(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146753
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
F16H 57/04 20100101AFI20241004BHJP
H02K 9/19 20060101ALI20241004BHJP
H02K 5/173 20060101ALI20241004BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
F16H57/04 Q
F16H57/04 J
H02K9/19 Z
H02K5/173 A
H02K7/116
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024013441
(22)【出願日】2024-01-31
(31)【優先権主張番号】P 2023058151
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】松崎 良亮
(72)【発明者】
【氏名】里田 大志
(72)【発明者】
【氏名】土井 創太
(72)【発明者】
【氏名】生嶌 甚之介
(72)【発明者】
【氏名】助森 大地
【テーマコード(参考)】
3J063
5H605
5H607
5H609
【Fターム(参考)】
3J063AA04
3J063AB01
3J063AC01
3J063BA11
3J063XD03
3J063XD23
3J063XD32
3J063XD47
3J063XD62
3J063XD72
3J063XD73
3J063XE15
5H605AA01
5H605BB10
5H605BB17
5H605CC01
5H605CC04
5H605DD01
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5H607BB05
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5H607CC01
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5H607DD03
5H607DD08
5H607EE31
5H607GG01
5H607GG08
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5H609BB01
5H609BB19
5H609PP06
5H609PP07
5H609PP08
5H609PP09
5H609QQ05
5H609QQ10
5H609RR31
5H609RR42
5H609RR43
5H609RR46
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数のベアリングに安定的に流体を供給できる駆動装置を提供する。
【解決手段】駆動装置1は、モータ2と伝達機構3とハウジング6と流路とを備える。伝達機構は、第1シャフト46と、第2シャフト45と、第3シャフトと、第1シャフトを支持する第1ベアリングB1と、第2シャフトを支持する第2ベアリングB3と、第3シャフトを支持する第3ベアリングB7と、を有する。ハウジングは、ギヤ室を軸方向一方側から覆う側壁部と、側壁部に設けられた第1ベアリング保持部と、側壁部に設けられた第2ベアリング保持部と、側壁部に設けられた第3ベアリング保持部と、を有する。流路は、第2ベアリング保持部の内部に流体を供給する供給流路部96と、第2ベアリング保持部の内部と第1ベアリング保持部の内部とを繋ぐ第1流路部97と、第2ベアリング保持部の内部と第3ベアリング保持部の内部とを繋ぐ第2流路部98と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータの動力を伝達する伝達機構と、
前記伝達機構を収容するギヤ室が設けられるハウジングと、
少なくとも一部が前記ハウジングに設けられ、流体が流通可能な流路と、を備え、
前記伝達機構は、
軸方向に延びる第1軸線を中心に回転可能な第1シャフトと、
前記第1軸線と平行に延びる第2軸線を中心に回転可能な第2シャフトと、
前記第1軸線および前記第2軸線と平行に延びる第3軸線を中心に回転可能な第3シャフトと、
前記第1シャフトを支持する第1ベアリングと、
前記第2シャフトを支持する第2ベアリングと、
前記第3シャフトを支持する第3ベアリングと、を有し、
前記ハウジングは、
前記ギヤ室を軸方向一方側から覆う側壁部と、
前記側壁部に設けられ前記第1ベアリングを保持する第1ベアリング保持部と、を有し、
前記側壁部に設けられ前記第2ベアリングを保持する第2ベアリング保持部と、を有し、
前記側壁部に設けられ前記第3ベアリングを保持する第3ベアリング保持部と、を有し、
前記流路は、
前記第2ベアリング保持部の内部に前記流体を供給する供給流路部と、
前記第2ベアリング保持部の内部と前記第1ベアリング保持部の内部とを繋ぐ第1流路部と、
前記第2ベアリング保持部の内部と前記第3ベアリング保持部の内部とを繋ぐ第2流路部と、を有する、
駆動装置。
【請求項2】
前記第2ベアリング保持部は、
前記第2シャフトの軸方向一方側の端部よりも軸方向一方側に位置し、軸方向と直交する方向に延びる対向面と、
軸方向に延び、前記第2ベアリングを径方向外側から支持する内側面と、を有し、
前記内側面には、
前記第1流路部の端部である第1開口部と、
前記第2流路部の端部である第2開口部と、
前記第1開口部と前記第2開口部との間に位置し、径方向内側に突出する壁部と、が設けられる、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記内側面には、前記供給流路部の端部である第3開口部が設けられ、
上下方向および軸方向の両方と交差する方向を第1方向とし、
前記第1開口部は、前記壁部に対し第1方向の一方側に位置し、
前記第2開口部は、前記壁部に対し第1方向の他方側に位置し、
前記第3開口部は、前記壁部に対し第1方向の一方側に位置する、
請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記内側面には、前記供給流路部の端部である第3開口部が設けられ、
上下方向および軸方向の両方と交差する方向を第1方向とし、
前記第1開口部は、前記壁部に対し第1方向の一方側に位置し、
前記第2開口部は、前記壁部に対し第1方向の他方側に位置し、
前記第3開口部は、前記壁部に対し第1方向の他方側に位置する、
請求項2に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記第1流路部の断面積は、前記第2流路部の断面積よりも大きい、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記第2流路部の断面積は、前記第1流路部の断面積よりも大きい、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記伝達機構は、前記第3シャフトを含む差動装置を有する、
請求項3~6の何れか一項に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記第2ベアリング保持部は、前記第2シャフトの軸方向一方側の端部よりも軸方向一方側に位置し、軸方向と直交する方向に延びる対向面を有し、
前記対向面には、軸方向一方側に窪む凹部が設けられ、
前記第1流路部および前記第2流路部は、前記凹部の内部に繋がる、
請求項1~6の何れか一項に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記第2ベアリング保持部は、軸方向に延び、前記第2ベアリングを径方向外側から支持する内側面を有し、
前記内側面には、
前記第1流路部の端部である第1開口部と、
前記第2流路部の端部である第2開口部と、
前記第1開口部と前記第2開口部との間に位置し、径方向内側に突出する壁部と、が設けられ、
前記壁部は、前記凹部の内部まで延び、前記凹部の周方向中央に対し前記第2開口部側に配置される、
請求項8に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記第2ベアリング保持部は、前記対向面から軸方向他方側に延び、前記第2ベアリングを径方向外側から支持する内側面を有し、
前記内側面には、
前記第1流路部の端部である第1開口部と、
前記第2流路部の端部である第2開口部と、
前記第1開口部と前記第2開口部との間に位置し、径方向内側に突出する壁部と、が設けられ、
前記壁部は、前記凹部の内部まで延び、前記凹部の周方向中央に対し前記第1開口部側に配置される、
請求項8に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記第2ベアリング保持部は、
前記第2シャフトの軸方向一方側の端部よりも軸方向一方側に位置し、軸方向と直交する方向に延びる対向面と、
軸方向に延び、前記第2ベアリングを径方向外側から支持する内側面と、を有し、
前記内側面には、
前記第1流路部の端部である第1開口部と、
前記第2流路部の端部である第2開口部と、
前記供給流路部の端部である第3開口部と、が設けられ、
前記対向面には、軸方向他方側に突出し前記第3開口部の少なくとも一部を覆うリブが設けられ、
上下方向および軸方向の両方と交差する方向を第1方向とし、
前記第1開口部および前記第2開口部は、前記第2開口部に対し第1方向の一方側に位置し、
前記リブの少なくとも一部は、前記第2開口部よりも第1方向の一方側に設けられる、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項12】
前記対向面には、軸方向一方側に窪む凹部が設けられ、
前記リブは、前記凹部に向かって延びる、
請求項11に記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車およびハイブリッド自動車などの車両には、駆動装置が搭載される。このような駆動装置の内部には、オイルなどの流体が貯留されており、当該流体によって、駆動装置内のギヤおよびベアリングの潤滑を行う(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ベアリングは、ハウジングに設けられたベアリング保持部によって保持される。ベアリングが複数設けられる場合、それぞれのベアリングに対して安定的に流体を供給し、一部のベアリングへの供給が不足することを抑制することが求められる。
【0005】
本発明の一態様は、複数のベアリングに安定的に流体を供給できる駆動装置の提供を目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施態様の駆動装置は、モータと、前記モータの動力を伝達する伝達機構と、前記伝達機構を収容するギヤ室が設けられるハウジングと、少なくとも一部が前記ハウジングに設けられ、流体が流通可能な流路と、を備える。前記伝達機構は、軸方向に延びる第1軸線を中心に回転可能な第1シャフトと、前記第1軸線と平行に延びる第2軸線を中心に回転可能な第2シャフトと、前記第1軸線および前記第2軸線と平行に延びる第3軸線を中心に回転可能な第3シャフトと、前記第1シャフトを支持する第1ベアリングと、前記第2シャフトを支持する第2ベアリングと、前記第3シャフトを支持する第3ベアリングと、を有する。前記ハウジングは、前記ギヤ室を軸方向一方側から覆う側壁部と、前記側壁部に設けられ前記第1ベアリングを保持する第1ベアリング保持部と、を有する。前記側壁部に設けられ前記第2ベアリングを保持する第2ベアリング保持部と、を有する。前記側壁部に設けられ前記第3ベアリングを保持する第3ベアリング保持部と、を有する。前記流路は、前記第2ベアリング保持部の内部に前記流体を供給する供給流路部と、前記第2ベアリング保持部の内部と前記第1ベアリング保持部の内部とを繋ぐ第1流路部と、前記第2ベアリング保持部の内部と前記第3ベアリング保持部の内部とを繋ぐ第2流路部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、複数のベアリングに安定的に流体を供給できる駆動装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態の駆動装置の概念図である。
【
図2】
図2は、一実施形態の駆動装置に係る側壁部の正面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態の第2ベアリング保持部の正面図である。
【
図4】
図4は、
図3のIV-IV線に沿う第2ベアリング保持部の断面模式図である。
【
図5】
図5は、変形例1の第2ベアリング保持部の模式図である。
【
図6】
図6は、変形例2の第2ベアリング保持部の模式図である。
【
図7】
図7は、変形例3の第2ベアリング保持部の模式図である。
【
図8】
図8は、変形例4の第2ベアリング保持部の模式図である。
【
図9】
図9は、変形例5の第2ベアリング保持部の模式図である。
【
図10】
図10は、変形例6の第2ベアリング保持部の模式図である。
【
図11】
図11は、変形例7の第2ベアリング保持部の模式図である。
【
図12】
図12は、
図11のXII-XII線に沿う第2ベアリング保持部の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る駆動装置について説明する。以下の説明では、本実施形態の駆動装置1が水平な路面上に位置する図示しない車両に搭載された場合の位置関係を基に、上下方向を規定して説明する。
【0010】
図面には、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、上下方向である。上下方向とは、例えば鉛直方向である。+Z側は、鉛直方向上側であり、-Z側は、鉛直方向下側である。本実施形態では、鉛直方向上側を単に「上側」と呼び、鉛直方向下側を単に「下側」と呼ぶ。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって、駆動装置1が搭載される車両の前後方向である。本実施形態において、+X側は、車両の前側であり、-X側は、車両の後側である。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の左右方向、すなわち車幅方向である。Y軸方向は、後述する第1軸線J1、第2軸線J2、および第3軸線J3の軸方向に相当する。前後方向および左右方向は、鉛直方向と直交する水平方向である。
【0011】
各図に適宜示す第1軸線J1、第2軸線J2、第3軸線J3は、互いに平行であり、Y軸方向(すなわち車両の左右方向であり、水平面に沿う方向)に延びる。本明細書では、特に断りのない限り、軸線J1、J2、J3に平行な方向を単に「軸方向」と呼び、軸線J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、軸線J1を中心とする周方向、すなわち、軸線J1の軸周りを単に「周方向」と呼ぶ。「軸方向に延びる」とは、第1軸線J1、第2軸線J2、第3軸線J3が延びる方向に延びることを意味する。また、以下の説明において、軸方向一方側とは、Y軸に沿う方向のうち+Y側を意味し、軸方向他方側とは、Y軸に沿う方向のうち-Y側を意味する。なお、本実施形態において、「平行な方向」は略平行な方向を含み、「直交する方向」は略直交する方向を含む。また、本明細書において、「軸方向を向く」とは、軸方向と平行な方向、又は軸方向成分を有する方向を向くことを意味する。
【0012】
以下の説明において、X軸と平行な方向である車両前後方向を単に「第1方向」と呼ぶ。また、車両の前側(+X側)を単に第1方向の一方側と呼び、車両の後側(-X側)を、単に第1方向の他方側と呼ぶ。第1方向は、上下方向および軸方向の両方と交差する方向である。
【0013】
図1は、一実施形態の駆動装置1の概念図である。
本実施形態の駆動装置1は、電気自動車(EV)に搭載され、その動力源として使用される。なお、駆動装置1は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等、モータを動力源とする車両に搭載されていてもよい。
【0014】
図1に示すように、駆動装置1は、モータ2と、伝達機構3と、インバータ7と、ハウジング6と、流体Oと、ポンプ8と、クーラ9と、を備える。モータ2、伝達機構3、およびインバータ7は、ハウジング6内に収容される。流体Oは、ハウジング6内に貯留される。ポンプ8およびクーラ9は、ハウジング6の外側面に固定される。
【0015】
<モータ>
本実施形態のモータ2は、三相交流モータである。モータ2は、電動機としての機能と発電機としての機能とを兼ね備える。モータ2は、伝達機構3の軸方向他方側(-Y側)に位置する。モータ2は、水平方向に延びる第1軸線(モータ軸線)J1を中心として回転するロータ20と、ロータ20の径方向外側に位置するステータ25と、を備える。本実施形態のモータ2は、ステータ25の内側にロータ20が配置されるインナーロータ型モータである。モータ2の構成は、本実施形態に限定されない。
【0016】
ロータ20は、水平方向に延びる第1軸線J1を中心に回転する。ロータ20は、モータシャフト21と、モータシャフト21の外周面に固定されるロータコア24と、ロータコアに固定されるロータマグネット(図示略)と、を有する。
【0017】
モータシャフト21は、第1軸線J1を中心として軸方向に沿って延びる。モータシャフト21は、第1軸線J1を中心として回転する。モータシャフト21は、軸方向一方側(+Y側)の端部は、伝達機構3の第1シャフト46が連結される。これにより、ロータ20のトルクは、伝達機構3に伝達される。モータシャフト21は、中空状のシャフトである。モータシャフト21には、中空部21hから径方向外側に延びる孔21kが設けられる。モータシャフト21は、ベアリングB5、B6を介してハウジング6に回転可能に支持される。
【0018】
ステータ25は、ハウジング6に保持される。ステータ25は、ロータ20を径方向外側から囲む。ステータ25は、第1軸線J1を中心とする略環状のステータコア27と、ステータコア27に装着されるコイル26と、を有する。ステータコア27は、ハウジング6に固定される。
【0019】
コイル26は、図示しないインシュレータを介してステータコア27の各ティース部にそれぞれ装着される。コイル26は、複数のコイル線から構成される。また、コイル26は、棒状の導体を複数連結して構成されていてもよい。コイル26には、バスバー30が接続される。コイル26には、バスバー30を介して交流電流が供給される。
【0020】
<インバータ>
インバータ7は、図示略のバッテリから供給される直流電流を交流電流に変換する。インバータ7は、バスバー30を介して、ステータ25のコイル26に接続される。インバータ7は、バスバー30を介してモータ2に電力を供給しモータ2を制御する。
【0021】
<伝達機構>
伝達機構3は、モータ2の軸方向一方側(+Y側)に位置する。伝達機構3は、モータ2の動力を伝達し出力シャフト55から出力する。伝達機構3は、第1シャフト46と、第1ギヤ41と、第2シャフト45と、第2ギヤ42と、第3ギヤ43と、差動装置5と、出力シャフト55と、複数のベアリングB1、B2、B3、B4、B7と、を有する。
【0022】
第1シャフト46および第1ギヤ41は、第1軸線J1を中心に配置される。第1シャフト46および第1ギヤ41は、第1軸線J1を中心に回転可能である。第1シャフト46は、第1軸線J1の軸方向に延びる。第1シャフト46は、軸方向他方側(-Y側)の端部でモータシャフト21に連結される。第1シャフト46は、モータシャフト21と同期して回転する。第1ギヤ41は、第1シャフト46の外周面に設けられる。第1ギヤ41は、第1シャフト46とともに、第1軸線J1を中心に回転する。第1シャフト46は、ベアリングB1、B2を介してハウジング6に回転可能に支持される。
【0023】
第2シャフト45、第2ギヤ42、および第3ギヤ43は、第1軸線J1と平行に延びる第2軸線J2を中心に配置される。第2シャフト45、第2ギヤ42、および第3ギヤ43は、第2軸線J2を中心に回転可能である。第2シャフト45は、第2軸線J2の軸方向に沿って延びる。第2シャフト45は、ベアリングB3、B4を介してハウジング6に回転可能に支持される。第2ギヤ42および第3ギヤ43は、第2シャフト45の外周面に設けられる。第2ギヤ42および第3ギヤ43は、軸方向に間隔を空けて配置される。第2ギヤ42および第3ギヤ43は、第2シャフト45とともに、第2軸線J2を中心として回転する。第2ギヤ42は、第1ギヤ41に噛み合う。第3ギヤ43は、後述する差動装置5のリングギヤ51と噛み合う。
【0024】
差動装置5は、リングギヤ51と、デフケース50と、差動機構部5aと、を有する。差動装置5は、第1軸線J1および第2軸線J2と平行に延びる第3軸線J3を中心に配置される。差動装置5は、第3軸線J3を中心に回転可能である。リングギヤ51は、第3ギヤ43に噛み合う。リングギヤ51は、第3軸線J3周りに回転する。リングギヤ51は、デフケース50に固定される。
【0025】
デフケース50は、内部に差動機構部5aを収容するケース部50bと、第3シャフト5bおよび第4シャフト5cと、を有する。第3シャフト5bは、ケース部50bの外側面から軸方向一方側(+Y側)に突出する。第4シャフト5cは、ケース部50bの外側面から軸方向他方側(-Y側)に突出する。第3シャフト5bおよび第4シャフト5cは、第3軸線J3を中心として軸方向に沿って延びる筒状である。第3シャフト5bおよび第4シャフト5cの内部には、それぞれ出力シャフト55が配置される。第3シャフト5bおよび第4シャフト5cは、第3軸線J3を中心としてリングギヤ51とともに回転する。第3シャフト5bは、ベアリングB7を介してハウジング6に回転可能に支持される。第4シャフト5cは、図示略のベアリングを介してハウジング6に回転可能に支持される。すなわち、伝達機構3は、第3軸線J3を中心に回転可能な第3シャフト5bおよび第4シャフト5cを有する。また、差動装置5は、第3シャフト5bおよび第4シャフト5cを含む。
【0026】
差動機構部5aは、デフケース50の内部に配置される。差動機構部5aには、デフケース50を介してリングギヤ51の回転が伝わる。差動機構部5aには、一対の出力シャフト55が接続される。差動機構部5aは、車両の旋回時に、左右の車輪の速度差を吸収しつつ、左右両輪の出力シャフト55にトルクを伝える。
【0027】
一対の出力シャフト55は、第3軸線J3を中心として差動機構部5aから軸方向一方側および他方側に延びる。一対の出力シャフト55は、ハウジング6に、それぞれ第3シャフト5b又は第4シャフト5cの内周面に配置される図示略のベアリングを介して、第3軸線J3を中心として回転可能に支持される。一対の出力シャフト55には、それぞれ車輪(不図示)が接続される。
【0028】
モータ2から出力されるトルクは、モータシャフト21、第1シャフト46、第1ギヤ41、第2ギヤ42、第2シャフト45および第3ギヤ43を介して差動装置5のリングギヤ51へ伝達され、さらに、差動機構部5a、および出力シャフト55を介して車輪に伝わる。このように、伝達機構3は、車両の車輪にモータ2のトルクを伝達する。
【0029】
<ベアリング>
複数のベアリングB1、B2、B3、B4、B5、B6、B7は、ハウジング6に保持される。ベアリングB1、B2は、第1軸線J1を中心として配置される。ベアリングB1は、第1シャフト46の軸方向一方側(+Y側)の端部を支持し、ベアリングB2は、第1シャフト46の軸方向他方側(-Y側)の端部を支持する。ベアリングB3、B4は、第2軸線J2を中心として配置される。ベアリングB3は、第2シャフト45の軸方向一方側(+Y側)の端部を支持し、ベアリングB4は、第2シャフト45の軸方向他方側(-Y側)の端部を支持する。ベアリングB5、B6は、第1軸線J1を中心として配置される。ベアリングB5は、モータシャフト21の軸方向一方側(+Y側)の端部を支持し、ベアリングB6は、モータシャフト21の軸方向他方側(-Y側)の端部を支持する。ベアリングB7は、第3軸線J3を中心として配置される。ベアリングB7は、第3シャフト5bの軸方向一方側(+Y側)の端部を支持する。本実施形態の説明では、ベアリングB1を第1ベアリングと呼び、ベアリングB3を第2ベアリングと呼び、ベアリングB7を第3ベアリングと呼ぶ。
【0030】
<ハウジング>
ハウジング6には、モータ2を収容するモータ室6Aと、伝達機構3を収容するギヤ室6Bと、インバータ7を収容するインバータ室6Cと、が設けられる。ギヤ室6Bは、モータ室6Aの軸方向一方側(+Y側)に位置する。また、インバータ室6Cは、モータ室6Aの上側(+Z側)に位置する。
【0031】
ハウジング6内には、流体Oが貯留される。また、ハウジング6には、流体Oが流れる流路90が設けられる。すなわち、駆動装置1は、流体Oが流通可能な流路90を備える。流体Oは、流路90を通過してハウジング6内を循環する。流体Oは、モータ2の冷却用の冷媒としての機能と、伝達機構3の潤滑用としての機能と、を果たす。流体Oとしては、潤滑油および冷却油の機能を果たすために、比較的粘度の低いオートマチックトランスミッション用潤滑油(ATF:Automatic Transmission Fluid)と同等のオイルを用いることが好ましい。
【0032】
ハウジング6の内部空間の下部領域には、流体Oが溜る。すなわち、流体Oは、ハウジング6内の下部領域に溜まる。以下、ハウジング6内の下部領域であって、流体Oが貯留される領域を貯留部Pと呼ぶ。本実施形態のハウジング6において、モータ室6Aの底面とギヤ室6Bの底面とは、上下方向位置が略一致している。このため、貯留部Pは、モータ室6Aの下部領域とハウジング6の下部領域とに跨って設けられる。
【0033】
貯留部Pの流体Oには、リングギヤ51が浸かる。リングギヤ51は、第3軸線J3周りの回転に伴い、貯留部Pの流体Oをかき上げてギヤ室6B内に飛散する。リングギヤ51にかき上げられる流体Oは、ギヤ室6B内の各ギヤに供給されてギヤの歯面などの潤滑に利用される。
【0034】
また、貯留部Pの流体Oは、流路90を通過してモータ室6Aの上部領域、およびギヤ室6Bの上部領域に送られる。モータ室6Aの上部領域に送られた流体Oは、モータ2の表面を伝ってモータ2を冷却した後に、モータ室6Aの下部領域の貯留部Pに滴下する。また、ギヤ室6Bの上部領域に送られた流体Oは、伝達機構3の各ギヤ、および伝達機構3を支持するベアリングを潤滑した後に、ギヤ室6Bの下部領域の貯留部Pに戻る。
【0035】
ハウジング6は、複数の部材を組み合わせて構成される。ハウジング6は、ハウジング本体(第1部材)61と、ハウジング本体61の軸方向他方側(-Y側)に位置するモータカバー63と、ハウジング本体61の軸方向一方側(+Y側)に位置するギヤカバー(第2部材)62と、ハウジング本体61の上側(+Z側)に位置するインバータカバー64と、を有する。
【0036】
ハウジング本体61は、隔壁65と、第1筒部61aと、第2筒部61bと、箱状部61cと、を有する。隔壁65は、第1軸線J1と直交する平面に沿って延びる。第1筒部61aは、隔壁65から軸方向他方側(-Y側)に突出する。第1筒部61aは、第1軸線J1を囲む筒状である。第2筒部61bは、隔壁65から軸方向一方側(+Y側)に突出する。第2筒部61bは、第1軸線J1、第2軸線J2、および第3軸線J3を囲む筒状である。箱状部61cは、第1筒部61aの外側面の一部を底面として上側に開口する箱状である。箱状部61cの開口は、インバータカバー64によって覆われる。インバータ室6Cは、箱状部61cの内側面と、インバータカバー64とによって囲まれた空間に設けられる。
【0037】
隔壁65は、モータ室6Aとギヤ室6Bとを区画する。隔壁65には、シャフト挿通孔65cと隔壁開口65bとが設けられる。シャフト挿通孔65cおよび隔壁開口65bは、隔壁65を軸方向に貫通する。シャフト挿通孔65cおよび隔壁開口65bは、モータ室6Aとギヤ室6Bとを繋ぎ、これらを互いに連通させる。シャフト挿通孔65cの内側面は、ベアリングB5、B2を介してモータシャフト21および第1シャフト46を支持する。本実施形態では、モータシャフト21と第1シャフト46とは、シャフト挿通孔65cの内部で互いに連結される。しかしながら、モータシャフト21と第1シャフト46とは、シャフト挿通孔65cの外部で連結されていてもよい。隔壁開口65bは、シャフト挿通孔65cよりも下側に位置する。隔壁開口65bは、モータ室6Aからギヤ室6Bに流れる流体Oの流路を構成する。
【0038】
モータカバー63は、第1軸線J1と直交する平面に沿って延びる板状である。モータカバー63は、第1筒部61aの軸方向他方側(-Y側)の開口を覆う。モータ室6Aは、第1筒部61aの径方向内側、隔壁65の軸方向他方側(-Y側)、かつモータカバー63の軸方向一方側(+Y側)の空間に設けられる。
【0039】
ギヤカバー62は、軸方向他方側(-Y側)に開口する凹形状である。ギヤカバー62は、第1軸線J1と直交する平面に沿って延びる板状の側壁部62wと、側壁部62wから軸方向他方側(-Y側)に突出する第3筒部62bと、を有する。ギヤカバー62は、第2筒部61bの軸方向一方側(+Y側)の開口を覆う。第3筒部62bの軸方向他方側(-Y側)の端面は、第2筒部61bの軸方向一方側(+Y側)の端面に連結される。ギヤ室6Bは、第2筒部61bおよび第3筒部62bの径方向内側、隔壁65の軸方向一方側(+Y側)、かつ側壁部62wの軸方向他方側(-Y側)の空間に設けられる。すなわち、側壁部62wは、ギヤ室6Bを軸方向一方側(+Y側)から覆う。
【0040】
図2は、本実施形態の駆動装置1に係る側壁部62wの正面図である。
側壁部62wには、第1ベアリング保持部71、第2ベアリング保持部72、および第3ベアリング保持部73が設けられる。すなわち、ハウジング6は、第1ベアリング保持部71、第2ベアリング保持部72、および第3ベアリング保持部73を有する。第1ベアリング保持部71は、第1ベアリングB1を保持する。第2ベアリング保持部72は、第2ベアリングB3を保持する。第3ベアリング保持部73は、第3ベアリングB7を保持する。
【0041】
図3は、第2ベアリング保持部72の正面図である。
図4は、
図3のIV-IV線に沿う第2ベアリング保持部72の断面模式図である。
図4に示すように、第2ベアリング保持部72は、第2筒状部(第2壁部)72sと、第2対向壁部72tと、を有する。第2筒状部72sは、第2軸線J2を中心とする円筒状である。第2筒状部72sは、第2ベアリングB3を第2軸線J2の径方向外側から囲む。第2対向壁部72tは、第2軸線J2と直交する平面に沿って延びる。第2対向壁部72tは、側壁部62wの一部であり、軸方向から見て第2筒状部72sに囲まれる領域である。
【0042】
第2対向壁部72tは、軸方向他方側(-Y側)側を向く第2対向面(対向面)72aを有する。すなわち、第2ベアリング保持部72は、第2対向面72aを有する。第2対向面72aは、軸方向と直交する方向に延びる。第2対向面72aは、第2シャフト45の軸方向一方側(+Y側)の端部よりも軸方向一方側に位置する。第2対向面72aは、第2シャフト45の軸方向一方側の端面45fと軸方向に対向する。
【0043】
第2筒状部72sは、第2内側面(内側面)72bを有する。すなわち、第2ベアリング保持部72は、第2内側面72bを有する。第2内側面72bは、軸方向他方側(-Y側)を向く段差面72fと、段差面72fより軸方向他方側に位置する大径部72gと、段差面72fより軸方向一方側に位置する小径部72hと、を有する。
【0044】
段差面72fは、軸方向から見て略円環状である。段差面72fの外縁には、凹溝72iが設けられる。凹溝72iは、段差面72fの軸方向他方側の面から軸方向一方側に凹む。凹溝72iは、軸方向から見て周方向に延びる。段差面72fは、軸方向一方側(+Y側)から第2ベアリングB3を支持する。段差面72fと第2ベアリングB3との軸方向の間には、略円環板状のシムSが配置される。
【0045】
大径部72gは、第2軸線J2を中心として軸方向に延びる筒状の径方向内側の面である。大径部72gは、段差面72fの外縁から軸方向他方側(-Y側)に延びる。上述したように、本実施形態の段差面72fの外縁には、凹溝72iが設けられるため、大径部72gは、凹溝72iの内側面に繋がる。大径部72gは、第2ベアリングB3の外側面を径方向外側から囲む。第2内側面72bは、大径部72gにおいて、第2ベアリングB3を、第2軸線J2を中心とする径方向外側から支持する。
【0046】
小径部72hは、段差面72fの内縁から軸方向一方側(+Y側)に延びる。また、小径部72hは、第2対向面72aに繋がる。すなわち、第2内側面72bは、小径部72hにおいて、第2対向面72aから軸方向他方側(-Y側)に延びる。小径部72hは、第2軸線J2を中心として軸方向に延びる筒状の径方向内側の面である。小径部72hの内径は、大径部72gの内径よりも小さい。
【0047】
図3に示すように、第2内側面72bには、第1凹状部72j、第2凹状部72k、および第3凹状部72mが設けられる。第1凹状部72jおよび第2凹状部72kは、小径部72hから径方向外側に凹む。段差面72fおよび小径部72hは、第1凹状部72jおよび第2凹状部72kにおいて途切れている。第1凹状部72jは、第2軸線J2の直下に配置される。第2凹状部72kは、第2軸線J2よりも上側に配置される。
なお、本明細書において、「直下に配置される」とは、下側に配置され、かつ上下方向から見て重なることを意味する。
【0048】
第3凹状部72mは、大径部72gから径方向外側に凹む。第3凹状部72mは、第1凹状部72jの径方向外側に配置される。第3凹状部72mの周方向位置は、第1凹状部72jの周方向位置に重なる。また、第3凹状部72mは、軸方向から見て、後述する第2開口部98aと重なる。
図4に示すように、第3凹状部72mの底面は、第2ベアリングB3の外周面と隙間を介して対向する。第2ベアリング保持部72の内部に流体Oが過剰に供給された場合などに、流体Oは、第3凹状部72m内を通過して第2ベアリング保持部72から流出する。
【0049】
図3に示すように、第2対向面72aには、軸方向一方側(+Y側)に窪む凹部77が設けられる。本実施形態では、凹部77は、第2軸線J2の直下に位置する。しかしながら、凹部77の少なくとも一部は、第2軸線J2の上側に位置してもよい。凹部77は、大径部72gの一部に周方向に沿って配置される。凹部77は、第2内側面72bの第1凹状部72jの内部に配置される。すなわち、第1凹状部72jは、軸方向から見て、後述する凹部77に重なる。
【0050】
図4に示すように、凹部77は、側壁面77aと底壁面77bと傾斜面77cとを有する。底壁面77bは、軸方向他方側(-Y側)を向く面である。底壁面77bは、軸方向と直交する平面に沿って延びる。
【0051】
側壁面77aは、径方向内側を向く面である。また、側壁面77aは、底壁面77bから軸方向他方側(-Y側)に延びる。側壁面77aは、軸方向から見て略円弧状に延びる。側壁面77aは、第2内側面72bの小径部72hに繋がる。側壁面77aは、第2内側面72bの一部とみなすことができる。
【0052】
図3に示すように、傾斜面77cは、軸方向から見て底壁面77bの上側において第1方向(X軸方向)両側に拡がる。すなわち、傾斜面77cは、軸方向から見て、底壁面77bを三方向から囲む。
図4に示すように、傾斜面77cは、底壁面77bに繋がる。軸方向と直行する方向において、傾斜面77cと底壁面77bとの間の寸法は、軸方向他方側(-Y側)に向かうにつれて徐々に大きくなる。
【0053】
第2内側面72bには、壁部76が設けられる。壁部76は、第2内側面72bの小径部72hから径方向内側に突出する。壁部76は、軸方向から見て凹部77に重なる。
図4に示すように、壁部76は、軸方向に沿って延びる。壁部76は、凹部77の内部まで延びる。すなわち、壁部76の軸方向一方側の部分は、凹部77の側壁面77aから径方向内側に突出する。壁部76は、凹部77の底壁面77bに繋がる。
【0054】
図2に示すように、第1ベアリング保持部71は、第1筒状部(第1壁部)71sと、第1対向壁部71tと、を有する。第1筒状部71sは、第1軸線J1を中心とする略円筒状である。第1筒状部71sは、第1ベアリングB1を第1軸線J1の径方向外側から囲む。
図1に示すように、第1筒状部71sは、第1内側面71bを有する。第1内側面71bは、第1ベアリングB1を、第1軸線J1を中心とする径方向外側から支持する。なお、図示を省略するが、第1筒状部71sは、上述の第2筒状部72sと略同様の構成を有する。すなわち、第1内側面71bには、第2内側面72bと同様の段差部、大径部、および小径部が設けられる。
【0055】
第1対向壁部71tは、第1軸線J1と直交する平面に沿って延びる。第1対向壁部71tは、側壁部62wの一部であり、軸方向から見て第1筒状部71sに囲まれる領域である。第1対向壁部71tは、軸方向他方側(-Y側)側を向く第1対向面71aを有する。第1対向面71aは、軸方向と直交する方向に延びる。第1対向面71aは、第1シャフト46の軸方向一方側(+Y側)の端部よりも軸方向一方側に位置する。第1対向面71aは、第1シャフト46の軸方向一方側の端面と軸方向に対向する。第1対向面71aは、第1内側面71bに繋がる。すなわち、第1内側面71bは、第1対向面71aから軸方向他方側(-Y側)に延びる。
【0056】
図2に示すように、第3ベアリング保持部73は、第3筒状部(第3壁部)73sを有する。第3筒状部73sは、第3軸線J3を中心とする略円筒状である。第3筒状部73sは、第3ベアリングB7を第3軸線J3の径方向外側から囲む。第3筒状部73sは、側壁部62wから軸方向他方側(-Y側)に延びる。第3筒状部73sは、第3内側面73bを有する。第3内側面73bは、第3ベアリングB7を、第3軸線J3を中心とする径方向外側から支持する。なお、図示を省略するが、第3筒状部73sは、上述の第2筒状部72sと略同様の構成を有する。すなわち、第3内側面73bには、第2内側面72bと同様の段差部、大径部、および小径部が設けられる。
【0057】
図2に示すように、ギヤ室6Bには、リングギヤ51の歯先に沿って湾曲して延びるガイド壁部67が設けられる。本実施形態では、ガイド壁部67は、側壁部62wから軸方向他方側(-Y側)に突出するリブである。ガイド壁部67は、第3軸線J3を中心として略円弧状に延びる。ガイド壁部67は、リングギヤ51の歯先に沿って湾曲する。ガイド壁部67は、第3軸線J3の径方向内側を向く面によって貯留部Pの流体Oを、リングギヤ51の歯先に沿って第3軸線J3周りの周方向に誘導する。流体Oは、ガイド壁部67を設けることにより、リングギヤ51によって効率的にかき上げられる。なお、ガイド壁部67は、側壁部62wと別部材であってもよい。隔壁65に軸方向一方側に突出するリブとして、設けられてもよい。側壁部62wに設けられ軸方向他方側(-Y側)に突出するリブと、隔壁65に設けられ軸方向一方側(+Y側)に突出するリブと、が組み合わされて、ガイド壁部67が構成されてもよい。
【0058】
<流路>
図1に示す流路90は、流体Oが流れる循環経路である。すなわち、流体Oは、ハウジング6に設けられた流路90を流れる。流路90は、少なくとも一部がハウジング6に設けられていればよい。流路90は、貯留部Pから流体Oをモータ2および伝達機構3に供給する流体Oの経路である。なお、本明細書において「流路」とは、定常的に一方向に向かう流体Oの流動を作る経路のみならず、流体Oを一時的に滞留させる経路、および流体Oが滴り落ちる経路をも含む概念である。
【0059】
流路90中には、ポンプ8、クーラ9、第1供給管93A、および第2供給管94Aが配置される。第1供給管93Aおよび第2供給管94Aは、ハウジング6の内部に配置される。
【0060】
ポンプ8は、ギヤ室6Bの貯留部Pから流体Oを吸い込み圧送する。ポンプ8は、流体Oをモータ2、および伝達機構3に供給する。本実施形態のポンプ8は、電気により駆動する電動ポンプである。
【0061】
クーラ9は、流路90の流体Oを冷却する。クーラ9の内部には、図示略の冷媒が流れる。クーラ9は、流体Oの熱を冷媒に移動させる熱交換器である。クーラ9には、ポンプ8から圧送されてきた流体Oが流れ込む。流れ込んだ流体Oは、クーラ9において、冷媒との間で熱交換が行われて、冷却される。なお、冷媒は図示略のラジエータによって別途冷却されている。
【0062】
第1供給管93Aは、モータ室6Aに配置される。本実施形態では、第1供給管93Aは2つ設けられる。2つの第1供給管93Aは、ステータ25の径方向外側において、それぞれ軸方向に沿って延びる。第1供給管93Aの軸方向一方側(+Y側)の端部は、隔壁65に支持され、軸方向他方側(-Y側)の端部は、モータカバー63に支持される。第1供給管93Aには、ステータ25に向けて開口する複数の噴出孔93kが設けられる。なお、第1供給管93Aの数は、2つに限定されない。第1供給管93Aは、例えば1つ設けられていてもよく、3つ以上設けられていてもよい。
【0063】
第2供給管94Aは、ギヤ室6Bに配置される。第2供給管94Aは、軸方向に沿って延びる。第2供給管94Aの軸方向一方側(+Y側)の端部は、ギヤカバー62に支持され、軸方向他方側(-Y側)の端部は、隔壁65に支持される。本実施形態の第2供給管94Aは、第1供給管93Aと軸方向に並んで配置される。第2供給管94Aには、伝達機構3に向けて開口する複数の噴出孔94kが設けられる。なお、第1供給管93Aと第2供給管94Aとは軸方向に並んで配置されていなくてもよい。
【0064】
本実施形態の流路90は、吸入流路部91と、第1圧送流路部91Aと、第2圧送流路部92と、第3圧送流路部93と、第4圧送流路部94と、供給部95と、供給流路部96と、第1流路部97と、第2流路部98と、を有する。第3圧送流路部93および第4圧送流路部94は、それぞれ第1供給管93Aおよび第2供給管94Aの内部を通る流路である。
【0065】
吸入流路部91は、貯留部Pとポンプ8とを繋ぐ流路である。第1圧送流路部91Aは、ポンプ8からモータカバー63まで延びる。第1圧送流路部91Aの経路中には、クーラ9が配置される。第2圧送流路部92は、モータカバー63に設けられる。第2圧送流路部92は、上流側の端部で第1圧送流路部91Aに繋がる。第2圧送流路部92は、途中で2つに分岐し、1つ目の分岐流路でモータシャフト21の中空部21hに繋がり、2つ目の分岐流路で第1供給管93Aに繋がる。第2圧送流路部92内に流入した流体Oの一部は、中空部21hと第1供給管93Aとにそれぞれ流入する。中空部21hに供給される流体Oの一部は、モータシャフト21を支持するベアリングB5、B6に供給されて、ベアリングB5、B6を潤滑する。中空部21hに供給される流体Oの他の一部は、遠心力によって孔21kを通過しロータ20から径方向外側に飛散してステータ25に供給される。
【0066】
第1供給管93Aに供給される流体Oは、第1供給管93Aの内部に設けられる第3圧送流路部93を流れる。第3圧送流路部93を流れる流体Oの一部は、噴出孔93kを介してモータ2に供給される。第3圧送流路部93の下流側の端部は、第4圧送流路部94に繋がる。第4圧送流路部94は、第2供給管94Aの内部に設けられる。第4圧送流路部94に流入した流体Oの一部は、噴出孔94kを介して伝達機構3に供給される。
【0067】
図2に示すように、ギヤカバー62の側壁部62wには、軸方向一方側(+Y側)に凹む支持凹部62hが設けられる。支持凹部62hには、第2供給管94Aの軸方向一方側(+Y側)の端部が挿入される。第2供給管94Aの軸方向一方側(+Y側)の端部は、ギヤ室6Bに流体Oを供給する供給部95として機能する。
【0068】
供給流路部96は、軸方向から見て直線状に延びる。供給流路部96は、第1方向の他方側(-Y側)に向かうに従い下側に向かって傾斜する。供給流路部96は、支持凹部62hから第2ベアリング保持部72の内側まで延びる。供給流路部96は、溝部96gと孔部96hとを有する。溝部96gは、供給部95に繋がる。溝部96gは、側壁部62wの軸方向他方側(-Y側)を向く面に設けられ軸方向一方側(+Y側)に凹む。孔部96hは、溝部96gの下流側に繋がる。孔部96hは、第2ベアリング保持部72の第2筒状部72sを径方向に貫通する。第2供給管94Aの端部から流出する流体Oは、供給流路部96を通って第2ベアリング保持部72の内側に達し、第2ベアリングB3を潤滑する。すなわち、供給流路部96は、第2ベアリング保持部72の内部に流体Oを供給する。溝部96gは、側壁部62wの内部に設けられる孔であってもよい。孔部96hは、第2筒状部72sを切り欠くことで形成される溝であってもよい。
【0069】
第1流路部97は、第2ベアリング保持部72の内部と第1ベアリング保持部71の内部とを繋ぐ孔部である。本実施形態では、第1流路部97は、全長に亘って直線状に延びる。第1流路部97は、第1方向の一方側(+Y側)に向かうに従い下側に位置する方向に傾斜する。第2ベアリング保持部72の内側の流体Oは、第1流路部97を通って第1ベアリング保持部71の内側に達し、第1ベアリングB1を潤滑する。
【0070】
第2流路部98は、第2ベアリング保持部72の内部と第3ベアリング保持部73の内部とを繋ぐ孔部である。本実施形態では、第2流路部98は、全長に亘って直線状に延びる。第2流路部98は、第1方向の他方側(-Y側)に向かうに従い下側に位置する方向に傾斜する。第2ベアリング保持部72の内側の流体Oは、第2流路部98を通って第3ベアリング保持部73の内側に達し第3ベアリングB7を潤滑する。なお、第2流路部98は、全長に亘って直線状に延びていなくてもよい。例えば、屈曲していてもよく、湾曲していてもよい。
【0071】
本実施形態の流路90は、第2ベアリング保持部72に流体Oを供給する供給流路部96を有する。第2ベアリング保持部72に供給された流体Oの一部は、第2ベアリングB3の潤滑に利用される。また、本実施形態の流路90は、第1流路部97および第2流路部98を有する。第2ベアリング保持部72において第2ベアリングB3の潤滑に利用されなかった流体Oは、第1流路部97および第2流路部98を介して、それぞれ第1ベアリング保持部71および第3ベアリング保持部73に移動する。これにより、流体Oを第1ベアリングB1および第3ベアリングの潤滑に利用できる。本実施形態の流路90によれば、複数のベアリングB1、B3、B7に流体Oを供給することができ、これらのベアリングB1、B3、B7の焼き付きを抑制できる。
【0072】
本実施形態の第1流路部97と第2流路部98とは、第2ベアリング保持部72から分岐して延びて、それぞれ第1ベアリング保持部71および第3ベアリング保持部73の内部に繋がる。本実施形態によれば、第1流路部97と第2流路部98には、第2ベアリング保持部72の内部から流体Oを流し、それぞれ第1ベアリング保持部71および第3ベアリング保持部73に供給できる。本実施形態の流路90によれば、第2ベアリング保持部72に対し第1ベアリング保持部71と第3ベアリング保持部73とを並列に繋ぐことで、3個以上のベアリング保持部を直列に繋ぐ流路と比較して、第1ベアリングB1および第3ベアリングB7に流体Oを安定的に供給できる。
【0073】
ギヤ室6B内の各流路部(供給流路部96、第1流路部97、および第2流路部98)内の流体Oは、重力によって下側に移動する。そのため、複数のベアリング保持部の間で流体Oを移動させる場合に、上流側の一方のベアリング保持部を下流側のベアリング保持部よりも上側に配置する必要がある。しかしながら、3個以上のベアリング保持部を直列に繋ぐ流路を構成すると、3個以上のベアリング保持部を上下方向に並べて配置する必要が生じるため、ギヤ室6Bが上下方向に大型化してしまう。本実施形態の流路90では、第2ベアリング保持部72に対し第1ベアリング保持部71と第3ベアリング保持部73とを並列に繋ぐ。これにより、第1ベアリング保持部71と第3ベアリング保持部73とを第1方向(X軸方向)に並べて配置することができる。本実施形態によれば、ギヤ室6Bが上下方向に大型化することを抑制し、結果的に駆動装置1の小型化を図ることができる。
【0074】
図3に示すように、第2ベアリング保持部72の第2内側面72bには、第1開口部97aと、第2開口部98aと、第3開口部96bと、が設けられる。第1開口部97aおよび第2開口部98aは、第2軸線J2よりも下側に位置する。第3開口部96bは、第2軸線J2よりも上側に位置する。なお、第3開口部96bの少なくとも一部は、第2軸線J2よりも下側に位置していてもよい。
【0075】
第3開口部96bは、供給流路部96の端部である。第3開口部96bは、第2凹状部72kに繋がる。第3開口部96bは、供給流路部96の下端に位置する。第3開口部96bは、第2軸線J2よりも上側に位置する。また、第3開口部96bは、第1開口部97aおよび第2開口部98aよりも上側に位置する。流体Oは、第3開口部96bから第2ベアリング保持部72の内部に流入する。
【0076】
第1開口部97aは、第1流路部97の端部である。第1開口部97aは、第1流路部97の上端に位置する。第2開口部98aは、第2流路部98の端部である。第2開口部98aは、第2流路部98の上端に位置する。第1開口部97aおよび第2開口部98aは、第2軸線J2よりも下側に位置する。第1開口部97aおよび第2開口部98aは、第2内側面72bの下端近傍において、第1方向(X軸方向)に並んで配置される。第1開口部97aは、第2開口部98aに対し、第1方向の一方側(+X側)に位置する。流体Oは、第1開口部97aおよび第2開口部98aを介して第2ベアリング保持部72の外部に流出する。
【0077】
図4に示すように、第1開口部97aおよび第2開口部98aは、凹部77に向けて開口する。このため、第1流路部97および第2流路部98は、それぞれ第1開口部97aおよび第2開口部98aを介して凹部77の内部に繋がる。本実施形態によれば、第2対向面72aに凹部77が設けられることで、第2ベアリング保持部72の内部に流入した流体Oを凹部77内に溜めることができる。これにより、流体Oが第2ベアリング保持部72内から外部に流出し、第1ベアリング保持部71および第3ベアリング保持部73への供給が不足することを抑制できる。また、本実施形態によれば、第1流路部97および第2流路部98が、凹部77に繋がることで、凹部77に貯留される流体Oを、第1ベアリング保持部71および第3ベアリング保持部73に十分に供給できる。
【0078】
図3に示すように、壁部76は、第2ベアリング保持部72内の下部の領域を、周方向の2つの領域に区画する。ここで、壁部76に区画される2つの領域を第1領域A1および第2領域A2と呼ぶ。第1領域A1と第2領域A2とは、壁部76を挟んで周方向に並ぶ。第1領域A1は、第2領域A2に対し第1方向の一方側(+X側)に位置する。なお、本実施形態の壁部76は、凹部77の内部まで延びる。このため、第1領域A1および第2領域A2は、それぞれ凹部77の内部で壁部76に区画される領域も含む。第1領域A1と第2領域A2とには、それぞれ流体Oが溜まる。本実施形態によれば、壁部76が第1領域A1と第2領域A2とを区画することで、駆動装置1が搭載される車両が傾いた場合であっても、第1領域A1および第2領域A2の何れか一方に流体Oの貯留量が偏ることを抑制できる。
【0079】
本実施形態では、第2開口部98aは、第1開口部97aよりも下側に位置する。したがって、第3開口部96bから流入した流体Oは、第1開口部97aよりも先に第2開口部98aに流れ込み第2流路部98に供給されやすい。供給流路部96から供給された流体Oは、第1領域A1に流入し、壁部の第1方向の一方側(+X側)の面に接触する。壁部に接触したオイルは、第2開口部98aよりも先に第1開口部97aに流れ込むため、第1流路部97に安定的に流体Oを供給することができる。なお、第2開口部98aは、第1開口部97aよりも上側に位置していてもよい。
【0080】
壁部76は、第1開口部97aと第2開口部98aとの周方向の間に位置する。第1開口部97aは、壁部76に対し周方向一方側に位置し、第2開口部98aは、壁部76に対し周方向他方側に位置する。第1開口部97aは、第1領域A1に開口し、第2開口部98aは、第2領域A2に開口する。第1領域A1に溜る流体Oは、第1流路部97を介し第1ベアリング保持部71に供給される。また、第2領域A2に溜る流体Oは、第2流路部98を介し第3ベアリング保持部73に供給される。本実施形態によれば、駆動装置1が搭載される車両が傾いた場合であっても、第1ベアリング保持部71および第3ベアリング保持部73の何れか一方にのみの流体Oが供給されることを抑制でき、各ベアリング保持部に安定的に流体Oを供給しやすい。
【0081】
本実施形態において、第1開口部97aは、壁部76に対し第1方向の一方側(+X側)に位置する。また、第2開口部98aは、壁部76に対し第1方向の他方側(-X側)に位置する。さらに、第3開口部96bは、壁部76に対し第1方向の一方側(+X側)に位置する。すなわち、第1開口部97aと第3開口部96bは、壁部76に対し第1方向(X軸方向)の同じ側に配置され、第2開口部98aはその反対側に配置される。第3開口部96bから第2ベアリング保持部72に流入する流体Oは、第2内側面72bのうち第1方向の一方側(+X側)の領域を伝って、第1開口部97aが開口する第1領域A1に先に流入しやすい。本実施形態によれば、第2ベアリング保持部72内の流体Oは、第2流路部98よりも第1流路部97に先に流れやすく、第3ベアリングB7よりも第1ベアリングB1に先に流体Oを供給できる。
【0082】
本実施形態のように、第3シャフト5bが差動装置5の一部である場合、第1シャフト46は、第3シャフト5bよりも回転数が大きくなる。このため、第1シャフト46を支持する第1ベアリングB1は、第3ベアリングB7と比較して流体Oが不足しやすく、潤滑が不十分になる虞がある。本実施形態によれば、流体Oが不足しやすい第1ベアリングB1に先に流体Oを供給することで第1ベアリングB1の潤滑が不十分になることを抑制できる。
【0083】
図3に示すように、凹部77を軸方向から見て、凹部77の周方向一方側の端部77pと、第2軸線J2と、を結ぶ第1仮想線L1を想定する。また、凹部77を軸方向から見て、凹部77の周方向他方側の端部77qと、第2軸線J2と、を結ぶ第2仮想線L2を想定する。さらに、第1仮想線L1と第2仮想線L2との二等分線を中央線CLとする。本明細書において、中央線CLを凹部77の周方向中央と呼ぶ。
【0084】
本実施形態において、壁部76と第1開口部97aとは、ともに中央線CLに対し周方向一方側に配置され、第2開口部98aは、中央線CLに対し周方向他方側に配置される。すなわち、本実施形態の壁部76は、凹部77の周方向中央(中央線CL)に対し第1開口部97a側に配置される。本実施形態によれば、第1領域A1の容積よりも第2領域A2の容積を大きくすることができる。これにより、第2領域A2は、第1領域A1よりも多くの流体Oを溜めることが可能となる。
【0085】
本実施形態のように、第3シャフト5bが差動装置5の一部である場合、第3シャフト5bは、第1シャフト46よりも回転数が小さい。このため、第3ベアリングB7は、第1ベアリングB1と比較して、潤滑に必要な流体Oの量を少なくすることができる。本実施形態によれば、第2開口部98aが開口する第2領域A2により多くの流体Oを溜めることで、第3ベアリングB7に安定的に流体Oを供給することができる。また、第3シャフト5bが差動装置5の一部である場合、第3ベアリングB7には、第1ベアリングB1よりも荷重が加わるため、流体Oが不足しやすくなる。本実施形態によれば、第2ベアリングB3に安定的に流体Oを供給することができ、第3ベアリングB7の焼き付きを抑制することができ、駆動装置1の信頼性を高めることができる。
【0086】
本実施形態では、第3ベアリングB7は、テーパローラベアリングである。この場合、例えばボールベアリングよりも潤滑が求められる。本実施形態によれば、第2領域A2により多くの流体Oを溜めることで、テーパローラベアリングである第3ベアリングB7により多くの流体Oを供給することができ、第3ベアリングB7の焼き付きを抑制できる。なお、第3ベアリングB7は、テーパローラベアリングに限られない。第3ベアリングB7は、例えばボールベアリングであってもよい。また、第1ベアリングB1および第2ベアリングB3の少なくとも一方がテーパローラベアリングであってもよい。
【0087】
本実施形態において、第2流路部98の断面積S2は、第1流路部97の断面積S1よりも大きい。本実施形態では、第2流路部98は、第1流路部97と比較して流路長が長いため、流路抵抗が大きくなりやすい。本実施形態によれば、第2流路部98の断面積S2を第1流路部97の断面積S1よりも大きくすることで、第2流路部98の流路抵抗を小さくすることができ、第3ベアリングB7への流体Oの供給を円滑に行うことができる。ここで、第1流路部97および第2流路部98の断面積S1、S1とは、いわゆる流路断面積であり、それぞれの流路部の延びる方向と直交する断面における各流路部の断面積を意味する。
【0088】
図2に示すように、第1内側面71bには、第4開口部97bが設けられる。第4開口部97bは、第1流路部97の端部であり、第1流路部97の下端に位置する。第4開口部97bは、第1軸線J1よりも上側に位置する。流体Oは、第4開口部97bから第1ベアリング保持部71の内部に流入する。
【0089】
第3内側面73bには、第5開口部98bが設けられる。第5開口部98bは、第2流路部98の端部であり、第2流路部98の下端に位置する。第5開口部98bは、第3軸線J3よりも下側に位置する。流体Oは、第5開口部98bから第3ベアリング保持部73の内部に流入する。
【0090】
本実施形態の流路90中の流体Oは、ポンプ8によって圧送される。本実施形態のポンプ8は電気的に制御される電動ポンプである。このため、ポンプ8は、伝達機構3の動作と連動して駆動するメカニカルポンプである場合と比較して、伝達機構3の駆動状態と無関係に各ベアリングB1、B3に流体Oを安定的に供給することができる。具体的には、例えば、駆動装置1を長期間駆動しなかった場合など、ベアリングB1、B3の潤滑の不足が懸念される場合に、モータ2を駆動させる前にポンプ8を先行して駆動させ、ギヤ室6Bに流体Oを供給することができる。これにより、ベアリングB1、B3、および伝達機構3の潤滑させることができる。
【0091】
本実施形態では、供給流路部96の下流側において、溝部96gの軸方向一方側の端部は、第2対向面72aよりも軸方向一方側に設けられる。これにより、供給部95から供給された流体Oの少なくとも一部は、溝部96gの内部を下側に流れるに従い軸方向一方側に向かって流れる。これにより、流体Oが孔部96hに供給される前に、軸方向他方側に流れることを抑制できる。よって、より多くの流体Oを第2ベアリング保持部72の内部に供給することができる。
【0092】
(変形例)
第1実施形態の駆動装置に採用可能な変形例1~6の第2ベアリング保持部について説明する。以下に説明する各変形例の説明において、既に説明した実施形態又は変形例と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0093】
また、変形例3~6においては、第3開口部の図示を省略するが、これらの第2ベアリング保持部の第2内側面には、流体を第2ベアリング保持部の内側に導く第3開口部が開口する。第3開口部の配置は、特に限定されず、例えば、変形例1の第3開口部96b(
図5参照)、又は変形例2の第3開口部296b(
図6参照)の何れであってもよい。
【0094】
(変形例1)
図5は、変形例1の第2ベアリング保持部172の模式図である。
上述の実施形態と同様に、本変形例の第2ベアリング保持部172は、第2対向面172aと第2内側面172bとを有する。第2対向面172aには、凹部77が設けられる。第2内側面172bには、壁部176が設けられる。また、第2内側面172bには、第1開口部197a、第2開口部198a、および第3開口部96bが開口する。第1開口部197aは、第2ベアリング保持部172の内部と第1ベアリング保持部71(
図2参照)の内部とを繋ぐ第1流路部197の端部である。第2開口部198aは、第2ベアリング保持部172の内部と第3ベアリング保持部73(
図2参照)の内部とを繋ぐ第2流路部198の端部である。第3開口部96bは、第2ベアリング保持部172の内部に流体Oを供給する供給流路部96の端部である。壁部176は、第1開口部197aと第2開口部198aとの間に位置する。
【0095】
本変形例において、壁部176は、中央線CL上に配置される。すなわち、壁部176は、凹部77の周方向中央に配置される。第1領域A1と第2領域A2との容積は、略等しい。また、本変形例において、第1流路部197の断面積S11と第2流路部198の断面積S12とは、略等しい。
【0096】
本変形例において、第1開口部197aは、壁部176に対し第1方向の一方側(+X側)に位置する。また、第2開口部198aは、壁部176に対し第1方向の他方側(-X側)に位置する。さらに、第3開口部96bは、壁部176に対し第1方向の一方側(+X側)に位置する。すなわち、第1開口部197aと第3開口部96bは、壁部176に対し第1方向(X軸方向)の同じ側に配置され、第2開口部198aはその反対側に配置される。このため、第3開口部96bから第2ベアリング保持部172に流入する流体Oは、第2内側面172bのうち第1方向の一方側(+X側)の領域を伝って、第1開口部197aが開口する第1領域A1に、先に溜りやすい。本変形例によれば、第2ベアリング保持部172内の流体Oを、第2流路部198よりも第1流路部197に先に流し、第3ベアリングB7よりも第1ベアリングB1に先に流体Oを供給できる。本変形例によれば、流体Oが不足しやすい第1ベアリングB1に先に流体Oを供給することで第1ベアリングB1の駆動効率の低下を抑制できる。
【0097】
(変形例2)
図6は、変形例2の第2ベアリング保持部272の模式図である。
上述の実施形態と同様に、本変形例の第2ベアリング保持部272は、第2対向面272aと第2内側面272bとを有する。第2対向面272aには、凹部77が設けられる。第2内側面272bには、壁部176が設けられる。また、第2内側面272bには、第1開口部197a、第2開口部198a、および第3開口部296bが開口する。第3開口部296bは、第2ベアリング保持部272の内部に流体Oを供給する供給流路部296の端部である。
【0098】
本変形例において、第1開口部197aは、壁部176に対し第1方向の一方側(+X側)に位置する。また、第2開口部198aは、壁部176に対し第1方向の他方側(-X側)に位置する。さらに、第3開口部296bは、壁部176に対し第1方向の他方側(-X側)に位置する。すなわち、第2開口部198aと第3開口部296bは、壁部176に対し第1方向(X軸方向)の同じ側に配置され、第1開口部197aはその反対側に配置される。このため、第3開口部296bから第2ベアリング保持部272に流入する流体Oは、第2内側面272bのうち第1方向の他方側(-X側)の領域を伝って第2開口部198aが開口する第2領域A2に、先に溜りやすい。本変形例によれば、第2ベアリング保持部272内の流体Oを、第1流路部197よりも第2流路部198に先に流し、第1ベアリングB1よりも第3ベアリングB7に先に流体Oを供給できる。本変形例によれば、荷重がかかる第3ベアリングB7に先に流体Oを供給することで第3ベアリングB7の焼き付きを抑制できる。
【0099】
(変形例3)
図7は、変形例3の第2ベアリング保持部372の模式図である。
上述の実施形態と同様に、本変形例の第2ベアリング保持部372は、第2対向面372aと第2内側面372bとを有する。第2対向面372aには、凹部77が設けられる。第2内側面372bには、壁部176が設けられる。また、第2内側面372bには、第1開口部397a、第2開口部398a、および第3開口部(図示略)が開口する。第1開口部397aは、第2ベアリング保持部372の内部と第1ベアリング保持部71(
図2参照)の内部とを繋ぐ第1流路部397の端部である。第2開口部398aは、第2ベアリング保持部372の内部と第3ベアリング保持部73(
図2参照)の内部とを繋ぐ第2流路部398の端部である。
【0100】
本変形例において、第1流路部397の断面積S31は、第2流路部398の断面積S32よりも大きい。本変形例によれば、第2ベアリング保持部372内の流体Oは、第2流路部398よりも第1流路部397に流れやすく、第3ベアリングB7よりも第1ベアリングB1に優先的に流体Oを供給できる。本変形例によれば、流体Oが不足しやすい第1ベアリングB1に優先的に流体Oを供給することで第1ベアリングB1の潤滑不足を抑制できる。
【0101】
(変形例4)
図8は、変形例4の第2ベアリング保持部472の模式図である。
上述の実施形態と同様に、本変形例の第2ベアリング保持部472は、第2対向面472aと第2内側面472bとを有する。第2対向面472aには、凹部77が設けられる。第2内側面472bには、壁部176が設けられる。また、第2内側面472bには、第1開口部497a、第2開口部498a、および第3開口部(図示略)が開口する。第1開口部497aは、第2ベアリング保持部472の内部と第1ベアリング保持部71(
図2参照)の内部とを繋ぐ第1流路部497の端部である。第2開口部498aは、第2ベアリング保持部472の内部と第3ベアリング保持部73(
図2参照)の内部とを繋ぐ第2流路部498の端部である。
【0102】
本変形例において、第2流路部498の断面積S42は、第1流路部497の断面積S41よりも大きい。本変形例によれば、第2ベアリング保持部472内の流体Oが、第1流路部497よりも第2流路部498に流れやすく、第1ベアリングB1よりも第3ベアリングB7に優先的に流体Oを供給できる。本変形例によれば、荷重が加わる第3ベアリングB7に優先的に流体Oを供給することで第3ベアリングB7の焼き付きを抑制できる。
【0103】
(変形例5)
図9は、変形例5の第2ベアリング保持部572の模式図である。
上述の実施形態と同様に、本変形例の第2ベアリング保持部572は、第2対向面572aと第2内側面572bとを有する。第2対向面572aには、凹部77が設けられる。第2内側面572bには、壁部576が設けられる。また、第2内側面572bには、第1開口部197a、第2開口部198a、および第3開口部(図示略)が開口する。壁部576は、第1開口部197aと第2開口部198aとの間に位置する。
【0104】
本変形例において、壁部576は、第2内側面572bから凹部77の内部まで延び、凹部77の周方向中央に対し第1開口部197a側に配置される。すなわち、本変形例によれば、壁部576と第1開口部197aは、ともに中央線CLに対し周方向一方側に配置され、第2開口部198aは中央線CLに対し周方向他方側に配置される。本変形例によれば、第1開口部197aが開口する第1領域A1の容積よりも、第2開口部198aが開口する第2領域A2の容積を大きくすることができる。本変形例によれば、第2開口部198aからより多くの流体Oを第3ベアリングB7に送ることができ、荷重がかかる第3ベアリングB7に優先的に流体Oを供給することで第3ベアリングB7の焼き付きを抑制できる。
【0105】
(変形例6)
図10は、変形例6の第2ベアリング保持部672の模式図である。
上述の実施形態と同様に、本変形例の第2ベアリング保持部672は、第2対向面672aと第2内側面672bとを有する。第2対向面672aには、凹部77が設けられる。第2内側面672bには、壁部676が設けられる。また、第2内側面672bには、第1開口部197a、第2開口部198a、および第3開口部(図示略)が開口する。壁部676は、第1開口部197aと第2開口部198aとの間に位置する。
【0106】
本変形例において、壁部676は、凹部77の内部まで延び、凹部77の周方向中央に対し第2開口部198a側に配置される。すなわち、本変形例によれば、第1開口部197aは中央線CLに対し周方向一方側に配置され、壁部676と第2開口部198aは、ともに中央線CLに対し周方向他方側に配置される。本変形例によれば、第2開口部198aが開口する第2領域A2の容積よりも、第1開口部197aが開口する第1領域A1の容積を大きくすることができる。本変形例によれば、第1開口部197aからより多くの流体Oを第1ベアリングB1に送ることができ、流体Oが不足しやすい第1ベアリングB1に先に流体Oを供給することで第1ベアリングB1の潤滑不足を抑制できる。
【0107】
(変形例7)
図11は、変形例7の第2ベアリング保持部772の模式図である。
図12は、
図11のXII-XII線に沿う第2ベアリング保持部772の断面模式図である。
図11に示すように、本変形例の第2ベアリング保持部772は、上述の実施形態と同様に、第2対向面772aと第2内側面72bとを有する。第2対向面772aは、軸方向他方側(-Y側)を向く。第2対向面772aには、凹部77が設けられる。
図12に示すように、第2内側面72bは、第2ベアリングB3を径方向外側から囲み支持する。
図11に示すように、第2内側面72bには、壁部76が設けられる。第2内側面72bには、第1開口部97a、第2開口部98a、および第3開口部96bが開口する。壁部76は、第1開口部97aと第2開口部98aとの間に位置する。
【0108】
上述の実施形態と同様に、第2内側面72bは、軸方向他方側(-Y側)を向く段差面72fと、段差面72fより軸方向他方側に位置する大径部72gと、段差面72fより軸方向一方側に位置する小径部72hと、を有する。段差面72fは、軸方向一方側(+Y側)からシムSおよび第2ベアリングB3を支持する。
【0109】
図11に示すように、第2内側面72bには、第2凹状部772k、および第3凹状部772mが設けられる。第2凹状部772k、および第3凹状部772mは、小径部72hから径方向外側に凹む。本変形例において、第3凹状部772mには、第2開口部98aが開口する。また、第2凹状部772kには、第3開口部96bが開口する。
【0110】
第1開口部97aおよび第2開口部98aは、第2内側面72bにおいて、第2軸線J2よりも下側(-X側)の領域に設けられる。第3開口部96bは、第2内側面72bにおいて、第2軸線J2よりも第1方向の一方側(+X側)の領域に設けられる。第1開口部97aおよび第3開口部96bは、第2開口部98aよりも第1方向の一方側(+X側)に位置する。
【0111】
本変形例の第2ベアリング保持部772において、第2対向面772aには、リブ775が設けられる。リブ775は、第2対向面772aから軸方向他方側(-Y側)に突出する。リブ775は、上下方向に沿って延びる。本変形例のリブ775は、第2軸線J2に対し第1方向の一方側(+X側)に位置し、第2軸線J2を中心とする円弧状に延びる。言い換えると、リブ775は、第1方向の一方側(+X側)に向かって凸となる形状である。本変形例のリブ775の上端部および下端部は、それぞれ第2内側面72bから隙間を空けて配置されている。しかしながら、リブ775の一方、又は両方の端部は、第2内側面72bに繋がっていてもよい。また、リブ775の下端部は、例えば壁部76に繋がっていてもよい。リブ775は、円弧状に限らず、直線状や、V字などの形状であってもよい。リブ775は、第1方向の一方側(+X側)に向かって凹となる形状であってもよい。また、リブ775は、複数設けられていてもよい。複数のリブ775が上下方向および第1方向の少なくとも一方に並んで配置されていてもよい。
【0112】
リブ775は、第1方向(X軸方向)において、第3開口部96bと対向する。本変形例のリブ775の上端部775aは、第3開口部96bの上端よりも下側に位置する。また、本変形例のリブ775の下端部775bは、第3開口部96bよりも下側に位置する。すなわち、リブ775は、第3開口部96bの少なくとも一部を覆う。リブ775の上端部775aは、第3開口部96bの上端よりも上側に位置していてもよい。リブ775の下端部775bは、第3開口部96bよりも上側に位置していてもよい。
【0113】
本変形例のリブ775の上端部775aは、第1開口部97aと上下方向に重なる。また、本変形例のリブ775の下端部775bは、第1開口部97aよりも第1方向の一方側(+X側)に位置する。さらに、本変形例のリブ775の全体は、第2開口部98aよりも第1方向の一方側(+X側)に位置する。すなわち、リブ775の少なくとも一部は、第1開口部97aおよび第2開口部98aよりも第1方向の一方側(+X側)に位置する。
【0114】
本変形例によれば、リブ775は、第3開口部96bの少なくとも一部を覆う。このため、第3開口部96bから第2ベアリング保持部772の内部に流入する流体Oの一部は、リブ775に当たる。リブ775に当たった流体Oの一部は、リブ775の表面を伝って下側に流れ、リブ775の下端部775bから第2対向面772aを伝って下側に流れ落ちる。
【0115】
本変形例によれば、リブ775の少なくとも一部は、第1開口部97aおよび第2開口部98aよりも第1方向の一方側(+X側)に位置する。このため、リブ775から下側に流れる流体Oは、第1開口部97aおよび第2開口部98aよりも第1方向の一方側(+X側)で第2内側面72bに達する。第2内側面72bに達した流体は、第2内側面72bに沿って第1方向の他方側(-X側)に流れる。第1開口部97aは、第2開口部98aよりも第1方向の一方側(+X側)に位置するため、流体Oは、第2開口部98aよりも第1開口部97aに優先して供給されやすい。
【0116】
本変形例において、第3開口部96bに繋がる供給流路部96を流れる流体Oは、
図1に示す上述の実施形態と同様に、ポンプ8で圧送され第2供給管94Aを介して第2ベアリング保持部772まで達する。このため、流体Oは、第3開口部96bから第2ベアリング保持部772の内部に勢いよく流入する場合がある。本変形例のようなリブ775が第2対向面772aに設けられていない場合、第2ベアリング保持部772の内部に勢いよく流入する流体Oは、少なくとも第1開口部97aの上側を通過して第1開口部97aよりも第1方向の他方側(-X側)で第2内側面72bに達する可能性がある。したがって、リブ775が設けられていない場合、第2開口部98aに流体Oが供給される一方で、第1開口部97aへの流体Oの供給量が不足するおそれがある。本変形例によれば、第2ベアリング保持部772の内部に流入する流体Oの経路中にリブ775が設けられることにより、流体Oの流れを第1開口部97aに向けることができる。これにより、第3開口部96bから第2ベアリング保持部772の内部に流入する流体Oの勢いが強い場合であっても、流体Oを第1開口部97aに十分に供給することができる。
【0117】
図11に示すように、本変形例のリブ775は、凹部77に向かって延びる。本変形例のリブ775の下端部775bは、凹部77の直上に位置する。本変形例によれば、リブ775に当たった流体Oを、凹部77に誘導しやすくなる。これにより、第2ベアリング保持部772の内部に流入した流体Oを凹部77内に溜めやすくなる。結果的に、流体Oが第2ベアリング保持部772内から外部に流出することを抑制することができる。また、本変形例の第1流路部97は、第1開口部97aを介して凹部77に繋がり、第2流路部98は、第2開口部98aを介して凹部77に繋がるため、凹部77に貯留される流体Oを、第1流路部97および第2流路部98に流入させやすくなる。なお、リブ775が凹部77の内部に設けられていてもよい。
【0118】
図12に示すように、リブ775の突出方向(軸方向)の先端775tは、軸方向において第2ベアリングB3と対向する。第3開口部96bか第2ベアリング保持部772の内部に流入した流体Oのうち、リブ775に当たらない他の一部は、リブ775の先端775tと第2ベアリング保持部772との間の隙間を通過する。先端775tと第2ベアリング保持部772との間の隙間を通過する流体Oは、第2開口部98aよりも第1方向の他方側(-X側)で第2内側面72bに達し、第2開口部98aに供給される。
【0119】
本変形例によれば、リブ775の突出高さh1を適切に設定することで、第1開口部97aのみに流体Oが集中して流入することを抑制し、第2開口部98aにも、適度に流体Oを流入させることができる。本変形例において、リブ775の突出高さh1は、第2対向面772aから第2ベアリングB3の軸方向一方側(+Y側)の端面までの距離Dの半分以下であることが好ましい。ただし、リブ775の突出高さh1は、第2対向面772aから第2ベアリングB3の軸方向一方側(+Y側)の端面までの距離Dの半分より大きくてもよい。なお、ここで、リブ775の突出高さh1とは、第2対向面772aとリブ775の先端775tとの軸方向における距離である。
【0120】
以上に、本発明の実施形態およびその変形例を説明したが、実施形態およびその変形例における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0121】
例えば、上述の実施形態およびその変形例では、軸方向から見て直線状に延びるリブ状の壁部を例示したが、リブの形状はこれらに限定されない。また、上述の実施形態およびその変形例では、内側面と一体的に対向面から突出する壁部を例示したが、壁部とハウジングとは別部材であってもよい。壁部は1つ設けられていても、複数設けられていてもよい。壁部は、軸方向に複数並んで配置されていてもよい。また、壁部の外側面は、湾曲面を含む形状が望ましい。
【0122】
また、上述の実施形態では、第1筒状部、第2筒状部、および第3筒状部が、それぞれ側壁部と一体に設けられる場合について説明したが、これらは側壁部に固定される別部材で構成されていてもよい。さらに、第1筒状部、第2筒状部、および第3筒状部の各部は、複数の部材から構成されていてもよい。例えば、第1対向面と第1内側面とは別部材の各部であってもよく、第2対向面と第2内側面とは別部材の各部であってもよい。
【0123】
また、上述の実施形態では、第1開口部、第2開口部、および第3開口部が、それぞれ第2ベアリング保持部の内側面に開口する場合について説明した。しかしながら、第1開口部、第2開口部、および第3開口部は、第2ベアリング保持部の内部に流体を導くことができれば他の部位(例えば対向面)に開口していてもよい。
【0124】
上述の実施形態では、第1ベアリング保持部、第2ベアリング保持部および第3ベアリング保持部が、モータ室の軸方向一方側に位置する側壁部に設けられる場合について説明した。しかしながら、第1ベアリング保持部、第2ベアリング保持部および第3ベアリング保持部が設けられる側壁部は、ギヤ室とモータ室とを区画される隔壁であってもよい。
【0125】
上述の実施形態の伝達機構の各軸の構成は一例である。伝達機構を構成するシャフトは、3本に限定されない。また、複数のシャフトのうち2つは、一方が他方の中空部を通過するように同軸上に配置されていてもよい。ハウジング6に貯留される流体Oは、特に限定されず、オイル以外の流体であってもよい。流体供給部によってモータに供給される流体は、例えば、水であってもよい。
【0126】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1) モータと、前記モータの動力を伝達する伝達機構と、前記伝達機構を収容するギヤ室が設けられるハウジングと、少なくとも一部が前記ハウジングに設けられ、流体が流通可能な流路と、を備え、前記伝達機構は、軸方向に延びる第1軸線を中心に回転可能な第1シャフトと、前記第1軸線と平行に延びる第2軸線を中心に回転可能な第2シャフトと、前記第1軸線および前記第2軸線と平行に延びる第3軸線を中心に回転可能な第3シャフトと、前記第1シャフトを支持する第1ベアリングと、前記第2シャフトを支持する第2ベアリングと、前記第3シャフトを支持する第3ベアリングと、を有し、前記ハウジングは、前記ギヤ室を軸方向一方側から覆う側壁部と、前記側壁部に設けられ前記第1ベアリングを保持する第1ベアリング保持部と、を有し、前記側壁部に設けられ前記第2ベアリングを保持する第2ベアリング保持部と、を有し、前記側壁部に設けられ前記第3ベアリングを保持する第3ベアリング保持部と、を有し、前記流路は、前記第2ベアリング保持部の内部に前記流体を供給する供給流路部と、前記第2ベアリング保持部の内部と前記第1ベアリング保持部の内部とを繋ぐ第1流路部と、前記第2ベアリング保持部の内部と前記第3ベアリング保持部の内部とを繋ぐ第2流路部と、を有する、駆動装置。
(2) 前記第2ベアリング保持部は、前記第2シャフトの軸方向一方側の端部よりも軸方向一方側に位置し、軸方向と直交する方向に延びる対向面と、軸方向に延び、前記第2ベアリングを径方向外側から支持する内側面と、を有し、前記内側面には、前記第1流路部の端部である第1開口部と、前記第2流路部の端部である第2開口部と、前記第1開口部と前記第2開口部との間に位置し、径方向内側に突出する壁部と、が設けられる、(1)に記載の駆動装置。
(3) 前記内側面には、前記供給流路部の端部である第3開口部が設けられ、上下方向および軸方向の両方と交差する方向を第1方向とし、前記第1開口部は、前記壁部に対し第1方向の一方側に位置し、前記第2開口部は、前記壁部に対し第1方向の他方側に位置し、前記第3開口部は、前記壁部に対し第1方向の一方側に位置する、(2)に記載の駆動装置。
(4) 前記内側面には、前記供給流路部の端部である第3開口部が設けられ、上下方向および軸方向の両方と交差する方向を第1方向とし、前記第1開口部は、前記壁部に対し第1方向の一方側に位置し、前記第2開口部は、前記壁部に対し第1方向の他方側に位置し、前記第3開口部は、前記壁部に対し第1方向の他方側に位置する、(2)に記載の駆動装置。
(5) 前記第1流路部の断面積は、前記第2流路部の断面積よりも大きい、(1)~(4)の何れか一項に記載の駆動装置。
(6) 前記第2流路部の断面積は、前記第1流路部の断面積よりも大きい、(1)~(4)の何れか一項に記載の駆動装置。
(7) 前記伝達機構は、前記第3シャフトを含む差動装置を有する、(3)~(6)の何れか一項に記載の駆動装置。
(8) 前記第2ベアリング保持部は、前記第2シャフトの軸方向一方側の端部よりも軸方向一方側に位置し、軸方向と直交する方向に延びる対向面を有し、前記対向面には、軸方向一方側に窪む凹部が設けられ、前記第1流路部および前記第2流路部は、前記凹部の内部に繋がる、(1)~(7)の何れか一項に記載の駆動装置。
(9) 前記第2ベアリング保持部は、軸方向に延び、前記第2ベアリングを径方向外側から支持する内側面を有し、前記内側面には、前記第1流路部の端部である第1開口部と、前記第2流路部の端部である第2開口部と、前記第1開口部と前記第2開口部との間に位置し、径方向内側に突出する壁部と、が設けられ、前記壁部は、前記凹部の内部まで延び、前記凹部の周方向中央に対し前記第2開口部側に配置される、(8)に記載の駆動装置。
(10) 前記第2ベアリング保持部は、前記対向面から軸方向他方側に延び、前記第2ベアリングを径方向外側から支持する内側面を有し、前記内側面には、前記第1流路部の端部である第1開口部と、前記第2流路部の端部である第2開口部と、前記第1開口部と前記第2開口部との間に位置し、径方向内側に突出する壁部と、が設けられ、前記壁部は、前記凹部の内部まで延び、前記凹部の周方向中央に対し前記第1開口部側に配置される、(8)に記載の駆動装置。
(11) 前記第2ベアリング保持部は、前記第2シャフトの軸方向一方側の端部よりも軸方向一方側に位置し、軸方向と直交する方向に延びる対向面と、軸方向に延び、前記第2ベアリングを径方向外側から支持する内側面と、を有し、前記内側面には、前記第1流路部の端部である第1開口部と、前記第2流路部の端部である第2開口部と、前記供給流路部の端部である第3開口部と、が設けられ、前記対向面には、軸方向他方側に突出し前記第3開口部の少なくとも一部を覆うリブが設けられ、上下方向および軸方向の両方と交差する方向を第1方向とし、前記第1開口部および前記第2開口部は、前記第2開口部に対し第1方向の一方側に位置し、前記リブの少なくとも一部は、前記第2開口部よりも第1方向の一方側に設けられる、(1)~(10)の何れか一項に記載の駆動装置。
(12) 前記対向面には、軸方向一方側に窪む凹部が設けられ、前記リブは、前記凹部に向かって延びる、(11)に記載の駆動装置。
【符号の説明】
【0127】
1…駆動装置、2…モータ、3…伝達機構、5…差動装置、5b…第3シャフト、6…ハウジング、6B…ギヤ室、45…第2シャフト、46…第1シャフト、62w…側壁部、71…第1ベアリング保持部、72,172,272,372,472,572,672…第2ベアリング保持部、72a…第2対向面(対向面)、72b…第2内側面(内側面)、73…第3ベアリング保持部、76,176,576,676…壁部、77…凹部、90…流路、96,296…供給流路部、96b,296b…第3開口部、97,197,397,497…第1流路部、97a,197a,397a,497a…第1開口部、98,198,398,498…第2流路部、98a,198a,398a,498a…第2開口部、B1…第1ベアリング、B3…第2ベアリング、B7…第3ベアリング、J1…第1軸線、J2…第2軸線、J3…第3軸線、O…流体、S1,S2,S11,S12,S31,S32,S41,S42…断面積