(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146821
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】基準電圧回路装置
(51)【国際特許分類】
G05F 3/24 20060101AFI20241004BHJP
G05F 3/26 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G05F3/24 B
G05F3/26
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024044046
(22)【出願日】2024-03-19
(62)【分割の表示】P 2024012112の分割
【原出願日】2024-01-30
(31)【優先権主張番号】P 2023057979
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 聡之
【テーマコード(参考)】
5H420
【Fターム(参考)】
5H420NA16
5H420NA27
5H420NB02
5H420NB15
5H420NB36
5H420NE21
5H420NE23
(57)【要約】
【課題】消費電流と、外部からの応力の影響を抑制した基準電圧回路装置を提供する。
【解決手段】第1のトランジスタ35と第2のトランジスタ36で構成するカレントミラー回路と、定電流を出力する定電流回路101と、定電流を入力電流として、入力電流に基づいた出力電圧を生成する電圧生成回路102と、出力電圧を出力する基準電圧出力端子3と、定電流回路101は複数のデプレッション型MOSトランジスタD11、・・D1nが直列接続され、各ゲート幅が同じで各ゲート長の総和が定電流回路の総ゲート長であり、電圧生成回路102は複数のエンハンス型MOSトランジスタE1、・・E1 mが直列接続され、各ゲート幅が同じで各ゲート長の総和が電圧生成回路の総ゲート長であり、各デプレッション型MOSトランジスタ、エンハンス型MOSトランジスタを応力の影響を抑制したトランジスタサイズとした。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のトランジスタと第2のトランジスタのゲートが共通接続され、
前記第1のトランジスタのドレインと前記ゲートが接続され、
前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタのソースが電源端子に接続され構成されるカレントミラー回路と、
入力電圧に対して定電流を出力する定電流回路と、
前記定電流を入力電流として、前記入力電流に基づいた出力電圧を生成する電圧生成回路と、
前記出力電圧を出力する基準電圧出力端子と、
前記入力電圧を出力する前記第1のトランジスタのドレインは、前記定電流回路に接続され、前記入力電流を出力する前記第2のトランジスタのドレインは、前記電圧生成回路と前記基準電圧端子に接続され、
前記定電流回路は、デプレッション型MOSトランジスタ回路を含み、前記デプレッション型MOSトランジスタ回路は、デプレッション型MOSトランジスタ回路総ゲート幅とデプレッション型MOSトランジスタ回路総ゲート長を有し、
前記デプレッション型MOSトランジスタ回路は、n個(nは整数2、3、4・・)のデプレッション型MOSトランジスタを含み、
第1のデプレッション型MOSトランジスタから、n番目のn個のデプレッション型MOSトランジスタが直列に接続され、
前記第1のデプレッション型MOSトランジスタは、第1のゲート幅と第1のゲート長を有し、ゲートとソースが接地端子に接続され、
前記第nのデプレッション型MOSトランジスタは、前記第1のゲート幅と、第nのゲート長を有し、ドレインは、前記第1のトランジスタの前記ドレインに接続され、
前記電圧生成回路は、エンハンス型MOSトランジスタ回路を含み、前記エンハンス型MOSトランジスタ回路は、エンハンス型MOSトランジスタ回路総ゲート幅とエンハンス型MOSトランジスタ回路総ゲート長を有し、
前記エンハンス型MOSトランジスタ回路は、m個(mは整数2、3、4・・)のエンハンス型MOSトランジスタとを含み、
第1のエンハンス型MOSトランジスタから、m番目のm個のエンハンス型MOSトランジスタが直列に接続され、
前記第1のエンハンス型MOSトランジスタは、前記第1のゲート幅と、第E1のゲート長を有し、ドレインとゲートが、前記第2のトランジスタの前記ドレインと前記基準電圧端子に接続され、
前記第mのエンハンス型MOSトランジスタは、前記第1のゲート幅と、第Emのゲート長を有し、ソースが接地端子に接続され、
前記第1のゲート幅は、前記デプレッション型MOSトランジスタ回路総ゲート幅及び前記エンハンス型MOSトランジスタ回路総ゲート幅であり、
前記第1のゲート長から前記第nのゲート長の総和は、前記デプレッション型MOSトランジスタ回路総ゲート長であり、
前記第E1のゲート長から前記Emのゲート長の総和は、前記エンハンス型MOSトランジスタ回路総ゲート長であることを特徴とする基準電圧発生装置。
【請求項2】
前記第1のゲート幅は5μm以下であり、前記デプレッション型MOSトランジスタの前記第1のゲート長、前記第nのゲート長は夫々25μm以下であり、前記エンハンス型MOSトランジスタの前記第1のゲート長、前記第mのゲート長は夫々25μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の基準電圧発生装置。
【請求項3】
第1のトランジスタと第2のトランジスタのゲートが共通接続され、
前記第1のトランジスタのドレインと前記ゲートが接続され、
前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタのソースが電源端子に接続され構成されるカレントミラー回路と、
入力電圧に対して定電流を出力する定電流回路と、
前記定電流を入力電流として、前記入力電流に基づいた出力電圧を生成する電圧生成回路と、
前記出力電圧を出力する基準電圧出力端子と、
前記入力電圧を出力する前記第1のトランジスタのドレインは、前記定電流回路に接続され、前記入力電流を出力する前記第2のトランジスタのドレインは、前記電圧生成回路と前記基準電圧端子に接続され、
前記定電流回路は、デプレッション型MOSトランジスタ回路を含み、前記デプレッション型MOSトランジスタ回路は、デプレッション型MOSトランジスタ回路総ゲート幅とデプレッション型MOSトランジスタ回路総ゲート長を有し、
前記デプレッション型MOSトランジスタ回路は、n個(nは整数2、3、4・・)×p個(pは整数2、3、4・・)のデプレッション型MOSトランジスタを含み、
第1列に第1のデプレッション型MOSトランジスタから、n番目のn個のデプレッション型MOSトランジスタが直列に接続され、
前記第1のデプレッション型MOSトランジスタは、第1のゲート幅と第1のゲート長を有し、ゲートとソースが接地端子に接続され、
前記第nのデプレッション型MOSトランジスタは、前記第1のゲート幅と、第nのゲート長を有し、ドレインは、前記第1のトランジスタの前記ドレインに接続され、
さらに第p列に第1のデプレッション型MOSトランジスタから、n番目迄のn個のデプレッション型MOSトランジスタが直列に接続され、前記デプレッション型MOSトランジスタが前記第1列から前記第p列まで平行に配置され、
前記第p列の第1のデプレッション型MOSトランジスタは、第pのゲート幅と前記第1のゲート長を有し、ゲートとソースが接地端子に接続され、
前記第p列の第nのデプレッション型MOSトランジスタは、前記第pのゲート幅と、前記第nのゲート長を有し、ドレインは、前記第1のトランジスタの前記ドレインに接続され、
前記電圧生成回路は、エンハンス型MOSトランジスタ回路を含み、前記エンハンス型MOSトランジスタ回路は、エンハンス型MOSトランジスタ回路総ゲート幅とエンハンス型MOSトランジスタ回路総ゲート長を有し、
前記エンハンス型MOSトランジスタ回路は、m個(mは整数2、3、4・・)×p個(pは整数2、3、4・・)のエンハンス型MOSとを含み、
第1列に第1のエンハンス型MOSトランジスタから、m番目のm個のエンハンス型MOSトランジスタが直列に接続され、
前記第1のエンハンス型MOSトランジスタは、前記第1のゲート幅と、第E1のゲート長を有し、ドレインとゲートが、前記第2のトランジスタの前記ドレインと前記基準電圧端子に接続され、
前記第mのエンハンス型MOSトランジスタは、前記第1のゲート幅と、第Emのゲート長を有し、ソースが接地端子に接続され、
さらに第p列に第1のエンハンス型MOSトランジスタから、m番目迄のm個のエンハンス型MOSトランジスタが直列に接続され、前記エンハンス型MOSトランジスタが前記第1列から前記第p列まで平行に配置され、
前記p列の第1のエンハンス型MOSトランジスタは、第pのゲート幅と第1のゲート長を有し、ドレインとゲートが、前記第2のトランジスタの前記ドレインと前記基準電圧端子に接続され、
前記p列の第mのエンハンス型MOSトランジスタは、ソースが接地端子に接続され、
前記第1のゲート幅乃至前記第pのゲート幅の総和は、前記デプレッション型MOSトランジスタ回路総ゲート幅及び前記エンハンス型MOSトランジスタ回路総ゲート幅であり、
前記第1のゲート長乃至前記第nのゲート長の総和は、前記デプレッション型MOSトランジスタ回路総ゲート長であり、
前記第E1のゲート長乃至前記第Emのゲート長の総和は、前記エンハンス型MOSトランジスタ回路総ゲート長であることを特徴とする基準電圧発生装置。
【請求項4】
前記第1のゲート幅、前記第pのゲート幅は夫々5μm以下であり、前記デプレッション型MOSトランジスタの前記第1のゲート長、前記第nのゲート長は夫々25μm以下であり、前記エンハンス型MOSトランジスタの前記第1のゲート長、前記第mのゲート長は夫々25μm以下であることを特徴とする請求項3に記載の基準電圧発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基準電圧回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アナログ処理回路で多く利用される基準電圧回路は、出力する基準電圧の高安定性とともに、低消費電流が求められている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1は温度特性の補償や製造プロセスバラツキを補正して歩留まりの向上を目的としているものである。
【0005】
一般的に、消費電流を低減するためには、基準電圧回路を構成するトランジスタのチャネル長を長くし、ドレイン電流を抑制する。しかし、チャネル長を長くするとその電気特性が、例えば後工程における樹脂封止形成工程における、樹脂の収縮など、半導体チップ以外の外部からの応力の影響を受けやすくなり、基準電圧の安定性が低下する、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、
第1のトランジスタと第2のトランジスタのゲートが共通接続され、
前記第1のトランジスタのドレインと前記ゲートが接続され、
前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタのソースが電源端子に接続され構成されるカレントミラー回路と、
入力電圧に対して定電流を出力する定電流回路と、
前記定電流を入力電流として、前記入力電流に基づいた出力電圧を生成する電圧生成回路と、
前記出力電圧を出力する基準電圧出力端子と、
前記入力電圧を出力する前記第1のトランジスタのドレインは、前記定電流回路に接続され、前記入力電流を出力する前記第2のトランジスタのドレインは、前記電圧生成回路と前記基準電圧端子に接続され、
前記定電流回路は、デプレッション型MOSトランジスタ回路を含み、前記デプレッション型MOSトランジスタ回路は、デプレッション型MOSトランジスタ回路総ゲート幅とデプレッション型MOSトランジスタ回路総ゲート長を有し、
前記デプレッション型MOSトランジスタ回路は、n個(nは整数2、3、4・・)のデプレッション型MOSトランジスタを含み、
第1のデプレッション型MOSトランジスタから、n番目のn個のデプレッション型MOSトランジスタが直列に接続され、
前記第1のデプレッション型MOSトランジスタは、第1のゲート幅と第1のゲート長を有し、ゲートとソースが接地端子に接続され、
前記第nのデプレッション型MOSトランジスタは、前記第1のゲート幅と、第nのゲート長を有し、ドレインは、前記第1のトランジスタの前記ドレインに接続され、
前記電圧生成回路は、エンハンス型MOSトランジスタ回路を含み、前記エンハンス型MOSトランジスタ回路は、エンハンス型MOSトランジスタ回路総ゲート幅とエンハンス型MOSトランジスタ回路総ゲート長を有し、
前記エンハンス型MOSトランジスタ回路は、m個(mは整数2、3、4・・)のエンハンス型MOSトランジスタとを含み、
第1のエンハンス型MOSトランジスタから、m番目のm個のエンハンス型MOSトランジスタが直列に接続され、
前記第1のエンハンス型MOSトランジスタは、前記第1のゲート幅と、第E1のゲート長を有し、ドレインとゲートが、前記第2のトランジスタの前記ドレインと前記基準電圧端子に接続され、
前記第mのエンハンス型MOSトランジスタは、前記第1のゲート幅と、第Emのゲート長を有し、ソースが接地端子に接続され、
前記第1のゲート幅は、前記デプレッション型MOSトランジスタ回路総ゲート幅及び前記エンハンス型MOSトランジスタ回路総ゲート幅であり、
前記第1のゲート長から前記第nのゲート長の総和は、前記デプレッション型MOSトランジスタ回路総ゲート長であり、
前記第E1のゲート長から前記Emのゲート長の総和は、前記エンハンス型MOSトランジスタ回路総ゲート長であることを特徴とする基準電圧発生装置とする。
【発明の効果】
【0007】
消費電流と、外部からの応力の影響を抑制した基準電圧回路装置を提供する。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1の実施形態(n=n個、m=m個)に係る基準電圧発生装置を示す回路図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態(n=n個、m=m個)の変形例に係る基準電圧発生装置を示す回路図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態(n=2、m=2)に係る基準電圧発生装置を示す回路図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態(n=n個、m=m個、p=p個)に係る基準電圧発生装置を示す回路図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態(n=n個、m=m個、p=p個)の変形例に係る基準電圧発生装置を示す回路図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態(n=2、m=2、p=2)に係る基準電圧発生装置を示す回路図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態(n=n個、m=m個、p=2)に係る基準電圧発生装置を示す回路図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態(n=n個、m=m個、p=2)の変形例に係る基準電圧発生装置を示す回路図である。
【
図9】応力の影響によるドレイン電流の変化、トランジスタのゲート幅、ゲート長の関係を示す図である。
【
図12】本発明の第3の実施形態に係る基準電圧発生装置を示す回路図である。
【
図13】本発明の第4の実施形態に係る基準電圧発生装置を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴を分かりやすくするために、一部省略して示している場合があり、実際とは異なっていることがある。なお、各図面において同一の構成については同一の符号を付し、重複する部分についてはその詳細な説明は省略する。
【0010】
図10は、本発明の実施形態の基準電圧発生装置100を示す回路図である。
【0011】
アナログ処理回路においてはその出力する電圧や電流などの出力特性が、アナログ処理回路を構成するトランジスタの電気的特性に左右される。例えば、基準電圧発生装置100は定電流を出力するデプレッション型NMOSトランジスタ101と、その定電流値に応じた電圧を出力するエンハンスト型NMOSランジスタを備える。そしてその基準電圧発生装置が出力する基準電圧Vrefは、デプレッション型NMOSトランジスタやエンハンス型NMOSトランジスタの閾値電圧や相互コンダクタンスという電気的特性によって決まる。
【0012】
そのアナログ処理回路は、外部からの様々な変動に対し常に安定した特性を維持する事が求められる。外部変動の要因として代表的なものは温度で、アナログ処理回路を構成するMOSトランジスタは、温度に対する電気的変動が許容値に対して十分小さいものが望ましい。またMOSトランジスタの温度変動が許容値を越える場合、回路的な工夫により、その個々のMOSトランジスタの温度変動を相殺し出力特性として温度変動を抑制する。
【0013】
近年、温度変動の他に顕在化している外部要因は、外部から印加される応力である。例えば、アナログ処理回路を含む半導体チップを熱硬化性樹脂で封止するときに、その熱硬化性樹脂の線膨張係数に従い、硬化時に収縮応力が半導体チップにかかる。半導体チップにはシリコンを始めとした半導体材料で形成されているが、それらの線膨張係数がそれぞれ異なるため、熱硬化樹脂との間で収縮の違いによる応力が発生する。その応力は、シリコンで構成されるトランジスタ内のチャネルにひずみを発生させ、シリコンのピエゾ抵抗効果によってトランジスタの特性変動を引き起こす。そのため、樹脂封止の工程を経て完成した半導体装置に対し、アナログ処理回路の出力特性を調整するために電気的なトリミングが行われる場合がある。
【0014】
本発明者は、半導体チップが外部から応力を受けた場合に、MOSトランジスタへの影響を抑制できる知見を新たに見出した。そしてその知見に基づき、応力に対して特性変動が抑制されたアナログ処理回路を実現した。この知見について以下に説明する。
【0015】
応力によるシリコンの特性変動は、一般的にバンドギャップの変化による不純物濃度の変動と、格子間距離の変化によるキャリアの移動度の変動などが挙げられる。多くの場合、シリコンには製造時に不純物が多量に注入されているので、MOSトランジスタの電気特性においては移動度の変動の影響が大きい。
【0016】
図9は、MOSトランジスタの電気特性において移動度に大きく影響を受けるドレイン電流について、一定の応力(100Mpa)を印加したときのドレイン電流の変動量(ΔId)をゲート電圧0.6Vにおいて、MOSトランジスタのチャネル長L(横軸)、チャネル幅W(縦軸)をパラメータとしてMOSトランジスタのドレイン電流の変動量の変化率(ΔId変化率/[―100Mpa])として俯瞰したものである。
【0017】
図9において、〇記号はΔId変化率が絶対値│-1.6%│以下である。▲記号はΔId変化率が絶対値│-1.6%│より大きく、絶対値│-3.1%│より小さい。×記号はΔId変化率が絶対値│-3.1%│より大きいことを示している。
【0018】
より具体的には、ゲート幅Wが5μm以下で、ゲート長が25μm以下であればドレイン電流の変動量の変化率(ΔId変化率/[―100Mpa])は絶対値│-3.1%│より小さい。さらに、ゲート幅Wが2.5μm以下で、ゲート長が1.5μm以下であれば、ドレイン電流の変動量の変化率(ΔId変化率/[―100Mpa])は絶対値│-1.6%│以下となる。
つまり、チャネル長L(μm)及びチャネル幅W(μm)、すなわちMOSトランジスタのチャネルサイズが小さいほど応力によるドレイン電流量の変動率が小さい事がわかる。
【0019】
したがって、チャネルサイズが小さいMOSトランジスタを組み合わせてチャネルサイズが大きいトランジスタと同程度のチャネルサイズを構成することで、応力による影響を大きく低減できることが分かる。
【実施例0020】
図1から
図3を参照して、本発明の第1の実施形態の基準電圧発生装置について説明する。
【0021】
本実施例の基準電圧発生装置は、
図1に示すように、入力電圧VDDに対して定電流を出力する定電流回路101と、定電流回路101に直列に接続され、定電流を入力電流として、入力電流に基づいた出力電圧を生成する電圧生成回路102と、出力電圧を出力する基準電圧出力端子3と、を備える基準電圧発生装置100であって、定電流回路101は、デプレッション型NMOSトランジスタ回路を含み、デプレッション型NMOSトランジスタ回路のトランジスタサイズは総ゲート幅Wdと総ゲート長Ldである。そして定電流回路101は、デプレッション型MOSトランジスタD11からD1nまでn個のデプレッション型NMOSトランジスタを直列に接続され、デプレッション型NMOSトランジスタD11はゲートとソースが接続され、ソースは基準電圧出力端子3に接続される。
【0022】
デプレッション型NMOSトランジスタD1nはドレインが入力電圧VDDに接続され、ソースはデプレッション型NMOSトランジスタD1n―1のドレインに接続される。デプレッション型NMOSトランジスタD11からデプレッション型NMOSトランジスタD1nのゲート幅は同じゲート幅Wd1であり、ゲート長はそれぞれLd11、Ld12、Ld13・・Ld1nである。
【0023】
またデプレッション型NMOSトランジスタD11からデプレッション型NMOSトランジスタD1nのゲートは各デプレッション型NMOSトランジスタのソースに接続され、pウエル電位は共通電位に接続される。
【0024】
電圧生成回路102は、エンハンス型NMOSトランジスタ回路を含み、エンハンス型NMOSトランジスタ回路のトランジスタサイズは、総ゲート幅Weと総ゲート長Leである。
【0025】
そして電圧生成回路102は、エンハンス型NMOSトランジスタE11からE1mまでm個のエンハンス型NMOSトランジスタを直列に接続され、エンハンス型NMOSトランジスタE11はゲートとドレインが接続され、ドレインは基準電圧出力端子3に接続されている。エンハンス型NMOSトランジスタE1mはソースが接地端子2に接続され、ドレインはエンハンス型NMOSトランジスタE1m―1のソースに接続される。
【0026】
エンハンス型NMOSトランジスタE11からエンハンス型NMOSトランジスタE1mのゲート幅は同じゲート幅We1であり、ゲート長はそれぞれLe11、Le12、Le13・・Le1mである。またエンハンス型NMOSトランジスタE11からエンハンス型NMOSトランジスタE1nのゲートは各エンハンス型NMOSトランジスタのドレインに接続され、pウエル電位は共通電位に接続される
【0027】
デプレッション型NMOSトランジスタ回路の総ゲート幅Wd、デプレッション型NMOSトランジスタのゲート幅Wd1、エンハンス型NMOSトランジスタ回路の総ゲート幅We、エンハンス型NMOSトランジスタのゲート幅We1は等しい(Wd=Wd1=We=We1)。
【0028】
デプレッション型NMOSトランジスタ回路の総ゲート長Ldは、デプレッション型NMOSトランジスタのゲート長(Ld11、Ld12、Ld13・・Ld1n)の総和に等しい(Ld=Ld11+Ld12+Ld13+・・+Ld1n)。
【0029】
エンハンス型NMOSトランジスタ回路の総ゲート長Leは、エンハンス型NMOSトランジスタのゲート長(Le11、Le12、Le13・・Le1m)の総和に等しい関係にある(Le=Le11+Le12+Le13+・・+Le1m)。
【0030】
そして、デプレッション型NMOSトランジスタのゲート幅Wd1、エンハンス型NMOSトランジスタのゲート幅We1を5μm以下とし、デプレッション型NMOSトランジスタのゲート長(Ld11、Ld12、Ld13・・Ld1n)、エンハンス型NMOSトランジスタのゲート長(Le11、Le12、Le13・・Le1m)を25μm以下とすると、外部からの応力の影響による個々のMOSトランジスタのドレイン電流量の変動率が小さくなるので、消費電力を抑制し、外部からの応力の影響を抑制した基準電圧回路装置を提供できる。
【0031】
具体的な基準電圧回路装置においては、デプレッション型NMOSトランジスタ回路の総ゲート幅Wdが5μm、総ゲート長Ldが100μm、エンハンス型NMOSトランジスタ回路の総ゲート幅Weが5μm、総ゲート長Leが75μmの場合は、ゲート幅Wd=Wd1=We=We1=5μm、デプレッション型NMOSトランジスタ回路はn=4で、ゲート長Ld11=Ld12=Ld13=Ld14=25μm、エンハンス型NMOSトランジスタ回路はm=3で、ゲート長Le11=Le12=Le13=25μmにすると、消費電力を抑制し、外部からの応力の影響を抑制した基準電圧回路装置を提供できる。
【0032】
さらに外部からの応力の影響を抑制したい場合は、ゲート長について、デプレッション型NMOSトランジスタ回路はn=50で、ゲート長Ld11=Ld12=Ld13・・=Ld150=2μm、エンハンス型NMOSトランジスタ回路はm=38で、のゲート長Le11=Le12=Le13・・=Le137=2μm、Le138=1μmにすると良い。
【0033】
図2は、第1の実施形態の変形形態として、デプレッション型NMOSトランジスタD11からデプレッション型NMOSトランジスタD1nのゲートを共通接続し、エンハンス型NMOSトランジスタE11からエンハンス型NMOSトランジスタE1mのゲートを共通接続した基準電圧回路装置である。
【0034】
図3は、第1の実施形態のn=2、m=2の場合の基準電圧回路装置である。この場合、ゲート幅Wd=Wd1=We=We1=5μm、デプレッション型NMOSトランジスタのゲート長Ld11=Ld12=25μm、エンハンス型NMOSトランジスタのゲート長Le11=Le12=25μmである。ゲート長はさらに小さくても良い。
電圧生成回路102は、第1列に直列に接続されたm個のエンハンス型NMOSトランジスタE11からE1mに、第2列、第3列・・、第p列(pは整数で2以上)を並列に接続する。第2列は直列に接続されたm個のエンハンス型NMOSトランジスタE21からE2m、第p列は直列に接続されたm個のエンハンス型NMOSトランジスタEp1からEpmで構成され、夫々のエンハンス型NMOSトランジスタE11からE1m、E21からE2m、・・・、Ep1からEpmは、夫々のゲートとドレインが接続され、第1行のエンハンス型NMOSトランジスタE11、E21・・Ep1の夫々のドレインは基準電圧出力端子3に接続され、第m行のエンハンス型NMOSトランジスタE1m、E2m・・Epmの夫々のソースは接地端子2に接続される。
デプレッション型NMOSトランジスタDp1からデプレッション型NMOSトランジスタDpnのゲート幅は同じゲート幅Wdpであり、ゲート長は第1列のデプレッション型NMOSトランジスタに対応して同じゲート長である(Ld11=Ld21=・・=Ldp1、Ld12=Ld22=・・=Ldp2、Ld1n=Ld2n=・・=Ldpn)。
エンハンス型NMOSトランジスタEp1からエンハンス型NMOSトランジスタEpmのゲート幅は同じゲート幅Wepであり、ゲート長は第1列のエンハンス型NMOSトランジスタに対応して同じゲート長である(Le11=Le21=・・=Lep1、Le12=Le22=・・=Lep2、Le13=Le23=・・=Lep3・・、Le1m=Le2m=・・=Lepm)。
デプレッション型NMOSトランジスタ回路のトランジスタサイズは総ゲート幅Wdと総ゲート長Ld、であり、エンハンス型NMOSトランジスタ回路のトランジスタサイズは、総ゲート幅Weと総ゲート長Leである。
第1列から第p列までのデプレッション型NMOSトランジスタのゲート幅Wd1、Wd2、・・Wdp、及びエンハンス型NMOSトランジスタのゲート幅We1、We2、・・Wepとすると、デプレッション型NMOSトランジスタ回路の総ゲート幅Wdは、第1列から第p列までのデプレッション型NMOSトランジスタのゲート幅Wd1、Wd2、・・Wdpの総和に設定する(Wd=Wd1+Wd2+・・+Wdp)。
エンハンス型NMOSトランジスタ回路の総ゲート幅Weは、第1列から第p列までのエンハンス型NMOSトランジスタのゲート幅We1、We2、・・Wepの総和に設定する(We=We1+We2+・・+Wep)。
そして、デプレッション型NMOSトランジスタのゲート幅(Wd1、Wd2・・Wdp)、エンハンス型NMOSトランジスタのゲート幅(We1、We2・・Wep)を5μm以下とし、デプレッション型NMOSトランジスタのゲート長(Ld11、Ld12、Ld13・・Ld1n)(Ld21、Ld22、Ld23・・Ld2n)・・(Ldp1、Ldp2、Ldp3・・Ldpn)、エンハンス型NMOSトランジスタのゲート長(Le11、Le12、Le13・・Le1m)(Le21、Le22、Le23・・Le2m)・・(Lep1、Lep2、Lep3・・Lepm)を25μm以下とすると、外部からの応力の影響による個々のMOSトランジスタのドレイン電流量の変動率が小さくなるので、消費電力を抑制し、外部からの応力の影響を抑制した基準電圧回路装置を提供できる。
具体的な基準電圧回路装置においては、デプレッション型NMOSトランジスタ回路の総ゲート幅Wdが5μm、総ゲート長Ldが100μm、エンハンス型NMOSトランジスタ回路の総ゲート幅Weが5μm、総ゲート長Leが75μmの場合は、デプレッション型NMOSトランジスタ回路は、p=2、n=4で、デプレッション型NMOSトランジスタのゲート幅Wd1=Wd2=2.5μm。総ゲート幅Wd=Wd1+Wd2=5μm。ゲート長Ld11=Ld12=Ld13=Ld14=25μm。総ゲート長Ld=Ld11+Ld12+Ld13+Ld14=100μmにする。エンハンス型NMOSトランジスタ回路は、p=2、m=3で、ゲート幅We1=We2=2.5μm。総ゲート幅We=We1+We2=5μm。ゲート長Le11=Le12=Le13=25μm。総ゲート長Le=Le11+Le12+Le13=75μmにすると、消費電力を抑制し、外部からの応力の影響を抑制した基準電圧回路装置を提供できる。
さらに外部からの応力の影響を抑制したい場合は、ゲート長について、デプレッション型NMOSトランジスタ回路はn=50で、ゲート長Ld11=Ld12=Ld13・・=Ld150=2μm、エンハンス型NMOSトランジスタ回路はm=38で、のゲート長Le11=Le12=Le13・・=Le137=2μm、Le138=1μmにすると良い。