(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146729
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】ケイ素-炭素複合材料及びその調製方法、電気化学デバイス及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01M 4/38 20060101AFI20241004BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20241004BHJP
H01M 4/134 20100101ALI20241004BHJP
C01B 32/956 20170101ALI20241004BHJP
【FI】
H01M4/38 Z
H01M4/36 A
H01M4/36 C
H01M4/134
C01B32/956
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023207079
(22)【出願日】2023-12-07
(31)【優先権主張番号】202310342950.1
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】黄 鵬
(72)【発明者】
【氏名】李 若楠
(72)【発明者】
【氏名】孫 中貴
(72)【発明者】
【氏名】孫 化雨
【テーマコード(参考)】
4G146
5H050
【Fターム(参考)】
4G146MA14
4G146MB12
4G146MB18A
4G146MB19A
4G146MB19B
4G146MB20A
4G146MB20B
4G146NA01
4G146NA04
4G146NA11
4G146NB07
5H050AA07
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB02
5H050CB08
5H050CB11
5H050CB29
5H050HA01
5H050HA07
5H050HA09
5H050HA14
5H050HA20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ケイ素-炭素複合材料、その調製方法、電気化学デバイス、及び電子機器を提供する。
【解決手段】ケイ素-炭素複合材料は、インナーコアと、炭素被覆層とを含む。インナーコアは、炭素基材と、炭素基材の表面及び/又は炭素基材の内部に付着したナノ粒子とを含む。多孔度Rは20%~80%である。調製方法は、第1の化学気相堆積により、気体炭素源/ケイ素源を用いて炭素とケイ素が炭素基材上に共堆積し、第2の化学気相堆積により、炭素源を用いて表面上に炭素被覆層が形成される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インナーコアと、
前記インナーコアを覆う炭素被覆層と
を含み、
前記インナーコアは、炭素基材と、前記炭素基材の表面及び/又は前記炭素基材の内部に付着したナノ粒子とを含み、前記ナノ粒子はケイ素と炭化ケイ素を含み、
R=[m×P/2.21]/[1-m×n/2.25]×100%
の関係性を満たし、
ここで、Rは30%~70%であり、
Rは前記ケイ素-炭素複合材料中の多孔度であり、mは前記ケイ素-炭素複合材料中のg/cm3の単位での真密度であり、nは前記ケイ素-炭素複合材料中の炭素元素のwt%の単位での質量百分率であり、Pは前記ケイ素-炭素複合材料中のケイ素元素のwt%の単位での質量百分率である、
ケイ素-炭素複合材料。
【請求項2】
(a)前記ケイ素-炭素複合材料の前記多孔度(R)は30%~50%である、
(b)前記ケイ素-炭素複合材料中、炭素元素の質量百分率は35wt%~90wt%である、
(c)前記ケイ素-炭素複合材料中、ケイ素元素の質量百分率は10wt%~65wt%である、
(d)前記ケイ素-炭素複合材料中、炭化ケイ素の質量百分率は0wt%~20wt%であり、0を除く
という条件(a)~(d)のうちの少なくとも1つを満たす、
請求項1に記載のケイ素-炭素複合材料。
【請求項3】
前記炭素基材の比表面積は1cm2/g~200cm2/gであり、前記炭素基材の気孔率は1%~50%である、
請求項1に記載のケイ素-炭素複合材料。
【請求項4】
前記炭素基材は、人造黒鉛、天然黒鉛、膨張黒鉛、片状黒鉛、多層グラフェン、硬質炭素、軟質炭素、メソカーボン微小球体、多層グラフェン、多孔質炭素、及び中空炭素微小球体のうちの少なくとも1つから選択される、
請求項1に記載のケイ素-炭素複合材料。
【請求項5】
ケイ素-炭素複合材料の調製方法であって、
第1の化学気相堆積により、気体炭素源と気体ケイ素源とを用いて炭素とケイ素を炭素基材上に共堆積させて中間体を得る、炭素-ケイ素共堆積ステップと、
第2の化学気相堆積により、炭素源を用いて前記中間体の表面上に炭素被覆層を形成して前記ケイ素―炭素複合材料を得る、炭素被覆ステップと、
を含み、
前記ケイ素-炭素複合材料は、インナーコアと、前記インナーコアを覆う前記炭素被覆層とを含み、前記インナーコアは、前記炭素基材と、前記炭素基材の表面及び/又は前記炭素基材の内部に付着したナノ粒子とを含み、前記ナノ粒子はケイ素と炭化ケイ素を含み、
前記ケイ素-炭素複合材料は、
R=[m×P/2.21]/[1-m×n/2.25]×100%
の関係性を満たし、
ここで、Rは20%~80%であり、
Rは前記ケイ素-炭素複合材料中の多孔度であり、mは前記ケイ素-炭素複合材料中のg/cm3の単位での真密度であり、nは前記ケイ素-炭素複合材料中の炭素元素のwt%の単位での質量百分率であり、Pは前記ケイ素-炭素複合材料中のケイ素元素のwt%の単位での質量百分率である、
ケイ素-炭素複合材料の調製方法。
【請求項6】
(1)前記ケイ素源は、モノシラン(SiH4)、ジシラン、テトラクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルジクロロシラン、テトラメチルシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシラン、メチルシリケート、及びエチルシリケートのうちの少なくとも1つから選択される、
(2)前記炭素源は、メタン、エタン、アセチレン、プロパン、及びプロピレンのうちの少なくとも1つから選択される、
(3)前記炭素基材は、人造黒鉛、天然黒鉛、膨張黒鉛、片状黒鉛、多層グラフェン、硬質炭素、軟質炭素、メソカーボン微小球体、多層グラフェン、多孔質炭素、及び中空炭素微小球体のうちの少なくとも1つから選択される、
という条件(1)~(3)のうちの少なくとも1つを満たす、
請求項5に記載のケイ素-炭素複合材料の調製方法。
【請求項7】
前記第1の化学気相堆積と前記第2の化学気相堆積の反応温度は400℃~1000℃である、
請求項5に記載のケイ素-炭素複合材料の調製方法。
【請求項8】
前記中間体が調製されるとき、前記第1の化学気相堆積の堆積時間は2時間~16時間である、又は、前記炭素被覆層が調製されるとき、前記第2の化学気相堆積の堆積時間は0.5時間~2時間である、
請求項5に記載のケイ素-炭素複合材料の調製方法。
【請求項9】
負極シートを含む電気化学デバイスであって、
前記負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体上に設けられた負極活物質層とを含み、前記負極活物質層は負極活物質を含み、前記負極活物質は請求項1に記載のケイ素-炭素複合材料を含む、
電気化学デバイス。
【請求項10】
請求項9に記載の電気化学デバイスを含む、
電子機器。
【請求項11】
負極シートを含む電気化学デバイスであって、
前記負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体上に設けられた負極活物質層とを含み、前記負極活物質層は負極活物質を含み、前記負極活物質は請求項2に記載のケイ素-炭素複合材料を含む、
電気化学デバイス。
【請求項12】
負極シートを含む電気化学デバイスであって、
前記負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体上に設けられた負極活物質層とを含み、前記負極活物質層は負極活物質を含み、前記負極活物質は請求項3に記載のケイ素-炭素複合材料を含む、
電気化学デバイス。
【請求項13】
負極シートを含む電気化学デバイスであって、
前記負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体上に設けられた負極活物質層とを含み、前記負極活物質層は負極活物質を含み、前記負極活物質は請求項4に記載のケイ素-炭素複合材料を含む、
電気化学デバイス。
【請求項14】
負極シートを含む電気化学デバイスであって、
前記負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体上に設けられた負極活物質層とを含み、前記負極活物質層は負極活物質を含み、前記負極活物質は請求項5に記載の調製方法により得られるケイ素-炭素複合材料を含む、
電気化学デバイス。
【請求項15】
負極シートを含む電気化学デバイスであって、
前記負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体上に設けられた負極活物質層とを含み、前記負極活物質層は負極活物質を含み、前記負極活物質は請求項6に記載の調製方法により得られるケイ素-炭素複合材料を含む、
電気化学デバイス。
【請求項16】
負極シートを含む電気化学デバイスであって、
前記負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体上に設けられた負極活物質層とを含み、前記負極活物質層は負極活物質を含み、前記負極活物質は請求項7に記載の調製方法により得られるケイ素-炭素複合材料を含む、
電気化学デバイス。
【請求項17】
負極シートを含む電気化学デバイスであって、
前記負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体上に設けられた負極活物質層とを含み、前記負極活物質層は負極活物質を含み、前記負極活物質は請求項8に記載の調製方法により得られるケイ素-炭素複合材料を含む、
電気化学デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二次電池の技術分野に関するものであり、特に、ケイ素-炭素複合材料及びその調製方法、電気化学デバイス、及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー及び新エネルギー車両は、中国製造2025の上位10分野のうちの1つであり、省エネルギー及び新エネルギー車両の成長及び開発を加速させるため、純粋な電気駆動が新エネルギー車両の開発及び自動車産業の変革のための主要な戦略的指向となっている。関連する技術指標では、電池セルのエネルギー密度が300Wh/kg以上であること、サイクル寿命が1500回以上であること、そして関連する負極材料の比容量が600mAh/gに達する必要があることが明確に要求されている。現在、大部分の市販の電源リチウムイオン電池のために用いられている負極材料はまだ黒鉛である。しかし、黒鉛のエネルギー密度は理論レベル(372mAh/g)に近づくまでに開発されており、黒鉛は既に近頃の電源リチウムイオン電池の開発の要件を満たすことができない。ケイ素は、リチウムイオン電池のための負極材料として最も高いリチウム貯蔵容量(4200mAh/g)を提供する。充放電プロセスの間、リチウムめっきの可能性は低く、ケイ素は高い安全性能の利点を有するが、ケイ素はいくつかの欠点も有する。リチウム化プロセス間のケイ素の体積膨張は400%に達するほど高く、これは材料の粉砕、崩壊、低サイクル寿命につながる。ケイ素は電子移動度が低く(1350cm2V-1S-1)且つ熱伝導率が低く(148m-1K-1)、劣ったレート性能及び劣った材料安定性につながる。ケイ素材料のナノ化及び炭素被覆の改変を通じて、ケイ素を負極材料として有する電池の性能を効果的に向上させることができる。リチウムイオン電池材料としての従来の黒鉛及びケイ素の利点及び欠点を組み合わせ、ナノサイズ化されたケイ素を黒鉛材料との配合に用い、炭素被覆を通じて改変することにより、負極材料としての黒鉛の電気化学性能を向上させることができる。
【0003】
現在、ケイ素-炭素複合材料を調製するために一般的に用いられるいくつかの方法には、高エネルギーボールミル、化学気相堆積、ゾルゲル法、及び高温熱分解を含む。これら方法のうち、高エネルギーボールミル法と化学気相堆積法が工業生産により適する。ボールミル法は単純であり、調製コストが低い。ただし、ボールミルプロセスにおいてケイ素の粒子サイズがナノメートルレベルに達するのは難しく、またケイ素を黒鉛粉末に分散させることが難しく、そのため同質的凝集(ケイ素とケイ素の凝集又は黒鉛と黒鉛の凝集)が発生しやすくなる。ケイ素の不均一な分散及び大きなサイズのケイ素は電池のサイクル安全性に影響を及ぼす。化学気相堆積法において、ケイ素-炭素複合材料を調製するため、既存の基材上にナノメートル層を堆積させるためにケイ素源又は炭素源が用いられる。最も一般的なケイ素源はシランである。いくつかの研究では、銅箔上にケイ素ナノワイヤアレイを堆積するために化学気相堆積法を用いている。得られた材料は、0.2A/gの電流密度で20サイクル後に3500mAh/gの容量を維持し、これは理論容量に近い。
【0004】
化学気相堆積法は高い工業化の見込みを呈するが、調製ステップが煩雑である、製品調製の品質安定性が劣る、完成した材料のサイクル安定性が劣るといった欠点も見られる。ケイ素-炭素複合材料が従来の化学気相堆積法で調製される場合、基材として純粋な炭素又はケイ素基材が一般的に用いられ、2つの相を混合するためケイ素又は炭素を表面に堆積させる。このような方法は下記問題をもたらす。1.調製プロセスが面倒で、材料調製を完了するには、ほとんどの場合、堆積を複数の装置を用いることにより繰り返し実行することを要する。更に、完成した製品の品質安定性が劣り、大規模な工業生産には適さない。2.完成した製品材料中の炭素とケイ素の2つの相が強固に結合しておらず、サイクル安定性が劣る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
関連技術における上記欠点に鑑み、本発明は、関連技術において用いられる従来の化学気相堆積法における調製工程の煩雑さ、製品調製時の劣った品質安定性、完成した製品材料の劣ったサイクル安定性、及び他の問題を解決するため、リチウムイオン電池といった電気化学エネルギー蓄積装置の負極のための高い総合性能(例えば、高い質量比容量と高いサイクル安定性)を呈するケイ素-炭素複合材料を提供するため、ケイ素-炭素複合材料、その調製方法、電気化学装置、及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的及び他の対応する目的を達成するため、本発明の第1の様態は、ケイ素-炭素複合材料を提供する。ケイ素-炭素複合材料は、インナーコアと、インナーコアを覆う炭素被覆層とを含む。インナーコアは、炭素基材と、炭素基材の表面及び/又は炭素基材の内部に付着したナノ粒子とを含み、ナノ粒子はケイ素と炭化ケイ素とを含む。
【0007】
ケイ素-炭素複合材料は次の条件を満たす:
R=[m×P/2.21]/[1-m×n/2.25]×100%
ここで、Rは20%~80%であり、
Rはケイ素-炭素複合材料中の多孔度(accessible porosity)であり、mはケイ素-炭素複合材料中のg/cm3の単位での真密度でありnはケイ素-炭素複合材料中の炭素元素のwt%の単位での質量百分率であり、Pはケイ素-炭素複合材料中のケイ素元素のwt%の単位での質量百分率である。
【0008】
更に、ケイ素-炭素複合材料の空隙率(R)は30%~50%である。
【0009】
更に、ケイ素-炭素複合材料中、炭素元素の質量百分率は35wt%~90wt%であり、40wt%~70wt%が好ましい。
【0010】
更に、ケイ素-炭素複合材料中、ケイ素元素の質量百分率は10wt%~65wt%であり、30wt%~50wt%が好ましい。
【0011】
更に、ケイ素-炭素複合材料中、炭化ケイ素の質量百分率は0wt%~20wt%であり、1wt%~20wt%が好ましい。
【0012】
更に、炭素基材の比表面積は1cm2/g~200cm2/gであり、炭素基材の気孔率(porosity)は1%~50%である。
【0013】
更に、炭素基材は、人造黒鉛、天然黒鉛、膨張黒鉛、片状黒鉛、多層グラフェン、硬質炭素、軟質炭素、メソカーボン微小球体、多層グラフェン、多孔質炭素、及び中空炭素微小球体のうちの少なくとも1つから選択される。
【0014】
本発明の第2の様態は、ケイ素-炭素複合材料の調製方法を提供し、下記のステップが含まれる。
【0015】
炭素-ケイ素共堆積ステップにおいて、第1の化学気相堆積により、気体炭素源と気体ケイ素源を用いて炭素とケイ素を炭素基材上に共堆積させ、中間体を得る。
【0016】
炭素被覆ステップにおいて、第2の化学気相堆積により、炭素源を用いて中間体の表面上に炭素被覆層を形成させ、ケイ素-炭素複合材料を得る。
【0017】
ケイ素-炭素複合材料は、インナーコアと、インナーコアを覆う炭素被覆層とを含む。インナーコアは、炭素基材と、炭素基材の表面及び/又は炭素基材の内部に付着したナノ粒子とを含み、ナノ粒子はケイ素と炭化ケイ素とを含む。
【0018】
ケイ素-炭素複合材料は次の条件を満たす:
R=[m×P/2.21]/[1-m×n/2.25]×100%
ここで、Rは20%~80%であり、
Rはケイ素-炭素複合材料中の多孔度であり、mはケイ素-炭素複合材料中のg/cm3の単位での真密度でありnはケイ素-炭素複合材料中の炭素元素のwt%の単位での質量百分率であり、Pはケイ素-炭素複合材料中のケイ素元素のwt%の単位での質量百分率である。
【0019】
更に、ケイ素源は、モノシラン(SiH4)、ジシラン、テトラクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルジクロロシラン、テトラメチルシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシラン、メチルシリケート、及びエチルシリケートのうちの少なくとも1つから選択される。
【0020】
更に、炭素源は、メタン、エタン、アセチレン、プロパン、及びプロピレンのうちの少なくとも1つから選択される。
【0021】
更に、炭素基材は、人造黒鉛、天然黒鉛、膨張黒鉛、片状黒鉛、多層グラフェン、硬質炭素、軟質炭素、メソカーボン微小球体、多層グラフェン、多孔質炭素、及び中空炭素微小球体のうちの少なくとも1つから選択される。
【0022】
更に、第1の化学気相堆積と第2の化学気相堆積の反応温度は400℃~1000℃である。
【0023】
更に、中間体が調製されるとき、第1の化学気相堆積の堆積時間は2時間~16時間であり、4時間~16時間が好ましく、8時間~16時間がより好ましい。
【0024】
更に、炭素被覆層が調製されるとき、第2の化学気相堆積の堆積時間は0.5時間~2時間であり、1時間~2時間が好ましい。
【0025】
本発明の第3の様態は、負極シートを含む電気化学デバイスを提供する。負極シートは、負極集電体と、負極集電体上に設けられた負極活物質層とを含む。負極活物質層は負極活物質を含む。負極活物質は、第1の様態によるケイ素-炭素複合材料及び/又は第2の様態による方法により得られるケイ素-炭素複合材料を含む。
【0026】
本発明の第4の様態は、本発明の第3の様態による電気化学デバイスを含む電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0027】
上述したように、ケイ素-炭素複合材料、その調製方法、電気化学デバイス、及び電子機器は下記の有益な効果を呈する。
【0028】
本発明により提供されるケイ素-炭素複合材料は、炭素被覆されたケイ素-炭素複合材料であり、ケイ素と炭素ナノ粒子が炭素基材上に均一に分布し互いを制限している。このようにして、ケイ素のリチウム化の後の体積膨張によって引き起こされる悪影響を大幅に軽減し、材料のサイクル安定性を向上させることができる。ケイ素-炭素構造中の気孔率を増加させることにより、充放電プロセスの間のリチウムのデインターカレーション及びインターカレーションを低減させることができ、電池の電気化学的性能が向上する。更に、ケイ素-炭素複合構造中に適量の炭化ケイ素を含有させることで材料粒子の強度を高めることができ、この材料を負極活物質として用いた電池のサイクル特性は大幅に向上する。
【0029】
本発明により提供されるケイ素-炭素複合材料の調製方法において、化学気相共堆積のために気体のケイ素及び炭素源が選択される。基材上にケイ素と炭素を調製する多段階堆積方法と比較し、本方法において、処理ステップが効果的に削減されて処理フロー時間が短縮され、生産効率が大幅に向上する。更に、調製コストが低減されて大量生産の達成が容易となる。更に、本発明により採用されるCVD法は、堆積プロセス中の炭化ケイ素相の生成を効果的に制御することができ、ナノスケールのケイ素と炭素が炭素基材上に均一に分布して互いを制限することを可能とする。このようにして、ケイ素のリチウム化の後の体積膨張によって引き起こされる悪影響を大幅に軽減し、材料のサイクル安定性を向上させることができる。完成した材料のケイ素と炭素の含有量が近い場合、共堆積により調製されたケイ素-炭素複合材料は良好なサイクル安定性を呈する。
【0030】
まとめると、本発明は、リチウムイオン電池といった電気化学エネルギー貯蔵装置の負極の高い総合性能(例えば、高い質量比容量と高いサイクル安定性)を呈するケイ素-炭素複合材料を提供する。本発明は更に、低コストで単純な調製工程を必要とするケイ素-炭素複合材料の調製方法を提供し、製品調製の間の劣った品質安定性と、完成した製品材料の劣ったサイクル安定性の問題が解決される。この調製方法は、大規模工業生産に適する。本発明により提供されるケイ素-炭素複合材料は、負極活物質層に施される負極活物質として用いることができ、負極シートとすることができ、リチウムイオン電池といった電気化学デバイスを形成するために正極シート、セパレータ、電解質、及び正極シートと組み立てられることができ、電気的性能が大幅に向上する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施を特定の実施形態により以下に表す。当業者は、本明細書の開示する内容から本発明の利点及び効果を容易に理解することができる。本発明は他の異なる特定の実装方法により実施又は適用することもできる。本明細書の詳細は、本発明の精神から逸脱することなく、異なる観点及び応用に基づいて改変又は変更することもできる。
【0032】
本発明の1つの実施形態は、インナーコアと、インナーコアを覆う炭素被覆層とを含む、ケイ素-炭素複合材料を提供する。インナーコアは、炭素基材と、炭素基材の表面及び/又は炭素基材の内部に均一に付着したナノ粒子とを含み、ナノ粒子はケイ素と炭化ケイ素を含む。
【0033】
ケイ素-炭素複合材料は次の条件を満たす:
R=[m×P/2.21]/[1-m×n/2.25]×100%
ここで、Rは20%~80%であり、30%~50%が好ましく、
Rはケイ素-炭素複合材料中の多孔度であり、mはケイ素-炭素複合材料中のg/cm3の単位での真密度でありnはケイ素-炭素複合材料中の炭素元素のwt%の単位での質量百分率であり、Pはケイ素-炭素複合材料中のケイ素元素のwt%の単位での質量百分率である。
【0034】
本実施形態において、ケイ素-炭素複合材料中のケイ素及び炭素ナノ粒子は炭素基材上に均一に分布して互いを制限する。このようにして、ケイ素のリチウム化の後の体積膨張によって引き起こされる悪影響を大幅に低減することができ、材料のサイクル安定性を改善することができる。ケイ素-炭素構造中の気孔率を増加させることにより、充放電プロセスの間のリチウムのデインターカレーション及びインターカレーションを低減させることができ、電池の電気化学的性能が向上する。更に、ケイ素-炭素複合構造中に適量の炭化ケイ素を含有させることで材料粒子の強度を高めることができ、この材料を負極活物質として用いた電池のサイクル特性は大幅に向上する。
【0035】
いくつかの実施形態において、ケイ素-炭素複合材料中、炭素元素の質量百分率は35wt%~90wt%であり、40wt%~70wt%が好ましい。ケイ素元素の質量百分率は10wt%~65wt%であり、30wt%~50wt%が好ましい。ケイ素-炭素複合材料中、炭化ケイ素の質量百分率は0wt%~20wt%であり、1wt%~20wt%が好ましく、1wt%~10wt%がより好ましい。
【0036】
いくつかの実施形態において、炭素基材の比表面積は1cm2/g~200cm2/gであり、炭素基材の気孔率は1%~50%である。
【0037】
いくつかの実施形態において、炭素基材は、人造黒鉛、天然黒鉛、膨張黒鉛、片状黒鉛、多層グラフェン、硬質炭素、軟質炭素、メソカーボン微小球体、多層グラフェン、多孔質炭素、及び中空炭素微小球体のうちの少なくとも1つから選択される。
【0038】
いくつかの実施形態において、ケイ素材料はSi及びSiOxのうちの少なくとも1つから選択され、ケイ素材料はナノスケールである。ケイ素材料の粒径は2nm~20nmであることが好ましい。ケイ素材料は棒状及び/又は顆粒状であり、球状、準球状、又は針状の粒子を含むがこれらに限定されない。
【0039】
本発明の1つの実施形態はケイ素-炭素複合材料の調製方法を提供し、下記のステップが含まれる。
【0040】
炭素-ケイ素共堆積ステップにおいて、第1の化学気相堆積により、気体炭素源と気体ケイ素源を用いて炭素とケイ素を炭素基材上に共堆積させ、中間体を得る。
【0041】
炭素被覆ステップにおいて、第2の化学気相堆積により、炭素源を用いて中間体の表面上に炭素被覆層を形成し、ケイ素-炭素複合材料を得る。
【0042】
ケイ素-炭素複合材料は、インナーコアと、インナーコアを覆う炭素被覆層とを含む。インナーコアは、炭素基材と、炭素基材の表面及び/又は炭素基材の内部に付着したナノ粒子とを含み、ナノ粒子はケイ素と炭化ケイ素とを含む。
【0043】
ケイ素-炭素複合材料は次の条件を満たす:
R=[m×P/2.21]/[1-m×n/2.25]×100%
ここで、Rは20%~80%であり、30%~50%が好ましく、
Rはケイ素-炭素複合材料中の多孔度であり、mはケイ素-炭素複合材料中のg/cm3の単位での真密度でありnはケイ素-炭素複合材料中の炭素元素のwt%の単位での質量百分率であり、Pはケイ素-炭素複合材料中のケイ素元素のwt%の単位での質量百分率である。
【0044】
本実施形態において、化学気相共堆積のために気体のケイ素及び炭素源が選択される。基材上にケイ素と炭素を調製する多段階堆積方法と比較し、本方法において、処理ステップが効果的に削減されて処理フロー時間が短縮され、生産効率が大幅に向上する。更に、調製コストが低減されて大量生産の達成が容易となる。更に、本実施形態により採用されるCVD法は、堆積プロセス中の炭化ケイ素相の生成を効果的に制御することができ、ナノスケールのケイ素と炭素が炭素基材上に均一に分布して互いを制限することを可能とする。このようにして、ケイ素のリチウム化の後の体積膨張によって引き起こされる悪影響を大幅に軽減し、材料のサイクル安定性を向上させることができる。更には、ケイ素-炭素構造の気孔率を増加させることにより、充放電プロセスの間のリチウムのデインターカレーション及びインターカレーションを低減させることができ、電池の電気化学的性能を向上させることができる。
【0045】
本発明のもう1つの実施形態において、ケイ素-炭素複合材料の調製方法は下記のステップを含む。
【0046】
a)炭素基材を蒸着室に配置し、元の空気を排気するため不活性ガスを導入することで反応室を不活性ガスで満たし、反応温度まで昇温させる。
【0047】
b)ステップa)において形成した真空反応室に、気体ケイ素源、気体炭素源、保護雰囲気ガスを送り、第1の化学気相堆積を実行することで、炭素とケイ素を炭素基材上に共堆積させ、中間体を得る。
【0048】
c)共堆積が完了した後、気体ケイ素源を遮断し、気体炭素源と保護雰囲気ガスを継続して流入させることで、安定した炭素被覆層がステップb)において得られた中間体の表面に形成され、ケイ素-炭素複合材料を得る。
【0049】
d)堆積が完了した後、他のガス源を遮断し、不活性ガスを導入し、室温まで冷却した後に、得られたケイ素-炭素複合材料を取り出す。
【0050】
いくつかの実施形態において、ケイ素源は、モノシラン(SiH4)、ジシラン、テトラクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルジクロロシラン、テトラメチルシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシラン、メチルシリケート、及びエチルシリケートのうちの少なくとも1つから選択される。
【0051】
いくつかの実施形態において、炭素源は、メタン、エタン、アセチレン、プロパン、及びプロピレンのうちの少なくとも1つから選択される。
【0052】
いくつかの実施形態において、炭素基材は、人造黒鉛、天然黒鉛、膨張黒鉛、片状黒鉛、多層グラフェン、硬質炭素、軟質炭素、メソカーボン微小球体、多層グラフェン、多孔質炭素、及び中空炭素微小球体のうちの少なくとも1つから選択される。
【0053】
いくつかの実施形態において、第1の化学気相堆積と第2の化学気相堆積の反応温度は400℃~1000℃であり、500℃~1000℃が好ましく、500℃~800℃がより好ましく、例えば、500℃、510℃、520℃、530℃、550℃、580℃、600℃、620℃、650℃、680℃、又は700℃であってよい。
【0054】
いくつかの実施形態において、中間体が調製されるとき、第1の化学気相堆積の堆積時間は2時間~16時間であり、4時間~16時間が好ましく、8時間~16時間がより好ましい。ケイ素源と炭素源の分解プロセスの間に、反応して炭化ケイ素が形成されやすい。堆積時間を制御することにより、各生成相の付着率を効果的に制御することができる。堆積時間が増加すると、得られる複合材料中のケイ素及び炭化ケイ素の含有量が増加する。
【0055】
いくつかの実施形態において、炭素被覆層が調製されるとき、第2の化学気相堆積の堆積時間は0.5時間~2時間であり、1時間~2時間が好ましい。
【0056】
いくつかの実施形態において、中間体が調製されるとき、ケイ素源ガスと炭素源ガスと保護雰囲気ガスの流量比は2:(1~4):(1~4)であり、総流量は毎分1L~5Lである。
【0057】
いくつかの実施形態において、第1の化学気相堆積反応と第2の化学気相堆積反応は、微陽圧、常圧、陰圧下で実施される。
【0058】
いくつかの実施形態において、第1の化学気相堆積及び第2の化学気相堆積のための保護雰囲気ガスは、水素と不活性ガスとを含む。保護雰囲気ガス中の水素の割合は80%以上であることが好ましい。不活性ガスは、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオンのうちの少なくとも1つから選択される。ケイ素源と炭素源の分解プロセスの間に、反応して炭化ケイ素が形成されやすい。保護雰囲気ガス中の還元ガス水素の割合を制御することにより、各生成相の付着率を効果的に制御することができ、保護雰囲気ガス中の還元性ガス水素の割合が増加し、得られる複合材料中の炭化ケイ素の含有量を低下させることができる。
【0059】
いくつかの実施形態において、第1の化学気相堆積と第2の化学気相堆積は化学気相成長炉で実行され、化学気相成長炉は、管状炉、回転炉、流動床のうちのいずれかから選択される。
【0060】
上記実施形態において説明したケイ素-炭素複合材料は、上記実施形態において説明した方法により取得されてよいが、本発明はこれに限定されないことに注意されたい。
【0061】
本発明の1つの実施形態は負極シートを提供する。負極シートは、負極集電体と、負極集電体上に設けられた負極活物質層とを含む。負極活物質層は負極活物質を含む。負極活物質は、上記実施形態によるケイ素-炭素複合材料及び/又は上記実施形態による方法により調製されて得られるケイ素-炭素複合材料を含む。
【0062】
いくつかの実施形態において、負極活物質は質量百分率で24%~45%のケイ素-炭素複合材料を含む。
【0063】
本発明の1つの実施形態は、上記実施形態において説明した負極シート、及び正極シートと、セパレータと、電解質とを含む、電気化学デバイスを提供する。
【0064】
本発明の本実施形態の電気化学デバイスは、例えばリチウムイオン電池又はナトリウムイオン電池であるがこれらに限定されない任意の電気化学デバイスである。
【0065】
正極シートは、正極集電体と、正極集電体上に設けられた正極活物質層とを含む。正極活物質層は正極活物質を含む。
【0066】
正極活物質は、一般的にリチウム含有複合酸化物であり、具体例は、LiMnO2、LiFeO2、LiMn2O4、Li2FeSiO4、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、LiNi5CO2Mn3O2、LizNi(1-x-y)CoxMyO2(ここで、0.01≦x≦0.20、0≦y≦0.20、0.97≦z≦1.20であり、Mは、Mn、V、Mg、Mo、Nb、及びAlのうちの少なくとも1つから選択される元素を表す)、LiFePO4、及びLizCO(1-x)MxO2(ここで、0≦x≦0.1、0.97≦z≦1.20であり、Mは、Mn、Ni、V、Mg、Mo、Nb、及びAlのうちの少なくとも1つから選択される元素を表す)であってよい。
【0067】
活物質には通常、導電剤やバインダといった物質が添加される。異なる要件に応じて、物質の添加量は正極活物質の総質量の1%~50%内に調整されてよく、負極活物質の総質量の55%~76%内に調整されてよい。
【0068】
導電剤は、電極が良好な充放電性能を有することを確保するために用いられる試薬である。導電剤は、例えば、天然黒鉛と人造黒鉛といった黒鉛材料、導電性カーボンブラック(Super P)、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、及びサーマルブラックといったカーボンブラック材料、炭素繊維、金属繊維といった導電性繊維、フッ化炭素粉末、アルミニウム粉末、ニッケル粉末といった金属粉末、金属粉末、酸化亜鉛、チタン酸カリウムといった導電性ウィスカ、及び、二酸化チタン又はポリフェニレン誘導体といった導電性金属酸化物であってよい。
【0069】
バインダは、活物質と導電剤との間の結合を促し、活物質と集電体との間の結合を促す成分である。バインダは一般的に、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、でん粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンジエン三元共重合体(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、スチレンアクリルゴム、フッ素ゴム、及び様々な共重合体から選択されてよい。
【0070】
電極活物質を担持する基材としての集電体は通常、3ミクロン~500ミクロンの厚さの金属箔である。高導電性を有して二次電池のシステムにおいて化学反応を生まない限り、集電体の材料に特に制限はない。例えば、該材料は、ニッケル、チタン、アルミニウム、銀、ステンレス、カーボン等を表面処理することにより得られる箔材であってよい。集電体は通常、滑面を有するが、正極活物質と集電体との間の密着性を向上させるため表面に微細な線が形成されてもよい。加えて、集電体は、フィルム、メッシュ、多孔質、発泡体、不織布といった様々な形態のうちの1つ又は組合せを採用してもよい。
【0071】
セパレータは正極シートと負極シートとの間に配置され、高いイオン透過性及び高い機械的強度を有する絶縁フィルムが通常用いられる。セパレータは典型的に、9μm~18μmの厚さ、5μm~300μmの細孔径、180s/100mL~380s/100mLの通気性、及び30%~50%の気孔率を有する。セパレータとして、耐薬品性、疎水性である、ポリプロピレンといったオレフィン系ポリマーとガラス繊維又はポリエチレン製のシートや不織布が用いられる。
【0072】
リチウムイオン電池において用いられる電解質は、通常、非水溶媒、リチウム塩、添加剤を含む。
【0073】
ここで、非水溶媒は、本技術分野における従来の非水溶媒であってよく、エステル系溶媒が好ましく、カーボネート系溶媒がより好ましい。具体的には、カーボネート系溶媒は、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、及びブチレンカーボネート(BC)のうちの少なくとも1つから選択されてよい。
【0074】
リチウム塩は、LiPF6、LiBF4、LiN(SO2F)2(略してLiFSI)、LiClO4、LiAsF6、LiB(C2O4)2(略してLiBOB)、LiBF2(C2O4)(略してLiDFOB)、LiN(SO2RF)2、及びLiN(SO2F)(SO2RF)のうちの少なくとも1つから選択されてよい。電解質中のリチウム塩の含有量は5%~20%が好ましい。
【0075】
添加剤は、炭酸ビニレン(VC)、炭酸フルオロエチレン(FEC)、炭酸ビニルエチレン(VEC)、硫酸ビニル(DTD)、硫酸ビニレン、1,3-プロパンスルトン(PS)、プロペンスルトン、1,4-ブタンスルトンのうちの少なくとも1つから選択されてよい。電解質中に用いられる添加剤の典型的な量は、電解質の1%~4%、例えば2%である。
【0076】
いくつかの実施形態において、負極活物質は、ケイ素-炭素複合材料と、黒鉛と、導電性カーボンブラックと、バインダとを含む。負極活物質は、1.6%~45%のケイ素-炭素複合材料と、40%~88.2%の黒鉛と、2%~8%の導電性カーボンブラックと、2%~18%のバインダとを含むことが好ましい。負極活物質は、質量百分率で、24%~45%のケイ素-炭素複合材料と、40%~63%の黒鉛と、2%~8%の導電性カーボンブラックと、2%~18%のバインダとを含むことがより好ましい。
【0077】
いくつかの実施形態において、上記実施形態において説明した負極シートの調製方法は下記ステップを含む。
【0078】
混合負極活物質粉末を調製するため、ケイ素-炭素複合材料と黒鉛とを(2~50):(98~50)の質量比で高速で攪拌して混合する。次いで、適量の脱イオン水において混合負極活物質粉末と導電性カーボンブラックとバインダとを(80~90):(2~8):(2~18)の質量比で攪拌して混合して均一な負極スラリーを形成する。負極スラリーを負極集電体銅箔の表面上に被覆し、乾燥及び冷間プレスの後に負極シートが得られる。
【0079】
本発明の上述した実施形態において、負極シートの調製方法における他の処理条件及びパラメータの詳細は説明しないことに注意されたい。当業者は、一般的な又は従来の技術手段及び本技術分野における一般知識を組み合わせて、上述した実施形態において説明した方法に応じて負極シートを調製可能である。
【0080】
本発明の1つの実施形態は、上記実施形態において説明した電気化学デバイスを含む電子機器を提供する。
【0081】
本発明の本実施形態の電子機器は、例えばノートブックコンピュータ、ペン入力式コンピュータ、モバイルコンピュータ、電子書籍プレーヤ、携帯電話、ポータブルファックス機、ポータブルコピー機、ポータブルプリンタ、ステレオヘッドホン、ビデオカセットレコーダ、液晶ディスプレイテレビ、ポータブル掃除機、ポータブルCDプレイヤー、ミニディスク、トランシーバ、電子ノートパッド、計算機、メモリーカード、ポータブルレコーダ、ラジオ、バックアップ電源、モータ、車、オートバイ、電動アシスト自転車、自転車、照明器具、おもちゃ、ゲームコンソール、時計、電気工具、フラッシュランプ、カメラ、家庭用大型蓄電池、又はリチウムイオンキャパシタ等であるがこれらに限定されない任意の電子機器である。本発明により提供される電気化学デバイスは上記の電子機器に応用可能であるのみならず、だけでなく、エネルギー貯蔵発電所、海上輸送船、航空輸送機にも応用可能であることに注意されたい。航空輸送機は、大気圏内の航空輸送機と大気圏外の航空輸送機を含む。
【0082】
本発明の上記実施形態において、リチウムイオン電池を組み立てる方法及びステップは詳細に説明しないことに注意されたい。当業者は、一般的な又は既存の技術手段及び本技術分野における一般知識に基づいて、リチウムイオン電池を形成するために、正極シート、負極シート、電解質、及びセパレータを組み立てることが可能である。
【0083】
本発明を詳細に表すため、以下に特定の実施例を提供する。以下の実施例は本発明を具体的に表すためにのみ用いられ、本発明の保護範囲の限定として見なされるべきではないことを理解されたい。本発明の上記内容に基づいて当業者によって成される重要でないいくつかの改善及び調整は、全て本発明の保護範囲に属する。以下の実施例における具体的なプロセスパラメータ等は、適切な範囲の一例にすぎない。即ち、当業者はここでの説明を通じて適切な範囲内で選択することができ、以下に例示する具体的な数値に限定されない。
【0084】
実施例1
【0085】
以下の特定の調製プロセスを通じてケイ素-炭素複合材料を調製した。
【0086】
a)蒸着室に500gの炭素基材を配置し、元の空気を排気するため不活性ガスを導入することで反応室を不活性ガスで満たし、温度を反応温度である500℃まで昇温させた。
【0087】
b)第1の化学気相堆積を実行するため、ステップa)において形成した真空反応室に、モノシラン、エチレン、保護雰囲気ガス(Ar:H2=80%:20%)を1:1:3の流量及び毎分5Lの総流量で送った。堆積時間は4時間とし、これにより炭素とケイ素が炭素基材上に共堆積され、中間体が得られた。
【0088】
c)共堆積が完了した後、モノシランガスを遮断し、炭素源ガスと保護雰囲気ガスを継続して流入させて1時間堆積させることで、安定した炭素被覆層がステップb)において得られた中間体の表面に形成され、ケイ素-炭素複合材料が得られた。
【0089】
d)堆積が完了した後、他のガス源を遮断し、不活性ガスを導入し、室温まで冷却した後に、得られたケイ素-炭素複合材料を取り出した。
【0090】
実施例2
【0091】
本実施例において、ケイ素-炭素複合材料を調製し、その調製プロセスは、ステップb)における堆積時間が2時間であったことを除き、基本的に実施例1のものと同一であった。
【0092】
実施例3
【0093】
本実施例において、ケイ素-炭素複合材料を調製し、その調製プロセスは、ステップb)における堆積時間が16時間であったことを除き、基本的に実施例1のものと同一であった。
【0094】
実施例4
【0095】
本実施例において、ケイ素-炭素複合材料を調製し、その調製プロセスは、ステップb)における保護雰囲気ガスAr:H2=50%:50%であったことを除き、基本的に実施例1のものと同一であった。
【0096】
実施例5
【0097】
本実施例において、ケイ素-炭素複合材料を調製し、その調製プロセスは、ステップb)における保護雰囲気ガスAr:H2=10%:90%であったことを除き、基本的に実施例1のものと同一であった。
【0098】
実施例6
【0099】
本実施例において、ケイ素-炭素複合材料を調製し、その調製プロセスは、ステップb)における堆積時間が8時間であったことを除き、基本的に実施例5のものと同一であった。
【0100】
実施例7
【0101】
本実施例において、ケイ素-炭素複合材料を調製し、その調製プロセスは、ステップb)における保護雰囲気ガスAr:H2=2%:98%であったことを除き、基本的に実施例5のものと同一であった。
【0102】
実施例8
【0103】
本実施例において、ケイ素-炭素複合材料を調製し、その調製プロセスは、ステップb)において気体ケイ素源のみを導入したことを除き、基本的に実施例1のものと同一であった。
【0104】
実施例9
【0105】
本実施例において、ケイ素-炭素複合材料を調製し、その調製プロセスは、ステップb)における保護雰囲気ガスAr:H2=2%:98%であり、堆積時間が5時間であったことを除き、基本的に実施例1のものと同一であった。
【0106】
比較例1
【0107】
本比較例において、炭素被覆ケイ素-炭素複合材料を調製し、その調製プロセスは、ステップc)を省略したことを除き、基本的に実施例1のものと同一であった。
【0108】
実施例10
【0109】
本実施例において、下記の具体的な方法に基づき、実施例1~9におけるケイ素-炭素複合材料を用いることによりリチウムイオン電池を作製した。
【0110】
1.正極シートの作製
【0111】
三元材料LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2を高速で攪拌して混合し、混合正極活物質粉末を調製した。導電性スラリーを調製するため、導電性カーボンブラック(Super P)、導電性カーボンチューブ(CNT)、窒素メチルピロリドン溶剤(NMP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を1:0.5:40:1の質量比で2時間高速で分散させて撹拌した。特定の粘度を有する正極スラリーを調製するため、混合活物質粉末を導電性スラリーと高速で攪拌して混合した。調製したスラリーをアルミ箔上にスクレーパで均一に被覆させ、送風乾燥炉に入れて120℃で20分間乾燥させた。最後に、乾燥した電極シートを巻いて切断して正極シートを作製した。
【0112】
2.負極シートの作製
【0113】
混合負極活物質粉末を調製するため、準備したケイ素系材料と10μmのD50を有する黒鉛とを40:60の質量比で高速で攪拌して混合した。次いで、均一な負極スラリーを形成するため、適切な量の脱イオン水中で混合負極活物質粉末材料とSuper PとPAA(ポリアクリル酸)を85:5:10の質量比で十分に攪拌して混合した。負極スラリーを負極集電体銅箔の表面上に被覆させ、乾燥及び冷間プレスの後に負極シートを得た。
【0114】
3.電解質の調製
【0115】
有機溶媒はエチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)の混合物であり、EC、EMC、DECの体積比は20:20:60とした。10ppmより低い水分のアルゴン雰囲気グローブボックスにおいて、完全に乾燥したリチウムイオン塩(LiPF6)を上述した有機溶媒に溶解させ、均一に混合した後に電解液が得られ、LiPF6の濃度は1mоl/Lとした。
【0116】
4.セパレータの作製
【0117】
12μm厚のポリプロピレンセパレータを選択した。
【0118】
5.電池の作製
【0119】
上記で調製した正極シート、セパレータ、負極シートを、セパレータが絶縁のため正極シートと負極シートとの間に配置されるよう、順に積層した。次いで、アルミニウム-プラスチックフィルムで覆い、乾燥させるため120℃の真空オーブンに移し、3.0g/Ahの電解質を注入した後に封止した。静置、熱間プレス、冷間プレス、成形、固定、選別、及び他のプロセスの後、最終的に容量1Ahのパウチ電池(即ちリチウムイオン電池)を得た。
【0120】
以下の具体的な方法に基づき、実施例1~9におけるケイ素-炭素複合材料に熱重量分析試験を行った。
【0121】
5mgの試料を試料チャンバに配置し、空気雰囲気中で毎分10℃の速度で1400℃まで加熱し、温度に伴う質量変化を収集した。
【0122】
下記の具体的な方法に基づき、実施例10において組み立てたリチウムイオン電池の電気的特性を試験した。
【0123】
組み立てたリチウムイオン電池を1C定電流で4.2Vまで充電し、4.2V低電圧で0.05Cまで充電し、10分間放置し、1C定電流で2.8Vまで放電させ、次いで10分間放置した。これを充放電の1サイクルとし、このサイクルの放電容量を記録した。充放電プロセスを100サイクル繰り返し、各サイクルの放電容量を記録した。
【0124】
サイクル容量維持率(%)=100サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量×100%。
【0125】
電池の質量エネルギー密度(Wh/kg)=初回放電エネルギー/電池質量。
【0126】
以下の具体的な方法に基づき、実施例10において組み立てたリチウムイオン電池のDCRを試験した。
【0127】
組み立てたリチウムイオン電池を50%のSOCまで充電し、4Cの速度で30秒放電させ、初期放電電圧をV1として記録した。30秒間放電させた後、電圧はV2であり、電流はIであり、DCRを次の式に基づき算出した:
DCR=(V1-V2)/I。
【0128】
実施例1~9におけるケイ素-炭素複合材料と比較例1を、ケイ素、炭素、及び炭化ケイ素の含有量を取得するため、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-OES)により分析及び試験し、空隙率(R)を式に基づき算出した。結果を表1に示す。
【0129】
【0130】
表1に見られるように、実施例2を実施例1と3と比較し、ステップb)における堆積時間が長いほど、ケイ素及び炭化ケイ素の含有量が高いことが分かる。
【0131】
実施例1を実施例4、5、6、7と比較し、保護雰囲気ガス中の還元ガス水素の割合を増やすと、材料中の炭化ケイ素含有量を効果的に制御することができることが分かる。
【0132】
実施例1を実施例2、3、4、5、6、7、8と比較し、リチウムイオン電池の直流抵抗(DCR)はケイ素-炭素複合材料の空隙率と負の相関があることが分かる。
【0133】
実施例1を実施例8と比較し、共堆積の後、生成された炭化ケイ素相は負極材料を用いるリチウムイオン電池のサイクル性能を大幅に向上させることができることが分かる。
【0134】
実施例8を実施例と比較し、完成した材料のケイ素含有量と炭素含有量が近い場合、共堆積により調製されたケイ素-炭素複合材料は好ましいサイクル安定性を呈することが分かる。
【0135】
実施例1を比較例1と比較し、ステップc)によりもたらされた表面炭素被覆は、ケイ素-炭素複合材料のサイクル性能の向上に有益であることが分かる。
【0136】
上記を鑑み、本発明の実施形態を通じて、共堆積は2相界面の問題を改善可能であることが分かり、ナノスケールが保証されることを前提として、ケイ素と炭素は堆積プロセスにおいて2つの相を伴う。炭素は、充放電プロセスの間のケイ素の体積膨張を緩衝し、材料のサイクル性能を向上させることができる。更に、ケイ素源と炭素源の分解プロセスの間に、反応して炭化ケイ素が形成されやすい。保護雰囲気ガスの成分比及び堆積時間を制御することにより、各生成相の付着率、特に炭化ケイ素の含有量を効果的に制御することができる。ケイ素-炭素構造中の気孔率を増加させることにより、充放電プロセスの間のリチウムのデインターカレーション及びインターカレーションを低減させることができ、リチウムイオン電池の電気化学的性能が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0137】
更に、本発明のケイ素-炭素複合材料、その調製方法、電気化学デバイス及びそれを含む電子機器は、エレクトロニクス分野で利用可能であり、よって産業上の利用可能性が高い。
【0138】
上述した実施形態は、本発明の原理及び効果を例示するものであり、本発明を限定することを意図していない。当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、上述した実施形態を改変又は変更することが可能である。このため、本発明において開示される精神及び技術的思想から逸脱することなく当業者によって成される全ての均等な改変又は変更は、やはり本発明の特許請求の範囲に包含されるものとする。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インナーコアと、
前記インナーコアを覆う炭素被覆層と
を含み、
前記インナーコアは、炭素基材と、前記炭素基材の表面及び/又は前記炭素基材の内部に付着したナノ粒子とを含み、前記ナノ粒子はケイ素と炭化ケイ素を含み、
R=[m×P/2.21]/[1-m×n/2.25]×100%
の関係性を満たし、
ここで、Rは20%~80%であり、
Rは前記ケイ素-炭素複合材料中の多孔度であり、mは前記ケイ素-炭素複合材料中のg/cm3の単位での真密度であり、nは前記ケイ素-炭素複合材料中の炭素元素のwt%の単位での質量百分率であり、Pは前記ケイ素-炭素複合材料中のケイ素元素のwt%の単位での質量百分率である、
ケイ素-炭素複合材料。
【請求項2】
(a)前記ケイ素-炭素複合材料の前記多孔度(R)は30%~50%である、
(b)前記ケイ素-炭素複合材料中、炭素元素の質量百分率は35wt%~90wt%である、
(c)前記ケイ素-炭素複合材料中、ケイ素元素の質量百分率は10wt%~65wt%である、
(d)前記ケイ素-炭素複合材料中、炭化ケイ素の質量百分率は0wt%~20wt%であり、0を除く
という条件(a)~(d)のうちの少なくとも1つを満たす、
請求項1に記載のケイ素-炭素複合材料。
【請求項3】
前記炭素基材の比表面積は1cm2/g~200cm2/gであり、前記炭素基材の気孔率は1%~50%である、
請求項1に記載のケイ素-炭素複合材料。
【請求項4】
前記炭素基材は、人造黒鉛、天然黒鉛、膨張黒鉛、片状黒鉛、多層グラフェン、硬質炭素、軟質炭素、メソカーボン微小球体、多層グラフェン、多孔質炭素、及び中空炭素微小球体のうちの少なくとも1つから選択される、
請求項1に記載のケイ素-炭素複合材料。
【請求項5】
ケイ素-炭素複合材料の調製方法であって、
第1の化学気相堆積により、気体炭素源と気体ケイ素源とを用いて炭素とケイ素を炭素基材上に共堆積させて中間体を得る、炭素-ケイ素共堆積ステップと、
第2の化学気相堆積により、炭素源を用いて前記中間体の表面上に炭素被覆層を形成して前記ケイ素―炭素複合材料を得る、炭素被覆ステップと、
を含み、
前記ケイ素-炭素複合材料は、インナーコアと、前記インナーコアを覆う前記炭素被覆層とを含み、前記インナーコアは、前記炭素基材と、前記炭素基材の表面及び/又は前記炭素基材の内部に付着したナノ粒子とを含み、前記ナノ粒子はケイ素と炭化ケイ素を含み、
前記ケイ素-炭素複合材料は、
R=[m×P/2.21]/[1-m×n/2.25]×100%
の関係性を満たし、
ここで、Rは20%~80%であり、
Rは前記ケイ素-炭素複合材料中の多孔度であり、mは前記ケイ素-炭素複合材料中のg/cm3の単位での真密度であり、nは前記ケイ素-炭素複合材料中の炭素元素のwt%の単位での質量百分率であり、Pは前記ケイ素-炭素複合材料中のケイ素元素のwt%の単位での質量百分率である、
ケイ素-炭素複合材料の調製方法。
【請求項6】
(1)前記ケイ素源は、モノシラン(SiH4)、ジシラン、テトラクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルジクロロシラン、テトラメチルシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシラン、メチルシリケート、及びエチルシリケートのうちの少なくとも1つから選択される、
(2)前記炭素源は、メタン、エタン、アセチレン、プロパン、及びプロピレンのうちの少なくとも1つから選択される、
(3)前記炭素基材は、人造黒鉛、天然黒鉛、膨張黒鉛、片状黒鉛、多層グラフェン、硬質炭素、軟質炭素、メソカーボン微小球体、多層グラフェン、多孔質炭素、及び中空炭素微小球体のうちの少なくとも1つから選択される、
という条件(1)~(3)のうちの少なくとも1つを満たす、
請求項5に記載のケイ素-炭素複合材料の調製方法。
【請求項7】
前記第1の化学気相堆積と前記第2の化学気相堆積の反応温度は400℃~1000℃である、
請求項5に記載のケイ素-炭素複合材料の調製方法。
【請求項8】
前記中間体が調製されるとき、前記第1の化学気相堆積の堆積時間は2時間~16時間である、又は、前記炭素被覆層が調製されるとき、前記第2の化学気相堆積の堆積時間は0.5時間~2時間である、
請求項5に記載のケイ素-炭素複合材料の調製方法。
【請求項9】
負極シートを含む電気化学デバイスであって、
前記負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体上に設けられた負極活物質層とを含み、前記負極活物質層は負極活物質を含み、前記負極活物質は請求項1に記載のケイ素-炭素複合材料を含む、
電気化学デバイス。
【請求項10】
請求項9に記載の電気化学デバイスを含む、
電子機器。
【請求項11】
負極シートを含む電気化学デバイスであって、
前記負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体上に設けられた負極活物質層とを含み、前記負極活物質層は負極活物質を含み、前記負極活物質は請求項2に記載のケイ素-炭素複合材料を含む、
電気化学デバイス。
【請求項12】
負極シートを含む電気化学デバイスであって、
前記負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体上に設けられた負極活物質層とを含み、前記負極活物質層は負極活物質を含み、前記負極活物質は請求項3に記載のケイ素-炭素複合材料を含む、
電気化学デバイス。
【請求項13】
負極シートを含む電気化学デバイスであって、
前記負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体上に設けられた負極活物質層とを含み、前記負極活物質層は負極活物質を含み、前記負極活物質は請求項4に記載のケイ素-炭素複合材料を含む、
電気化学デバイス。
【請求項14】
負極シートを含む電気化学デバイスであって、
前記負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体上に設けられた負極活物質層とを含み、前記負極活物質層は負極活物質を含み、前記負極活物質は請求項5に記載の調製方法により得られるケイ素-炭素複合材料を含む、
電気化学デバイス。
【請求項15】
負極シートを含む電気化学デバイスであって、
前記負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体上に設けられた負極活物質層とを含み、前記負極活物質層は負極活物質を含み、前記負極活物質は請求項6に記載の調製方法により得られるケイ素-炭素複合材料を含む、
電気化学デバイス。
【請求項16】
負極シートを含む電気化学デバイスであって、
前記負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体上に設けられた負極活物質層とを含み、前記負極活物質層は負極活物質を含み、前記負極活物質は請求項7に記載の調製方法により得られるケイ素-炭素複合材料を含む、
電気化学デバイス。
【請求項17】
負極シートを含む電気化学デバイスであって、
前記負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体上に設けられた負極活物質層とを含み、前記負極活物質層は負極活物質を含み、前記負極活物質は請求項8に記載の調製方法により得られるケイ素-炭素複合材料を含む、
電気化学デバイス。
【外国語明細書】