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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146802
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】麺類
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/109 20160101AFI20241004BHJP
【FI】
A23L7/109 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024039445
(22)【出願日】2024-03-13
(31)【優先権主張番号】P 2023058857
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130812
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100164161
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 彩
(72)【発明者】
【氏名】多田 裕亮
(72)【発明者】
【氏名】飯田 崇之
【テーマコード(参考)】
4B046
【Fターム(参考)】
4B046LA01
4B046LA02
4B046LA03
4B046LA04
4B046LA05
4B046LA06
4B046LA07
4B046LB01
4B046LB03
4B046LB09
4B046LC01
4B046LG02
4B046LG15
4B046LG16
4B046LG17
4B046LG30
4B046LP33
(57)【要約】
【課題】
米粉を含有する麺類はグルテンの含有量が低下するので、食感が低下する、茹でる際に麺がちぎれるなどの作業性が低下する等の問題があった。本発明の課題は、米粉を含有する麺類の食感や製造・調理の際の作業性を改良することである。
【解決手段】
米粉を含有する麺類において、セルロースナノファイバー(好ましくはカルボキシメチル置換度が0.01~0.50の範囲内であるカルボキシメチル化セルロースナノファイバー)、及びアルギン酸類を含有させる。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
米粉、セルロースナノファイバー、及びアルギン酸類を含有する麺類。
【請求項2】
セルロースナノファイバーがアニオン変性セルロースナノファイバーである請求項1に記載の麺類。
【請求項3】
アニオン変性セルロースナノファイバーがカルボキシル基を有するセルロースナノファイバーまたはカルボキシアルキル基を有するセルロースナノファイバーである請求項1ないし2に記載の麺類。
【請求項4】
アニオン変性セルロースナノファイバーが、カルボキシメチル置換度が0.01~0.50の範囲内であるカルボキシメチル化セルロースナノファイバーである請求項3に記載の麺類。
【請求項5】
アルギン酸類がアルギン酸プロピレングリコールエステルである請求項1に記載の麺類。
【請求項6】
さらにカルボキシメチル化セルロースを含有する請求項1ないし2に記載の麺類。
【請求項7】
前記麺類がうどん、ビーフン、蕎麦、素麺、冷麦、中華麺、焼きそば、マカロニ、スパゲッテイ、パスタ、韓国冷麺、くずきり、春雨からなる群より選ばれた1種である、請求項1ないし2に記載の麺類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は米粉を含むうどん、ビーフン、蕎麦、素麺、冷麦、中華麺、焼きそば、マカロニ、スパゲッテイ、パスタ、韓国冷麺、くずきり、春雨等の麺類に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アレルギーの原因となる小麦粉に替えて米粉を使用する食品の開発が検討されている。うどんや蕎麦のような麺類において米粉を使用することが検討されている。
【0003】
特許文献1には米粉を含む米粉麺において、α化澱粉、α化澱粉以外の澱粉、アルギン酸エステルを添加することにより食感が改善されることが記載されている。特許文献2には米粉を含む麺類において、タラガム、アルギン酸エステルを添加することにより製麺性及び食感が改善されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-198420号公報
【特許文献2】特開2019-129823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、米粉を含有する麺類はグルテンの含有量が低下するので、食感が低下する、茹でる際に麺がちぎれるなどの作業性が低下する等の問題があった。米粉を含有する麺類の食感や製造・調理の際の作業性を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、かかる目的を達成するため鋭意検討した結果、米粉を含有する麺類において、セルロースナノファイバー(CNF)及びアルギン酸類を配合することが有効であることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
本発明は以下を提供する。
(1) 米粉、セルロースナノファイバー、及びアルギン酸類を含有する麺類。
(2) セルロースナノファイバーがアニオン変性セルロースナノファイバーである(1)に記載の麺類。
(3) アニオン変性セルロースナノファイバーがカルボキシル基を有するセルロースナノファイバーまたはカルボキシアルキル基を有するセルロースナノファイバーである(1)ないし(2)に記載の麺類。
(4) アニオン変性セルロースナノファイバーが、カルボキシメチル置換度が0.01~0.50の範囲内であるカルボキシメチル化セルロースナノファイバーである(3)に
記載の麺類。
(5) アルギン酸類がアルギン酸プロピレングリコールエステルである(1)ないし(2)に記載の麺類。
(6) さらにカルボキシメチル化セルロースを含有する(1)ないし(2)に記載の麺類。
(7) 前記麺類がうどん、ビーフン、蕎麦、素麺、冷麦、中華麺、焼きそば、マカロニ、スパゲッテイ、パスタ、韓国冷麺、くずきり、春雨からなる群より選ばれた1種である、(1)ないし(2)に記載の麺類。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、米粉を含有する麺類の食感や製造・調理の際の作業性を改良できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において「~」は端値を含む。すなわち「X~Y」はその両端の値XおよびYを含む。
【0010】
本発明の麺類は、米粉、セルロースナノファイバー及びアルギン酸類、必要に応じて他の食材を含む。
【0011】
本発明における麺類とは、穀粉類を主原料として製造され、形態や種類を問わず一般的に麺類と称される食品である。具体的には、うどん、ビーフン、蕎麦、素麺、冷麦、中華麺、焼きそば、マカロニ、スパゲッテイ、パスタ、韓国冷麺、くずきり、春雨等である。形態としてはチルド麺、乾麺、即席麺等が例示される。
【0012】
本発明の麺類において、主原料の穀粉類として米粉を含むことが必須である。米粉は全穀粉類と澱粉の合計の絶乾質量に対して50~95質量%含むことが好ましい。米粉とは、通常、うるち米の生米を精米し粉砕して粉末としたものである。うるち米としては、例えば、ジャポニカ米、インディカ米、ジャバニカ米が挙げられる。粉砕するための米としては、例えば、精白米、玄米、屑米、古米が挙げられる。粉砕後の粒度は、特に限定はなく、通常、一般に市販される上新粉の粒度程度である。
【0013】
本発明の麺類においては、穀粉類(主原料)として米粉を含むことが必須であるが、小麦粉などの穀粉類を含有してもよい。米粉以外の穀粉類としては、小麦粉(強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム小麦粉、全粒粉等)、蕎麦粉、大豆粉などの穀粉類の他、必要に応じて馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、米澱粉、緑豆澱粉等の未処理澱粉及び未処理澱粉をエーテル化、エステル化、酸化、漂白、架橋、アルファー化等の処理を単独またはそれらを組み合わせて製造される加工澱粉を使用することができる。また、添加剤として食塩、かん水を配合してもよい。またこれらの他に、リン酸塩、アルギン酸、カプロビーンガム、グアーガム、タマリンドシードガム、ペクチン、キサンタンガム、カラギーナン、カードラン等の増粘安定剤、乳化剤、油脂、卵白、乳蛋白、着色料、酸化防止剤、小麦蛋白等や他の生理活性を有する成分、例えばビタミン剤、カルシウムや鉄、その他調味量類等も所望に応じて用いることもできる。
【0014】
(セルロースナノファイバー)
本発明において、セルロースナノファイバー(以下、CNFということがある。)は、セルロース系原料であるパルプなどがナノメートルレベルまで微細化されたもので、繊維幅が1~500nm程度の微細繊維である。セルロースナノファイバーの平均繊維径および平均繊維長は、原子間力顕微鏡(AFM)または透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、各繊維を観察した結果から得られる繊維径および繊維長を平均することによって得ることができる。まあ、セルロースナノファイバーの平均アスペクト比は、通常50以上である。上限は特に限定されないが、通常は1000以下である。平均アスペクト比は、下記の式により算出することができる。
アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径
【0015】
セルロースナノファイバーは、パルプに機械的な力を加えて微細化することで得られ、未変性のセルロースあるいは、カルボキシル化したセルロース(酸化セルロースとも呼ぶ)、カルボキシメチル化したセルロース、リン酸エステル基を導入したセルロースのようなアニオン変性セルロース、カチオン化したセルロースなどの変性セルロースを解繊することによって得ることができる。微細繊維の平均繊維長と平均繊維径は、酸化処理、解繊処理により調整することができる。本発明においては、カルボキシメチル化処理を行って得られたカルボキシメチル化セルロースを解繊して得られたカルボキシメチル化(CM化)セルロースナノファイバーを用いることが好ましい。
【0016】
(セルロース原料)
本発明に用いるセルロースナノファイバーを製造するためのセルロース原料としては、例えば、植物性材料(例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ)、動物性材料(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))産生物等を起源とするものが挙げられる。パルプとしては、針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等が挙げられる。これらのすべてが使用できるが、植物または微生物由来のセルロース繊維が好ましく、植物由来のセルロース繊維がより好ましい。
【0017】
(カルボキシメチル化)
本発明において、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーを用いる場合、カルボキシメチル化したセルロースは、上記のセルロース原料を公知の方法でカルボキシメチル化することにより得てもよいし、市販品を用いてもよい。いずれの場合も、セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度は0.01~0.50であることが好ましい。そのようなカルボキシメチル化したセルロースを製造する方法の一例として次のような方法を挙げることができる。セルロースを発底原料にし、溶媒として3~20質量倍の水または低級アルコールを使用する。具体的には水、メタノール、エタノール、N-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N-ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノール等を単独、あるいは2種以上を併用して使用できる。水と低級アルコールの混合溶媒を用いる場合、低級アルコールの混合割合は60~95質量%である。マーセル化剤としては、発底原料の無水グルコース残基当たり0.5~20倍モルの水酸化アルカリ金属、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用する。発底原料と溶媒、マーセル化剤を混合し、反応温度0~70℃、好ましくは10~60℃で、反応時間を15分~8時間、好ましくは30分~7時間としてマーセル化処理を行う。その後、カルボキシメチル化剤をグルコース残基当たり0.05~10.0倍モル添加し、反応温度30~90℃、好ましくは40~80℃で、反応時間を30分~10時間、好ましくは1時間~4時間としてエーテル化反応を行う。
【0018】
<カルボキシメチル化セルロースナノファイバー>
本発明のカルボキシメチル化セルロースナノファイバーは、水に分散した際にも繊維状の形状の少なくとも一部が維持されるものである。すなわち、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの水分散体を電子顕微鏡で観察すると、繊維状の物質を観察することができるものである。また、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーをX線回折で測定した際にセルロースI型結晶のピークを観測することができるものである。
【0019】
<セルロースI型の結晶化度>
本発明に用いられるカルボキシメチル化セルロースナノファイバーにおけるセルロースの結晶化度は、結晶I型が40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。セルロースI型の結晶化度が40%以上と高いと、水等の溶媒中で溶解せずに結晶構造を維持するセルロースの割合が高いため、チキソ性が高くなり(チキソトロピー)、増粘剤等の粘度調整用途に適するようになる。また、例えば、これに限定されないが、ゲル状の物質(例えば、食品や化粧品など)に添加した際に、優れた保形性を付与できるという利点が得られる。セルロースの結晶性は、マーセル化剤の濃度と処理時の温度、並びにカルボキシメチル化の度合によって制御できる。マーセル化及びカルボキシメチル化においては高濃度のアルカリが使用されるために、セルロースのI型結晶がII型に変換されやすいが、アルカリ(マーセル化剤)の使用量を調整するなどして変性の度合いを調整することによって、所望の結晶性を維持させることができる。セルロースI型の結晶化度の上限は特に限定されない。現実的には90%程度が上限となると考えられる。
【0020】
カルボキシメチル化セルロースナノファイバーのセルロースI型の結晶化度の測定方法
は、以下の通りである。
【0021】
試料をガラスセルに乗せ、X線回折測定装置(LabX XRD-6000、島津製作所製)を用いて測定する。結晶化度の算出はSegal等の手法を用いて行い、X線回折図の2θ=10°~30°の回折強度をベースラインとして、2θ=22.6°の002面の回折強度と2θ=18.5°のアモルファス部分の回折強度から次式により算出する。
【0022】
Xc=(I002c―Ia)/I002c×100
Xc=セルロースI型の結晶化度(%)
I002c:2θ=22.6°、002面の回折強度
Ia:2θ=18.5°、アモルファス部分の回折強度。
【0023】
カルボキシメチル化セルロースのナノファイバーにおけるI型結晶の割合は、ナノファイバーとする前のカルボキシメチル化セルロースにおけるものと、通常、同じである。
【0024】
<カルボキシメチル置換度>
本発明に用いられるカルボキシメチル化セルロースのナノファイバーは、セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が、0.50以下であることが好ましい。カルボキシメチル置換度が0.50を超えると水へ溶解し、繊維形状を維持できなくなると考えられる。操業性を考慮すると当該置換度は0.01~0.50であることが好ましく、0.02~0.50であることがさらに好ましく、0.05~0.50であることがさらに好ましく、0.10~0.50、0.15~0.50、0.2~0.50、0.25~0.50であることがさらに好ましい。セルロースにカルボキシメチル基を導入することで、セルロース同士が電気的に反発するため、ナノファイバーへと解繊することができるようになるが、無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.01より小さいと、解繊が不十分となり、透明性の高いセルロースナノファイバーが得られない場合がある。なお、従来の水媒法では、カルボキシメチル置換度が0.20~0.40の範囲では、セルロースI型の結晶化度が60%以上であるカルボキシメチル化セルロースのナノファイバーを得ることは困難であったが、本発明者らは、例えば後述する方法により、カルボキシメチル置換度が0.20~0.50の範囲であり、セルロースI型の結晶化度が60%以上であるカルボキシメチル化セルロースのナノファイバーを製造できることを見出した。カルボキシメチル置換度は、反応させるカルボキシメチル化剤の添加量、マーセル化剤の量、水と有機溶媒の組成比率をコントロールすること等によって調整することができる。
【0025】
本発明において無水グルコース単位とは、セルロースを構成する個々の無水グルコース(グルコース残基)を意味する。また、カルボキシメチル置換度(エーテル化度ともいう。)とは、セルロースを構成するグルコース残基中の水酸基のうちカルボキシメチルエーテル基に置換されているものの割合(1つのグルコース残基当たりのカルボキシメチルエーテル基の数)を示す。なお、カルボキシメチル置換度はDSと略すことがある。
【0026】
カルボキシメチル置換度の測定方法は以下の通りである:
試料約2.0gを精秤して、300mL共栓付き三角フラスコに入れる。メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液100mLを加え、3時間振盪して、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの塩(CMC)をH-CMC(水素型カルボキシメチル化セルロースナノファイバー)に変換する。その絶乾H-CMCを1.5~2.0g精秤し、300mL共栓付き三角フラスコに入れる。80%メタノール15mLでH-CMCを湿潤し、0.1N-NaOHを100mL加え、室温で3時間振盪する。指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1N-HSOで過剰のNaOHを逆滴定し、次式によってカルボキシメチル置換度(DS値)を算出する。
A=[(100×F’-0.1N-HSO(mL)×F)×0.1]/(H-CMCの絶乾質量(g))
カルボキシメチル置換度=0.162×A/(1-0.058×A)
F’:0.1N-HSOのファクター
F:0.1N-NaOHのファクター。
【0027】
カルボキシメチル化セルロースのナノファイバーにおけるカルボキシメチル置換度は、ナノファイバーとする前のカルボキシメチル化セルロースにおけるカルボキシメチル置換度と、通常同じである。
【0028】
<繊維径、アスペクト比>
本発明に用いられるカルボキシメチル化セルロースのナノファイバーは、ナノスケールの繊維径を有するものである。平均繊維径は、好ましくは3nm~500nm、さらに好ましくは3nm~150nm、さらに好ましくは3nm~20nm、さらに好ましくは5nm~19nm、さらに好ましくは5nm~15nmである。
【0029】
カルボキシメチル化セルロースナノファイバーのアスペクト比は、特に限定されないが、350以下であることが好ましく、300以下であることがさらに好ましく、200以下であることがさらに好ましく、120以下であることがさらに好ましく、100以下であることがさらに好ましく、80以下であることがさらに好ましい。アスペクト比が350以下であると、繊維が過度に長すぎず、繊維同士の絡まり合いが少なくなり、セルロースナノファイバーの塊(ダマ)の発生を低減することができ、添加剤として使用するのに適する。また、流動性が高いので、高濃度でも使用しやすくなり、高固形分が要求される用途においても使いやすくなるという利点が得られる。アスペクト比の下限は、特に限定されないが、好ましくは25以上であり、さらに好ましくは30以上である。アスペクト比が25以上であると、その繊維状の形状から、チキソ性の向上といった効果が得られる。カルボキシメチル化セルロースナノファイバーのアスペクト比は、カルボキシメチル化時の溶媒と水の混合比、薬品添加量、及びカルボキシメチル化の度合によって制御でき、また、例えば、後述する製法により製造することができる。
【0030】
カルボキシメチル化セルロースのナノファイバーの平均繊維径および平均繊維長は、径が20nm以下の場合は原子間力顕微鏡(AFM)、20nm以上の場合は電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、ランダムに選んだ200本の繊維について解析し、平均を算出することにより、測定することができる。また、アスペクト比は下記の式により算出することができる:
アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径。
【0031】
(解繊)
セルロース原料の解繊は、セルロース原料に変性処理を施す前に行ってもよいし、後に行ってもよい。また、解繊は、一度に行ってもよいし、複数回行ってもよい。複数回の場合それぞれの解繊の時期はいつでもよい。
【0032】
解繊に用いる装置は特に限定されないが、例えば、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などのタイプの装置が挙げられ、高圧又は超高圧ホモジナイザーが好ましく、湿式の高圧又は超高圧ホモジナイザーがより好ましい。装置は、セルロース原料又は変性セルロース(通常は分散液)に強力なせん断力を印加できることが好ましい。装置が印加できる圧力は、50MPa以上が好ましく、より好ましくは100MPa以上であり、さらに好ましくは140MPa以上である。装置は、セルロース原料又は変性セルロース(通常は分散液)に上記圧力を印加することができ、かつ強力なせん断力を印加できる、湿式の高圧又は超高圧ホモジナイザーが好ましい。これにより、解繊を効率的に行うことができる。
【0033】
セルロース原料の分散体に対して解繊を行う場合、分散体中のセルロース原料の固形分濃度は、通常は0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上である。これにより、セルロース繊維原料の量に対する液量が適量となり効率的である。上限は通常10質量%以下、好ましくは6質量%以下である。これにより流動性を保持することができる。
【0034】
解繊(好ましくは高圧ホモジナイザーでの解繊)、又は必要に応じて解繊前に行う分散処理に先立ち、必要に応じて予備処理を行ってもよい。予備処理は、高速せん断ミキサーなどの混合、撹拌、乳化、分散装置を用いて行えばよい。
【0035】
(乾燥)
本発明に用いるセルロースナノファイバーは、解繊後に得られる分散液の状態で使用することも可能であるが、必要に応じて乾燥し、また水に再分散して使用することもできる。乾燥方法は何ら限定されないが、例えば凍結乾燥法、噴霧乾燥法、棚段式乾燥法、ドラム乾燥法、ベルト乾燥法、ガラス板等に薄く伸展し乾燥する方法、流動床乾燥法、マイクロウェーブ乾燥法、起熱ファン式減圧乾燥法などの既知の方法を使用できる。乾燥後に必要に応じて、カッターミル、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミル等で粉砕しても良い。また、水への再分散の方法も特に限定されず、既知の分散装置を使用することができる。
【0036】
本発明に用いるセルロースナノファイバーの形態は、分散液の状態であっても良いし、粉末状であっても良いが、菓子類製造時の作業性に優れる観点から、分散液の状態で用いることが好ましい。
【0037】
本発明において、セルロースナノファイバーの配合量は、穀粉類に対して、固形分換算で好ましくは0.01~5質量%、より好ましくは0.05~3質量%、さらに好ましくは0.1~2質量%である。
【0038】
本発明のセルロースナノファイバーは、必要に応じて、他の成分を含んでいてもよい。例えば、粉末を製造する際、乾燥前に、セルロースナノファイバーの分散体に水溶性高分子を共存させると、再分散性が向上するので、好ましい。
【0039】
<水溶性高分子>
水溶性高分子としては、例えば、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース)、キサンタンガム、キシログルカン、デキストリン、デキストラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、アルギン酸、アルギン酸塩、プルラン、澱粉、かたくり粉、クズ粉、コーンスターチ、アラビアガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、ポリデキストロース、ペクチン、キチン、水溶性キチン、キトサン、カゼイン、アルブミン、大豆蛋白溶解物、ペプトン、タマリンドガム、グァーガム、等が挙げられる。この中でも、セルロース誘導体は、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーとの親和性の点から好ましく、カルボキシメチルセルロース及びその塩は特に好ましい。カルボキシメチルセルロース及びその塩のような水溶性高分子は、カルボキシメチル化セルロースナノファイバー同士の間に入りこみ、ナノファイバー間の距離を広げることで、再分散性を向上させると考えられる。
【0040】
水溶性高分子として、カルボキシメチルセルロース又はその塩を用いる場合には、無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル基置換度が0.55~1.6のカルボキシメチルセルロースを用いることが好ましく、0.55~1.1のものがより好ましく、0.65~1.1のものがさらに好ましい。また、分子が長い(粘度が高い)ものの方が、ナノファイバー間の距離を広げる効果が高いので好ましい。また、カルボキシメチルセルロースの1質量%水溶液における25℃、60rpmでのB型粘度は、3mPa・s~14000mPa・sが好ましく、7mPa・s~14000mPa・sがより好ましく、1000mPa・s~8000mPa・sがさらに好ましい。なお、ここでいう水溶性高分子としての「カルボキシメチルセルロース又はその塩」とは、水に完全に溶解するものであることから、上述の水中で繊維形状を確認することができるカルボキシメチル化セルロースナノファイバーとは区別される。
【0041】
水溶性高分子の配合量は、セルロースナノファイバー(絶乾固形分)に対して、5質量%~300質量%であることが好ましく、20質量%~300%質量がさらに好ましく、25質量%~200質量%がさらに好ましく、25質量%~60質量%がさらに好ましい。
(アルギン酸エステル)
本発明で使用するアルギン酸類としては、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸,アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム,アルギン酸アンモニウム,アルギン酸カルシウム等が挙げられ、アルギン酸プロピレングリコールエステルを使用することが好ましい。アルギン酸類の配合量は、穀粉類に対して、固形分換算で好ましくは0.05~5質量%、より好ましくは0.1~3質量%、さらに好ましくは0.2~2質量%である。
【0042】
本発明の麺類は、従来知られた製造方法で製造することができる。例えば、次のように行うことができる。まず、本発明の麺に含有される原料を含む麺生地を作製する。この麺生地から、従来知られた方法により所望の形状の生麺線を作製する。得られた生麺線を、熱水中で茹でる工程または蒸し工程と、熱風または油揚げによる乾燥工程との両方の工程を経ることにより最終的な澱粉の糊化を達成する。蒸し工程における澱粉の糊化は最小限に、即ち、蒸し工程の熱により澱粉粒が崩壊されずに膨潤された限界の状態とする。その後、乾燥する。乾燥工程は、例えば、高温乾燥、例えば、熱風乾燥または油揚げ乾燥であってよい。
【実施例0043】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
(カルボキシメチル置換度の測定方法)
1)カルボキシメチル化セルロース繊維(絶乾)約2.0gを精秤して、300mL容共栓付き三角フラスコに入れる。
2)硝酸メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液100mLを加え、3時間振とうして、カルボキシメチルセルロース塩(CM化セルロース)を水素型CM化セルロースにする。
3)水素型CM化セルロース(絶乾)を1.5~2.0g精秤し、300mL容共栓付き三角フラスコに入れる。
4)80%メタノール15mLで水素型CM化セルロースを湿潤し、0.1NのNaOHを100mL加え、室温で3時間振とうする。
5)指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1NのH2SO4で過剰のNaOHを逆滴定する。
6)カルボキシメチル置換度(DS)を、次式によって算出する:
A=[(100×F’-(0.1NのH2SO4)(mL)×F)×0.1]/(水素型CM化セルロースの絶乾質量(g))
DS=0.162×A/(1-0.058×A)
A:水素型CM化セルロースの1gの中和に要する1NのNaOH量(mL)
F’:0.1NのH2SO4のファクター
F:0.1NのNaOHのファクター
【0045】
(平均繊維径、アスペクト比の測定方法)
CNFの平均繊維径および平均繊維長は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いてランダムに選んだ200本の繊維について解析した。アスペクト比は下記の式により算出した。
アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径
【0046】
[製造例1]
(カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの調製A)
回転数を100rpmに調節した5L容の二軸ニーダーに、イソプロパノール(IPA)1089部と、水酸化ナトリウム31部を水121部に溶解したものとを加え、広葉樹パルプ(日本製紙(株)製、LBKP)を100℃で60分間乾燥した際の乾燥質量で200部仕込んだ。30℃で60分間撹拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に撹拌しつつモノクロロ酢酸ナトリウム117部を添加し、30℃で30分間撹拌した後、30分かけて70℃に昇温し、70℃で60分間カルボキシメチル化反応をさせた。マーセル化反応時及びカルボキシメチル化反応時の反応媒中の水の割合は、10質量%である。反応終了後、中和し、65%含水メタノールで洗浄し、脱液、乾燥、粉砕して、カルボキシメチル置換度0.27、セルロースI型の結晶化度64%のカルボキシメチル化セルロースのナトリウム塩を得た。なお、カルボキシメチル置換度及びセルロースI型の結晶化度の測定方法は、先述の通りである。
得られたカルボキシメチル化セルロースのナトリウム塩を水に分散し、1%(w/v)水分散体とした。これを、150MPaの高圧ホモジナイザーで3回処理し、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの分散体を得た。得られたカルボキシメチル化セルロースナノファイバーは、平均繊維径が3.2nm、アスペクト比が40であった。
得られたカルボキシメチル化セルロースナノファイバーを水で固形分0.7質量%の分散体とし、カルボキシメチルセルロース(日本製紙(株)製、商品名:F350HC-4、粘度(1質量%、25℃、60rpm)約3000mPa・s、カルボキシメチル置換度約0.90)を、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーに対して40質量%(すなわち、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの固形分を100質量部としたときにカルボキシメチルセルロースの固形分が40質量部となるように)添加し、TKホモミキサー(12,000rpm)で60分間攪拌した。
この分散体に、水酸化ナトリウム水溶液0.5質量%を加え、pHを9に調整した後、ドラム乾燥機D0405(カツラギ工業社製)のドラム表面に塗布し、140℃で1分間乾燥した。得られた乾燥物を掻き取り、次いで、衝撃式ミルを用いて1時間あたり10kgの速さで乾燥物を粉砕し、水分量5質量%の乾燥粉砕物を得た。得られた粉砕物を、30メッシュを用いて分級し、カルボキシメチル化セルロースナノファイバー及びカルボキシメチルセルロースを含む粉体(CNF粉体A)を得た。
【0047】
[実施例1]
(うどんの製造)
米粉90部、加工澱粉(日本食品化工株式会社製)10部、アルギン酸エステル(商品名:昆布酸501、株式会社キミカ製)0.5部、食塩0.5部、上記で得られたCNF粉体A1部、水60部をステンレスビーカーに入れ、TKホモミクサーを用いて5000rpmで5分間撹拌してうどん生地を調整した。うどん生地を押し出し製麺機に投入してうどんを製造した。このうどんをバットに移してラップをかけて冷凍庫に保管した。
冷凍したうどんを解凍後に、水2.5Lを加えて13分間茹でた。茹でたうどんをつゆにつけた際のほぐれやすさを評価し、さらに試食して評価した。
【0048】
[比較例1]
CNF粉体Aを添加しない以外は、実施例1と同様にしてうどんを製造して、作業性評価、試食評価を行った。
【0049】
[比較例2]
アルギン酸エステル(キミカ製)の添加量を1.5部とし、CNF粉体Aを添加しない以外は、実施例1と同様にしてうどんを製造して、作業性評価、試食評価を行った。
【0050】
[比較例3]
アルギン酸エステルを添加しない以外は、実施例1と同様にしてうどんを製造して、作業性評価、試食評価を行った。
・作業性評価:
うどんの製麺工程の作業性(麺のちぎれやすさ、くっつき)について10段階評価で優:10~劣:1で評価した。
・茹でる際の状態:
うどんを茹でる際の麺のちぎれやすさを評価した。
・試食評価:
食感(のどごし、ほぐれやすさ)について10段階評価で優:10~劣:1で評価した。
【0051】
実施例1、比較例1~3のうどんの製造時の作業性評価を表1に、試食評価を表2に示した。
【0052】
【表1】
【0053】
表1に示されるように、実施例1のうどんは比較例1~3のうどんに比べると、製麺工程での作業性が良好であった。
【0054】
【表2】
【0055】
表2に示されるように、実施例1のうどんは比較例1~3のうどんに比べると、食感も良好であった。
【0056】
[製造例2]
(カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの調製B)
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーに、水130部と、水酸化ナトリウム20部を水100部に溶解したものとを加え、広葉樹パルプ(日本製紙社製、LBKP)を100℃で60分間乾燥した際の乾燥質量で100部仕込んだ。30℃で90分間撹拌、混合し、マーセル化セルロースを調製した。更に撹拌しつつIPA230部と、モノクロロ酢酸ナトリウム60部を添加し、30分間撹拌した後、70℃に昇温して90分間CM化反応をさせた。CM化反応時の反応媒中のIPAの濃度は、50%である。反応終了後、中和、脱液、乾燥、粉砕して、CM置換度0.31、セルロースI型の結晶化度67%のCM化セルロースのナトリウム塩を得た。
得られたCM化セルロースのナトリウム塩を水に分散し、1%(w/v)水分散体とした。これを、150MPaの高圧ホモジナイザーで1回処理し、CM化CNFの水分散体を得た。得られたCM化CNFは、平均繊維径が10nm、アスペクト比が50であった。
【0057】
得られたカルボキシメチル化セルロースナノファイバーを水で固形分0.7質量%の分散体とし、カルボキシメチルセルロース(日本製紙(株)製、商品名:F350HC-4、粘度(1質量%、25℃、60rpm)約3000mPa・s、カルボキシメチル置換度約0.90)を、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーに対して40質量%(すなわち、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの固形分を100質量部としたときにカルボキシメチルセルロースの固形分が40質量部となるように)添加し、TKホモミキサー(12,000rpm)で60分間攪拌した。
【0058】
この分散体に、水酸化ナトリウム水溶液0.5質量%を加え、pHを9に調整した後、ドラム乾燥機D0405(カツラギ工業社製)のドラム表面に塗布し、140℃で1分間乾燥した。得られた乾燥物を掻き取り、次いで、衝撃式ミルを用いて1時間あたり10kgの速さで乾燥物を粉砕し、水分量5質量%の乾燥粉砕物を得た。得られた粉砕物を、30メッシュを用いて分級し、カルボキシメチル化セルロースナノファイバー及びカルボキシメチルセルロースを含む粉体(CNF粉体B)を得た。
【0059】
[製造例3]
(カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの調製C)
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーに、水130部と、水酸化ナトリウム20部を水100部に溶解したものとを加え、広葉樹パルプ(日本製紙社製、LBKP)を100℃で60分間乾燥した際の乾燥質量で100部仕込んだ。30℃で90分間撹拌、混合し、マーセル化セルロースを調製した。更に撹拌しつつIPA230部と、モノクロロ酢酸ナトリウム60部を添加し、30分間撹拌した後、70℃に昇温して90分間CM化反応をさせた。CM化反応時の反応媒中のIPAの濃度は、50%である。反応終了後、中和、脱液、乾燥、粉砕して、CM置換度0.31、セルロースI型の結晶化度67%のCM化セルロースのナトリウム塩を得た。
得られたCM化セルロースのナトリウム塩を水に分散し、1%(w/v)水分散体とした。これを、150MPaの高圧ホモジナイザーで1回処理し、CM化CNFの水分散体を得た。得られたCM化CNFは、平均繊維径が10nm、アスペクト比が50であった。
【0060】
得られたカルボキシメチル化セルロースナノファイバーを水で固形分0.7質量%の分散体とし、カルボキシメチルセルロース(日本製紙(株)製、商品名:F800HC、粘度(1質量%、25℃、60rpm)約7000mPa・s、カルボキシメチル置換度約0.85)を、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーに対して30質量%(すなわち、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの固形分を100質量部としたときにカルボキシメチルセルロースの固形分が30質量部となるように)添加し、TKホモミキサー(12,000rpm)で60分間攪拌した。
【0061】
この分散体に、水酸化ナトリウム水溶液0.5質量%を加え、pHを9に調整した後、ドラム乾燥機D0405(カツラギ工業社製)のドラム表面に塗布し、140℃で1分間乾燥した。得られた乾燥物を掻き取り、次いで、衝撃式ミルを用いて1時間あたり10kgの速さで乾燥物を粉砕し、水分量5質量%の乾燥粉砕物を得た。得られた粉砕物を、30メッシュを用いて分級し、カルボキシメチル化セルロースナノファイバー及びカルボキシメチルセルロースを含む粉体(CNF粉体C)を得た。
【0062】
[実施例2]
(パスタ麺の製造)
(仕込み工程)
米粉100重量部、アルギン酸エステル(商品名:昆布酸501、株式会社キミカ製)0.5重量部、上記で得られたCNF粉体Aを1重量部を小型パスタマシン(スクイーザーII SQZ、不二精機社製)にいれ、ミキシングをスタートした後、熱湯45重量部を徐々に加えた。その後、通常撹拌(2分)及び真空撹拌(6分)をこの順にて行い混錬し、麺生地が十分に混錬できたら押し出し製麺を行った。
一定の長さでカットを行い、箸などで麺同士がくっつかないように注意しながら吊るして乾燥と冷却を行い、パスタ麺Aを得た。
【0063】
(茹で工程)
得られたパスタ麺は袋に入れて1日程度冷凍保存した。冷凍保存後のパスタ麺を、沸騰したお湯で3分茹で上げ、茹で上がったらよく水洗いを行い、茹でたパスタ麺を得た。
【0064】
[実施例3]
仕込み工程で用いるCNF粉体Aを、CNF粉体Bに変更した以外は、実施例2と同様にしてパスタ麺Bを得て、茹で工程を実施した。
【0065】
[実施例4]
仕込み工程で用いるCNF粉体Aを、CNF粉体Cに変更した以外は、実施例2と同様にしてパスタ麺Cを得て、茹で工程を実施した。
【0066】
[比較例4]
仕込み工程でCNF粉体Aを添加しなかったこと以外は、実施例2と同様にしてパスタ麺Dを得て、茹で工程を実施した。
【0067】
(作業性評価)
各工程での作業性について、表3に示すように評価を行った。
【0068】
【表3】
【0069】
(試食評価)
茹で上げたパスタ麺を、食感(のどごし、ほぐれやすさなど)について10段階評価(優:10~劣:1)で評価した。結果を表4に示す。
【0070】
【表4】