(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146801
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】水素発生装置
(51)【国際特許分類】
C01B 3/38 20060101AFI20241004BHJP
F23K 5/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
C01B3/38
F23K5/00 302
F23K5/00 301C
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024039286
(22)【出願日】2024-03-13
(31)【優先権主張番号】10-2023-0042745
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0095367
(32)【優先日】2023-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 110-728 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ベ スン ヒュク
(72)【発明者】
【氏名】キム ジェ ジョン
【テーマコード(参考)】
3K068
4G140
【Fターム(参考)】
3K068AA03
3K068AA05
3K068CA01
4G140EA03
4G140EA06
4G140EB03
(57)【要約】
【課題】水素生産量が向上し、クリーンエネルギーの生産が可能な水素発生装置を提供すること。
【解決手段】本開示は水素発生装置を提供する。水素発生装置は、複数のシリンダーと、複数の前記シリンダーにそれぞれ配置され、燃料を燃焼させる複数の燃焼ユニットと、燃料供給ユニットから供給された燃料を均等量に分配して複数の前記燃焼ユニットにそれぞれ伝達する分配ユニットと、複数の前記シリンダーにそれぞれ配置され、前記燃焼ユニットから熱伝達された燃焼熱によって加熱された状態で、フィード供給ユニットから供給されたフィードの改質反応による水素が発生する複数の反応ユニットと、前記分配ユニットと前記燃焼ユニットとの間に配置され、前記分配ユニットから前記燃焼ユニットに伝達される前記燃料の量を定量に調整する定量ユニットとを含む。前記定量ユニットは、前記分配ユニットと前記燃焼ユニットとの間に配置される連結管と、前記連結管に配置され、前記燃料の流圧によって前記連結管の開度を可変する開度可変部とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシリンダーと、
複数の前記シリンダーにそれぞれ配置され、燃料を燃焼させる複数の燃焼ユニットと、
燃料供給ユニットから供給された燃料を均等量に分配して複数の前記燃焼ユニットにそれぞれ伝達する分配ユニットと、
複数の前記シリンダーにそれぞれ配置され、前記燃焼ユニットから熱伝達された燃焼熱によって加熱された状態で、フィード供給ユニットから供給されたフィードの改質反応による水素が発生する複数の反応ユニットと、
前記分配ユニットと前記燃焼ユニットとの間に配置され、前記分配ユニットから前記燃焼ユニットに伝達される前記燃料の量を定量に調整する定量ユニットとを含み、
前記定量ユニットは、
前記分配ユニットと前記燃焼ユニットとの間に配置される連結管と、
前記連結管に配置され、前記燃料の流圧によって前記連結管の開度を可変する開度可変部とを含む、水素発生装置。
【請求項2】
前記開度可変部は、
前記連結管から延長され、前記燃料が通過するシートホールが形成されたバルブシートと、
前記燃料の流圧によって前記シートホールに対して移動して前記連結管の開度を可変するバルブディスクと、
前記バルブシートに対して前記バルブディスクを相対的に移動可能に連結するコネクタとを含む、請求項1に記載の水素発生装置。
【請求項3】
前記コネクタは、前記バルブディスクを前記バルブシートから離れる方向に移動させる弾性部材を含む、請求項2に記載の水素発生装置。
【請求項4】
前記バルブディスクには、少なくとも1つのディスクホールが形成されている、請求項3に記載の水素発生装置。
【請求項5】
前記バルブシートは、前記燃料の流動方向に行くほど相対的に小さい直径を有する複数のチューブが互いに連結された形態を有する、請求項2に記載の水素発生装置。
【請求項6】
前記開度可変部は、
前記燃料の流れを基準に前記バルブシートよりも上流方向に位置し、前記連結管の内周面から延長されて前記燃料が通過するシートホールが形成された補助バルブシートと、
前記補助バルブシートと前記バルブディスクを連結する補助コネクタとをさらに含む、請求項2に記載の水素発生装置。
【請求項7】
前記コネクタは、前記バルブディスクを前記バルブシートから離れる方向に移動させる弾性力を発生させる弾性部材を含み、
前記補助コネクタは、前記バルブディスクを前記補助バルブシートに近づく方向に移動させる弾性力を発生させる弾性部材を含む、請求項6に記載の水素発生装置。
【請求項8】
前記補助コネクタに含まれる弾性部材の弾性係数は、前記コネクタに含まれる弾性部材の弾性係数よりも小さい、請求項7に記載の水素発生装置。
【請求項9】
前記開度可変部は、
前記連結管の内壁に密着され、前記連結管の前記内壁に沿って移動するように配置されるガイドリングと、
前記ガイドリングと前記バルブディスクを連結するガイドリング連結部とをさらに含む、請求項2に記載の水素発生装置。
【請求項10】
前記フィード供給ユニットから供給されたフィードを均等量に分配して複数の前記反応ユニットにそれぞれ伝達する補助分配ユニットと、
複数の前記反応ユニットにそれぞれ配置され、前記反応ユニットに供給される前記フィードの量を定量に調整する補助定量ユニットとをさらに含む、請求項1に記載の水素発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水素発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気、電子技術をはじめとする科学技術の発達に伴い、多くの種類のエネルギー源が開発され使用されており、最近ではエネルギー源の需要が増加している。エネルギー源の生産方法としては、化石燃料、原子力、水力、風力などを利用したエネルギー生産手段が用いられている。
【0003】
しかし、化石燃料を燃やすことで生じる排気ガスによる環境汚染の問題や、化石燃料の枯渇によるエネルギー危機などに対処するために、無公害エネルギーを開発するための努力が世界的に進められている。
【0004】
水素燃料は、無公害エネルギーの一つであり、地球上に存在する無限の資源を活用することにその意味がある。水素エネルギーの応用技術の例としては、水素燃料を用いた燃料電池が挙げられる。前記燃料電池は、水素燃料から電気を直接生産するものであり、水素ガスと空気を燃料として供給し、一対の電極間で電気化学反応によって発電することができる。この燃料電池は、電気自動車、家庭用、発電用などに使用することができる。
【0005】
燃料電池に用いられる水素ガスの製造方法としては、水蒸気改質方式、アンモニア改質方式、部分酸化方式、自己熱改質方式および水の電気分解方式などが挙げられ、中でも水蒸気改質方式が最も広く用いられている。
【0006】
水蒸気改質方式の場合は、高温状態、例えば800℃~900℃の温度でメタンと水蒸気の改質反応により水素を生産することができる。
【0007】
アンモニア改質方式の場合は、高温状態、例えば800℃~900℃の温度でアンモニアの改質反応により水素が生産される。
【0008】
従来の水素発生装置は、シリンダーと、シリンダーに設けられ、燃料を燃焼させる燃焼ユニットと、シリンダーに設けられ、燃焼ユニットから熱伝達された燃焼熱によって加熱された状態でフィードの改質反応が発生して水素が生産される反応ユニットとを含む。前記フィードは、水蒸気改質反応のためのメタンと水蒸気、またはアンモニア改質反応のためのアンモニアであり得る。
【0009】
フィードの改質反応を良好に発生させるためには、シリンダーの内部領域別温度分布を均等化する必要がある。しかしながら、シリンダーのスケールが大きくなるほど、シリンダーの内部領域別温度分布を均等化することが困難なことがある。
【0010】
このため、従来技術によれば、シリンダーの内部領域別温度分布を均等化するために、シリンダーのスケールを制限するとともに、水素生産量も制限することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本開示の一つの課題は、内部領域別温度分布を均等化できる大きさを有する複数のシリンダーごとに設けられた複数の燃焼ユニットに、均等量の燃料をそれぞれ供給することにより、複数のシリンダーの内部領域別温度分布を均等化することができ、水素生産量が向上して結果として環境に貢献することができ、クリーンエネルギーの生産が可能な水素発生装置を提供することである。
【0012】
本開示の一つの課題は、複数の燃料供給配管が存在する構造において、特定の配管に流量が集中した場合、当該配管の流量を自動的に減少させることができる水素発生装置を提供することである。
【0013】
本開示の一つの課題は、1つの燃料供給配管内で流量が不均等に供給される場合でも安定して水素を生産できる水素発生装置を提供することである。
【0014】
本開示の解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されなく、言及されないさらに他の課題は、以下の記載から通常の技術者に明確に理解できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示の一実施形態による水素発生装置は、複数のシリンダーと、複数の前記シリンダーにそれぞれ配置され、燃料を燃焼させる複数の燃焼ユニットと、燃料供給ユニットから供給された燃料を均等量に分配して複数の前記燃焼ユニットにそれぞれ伝達する分配ユニットと、複数の前記シリンダーにそれぞれ配置され、前記燃焼ユニットから熱伝達された燃焼熱によって加熱された状態で、フィード供給ユニットから供給されたフィードの改質反応による水素が発生する複数の反応ユニットと、前記分配ユニットと前記燃焼ユニットとの間に配置され、前記分配ユニットから前記燃焼ユニットに伝達される前記燃料の量を定量に調整する定量ユニットとを含む。前記定量ユニットは、前記分配ユニットと前記燃焼ユニットとの間に配置される連結管と、前記連結管に配置され、前記燃料の流圧によって前記連結管の開度を可変する開度可変部とを含む。
【0016】
一実施形態では、前記開度可変部は、前記連結管の内周面から延長され、前記燃料が通過するシートホールが形成されたバルブシートと、前記燃料の流圧によって前記シートホールに対して移動して前記連結管の開度を可変するバルブディスクと、前記バルブシートに対して前記バルブディスクを相対的に移動可能に連結するコネクタとを含むことができる。
【0017】
一実施形態では、前記コネクタは、前記バルブディスクを前記バルブシートから離れる方向に移動させる弾性部材を含むことができる。
【0018】
一実施形態では、前記バルブディスクには、少なくとも1つのディスクホールを形成することができる。
【0019】
一実施形態では、前記バルブシートは、前記燃料の流動方向に行くほど相対的に小さい直径を有する複数のチューブが互いに連結された形態を有することができる。
【0020】
一実施形態では、本開示による水素発生装置は、前記フィード供給ユニットから供給されたフィードを均等量に分配して複数の前記反応ユニットにそれぞれ伝達する補助分配ユニットと、複数の前記反応ユニットにそれぞれ配置され、前記反応ユニットに供給される前記フィードの量を定量に調整する補助定量ユニットとをさらに含むことができる。
【0021】
一実施形態では、前記開度可変部は、前記燃料の流れを基準に前記バルブシートよりも上流方向に位置し、前記連結管の前記内周面から延長され、前記燃料が通過するシートホールが形成された補助バルブシートと、前記補助バルブシートと前記バルブディスクを連結する補助コネクタとをさらに含むことができる。
【0022】
一実施形態では、前記コネクタは、前記バルブディスクを前記バルブシートから離れる方向に移動させる弾性力を発生する弾性部材を含み、前記補助コネクタは、前記バルブディスクを前記補助バルブシートに近づく方向に移動させる弾性力を発生する弾性部材を含むことができる。
【0023】
一実施形態では、前記補助コネクタに含まれる弾性部材の弾性係数は、前記コネクタに含まれる弾性部材の弾性係数よりも小さくてもよい。
【0024】
一実施形態では、前記開度可変部は、前記連結管の内壁に密着され、前記連結管の前記内壁に沿って移動するように配置されるガイドリングと、前記ガイドリングと前記バルブディスクを連結するガイドリング連結部とをさらに含むことができる。
【0025】
本開示の他の具体的な事項は、詳細な説明および図面に含まれている。
【発明の効果】
【0026】
本開示の一実施形態による水素発生装置では、内部領域別温度分布を均等化できる大きさを有する複数のシリンダーごとに配置された複数の燃焼ユニットに、均等量の燃料をそれぞれ供給することができる。これにより、複数のシリンダーの内部領域別温度分布を均等化することができ、水素生産量を向上させることができる。
【0027】
本開示の一実施形態による水素発生装置では、一つのシリンダー内で流量のバラツキが発生した場合でも、安定して当該シリンダーの流量を制御することにより、水素を安定的に生産することができる。
【0028】
本開示の効果は、以上で言及した効果に制限されなく、言及されないさらに他の効果は、以下の記載から通常の技術者に明確に理解できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態による水素発生装置を示すブロック構成図である。
【
図2】
図2は、本開示の一実施形態による水素発生装置の分配ユニットを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本開示の一実施形態による水素発生装置の定量ユニットの第1実施形態を示す断面図である。
【
図4】
図4は、本開示の一実施形態による水素発生装置の定量ユニットの第1実施形態を示す断面図である。
【
図5】
図5は、本開示の一実施形態による水素発生装置の定量ユニットの第1実施形態、燃焼ユニットおよび反応ユニットを示す概略図である。
【
図6】
図6は、本開示の一実施形態による水素発生装置の定量ユニットの第2実施形態を示す断面図である。
【
図7】
図7は、本開示の一実施形態による水素発生装置の定量ユニットの第2実施形態を示す断面図である。
【
図8】
図8は、本開示の他の実施形態による水素発生装置の定量ユニットの第2実施形態、燃焼ユニットおよび反応ユニットを示す概略図である。
【
図9】
図9は、本開示の一実施形態による水素発生装置の定量ユニット内で流量のバラツキが発生した様子を示す断面図である。
【
図10】
図10は、本開示の一実施形態による水素発生装置の定量ユニットの第3実施形態を示す断面図である。
【
図11】
図11は、本開示の一実施形態による水素発生装置の定量ユニットの第3実施形態を示す断面図である。
【
図12】
図12は、本開示の一実施形態による水素発生装置の定量ユニットの第4実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示の利点及び特徴、並びにそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照すれば明確になるであろう。しかし、本開示は、以下に開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる様々な形態で具現することができる。ただし、本実施形態は、本開示の開示を完全にし、本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者に本開示の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本開示は請求項の範疇によって定義されるだけである。
【0031】
本明細書で使用される用語は、実施形態を説明するためのものであり、本開示を制限するためのものではない。本明細書において、単数形は、明示的に言及しない限り、複数形も含む。本明細書で使用される「含む(comprises)」及び/又は「含む(comprising)」は、言及された構成要素の他に、一つ以上の他の構成要素の存在または追加を排除しない。明細書全体において同一の参照符号は同一の構成要素を示し、「及び/又は」は、言及された構成要素のそれぞれおよび一つ以上のすべての組み合わせを含む。たとえ「第1」、「第2」などが多様な構成要素を述べるために使用されるが、これらの構成要素はこれらの用語によって制限されないのはもちろんである。これらの用語は、単に一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用するものである。したがって、以下で言及される第1構成要素は、本開示の技術的思想内で第2構成要素であってもよいのはもちろんである。
【0032】
特に定義がなければ、本明細書で使用される全ての用語(技術及び科学的用語を含む。)は、本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者に共通して理解され得る意味として使用することができる。また、一般的に使用される辞書に定義されている用語は、特に明らかに定義されていない限り、理想的にまたは過度に解釈されない。
【0033】
以下、添付の図面を参照して本開示の実施形態を詳細に説明する。
【0034】
図1は、本開示の一実施形態による水素発生装置を示すブロック構成図である。
図2は、本開示の一実施形態による水素発生装置の分配ユニットを示す斜視図である。
【0035】
図1に示すように、本開示の一実施形態による水素発生装置は、複数のシリンダー100と、複数の燃焼ユニット200と、燃料供給ユニット300と、分配ユニット400と、複数の反応ユニット500とを含むことができる。
【0036】
複数のシリンダー100は、水素発生装置の基本となる本体として機能することができる。シリンダー100には、燃焼ユニット200と反応ユニット500とを設けることができる。一実施形態では、シリンダー100は、燃焼ユニット200と反応ユニット500を取り囲む形態を有することができる。
【0037】
複数の燃焼ユニット200のそれぞれは、複数のシリンダー100のそれぞれに設けられ、燃料を燃焼する役割を果たすことができる。各燃焼ユニット200は、燃料供給ユニット300及び分配ユニット400を介して均等量の燃料の供給を受けることができる。一実施形態では、燃料は水素および窒素を含むことができる。
【0038】
一実施形態では、燃焼ユニット200としてバーナーを使用することができる。前記バーナーは燃料を点火して燃焼熱を形成することができる。
【0039】
燃料供給ユニット300は、分配ユニット400に燃料を供給する役割を果たす。一実施形態では、燃料供給ユニット300は、燃料貯蔵タンク(図示せず)に貯蔵された燃料を燃料ポンプ(図示せず)でポンピングして、分配ユニット400に伝達することができる。
【0040】
分配ユニット400は、燃料供給ユニット300から供給された燃料を均等量に分配して、複数の燃焼ユニット200にそれぞれ伝達することができる。これにより、複数の燃焼ユニット200が均等量の燃料を燃焼することによって、複数の燃焼ユニット200からそれぞれ燃焼熱が伝達される複数のシリンダー100間の内部領域別温度分布を均等化することができる。これにより、複数のシリンダー100にそれぞれ設けられた複数の反応ユニット500の全てにおいてフィードの改質反応を発生することができる。例えば、複数のシリンダー100間の内部領域別温度分布が異なると、特定のシリンダー100は基準温度が過度に高く、他の特定のシリンダー100は基準温度が過度に低いため、フィードの改質反応がすべて発生しないことがある。前記基準温度は800℃~900℃であってもよい。
【0041】
一実施形態では、フィードは、水蒸気改質反応のためのメタン及び水蒸気を含むことができる。
【0042】
一実施形態では、フィードは、アンモニア改質反応のためのアンモニアを含むことができる。
【0043】
図2に示すように、分配ユニット400は、流入管410と、係留管420と、複数の分配管430とを含むことができる。
【0044】
流入管410には、燃料供給ユニット300から供給された燃料が流入され得る。一実施形態では、流入管410は屈曲管の形態を有することができる。
【0045】
流入管410から搬送された燃料は係留管420で流動することができる。
図2を参照すると、係留管420は流入管410の下側に連結することができる。これにより、流入管410に流入された燃料を落差によって係留管420に搬送することができる。
【0046】
一実施形態では、係留管420は、垂直管の形態を有することができる。
【0047】
複数の分配管430は、係留管420で流動する燃料を均等量に分配して、複数の燃焼ユニット200にそれぞれ伝達することができる。
【0048】
一実施形態では、複数の分配管430は、所定の間隔を設けて係留管420の下側に連結することができる。これにより、係留管420で流動する燃料を落差によって複数の分配管430に分配することができる。
【0049】
一実施形態では、複数の分配管430には、分配バルブを介して、係留管420で流動する燃料が均等量に分配され得る。前記分配バルブとしては、ソレノイドバルブを用いることができる。
【0050】
複数の反応ユニット500のそれぞれは、シリンダー100にそれぞれ設けることができる。燃焼ユニット200から熱伝達された燃焼熱によって反応ユニット500が加熱された状態で、フィード供給ユニット700から供給されたフィードの改質反応により水素を発生することができる。例えば、反応ユニット500は、外部からフィードの供給を受けるフィード供給部510と、フィードの改質反応によって水素を発生する反応部520と、反応部520で発生した水素を排出する排出部530とを含むことができる。
【0051】
一実施形態では、フィード供給部510は、反応部520を取り囲む形態を有することができる。また、フィード供給部510に投入されるフィードは、予熱装置によって予熱されたものであってもよい。また、反応部520は、燃焼ユニット200を取り囲む形態を有することができる。フィード供給部510の内部と反応部520の内部には、フィードがジグザグ状に流動し、フィード供給部510と反応部520を連結する反応流路を形成することができる。また、後述する
図5に示すように、排出部530は、反応部520に連結され、反応部520の他方側に突出した形態を有することができる。
【0052】
一実施形態では、反応部520には触媒を設けることができる。例えば、触媒としては、ニッケル、カリウム、酸化カリウム、カルシウム、酸化マグネシウムなどを用いることができる。一実施形態では、反応部520の温度は、燃焼ユニット200から熱伝達された燃焼熱によって800℃~900℃に調整することができる。一実施形態では、フィード供給ユニット700は、フィード貯蔵タンク(図示せず)に貯蔵されたフィードをフィードポンプ(図示せず)でポンピングして、後述する補助分配ユニット800に伝達することができる。
【0053】
一方、分配ユニット400が燃料供給ユニット300に供給された燃料を均等量に分配して複数の燃焼ユニット200にそれぞれ伝達しても、複数の燃焼ユニット200に伝達された燃料の流圧によって、複数の燃焼ユニット200に流入される燃料の量が異なり得る。したがって、水素発生装置は、分配ユニット400から燃焼ユニット200に伝達される燃料の量を定量に調整する定量ユニット600をさらに含むことができる。
【0054】
図3及び
図4は、それぞれ本開示の一実施形態による水素発生装置の定量ユニットの第1実施形態を示す断面図である。
図5は、本開示の一実施形態による水素発生装置の定量ユニットの第1実施形態、燃焼ユニットおよび反応ユニットを示す概略図である。
【0055】
図3~
図5に示すように、前記第1実施形態では、定量ユニット600は、分配ユニット400と燃焼ユニット200との間に設けられ、分配ユニット400から燃焼ユニット200に伝達される燃料の量を定量に調整することができる。
【0056】
定量ユニット600は、連結管610と開度可変部620とを含むことができる。
【0057】
連結管610は、分配ユニット400と燃焼ユニット200との間に設けることができる。一実施形態では、連結管610の上側には分配ユニット400を連結し、連結管610の下側には燃焼ユニット200を連結することができる。これにより、分配ユニット400から搬送された燃料を落差によって連結管610と燃焼ユニット200に伝達することができる。
【0058】
開度可変部620は、連結管610に設けられ、連結管610に流入された燃料の流圧によって連結管610の開度を可変することができる。
図3に示すように、開度可変部620は、バルブシート621と、バルブディスク622と、コネクタ623とを含むことができる。
【0059】
バルブシート621は連結管610の内周面から延長され、バルブシート621には燃料が通過するシートホール621aを形成することができる。一実施形態では、シートホール621aはバルブシート621の中心軸線に沿って形成することができる。一実施形態では、バルブシート621は環状を有することができる。
【0060】
バルブディスク622は、連結管610に流入されて伝達される燃料の流圧によって、シートホール621aに対して近づく方向または離れる方向に移動し、連結管610の開度を可変することができる。バルブディスク622の移動の詳細については後述することとする。
【0061】
コネクタ623は、バルブシート621とバルブディスク622とを連結することができる。コネクタ623は、バルブシート621に対してバルブディスク622を相対移動可能に連結することができる。例えば、バルブシート621は、連結管610の内周面に固定された状態で、コネクタ623によってバルブディスク622を移動させることができる。
【0062】
一実施形態では、コネクタ623はバルブディスク622を移動させる弾性力を発生する弾性部材を含むことができる。前記弾性部材は、バルブディスク622をバルブシート621から離れる方向に移動させる弾性力を発生させることができる。
【0063】
したがって、バルブディスク622に伝達される燃料の流圧が弾性部材の弾性力よりも相対的に大きくなると、弾性部材は圧縮され、バルブディスク622はシートホール621aに近づく方向に移動することができる。これにより、
図4に示すように、連結管610の開度を減少させることができる。
【0064】
また、バルブディスク622に伝達される燃料の流圧が弾性部材の弾性力よりも相対的に小さくなると、弾性部材は弾性復元されて膨張し、バルブディスク622はシートホール621aから離れる方向に移動することができる。これにより、
図3に示すように、連結管610の開度を増加させることができる。
【0065】
一方、バルブディスク622が連結管610の開度を完全に遮断すると、連結管610での燃料の流れが滞ることがある。したがって、バルブディスク622に少なくとも1つのディスクホール622aを貫通形成することにより、バルブディスク622が連結管610の開度を完全に遮断しても連結管610での燃料の流れが滞ることを防止することができる。
【0066】
図6~
図7は、それぞれ本開示の一実施形態による水素発生装置の定量ユニットの第2実施形態を示す断面図である。
図8は、本開示の一実施形態による水素発生装置の定量ユニットの第2実施形態、燃焼ユニットおよび反応ユニットを示す概略図である。
【0067】
図6~
図8に示すように、定量ユニット600の第2実施形態では、定量ユニット600の第1実施形態とは異なり、バルブシート621’は連結管610での燃料の流動方向に行くほど相対的に小さい直径を有する複数のチューブが互いに連結された形態を有することができる。例えば、バルブシート621’は、多段形状の断面形状を有することができる。
【0068】
前記第2実施形態では、バルブディスク622の直径は、複数のチューブのうち最も小さい直径を有するものの直径に対応することができる。
【0069】
これにより、定量ユニット600の第2実施形態では、定量ユニット600の第1実施形態よりもバルブディスク622の移動距離を相対的に大きくすることができる。
【0070】
本開示の一実施形態による水素発生装置は、補助分配ユニット800と補助定量ユニット900とをさらに含むことができる。
【0071】
補助分配ユニット800は、フィード供給ユニット700から供給されたフィードを均等量に分配して複数の反応ユニット500にそれぞれ伝達することができる。例えば、補助分配ユニット800は、フィード供給ユニット700から供給されたフィードを反応ユニット500のフィード供給部510に伝達することができる。
【0072】
一実施形態では、補助分配ユニット800は、分配ユニット400と実質的に同一の構造を有することができる。
【0073】
補助定量ユニット900は、反応ユニット500に設けられ、反応ユニット500に供給されるフィードの量を定量に調整する役割を果たすことができる。一実施形態では、補助定量ユニット700は、反応ユニット500のフィード供給部510に設けることができる。
【0074】
一実施形態では、補助定量ユニット900は、定量ユニット600の第1実施形態と実質的に同一の構造を有することができる。
【0075】
一実施形態では、補助定量ユニット900は、定量ユニット600の第2実施形態と実質的に同一の構造を有することもできる。
【0076】
図9は、本開示の一実施形態による水素発生装置の定量ユニット内で流量のバラツキが発生した様子を示す断面図である。
図10及び11は、それぞれ本開示の一実施形態による水素発生装置の定量ユニットの第3実施形態を示す断面図である。
【0077】
図9を参照すると、本開示の一実施形態による水素発生装置の定量ユニット内で流量のバラツキが発生し得る。一例として、
図9に示すように、定量ユニットの第1流量F1と第2流量F2との間にバラツキが発生し得る。
【0078】
この場合、第1コネクタ623’と第2コネクタ623”に印加される力の大きさが異なり、各コネクタの圧縮の程度が異なり得る。このため、バルブディスク622が傾くことになり、開度可変部620は一時的に流量調整ができなくなる。
【0079】
本開示の一実施形態による水素発生装置に含まれる開度可変部620は、補助バルブシート631および補助コネクタ633をさらに含むことができる。これにより、流量のバラツキによるバルブディスク622の傾きを防止することができる。
【0080】
図10に示すように、補助バルブシート631は、燃料の流れを基準にバルブシート621よりも上側に配置され、連結管610の内壁に固定される。複数の補助コネクタ633のそれぞれの一端は、補助バルブシート631に連結され、他端はバルブディスク622に連結される。補助コネクタ633は、バルブディスク622の両面のうち、コネクタ623が連結された一面の反対面に連結することができる。補助コネクタ623は、バルブディスク622を補助バルブシート631に近づく方向に移動させる弾性力を発生する弾性部材を含むことができる。
【0081】
一実施形態では、補助バルブシート631はバルブシートと同様に、連結管610の内周面から延長され、補助バルブシート631には、前記燃料が通過するシートホールを形成することができる。一実施形態では、補助バルブシート631は環状であってもよい。
【0082】
図11を参照すると、定量ユニットの第1流量F1と第2流量F2との間にバラツキが発生した場合には、第1コネクタ623’と第2コネクタ623”に印加される力の大きさが異なり、第1コネクタ623’が第2コネクタ623”よりも大きく圧縮され得る。
【0083】
第1補助コネクタ633’には、第2補助コネクタ633”よりも大きな力が印加され得る。これにより、第1補助コネクタ633’は、第2補助コネクタ633”よりも相対的に大きな弾性力を発生することができる。第1補助コネクタ633’および第2補助コネクタ633”が発生する弾性力は、バルブディスク622を補助バルブシート631に近づく方向に移動させる弾性力である。
【0084】
第1補助コネクタ633’は第1コネクタ623’に印加される力とは反対の方向に弾性力を提供する。第2補助コネクタ633”は、第2コネクタ623”に印加される力とは反対の方向に弾性力を提供する。第1補助コネクタ633’は、第2補助コネクタ633”よりも相対的に大きな弾性力を発生するので、第1コネクタ623’と第2コネクタ623”に印加される力の不均衡を緩和することができる。これにより、定量ユニット内の流量のバラツキにもかかわらず、バルブディスク622の傾きの程度を大幅に減少させることができる。
【0085】
一実施形態では、補助コネクタ633に含まれる弾性部材の弾性係数は、コネクタ623に含まれる弾性部材の弾性係数よりも小さくてもよい。これにより、補助コネクタ633は、バルブディスク622の傾きを防止する用途に使用することができる。
【0086】
図12は、本開示の一実施形態による水素発生装置の定量ユニットの第4実施形態を示す断面図である。
【0087】
図12を参照すると、本開示の一実施形態による水素発生装置に含まれる開度可変部620は、ガイドリング641と、複数のガイドリング連結部642とをさらに含むことができる。
【0088】
ガイドリング641は連結管610の内壁に密着され、連結管610の内壁に沿って上下方向に移動するように配置される。前記上下方向とは、連結管610が延長される方向と平行な方向を意味し、燃料の流れにおいて上流方向が上側であり、下流方向が下側である。
【0089】
一実施形態では、ガイドリング641は環状を有することができる。
【0090】
ガイドリング連結部642は、ガイドリング641とバルブディスク622とを連結することができる。これにより、ガイドリング641の上下方向の移動は、バルブディスク622の上下方向の移動と共に行うことができる。
【0091】
ガイドリング641は、燃料の流れを妨げないように最小限の厚さで形成することができる。ガイドリング641は、定量ユニット内の流量のバラツキによってバルブディスク622が定量ユニット内で傾斜することを防止することができる。例えば、ガイドリング641は、連結管610の内壁に密着して上下方向に移動するので、ガイドリング641の領域ごとに互いに異なる大きさの力が印加される場合でも傾くことがない。したがって、定量ユニット内に流量のバラツキが発生した場合でも、ガイドリング641は傾斜せず、上下方向のみに移動することができる。ガイドリング641により、定量ユニット内に流量のバラツキが発生しても、バルブディスク622は上下方向のみに移動することができる。
【0092】
前記ガイドリング641およびガイドリング連結部642は、
図10で説明した補助バルブシート631および補助コネクタ633と共に利用することができる。
【0093】
本開示の実施形態による水素発生装置では、内部領域別温度分布を均等化できる大きさを有する複数のシリンダー100ごとに設けられた複数の燃焼ユニット200に均等量の燃料をそれぞれ供給することができる。これにより、複数のシリンダー100の内部領域別温度分布を均等化することができ、水素生産量を向上させることができる。
【0094】
また、本開示の実施形態による水素発生装置では、1つのシリンダーの内部で流量のバラツキが発生した場合でも、当該シリンダーの流量を安定に制御することにより、水素を安定的に生産することができる。
【0095】
以上、添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明したが、本開示の属する技術分野における通常の技術者は本開示がその技術的思想や必須な特徴を変更することなく、他の具体的な形態に実施できることを理解できるだろう。従って、以上で記述した実施形態は全ての面で例示的なものであり、制限的なものではないことを理解すべきである。