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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146795
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F25B 47/00 20060101AFI20241004BHJP
   F28F 19/00 20060101ALI20241004BHJP
   F28F 1/02 20060101ALI20241004BHJP
   F25B 39/00 20060101ALI20241004BHJP
   F24F 1/0059 20190101ALI20241004BHJP
   F24F 1/18 20110101ALI20241004BHJP
   F28F 1/32 20060101ALI20241004BHJP
   F28F 19/06 20060101ALN20241004BHJP
   F28F 21/08 20060101ALN20241004BHJP
【FI】
F25B47/00 A
F28F19/00 511Z
F28F1/02 A
F25B39/00 D
F24F1/0059
F24F1/18
F28F1/32 G
F28F19/06 A
F28F21/08 B
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024036636
(22)【出願日】2024-03-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-07-10
(31)【優先権主張番号】P 2023058644
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】田村 文
(72)【発明者】
【氏名】坂巻 智彦
(72)【発明者】
【氏名】豊山 起洋剛
(72)【発明者】
【氏名】松本 祥志
【テーマコード(参考)】
3L051
3L054
【Fターム(参考)】
3L051BE06
3L054BA05
(57)【要約】
【課題】水酸化アルミニウムが室内に飛散する恐れがある。
【解決手段】空気調和機(1)は、室内機(2)と、室外機(3)と、を備える。室内機(2)は、第1熱交換器(20)を含む。室外機(3)は、第2熱交換器(30)を含む。第1熱交換器(20)は、第1扁平管(21)と、第1フィン(22)と、を有する。第1フィン(22)は、第1扁平管(21)に接合される。第2熱交換器(30)は、第2扁平管(31)と、第2フィン(32)と、を有する。第2フィン(32)は、第2扁平管(31)に接合される。第1フィン(22)と第1扁平管(21)との電位差は、第2フィン(32)と第2扁平管(31)との電位差よりも小さい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1熱交換器(20)を含む室内機(2)と、
第2熱交換器(30)を含む室外機(3)と、
を備え、
前記第1熱交換器は、
第1扁平管(21)と、
前記第1扁平管に接合される第1フィン(22)と、
を有し、
前記第2熱交換器は、
第2扁平管(31)と、
前記第2扁平管に接合される第2フィン(32)と、
を有し、
前記第1フィンと前記第1扁平管との電位差は、前記第2フィンと前記第2扁平管との電位差よりも小さい、空気調和機(1)。
【請求項2】
前記第1フィンの電位は、前記第2フィンの電位よりも高い、
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記第1フィンの電位は、前記第1扁平管の電位よりも高い、
請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記第1フィンと前記第1扁平管との電位差は、20mV以上60mV以下である、
請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記第1フィンの電位は、-890mV以上-750mV以下である、
請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記第1フィンの電位は、-890mV以上-800mV以下である、
請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項7】
冷房運転及び暖房運転を行う、
請求項1または2に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、扁平管とフィンとを備える熱交換器が知られている。このような熱交換器として、例えば、特許文献1(特開2013-43216号公報)が挙げられる。
【0003】
特許文献1の熱交換器は、アルミニウム及びアルミニウム合金製の熱交換チューブとフィンとをろう付けしてなり、ろう付け後のフィン、熱交換チューブ表面及び熱交換チューブ芯部の電位が、(貴)熱交換チューブ芯部>熱交換チューブ表面>フィン(卑)の関係にあり、かつ、ろう付け後の熱交換チューブ芯部と熱交換チューブ表面、及び熱交換チューブ表面とフィンとの電位差が、それぞれ40mV~60mVの範囲であることが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の熱交換器を室内機に用いると、腐食生成物である水酸化アルミニウムが発生して、室内に飛散する恐れがあるという問題に、本発明者は着目した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1観点に係る空気調和機は、室内機と、室外機と、を備える。室内機は、第1熱交換器を含む。室外機は、第2熱交換器を含む。第1熱交換器は、第1扁平管と、第1フィンと、を有する。第1フィンは、第1扁平管に接合される。第2熱交換器は、第2扁平管と、第2フィンと、を有する。第2フィンは、第2扁平管に接合される。第1フィンと第1扁平管との電位差は、第2フィンと第2扁平管との電位差よりも小さい。
【0006】
第1観点の空気調和機によれば、室内機の第1フィンと第1扁平管との電位差を、室外機の第2フィンと第2扁平管との電位差よりも小さくしているので、室内機の第1フィン及び第1扁平管の腐食を効果的に抑制できる。これにより、第1フィン及び第1扁平管の腐食に起因した水酸化アルミニウムの発生を減らすことができる。したがって、水酸化アルミニウムが室内に飛散することを抑制できる。
【0007】
第2観点に係る空気調和機は、第1観点の空気調和機であって、第1フィンの電位は、第2フィンの電位よりも高い。
【0008】
第2観点の空気調和機では、室内機の第1フィンの電位を、室外機の第2フィンの電位よりも高くすることによって、第1フィンの腐食を抑制することで、水酸化アルミニウムが室内に飛散することをより抑制できる。
【0009】
第3観点に係る空気調和機は、第1観点または第2観点の空気調和機であって、第1フィンの電位は、第1扁平管の電位よりも高い。
【0010】
第3観点の空気調和機では、第1フィンの電位を第1扁平管の電位よりも高くすることによって、第1フィンの腐食を抑制することで、水酸化アルミニウムが室内に飛散することをより抑制できる。
【0011】
第4観点に係る空気調和機は、第1観点から第3観点のいずれかの空気調和機であって、第1フィンと第1扁平管との電位差は、20mV以上60mV以下である。
【0012】
第4観点の空気調和機では、室内機の第1フィンと第1扁平管との電位差を、20mV以上60mV以下と小さくしている。これにより、第1フィン及び第1扁平管の腐食に起因した水酸化アルミニウムの発生をより減らすことができる。
【0013】
第5観点に係る空気調和機は、第1観点から第4観点のいずれかの空気調和機であって、第1フィンの電位は、-890mV以上-750mV以下である。
【0014】
第5観点の空気調和機では、室内機の第1熱交換器の第1フィンが-890mV以上-750mV以下の高い電位を有しているので、第1フィンが過度に腐食することを抑制できる。
【0015】
第6観点に係る空気調和機は、第1観点から第5観点のいずれかの空気調和機であって、第1フィンの電位は、-890mV以上-800mV以下である。
【0016】
第6観点の空気調和機では、室内機の第1熱交換器の第1フィンが-890mV以上-800mV以下の非常に高い電位を有しているので、第1フィンが過度に腐食することをより抑制できる。
【0017】
第7観点に係る空気調和機は、第1観点から第6観点のいずれかの空気調和機であって、冷房運転及び暖房運転を行う。
【0018】
第7観点の空気調和機では、冷房運転及び暖房運転を行う際に、室内機の第1フィン及び第1扁平管の腐食に起因した水酸化アルミニウムの発生を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の一実施形態に係る空気調和機の概略構成図である。
図2】室外機の模式図である。
図3】第1及び第2扁平管の断面図である。
図4】第1及び第2フィンの断面図である。
図5】実施例において、電位を測定する方法を説明する図である。
図6】実施例において、電位を測定する方法を説明する図である。
図7】実施例において、電位を測定する方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(1)全体構成
本開示の一実施形態に係る空気調和機1について、図1図4を参照して説明する。図1に示すように、空気調和機1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、建物等の室内の冷暖房に使用される。
【0021】
空気調和機1は、主として、室内機2と、室外機3と、室内機2と室外機3とを接続する液冷媒連絡管4及びガス冷媒連絡管5と、を有している。そして、空気調和機1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、室内機2と室外機3とが液冷媒連絡管4及びガス冷媒連絡管5を介して接続されることによって構成されている。
【0022】
(1-1)室内機
室内機2は、室内に設置されている。室内機2は、主として、第1熱交換器20と、第1ファン11と、を有している。
【0023】
第1熱交換器20は、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能し、暖房運転時には冷媒の放熱器として機能する熱交換器である。第1熱交換器20は、その液側が液冷媒連絡管4に接続されており、ガス側がガス冷媒連絡管5に接続されている。
【0024】
第1ファン11は、室内機2内に室内空気を吸入して、第1熱交換器20に室内空気を供給した後に、室内機2外に排出する。
【0025】
(1-2)室外機
室外機3は、室外に設置されている。室外機3は、主として、圧縮機12と、流路切換機構13と、第2熱交換器30と、膨張機構14と、を有している。
【0026】
圧縮機12は、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を高圧になるまで圧縮する機構である。
【0027】
流路切換機構13は、冷房運転と暖房運転との切換時に、冷媒の流れの方向を切り換える機構である。流路切換機構13は、冷房運転時には、圧縮機12の吐出側と第2熱交換器30のガス側とを接するとともに、ガス冷媒連絡管5を介して第1熱交換器20のガス側と圧縮機12の吸入側とを接続する(図1における流路切換機構13の実線を参照)。また、流路切換機構13は、暖房運転時には、ガス冷媒連絡管5を介して圧縮機12の吐出側と第1熱交換器20のガス側とを接続するとともに、第2熱交換器30のガス側と圧縮機12の吸入側とを接続する(図1における流路切換機構13の破線を参照)。
【0028】
第2熱交換器30は、冷房運転時には冷媒の放熱器として機能し、暖房運転時には冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。第2熱交換器30は、その液側が膨張機構14に接続されており、ガス側が流路切換機構13に接続されている。
【0029】
膨張機構14は、冷房運転時には第2熱交換器30において放熱した高圧の液冷媒を第1熱交換器20に送る前に減圧し、暖房運転時には第1熱交換器20において放熱した高圧の液冷媒を第2熱交換器30に送る前に減圧する機構である。
【0030】
また、室外機3には、室外機3内に室外空気を吸入して、第2熱交換器30に室外空気を供給した後に、室外機3外に排出するための第2ファン15が設けられている。
【0031】
(2)詳細構成
第1熱交換器20及び第2熱交換器30について、図2図4を参照して説明する。第1熱交換器20及び第2熱交換器30は、マイクロチャネル式熱交換器である。
【0032】
(2-1)第1熱交換器
図2に示すように、第1熱交換器20は、第1扁平管21と、第1フィン22と、を有している。ここでは、第1扁平管21及び第1フィン22は、複数設けられている。第1フィン22は、第1扁平管21に接合される。
【0033】
第1熱交換器20は、第1扁平管21の中を流れる冷媒と、第1扁平管21の外を流れる室内空気と、の間で熱交換を行わせる。第1熱交換器20は、室内空気と冷媒との間で、互いに混合させることなく熱交換を行わせる。
【0034】
第1扁平管21及び第1フィン22を構成する材料は、特に限定されず、例えば、アルミニウム、銅などを含む。本実施形態の第1扁平管21及び第1フィン22は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である。
【0035】
(2-1-1)第1扁平管
複数の第1扁平管21は、上下方向に並ぶ。第1扁平管21は、内部に冷媒を流す。図2及び図3に示すように、第1扁平管21は、扁平形状を有する伝熱管である。ここでは、第1扁平管21は、扁平多孔管である。第1扁平管21には、第1熱交換器20で室内空気と熱交換される冷媒が通過する複数の貫通孔211が所定の方向に並んで形成されている。この複数の貫通孔211は、長手方向に沿って貫通する。
【0036】
図3に示すように、第1扁平管21は、第1母材212と、第1表面層213と、を有している。
【0037】
第1表面層213は、第1扁平管21の表面に設けられている。第1表面層213は、第1扁平管21の表面全体に設けられてもよく、第1扁平管21の表面の一部に設けられてもよい(図示せず)。換言すると、第1表面層213は、露出する外表面の全体に形成されてもよく、露出する外表面の一部に形成されてもよい(図示せず)。第1表面層213は、第1扁平管21の外表面から冷媒の流れる内表面に向かう厚さ方向の一部に形成されており、肉厚全体には形成されていない。換言すると、第1扁平管21において、冷媒の流れる内表面の少なくとも一部には、第1表面層213は形成されていない。本実施形態では、第1扁平管21の内側面の全体に、第1表面層213は形成されていない。
【0038】
第1表面層213は、第1母材212よりも電位的に卑である。このため、第1扁平管21において、外表面側の第1表面層213は、内表面側の第1母材212の腐食の進行を防止する犠牲層である。
【0039】
第1表面層213は、電位を下げるために、亜鉛などの金属を含有する。本実施形態の第1表面層213は、亜鉛が溶射された亜鉛拡散層である。
【0040】
(2-1-2)第1フィン
図2に示すように、第1フィン22は、複数の第1扁平管21に接合されている。ここでは、第1扁平管21及び第1フィン22は、互いにロウ付けによって接合されている。第1フィン22は、第1扁平管21と接してもよく、接していなくてもよい。第1フィン22は、第1扁平管21と室内空気との伝熱面積を増大させて、冷媒と室内空気との熱交換を促進する。
【0041】
第1フィン22は、第1扁平管21の延びる長手方向に積層されている。ここでは、複数の第1フィン22は、第1扁平管21に交差(図2では直交)するように上下方向に延びている。
【0042】
第1フィン22は、平板状の部材である。また第1フィン22は、複数の第1扁平管21を通すための切欠きを有している。この切欠きは、上下方向に複数並んでいる。なお、第1フィン22は、カラー部を有してもよい。
【0043】
図4に示すように、第1フィン22は、第1本体部221と、第1表面層222と、を有する。
【0044】
第1表面層222は、第1本体部221の表面に設けられている。ここでは、第1表面層222は、第1本体部221の長手方向に延びる両表面に設けられている。
【0045】
第1表面層222の厚みは、第1本体部221の厚みよりも小さい。なお、第1フィン22における各厚みは、外表面から内部に向かう距離の最大値である。
【0046】
第1表面層222は、第1本体部221よりも電位的に卑である。このため、第1フィン22において、外表面側の第1表面層222は、内表面側の第1本体部221の腐食の進行を防止する犠牲層である。
【0047】
第1フィン22は、電位を下げるために、亜鉛などの金属を含有する。本実施形態の第1表面層222は、亜鉛が溶射された亜鉛拡散層である。なお、第1フィン22は、マグネシウム、銅などをさらに含有してもよい。
【0048】
第1フィン22は、第1扁平管21よりも電気的に卑であってもよく、貴であってもよい。詳細には、第1フィン22の第1表面層222は、第1扁平管21の第1表面層213よりも電気的に卑であってもよく、貴であってもよい。換言すると、電位の低い順に、第1扁平管21の第1表面層213、第1フィン22、及び第1扁平管21の第1母材212であってもよく、電位の低い順に、第1フィン22、第1扁平管21の第1表面層213、及び第1扁平管21の第1母材212であってもよい。ただし、第1フィン22は、第1母材212よりも電気的に卑である。本実施形態では、第1フィン22の電位は、第1扁平管21の電位よりも高い。
【0049】
本実施形態の第1フィン22の電位は、-890mV以上-750mV以下であり、-890mV以上-800mV以下であることが好ましく、-850mV以上-800mV以下であることがより好ましい。第1フィン22の電位は、最も外側の表面の電位である。このため、第1フィン22の電位は、第1表面層222を有している場合には第1表面層222の電位であり、第1表面層222を有していない場合には、第1本体部221の電位である。
【0050】
このような第1フィン22の電位は、電位を下げるために含有させる亜鉛などの金属の量を調整することで、実現される。
【0051】
また、本実施形態では、第1フィン22と第1扁平管21との電位差は、20mV以上60mV以下である。この電位差は、第1扁平管21の電位と第1フィン22の電位との差の絶対値である。具体的には、この電位差は、第1扁平管21の外表面の電位と第1フィン22の外表面の電位との差の絶対値である。
【0052】
このような電位差は、第1フィン22及び第1扁平管21に電位を下げるために含有させる亜鉛などの金属の量を調整することで、実現される。
【0053】
なお、第1扁平管21及び第1フィン22の電位は、第1熱交換器20から第1扁平管21及び第1フィン22の一部を取り出して、試験片を作製して、その試験片を3電極法によって測定した値である。
【0054】
(2-1-3)ロウ材
第1熱交換器20は、第1扁平管21と第1フィン22とを接続するロウ材(図示せず)をさらに有する。本実施形態のロウ材は、アルミニウムを含む。
【0055】
(2-2)第2熱交換器
図2に示すように、第2熱交換器30は、第2扁平管31と、第2フィン32と、を有している。ここでは、第2扁平管31及び第2フィン32は、複数設けられている。第2フィン32は、第2扁平管31に接合される。
【0056】
第2熱交換器30は、第2扁平管31の中を流れる冷媒と、第2扁平管31の外を流れる室外空気と、の間で熱交換を行わせる。第2熱交換器30は、室外空気と冷媒との間で、互いに混合させることなく熱交換を行わせる。
【0057】
第2扁平管31及び第2フィン32を構成する材料は、特に限定されず、例えば、アルミニウム、銅などを含む。本実施形態の第2扁平管31及び第2フィン32は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である。
【0058】
(2-2-1)第2扁平管
複数の第2扁平管31は、上下方向に並ぶ。第2扁平管31は、内部に冷媒を流す。図2及び図3に示すように、第2扁平管31は、扁平形状を有する伝熱管である。ここでは、第2扁平管31は、扁平多孔管である。第2扁平管31には、第2熱交換器30で室外空気と熱交換される冷媒が通過する複数の貫通孔311が所定の方向に並んで形成されている。この複数の貫通孔311は、長手方向に沿って貫通する。
【0059】
図3に示すように、第2扁平管31は、第2母材312と、第2表面層313と、を有している。
【0060】
第2表面層313は、第2扁平管31の表面に設けられている。第2表面層313は、第2扁平管31の表面全体に設けられてもよく、第2扁平管31の表面の一部に設けられてもよい(図示せず)。換言すると、第2表面層313は、露出する外表面の全体に形成されてもよく、露出する外表面の一部に形成されてもよい(図示せず)。第2表面層313は、第2扁平管31の外表面から冷媒の流れる内表面に向かう厚さ方向の一部に形成されており、肉厚全体には形成されていない。換言すると、第2扁平管31において、冷媒の流れる内表面の少なくとも一部には、第2表面層313は形成されていない。本実施形態では、第2扁平管31の内側面の全体に、第2表面層313は形成されていない。
【0061】
第2表面層313は、第2母材312よりも電位的に卑である。このため、第2扁平管31において、外表面側の第2表面層313は、内表面側の第2母材312の腐食の進行を防止する犠牲層である。
【0062】
なお、第2母材312及び第2表面層313の電位は、第2熱交換器30から第2母材312及び第2表面層313の一部を取り出して、試験片を作製して、試験片を3電極法によって測定した値である。
【0063】
第2表面層313は、電位を下げるために、亜鉛などの金属を含有する。本実施形態の第2表面層313は、亜鉛が溶射された亜鉛拡散層である。
【0064】
(2-2-2)第2フィン
図2に示すように、第2フィン32は、複数の第2扁平管31に接合されている。ここでは、第2扁平管31及び第2フィン32は、互いにロウ付けによって接合されている。第2フィン32は、第2扁平管31と接してもよく、接していなくてもよい。第2フィン32は、第2扁平管31と室内空気との伝熱面積を増大させて、冷媒と室内空気との熱交換を促進する。
【0065】
第2フィン32は、第2扁平管31の延びる長手方向に積層されている。ここでは、複数の第2フィン32は、第2扁平管31に交差(図2では直交)するように上下方向に延びている。
【0066】
第2フィン32は、平板状の部材である。また第2フィン32は、複数の第2扁平管31を通すための切欠きを有している。この切欠きは、上下方向に複数並んでいる。なお、第2フィン32は、カラー部を有してもよい。
【0067】
図4に示すように、第2フィン32は、第2本体部321と、第2表面層322と、を有する。
【0068】
第2表面層322は、第2本体部321の表面に設けられている。ここでは、第2表面層322は、第2本体部321の長手方向に延びる両表面に設けられている。
【0069】
第2表面層322の厚みは、第2本体部321の厚みよりも小さい。なお、第2フィン32における各厚みは、外表面から内部に向かう距離の最大値である。
【0070】
第2表面層322は、第2本体部321よりも電位的に卑である。このため、第2フィン32において、外表面側の第2表面層322は、内表面側の第2本体部321の腐食の進行を防止する犠牲層である。
【0071】
第2フィン32は、電位を下げるために、亜鉛などの金属を含有する。本実施形態の第2表面層322は、亜鉛が溶射された亜鉛拡散層である。なお、第2フィン32は、マグネシウム、銅などをさらに含有してもよい。
【0072】
第2フィン32は、第2扁平管31よりも電気的に卑であってもよく、貴であってもよい。詳細には、第2フィン32の第2表面層322は、第2扁平管31の第2表面層313よりも電気的に卑であってもよく、貴であってもよい。換言すると、電位の低い順に、第2扁平管31の第2表面層313、第2フィン32、及び第2扁平管31の第2母材312であってもよく、電位の低い順に、第2フィン32、第2扁平管31の第2表面層313、及び第2扁平管31の第2母材312であってもよい。ただし、第2フィン32は、第2母材312よりも電気的に卑である。
【0073】
なお、第2フィン32の電位は、第2熱交換器30から第2フィン32の一部を取り出して、試験片を作製して、試験片を3電極法によって測定した値である。
【0074】
(2-2-3)ロウ材
第2熱交換器30は、第2扁平管31と第2フィン32とを接続するロウ材(図示せず)をさらに有する。本実施形態のロウ材は、アルミニウムを含む。
【0075】
(2-3)第1熱交換器と第2熱交換器との関係
第1フィン22の電位は、第2フィン32の電位よりも高く、第2フィン32の電位の1.1倍以上であることが好ましい。第1フィン22の電位は、第1フィン22の外表面の電位である。第2フィン32の電位は、第2フィン32の外表面の電位である。
【0076】
また、第1フィン22と第1扁平管21との電位差は、第2フィン32と第2扁平管31との電位差よりも小さく、第2フィン32と第2扁平管31との電位差の0.9倍以下であることが好ましい。例えば、第1フィン22と第1扁平管21との電位差は、第2フィン32と第2扁平管31との電位差よりも、20mV以上60mV以下低く、30mV以上50mV以下低いことが好ましい。ここで、第1フィン22と第1扁平管21との電位差は、第1扁平管21の電位と第1フィン22の電位との差の絶対値である。第2フィン32と第2扁平管31との電位差は、第2フィン32の電位と第2扁平管31の電位との差の絶対値である。具体的には、第1フィン22と第1扁平管21との電位差は、第1扁平管21の外表面の電位と第1フィン22の外表面の電位との差の絶対値である。第2フィン32と第2扁平管31との電位差は、第2扁平管31の外表面の電位と第2フィン32の外表面の電位との差の絶対値である。
【0077】
このような電位は、第1扁平管21、第1フィン22、第2扁平管31及び第2フィン32に電位を下げるために含有させる亜鉛などの金属の量を調整することで、実現される。
【0078】
(3)動作
(3-1)冷房運転
空気調和機1が冷房運転を行う場合、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒は、圧縮機12に吸入され、冷凍サイクルにおける高圧まで圧縮された後に吐出される。圧縮機12から吐出された高圧の冷媒は、流路切換機構13を通じて、第2熱交換器30に送られる。第2熱交換器30に送られた高圧の冷媒は、第2熱交換器30において、第2ファン15によって供給される室外空気と熱交換を行って放熱する。第2熱交換器30において放熱した高圧の冷媒は、膨張機構14に送られて、冷凍サイクルにおける低圧まで減圧される。膨張機構14において減圧された低圧の冷媒は、液冷媒連絡管4を通じて、第1熱交換器20に送られる。第1熱交換器20に送られた低圧の冷媒は、第1熱交換器20において、第1ファン11によって供給される室内空気と熱交換を行って蒸発する。これにより、室内空気は冷却されて室内に吹き出される。第1熱交換器20において蒸発した低圧の冷媒は、ガス冷媒連絡管5及び流路切換機構13を通じて、再び、圧縮機12に吸入される。
【0079】
(3-2)暖房運転
空気調和機1が暖房運転を行う場合、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒は、圧縮機12に吸入され、冷凍サイクルにおける高圧まで圧縮された後に吐出される。圧縮機12から吐出された高圧の冷媒は、流路切換機構13及びガス冷媒連絡管5を通じて、第1熱交換器20に送られる。第1熱交換器20に送られた高圧の冷媒は、第1熱交換器20において、第1ファン11によって供給される室内空気と熱交換を行って放熱する。これにより、室内空気は加熱されて室内に吹き出される。第1熱交換器20において放熱した高圧の冷媒は、液冷媒連絡管4を通じて、膨張機構14に送られて、冷凍サイクルにおける低圧まで減圧される。膨張機構14において減圧された低圧の冷媒は、第2熱交換器30に送られる。第2熱交換器30に送られた低圧の冷媒は、第2熱交換器30において、第2ファン15によって供給される室外空気と熱交換を行って蒸発する。第2熱交換器30において蒸発した低圧の冷媒は、流路切換機構13を通じて、再び、圧縮機12に吸入される。
【0080】
(4)特徴
(4-1)
クロスフィン熱交換器では、フィンの表面に樹脂層を形成して、伝熱管と絶縁して、腐食を抑制する技術が考えられる。しかし、マイクロチャネル熱交換器では、フィンと伝熱管(扁平管)とをロウ付けするので、フィンの表面に樹脂層を形成できない。このため、フィンと伝熱管とに電位差が生じると、フィンまたは伝熱管が腐食する。例えば、冷媒漏洩を防止するために、伝熱管の腐食を防止する場合には、フィンの電位を伝熱管の電位よりも低くすることがある。この場合、アルミニウムを含むフィンが優先して腐食して、水酸化アルミニウムが発生する。このマイクロチャネル熱交換器が室内機に設けられていると、白い粉状の水酸化アルミニウムが室内に飛散する恐れがあるという問題が生じる。本発明者は、この問題に着目して、本開示の空気調和機1に想到した。
【0081】
詳細には、腐食由来の粉が飛散するという問題は、室外機では大きな問題ではないが、室内機では問題となるので、室内機特有の問題である。一方で、室外機は、室内機に対して大気中の塩化物イオンの存在度が大きいため、腐食が起こりやすいという別の問題がある。これらの問題を解決するために本発明者が鋭意検討した結果、室内機のフィン及び扁平管との電位と、室外機のフィン及び扁平管の電位との関係に着想を得た。
【0082】
そこで、本実施形態に係る空気調和機1は、室内機2と、室外機3と、を備える。室内機2は、第1熱交換器20を含む。室外機3は、第2熱交換器30を含む。第1熱交換器20は、第1扁平管21と、第1フィン22と、を有する。第1フィン22は、第1扁平管21に接合される。第2熱交換器30は、第2扁平管31と、第2フィン32と、を有する。第2フィン32は、第2扁平管31に接合される。第1フィン22と第1扁平管21との電位差は、第2フィン32と第2扁平管31との電位差よりも小さい。
【0083】
本実施形態の空気調和機1によれば、室内機2の第1フィン22と第1扁平管21との電位差を、室外機3の第2フィン32と第2扁平管31との電位差よりも小さくしているので、マイクロチャネル熱交換器の室内機2の第1フィン22及び第1扁平管21の腐食を効果的に抑制できる。このため、第1フィン22及び第1扁平管21に起因した水酸化アルミニウムの発生をより減らすことができる。したがって、白い粉状の水酸化アルミニウムが室内に飛散することを抑制できる。
【0084】
なお、室外機3の第2フィン32と第2扁平管31との電位差を、室内機2の第1フィン22と第1扁平管21との電位差よりも大きくできるので、室外機3の第2扁平管31の第2母材312の腐食を抑制することができる。
【0085】
また、室外機3は室内機2に対して、腐食が起こりやすいので、室外機3の第2フィン32の電位を、第2扁平管31の電位よりも低くすることが好ましい。このように、第2扁平管31の腐食を抑制して冷媒漏れを防ぐために、第2フィン32を優先的に腐食させる電位設計とすることができる。この場合であっても、室外機3において、水酸化アルミニウムが発生する点は大きな問題ではない一方、室内機2の第1フィン22と第1扁平管21との電位差を小さくすることで、室内機2からの粉飛びを抑制することができる。
【0086】
(4-2)
本実施形態に係る空気調和機1では、第1フィン22の電位は、第2フィン32の電位よりも高い。
【0087】
ここでは、室内機2の第1フィン22の電位を、室外機3の第2フィン32の電位よりも高くすることによって、第1フィン22の腐食を抑制することで、水酸化アルミニウムが室内に飛散することをより抑制できる。
【0088】
(4-3)
本実施形態に係る空気調和機1では、第1フィン22の電位は、第1扁平管21の電位よりも高い。
【0089】
ここでは、第1フィン22の電位を第1扁平管21の電位よりも高くすることによって、第1フィン22の腐食を抑制することで、水酸化アルミニウムが室内に飛散することをより抑制できる。
【0090】
(4-4)
本実施形態に係る空気調和機1では、第1フィン22と第1扁平管21との電位差は、20mV以上60mV以下である。
【0091】
ここでは、室内機2の第1フィン22と第1扁平管21との電位差を、20mV以上60mV以下と小さくしている。これにより、第1フィン22及び第1扁平管21の腐食に起因した水酸化アルミニウムの発生をより減らすことができる。
【0092】
(4-5)
本実施形態に係る空気調和機1では、第1フィン22の電位は、-890mV以上-750mV以下である。
【0093】
ここでは、室内機2の第1熱交換器20の第1フィン22を、-890mV以上-750mV以下の高い電位に設計している。これにより、第1フィン22を過度に腐食させずに、第1フィン22の腐食に起因した水酸化アルミニウムの発生を減らすことができる。
【0094】
また、本実施形態の室内機2において、第1フィン22が過度に腐食することを抑制できるので、腐食臭を抑えることもできる。
【0095】
(4-6)
本実施形態に係る空気調和機1では、第1フィン22の電位は、-890mV以上-800mV以下である。
【0096】
ここでは、室内機2の第1熱交換器20の第1フィン22を、-890mV以上-800mV以下の高い電位に設計している。これにより、第1フィン22を過度に腐食させずに、第1フィン22の腐食に起因した水酸化アルミニウムの発生をより減らすことができる。
【0097】
(4-7)
本実施形態に係る空気調和機1は、冷房運転及び暖房運転を行う。
【0098】
本実施形態では、蒸発器で結露を伴う運転を行っても、第1フィン22及び第1扁平管21を過度に腐食させることを抑制できる。このため、空気調和機1が冷房運転及び暖房運転を行っても、室内機2の第1フィン22及び第1扁平管21の腐食に起因した水酸化アルミニウムの発生を減らすことができる。
【0099】
(5)変形例
(5-1)変形例1
上記実施形態では、第1フィン22は第1表面層222を有し、第2フィン32は第2表面層322を有しているが、これに限定されない。本開示の第1フィン22及び第2フィン32の少なくとも一方は、表面層を有していなくてもよい。
【0100】
(5-2)変形例2
上記実施形態では、第1扁平管21は第1表面層213を有し、第2扁平管31は第2表面層313を有しているが、これに限定されない。本開示の第1扁平管21及び第2扁平管31の少なくとも一方は、表面層を有していなくてもよい。
【0101】
(5-3)変形例3
上記実施形態では、第1扁平管21の第1表面層213及び第2扁平管31の第2表面層313は、亜鉛が溶射された拡散層を例に挙げて説明したが、これに限定されない。本変形例では、母材及び表面層として、クラッド材を用いる。
【0102】
具体的には、第1扁平管21は、第1母材212となる金属と、第1表面層213となる金属とが貼り合わされたクラッド材を用いて、形成されている。第2扁平管31は、第2母材312となる金属と、第2表面層313となる金属とが貼り合わされたクラッド材を用いて、形成されている。
【0103】
(5-4)変形例4
上記実施形態では、冷房運転及び暖房運転を行う空気調和機1を例に挙げて説明したが、本開示の空気調和機は、これに限定されない。本開示の空気調和機は、除湿運転をさらに行ってもよく、冷房専用であってもよい。
【実施例0104】
本実施例では、室内機2の第1フィン22と第1扁平管21との電位を、室外機3の第2フィン32と第2扁平管31との電位よりも小さくすることの効果について調べた。
【0105】
(実施例1)
実施例1では、室内機2の第1熱交換器20及び室外機3の第2熱交換器30として、マイクロチャネル熱交換器を備える、図1に示す空気調和機1を製造した。
【0106】
具体的には、第1扁平管21として、アルミニウム製の第1母材212の表面に亜鉛を溶射して、第1表面層213を形成した。また、第1フィン22として、アルミニウム製の第1本体部221の表面に亜鉛を溶射して、第1表面層222を形成した。このような第1扁平管21と第1フィン22とを、アルミニウムを含有するロウ材を用いて、接合して、第1熱交換器20を作製した。
【0107】
また、第2扁平管31として、アルミニウム製の第2母材312の表面に亜鉛を溶射して、第2表面層313を形成した。また、第2フィン32として、アルミニウム製の第2本体部321の表面に亜鉛を溶射して、第2表面層322を形成した。このような第2扁平管31と第2フィン32とを、アルミニウムを含有するロウ材を用いて、接合して、第2熱交換器30を作製した。実施例1では、第1フィン22の亜鉛含有率を、第2フィン32の亜鉛含有率よりも少なくした。
【0108】
(比較例1)
比較例1は、基本的には、実施例1と同様であるが、室内機の第1熱交換器の第1フィンのみ異なっていた。具体的には、比較例1の室内機の第1フィンの亜鉛含有率を、室外機の第2フィンの亜鉛含有率と同じにした。
【0109】
(測定方法及び結果)
実施例1及び比較例1の第1扁平管の第1母材及び第1表面層と、第1フィンの第1表面層と、第2扁平管の第2母材及び第2表面層と、第2フィンの第2表面層との電位を測定した。測定方法は、以下の通りである。
【0110】
第1熱交換器及び第2熱交換器から、第1扁平管の第1母材及び第1表面層と、第1フィンの第1表面層と、第2扁平管の第2母材及び第2表面層と、第2フィンの第2表面層と、の一部を取り出して、試験片を作製して、試験片を3電極法によって測定した。詳細には、図5に示すように、試験片Sの長さを、40mmとした。そして、図6に示すように、試験片Sにエポキシ樹脂Rを貼り付けて、試験面S1を露出させた。試験面S1は、全周の長さを10mmとした。試験溶液は、2.67%の塩化アルミニウム水溶液とした。参照電極は、飽和カロメル電極とした。対極は、白金とした。図7に示すように、リード線を用いて、試験片Sを対極に接続した。そして、大気開放し、温度を40℃とした状態で、試験溶液のpHを調整した後に、3電極法によって試験面S1の電位を測定した。
【0111】
実施例1及び比較例1の電位を測定した結果を下記の表1に示す。
【0112】
【表1】
【0113】
表1に記載されているように、実施例1では、第1フィンの電位(-800mV)は、第2フィンの電位(-900mv)よりも高かった。また、実施例1では、第1フィンと第1扁平管との電位差は、30mVであった。また、実施例1では、第1フィンと第1扁平管との電位差(30mV)は、第2フィンと第2扁平管との電位差(70mV)よりも小さかった。
【0114】
(評価方法及び結果)
実施例1の空気調和機及び比較例1の空気調和機について、冷房運転及び暖房運転を行って、室内機から水酸化アルミニウムが飛散したか否かを目視で確認した。
【0115】
室内機2の第1フィン22と第1扁平管21との電位が、室外機3の第2フィン32と第2扁平管31との電位と同じである比較例1の空気調和機は、室内機から水酸化アルミニウムが飛散した。一方、室内機2の第1フィン22と第1扁平管21との電位が、室外機3の第2フィン32と第2扁平管31との電位よりも小さい実施例1の空気調和機は、室内機から水酸化アルミニウムが飛散しなかった。
【0116】
以上より、室内機2の第1フィン22と第1扁平管21との電位を、室外機3の第2フィン32と第2扁平管31との電位よりも小さくすることによって、第1フィン及び第1扁平管の腐食に起因した水酸化アルミニウムの発生を減らすことで、水酸化アルミニウムが室内に飛散することを抑制できることが確認できた。また、第1フィンの電位が-890mV以上-750mV以下の高い電位を有することによって、第1フィンの腐食に起因した水酸化アルミニウムの発生を減らすことによって、水酸化アルミニウムが室内に飛散することを抑制できることも確認できた。
【0117】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0118】
1 :空気調和機
2 :室内機
3 :室外機
20 :第1熱交換器
21 :第1扁平管
22 :第1フィン
30 :第2熱交換器
31 :第2扁平管
32 :第2フィン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0119】
【特許文献1】特開2013-43216号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7