(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146784
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】医用画像処理装置、磁気共鳴イメージング装置、および医用画像処理方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20241004BHJP
G06T 5/70 20240101ALI20241004BHJP
【FI】
A61B5/055 380
G06T5/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024031884
(22)【出願日】2024-03-04
(31)【優先権主張番号】P 2023058627
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栃堀 葉南
(72)【発明者】
【氏名】植松 駿
(72)【発明者】
【氏名】朽名 英明
(72)【発明者】
【氏名】篠田 健輔
【テーマコード(参考)】
4C096
5B057
【Fターム(参考)】
4C096AB17
4C096AD14
4C096DA08
4C096DA14
4C096DB10
4C096DC27
5B057AA07
5B057BA07
5B057CD14
5B057CE06
5B057CE09
(57)【要約】
【課題】アーチファクトを低減すること。
【解決手段】本実施形態に係る医用画像処理装置は、画像処理後の出力医用画像データよりも広い画像領域を有する入力医用画像データを取得する取得部と、出力医用画像データの範囲を含み入力医用画像データより狭い画像領域を入力医用画像データから取り出して、第1の中間画像データを生成するクロッピング部と、第1の中間画像データに対して第1の画像処理を実行する第1画像処理部と、入力医用画像データのうち、第1の中間画像データに対応する画像領域の外側を含む画像データと、第1の画像処理後の第1の中間画像データと、に基づき、第2の中間画像データを生成する第2画像処理部と、第2の中間画像データをk空間データに変換して、k空間データに対してk空間上の処理を行い、k空間上の処理が施されたk空間データを出力医用画像データに変換する第3画像処理部と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理後の出力医用画像データよりも広い画像領域を有する入力医用画像データを取得する取得部と、
前記出力医用画像データの範囲を含み前記入力医用画像データより狭い画像領域を前記入力医用画像データから取り出して、第1の中間画像データを生成するクロッピング部と、
前記第1の中間画像データに対して第1の画像処理を実行する第1画像処理部と、
前記入力医用画像データのうち、前記第1の中間画像データに対応する画像領域の外側を含む画像データと、前記第1の画像処理後の前記第1の中間画像データと、に基づき、第2の中間画像データを生成する第2画像処理部と、
前記第2の中間画像データをk空間データに変換して、前記k空間データに対してk空間上の処理を行い、前記k空間上の処理が施されたk空間データを前記出力医用画像データに変換する第3画像処理部と、
を備える医用画像処理装置。
【請求項2】
前記第3画像処理部は、前記k空間上の処理として、前記k空間データに対するフィルタ処理または前記k空間データの外縁の外側にゼロ値を充填する処理を実行する、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記クロッピング部は、前記外側を含む画像データを前記入力医用画像データから取り出し、
前記第2画像処理部は、前記第1の画像処理後の前記第1の中間画像データの外縁に前記外側を含む画像データを加えて、前記第2の中間画像データを生成する、
請求項1または2に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記第2画像処理部は、前記外側を含む画像データに所定のフィルタを適用した画像データと、前記第1の画像処理後の前記第1の中間画像データとに基づき、前記第2の中間画像データを生成する、
請求項1または2に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記外側を含む画像データと、前記第1の画像処理後の前記第1の中間画像データとは、互いに重複する重複領域を有し、
前記第2画像処理部は、前記重複領域において、前記外側を含む画像データと、前記第1の画像処理後の前記第1の中間画像データとを用いて加算平均または加重平均を実行して、前記第2の中間画像データを生成する、
請求項1または2に記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記クロッピング部は、前記入力医用画像データの全ての画像領域に対して前記第1の画像処理を適用したときに前記第1の画像処理後の画像データにおける画像領域の画質に影響を与える範囲に基づいて、前記第1の中間画像データを生成する、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
被検体に対する磁気共鳴撮像を実行し、MRデータを収集する撮像部と、
前記MRデータに対するフーリエ変換により、画像処理後の出力医用画像データよりも広い画像領域を有する入力医用画像データを取得する取得部と、
前記出力医用画像データの範囲を含み前記入力医用画像データより狭い画像領域を前記入力医用画像データから取り出して、第1の中間画像データを生成するクロッピング部と、
前記第1の中間画像データに対して第1の画像処理を実行する第1画像処理部と、
前記入力医用画像データのうち、前記第1の中間画像データに対応する画像領域の外側を含む画像データと、前記第1の画像処理後の前記第1の中間画像データと、に基づき、第2の中間画像データを生成する第2画像処理部と、
前記第2の中間画像データをk空間データに変換して、前記k空間データに対してk空間上の処理を行い、前記k空間上の処理が施されたk空間データを出力医用画像データに変換する第3画像処理部と、
を備える磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
画像処理後の出力医用画像データよりも広い画像領域を有する入力医用画像データを取得し、
前記出力医用画像データの範囲を含み前記入力医用画像データより狭い画像領域を前記入力医用画像データから取り出して、第1の中間画像データを生成し、
前記第1の中間画像データに対して第1の画像処理を実行し、
前記入力医用画像データのうち、前記第1の中間画像データに対応する画像領域の外側を含む画像データと、前記第1の画像処理後の前記第1の中間画像データと、に基づき、第2の中間画像データを生成し、
前記第2の中間画像データをk空間データに変換して、前記k空間データに対してk空間上の処理を行い、前記k空間上の処理が施されたk空間データを出力医用画像データに変換すること、
を備える医用画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、医用画像処理装置、磁気共鳴イメージング装置、および医用画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気共鳴イメージング装置は、折り返しアーチファクトの抑制等のため、最終的に出力される画像(以下、最終出力画像と呼ぶ)の視野領域よりも広い領域を撮像することがある。このとき、最終出力画像の画質等の影響を考慮し、従来では、上記の広い領域のデータすべてに対して超解像処理などの重たい画像処理を行っている。このため、従来では、最終出力画像が得られるまでに時間がかかることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、アーチファクトを低減することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態に係る医用画像処理装置は、取得部と、クロッピング部と、第1画像処理部と、第2画像処理部と、第3画像処理部と、を有する。取得部は、画像処理後の出力医用画像データよりも広い画像領域を有する入力医用画像データを取得する。クロッピング部は、前記出力医用画像データの範囲を含み前記入力医用画像データより狭い画像領域を前記入力医用画像データから取り出して、第1の中間画像データを生成する。第1画像処理部は、前記第1の中間画像データに対して第1の画像処理を実行する。第2画像処理部は、前記入力医用画像データのうち、前記第1の中間画像データに対応する画像領域の外側を含む画像データと、前記第1の画像処理後の前記第1の中間画像データと、に基づき、第2の中間画像データを生成する。第3画像処理部は、前記第2の中間画像データをk空間データに変換して、前記k空間データに対してk空間上の処理を行い、前記k空間上の処理が施されたk空間データを前記出力医用画像データに変換する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態に係る医用画像処理装置の一例を示すブロック図。
【
図2】
図2は、実施形態に係る実施形態に係るMRI装置の一例を示す図。
【
図3】
図3は、実施形態に係る画像処理の概要の一例を示す図。
【
図4】
図4は、実施形態に係る画像処理の手順の一例を示すフローチャート。
【
図5】
図5は、実施形態の第1の比較例に係る画像処理の概要の一例を示す図。
【
図6】
図6は、実施形態の第2の比較例に係る画像処理の概要の一例を示す図。
【
図7】
図7は、実施形態に係り、第1の比較例と第2の比較例と本実施形態とにおける技術概要と、アーチファクトとの一覧を示す一覧表。
【
図8】
図8は、実施形態に係り、第1の比較例と第2の比較例とに対する本実施形態の顕著な効果の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、医用画像処理装置、磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:以下、MRIと呼ぶ)装置、および医用画像処理方法の実施形態について詳細に説明する。
【0008】
図1は、医用画像処理装置1の一例を示すブロック図である。医用画像処理装置1は、例えば、医用画像を生成可能な各種モダリティや、院内などにおけるサーバなどに搭載される。なお、医用画像処理装置1における各種機能は、医用画像管理システム(以下、PACS(Picture Archiving and Communication Systems)のサーバや、病院情報システム(以下、HIS(Hospital Information System)と呼ぶ)のサーバなどに搭載されてもよい。このとき、医用画像処理装置1は、ネットワークを介して、磁気共鳴撮像を実行可能な各種医用画像撮像装置2に接続される。このとき、医用画像撮像装置2は、例えば、既知のMRI装置に相当する。
【0009】
また、本医用画像処理装置1における各種機能が搭載されたとは、例えば、MRI装置、PET(Positron Emission Tomography:陽電子放出コンピュータ断層撮像)-MRI装置、SPECT(single photon emission computed tomography:単一光子放出コンピュータ断層撮像)-MRI装置などである。以下、説明を具体的にするために、医用画像処理装置1は、MRI装置に搭載されているものとして説明する。このとき、MRI装置は、処理回路15における各種機能を有することとなる。
【0010】
(実施形態)
図2は、本実施形態に係るMRI装置100の一例を示す図である。
図2に示すように、MRI装置100における医用画像処理装置1は、入出力インターフェース17をさらに有する。なお、医用画像処理装置1は、
図1に示すように、入出力インターフェース17を非搭載であってもよい。
図2に示すように、MRI装置100は、静磁場磁石101と、傾斜磁場コイル103と、傾斜磁場電源105と、寝台107と、寝台制御回路(システム制御部)109と、送信回路113と、送信コイル115と、受信コイル117と、受信回路119と、撮像制御回路(撮像部)121と、システム制御回路(システム制御部)123と、記憶装置125と、医用画像処理装置1とを備える。
【0011】
静磁場磁石101は、中空の略円筒状に形成された磁石である。静磁場磁石101は、内部の空間に略一様な静磁場を発生する。静磁場磁石101としては、例えば、超伝導磁石等が使用される。
【0012】
傾斜磁場コイル103は、中空の略円筒形状に形成されたコイルであり、円筒形の冷却容器の内面側に配置される。傾斜磁場コイル103は、傾斜磁場電源105から個別に電流供給を受けて、互いに直交するX、Y、及びZの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生する。傾斜磁場コイル103によって発生されるX、Y、Z各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス選択用傾斜磁場、位相エンコード用傾斜磁場および周波数エンコード用傾斜磁場(リードアウト傾斜磁場ともいう)を形成する。スライス選択用傾斜磁場は、任意に撮像断面を決めるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場は、空間的位置に応じて磁気共鳴信号(以下、MR(Magnetic Resonance)信号と呼ぶ)の位相を変化させるために利用される。周波数エンコード用傾斜磁場は、空間的位置に応じてMR信号の周波数を変化させるために利用される。
【0013】
傾斜磁場電源105は、撮像制御回路121の制御により、傾斜磁場コイル103に電流を供給する電源装置である。
【0014】
寝台107は、被検体Pが載置される天板1071を備えた装置である。寝台107は、寝台制御回路109による制御のもと、被検体Pが載置された天板1071を、ボア111内へ挿入する。
【0015】
寝台制御回路109は、寝台107を制御する回路である。寝台制御回路109は、入出力インターフェース17を介した操作者の指示により寝台107を駆動することで、天板1071を長手方向および上下方向、場合によっては左右方向へ移動させる。
【0016】
送信回路113は、撮像制御回路121の制御により、ラーモア周波数で変調された高周波パルスを送信コイル115に供給する。例えば、送信回路113は、発振部や位相選択部、周波数変換部、振幅変調部、RFアンプなどを有する。発振部は、静磁場中における対象原子核に固有の共鳴周波数のRFパルスを発生する。位相選択部は、発振部によって発生したRFパルスの位相を選択する。周波数変換部は、位相選択部から出力されたRFパルスの周波数を変換する。振幅変調部は、周波数変換部から出力されたRFパルスの振幅を例えばsinc関数に従って変調する。RFアンプは、振幅変調部から出力されたRFパルスを増幅して送信コイル115に供給する。
【0017】
送信コイル115は、傾斜磁場コイル103の内側に配置されたRF(Radio Frequency)コイルである。送信コイル115は、送信回路113からの出力に応じて、高周波磁場に相当するRFパルスを発生する。
【0018】
受信コイル117は、傾斜磁場コイル103の内側に配置されたRFコイルである。受信コイル117は、高周波磁場によって被検体Pから放射されるMR信号を受信する。受信コイル117は、受信されたMR信号を受信回路119へ出力する。受信コイル117は、例えば、1以上、典型的には複数のコイルエレメントを有するコイルアレイである。以下、説明を具体的にするために、受信コイル117は、複数のコイルエレメントを有するコイルアレイとして説明する。
【0019】
なお、受信コイル117は、一つのコイルエレメントにより構成されてもよい。また、
図2において送信コイル115と受信コイル117とは別個のRFコイルとして記載されているが、送信コイル115と受信コイル117とは、一体化された送受信コイルとして実施されてもよい。送受信コイルは、被検体Pの撮像部位に対応し、例えば、頭部コイルのような局所的な送受信RFコイルである。
【0020】
受信回路119は、撮像制御回路121の制御により、受信コイル117から出力されたMR信号に基づいて、デジタルのMR信号(以下、MRデータと呼ぶ)を生成する。具体的には、受信回路119は、受信コイル117から出力されたMR信号に対して各種信号処理を施した後、各種信号処理が施されたデータに対してアナログ/デジタル(A/D(Analog to Digital))変換して、MRデータを生成する。受信回路119は、生成されたMRデータを、撮像制御回路121に出力する。例えば、MRデータは、コイルエレメントごとに生成され、コイルエレメントを識別するタグとともに、撮像制御回路121に出力される。
【0021】
撮像制御回路121は、被検体Pに対する磁気共鳴撮像により、MRデータを収集する。具体的には、撮像制御回路121は、処理回路15から出力された撮像プロトコルに従って、傾斜磁場電源105、送信回路113及び受信回路119等を制御し、被検体Pに対する撮像を行う。撮像プロトコルは、検査の種類に応じたパルスシーケンスを有する。撮像プロトコルには、傾斜磁場電源105により傾斜磁場コイル103に供給される電流の大きさ、傾斜磁場電源105により電流が傾斜磁場コイル103に供給されるタイミング、送信回路113により送信コイル115に供給される高周波パルスの大きさや時間幅、送信回路113により送信コイル115に高周波パルスが供給されるタイミング、受信コイル117によりMR信号が受信されるタイミング等が定義されている。撮像制御回路121は、傾斜磁場電源105、送信回路113及び受信回路119等を駆動して被検体Pを撮像した結果、受信回路119からMRデータを受信すると、受信したMRデータを医用画像処理装置1等へ転送する。撮像制御回路121は、撮像部に相当する。
【0022】
以下の説明では、「プロセッサ」が各機能に対応するプログラムをメモリ13から読み出して実行する例を説明するが、実施形態はこれに限定されない。「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。
【0023】
プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサはメモリ13に保存されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。一方、プロセッサがASICである場合、メモリ13にプログラムを保存する代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。また、単一の記憶回路が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路は個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0024】
システム制御回路123は、ハードウェア資源として図示していないプロセッサ、ROM(Read-Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリ等を有し、システム制御機能によりMRI装置100を制御する。具体的には、システム制御回路123は、記憶装置125に記憶されたシステム制御プログラムを読み出してメモリ上に展開し、展開されたシステム制御プログラムに従って本MRI装置100の各回路を制御する。
【0025】
例えば、システム制御回路123は、入出力インターフェース17を介して操作者から入力された撮像条件に基づいて、撮像プロトコルを記憶装置125から読み出す。システム制御回路123は、撮像プロトコルを撮像制御回路121に送信し、被検体Pに対する撮像を制御する。システム制御回路123は、例えばプロセッサにより実現される。なお、システム制御回路123は、処理回路15に組み込まれてもよい。このとき、システム制御機能は処理回路15により実行され、処理回路15は、システム制御回路123の代替として機能する。
【0026】
記憶装置125は、システム制御回路123において実行される各種プログラム、各種撮像プロトコル、撮像プロトコルを規定する複数の撮像パラメータを含む撮像条件等を記憶する。記憶装置125は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、HDD(Hard disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、光ディスク等である。また、記憶装置125は、CD(Compact Disc)-ROMドライブやDVD(Digital Versatile Disc)ドライブ、フラッシュメモリ等の可搬型記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であってもよい。なお、記憶装置125に記憶されるデータは、メモリ13に記憶されてもよい。このとき、メモリ13は、記憶装置125の代替として機能する。
【0027】
医用画像処理装置1は、通信インターフェース11と、メモリ13と、処理回路15とを有する。
図1および
図2に示すように、医用画像処理装置1において、通信インターフェース11と、メモリ13と、処理回路15とはバスにより電気的に接続されている。
図1および
図2に示すように、医用画像処理装置1は、通信インターフェース11を介して、ネットワークに接続されている。ネットワークには、例えば、各種モダリティや、HIS、放射線情報システム(RIS:Radiology Information System)等の医療機関内の情報処理システムと互いに通信可能に接続される。なお、
図1に示す医用画像処理装置1には、操作者の各種指示を入力するための入力インターフェースや、第3画像処理機能158により生成された医用画像を表示するディスプレイ(出力インターフェース)を、
図2に示すように入出力インターフェース17を有していてもよい。
【0028】
通信インターフェース11は、例えば、被検体Pに対する検査において当該被検体Pを撮像する各種モダリティや、HIS、PACSなどとの間でデータ通信を行う。通信インターフェース11と各種モダリティおよび病院情報システムとの通信の規格は、如何なる規格であっても良いが、例えば、HL7(Health Level 7)、DICOM(Digital Imaging and COmmunications in Medicine)、又はその両方等が挙げられる。
【0029】
メモリ13は、種々の情報を記憶する記憶回路により実現される。例えば、メモリ13は、HDDやSSD、集積回路記憶装置等の記憶装置である。メモリ13は、記憶部に相当する。なお、メモリ13は、HDDやSSD等以外にも、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、CD(Compact Disc)およびDVD(Digital Versatile Disc)などの光学ディスク、可搬性記憶媒体や、RAM等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。
【0030】
メモリ13は、処理回路15により実現される取得機能151、再構成機能153、クロッピング機能155、第1画像処理機能156、第2画像処理機能157、および第3画像処理機能158を、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶する。メモリ13は、取得機能151により通信インターフェース11を介して受信された各種データを記憶する。具体的には、メモリ13は、例えば、取得機能151により撮像制御回路121または医用画像撮像装置2から取得されたMRデータを記憶する。また、メモリ13は、再構成機能153により生成された磁気共鳴画像(以下、MR画像と呼ぶ)を記憶する。また、医用画像処理装置1が各種画像サーバなどにより実現される場合、メモリ13は、取得機能151により取得された医用画像を記憶する。
【0031】
また、メモリ13は、クロッピング機能155により生成された第1の中間画像データと、入力医用画像データのうち第1の中間画像データに対応する画像領域の外側を含む画像データと、を記憶する。入力医用画像データは、例えば、画像処理後の出力医用画像データの画像領域より画像領域が広い画像データであって、後述のクロッピング機能155によるクロッピングの対象となる画像データである。第1の中間画像データは、後述の第1の画像処理が適用される医用画像データ、入力医用画像データから、クロッピング機能155により生成される。入力医用画像データのうち第1の中間画像データに対応する画像領域の外側を含む画像データは、入力医用画像データから、クロッピング機能155により生成される。第1の中間画像データおよび入力医用画像データのうち第1の中間画像データに対応する画像領域の外側を含む画像データについては、後ほど説明する。
【0032】
メモリ13は、第1画像処理機能156において実行される各種画像処理(例えば、第1の画像処理)に関するプログラム、アプリケーションソフト、学習済みモデルなどを記憶する。また、メモリ13は、第2画像処理機能157において実行される各種画像処理(例えば、第2の画像処理)に関するプログラム、アプリケーションソフトなどを記憶する。また、メモリ13は、第3画像処理機能158において実行されるk空間上の処理に関するプログラム、アプリケーションソフトなどを記憶する。第1の画像処理およびk空間上の処理の対象となる画像は、例えば、再構成機能153により生成されたMR画像、および/または取得機能151により取得された医用画像などである。第1の画像処理に入力される医用画像データは、第1の中間画像データである。第2の画像処理の処理対象のデータは、第1の画像処理後の画像データと、入力医用画像データのうち、第1の中間画像データに対応する画像領域の外側を含む画像データである。k空間上の処理に入力される医用画像データは、第2の中間画像データである。以下、説明を具体的にするために、k空間上の処理後の医用画像のデータ、すなわち表示対象の画像データを出力医用画像データと呼ぶ。第1の画像処理、第2の画像処理およびk空間上の処理、第2の中間画像データについては、後ほど説明する。
【0033】
本実施形態における入力医用画像データは、画像処理後の出力医用画像データよりも広い画像領域を有する。出力医用画像データの画像領域は、例えば、予め入出力インターフェース17を介したユーザの指示により、設定される。ユーザにより設定された出力医用画像データの画像領域は、視野領域(以下、FOV(Field of View)と呼ぶ)に対応する。すなわち、入力医用画像データの画像領域は、FOVより広い画像領域を有する。換言すれば、入力医用画像データの画像領域は、FOVを包含する。また、第1の中間画像データは、入力医用画像データの全ての画像領域に対して第1の画像処理を適用したときに第1の画像処理後の画像データにおける画像領域の画質に影響を与える範囲を有する。言い換えると、第1の中間画像データは、入力医用画像データの全ての画像領域に対して第1の画像処理を適用しても、画質への影響がない又は極めて少ない画像領域を除外した画像データとして定義することもできる。例えば、第1の中間画像データは、FOVを包含しかつFOVより広い範囲を有し、入力医用画像データより狭い画像領域を有する。
【0034】
第1の画像処理は、例えば、第1の中間画像データにおける画像の歪みを補正する歪み補正処理と、第1の中間画像データの画質を向上させる画質向上処理と、のうち少なくとも一つを有する。第1の中間画像データがMR画像である場合、歪み補正処理は、傾斜磁場の歪みに起因する第1の中間画像データにおける画像の歪みを補正する処理である。第1の画像処理は、処理の計算に時間を要する重い処理である。第1の画像処理の内容は、例えば、当該第1の画像処理を規定するパラメータにより特徴づけられる。歪み補正処理は、傾斜磁場歪み補正(Gradient Distortion Correction:以下、GDCと呼ぶ)とも称される。なお、歪み補正処理は、GDCに限定されず他の処理であってもよい。
【0035】
メモリ13は、GDCに関して、例えば、出力医用画像データの画像領域(FOV)に対する入力医用画像データにおける画像の歪みを、対応表として記憶する。例えば、MRI装置100の出荷時、据え付け時、および/またはメンテナンス時などにおいて、傾斜磁場の歪みに起因する画像の歪みが、出力医用画像データの画像領域(FOV)と入力医用画像データの画像領域との対応表(Look Up Table)として生成される。当該対応表は、例えば、出力医用画像データの画像領域(FOV)における複数の位置(例えば画素)が、入力医用画像データの画像領域におけるどの位置に対応しているかを示す、座標の対応表である。メモリ13は、当該対応表を記憶する。
【0036】
GDCは、出力医用画像データの画像領域に対する入力医用画像データにおける画像の歪みを用いて、第1の中間画像データにおける画像の歪みを補正する。すなわち、歪み補正処理を規定するパラメータは、出力医用画像データの画像領域に対する入力医用画像データにおける画像の歪み対応表である。GDCは、画像の歪みを示す対応表を用いて、第1の中間画像データにおける画像の歪みを補正して、第1の画像処理後の医用画像データ(以下、処理後データと呼ぶ)を出力する。
【0037】
画質向上処理は、例えば、第1の中間画像データにおけるノイズを低減するノイズ低減処理と、第1の中間画像データにおけるアーチファクトを低減するアーチファクト低減処理と、のうち少なくとも一つである。ノイズ低減処理は、例えば、第1の中間画像データにおけるノイズを低減可能な学習済みモデル(以下、ノイズ低減モデルと呼ぶ)、または第1の中間画像データにおけるノイズを低減可能なノイズ低減フィルタにより実現される。ノイズ低減処理は、ノイズ低減モデルまたはノイズ低減フィルタを入力医用画像データに適用することで、ノイズが低減された第1の中間画像データを出力する。
【0038】
アーチファクト低減処理は、例えば、第1の中間画像データにおいて発生したアーチファクトを低減可能な学習済みモデル(以下、アーチファクト低減モデルと呼ぶ)により実現される。アーチファクト低減モデルにより低減されるアーチファクトは、例えば、ギブス(Gibbs)アーチファクトである。ギブスアーチファクトは、打ち切りアーチファクト、トランケーション(truncation)アーチファクト、リンギング(ringing)アーチファクトなどとも称される。
【0039】
ノイズ低減モデルおよびアーチファクト低減モデルを実現する学習済みモデルは、例えば、DNN(Deep Neural Network)などにより予め学習されたニューラルネットワークを用いたモデルなどにより実現される。学習済みモデルの適用例として、例えば、CNN(Convolutional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)がある。CNNは、例えば、少なくとも一つの畳み込みフィルタと、入力層と、複数の畳み込み層と、出力層とを有する。畳み込みフィルタは、畳み込みに関するカーネルに相当する。異なる畳み込みフィルタは、異なる大きさが異なるカーネルを有する。ノイズ低減モデルおよびアーチファクト低減モデルとしては既知のものが適用可能であるため、説明は省略する。
【0040】
ノイズ低減フィルタは、平滑化フィルタ、ガウシアンフィルタ、エッジ強調フィルタなどの既知のフィルタ処理により実現される。ノイズ低減フィルタは、加重マトリックスとも称されるカーネルを有する。ノイズ低減フィルタとしては既知のものが適用可能であるため、説明は省略する。
【0041】
以上により、画質向上処理は、各種カーネルを用いて、第1の中間画像データにおける画像の画質を向上させる。画質向上処理を規定するパラメータは、例えば、当該画質向上処理において用いられるカーネルの大きさである。なお、画質向上処理がCNNなどの学習済みモデルで実現される場合、画質向上処理を規定するパラメータは、当該画質向上処理において用いられるカーネルの大きさに加えて、畳み込み層の総数(畳み込みレイヤーの数)を有してもよい。これらのことから、画質向上処理は、画質向上処理に関するカーネルを用いて、第1の中間画像データの画質を向上させて、出力医用画像データを出力する。
【0042】
第2の画像処理は、第1の画像処理とは異なる画像処理である。第2の画像処理は、入力医用画像データのうち、第1の中間画像データに対応する画像領域の外側を含む画像データと処理後データとを結合することである。なお、第2の画像処理は、入力医用画像データのうち、第1の中間画像データに対応する画像領域の外側を含む画像データに対して、所定のフィルタを適用してもよい。第2の画像処理における当該所定のフィルタは、例えばデノイズフィルタの適用など、第1の画像処理に比べて処理速度が速い既知の処理(軽い処理)により実現可能なフィルタ処理の提供に相当する。
【0043】
k空間上の処理(以下、k空間処理と呼ぶ)は、例えば、第2の中間画像データをk空間データに変換して、変換されたk空間データに対してk空間上の処理を行い、k空間上で処理されたk空間データを出力医用画像データに変換する。k空間処理は、例えば、k空間上での補間手法の一例であるゼロ埋め補間あるいはゼロ充填補間(ゼロフィリングインターポレイション:Zero Filling Interporation)などにより実現される。具体的には、k空間処理は、画像空間上における第2の中間画像データを、k空間上のデータであるk空間データに変換する。k空間データへの第2の中間画像データの変換は、例えば、逆フーリエ変換である。k空間処理は、例えば、k空間データの外縁の外側の所定の領域においてデータをゼロで充填する(埋める)ゼロ充填(ゼロ埋め)補間を実行する。次いで、k空間処理は、ゼロ充填補間(ゼロ埋め補間)が実行されたk空間データを出力医用画像データに変換する。出力医用画像データの変換は、例えば、フーリエ変換である。
【0044】
上記k空間処理は、k空間データの外縁の外側にゼロ値を充填する処理を実行することを説明したが、これに限定されない。例えば、k空間処理は、k空間上において、k空間データに対するフィルタ処理を実行してもよい。当該フィルタ処理としては、例えば、k空間データに対するローパスフィルタ処理、ハイパスフィルタ処理、ガウシアンフィルタ処理など、既知のフィルタを用いた処理が適用されてもよい。
【0045】
処理回路15は、医用画像処理装置1の全体の制御を行う。処理回路15は、上述のプロセッサなどにより実現される。処理回路15は、取得機能151、再構成機能153、クロッピング機能155、第1画像処理機能156、第2画像処理機能157、および第3画像処理機能158などを備える。取得機能151、再構成機能153、クロッピング機能155、第1画像処理機能156、第2画像処理機能157、および第3画像処理機能158をそれぞれ実現する処理回路15は、取得部、再構成部、クロッピング部、第1画像処理部、第2画像処理部、第3画像処理部に相当する。取得機能151、再構成機能153、クロッピング機能155、第1画像処理機能156、第2画像処理機能157、および第3画像処理機能158などの各機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ13に記憶されている。処理回路15は、プロセッサである。例えば、処理回路15は、プログラムをメモリ13から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路15は、取得機能151、再構成機能153、クロッピング機能155、第1画像処理機能156、第2画像処理機能157、および第3画像処理機能158などの各機能を有することとなる。
【0046】
処理回路15は、取得機能151により、MRデータに対するフーリエ変換の実行に伴って再構成機能153により生成された入力医用画像データを取得する。すなわち、取得機能151は、MRデータに対するフーリエ変換により、入力医用画像データを取得する。入力医用画像データは、上述のように、第3画像処理機能158による画像処理後の出力医用画像データの画像領域より広い領域を有する。例えば、
図2に示すように、処理回路15がMRI装置100に搭載されている場合、再構成機能153により再構成されたMR画像を、入力医用画像データとして、再構成機能153から取得する。また、例えば、
図1に示すように、処理回路15が単独の医用画像処理装置1に搭載された場合、取得機能151は、MR装置などの医用画像撮像装置2により生成された医用画像を、入力医用画像データとして、医用画像撮像装置2またはPACSなどの医用画像保管装置から、通信インターフェース11を介して取得する。取得機能151は、取得した入力医用画像データをメモリ13に記憶させてもよい。なお、入力医用画像データには画像以外の領域も含まれてよい。また、入力医用画像データの全領域と、第2の中間画像データの画像領域とは、必ずしも同じ大きさ・サイズにならなくてもよい。
【0047】
処理回路15は、再構成機能153により、MRデータに基づいてMR画像を、入力医用画像データとして再構成する。具体的には、再構成機能153は、MRデータに対してフーリエ変換を適用することで、入力医用画像データを生成する。再構成機能153は、生成された入力医用画像データを、メモリ13に記憶させる。
【0048】
処理回路15は、クロッピング機能155により、出力医用画像データの範囲を含み入力医用画像データより狭い画像領域を入力医用画像データから取り出して、第1の中間画像データを生成する(第1クロッピング)。具体的には、クロッピング機能155は、第1の画像処理を規定するパラメータなどに基づいて、入力医用画像データに適用される当該第1の画像処理により出力医用画像データの画像領域の画質に影響を与える範囲を決定する。決定される範囲は、入力医用画像データにおいて、入力医用画像データの画像領域より狭い画像領域である。なお、クロッピング機能155は、入出力インターフェース17を介したユーザの入力に基づいて、当該範囲を決定してもよい。
【0049】
例えば、第1画像処理機能156により実行される第1の画像処理が歪み補正処理を含む場合、クロッピング機能155は、出力医用画像データの画像領域に対する入力医用画像データにおける画像の歪みを示す対応表を、メモリ13から読みだす。クロッピング機能155は、当該歪み補正処理を規定するパラメータとして当該対応表を用いて、入力医用画像データに対する歪み補正処理により出力医用画像データの画質に影響を与える範囲を、歪み補正処理の適用範囲として決定する。
【0050】
第1画像処理機能156により実行される第1の画像処理が画質向上処理を含む場合、クロッピング機能155は、画質向上処理において用いられるカーネルの大きさを、メモリ13から読みだす。クロッピング機能155は、画質向上処理を規定するパラメータとしてカーネルの大きさを用いて、入力医用画像データに対する画質向上処理により出力医用画像データの画質に影響を与える範囲を、画質向上処理の適用範囲(以下、画質向上範囲と呼ぶ)として決定する。例えば、第1の画像処理が画質向上処理と歪み補正処理とを含む場合、クロッピング機能155は、カーネルの大きさと歪み補正処理の適用範囲とを用いて、画質向上範囲を決定する。
【0051】
処理回路15は、クロッピング機能155により、上記決定された範囲を入力医用画像データから取り出して、第1の中間画像データを生成する。クロッピング機能155は、生成された第1の中間画像データを、メモリ13に記憶させる。
【0052】
処理回路15は、第1画像処理機能156により、第1の中間画像データに対して第1の画像処理を実行する。第1画像処理機能156は、第1の中間画像データに対する第1の画像処理の実行により処理後データを生成する。これにより、第1画像処理機能156は、例えば、処理後データをメモリ13に出力する。
【0053】
処理回路15は、クロッピング機能155により、入力医用画像データのうち第1の中間画像データに対応する画像領域の外側を含む画像データを入力医用画像データから取り出す(第2クロッピング)。なお、第1の中間画像データに対応する画像領域の外側を含む画像データは、第1の中間画像データに対応する画像領域の外側だけを含むことに限定されず、第1の中間画像データの外周部分と重複していてもよい。
【0054】
処理回路15は、第2画像処理機能157により、入力医用画像データのうち、少なくとも第1の中間画像データに対応する画像領域の外側の画像領域の画像データを、第1の画像処理後の第1の中間画像データ(処理後データ)に加えて、第2の中間画像データを生成する。
【0055】
具体的には、第2画像処理機能157は、入力医用画像データから取り出された(第2クロッピングされた)画像データを、処理後データの外縁に結合する(接合する)ことで、第2の中間画像データを生成する。すなわち、第2画像処理機能157は、入力医用画像データのうち、第1の中間画像データに対応する画像領域の外側を含む画像データと、第1の画像処理後の第1の中間画像データと、に基づき、第2の中間画像データを生成する。
【0056】
なお、処理回路15は、第2画像処理機能157により、入力医用画像データから取り出された画像データ(第2クロッピングされた画像データ)に対して所定のフィルタを適用してもよい。このとき、第2画像処理機能157は、第2の画像処理の実行により所定のフィルタが適用された画像データを、処理後データの外縁に加えて、第2の中間画像データを生成する。第2画像処理機能157は、生成された第2の中間画像データをメモリ13に記憶させる。処理後データに付加されるデータは、付加データと称されてもよい。
【0057】
処理回路15は、第3画像処理機能158により、第2の中間画像データをk空間データに変換する。次いで、第3画像処理機能158は、変換されたk空間データに対してk空間上の処理を行う。例えば、第3画像処理機能158は、k空間上の処理として、k空間データに対するフィルタ処理またはk空間データの外縁の外側にゼロ値を充填する処理を実行する。続いて、第3画像処理機能158は、k空間上の処理が施されたk空間データを出力医用画像データに変換する。第3画像処理機能158は、出力医用画像データを、入出力インターフェース17におけるディスプレイに出力する。なお、第3画像処理機能158により実行される画像処理は、第3の画像処理と称されてもよい。また、処理回路15は、第3画像処理機能158により、出力医用画像データを、メモリ13および/または記憶装置125に出力する。なお、第3画像処理機能158は、出力医用画像データを、通信インターフェース11およびネットワークを介して、PACSなどの医用画像保管装置に出力する。また、第3画像処理機能158は、出力医用画像データを、通信インターフェース11およびネットワークを介して、院内および/または院外に設置された各種サーバに出力してもよい。
【0058】
以上のように構成された本実施形態のMRI装置100または医用画像処理装置1により実行される画像処理の手順について、
図3および
図4を用いて説明する。
図3は、当該画像処理の概要の一例を示す図である。
図4は、当該画像処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0059】
図3に示すように、処理回路15は、クロッピング機能155により、第1の画像処理の適用範囲を用いて入力医用画像データIMIDに対してクロッピング(第1クロッピング)を行うことで、第1の中間画像データMID1を生成する。
図3に示すように、入力医用画像データIMIDの画像領域は、画像処理の対象のFOVより広い画像領域を有する。第1の画像処理がCNNにより実行される場合、第1の中間画像データMID1は、当該CNNの出力に影響する領域に対応する。次いで、処理回路15は、
図3に示すように、第1画像処理機能156により、第1の中間画像データMID1に対して第1の画像処理(例えば、画質向上処理など)を実行する。
【0060】
図3に示すように、処理回路15は、第2画像処理機能157により、入力医用画像データIMIDから、第1の中間画像データMID1に対応する画像領域の外側を含む画像データOFを取り出す(第2クロッピング)。なお、第2画像処理機能157は、画像データOFに対して所定のフィルタを適用してもよい。フィルタ処理は、第1の画像処理よりも処理負荷は軽いものとする。
【0061】
続いて、処理回路15は、第2画像処理機能157により、処理後データDAPに画像データOFを付加(結合)することで、第2の中間画像データMID2を生成する。
【0062】
すなわち、処理回路15は、第2画像処理機能157により、入力医用画像データIMIDのうち、第1の中間画像データMID1に対応する画像領域の外側を含む画像データOFと、第1の画像処理後の第1の中間画像データDAPと、に基づき、第2の中間画像データMID2を生成する。具体的には、第2画像処理機能157は、第1の中間画像データMID1に対応する画像領域の外側を含む画像データOFを入力医用画像データIMIDから取り出し、第1の画像処理後の第1の中間画像データ(処理後データ)DAPの外縁に当該外側を含む画像データOFを加えて、第2の中間画像データMID2を生成する。すなわち、第2画像処理機能157は、
図3に示すように、画像データOFと、第1の画像処理後の第1の中間画像データDAPとを結合することで、第2の中間画像データMID2を生成する。なお、第2画像処理機能157は、第1の中間画像データMID1に対応する画像領域の外側を含む画像データOFに所定のフィルタを適用して、第1の画像処理後の第1の中間画像データDAPとを結合させて第2の中間画像データMID2を生成してもよい。
【0063】
なお、第2クロッピングにおいて、第1の中間画像データMID1に対応する画像領域の外側を含む画像データOFと第1の画像処理後の第1の中間画像データDAPとは、互いに重複する重複領域を有していてもよい。例えば、処理回路15は、第2画像処理機能157により、第2クロッピングにおいて、第1の中間画像データMID1に対応する画像領域の端部領域と重複するように、入力医用画像データIMIDから画像データOFを取り出してもよい。このとき、第2画像処理機能157は、第1の中間画像データMID1と画像データOFとの重複領域において、第1の中間画像データMID1に対応する画像領域の外側を含む画像データOFと、第1の画像処理後の第1の中間画像データDAPとを用いて加算平均または加重平均を実行して、第2の中間画像データMID2を生成する。
【0064】
図3に示すように、処理回路15は、第3画像処理機能158により、第2の中間画像データMID2に対して逆フーリエ変換IFTを適用して、k空間データKSDを生成する。第3画像処理機能158は、k空間データKSDに対してk空間処理(例えば、ゼロ充填補間ZI)KSPを実行し、k空間処理が実行されたk空間データに対してフーリエ変換を適用することで、出力医用画像データOMID出力する。ゼロ充填補間ZIが実行される場合、出力医用画像データOMIDは、拡大画像EIとして出力される。
【0065】
(画像処理)
(ステップS401)
撮像制御回路121は、被検体Pに対する磁気共鳴撮像を実行し、MRデータを収集する。撮像制御回路121は、収集されたMRデータを、医用画像処理装置1および/または記憶装置125へ転送する。なお、
図1に示すように、医用画像処理装置1単体で画像処理が実現される場合、本フローチャートにおけるステップS401では、取得機能151がMRデータを取得する処理となる。
【0066】
(ステップS402)
処理回路15は、再構成機能153により、MRデータに対してフーリエ変換を実行する。すなわち、再構成機能153は、MRデータから入力医用画像データIMIDを再構成する。これにより、取得機能151は、入力医用画像データIMIDを取得する。なお、
図1に示すように、医用画像処理装置1単体で画像処理が実現される場合であって、再構成機能153が搭載されていない場合、ステップS401に処理は不要となる。このとき、取得機能151は、MRI装置により再構成された入力医用画像データIMIDを、MRI装置から取得する。
【0067】
(ステップS403)
処理回路15は、取得機能151により、入力医用画像データIMIDに適用される第1の画像処理を規定するパラメータを、メモリ13から取得する。第1の画像処理を規定するパラメータは、当該第1の画像処理の内容に相当する。第1の画像処理が歪み補正処理(GDC)である場合、当該パラメータは上述の対応表に相当する。また、第1の画像処理が画質向上処理であって、ノイズ低減処理および/またはアーチファクト低減処理がフィルタで実現される場合、当該パラメータは上述のフィルタのカーネルに相当する。また、第1の画像処理が画質向上処理であって、ノイズ低減処理および/またはアーチファクト低減処理が学習済みモデル(例えば、CNN)で実現される場合、当該パラメータは上述の畳み込みに関するカーネルおよび畳み込みレイヤーの数に相当する。
【0068】
(ステップS404)
処理回路15は、クロッピング機能155により、第1の画像処理を規定するパラメータと入力医用画像データIMIDとに基づいて、第1の中間画像データMID1を生成する。クロッピング機能155は、当該パラメータにより規定される第1の画像処理の適用範囲を用いて、入力医用画像データIMIDに対して第1クロッピングを行うことで、第1の中間画像データMID1を生成する。例えば、第1の画像処理が歪み補正処理である場合、クロッピング機能155は、対応表に基づいて、入力医用画像データIMIDにおける歪み補正範囲をFOVに付加した第1の中間画像データMID1を生成する。また、第1の画像処理が画質向上処理であって、ノイズ低減処理および/またはアーチファクト低減処理が学習済みモデル(例えば、CNN)で実現される場合、クロッピング機能155は、畳み込みに関するカーネルおよび畳み込みレイヤーの数に基づいて、画質向上範囲をFOVに付加した第1の中間画像データMID1を生成する。第1の画像処理として歪み補正処理と画質向上処理とが実行される場合、クロッピング機能155は、歪み補正範囲と畳み込みに関するカーネルと畳み込みレイヤーの数とに基づいて、画質向上範囲をFOVに付加した第1の中間画像データMID1を生成する。
【0069】
(ステップS405)
処理回路15は、第1画像処理機能156により、第1の中間画像データMID1に対して第1の画像処理を実行する。これにより、第1画像処理機能156は、第1の画像処理が実行された処理後データDAPを生成する。
【0070】
(ステップS406)
処理回路15は、クロッピング機能155により、入力医用画像データIMIDにおいて第1の中間画像データとは異なる領域の画像データを入力医用画像データから取り出す。すなわち、処理回路15は、クロッピング機能155により、入力医用画像データIMIDから、第1の中間画像データDAPに対応する画像領域の外側を含む画像データOFを取り出す(第2クロッピング)。このとき、クロッピング機能155は、第2クロッピングにおいて、第1の中間画像データMID1に対応する画像領域の端部領域と重複するように、入力医用画像データIMIDから画像データOFを取り出してもよい。
【0071】
(ステップS407)
処理回路15は、第2画像処理機能157により、入力医用画像データIMIDから取り出された画像データOFを、第1の画像処理後の第1の中間画像データ(処理後データDAP)に付加(結合)し、第2の中間画像データMID2を生成する。すなわち、第2画像処理機能157は、画像データOFを、第1の画像処理後の第1の中間画像データ(処理後データDAP)の外縁に加えて、第2の中間画像データMID2を生成する。このとき、第2画像処理機能157は、入力医用画像データIMIDにおける画像領域と同じ画像領域となるように、画像データOFを、処理後データDAPの外縁に加えて、第2の中間画像データMID2を生成してもよい。
【0072】
すなわち、処理回路15は、第2画像処理機能157により、入力医用画像データIMIDのうち、第1の中間画像データMID1に対応する画像領域の外側を含む画像データOFと、第1の画像処理後の第1の中間画像データDAPと、に基づき、第2の中間画像データMID2を生成する。例えば、第2画像処理機能157は、第1の画像処理後の第1の中間画像データDAPの外縁に当該外側を含む画像データOFを加えて、第2の中間画像データMID2を生成する。
【0073】
なお、第2画像処理機能157は、第1の中間画像データMID1に対応する画像領域の外側を含む画像データOFに所定のフィルタを適用した画像データと、第1の画像処理後の第1の中間画像データDAPとに基づき、第2の中間画像データMID2を生成してもよい。
【0074】
また、例えば、第2画像処理機能157は、画像データOFと、第1の画像処理後の第1の中間画像データ(処理後データDAP)とにおいてのりしろ領域を設定し、画像データOFと、第1の画像処理後の第1の中間画像データ(処理後データDAP)とが滑らかにつながるように当該のりしろ領域に対して加重平均を実行して、第1の画像処理後の第1の中間画像データ(処理後データDAP)の外縁に加えてもよい。
【0075】
また、第2クロッピングにおいて、第1の中間画像データMID1に対応する画像領域の外側を含む画像データOFと第1の画像処理後の第1の中間画像データDAPとは、互いに重複する重複領域を有している場合、処理回路15は、第2画像処理機能157により、重複領域において、画像データOFと、第1の画像処理後の第1の中間画像データDAPとを用いた加算平均または加重平均を実行して、第2の中間画像データMID2を生成してもよい。重複領域における加重加算では、例えば、第1の中間画像データDAPの中心に向かうほど、画像データOFに対する重みは小さく設定され、第1の中間画像データDAPに対する重みは大きく設定される。
【0076】
(ステップS408)
処理回路15は、第3画像処理機能158により、第2の中間画像データMID2を、逆フーリエ変換IFTによりk空間データKSDに変換する。次いで、第3画像処理機能158は、k空間データKSDに対して、k空間処理KSPを実行する。
図3では、第3画像処理機能158は、k空間処理としてゼロ充填補間ZIを実行する。
【0077】
(ステップS409)
処理回路15は、第3画像処理機能158により、k空間処理KSPが実行されたk空間データKSDを変換し、出力医用画像データOMIDを生成する。当該変換は、例えばフーリエ変換である。
【0078】
(ステップS410)
処理回路15は、第3画像処理機能158により、k空間処理後のフーリエ変換により生成された出力医用画像データOMIDを出力する。例えば第3画像処理機能158は、出力医用画像データOMIDを、入出力インターフェース17におけるディスプレイに出力する。また、
図1に示すように、医用画像処理装置1単体で画像処理が実現される場合、第3画像処理機能158は、通信インターフェース11およびネットワークを介して、PACSなどの医用画像保管装置、ビューワなどに、出力医用画像データOMIDを出力する。以上により、本実施形態の画像処理は完了する。
【0079】
以下、本実施形態による顕著な効果を説明するために、第1の比較例および第2の比較例について説明する。
【0080】
(第1の比較例)
図5は、第1の比較例に係る画像処理の概要の一例を示す図である。
図5に示すように、第1の比較例は、
図3と異なり、画像データOFすなわち第1の中間画像データMID1の外側のフレームに対応する画像領域を結合する結合処理(第2の画像処理)を施さない。このため、第1の比較例では、k空間処理KSPにより、出力医用画像データOMIDに対応するFOVに、折り返しアーチファクトが入り込むこと、およびギブスアーチファクトが発生することとなる。
【0081】
(第2の比較例)
図6は、第2の比較例に係る画像処理の概要の一例を示す図である。
図6に示すように、第2の比較例は、
図3と異なり、画像データOFを第1の中間画像データMID1に結合する代わりに0データの追加が実行される。0データの追加は、例えば、FOVを拡大させる画像拡大処理において、拡大率を保つために実施される。第2の比較例において、処理後データDAPに対して付加されるデータZPは、0値を有するデータである。このため、第2の比較例では、k空間処理KSPにより、出力医用画像データOMIDに対応するFOVに折り返しアーチファクトが入り込むことはなくなる。しかしながら、第2の比較例では、処理後データ(例えば、デノイズ部分)DAPと0データを埋めた部分との信号差、すなわち、処理後データDAPと、処理後データDAPに対して付加されるデータZPとの境界部分の信号差に起因して、ギブスアーチファクトが発生する。
【0082】
例えば、磁気共鳴イメージングにおいて、折り返しアーチファクトの抑制等のため対象FOVより広い領域を撮像した後、計算負荷軽減のため、出力に影響する領域に対しのみCNNの様な重い処理(画質向上処理など)を用いてノイズ除去を行うこと(以下、計算負荷軽減処理と呼ぶ)がある。このとき、FOVの拡大処理などのk空間処理KSPを後処理で実行すること(以下、k空間後処理と呼ぶ)がある。この場合、第1の比較例の手法では、折り返しアーチファクトおよびギブスアーチファクトがFOV内に現れる問題がある。一方、第2の比較例による手法では、折り返しアーチファクトは発生しないが、ギブスアーチファクトがFOV内に現れる問題がある。
【0083】
以上に述べた実施形態に係るMRI装置100および医用画像処理装置1は、画像処理後の出力医用画像データ(FOV)の画像領域よりも広い画像領域を有する入力医用画像データIMIDを取得し、出力医用画像データ(FOV)の範囲を含み入力医用画像データIMIDより狭い画像領域を入力医用画像データIMIDから取り出して、第1の中間画像データMID1を生成し、第1の中間画像データMID1に対して第1の画像処理を実行し、入力医用画像データIMIDのうち、第1の中間画像データMID1に対応する画像領域の外側を含む画像データと、第1の画像処理後の第1の中間画像データDAPとに、基づき、第2の中間画像データMID2を生成し、第2の中間画像データMID2をk空間データKSDに変換して、k空間データKSDに対してk空間上の処理KSPを行い、k空間上の処理KSPが施されたk空間データを出力医用画像データOMIDに変換する。
【0084】
また、実施形態に係るMRI装置100および医用画像処理装置1は、入力医用画像データの全ての画像領域に対して第1の画像処理を適用したときに第1の画像処理後の画像データにおける画像領域の画質に影響を与える範囲に基づいて、第1の中間画像データMID1を生成する。また、実施形態に係るMRI装置100および医用画像処理装置1は、k空間上の処理KSPとして、k空間データKSDに対するフィルタ処理またはk空間データKSDの外縁の外側にゼロ値を充填する処理(ゼロ充填補間、ゼロ埋め補間)を実行する。
【0085】
また、実施形態に係るMRI装置100および医用画像処理装置1は、第1の中間画像データMID1に対応する画像領域の外側を含む画像データOFを入力医用画像データIMIDから取り出し、第1の画像処理後の第1の中間画像データDAPの外縁に、第1の中間画像データMID1に対応する画像領域の外側を含む画像データOFを加えて、第2の中間画像データMID2を生成する。なお、実施形態に係るMRI装置100および医用画像処理装置1は、外側を含む画像データOFに所定のフィルタを適用した画像データと、第1の画像処理後の第1の中間画像データDAPとに基づき第2の中間画像データMID2を生成してもよい。
【0086】
図7は、第1の比較例と第2の比較例と本実施形態とにおける技術概要と、アーチファクトとの一覧を示す一覧表である、
図7に示すように、本実施形態では、入力医用画像データIMIDから第1クロッピングにより抽出され、第1の画像処理が施された処理後データDAPの外縁に、入力医用画像データIMIDから第2クロッピングにより抽出された画像データOFが結合される。これにより、本実施形態では、第1の比較例とは異なり、折り返しアーチファクトは低減される。加えて、本実施形態では、処理後データ(例えば、デノイズ部分)DAPと画像データOFとの信号差、すなわち、処理後データDAPと、処理後データDAPに対して付加されるデータOFとの境界部分の信号差が第2の比較例に比べて低減されるため、ギブスアーチファクトも低減することができる。
【0087】
図8は、第1の比較例と第2の比較例とに対する本実施形態の顕著な効果(効果比較)の一例を示す図である。
図8に示すように、第1の比較例による医用画像CE1には、ギブスアーチファクトGAと折り返しアーチファクトAAとが表れている。また、
図8に示すように、第2の比較例による医用画像CE2では、折り返しアーチファクトは低減されているがギブスアーチファクトGAが表れている。一方、本実施形態による出力医用画像データEMでは、
図8に示すように、ギブスアーチファクトGAと折り返しアーチファクトAAとが低減されている。
【0088】
また、実施形態に係るMRI装置100および医用画像処理装置1において、第1の中間画像データMID1に対応する画像領域の外側を含む画像データOFと、第1の画像処理後の第1の中間画像データMID1とは、互いに重複する重複領域を有していてもよい。このとき、実施形態に係るMRI装置100および医用画像処理装置1は、当該重複領域において、第1の中間画像データMID1に対応する画像領域の外側を含む画像データOFと、第1の画像処理後の第1の中間画像データDAPとを用いて加算平均または加重平均を実行して、第2の中間画像データMID2を生成する。これにより、実施形態に係るMRI装置100および医用画像処理装置1によれば、FOVに比べてノイズが多い外側の領域(画像データOF)と、入力医用画像データIMIDの内側のデノイズ後の領域DAPとの境目の輝度の差(不自然なエッジ)を低減させることができる。これにより、実施形態に係るMRI装置100および医用画像処理装置1によれば、計算負荷を軽減しながらFOV内に現れるアーチファクトを低減し、かつ自然な拡大画像EIを生成することができる。
【0089】
以上のことから、実施形態に係るMRI装置100および医用画像処理装置1によれば、計算負荷軽減処理に続いてk空間後処理を実行する場合、処理後データDAP(例えば、第1の画像処理としてのデノイズ後の画像)の外側に、入力医用画像データIMIDのうち、第1の中間画像データMID1に対応する画像領域の外側を含む画像データOFを追加することができる。このため、実施形態に係るMRI装置100および医用画像処理装置1によれば、
図7および
図8に示すように、第1の比較例および第2の比較例に比べて、アーチファクトを低減することができる。すなわち、実施形態に係るMRI装置100および医用画像処理装置1によれば、計算負荷を軽減しながらFOV内に現れるアーチファクトを低減することができる。
【0090】
実施形態における技術的思想を医用画像処理方法で実現する場合、当該医用画像処理方法は、画像処理後の出力医用画像データOMID(FOV)よりも広い画像領域を有する入力医用画像データIMIDを取得し、出力医用画像データOMIDの範囲(FOV)を含み入力医用画像データIMIDより狭い画像領域を入力医用画像IMIDから取り出して、第1の中間画像データMID1を生成し、第1の中間画像データMID1に対して第1の画像処理を実行し、入力医用画像データIMIDのうち、第1の中間画像データMID1に対応する画像領域の外側を含む画像データOFと、第1の画像処理後の第1の中間画像データDAPと、に基づき、第2の中間画像データMID2を生成し、第2の中間画像データMID2をk空間データKSDに変換して、k空間データKSDに対してk空間上の処理KSPを行い、k空間上の処理KSPが施されたk空間データを出力医用画像データOMIDに変換する。医用画像処理方法により実行される画像処理の手順および効果は、実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0091】
本実施形態における技術的思想を医用画像処理プログラムで実現する場合、当該医用画像処理プログラムは、コンピュータに、画像処理後の出力医用画像データOMIDの画像領域(FOV)よりも広い画像領域を有する入力医用画像データIMIDを取得し、出力医用画像データOMIDの範囲(FOV)を含み入力医用画像データIMIDより狭い画像領域を入力医用画像IMIDから取り出して、第1の中間画像データMID1を生成し、第1の中間画像データMID1に対して第1の画像処理を実行し、入力医用画像データIMIDのうち、第1の中間画像データMID1に対応する画像領域の外側を含む画像データOFと、第1の画像処理後の第1の中間画像データDAPと、に基づき、第2の中間画像データMID2を生成し、第2の中間画像データMID2をk空間データKSDに変換して、k空間データKSDに対してk空間上の処理KSPを行い、k空間上の処理KSPが施されたk空間データを出力医用画像データOMIDに変換することを実現させる。医用画像処理プログラムは、例えば、コンピュータが読取可能な非不揮発性記憶媒体に記憶される。
【0092】
例えば、画像処理に関する各種サーバ装置(処理装置)に医用画像処理プログラムを非不揮発性記憶媒体からインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても、画像処理を実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(ハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することも可能である。医用画像処理プログラムにおける処理手順および効果は、実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0093】
以上説明した少なくとも1つの実施形態等によれば、アーチファクトを低減することができる。
【0094】
いくつかの実施形態を参照して本開示を説明したが、これらの実施形態は、本開示の原理と用途の例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0095】
1 医用画像処理装置
2 医用画像撮像装置
11 通信インターフェース
13 メモリ
15 処理回路
17 入出力インターフェース
100 磁気共鳴イメージング装置
101 静磁場磁石
103 傾斜磁場コイル
105 傾斜磁場電源
107 寝台
109 寝台制御回路
111 ボア
113 送信回路
115 送信コイル
117 受信コイル
119 受信回路
121 撮像制御回路
123 システム制御回路
125 記憶装置
151 取得機能
153 再構成機能
155 クロッピング機能
156 第1画像処理機能
157 第2画像処理機能
158 第3画像処理機能
1071 天板