(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146761
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】実装装置及び実装方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20241004BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
H05K13/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024018960
(22)【出願日】2024-02-09
(31)【優先権主張番号】P 2023057632
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 圭剛
【テーマコード(参考)】
5E353
5F044
【Fターム(参考)】
5E353EE02
5E353EE22
5E353JJ02
5E353KK01
5E353KK11
5E353QQ12
5F044KK06
5F044LL09
5F044PP16
5F044PP17
(57)【要約】
【課題】ドリフトの影響を抑えて、電子部品を基板の正確な位置に実装できる実装装置及び実装方法を提供する。
【解決手段】実施形態の実装装置10は、基準カメラ40により撮像されたステージ基準マークSMの画像と、サブカメラ50により撮像されたステージ基準マークSMの画像に基づいて、基準カメラ40とサブカメラ50の位置関係を求めるカメラ位置算出部110と、基準カメラ40により撮像された電子部品2のアライメントマークEML、EMRの画像及びサブカメラ50により撮像された基板1のアライメントマークPML、PMRの画像と、基準カメラ40とサブカメラ50の位置関係に基づいて、基板1と電子部品2の位置関係を求める補正演算部120とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を基板に実装する実装装置であって、
前記基板を保持するステージと、
前記ステージに固定され、対向する第1の方向及び第2の方向から撮像可能なステージ基準マークが設けられた基準位置検出用プレートと、
ヘッド基準マークが設けられ、接合位置において前記電子部品を保持して、前記電子部品を前記基板に圧着する圧着ヘッドと、
前記圧着ヘッドに対する前記ステージの相対位置を変えることにより、前記電子部品と前記基板とを位置合わせする駆動機構と、
前記接合位置において、前記第1の方向から前記ステージ基準マークを撮像し、前記第1の方向から前記ヘッド基準マーク及び前記電子部品のアライメントマークを撮像する基準カメラと、
前記接合位置とは別の位置において、前記第2の方向から、前記ステージ基準マーク及び前記基板のアライメントマークを撮像するサブカメラと、
前記基準カメラにより撮像された前記ステージ基準マークの画像と、前記サブカメラにより撮像された前記ステージ基準マークの画像に基づいて、前記基準カメラと前記サブカメラの位置関係を求めるカメラ位置算出部と、
前記基準カメラにより撮像された前記電子部品のアライメントマークの画像及び前記サブカメラにより撮像された前記基板のアライメントマークの画像と、前記基準カメラと前記サブカメラの位置関係に基づいて、前記基板と前記電子部品の位置関係を求める補正演算部と、
前記補正演算部により算出された前記基板と前記電子部品の位置関係に基づいて、前記電子部品と前記基板との位置を合わせるように前記駆動機構を制御する機構制御部と、
を有することを特徴とする実装装置。
【請求項2】
前記基準カメラ及び前記サブカメラは、前記基準カメラが前記電子部品のアライメントマークを、前記サブカメラが前記基板のアライメントマークを、同時に撮像することを特徴とする請求項1記載の実装装置。
【請求項3】
前記基準カメラ及び前記サブカメラは、前記基準カメラが前記ヘッド基準マークを、前記サブカメラが前記ステージ基準マークを、同時に撮像することを特徴とする請求項1記載の実装装置。
【請求項4】
前記基準位置検出用プレートは、透明な材質により形成され、
前記ステージ基準マークは、前記基準位置検出用プレートの表裏から撮像可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の実装装置。
【請求項5】
対向する第1の方向及び第2の方向から撮像可能なステージ基準マークが設けられた基準位置検出用プレートが固定されたステージに基板を保持し、
ヘッド基準マークが設けられ、電子部品を前記基板に圧着する圧着ヘッドが、接合位置において前記電子部品を保持し、
基準カメラが、前記接合位置において前記第1の方向から前記ステージ基準マークを撮像し、前記第1の方向から前記ヘッド基準マークを撮像し、
サブカメラが、前記第2の方向から、前記ステージ基準マークを撮像し、
カメラ位置算出部が、前記基準カメラにより撮像された前記ステージ基準マークの画像と、前記サブカメラにより撮像された前記ステージ基準マークの画像に基づいて、前記基準カメラと前記サブカメラの位置関係を求め、
補正演算部が、前記基準カメラにより撮像された前記電子部品のアライメントマークの画像及び前記サブカメラにより撮像された前記基板のアライメントマークの画像と、前記基準カメラと前記サブカメラの位置関係に基づいて、前記基板と前記電子部品の位置関係を求め、
駆動機構が、前記基板と前記電子部品の位置関係に基づいて、前記電子部品と前記基板との位置を合わせるように、前記圧着ヘッドに対する前記ステージの相対位置を変える、
ことを特徴とする実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装装置及び実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ステージに保持されたパネルに対して、圧着ヘッドに保持された電子部品を圧着して接合する際には、それぞれのアライメントマークを撮像して、これを基準として両者を位置合わせする必要がある。例えば、パネルと電子部品が透過的でない場合には、パネルのアライメントマーク、電子部品のアライメントマークを、対向するパネルと電子部品の間に進入した上下二視野カメラにより撮像し、得られた画像からパネルと電子部品の位置を検出して接合する方式が広く実施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、各部の位置、形状、姿勢などは、時間の経過に従って徐々に変化する。このような変化を以下、ドリフトと呼ぶ。上記のような接合方式の場合、このドリフトの影響を受けて、パネルに対して正確な位置に電子部品を接合することができない場合が生じる。
【0005】
まず、上下2視野カメラによる撮像は、パネルと電子部品に平行に進入して撮像しないと、パネルと電子部品の位置を正確に検出することができない。また、圧着ヘッドは、パネルと電子部品の間に上下二視野カメラが進入できるだけの距離を離間しなければならず、この離間距離分圧着ヘッドが正確に垂直に下降しないと、接合位置に対してずれた位置で接合してしまう。さらに、パネルが載置されたステージは、周囲の温度等による変形や圧着ヘッドとの距離の変動等により、目的とする位置に位置決めすることが出来ない。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ドリフトの影響を抑えて、電子部品を基板の正確な位置に実装できる実装装置及び実装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、電子部品を基板に実装する実装装置であって、前記基板を保持するステージと、前記ステージに固定され、対向する第1の方向及び第2の方向から撮像可能なステージ基準マークが設けられた基準位置検出用プレートと、ヘッド基準マークが設けられ、接合位置において前記電子部品を保持して、前記電子部品を前記基板に圧着する圧着ヘッドと、前記圧着ヘッドに対する前記ステージの相対位置を変えることにより、前記電子部品と前記基板とを位置合わせする駆動機構と、前記接合位置において、前記第1の方向から前記ステージ基準マークを撮像し、前記第1の方向から前記ヘッド基準マーク及び前記電子部品のアライメントマークを撮像する基準カメラと、前記接合位置とは別の位置において、前記第2の方向から、前記ステージ基準マーク及び前記基板のアライメントマークを撮像するサブカメラと、前記基準カメラにより撮像された前記ステージ基準マークの画像と、前記サブカメラにより撮像された前記ステージ基準マークの画像に基づいて、前記基準カメラと前記サブカメラの位置関係を求めるカメラ位置算出部と、前記基準カメラにより撮像された前記電子部品のアライメントマークの画像及び前記サブカメラにより撮像された前記基板のアライメントマークの画像と、前記基準カメラと前記サブカメラの位置関係に基づいて、前記基板と前記電子部品の位置関係を求める補正演算部と、前記補正演算部により算出された前記基板と前記電子部品の位置関係に基づいて、前記電子部品と前記基板との位置を合わせるように前記駆動機構を制御する機構制御部と、を有する。
【0008】
実施形態の実装方法は、対向する第1の方向及び第2の方向から撮像可能なステージ基準マークが設けられた基準位置検出用プレートが固定されたステージに基板を保持し、ヘッド基準マークが設けられ、電子部品を前記基板に圧着する圧着ヘッドが、接合位置において前記電子部品を保持し、基準カメラが、前記接合位置において前記第1の方向から前記ステージ基準マークを撮像し、前記第1の方向から前記ヘッド基準マークを撮像し、サブカメラが、前記第2の方向から、前記ステージ基準マークを撮像し、カメラ位置算出部が、前記基準カメラにより撮像された前記ステージ基準マークの画像と、前記サブカメラにより撮像された前記ステージ基準マークの画像に基づいて、前記基準カメラと前記サブカメラの位置関係を求め、補正演算部が、前記基準カメラにより撮像された前記電子部品のアライメントマークの画像及び前記サブカメラにより撮像された前記基板のアライメントマークの画像と、前記基準カメラと前記サブカメラの位置関係に基づいて、前記基板と前記電子部品の位置関係を求め、駆動機構が、前記基板と前記電子部品の位置関係に基づいて、前記電子部品と前記基板との位置を合わせるように、前記圧着ヘッドに対する前記ステージの相対位置を変える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実装装置によれば、ドリフトの影響を抑えて、電子部品を基板の正確な位置に実装できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態の圧着対象となる基板及び電子部品を示す斜視図である。
【
図3】実装装置のステージ及び圧着ヘッドを示す平面図である。
【
図4】実装装置による実装手順を示すフローチャートである。
【
図5】基準カメラによるステージ基準マークの撮像を示す側面図(A)、平面図(B)、サブカメラと基準カメラによるステージ基準マーク及びヘッド基準マークの撮像を示す側面図(C)、平面図(D)である。
【
図6】基準カメラとサブカメラによるL側のアライメントマークの撮像を示す側面図(A)、平面図(B)、R側のアライメントマークの撮像を示す側面図(C)、平面図(D)である。
【
図7】基準カメラとサブカメラの位置関係(A)、アライメントマークの位置関係(B)、ヘッド基準マークHMと電子部品2の中心位置との位置関係(C)の算出原理を示す説明図である。
【
図8】基板と圧着ヘッドとのθ方向の位置合わせの原理を示す説明図(A)、XY方向の位置合わせの原理を示す説明図(B)である。
【
図9】基板のアライメントマークの中点を、電子部品のアライメントマークの中点に一致するよう位置決めする際のステージ、圧着ヘッドおよびバックアップ部の動作を示す説明図であって、ステージおよび圧着ヘッドの上昇を示す側面図(A)、ステージが接合位置に進入することを示す側面図(B)、ステージの下降とバックアップ部の移動を示す側面図(C)である。
【
図10】圧着ヘッドが電子部品を保持する動作を示す説明図である。
【
図11】圧着ヘッドが電子部品を保持する動作を示す説明図である。
【
図12】圧着ヘッドおよびバックアップ部の両方から挟まれない範囲が発生する状態を示す模式図であって、電子部品が圧着ヘッドの加圧面からはみ出した状態(A)、電子部品が圧着ヘッドの加圧面からはみ出していない状態(B)を示す模式図である。
【
図13】ステージをθ回転させる際のステージの動作の変形例を示す説明図であって、ステージ回動量を算出し、算出した回動量で回転後に基板のアライメントマークが撮像範囲から外れた状態を示す説明図(A)、撮像範囲から外れた基板のアライメントマーク位置を補正した状態を示す説明図(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態(以下、本実施形態と呼ぶ)について、図面を参照して具体的に説明する。なお、図面は模式図であって、各部のサイズ、比率等は、理解を容易にするために誇張している部分を含んでいる。
【0012】
[圧着対象]
図1を参照して、本実施形態による実装のための圧着対象となる基板1及び電子部品2と、ACF3について説明する。基板1は、有機ELディスプレイ等の表示領域を有する表示パネルである。本実施形態の表示パネルは、単一の電子部品2が圧着される。但し、より大きな表示パネルであって、複数の電子部品2が圧着される場合もある。基板1の一方の面には、一辺に沿って導電性を有する部分である電極が設けられている。この電極が設けられた面が、電子部品2に対向し、圧着される面である。さらに、基板1の電極が設けられた面には、電極が沿う一辺の両端の近傍に、一対のアライメントマークPML、PMRが設けられている。
【0013】
電子部品2は、基板1にACF3を介して接合される部品である。電子部品2としては、IC、COF、FPCを用いる。電子部品2の一方の面には、導電性を有する部分である電極が設けられている。この電極が設けられた面が、基板1に対向し、圧着される面である。さらに、電子部品2の電極が設けられた面には、両端の近傍に、一対のアライメントマークEML、EMRが設けられている。
【0014】
ACF3は、異方性導電部材であり、基材に導電粒子を分散させ、膜状としたフィルムである。基材としては、加熱により硬化する熱硬化性樹脂が用いられる。ACF3は、加熱圧着により、電子部品2と基板1との電気的接続と機械的接続を実現できる。本実施形態においては、基板1の電極に、ACF3が貼付された状態で、実装装置10に搬入される。なお、
図2~
図6では、ACF3の図示は省略している。
【0015】
[構成]
本実施形態の実装装置10の構成を、
図2及び
図3を参照して説明する。実装装置10は、電子部品2を基板1に位置決めして仮圧着するための装置であるが、本圧着の場合にも適用することができる。つまり、電子部品2に対する基板1への最終的な固定となる本圧着の場合も、その前の仮圧着も実装と呼ぶ。
【0016】
なお、
図2及び
図3において、実装装置10による圧着方向をZ方向、Z方向に直交する平面において、互いに直交する方向をX方向、Y方向とする。Y方向は、図視において左右方向であり、左側を手前、右側を奥とも言う。Z方向が鉛直方向となるように、実装装置10が設置された場合、XY平面は水平面となる。この場合、Z方向は高さ方向であり、設置面側を下、反対側を上と呼ぶ。また、XY平面に平行な回転方向をθ方向とする。さらに、
図2中、白塗りの矢印で示す側を正面として、正面から見て左方をL側、右方がR側とする。つまり、
図3において、X方向で図視上側がL側、下側がR側となる。実装装置10は、支持部20、圧着部30、基準カメラ40、サブカメラ50、制御装置100を有する。
【0017】
[支持部]
支持部20は、基板1を支持する装置である。支持部20は、ステージ21、基準位置検出用プレート22、駆動機構23を有する。
【0018】
(ステージ)
ステージ21は基板1を保持する。より具体的には、ステージ21は、基板1を水平方向に支持する平坦な矩形の台である。ステージ21には、図示はしないが、真空源に接続された複数の穴が形成されている。これにより、ステージ21は、基板1を吸着保持可能に構成されている。基板1は、電子部品2が圧着される領域が、ステージ21の縁部から突出するように保持される。本実施形態では、ステージ21は、基板1を、アライメントマークPML、PMRがX方向に並び、下方に向かうように吸着保持する。ステージ21に保持された基板1は、アライメントマークPMLがL側、アライメントマークPMRがR側となる。
【0019】
(基準位置検出用プレート)
基準位置検出用プレート22は、ステージ21に固定され、対向する第1の方向と第2の方向から撮像可能なステージ基準マークSMが設けられている。基準位置検出用プレート22は、透明な材質による矩形の板体である。透明とは、表裏の面を透過して撮像可能な程度に、光を透過することをいう。ステージ基準マークSMは、透明な板体に対して区別可能なマークである。つまり、ステージ基準マークSMは、基準位置検出用プレート22の表裏から撮像可能である。例えば、十字形のマークをステージ基準マークSMとする。本実施形態では、第1の方向は下方から上方に向かう方向であり、ステージ21、基準位置検出用プレート22の上面に向かう方向をいう。第2の方向は上方から下方に向かう方向であり、ステージ21、基準位置検出用プレート22の下面に向かう方向をいう。ステージ基準マークSMは、基準位置検出用プレート22の上下の面から撮像することができる。
【0020】
基準位置検出用プレート22は、ステージ21の基板1を保持する位置の隣に、ステージ基準マークSMを付した部分が、基板1が突出するステージ21の縁部と共通の縁部から突出するように、ステージ21に固定されている。
【0021】
(駆動機構)
駆動機構23は、後述する圧着ヘッド31に対するステージ21の相対位置を変えることにより、電子部品2と基板1とを位置合わせする。駆動機構23は、ステージ21をX方向、Y方向、Z方向およびθ方向に移動させる装置である。駆動機構23は、θ方向に移動(回転)する際の回転中心23cを有する。例えば、サーボモータを駆動源とする直動機構及び回転機構によって駆動されるXYZθ軸ステージ機構を、駆動機構23として用いることができる。なお、駆動機構23には、XYZθ軸にリニアスケール(リニアエンコーダ)、ロータリースケール(ロータリーエンコーダ)等の検出部231が設けられ、XYZθ方向の移動量を検出、制御可能な構成となっている。
【0022】
[圧着部]
圧着部30は、基板1に対して、電子部品2を圧着する。圧着部30は、基板1に貼付されたACF3を介して、電子部品2を加熱圧着することにより、電子部品2を基板1に対して仮接合(仮圧着)、あるいは、基板1及び電子部品2の電極が電気的に接続されるとともに、両者が接着される(本接合、本圧着)。圧着部30は、圧着ヘッド31、ヘッド移動機構32、バックアップ部33を有する。
【0023】
(圧着ヘッド)
圧着ヘッド31は、電子部品2を保持して、電子部品2を基板1に圧着する。圧着ヘッド31によって、電子部品2が基板1に圧着される位置が接合位置RPである。詳しくは、圧着ヘッド31が電子部品2を基板1に圧着する動作を行い、基板1と電子部品2を接合する位置が接合位置RPである。なお、本実施形態では、接合位置RPは、基板1と電子部品2を接合する際の基準となる点の座標(XRP, YRP, ZRP)を通るZ軸に平行な直線を指す。なお、座標の値は、設計上の値である。また、接合高さRhとは、電子部品2と基板1とが接合する際の電子部品2の接合面の高さ、あるいは、電子部品2と基板1とが接合する際の基板1の接合面の高さを指す。接合高さRhは、前記座標(XRP, YRP, ZRP)の高さを目標に位置付けられたときの高さである。
【0024】
圧着ヘッド31は、直方体形状のブロックである。圧着ヘッド31の底面に形成された突出部分に、電子部品2を保持する平坦な加圧面が水平に設けられている。加圧面には、図示はしないが、真空源に接続された複数の穴が形成されている。これにより、圧着ヘッド31は、電子部品2を吸着保持可能に構成されている。圧着ヘッド31の加圧面には電子部品2の保持位置があり、この保持位置には設計上の電子部品2の保持中心がある。この保持中心を目標に電子部品2の中心が位置付けられるよう、圧着ヘッド31は電子部品2を保持する。例えば、搬送アームAMが電子部品2を圧着ヘッド31における加圧面の下方に搬送する(
図10、
図11参照)。搬送アームAMによって搬送された電子部品2を圧着ヘッド31が保持する。
【0025】
本実施形態では、圧着ヘッド31は、電子部品2を、アライメントマークEML、EMRがX方向に並び、下方に向かうように吸着保持する。圧着ヘッド31に保持された電子部品2は、アライメントマークEMLがL側、アライメントマークEMRがR側となる。さらに、圧着ヘッド31は、図示しない加熱部によって加熱される。加熱部は、例えば、電圧の印加により発熱するヒータを用いる。
【0026】
また、圧着ヘッド31には、ヘッド基準マークHMが設けられている。ヘッド基準マークHMは、圧着ヘッド31の底面の、加圧面の近傍に設けられている。本実施の形態では、ヘッド基準マークHMは、圧着ヘッド31の加圧面よりもZ方向において負の方向に位置している。つまり、ヘッド基準マークHMは、圧着ヘッド31の加圧面よりも下方に突出している。このようにすることで、圧着ヘッド31が電子部品2を保持した際に、ヘッド基準マークHMの高さが電子部品2のアライメントマークEML、EMRと同じ高さとなる。ヘッド基準マークHMは、圧着ヘッド31の表面に対して区別可能なマークである。例えば、十字形のマークをヘッド基準マークHMとする。
【0027】
(ヘッド移動機構)
ヘッド移動機構32は、圧着ヘッド31を基板1に接離する方向に移動させる。本実施形態のヘッド移動機構32は、圧着ヘッド31をZ方向に移動させる。圧着ヘッド31は、圧着方向にのみ移動可能に設けられ、ドリフトを抑える構成となっている。ヘッド移動機構32は、例えば、モータによって駆動されるボールねじ機構を有する直動ガイドである。
【0028】
(バックアップ部)
バックアップ部33は、圧着ヘッド31との間で、電子部品2及び基板1を挟持する。バックアップ部33は、圧着ヘッド31の加圧面に対向する面が平坦な支持面を有する。バックアップ部33は、図示しない駆動機構によって、支持面が接合位置RPに移動した基板1の下面と同一高さとなる位置で、基板1を支持する位置と、後述する基準カメラ40の撮像を妨げない位置をY方向に移動可能に設けられている。また、図示しないが、バックアップ部33は、内蔵された加熱部によって加熱される。加熱部は、例えば、電圧の印加により発熱するヒータを用いる。
【0029】
[基準カメラ]
基準カメラ40は、第1の方向から、ステージ基準マークSM、ヘッド基準マークHM及び電子部品2のアライメントマークEMR、EMLを撮像する。本実施形態の基準カメラ40は、下方から、基準位置検出用プレート22、圧着ヘッド31、電子部品2を撮像する。基準カメラ40は、駆動機構41によって、接合位置RPの下方を通るXY方向に移動可能に設けられている。例えば、サーボモータを駆動源とするボールねじ機構によって駆動されるXYガイド機構を、駆動機構41として用いることができる。駆動機構41には、リニアスケール(リニアエンコーダ)等の検出部411が設けられ、XY方向の移動量を検出、制御可能な構成となっている。基準カメラ40は、ドリフトの影響を抑えて、電子部品2を基板1に実装するために、制御装置100が基準カメラ40とサブカメラ50の位置関係および基板1と電子部品2の位置関係を求める際の基準となる。
【0030】
ここで、本実施形態において、設計上の座標と、基準カメラ40を基準とした座標が登場する。そこで、設計上の座標について説明する際はXYZで示し、基準カメラ40を基準とした座標について説明する際はxyzで示す。
【0031】
[サブカメラ]
サブカメラ50は、接合位置RPとは別の位置において、第2の方向から、ステージ基準マークSM及び基板1のアライメントマークPMR、PMLを撮像する。本実施形態のサブカメラ50は、上方から、基準位置検出用プレート22、基板1を撮像する。サブカメラ50は、駆動機構51によって、XY方向に移動可能に設けられている。例えば、サーボモータを駆動源とするボールねじ機構によって駆動されるXYガイド機構を、駆動機構51として用いることができる。駆動機構51には、リニアスケール(リニアエンコーダ)等の検出部511が設けられ、XY方向の移動量を検出、制御可能な構成となっている。
【0032】
[制御装置]
制御装置100は、実装装置10を制御する装置である。この制御装置100は、例えば、専用の電子回路若しくは所定のプログラムで動作するコンピュータ等によって構成される。つまり、制御装置100は、ステージ21の駆動機構23、圧着ヘッド31のヘッド移動機構32、加熱部、バックアップ部33の加熱部、基準カメラ40、駆動機構41、サブカメラ50、駆動機構51等を作動させることにより、実装装置10の動作を制御する。
【0033】
制御装置100には、加熱部の加熱温度、駆動機構23、ヘッド移動機構32、基準カメラ40、駆動機構41、サブカメラ50、駆動機構51の動作タイミング、動作量などを制御するプログラムが記憶されている。制御装置100は、PLCやCPUなどの処理装置によりプログラム及びデータを読み出して実行することにより、各部の制御を行う。プログラムやデータの変更により、圧着対象となる基板1、電子部品2及びACF3の多種多様な仕様に対応可能である。
【0034】
本実施形態の制御装置100は、カメラ位置算出部110、補正演算部120、機構制御部130を有する。カメラ位置算出部110は、基準カメラ40により撮像されたステージ基準マークSMの画像と、サブカメラ50により撮像されたステージ基準マークSMの画像に基づいて、基準カメラ40とサブカメラ50の位置関係を求める。
【0035】
補正演算部120は、基準カメラ40により撮像された電子部品2のアライメントマークEMR、EMLの画像及びサブカメラ50により撮像された基板1のアライメントマークPMR、PMLの画像と、基準カメラ40とサブカメラ50の位置関係に基づいて、基板1と電子部品2の位置関係を求める。
【0036】
機構制御部130は、補正演算部120により算出された基板1と電子部品2の位置関係に基づいて、電子部品2と基板1との位置を合わせるように駆動機構23を制御する。また、機構制御部130は、カメラ位置算出部110による演算、補正演算部120による演算のための各部の移動、基板1と電子部品2との圧着のための各部の移動を制御する。
【0037】
なお、図示はしないが、制御装置100は、本実施形態の制御に必要な情報を記憶する記憶部、情報を入力する入力部、情報を出力する出力部を有する。
【0038】
[動作]
本実施形態の動作例を、
図1から
図3に加えて、
図4~
図8を参照して説明する。
図4は、実装装置10の動作手順を示すフローチャートである。ステージ21は、ACF3が貼付され、アライメントマークPMR、PMLが設けられた面が上を向き、圧着部30側に突出するように基板1を支持し、負圧により吸着保持している。また、圧着ヘッド31は、アライメントマークEMR、EMLが設けられた面が下を向くように、電子部品2を負圧により吸着保持している。圧着ヘッド31は、初期位置として、設計上の位置であって、保持する電子部品2の中心が接合位置RPを目標にして位置付けられ、保持する電子部品2がステージ21に保持される基板1と干渉しない高さ位置に位置付けられている。つまり、圧着ヘッド31は、基板1と干渉しない高さであって、保持する電子部品2の中心が接合位置RPの直上となる位置を目標にして位置付けられている。なお、初期位置は待機位置と呼んでも良く、本願において両者は同義である。
【0039】
バックアップ部33は、圧着ヘッド31直下から退避している。基準カメラ40は、初期位置としてバックアップ部33が圧着ヘッド31直下にいても干渉しないだけ離れた位置であって、基準カメラ40の基準位置(例えば撮像中心)が接合位置RPを目標にして位置付けられる。サブカメラ50は、初期位置として、RPよりY方向に所定距離、例えば、圧着ヘッド31が接合位置RPにいても干渉しないだけの距離離れた位置に位置付けられている。
【0040】
まず、
図5(A)、(B)に示すように、ステージ21が移動して、基準位置検出用プレート22のステージ基準マークSMを、接合位置RPを目標にして位置付け、基準カメラ40がステージ基準マークSMを撮像する(ステップS101)。なお、ステージ21にはドリフトの影響があるものの、ステージ21の移動距離は、リニアエンコーダ(検出部231)によって正確に検出される。よって、実際に移動した距離は、設計上の移動距離(目標距離)と差がないと見なせる。
【0041】
基準カメラ40がステージ基準マークSMを撮像する際、基準カメラ40には、ドリフトの影響がある。そのため、基準カメラ40の基準位置(撮像中心)と接合位置RPにおける基板1と電子部品2を接合する際の基準となる点は、xy方向において一致しないおそれがある。また、ステージ21が接合位置RPを目標にして位置付けられた場合、設計上は、ステージ基準マークSMの中心および接合位置RPにおける基板1と電子部品2を接合する際の基準となる点は、XY方向において同じ位置となる。しかし、ドリフトの影響があるため、ステージ基準マークSMの中心および接合位置RPにおける基板1と電子部品2を接合する際の基準となる点は、xy方向において同じ位置とはならないおそれがある。
【0042】
次に、
図5(C)、(D)に示すように、ステージ21が移動して、基準位置検出用プレート22のステージ基準マークSMを、サブカメラ50の直下に位置付ける。また、圧着ヘッド31が電子部品2を基板1との接合高さRhまで移動(下降)する。そして、基準カメラ40がヘッド基準マークHMの直下を目標にして移動する。この状態で、サブカメラ50が、ステージ基準マークSMを撮像する。同時に、基準カメラ40が、ヘッド基準マークHMを撮像する(ステップS102)。圧着ヘッド31を接合高さRhで撮像することで、接合時の位置(xy方向)を再現することになり、下降移動の誤差が含まれない位置検出が可能となる。
【0043】
カメラ位置算出部110は、基準カメラ40によるステージ基準マークSMの撮像画像と、サブカメラ50が撮像したステージ基準マークSMの撮像画像と、検出部231により検出されるステージ21の移動量とに基づいて、ステージ基準マークSMを基準として、基準カメラ40とサブカメラ50との位置関係を求める(ステップS103)。ステージ基準マークSMは、透明な基準位置検出用プレート22に設けられ、基準カメラ40及びサブカメラ50の双方によって撮像できるため、共通のステージ基準マークSMの位置を基準として、基準カメラ40とサブカメラ50との位置関係を求めることができる。
【0044】
ここで、位置関係として、基準カメラ40とサブカメラ50との距離を求める原理を、
図7(A)を参照して説明する。
図7(A)は、基準カメラ40とサブカメラ50の位置関係の算出原理を示す説明図である。
図7(A)における縦線は、左から順に、サブカメラ50の基準位置(撮像中心)を通るZ方向の直線、サブカメラ50の基準位置を目標に位置付けられたステージ基準マークSMの中心を通るZ方向の直線、接合位置RP、基準カメラ40の基準位置(撮像中心)を通るZ方向の直線、接合位置RPを目標に位置付けられたステージ基準マークSMの中心を通るZ方向の直線を表している。
図7(A)の横方向の矢印は、y方向の距離(位置関係)を表している。各々の横線は、設計上の距離、リニアエンコーダ(検出部231あるいは検出部411)により検出された距離、ドリフトの影響による距離が示されている。
【0045】
図7(A)において、基準カメラ40とサブカメラ50にとって共通のステージ基準マークSMを、基準カメラ40により撮像する位置からサブカメラ50により撮像する位置に移動させた場合に、ステージ21の駆動機構23の検出部231により検出された移動量を、DAとする。サブカメラ50と基準カメラ40との距離をDBとする。ドリフトの影響が無ければ、移動量DAと距離DBは同じ値となる。しかし、ステージ21、基準カメラ40およびサブカメラ50は、ドリフトの影響を受ける。そのため、ドリフトの影響によるずれ(距離)が発生する。ドリフトの影響による距離として、以下の2つの距離を定義する。基準カメラ40の基準位置(例えば撮像中心)と、基準カメラ40の画像におけるステージ基準マークSMとの距離をa、サブカメラ50の基準位置(例えば撮像中心)と、サブカメラ50の画像におけるステージ基準マークSMとの距離をbとする。すると、以下の(1)式のようになる。
DB=DA+b-a (1)
このため、DA、a、bからDBを求めることができる。換言すると、DAの移動量を基準としてステージ基準マークSMを介して基準カメラ40とサブカメラ50のxy方向の距離、すなわち位置関係を求めている。
【0046】
ここで、基準カメラ40のドリフト量をdr40、サブカメラ50のドリフト量をdr50、ステージ21のドリフト量をdr21とすると、距離aおよび距離bは、以下の(2)式、(3)式のように表すことができる。
a=dr40+dr21 (2)
b=dr50+dr21 (3)
【0047】
(1)式に(2)式および(3)式を代入すると、以下の(4)式のようになる。
DB=DA+dr50-dr40 (4)
つまり、距離DBは、ステージ21の駆動機構23の検出部231により検出された移動量DAに、基準カメラ40のドリフト量dr40およびサブカメラ50のドリフト量dr50を反映させた距離である。つまり、サブカメラ50と基準カメラ40との距離DBは、基準カメラ40のドリフト量dr40およびサブカメラ50のドリフト量dr50を反映させた距離である。
【0048】
なお、距離aおよび距離bを求める際には、基準カメラ40あるいはサブカメラ50における基準位置(撮像中心)の座標を原点とすることが好ましい。このようにすることで、距離aあるいは距離bは、基準カメラ40の画像あるいはサブカメラ50の画像において、ステージ基準マークSMの座標のy方向の値として算出できる。また、算出結果によっては、距離aあるいは距離bがマイナスの値となる。しかし、マイナスの値でも、上記(1)式にそのまま当てはめる。なお、この位置関係は、水平面上のxy座標の位置である。上記の説明は、y方向の位置についてであるが、x方向についても同様である。
【0049】
実際には、設計上のサブカメラ50の基準位置と基準カメラ40の基準位置との距離をDAとしてステージ21を駆動機構23によって移動させる。つまり、DAは目標距離と言うことになる。この移動距離は、リニアエンコーダ(検出部231)によって正確に検出される。よって、実際に移動した距離は、設計上の移動距離(目標距離)と差がないと見なせる。したがって、本実施の形態では、上記のように、所定の位置で離間する二つのカメラ間の位置関係は、一つのマーク(ステージ基準マークSM)を二つのカメラ間で移動させて、それぞれのカメラで撮像し、その撮像結果から、ステージ基準マークSMの移動距離を基準としてサブカメラ50と基準カメラ40との距離DBを求める。
【0050】
例えば、設計上のDAの距離に相当する2カ所にステージ基準マークSMを設けた基準位置検出用プレート22を用意して、基準カメラ40とサブカメラ50とでそれぞれの撮像位置で同時に撮像できるステージ基準マークSMの画像から、両者の位置関係を求めるのと、実用上は差がない等価の位置関係を求めることができる。これにより、本実施の形態では、2カ所にステージ基準マークSMを設けた基準位置検出用プレート22を用意する必要がなく、実装運転の時に邪魔になるような部材を設ける必要がなくなる。
【0051】
次に、以上のようにして求めた、基準カメラ40とサブカメラ50との距離DBから、基板1のアライメントマークPMLを、電子部品2のアライメントマークEMLに合わせるためのステージ21の移動量DEを求める原理を、
図7(B)を参照して説明する。
図7(B)は、アライメントマークの位置関係の算出原理を示す説明図である。
図7(B)は、
図7(A)に、基板1のアライメントマークPMLの中心を通るZ方向の直線と電子部品2のアライメントマークEMLの中心を通るZ方向の直線が追加されている。また、アライメントマークPMLの中心、アライメントマークEMLの中心、サブカメラ50の撮像中心および基準カメラ40の撮像中心におけるy方向の位置関係を示す横方向の矢印が追加されている。なお、以下の説明で登場しないものは、二点鎖線で示している。
【0052】
図7(B)において、基準カメラ40の基準位置と、基準カメラ40の画像におけるアライメントマークEMLとの距離をc、サブカメラ50の基準位置と、サブカメラ50の画像におけるアライメントマークPMLとの距離をdとする。すると、以下の(5)式のようになる。
DE=DB-d+c (5)
ここで、圧着ヘッド31のドリフト量をdr
31、基板1の位置ずれ量をMis
1、電子部品2の位置ずれ量をMis
2とすると、距離cおよび距離dは、以下の(6)式、(7)式のように表すことができる。
c=dr
40+dr
31+Mis
2 (6)
d=dr
50+dr
21+Mis
1 (7)
【0053】
(5)式に(4)式、(6)式、(7)式を代入すると、以下の(8)式のようになる。
DE=DA-dr21-Mis1+dr31+Mis2 (8)
したがって、基板1のアライメントマークPMLを、電子部品2のアライメントマークEMLに合わせるためのステージ21の移動量DEは、ステージ21の駆動機構23の検出部231により検出された移動量DAに、ステージ21のドリフト量dr21、基板1の位置ずれ量Mis1、圧着ヘッド31のドリフト量dr31および電子部品2の位置ずれ量Mis2を反映させた距離である。つまり、基板1のアライメントマークPMLを、電子部品2のアライメントマークEMLに合わせるためのステージ21の移動量DEは、ステージ21および圧着ヘッド31のドリフト量dr21、dr31ならびに基板1および電子部品2の位置ずれ量Mis1、Mis2を反映させた距離である。
【0054】
したがって、ステージ21を移動量DEだけ移動させることにより、ステージ21および圧着ヘッド31のドリフト量dr21、dr31ならびに基板1および電子部品2の位置ずれ量Mis1、Mis2を考慮した移動が可能となる。その結果、基板1のアライメントマークPMLと、電子部品2のアライメントマークEMLの位置をドリフトの影響を抑制して合わせることができる。なお、この位置関係は、水平面上のxy座標の位置である。上記の説明は、y方向の位置についてであるが、x方向についても同様である。
【0055】
但し、
図7(B)は、基板1と電子部品2のθ方向の位置合わせについては考慮していない。また、
図7(B)は、基板1のアライメントマークPMLと、電子部品2のアライメントマークEMLが各々1つずつである場合における移動量DEの求め方について説明している。しかしながら、本実施形態においては、基板1のL側とR側に設けられた一対のアライメントマークPML、PMR、電子部品2のL側とR側に設けられた一対のアライメントマークEML、EMRに基づいて、基板1と電子部品2のθ方向及びxy方向の位置合わせを行う。以下、その手順を説明する。
【0056】
ステップS103にて基準カメラ40とサブカメラ50との位置関係を求めたら、
図6(A)、(B)に示すように、基板1における電子部品2との圧着位置の中心(設計上の位置)PC1をサブカメラ50の初期位置に一致するように、駆動機構23によってステージ21を移動させる。前述の通り、ステージ21の移動距離は、リニアエンコーダ(検出部231)によって正確に検出される。つまり、
図5(A)、(B)で示したステージ基準マークSMがあった位置へ基板1における電子部品2との圧着位置の中心PC1を移動させる。同時に、圧着ヘッド31が電子部品2を基板1との接合高さRhまで下げる。この状態で、サブカメラ50が基板1上に移動して、L側のアライメントマークPMLの直上を目標にして位置付けられるとともに、基準カメラ40が移動し、電子部品2のL側のアライメントマークEMLの直下を目標にして位置付けられる。そして、サブカメラ50がアライメントマークPMLを、基準カメラ40がアライメントマークEMLを、同時に撮像する。つまり、L側アライメントマークを同時に撮像する(ステップS104)。なお、サブカメラ50がアライメントマークPMLを撮像する際、ステージ21上の基板1を接合高さRhで撮像することで、接合時の位置(xy方向)を再現することになり、ステージ21の昇降移動による誤差が含まれない位置検出が可能となる。また、基準カメラ40およびサブカメラ50の移動は、リニアエンコーダ(検出部411および検出部511)により正確に検出されるので、実際に移動した距離は、設計上の移動距離(目標距離)と差がないと見なせる。また、後述の変形例に示すように、本実施形態では、サブカメラ50が移動する構成であるが、サブカメラ50を固定として、ステージ21の移動によりサブカメラ50の移動と同様の機能を果たすことができる。
【0057】
図6(C)、(D)に示すように、サブカメラ50が移動して、基板1のR側のアライメントマークPMRの直上を目標にして位置付けられるともに、基準カメラ40が移動して、電子部品2のR側のアライメントマークEMRの直下を目標にして位置付けられる。そして、サブカメラ50がアライメントマークPMRを、基準カメラ40がアライメントマークEMRを、同時に撮像する。つまり、R側アライメントマークを同時に撮像する(ステップS105)。なお、ステップS105でもサブカメラ50がアライメントマークPMLを撮像する場合、ステージ21上の基板1を接合高さRhで撮像する。このようにすることで、接合時の位置(xy方向)を再現することになり、ステージ21の昇降移動による誤差が含まれない位置検出が可能となる。
【0058】
補正演算部120は、アライメントマークPML、PMR及びアライメントマークEML、EMRの撮像画像と、ステップS103で求めた基準カメラ40、サブカメラ50の位置関係に基づいて、アライメントマークPML、PMR及びアライメントマークEML、EMRの座標を算出し、基板1の姿勢が電子部品2の姿勢と平行となるステージ21の移動(回動)量を算出する(ステップS106)。そして、機構制御部130は、算出された移動量に基づいて、駆動機構23を制御することにより、ステージ21をθ回転させる(ステップS107)。なお、ステージ21をθ回転させる際には、駆動機構23が有する回転中心23cを中心として、ステージ21を回転させる。ステージ21を回転させたとしても、基準カメラ40とサブカメラ50との距離DBは変わらない。
【0059】
このような回動量の算出による補正を、
図8(A)、(B)を参照して説明する。
図8(A)、(B)において、L側、R側でのサブカメラ50の撮像範囲をそれぞれPAL、PARで示し、L側、R側での基準カメラ40の撮像範囲をそれぞれEAL、EARで示す。また、双方向の矢印は、サブカメラ50、基準カメラ40の移動軸である。補正演算部120は、
図8(A)に示すように、アライメントマークPML、PMRの座標を結ぶ直線と、アライメントマークEML、EMRの座標を結ぶ直線が、平行となるステージ21の回動量を算出する。このように算出された回動量に基づいて、ステージ21が回転中心23cを軸として回動することにより、
図8(B)に示すように、アライメントマークPML、PMRの座標を結ぶ直線と、アライメントマークEML、EMRの座標を結ぶ直線が平行となる。
【0060】
なお、アライメントマークPML、PMRの座標を結ぶ直線の傾き(Δy/Δx)を求める際に、アライメントマークPML、PMRの座標には、サブカメラ50のドリフト量dr50とステージ21のドリフト量dr21が含まれている。例えば、Δyを求める場合、アライメントマークPMLのy座標をyL、アライメントマークPMRのy座標をyRとすると、以下の(9)式のようになる。
Δy=yL-yR (9)
ここで、ドリフトの影響を除いたPMLのy座標をyPML、ドリフトの影響を除いたPMRのy座標をyPMRとすると、yLおよびyRは、以下のように表すことができる。
yL=yPML+dr40+dr21 (10)
yR=yPMR+dr40+dr21 (11)
【0061】
(9)式に(10)式および(11)式を代入すると、以下の(12)式のようになる。
Δy=yPML-yPMR (12)
つまり、サブカメラ50で撮像したアライメントマークPML、PMRの画像からドリフトの影響を抑制したΔyを算出することができる。Δxについても同様の考え方をすると、ドリフトの影響を抑制したΔxを算出することができる。したがって、アライメントマークPML、PMRの座標を結ぶ直線の傾き(Δy/Δx)を求める際に、ドリフトの影響を抑制することができる。
【0062】
なお、アライメントマークEML、EMRの座標を結ぶ直線の傾きを求める場合も同様の考え方で傾きを求めることができるので、アライメントマークEML、EMRの座標を結ぶ直線の傾きを求める際にも、ドリフトの影響を抑制することができる。したがって、ドリフトの影響を抑制した状態で、アライメントマークPML、PMRの座標を結ぶ直線と、アライメントマークEML、EMRの座標を結ぶ直線を平行にすることができる。
【0063】
ステップS107において、アライメントマークPML、PMRの座標を結ぶ直線と、アライメントマークEML、EMRの座標を結ぶ直線とを平行にした後、ステップS104と同様に、アライメントマークPML、EMLを同時に撮像し(ステップS108)、ステップS105と同様に、アライメントマークPMR、EMRを同時に撮像する(ステップS109)。そして、撮像した画像と、ステップS103で求めた基準カメラ40、サブカメラ50の位置関係に基づいて、アライメントマークPML、PMRの中点PC2の座標、アライメントマークEML、EMRの中点ECの座標を求めて、中点PC2と中点ECを一致させるステージ21の移動量を算出する(ステップS110)。つまり、
図8(B)に示すアライメントマークPML、PMRの中点PC2、アライメントマークEML、EMRの中点ECの座標を求めて、中点PC2と中点ECを一致させるステージ21の移動量を算出する。
【0064】
ところで、
図7(B)では、基板1のアライメントマークPMLと、電子部品2のアライメントマークEMLが各々1つずつある場合に、基板1のアライメントマークPMLを、電子部品2のアライメントマークEMLに合わせるためのステージ21の移動量DEを求める方法を説明した。しかし、基板1と電子部品2とでは、熱膨張係数が異なることが多い。また、圧着ヘッド31は加熱部を有するため、基板1と電子部品2とで温度差が生じているおそれもある。このような場合、基板1と電子部品2に各々1個ずつアライメントマークを設けても、熱膨張によるずれに対応出来ない。
【0065】
そこで、本実施形態においては、基板1のL側とR側に設けられた一対のアライメントマークPML、PMR、電子部品2のL側とR側に設けられた一対のアライメントマークEML、EMRに基づいて、基板1を電子部品2に合わせるためのステージ21の移動量を算出する。
【0066】
具体的には、サブカメラ50の初期位置における基準位置(撮像中心)と、アライメントマークPML、PMRの中点PC2の座標との距離を算出する(
図7(B)の距離dに相当)。そして、基準カメラ40が接合位置RPを目標にして位置付けられた際の基準位置(例えば撮像中心)と、アライメントマークEML、EMRの中点ECの座標との距離を算出する(
図7(B)の距離cに相当。)。算出した距離dおよび距離cならびに予め求めておいた基準カメラ40とサブカメラ50との距離DBから、基板1を電子部品2に合わせるためのステージ21の移動量(
図7(B)の移動量DEに相当)を算出する。
【0067】
なお、アライメントマークPML、PMRの中点PC2の座標を求める際、サブカメラ50により撮像され、ドリフトの影響を受けた2つの画像から中点PC2を求めることになる。しかしながら、前述のアライメントマークEML、EMRの座標を結ぶ直線の傾きを求めた時と同様の考え方をすれば、算出した中点PC2の座標にはドリフトの影響が抑制される。同様に、アライメントマークEML、EMRの中点ECの座標もドリフトの影響が抑制される。
【0068】
機構制御部130は、算出された移動量に基づいて、駆動機構23を制御することにより、ステージ21を移動させて、アライメントマークPML、PMRの中点PC2を、アライメントマークEML、EMRの中点ECに一致するよう位置決めする(ステップS111)。なお、
図9(A)に示すように、ステージ21は、ステップS108、109の撮像後、ステージ21が接合高さRhから僅かに(基板1の底面がバックアップ部33に干渉しない高さだけ)上昇するとともに、圧着ヘッド31が、接合高さRhから僅かに上昇した位置にある基板1が接合位置RPに進入できるだけの高さまで上昇する。この状態から、
図9(B)に示すように、ステージ21が算出された移動量分移動して、中点PC2を中点ECの真下に移動させる。
【0069】
そして、
図9(C)に示すように、退避していたバックアップ部33が電子部品2と基板1を圧着する位置に移動する。バックアップ部33の移動後、ステージ21がステップS108の撮像高さに下降する。つまり、ステージ21上の基板1が接合高さRhとなるようステージ21が下降する。ステージ21の下降後、圧着ヘッド31が下降して、電子部品2を基板1に加熱圧着する(ステップS112)。
【0070】
ここで、上記のステップS102においては、サブカメラ50によってステージ基準マークSMを撮像すると同時に、基準カメラ40で、ヘッド基準マークHMを撮像している。これは、ドリフト状態の把握用となる。すなわち、ヘッド基準マークHMがドリフトにより変動してくると、ステップS101より前の工程における圧着ヘッド31が電子部品2を保持する動作において、電子部品2の保持位置がずれる。このとき、電子部品2が圧着ヘッド31の加圧面に保持されるために許容されるxy方向のずれ量には限界がある。
【0071】
例えば、y方向について説明する。
図10に示すように、ヘッド基準マークHMは、圧着ヘッド31の加圧面よりも下方に突出している。そのため、電子部品2を搬送する搬送アームAMにおける電子部品2を圧着ヘッド31に受け渡す位置がy方向において正の方向に変化していく(ドリフトしていく)と、圧着ヘッド31が電子部品2を保持する際に、電子部品2がヘッド基準マークHMと衝突するおそれがある。あるいは、搬送アームAMにおける電子部品2を圧着ヘッド31に受け渡す位置がy方向において負の方向にドリフトしていくと、
図11に示すように、電子部品2が圧着ヘッド31の加圧面からはみ出した状態で圧着ヘッド31に受け渡される。そのため、ステップS101~ステップS111の動作にてドリフトの影響を抑制したとしても、ステップS112において、
図12(A)に示すように、保持位置と電子部品2の位置関係がずれたことにより、圧着ヘッド31およびバックアップ部33の両方から挟まれない範囲Lが発生する。この場合、電子部品2の圧着面の全面に対して均一な押圧が加えられない。この不具合を片押しと呼ぶ。
【0072】
なお、
図12(B)に示すように、圧着ヘッド31の加圧面から電子部品2がはみ出していない場合も、圧着ヘッド31およびバックアップ部33の両方から挟まれない範囲Lが発生する。この場合も電子部品2の圧着面の全面に対して均一な押圧が加えられないので、この状態も片押しと呼ぶ。
【0073】
このように、保持位置と電子部品2の位置関係がずれると、片押しになる等の不具合が生じる。これを防止するために、
図7(C)に示すように、基準カメラ40で撮像した接合高さRh位置でのヘッド基準マークHMの位置を、制御装置100の記憶部が記憶する。これは、基準カメラ40とヘッド基準マークHMの位置関係(
図7(C)の(h))となる。ヘッド基準マークHMと電子部品2の中心位置との位置関係の算出原理について、
図7(C)を用いて説明する。
図7(C)は、
図7(B)に基準カメラ40がヘッド基準マークHMを目標に位置付けられた際の撮像中心を示す縦線と、ヘッド基準マークHMの中心を示す縦線が追加された図である。また、ヘッド基準マークHMの中心、初期位置における基準カメラ40の撮像中心およびヘッド基準マークHMを目標に位置付けられた際の基準カメラ40の撮像中心におけるy方向の位置関係を示す横方向の矢印が追加されている。なお、以下の説明で登場しないものは、二点鎖線で示している。
【0074】
撮像したアライメントマークEMLとEMRの中点ECの位置(
図8(B)参照)と基準カメラ40との位置関係(
図7(C)の(c))および基準カメラ40とヘッド基準マークHMとの位置関係(
図7(C)の(h))から求まる位置関係(
図7(C)の(g))は、ヘッド基準マークHMと電子部品2の中心位置との関係となる。なお、中点ECと電子部品2の中心位置との位置関係が設計上判明している場合、上記関係が成立する。
【0075】
定期的に(h)を認識し、(c)から(g)を算出し、電子部品2の保持位置がドリフトしていないかを確認することができる。(g)及び/または(h)の値自体にしきい値を設けて、一定以上のドリフトが観測されたら、搬送アームAM(
図10、
図11参照)における電子部品2の受け取り位置を補正する。これで、電子部品2が圧着ヘッド31の加圧面に保持されるために許容される値、かつ、片押しが発生しない値に(g)の値も補正される。
【0076】
例えば、(g)の値に対して、第1のしきい値および第2のしきい値を設ける。第1のしきい値は、第2のしきい値よりも小さい値とする。(g)の値が第1のしきい値よりも小さかった場合、
図10に示したような不具合が発生するおそれがある。そのため、(g)の値が第1のしきい値以下となった場合に搬送アームAMにおける電子部品2の受け取り位置を補正する。また、(g)の値が第2のしきい値よりも大きかった場合、
図12で示したような片押しとなる不具合が発生するおそれがある。そのため、(g)の値が第2のしきい値以上となった場合に搬送アームAMにおける電子部品2の受け取り位置を補正する。つまり、(g)の値が第1のしきい値より大きく、第2のしきい値より小さな値の範囲内となっているかを制御装置100が計算する。この範囲内に(g)の値が収まっていない場合、一定以上のドリフトが発生しているとして、搬送アームAMにおける電子部品2の受け取り位置を補正する。
【0077】
実装時の動作は、以下の通りである。すなわち、サブカメラ50によってステージ基準マークSMを撮像すると同時に、基準カメラ40で、ヘッド基準マークHMを撮像している。この時、
図6(C)、(D)に示すように、基準カメラ40は、圧着ヘッド31が接合高さRh位置に下降している状態で、ヘッド基準マークHMの直下を目標にして移動している。この移動は、設計上の接合位置RPと圧着ヘッド31の電子部品2を保持する保持部分の中心とが一致するよう目標にして圧着ヘッド31を位置付けた状態で、設計上の電子部品2の保持部分の中心位置から、ヘッド基準マークHMの位置までの距離を目標にして移動している。この移動距離は、リニアエンコーダによって正確に検出される。つまり、実際に移動した距離は、設計上の移動距離(目標距離)と差がないと見なせる。
【0078】
接合位置RPを目標にして位置付けられたステージ基準マークSMを撮像したのと同じ基準カメラ40で、ヘッド基準マークHMを撮像している。上記のように、基準カメラ40のヘッド基準マークHMを撮像する移動は設計値と見なせるので、この設計値と、基準カメラ40の撮像中心からのヘッド基準マークHMのずれ量(
図7(C)の(k))から、接合位置RPを目標にして位置付けられたステージ基準マークSMを撮像したのと同じ基準カメラ40の撮像中心とヘッド基準マークHMとの距離(
図7(C)の(h))を算出することができる。したがって、撮像したアライメントマークEMLとEMRの中点ECの位置と基準カメラ40との位置関係(
図7(C)の(c))およびヘッド基準マークHMと基準カメラ40との位置関係(
図7(C)の(h))からヘッド基準マークHMと電子部品2の中心位置との関係(
図7(C)の(g))が算出できる。
【0079】
なお、サブカメラ50によってステージ基準マークSMを撮像すると同時に、基準カメラ40で、ヘッド基準マークHMを撮像しているので、ステージ21の移動や基準カメラ40の移動による振動等の影響を排除することができる。
【0080】
[効果]
(1)本実施形態は、電子部品2を基板1に実装する実装装置10であって、基板1を保持するステージ21と、ステージ21に固定され、対向する第1の方向及び第2の方向から撮像可能なステージ基準マークSMが設けられた基準位置検出用プレート22と、ヘッド基準マークHMが設けられ、接合位置RPにおいて電子部品2を保持して、電子部品2を基板1に圧着する圧着ヘッド31と、圧着ヘッド31に対するステージ21の相対位置を変えることにより、電子部品2と基板1とを位置合わせする駆動機構23と、接合位置RPにおいて、第1の方向からステージ基準マークSMを撮像し、第1の方向からヘッド基準マークHM及び電子部品2のアライメントマークEML、EMRを撮像する基準カメラ40と、接合位置RPとは別の位置において、第2の方向から、ステージ基準マークSM及び基板1のアライメントマークPML、PMRを撮像するサブカメラ50とを有する。
【0081】
そして、実装装置10は、基準カメラ40により撮像されたステージ基準マークSMの画像と、サブカメラ50により撮像されたステージ基準マークSMの画像に基づいて、基準カメラ40とサブカメラ50の位置関係を求めるカメラ位置算出部110と、基準カメラ40により撮像された電子部品2のアライメントマークEML、EMRの画像及びサブカメラ50により撮像された基板1のアライメントマークPML、PMRの画像と、基準カメラ40とサブカメラ50の位置関係に基づいて、基板1と電子部品2の位置関係を求める補正演算部120と、補正演算部120により算出された基板1と電子部品2の位置関係に基づいて、電子部品2と基板1との位置を合わせるように駆動機構23を制御する機構制御部130と、を有する。
【0082】
本実施形態の実装方法は、対向する第1の方向及び第2の方向から撮像可能なステージ基準マークSMが設けられた基準位置検出用プレート22が固定されたステージ21に基板1を保持し、ヘッド基準マークHMが設けられ、電子部品2を基板1に圧着する圧着ヘッド31が、接合位置RPにおいて電子部品2を保持し、基準カメラ40が、接合位置RPにおいて第1の方向からステージ基準マークSMを撮像し、第1の方向からヘッド基準マークHMを撮像し、サブカメラ50が、第2の方向からステージ基準マークSMを撮像する。
【0083】
そして、本実施形態の実装方法は、カメラ位置算出部110が、基準カメラ40により撮像されたステージ基準マークSMの画像と、サブカメラ50により撮像されたステージ基準マークSMの画像に基づいて、基準カメラ40とサブカメラ50の位置関係を求め、補正演算部120が、基準カメラ40により撮像された電子部品2のアライメントマークEML、EMRの画像及びサブカメラ50により撮像された基板1のアライメントマークPML、PMRの画像と、基準カメラ40とサブカメラ50の位置関係に基づいて、基板1と電子部品2の位置関係を求め、駆動機構23が、基板1と電子部品2の位置関係に基づいて、電子部品2と基板1との位置を合わせるように、圧着ヘッド31に対するステージ21の相対位置を変える。
【0084】
このように、対向する2方向から撮像可能な共通のステージ基準マークSMを基準として、基準カメラ40とサブカメラ50の位置関係を求めて、この位置関係からステージ21に保持された基板1と、圧着ヘッド31に保持された電子部品2とを位置決めできる。このため、基準カメラ40、サブカメラ50、ステージ21、圧着ヘッド31の移動によるドリフトの影響を抑えて、正確な位置決めが可能となる。
【0085】
(2)基準カメラ40及びサブカメラ50は、基準カメラ40が電子部品2のアライメントマークEML、EMRを、サブカメラ50が基板1のアライメントマークPML、PMRを、同時に撮像する。このため、電子部品2のアライメントマークEML、EMRと、基板1のアライメントマークPML、PMRとの撮像タイミングのずれによるドリフトの影響を受けることがない。
【0086】
(3)基準カメラ40及びサブカメラ50は、基準カメラ40がヘッド基準マークHMを、サブカメラ50がステージ基準マークSMを同時に撮像する。このため、ヘッド基準マークHMと、ステージ基準マークSMとの撮像タイミングのずれによるドリフトの影響を受けることがない。
【0087】
(4)基準位置検出用プレート22は、透明な材質により形成され、ステージ基準マークSMは、基準位置検出用プレート22の表裏から撮像可能に設けられている。このため、基準カメラ40とサブカメラ50によって、共通のステージ基準マークSMを撮像できる。
【0088】
[変形例]
(1)実装装置10の設置方向、ステージ21の移動方向や、圧着ヘッド31の圧着方向は、上記の態様には限定されない。例えば、ステージ21と圧着ヘッド31は、上下方向が逆であってもよい。
【0089】
(2)ステージ基準マークSM、ヘッド基準マークHM、アライメントマークPML、PMR、EML、EMRは、印刷、刻印などの溝穴、貫通孔、突起であってもよいし、基板1、電子部品2、圧着ヘッド31、基準位置検出用プレート22の角など、それぞれの部材の一部であってもよい。基準位置検出用プレート22は、ステージ基準マークSMを基準カメラ40で撮像できる位置に位置付けることができ、第1の方向と第2の方向から撮像できればよいので、透明である必要はなく、表裏の同じ位置にステージ基準マークSMが形成されていてもよい。例えば、表裏に貫通する同時に加工された孔であれば、精度の高い同じ位置のマークとできる。
【0090】
(3)上記の説明では、
図4で示したように、ステップS101~S103の処理は、実装が行われる毎に実施されているが、必ずしもその必要はなく。起動時のみ、あるいは定期的に実施するだけでもよい。
【0091】
(4)ヘッド基準マークHMを接合位置RPのY軸の+側としたが、接合位置のX軸上としてもよい。基準カメラ40は、電子部品2の2点のアライメントマークEML、EMRを撮像するために、X移動可能にできている。ヘッド基準マークHMがY軸の+側だと、Y軸移動機構が必要となるが、接合位置RPのX軸上だと、X軸移動だけで撮像できる。このため、精度の向上、コストの低減ができる。
【0092】
(5)サブカメラ50を、アライメントマークPML、PMRに移動するように設けているが、固定として精度を高めてもよい。アライメントマークPML、PMRの移動は、ステージ21の移動によって兼用されるので、移動機構がなく簡素となり、コストの低減になる。
【0093】
(6)バックアップ部33を透過部材とし、バックアップ部33を透過して基準カメラ40で撮像しても良い。これにより、バックアップ部33の移動機構を必要とせず、簡素化、低コスト化になる。
【0094】
(7)バックアップ部33と同じX軸上に基準カメラ40を配置しても良い。この場合、バックアップ部33と基準カメラ40とを一体的に移動する構成とすることで、コストを低減することができる。
【0095】
(8)前述の実施形態では、基準カメラ40の基準位置(撮像中心)を基準(原点)として移動量DEを算出したが、ヘッド基準マークHMを基準(原点)としてもよい。圧着ヘッド31は、Z方向へ移動するための軸のみ有している。そのため、基準カメラ40よりもドリフトの影響が少ない。したがって、ドリフトの影響を補正する場合、ドリフトの影響が少ない方を基準とすれば、設計上の位置からも大きくずれることが無く好ましい。
【0096】
(9)前述の実施形態では、アライメントマークPML、PMRの座標を結ぶ直線と、アライメントマークEML、EMRの座標を結ぶ直線が、平行となるステージ21の回動量を算出し、ステージ21を回動させている。しかしながら、駆動機構23の回転中心23cとアライメントマークPML、PMRの位置関係および回動量次第によっては、
図13(A)に示すように、アライメントマークPML、PMRがサブカメラ50の撮像範囲PAL、PARから外れてしまうことがある。なお、
図13(A)では、回動前のアライメントマークPML、PMRおよび基板1における電子部品2との圧着位置の中心PC1を二点鎖線で示し、回動後のアライメントマークPML、PMRおよび基板1における電子部品2との圧着位置の中心PC1を実線で示している。
【0097】
アライメントマークPML、PMRがサブカメラ50の撮像範囲PAL、PARから外れてしまう場合には、アライメントマークPML、PMRがサブカメラ50の撮像範囲PAL、PARから外れてしまう回動量(以下、単に撮像範囲PAL、PARから外れてしまう回動量とよぶ)を予め求めておき、撮像範囲PAL、PARから外れてしまう回動量で有った場合、以下の(a)、(b)のいずれかの処理を行うことで、アライメントマークPML、PMRを撮像した際に、撮像範囲PAL、PARから外れてしまうことを抑制できる。
【0098】
(a)
図13(B)に示すように、ステージ21を回動後にサブカメラ50の初期位置を目標にして基板1における電子部品2との圧着位置の中心PC1の移動(位置付け)を行う。なお、
図13(B)において、基板1における電子部品2との圧着位置の中心PC1の移動前の位置を二点鎖線で示している。
【0099】
(b)ステージ21を回動後にサブカメラ50の初期位置を目標にしてアライメントマークPML、PMRの中点PC2の移動(位置付け)を行う。
【0100】
さらに、撮像範囲PAL、PARから外れてしまう回動量を予め求めておかなくても、以下のいずれかの処理を行ってもよい。
【0101】
(c)ステージ21を回動した後、アライメントマークPML、PMRを撮像した際に、撮像範囲PAL、PARから外れていた場合には、(a)あるいは(b)の工程を実行する。(c)を行うことで、回転量を算出して、撮像範囲PAL、PARから外れてしまうか計算する手間が省ける。
【0102】
(d)回動量がどんな値であったとしても、ステージ21を回動後に(a)あるいは(b)の工程を実行する。(d)を行うことで、回転量を算出して、撮像範囲PAL、PARから外れてしまうか計算する手間が省け、アライメントマークPML、PMRを撮像した際に撮像範囲PAL、PARから外れてしまうことを抑制できる。
【0103】
(10)ステップS104において、アライメントマークPMLおよびアライメントマークEMLの撮像を行う前に、サブカメラ50の初期位置を目標に基板1における電子部品2との圧着位置の中心PC1の移動(位置付け)が行われている。しかしながら、サブカメラ50の初期位置を目標にアライメントマークPMLを位置付けてもよい。このようにすることで、サブカメラ50の移動量は増加するが、サブカメラ50の初期位置を目標に基板1における電子部品2との圧着位置の中心PC1を位置付ける工程を減らすことができる。もちろん、ステップS104とステップS105の順番は逆になっても構わない。
【0104】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態及び各部の変形例を説明したが、この実施形態や各部の変形例は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したこれら新規な態様は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明に含まれる。
【符号の説明】
【0105】
1 基板
2 電子部品
10 実装装置
20 支持部
21 ステージ
22 基準位置検出用プレート
23 駆動機構
30 圧着部
31 圧着ヘッド
32 ヘッド移動機構
33 バックアップ部
40 基準カメラ
41 駆動機構
50 サブカメラ
51 駆動機構
100 制御装置
110 カメラ位置算出部
120 補正演算部
130 機構制御部
231 検出部
411 検出部
511 検出部