(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146710
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】熱交換器及び冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
F28F 9/02 20060101AFI20241004BHJP
F28D 1/047 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
F28F9/02 E
F28D1/047 C
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023170905
(22)【出願日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2023059200
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】鄭 晨
(72)【発明者】
【氏名】山田 甲樹
(72)【発明者】
【氏名】宇多 全史
(72)【発明者】
【氏名】松本 祥志
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103BB42
3L103CC17
3L103CC22
(57)【要約】
【課題】液冷媒が複数の第1空間に偏りなく分配されやすい熱交換器、及び、これを有する冷凍サイクル装置を提供する。
【解決手段】第1熱交換器11は、複数の扁平管と、第1ヘッダ40と、を備える。第1ヘッダは、第1部材100aと、第2部材100bと、第3サブ部材130と、を有する。第1部材は、扁平管の挿入される複数の第1空間S1を形成する。第2部材は、冷媒が流入する第2空間S2を形成する。第3サブ部材は、第1空間と第2空間との間に配置される。第3サブ部材には、分流開口132が形成されている。分流開口は、第1空間と第2空間とを連通させる。冷媒は、第2空間から分流開口を通過して第1空間へと流入する。第1空間に対する扁平管の挿入方向D1に沿って見た時に、分流開口は、少なくとも部分的に、扁平管の幅方向D2における第2空間の一方の端部144に近接する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の扁平管(28)と、
前記扁平管の挿入される複数の第1空間(S1)を形成する第1部材(100a,100Aa)と、冷媒が流入する第2空間(S2)を形成する第2部材(100b,100Ab)と、前記第1空間と前記第2空間との間に配置される第1板(130,140A)と、を有するヘッダ(40,40A,40B,70B)と、
を備え、
前記第1板には、前記第1空間と前記第2空間とを連通させ、前記第2空間から前記第1空間へと流入する前記冷媒が通過する、開口(132,142Aa)が形成されており、
前記第1空間に対する前記扁平管の挿入方向(D1)に沿って見た時に、前記開口は、少なくとも部分的に、前記扁平管の幅方向(D2)における前記第2空間の一方の端部(144,154A)に近接する、
熱交換器(11,11A,11B)。
【請求項2】
前記挿入方向に沿って見た時に、前記開口は、少なくとも部分的に、前記幅方向における前記第2空間の両方の端部に近接する、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記第2空間の幅の大きさは、第1幅(W2)であり、
前記幅方向において、前記開口は、少なくとも部分的に、前記第2空間の端部と、その端部から前記第2空間の内側に前記第1幅の15%の位置との間に設けられる、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記挿入方向に沿って見た時に、前記開口は、部分的に、前記幅方向における前記第2空間の一方の端部に重なる、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記挿入方向に沿って見た時に、前記開口は、部分的に、前記幅方向における前記第2空間の両方の前記端部と重なる、
請求項4に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記挿入方向に沿って見た時に、前記開口は、前記幅方向において、前記第2空間の全体と重なる、
請求項5に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記第2部材は、
冷媒入口(142b,C1i)と冷媒出口(152b,C3)とを有し、前記冷媒入口から前記冷媒出口へと前記冷媒が移動する主空間(Sa)と、
前記主空間の前記冷媒出口まで到達した前記冷媒を前記主空間の前記冷媒入口の近傍へと導く副空間(Sb)と、
を形成し、
前記開口は、前記第2空間としての前記主空間と連通する、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記幅方向において、前記第1空間の幅(W1)は、前記第2空間の幅(W2)より大きい、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記扁平管の厚み方向において、前記開口の幅(Wo)は1mm以上である、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記第1空間のそれぞれには、単一の前記扁平管が挿入され、
前記第1空間のそれぞれに対して、1以上の前記開口が設けられる、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項11】
前記複数の扁平管は、少なくとも、第1扁平管と、複数の第2扁平管と、を含み、
前記熱交換器では、前記第1扁平管を流れた前記冷媒が、前記複数の第2扁平管の挿入される前記ヘッダの第1部分(42Aa,42Ab,42Bb,42Bc,70Ba,70Bb)を通過して、前記複数の第2扁平管に流入し、
少なくとも前記ヘッダの前記第1部分において、前記挿入方向に沿って見た時に、前記開口が、少なくとも部分的に、前記幅方向における前記第2空間の一方の端部に近接する、
請求項1又は2に記載の熱交換器(11A,11B)。
【請求項12】
蒸発器として機能する、請求項1又は2に記載の熱交換器(11,11A,11B)と、
前記冷媒を圧縮する圧縮機(8)と、
前記圧縮機から吐出される前記冷媒を冷却する放熱器(32a,32b)と、
前記放熱器から出て前記熱交換器へと流れる前記冷媒を膨張させる膨張装置(12,31a,31b)と、
を備える冷凍サイクル装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱交換器及び冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1(特開2021-12018号公報)のように、扁平管を伝熱管として利用する熱交換器であって、扁平管の挿入される複数の空間(第1空間と呼ぶ)と、第1空間へと導かれる冷媒が流入する空間(第2空間と呼ぶ)と、第1空間と第2空間との間に配置される第1板と、を有するヘッダにおいて、第1板に開口を形成することで、第1空間と第2空間とを連通させ、第2空間から第1空間へと冷媒を分配する構造の熱交換器が知られている。
【0003】
特許文献1(特開2021-12018号公報)では、第1空間に対する扁平管の挿入方向に沿って見た時に、扁平管の幅方向において、冷媒の存在する第2空間の中央部分に開口を配置することで、冷媒を第2空間から第1空間へと分流させている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、本願開示者は、特許文献1(特開2021-12018号公報)の構造の熱交換器を用いる場合、第2空間に流入する冷媒の乾き度が大きくなるような場合に、各扁平管を流れる液冷媒の量とガス冷媒の量とに差が生じて効率が低下する可能性がある。このような観点から熱交換器に更なる効率改善の余地があることを本願開示者は見出した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1観点に係る熱交換器は、複数の扁平管と、ヘッダと、を備える。ヘッダは、第1部材と、第2部材と、第1板と、を有する。第1部材は、扁平管の挿入される複数の第1空間を形成する。第2部材は、冷媒が流入する第2空間を形成する。第1板は、第1空間と第2空間との間に配置される。第1板には、開口が形成されている。開口は、第1空間と第2空間とを連通させる。冷媒は、第2空間から開口を通過して第1空間へと流入する。第1空間に対する扁平管の挿入方向に沿って見た時に、開口は、少なくとも部分的に、扁平管の幅方向における第2空間の一方の端部に近接する。
【0006】
第1観点の熱交換器では、第1板に形成されている開口が、第2空間の端部と近接配置されているため、扁平管の幅方向において第2空間の端部の近傍を流れやすい液冷媒が、複数の第1空間に偏りなく分配されやすい。
【0007】
第2観点に係る熱交換器は、第1観点の熱交換器であって、第1空間に対する扁平管の挿入方向に沿って見た時に、開口は、少なくとも部分的に、扁平管の幅方向における第2空間の両方の端部に近接する。
【0008】
第2観点の熱交換器では、第1板に形成されている開口が、第2空間の両端部と近接して配置されていることで、扁平管の幅方向において第2空間の端部の近傍を流れやすい液冷媒が、複数の第1空間に偏りなく分配されやすい。
【0009】
第3観点に係る熱交換器は、第1観点又は第2観点の熱交換器であって、第2空間の幅の大きさは、第1幅である。幅方向において、開口は、少なくとも部分的に、第2空間の端部と、その端部から第2空間の内側に第1幅の15%の位置との間に設けられる。
【0010】
第3観点の熱交換器では、扁平管の幅方向において第2空間の端部の近傍を流れやすい液冷媒が、複数の第1空間に偏りなく分配されやすい。
【0011】
第4観点に係る熱交換器は、第1観点から第3観点のいずれかの熱交換器であって、第1空間に対する扁平管の挿入方向に沿って見た時に、開口は、部分的に、扁平管の幅方向における第2空間の一方の端部に重なる。
【0012】
第4観点の熱交換器では、第1板に形成されている開口が、第2空間の端部と重なるように配置されていることで、扁平管の幅方向において第2空間の端部の近傍を流れやすい液冷媒が、複数の第1空間に偏りなく分配されやすい。
【0013】
第5観点に係る熱交換器は、第4観点の熱交換器であって、挿入方向に沿って見た時に、開口は、部分的に、幅方向における第2空間の両方の端部と重なる。
【0014】
第5観点の熱交換器では、第1板に形成されている開口が、第2空間の両端部と重なるように配置されていることで、扁平管の幅方向において第2空間の端部の近傍を流れやすい液冷媒が、複数の第1空間に偏りなく分配されやすい。
【0015】
第6観点に係る熱交換器は、第5観点の熱交換器であって、挿入方向に沿って見た時に、開口は、幅方向において、第2空間の全体と重なる。
【0016】
第6観点の熱交換器では、扁平管の幅方向において第2空間の端部を流れる液冷媒が、複数の第1空間に偏りなく分配されやすい。
【0017】
第7観点に係る熱交換器は、第1観点から第6観点のいずれかの熱交換器であって、挿入方向に沿って見た時に、第2部材は、主空間と、副空間と、を形成する。主空間は、冷媒入口と、冷媒出口と、を有する。主空間では、冷媒入口から冷媒出口へと冷媒が移動する。副空間は、主空間の冷媒出口まで到達した冷媒を、主空間の冷媒入口の近傍へと導く。開口は、第2空間としての主空間と連通する。
【0018】
第7観点の熱交換器では、冷媒の分流に主空間と副空間とを有するループ構造を採用しているため、特に、冷媒が、複数の第1空間に偏りなく分配されやすい。
【0019】
第8観点に係る熱交換器は、第1観点から第7観点のいずれかの熱交換器であって、幅方向において、第1空間の幅は、第2空間の幅より大きい。
【0020】
第8観点の熱交換器では、第1空間の幅を第2空間の幅よりも大きくすることで、第2空間の端部を流れる液冷媒を第1板の開口を介して第1空間に偏りなく分流させることが容易である。
【0021】
第9観点に係る熱交換器は、第1観点から第8観点のいずれかの熱交換器であって、扁平管の厚み方向において、開口の幅は1mm以上である。
【0022】
第9観点の熱交換器では、扁平管の厚み方向における開口の幅を1mm以上とすることで、開口を液冷媒が流れにくくなる不具合の発生を抑制することができる。
【0023】
第10観点に係る熱交換器は、第1観点から第9観点のいずれかの熱交換器であって、第1空間のそれぞれには、単一の扁平管が挿入される。第1空間のそれぞれに対し、1以上の開口が設けられている。
【0024】
第10観点の熱交換器では、第1空間のそれぞれに対応して単一の扁平管を挿入し、それぞれの第1空間に対し、開口を介して第2空間からの冷媒を導くようにしているので、各第1空間に複数の扁平管を挿入し、各第1空間内に流入した冷媒を複数の扁平管に分配させる場合に比べて、各扁平管に流入する冷媒の量の偏りが抑制されやすい。
【0025】
第11観点に係る熱交換器は、第1観点から第10観点のいずれかの熱交換器であって、複数の扁平管は、少なくとも、第1扁平管と、複数の第2扁平管と、を含む。熱交換器では、第1扁平管を流れた冷媒が、複数の第2扁平管の挿入されるヘッダの第1部分を通過して、複数の第2扁平管に流入する。少なくともヘッダの第1部分において、挿入方向に沿って見た時に、開口が、少なくとも部分的に、幅方向における第2空間の一方の端部に近接する。
【0026】
液の多い冷媒が第1扁平管を流れて熱交換する場合、冷媒が、ヘッダで折り返して複数の第2扁平管に流入する際には、乾き度が大きなものとなる。このような場合、従来の熱交換器では、第2扁平管のそれぞれを流れる液冷媒とガス冷媒の量とに差が生じて熱交換の効率が低下する可能性がある。
【0027】
これに対し、本熱交換器では、ヘッダの第1部分において、液冷媒が、複数の第1空間に偏りなく分配されやすいので、第2扁平管のそれぞれを流れる液冷媒とガス冷媒の量とが均一化されやすい。
【0028】
第12観点に係る冷凍サイクル装置は、蒸発器として機能する、第1観点から第11観点のいずれかの記載の熱交換器と、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮機から吐出される冷媒を冷却する放熱器と、放熱器から出て熱交換器へと流れる冷媒を膨張させる膨張装置と、を備える。
【0029】
第12観点の冷凍サイクル装置では、熱交換器の各扁平管に流入する冷媒量の偏りが抑制されやすく、効率の高い冷凍サイクル装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】冷凍サイクル装置の一例に係る空気調和装置の概略構成図である。
【
図2】熱交換器の一実施形態に係る、
図1の空気調和装置の第1熱交換器の概略斜視図である。
【
図3】
図2の第1熱交換器の熱交換部の部分拡大図である。
【
図4】
図3の第1熱交換器の熱交換部におけるフィンの扁平管に対する取付状態を示す概略図である。
【
図6】
図2の第1熱交換器の一実施形態に係る第1ヘッダの分解斜視図である。
【
図7】第1ヘッダの第1サブ部材~第7サブ部材を、扁平管の第1ヘッダに対する挿入方向に沿って切断した断面図を示す。
【
図8】
図2の第1熱交換器が冷媒の蒸発器として機能する際の、
図6に示す第1ヘッダの第1部分における冷媒の流れを模式的に示した図である。
【
図9】第1空間に対する扁平管の挿入方向に沿って第1板の開口を見た時に、開口を、従来の熱交換器のように、扁平管の幅方向における第2空間の中央部に設けた場合の冷媒の流れを説明するための図である。
【
図10】
図6の第1ヘッダの内部を、第1ヘッダの長手方向に見た模式図であり、第1空間、第2空間及び第1板の分流開口の配置状態の第1の例を描画している。
【
図11】
図6の第1ヘッダの内部を、第1ヘッダの長手方向に見た模式図であり、第1空間、第2空間及び第1板の分流開口の配置状態の第2の例を描画している。
【
図12】
図6の第1ヘッダの内部を、第1ヘッダの長手方向に見た模式図であり、第1空間、第2空間及び第1板の分流開口の配置状態の第3の例を描画している。
【
図13】
図6の第1ヘッダの内部を、第1ヘッダの長手方向に見た模式図であり、第1空間、第2空間及び第1板の分流開口の配置状態の第4の例を描画している。
【
図14】変形例Aの第1熱交換器の概略斜視図である。
【
図15】
図14の第1熱交換器が蒸発器として機能する際の冷媒の流れを描画した図である。
【
図16】変形例Aの他の例の第1熱交換器の概略斜視図である。
【
図17】
図16の第1熱交換器が蒸発器として機能する際の冷媒の流れを描画した図である。
【
図18】
図2の第1熱交換器の変形例Dに係る第1ヘッダの分解斜視図である。
【
図19】
図18の第1ヘッダの第1サブ部材~第6サブ部材を、扁平管の第1ヘッダに対する挿入方向に沿って切断した断面図を示す。
【
図20】
図18の第1ヘッダの内部を、第1ヘッダの長手方向に見た模式図であり、第1空間、第2空間及び第1板の分流開口の配置状態の第1の例を描画している。
【
図21】
図18の第1ヘッダの内部を、第1ヘッダの長手方向に見た模式図であり、第1空間、第2空間及び第1板の分流開口の配置状態の第2の例を描画している。
【
図22】
図18の第1ヘッダの内部を、第1ヘッダの長手方向に見た模式図であり、第1空間、第2空間及び第1板の分流開口の配置状態の第3の例を描画している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本開示の熱交換器及び、この熱交換器を用いた本開示の冷凍サイクル装置の実施形態について説明する。
【0032】
(1)冷凍サイクル装置
本開示の冷凍サイクル装置の一実施形態に係る空気調和装置1について図面を参照しながら説明する。
【0033】
空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うことで、空調対象空間の冷房及び暖房を行うことが可能な装置である。なお、本開示の冷凍サイクル装置の種類は、空気調和装置に限定されるものではなく、例えば、給湯装置、床暖房装置等であってもよい。
【0034】
空気調和装置1は、
図1に示すように、熱源ユニット2と、利用ユニット3a,3bと、液冷媒連絡管4及びガス冷媒連絡管5と、制御部50と、を主に有する。制御部50は、熱源ユニット2及び利用ユニット3a,3bの構成機器の動作を制御する。
【0035】
液冷媒連絡管4及びガス冷媒連絡管5は、熱源ユニット2と、利用ユニット3a,3bとを接続する。空気調和装置1では、熱源ユニット2と利用ユニット3a,3bとが冷媒連絡管4,5を介して接続されることで、冷媒回路6が構成される(
図1参照)。冷媒回路6では、後述する圧縮機8、流向切換機構10、第1熱交換器11、第1膨張機構12、第1閉鎖弁13、第2閉鎖弁14、第2膨張機構31a,31b、及び第2熱交換器32a,32aが、
図1に示すように冷媒配管により接続されている。なお、第1熱交換器11は、本開示の熱交換器の一例である。
【0036】
なお、
図1では、空気調和装置1は、1台の熱源ユニット2と、2台の利用ユニット3a,3bとを有するが、台数は例示に過ぎない。空気調和装置1は、熱源ユニットを複数有してもよいし、利用ユニットを1台又は3台以上有してもよい。また、空気調和装置1は、熱源ユニットと利用ユニットとが一体に形成されている、一体型の空気調和装置であってもよい。
【0037】
冷媒回路6には、例えばR290や、CO2等、地球温暖化係数の小さな冷媒が封入される。ただし、冷媒の種類は、R290やCO2等に限定されるものではなく、R32、R410A、R1234yf、R1234ze(E)等であってもよい。
【0038】
(2)空気調和装置の詳細構成
以下に、空気調和装置1の熱源ユニット2、利用ユニット3a,3b、液冷媒連絡管4及びガス冷媒連絡管5、及び制御部50について説明する。
【0039】
(2-1)熱源ユニット
熱源ユニット2は、限定するものではないが、例えば、空気調和装置1の設置される建物の屋上や建物の外壁回りなどの室外に設置される。
【0040】
本実施形態の熱源ユニット2は、熱源ユニット2の各種機器を収容する筐体(図示せず)の側方から空気を取り込み、筐体上方から冷媒と熱交換した空気吹き出す、上吹きタイプのユニットである。ただし、熱源ユニット2のタイプは、上吹きタイプに限定されず、冷媒と熱交換した空気を筐体側方から吹き出す、横吹きタイプでもよい。
【0041】
熱源ユニット2は、主として、アキュムレータ7と、圧縮機8と、流向切換機構10と、第1熱交換器11と、第1膨張機構12と、第1閉鎖弁13と、第2閉鎖弁14と、第1ファン15と、を有している(
図1参照)。
【0042】
また、熱源ユニット2は、吸入管17と、吐出管18と、第1ガス冷媒管19と、液冷媒管20と、第2ガス冷媒管21と、を有する(
図1参照)。吸入管17は、流向切換機構10と圧縮機8の吸入側とを接続している。吸入管17には、アキュムレータ7が設けられている。吐出管18は、圧縮機8の吐出側と流向切換機構10とを接続している。第1ガス冷媒管19は、流向切換機構10と第1熱交換器11のガス端とを接続している。液冷媒管20は、第1熱交換器11の液端と第1閉鎖弁13とを接続している。第1膨張機構12は、液冷媒管20に設けられている。第2ガス冷媒管21は、流向切換機構10と第2閉鎖弁14とを接続している。
【0043】
(2-1-1)圧縮機
圧縮機8は、吸入管17から流入する冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を吸入し、冷媒を圧縮して冷凍サイクルにおける高圧まで昇圧し、吐出管18に吐出する装置である。圧縮機8は、例えば、容積式圧縮機であるが、他のタイプ(遠心式圧縮機)でもよい。
【0044】
(2-1-2)流向切換機構
流向切換機構10は、冷媒回路6における冷媒の流れ方向を切り換える機構である。本実施形態では、流向切換機構10は、四路切換弁である。
【0045】
冷房運転時及びデフロスト運転時には、流向切換機構10は、吸入管17を第2ガス冷媒管21と連通させ、吐出管18を第1ガス冷媒管19と連通させることで(流向切換機構10によるこのような配管の接続状態を、第1状態と呼ぶ)、圧縮機8が吐出する冷媒が第1熱交換器11に送られるように、冷媒回路6における冷媒の流向を切り換える(
図1中の実線参照)。
【0046】
暖房運転時には、流向切換機構10は、吸入管17を第1ガス冷媒管19と連通させ、吐出管18を第2ガス冷媒管21と連通させることで(流向切換機構10によるこのような配管の接続状態を、第2状態と呼ぶ)、圧縮機8が吐出する冷媒が第2熱交換器32a,32bに送られるように、冷媒回路6における冷媒の流向を切り換える(
図1中の破線参照)。
【0047】
なお、流向切換機構10は、四路切換弁に限定されず、複数の電磁弁及び冷媒管を組み合わせ、上記のような冷媒の流れ方向の切り換えを実現できるように構成されてもよい。
【0048】
(2-1-3)第1熱交換器
第1熱交換器11は、冷房運転時/デフロスト運転時に放熱器(凝縮器)として機能し、暖房運転時には蒸発器(吸熱器)として機能する。第1熱交換器11は、特許請求の範囲における熱交換器の一例である。
【0049】
第1熱交換器11の構造や、第1熱交換器11における冷媒の流れについては、後ほど説明する。
【0050】
(2-1-4)第1膨張機構
第1膨張機構12は、冷媒回路6において利用ユニット3a,3bの第2熱交換器32a,32bと第1熱交換器11との間を流れる冷媒を膨張させる機構である。第1膨張機構12は、例えば、開度調節可能な電子膨張弁である。第1膨張機構12の開度は、運転状況に応じて制御部50により調節される。
【0051】
(2-1-5)第1ファン
第1ファン15は、気流を生成し、第1熱交換器11に空気を供給する。第1ファン15は、筐体の外部から熱源ユニット2内に流入し、第1熱交換器11を通過し、筐体外へ流出する空気の流れを生成する。第1ファン15は、例えばプロペラファンである。ただし、第1ファン15の種類は、プロペラファンに限定されるものではなく、他のタイプのファンであってもよい。
【0052】
(2-2)利用ユニット
利用ユニット3a,3bは、空調対象空間や、空調対象空間の周辺(例えば、空調対象空間の天井裏空間等)に設置される。
【0053】
利用ユニット3aは、主として、第2膨張機構31aと、第2熱交換器32aと、第2ファン33aと、を有する(
図1参照)。利用ユニット3bは、主として、第2膨張機構31bと、第2熱交換器32bと、第2ファン33bと、を有する(
図1参照)。
【0054】
(2-2-1)第2膨張機構
第2膨張機構31a,31bは、冷媒回路6において利用ユニット3a,3bの第2熱交換器32a,32bと第1熱交換器11との間を流れる冷媒を膨張させる機構である。第2膨張機構31a,31bは、例えば、開度調節可能な電子膨張弁である。第2膨張機構31a,31bの開度は、運転状況に応じて制御部50により調節される。
【0055】
(2-2-2)第2熱交換器
第2熱交換器32a,32bは、冷房運転時には吸熱器(蒸発器)として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の放熱器(凝縮器)として機能して室内空気を加熱する。
【0056】
第2熱交換器32a,32bの液側は、冷媒配管を介して液冷媒連絡管4に接続されており、第2熱交換器32a,32bのガス側は、冷媒配管を介してガス冷媒連絡管5に接続されている。第2熱交換器32a,32bは、例えば、複数の伝熱管(図示省略)と複数のフィン(図示省略)を有するクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。
【0057】
なお、ここでは、第2熱交換器32a,32bは冷媒と空気とが熱交換するが、利用ユニットの第2熱交換器は、冷媒と水とが熱交換する熱交換器であってもよい。
【0058】
(2-2-3)第2ファン
第2ファン33a,33bは、利用ユニット3a,3bの各種機器を内部に収容する筐体(図示省略)の外部(空調対象空間)から利用ユニット3a,3b内に流入し、第2熱交換器32a,32bを通過し、筐体外(空調対象空間)へ流出する空気の流れを生成する。第2ファン33a,33bは、例えば遠心ファンである。
【0059】
(2-3)冷媒連絡管
冷媒連絡管4、5は、空気調和装置1を設置する際に、現地で施工される冷媒配管である。液冷媒連絡管4の一端は、熱源ユニット2の第1閉鎖弁13に接続され、液冷媒連絡管4の他端は、利用ユニット3a,3bの第2熱交換器32a,32bの液側に接続される冷媒配管に接続されている(
図1参照)。ガス冷媒連絡管5の一端は、熱源ユニット2の第2閉鎖弁14に接続され、ガス冷媒連絡管5の他端は、利用ユニット3a,3bの第2熱交換器32a,32bのガス側に接続される冷媒配管に接続されている(
図1参照)。
【0060】
(2-4)制御部
制御部50は、熱源ユニット2や利用ユニット3a,3bに設けられた、CPU,ROM及びRAM等を有する制御基板(図示せず)が通信可能に接続されることによって構成されている。なお、
図1では、便宜上、制御部50を、熱源ユニット2や利用ユニット3a,3bとは離れた位置に図示している。
【0061】
制御部50は、
図1に破線で示すように、空気調和装置1の構成機器と電気的に接続されている。具体的には、制御部50は、例えば、圧縮機8、流向切換機構10、第1膨張機構12、第1ファン15、第2膨張機構31a,31b、及び第2ファン33a,33bと電気的に接続されている。また、制御部50は、熱源ユニット2及び利用ユニット3a,3bに設けられている、図示しない各種センサとも電気的に接続されている。
【0062】
制御部50は、空気調和装置1の制御のためのプログラムを実行することで(CPUがROMに記憶されているプログラムを実行することで)、図示しないリモコンからの操作や、図示しない各種センサの計測値等に基づき、空気調和装置1の構成機器を制御する。
【0063】
制御部50は、空気調和装置1の構成機器を制御することで、空気調和装置1に冷房運転や、暖房運転を実行させる。また、制御部50は、空気調和装置1の暖房運転中に、所定の条件が成立すると、空気調和装置1の運転をデフロスト運転に切り換える。各運転時の空気調和装置1の動作について以下に示す。
【0064】
(3)空気調和装置の動作
空気調和装置1の、冷房運転、暖房運転、及びデフロスト運転について説明する。デフロスト運転は、暖房運転時に、暖房運転を一時的に中断して行う、第1熱交換器11に付着した霜や氷を融解させるための運転である。
【0065】
冷房運転中及びデフロスト運転中には、冷媒は、冷媒回路6を、圧縮機8、第1熱交換器11、第1膨張機構12、第2膨張機構31a、31b、第2熱交換器32a、32b、アキュムレータ7の順に循環する。
【0066】
暖房運転中には、冷媒は、冷媒回路6を、圧縮機8、第2熱交換器32a、32b、第2膨張機構31a、31b、第1膨張機構12、第1熱交換器11、アキュムレータ7の順に循環する。
【0067】
冷房運転時の、空気調和装置1の動作について説明する。
【0068】
冷房運転時には、流向切換機構10による配管の接続状態が、上述の第1状態に切り換えられる。そして、吸入管17から圧縮機8に吸入された冷凍サイクルにおける低圧(以後、単に低圧と呼ぶ)のガス冷媒は、圧縮機8で冷凍サイクルにおける高圧(以後、単に高圧と呼ぶ)になるまで圧縮された後、吐出管18に吐出される。吐出管18に吐出された高圧のガス冷媒は、流向切換機構10を通って、第1熱交換器11に送られる。第1熱交換器11に送られた高圧のガス冷媒は、冷媒の放熱器として機能する第1熱交換器11において、第1ファン15が供給する空気と熱交換を行って放熱し、高圧の液冷媒になる。第1熱交換器11において放熱した高圧の液冷媒は、第1膨張機構12、第1閉鎖弁13、液冷媒連絡管4を通って、第2膨張機構31a、31bに送られる。第2膨張機構31a、31bに送られた冷媒は、第2膨張機構31a、31bによって低圧まで減圧されて、低圧の気液二相状態の冷媒になる。第2膨張機構31a、31bで減圧された低圧の気液二相状態の冷媒は、第2熱交換器32a、32bに送られる。第2熱交換器32a、32bに送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、第2熱交換器32a、32bにおいて、第2ファン33a、33bが供給する空気と熱交換して蒸発する。第2熱交換器32a、32bにおいて冷却された空気は、空調対象空間へと吹き出す。第2熱交換器32a、32bにおいて蒸発した低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡管5、第2閉鎖弁14、流向切換機構10及びアキュムレータ7を通って、再び、圧縮機8に吸入される。
【0069】
冷房運転時には、制御部50は、例えば以下のような制御を行う。なお、ここに記載する制御部50による制御の態様は一例であって、これに限定されるものではない。
【0070】
制御部50は、図示しないセンサの計測値に基づいて、各第2熱交換器32a,32bの出口における冷媒の過熱度が目標過熱度になるように、各第2膨張機構31a,31bの一例としての電子膨張弁の開度を制御する。また、制御部50は、蒸発温度が目標蒸発温度に近づくように、圧縮機8の運転容量を制御する。
【0071】
暖房運転時の、空気調和装置1の動作について説明する。
【0072】
暖房運転時には、流向切換機構10による配管の接続状態が、上述の第2状態に切り換えられる。そして、吸入管17から圧縮機8に吸入された低圧のガス冷媒は、圧縮機8で高圧になるまで圧縮された後、吐出管18に吐出される。吐出管18に吐出された高圧のガス冷媒は、流向切換機構10、第2閉鎖弁14及びガス冷媒連絡管5を通って、第2熱交換器32a、32bに送られる。第2熱交換器32a、32bに送られた高圧のガス冷媒は、第2熱交換器32a、32bにおいて、第2ファン33a、33bが供給する空気と熱交換を行って放熱し、高圧の液冷媒又は気液二相の冷媒になる。第2熱交換器32a、32bにおいて冷媒と熱交換して加熱された空気は、空調対象空間へと吹き出す。第2熱交換器32a、32bで放熱した高圧の冷媒は、第2膨張機構31a、31b、液冷媒連絡管4及び第1閉鎖弁13を通って、第1膨張機構12に送られる。第1膨張機構12に送られた冷媒は、第1膨張機構12によって減圧されて、低圧の気液二相状態の冷媒になる。第1膨張機構12で減圧された低圧の気液二相状態の冷媒は、第1熱交換器11に送られる。第1熱交換器11に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、冷媒の蒸発器として機能する第1熱交換器11において、第1ファン15によって供給される空気と熱交換を行って蒸発して、低圧のガス冷媒になる。第1熱交換器11で蒸発した低圧の冷媒は、流向切換機構10及びアキュムレータ7を通って、再び、圧縮機8に吸入される。
【0073】
暖房運転時には、制御部50は、例えば以下のような制御を行う。なお、ここに記載する制御部50による制御の態様は一例であって、これに限定されるものではない。
【0074】
制御部50は、図示しないセンサの計測値に基づいて、第1熱交換器11の出口における冷媒の過熱度が目標過熱度になるように、第1膨張機構12の一例としての電子膨張弁の開度を制御する。また、制御部50は、蒸発温度が目標蒸発温度に近づくように、圧縮機8の運転容量を制御する。また、制御部50は、第1熱交換器11の入口における冷媒の乾き度が所定の値になるように、第1膨張機構12の一例としての電子膨張弁の開度等を制御する。
【0075】
なお、制御部50は、暖房運転時にデフロスト運転の開始条件が成立すると、第1熱交換器11の除霜のため、空気調和装置1の運転を、一時的に、暖房運転からデフロスト運転に切り換え、第1熱交換器11を放熱器として機能させる。また、制御部50は、デフロスト運転の終了条件が成立すると、デフロスト運転を終了し、空気調和装置1の運転を暖房運転に戻す。デフロスト運転時の制御部50の制御内容については説明を省略する。
【0076】
(4)第1熱交換器
図面を参照しながら、本開示の熱交換器の一実施形態に係る第1熱交換器11の構成について説明する。
【0077】
図2は、第1熱交換器11の概略斜視図である。
図3は、第1熱交換器11の、後述する熱交換部27の部分拡大図である。
図4は、熱交換部27における後述するフィン29の扁平管28に対する取付状態を示す概略図である。
図5は、第1熱交換器11の概略構成図である。
図5には、第1熱交換器11が冷媒の蒸発器として機能する際の冷媒の流れる様子をあわせて描画している。なお、本実施形態の第1熱交換器11では、扁平管28は、
図2に示すように2箇所で曲げられて略U字状に形成されているが、
図5では、扁平管28は直線状に描画している。
【0078】
なお、以下の説明において、向きや位置を説明するために、「上」、「下」、「左」、「右」、「前(前面)」、「後(背面)」等の表現を用いる場合がある。これらの表現は、特に断りの無い限り、
図2中に描画した矢印の方向に従う。なお、これらの方向や位置を表す表現は、説明の便宜上用いられるものであって、特記無き場合、第1熱交換器11の全体や第1熱交換器11の各構成の向きや位置を、記載の表現の向きや位置に特定するものではない。
【0079】
第1熱交換器11では、内部を流れる冷媒と、第1ファン15が供給する空気との間で熱交換が行われる。
【0080】
第1熱交換器11は、
図4及び
図5に示すように、分流器22と、複数の扁平管28と、扁平管28に取り付けられるフィン29と、第1ヘッダ40(特許請求の範囲におけるヘッダの一例)と、第2ヘッダ70と、を主に有する。本実施形態では、第1熱交換器11の、分流器22、扁平管28、フィン29、第1ヘッダ40及び第2ヘッダ70は、全て、アルミニウム製、又は、アルミニウム合金製である。
【0081】
扁平管28と、扁平管28に取り付けられるフィン29とは、熱交換部27を形成する(
図2及び
図3参照)。第1熱交換器11は、1列の熱交換部27を有する。ただし、第1熱交換器11は、空気流れ方向に並べられた複数列の熱交換部27(扁平管28)を有するものでもよい。第1熱交換器11では、熱交換部27の扁平管28とフィン29とにより形成される通風路を空気が流れることで、扁平管28を流れる冷媒と、通風路を流れる空気との間で熱交換が行われる。熱交換部27は、限定するものではないが、例えば、上下方向に並んだ、第1熱交換部27aと、第2熱交換部27bと、第3熱交換部27cと、第4熱交換部27dと、第5熱交換部27eと、に区画される(
図2参照)。
【0082】
(4-1)分流器
分流器22は、冷媒を分流させる機構である。また、分流器22は、冷媒を合流させる機構でもある。分流器22には、液冷媒管20が接続される。分流器22は、複数の分流管22a~22eを有し、液冷媒管20から分流器22に流入した冷媒を複数の分流管22a~22eに分流させて、第1ヘッダ40内に形成されている複数の空間に導く。また、分流器22は、第1ヘッダ40から分流管22a~22eを介して流入した冷媒を合流させて液冷媒管20へと導く。
【0083】
分流器22と第1ヘッダ40との接続について具体的に説明する。第1ヘッダ40には、第1ヘッダ40の内部空間23と連通する接続管49a~49eが接続されている。接続管49a~49eのそれぞれは、
図5に示すように、複数の熱交換部27a~27eのそれぞれと対応する、後述の複数のサブ空間23a~23eに接続されている。また、接続管49a~49eのそれぞれには、分流管22a~22eが接続されている。この結果、第1ヘッダ40の内部空間23(サブ空間23a~23e)と液冷媒管20とは、分流管22a~22e及び接続管49a~49eを介して接続される。
【0084】
(4-2)扁平管
第1熱交換器11は、複数の扁平管28を有する。扁平管28は、厚みの薄い扁平な伝熱管である。各扁平管28は、
図3に示すように、厚み方向(本開示の空気調和装置1の設置状態においては、上下方向)における両端に、伝熱面となる扁平面28aを有する。扁平管28には、扁平管28の延びる方向に沿って、
図3のように、冷媒が流れる冷媒通路28bが複数形成されている。扁平管28は、例えば、冷媒が流れる通路面積が小さな冷媒通路28bが多数形成されている扁平多穴管である。各扁平管28の複数の冷媒通路28bは、本実施形態では空気流れ方向に並んで設けられている。
【0085】
第1熱交換器11では、
図5のように、第1ヘッダ40側と第2ヘッダ70側との間を水平方向に延びる扁平管28が、上下方向に、所定の間隔を空けて、並べて複数段配置されている。以下、複数の扁平管28が並べられる方向を、段方向と呼ぶ場合がある。なお、形状を限定するものではないが、本実施形態では、第1ヘッダ40側と第2ヘッダ70側との間を延びる扁平管28は、2箇所で曲げられて、扁平管28により構成される熱交換部27は平面視において略U字状に形成されている(
図2参照)。ただし、扁平管28は、1箇所、又は、3箇所以上で曲げられていてもよいし、曲げ部分を有さなくてもよい。
【0086】
(4-3)フィン
複数のフィン29は、第1熱交換器11の伝熱面積を増大するための部材である。各フィン29は、段方向(本実施形態では上下方向)に延びる板状の部材である。
【0087】
各フィン29には、複数の扁平管28を差し込めるように、
図4のように、扁平管28の差し込み方向に沿って延びる切り欠き29aが複数形成されている。切り欠き29aは、フィン29の延びる方向、及び、フィン29の厚み方向と直交する方向に延びる。第1熱交換器11が熱源ユニット2に設置された状態では、各フィン29に形成された切り欠き29aは水平方向に延びる。フィン29の切り欠き29aの形状は、扁平管28の断面の外形の形状にほぼ一致している。切り欠き29aは、フィン29に、扁平管28の配列間隔に対応する間隔を開けて形成されている。第1熱交換器11において、複数のフィン29は、扁平管28の延びる方向に沿って並べて配置される。複数のフィン29の、複数の切り欠き29aのそれぞれに扁平管28が差し込まれることで、隣り合う扁平管28の間の空間が、空気が流れる複数の通風路に区画される。
【0088】
各フィン29は、扁平管28に対して空気流れ方向の上流側又は下流側において、上下方向に連通した連通部29bを有している。本実施形態では、扁平管28に対して風上側にフィン29の連通部29bが位置している。
【0089】
(4-4)第1ヘッダ及び第2ヘッダ
第1ヘッダ40及び第2ヘッダ70は、内部に空間を有する中空の部材である。第1ヘッダ40及び第2ヘッダ70は、接続されている扁平管28に、第1熱交換器11の外部から流入してくる冷媒を分配したり、接続される扁平管28から流入してくる冷媒を合流させ、第1熱交換器11の外部に流出させたりする機能を有する。
【0090】
本実施形態では、第1熱交換器11は、第1ヘッダ40及び第2ヘッダ70の長手方向が鉛直方向と概ね一致するように熱源ユニット2の図示しないケーシング内に配置される。
【0091】
(4-4-1)第2ヘッダ
第2ヘッダ70は、中空の部材であり、
図5のように内部空間25を有する。
【0092】
第2ヘッダ70には、接続管19aが取り付けられている。接続管19aは、第1ガス冷媒管19が接続される配管である。また、第2ヘッダ70には、複数の扁平管28の一端が接続されている。第2ヘッダ70の内部空間25は、接続管19aを介して、接続管19aに接続されている第1ガス冷媒管19と連通する。また、第2ヘッダ70の内部空間25は、接続されている扁平管28の冷媒通路28bと連通する。
【0093】
第2ヘッダ70は、第1熱交換器11が放熱器として機能する際(冷房運転時やデフロスト運転時)には、第1ガス冷媒管19を流れ、接続管19aを介して内部空間25に流入してくる冷媒を、第2ヘッダ70に接続されている扁平管28に分配する。また、第2ヘッダ70は、第1熱交換器11が蒸発器として機能する際(暖房運転時)には、第2ヘッダ70に接続されている扁平管28から内部空間25に流入してくる冷媒を合流させて、接続管19aに導いたりする機能を有する。
【0094】
(4-4-2)第1ヘッダ
第1ヘッダ40は、中空の部材であり、
図5のように内部空間23を有する。
【0095】
第1ヘッダ40の内部空間23は、複数のサブ空間23a~23eに区画されている(
図5参照)。複数のサブ空間23a~23eのそれぞれは、熱交換部27a~27eのそれぞれと対応している。なお、内部空間23をどの様に分割するかは、第1熱交換器11内で冷媒をどの様に流すか等に応じて適宜変更されればよい。
【0096】
サブ空間23a,23b,23c,23d,23eは、上方から、この順番に、鉛直方向に並べて配置されている。各サブ空間23a~23eは、第1ヘッダ40の内部空間23においては互いに非連通である。なお、以下では、第1ヘッダ40の、内部にサブ空間23a,サブ空間23b,サブ空間23c,サブ空間23d,サブ空間23eが形成される部分のそれぞれを、第1部分42a,第2部分42b,第3部分42c,第4部分42d,第5部分42eと呼ぶ(
図5参照)。
【0097】
各サブ空間23a~23eは、それぞれ、部分42a~42eに取り付けられた1の接続管49a~49eと連通する。接続管49a~49eのそれぞれには、前述のように、分流器22の1の分流管22a~22eが接続されている。また、第1ヘッダ40の各サブ空間23a~23eには、1以上の扁平管28の一端が接続されている。第1ヘッダ40のサブ空間23a~23eのそれぞれは、接続管49a~49eや、接続管49a~49eに接続されている分流管22a~22eを介して、液冷媒管20と連通する。また、第1ヘッダ40のサブ空間23a~23eのそれぞれは、接続されている扁平管28の冷媒通路28bと連通する。
【0098】
第1熱交換器11が放熱器として機能する際には、扁平管28を通って各サブ空間23a~23eに到達した冷媒は、各サブ空間23a~23eに接続されている接続管49a~49e及び分流器22を通って、液冷媒管20へと流れる。また、第1熱交換器11が蒸発器として機能する際、液冷媒管20、分流器22及び接続管49a~49eを経て各サブ空間23a~23eに流入した冷媒は、各サブ空間23a~23eにおいてさらに分流されて、各扁平管28に導かれる。
【0099】
第1ヘッダ40の構造の詳細については後述する
(4-5)第1熱交換器における冷媒の流れ
第1熱交換器11が冷媒の蒸発器として機能する場合には、液冷媒管20から分流器22に流入した気液二相状態の冷媒は、分流管22a~22e及びこれらに接続される接続管49a~49eを経て、第1ヘッダ40の各サブ空間23a~23eに流入する。各サブ空間23a~23eに流入した冷媒は、そのサブ空間23a~23eに接続されている各扁平管28を流れる。各扁平管28を流れる冷媒は、空気と熱交換して蒸発し、気相の冷媒となって第2ヘッダ70の内部空間25に流入する。第2ヘッダ70の内部空間25に流入して合流した冷媒は、接続管19aを経て、第1ガス冷媒管19へと流入する。
【0100】
第1熱交換器11が冷媒の放熱器として機能する場合には、第1熱交換器11が冷媒の蒸発器として機能する場合とは逆向きに冷媒が流れる。具体的には、圧縮機8から吐出され第1ガス冷媒管19を流れる気相の冷媒は、接続管19aを介して第2ヘッダ70の内部空間25に流入する。第2ヘッダ70の内部空間25に流入した冷媒は、分流されて各扁平管28に流入する。各扁平管28に流入した冷媒は、各扁平管28を通過する際に放熱し、第1ヘッダ40のサブ空間23a~23eに流入する。サブ空間23a~23eに流入した冷媒は、それぞれ、接続管49a~49e及び分流管22a~22eを流れて分流器22で合流し、液冷媒管20へと流出する。
【0101】
(4-6)第1ヘッダの詳細
第1ヘッダ40の構造の詳細を、
図6及び
図7を参照しながら説明する。
【0102】
図6は、第1ヘッダ40の概略的な分解斜視図である。なお、
図6は、第1ヘッダ40の一部(第1ヘッダ40の第1部分42a及び第1ヘッダ40の第2部分42bの上部を形成する部分)だけを描画している。
図6中の二点鎖線の矢印は、第1熱交換器11が冷媒の蒸発器として機能する際の(空気調和装置1の暖房運転時の)冷媒流れを示している。
【0103】
図7は、後述する第1ヘッダ40の第1サブ部材110~第7サブ部材170のそれぞれを、所定の位置で、第1方向D1(扁平管28の第1ヘッダ40に対する挿入方向)に沿って切断した断面図を示す。
【0104】
第1ヘッダ40は、第1サブ部材110~第7サブ部材170を有している。第1サブ部材110、第2サブ部材120、第3サブ部材130、第4サブ部材140、第5サブ部材150、第6サブ部材160、及び第7サブ部材170は、第1ヘッダ40に対する扁平管28の第1方向D1に沿って、この順番に積層されている。なお、ここでは、
図6に矢印で示すように、サブ部材110~サブ部材170が並べられる方向において、第1サブ部材110が配置される側(扁平管28が挿入される側)を後方、第7サブ部材170が配置される側(接続管49a~49eが挿入される側)を前方と呼ぶ。
【0105】
第1ヘッダ40は、第1サブ部材110~第7サブ部材170を互いにロウ付け接合することで形成され、内部に内部空間23(サブ空間23a~23e)が形成される。第1サブ部材110~第7サブ部材170が積層されて形成される第1ヘッダ40は、平面視における外形が略四角形状となるように構成されている。
【0106】
なお、第1サブ部材110、第3サブ部材130、第4サブ部材140、第5サブ部材150、第6サブ部材160、及び第7サブ部材170の板厚は、いずれも数mm程度(例えば3mm以下)である。
【0107】
なお、第1サブ部材110及び第2サブ部材120は、特許請求の範囲における第1部材100aを構成する。第3サブ部材130、第4サブ部材140、及び第5サブ部材150は、特許請求の範囲における第2部材100bを構成する。第3サブ部材130は、特許請求の範囲における第1材の一例である。なお、ここでは、第3サブ部材130は、第2部材100bの一部を構成するとともに、第1材として機能するが、このような形態は一例に過ぎない。第1材は、第2部材100bとは別部材として形成されてもよい。
【0108】
(4-6-1)第1サブ部材
第1サブ部材110は、
図6に示すように、扁平管28が挿入される扁平管接続開口112aが形成されている部材である。
図7では、第1サブ部材110については、段方向において、扁平管接続開口112aが形成されている位置で、第1方向D1に沿って切断した断面図が描画されている。また、第1サブ部材110は、第7サブ部材170と共に第1ヘッダ40の外周を構成する部材である。第1サブ部材110は、ロウ材を有するクラッド層が表面に形成されたものであることが好ましい。
【0109】
第1サブ部材110は、
図6及び
図7に示すように、扁平管接続板112と、一対の外壁部114と、一対の爪部116と、を有する。製造方法を限定するものではないが、本実施形態の第1サブ部材110は、圧延により得られる1枚の板金に対して折り曲げ加工を施すことで形成される。この様な方法で製造される場合、第1サブ部材110の各部分の板厚は一様である。
【0110】
扁平管接続板112は、鉛直方向に延びる平板形状の部分である。扁平管接続板112には、
図6に示すように、上下方向に並んで配置された複数の扁平管接続開口112aが形成されている。各扁平管接続開口112aは、扁平管接続板112を、扁平管接続板112の厚み方向(第1方向D1)において貫通している。扁平管28は、扁平管28の一端が完全に通過するように扁平管接続開口112aに挿入された状態で、ロウ付けにより接合される。ロウ付け接合された状態では、扁平管接続開口112aの内周面の全体と扁平管28の外周面の全体とは互いに接した状態となる。
【0111】
一対の外壁部114のそれぞれは、
図7に示すように、扁平管接続板112の左右の端部から(第1方向D1と直交する第2方向D2における両端部から)、前側に向けて延びる平板形状の部分である。
【0112】
一対の爪部116のそれぞれは、
図7に示すように、各外壁部114の前側端部から、互いに近づく方向に延びる部分である。一対の爪部116は、平面視において第1サブ部材110の内側に第2サブ部材120~第7サブ部材170が配置された状態で、互いに近づき、第7サブ部材170の前面に押し付けられるように、折り曲げられる。その結果、第1サブ部材110~第7サブ部材170が仮固定される。この状態で、炉中等でロウ付けが行われることで、第1サブ部材110~第7サブ部材170が互いにロウ付けにより固定される。
【0113】
(4-6-2)第2サブ部材
第2サブ部材120は、
図6に示すように、板状のベース部122と、ベース部122から扁平管接続板112側に突出する複数の凸部124と、を複数有する。第2サブ部材120には、ロウ材を有するクラッド層が表面に形成されていてもよい。
【0114】
ベース部122は、扁平管接続板112と平行に広がり、扁平管28が延びる方向を板厚方向とする平板状の部材である。ベース部122の左右方向の幅は、扁平管接続板112の内面の左右方向の幅と同一である。ベース部122には、複数の凸部124が、上下方向に並ぶように設けられる。また、ベース部122の隣接する凸部124間には、連通穴122aが形成されている。ベース部122には、複数の連通穴122aが、上下方向に並ぶように設けられる。各連通穴122aは、1の扁平管28と1対1に対応しており、後方から見た場合に、扁平管28の端部と概ね重なる形状となっている。
【0115】
なお、
図7では、第2サブ部材120については、段方向において、連通穴122aが形成されている位置で、第1方向D1に沿って切断した断面図が描画されている。
【0116】
複数の凸部124は、ベース部122の、隣り合う連通穴122aの間から、後方に向けて、扁平管接続板112の前面に当たるまで水平方向に延びるように形成される。これにより、第1サブ部材110の扁平管接続板112の前面と、第1サブ部材110の外壁部114と、第2サブ部材120において上下に隣り合う凸部124と、第2サブ部材120のベース部122の後面の連通穴122a以外の部分と、によって囲まれた第1空間S1が形成される。ベース部122には、上下方向に沿って複数の凸部124及び複数の連通穴122aが設けられることから、第1空間S1は、第1ヘッダ40の長手方向に複数並ぶようにして形成される。複数の第1空間S1は、それぞれ他の第1空間S1とは独立した空間である。各第1空間S1には、対応する単一の扁平管28が挿入され、その扁平管28の端部が配置される。なお、第1空間S1を形成する第1サブ部材110及び第2サブ部材120は、第1部材100aを構成する。
【0117】
(4-6-3)第3サブ部材
第3サブ部材130は、特許請求の範囲における第1板の一例である。
【0118】
第3サブ部材130は、その後面が、第2サブ部材120のベース部122の前面と接するように積層されている。第3サブ部材130の左右の長さは、第2サブ部材120の左右の長さと同一である。第3サブ部材130は、ロウ材を有するクラッド層が表面に形成されたものであることが好ましい。
【0119】
第3サブ部材130は、上下方向かつ左右方向に広がる平板上の部材である。第3サブ部材130には、複数の分流開口132が形成されている。分流開口132は、特許請求の範囲における第1板の開口の一例である。なお、
図7では、第3サブ部材130については、段方向において、分流開口132が形成されている位置で、第1方向D1に沿って切断した断面図が描画されている。
【0120】
複数の分流開口132は、上下方向に並んで配置されている。複数の分流開口132は、第3サブ部材130を板厚方向(第1方向D1)に貫通している。本実施形態では、第1方向D1に沿って見た時の、分流開口132の形状は矩形状である。ただし、第1方向D1に沿って見た時の、分流開口132の形状は、円形等、矩形状以外であってもよい。なお、分流開口132を流れる冷媒量を十分確保するためには、扁平管28の厚み方向において、分流開口の幅Wo(
図6参照)は、1mm以上であることが好ましい。各分流開口132は、後方から見た場合に、第2サブ部材120の各連通穴122aと少なくとも部分的に重なっており、互いに連通した状態となっている。
【0121】
各分流開口132の左右方向(扁平管28の幅方向)における位置や大きさについては後述する。
【0122】
なお、第3サブ部材130は、前述の複数の第1空間S1と、後述する第2空間S2との間に配置される部材である。第2空間S2は、第1ヘッダ40の第1部分42a~第5部分42eのそれぞれに対して1つ形成される空間である(
図5に示す例では、第1ヘッダ40内に5つの第2空間S2が形成される)。各第2空間S2は、第1方向D1において、第3サブ部材130を隔てて、2以上の所定数の第1空間S1と隣接する。なお、各第2空間S2が第3サブ部材130を隔てて隣接する第1空間S1の数は、同一であってもよいし、互いに異なってもよい。第2空間S2のそれぞれは、第1熱交換器11が蒸発器として利用される際に、液冷媒管20から、分流器22と、対応する分流管22a~22e及び接続管49a~49eとを介して冷媒が流入する空間である。
【0123】
第3サブ部材130の分流開口132のそれぞれは、第1空間S1と第2空間S2とを連通させる開口である。分流開口132は、各第1空間S1に対して少なくとも1つ設けられている。第1熱交換器11が蒸発器として機能する際には、液冷媒管20から第2空間S2に流入する冷媒は、その第2空間S2に対して開口する複数の分流開口132に分かれて流入し、各分流開口132に対応する第1空間S1へと流入する。
【0124】
(4-6-4)第4サブ部材
第4サブ部材140は、第3サブ部材130の前面に接するように積層された部材である。第4サブ部材140の左右の長さは、第3サブ部材130の左右の長さと同一である。第4サブ部材140には、ロウ材を有するクラッド層が表面に形成されてもよい。
【0125】
第4サブ部材140は、上下方向かつ左右方向に広がった平板形状を有している。第4サブ部材140には、第1ヘッダ40の第1部分42a~第5部分42eのそれぞれに対して1つの第1貫通部142が形成されている。
【0126】
各第1貫通部142は、第4サブ部材140の左右方向における中央部に、第4サブ部材140を板厚方向(第1方向D1)に貫通するように形成された開口である。各第1貫通部142は、導入部142aと、ノズル部142bと、上昇部142cと、を含む。導入部142a、ノズル部142b、上昇部142cとは、この順番で下から順に鉛直方向に並ぶように、第4サブ部材140の左右方向における中央部に設けられている。第1貫通部142の導入部142aは、第1貫通部142のノズル部142b及び上昇部142cよりも左右方向の幅が広い。第1貫通部142の上昇部142cの幅は、第1貫通部142のノズル部142bより広い。
図7では、第4サブ部材140については、段方向において、第1貫通部142の上昇部142cが存在する位置で、第1方向D1に沿って切断した断面図が描画されている。
【0127】
第4サブ部材140は、第3サブ部材130の前面と、後述する第5サブ部材150の後面と、により挟まれている。第3サブ部材130の前面と後述する第5サブ部材150の後面とにより挟まれている、第4サブ部材140の第1貫通部142の上昇部142cは、特許請求の範囲における第2空間S2として機能する。第3サブ部材130、第4サブ部材140及び第5サブ部材150は、第2空間S2を形成する第2部材100bを構成する。なお、第2方向D2において、第1空間S1の幅W1は、
図7に示すように、第2空間S2の幅W2より大きいことが好ましい。
【0128】
第1貫通部142の導入部142aは、第3サブ部材130の前面に面し、後方から見た際に、分流開口132とは重なっておらず、第1貫通部142の導入部142aにより形成される空間と分流開口132とは、直接的には連通しない。なお、後方から見た際に、第1貫通部142の導入部142aは、後述する第5サブ部材150の第2連絡開口152cと重複しており、第2連絡開口152cと連通している。第1貫通部142の導入部142aの後側が、第3サブ部材130で閉鎖されているため、第1貫通部142の導入部142aに流入した気相冷媒と液相冷媒とは、第3サブ部材130に当たって混合され、第1貫通部142のノズル部142bには、気相冷媒と液相冷媒とが混合した状態の冷媒を送られる。
【0129】
第1貫通部142のノズル部142bは、第3サブ部材130の前面に面し、後方から見た際に、分流開口132とは重なっておらず、分流開口132とは連通しない。また、第1貫通部142のノズル部142bは、後述する第5サブ部材150の後面に面し、後方から見た際に、後述する第2連絡開口152c、戻り開口152a、及び往き開口152bとは重なっておらず、第2連絡開口152c、戻り開口152a、及び往き開口152bとは互いに、直接的には連通していない。第1熱交換器11が蒸発器として機能する際、第1貫通部142の導入部142aに流入した冷媒は、第1貫通部142のノズル部142bを通過する際に増速され、第1貫通部142の上昇部142cに流入する。言い換えれば、第1貫通部142のノズル部142bは、第1熱交換器11が蒸発器として機能する際に、第1貫通部142の導入部142aに流入した冷媒を、第1貫通部142の上昇部142cに吹き上げる。
【0130】
第1貫通部142の上昇部142c(言い換えれば、第3サブ部材130の前面と、第5サブ部材150の後面と、第1貫通部142の上昇部142cの左右の縁部により囲まれている第2空間S2)は、第3サブ部材130の前面と面し、後方から見た際に複数の分流開口132と重なっており、複数の分流開口132と連通している。分流開口132と第2空間S2との重なりの態様については後述する。
【0131】
なお、第1貫通部142の上昇部142cは、後述する第5サブ部材150の前面に面しており、後方から見た場合に、第2連絡開口152cとは重複しておらず、戻り開口152a及び往き開口152bとは重複している。戻り開口152a及び往き開口152bの役割については後述する。
【0132】
なお、第1貫通部142の上昇部142cは、第3サブ部材130の前面と、後述する第5サブ部材150の後面とによって挟まれることで、第3サブ部材130の前面と、後述する第5サブ部材150の後面と、第1貫通部142の上昇部142cの左右の縁部と、によって囲まれた、主空間Saを形成する。主空間Saは、第1熱交換器11が蒸発器として利用される際に、冷媒が、第1ヘッダ40の長手方向に沿って吹き上がるように移動する空間である。なお、第1熱交換器11が蒸発器として利用される際には、第1貫通部142のノズル部142bが冷媒入口として機能し、第5サブ部材150の往き開口152bが冷媒出口として機能する。第1熱交換器11が蒸発器として利用される際には、冷媒入口としての第1貫通部142のノズル部142bから主空間Saに流入した冷媒は、複数の分流開口132に分流しながら、第5サブ部材150の往き開口152bへと移動する。なお、分流開口132に分流することなく第5サブ部材150の往き開口152bまで移動した冷媒は、後述する副空間Sbに流入する。副空間Sbに流入した冷媒は(主空間Saの冷媒出口である第5サブ部材150の往き開口152bまで到達した冷媒は)、副空間Sbを下方へと移動し、第5サブ部材150の戻り開口152aから、主空間Saの冷媒入口である第1貫通部142のノズル部142bの近傍へと導かれる。ここでの主空間Saは、特許請求の範囲における第2空間S2と同一の空間である。
【0133】
なお、第1熱交換器11が蒸発器として利用される際に第1貫通部142の導入部142aへと冷媒を供給する接続管49a~49eは、対応する(その接続管49a~49eが冷媒を供給するサブ空間23a~23eを有する部分42a~42eに設けられた)第1貫通部142の導入部142aと同じ高さ位置であって、かつ、その導入部142aの左右方向における中心位置において、後述する第7サブ部材170に接続されている。また、各第1貫通部142の左右方向における導入部142aの中心は、各第1貫通部142の左右方向における、ノズル部142bの中心及び上昇部142cの中心と、鉛直方向において、直線上に並べて配置されている。このため、接続管49a~49eを流れた冷媒は、後述の接続開口172と、第1連絡開口174aと、第2連絡開口152cとを介して導入部142aの左右方向における中心に流入し、左右方向への移動を伴うことなく又は左右方向にあまり移動しないで、導入部142aからノズル部142bを介して上昇部142cに向けて鉛直上方に向けて吹き上がる。このように構成されることで、第1貫通部142のノズル部142bから、主空間Sa(第2空間S2)に、左右方向において偏って冷媒が供給される現象の発生が抑制されやすい。
【0134】
(4-6-5)第5サブ部材
第5サブ部材150は、第4サブ部材140の前面に接するように積層された部材である。第5サブ部材150の左右の長さは、第4サブ部材140の左右の長さと同一である。第5サブ部材150は、ロウ材を有するクラッド層が表面に形成されたものであることが好ましい。
【0135】
第5サブ部材150は、上下方向かつ左右方向に広がった平板形状を有している。第5サブ部材150には、第1ヘッダ40の第1部分42a~第5部分42eのそれぞれに対して、1つの第2連絡開口152cと、1つの戻り開口152aと、1つの往き開口152bと、が形成されている。第2連絡開口152cと、戻り開口152aと、往き開口152bとは、上下方向(段方向)において離れた位置に形成されている、互いに独立した開口である。第2連絡開口152c、戻り開口152a、及び往き開口152bは、いずれも、第5サブ部材150を板厚方向(第1方向D1)に貫通している開口である。なお、
図7では、第5サブ部材150については、段方向において、第2連絡開口152c、戻り開口152a、及び往き開口152bが存在しない位置で、第1方向D1に沿って切断した断面図が描画されている。
【0136】
第2連絡開口152cは、後方から見ると、第4サブ部材140の第1貫通部142の導入部142aと重なっており、互いに連通した状態となっている。また、第2連絡開口152cは、後方から見ると、後述する第6サブ部材160の第1連絡開口162aと重複しており、互いに連通した状態となっている。第2連絡開口152cは、後方から見ると、第4サブ部材140の第1貫通部142のノズル部142b及び上昇部142cとは重なっておらず、直接的には連通していない。また、第2連絡開口152cは、後方から見て、後述する第6サブ部材160の下降開口162bとは重なっておらず、連通していない。
【0137】
戻り開口152aは、後方から見ると、第4サブ部材140の第1貫通部142の上昇部142cの下端近傍部分(第1貫通部142のノズル部142bの近傍)において、第1貫通部142の上昇部142c(第2空間S2)と重なっており、上昇部142cの下端近傍部分(第2空間S2の冷媒入口の近傍)と互いに連通した状態となっている。
【0138】
往き開口152bは、後方から見ると、第4サブ部材140の第1貫通部142の上昇部142cの上端近傍部分と重複しており、上昇部142cの上端近傍部分と互いに連通した状態となっている。往き開口152bは、前述の主空間Saの冷媒出口として機能する。
【0139】
(4-6-6)第6サブ部材
第6サブ部材160は、第5サブ部材150の前面に面して接するように積層された部材である。第6サブ部材160の左右の長さは、第5サブ部材150の左右の長さと同一である。第6サブ部材160には、ロウ材を有するクラッド層が表面に形成されていてもよい。
【0140】
第6サブ部材160は、上下方向かつ左右方向に広がった平板形状を有している。第6サブ部材160には、第1ヘッダ40の第1部分42a~第5部分42eのそれぞれに対して、1つの第1連絡開口162aと、1つの下降開口162bと、が形成されている。
【0141】
第1連絡開口162a及び下降開口162bは、上下方向(段方向)において離れた位置に形成されている、互いに独立した開口である。第1連絡開口162a及び下降開口162bは、いずれも第6サブ部材160を板厚方向(第1方向D1)に貫通している開口である。なお、
図7では、第6サブ部材160については、段方向において、下降開口162bが存在する位置で、第1方向D1に沿って切断した断面図が描画されている。
【0142】
第1連絡開口162aは、後方から見ると、第5サブ部材150の第2連絡開口152cと重なっており、第2連絡開口152cと互いに連通した状態となっている。また、第1連絡開口162aは、後方から見ると、後述する第7サブ部材170の接続開口172と重なっており、接続開口172と互いに連通した状態となっている。
【0143】
下降開口162bは、後方から見ると、第5サブ部材150の戻り開口152a及び往き開口152bと重なっており、戻り開口152a及び往き開口152bと互いに連通した状態となっている。なお、下降開口162bは、後方から見ると、後述する第7サブ部材170の接続開口172とは重複しておらず、互いに直接的には連通していない。
【0144】
下降開口162bは、第5サブ部材150の前面と第7サブ部材170の後面とにより挟まれることで、第5サブ部材150の前面と、第7サブ部材170の後面と、第6サブ部材160の第1連絡開口162aの左右の縁部により囲まれた副空間Sbを形成する。副空間Sbは、前述のように、主空間Sa(第2空間S2)の冷媒出口(第5サブ部材150の往き開口152b)まで到達した冷媒を、主空間Saの冷媒入口としての第1貫通部142のノズル部142bの近傍へと導く。なお、副空間Sbから主空間Saへと導かれた冷媒は、主空間Saに第1貫通部142のノズル部142bから流入する冷媒と共に、上方に、複数の分流開口132へと分流されながら、第5サブ部材150の往き開口152bに向かって移動する。
【0145】
(4-6-7)第7サブ部材
第7サブ部材170は、第6サブ部材160の前面に面して接するように積層された部材である。第7サブ部材170の左右の長さは、第6サブ部材160の左右の長さと同一である。第7サブ部材170は、ロウ材を有するクラッド層が表面に形成されたものであることが好ましい。
【0146】
第7サブ部材170は、上下方向かつ左右方向に広がった平板形状を有している。第7サブ部材170には、第1ヘッダ40の第1部分42a~第5部分42eのそれぞれに対して、1つの接続開口172が形成されている。接続開口172は、第7サブ部材170を板厚方向(第1方向D1)に貫通している開口である。なお、
図7では、第7サブ部材170については、段方向において、接続開口172が存在する位置で、第1方向D1に沿って切断した断面図が描画されている。
【0147】
接続開口172は、後方から見ると、第6サブ部材160の第1連絡開口162aの一部と重なっており、第1連絡開口162aと互いに連通した状態となっている。なお、接続開口172は、後方から見ると、第6サブ部材160の下降開口162bとは重なっておらず、下降開口162bと直接的には連通していない。
【0148】
第7サブ部材170に形成される接続開口172は、各接続管49a~49eのいずれか1つ(接続管49)が挿入され接続される開口である。第1熱交換器11が冷媒の蒸発器として機能する場合に、各接続管49a~49eを流れる冷媒は、第6サブ部材160の第1連絡開口162aと第5サブ部材150の第2連絡開口152cとを介して、第1貫通部142の導入部142aに送られる。
【0149】
(5)第1熱交換器が蒸発器として機能する際の第1ヘッダにおける冷媒の流れ
第1熱交換器11が冷媒の蒸発器として機能する場合の第1ヘッダ40における冷媒の流れを説明する。
【0150】
分流器22において複数の分流管22a~22eに分流して流れた液冷媒又は気液二相状態の冷媒は、対応する接続管49a~49eを流れて、第7サブ部材170の接続開口172を通過して、第1ヘッダ40の部分42a~42e(各サブ空間23a~23e)に流入する。
【0151】
以下では、
図8も参照しながら、特に第1ヘッダ40の第1部分42aにおける冷媒の流れについて説明する。
図8は、第1熱交換器11が冷媒の蒸発器として機能する際の、第1ヘッダ40の第1部分42aにおける冷媒の流れを模式的に示した図である。なお、説明は省略するが、第1ヘッダ40の第2部分42b~第5部分42eにおける冷媒の流れについて説明を省略する。
【0152】
接続管49aを流れた冷媒は、第1部分42aに対して設けられた接続開口172を通過し、同じく第1部分42aに対して設けられた第1連絡開口162aに流入する。第1連絡開口162aに流入した冷媒は、第1部分42aに対して設けられた第2連絡開口152cを通り、第1部分42aに対して設けられた第4サブ部材140の第1貫通部142の導入部142aに流入する。
【0153】
第1貫通部142の導入部142aに流入した冷媒は、主空間Saの冷媒入口としての第1貫通部142のノズル部142bを通過する際に増速されて、第1貫通部142の上昇部142c(主空間Sa,第2空間S2)を上昇する(
図8参照)。なお、上昇部142cの左右方向の幅は導入部142aよりも狭められているため、冷媒回路6の冷媒循環量が少ない状態であっても、主空間Saに流入した冷媒を、主空間Saの上端近傍に位置する分流開口132にまで到達させやすくなっている。主空間Saに流入した冷媒は、各分流開口132に分流して流れながら、主空間Saの上端近傍に向かう(
図8参照)。各分流開口132に流入した冷媒は、対応する第1空間S1に流入し、その第1空間S1に挿入されている扁平管28を流れる。なお、主空間Saの上端近傍まで到達した冷媒は、主空間Saの冷媒出口としての第5サブ部材150の往き開口152bを通過して、下降開口162b(副空間Sb)に流入する(
図8参照)。副空間Sbに到達した冷媒は、下降し、戻り開口152aを介して、主空間Saの下方近傍であって、主空間Saの冷媒入口としての第1貫通部142のノズル部142bの近傍(第1貫通部142のノズル部142bの上方の空間)に戻される。このように、主空間Sa(第2空間S2)と往き開口152bと副空間Sbと戻り開口152aとにより冷媒を循環させることが可能になっているため、主空間Saを上昇して流れる際にいずれかの分流開口132に分岐して流れなかった冷媒が生じたとしても、再度、副空間Sbを介して主空間Saに戻すことができるため、扁平管28に対する偏流が抑制されやすい。
【0154】
(6)分流開口の配置
さらに、第1熱交換器11が蒸発器として利用される際に、扁平管28への偏流を抑制するための分流開口132の配置について説明する。
【0155】
まず、従来の熱交換器のように、第1空間S1に対する扁平管28の挿入方向(第1方向D1)に沿って見た時に、扁平管28の幅方向(第2方向D2)において、冷媒の存在する第2空間S2の中央部分にのみ開口を配置して、冷媒を第2空間S2から第1空間S1へと分流させる場合の問題点について
図9を参照して説明する。
【0156】
図9では、第3サブ部材130に相当する部材Aを第1方向D1に沿って見た図であり、部材Aを実線で描画している。実線で描画した円は、第3サブ部材130に形成された分流開口132に相当する開口Opである。ただし、
図9では、後程詳しく説明する分流開口132とは異なり、開口Opは、扁平管28の幅方向である第2方向D2において、第2空間S2の中央に設けられている。また。
図9では、第4サブ部材140の第1貫通部142を破線で描画している。
【0157】
例えば、第2空間S2に流入する冷媒の乾き度が比較的小さければ(気相の冷媒の量が少なければ)、第2空間S2における冷媒流れの態様は、気泡流、スラグ流が支配的になりやすく、
図9に描画したような位置に開口Opが形成された態様でも、扁平管28への偏流は比較的問題になりにくい。
【0158】
一方で、第2空間S2に流入する冷媒の乾き度が比較的大きければ(気相の冷媒の量が多ければ)、第2空間S2における冷媒流れの態様は、チャーン流、環状流が支配的になりやすい。この場合には、
図9のように、液相の冷媒は斜線のハッチングで描画したように、第2空間S2の左右方向における端部の近傍を流れやすいため、特に1の第2空間S2に対して開口する開口Opのうち、段方向における両端部に配置される開口Opには液相の冷媒が比較的多くなり、特に段方向における中央部に配置される開口Opには液相の冷媒が比較的少なくなる等の偏流の問題が生じやすい。
【0159】
例えば、環境保全の観点から採用が増加しているR290やCO2等の温暖化係数が小さな冷媒を、冷媒として用いる際には、第1熱交換器11に乾き度が大きな冷媒が流入するような運転条件が選定される場合も多い。したがって、R290やCO2を冷媒として使用する際には、偏流の問題が生じやすい。
【0160】
また、R290やCO2等の温暖化係数が小さな冷媒を用いる場合には、R32やR410A等の従来の冷媒に比べてガス密度が小さいため、熱交換器における圧損が大きくなりやすい。さらに、R290は気液速度差が大きいこともあり、特に1の第2空間S2に対して開口する開口Opのうち、段方向における中央部に配置される開口Opと連通する扁平管には過熱が付きやすく、性能低下の問題が生じやすい。
【0161】
また、熱交換器が大型化して、熱交換部の各区画を流れる冷媒循環量が小さくなるような場合には、ヘッダにおける圧損が熱交換器の全圧損に占める割合が高くなり、ヘッダ圧損のばらつきが支配的となって、偏流が性能低下につながりやすい。
【0162】
このような問題を鑑みて、本開示の第1熱交換器11では、第1空間S1に対する扁平管28の挿入方向(第1方向D1)に沿って見た時に、分流開口132は、少なくとも部分的に、扁平管28の幅方向(第2方向D2)における第2空間S2の一方の端部144に近接する。
【0163】
なお、第2空間S2の端部144とは、第2空間S2を形成する第4サブ部材140の第1貫通部142の上昇部142cの左右方向(第2方向D2)における内側の縁部の位置を意味する(
図7参照)。
【0164】
また、分流開口132が、少なくとも部分的に、扁平管28の幅方向(第2方向D2)における第2空間S2の一方の端部144に近接するとは、第2方向D2において、一方の端部144から、他方の端部144に近づく方向において長さLの範囲に、分流開口132の一部が存在することを意味する。
【0165】
なお、本願開示者は、第2方向D2において、第2空間S2の端部144と、その端部144から第2空間S2の内側に幅W2の幅15%の位置との間に、少なくとも部分的に分流開口132を設けることで(上記の長さLを幅W2の15%とすることで)、上記のような偏流が抑制されやすいことを見出した。言い換えれば、第2方向D2において、第2空間S2の端部144と、その端部144から第2空間S2の内側に幅W2の幅15%の位置との間の領域の少なくとも一部と、分流開口132の少なくとも一部とを重ならせることで、上記のような偏流が抑制されやすいことを見出した。さらに、本願開示者は、第2方向D2において、第2空間S2の端部144と、その端部144から第2空間S2の内側に幅W2の幅10%の位置との間に、少なくとも部分的に分流開口132を設けることで(長さLを幅W2の10%とすることで)、上記のような偏流が特に抑制されやすいことを見出した。
【0166】
分流開口132の配置例について、
図10~
図13を用いて説明する。
【0167】
図10は、第1ヘッダ40の内部を、第1ヘッダ40の長手方向に見た模式図(上方から見た模式図)であり、第1空間S1、第2空間S2及び第3サブ部材130の分流開口132の配置状態の第1の例を描画している。
図11は、第1ヘッダ40の長手方向に見た模式図(上方から見た模式図)であり、第1空間S1、第2空間S2及び第3サブ部材130の分流開口132の配置状態の第2の例を描画している。
図12は、第1ヘッダ40の長手方向に見た模式図(上方から見た模式図)であり、第1空間S1、第2空間S2及び第3サブ部材130の分流開口132の配置状態の第3の例を描画している。
図13は、第1ヘッダ40の長手方向に見た模式図(上方から見た模式図)であり、第1空間S1、第2空間S2及び第3サブ部材130の分流開口132の配置状態の第4の例を描画している。
【0168】
なお、
図10~
図13では、右上がりの斜線のハッチングを付した部分は第2空間S2を表し、右下がりの斜線のハッチングを付した部分は第1空間S1を表し、ドットのハッチングを付した部分は、分流開口132の位置を描画している。
【0169】
図10の例では、第1方向D1に沿って見た時に、分流開口132は、部分的に、第2方向D2における第2空間S2の一方の端部144に重なる。なお、分流開口132が、部分的に、第2方向D2における第2空間S2の一方の端部144に重なるとは、第2方向D2において、一方の端部144の位置において、分流開口132が存在していることを意味する。特に、
図10の例では、分流開口132は、部分的に、第2方向D2における第2空間S2の両方の端部144に重なる。さらに
図10の例では、第1方向D1に沿って見た時に、分流開口132は、第2方向D2において、第2空間S2の全体と重なる。言い換えれば、第1方向D1に沿って見た時に、分流開口132は、第2方向D2における第2空間S2の両方の端部144に重なり、なおかつ分流開口132の第2方向D2の幅は、第2空間S2の第2方向D2の幅以上である。
【0170】
図7及び
図10に描画した例とは別の第2の例(
図11参照)では、分流開口132は、少なくとも部分的に、第2方向D2における両方の端部144と近接する。例えば、第2の例では、第2方向D2において、第2空間S2の両端部144と、それぞれの端部144から第2空間S2の内側に幅W2の幅15%の位置との間に、少なくとも部分的に分流開口132が設けられている。
【0171】
さらに第3の例(
図12参照)では、第2空間S2と、1の第1空間S1とを連通する分流開口132は複数(例えば、
図12の例では2つ)存在する。
図12の例では、第1方向D1に沿って見た時に、各分流開口132は、部分的に、第2方向D2における第2空間S2の一方の端部144に重なる。言い換えれば、一対の分流開口132は、部分的に、第2方向D2における両方の端部144に重なる。
【0172】
さらに別の第4の例(
図13参照)では、第2空間S2と、1の第1空間S1とを連通する分流開口132は複数(例えば、
図12の例では2つ)存在する。
図12の例では、第1方向D1に沿って見た時に、一方の分流開口132は、部分的に、第2方向D2における第2空間S2の一方の端部144に重なり、他方の分流開口132は、少なくとも部分的に、第2方向D2における一方の端部144に近接する。例えば、第4の例でも、第2方向D2において、第2空間S2の両端部144と、それぞれの端部144から第2空間S2の内側に幅W2の幅15%の位置との間に、少なくとも部分的に分流開口132が設けられている。
【0173】
なお、図示は省略するが、例えば、第2空間S2と、1の第1空間S1とを連通する分流開口132は3つ以上存在し、少なくとも1つの分流開口132については、第2方向D2における2つの端部144のいずれとも近接しなくてもよい。
【0174】
また、図示は省略するが、例えば、第2空間S2と、1の第1空間S1とを連通する分流開口132は1つであり、この分流開口132は、第2方向D2における2つの端部144の一方とだけ近接又は重なっていてもよい。
【0175】
また、ここでは、全ての第1空間S1に対して、第2方向D2において同一の位置に、同一形状の分流開口132を形成することを想定しているが、これに限定されるものではない。各第1空間S1に対して、第2方向D2において異なる位置に分流開口132が形成され、及び/又は、異なる形状の分流開口132が形成されてもよい。
【0176】
(7)本実施形態の第1熱交換器及び空気調和装置の特徴
(7-1)
本実施形態の第1熱交換器11は、複数の扁平管28と、ヘッダの一例としての第1ヘッダ40と、を備える。第1ヘッダ40は、第1部材100aと、第2部材100bと、第1板としての第3サブ部材130と、を有する。第1部材100aは、扁平管28の挿入される複数の第1空間S1を形成する。第2部材100bは、冷媒が流入する第2空間S2を形成する。第3サブ部材130は、第1空間S1と第2空間S2との間に配置される。第3サブ部材130には、分流開口132が形成されている。分流開口132は、第1空間S1と第2空間S2とを連通させる。冷媒は、第2空間S2から分流開口132を通過して第1空間S1へと流入する。第1空間S1に対する扁平管28の挿入方向(第1方向D1)に沿って見た時に、分流開口132は、少なくとも部分的に、扁平管28の幅方向(第2方向D2)における第2空間S2の一方の端部144に近接する。
【0177】
第1熱交換器11では、第3サブ部材130に形成されている分流開口132が、第2空間S2の端部144と近接配置されているため、第2方向D2において第2空間S2の端部144の近傍を流れやすい液冷媒が、複数の第1空間S1に偏りなく分配されやすい。
【0178】
(7-2)
本実施形態の第1熱交換器11では、第1方向D1に沿って見た時に、分流開口132は、少なくとも部分的に、第2方向D2における第2空間S2の両方の端部144に近接する。
【0179】
第1熱交換器11では、第3サブ部材130に形成されている分流開口132が、第2空間S2の両端部144と近接して配置されていることで、扁平管28の第2方向D2において第2空間S2の端部144の近傍を流れやすい液冷媒が、複数の第1空間S1に偏りなく分配されやすい。
【0180】
(7-3)
本実施形態の第1熱交換器11では、第2空間S2の幅の大きさは、幅W2(特許請求の範囲における第1幅)である。第2方向D2において、分流開口132は、少なくとも部分的に、第2空間S2の端部144と、その端部144から第2空間S2の内側に幅W2の15%の位置との間に設けられる。
【0181】
第1熱交換器11では、扁平管28の幅方向(第2方向D2)において第2空間S2の端部144の近傍を流れやすい液冷媒が、複数の第1空間に偏りなく分配されやすい。したがって、第1ヘッダの各扁平管28を流れる液冷媒の量とガス冷媒の量とに差が生じにくい。
【0182】
(7-4)
本実施形態の第1熱交換器11(
図10,12,13に示すもの)では、第1方向D1に沿って見た時に、分流開口132は、部分的に、第2方向D2における第2空間S2の一方の端部144に重なる。
【0183】
この第1熱交換器11では、第3サブ部材130に形成されている分流開口132が、第2空間S2の端部144と重なるように配置されていることで、扁平管28の第2方向D2において第2空間S2の端部144の近傍を流れやすい液冷媒が、複数の第1空間S1に偏りなく分配されやすい。
【0184】
(7-5)
本実施形態の第1熱交換器11(
図10,12に示すもの)では、第1方向D1に沿って見た時に、分流開口132は、部分的に、第2方向D2における第2空間S2の両方の端部144と重なる。
【0185】
この第1熱交換器11では、第3サブ部材130に形成されている分流開口132が、第2空間S2の両端部144と重なるように配置されていることで、扁平管28の第2方向D2において第2空間S2の端部144を流れる液冷媒が、複数の第1空間S1に偏りなく分配されやすい。
【0186】
(7-6)
本実施形態の第1熱交換器11(
図10に示すもの)では、第1方向D1に沿って見た時に、分流開口132は、第2方向D2において、第2空間S2の全体と重なる。
【0187】
この第1熱交換器11では、扁平管28の第2方向D2において第2空間S2の端部を流れる液冷媒が、複数の第1空間S1に偏りなく分配されやすい。
【0188】
(7-7)
本実施形態の第1熱交換器11では、第1方向D1に沿って見た時に、第2部材100bは、主空間Saと、副空間Sbと、を形成する。主空間Saは、冷媒入口(第1貫通部142のノズル部142b)と、冷媒出口(往き開口152b)と、を有する。主空間Saでは、冷媒入口から冷媒出口へと冷媒が移動する。副空間Sbは、主空間Saの冷媒出口まで到達した冷媒を、主空間Saの冷媒入口の近傍へと導く。分流開口132は、第2空間S2としての主空間Saと連通する。
【0189】
第1熱交換器11では、冷媒の分流に主空間Saと副空間Sbとを有するループ構造を採用しているため、特に、冷媒が、複数の第1空間S1に偏りなく分配されやすい。
【0190】
(7-8)
本実施形態の第1熱交換器11では、第2方向D2において、第1空間S1の幅W1は、第2空間S2の幅W2より大きい。
【0191】
第1熱交換器11では、第1空間S1の幅W1を第2空間S2の幅W2よりも大きくすることで、第2空間S2の端部144を流れる液冷媒を第3サブ部材130の分流開口132を介して第1空間S1に偏りなく分流させることが容易である。
【0192】
ただし、第1空間S1の幅W1は、第2空間S2の幅W2以下であってもよい。
【0193】
(7-9)
本実施形態の第1熱交換器11では、扁平管28の厚み方向において、分流開口132の幅Woは1mm以上である。
【0194】
第1熱交換器11では、扁平管28の厚み方向における分流開口132の幅を1mm以上とすることで、分流開口132を液冷媒が流れにくくなる不具合の発生を抑制することができる。
【0195】
(7-10)
本実施形態の第1熱交換器11では、第1空間S1のそれぞれには、単一の扁平管28が挿入される。第1空間S1のそれぞれに対し、1以上の分流開口132が設けられている。
【0196】
第1熱交換器11では、第1空間S1のそれぞれに対応して単一の扁平管28を挿入し、それぞれの第1空間S1に対し、分流開口132を介して第2空間S2からの冷媒を導くようにしているので、各第1空間S1に複数の扁平管28を挿入し、各第1空間S1内に流入した冷媒を複数の扁平管28に分配させる場合に比べて、各扁平管28に流入する冷媒の量の偏りが抑制されやすい。
【0197】
ただし、これに限定されるものではなく、第1ヘッダ40は、1の第1空間S1に複数の扁平管28が挿入される構造であって、分流開口132を介して第1空間S1に流入した冷媒が、複数の扁平管28に分流されてもよい。
【0198】
(7-11)
冷凍サイクル装置の一例としての空気調和装置1は、蒸発器として機能する第1熱交換器11と、冷媒を圧縮する圧縮機8と、圧縮機8から吐出される冷媒を冷却する放熱器としての第2熱交換器32a,32bと、放熱器から出て第1熱交換器11へと流れる冷媒を膨張させる膨張装置(第1膨張機構12,第2膨張機構31a,第2膨張機構31b)と、を備える。
【0199】
空気調和装置1では、第1熱交換器11の各扁平管28に流入する冷媒量の偏りが抑制されやすく、効率の高い空気調和装置が実現される。
【0200】
(8)変形例
以下に、上記実施形態の変形例を説明する。なお、以下で説明する変形例は、互いに矛盾の無い限り、適宜組み合わされてもよい。
【0201】
(8-1)変形例A
上記実施形態では、冷媒が熱交換部27を一方側から他方側へと流れる第1熱交換器11に関して説明したが、第1熱交換器が蒸発器として使用される際に、液相又は気液二相の冷媒を扁平管28に分配するヘッダ部分が、上記実施形態のような構成を有していれば、第1熱交換器は、冷媒が熱交換部27を折り返して流れる熱交換器であってもよい。
【0202】
例えば、同じ大きさの熱交換器に異なる冷媒を採用する場合、冷媒物性の違いにより最適な冷媒パスが異なるため、冷媒によっては高乾き度での分流性能向上が必要になる。
【0203】
上記の実施形態とは異なる冷媒パスの例と、その冷媒パスを採用する場合に、どの部分に上記実施形態において、(4-6),(6)において説明した構造のヘッダの内部構造を採用するかを説明する。
【0204】
なお、以下の例で示す、各第1熱交換器の熱交換部27の上下方向の区画数、熱交換部27の各区画に含まれる扁平管28の数、熱交換部27における冷媒の流し方等は、説明のための一例であって、本開示を限定するものではない。
【0205】
図14及び
図15の例の第1熱交換器11Aでは、第2ヘッダ70Aが、上下に2つの部分70Aa,70Abに区画される。部分70Aaには、第1ガス冷媒管19が接続される接続管19aが接続される。部分70Abには、液冷媒管20が接続される接続管20aが接続される。熱交換部27は、4つの熱交換部27a~27dに区画される。熱交換部27a,27bは、第2ヘッダ70Aの部分70Aaと接続される。熱交換部27c,27dは、第2ヘッダ70Aの部分70Abと接続される。第1ヘッダ40Aは、上下に、熱交換部27a~27dと同数の4つの部分42Aa~42Adに区画され、熱交換部27a~27dのそれぞれは、対応する部分42Aa~42Adの1つと接続される。第1ヘッダの部分42Aaと第1ヘッダの部分42Acとは、配管41aにより接続されている。第2ヘッダの部分42Aaと第1ヘッダの部分42Acとは、配管41bにより接続されている。
【0206】
この第1熱交換器11Aでは、蒸発器として機能する際に、以下のように冷媒が流れる。まず、液冷媒管20を流れてくる液冷媒又は二相冷媒は、接続管20aを介して第2ヘッダ70Aの部分70Abの内部に流入する。第2ヘッダ70Aの部分70Abの内部に流入した冷媒は、熱交換部27c,27dの扁平管28に分流される。熱交換部27cの扁平管28を流れた冷媒は、第1ヘッダ40Aの部分42Acの内部に、熱交換部27dの扁平管28を流れた冷媒は、第1ヘッダ40Aの部分42Adの内部に、それぞれ流入する。第1ヘッダ40Aの部分42Acの内部に流入した冷媒は、配管41aを介して、第1ヘッダ40Aの部分42Aaの内部に、第1ヘッダ40Aの部分42Adの内部に流入した冷媒は、配管41aを介して、第1ヘッダ40Aの部分42Abの内部に、それぞれ流入する。第1ヘッダ40Aの部分42Aaの内部に流入した冷媒は、熱交換部27aの扁平管28に分流される。第1ヘッダ40Aの部分42Abの内部に流入した冷媒は、熱交換部27bの扁平管28に分流される。熱交換部27a,27bの扁平管28を流れた冷媒は、第2ヘッダ70Aの部分70Aaの内部に流入して合流し、第2ヘッダ70Aの部分70Aaに接続される接続管19aを経て、第1ガス冷媒管19へと流出する。
【0207】
このように構成される場合に、第2ヘッダ70Aの部分70Abや、第1ヘッダ40Aの部分42Aa,42Abに、上記実施形態において、(4-6),(6)において説明した構造のヘッダの内部構造を採用することで、熱交換部27a,27bの扁平管28に液冷媒及びガス冷媒が偏りなく分配されやすい。
【0208】
なお、第1熱交換器11Aが蒸発器として機能する場合、第1ヘッダ40Aの部分42Aa,42Abには、熱交換部27c,27dで熱交換した冷媒が流入する。そのため、第1ヘッダ40Aの部分42Aa,42Abには、乾き度が比較的高い冷媒が流入しやすい。これに対し、第1ヘッダ40Aの部分42Aa,42Abにおいて、上記実施形態の(6)で説明したような分配開口の配置を採用することで(既に説明したように、第2方向D2において第2空間S2の端部144の近傍を流れやすい液冷媒が、複数の第1空間S1に偏りなく分配されやすいので)、熱交換部27a,27bの扁平管28に流入する液冷媒及びガス冷媒の量が均一化されやすい。
【0209】
なお、第2ヘッダ70Aの部分70Abに流入する冷媒の乾き度が低く、分流時に偏流が起こりにくいような場合、第2ヘッダ70Aの部分70Abには、上記実施形態の(6)で説明したような分配開口の配置は採用されなくてもよい。
【0210】
なお、第2ヘッダ70Aの部分70Aaや第1ヘッダ40Aの部分42Ac,42Adには、上記の冷媒の流れを実現可能な構造が適宜採用されればよい。ここでは詳細な説明は省略する。
【0211】
図16及び
図17の例の第1熱交換器11Bでは、第2ヘッダ70Bが、上下に5つの部分70Ba~70Beに区画される。部分70Beには、液冷媒管20が接続される接続管20aが接続される。第2ヘッダ70Bの部分70Baは、第2ヘッダ70Bの部分70Bcと、配管71aにより接続される。第2ヘッダ70Bの部分70Bbは、第2ヘッダ70Bの部分70Bdと、配管71bにより接続される。第1ヘッダ40Bは、上下に5つの部分42Ba~42Beに区画される。部分42Baには、第1ガス冷媒管19が接続される接続管19aが接続される。部分42Bbは、第1ヘッダ40Bの部分42Bdと、配管41aにより接続される。第1ヘッダ40Bの部分42Bcは、第1ヘッダ40Bの部分42Beと、配管41bにより接続される。熱交換部27は、6つの熱交換部27a~27fに区画される。第2ヘッダ70Bの部分70Ba~70Bdには、それぞれ、対応する1の熱交換部27a~27dが接続される。第2ヘッダ70Bの部分70Beには、2つの熱交換部27e~27fが接続される。第1ヘッダ40Bの部分42Baには、2つの熱交換部27a~27bが接続される。第1ヘッダ40Bの部分42Bb~42Beには、それぞれ、対応する1の熱交換部27b~27eが接続される。
【0212】
この第1熱交換器11Aでは、蒸発器として機能する際に、以下のように冷媒が流れる。まず、液冷媒管20を流れてくる液冷媒又は二相冷媒は、接続管20aを介して第2ヘッダ70Bの部分70Beの内部に流入する。第2ヘッダ70Bの部分70Beの内部に流入した冷媒は、熱交換部27e,27fの扁平管28に分流される。熱交換部27eの扁平管28を流れた冷媒は、第1ヘッダ40Bの部分42Bdの内部に、熱交換部27fの扁平管28を流れた冷媒は、第1ヘッダ40Bの部分42Beの内部に、それぞれ流入する。第1ヘッダ40Bの部分42Bdの内部に流入した冷媒は、配管41aを介して、第1ヘッダ40Bの部分42Bbの内部に、第1ヘッダ40Bの部分42Bfの内部に流入した冷媒は、配管41bを介して、第1ヘッダ40Bの部分42Bcの内部に、それぞれ流入する。第1ヘッダ40Bの部分42Bbの内部に流入した冷媒は、熱交換部27cの扁平管28に分流される。第1ヘッダ40Bの部分42Bcの内部に流入した冷媒は、熱交換部27dの扁平管28に分流される。熱交換部27cの扁平管28を流れた冷媒は、第2ヘッダ70Bの部分70Bcの内部に流入する。熱交換部27dの扁平管28を流れた冷媒は、第2ヘッダ70Bの部分70Bdの内部に流入する。第2ヘッダ70Bの部分70Bcの内部に流入した冷媒は、配管71aを介して、第2ヘッダ70Bの部分70Baの内部に、第2ヘッダ70Bの部分70Bdの内部に流入した冷媒は、配管71bを介して、第2ヘッダ70Bの部分70Bbの内部に、それぞれ流入する。第2ヘッダ70Bの部分70Baの内部に流入した冷媒は、熱交換部27aの扁平管28に分流される。第2ヘッダ70Bの部分70Bbの内部に流入した冷媒は、熱交換部27bの扁平管28に分流される。熱交換部27a,27bの扁平管28を流れた冷媒は、第1ヘッダ40Bの部分42Baの内部に流入して合流し、第1ヘッダ40Bの部分42Baに接続される接続管19aを経て、第1ガス冷媒管19へと流出する。
【0213】
このように構成される場合に、第2ヘッダ70Bの部分70Beや、第1ヘッダ40Bの部分42Bb,42Bcや、第2ヘッダ70Bの部分70Ba,70Bbに、上記実施形態において、(4-6),(6)において説明した構造のヘッダの内部構造を採用することで、熱交換部27の扁平管28に液冷媒及びガス冷媒が偏りなく分配されやすい。
【0214】
なお、第1熱交換器11Bが蒸発器として機能する場合、第1ヘッダ40Bの部分42Bb,42Bcや、第2ヘッダ70Bの部分70Ba,70Bbには、熱交換部27で熱交換した冷媒が流入する。そのため、第1ヘッダ40Bの部分42Bb,42Bcや、第2ヘッダ70Bの部分70Ba,70Bbには、乾き度が比較的高い冷媒が流入しやすい。これに対し、上記実施形態の(6)で説明したような分配開口の配置を採用することで(既に説明したように、第2方向D2において第2空間S2の端部144の近傍を流れやすい液冷媒が、複数の第1空間S1に偏りなく分配されやすいので)、分配されて扁平管28に流入する液冷媒及びガス冷媒の量が均一化されやすい。
【0215】
なお、第2ヘッダ70Bの部分70Be等、流入する冷媒の乾き度が低く、分流時に偏流が起こりにくいような部分には、上記実施形態の(6)で説明したような分配開口の配置は採用されなくてもよい。
【0216】
なお、第2ヘッダ70Bの部分70Bc,70Bdや第1ヘッダ40Bの部分42Ba,42Bd,42Bfには、上記の冷媒の流れを実現可能な構造が適宜採用されればよい。ここでは詳細な説明は省略する。
【0217】
まとめると、上記の第1熱交換器11A,11Bの熱交換器では、複数の扁平管28は、少なくとも、第1扁平管と、複数の第2扁平管と、を含む。熱交換器では、第1扁平管を流れた冷媒が、複数の第2扁平管の挿入されるヘッダの第1部分を通過して、複数の第2扁平管に流入する。
【0218】
例えば、第1熱交換器11Aでは、熱交換部27c,27dの扁平管28は第1扁平管であり、熱交換部27a,27bの扁平管28は複数の第2扁平管であり、第1ヘッダ40Aの部分42Aa,42Abがヘッダの第1部分である。
【0219】
また、例えば、第1熱交換器11Bでは、熱交換部27e,27fの扁平管28は第1扁平管であり、熱交換部27c,27dの扁平管28は複数の第2扁平管であり、第1ヘッダ40Bの部分42Bb,42Bcはヘッダの第1部分である。また、例えば、第1熱交換器11Bでは、熱交換部27c,27dの扁平管28は第1扁平管でもあり、この場合、熱交換部27a,27dの扁平管28は複数の第2扁平管であり、第2ヘッダ70の部分70Ba,70Bbはヘッダの第1部分である。
【0220】
そして、上記の第1熱交換器11A,11Bの熱交換器のヘッダの第1部分には、上記実施形態の(4-6),(6)で説明したような構造・構成が採用されることが好ましい。
【0221】
液の多い冷媒が第1扁平管を流れて熱交換する場合、冷媒が、ヘッダで折り返して複数の第2扁平管に流入する際には、乾き度が大きなものとなる。このような場合、従来の熱交換器では、第2扁平管のそれぞれを流れる液冷媒とガス冷媒の量とに差が生じて熱交換の効率が低下する可能性がある。
【0222】
これに対し、第1熱交換器11A,11Bでは、ヘッダの第1部分において、液冷媒が、複数の第1空間に偏りなく分配されやすいので、第2扁平管のそれぞれを流れる液冷媒とガス冷媒の量とが均一化されやすい。
【0223】
(8-2)変形例B
上記実施形態では、第1ヘッダ40を、第1サブ部材110~第7サブ部材170を積層して形成されるヘッダとして説明したが、第1ヘッダ40の構造はこのような構造に限定されない。例えば、第1ヘッダ40は、筒状のヘッダの内部に、適宜開口を設けた仕切板を配置することで、上記の構造に形成されるものであってもよい。
【0224】
(8-3)変形例C
上記実施形態では、第1ヘッダ40内には、主空間Saと副空間Sbとが形成されるがこれに限定されるものではない。例えば、第1ヘッダ40は、副空間Sbが省略され(冷媒が循環するループ構造になっておらず)、戻り開口152a及び往き開口152bと連通しない主空間Saに相当する構造だけを有するものであってもよい。
【0225】
(8-4)変形例D
上記実施形態では、主に第4サブ部材140~第6サブ部材160からなる複数の板状部により冷媒を循環させる構造が形成されている場合を例に挙げて説明した。
【0226】
これに対して、上記第1ヘッダ40の代わりに、複数の板状部ではなく1枚の板状部内で冷媒が循環可能な構造を採用した第1ヘッダ40Aを採用してもよい。
【0227】
図18に、第1ヘッダ40Aの分解斜視図を示す。
図19に、第1ヘッダ40Aの第1サブ部材110A~第6サブ部材160Aを、扁平管28の第1ヘッダ40Aに対する挿入方向(第1方向D1)に沿って切断した断面図を示す。なお、
図18中、二点鎖線の矢印は、第1熱交換器11が冷媒の蒸発器として機能する場合の冷媒流れを示している。
【0228】
第1ヘッダ40Aは、第1サブ部材110Aと、第2サブ部材120Aと、第3サブ部材130Aと、第4サブ部材140Aと、第5サブ部材150Aと、第6サブ部材160Aと、を有している。
【0229】
特許文献1(特開2021-12018号公報)にも第1ヘッダ40Aと同様な構造が示されているので、ここでは、上記実施形態との主な違いや、特許文献1(特開2021-12018号公報)と本開示との違いについて、主に説明する。
【0230】
図19では、第1サブ部材110Aについては、段方向において、扁平管接続開口(第1実施形態の第1サブ部材110の扁平管接続開口112aと同様)が形成されている位置で、第1方向D1に沿って切断した断面図が描画されている。第1サブ部材110Aについては、その機能や構造は、上記実施形態の第1サブ部材110と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0231】
第2サブ部材120Aは、平板状の部材であり、複数の第1開口122Aaが形成されている。
図19では、第2サブ部材120Aについては、段方向において、第1開口122Aaが形成されている位置で、第1方向D1に沿って切断した断面図が描画されている。複数の第1開口122Aaは、上下方向(段方向)に並んで配置されており、第2サブ部材120Aを板厚方向に貫通している。複数の第1開口122Aaは、上下方向(段方向)に、第1サブ部材110Aの扁平管接続開口112aと対応する位置に形成されている。各第1開口122Aaは、第1サブ部材110Aの扁平管接続開口112aよりも大きな開口である。
【0232】
第3サブ部材130Aは、平板状の部材であり、複数の第2開口132Aaが形成されている。
図19では、第3サブ部材130Aについては、段方向において、第2開口132Aaが形成されている位置で、第1方向D1に沿って切断した断面図が描画されている。複数の第2開口132Aaは、上下方向(段方向)に並んで配置されており、第3サブ部材130Aを板厚方向に貫通している。複数の第2開口132Aaは、上下方向(段方向)に、第2サブ部材120Aの第1開口122Aaと対応する位置に形成されている。各第2開口132Aaの幅は、扁平管28の幅よりもやや狭く設計されている。その結果、扁平管接続開口112aに挿入され、第1開口122Aaを通過する扁平管28は、第3サブ部材130Aの前面と接触することになる。これにより、扁平管28の位置調整を図ることができる。なお、本変形例では、扁平管28は、第1サブ部材110A~第3サブ部材130Aにより形成される空間に挿入される。言い換えれば、本変形例では、第1サブ部材110A~第3サブ部材130Aが、第1空間S1を形成する第1部材の一例である。
図18では、第1部材を、符号“100Aa”で示す。
【0233】
第4サブ部材140Aは、第1板の一例である。第4サブ部材140Aは、平板状の部材であり、
図18中では、左側に板厚方向に貫通する複数の分流開口142Aaが段方向に沿って設けられ、右側に板厚方向に貫通する複数の下降側開口142Abと、が設けられている。分流開口142Aaの機能は、上記実施形態の分流開口132と同様である。下降側開口142Abの機能については後述する。
図19では、第4サブ部材140Aについては、段方向において、分流開口142Aaが形成されており、下降側開口142Abは形成されていない位置で、第1方向D1に沿って切断した断面図が描画されている。
【0234】
第5サブ部材150Aは、平板状の部材であり、
図18のように、上記実施形態の第1貫通部142に対応する第1貫通部C1が左側に、上記実施形態の戻り開口152a及び往き開口152bに対応する戻り開口C2及び往き開口C3が左右方向における中央部に、上記実施形態の下降開口162bに対応する下降開口C4が左右方向における右側に形成されている。言い換えれば、上記実施形態では、3枚のサブ部材のそれぞれに、第1貫通部142、戻り開口152a及び往き開口152b、下降開口162bを形成していたのに対し、本変形例ではこれらが、第5サブ部材150Aに形成されている。なお、
図19では、第5サブ部材150Aについては、段方向において、第1貫通部C1及び往き開口C3が形成されている位置で、第1方向D1に沿って切断した断面図が描画されている。
【0235】
本第1ヘッダ40Aでは、第1熱交換器11が蒸発器として機能する際、第1貫通部C1の導入部に流入した冷媒は、第1貫通部C1のノズル部C1i(冷媒入口)から吹き上げられ、分流開口142Aaに分流されながら、第1貫通部C1の上昇部(言い換えれば主空間Sa(第2空間S2)を上昇する。分流開口142Aaに分流されず、往き開口C3(冷媒出口)まで上昇した冷媒は、往き開口C3を通過して下降開口C4(副空間Sb)へと流入し、下方へと移動する。ただし、下降開口C4は、その下端まで連通しておらず、不連続な開口となっている。そのため、非連続となっている位置では、第4サブ部材140Aの対応する位置に設けられた下降側開口142Abを流れて、副空間Sbを、戻り開口C2との連通位置まで移動していく。副空間Sbの下端に到達した冷媒は、戻り開口C2を通って主空間Saの冷媒入口(第1貫通部C1のノズル部C1i)の近傍に戻される。
【0236】
第6サブ部材160Aは、上記実施形態の第7サブ部材170と同様の部材である。第6サブ部材160Aには、板厚方向に貫通するように接続開口162Aが設けられている。接続開口162Aは、後方から見ると、第1貫通部C1の導入部の左右方向における中央部と重なるように配置されている。
【0237】
なお、本実施形態では、第4サブ部材140A~第6サブ部材160Aが、第2空間S2を形成する第2部材として機能する。
図18では、第2部材を、符号“100Ab”で示す。なお、ここでは、第4サブ部材140は、第2部材100Abの一部を構成するとともに、第1材として機能するが、このような形態は一例に過ぎない。第1材は、第2部材100Abとは別部材として形成されてもよい。
【0238】
そして、本変形例の第1ヘッダ40Aでも、第1空間S1に対する扁平管28の挿入方向(第1方向D1)に沿って見た時に、分流開口142Aaは、少なくとも部分的に、扁平管28の幅方向(第2方向D2)における第2空間S2の一方の端部154Aに近接する。
【0239】
なお、第2空間S2の端部154Aとは、第2空間S2を形成する第5サブ部材150Aの第1貫通部C1の上昇部の左右方向(第2方向D2)における内側の縁部の位置を意味する。
【0240】
また、分流開口142Aaが、少なくとも部分的に、扁平管28の幅方向(第2方向D2)における第2空間S2の一方の端部154Aに近接するとは、第2方向D2において、一方の端部154Aから、他方の端部154Aに近づく方向において長さLの範囲に、分流開口142Aaの一部が存在することを意味する。
【0241】
なお、ここでも、本願開示者は、第2方向D2において、第2空間S2の端部154Aと、その端部154Aから第2空間S2の内側に幅W2の幅15%の位置との間に、少なくとも部分的に分流開口142Aaを設けることで(上記の長さLを幅W2の15%とすることで)、上記のような偏流が抑制されやすいことを見出した。言い換えれば、第2方向D2において、第2空間S2の端部154Aと、その端部154Aから第2空間S2の内側に幅W2の幅15%の位置との間の領域の少なくとも一部と、分流開口142Aaの少なくとも一部とを重ならせることで、上記のような偏流が抑制されやすいことを見出した。さらに、本願開示者は、第2方向D2において、第2空間S2の端部154Aと、その端部154Aから第2空間S2の内側に幅W2の幅10%の位置との間に、少なくとも部分的に分流開口142Aaを設けることで(長さLを幅W2の10%とすることで)、上記のような偏流が特に抑制されやすいことを見出した。
【0242】
分流開口142Aaの配置例について、
図20~
図22を用いて説明する。
【0243】
図20は、第1ヘッダ40Aの内部を、第1ヘッダ40Aの長手方向に見た模式図(上方から見た模式図)であり、第1空間S1、第2空間S2及び第4サブ部材140の分流開口142Aaの配置状態の第1の例を描画している。
図21は、第1ヘッダ40Aの内部を、第1ヘッダ40Aの長手方向に見た模式図(上方から見た模式図)であり、第1空間S1、第2空間S2及び第4サブ部材140の分流開口142Aaの配置状態の第2の例を描画している。
図22は、第1ヘッダ40Aの内部を、第1ヘッダ40Aの長手方向に見た模式図(上方から見た模式図)であり、第1空間S1、第2空間S2及び第4サブ部材140の分流開口142Aaの配置状態の第3の例を描画している。
【0244】
なお、
図20~
図22では、右上がりの斜線のハッチングを付した部分は第2空間S2を表し、右下がりの斜線のハッチングを付した部分は第1空間S1を表し、ドットのハッチングを付した部分は、分流開口132の位置を描画している。
【0245】
図20の例では(
図19にも描画されるように)、第1方向D1に沿って見た時に、分流開口142Aaは、第2方向D2における第2空間S2の両方の端部154Aに重なり、なおかつ分流開口142Aaの第2方向D2の幅は、第2空間S2の第2方向D2の幅以上である。
【0246】
図21の例では、第1方向D1に沿って見た時に、分流開口142Aaは、第2方向D2における第2空間S2の両方の端部154Aと近接する。例えば、第2の例では、第2方向D2において、第2空間S2の両端部154Aと、それぞれの端部154Aから第2空間S2の内側に幅W2の幅15%の位置との間に、少なくとも部分的に分流開口142Aaが設けられている。
【0247】
図22の例では、第2空間S2と、1の第1空間S1とを連通する分流開口142Aaは複数(例えば、
図17の例では2つ)存在する。
図22の例では、第1方向D1に沿って見た時に、各分流開口142Aaは、部分的に、第2方向D2における第2空間S2の一方の端部154Aに重なる。言い換えれば、一対の分流開口142Aaは、部分的に、第2方向D2における両方の端部154Aに重なる。
【0248】
なお、分流開口142Aaの配置には、様々な変形例があることは上記実施形態と同様である。
【0249】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0250】
1 空気調和装置(ヒートポンプ装置)
8 圧縮機
11 第1熱交換器(熱交換器,蒸発器)
12 第1膨張機構(膨張装置)
28 扁平管
31a 第2膨張機構(膨張装置)
31b 第2膨張機構(膨張装置)
32a 第2熱交換器(放熱器)
32b 第2熱交換器(放熱器)
40 第1ヘッダ(ヘッダ)
70 第1ヘッダ(ヘッダ)
100a 第1部材
100b 第2部材
100Aa 第1部材
100Ab 第2部材
130 第3サブ部材(第1板)
132 分流開口(開口)
140A 第4サブ部材(第1板)
142b ノズル部(主空間の冷媒入口)
142Aa 分流開口(開口)
144 端部
152b 往き開口(主空間の冷媒出口)
154A 端部
C1i ノズル部(主空間の冷媒入口)
C3 往き開口(主空間の冷媒出口)
D1 第1方向(挿入方向)
D2 第2方向(幅方向)
S1 第1空間
S2 第2空間
Sa 主空間
Sb 副空間
W1 第1空間の幅
W2 第2空間の幅(第1幅)
Wo 扁平管の厚み方向における分流開口の幅
【先行技術文献】
【特許文献】
【0251】
【手続補正書】
【提出日】2024-07-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の扁平管(28)と、
前記扁平管の挿入される複数の第1空間(S1)を形成する第1部材(100a,100Aa)と、冷媒が流入する第2空間(S2)を形成する第2部材(100b,100Ab)と、前記第1空間と前記第2空間との間に配置される第1板(130,140A)と、を有するヘッダ(40,40A,40B,70B)と、
を備え、
前記第1板には、前記第1空間と前記第2空間とを連通させ、前記第2空間から前記第1空間へと流入する前記冷媒が通過する、前記ヘッダの長手方向に並べて複数の開口(132,142Aa)が、形成されており、
前記第1空間に対する前記扁平管の挿入方向(D1)に沿って見た時に、前記開口は、少なくとも部分的に、前記扁平管の幅方向(D2)における前記第2空間の一方の端部(144,154A)に近接し、
前記挿入方向に沿って見た時に、前記開口が少なくとも部分的に前記幅方向における前記第2空間の一方の端部に近接するとは、前記第2空間の幅の大きさが第1幅(W2)であるとした場合に、前記幅方向において、前記開口が、少なくとも部分的に、前記第2空間の端部から前記第2空間の内側に前記第1幅の15%の位置との間に設けられることを意味し、
前記第2空間は、前記開口が並べて配置されている前記ヘッダの長手方向に沿って前記冷媒が流れる空間である、
熱交換器(11,11A,11B)。
【請求項2】
前記挿入方向に沿って見た時に、前記開口は、少なくとも部分的に、前記幅方向における前記第2空間の両方の端部に近接する、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記挿入方向に沿って見た時に、前記開口は、部分的に、前記幅方向における前記第2空間の一方の端部に重なる、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記挿入方向に沿って見た時に、前記開口は、部分的に、前記幅方向における前記第2空間の両方の前記端部と重なる、
請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記挿入方向に沿って見た時に、前記開口は、前記幅方向において、前記第2空間の全体と重なる、
請求項4に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記第2部材は、
冷媒入口(142b,C1i)と冷媒出口(152b,C3)とを有し、前記冷媒入口から前記冷媒出口へと前記冷媒が移動する主空間(Sa)と、
前記主空間の前記冷媒出口まで到達した前記冷媒を前記主空間の前記冷媒入口の近傍へと導く副空間(Sb)と、
を形成し、
前記開口は、前記第2空間としての前記主空間と連通する、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記幅方向において、前記第1空間の幅(W1)は、前記第2空間の幅(W2)より大きい、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記扁平管の厚み方向において、前記開口の幅(Wo)は1mm以上である、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記第1空間のそれぞれには、単一の前記扁平管が挿入され、
前記第1空間のそれぞれに対して、1以上の前記開口が設けられる、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記複数の扁平管は、少なくとも、第1扁平管と、複数の第2扁平管と、を含み、
前記熱交換器では、前記第1扁平管を流れた前記冷媒が、前記複数の第2扁平管の挿入される前記ヘッダの第1部分(42Aa,42Ab,42Bb,42Bc,70Ba,70Bb)を通過して、前記複数の第2扁平管に流入し、
少なくとも前記ヘッダの前記第1部分において、前記挿入方向に沿って見た時に、前記開口が、少なくとも部分的に、前記幅方向における前記第2空間の一方の端部に近接する、
請求項1又は2に記載の熱交換器(11A,11B)。
【請求項11】
蒸発器として機能する、請求項1又は2に記載の熱交換器(11,11A,11B)と、
前記冷媒を圧縮する圧縮機(8)と、
前記圧縮機から吐出される前記冷媒を冷却する放熱器(32a,32b)と、
前記放熱器から出て前記熱交換器へと流れる前記冷媒を膨張させる膨張装置(12,31a,31b)と、
を備える冷凍サイクル装置(1)。