部電極121、122の第1方向のサイズを意味することができる。また、内部電極121、122の厚さteは、内部電極121、122の平均厚さteを意味することができ、内部電極121、122の第1方向の平均サイズを意味することができる。
【0046】
内部電極121、122の第1方向の平均サイズは、本体110の第1方向及び第2方向の断面(cross‐section)を倍率1万倍の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてイメージをスキャンして測定することができる。より具体的には、一つの内部電極の第1方向の平均サイズは、スキャンされたイメージにおいて一つの内部電極を第2方向に等間隔の30つの地点で第1方向のサイズを測定して計算した平均値であることができる。上記等間隔の30つの地点は容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値測定を10つの内部電極121、122に拡張して平均値を測定すると、内部電極121、122の第1方向の平均サイズをさらに一般化することができる。
【0047】
一方、本体110は、容量形成部Acの第1方向の両端面(end‐surface)上に配置されたカバー部112、113を含むことができる。
【0048】
より具体的には、容量形成部Acの第1方向の上部に配置される上部カバー部112及び容量形成部Acの第1方向の下部に配置される下部カバー部113を含むことができる。
【0049】
上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一誘電体層111又は2つ以上の誘電体層111を容量形成部Acの上下面にそれぞれ第1方向に積層して形成することができ、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0050】
上部カバー部112及び下部カバー部113は、内部電極121、122を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。すなわち、上部カバー部112及び下部カバー部113は、セラミック材料を含むことができ、例えばチタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0051】
一方、カバー部112、113の厚さtcは特に限定する必要はない。
【0052】
但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、カバー部112、113の厚さtcは100μm以下であることができ、好ましくは30μm以下であることができ、超小型製品ではより好ましく20μm以下であることができる。
【0053】
ここで、カバー部112、113の厚さtcは、カバー部112、113の第1方向のサイズを意味することができる。なお、カバー部112、113の厚さtcは、カバー部112、113の平均厚さtcを意味することができ、カバー部112、113の第1方向の平均サイズを意味することができる。
【0054】
カバー部112、113の第1方向の平均サイズは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を倍率1万倍の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてイメージをスキャンして測定することができる。より具体的には、一つのカバー部をスキャンしたイメージにおいて第2方向に等間隔の30つの地点で第1方向のサイズを測定して計算した平均値であることができる。
【0055】
なお、上述した方法で測定したカバー部の第1方向の平均サイズは、本体110の第1方向及び第3方向の断面(cross‐section)において、カバー部の第1方向の平均サイズと実質的に同じサイズを有することができる。
【0056】
一方、本体110の第3方向の両端面(end‐surface)上にはサイドマージン部114、115が配置されることができる。
【0057】
より具体的には、サイドマージン部114、115は、本体110の第5面5に配置された第1サイドマージン部114及び第6面6に配置された第2サイドマージン部115を含むことができる。すなわち、サイドマージン部114、115は、本体110の第3方向の両端面(end‐surface)に配置されることができる。
【0058】
サイドマージン部114、115は、図示のように、本体110の第1方向及び第3方向の断面(cross‐section)を基準として、第1内部電極121及び第2内部電極122の第3方向の両端と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。
【0059】
サイドマージン部114、115は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0060】
サイドマージン部114、115は、セラミックグリーンシート上にサイドマージン部114、115が形成されるところを除いて導電性ペーストを塗布して内部電極121、122を形成し、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後の内部電極121、122が本体110の第5面5及び第6面6に露出するように切断した後、単一誘電体層111又は2つ以上の誘電体層111を容量形成部Acの第3方向の両端面(end‐surface)に第3方向に積層して形成することもできる。
【0061】
第1サイドマージン部114及び第2サイドマージン部115は、内部電極121、122を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。すなわち、第1サイドマージン部114及び第2サイドマージン部115はセラミック材料を含むことができ、例えばチタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0062】
一方、第1サイドマージン部114及び第2サイドマージン部115の幅wmは特に限定する必要はない。
【0063】
但し、積層型電子部品100の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、第1サイドマージン部114及び第2サイドマージン部115の幅wmは100μm以下であることができ、好ましくは30μm以下であることができ、超小型製品では、より好ましくは20μm以下であることができる。
【0064】
ここで、サイドマージン部114、115の幅wmは、サイドマージン部114、115のそれぞれの第3方向のサイズを意味することができる。また、サイドマージン部114、115の幅wmは、サイドマージン部114、115の平均幅wmを意味することができ、サイドマージン部114、115の第3方向の平均サイズを意味することができる。
【0065】
サイドマージン部114、115の第3方向の平均サイズは、本体110の第1方向及び第3方向の断面(cross‐section)を倍率1万倍の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてイメージをスキャンして測定することができる。より具体的には、一つのサイドマージン部をスキャンしたイメージにおいて、第1方向に等間隔の10つの地点で第3方向のサイズを測定して計算した平均値を意味することができる。
【0066】
一方、積層型電子部品の小型化及び高容量化を同時に達成するための方法として、誘電率の高い材料を用いるか、誘電体層又は内部電極層の厚さを薄くする方法などがある。但し、誘電体層の厚さを過度に減少させる場合、絶縁破壊電圧(BDV)が低下したり、信頼性が劣化したりするなどの問題点が発生するおそれがある。
【0067】
そこで、外部電極を薄膜化する方法を適用して、積層型電子部品の容量に直接的に関係しない部分の体積を最小化させ、有効体積を最大化させることができる。外部電極を薄膜化する方法として外部電極をめっき膜で形成したり、スパッタリングなどの薄膜堆積法を適用したりする方法があるが、このような方法で外部電極を形成した場合、セラミック本体との接合力が不足して本体と外部電極との間の剥離(delamination)が発生するおそれがある。
【0068】
このような問題点を解決するために、セラミック本体と外部電極との間に接合が容易になるように、本体に表面粗さを形成したり、他の物質を形成したりするなど、様々な前処理を進行する研究が進められている。
【0069】
これによって、本発明の一実施形態は、本体110の表面の少なくとも一部に格子状に配列された複数の溝を有する格子状の溝形状を形成することで、外部電極との界面接合力を向上させることができる。
【0070】
本発明において格子状の溝形状141が形成される表面は、本体の第1面~第6面(1、2、3、4、5、6)に形成されることができ、カバー部112、113が配置される場合には、カバー部112、113の外表面の少なくとも一部に形成されることができ、サイドマージン部114、115が配置される場合には、サイドマージン部114、115の外表面の少なくとも一部に形成されることができる。
【0071】
格子状の溝形状141は、外壁及び上記外壁で囲まれた上記溝を含み、このとき、溝は上記本体110の内部方向に幅が狭くなる形状を有することができる。
【0072】
格子状の溝形状は、例えば、ワッフル(waffle)形状、ウェーブ(wave)形状、及びドーム(dome)形状のうち一つ以上を含むことができるが、特にこれに制限されるものではなく、3次元形状の繰り返しパターンが本体110の表面に形成される全ての形状を含むことができる。
【0073】
格子状の溝形状141は、焼成が完了した本体110の外表面またはサイドマージン部114、115の外表面の少なくとも一部にレーザ(laser)を照射して形成することができるが、特にこれに制限されるものではなく、繰り返しパターンを形成することができる方法であればいずれも使用することができる。
【0074】
一方、レーザを用いて格子状の溝形状を形成する場合には、レーザの強度、スキャンスピード、周波数を調整して、大きさ及び深さの調節が可能であり、一定深さ以上、一定幅以下のパターン形態が形成されたとき、本体と外部電極との間の密着力が改善されることができる。格子状の溝形状141の具体的な深さ及び幅は、以下でより詳細に説明する。
【0075】
本発明において、格子状の溝形状141は、一つの格子状の溝形状141を意味することができ、複数の溝を有し、一定の領域に形成されることを意味することもでき、複数の溝を有する格子状の溝形状141は、複数の溝が完全に同一であることを意味するものではなく、実質的に同一の形状が繰り返し形成されることを意味することができる。
【0076】
格子状の溝形状141をより容易に理解するために、本発明では格子及び格子内部を2次元的形状の平面として説明することができるが、実質的に表面粗さ、または深さ、幅及び高さを有する3次元的形状の立体であることができる。
【0077】
溝は、本体110の内部方向に幅が狭くなる凹んだ形状であることができ、ここで凹んだ形状は、四角形、半円、半楕円形、三角形などの様々な断面を有することができるが、特にこれに制限されるものではない。
【0078】
本発明の一実施形態において、溝の十点平均表面粗さをR2zと定義するとき、R2z≧3μmを満たすことができる。
【0079】
本体110と外部電極131、132との間の表面接合力が向上することができる格子内部の十点平均表面粗さ値(R2z)であれば、特に制限されないが、好ましい上限は10μm以下であることができる。
【0080】
十点平均表面粗さ(Rz)とは、例えば、測定による粗さ曲線からその平均線方向に基準長さのみを抽出した後、この抽出部分の平均線で縦倍率方向に測定した最も高い山頂から5番目までの山頂標高の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの谷底標高の絶対値の平均値との合計を求めたことを意味することができる。十点平均表面粗さを適用することで、表面粗さが異なる格子内部をより信頼することができる表面粗さ値で表すことができる。
【0081】
溝の十点平均表面粗さ(R2z)が3μm以上を満たすことで、本体110と外部電極131、132との間の界面の面積が増加し、界面接合力がより向上することができる。
【0082】
溝の十点平均表面粗さ(R2z)が3μm未満の場合、本体110と外部電極131、132との間の界面領域が十分でないため、界面接合力が不十分であることがあり、これにより、本体110と外部電極131、132との間の剥離が発生するおそれがある。
【0083】
本発明において、表面粗さ、平均表面粗さ、最大表面粗さ、十点平均表面粗さなどの表面粗さに関する内容は、表面粗さ測定器(Keyence VK‐X3000モデル)を介して測定した結果であることができ、微細な深さの表面粗さを測定することができる測定器であれば、どのようなものを用いても良い。
【0084】
一方、平面図を基準として格子状の溝形状の最大長さをLと定義するとき、L≦10μmを満たすことができる。
【0085】
格子状の溝形状の最大長さ(L)の下限値は特に制限されないが、格子内部が面積を有することができる値であれば十分であり、例えば、1μm以上であることができ、好ましくは3μm以上であることができ、より好ましくは5μm以上であることができる。
【0086】
格子状の溝形状の最大長さが10μm以下を満たすことで、本体110の表面積を増大させて本体110と外部電極131、132との間の界面接合力を向上させることができる。
【0087】
このとき、平面図を基準として格子状の溝形状の面積をAと定義するとき、A≦0.5×Lを満たすことができる。
【0088】
格子状の溝形状の面積をAと定義するとき、A≦0.5×Lを満たすことで、本体110の表面積を増大させて本体110と外部電極131、132との間の界面接合力を向上させることができる。
【0089】
本発明において、平面図を基準とした格子状の溝形状の最大長さ(L)とは、次のような方式で測定した値を意味することができるが、特にこれに制限されるものではない。
【0090】
例えば、倍率20000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)を介して格子状の溝形状が位置する本体110の表面である本体の第1面が露出するように実装した後、第3方向の基準で本体の1/4、2/4、3/4地点を撮影してイメージを取得する。本体の第3方向の基準で1/4地点で撮影されたイメージで確認することができる本体の断面は、格子状溝によって一定距離ごとに突出していてもよく、このとき、突出している部分を床と定義することができる。隣接する床と床との間の距離を測定し、これを1pointとするとき、10pointの距離を測定し、平均した値を代表格子長さl1と定義することができる。上述の測定方法と同一方式を用いて、本体の第3方向の基準で2/4、3/4地点で測定した代表格子長さl2、l3を求めることができる。このとき、l1、l2、l3のうち最も大きい値(Max(l1、l2、l3))を格子状の溝形状の最大長さ(L)と定義することができる。
【0091】
平面図を基準とした格子状の溝形状の面積(A)とは、上述の方法で撮影したイメージを基準に格子状の溝形状の内部の面積を測定した値を意味することができる。
【0092】
例えば、本体の第3方向の基準で1/4地点で撮影されたイメージで確認することができる本体の断面に形成された格子状の溝形状の一面積を測定し、これを1pointとするとき、10pointの面積を測定して平均した値を代表格子面積a1と定義することができる。上述した測定方式と同一方式を用いて、本体の第3方向の基準で2/4、3/4地点で測定した代表格子面積a2、a3を求めることができる。このとき、a1、a2、a3のうち最も大きい値(Max(a1、a2、a3))を格子状の溝形状の面積(A)と定義することができる。
【0093】
本発明の一実施形態においては、セラミック電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造について説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変更することができる。
【0094】
外部電極131、132は本体110上に配置されて内部電極121、122と連結されることができる。
【0095】
より具体的には、外部電極131、132は、本体110の第3面3及び第4面4にそれぞれ配置され、第1内部電極121及び第2内部電極122とそれぞれ連結される第1外部電極131及び第2外部電極132を含むことができる。すなわち、第1外部電極131は本体の第3面3に配置され、第1内部電極121と連結されることができ、第2外部電極132は本体の第4面4に配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0096】
外部電極131、132は、金属などの導電性を有するものであれば、どのような物質を用いても形成されることができ、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されることができ、さらに多層構造を有することができる。
【0097】
例えば、外部電極131、132は、本体110に配置される電極層131a、132a、及び電極層131a、132a上に配置されるめっき層131b、132b、131c、132c、131d、132dを含むことができる。
【0098】
電極層131a、132aに対するより具体的な例を挙げると、電極層131a、132aは、導電性金属及びガラスを含む焼成電極であるか、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であることができる。
【0099】
また、電極層131a、132aは、本体110上に焼成電極及び樹脂系電極が順次形成された形態であることができる。
【0100】
また、電極層131a、132aは、本体110上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されるか、焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されたものであることができる。
【0101】
電極層131a、132aに用いられる導電性金属は、静電容量形成のために上記内部電極121、122と電気的に連結されることができる材料であれば特に制限されず、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上を含むことができる。電極層131a、132aは、上記導電性金属粉末にガラスフリットを添加して設けられた導電性ペーストを塗布した後、焼成することで形成されることができる。
【0102】
また、電極層131a、132aは、スパッタリングなどの薄膜堆積法またはめっき法などによって形成された電極層131a、132aであることができる。
【0103】
スパッタリング法等で形成した電極層131a、132aの平均厚さは1μm以下であることができ、好ましい下限は0.1μm以上であることができ、より好ましくは0.3μm以上であることができる。
【0104】
電極層131a、132aを薄膜堆積法などで形成する場合、均一でありながらも薄膜の厚さを有する電極層131a、132aを形成することができる。これにより、積層型電子部品100の小型化及び高容量化を同時に達成することができる。
【0105】
電極層131a、132aの平均厚さは、例えば、以下の方法で測定することができるが、特にこれに制限されるものではない。
【0106】
積層型電子部品100の第1方向及び第2方向の断面(cross‐section)を基準として、第1方向の中心部に形成された電極層131a、132aの第2方向のサイズ及び第1方向の中心部から第1方向に一定間隔、例えば3μmずつ離隔した地点での電極層131a、132aの第2方向のサイズを測定した後、平均して求めることができる。一定間隔で測定した電極層131a、132aの第2方向のサイズの測定値が多くなるほど、電極層131a、132の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0107】
めっき層131b、132b、131c、132c、131d、132dは、実装特性を向上させる役割を果たすことができる。
【0108】
めっき層131b、132b、131c、132c、131d、132dの種類は特に限定されず、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)及びこれらの合金のうち一つ以上を含む単一層のめっき層であることができ、複数の層から形成されることができる。
【0109】
めっき層131b、132b、131c、132c、131d、132dに対するより具体的な例を挙げると、めっき層131b、132bはNiめっき層またはSnめっき層であることができ、電極層131a、132a上の銅(Cu)めっき層131b、132b、ニッケル(Ni)めっき層131c、132c、及びスズ(Sn)めっき層131d、132dが順次配置された形態であることができる。
【0110】
本発明による格子状の溝形状は、外部電極131、132と接する本体110の表面の少なくとも一部に位置することができる。
【0111】
換言すると、本体110と外部電極131、132が接する界面である本体110の表面の少なくとも一部に位置することを意味することができる。
【0112】
上述したように、スパッタリング法などで電極層131a、132aを形成する場合には、ガラスフリットなどが添加されなくなり得る。これにより、セラミック本体との接合力が不足して本体と電極層との間に剥離が発生する可能性があるが、本発明の格子状の溝形状を本体の表面に形成することで、本体と電極層との間の表面積を増大させることができ、これによって本体と電極層との間の界面接合力が向上することができる。
【0113】
より具体的には、第1外部電極131が本体の第3面3及び第1面1の一部と第2面2の一部に配置される場合には、格子状の溝形状141も本体の第3面3及び第1面1の一部と第2面2の一部に位置することができる。第2外部電極132が本体の第4面4及び第1面1の一部と第2面2の一部に配置される場合には、格子状の溝形状141も本体の第4面4及び第1面1の一部と第2面2の一部に位置することができる。
【0114】
このとき、格子状の溝形状が形成された面積は、外部電極131、132と接する本体110の表面の面積の10%以上であることができる。
【0115】
より具体的には、第1外部電極131が本体の第3面3及び第1面1の一部及び第2面2の一部に配置される場合、格子状の溝形状141も本体の第3面3及び第1面1の一部及び第2面2の一部に位置することができる。
【0116】
ここで、第1外部電極131と本体110が接する面積をSと定義し、本体110と第1外部電極131が接する本体の表面のうち格子状の溝形状141が形成された面積をTAと定義するとき、TA/S≧10%を満たすことを意味することができる。第1外部電極131に対する説明は、第2外部電極132に対する説明にも同様に適用することができる。
【0117】
格子状の溝形状141の面積が、外部電極131、132と接する本体110の表面の面積の10%以上であることを満たすことで、本体110と外部電極131、132との間の界面接合力を向上させることができ、剥離や浮き現象が発生することを抑制することができる。
【0118】
また、格子状の溝形状141は、外部電極131、132が配置されていない本体110の表面にも位置することができ、これにより、基板への実装時に外部電極が配置されていない本体110の面にはんだ等による接合力が向上することができる。
【0119】
一方、格子状の溝形状141は、本体の第3面3及び第4面4に位置することができるが、内部電極121、122が本体の第3面3及び第4面4と接して外部に露出した領域には、格子状の溝形状が位置しないことがある。
【0120】
これは、格子状の溝形状をレーザを用いて形成する場合、特定波長帯の領域は内部電極の金属をエッチング(etching)することができず、誘電体層111のみをエッチングした結果であることができる。
【0121】
但し、特にこれに制限されるものではなく、レーザの強度、周波数等を調節して内部電極121、122にも格子状の溝形状141を形成させて界面接合力を増大させることに寄与することができる。
【0122】
サイドマージン部114、115が本体の第5面5及び第6面6に配置され、外部電極131、132がサイドマージン部114、115上に配置される場合には、サイドマージン部114、115の外表面の少なくとも一部に格子状の溝形状141が位置することができる。
【0123】
例えば、第1サイドマージン部114が本体の第5面5に配置される場合、本体の第5面5と平行な第1サイドマージン部114の外側面のうち、外部電極が配置される領域に格子状の溝形状が位置することができる。また、第1サイドマージン部114の第2方向の両端面(end‐surface)が本体の第3面3及び第4面4と同一平面上に存在する場合、第1サイドマージン部114の第2方向の外表面である両端面(end‐surface)の少なくとも一部に格子状の溝形状が位置することができる。第1サイドマージン部114に対する説明は、第2サイドマージン部115にも同様に適用することができる。
【0124】
換言すると、外部電極131、132と接する領域に格子状の溝形状141が位置することで、外部電極131、132の剥離や浮き現象を抑制することができ、積層型電子部品の小型化及び高容量化を達成することができるため、信頼性に優れることができる。
【0125】
積層型電子部品100のサイズは特に限定する必要はない。
【0126】
但し、小型化及び高容量化を同時に達成するためには、誘電体層及び内部電極の厚さを薄くして積層数を増加させる必要があるため、1005(長さ×幅:1.0mm×0.5mm)以下のサイズを有する積層型電子部品100において本発明による効果がより顕著になることができる。
【0127】
以上で、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付された特許請求の範囲によって定められるものである。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で当技術分野の通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これもまた本発明の範囲に属するものである。
【0128】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、これは本発明の具体的な理解を助けるためのものであり、本発明の範囲が実施例によって限定されるものではない。
【0129】
(実施例)
以下では、本体の表面に格子状の溝形状を形成した試験例1と格子状の溝形状を形成していない試験例2との界面接合力を評価した結果について説明する。
【0130】
試験例1は、1.5ワット(W)強度のレーザを用いてチップ(chip)の第3面のセラミック領域に格子状の溝形状を形成した後、スパッタリング法を用いて銅(Cu)電極層を0.5μmの厚さに形成した。この後、銅(Cu)電極層上に銅(Cu)電解めっき層を3μmめっきして密着力評価の一種であるテープテスト(tape test)を行った。後述するテープテストの後に、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて格子状の溝形状を撮影したイメージから測定した最大長さ(L)は10μmであり、面積(A)は48μmであった。
【0131】
試験例2は、格子状の溝形状を本体の表面に形成していないことを除いては、試験例1と同様に製作した。
【0132】
テープテストは、接着力のあるテープ素材を銅(Cu)電極層を含む外部電極に接着及び脱着を繰り返し、外部電極の銅(Cu)電極層が剥離するか否かを評価するテストである。
【0133】
各試験例1及び試験例2ごとに25個のサンプルチップを製作した後、10回の接着及び脱着を行ったテープテストの結果、試験例1では、25個のサンプルチップのいずれも銅(Cu)電極層の剥離が発生しなかったのに対し、試験例2では、25個のサンプルチップのうち5個のサンプルチップで銅(Cu)電極層の剥離が発生した。
【0134】
これにより、格子状の溝形状を形成して本体の表面積を増大させることで、本体と外部電極との間の剥離を抑制することができることが分かる。
【0135】
次に、格子状の溝形状の最適な最大長さ(L)、面積(A)、平均表面粗さ(Ra)、十点平均表面粗さ(Rz)及び表面積について測定したデータについて説明する。
【0136】
格子状の溝形状の最大長さ(L)は、走査型電子顕微鏡(SEM)を介して撮影したイメージで格子状の溝形状で測定することができる最大長さを意味し、面積(A)は走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影したイメージで一つの格子状の溝形状の内部面積を意味する。平均表面粗さ(Ra)、十点平均表面粗さ(Rz)は表面粗さ測定器によって測定し、表面積成長率(Sdr)は一つの格子状の溝形状の実際の3次元面積の成長率を意味し、表面領域が大きくなるほど微細度(fine)レベルが高いことを意味する。
【0137】
試験例3は、サンプルチップの本体表面に格子状の溝形状を形成していないサンプルチップであり、製作方法は上述した試験例2と同一である。
【0138】
試験例4は、試験例3の表面粗さの測定を完了した後、サンプルチップの本体表面に1.5ワット(W)の強度のレーザを照射して格子状の溝形状を形成し、再び表面粗さを測定した。製作方法は上述の試験例1と同一である。図11の(a)は、試験例4の本体の表面に形成された格子状の溝形状の最大長さ(L)及び面積(A)を測定するために、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影したイメージである。
【0139】
試験例5は、新しいサンプルチップの本体表面に1.0ワット(W)のレーザを照射して格子状の溝形状を形成し、表面粗さを測定した。レーザの強度を除いて、製作方法は上述の試験例1と同一である。図11の(b)は、試験例5の本体の表面に形成された格子状の溝形状の最大長さ(L’)及び面積(A’)を測定するために走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影したイメージである。
【0140】
【表1】
【0141】
格子状の溝形状を形成していない試験例3の場合、一般的な本体の表面粗さを示すものと評価することができ、平均表面粗さ(Ra)は0.181μm、十点平均表面粗さ(Rz)は1.750μm、表面積成長率(Sdr)は0.03753と測定された。
【0142】
格子状の溝形状を形成した試験例4の場合、平均表面粗さ(Ra)は0.655μm、十点平均表面粗さ(Rz)4.070μm、表面積成長率(Sdr)0.08183、最大長さ(L)10μm、面積(A)48μmと測定された。
【0143】
試験例4と異なる格子状の溝形状を形成した試験例5の場合、平均表面粗さ(Ra)は0.201μm、十点平均表面粗さ(Rz)1.390μm、表面積成長率(Sdr)0.06056、最大長さ(L)12μm、面積(A)66.5μmと測定された。
【0144】
試験例4の表面積成長率(Sdr)は0.08183であり、これは格子状の溝形状が形成されていない試験例3の表面積成長率(Sdr)である0.03753より2.18倍増加した数値である。2倍以上の表面積成長率の増大が発生する場合、本体と外部電極との間の界面接合力が増大できることが予測でき、このために試験例4の格子状の溝形状が最適条件であることが分かる。
【0145】
試験例5の表面積成長率(Sdr)は0.06056であり、これは格子状の溝形状が形成されていない試験例3の表面積成長率(Sdr)である0.03753より1.61倍増加した数値である。表面積成長率が増大するという点は同一であるが、試験例4よりは多少劣化した特性を有することが分かる。
【0146】
本明細書で使用された「一実施形態」という表現は、互いに同一の実施形態を意味するものではなく、それぞれ異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかしながら、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と組み合わせて実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態において説明された事項が他の一実施形態に説明されていなくても、他の一実施形態においてその事項と反対または矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関連する説明として理解することができる。
【0147】
本明細書で用いられた用語は、単に一実施形態を説明するために用いられたものであり、本開示を限定する意図ではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0148】
100 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
112、113 カバー部
114、115 サイドマージン部
121、122 内部電極
131、132 外部電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11