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特開2024-14673バッテリー、バッテリーアセンブリ及び電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014673
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】バッテリー、バッテリーアセンブリ及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/143 20210101AFI20240125BHJP
   H01M 50/15 20210101ALI20240125BHJP
   H01M 50/157 20210101ALI20240125BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20240125BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240125BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240125BHJP
   H01M 50/133 20210101ALI20240125BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20240125BHJP
   H01M 50/164 20210101ALI20240125BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20240125BHJP
【FI】
H01M50/143
H01M50/15
H01M50/157
H01M50/209
H01M50/204 401E
H01M50/249
H01M50/133
H01M50/271 S
H01M50/271 B
H01M50/271 Z
H01M50/164
H01M50/342 101
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022204372
(22)【出願日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】202221879355.9
(32)【優先日】2022-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202221887368.0
(32)【優先日】2022-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】呉 昌軍
(72)【発明者】
【氏名】陳 卓烈
(72)【発明者】
【氏名】崔 ▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】何 亞飛
【テーマコード(参考)】
5H011
5H012
5H040
【Fターム(参考)】
5H011AA13
5H011BB04
5H011CC05
5H011FF03
5H011KK01
5H012AA07
5H012BB02
5H012DD01
5H012DD05
5H012EE05
5H012FF01
5H012GG03
5H012JJ10
5H040AA36
5H040AA37
5H040AS05
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY04
5H040AY05
5H040AY08
5H040LL04
5H040NN01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】バッテリーの全体的な安全性と安定性を確保し、耐用年数をさらに延ばすことができるバッテリー、バッテリーアセンブリ、及び電子機器を提供する。
【解決手段】バッテリーは、開口部を有するケース2と、ケース内に配置されたセルと、ケースの開口部を覆うカバー1と、を備える。カバーは、第1の孔が設置されたカバー本体と、カバー本体の上面に配置され、第1の孔の上部開口部を覆う耐熱性シート12と、を備える。耐熱性シートは脆弱部を有し、脆弱部の正射影の少なくとも一部が、カバー本体に対して垂直な方向で第1の孔内に位置する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有するケースと、
前記ケース内に配置されたセルと、
前記ケースの開口部を覆うカバーと、を備え、
前記カバーは、
第1の孔が設置されたカバー本体と、
前記カバー本体の上面に配置され、 前記第1の孔の上部開口部を覆う耐熱性シートと、を備え、
前記耐熱性シートは脆弱部を有し、前記脆弱部の正射影の少なくとも一部が、前記カバー本体に対して垂直な方向で前記第1の孔内に位置する、バッテリー。
【請求項2】
前記耐熱性シートの厚みは0.2mmから1mmであり、前記脆弱部の深さは前記耐熱性シートの厚みの1/4から3/4である、請求項1に記載のバッテリー。
【請求項3】
前記脆弱部は亀裂または複数の孔を備える、請求項1に記載のバッテリー。
【請求項4】
前記脆弱部は、複数の線状構造を備え、少なくとも2つの線状構造物が交差しているまたは延長線が交差している、請求項3に記載のバッテリー。
【請求項5】
前記耐熱性シートは、さらに、前記カバー本体に接続された本体部と、前記本体部を前記脆弱部から分離する遮蔽部と、を有し、前記遮蔽部の少なくとも一部は前記第1の孔の上方に位置し、前記耐熱性シートは前記カバー本体の長手方向に沿って延在する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のバッテリー。
【請求項6】
前記本体部には、第2の取付孔が設置され、前記遮蔽部は前記第2の取付孔を覆い、前記第2の取付孔は高さ方向において前記第1の孔と少なくとも一部が重複する、請求項5に記載のバッテリー。
【請求項7】
前記第2の取付孔は貫通孔であり、前記遮蔽部は前記本体部の上方に配置される、請求項6に記載のバッテリー。
【請求項8】
前記第2の取付孔は貫通孔であり、前記遮蔽部は前記第2の取付孔に埋め込まれている、請求項6に記載のバッテリー。
【請求項9】
前記遮蔽部は、前記第1の孔から離間する方向に突出する円弧状の片である、請求項5に記載のバッテリー。
【請求項10】
前記カバー本体にはボスが設けられ、前記遮蔽部は前記ボスの上方に位置する、請求項5に記載のバッテリー。
【請求項11】
前記遮蔽部と前記ボスとの間に保護フィルムが配置され、前記保護フィルムは前記ボスに接続され、前記保護フィルムの上面と前記遮蔽部の下面との間の距離は、0.08mmから0.1mmである、請求項10に記載のバッテリー。
【請求項12】
前記遮蔽部の下面と前記ボスの上面との間の距離は、0.09mmから0.3mmである、請求項10に記載のバッテリー。
【請求項13】
前記遮蔽部の厚さは0.2mmから1mmであり、前記遮蔽部の厚さは、前記本体部の厚さ以下である、請求項5に記載のバッテリー。
【請求項14】
前記耐熱性シートはマイカシートまたはガラスシートである、請求項1に記載のバッテリー。
【請求項15】
バッテリーの大表面に垂直な方向に沿って積層された複数のバッテリーを備えるバッテリーアセンブリであって、
各前記バッテリーは、
開口部を有するケースと、
前記ケース内に配置されたセルと、
前記ケースの開口部を覆うカバーと、を備え、
前記カバーは、
第1の孔が設置されたカバー本体と、
前記カバー本体の上面に配置され、前記第1の孔の上部開口部を覆う耐熱性シートと、を備え、
前記耐熱性シートは脆弱部を有し、前記脆弱部の正射影の少なくとも一部が、前記カバー本体に対して垂直な方向で第1の孔内に位置する、バッテリーアセンブリ。
【請求項16】
前記バッテリーの前記耐熱性シートは一体構造として接続されるか、前記バッテリーの前記耐熱性シートは互いに分離される、請求項15に記載のバッテリーアセンブリ。
【請求項17】
前記耐熱性シートの厚みは0.2mmから1mmであり、前記脆弱部の深さは前記耐熱性シートの厚みの1/4から3/4である、請求項15に記載のバッテリーアセンブリ。
【請求項18】
前記脆弱部は亀裂または複数の孔を備える、請求項15に記載のバッテリーアセンブリ。
【請求項19】
前記耐熱性シートは、さらに、前記カバー本体に接続された本体部と、前記本体部を前記脆弱部から分離する遮蔽部と、を有し、前記遮蔽部の少なくとも一部は前記第1の孔の上方に位置し、前記耐熱性シートは前記カバー本体の長手方向に沿って延在する、請求項15に記載のバッテリーアセンブリ。
【請求項20】
請求項1に記載の電池を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーの技術分野に関し、特に、バッテリー、バッテリーアセンブリ、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新エネルギー車の急速な台頭は、社会の持続可能な発展と、人間と環境の調和のとれた共存に大きな推進力をもたらしている。さまざまな概念の新エネルギー車の中で、電気自動車は技術的に大量生産され、政府の支援を受け、ますます注目と支持を集めている。エネルギーや環境問題への解決策として、電気自動車の核心的技術は、動力源としてガソリンエンジンによって使用される再充電可能なバッテリーアセンブリを置き換えることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、バッテリーの全体的な安全性と安定性を確保し、耐用年数をさらに延ばすことができるバッテリー、バッテリーアセンブリ、及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の技術的課題を解決するために、本発明の一実施形態は、ケースと、セルと、カバーと、を備えるバッテリーを提供する。ケースは開口部を有する。セルはケース内に配置される。カバーはケースの開口部を覆う。カバーは、カバー本体と耐熱性シートとを備える。カバー本体には、第1の孔が設けられる。耐熱性シートは、カバー本体の上面に配置され、第1の孔の上部開口部を覆う。耐熱性シートは脆弱部を有し、脆弱部の正射影の少なくとも一部が、カバー本体に対して垂直な方向で第1の孔内に位置する。
【発明の効果】
【0005】
従来技術と比較して、本発明の実施形態は、バッテリーのカバー本体に耐熱性シートを備えるように構成され、耐熱性シートがカバー本体を覆い、第1の孔から他のバッテリーの高温物質が侵入することを防止できる。このようにして、1つのバッテリーで熱暴走が発生しても、他のバッテリーへの影響が回避され、連鎖的な熱暴走の発生が防止される。これにより、熱暴走拡散の確率が減少する。また、耐熱性シートの脆弱部は第1の孔の上方に位置し、特定の条件下で破断し得る。このように、バッテリー内部に外気と連通する流路が形成され、バッテリー内部に蓄積された高圧または高温を外部に排出することができる。耐熱性シート直下の防爆機構が正常に機能することが確保される。つまり、本発明のカバーを設けることにより、元の防爆機構の正常な作動を確保しつつ、熱暴走の連鎖拡散の可能性をさらに減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
1つまたは複数の実施形態は、対応する図面を参照して示され、これらの図面は実施形態に対する限定を構成するものではなく、特段の記載のない限り、図面で同じ符号番号を付されている構成要素は同一の構成要素として示される。添付の図面は縮尺の限定を構成するものではない。
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係る電子機器の概略構成図である。
図2】本発明の一実施形態によるバッテリーの概略構造図である。
図3】本発明の一実施形態によるカバーの分解図である。
図4】本発明の一実施形態による別の構造を示す脆弱部の概略構造図である。
図5】本発明の一実施形態によるバッテリーの分解図である。
図6】本発明の一実施形態によるバッテリーの上面図である。
図7】本発明の一実施形態によるバッテリーの断面図である。
図8図6のAの部分拡大図である。
図9】本発明の別の実施形態による、バッテリーアセンブリにおける互いに分離された耐熱性シートおよびカバー本体の概略構造図である。
図10】本発明の別の実施形態によるバッテリーアセンブリの概略構造図である。
図11】本発明のさらに別の実施形態によるバッテリーアセンブリの概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態の目的、技術的解決策、および利点を明確にするために、添付の図面を参照して、本発明のさまざまな実施形態を以下で詳細に説明する。しかしながら、当業者は、本発明の様々な実施形態においては、第三者が本発明をよりよく理解できるように多くの技術的詳細が記載されているが、これらの技術的詳細、および以下の実施形態に基づくさまざまな変更および修正がなくても、本発明が保護を請求する技術的解決策を実施することができることを理解するべきである。
【0009】
以下の説明では、様々な発明された実施形態を例示する目的で、様々な発明された実施形態の完全な理解を提供するために、特定の詳細が説明される。しかしながら、当業者は、実施形態がこれらの特定の詳細の1つまたは複数なしで実施され得ることを認識するべきである。他の例では、本発明に関連する周知の装置、構造、および技術は、実施形態の説明を不必要に曖昧にすることを避けるために、詳細に図示または説明されない場合がある。
【0010】
文脈上別段の記載がない限り、明細書および特許請求の範囲を通じて、「備える」という用語および「含む」および「有する」などのその変形は、開放形式の包括的な意味として、つまり、「含むが、これに限定されない」と解釈するべきである。
【0011】
本発明の実施形態は、本発明の目的、特徴、および利点をより明確に理解するために、添付の図面を参照して以下に詳細に説明される。添付の図面に示される実施形態は、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の技術的解決策の本質的な精神を説明することのみを意図するものであることを理解するべきである。
【0012】
明細書全体を通して、「ある実施形態」または「一実施形態」という記載は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または品質が少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。したがって、「ある実施形態において」または「一実施形態において」は、明細書全体の様々な段落で記載されているが、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、または品質は、1つまたは複数の実施形態において任意の方法で組み合わせることができる。
【0013】
本明細書および特許請求の範囲で使用されるように、単数形は、文脈において明確に別の記載がない限り、複数形を含む。「または」という用語は、文脈において明確に別の記載がない限り、一般に「及び/または」を含む意味で使用されることに留意するべきである。
【0014】
以下の説明では、本発明の構造と作用を明確に示すために、さまざまな方向の言葉を使用して説明するが、「前」、「後」、「左」、「右」、「外側」、「内側」、「外へ」、「内へ」、「上」、「下」などは、限定的用語としてではなく、便宜的な用語として解釈される。
【0015】
現在市販されている二次バッテリーアセンブリでは、複数のバッテリーが備えられており、これらのバッテリーは適切な直並列接続構造を介してバッテリーケース内で接続されている。このような設計によって、電気自動車の比較的高いエネルギー密度の要件を満たすことができる。また、さまざまな車両のさまざまな設計要件に従って、バッテリーの直並列配置を柔軟に調整することもでき、この設計は非常に実用的である。しかしながら、バッテリーアセンブリの1つのバッテリー内で熱暴走が起こると、このバッテリーから放出される高温物質が他のバッテリーに影響を与え、他のバッテリーも熱暴走し、ひいてはバッテリーアセンブリ全体の熱暴走につながり、火災やその他の状況につながる。
【0016】
本発明の一実施形態は、電子装置300を提供する。本発明の一実施形態は、電子装置300を提供する。図1に示すように、電子装置300は、電気自動車または電動オートバイなどであってもよく、電子装置300はバッテリー100を備える。電子装置300は、複数のバッテリー100を備えてバッテリーアセンブリ200を形成することができ、すなわち、電子装置はバッテリーアセンブリ200を備えてもよい。バッテリー及びバッテリーアセンブリは、以下の実施形態で提供される類型に限定されず、他の実施形態のバッテリー及びバッテリーアセンブリも適用され得る。
【0017】
上記の課題を解決するために、添付の図面を参照して、本発明の具体的な実施形態を以下に説明する。図2図3図5及び図6はバッテリーを示し、バッテリー100は、カバー1と、上部開口部を有するケース2とを備える。カバー1は、ケース2の開口部21に配置され、開口部21を封止する。カバー1は、カバー本体11と耐熱性シート12とを備え、カバー本体11の形状は、ケース2の開口部21の形状と一致する。本実施形態では、ケース2が直方体の箱として図示されているので、カバー本体11は適応的に細長い帯状に形成される。当業者は、バッテリーのケース2が他の形状に形成される場合、カバー本体11の形状は、カバー本体11がケース2の開口部21を封止できる限り、他の形状に対応して形成することもできることを理解するべきである。ケース2とカバー1とで画定された封止空間には、複数のバッテリーコア3が配置される。セル3は、ケース2内に密に配置され、互いに電気的に接続され、バッテリーの充放電アセンブリを共同で形成する。
【0018】
なお、直方体の場合、ケース2は長手方向の両端に開口部を有し、カバー1が両端の開口部を覆ってもよい。
【0019】
図3及び5に示すように、カバー本体11には第1の孔111が形成され、第1の孔111には防爆弁4が設置される。防爆弁4は、第1の孔111に接着されたシート構造であってもよい。カバー本体11にはさらに2つの電極孔113が設置され、正極5及び負極6のそれぞれが極孔113の1つを貫通してカバー1から突出することができる。正極5及び負極6は、ケース2内でセル3と電気的に接続されている。極孔113は、第1の穴111の両側に対称的に配置され、カバー1の長さ方向の両端に近接している。本実施形態では、第1の孔111は、カバー本体11の長さ方向の中央に配置され、極孔113は、第1の孔111の両側に対称的に配置され、カバー1の長手方向の両端に近接している。第1の孔111は両端が円弧をなす細長形状に形成され、極孔113は略長方形に形成される。ただし、これはあくまで例であり、当業者は、実際の必要に応じて、第1の孔と構成された極孔113の相対的な配置関係、形状、およびサイズを任意に調整することができる。耐熱性シート12は、カバー本体11の上面に配置される。耐熱性シート12は、カバー本体11と実質的に同じ形状を有し、カバー本体11に接着固定される。耐熱性シート12としては、マイカシート、セラミックシート、ガラスシート等が挙げられる。耐熱性シートの材質は、ガラス繊維、マイカ、セラミック、セラミックゴムのいずれかを含む。耐熱性シート12は、0.2mmから1mmの厚さを有し、摂氏1000度の最高温度に耐えることができることが好ましい。
【0020】
複数のバッテリーのうちの1つに熱暴走が発生すると、バッテリー内で発生した高温物質が第1の孔111から噴出し、耐高温シート12の脆弱部を突き破る可能性がある。しかしながら、耐熱性シート12はバッテリーのカバー1上にさらに配置されてカバー本体11を覆い、それによって高温物質がカバー本体11と直接接触することを防止するので、カバー本体11の構造が損傷しない。加えて、耐熱性シート12が第1の孔111を覆うので、高温物質が第1の孔111からバッテリーの内部に入るのを防ぎ、熱暴走拡散の可能性を減らすことができる。これにより、熱暴走の連鎖拡散の可能性をさらに減らすことができる。
【0021】
加えて、耐熱性シート12は脆弱部を有し、カバー本体11に垂直な方向に沿った脆弱部の正投影の少なくとも一部は、第1の孔111に位置する。脆弱部は、交差する2つの線状構造体を備え、2つの線状構造の交点は、第1の孔111の中心に位置する。図3及び図5では、複数の孔1211が配列された線状構造が示されているが、これに限定されるものではない。図4に示すように、脆弱部は線状クラック1212であってもよい。当業者は、脆弱部の形状が上に列挙した形状に限定されず、空気圧が増加したときに脆弱部が容易に壊れることができる限り、他の形状を有してもよいことを理解することができる。より具体的には、脆弱部は、脆弱部は、厚さの1/4から3/4の範囲で耐熱性シート12を損傷する構造であることが好ましい。線状構造のそれぞれは、直線であっても曲線であってもよく、線状構造の交点は、第1の孔111の中心になくてもよい。また、線の本数は図示の2本に限定されない。他の実施形態では、脆弱部は、1つの線状構造であってもよいし、3つ以上の線状構造であってもよい。線状構造が2つ以上ある場合、線状構造は互いに平行であっても、延長線上で交差してもよい。
【0022】
第1の孔111の上方には、バッテリー内の高温高圧の条件下で破損され得る耐熱性シート12の脆弱部があり、これにより、電池内部の高温高圧を外部に放出する経路が形成され、バッテリーの爆発や発火を防止することができる。つまり、本発明では、耐熱性シート12の配置により、1つのバッテリーの防爆弁と第1の孔111の本来の圧力逃がし機能が正常に機能することが確保されると同時に、他のバッテリーの熱暴走による連鎖反応を未然に防ぐことができる。バッテリーの全体的な安全性と安定性が向上する。
【0023】
この実施形態の実施の詳細を以下に具体的に説明するが、以下の内容は専ら理解の便宜のために提供されるものであって、この実施形態の実施には必要ではないことを理解するべきである。
【0024】
さらに、図2及び図3に示すように、耐熱性シート12は、さらに、カバー本体11の上部の壁面に接続された本体部123と、本体部123を脆弱部から分離する遮蔽部122とを有する。遮蔽部122と本体部123の材料は、同じであっても異なっていてもよい。本体部123には、遮蔽部122によって覆われる第2の取付孔1231が設けられ、第2の取付孔1231の少なくとも一部は、第1の孔111の上方に位置する。本体部123は、カバー本体11の長手方向に沿って延在し、両者は略同一の形状及び大きさに形成される。遮蔽部122は、第1の孔111の上方に位置し、第1の孔111を覆う。他の実施形態では、遮蔽部122は、第1の孔111の一部を覆ってもよい。
【0025】
さらに、図2及び図3に示すように、第2の取付孔1231は貫通孔であり、遮蔽部122は本体部123の上方に配置され、遮蔽部122の面積は貫通孔よりも大きい。遮蔽部122は、遮蔽部122がカバー本体11上の構造によって磨耗するのを防止するように、カバー本体11から離間する。遮蔽部122の外縁部が本体部123の上面に接着固定されることで、遮蔽部122と本体部123との接続が実現される。当然のことながら、他の実施形態では、本体部123は2つの独立した部分であり、2つの部分は離間して第2の取付孔1231を形成し、遮蔽部122は2つの部分を接続する。
【0026】
さらに、他の実施形態では、第2の取付孔1231は貫通孔であり、遮蔽部122は貫通孔に埋め込まれている。
【0027】
任意で、図7及び図8に示すように、遮蔽部122は、第1の孔111から離間する方向に突出する円弧状の構造体である。遮蔽部122の中央部が第1の孔111から離間する方向に突出しているため、第1の孔111と遮蔽部122との間にギャップが形成される。このようにして、ギャップ内の空気は一定の断熱効果を生成するので、バッテリーの内部温度が上昇すると、カバー本体11の上部の温度上昇速度が遅くなる。
【0028】
さらに、図3に示すように、カバー本体11は、第1の孔111の外縁の周りにボス112を有する。
【0029】
さらに、図5及び図8に示すように、遮蔽部122とボス112との間に保護フィルム13が設けられ、保護フィルム13はボス112上に配置され、保護フィルム13はボス112に接着される。保護フィルム13の上面と遮蔽部122の下面との間の距離は、0.09mmから0.3mmの範囲である。このようにして、保護フィルム13は、バッテリーの通常の防爆および圧力解放を妨げることなく、第1の孔111上にさらに保護を形成する。保護フィルム13は、プラスチックフィルム、シリコンモールド等であってもよい。他の実施形態では、保護フィルムがなくてもよい。
【0030】
任意で、図7及び図8に示すように、遮蔽部122の下面とボス112の上面との間の距離は、0.08mmから0.1mmである。この距離範囲であれば、遮蔽部122と第1の孔111とが接触せず、十分な空間が形成される。この空間に存在する空気は断熱層として作用し、バッテリーの内部温度が上昇すると、カバー本体11の上部の温度上昇速度が遅くなる。無論、他の実施形態では、遮蔽部122は、第1の孔111を覆うためにボス112に接着されるなど、ボス112と接触して配置されてもよい。
【0031】
さらに、遮蔽部122の厚さは、本体部123の厚さ以下である。具体的には、遮蔽部122の厚さは0.2mmから1mmであり、この厚さ範囲は、電池の圧力が解放されたときに遮蔽部122を破断させるのにより適している。このように、本体部123がカバー本体11から高温物質を分離する一方で、遮蔽部122は、高温物質が第1の孔111からバッテリーの内部に落下することを防止し、バッテリーの安全性及び信頼性を確保する。したがって、したがって、バッテリーの安全性と信頼性がさらに向上する。
【0032】
本発明の別の実施形態は、バッテリーアセンブリ200に関する。図9は、バッテリーアセンブリ200の耐熱性シートがカバー本体から分離された分解図を示す。バッテリーアセンブリ200は、前掲の実施形態のバッテリー100を複数備える。バッテリー100は、バッテリーアセンブリ200を形成するために、バッテリー100の大表面に垂直な方向に沿って積層され、各バッテリー100の大表面は、バッテリー100の厚さ方向の一面である。すなわち、各バッテリー100は、前掲の実施形態のバッテリー100と同様の構造を有し、各バッテリー100は、独立した耐熱性シートを備える。
【0033】
バッテリーアセンブリ200内の各バッテリーの構造は、バッテリー100の構造とわずかに異なり、例えば、カバーの耐熱性シートの構造が異なることが理解できる。図10および図11に示すように、バッテリーの耐熱性シートは一体構造として接続され、つまり、耐熱性部品が形成される。前掲の実施形態のバッテリー100では、バッテリー100の耐熱性シートは互いに独立している。耐熱性部品は、全体が一体成形されたものであってもよいし、複数枚の耐熱性シートを重ね合わせて成形されたものであってもよい。設置時には、カバー本体を対応するケースに実装した後、接続された耐熱性シート12によって形成された耐熱性部品は、複数のカバー本体11上で覆われてもよい。各カバー本体11にも対応する耐熱性シート12に脆弱部が設けられており、脆弱部の構造は前掲の実施形態と同様である。耐熱性シート12の厚みは0.2mmから1mmであり、脆弱部の深さは耐熱性シートの厚みの1/4から3/4である。つまり、耐熱性部品の厚みは0.2mmから1mmである。
【0034】
図3に示すように、耐熱性シート12は、さらに、カバー本体11の上部の壁面に接続された本体部123と、本体部123を脆弱部から分離する遮蔽部122とを有する。遮蔽部122と本体部123の材料は、同じであっても異なっていてもよい。本体部123には、遮蔽部122に覆われた第2の取付孔1231が設けられ、第2の取付孔1231の少なくとも一部は、第1の孔111の上方に位置する。本体部123は、カバー本体11の長手方向に沿って延在し、両者は略同一の形状及び大きさに形成される。遮蔽部122は、第1の孔111の上方に位置し、第1の孔111を覆う。他の実施形態では、遮蔽部122は、第1の孔111の一部を覆ってもよい。
【0035】
耐熱性部品120の縁部は折り曲げ部7を有し、折り曲げ部はバッテリーアセンブリ200の底部に向かって延在する。折り曲げ部7は、外装ケースの側壁に接着、熱間リベット、ネジ等で固定することができる。耐熱性部品120は、図9に示すように、カバー本体11の全領域を覆っており、耐熱性部品120は折り曲げ部7に囲まれており、折り曲げ部7は、バッテリーアセンブリ200の側壁に接続されている。図10に示すように、耐熱性部品120は、バッテリーの狭い側面に沿って下方に延在し、耐熱性部品120は、カバー本体11の全領域を覆うわけではなく、折り曲げ部7を下方に折り曲げて、最外縁に配置されたバッテリーの外装ケースに当接させる。
【0036】
この実施形態が、上述のバッテリーの実施形態に対応するシステムの実施形態であることを理解することは困難ではない。この実施形態は、上記のバッテリーの実施形態と共に用いて、前掲のバッテリーに記載した関連する技術的詳細を実施することができ、これは本実施形態でも有効である。繰り返しを避けるため、ここでは繰り返しの説明は提供しない。これに応じて、本実施形態に記載した関連する技術的詳細は、前掲のバッテリーの実施形態にも適用することができる。
【0037】
バッテリーの技術的課題を解決するために、本発明の一実施形態は、ケースと、セルと、カバーと、を備えるバッテリーを提供する。ケースは開口部を有する。セルはケース内に配置される。カバーはケースの開口部を覆う。カバーは、カバー本体と耐熱性シートとを備える。カバー本体には、第1の孔が設けられる。耐熱性シートは、カバー本体の上面に配置され、第1の孔の上部開口部を覆う。耐熱性シートは脆弱部を有し、脆弱部の正射影の少なくとも一部が、カバー本体に対して垂直な方向で第1の孔内に位置する。
【0038】
ある実施形態において、耐熱性シートの厚みは0.2mmから1mmであり、脆弱部の深さは耐熱性シートの厚みの1/4から3/4である。
【0039】
ある実施形態において、脆弱部は亀裂または複数の孔を備える。
【0040】
ある実施形態において、脆弱部は、複数の線状構造を備え、少なくとも2つの線状構造物が交差しているまたは延長線が交差している。
【0041】
ある実施形態において、耐熱性シートは、さらにカバー本体に接続された本体部と、本体部を脆弱部から分離する遮蔽部と、を有する。遮蔽部の少なくとも一部は第1の孔の上方に位置し、耐熱性シートはカバー本体の長手方向に沿って延在する。
【0042】
ある実施形態において、本体部には、第2の取付孔が設置される。遮蔽部は第2の取付孔を覆い、第2の取付孔は高さ方向において第1の孔と少なくとも一部が重複する。
【0043】
ある実施形態において、第2の取付孔は貫通孔であり、遮蔽部は本体部の上方に配置される。
【0044】
ある実施形態において、第2の取付孔は貫通孔であり、遮蔽部は第2の取付孔に埋め込まれている。
【0045】
ある実施形態において、遮蔽部は、第1の孔から離間する方向に突出する円弧状の片である。
【0046】
ある実施形態において、カバー本体にはボスが設けられ、遮蔽部はボスの上方に位置する。
【0047】
ある実施形態において、遮蔽部とボスとの間に保護フィルムが配置され、保護フィルムはボスに接続される。保護フィルムの上面と遮蔽部の下面との間の距離は、0.08mm~0.1mmである。
【0048】
ある実施形態において、遮蔽部の下面とボスの上面との間の距離は、0.09mmから0.3mmである。
【0049】
ある実施形態において、 遮蔽部の厚さは0.2mmから1mmであり、遮蔽部の厚さは、本体部の厚さ以下である。
【0050】
ある実施形態において、耐熱性シートはマイカシートまたはガラスシートである。
【0051】
本発明の一実施形態は、さらにバッテリーの大表面に垂直な方向に沿って積層された複数のバッテリーを含むバッテリーアセンブリを提供する。
【0052】
各バッテリーは、ケースと、セルと、カバーと、を備える。ケースは開口部を有する。セルはケース内に配置される。カバーはケースの開口部を覆う。カバーは、カバー本体と耐熱性シートとを備える。カバー本体には、第1の孔が設けられる。耐熱性シートは、カバー本体の上面に固定され、第1の孔の上部開口部を覆う。耐熱性シートは脆弱部を有し、脆弱部の正射影の少なくとも一部が、カバー本体に対して垂直な方向で第1の孔内に位置する。
【0053】
ある実施形態において、バッテリーの耐熱性シートは一体構造として接続されるか、バッテリーの耐熱性シートは互いに分離される。
【0054】
ある実施形態において、耐熱性シートの厚みは0.2mmから1mmであり、脆弱部の深さは耐熱性シートの厚みの1/4から3/4である。
【0055】
ある実施形態において、 脆弱部は亀裂または複数の孔を備える。
【0056】
ある実施形態において、耐熱性シートは、さらにカバー本体に接続された本体部と、本体部を脆弱部から分離する遮蔽部と、を有する。遮蔽部の少なくとも一部は第1の孔の上方に位置し、耐熱性シートはカバー本体の長手方向に沿って延在する。
【0057】
本発明の好ましい実施形態を詳細に説明した。しかしながら、必要に応じて、さまざまな特許、出願、及び出版物の態様、特徴、及び概念を採用して、実施形態の態様を変更することにより、他の実施形態を提供できることを理解されたい。
【0058】
これらおよび他の変更は、前述の段落に記載の詳細な説明に照らして、実施形態に対して行うことができる。一般に、特許請求の範囲で使用される用語は、明細書および特許請求の範囲に発明されている特定の実施形態を限定するものとして解釈されるべきではなく、これらの特許請求の範囲が権利を与えられているすべての同等の範囲とともに、すべての可能な実施形態を含むと解釈されるべきである。
【0059】
当業者は、実施形態が本発明を実施するための具体例であることを理解するべきである。実際の応用では、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細に様々な変更を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明のバッテリー、バッテリーアセンブリ及び電子機器は、バッテリーの技術分野に適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 カバー
2 ケース
3 セル
4 防爆弁
5 正極
6 負極
7 折り曲げ部
11 カバー本体
12 耐熱性シート
13 保護フィルム
21 開口部
100 バッテリー
111 第1の孔
112 ボス
113 極孔
120 耐熱性部品
122 遮蔽部
123 本体部
1211 孔
1212 線状クラック
1231 第2の取付孔
200 バッテリーアセンブリ
300 電子機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】