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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146760
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】フォークリフト
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/075 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
B66F9/075 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024017641
(22)【出願日】2024-02-08
(31)【優先権主張番号】P 2023057224
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000211695
【氏名又は名称】中西金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003823
【氏名又は名称】弁理士法人柳野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】光川 竜右
(72)【発明者】
【氏名】尾辻 勇一
(72)【発明者】
【氏名】片山 浩
(72)【発明者】
【氏名】橋本 陽介
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AD02
3F333AE02
3F333DB10
(57)【要約】
【課題】作業者がカバーの着脱をすることなく、モータ駆動のシャッタでカバーの開口部を開閉することなく、雨天時等の際に風雨から荷を保護できるフォークリフトを提供する。
【解決手段】フォークリフト1は、荷役装置E1が備えるフォーク2に積載された荷の上方を覆う上面カバー体C1、及び、前記荷の側方を覆う側面カバー体C2と、側面カバー体C2の開口部Oを開閉する開閉体Dと、開閉体Dを開く動作変換機構Aとを備える。動作変換機構Aは、荷役装置E1が備える昇降部材Hの昇降動作を利用して開閉体Dを開くものである。動作変換機構Aが、モータを含む駆動機構を含むものではなく、荷役装置E1の動作を利用して開閉体Dを開くものであるので、モータによるフォークリフトのバッテリの電力消費がなく、電力供給のためのモータへの配線等が不要になる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
荷役作業を行う荷役装置と、
走行動作及び旋回動作を行う移動装置と、
前記荷役装置が備えるフォークに積載された荷の上方を覆う上面カバー体、及び、前記フォークの基端部から先端部へ向かう方向の面に開口部がある、前記荷の側方を覆う側面カバー体と、
前記開口部を開閉する開閉体と、
前記開閉体を開く動作変換機構と、
を備え、
前記動作変換機構は、
前記荷役装置が備える昇降部材の昇降動作を利用して前記開閉体を開くもの、
前記荷役装置が備えるティルトシリンダによる、前記昇降部材を支持するアウタマストの傾動動作を利用して前記開閉体を開くもの、又は、
前記荷役装置が備える前記アウタマストの前後移動動作を利用して前記開閉体を開くもの、
である、
フォークリフト。
【請求項2】
前記動作変換機構は、前記昇降部材の昇降動作を利用して前記開閉体を開くものであり、
前記昇降動作のストロークの中間の範囲で前記開閉体の開閉動作を行い、
前記中間の範囲よりも上方の位置と、前記中間の範囲よりも下方の位置では、前記開閉体が閉じた状態又は前記開閉体が開いた状態を維持する、
請求項1に記載のフォークリフト。
【請求項3】
前記動作変換機構は、前記昇降部材の昇降動作を利用して前記開閉体を開くものであり、
前記昇降動作のストロークの中間の所定高さ位置では前記開閉体が閉じた状態であり、
前記昇降部材を前記所定高さ位置から下方へ移動させるにつれて前記開閉体が開き、前記昇降部材をさらに下方へ移動させると前記開閉体が開いた状態を維持し、
前記昇降部材を前記所定高さ位置から上方へ移動させるにつれて前記開閉体が開き、前記昇降部材をさらに上方へ移動させると前記開閉体が開いた状態を維持する、
請求項1に記載のフォークリフト。
【請求項4】
前記動作変換機構は、前記アウタマストの前後移動動作を利用して前記開閉体を開くものであり、
前記アウタマストの前方への移動に伴ってワイヤ又はベルトにより前記開閉体が牽引され、前記開閉体が開いた状態になる、
請求項1に記載のフォークリフト。
【請求項5】
前記動作変換機構は、前記昇降動作のストロークの変位拡大機構、又は前記傾動動作のストロークの変位拡大機構を備える、
請求項1に記載のフォークリフト。
【請求項6】
前記開閉体を閉じる方向へ付勢する付勢手段を備える、
請求項1に記載のフォークリフト。
【請求項7】
前記動作変換機構は、前記昇降部材の昇降動作を利用して前記開閉体を開くものであり、
前記開閉体は扉で、前記扉の上部には扉ランナーがあり、
前記扉ランナーはガイドレールに沿って移動し、
前記動作変換機構は、前記昇降動作による操作力を前記扉に伝達するリンク機構を備え、
前記操作力により、前記扉ランナーが前記ガイドレールに沿って移動しながら、前記扉は鉛直軸まわりに回動する、
請求項1、2、3、5、6の何れか1項に記載のフォークリフト。
【請求項8】
前記扉は、左右の扉体からなる両開き式であり、
前記扉ランナーは、
前記扉体の左右方向の内方端に位置して、前記扉体に対して鉛直軸まわりに回動可能な内方ランナー体と、
前記扉体の左右方向の外方端に位置して、前記扉体に対して鉛直軸まわりに回動可能な外方ランナー体と、
からなり、
前記内方ランナー体は、左右方向の第1ガイドレールに沿って移動し、
前記外方ランナー体は、前後方向の第2ガイドレールに沿って移動し、
前記リンク機構は、
前記昇降部材に取り付けられたガイド体と、
前記ガイド体の昇降により駆動される操作アームと、
前記操作アームにより、前記第2ガイドレールに沿って移動するスライドアームと、
を有し、
前記操作アームは、左右方向の支軸まわりに回動し、
前記操作アームの第1端部は、前記ガイド体に沿って移動し、
前記操作アームの第2端部は、前記スライドアームの第1端部であるランナー体に連結され、
前記スライドアームの第2端部は、前記外方ランナー体であり、
前記昇降部材の昇降に伴って、前記ガイド体に沿って前記操作アームの第1端部が移動することで、前記操作アームが前記支軸まわりに回動し、前記操作アームの第2端部が前記スライドアームを前記第2ガイドレールに沿って後方へ移動させることで、前記扉体が開く、
請求項7に記載のフォークリフト。
【請求項9】
前記操作アームの重心は、前記支軸よりも前方に位置し、
前記操作アームの自重により前記支軸まわりに前記操作アームを前傾させるモーメントが作用する
請求項8に記載のフォークリフト。
【請求項10】
前記支軸から前記操作アームの第2端部までの距離は、前記支軸から前記操作アームの第1端部までの距離よりも大きい、
請求項8に記載のフォークリフト。
【請求項11】
前記ガイド体は、前上がり傾斜する傾斜部を有し、
前記傾斜部に沿って前記操作アームの第1端部が移動し、
前記扉体が閉じた状態で、前記操作アームは、前記第1端部から前方へ延びる下アーム部、及び前記下アーム部の前端から上方へ延びる上アーム部を有し、
前記昇降部材の下降に伴い、前記操作アームの第1端部が前記ガイド体の前記傾斜部に沿って移動することにより、前記操作アームが前記支軸まわりに回動し、前記操作アームの第2端部、及び前記スライドアームが後方へ移動することで前記扉体が開く、
請求項8に記載のフォークリフト。
【請求項12】
前記ガイド体は、前記傾斜部の上端から鉛直に上方へ延びる鉛直部を有し、
前記操作アームの第1端部が前記鉛直部に沿って移動している状態では、前記操作アームは前記支軸まわりに回動しない、
請求項11に記載のフォークリフト。
【請求項13】
前記動作変換機構は、巻掛け伝動装置である、
請求項1、2、3、5、6の何れか1項に記載のフォークリフト。
【請求項14】
前記巻掛け伝動装置は、
前記昇降部材の下降動作により牽引されるワイヤ、及び前記ワイヤが架け渡されたプーリを含む、
請求項13に記載のフォークリフフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役作業を行うフォークリフトに関わり、特に、屋外での荷の搬送に好適なフォークリフトに関する。
【背景技術】
【0002】
屋外で荷を搬送するフォークリフトは、雨天時等の際に風雨から荷を保護する必要がある。そのため、雨天時等の際には、パレットに積載された荷に直接防水カバーを被せる作業を作業者が行っている。
【0003】
一方、フォークリフトにカバーを常設し、カバーの開口部を開閉する、モータを含む駆動機構で駆動されるシャッタを設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。前記シャッタを開けた状態で、フォーク上のパレット及び荷を所定箇所に置く作業や、パレット及び荷をフォークでピックアップする作業を行う。前記シャッタを閉じた状態で、フォーク上に載置したパレット及び荷を搬送する作業を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3830130公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パレットに積載された荷に直接防水カバーを被せる作業を作業者が行う場合、搬送の前後で、作業者が防水カバーを着脱する作業を行う必要がある。そのため、雨天時等における作業量が増え、工程の生産能力が下がってしまう。また、無人フォークリフトである場合は、倉庫での労働力不足と省人化に対応する目的で導入されるものであるため、作業者による防水カバーの着脱は想定されない。
【0006】
一方、特許文献1のようにモータを含む駆動機構でシャッタを駆動してカバーの開口部を開閉するものでは、自動でシャッタを開閉することで無人フォークリフトにも対応できる。しかしながら、シャッタを駆動するためのモータによりフォークリフトのバッテリの電力が消費されるとともに、電力を供給するためのモータへの配線や、シャッタを自動で開閉するためのセンサへの配線が必要になる。したがって、フォークリフトのバッテリの電力消費量が増大すること、並びにフォークリフト内の電力配線及び信号配線が煩雑化すること等の課題がある。
【0007】
本発明は、作業者がカバーの着脱をすることなく、モータ駆動のシャッタでカバーの開口部を開閉することなく、雨天時等の際に風雨から荷を保護できるフォークリフトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1観点に係るフォークリフトは、本体と、荷役作業を行う荷役装置と、走行動作及び旋回動作を行う移動装置と、前記荷役装置が備えるフォークに積載された荷の上方を覆う上面カバー体、及び、前記フォークの基端部から先端部へ向かう方向の面に開口部がある、前記荷の側方を覆う側面カバー体と、前記開口部を開閉する開閉体と、前記開閉体を開く動作変換機構とを備える。前記動作変換機構は、前記荷役装置が備える昇降部材の昇降動作を利用して前記開閉体を開くもの、前記荷役装置が備えるティルトシリンダによる、前記昇降部材を支持するアウタマストの傾動動作を利用して前記開閉体を開くもの、又は、前記荷役装置が備える前記アウタマストの前後移動動作を利用して前記開閉体を開くものである。
【0009】
本発明の第2観点に係るフォークリフトは、第1観点に係るフォークリフトにおいて、前記動作変換機構は、前記昇降部材の昇降動作を利用して前記開閉体を開くものである。前記昇降動作のストロークの中間の範囲で前記開閉体の開閉動作を行い、前記中間の範囲よりも上方の位置と、前記中間の範囲よりも下方の位置では、前記開閉体が閉じた状態又は前記開閉体が開いた状態を維持する。
【0010】
本発明の第3観点に係るフォークリフトは、第1観点に係るフォークリフトにおいて、前記動作変換機構は、前記昇降部材の昇降動作を利用して前記開閉体を開くものである。前記昇降動作のストロークの中間の所定高さ位置では前記開閉体が閉じた状態である。前記昇降部材を前記所定高さ位置から下方へ移動させるにつれて前記開閉体が開き、前記昇降部材をさらに下方へ移動させると前記開閉体が開いた状態を維持する。前記昇降部材を前記所定高さ位置から上方へ移動させるにつれて前記開閉体が開き、前記昇降部材をさらに上方へ移動させると前記開閉体が開いた状態を維持する。
【0011】
本発明の第4観点に係るフォークリフトは、第1観点に係るフォークリフトにおいて、前記動作変換機構は、前記アウタマストの前後移動動作を利用して前記開閉体を開くものである。前記アウタマストの前方への移動に伴ってワイヤ又はベルトにより前記開閉体が牽引され、前記開閉体が開いた状態になる。
【0012】
本発明の第5観点に係るフォークリフトは、第1観点に係るフォークリフトにおいて、前記動作変換機構は、前記昇降動作のストロークの変位拡大機構、又は前記傾動動作のストロークの変位拡大機構を備える。
【0013】
本発明の第6観点に係るフォークリフトは、第1観点に係るフォークリフトにおいて、前記開閉体を閉じる方向へ付勢する付勢手段を備える。
【0014】
本発明の第7観点に係るフォークリフトは、第1観点、第2観点、第3観点、第5観点、第6観点に係るフォークリフトの何れかにおいて、前記動作変換機構は、前記昇降部材の昇降動作を利用して前記開閉体を開くものである。前記開閉体は扉で、前記扉の上部には扉ランナーがあり、前記扉ランナーはガイドレールに沿って移動する。前記動作変換機構は、前記昇降動作による操作力を前記扉に伝達するリンク機構を備え、前記操作力により、前記扉ランナーが前記ガイドレールに沿って移動しながら、前記扉は鉛直軸まわりに回動する。
【0015】
本発明の第8観点に係るフォークリフトは、第7観点に係るフォークリフトにおいて、前記扉は、左右の扉体からなる両開き式である。前記扉ランナーは、前記扉体の左右方向の内方端に位置して、前記扉体に対して鉛直軸まわりに回動可能な内方ランナー体と、前記扉体の左右方向の外方端に位置して、前記扉体に対して鉛直軸まわりに回動可能な外方ランナー体とからなる。前記内方ランナー体は、左右方向の第1ガイドレールに沿って移動し、前記外方ランナー体は、前後方向の第2ガイドレールに沿って移動する。前記リンク機構は、前記昇降部材に取り付けられたガイド体と、前記ガイド体の昇降により駆動される操作アームと、前記操作アームにより、前記第2ガイドレールに沿って移動するスライドアームとを有する。前記操作アームは、左右方向の支軸まわりに回動し、前記操作アームの第1端部は、前記ガイド体に沿って移動し、前記操作アームの第2端部は、前記スライドアームの第1端部であるランナー体に連結される。前記スライドアームの第2端部は、前記外方ランナー体である。前記昇降部材の昇降に伴って、前記ガイド体に沿って前記操作アームの第1端部が移動することで、前記操作アームが前記支軸まわりに回動し、前記操作アームの第2端部が前記スライドアームを前記第2ガイドレールに沿って後方へ移動させることで、前記扉体が開く。
【0016】
本発明の第9観点に係るフォークリフトは、第8観点に係るフォークリフトにおいて、前記操作アームの重心は、前記支軸よりも前方に位置し、前記操作アームの自重により前記支軸まわりに前記操作アームを前傾させるモーメントが作用する。
【0017】
本発明の第10観点に係るフォークリフトは、第8観点に係るフォークリフトにおいて、前記支軸から前記操作アームの第2端部までの距離は、前記支軸から前記操作アームの第1端部までの距離よりも大きい。
【0018】
本発明の第11観点に係るフォークリフトは、第8観点に係るフォークリフトにおいて、前記ガイド体は、前上がり傾斜する傾斜部を有し、前記傾斜部に沿って前記操作アームの第1端部が移動する。前記扉体が閉じた状態で、前記操作アームは、前記第1端部から前方へ延びる下アーム部、及び前記下アーム部の前端から上方へ延びる上アーム部を有する。前記昇降部材の下降に伴い、前記操作アームの第1端部が前記ガイド体の前記傾斜部に沿って移動することにより、前記操作アームが前記支軸まわりに回動し、前記操作アームの第2端部、及び前記スライドアームが後方へ移動することで前記扉体が開く。
【0019】
本発明の第12観点に係るフォークリフトは、第11観点に係るフォークリフトにおいて、前記ガイド体は、前記傾斜部の上端から鉛直に上方へ延びる鉛直部を有し、前記操作アームの第1端部が前記鉛直部に沿って移動している状態では、前記操作アームは前記支軸まわりに回動しない。
【0020】
本発明の第13観点に係るフォークリフトは、第1観点、第2観点、第3観点、第5観点、第6観点に係るフォークリフトの何れかにおいて、前記動作変換機構は、巻掛け伝動装置である。
【0021】
本発明の第14観点に係るフォークリフトは、第13観点に係るフォークリフトにおいて、前記巻掛け伝動装置は、前記昇降部材の下降動作により牽引されるワイヤ、及び前記ワイヤが架け渡されたプーリを含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るフォークリフトによれば、主に以下に示す作用効果を奏する。
(1) フォークに積載された荷の上方を覆う上面カバー体、及び前記荷の側方を覆う側面カバー体を備えるので、雨天時等の際に風雨から荷を保護できる。
(2) 前記側面カバー体の開口部を開閉する開閉体を、動作変換機構により開くので、作業者によるカバーの着脱作業が不要になる。
(3) 前記動作変換機構が、モータを含む駆動機構を含むものではなく、荷役装置の動作を利用して前記開閉体を開くものであるので、モータによるフォークリフトのバッテリの電力消費がなく、電力供給のためのモータへの配線等が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係るフォークリフトの斜視図であり、開閉体が閉じた状態を示している。
図2】前記フォークリフトの斜視図であり、開閉体が開いた状態を示している。
図3】開閉体を開く動作変換機構が、昇降部材の昇降動作による操作力を開閉体に伝達するリンク機構を備えるものである場合の例について、その要部を取り出して示す概略斜視図であり、開閉体が閉じた状態を示している。
図4】前記要部を取り出して示す概略斜視図であり、開閉体が少し開いた状態を示している。
図5】前記要部を取り出して示す概略斜視図であり、開閉体が開いた状態を示している。
図6】前記要部を取り出して示す左方から見た概略図であり、ガイド体が操作アームの第1端部の上方に位置している状態を示している。
図7】前記の要部を取り出して示す左方から見た概略図であり、図6の状態からガイド体が下降して操作アームの第1端部に当接した状態を示している。
図8】前記要部を取り出して示す左方から見た概略図であり、図7の状態からガイド体がさらに下降してガイド体の傾斜部に操作アームの第1端部が位置している状態を示している。
図9】前記要部を取り出して示す左方から見た概略図であり、図8の状態からガイド体がさらに下降してガイド体の鉛直部の下端に操作アームの第1端部が位置している状態を示している。
図10】前記要部を取り出して示す左方から見た概略図であり、図9の状態からガイド体がさらに下降してガイド体の鉛直部に操作アームの第1端部が位置している状態を示している。
図11】開閉体を開く動作変換機構が巻掛け伝動装置である場合の例(第1変形例)を示す左方から見た概略図であり、開閉体が閉じた状態を示している。
図12】第1変形例を示す左方から見た概略図であり、開閉体が開いた状態を示している。
図13】開閉体を開く動作変換機構がガイド体の下降動作及び上昇動作の両方で開閉体を開くものである場合の例(第2変形例)を示す左方から見た概略図であり、開閉体が閉じた状態を示している。
図14】第2変形例を示す左方から見た概略図であり、ガイド体が下降して開閉体が開いた状態を示している。
図15】第2変形例を示す左方から見た概略図であり、ガイド体が上昇して開閉体が開いた状態を示している。
図16】動作変換機構が巻掛け伝動装置である場合において、昇降部材の昇降ストロークの中で開閉体を開閉しない範囲を設けた例(第3変形例)を示す左方から見た概略図であり、固定側スライド体の当接板と可動側スライド体の当接板とが離間し、開閉体が閉じた状態を示している。
図17】第3変形例を示す左方から見た概略図であり、図16の状態から昇降部材及び可動側スライド体が下降し、固定側スライド体の当接板に可動側スライド体の当接板が当接した瞬間の状態を示している。
図18】第3変形例を示す左方から見た概略図であり、図17の状態から昇降部材及び可動側スライド体がさらに下降して開閉体が開き、固定側スライド体が下降して当止体に当止された瞬間の状態を示している。
図19】第3変形例を示す左方から見た概略図であり、開閉体が開いた状態を維持しながら図18の状態から昇降部材がさらに下降した状態を示している。
図20】本発明の実施形態に係るフォークリフトがリーチフォークリフトである場合の例(第4変形例)を示す左方から見た概略図であり、開閉体が閉じた状態を示している。
図21図20を正面図とした平面概略図である。
図22】第4変形例を示す左方から見た概略図であり、マスト及びフォークが前方へ移動して開閉体が開いた状態を示している。
図23図22を正面図とした平面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
以下の実施形態において、フォークリフトのフォークの根元側から先端側を見る方向を前(図中矢印Fが前方)、その反対方向を後(図中矢印Bが後方)とし、前方に向かって左右を定義する(図中矢印Lが左方、図中矢印Rが右方)。
【0026】
本発明のフォークリフトは、フォークに積載された荷を風雨から保護するためのカバー体を備えたものであり、無人フォークリフト又は有人フォークリフトである。以下の実施形態では、本発明のフォークリフトが無人フォークリフトである場合の例について説明する。
【0027】
以下の実施形態において、図1~19は、本発明の実施形態に係るフォークリフト1がカウンタバランスフォークリフトである場合の例を示しており、図20~23は、本発明の実施形態に係るフォークリフト1がリーチフォークリフトである場合の例を示している。
【0028】
<フォークリフト>
図1~5に示す本発明の実施形態に係るフォークリフト1は、本体1A、荷役装置E1、移動装置E2、図示しない制御装置、上面カバー体C1及び側面カバー体C2、開閉体D、並びに動作変換機構A等を備える。荷役装置E1は荷役作業を行い、移動装置E2は走行動作及び旋回動作を行う。制御装置は荷役装置E1及び移動装置E2を制御する。上面カバー体C1は、フォーク2に積載された荷Qの上方を覆う。側面カバー体C2は、荷Qの側方を覆い、フォーク2の基端部2Aから先端部2Bへ向かう方向(本実施形態では前方F)の面に開口部Oがある。開閉体Dは開口部Oを開閉し、動作変換機構Aは開閉体Dを開く。
【0029】
開閉体Dは、動作変換機構Aにより、図2及び図5のように開いた状態DOになる。開閉体Dは、動作変換機構Aにより開かれない状態では、開閉体Dを閉じる方向へ付勢する付勢手段である重錘Gにより付勢されるので、図1及び図3のように閉じた状態DCが維持される。
【0030】
荷役装置E1は、昇降するとともに前後方向に傾動するマストM、図2に示すパレットP及び荷Qを積載するフォーク2、及び、フォーク2を支持する、マストMに沿って上下する、図3~5に示すリフトブラケット3を有する。
【0031】
フォーク2及びリフトブラケット3は、図示しないリフトチェーンによりインナマスト4に沿って上下する。マストMは、リフトブラケット3を支持して昇降するインナマスト4、及びインナマスト4を昇降可能にガイドするアウタマスト5からなる。荷役装置E1が備える昇降部材Hは、フォーク2、リフトブラケット3、及びインナマスト4、並びに、後述するガイド体9を支持する支持枠体8等である。アウタマスト5は、ティルトシリンダ6により前後方向に傾動する。
【0032】
フォークリフト1は、フォークリフト1と無線通信を行う管理装置からの行先指示により自走して荷役作業を行う無人フォークリフトである。フォークリフト1は、自己位置認識用センサUを備えており、自己位置推定機能を有する。自己位置認識用センサUは、本体1Aから上方へ突出するフレームの上面に上方へ向けて配置され、例えば、水平方向の全方位と垂直視野30°程度の3Dイメージングを行う。自己位置認識用センサUは、例えば3D-LiDARであり、レーザSLAM(Simultaneously Localization And Mapping)式の自己位置推定方法に用いる。フォークリフト1の自己位置推定は、画像SLAM式の自己位置推定方法等であってもよい。
【0033】
<開閉体>
開閉体Dが扉7である場合の例について説明する。図3~5に示すように、開閉体Dは扉7であり、扉7は、左右の扉体7A,7Bからなる両開き式である。扉体7A,7Bは、図3に示すように、左右方向内方の縦枠I1、及び左右方向外方の縦枠I2、並びに、上下の横枠J1,J2,J3、並びに、これらに支持された、透明又は半透明の樹脂板材Kからなる。なお、扉7は、片開き式であってもよい。開閉体Dは、扉7ではなく、後述するシート体N等であってもよい。
【0034】
扉体7Aの横枠J1の左右方向内方端には、前方へ突出する突出片12Aが取り付けられ、扉体7Bの横枠J1の左右方向内方端には、前方へ突出する突出片12Bが取り付けられる。左側の扉体7Aの突出片12Aには、ワイヤ14の一端部が取り付けられ、右方のプーリ13に架け渡された後、ワイヤ14の他端部には重錘Gが取り付けられる。右側の扉体7Bの突出片12Bには、ワイヤ14の一端部が取り付けられ、図示しない左方のプーリ13に架け渡された後、ワイヤ14の他端部には重錘Gが取り付けられる。重錘Gにより、左右の扉体7A,7Bは閉じる方向へ付勢される。
【0035】
<動作変換機構>
(昇降部材の昇降動作を利用)
動作変換機構Aが、昇降部材Hの昇降動作による操作力を開閉体Dに伝達するリンク機構LMを備えるものである場合の例について説明する。動作変換機構Aが昇降部材Hの昇降動作を利用して開閉体Dを開くものである場合、カバー体C1,C2を支持するフレームはアウタマスト5に取り付ける。
【0036】
図3~5に示すように、開閉体Dである扉7の上部には扉ランナーDRがある。扉ランナーDRはガイドレールGRに沿って移動する。動作変換機構Aは、昇降部材Hの昇降動作による操作力を扉7に伝達するリンク機構LMを備え、前記操作力により、扉ランナーDRがガイドレールGRに沿って移動しながら、扉7は鉛直軸まわりに回動する。
【0037】
図3に示すように、扉ランナーDRは、扉体7A,7Bの横枠J1の左右方向の内方端に位置して、扉体7A,7Bに対して鉛直軸まわりに回動可能な内方ランナー体RIと、扉体7A,7Bの横枠J1の左右方向の外方端に位置して、扉体7A,7Bに対して鉛直軸まわりに回動可能な外方ランナー体ROとからなる。内方ランナー体RIは、左右方向の第1ガイドレールGR1に沿って移動し、外方ランナー体ROは、前後方向の第2ガイドレールGR2に沿って移動する。扉体7A,7Bの横枠J3の左右方向の外方端に位置するガイドローラTは、前後方向の第3ガイドレールGR3に沿って移動する。
【0038】
図3~10に示すように、リンク機構LMは、昇降部材Hである支持枠体8に取り付けられたガイド体9と、ガイド体9の昇降により駆動される操作アーム10と、操作アーム10により、第2ガイドレールGR2に沿って移動するスライドアーム11とを有する。
【0039】
操作アーム10は、図6及び図7に示す扉7が閉じた状態DCで、第1端部10Aから前方Fへ延びる下アーム部10L、及び下アーム部10Lの前端から上方へ延びる上アーム部10Hを有する。操作アーム10は、左右方向の支軸Sまわりに回動可能に支持されており、操作アーム10の第1端部10Aは、上下方向に長いガイド体9に沿って移動する。
【0040】
操作アーム10の重心は、支軸Sよりも前方Fに位置し、操作アーム10の自重により支軸Sまわりに操作アーム10を前傾させるモーメントが作用する。それにより、操作アーム10により扉7を閉じる方向の力が作用するので、重錘Gを小さくできる。重錘Gにより扉7を閉じる方向にスライドアーム11に作用する力と同じ方向に操作アーム10に力が作用するため、振動が抑えられる。
【0041】
支軸Sから操作アーム10の第2端部10Bまでの距離は、支軸Sから操作アーム10Aの第1端部10Aまでの距離よりも大きい。それにより、スライドアーム11の前後方向の変位は、昇降部材Hの上下方向の変位に対して拡大される。したがって、昇降部材Hの昇降ストロークが小さくても扉7を開くためのストロークは大きくなる。
【0042】
図6のように、操作アーム10にガイド体9が当接していない状態では、前記付勢手段である重錘Gと、操作アーム10の自重による前記モーメントにより、扉7が閉じた状態DCが維持される。
【0043】
ガイド体9は、例えば図6に示すように、前上がり傾斜する傾斜部9Aと、傾斜部9Aの上端部から上方へ延びる鉛直部9Bとを有し、操作アーム10の第1端部10Aに位置する左右方向のピン10aを、図7~9に示すようにガイド体9が押圧することにより、操作アーム10は支軸Sまわりに回動する。
【0044】
すなわち、昇降部材Hとともにガイド体9が下降して傾斜部9Aに沿ってピン10aが移動することにより、操作アーム10の上端部である第2端部10Bが後方Bへ移動する(図7図8図9)。図9の状態から昇降部材Hとともにガイド体9が上昇して傾斜部9Aに沿ってピン10aが移動すれば、操作アーム10の上端部である第2端部10Bが前方Fへ移動する(図9図8図7)。
【0045】
操作アーム10の第2端部10Bは、スライドアーム11の後部の第1端部11Aであるランナー体RSに連結される。すなわち、操作アーム10の第2端部10Bの長孔10b内に、ランナー体RSの下方に位置する左右方向のピン11aが入る。スライドアーム11の前方の第2端部11Bは、外方ランナー体ROである。
【0046】
図6に示すように、ガイド体9が操作アーム10の第1端部10Aの上方に位置している状態から、昇降部材Hである支持枠体8の下降に伴いガイド体9が下降すると、図7のようにガイド体9傾斜部9Aが操作アーム10のピン10aに当接する。図6から図7までの範囲では、操作アーム10は静止したままであり、開閉体Dである扉7が閉じた状態DCが維持される。
【0047】
図7の状態から図8のようにガイド体9がさらに下降すると、操作アーム10の第1端部10Aに位置するピン10aが傾斜部9Aに沿って移動し、操作アーム10は支軸Sまわりに回動する。それにより、操作アーム10の第2端部10Bが後方Bへ移動し、スライドアーム11及び外方ランナー体ROも後方Bへ移動するので、扉7は鉛直軸まわりに回動しながら開いて行く。
【0048】
図8の状態から図9のようにガイド体9がさらに下降すると、操作アーム10の第1端部10Aに位置するピン10aが傾斜部9Aに沿って傾斜部9Aの上端部まで移動し、操作アーム10は支軸Sまわりにさらに回動する。それにより、操作アーム10の第2端部10Bが後方Bへさらに移動し、スライドアーム11及び外方ランナー体ROも後方Bへさらに移動するので、扉7が開いた状態DOになる。
【0049】
図9の状態から図10のようにガイド体9がさらに下降すると、操作アーム10の第1端部10Aに位置するピン10aはガイド体9の鉛直部9Bに沿う。図9図10までの範囲では、操作アーム10は支軸Sまわりに回動せずに静止したままであり、開閉体Dである扉7が開いた状態DOが維持される。
【0050】
このような構成により、昇降部材Hの昇降動作のストロークの中間の範囲(図7~9)で開閉体Dの開閉動作を行うことができる。前記中間の範囲よりも上方に昇降部材Hが位置する範囲(図6~7)では、開閉体Dが閉じた状態DCが維持され、前記中間の範囲よりも下方に昇降部材Hが位置する範囲(図9~10)では、開閉体Dが開いた状態DOが維持される。
【0051】
フォークリフト1が荷役作業を行う位置から離間した所定位置までの移動を行う際には、例えば図6のように昇降部材Hを高い位置にして開閉体Dが閉じた状態DCにする。フォークリフト1が前記所定位置から荷役作業を行う位置まで移動する際に、昇降部材Hを下降させて例えば図9のように開閉体Dが開いた状態DOにしておく。フォークリフト1が荷役作業を行う際には、開閉体Dが開いた状態DOを維持しながら、昇降部材Hを低い位置(例えば、図9~10の範囲)として荷役作業を行う。開閉体Dが開いた状態DOを確実にし、その状態を維持しながら荷役作業を行えるので、開閉体Dと他の部材との干渉を回避できる。
【0052】
(アウタマストの傾動動作を利用)
以上の説明における動作変換機構Aは、荷役装置E1が備える昇降部材Hの昇降動作による操作力を開閉体Dに伝達するリンク機構LMを備えるものであるが、動作変換機構Aを、荷役装置E1が備えるティルトシリンダ6によるアウタマスト5の傾動動作による操作力を開閉体Dに伝達するリンク機構を備えるものとしてもよい。動作変換機構Aがアウタマスト5の傾動動作を利用して開閉体Dを開くものである場合、カバー体C1,C2を支持するフレームは本体1Aに取り付ける。
【0053】
その場合は、例えば、アウタマスト5から前方Fへ突出する突出部材を用いる。アウタマスト5が略鉛直である通常位置では、前記突出部材が操作アーム10の第1端部10Aを前方Fへ押圧して操作アーム10を支軸Sまわりに回動させ、操作アーム10の第2端部10Bを後方Bへ移動させることで開閉体Dを開いた状態DOにする。アウタマスト5の後傾位置では、前記突出部材が操作アーム10から外れるので、重錘G等の付勢力により、開閉体Dは閉じた状態DCになる。
【0054】
<第1変形例>
図11~12に示すフォークリフト1は、動作変換機構Aが巻掛け伝動装置WTである場合の例を示している。この例において、開閉体Dは例えばシート体Nである。
【0055】
シート体Nの下端部は重錘Gに取り付けられ、シート体Nの上端部はローラ15に取り付けられる。ローラ15が左方から見て時計方向へ回転すると、シート体Nはローラ15に巻き取られる。ローラ15が左方から見て反時計方向へ回転すると、シート体Nはローラ15から繰り出される。
【0056】
ローラ15にはローラ15よりも小径のプーリ16が同軸で取り付けられ、プーリ16の後方BのマストM寄りには大径プーリ17Aが配置される。プーリ16にはワイヤ18Aが巻回されるとともにワイヤ18Aの一端部が取り付けられ、大径プーリ17Aにはワイヤ18Aが巻回されるとともにワイヤ18Aの他端部が取り付けられる。
【0057】
大径プーリ17Aには小径プーリ17Bが同軸で取り付けられ、小径プーリ17Bにはワイヤ18Bが巻回されるとともにワイヤ18Bの一端部が取り付けられる。ワイヤ18Bは小径プーリ17Bから垂下し、ワイヤ18Bの他端部は、例えばフォーク2等の昇降部材Hに取り付けられる。
【0058】
図11のようにシート体Nがローラ15から繰り出されて開口部Oを塞いでいる状態(開閉体Dが閉じた状態DC)から、図12のように昇降部材Hを下降させると。ワイヤ18Bの下降に伴って、小径プーリ17B及び大径プーリ17Aが回転し、ワイヤ18Aが後方Bへ移動し、プーリ16及びローラ15が回転する。それにより、シート体Nはローラ15に巻き取られるので、開閉体Dが開いた状態DOになる。昇降部材Hが下方に位置する一定の範囲で荷役作業を行うことができる。
【0059】
図12の開閉体Dが開いた状態DOから昇降部材Hを上昇させると、付勢手段である重錘Gにより開閉体Dを閉じる方向へ付勢されているので、シート体Nがローラ15から垂下し、図11に示す開閉体Dが閉じた状態DCになる。
【0060】
このような動作変換機構Aでは、同軸である小径プーリ17B及び大径プーリ17A、並びに同軸であるプーリ16及び大径のローラ15により、シート体N及び重錘Gの上下方向の変位は、昇降部材Hの上下方向の変位に対して拡大される。したがって、開閉体Dであるシート体Nの昇降ストロークを大きくすることができる。
【0061】
動作変換機構Aを巻掛け伝動装置WTで構成することにより、力の方向転換が容易になるとともにバックラッシュレスになり、動作変換機構Aをリンク機構LMで構成するものと比較して、省スペースかつ軽量になる。また、動作変換機構Aを巻掛け伝動装置WTで構成することにより、ローラやプーリの径を変更することでシート体Nの昇降ストロークを容易に調整できる。
【0062】
<第2変形例>
図13~15に示すフォークリフト1は、動作変換機構Aがガイド体19の下降動作及び上昇動作の両方で開閉体Dを開くものである場合の例を示している。この例において、開閉体Dは例えば扉7である。
【0063】
図13において、操作アーム20は左右方向の支軸Sまわりに回動可能に支持されており、支軸Sの後方Bの第1端部20Aには左右方向のピン20aが設けられ、支軸Sの上方の第2端部20Bには上下方向の長孔20bが形成される。
【0064】
ラック22には車輪体22A,22Bが取り付けられており、ラック22は支持フレーム21に沿って前後方向へ移動可能である。車輪体22Bに設けた左右方向のピン22aが、操作アーム20の長孔20b内に入る。ラック22にはピニオン23が噛合する。ピニオン23及びローラ24は同軸であり、左右方向の支軸まわりに回転可能に支持される。ローラ24には、プーリ25に架け渡されて下方へ延びたワイヤ26の第1端部26Aが取り付けられる。プーリ25から前方Fへ延びたワイヤ26の第2端部26Bは、外方ランナー体ROに取り付けられる。
【0065】
上下方向に長いガイド体19は、昇降部材Hである支持枠体8に取り付けられており、その前面に傾斜部19A,19B、及び鉛直部19C,19Dがある。傾斜部19A,19Bは、ガイド体19の前面の上下方向中央部の上下に位置し、傾斜部19Aは前上がり傾斜し、傾斜部19Bは前下がり傾斜する。鉛直部19Cは傾斜部19Aの上端部から上方へ延び、鉛直部19Dは傾斜部19Bの下端部から下方へ延びる。
【0066】
操作アーム20のピン20aはガイド体19に沿って移動する。図13に示す状態では、ピン20aが上下の傾斜部19A,19Bの間に位置しており、開閉体Dである扉7は閉じた状態DCである。
【0067】
図14に示すようにガイド体19Aが昇降部材Hとともに下降すると、ピン20aが傾斜部19Aに沿いながら操作アーム20が回動し、ラック22が後方Bへ移動する。それによりピニオン23が回転し、ローラ24がワイヤ26を巻き取るので、外方ランナー体ROがワイヤ26により後方Bへ牽引され、扉7が開いた状態DOになる。ピン20aがガイド体19の鉛直部19Cに沿っている状態では、扉7が開いた状態DOが維持される。
【0068】
図15に示すようにガイド体19Aが昇降部材Hとともに上昇すると、ピン20aが傾斜部19Bに沿いながら操作アーム20が回動し、ラック22が前方Fへ移動する。それによりピニオン23が回転し、ローラ24がワイヤ26を巻き取るので、外方ランナー体ROがワイヤ26により後方Bへ牽引され、扉7が開いた状態DOになる。ピン20aがガイド体19の鉛直部19Dに沿っている状態では、扉7が開いた状態DOが維持される。
【0069】
図13~15に示すフォークリフト1の動作変換機構Aは、昇降部材Hの昇降動作を利用して開閉体Dを開くものである。昇降部材Hの昇降動作のストロークの中間の所定高さ位置(図13)では開閉体Dが閉じた状態DCである。
【0070】
昇降部材Hを前記所定高さ位置から下方へ移動させるにつれて、先ず、傾斜部19Aにピン20aを沿わせながら開閉体Dが開く。昇降部材Hをさらに下方へ移動させると、鉛直部19Cにピン20aが沿うので(図14)、開閉体Dが開いた状態DOが維持される。
【0071】
昇降部材Hを前記所定高さ位置から上方へ移動させるにつれて、先ず、傾斜部19Bにピン20aを沿わせながら開閉体Dが開く。昇降部材Hをさらに上方へ移動させると、鉛直部19Dにピン20aが沿うので(図15)、開閉体Dが開いた状態DOが維持される。
【0072】
このような動作変換機構Aでは、昇降部材Hの昇降動作のストロークの中間の所定高さ位置、すなわちガイド体19に傾斜部19A,19Bを設ける高さを変更することにより、開閉体Dを閉じるための昇降部材Hの高さを任意の高さに設定できる。そして、開閉体Dを閉じた状態で荷Qを搬送する。例えばフォークリフト1が荷役作業を行う位置から離間した所定位置までの移動を行う際には、図13のように開閉体Dが閉じた状態DCにする。
【0073】
フォークリフト1が荷役作業を行う位置が低い場合は、フォークリフト1が前記所定位置から荷役作業を行う位置まで移動する際に、昇降部材Hを下降させて例えば図14のように開閉体Dが開いた状態DOにしておく。フォークリフト1が荷役作業を行う際には、図14のようにピン20aを鉛直部19Cに沿わせた状態のまま、開閉体Dが開いた状態DOを維持しながら荷役作業を行う。開閉体Dが開いた状態DOを確実にし、その状態を維持しながら荷役作業を行えるので、開閉体Dと他の部材との干渉を回避できる。
【0074】
フォークリフト1が荷役作業を行う位置が例えばトラックの荷台であり高い場合は、フォークリフト1が前記所定位置から荷役作業を行う位置まで移動する際に、昇降部材Hを上昇させて例えば図15のように開閉体Dが開いた状態DOにしておく。フォークリフト1が荷役作業を行う際には、図15のようにピン20aを鉛直部19Dに沿わせた状態のまま、開閉体Dが開いた状態DOを維持しながら荷役作業を行う。開閉体Dが開いた状態DOを確実にし、その状態を維持しながら荷役作業を行えるので、開閉体Dと他の部材との干渉を回避できる。
【0075】
<第3変形例>
図16~19は、動作変換機構Aが巻掛け伝動装置WTである場合において、昇降部材Hの昇降ストロークの中で開閉体Dを開閉しない範囲を設けた例を示している。この例において、開閉体Dは例えば扉7である。
【0076】
ワイヤ29Aの一端部は、スライドアーム11の後部の第1端部11Aであるランナー体RSに取り付けられる。ワイヤ29Aは、ランナー体RSの後方BのマストM寄りに配置されたプーリ28に架け渡された後、前方Fへ引き回されて大径プーリ27Aに巻回されるとともに、ワイヤ29Aの他端部が大径プーリ27Aに取り付けられる。
【0077】
大径プーリ27Aには小径プーリ27Bが同軸で取り付けられ、小径プーリ27Bにはワイヤ29Bが巻回されるとともにワイヤ29Bの一端部が取り付けられる。ワイヤ29Bは小径プーリ27Bから垂下し、ワイヤ29Bの他端部は固定側スライド体31に取り付けられる。固定側スライド体31は、上端部に当接板31Aを有し、上下方向の固定側支柱33に対して上下方向にスライド可能である。固定側支柱33は、カバー体C1,C2を支持するフレームに取り付けられた支持フレーム30A,30Bに取り付けられる。固定側支柱33の下端部には当止体36がある。
【0078】
可動側スライド体32は、固定側スライド体31よりも上側に位置し、下端部に当接板32Aを有し、上下方向の可動側支柱34に対して上下方向にスライド可能である。可動側支柱34は、昇降部材Hであるフレーム体Xに取り付けられる。フレーム体Xには上下方向のガススプリング35の本体が取り付けられており、ガススプリング35のピストンロッド35Aの先端部が可動側スライド体32に取り付けられる。
【0079】
図16に示す、固定側スライド体31の当接板31Aと可動側スライド体32の当接板32Aとが離間している状態では、開閉体Dである扉7を閉じる方向へ付勢する付勢手段である重錘Gにより付勢されるので、扉7が閉じた状態DCが維持される。
【0080】
図16のように固定側スライド体31の当接板31Aと可動側スライド体32の当接板32Aとが離間している状態から、昇降部材H及び可動側スライド体32が下降すると、図17のように可動側スライド体32の当接板32Aが固定側スライド体31の当接板31Aが当接する。図17の状態では、扉7が閉じた状態DCのままである。
【0081】
図17の状態から図18のように昇降部材H及び可動側スライド体32さらに下降すると、下降する可動側スライド体32の当接板32Aにより固定側スライド体31の当接板31Aが押され、固定側スライド体31が固定側支柱33に沿って下降する。それにより、ワイヤ29Bが牽引されて小径プーリ27Bが回転し、ワイヤ29Aが牽引されるので、スライドアーム11及び外方ランナー体ROが後方Bへ移動し、扉7が開いた状態DOになる。
【0082】
図18の状態では、固定側スライド体31の下面が当止体36により当止されることから、固定側スライド体31はそれ以上下降できない。また、可動側スライド体32の当接板32Aが固定側スライド体31の当接板31Aに当接しているので、可動側スライド体32もそれ以上下降できない。
【0083】
図18の状態から昇降部材Hがさらに下降すると、扉7が開いた状態DOが維持されたまま、ガススプリング35の付勢力に抗してピストンロッド35Aが圧力チューブ内に収容されるように縮んで図19に示す状態になる。ガススプリング35のピストンロッド35Aが縮む間、ガススプリング35に上向きの力が働くため、フォーク2等の昇降部材Hが下降し続けても、可動側スライド体32は高さ方向の位置が固定された状態を維持するとともに、固定側スライド体31も高さ方向の位置が維持される。
【0084】
このような構成により、昇降部材Hの昇降動作のストロークの中間の範囲(図17~18)で開閉体Dの開閉動作を行うことができる。前記中間の範囲よりも上方に昇降部材Hが位置する範囲(図16~17)では、開閉体Dが閉じた状態DCが維持され、前記中間の範囲よりも下方に昇降部材Hが位置する範囲(図18~19)では、開閉体Dが開いた状態DOが維持される。
【0085】
フォークリフト1が荷役作業を行う位置から離間した所定位置までの移動を行う際には、例えば図16のように昇降部材Hを高い位置にして開閉体Dが閉じた状態DCにする。フォークリフト1が前記所定位置から荷役作業を行う位置まで移動する際に、昇降部材Hを下降させて例えば図18のように開閉体Dが開いた状態DOにしておく。フォークリフト1が荷役作業を行う際には、開閉体Dが開いた状態DOを維持しながら、昇降部材Hを低い位置(例えば、図18~19の範囲)として荷役作業を行う。開閉体Dが開いた状態DOを確実にし、その状態を維持しながら荷役作業を行えるので、開閉体Dと他の部材との干渉を回避できる。
【0086】
<第4変形例>
図20~23に示す本発明の実施形態に係るフォークリフト1はリーチフォークリフトであり、図1~19のカウンタバランスフォークリフトであるフォークリフト1と同一符号は同一又は相当する部品又は部分を示している。リーチフォークリフトである図20~23のフォークリフト1は、本体1Aに対してアウタマスト5を前後方向へ移動させることができるので、移動装置E2を動かすことなくフォーク2を前方F又は後方Bに動かすことができる。
【0087】
したがって、図20~23のフォークリフト1では、荷役装置E1が備える昇降部材Hの昇降動作ではなく、荷役装置E1が備えるアウタマスト5の前後移動動作を利用して開閉体Dの開閉を行うことができる。すなわち、当該フォークリフト1における開閉体Dを開く動作変換機構Aは、荷役装置E1が備えるアウタマスト5の前後移動動作を利用して開閉体Dを開くものである。動作変換機構Aがアウタマスト5の前後移動動作を利用して開閉体Dを開くものである場合、カバー体C1,C2を支持するフレームはアウタマスト5に取り付ける。
【0088】
開閉体Dは、例えば扉7である。動作変換機構Aを構成するワイヤ37は、後端37Aが本体1Aに取り付けられ、前端37Bが外方ランナー体ROに取り付けられる。本体1Aに対してアウタマスト5が最も後方Bに位置する図20~21に示す状態で、ワイヤ37は略真っ直ぐに伸びた状態になる。図22~23に示すように本体1Aに対してアウタマスト5が前方Fへ移動すると、外方ランナー体ROの前後位置は変わらずに前記フレームの方が前方Fへ移動するため、アウタマスト5の前方Fへの移動に伴ってワイヤ37により開閉体DがガイドレールGRに沿って牽引され(内方ランナー体RIが第1ガイドレールGR1に沿って移動し)、開閉体Dが開いた状態DOになる。なお、ワイヤ37は、ベルトであってもよい。
【0089】
リーチフォークリフトである図20~23のフォークリフト1では、荷役装置E1により荷役作業を行う際に、前記のとおり、昇降部材Hの昇降動作ではなく、アウタマスト5の前後移動動作を利用して開閉体Dの開閉を行う。したがって、当該フォークリフト1では、開閉体Dを開閉するために、カウンタバランスフォークリフトのように昇降部材Hであるフォーク2の高さを指定する必要がないので、動作変換機構Aの構成が簡素になるとともに汎用性の高い運用が可能となる。
【0090】
第4変形例において、開閉体Dは扉7に限定されるものではなく、図11~12に示す第1変形例のようなシート体Nであってもよい。その場合においても、例えば、アウタマスト5の前方Fへの移動に伴って、動作変換機構Aを構成するワイヤ又はベルトによりシート体Nが牽引され、シート体Nが開いた状態DOになるように構成する。
【0091】
<主な作用効果>
以上のような本発明の実施形態に係るフォークリフトによれば、主に以下に示す作用効果を奏する。
(1) フォーク2に積載された荷Qの上方を覆う上面カバー体C1、及び荷Qの側方を覆う側面カバー体C1を備えるので、雨天時等の際に風雨から荷Qを保護できる。
(2) 側面カバー体C2の開口部Oを開閉する開閉体Dを、動作変換機構Aにより開くので、作業者によるカバーの着脱作業が不要になる。
(3) 動作変換機構Aが、モータを含む駆動機構を含むものではなく、荷役装置E1の動作を利用して開閉体Dを開くものであるので、モータによるフォークリフト1のバッテリの電力消費がなく、電力供給のためのモータへの配線等が不要になる。
【0092】
以上の実施形態の記載はすべて例示であり、これに制限されるものではない。本発明の範囲から逸脱することなく種々の改良及び変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0093】
1 フォークリフト 1A 本体
2 フォーク 2A 基端部
2B 先端部 3 リフトブラケット
4 インナマスト 5 アウタマスト
6 ティルトシリンダ 7 扉
7A,7B 扉体 8 支持枠体
9 ガイド体 9A 傾斜部
9B 鉛直部 10 操作アーム
10A 第1端部 10a ピン
10B 第2端部 10b 長孔
10H 上アーム部 10L 下アーム部
11 スライドアーム 11A 第1端部
11a ピン 11B 第2端部
12A,12B 突出片 13 プーリ
14 ワイヤ 15 ローラ
16 プーリ 17A 大径プーリ
17B 小径プーリ 18A,18B ワイヤ
19 ガイド体 19A,19B 傾斜部
19C,19D 鉛直部 20 操作アーム
20A 第1端部 20a ピン
10B 第2端部 20b 長孔
21 支持フレーム 22 ラック
22a ピン 22A,22B 車輪体
23 ピニオン 24 ローラ
25 プーリ 26 ワイヤ
26A 第1端部 26B 第2端部
27A 大径プーリ 27B 小径プーリ
28 プーリ 29A,29B ワイヤ
30A,30B 支持フレーム 31 固定側スライド体
31A 当接板 32 可動側スライド体
32A 当接板 33 固定側支柱
34 可動側支柱 35 ガススプリング
35A ピストンロッド 36 当止体
37 ワイヤ 37A 後端
37B 前端
A 動作変換機構 B 後方
C1 上面カバー体 C2 側面カバー体
D 開閉体 DC 開閉体が閉じた状態
DO 開閉体が開いた状態 DR 扉ランナー
E1 荷役装置 E2 移動装置
F 前方 G 重錘(付勢手段)
GR ガイドレール GR1 第1ガイドレール
GR2 第2ガイドレール GR3 第3ガイドレール
H 昇降部材 I1,I2 縦枠
J1,J2,J3 横枠 K 透明又は半透明の樹脂板材
L 左方 LM リンク機構
M マスト N シート体
O 開口部 P パレット
Q 荷 R 右方
RI 内方ランナー体 RO 外方ランナー体
RS ランナー体 S 左右方向の支軸
T ガイドローラ U 自己位置認識用センサ
V1,V2 縦枠 WT 巻掛け伝動装置
X フレーム体
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