(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146738
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】乾燥装置
(51)【国際特許分類】
F26B 13/10 20060101AFI20241004BHJP
F26B 3/04 20060101ALI20241004BHJP
F26B 3/28 20060101ALI20241004BHJP
F26B 3/30 20060101ALI20241004BHJP
F26B 13/04 20060101ALI20241004BHJP
H01M 4/04 20060101ALI20241004BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20241004BHJP
【FI】
F26B13/10 H
F26B3/04
F26B3/28
F26B3/30
F26B13/04
H01M4/04 Z
H01M4/139
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023219818
(22)【出願日】2023-12-26
(31)【優先権主張番号】P 2023057111
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤元 高佳
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 敦
【テーマコード(参考)】
3L113
5H050
【Fターム(参考)】
3L113AA02
3L113AB02
3L113AB06
3L113AC10
3L113AC31
3L113AC76
3L113BA34
3L113CB06
3L113CB21
3L113DA24
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA09
5H050CB08
5H050GA02
5H050GA22
5H050GA29
(57)【要約】
【課題】電極材料が過度に乾燥することを抑制しつつ、絶縁材料を十分に乾燥させることが可能な乾燥装置を提供する。
【解決手段】この乾燥装置では、第1の乾燥部は、基材に塗布された電極材料および絶縁材料のうち絶縁材料を乾燥させるように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の所定面に塗布された電極材料と、前記電極材料の側方に配置されるように前記基材の所定面に塗布された絶縁材料とを乾燥させる乾燥部を備え、
前記乾燥部は、第1の乾燥部を含み、
前記第1の乾燥部は、前記第1の乾燥部に対して、前記電極材料と前記絶縁材料とが塗布された前記基材を相対移動させることにより、前記基材に塗布された前記電極材料および前記絶縁材料のうち前記絶縁材料を乾燥させるように構成されている、乾燥装置。
【請求項2】
前記乾燥部は、少なくとも前記基材に塗布された前記電極材料を乾燥させるように構成されている、第2の乾燥部をさらに含む、請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記電極材料および前記絶縁材料は、前記第1の乾燥部および前記第2の乾燥部に対して前記基材が相対移動される搬送方向に沿って前記基材の表面に塗布されており、
前記第1の乾燥部は、前記搬送方向に沿って、前記絶縁材料が塗布されている部分に向かって部分的に照射されることにより、前記基材に塗布された前記電極材料と前記絶縁材料とのうち前記絶縁材料を乾燥させるように構成されており、
前記第2の乾燥部は、前記基材の表面に平行な面内において前記搬送方向と直交する幅方向に沿って、前記基材に塗布された前記電極材料と前記絶縁材料との両方を乾燥させるように構成されている、請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記第1の乾燥部は、前記電極材料を挟んで、前記電極材料の側方の両側に位置する一対の前記絶縁材料の各々に対応する位置に複数設けられている、請求項3に記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記第1の乾燥部は、前記第2の乾燥部とは前記搬送方向の異なる位置に1つ設けられている、請求項4に記載の乾燥装置。
【請求項6】
前記第1の乾燥部と、前記第2の乾燥部とは、異なる方法により乾燥させるように構成されている、請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項7】
前記第1の乾燥部は、前記絶縁材料に向かってレーザ光を照射することにより、前記絶縁材料を乾燥させるように構成されている、請求項6に記載の乾燥装置。
【請求項8】
前記第1の乾燥部は、前記絶縁材料に向かって赤外線を照射することにより、前記絶縁材料を乾燥させるように構成されている、請求項6に記載の乾燥装置。
【請求項9】
前記第1の乾燥部は、複数のレーザ光源を有しており、前記レーザ光源の各々によって前記基材に塗布された複数の前記絶縁材料の各々にレーザ光を照射する、請求項1から3のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項10】
前記第1の乾燥部から照射されたレーザ光を複数に分岐させることにより、前記基材に塗布された複数の前記絶縁材料の各々にレーザ光を照射させる分岐部が設けられている、請求項1から3のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項11】
前記第1の乾燥部は、前記絶縁材料に向かって熱風を吹き当てることにより、前記絶縁材料を乾燥させるように構成されている、請求項1から6のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項12】
前記第1の乾燥部は、熱風を吹き出すノズルを有しており、
前記ノズルが有する熱風の吹出口の径は、熱風を吹き当てる対象となる前記絶縁材料の寸法以下に設定されている、請求項11に記載の乾燥装置。
【請求項13】
前記第2の乾燥部は、熱風により、前記電極材料を乾燥させるように構成されている、請求項7または8に記載の乾燥装置。
【請求項14】
前記基材上における前記絶縁材料の位置を検出するための位置検出部と、
前記位置検出部により検出された前記絶縁材料の位置に基づいて、前記第1の乾燥部のレーザ光の照射角度および前記第1の乾燥部のレーザ光の照射位置のうち少なくとも1つを調整する制御部とをさらに備える、請求項7に記載の乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乾燥装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、活物質と、オーバーコート用スラリーとが塗布された金属箔を乾燥させるための乾燥装置が開示されている。特許文献1では、活物質を塗布した金属箔にオーバーコート用スラリーを塗布した後、乾燥装置により金属箔を乾燥させることにより、活物質層とオーバーコート層とを金属箔上に積層している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には開示されていないが、電極材料(活物質)の上に絶縁材料(オーバーコート用スラリー)を塗布せずに、基材(金属箔)の電極材料が塗布されていない部分に絶縁材料を塗布する場合がある。この場合に、乾燥装置が、絶縁材料と電極材料とを合わせて乾燥させることがある。ここで、基材を積層して形成する電池用部品の全体厚みを小さくするために、絶縁材料により形成される絶縁膜(オーバーコート層)を、電極材料により形成される電極膜(活物質層)よりも薄くする場合がある。この場合、電極材料により形成される電極膜よりも絶縁材料により形成される絶縁膜を薄く形成するために、絶縁材料の固形分濃度を低くしている。すなわち、絶縁材料の固形成分(乾燥後に絶縁膜となる物質)を混合させる溶剤が多くなっている。そのため、電極材料と比べて、絶縁材料を乾燥させるために溶剤を揮発させる時間が長くなる。
【0006】
また、電極材料の熱伝導率よりも絶縁材料の熱伝導率の方が低い。正極材料を形成するための電極材料は、たとえば、マンガン酸リチウムまたはリン酸リチウムを成分として含み、負極材料を形成するための電極材料は、たとえば、黒鉛を成分として含んでいる。いずれの物質も、電極材料は熱伝導率が高いため、加熱した時に温度が高くなりやすい。一方で、絶縁膜を形成するための絶縁材料は、たとえば、酸化アルミニウムを成分として含んでいる。酸化アルミニウムは高い耐熱性を有するとともに、熱伝導率が低いため、加熱した時に温度が高くなりにくい。そのため、電極材料よりも絶縁材料の方が乾燥させるための時間が長くなる。
【0007】
そのため、乾燥時間が短いと、電極材料を乾燥させることができるが、絶縁材料を十分に乾燥させることができないという不都合がある。一方で、乾燥させる時間を長くすると、絶縁材料を乾燥させることができるが、電極材料が過度に乾燥して割れが生じるという不都合がある。その結果、電極材料が過度に乾燥することを抑制しつつ、絶縁材料を十分に乾燥させることが困難であるという問題点がある。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、電極材料が過度に乾燥することを抑制しつつ、絶縁材料を十分に乾燥させることが可能な乾燥装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による乾燥装置は、基材の所定面に塗布された電極材料と、電極材料の側方に配置されるように基材の所定面に塗布された絶縁材料とを乾燥させる乾燥部を備え、乾燥部は、第1の乾燥部を含み、第1の乾燥部は、第1の乾燥部に対して、電極材料と絶縁材料とが塗布された基材を相対移動させることにより、基材に塗布された電極材料および絶縁材料のうち絶縁材料を乾燥させるように構成されている。
【0010】
この発明の一の局面による乾燥装置は、上記のように、第1の乾燥部は、基材に塗布された電極材料および絶縁材料のうち絶縁材料を乾燥させるように構成されている。これにより、電極材料と絶縁材料とを乾燥させる乾燥部を別途設けた場合に、第1の乾燥部によって絶縁材料だけを乾燥させることにより、電極材料の乾燥時間よりも絶縁材料の乾燥時間を長くすることができる。この結果、電極材料を乾燥させる時間よりも絶縁材料を乾燥させる時間を長くすることができるとともに第1の乾燥部により電極材料が乾燥されないため、電極材料が過度に乾燥することを抑制しつつ、絶縁材料を十分に乾燥させることができる。
【0011】
上記一の局面による乾燥装置において、好ましくは、乾燥部は、少なくとも基材に塗布された電極材料を乾燥させるように構成されている、第2の乾燥部をさらに含む。このように構成すれば、第2の乾燥部が絶縁材料と電極材料とを乾燥させることにより、第1の乾燥部および第2の乾燥部により絶縁材料が乾燥されるため、絶縁材料を乾燥させる時間を長くすることができる。また、第2の乾燥部が電極材料だけを乾燥させる場合、第1の乾燥部の乾燥時間を第2の乾燥部の乾燥時間よりも長くすることにより、絶縁材料を乾燥させる時間を長くすることができる。この結果、電極材料が過度に乾燥することを抑制しつつ、絶縁材料を十分に乾燥させることができる。
【0012】
この場合、好ましくは、電極材料および絶縁材料は、第1の乾燥部および第2の乾燥部に対して基材が相対移動される搬送方向に沿って基材の表面に塗布されており、第1の乾燥部は、搬送方向に沿って、絶縁材料が塗布されている部分に向かって部分的に照射されることにより、基材に塗布された電極材料と絶縁材料とのうち絶縁材料を乾燥させるように構成されており、第2の乾燥部は、基材の表面に平行な面内において搬送方向と直交する幅方向に沿って、基材に塗布された電極材料と絶縁材料との両方を乾燥させるように構成されている。このように構成すれば、第1の乾燥部および第2の乾燥部により絶縁材料を乾燥させることにより、絶縁材料を乾燥させる時間を長くすることができるため、絶縁材料を十分に乾燥させることができる。また、第1の乾燥部が、絶縁材料が塗布されている部分に向かって照射されることにより、第1の乾燥部において電極材料が乾燥することを抑制することができるため、電極材料の過度な乾燥を抑制することができる。
【0013】
上記一の局面による乾燥装置において、好ましくは、第1の乾燥部は、電極材料を挟んで、電極材料の側方の両側に位置する一対の絶縁材料の各々に対応する位置に複数設けられている。このように構成すれば、絶縁材料の位置に対応して第1の乾燥部を設けることにより、複数の箇所に絶縁材料が塗布されている場合でも、複数の絶縁材料の各々を確実に乾燥させることができる。
【0014】
この場合、好ましくは、第1の乾燥部は、第2の乾燥部とは搬送方向の異なる位置に1つ設けられている。このように構成すれば、第1の乾燥部と第2の乾燥部とが互いに干渉せずに、絶縁材料の乾燥と電極材料の乾燥とを行うことができるため、絶縁材料を確実に乾燥させることができる。
【0015】
上記一の局面による乾燥装置において、好ましくは、第1の乾燥部と、第2の乾燥部とは、異なる方法により乾燥させるように構成されている。このように構成すれば、第1の乾燥部として、局所的に絶縁材料を乾燥させることが可能な乾燥部を適用するとともに、第2の乾燥部として、電極材料と絶縁材料とを合わせて乾燥させることが可能な乾燥部を適用することができる。
【0016】
この場合、好ましくは、第1の乾燥部は、絶縁材料に向かってレーザ光を照射することにより、絶縁材料を乾燥させるように構成されている。このように構成すれば、レーザ光の照射範囲を調整することにより、電極材料にレーザ光を照射せずに、絶縁材料にレーザ光を照射して絶縁材料を乾燥させることができる。この結果、電極材料の過度な乾燥を抑制しつつ、絶縁材料を乾燥させることができる。
【0017】
上記第1の乾燥部と、第2の乾燥部とは、異なる方法により乾燥させるように構成されている構成において、好ましくは、第1の乾燥部は、絶縁材料に向かって赤外線を照射することにより、絶縁材料を乾燥させるように構成されている。このように構成すれば、赤外線の照射範囲を調整することにより、電極材料に赤外線を照射せずに、絶縁材料に赤外線を照射して絶縁材料を乾燥させることができる。この結果、電極材料の過度な乾燥を抑制しつつ、絶縁材料を乾燥させることができる。
【0018】
上記一の局面による乾燥装置において、好ましくは、第1の乾燥部は、複数のレーザ光源を有しており、レーザ光源の各々によって基材に塗布された複数の絶縁材料の各々にレーザ光を照射するように構成されている。このように構成すれば、1つの第1の乾燥部によって絶縁材料の各々にレーザ光を照射することができる。また、レーザ光源の各々から選択的にレーザ光を出力させることにより、レーザ光の照射位置と範囲を調節することができるため、第1の乾燥部の移動や増設を要さずに、絶縁材料の塗布位置の変更に対応することが可能になる。
【0019】
上記一の局面による乾燥装置において、好ましくは、第1の乾燥部から照射されたレーザ光を複数に分岐させることにより、基材に塗布された複数の絶縁材料の各々にレーザ光を照射させる分岐部が設けられて構成されている。このように構成すれば、1つの第1の乾燥部によって絶縁材料の各々にレーザ光を照射することができる。また、分岐部によってレーザ光の照射位置と範囲を調節することができるため、第1の乾燥部の移動や増設を要さずに、絶縁材料の塗布位置の変更に対応することが可能になる
【0020】
上記一の局面による乾燥装置において、好ましくは、第1の乾燥部は、絶縁材料に向かって熱風を吹き当てることにより、絶縁材料を乾燥させるように構成されている。このように構成すれば、熱風により絶縁材料を乾燥させることができる。
【0021】
この場合、好ましくは、第1の乾燥部は、熱風を吹き出すノズルを有しており、ノズルが有する熱風の吹出口の径は、熱風を吹き当てる対象となる絶縁材料の寸法以下に設定されて構成されている。このように構成すれば、電極材料に熱風が吹き当てられることを抑制し、絶縁材料に熱風を吹き当てて絶縁材料を乾燥させることができる。
【0022】
上記一の局面による乾燥装置において、好ましくは、第2の乾燥部は、熱風により、電極材料を乾燥させるように構成されている。このように構成すれば、熱風を基材全体に吹き付けることによって、絶縁材料と電極材料とを合わせて乾燥させることができる。
【0023】
上記一の局面による乾燥装置において、好ましくは、基材上における絶縁材料の位置を検出するための位置検出部と、位置検出部により検出された絶縁材料の位置に基づいて、第1の乾燥部のレーザ光の照射角度および第1の乾燥部のレーザ光の照射位置のうち少なくとも1つを調整する制御部とをさらに備える。このように構成すれば、位置検出部の検出結果に基づいて第1の乾燥部のレーザ光の照射角度および第1の乾燥部のレーザ光の照射位置のうち少なくとも1つを調整することにより、レーザ光が電極材料に照射されないように調整できるとともに、絶縁材料に照射されるように精度よく調整することができるため、第2の乾燥部により絶縁材料だけを効率よく乾燥させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、上記のように、電極材料が過度に乾燥することを抑制しつつ、絶縁材料を十分に乾燥させることが可能な乾燥装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】電極材料および絶縁材料が塗布された基材の製造工程を示す図である。
【
図2】電極材料および絶縁材料が塗布された基材の一例を示す図である。
【
図3】第1実施形態における第1の乾燥部の配置の例を示す上面図である。
【
図4】第1実施形態における第1の乾燥部の配置の例を示す斜視図である。
【
図5】第2実施形態における第1の乾燥部の配置の例を示す上面図である。
【
図6】第2実施形態における第1の乾燥部の配置の例を示す斜視図である。
【
図7】第3実施形態における乾燥装置の構成を示すブロック図である。
【
図8】第3実施形態における第1の乾燥部の配置の例を示す図である。
【
図9】第4実施形態における乾燥装置を示す図である。
【
図10】第5実施形態における第1の乾燥部の配置の例を示す上面図である。
【
図11】第5実施形態における第1の乾燥部の配置の例を示す斜視図である。
【
図12】第1~第5実施形態における第1の乾燥部の一つのバリエーションを示す図である。
【
図13】第1~第5実施形態における乾燥装置の一つのバリエーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
[第1実施形態]
図1~
図4を参照して、第1実施形態による乾燥装置100について説明する。第1実施形態では、正極および負極を含む電極を製造する製造ラインに乾燥装置100が用いられる。
【0028】
図1および
図2に示すように、電極は、塗布部10により基材11に電極材料12と絶縁材料13とが塗布された後、乾燥装置100により乾燥されることにより形成される。
図1および
図2では、Y1方向からY2方向に基材11が搬送される。また、基材11に塗布された絶縁材料13は、乾燥されることにより絶縁膜を形成する。また、電極材料12は、乾燥されることにより電極膜を形成する。製造された負極および正極はセパレータを介して積層される。これにより、リチウムイオン二次電池などの非水電解液二次電池の部品が形成される。
【0029】
リチウムイオン二次電池に用いられる正極を形成する場合の基材11は、たとえば、アルミニウムが用いられる。また、リチウムイオン二次電池に用いられる負極を形成する場合の基材11は、たとえば、銅が用いられる。リチウムイオン二次電池に用いられる正極を形成する場合、電極材料12は、マンガン酸リチウムやリン酸リチウムなどを成分として含む。また、リチウムイオン二次電池に用いられる負極を形成する場合、電極材料12は黒鉛を成分として含む。また、正極および負極のいずれの場合も絶縁材料13は、酸化アルミニウム(アルミナ)などのセラミックを成分として含んでいる。
【0030】
図1に示すように、基材11は、ロールツーロールでY1側からY2側に搬送される。塗布部10は、巻き出しロールから送り出された基材11に電極材料12を塗布するとともに、電極材料12の両方の側面に絶縁材料13を塗布する。塗布部10は、たとえば、スリットダイであってもよく、インクジェットであってもよい。
【0031】
塗布部10は、基材11の所定面に電極材料12を塗布する第1塗布部10aと、基材11の所定面に絶縁材料13を塗布する第2塗布部10bとを備える。所定面とは、基材11の表側の面であってもよく、基材11の裏側の面であってもよく、基材11の表側の面と裏側の面との両方であってもよい。
【0032】
図1および
図2に示すように、基材11に電極材料12が塗布された後、電極材料12の両方の側面に絶縁材料13が塗布される。絶縁材料13は、絶縁性を向上させるために隙間なく塗布されることが好ましいため、電極材料12の一部に重なるように塗布される。
図2では、電極材料12と、絶縁材料13とに異なるハッチングを付し、基材11にはハッチングを付していない。
【0033】
図1に示すように、第1実施形態の乾燥装置100は、塗布部10の下流に設けられる。乾燥装置100は、第1の乾燥部1と、第2の乾燥部2とを備える。第1の乾燥部1は、基材11の所定面に塗布された絶縁材料13を乾燥させる。また、第2の乾燥部2は、基材11の所定面に塗布された電極材料12を乾燥させる。
【0034】
第1の乾燥部1は、第2の乾燥部2が基材11に塗布された電極材料12を乾燥させる方法と異なる方法で基材11に塗布された絶縁材料13を乾燥させる。
【0035】
第1の乾燥部1は、レーザ照射部を含み、第2の乾燥部2の筐体20内を搬送される絶縁材料13に向かってレーザ光を照射することにより絶縁材料13を乾燥させる。具体的には、第1の乾燥部1は、搬送方向(Y方向)に沿って、基材11の絶縁材料13が塗布されている部分に向かって部分的に照射されることにより、基材11に塗布された絶縁材料13を乾燥させるように構成されている。第1の乾燥部1は、電極材料12と絶縁材料13との境界あたりに照射されてもよく、電極材料12と絶縁材料13との境界から絶縁材料13側にずれた位置に照射されてもよい。第1の乾燥部1は、基材11の表側の面および裏側の面の両方に同時に照射してもよい。また、第1の乾燥部1は、基材11の所定面に対して垂直に照射されてもよく、斜めに照射されてもよい。レーザ光の照射範囲および照射出力は、予め設定されている。
図1では、破線でレーザの照射を示している。
【0036】
図3および
図4に示すように、第1の乾燥部1は、電極材料12を挟んで、電極材料12の側方の両側に位置する一対の絶縁材料13の各々に対応する位置に複数設けられている。第1の乾燥部1は、絶縁材料13と対応するように複数設けられる。なお、
図3および
図4では、多条(多列)の連続塗工により基材11に塗布する例を示しているが、一条でもよい。また、
図3および
図4では、多条の連続塗工のうち二条の連続塗工を示しているが、二条より多くてもよい。
【0037】
図1に示すように、第1の乾燥部1は、第2の乾燥部2の筐体20内に配置される。第1の乾燥部1は、第2の乾燥部2の筐体20内において下流側に位置するように設けられている。なお、
図1では、第1の乾燥部1の全体が筐体20内に配置されているように表しているが、第1の乾燥部1の一部(たとえば、レーザ照射部およびその近傍)だけが筐体20内に配置されていてもよい。
【0038】
図1に示すように、第2の乾燥部2は、基材11が内部を通過する筐体20に熱風を導入することによって、筐体20内に高温環境を形成する。形成された高温環境に電極材料12と絶縁材料13とをさらすことによって、電極材料12と絶縁材料13とを乾燥させる。乾燥された基材11は、巻き取りロールにより巻き取られる。
【0039】
第1実施形態では、第1の乾燥部1による絶縁材料13の乾燥と、第2の乾燥部2による電極材料12および絶縁材料13の乾燥とが筐体20内で完結するため、第1の乾燥部1と第2の乾燥部2とをそれぞれの上流側、下流側に別々に設ける場合と比べて基材11の搬送経路長を短くすることができる。この場合、第1の乾燥部1は、第2の乾燥部2の予熱に使用されてもよく、第2の乾燥部2の低率乾燥期間または減率乾燥期間に使用してもよい。
【0040】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0041】
第1実施形態の乾燥装置100では、上記のように、第1の乾燥部1は、基材11に塗布された電極材料12および絶縁材料13のうち絶縁材料13を乾燥させるように構成されている。これにより、電極材料12と絶縁材料13とを乾燥させる乾燥部を別途設けた場合に、第1の乾燥部1によって絶縁材料13だけを乾燥させることにより、電極材料12の乾燥時間よりも絶縁材料13の乾燥時間を長くすることができる。この結果、電極材料12を乾燥させる時間よりも絶縁材料13を乾燥させる時間を長くすることができるとともに第1の乾燥部1により電極材料12が乾燥されないため、電極材料12が過度に乾燥することを抑制しつつ、絶縁材料13を十分に乾燥させることができる。
【0042】
第1実施形態の乾燥装置100では、上記のように、乾燥部は、少なくとも基材11に塗布された電極材料12を乾燥させるように構成されている、第2の乾燥部2をさらに含む。これにより、第2の乾燥部2が絶縁材料13と電極材料12とを乾燥させることにより、第1の乾燥部1および第2の乾燥部2により絶縁材料13が乾燥されるため、絶縁材料13を乾燥させる時間を長くすることができる。また、第2の乾燥部2が電極材料12だけを乾燥させる場合、第1の乾燥部1の乾燥時間を第2の乾燥部2の乾燥時間よりも長くすることにより絶縁材料13を乾燥させる時間を長くすることができる。この結果、電極材料12が過度に乾燥することを抑制しつつ、絶縁材料13を十分に乾燥させることができる。
【0043】
また、第1実施形態では、上記のように、電極材料12および絶縁材料13は、第1の乾燥部1および第2の乾燥部2に対して基材11が相対移動される搬送方向に沿って基材11の所定面に塗布されており、第1の乾燥部1は、搬送方向に沿って、絶縁材料13が塗布されている部分に向かって部分的に照射されることにより、基材11に塗布された電極材料12と絶縁材料13とのうち絶縁材料13を乾燥させるように構成されており、第2の乾燥部2は、基材11の表面に平行な面内において搬送方向と直交する幅方向に沿って、基材11に塗布された電極材料12と絶縁材料13との両方を乾燥させるように構成されている。これにより、第1の乾燥部1および第2の乾燥部2により絶縁材料13を乾燥させることにより、絶縁材料13を乾燥させる時間を長くすることができるため、絶縁材料13を十分に乾燥させることができる。また、第1の乾燥部1が、絶縁材料13が塗布されている部分に向かって照射されることにより、第1の乾燥部1において電極材料12がさらに乾燥することを抑制することができるため、電極材料12の過度な乾燥を抑制することができる。
【0044】
また、第1実施形態では、上記のように、第1の乾燥部1は、電極材料12を挟んで、電極材料12の側方の両側に位置する一対の絶縁材料13の各々に対応する位置に複数設けられている。これにより、絶縁材料13の位置に対応して第1の乾燥部1を設けることにより、複数の箇所に絶縁材料13が塗布されている場合でも、複数の絶縁材料13の各々を確実に乾燥させることができる。
【0045】
また、第1実施形態では、上記のように、第1の乾燥部1は、第2の乾燥部2とは搬送方向の異なる位置に1つ設けられている。これにより、第1の乾燥部1と第2の乾燥部2とが互いに干渉せずに、絶縁材料13の乾燥と電極材料12の乾燥とを行うことができるため、絶縁材料13を確実に乾燥させることができる。
【0046】
また、第1実施形態では、上記のように、第1の乾燥部1と、第2の乾燥部2とは、異なる方法により乾燥させるように構成されている。これにより、第1の乾燥部1として、局所的に絶縁材料13を乾燥させることが可能な乾燥部を適用するとともに、第2の乾燥部2として、電極材料12と絶縁材料13とを合わせて乾燥させることが可能な乾燥部を適用することができる。
【0047】
また、第1実施形態では、上記のように、第1の乾燥部1は、絶縁材料13に向かってレーザ光を照射することにより、絶縁材料13を乾燥させるように構成されている。これにより、レーザ光の照射範囲を調整することにより、電極材料12にレーザ光を照射せずに、絶縁材料13にレーザ光を照射して絶縁材料13を乾燥させることができる。この結果、電極材料12の過度な乾燥を抑制しつつ、絶縁材料13を乾燥させることができる。
【0048】
また、第1実施形態では、上記のように、第2の乾燥部2は、熱風により、電極材料12を乾燥させるように構成されている。これにより、熱風を基材11全体に吹き付けることによって、絶縁材料13と電極材料12とを合わせて乾燥させることができる。
【0049】
[第2実施形態]
次に、
図1、
図5および
図6を参照して、本発明の第2実施形態による乾燥装置200の構成について説明する。第1実施形態と異なり、第2実施形態では、間欠塗工により基材11に電極材料12と絶縁材料13とが塗布される。
【0050】
図5に示すように、第2実施形態では、電極材料12が、間欠的に基材11に塗布されるとともに、絶縁材料13が間欠的に塗布される。また、絶縁材料13は、電極材料12を取り囲むように基材11に塗布される。なお、
図5では、二条の間欠塗工を示しているが、一条の間欠塗工でもよく、三条以上の間欠塗工であってもよい。
図5では、電極材料12と、絶縁材料13とに異なるハッチングを付し、基材11にはハッチングを付していない。
【0051】
図6に示すように、間欠塗工により絶縁材料13および電極材料12を基材11に塗布する場合は、第1の乾燥部1は、搬送方向(Y方向)に向かってレーザ光を照射する第1の乾燥部1aと、搬送方向に直交する幅方向(X方向)に向かってレーザ光を照射する第1の乾燥部1bとから構成される。第1の乾燥部1bは、絶縁材料13が間欠的に塗布されることに合わせて、レーザも間欠的に照射されてもよく、レーザを幅方向にスキャン(走査)させて照射してもよい。なお、絶縁材料13が間欠的に塗布されることに合わせて、第1の乾燥部1aも間欠的に照射してもよい。なお、
図5および
図6には図示していないが、第2の乾燥部2は第1の乾燥部1よりも上流側(Y1側)に配置される。
【0052】
第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0053】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、上記のように、第1の乾燥部1は、基材11に塗布された電極材料12および絶縁材料13のうち絶縁材料13を乾燥させるように構成されている。これにより、電極材料12と絶縁材料13とを乾燥させる乾燥部を別途設けた場合に、第1の乾燥部1によって絶縁材料13だけを乾燥させることにより、電極材料12の乾燥時間よりも絶縁材料13の乾燥時間を長くすることができる。この結果、電極材料12を乾燥させる時間よりも絶縁材料13を乾燥させる時間を長くすることができるとともに第1の乾燥部1により電極材料12が乾燥されないため、電極材料12が過度に乾燥することを抑制しつつ、絶縁材料13を十分に乾燥させることができる。
【0054】
また、第2実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0055】
[第3実施形態]
次に、
図1、
図7および
図8を参照して、本発明の第3実施形態による乾燥装置200の構成について説明する。
【0056】
図7に示すように、第3実施形態による乾燥装置200は、位置検出部3と、制御部4とを備える。
【0057】
位置検出部3は、基材11上の絶縁材料13の位置を検出する。位置検出部3は、レーザで位置を検知してもよく、撮像することにより検知してもよい。
【0058】
図8に示すように、制御部4は、位置検出部3で検出した結果に基づいて、第1の乾燥部1aのレーザ光照射角度および第1の乾燥部1aのレーザ光の照射位置のうち少なくとも1つを調整する。第1の乾燥部1は、傾けてレーザ光の照射角度を変更するための回転機構を備えていてもよく、レーザ光の照射位置を変更するための移動機構を備えていてもよい。
図8では、搬送方向に照射する第1の乾燥部1aのレーザ光照射角度および第1の乾燥部1aのレーザ光の照射位置のうち少なくとも1つを調整する。この場合、レーザ照射部から照射されるレーザの形状を長方形になるように調整する。
【0059】
照射角度を変更することにより、第1の乾燥部1aから照射されるレーザ光の照射位置を変更することができる。また、第1の乾燥部1aを幅方向に移動させることにより、幅方向におけるレーザ光の照射位置を変更することができる。さらに、幅方向および搬送方向に直交する上下方向に第1の乾燥部1aを移動させることにより、照射されるレーザ光の大きさを変更できるため、照射範囲を絞ることができる。照射位置を変更した後は、制御部4によりレーザ光の出力を調整し、絶縁材料13を十分に乾燥させる。なお、
図8には図示していないが、第2の乾燥部2は第1の乾燥部1よりも上流側(Y1側)に配置さ
れる。
【0060】
第3実施形態のその他の構成は、上記第2実施形態と同様である。
【0061】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、上記のように、第1の乾燥部1は、基材11に塗布された電極材料12および絶縁材料13のうち絶縁材料13を乾燥させるように構成されている。これにより、電極材料12と絶縁材料13とを乾燥させる乾燥部を別途設けた場合に、第1の乾燥部1によって絶縁材料13だけを乾燥させることにより、電極材料12の乾燥時間よりも絶縁材料13の乾燥時間を長くすることができる。この結果、電極材料12を乾燥させる時間よりも絶縁材料13を乾燥させる時間を長くすることができるとともに第1の乾燥部1により電極材料12が乾燥されないため、電極材料12が過度に乾燥することを抑制しつつ、絶縁材料13を十分に乾燥させることができる。
【0062】
また、第3実施形態では、上記のように、基材11上における絶縁材料13の位置を検出するための位置検出部3と、位置検出部3により検出された絶縁材料13の位置に基づいて、第1の乾燥部1のレーザ光の照射角度および第1の乾燥部1のレーザ光の照射位置のうち少なくとも1つを調整する制御部4とをさらに備える。これにより、位置検出部3の検出結果に基づいて第1の乾燥部1のレーザ光の照射角度および第2の乾燥部2のレーザ光の照射位置のうち少なくとも1つを調整することにより、レーザ光が電極材料12に照射されないように調整できるとともに、絶縁材料13に照射されるように精度よく調整することができるため、絶縁材料13だけを効率よく乾燥させることができる。
【0063】
また、第3実施形態のその他の効果は、第2実施形態と同様である。
【0064】
[第4実施形態]
次に、
図9を参照して、本発明の第4実施形態による乾燥装置300の構成について説明する。第1~第3実施形態とは異なり、第4実施形態では、第1の乾燥部1と第2の乾燥部2とが別体となっている。
【0065】
図9に示すように、第4実施形態では、第1の乾燥部1と第2の乾燥部2とが別体となっている。具体的には、正極および負極を含む電極を製造する製造ラインに乾燥装置100に各々設けられる。第4実施形態では、第1の乾燥部1と第2の乾燥部2とが別体となっているため、第1の乾燥部1の数と第2の乾燥部2と一体的に増えることはない。そのため、部分的に照射する第1の乾燥部1aの数を増やすことにより、電極材料12を過度に乾燥させずに、絶縁材料13を乾燥させる時間を長くすることができる。
【0066】
第4実施形態のその他の構成は、上記第1~第3実施形態と同様である。
【0067】
(第4実施形態の効果)
第4実施形態では、上記のように、第1の乾燥部1は、基材11に塗布された電極材料12および絶縁材料13のうち絶縁材料13を乾燥させるように構成されている。これにより、電極材料12と絶縁材料13とを乾燥させる乾燥部を別途設けた場合に、第1の乾燥部1によって絶縁材料13だけを乾燥させることにより、電極材料12の乾燥時間よりも絶縁材料13の乾燥時間を長くすることができる。この結果、電極材料12を乾燥させる時間よりも絶縁材料13を乾燥させる時間を長くすることができるとともに第1の乾燥部1により電極材料12が乾燥されないため、電極材料12が過度に乾燥することを抑制しつつ、絶縁材料13を十分に乾燥させることができる。
【0068】
また、第4実施形態のその他の効果は、第1~第3実施形態と同様である。
【0069】
[第5実施形態]
次に、
図10および
図11を参照して、本発明の第5実施形を説明する。第4実施形態とは異なり、第5実施形態では、第2の乾燥部2は、レーザで電極材料12を乾燥させる。
【0070】
図10および
図11に示すように、第5実施形態では、第2の乾燥部2は、絶縁材料13と電極材料12とをレーザにより乾燥させる。第1の乾燥部1は、電極材料12および絶縁材料13を跨ぐように配置される。なお、
図10および
図11では、電極材料12および絶縁材料13を塗布していない基材11にレーザは照射していないが、基材11も含めて照射してもよい。
【0071】
図11に示すように、第2の乾燥部2は、第1の乾燥部1の上流側に配置されている。
【0072】
第5実施形態のその他の構成は、上記第4実施形態と同様である。
【0073】
(第5実施形態の効果)
第5実施形態では、上記のように、第1の乾燥部1は、基材11に塗布された電極材料12および絶縁材料13のうち絶縁材料13を乾燥させるように構成されている。これにより、電極材料12と絶縁材料13とを乾燥させる乾燥部を別途設けた場合に、第1の乾燥部1によって絶縁材料13だけを乾燥させることにより、電極材料12の乾燥時間よりも絶縁材料13の乾燥時間を長くすることができる。この結果、電極材料12を乾燥させる時間よりも絶縁材料13を乾燥させる時間を長くすることができるとともに第1の乾燥部1により電極材料12が乾燥されないため、電極材料12が過度に乾燥することを抑制しつつ、絶縁材料13を十分に乾燥させることができる。
【0074】
また、第5実施形態のその他の効果は、第4実施形態と同様である。
【0075】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0076】
たとえば、上記第1~第5実施形態では、第2の乾燥部2が電極材料12と絶縁材料13とを乾燥させる例を示したが、本発明はこれに限られない、第2の乾燥部2は、絶縁材料13を乾燥させない構成であってもよい。
【0077】
また、上記第1~第5実施形態では、第1の乾燥部1は、絶縁材料13にレーザ光を照射する構成である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1の乾燥部1は、IRランプによって絶縁材料13に赤外線を照射する構成であってもよい。この場合、IRランプは、照射範囲を絶縁材料13に絞るために、点集光型のIRランプが好ましい。また、第1の乾燥部1は、絶縁材料13に熱風を吹き当てる構成であってもよい。この場合、第1の乾燥部1は、熱風を吹き出すノズルを含む。ノズルは、熱風を吹き当てる範囲を絶縁材料13に絞るために、ノズルが有する熱風の吹出口の径は、熱風を吹き当てる対象となる絶縁材料13の寸法以下に設定されている。
【0078】
また、上記第1~第5実施形態では、第1の乾燥部1が複数設けられ、第1の乾燥部1の各々によって絶縁材料13の各々にレーザ光を照射する構成である例を示したが、本発明はこれに限られず、1つの第1の乾燥部1によって絶縁材料13の各々にレーザ光を照射する構成であってもよい。たとえば、第1の乾燥部1は、レーザ光源である発光点を複数有し、発光点の各々を選択的に発光させることにより絶縁材料13の各々にレーザ光を照射する構成としてもよい。すなわち、
図12に示すように、第1の乾燥部1には、複数の発光点14が幅方向に配列して設けられており、絶縁材料13の各々に対応する位置に配置された発光点14のみを発光させることにより、絶縁材料13の各々にレーザ光を照射するようになっている。この構成によれば、1つの第1の乾燥部1によって絶縁材料13の各々にレーザ光を照射することができる。また、発光点14の各々を選択的に発光させることにより、レーザ光の照射位置と範囲を調節することができるため、第1の乾燥部1の移動や増設を要さずに、絶縁材料13の塗布位置の変更に対応することが可能になる。なお、レーザ光源は、上記発光点に限られない。
【0079】
また、第1の乾燥部1から照射されたレーザ光を複数に分岐させる分岐部を設け、この分岐部によって分岐されたレーザ光を絶縁材料13の各々に照射させる構成としてもよい。具体的には、分岐部は、たとえば、第1の乾燥部1が照射したレーザ光の一部を透過、反射させる複数のミラー部であり、これらミラー部に第1の乾燥部1が照射したレーザ光を反射させることにより、絶縁材料13の各々にレーザ光を照射する。すなわち、
図13に示すように、ミラー部51の各々は絶縁材料13の各々に対応するように幅方向に配列して設けられており、これらミラー部51に向かって第1の乾燥部1からレーザ光を幅方向に照射することにより、レーザ光の一部がミラー部51に反射されて絶縁材料13に照射され、ミラー部51に反射されなかったレーザ光が、そのミラー部51を透過して隣接するミラー部51に反射されて絶縁材料13に照射されるようになっている。この構成によれば、1つの第1の乾燥部1によって絶縁材料13の各々にレーザ光を照射することができる。また、ミラー部51によって、レーザ光の照射位置を調節することができるため、第1の乾燥部1の移動や増設を要さずに、絶縁材料13の塗布位置の変更に対応することが可能になる。また、ミラー部51によって反射されたレーザ光を所定の形状に成形するレンズ部52を設けてもよい。
【0080】
また、上記第5実施形態では、第2の乾燥部2が、レーザにより電極材料12を乾燥させる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第2の乾燥部2は、赤外線により電極材料12を乾燥させてもよい。
【0081】
また、上記第2実施形態では、第1の乾燥部1aがレーザにより絶縁材料13を乾燥させる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1の乾燥部1aは、IRランプによって絶縁材料13に赤外線を照射する構成であってもよい。
【0082】
また、上記第1~第5実施形態では、第2の乾燥部2を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第2の乾燥部2を備えなくてもよい。この場合の乾燥装置100(200または300)は、たとえば、ロールツーロールで基材11を搬送する搬送ラインを2つ備え、一方の搬送ラインに第1塗布部10aと第2の乾燥部2を配置させ、もう一方の搬送ラインに第2塗布部10bと第1の乾燥部1を配置させてもよい。すなわち、基材11に対する電極材料12の塗布および乾燥と、絶縁材料13の塗布および乾燥を別々の搬送ラインで行うように乾燥装置100(200または300)を構成してもよい。
【0083】
また、上記第1~第3実施形態では、同一の筐体20内で第2の乾燥部2が第1の乾燥部1よりも上流である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1の乾燥部1が第2の乾燥部2よりも上流であってもよい。同様に、第4実施形態および第5実施形態においても、第1の乾燥部1が第2の乾燥部2よりも上流であってもよい。また、上記第1~第5実施形態において、第1の乾燥部1と第2の乾燥部2が同じ位置に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 第1の乾燥部
2 第2の乾燥部
3 位置検出部
4 制御部
11 基材
12 電極材料
13 絶縁材料
14 発光点
51 ミラー部
52 レンズ部
100、200、300 乾燥装置