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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146707
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】ロータ、回転電機、および駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/06 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
H02K9/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023168466
(22)【出願日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2023058388
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】小川 幸祐
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 修二
(72)【発明者】
【氏名】杉野 優海
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼田 裕毅
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609BB03
5H609PP02
5H609PP07
5H609PP08
5H609PP09
5H609QQ02
5H609RR03
5H609RR16
5H609RR36
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コイルエンドを効率よく冷却することができるロータ、および回転電機、および駆動装置を提供する。
【解決手段】本発明の一実施態様のロータは、中心軸線を中心として回転可能なロータであって、軸方向に貫通する第1通気孔および第2通気孔が設けられるロータコアと、ロータコアの軸方向一方側または軸方向他方側の少なくとも一方の端面に対向して配置され、第1通気孔に繋がる流出路、および第2通気孔に繋がる流入路が設けられるファンと、を備える。ファンは、端面に対向する第1面と、第1面の径方向外側に位置する外側面と、第1面に設けられ第1通気孔と軸方向に重なる第1凹部と、を有する。第1凹部は、外側面に開口する第1開口部を有する。流出路の少なくとも一部は、端面と第1凹部で囲まれた空間に設けられる。第1開口部における流出路の流路断面積は、流入路の最小流路断面積よりも小さい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線を中心として回転可能なロータであって、
軸方向に貫通する第1通気孔および第2通気孔が設けられるロータコアと、
前記ロータコアの軸方向一方側または軸方向他方側の少なくとも一方の端面に対向して配置され、前記第1通気孔に繋がる流出路、および前記第2通気孔に繋がる流入路が設けられるファンと、を備え、
前記ファンは、
前記端面に対向する第1面と、
前記第1面の径方向外側に位置する外側面と、
前記第1面に設けられ前記第1通気孔と軸方向に重なる第1凹部と、を有し、
前記第1凹部は、前記外側面に開口する第1開口部を有し、
前記流出路の少なくとも一部は、前記端面と前記第1凹部で囲まれた空間に設けられ、
前記第1開口部における前記流出路の流路断面積は、前記流入路の最小流路断面積よりも小さい、
ロータ。
【請求項2】
前記第1開口部の周方向寸法は、前記最小流路断面積となる部分における前記流入路の周方向寸法よりも小さい、
請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記流出路は、径方向外側に向かうに従い流路断面積が小さくなる第1狭窄部を有する、
請求項1に記載のロータ。
【請求項4】
前記ファンは、軸方向に貫通する第1貫通孔を有し、
前記第1貫通孔は、前記第1凹部に繋がり前記流出路の少なくとも一部を構成する、請求項1に記載のロータ。
【請求項5】
前記ロータコアには、軸方向に貫通し内部にマグネットが配置される複数のマグネット孔が設けられ、
前記第1凹部は、軸方向から見て前記マグネット孔と異なる位置に設けられる、請求項1に記載のロータ。
【請求項6】
前記第1凹部は、前記第1通気孔側から前記外側面に向かって径方向外側に延び、前記ロータのq軸と軸方向に重なる、
請求項5に記載のロータ。
【請求項7】
前記第1凹部は、複数の前記第1開口部を有する、
請求項1に記載のロータ。
【請求項8】
前記ファンには、軸方向に貫通する第1連通孔が設けられ、
前記ロータコアは、
軸方向に貫通し、内部にマグネットが配置され、周方向に互いに隣り合う一対のマグネット孔と、
軸方向に貫通し前記第1連通孔と連通する第2連通孔と、が設けられ、
前記一対のマグネット孔は、周方向に互いに間隔を空けて配置され、軸方向から見て径方向内側から径方向外側に向かうに従い互いに周方向に離れる方向に延び、
前記第2連通孔は、前記一対の前記マグネット孔の周方向の間に位置する、請求項1に記載のロータ。
【請求項9】
前記第1連通孔と前記第2連通孔とは、前記第1凹部を介して互いに繋がる、請求項8に記載のロータ。
【請求項10】
前記中心軸線を中心として軸方向に延びるシャフトと、
前記ファンの軸方向一方側に前記ファンと軸方向に対向して配置される固定部材と、を有し、
前記固定部材は、前記シャフトが挿入される第1シャフト挿通孔を有し、
前記固定部材の外側面には、径方向外側に突出する第1凸部が設けられ、
前記ファンは、
軸方向に貫通し、前記シャフトが挿入される第2シャフト挿通孔と、
軸方向に貫通し、前記流入路又は前記流出路の何れか一方の少なくとも一部を構成する貫通孔と、
前記第1面の反対側に位置する第2面と、
前記第2面から軸方向他方側に凹み、径方向に延び前記第1凸部が配置される凹溝と、を有し、
前記凹溝の径方向外側の端部は、前記貫通孔に繋がる、請求項1に記載のロータ。
【請求項11】
前記中心軸線を中心として軸方向に延びるシャフトと、
前記ファンの軸方向一方側に前記ファンと軸方向に対向して配置される固定部材と、を有し、
前記固定部材は、前記シャフトが挿入される第1シャフト挿通孔を有し、
前記固定部材の外側面には、径方向外側に突出する第1凸部が設けられ、
前記ファンは、
軸方向に貫通し、前記シャフトが挿入される第2シャフト挿通孔と、
軸方向に貫通し、周方向に並び、前記流入路又は前記流出路の何れか一方の少なくとも一部を構成する複数の貫通孔と、
前記第1面の反対側に位置する第2面と、
前記第2面から軸方向他方側に凹む凹溝と、を有し、
前記凹溝は、複数の前記貫通孔の間に位置し、
前記凹溝には、前記第1凸部が配置される、
請求項1に記載のロータ。
【請求項12】
前記凹溝の軸方向一方側の端部には、かしめ部が設けられ、
前記かしめ部の一部は、前記凹溝内に突出して前記第1凸部と軸方向に対向する、
請求項11に記載のロータ。
【請求項13】
中心軸線を中心として軸方向に延びるシャフトを備え、
前記シャフトの外周面には、径方向内側に向かって凹み軸方向に延びるキー溝が設けられ、
前記ファンは、
軸方向に貫通し前記シャフトが挿入される第2シャフト挿通孔と、
軸方向に貫通し前記流入路又は前記流出路の何れか一方の少なくとも一部を構成する複数の貫通孔と、
前記第2シャフト挿通孔の内側面から径方向内側に突出し、前記キー溝に配置される第2凸部が設けられ、
複数の前記貫通孔は、周方向に並んで配置され、
軸方向から見て、前記第2凸部の周方向の中心と前記中心軸線とを結ぶ仮想線は、周方向に隣り合う前記貫通孔同士の間に位置する、
請求項1に記載のロータ。
【請求項14】
前記ファンは、
軸方向に貫通する第2貫通孔と、
前記第1面に設けられ、軸方向一方側に凹むとともに、前記第2貫通孔に繋がる第2凹部と、を有し、
前記第2凹部は、前記外側面に開口する第2開口部を有し、
前記流入路は、前記端面と前記第2凹部で囲まれた空間、および前記第2貫通孔によって構成される、
請求項1に記載のロータ。
【請求項15】
前記流入路は、流路断面積が径方向外側に向かうに従い小さくなる第2狭窄部を有する、
請求項14に記載のロータ。
【請求項16】
前記ファンには、複数の前記流入路が設けられ、
前記ファンは、前記第1面に設けられ、軸方向一方側に凹む第3凹部を有し、
前記第3凹部は、複数の前記流入路同士を繋ぐ、
請求項1に記載のロータ。
【請求項17】
前記ファンには、複数の前記流出路が設けられ、
前記ファンは、前記第1面に設けられ、軸方向一方側に凹む第4凹部を有し、
前記第4凹部は、複数の前記流出路同士を繋ぐ、
請求項1に記載のロータ。
【請求項18】
前記第4凹部は、前記第1凹部同士を繋ぐ、
請求項17に記載のロータ。
【請求項19】
前記ファンは、前記第1面に設けられ、軸方向一方側に凹む第5凹部を有し、
前記第5凹部は、前記流入路と前記流出路とを繋ぐ、
請求項1に記載のロータ。
【請求項20】
請求項1~19の何れか一項に記載のロータと、
前記ロータの径方向外側に位置するステータと、を備える、回転電機。
【請求項21】
請求項20に記載の回転電機と、
前記回転電機の動力を伝達する動力伝達部と、を備える、駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ、回転電機、および駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電気自動車への関心の高まりとともに、回転電機を冷却する方法についても様々に開発が進んでいる。例えば、ロータの軸方向端部に配置されるファンロータ内からコイルに向けて風を送ることでロータおよびコイルを冷却する回転電機が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-211862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ファンの形状によっては、コイルに向けて吹き出される空気の流速が不十分となり、コイルを効率よく冷却できない可能性があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、コイルエンドを効率よく冷却することができるロータ、および回転電機、および駆動装置の提供を目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のロータの一つの態様は、中心軸線を中心として回転可能なロータであって、軸方向に貫通する第1通気孔および第2通気孔が設けられるロータコアと、前記ロータコアの軸方向一方側または軸方向他方側の少なくとも一方の端面に対向して配置され、前記第1通気孔に繋がる流出路、および前記第2通気孔に繋がる流入路が設けられるファンと、を備える。前記ファンは、前記端面に対向する第1面と、前記第1面の径方向外側に位置する外側面と、前記第1面に設けられ前記第1通気孔と軸方向に重なる第1凹部と、を有する。前記第1凹部は、前記外側面に開口する第1開口部を有する。前記流出路の少なくとも一部は、前記端面と前記第1凹部で囲まれた空間に設けられる。前記第1開口部における前記流出路の流路断面積は、前記流入路の最小流路断面積よりも小さい。
【0007】
本発明の回転電機の一つの態様は、上述のロータと、前記ロータの径方向外側に位置するステータと、を備える。
【0008】
本発明の駆動装置の一つの態様は、上述の回転電機と、前記回転電機の動力を伝達する動力伝達部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一つの態様によれば、コイルエンドを効率よく冷却することができるロータ、回転電機、および駆動装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態の駆動装置の概念図である。
図2図2は、一実施形態のロータの断面図である。
図3図3は、一実施形態のファンの斜視図である。
図4図4は、一実施形態のファンの背面図である。
図5図5は、図4のV-V線に沿うファンの断面図である。
図6図6は、図4のVI-VI線に沿うファンの断面図である。
図7図7は、変形例1のファンの背面図である。
図8図8は、変形例1のファンの正面図である。
図9図9は、変形例2のファンの背面図である。
図10図10は、図9のX-X線に沿うファンの断面図である。
図11図11は、変形例3のファンの背面図である。
図12図12は、変形例4のファンの背面図である。
図13図13は、変形例5のファンの背面図である。
図14図14は、変形例6のファンおよび固定部材の斜視図である。
図15図15は、変形例6のファンおよび固定部材の正面図である。
図16図16は、変形例6のファンおよび固定部材の部分断面模式図である。
図17図17は、変形例6のファンおよび固定部材の部分拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施形態について詳細に説明する。以下の説明では、駆動装置1が水平な路面上に位置する車両に搭載された場合の位置関係を基に、重力方向を規定して説明する。以下の説明において特に断りのない限り、回転電機2の中心軸線Jに平行な方向(Y軸方向)を単に「軸方向」と呼び、中心軸線Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸線Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸線Jの軸周りを単に「周方向」と呼ぶ。ただし、上記の「平行な方向」は、略平行な方向も含む。本実施形態の駆動装置1は、中心軸線Jが水平方向と平行となるように配置されるものとして説明するが、中心軸線Jの姿勢は、必ずしも限定されない。
なお、本明細書において、「軸方向を向く」とは、軸方向と平行な方向、又は軸方向成分を有する方向を向くことを意味する。
【0012】
<駆動装置>
図1は、一実施形態の駆動装置1の概念図である。
本実施形態の駆動装置1は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等、回転電機を動力源とする車両に搭載され、その動力源として使用される。
【0013】
駆動装置1は、回転電機2と、動力伝達部50と、回転電機2および動力伝達部50を収容するハウジング6と、を備える。また、駆動装置1は、さらに回転電機2を制御するインバータ(図示略)を有していてもよい。
【0014】
<動力伝達部>
動力伝達部50は、ロータ20に接続されて回転電機2の動力を伝達する。動力伝達部50は、第1シャフト54、第2シャフト55、第1ギヤ51、第2ギヤ52、第3ギヤ53、および差動装置56を有する。差動装置56は、リングギヤ56g、および一対の出力シャフト57を有する。一対の出力シャフト57には、それぞれ車輪(図示略)が接続される。
【0015】
第1シャフト54は、中心軸線Jを中心として軸方向に延びる。第1シャフト54は、後述する回転電機2のロータ20に連結されて、ロータ20とともに回転する。第1ギヤ51は、第1シャフト54の外周面に設けられる。第2シャフト55は、中心軸線Jと平行な中間軸線J2を中心として回転する。第2ギヤ52および第3ギヤ53は、第2シャフト55の外周面に設けられる。第2ギヤ52は、第1ギヤ51と噛み合う。第3ギヤ53は、差動装置56のリングギヤ56gと噛み合う。差動装置56は、第3ギヤ53から伝えられるトルクを、車両の旋回時に、左右の車輪の速度差を吸収しつつ出力シャフト57に同トルクを伝達する。回転電機2から出力されるトルクは、第1シャフト54、第1ギヤ51、第2ギヤ52、第2シャフト55および第3ギヤ53を介して差動装置56のリングギヤ56gに伝達され、差動装置56の差動機構部を介して一対の出力シャフト57に出力される。
【0016】
<回転電機>
本実施形態の回転電機2は、インナーロータ型の三相交流モータである。回転電機2は、モータとして動力を出力する機能と発電機として発電する機能とを兼ね備える。回転電機2は、モータ、又は発電機の何れかとして用いられるものであってもよい。また、回転電機2の構成は本実施形態に限定されず、例えば直流モータや四相以上の交流モータであってもよい。回転電機2は、中心軸線Jを中心として回転可能なロータ20と、ロータ20の径方向外側に位置するステータ30と、を備える。
【0017】
<ステータ>
ステータ30は、ハウジング6に保持される。ステータ30は、ロータ20を径方向外側から囲む。ステータ30は、中心軸線Jを中心とする略環状のステータコア32と、ステータコア32に装着されるコイル31と、ステータコア32とコイル31との間に介在するインシュレータ(図示略)とを有する。
【0018】
ステータコア32は、略環状のコアバック部32aと、コアバック部32aから径方向内側に延びる複数のティース部32bと、を有する。コアバック部32aは、例えば、圧入、焼き嵌め、接着、ボルト等の固定部材などにより、ハウジング6に保持される。複数のティース部32bは、周方向に沿って並ぶ。周方向に並ぶティース部32b同士の間には、コイル線が配置される。隣り合うティース部の間に位置するコイル線は、コイル31を構成する。コイル31は、ステータコア32の軸方向両側の端面から軸方向にそれぞれ突出する一対のコイルエンド31aを有する。コイルエンド31aは、コイル線が束ねられて構成されている。
【0019】
<ロータ>
ロータ20は、中心軸線Jを中心として軸方向に延びるシャフト21と、シャフト21の外周面に固定されるロータコア24と、ロータコア24に固定される複数のマグネット25と、一対のファン4と、一対の固定部材5と、を有する。シャフト21は、中心軸線Jを中心として回転可能である。
【0020】
ロータコア24は、軸方向に延びる柱状である。ロータコア24は、軸方向一方側および軸方向他方側にそれぞれ端面24fを有する。すなわち、ロータコア24は、一対の端面24fを有する。ロータコア24の軸方向一方側の端面24fは軸方向一方側を向き、ロータコア24の軸方向他方側の端面24fは軸方向他方側を向く。一対の端面24fには、それぞれファン4が取り付けられる。ロータコア24は、磁性体製である。図示は省略するが、本実施形態では、ロータコア24は、複数の板部材が軸方向に積層されて構成されている。複数の板部材は、1枚ごと、又は複数枚ごとに周方向位置をずらして積層されていてもよい。すなわち、ロータコア24には、スキューが施されていてもよい。
【0021】
図2は、本実施形態のロータ20の断面図である。
図2に示すように、ロータ20には、複数の磁極20Pが設けられている。本実施形態のロータ20には、4つのN極と4つのS極とを含む8つの磁極20Pが設けられる。N極およびS極の磁極20Pは、周方向に交互に配置される。
【0022】
図2に示すように、ロータ20に複数の第1仮想線Ldと複数の第2仮想線Lqとを想定する。第1仮想線Ldは、軸方向から見て、ロータ20のd軸上を通っている。第1仮想線Ldが延びる方向は、ロータ20のd軸方向である。すなわち、第1仮想線Ldが延びる方向は、主磁束方向である。一方で、第2仮想線Lqは、ロータ20のq軸上を通っている。第2仮想線Lqの延びる方向は、ロータ20のq軸方向である。第2仮想線Lqの延びる方向は、第1仮想線Ldの延びる方向と、電気的に直交する。第1仮想線Ldと第2仮想線Lqとは、周方向に沿って交互に設けられる。図2では、一部の第1仮想線Ldおよび一部の第2仮想線Lqのみを図示するが、ロータ20には、磁極20Pと同数の第1仮想線Ld、および第2仮想線Lqが想定される。
【0023】
ロータコア24には、中央孔24cと、複数の通気孔24a、24bと、複数のマグネット孔24hと、複数の第2連通孔24dと、が設けられる。中央孔24c、通気孔24a、24b、マグネット孔24h、および第2連通孔24dは、軸方向に延びてロータコア24を軸方向に貫通する。中央孔24c、通気孔24a、24b、マグネット孔24h、および第2連通孔24dは、ロータコア24の一対の端面24fのそれぞれにおいて、軸方向に開口する。
【0024】
中央孔24cは、中心軸線Jを中心として軸方向に沿って延びる。本実施形態において、中央孔24cは、軸方向から見て略円形である。中央孔24cには、シャフト21が挿入される。シャフト21は、中央孔24cの内側面に固定される。
【0025】
中央孔24cの内側面には、径方向内側に突出する2つの第1凸部24eが設けられる。第1凸部24eは、軸方向に沿って直線状に延びる。2つの第1凸部24eは、中心軸線Jに対し反対側に配置される。一方で、シャフト21の外周面には、径方向内側に凹む2つのキー溝21gが設けられる。キー溝21gは、軸方向に直線状に延びる。第1凸部24eは、キー溝21gに挿入される。これにより、ロータコア24は、シャフト21に対し周方向に位置決めされる。
【0026】
複数の通気孔24a、24bは、周方向に沿って並んで配置される。本実施形態では、複数の通気孔24a、24bは、周方向に沿って等間隔に配置される。通気孔24a、24bは、軸方向から見て、第2仮想線Lq上に配置される。通気孔24a、24bは、軸方向から見て、径方向外側に向かって凸となる形状である。より詳細には、本実施形態の通気孔24a、24bは、軸方向から見て、径方向外側に凸となる角丸の略三角形状である。通気孔24a、24bの形状は、本実施形態に限定されない。通気孔24a、24bの形状は、軸方向から見て、例えば、円形、楕円形、多角形、少なくとも一部が周方向や径方向に突出する形状であってもよい。
【0027】
複数の通気孔24a、24bは、第1通気孔24aと第2通気孔24bとを含む。すなわち、ロータコア24には、第1通気孔24a、および第2通気孔24bが設けられる。本実施形態において、第1通気孔24a、および第2通気孔24bは、周方向に沿って交互に並ぶ。本実施形態のロータ20には、4つの第1通気孔24aと4つの第2通気孔24bとが設けられる。本実施形態の第1通気孔24aと第2通気孔24bの形状は、互いに等しい。第1通気孔24aと第2通気孔24bとは、内部を流れる空気の流動方向が互いに異なる。なお、第1通気孔24aと第2通気孔24bの形状は、互いに異なっていてもよい。
【0028】
複数のマグネット孔24hは、周方向に沿って並ぶ。マグネット孔24hの内部には、マグネット25が配置される。複数のマグネット孔24hは、複数の第1マグネット孔24qと、複数の第2マグネット孔24pと、を含む。本実施形態の第2マグネット孔24pの数は、第1マグネット孔24qの数の2倍である。1つの第1マグネット孔24qと2つの第2マグネット孔24pに配置される合計3つのマグネット25は、1つの磁極20Pを構成する。ここで、1つの磁極20Pを構成する3つのマグネット25を収容する3つのマグネット孔24hの組を孔グループGと呼ぶ。また、1つの孔グループGに属する2つの第2マグネット孔24pを孔ペアPと呼ぶ。本実施形態のロータコア24には、8組の孔グループGが設けられる。また、1つの孔グループGには、1つの第1マグネット孔24qと、1つの孔ペアPと、が含まれる。1つの孔ペアPの2つの第2マグネット孔24pは、周方向に隣り合う。すなわち、本実施形態のロータコア24には、周方向に互いに隣り合う一対の第2マグネット孔24pが、8対だけ設けられている。
【0029】
孔ペアPの2つの第2マグネット孔24pは、軸方向から見て、第1仮想線Ldに対して対称に配置される。第1仮想線Ldに対し周方向一方側(+θ側)の第2マグネット孔24pは、径方向外側へ向かうに従い周方向一方側(+θ側)に向けて延びる。また、第1仮想線Ldに対して周方向他方側(-θ側)の第2マグネット孔24pは、径方向外側へ向かうに従い周方向他方側(-θ側)に向けて延びる。すなわち、孔ペアPの一対の第2マグネット孔24pは、周方向に互いに間隔を空けて配置され、軸方向から見て径方向内側から径方向外側に向かうに従い互いに周方向に離れる方向に延びる。第1マグネット孔24qは、同じ孔グループGに属する一対の第2マグネット孔24pの各径方向外側の端部間に配置されて、周方向に沿って延びる。
【0030】
複数の第2連通孔24dは、周方向に沿って並ぶ。本実施形態の第2連通孔24dは、第1仮想線Ld上に配置される。第2連通孔24dは、軸方向から見て孔グループGの3つのマグネット孔24hに囲まれる。第2連通孔24dは、孔ペアPを構成する一対の第2マグネット孔24pの周方向の間に位置する。本実施形態の第2連通孔24dは、軸方向から見て径方向と直交する方向に直線状に延びる長孔状である。しかしながら、第2連通孔24dの形状は、本実施形態に限定されない。
【0031】
(マグネット)
マグネット25は、各マグネット孔24hに1つずつ配置される。本実施形態において、マグネット25は、マグネット孔24hの内側面に接着剤などの固定手段によって固定されている。なお、マグネット25は、かしめや圧入などの固定手段によってマグネット孔24h内に固定されていてもよい。マグネット25の種類は、特に限定されない。マグネット25は、例えば、ネオジム磁石であってもよいし、フェライト磁石であってもよい。本実施形態では、マグネット25は、軸方向に長い直方体状である。したがって、本実施形態のマグネット25は、軸方向から見て矩形状である。より詳細には、本実施形態のマグネット25は、軸方向から見て、略長方形である。マグネット25は、例えば、ロータコア24の軸方向一端部から軸方向他端部まで延びる。なお、マグネット25の軸方向の寸法は、ロータコア24の軸方向の寸法(マグネット孔24hの軸方向の寸法)よりも短くてもよい。また、マグネット25の形状は、上述のものに限られない。なお、1つの第1マグネット孔24qに配置されるマグネット25は、複数のマグネットから構成されてもよい。第2マグネット孔24pに配置されるマグネット25は、複数のマグネットから構成されてもよい。第1マグネット孔24qに配置されるマグネットの種類は、第2マグネット孔24pに配置されるマグネットの種類と異なっていてもよい。
【0032】
以下の説明において、第1マグネット孔24qに配置されるマグネット25を第1マグネット25qと呼び、第2マグネット孔24pに配置されるマグネット25を第2マグネット25pと呼ぶ。磁極20Pには、1つの第1マグネット25qと2つの第2マグネット25pとの合計3つのマグネット25が含まれる。本実施形態の第2マグネット25pの数は、第1マグネット25qの数の2倍である。
【0033】
第1マグネット25qは、軸方向から見て、長手方向が第1仮想線Ldと直交して配置される。また、1つの磁極20Pに属する2つの第2マグネット25pは、第1マグネット25qの径方向内側において第1仮想線Ldに対し周方向に対称に配置される。さらに1つの磁極20Pにおいて、2つの第2マグネット25pは、径方向外側に向かうに従い互いに離間する。第1マグネット25qおよび第2マグネット25pは、それぞれ厚さ方向を磁化方向とする。1つの磁極20Pを構成する第1マグネット25q、および2つの第2マグネット孔24pは、それぞれ径方向外側に同極を向ける。例えば、第1マグネット25qの径方向外側を向く面がN極(又はS極)である場合、2つの第2マグネット孔24pの径方向外側を向く面もN極(又はS極)である。
【0034】
<ファン>
ファン4は、ロータコア24の軸方向一方側および他方側の端面24fに、それぞれ取り付けられる。ファン4は、軸方向において、ロータコア24と固定部材5との間に配置される。固定部材5は、略円環状の部材であり、シャフト21の外周面に圧入される。これにより、固定部材5は、シャフト21に固定される。また、固定部材5は、ロータコア24との間にファン4を挟み込むことで、ファン4が軸方向においてシャフト21から離脱することを抑制する。
【0035】
一対のファン4は、ロータコア24とともに中心軸線J周りを回転する。各ファン4は、軸方向一方側および他方側において、それぞれコイルエンド31aの径方向内側に位置する。本実施形態において、一対のファン4は、互いに同形状である。後述するように、一対のファン4は、ロータコア24に対し中心軸線J周りの取り付け角度が互いに異なる。
【0036】
本実施形態のファン4は、アルミニウム合金から構成され、例えば、アルミダイカストによって成形される。なお、ファン4は、樹脂材料から構成されていてもよいし、他の金属材料から構成されていてもよい。ファン4は、アルミダイカストだけでなく、切削加工やプレス加工など他の方法によって形成されてもよい。
【0037】
本実施形態のファン4は、ロータコア24の端面24fを覆う。ファン4は、ロータコア24の複数のマグネット孔24hを覆う。これにより、マグネット孔24hからのマグネット25の離脱を抑制することができる。また、ファン4は、マグネット25の一部が欠損した場合であっても、マグネット25の破片がロータ20から離脱することを抑制することができる。すなわち、本実施形態によれば、ファン4とロータコア24との間に、マグネット孔24hの開口を覆うためのプレートなどの別部材を設ける必要がなく、部品点数を減らしてロータ20を安価に製造できる。
【0038】
ファン4には、複数の流入路45、および複数の流出路46が設けられる。複数の流入路45、および複数の流出路46は、それぞれ複数の通気孔24a、24bの何れかに繋がる。ここで、一対のファン4のうちロータコア24の+Y側に位置する一方を第1ファン4Aとし、ロータコア24の-Y側に位置する他方を第2ファン4Bとする。第1ファン4Aと第2ファン4Bとは、ロータコア24に対し中心軸線J周りの取り付け角度が互いに異なる。第1ファン4Aの流入路45は、第2通気孔24bに繋がり、第1ファン4Aの流出路46は、第1通気孔24aに繋がる。一方で、第2ファン4Bの流入路45は、第1通気孔24aに繋がり、第1ファン4Aの流出路46は、第2通気孔24bに繋がる。すなわち、第1通気孔24a、および第2通気孔24bは、それぞれ、一対のファン4のうち一方のファン4の流入路45と、他方のファン4の前記流出路46と、を繋ぐ。
【0039】
流出路46は、径方向に沿って延びて径方向外側に向けて開口する。ロータ20が回転すると、流出路46内部の空気には、ファン4の中心軸線J周りの回転に伴う遠心力が加わる。これにより、流出路46の内部の空気は、径方向外側に吹き出される。流出路46から空気が吹き出されることによって、流出路46に繋がる通気孔24a、24bの内部には負圧が生じる。これにより、通気孔24a、24bの内部に流入路45を介して空気が流入する。通気孔24a、24bには、軸方向に沿う空気の流れが形成される。
【0040】
本実施形態によれば、空気が通気孔24a、24b内を軸方向に流れることで、ロータ20の内部を流れる空気によって冷却することができる。また、本実施形態によれば、第1通気孔24aの内部の空気と第2通気孔24bの内部の空気は、互いに軸方向の逆方向に向かって流れる。このため、ロータ20において、第1通気孔24aの内側面に加わる空気抵抗の反力と、第2通気孔24bの内側面に加わる空気抵抗の反力と、が互いに打ち消し合う。本実施形態によれば、空気抵抗の反力でロータ20に偏った力が加わることを抑制でき、ロータ20の回転バランスの悪化を抑制できる。
【0041】
図3は、ファン4の斜視図であり、図4は、ファン4の背面図である。
第1ファン4Aと第2ファン4Bとは、ロータコア24に対し取り付けられる姿勢が異なる点を除いて同様の構成を有する。以下の説明では、Y軸に対する第1ファン4Aの姿勢を基にして、一対のファン4の各部の位置および形状を説明する。以下のファン4の説明において、取り付くロータコア24の端面24fが向く方向を軸方向一方側(+Y側)とし、その反対方向を軸方向他方側(-Y側)とする。
【0042】
図3に示すように、ファン4は、本体部40と、リブ49と、を有する。本体部40は、軸方向と直交して延びる板状である。本体部40は、軸方向から見て中心軸線Jを中心とする略円形である。すなわち、本体部40は、略円盤状である。本体部40は、軸方向他方側(-Y側)を向く第1面40aと、軸方向一方側(+Y側)を向く第2面40bと、径方向外側を向く外側面40cと、を有する。すなわち、ファン4は、第1面40a、第2面40b、および外側面40cを有する。第1面40a、および第2面40bは、それぞれ軸方向と直交する平面状である。第1面40aは、ロータコア24の端面24fに対向し接触する。外側面40cは、第1面40aの径方向外側に位置する。言い換えると、外側面40cは、第2面40bの径方向外側に位置する。外側面40cは、第1面40aと第2面40bに接続される。第2面40bは、軸方向において、第1面40aの反対側に位置する。
【0043】
図4に示すように、本体部40には、第2シャフト挿通孔40hと、複数の貫通孔(第2貫通孔)42と、複数の第1連通孔48と、複数の第1凹部43と、複数の肉抜き凹部40jと、が設けられる。すなわち、ファン4は、第2シャフト挿通孔40h、複数の貫通孔42、複数の第1連通孔48、複数の第1凹部43、および複数の肉抜き凹部40jを有する。第2シャフト挿通孔40h、貫通孔42、および第1連通孔48は、ファン4を軸方向に貫通する。
【0044】
軸方向から見て、第2シャフト挿通孔40hは、中心軸線Jを中心とする略円形である。第2シャフト挿通孔40hには、シャフト21が挿入される。第2シャフト挿通孔40hの内径は、シャフト21の外径より大きい。第2シャフト挿通孔40hの内側面には、径方向内側に突出する複数の第2凸部40eが設けられる。本実施形態では、第2シャフト挿通孔40hの内側面には、径方向内側に突出する2つの第2凸部40eが設けられる。すなわち、ファン4は、第2シャフト挿通孔40hの内側面から径方向内側に突出する第2凸部40eを有する。2つの第2凸部40eは、中心軸線Jに対し反対側に配置される。第2凸部40eは、キー溝21g内に配置される。これにより、ロータコア24は、シャフト21に対し周方向に位置決めされる。
【0045】
ここで、ファン4を軸方向から見て、第2凸部40eの周方向の中心と中心軸線Jとを結ぶ仮想線VLを想定する。本実施形態において、仮想線VLは、周方向に隣り合う貫通孔42同士の間に位置する。すなわち、仮想線VLは、軸方向から見て、貫通孔42と重ならない。第2凸部40eは、ロータ20の回転時にキー溝21gの内側面から力を受ける。このため、第2凸部40eの根元には、回転時に大きな応力が加わる。一方で、流入路45又は流出路46を構成する貫通孔42は、空気を通すために一定以上大きくする場合がある。この場合、ファン4は、貫通孔42の近傍で剛性が低下する可能性がある。本実施形態によれば、第2凸部40eの周方向の中心を通る仮想線VLが貫通孔42を避けて配置されることで、第2凸部40eの根元部分の剛性が貫通孔42の影響で低下することを抑制できる。これにより、回転時に凸部40eが受ける力によってファン4が変形することを抑制できる。なお、後段において説明するように、本実施形態の貫通孔42は、流入路45を構成している。しかしながら、仮想線VLを避けて配置される貫通孔は、流入路45を構成するものに限られず、流出路46を構成するものも含まれる。すなわち、仮想線VLが間を通る周方向に隣り合う貫通孔は、流入路45、又は流出路46の何れか一方の少なくとも一部を構成していればよい。流出路46の一部が、貫通孔によって構成される例としては、後段の変形例2のファン204(図9参照)が挙げられる。
【0046】
図4に示すように、本実施形態の貫通孔42は、ファン4に4つ設けられる。複数の貫通孔42は、周方向に並ぶ。本実施形態の複数の貫通孔42は、周方向に等間隔に並ぶ。貫通孔42は、軸方向から見て第2通気孔24bに重なる。貫通孔42は、第2通気孔24bに空気を導く。すなわち、貫通孔42は、流入路45を構成する。また、流入路45は、軸方向に延びる。このため、本実施形態の流入路45の流路断面積は、軸方向と直交する断面における貫通孔42の断面積として定義できる。なお、本明細書において、「流路断面積」とは流路を流れる流体の流動方向と直交する断面における、当該流路の断面積を意味する。また、貫通孔42は、軸方向から見て第2通気孔24bと、全部が重なっていてもよく、少なくとも一部が重なっていてもよい。
【0047】
貫通孔42の第1面40aにおける開口は、軸方向から見て、少なくとも一方向に凸となる形状である。本実施形態の貫通孔42の第1面40aにおける開口は、軸方向から見て、径方向外側に凸となる角丸の略三角形状である。本実施形態において、貫通孔42の第1面40aにおける開口の形状は、通気孔24a、24bの端面24fにおける開口の形状と略同形状である。しかしながら、貫通孔42の開口の形状は、限定されない。貫通孔42の第1面40aにおける開口の形状は、通気孔24a、24bの端面24fにおける開口の形状と異なっていてもよい。貫通孔42の第1面40aにおける開口の形状は、通気孔24aまたは通気孔24bのいずれか一方と同じであり、いずれか他方と異なっていてもよい。
【0048】
図5は、図4のV-V線に沿うファン4の断面図である。貫通孔42は、第1面40aおよび第2面40bに開口する。図3に示すように、本実施形態において、貫通孔42の第2面40bにおける開口は、軸方向から見て、略矩形状である。したがって、貫通孔42の流路断面形状は、軸方向に沿って変化する。貫通孔42の第2面40bにおける開口の面積は、貫通孔42の第1面40aにおける開口の面積よりも大きい。貫通孔42の中心軸線Jと直交する断面における断面積は、軸方向一方側(+Y側)に向かうに従い大きくなる。
【0049】
図4に示すように、本実施形態において、第1凹部43は、ファン4に4つ設けられる。第1凹部43は、第1面40aに設けられる。本実施形態の複数の第1凹部43は、周方向に等間隔に並ぶ。また、第1凹部43は、周方向に並ぶ2つの貫通孔42の間に配置される。すなわち、貫通孔42と第1凹部43とは、周方向に交互に並ぶ。第1凹部43は、軸方向から見て第1通気孔24aに重なる。
【0050】
第1凹部43は、軸方向からみて第1通気孔24aに重なる接続部43aと、接続部43aから径方向外側に延びる溝部43bと、外側面40cに開口する開口部(第1開口部)43cと、を有する。接続部43aは、軸方向から見て、径方向外側に向かって凸となる形状が望ましい。本実施形態の接続部43aは、軸方向から見て、径方向外側に凸となる角丸の略三角形状である。接続部43aの軸方向から見た形状は、通気孔24a、24bの端面24fにおける開口の形状と略同形状である。溝部43bは、接続部43aの径方向外側の端部に繋がる。溝部43bは、軸方向においてロータコア24の端面24fと対向する。溝部43bの径方向内側の端部は、接続部43aに繋がる。溝部43bの径方向外側の端部は、開口部43cを構成する。なお、第1凹部43の軸方向から見た形状は、限定されない。
【0051】
図6は、図4のVI-VI線に沿うファン4の断面図である。本実施形態の第1凹部43は、全体に亘って一様な深さで第1面40aに対して軸方向一方側(+Y側)に窪む。しかしながら、第1凹部43の深さは、必ずしも一様でなくてもよい。
【0052】
第1凹部43とロータコア24の端面24fとに囲まれた空間は、第1通気孔24a内の空気を径方向外側に導く流出路46として機能する。すなわち、流出路46の少なくとも一部は、ロータコア24の端面24fと第1凹部43で囲まれた空間に設けられる。本実施形態の流出路46の上流側の領域は、接続部43aの内部に設けられ、下流側の領域は、溝部43bの内部に設けられる。第1凹部43は、径方向に沿って延びて外側面40cで開口する。すなわち、流出路46は、径方向に延びる。このため、本実施形態の流出路46の流路断面積は、径方向と直交する断面における第1凹部43の断面積として定義できる。
【0053】
図3に示すように、本実施形態において、第1凹部43の開口部43cは、径方向から見て略矩形状である。開口部43cは、径方向外側を向く。ロータ20の回転時において、開口部43cは、流出路46内の空気を吹き出すための吹出口として機能する。開口部43cは、径方向においてコイルエンド31aと対向する。ロータ20の回転時に開口部43cから吹き出された空気は、コイルエンド31aに当たり、コイルエンド31aを冷却することができる。
【0054】
図4に示すように、接続部43aの周方向寸法は、径方向外側に向かうに従い徐々に小さくなる。このため、流出路46では、接続部43a内に設けられる領域において流路断面積が徐々に小さくなる。流出路46のうち接続部43a内に設けられる領域を狭窄部(第1狭窄部)46tと呼ぶ。すなわち、流出路46は、径方向外側に向かうに従い流路断面積が小さくなる狭窄部46tを有する。一方で、本実施形態の溝部43bは、全長に亘って一様な幅および深さで開口部43cまで延びる。このため、流出路46は、溝部43bの径方向内側の端部から開口部43cに至るまで流路断面積が略一定である。流出路46の流路断面積は、上流側よりも下流側の方が小さい。ここで、開口部43cにおける流出路46の流路断面積を開口流路断面積S1と呼ぶ。本実施形態の開口流路断面積S1は、流出路46の最小の流路断面積となる。
【0055】
本実施形態の流出路46の流路断面積は、開口部43cにおいて最も小さくなる。本実施形態によれば、流出路46を流れる空気の流速を、開口部43cにおいて最も高くすることができる。これにより、開口部43cを介して流出路46からコイルエンド31aに吹き出す空気の流速を高くすることができ、コイルエンド31aを効率的に冷却することができる。
【0056】
本実施形態の流出路46には、径方向外側に向かうに従い流路断面積を連続的に小さくする狭窄部46tが設けられる。流出路46に狭窄部46tが設けられることで、流路断面積を急激に小さくする場合と比較して、流出路46内の空気の流速を、圧力損失を抑制しながら高くすることができる。これにより、開口部43cを介して、流出路46からコイルエンド31aに吹き出される空気の流速を高くすることができる。
【0057】
図5に示すように、流入路45の流路断面積は、軸方向一方側(+Y側)に向かうに従い大きくなる。すなわち、流入路45の流路断面積は、ロータコア24側から離れるに従い大きくなる。流入路45の流路断面積は、貫通孔42の第2面40bにおける開口で最も大きくなる。一方で、流入路45の流路断面積は、貫通孔42の第1面40aにおける開口で最も小さくなり、通気孔24a、24bの流路断面積と略一致する。本実施形態の流入路45によれば、外部に向けて大きく開口することで、より多くの空気を通気孔24a、24bに導くことができる。
【0058】
本実施形態において、流入路45は、第1面40aにおける開口において、最も流路断面積が小さくなる。ここで、流入路45の流路断面積が最も小さくなる部位における流入路45の流路断面積を、流入路45の最小流路断面積S2と呼ぶ。流出路46の最小流路断面積S2は、流入路45の軸方向他方側(-Y側)の端部に位置する。
【0059】
図4に示すように、本実施形態の流出路46の開口流路断面積S1は、流入路45の最小流路断面積S2よりも小さい。すなわち、開口流路断面積S1は、流入路45のいかなる位置における流路断面積よりも小さい。流入路45と流出路46とは、ロータコア24の通気孔24a、24bを介して互いに繋がっている。本実施形態によれば、流入路45の流路断面積に対し、流出路46の開口流路断面積S1を小さくすることで、流入路45を通過する空気の流速よりも流出路46の開口部43cから吹き出される空気の流速を高くすることができる。これにより、コイルエンド31aを効率よく冷却することができる。加えて、本実施形態によれば、流入路45の流路断面積を流出路46の開口部43cと比較して大きくすることで、流入路45は、通気孔24a、24bを介して流出路46により多くの空気を導くことが可能となる。また、流入路45を流れる空気の圧力損失を低減することができ、流出路46の開口部43cから吹き出される空気の流速をさらに高くすることができる。
【0060】
本実施形態において、開口部43cの周方向寸法d1は、第1面40aにおける貫通孔42の開口の周方向寸法d2よりも小さい。すなわち、開口部43cの周方向寸法d1は、最小流路断面積S2となる部分における流入路45の周方向寸法d2よりも小さい。本実施形態によれば、流出路46は、開口部43cの周方向寸法d1を小さくすることで、開口部43cの軸方向寸法h1を十分に大きく確保しつつ開口流路断面積S1を小さくすることができる。これにより、流出路46は、開口流路断面積S1を小さくしつつ、軸方向の広い範囲に空気を吹き出すことが可能となり、コイルエンド31aの軸方向の広い範囲を冷却することができる。なお、ロータ20は、中心軸線J周りを回転するため、流出路46の開口部43cの周方向寸法d1が小さくなっても周方向の広い範囲に空気を吹き出すことができる。
【0061】
図2に示すように、本実施形態の第1凹部43および貫通孔42は、軸方向から見てマグネット孔24hと異なる位置に設けられる。すなわち、本実施形態の流出路46および流入路45は、マグネット孔24hと連通しない。このため、マグネット孔24hの内部でマグネット25の一部が欠損した場合であっても、マグネット25の破片が流出路46および流入路45を介してロータ20の外部に飛散することを抑制できる。
【0062】
また、本実施形態の第1凹部43は、第2仮想線Lqと重なる。すなわち、第1凹部43は、第1通気孔24a側から外側面40cに向かって径方向外側に延び、ロータ20の第2仮想線Lqと軸方向に重なる。本実施形態によれば、複数の第1凹部43を周方向に並ぶ複数のマグネット孔24hの間にバランスよく配置することができる。また、第1凹部43の溝部43bを第2仮想線Lqに沿って溝状に配置することで、溝部43bを直線状とすることができ、溝部43b内の空気の圧力損失を抑制しつつマグネット孔24hを避けて配置することができる。
【0063】
なお、本実施形態の第1凹部43の配置および形状は一例であり、その他に様々な構成を採用することができる。第1凹部43の一部は、例えば第1仮想線Ld上に配置されていてもよいし、第1仮想線Ldと第2仮想線Lqとの間に配置されていてもよい。
【0064】
図4に示すように、本実施形態の第1連通孔48は、ファン4に8つ設けられる。複数の第1連通孔48は、周方向に沿って配置される。本実施形態では、複数の第1連通孔48は、周方向に沿って等間隔に配置される。第1連通孔48は、軸方向から見て、径方向と直交する方向を長手方向とする長孔形状である。第1連通孔48は、本体部40の第1面40aおよび第2面40bに開口する。本実施形態では、第1連通孔48は、一様な断面形状で軸方向に沿って延びる。
【0065】
図2に二点鎖線で示すように、第1連通孔48は、軸方向から見て第2連通孔24dと重なる。本実施形態では、第1連通孔48の第1面40aにおける開口の形状は、第2連通孔24dの端面24fにおける開口の形状と略同形状である。第1連通孔48と第2連通孔24dとは、互いに連通する。第1連通孔48と第2連通孔24dとは、互いに連通していれば、第1連通孔48の第1面40aにおける開口の形状は、第2連通孔24dの端面24fにおける開口の形状と異なっていてもよい。
【0066】
本実施形態のロータコア24には、ファン4の第1連通孔48に連通する第2連通孔24dが設けられる。また、第2連通孔24dは、1つの孔ペアPの一対の第2マグネット孔24pの間に位置する。孔ペアPの一対の第2マグネット孔24pには、同一の磁極20Pを構成するマグネット25が配置される。このため、ロータコア24の一対の第2マグネット孔24pの間の領域は、マグネット25の発熱に伴い温度が高くなる場合がある。さらに、ロータコア24の一対の第2マグネット孔24pの間の領域は、高密度の磁束が通ることで渦電流が発生し温度が高くなる場合がある。本実施形態によれば、ロータコア24の孔ペアPを構成する一対の第2マグネット孔24pの間には、第2連通孔24dが設けられる。これにより、第2連通孔24dの内部に、第1連通孔48を介して空気が流入し、ロータコア24が冷却される。本実施形態によれば、ロータコア24の第2マグネット孔24p同士の間の領域が高温となることを抑制することができ、ロータコア24の発熱がロータコア24内の磁路に影響を及ぼすことを抑制できる。
【0067】
本実施形態では、1つの磁極20Pは、3つマグネット25によって構成されている。また、磁極20Pを構成する3つのマグネット25は、軸方向から見て略三角形状に配置される孔グループGの3つのマグネット孔24hに配置される。しかしながら、1つの磁極を構成するマグネットの数は本実施形態に限定されず、例えば2つであっても4つ以上であってもよい。一例として、1つの磁極が上述の2つの第2マグネット25pのみから構成され、第1マグネット25qを有していなくてもよい。また、他の例として、1つの磁極が4つの第2マグネット25pを有し、軸方向から見て二対の第2マグネット25pを径方向に重ねるように配置していてもよい。
【0068】
図4に示すように、本実施形態の肉抜き凹部40jは、ファン4に4つ設けられる。数の肉抜き凹部40jは、周方向に沿って配置される。本実施形態において、複数の肉抜き凹部40jは、周方向に沿って等間隔に配置される。肉抜き凹部40jは、第1面40aにおいて貫通孔42の開口の径方向外側に位置する。肉抜き凹部40jは、中心軸線Jを中心として略円弧状に延びる。図5に示すように、肉抜き凹部40jは、軸方向から見て、後述するリブ49に重なる。すなわち、肉抜き凹部40jは、リブ49の裏面側でリブ49の内部をくりぬくように成形される。
【0069】
本実施形態のファン4は、ダイカスト部品である。このため、ファン4は、局所的な厚肉部分で鋳巣が生じる虞がある。本実施形態のファン4によれば、リブ49の裏面側に肉抜き凹部40jが設けられることで本体部40に局所的な厚肉部分が設けられることを抑制することができる。これにより、本体部40の内部に鋳巣が生じることを抑制でき、ファン4を精度よく製造することができる。加えて、本実施形態によれば、本体部40に肉抜き凹部40jが設けられることでファン4の軽量化を図ることができる。
【0070】
リブ49は、本体部40の第2面40bから軸方向一方側(+Y側)に突出する。リブ49は、中心軸線Jを中心として周方向に延びる。リブ49は、中心軸線Jを中心とする略円環状である。リブ49は、第2面40b側において、貫通孔42の開口の径方向外側の縁部に沿って配置される。リブ49は、貫通孔42の開口から吸い込まれる空気の流れをガイドすることができる。また、リブ49が設けられることで、流入路45の軸方向一方側(+Y側)の開口と流出路46の開口部43cとの距離を十分に確保できる。これにより、流出路46の開口部43cから流出した空気が、流入路45に直接的に流入することを抑制できる。
【0071】
リブ49は、例えば、ファン4のバランス調整に用いる切削代として利用できる。すなわち、組み立てた後のロータ20にアンバランスが生じている場合、リブ49の周方向の一部を切削加工することで、ロータ20のバランス修正を行うことができる。リブ49の切削方法としては、例えば、リブ49の径方向外側を向く面にドリル加工を施す方法があるが、特に限定されるものではない。
【0072】
本実施形態のロータ20によれば、ロータコア24の両端面24fにそれぞれファン4が配置される。本実施形態によれば、通気孔24a、24bの軸方向の両端部に、各ファン4の流入路45と流出路46とを配置することができ、ロータ20内を流れる空気を円滑にコイルエンド31a向かって流すことができる。また、本実施形態によれば、ロータ20の両端に配置されるファン4をそれぞれ同形状とすることで、形状の異なるファン4を別に製造する必要がなくなることから、ロータ20に用いられる部品の種類を削減することができる。なお、ファン4は、ロータコア24の軸方向一方側または軸方向他方側の少なくとも一方の端面24fに対向して配置されていればよい。ファン4が、ロータ20の軸方向一方側の端面24fに設けられる場合、ファン4が配置されない他方の端面24fには、他の構成のファンが配置されていてもよいし、ファンが配置されていなくてもよい。
【0073】
<変形例>
次に上述の実施形態に採用可能な変形例のファンについて説明する。以下に説明する各変形例の説明において、既に説明した実施形態又は変形例と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0074】
(変形例1)
図7は、変形例1のファン104の背面図である。図8は、変形例1のファン104の正面図である。なお、図8には、ファン104とともにシャフト21および固定部材105を図示する。
【0075】
図7に示すように、ファン104には、流入路145と流出路46とが設けられる。また、ファン104は、第2シャフト挿通孔140h、複数の貫通孔142、複数の第1凹部43、および複数の第2凹部144を有する。第2凹部144は、第1面140aに設けられ、軸方向一方側(+Y側)に凹む。第2凹部144は、貫通孔142と同数だけ設けられる。なお、本変形例の第1凹部43は、上述の実施形態の第1凹部43と同様の構成を有する。また、上述の実施形態と同様に、ファン104の第1面140aとは、ロータコア24の端面24f(図1参照)に対向する面であり、第2面140bとは、第1面140aの反対側に位置する面である。
【0076】
本変形例の流出路46は、上述の実施形態と同様に、ロータコア24の端面24fと第1凹部43で囲まれた空間によって構成される。したがって、ロータ20の回転時に、第1通気孔24aから流出路46に達した空気は、径方向外側に流れ開口部43cから径方向外側に吹き出される。一方で、本変形例の流入路145は、ロータコア24の端面24fと第2凹部144で囲まれた空間、および貫通孔142によって構成される。
【0077】
貫通孔142は、ファン104を軸方向に貫通する。貫通孔142の第1面140aにおける開口の形状は、少なくとも一方向に凸となる形状である。本変形例において、貫通孔142の第1面140aにおける開口の形状は、径方向外側に凸となる角丸の略三角形状である。貫通孔142の第1面140aにおける開口は、第2通気孔24bと軸方向に重なる。
【0078】
第2凹部144は、貫通孔142に繋がる。本変形例の第2凹部144は、溝状である。本変形例の第2凹部144は、貫通孔142の径方向外側の端部から径方向外側に向かって直線状に延びる。本変形例において、第2凹部144の幅寸法(周方向の寸法)は、径方向外側に向かうに従って連続的に狭くなる。第2凹部144は、ファン104の外側面140cに開口する第2開口部144cを有する。
【0079】
流入路145のうち、端面24fと第2凹部144で囲まれた空間に設けられる領域を第1流路領域145Aと呼び、貫通孔142の内部に設けられる領域を第2流路領域145Bと呼ぶ。流入路145は、第1流路領域145Aおよび第2流路領域145Bの各開口からそれぞれから流入した空気を合流させて第2通気孔24bに導く。
【0080】
本変形例によれば、流入路145は、貫通孔142の内部の第2流路領域145Bに加えて、第2凹部144の内部の第1流路領域145Aを有する。このため、流入路145は、軸方向を向く貫通孔142の開口のみならず、径方向を向く第2開口部144cからも流入路145内に空気を流入させることができる。これにより、流入路145は、外部からより多くの空気を取り込むことができ、より多くの空気を第2通気孔24bに導くことができる。
【0081】
本変形例の第1流路領域145Aは、第2流路領域145Bから分岐し、径方向に延びている。本変形例のように、流入路145が互いに分岐する複数の流路領域を有する場合、各流路領域の流入断面積が小さくても合計した流路断面積は大きくなる。このように、複数の流路領域を有する場合、流入路145の最小流路断面積とは、各流路領域の最小の流路断面積の総和である。本変形例においても、上述の実施形態と同様に開口部43cにおける流出路46の流路断面積は、流入路145の最小流路断面積よりも小さい。
【0082】
上述したように、本変形例の第2凹部144の幅寸法は、径方向外側に向かうに従い連続的に小さくなる。このため、流入路145では、第2凹部144内に設けられる領域において流路断面積が徐々に小さくなる。流入路145のうち第2凹部144内に設けられる領域を狭窄部(第2狭窄部)145tと呼ぶ。すなわち、流入路145は、流路断面積が径方向外側に向かうに従い小さくなる第2狭窄部145tを有する。本変形例によれば、流入路145は、第2狭窄部145tにおいて空気を径方向内側に導きやすくなる。本変形例によれば、より多くの空気を、第1流路領域145Aを介して第2通気孔24bに導くことができる。
【0083】
図8に示すように、ファン104の軸方向一方側(+Y側)には、固定部材105が配置される。固定部材105は、ファン104と軸方向に対向する。固定部材105は、シャフト21が挿入される第1シャフト挿通孔105hを有する。上述の実施形態における固定部材5と同様に、固定部材105は、シャフト21の外側面105cに圧入されて固定される。固定部材105は、ロータコア24(図1参照)との間にファン104を挟み込むことで、ファン104が軸方向においてシャフト21から離脱することを抑制することができる。固定部材105の外側面105cには、径方向外側に突出する複数の第1凸部105aが設けられる。本変形例の固定部材105の外側面105cには、径方向外側に突出する2つの第1凸部105aが設けられる。2つの第1凸部105aは、中心軸線Jに対し反対側(すなわち、対称)に配置される。
【0084】
ファン104の第2面140bには、軸方向他方側(-Y側)に凹む凹部140kと、凹部140kに連なる複数の凹溝140gと、が設けられる。本変形例において、凹溝140gは、2つ設けられる。凹部140kは、軸方向から見て中心軸線Jを中心とする略円形状である。凹部140kの底面には、シャフト21が挿入される第2シャフト挿通孔140hが開口する。凹部140kの内側には、固定部材105が配置される。凹部140kの内側面は、固定部材105の外側面105cと径方向に対向する。
【0085】
凹溝140gは、第2面140bから軸方向他方側(-Y側)に凹む。凹溝140gは、径方向に延びる。2つの凹溝140gは、中心軸線Jに対し反対側(すなわち、対称)に配置される。それぞれの凹溝140gには、固定部材105の第1凸部105aが配置される。凸部105aの周方向を向く面が、凹溝140gの内側面と周方向に対向するため、ファン104の固定部材105に対する周方向の相対的な移動を制限することができる。結果的に、固定部材105は、ファン104とシャフト21との相対的な回転を抑制することができる。
【0086】
本変形例の凹溝140gは、貫通孔142の径方向内側に配置される。また、本変形例の凹溝140gの径方向外側の端部は、貫通孔142に繋がる。本変形例によれば、第1凸部105aの径方向の寸法が凹溝140gの径方向の寸法よりも大きい場合であっても、第1凸部105aの先端を貫通孔142内に配置することで、固定部材105をファン104に組み付けることができる。すなわち、本変形例によれば、第1凸部105aの径方向の長さ寸法のばらつきを許容することができ、固定部材105を安価に製造できる。
【0087】
なお、本変形例において、凹溝140gが繋がる貫通孔142は、流入路145の一部を構成する。しかしながら、凹溝140gが繋がる貫通孔は、流出路46の一部を構成していてもよい。すなわち、凹溝140gが繋がる貫通孔は、軸方向に貫通し流入路、又は流出路の何れか一方の少なくとも一部を構成していればよい。なお、流出路の一部が、貫通孔によって構成される例としては、後段の変形例2のファン204(図9参照)が挙げられる。
【0088】
(変形例2)
図9は、変形例2のファン204の背面図である。図10は、図9のX-X線に沿うファン204の断面図である。
【0089】
図9に示すように、ファン204には、流入路45と流出路246とが設けられる。また、ファン204は、複数の第1貫通孔241、複数の第2貫通孔42、複数の凹部(第1凹部)243、および複数の肉抜き凹部240jを有する。なお、本変形例の第2貫通孔42は、上述の実施形態の第2貫通孔42と同様の構成を有する。また、複数の肉抜き凹部240jは、第1面240aに設けられ周方向に沿って並ぶ。
【0090】
なお、上述の実施形態と同様に、ファン204の第1面240aとは、ロータコア24の端面24f(図1参照)に対向する面であり、第2面240bとは、第1面240aの軸方向の反対側に位置する面である。
【0091】
本変形例の流入路45は、上述の実施形態と同様に、第2貫通孔42によって構成される。一方で、本変形例の流出路246は、ロータコア24の端面24f(図1参照)と第1凹部243で囲まれた空間、および第1貫通孔241によって構成される。
【0092】
第1貫通孔241は、ファン204を軸方向に貫通する。複数の第1貫通孔241は、周方向に沿って配置される。本変形例の複数の第1貫通孔241は、周方向に沿って等間隔に配置される。第1貫通孔241は、周方向に隣り合う第2貫通孔42の間に配置される。本変形例の第1貫通孔241の第1面240aにおける開口形状は、略矩形状である。第1貫通孔241の第1面240aにおける開口は、軸方向から見て、第1通気孔24aに重なる。これにより、第1貫通孔241は、第1通気孔24aと連通する。
【0093】
図10に示すように、第1貫通孔241は、ファン204の第1面240aに開口する第1開口241aと、第2面240bに開口する第2開口241bと、を有する。本変形例の第1貫通孔241は、第1開口241aから第2開口241b側に向かうに従い径方向外側に傾斜して延びる。第1貫通孔241の内側面には、軸方向他方側(-Y側)および径方向外側を向くガイド面241fを有する。ガイド面241fは、軸方向一方側(+Y側)に向かうに従い径方向外側に位置する向きに傾斜する。ガイド面241fは、ロータコア24の第1通気孔24aの開口と軸方向に対向する。なお、ガイド面241fは、平面および湾曲面の少なくとも一方を含む。
【0094】
上述したように、第1貫通孔241は、流出路246の一部を構成する。このため、ロータ20の回転時には、第1貫通孔241の内部には、第1通気孔24aから空気が流入する。この際、ガイド面241fは、第1貫通孔241内に流入する空気を径方向外側に誘導する。これにより、ガイド面241fは、第1開口241aから吹き出される空気の吹き出し方向を径方向外側に向けることができる。これにより、第1貫通孔241から吹き出される空気を、ファン204の径方向外側に位置するコイルエンド31aに当ててコイルエンド31aを冷却できる。
【0095】
複数の第1凹部243は、第1溝部243aと第2溝部243bと第3溝部243cとを含む。第1溝部243aは、第1貫通孔241の径方向外側に配置される。第1溝部243aは、径方向に沿って延びる。第1溝部243aの径方向内側の端部は、第1貫通孔241に繋がる。第1溝部243aの径方向外側の端部は、外側面240cに開口する開口部(第1開口部)243dを構成する。第2溝部243bは、第1貫通孔241の周方向一方側、および他方側にそれぞれ配置される。第2溝部243bは、第1貫通孔241の周方向一方側又は他方側の端部に繋がる。第2溝部243bは、第1貫通孔241から周方向に離れるに従い径方向外側に向かう方向に直線状に延びる。第2溝部243bの一部は、第2貫通孔42の径方向外側に配置される。周方向に隣り合う第1貫通孔241から延びる2つの第2溝部243b同士は、第1面240aの径方向外側の端部において互いに繋がる。第3溝部243cは、第2貫通孔42の径方向外側に配置される。第3溝部243cは、径方向に延びる。第3溝部243cの径方向内側の端部は、2つの第2溝部243bに繋がる。第3溝部243cの径方向外側の端部は、外側面240cに開口する開口部(第1開口部)243eを構成する。すなわち、第3溝部243cは、第2溝部243bの径方向外側の端部から外側面240cに向かって、径方向に延びる。
【0096】
本変形例によれば、第1貫通孔241が、第1凹部243に繋がり流出路246の少なくとも一部を構成する。本変形例によれば、第1凹部243のみならず第1貫通孔241においても空気をコイルエンド31aに向けて吹き出すことができ、コイルエンド31aをより冷却できる。また、本変形例によれば、第1凹部243は、外側面240cに開口する複数の第1開口部243d、243eを有する。このため、本変形例のファン204によれば、外側面240cから径方向外側に空気を吹き出す開口部243d、243eの数を増加させることができ、より多くの空気をファン4から吹き出してファン204の径方向外側に位置するコイルエンド31aに当てることができることから、コイルエンド31aを効率的に冷却できる。
【0097】
(変形例3)
図11は、変形例3のファン304の背面図である。本変形例のファン304は、上述の実施形態と比較して、凹部(第1凹部)343が複数の溝部343bを有する点が主に異なる。
【0098】
ファン304には、流入路45と流出路346とが設けられる。また、ファン304は、軸方向に貫通する貫通孔42および第1連通孔48、並びに第1面340aに設けられる第1凹部343を有する。流入路45は、貫通孔42によって構成される。流出路346は、ロータコア24の端面24f(図1参照)と第1凹部343で囲まれた空間に構成される。なお、ファン304の第1面340aとは、上述の実施形態と同様に、ロータコア24の端面24f(図1参照)に対向する面である。
【0099】
第1凹部343は、軸方向からみて第1通気孔24aに重なる接続部343aと、接続部343aに繋がる一対の溝部343bと、外側面340cに開口する一対の開口部343cと、を有する。接続部343aは、軸方向から見て、少なくとも一方向に凸となる形状である。本変形例の接続部343aは、軸方向から見て、径方向外側に凸となる角丸の略三角形状である。本変形例では、接続部343aの軸方向から見た形状は、通気孔24a、24bの端面24fにおける開口の形状と略同形状である。一対の溝部343bは、それぞれ接続部343aの径方向外側の端部に繋がる。一対の溝部343bは、それぞれ接続部343aの径方向外側の端部から周方向の反対側に向かって延び、貫通孔42の径方向外側の領域で径方向外側に向けて屈曲し外側面340cに開口する。溝部343bの径方向外側の端部は、開口部343cを構成する。なお、接続部343aと通気孔24a、24bとが連通するのであれば、接続部343aの軸方向から見た形状は、通気孔24a、24bの端面24fにおける開口の形状と異なっていてもよい。
【0100】
本変形例によれば、第1凹部343は、複数の開口部343cを有する。本変形例のファン304によれば、外側面340cから径方向外側に空気を吹き出す開口部343cの数を増加させることができ、ロータ20の回転時に、より多くの空気がファン4から吹き出してファン304の径方向外側に位置するコイルエンド31aに当てることができることから、コイルエンド31aを効率的に冷却できる。
【0101】
上述の実施形態と同様に、第1連通孔48は、軸方向から見て、ロータコア24の第2連通孔24dと重なる。本変形例の第1連通孔48は、溝部343bの底面に開口する。したがって、第1連通孔48と第2連通孔24dとは、第1凹部343を介して互いに繋がる。本変形例によれば、第2連通孔24dの内部には、第1連通孔48のみならず第1凹部343からも空気が導かれる。このため、第2連通孔24d内により多くの空気が導入され、ロータコア24をより冷却できる。
【0102】
(変形例4)
図12は、変形例4のファン404の背面図である。本変形例のファン404は、上述の実施形態と比較して、第1面440aに、第3凹部440iおよび第4凹部440jが設けられる点が主に異なる。
【0103】
ファン404には、複数の流入路45と、複数の流出路46と、が設けられる。また、ファン404は、貫通孔42と、第1凹部43と、第3凹部440iと、第4凹部440jと、を有する。第1凹部43、第3凹部440i、および第4凹部440jは、第1面440aに設けられ、軸方向一方側(+Y側)に凹む。流入路45は、貫通孔42によって構成される。流出路46は、ロータコア24の端面24f(図1参照)と第1凹部43で囲まれた空間に構成される。なお、ファン404の第1面440aとは、上述の実施形態と同様に、ロータコア24の端面24f(図1参照)に対向する面である。
【0104】
本変形例の第3凹部440iは、溝状である。第3凹部440iは、周方向に向かって直線状に延びる。第3凹部440iは、第1凹部43の径方向内側に位置する。第3凹部440iは、周方向に隣り合う貫通孔42同士を繋ぐ。すなわち、第3凹部440iは、複数の流入路45同士を繋ぐ。本変形例によれば、周方向に隣り合う流入路45を流れる空気の流量が不均一である場合に、流量が多い流入路45から少ない流入路45に向かって第3凹部440iを介して空気を流すことができる。これにより、複数の流入路45を流れる空気の流量が不均一になることを抑制でき、より多くの空気をロータコア24の内部に導くことができる。
【0105】
上述の実施形態と同様に、第1凹部43は、接続部43aと、接続部43aに繋がる溝部43bと、外側面440cに開口する開口部43cと、を有する。本変形例の第4凹部440jは、溝状である。第4凹部440jは、中心軸線Jを中心として略円環状に延びる。第4凹部440jは、貫通孔42および接続部43aよりも径方向外側に位置する。
第4凹部440jは、周方向に隣り合う溝部43b同士を繋ぐ。すなわち、第4凹部440jは、第1凹部43同士を繋ぐ。また、第4凹部440jは、複数の流出路46同士を繋ぐ。本変形例によれば、周方向に隣り合う流出路46を流れる空気の流量が不均一である場合に、流量が多い流出路46から少ない流出路46に向かって第4凹部440jを介して空気を流すことができる。これにより、複数の流出路46を流れる空気の流量が不均一になることを抑制でき、より多くの空気を径方向外側に送ることができる。
【0106】
(変形例5)
図13は、変形例5のファン504の背面図である。本変形例のファン504は、上述の実施形態と比較して、第1面540aに第5凹部540kが設けられる点が主に異なる。
【0107】
ファン504には、複数の流入路45と、複数の流出路46と、が設けられる。また、ファン504は、第2貫通孔42と第1凹部43と第5凹部540kとを有する。第1凹部43および第5凹部540kは、第1面540aに設けられ、軸方向一方側(+Y側)に凹む。流入路45は、第2貫通孔42によって構成される。流出路46は、ロータコア24の端面24f(図1参照)と第1凹部43で囲まれた空間に構成される。なお、ファン504の第1面540aとは、上述の実施形態と同様に、ロータコア24の端面24f(図1参照)に対向する面である。
【0108】
本変形例の第5凹部540kは、溝状である。第5凹部540kは、周方向に沿って略円弧状に延びる。第5凹部540kは、周方向に隣り合う第1凹部43と第2貫通孔42とを繋ぐ。すなわち、第5凹部540kは、流入路45と流出路46とを繋ぐ。本変形例によれば、より効率的に流出路46から径方向外側に空気を送ることができる。
【0109】
(変形例6)
図14は、変形例6のファン604および固定部材605の分解斜視図である。図15は、変形例6のファン604および固定部材605の正面図である。
【0110】
図14に示すように、ファン604には、流入路45と流出路46とが設けられる。また、ファン604は、第1面640aと、第2面640bと、外側面640cと、第2シャフト挿通孔640hと、複数の貫通孔42と、複数の第1凹部43と、複数の凹溝640gと、を有する。上述の実施形態と同様に、第1面640aは、ロータコア24の端面24fと対向する面である。第2面640bは、第1面640aの軸方向の反対側に位置する面である。外側面640cは、径方向外側を向く面である。
【0111】
第2シャフト挿通孔640hは、ファン604を軸方向に貫通する。第2シャフト挿通孔640hは、軸方向から見て中心軸線Jを中心とする円形である。第2シャフト挿通孔640hには、シャフト21が挿入される。第2シャフト挿通孔640hの内径は、シャフト21の外径よりも大きい。
【0112】
複数の貫通孔42は、ファン604を軸方向に貫通する。複数の貫通孔42は、周方向に等間隔に並ぶ。第1凹部43は、第1面640aに設けられる。複数の第1凹部43は、周方向に並ぶ。第1凹部43は、接続部43aと、接続部43aから径方向外側に延びる溝部43bと、溝部43bの径方向外側の端部に位置する開口部43cと、を有する。軸方向から見て、第1凹部43は、周方向に並ぶ貫通孔42同士の間に位置する。上述の実施形態の同様に、貫通孔42は、流入路45を構成する。また、第1凹部43とロータコア24の端面24fと囲まれた空間は、流出路46を構成する。
【0113】
第1凹部43の開口部43cは、外側面640cにおいて径方向内側に凹んで、切欠部43dを構成する。すなわち、外側面640cには、複数の切欠部43dが設けられる。複数の切欠部43dは、周方向沿って等間隔に配置される。ロータ20の組立作業を行う作業者や組立装置等(以下、作業者等)は、4つの切欠部43dに治具の先端部を挿入することでファン604を保持する。さらに、作業者等は、治具を中心軸線J周りに回転させることで、シャフト21に対するファン604の周方向の位置決めを行う。
【0114】
ファン604の第2面640bには、複数(本変形例では4つ)の凸状部647が設けられる。凸状部647は、第2面640bの一部であり、第2面640bにおいて軸方向に突出する部分である。複数の凸状部647は、周方向に等間隔に並ぶ。凸状部647は、周方向に隣り合う貫通孔42の間に位置する。また、凸状部647は、軸方向から見て、第1凹部43に重なる。凸状部647は、径方向内側を向く内側面647fを有する。内側面647fは、軸方向から見て、中心軸線Jを中心とする円弧状の面である。
【0115】
凸状部647は、軸方向一方側を向く先端面647hを有する。先端面647hは、第2面640bの一部である。先端面647hには、凹溝640gが設けられる。すなわち、第2面640bには、凹溝640gが設けられる。凹溝640gは、第2面640bから軸方向他方側(-Y側)に凹む。本変形例において、凹溝640gは、4つの凸状部647のうち中心軸線Jを挟んで反対側に位置する2つの凸状部647に設けられる。したがって、本変形例のファン604には、2つの凹溝640gが設けられる。以下の説明において、4つの凸状部647のうち、凹溝640gが設けられる2つを第1凸状部647Pと呼び、凹溝640gが設けられない2つを第2凸状部647Qと呼ぶ。第1凸状部647Pと第2凸状部647Qとは、周方向に交互に並ぶ。
【0116】
第1凸状部647Pは、複数の貫通孔42の間に位置し、軸方向から見て第1凹部43に重なる。したがって、凹溝640gは、複数の貫通孔42の間に位置し、軸方向から見て第1凹部43に重なる。凹溝640gは、径方向に延びて、径方向両側に開口する。2つの凹溝640gは、中心軸線Jに対し反対側(すなわち、対称)に配置される。2つの凹溝640gは、軸方向から見て、同一直線上に並んで配置される。上述したように、ファン604は、アルミダイカスト、切削加工、またはプレス加工など他の方法によって形成することができる。本変形例における2つの凹溝640gは、例えば、ダイカストによってファン604を成形するときに合わせて形成することもでき、切削加工によっても形成することができる。凹溝640gを切削加工で形成する場合、例えば、エンドミル等の装置を直線上に移動させることで1回の切削工程で形成することができる。また、ダイカストによってファン604を形成した後に、上記の機械加工を追加で行ってもよい。これにより、凹溝640gの寸法精度を高くすることができる。
【0117】
ロータ20は、ファン604をシャフト21に固定する固定部材605を有する。固定部材605は、ファン604の軸方向一方側(+Y側)に配置される。固定部材605は、ファン604と軸方向に対向する。
【0118】
固定部材605は、シャフト21が圧入される筒部605dと、筒部605dから径方向外側に突出するフランジ部605bと、を有する。筒部605dの内周面は、第1シャフト挿通孔605hを構成する。すなわち、固定部材605は、シャフト21が挿入される第1シャフト挿通孔605hを有する。
【0119】
筒部605dにシャフト21が圧入されることで、固定部材605はシャフト21の外側面に固定される。フランジ部605bは、複数の凸状部647の径方向内側に配置される。また、フランジ部605bの外側面605cは、複数の凸状部647の内側面647fに嵌る。これにより、ファン604は、フランジ部605bに対し径方向に位置合わせされる。また、フランジ部605bは、ファン604の第2面640bに軸方向一方側(+Y側)から接触する。これにより、ファン604は、ロータコア24とフランジ部605bとの間に挟まれ、シャフト21に対し固定される。
【0120】
本変形例の固定部材605の外側面605cには、径方向外側に突出する複数(本変形では2つ)の第1凸部605aと、径方向内側に凹む複数(本変形例では4つ)の凹状部605eと、が設けられる。2つの第1凸部605aは、中心軸線Jに対し反対側(すなわち、対称)に配置される。4つの凹状部605eは、近傍に配置される2つを1組として、2組設けられる。2組の凹状部605eは、中心軸線Jに対し反対側(すなわち、対称)に配置される。
【0121】
図15に示すように、第1凸部605aは、凹溝640gに配置される。第1凸部605aの周方向を向く面は、凹溝640gの内側面と周方向に対向する。これにより、固定部材605は、固定部材605に対するファン604の周方向への移動を制限する。
【0122】
本変形例の凹溝640gは、周方向において隣り合う貫通孔42の間を通る。このため、凹溝140gが貫通孔142の径方向内側に位置する場合(図8に示す変形例1)と比較して、凹溝640gが貫通孔42の大きさを制限することがなく、貫通孔42を径方向に大きくしやすい。これにより、貫通孔42に、多くの空気を通過させることが可能となる。
【0123】
なお、本変形例において、凹溝640gに対し周方向両側に配置される貫通孔42は、流入路45の一部を構成する。しかしながら、凹溝640gに対し周方向両側に配置される貫通孔は、流出路46の一部を構成していてもよい。すなわち、凹溝640gに対し周方向両側に配置される貫通孔は、軸方向に貫通し流入路、又は流出路の何れか一方の少なくとも一部を構成していればよい。
【0124】
また、本変形例において、凹溝640gは、径方向両側に開口する。このため、第1凸部605aの径方向の寸法が凹溝640gの径方向の寸法よりも大きい場合であっても、第1凸部605aの先端を凹溝640gの径方向外側の端部から径方向外側に突出させることで、固定部材605をファン604に組み付けることができる。すなわち、本変形例によれば、第1凸部605aの径方向の長さ寸法のばらつきを十分に許容することができ、固定部材605を安価に製造できる。
【0125】
図15に示すように、第1凸状部647Pは、複数の第1かしめ部647aを有する。第1かしめ部647aは、第1凸状部647Pの先端面647hに設けられる。第1かしめ部647aは、凹溝640gに対し周方向の両側に位置する。また、第1かしめ部647aは、凹溝640gに沿って設けられる。第1かしめ部647aは、例えば、先端面647hに治具等を用いて圧力を付与し、先端面647hを塑性変形させることで形成することができる。
【0126】
図16は、第1かしめ部647aにおけるファン604の断面模式図である。
第1かしめ部647aは、形成段階の塑性変形によって、軸方向他方側(-Y側)に凹むとともに、凹溝640g内に向かって突出する。第1かしめ部647aは、凹溝640g内に突出する部分において、第1凸部605aの軸方向一方側(+Y側)に配置される。
【0127】
本変形例のファン604によれば、凹溝640gの軸方向一方側(+Y側)の端部には第1かしめ部647aが設けられる。また、第1かしめ部647aの一部は、凹溝640g内に突出して第1凸部605aと軸方向に対向する。これにより、固定部材605に対する、ファン604の軸方向の移動が制限され、ファン604の軸方向へのがたつきを抑制できる。
【0128】
図15に示すように、第2凸状部647Qは、複数の第2かしめ部647bを有する。第2かしめ部647bは、固定部材605の凹状部605eの径方向外側に位置する。複数の第2かしめ部647bは、第2凸状部647Qの軸方向を向く先端面647hに設けられる。第2かしめ部647bは、第2凸状部647Qの内側面647fに沿って配置される。第2かしめ部647bは、例えば、先端面647hに治具等を用いて圧力を付与し、先端面647hを塑性変形させることで形成することができる。
【0129】
図17は、第2かしめ部647bにおけるファン604の拡大模式図である。
第2かしめ部647bは、形成段階の塑性変形によって、軸方向他方側(-Y側)に凹むとともに、径方向内側に突出する。第2かしめ部647bは、径方向内側に突出する部分において、凹状部605eの内部に配置される。本変形例によれば、第2かしめ部647bの一部が、凹状部605eの周方向を向く内側面と周方向に対向する。これにより、固定部材605に対するファン604の周方向の移動が制限され、ファン604の周方向へのがたつきを抑制できる。
【0130】
以上に、本発明の様々な実施形態および変形例を説明したが、各実施形態および変形例における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0131】
例えば、上述の実施形態およびその変形例では、固定部材とロータコアとの間にファンを挟み込むことでファンをシャフトに固定する場合について説明した。しかしながら、ファンの固定方法は、これに限定されない。また、上述の実施形態では、固定部材がシャフトの外側面に圧入される場合について説明した。しかしながら、固定部材の固定方法は、これに限定されない。
【0132】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1) 中心軸線を中心として回転可能なロータであって、軸方向に貫通する第1通気孔および第2通気孔が設けられるロータコアと、前記ロータコアの軸方向一方側または軸方向他方側の少なくとも一方の端面に対向して配置され、前記第1通気孔に繋がる流出路、および前記第2通気孔に繋がる流入路が設けられるファンと、を備え、前記ファンは、前記端面に対向する第1面と、前記第1面の径方向外側に位置する外側面と、前記第1面に設けられ前記第1通気孔と軸方向に重なる第1凹部と、を有し、前記第1凹部は、前記外側面に開口する第1開口部を有し、前記流出路の少なくとも一部は、前記端面と前記第1凹部で囲まれた空間に設けられ、前記第1開口部における前記流出路の流路断面積は、前記流入路の最小流路断面積よりも小さい、ロータ。
(2) 前記第1開口部の周方向寸法は、前記最小流路断面積となる部分における前記流入路の周方向寸法よりも小さい、(1)に記載のロータ。
(3) 前記流出路は、径方向外側に向かうに従い流路断面積が小さくなる第1狭窄部を有する、(1)又は(2)に記載のロータ。
(4) 前記ファンは、軸方向に貫通する第1貫通孔を有し、前記第1貫通孔は、前記第1凹部に繋がり前記流出路の少なくとも一部を構成する、(1)~(3)の何れか一項に記載のロータ。
(5) 前記ロータコアには、軸方向に貫通し内部にマグネットが配置される複数のマグネット孔が設けられ、前記第1凹部は、軸方向から見て前記マグネット孔と異なる位置に設けられる、(1)~(4)の何れか一項に記載のロータ。
(6) 前記第1凹部は、前記第1通気孔側から前記外側面に向かって径方向外側に延び、前記ロータのq軸と軸方向に重なる、(5)に記載のロータ。
(7) 前記第1凹部は、複数の前記第1開口部を有する、(1)~(6)の何れか一項に記載のロータ。
(8) 前記ファンには、軸方向に貫通する第1連通孔が設けられ、前記ロータコアは、軸方向に貫通し、内部にマグネットが配置され、周方向に互いに隣り合う一対のマグネット孔と、軸方向に貫通し前記第1連通孔と連通する第2連通孔と、が設けられ、前記一対のマグネット孔は、周方向に互いに間隔を空けて配置され、軸方向から見て径方向内側から径方向外側に向かうに従い互いに周方向に離れる方向に延び、前記第2連通孔は、前記一対の前記マグネット孔の周方向の間に位置する、(1)~(7)の何れか一項に記載のロータ。
(9) 前記第1連通孔と前記第2連通孔とは、前記第1凹部を介して互いに繋がる、(8)に記載のロータ。
(10) 中心軸線を中心として軸方向に延びるシャフトと、前記ファンの軸方向一方側に前記ファンと軸方向に対向して配置される固定部材と、を有し、前記固定部材は、前記シャフトが挿入される第1シャフト挿通孔を有し、前記固定部材の外側面には、径方向外側に突出する第1凸部が設けられ、前記ファンは、軸方向に貫通し、前記シャフトが挿入される第2シャフト挿通孔と、軸方向に貫通し、前記流入路又は前記流出路の何れか一方の少なくとも一部を構成する貫通孔と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、前記第2面から軸方向他方側に凹み、径方向に延び前記第1凸部が配置される凹溝と、を有し、前記凹溝の径方向外側の端部は、前記貫通孔に繋がる、(1)~(9)の何れか一項に記載のロータ。
(11) 前記中心軸線を中心として軸方向に延びるシャフトと、前記ファンの軸方向一方側に前記ファンと軸方向に対向して配置される固定部材と、を有し、前記固定部材は、前記シャフトが挿入される第1シャフト挿通孔を有し、前記固定部材の外側面には、径方向外側に突出する第1凸部が設けられ、前記ファンは、軸方向に貫通し、前記シャフトが挿入される第2シャフト挿通孔と、軸方向に貫通し、周方向に並び、前記流入路又は前記流出路の何れか一方の少なくとも一部を構成する複数の貫通孔と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、前記第2面から軸方向他方側に凹む凹溝と、を有し、前記凹溝は、複数の前記貫通孔の間に位置し、前記凹溝には、前記第1凸部が配置される、(1)~(9)の何れか一項に記載のロータ。
(12) 前記凹溝の軸方向一方側の端部には、かしめ部が設けられ、前記かしめ部の一部は、前記凹溝内に突出して前記第1凸部と軸方向に対向する、(11)に記載のロータ。
(13) 中心軸線を中心として軸方向に延びるシャフトを備え、前記シャフトの外周面には、径方向内側に向かって凹み軸方向に延びるキー溝が設けられ、前記ファンは、軸方向に貫通し前記シャフトが挿入される第2シャフト挿通孔と、軸方向に貫通し前記流入路又は前記流出路の何れか一方の少なくとも一部を構成する複数の貫通孔と、前記第2シャフト挿通孔の内側面から径方向内側に突出し、前記キー溝に配置される第2凸部が設けられ、複数の前記貫通孔は、周方向に並んで配置され、軸方向から見て、前記第2凸部の周方向の中心と前記中心軸線とを結ぶ仮想線は、周方向に隣り合う前記貫通孔同士の間に位置する、(1)~(12)の何れか一項に記載のロータ。
(14) 前記ファンは、軸方向に貫通する第2貫通孔と、前記第1面に設けられ、軸方向一方側に凹むとともに、前記第2貫通孔に繋がる第2凹部と、を有し、前記第2凹部は、前記外側面に開口する第2開口部を有し、前記流入路は、前記端面と前記第2凹部で囲まれた空間、および前記第2貫通孔によって構成される、(1)~(13)の何れか一項に記載のロータ。
(15) 前記流入路は、流路断面積が径方向外側に向かうに従い小さくなる第2狭窄部を有する、(14)に記載のロータ。
(16) 前記ファンには、複数の前記流入路が設けられ、前記ファンは、前記第1面に設けられ、軸方向一方側に凹む第3凹部を有し、前記第3凹部は、複数の前記流入路同士を繋ぐ、(1)~(15)の何れか一項に記載のロータ。
(17) 前記ファンには、複数の前記流出路が設けられ、前記ファンは、前記第1面に設けられ、軸方向一方側に凹む第4凹部を有し、前記第4凹部は、複数の前記流出路同士を繋ぐ、(1)~(16)の何れか一項に記載のロータ。
(18) 前記第4凹部は、前記第1凹部同士を繋ぐ、(17)に記載のロータ。
(19) 前記ファンは、前記第1面に設けられ、軸方向一方側に凹む第5凹部を有し、前記第5凹部は、前記流入路と前記流出路とを繋ぐ、(1)~(18)の何れか一項に記載のロータ。
(20) (1)~(19)の何れか一項に記載のロータと、前記ロータの径方向外側に位置するステータと、を備える、回転電機。
(21) (20)に記載の回転電機と、前記回転電機の動力を伝達する動力伝達部と、を備える、駆動装置。
【符号の説明】
【0133】
1…駆動装置、2…回転電機、4,104,204,304,404,504,604…ファン、5,105,605…固定部材、20…ロータ、21…シャフト、21g…キー溝、24…ロータコア、24a…第1通気孔、24a…通気孔、24b…第2通気孔、24d…第2連通孔、24e,105a,605a…第1凸部、24f…端面、24h…マグネット孔、25…マグネット、30…ステータ、40a,140a,240a,340a,440a,540a,640a…第1面、40b,140b,240b,640b…第2面、40c,105c,140c,240c,340c,440c…外側面、40e…凸部(第2凸部)、40h,140h,640h…第2シャフト挿通孔、42…貫通孔(第2貫通孔)、43,243,343…凹部(第1凹部)、43c,243d,243e…開口部(第1開口部)、45,145…流入路、46,246,346…流出路、46t…狭窄部(第1狭窄部)、48…第1連通孔、50…動力伝達部、105h,605h…第1シャフト挿通孔、140g,640g…凹溝、42…貫通孔、144…第2凹部、144c…第2開口部、145t…狭窄部(第2狭窄部)、241…第1貫通孔、241a…第1開口、241b…第2開口、243d,343c…開口部、440i…第3凹部、440j…第4凹部、540k…第5凹部、647a…第1かしめ部(かしめ部)、d1,d2…周方向寸法、J…中心軸線、Lq…第2仮想線、S1…開口流路断面積(流路断面積)、S2…最小流路断面積、VL…仮想線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17