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特開2024-146828自律車両フィードバックシステム及び自律車両を動作させる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146828
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】自律車両フィードバックシステム及び自律車両を動作させる方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
G08G1/16 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024047832
(22)【出願日】2024-03-25
(31)【優先権主張番号】18/193,972
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】フレデリコ マルコリーノ キンタオ セベルグニーニ
(72)【発明者】
【氏名】ショーン ピー.ロドリゲス
(72)【発明者】
【氏名】エルカン デデ
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB20
5H181CC04
5H181CC07
5H181CC27
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
5H181LL20
(57)【要約】
【課題】自律車両フィードバックシステム及び自律車両を動作させる方法を提供すること。
【解決手段】自律車両フィードバックシステムは、車両の内面に組み込まれた少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つのセンサに対して電気的に接続されたプロセッサと、を含む。プロセッサは、少なくとも1つのセンサからのフィードバックに基づいて、車両の乗員の生理的パラメータについてベースラインを確立し、ベースラインと比較して生理的パラメータが逸脱する場合に複数の車両動作のうちの少なくとも1つに対する調整を提供する。複数の車両動作のうちの少なくとも1つの調整は、ベースラインからの生理的パラメータの逸脱に比例する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律車両フィードバックシステムであって、
車両の内面に組み込まれた少なくとも1つのセンサと、
前記少なくとも1つのセンサに対して電気的に接続されたプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、前記少なくとも1つのセンサからのフィードバックに基づいて、前記車両の乗員の生理的パラメータについてベースラインを確立し、前記ベースラインと比較して前記生理的パラメータが逸脱する場合に複数の車両動作のうちの少なくとも1つに対する調整を提供して、前記複数の車両動作のうちの前記少なくとも1つの前記調整は、前記ベースラインからの前記生理的パラメータの前記逸脱に比例する、
自律車両フィードバックシステム。
【請求項2】
前記乗員の前記生理的パラメータは、水分レベルである、請求項1に記載の自律車両フィードバックシステム。
【請求項3】
前記複数の車両動作のうちの前記少なくとも1つは、車両速度、ルート、運転モード、温度、気流、オーディオコンテンツ、又はメッセージ表示のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の自律車両フィードバックシステム。
【請求項4】
前記車両内に位置するカメラを更に備え、前記カメラは、前記車両の前記乗員の感情的反応を決定するために使用される顔認識ソフトウェアを含み、前記感情的反応は、前記カメラによって決定され、前記少なくとも1つのセンサは、前記車両の前記乗員の前記生理的パラメータの前記逸脱を決定するために使用される、請求項1に記載の自律車両フィードバックシステム。
【請求項5】
ステアリングホイール内に組み込まれた光拡散器を更に備える、請求項1に記載の自律車両フィードバックシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサは、光センサである、請求項5に記載の自律車両フィードバックシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのセンサは、前記光拡散器を通過している光の屈折率を監視する、請求項6に記載の自律車両フィードバックシステム。
【請求項8】
前記光センサは、前記生理的パラメータについて前記ベースラインを確立するために、前記乗員に関連付けられる水分レベルを表しているデータを前記プロセッサに提供する、請求項7に記載の自律車両フィードバックシステム。
【請求項9】
前記生理的パラメータを表しているデータを前記車両の前記乗員に伝達するグラフィカルユーザインターフェースを更に含む、請求項1に記載の自律車両フィードバックシステム。
【請求項10】
前記グラフィカルユーザインターフェースは、前記車両の前記乗員に広告を更に表示し、前記グラフィカルユーザインターフェースによって表示される前記広告は、前記ベースラインからの前記生理的パラメータの前記逸脱に基づいて決定される、請求項9に記載の自律車両フィードバックシステム。
【請求項11】
前記グラフィカルユーザインターフェースは、前記車両の前記乗員が前記複数の車両動作のうちの前記少なくとも1つを手動で制御することを可能にする手動入力を更に含む、請求項9に記載の自律車両フィードバックシステム。
【請求項12】
自律車両フィードバックシステムであって、
車両の内面に組み込まれた光拡散器と、
前記車両の前記内面に組み込まれた少なくとも1つの光センサと、
前記少なくとも1つの光センサに対して電気的に接続されたプロセッサと、
を備え、
前記光センサは、前記光拡散器に関連付けられる光の屈折率を監視し、前記プロセッサは、前記少なくとも1つの光センサによって測定される前記屈折率の変化に基づいて前記車両の乗員のベースライン水分レベルを確立し、前記プロセッサは、前記ベースライン水分レベルからの逸脱が生じる場合に複数の車両動作のうちの少なくとも1つに対する調整を提供して、前記複数の車両動作のうちの前記少なくとも1つの前記調整は、前記ベースライン水分レベルからの前記逸脱に比例する、
自律車両フィードバックシステム。
【請求項13】
前記複数の車両動作は、車両速度、ルート、運転モード、温度、気流、オーディオコンテンツ、又はメッセージ表示のうちの1つ以上を含む、請求項12に記載の自律車両フィードバックシステム。
【請求項14】
自律車両を動作させる方法であって、
車両の内面に組み込まれた少なくとも1つのセンサを使用して車両の乗員の生理的パラメータを監視することと、
前記少なくとも1つのセンサからのフィードバックに基づいて、前記車両の前記乗員の前記生理的パラメータについてベースラインを確立することと、
前記ベースラインからの前記生理的パラメータの逸脱が前記少なくとも1つのセンサによって測定される場合に複数の車両動作のうちの少なくとも1つに対する調整を提供することであって、前記複数の車両動作のうちの前記少なくとも1つの前記調整は、前記ベースラインからの前記生理的パラメータの前記逸脱に比例する、ということと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記生理的パラメータを監視するステップは、
前記車両の前記内面に組み込まれた光拡散器を通じて光を通すことと、
前記光センサを使用して前記光拡散器を通過している光の屈折率を監視することと、
を更に含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、概して車両フィードバックシステムに関し、より具体的には、自律車両フィードバックシステム及び自律車両を動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自律車両は、最近の輸送システムにおいてますます普及してきている。当該車両は、人間の操作者を必要とすることなく動作するように設計されており、ナビゲート及び決定を行うための様々なセンサ及びプロセッサに依拠している。自律車両は、安全性及び効率の増加などの非常に多い利点を提供するが、車両動作に対する自動調整は、車両の乗員に高レベルのストレス及び/又は不安を促し得る。例えば、車両の速度及び/又は加速度に対する急な変更は、車両の乗員をストレス状態にさせ得る。したがって、安全且つリラックスさせる運転体験が達成されることを保証するために、車両の乗員の感情状態をリアルタイムで決定することができるフィードバックシステムが必要である。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態では、自律車両フィードバックシステムが開示される。フィードバックシステムは、車両の内面に組み込まれた少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つのセンサに対して電気的に接続されたプロセッサと、を含む。プロセッサは、少なくとも1つのセンサからのフィードバックに基づいて、車両の乗員の生理的パラメータについてベースラインを確立し、ベースラインと比較して生理的パラメータが逸脱する場合に複数の車両動作のうちの少なくとも1つに対する調整を提供する。複数の車両動作のうちの少なくとも1つに関する調整は、ベースラインからの生理的パラメータの逸脱に比例する。
【0004】
別の実施形態では、別の自律車両フィードバックシステムが開示される。フィードバックシステムは、車両の内面に組み込まれた光拡散器と、車両の内面に組み込まれた少なくとも1つの光センサと、を含み得る。プロセッサは、少なくとも1つの光センサに対して電気的に接続され得る。光センサは、光拡散器によって生成される光の屈折率を監視し、プロセッサは、少なくとも1つの光センサによって測定される光の屈折率に基づいて、車両の乗員のベースライン水分レベルを確立する。プロセッサは、ベースライン水分レベルからの逸脱が生じる場合に複数の車両動作のうちの少なくとも1つに対する調整を提供して、複数の車両動作のうちの少なくとも1つに関する調整は、ベースライン水分レベルからの逸脱に比例する。
【0005】
更に別の実施形態では、自律車両を動作させる方法が開示される。方法は、車両の内面に組み込まれた少なくとも1つのセンサを使用して車両の乗員の生理的パラメータを監視することを含み得る。方法は、少なくとも1つのセンサからのフィードバックに基づいて、車両の乗員の生理的パラメータについてベースラインを確立することを更に含み得る。一旦ベースラインが確立されると、方法は、ベースラインからの生理的パラメータの逸脱が少なくとも1つのセンサによって測定される場合に複数の車両動作のうちの少なくとも1つに対する調整を提供することであって、複数の車両動作のうちの少なくとも1つに関する調整は、ベースラインからの生理的パラメータの逸脱に比例する、ということを含み得る。
【0006】
本明細書に記載される実施形態によって提供されるこれらの特徴及び追加の特徴は、図面と併せて以下の詳細な説明を考慮すると、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図面に記載される実施形態は本質的に、実例的で例示的なものであって、特許請求の範囲によって定められる主題を限定することを意図したものではない。以下の図面と併せて読むと、実例的な実施形態の以下の詳細な説明を理解することができ、当該図面では、同様の構造は、同様の参照番号を用いて示される。
【0008】
図1】本明細書で示され記載される1つ以上の実施形態に係る、自律車両フィードバックシステムの様々な態様が実装され得る動作環境を概略的に描写する図である。
図2】本明細書で示され記載される1つ以上の実施形態に係る、図1の自律車両フィードバックシステムを含む車両の内側の斜視図である。
図3】本明細書で示され記載される1つ以上の実施形態に係る、図1の自律車両フィードバックシステムのステアリングホイールの正面図である。
図4】本明細書で示され記載される1つ以上の実施形態に係る、車両の運転者が図3のステアリングホイールを連動させている正面図である。
図5】本明細書で示され記載される1つ以上の実施形態に係る、自律車両を動作させる方法の実例的なフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載される実施形態は概して、自律車両フィードバックシステム及び自律車両を動作させる方法を対象とする。自律車両フィードバックシステムは、車両の動作の変更に対する車両の乗員の感情的反応を決定するカメラと、乗員の感情的反応の大きさを決定するように構成され得る、ステアリングホイールなどの車両の内面に組み込まれた少なくとも1つのセンサと、を含み得る。次いで、車両の動作は、乗員の感情的反応の大きさに基づいて自動的に調整され得る。
【0010】
本明細書に記載される自律車両フィードバックシステムは、車両の乗員、例えば、運転者の感情的反応(例えば、満足、悲しい、ニュートラルなど)を決定するために、車両の内部に位置するカメラを利用し得る。自律車両が動作するとき、カメラは更に、複数の車両動作のうちの少なくとも1つに対する自動変更から生じ得る、乗員の感情的反応に関する変化の発生を決定するように乗員を監視し得る。
【0011】
多くの車両フィードバックシステムは、運転者の感情的反応に基づいて複数の車両動作のうちの少なくとも1つを調整し得るが、当該システムは、快適でストレスフリーな運転体験を保証することはできない。例えば、標準的な車両フィードバックシステムは、運転者が車両の速度の自動増加に対してネガティブな反応をしたことをシステムが決定すると、車両のブレーキシステムを連動させ得る。しかしながら、運転者の感情的反応(例えば、ネガティブな反応)に基づいて複数の車両動作のうちの少なくとも1つを調整するだけでは、ネガティブな感情的反応を直ちに無くすことは保証されない。例えば、フィードバックシステムは、運転者が車両の速度の増加に対してネガティブな反応をすると、車両のブレーキシステムを連動させ得るが、フィードバックシステムは、運転者をニュートラル及び/又は満足である感情状態に戻すために充分な車両の減速を行わない場合がある。
【0012】
本明細書で提供される「自律」という用語は、直接的なユーザ制御を伴わずに動作することができるデバイス(例えば、車両など)として定められ得る。本開示の目的に関して、「自律」という用語は、任意の自律レベルを有する車両を包含し得ることを理解されたい。例えば、「自律」という用語は、完全な自律(例えば、自動運転)車両又は最小限の自律を伴う同様の車両(例えば、クルーズコントロールを伴う車両など)を包含し得る。
【0013】
本明細書に記載される自律車両フィードバックシステムは、運転者の感情的反応の大きさを決定するために光拡散器などの拡散器及び複数のセンサを更に利用することによってこれらの問題を無くし得る。例えば、カメラが、車両の乗員の一般的な感情的反応(例えば、満足、悲しい、ニュートラルなど)を決定したら、拡散器及び複数のセンサは、ユーザの感情的反応の大きさを決定するために乗員の生理的パラメータを追跡し得る。これらの実施形態では、感情的反応の大きさは、確立されるベースラインパラメータからの生理的パラメータの変動を追跡することによって決定され得る。一般的な感情的反応に加えて感情的反応の大きさを決定することによって、自律車両フィードバックシステムは、複数の車両動作のうちの少なくとも1つにおける変更が車両の乗員に関する感情的反応の大きさに比例することを保証し、それによって、快適で楽しめる運転体験を保証し得る。
【0014】
ここで、自律車両フィードバックシステム及び自律車両を動作させる方法の様々な実施形態が本明細書に記載される。同じ部分又は同様の部分を指すために、可能な限り、図面全体を通じて同じ参照番号を使用する。
【0015】
ここで、図1を参照すると、自律車両フィードバックシステム100についての動作環境が描写されている。図1の例示的な実施形態で描写されているように、フィードバックシステム100は、車両の乗員に関連する重要な運転データ及び他の生理的データを収集し、当該データをリアルタイムで処理して、乗員の生理的データに基づいて複数の車両動作のうちの少なくとも1つを調整し得る。これらの実施形態では、フィードバックシステム100は、本明細書で更に詳細に記載されるように、フィードバックシステム100の動作全体を制御するプロセッサ103と、RAM105、ROM107、入力/出力構成要素109、及びメモリ115を含み得る、プロセッサ103に関連付けられる構成要素と、を有し得る。更に、フィードバックシステム100は、バッテリによって、又は車両の電気システムによって電力供給され得ることに留意されたい。フィードバックシステム100はまた、必要な場合にバッテリの再充電を可能にするための充電ポート又は無線充電システムを含み得る。
【0016】
これらの実施形態では、I/O109は、車両の乗員に関連する生理的データを取得し得る、マイク、キーパッド、タッチスクリーン、カメラ、又は他のセンサなどの少なくとも1つのデータ収集デバイスを含み得、音声出力を提供するスピーカ、並びにテキスト出力、視聴覚出力、及び/又はグラフィカル出力を提供するビデオディスプレイデバイス又はグラフィカルユーザインターフェースのうちの1つ以上も含み得る。様々なI/O構成要素109は、図2図4を参照して本明細書で更に詳細に記載され得る。
【0017】
依然、図1を参照して、I/O109は、配線接続、例えば、USB、シリアルケーブル、パラレルケーブルなどを介して接続され得る。I/O109はまた、無線接続、例えば、Bluetooth(登録商標)、セルラ技術、又は他の同様の技術を介して接続され得る。ソフトウェア又はアプリケーションは、フィードバックシステム100が様々な機能を行うことを可能にするためにプロセッサ103に命令を提供するようにメモリ115及び/又はストレージ内に記憶され得る。例えば、メモリ115は、フィードバックシステム100によって使用されるソフトウェア、例えば、オペレーティングシステム117、アプリケーションプログラム119、及び関連付けられるデータベース121を記憶し得る。プロセッサ103及びそれに関連付けられる構成要素により、フィードバックシステム100は、車両の乗員に関する運転概要を生成して運転中における車両の乗員に関する運転データ、感情的反応、及び生理的データを分析するための一連のコンピュータ可読命令を実行することが可能であり得る。プロセッサ103により、更に、フィードバックシステム100は、I/O構成要素109によって取得される感情的反応及び生理的データに応じて複数の車両動作のうちの少なくとも1つを調整することが可能であり得る。更に、本開示の実例的な実施形態に係るフィードバックシステム100によって使用されるアプリケーションプログラム119は、運転者の運転データ及び生理的データの受信、検証、決定、及び分析に関連する機能を呼び出すコンピュータ実行可能命令を含み得る。
【0018】
ここで、図2を参照して、車両フィードバックシステム100は、車両101の運転者が運転中にフィードバックシステム100を見ることができるように、車両101の内面に取り付けられ得る。例えば、フィードバックシステム100は、車両101における任意の場所、例えば、ステアリングホイール102、フロントガラス、ダッシュボード、運転者側の窓、車両のアームレスト、又は車両における類似する任意の他の内面に取り付けられ得る。フィードバックシステム100はまた、参照番号100Aで示されるように、車両ダッシュボード内又は車両ダッシュボード上に組み込まれた構成要素又はディスプレイスクリーンであり得る。これらの実施形態では、フィードバックシステム100は、車両の乗員が、運転中における複数の車両動作のうちのいずれかにおける自動変更に対する自身の感情的反応を認識するように、I/O構成要素109によって取得される生理的データに関連する視覚表示を表示し得る。
【0019】
本明細書に記載されているように、フィードバックシステム100は、グラフィカルユーザインターフェース140と、プロセッサ103と、少なくとも1つのデータ収集デバイスと、を含み得る。図2に描写される実施形態では、少なくとも1つのデータ収集デバイスは、カメラ200などの複数のデータ収集デバイスと、車両101のステアリングホイール102に組み込まれた生理的データ検出アセンブリ300と、を含み得る。しかしながら、図2のフィードバックシステム100は、単なる例示のためであって、フィードバックシステム100は、本明細書に記載される車両101の内面のうちのいずれかに組み込まれ得ることを理解されたい。例えば、一部の実施形態では、車両101は、車両101が運転モードである間、車両101がステアリングホイール102を折り畳み位置に移動させ得るような自律車両であり得る。更にまた一部の実施形態では、車両101は、ステアリングホイール102を含まない場合がある。これらの実施形態では、フィードバックシステム100は必然的に、本明細書に記載される車両101の内面における別の面に組み込まれ得ることを理解されたい。
【0020】
依然、図2を参照して、カメラ200は、複数の車両動作のうちのいずれかが運転中に調整されるときに、車両の乗員の感情的反応を決定するように構成され得る。更に、生理的データ検出アセンブリ300は、図3及び図4を参照して本明細書で更に詳細に記載されるように、カメラ200によって取り込まれる感情的反応の大きさを決定するように構成され得る。これらの実施形態では、プロセッサ103は、カメラ200及び生理的データ検出アセンブリ300の両方に対して電気的に接続され得、その結果、プロセッサ103は、カメラ200及び生理的データ検出アセンブリ300によって取得される生理的データに応じて複数の車両動作のうちの少なくとも1つを調整し得る。
【0021】
これらの実施形態では、グラフィカルユーザインターフェース140は、車両動作及び車両動作に対する乗員の感情的反応を伝達するために使用され得る。車両の乗員と効果的に通信するために、グラフィカルユーザインターフェース140は、ダッシュボード上又はセンターコンソール内などの車両101内の便利な場所に配置され得る。グラフィカルユーザインターフェース140は、複数の車両動作に対する変更を車両101の乗員にリアルタイムに示し、更に、複数の車両動作の変更に対して乗員が行っている感情的反応の大きさを乗員に伝達し得る。更に、グラフィカルユーザインターフェース140は、車両101の動作に対して行われている任意の変更を伝達し得、その結果、乗員は、変更が生じる前に当該変更を認識する。これらの実施形態では、車両101の乗員が、フィードバックシステム100が車両の動作を変更することを望まない場合、乗員は、車両動作に対して提案される調整を手動でキャンセルし得る。更に、一部の実施形態では、グラフィカルユーザインターフェース140は任意であることに留意されたい。
【0022】
したがって、フィードバックシステム100はまた、車両の乗員が手動で、車両動作を調整するか又はフィードバックシステム100によって行われる変更を無効にすることを可能にする、ボタン又はタッチスクリーンなどのユーザ入力制御を含み得る。これは、本明細書でより詳細に記載されるように、フィードバックシステム100によって開始される調整を乗員が無効にすることを望む場合、又はフィードバックシステム100が、乗員の感情的反応を正確に決定できない場合に有用であり得る。
【0023】
図2で更に示されるように、カメラ200は、車両101において取り付けられており、車両101の乗員の顔に関する明確な視野を取り込むように位置し得る。これらの実施形態では、カメラ200は、乗員の顔の明確な視野を考慮した車両101における任意の場所、例えば、フロントガラス、ダッシュボード、運転者の窓、又は任意の他の場所に取り付けられ得る。更に、カメラ200は、図2に描写されるように、フィードバックシステム100のグラフィカルユーザインターフェース140内に組み込まれ得るか、そうでない場合には、車両101内に組み込まれ得ることに留意されたい。
【0024】
これらの実施形態では、カメラ200は、顔認識技術などの画像認識技術を使用して、乗員の顔の表情を分析し、分析された顔の表情に基づいて乗員の感情的反応を決定し得る。例えば、カメラ200は、複数の車両動作のうちの少なくとも1つに対する変更が、満足であるか、悲しいか、又はニュートラルである、車両101の乗員からの感情的反応をもたらすかどうかを決定するために使用され得る。
【0025】
本明細書に記載される実施形態では、複数の車両動作は、運転の行程の間にフィードバックシステム100によって自律的に調整され得る、車両速度、ルート、運転モード、温度、気流、オーディオコンテンツ、及びメッセージの表示若しくは通知、又は類似する任意の車両動作を含み得る。例えば、フィードバックシステム100は、交通状態及び/又は他のルートシミュレーションに基づいて、運転中に車両101の速度を自動的に調整し得る。車両速度が調整されるとき、カメラ200は、車両101の乗員の顔を連続的に監視して乗員の感情的反応を決定し得る。例えば、車両101の速度が増加するとき、乗員は、顔をしかめ得るか、又はストレス及び/若しくは不快についての類似する他のサインを示し得る。したがって、カメラ200は、乗員が車両101の速度の増加に対してネガティブな感情的反応をしたことを示し得、その時点で、フィードバックシステム100は、乗員を安心させるように車両101の速度を調整し得る。
【0026】
本明細書で述べられているように、フィードバックシステム100は、カメラ200によって決定される感情的反応のみに基づいて複数の車両動作のうちの少なくとも1つを調整しない場合があり、代わりに、フィードバックシステム100は更に、感情的反応の大きさを決定して、複数の車両動作のうちの少なくとも1つが調整されるべき程度を決定し得る。
【0027】
車両の乗員に関する感情的反応の大きさを決定するために、フィードバックシステム100は更に、図3に描写されるように、生理的データ検出アセンブリ300を利用し得る。これらの実施形態では、生理的データ検出アセンブリ300は、車両のステアリングホイール302内に組み込まれ得、その結果、生理的データ検出アセンブリ300は、車両の乗員の生理的パラメータを検出することができる。生理的パラメータは、車両乗員の感情的反応の大きさを決定するために使用され得る任意の生理的パラメータであって、肌の水分レベル(例えば、汗)、心拍数、呼吸数、体温、脳活動、又は類似する任意のパラメータを含み得る。
【0028】
本明細書に示される生理的データ検出アセンブリ300は、車両のステアリングホイールに組み込まれているものとして描写されているが、生理的データ検出アセンブリ300は、本開示の範囲から逸脱することなく、車両内の任意の場所に位置し得ることを理解されたい。例えば、車両が完全な自律車両である実施形態では、車両は、ステアリングホイールを備えない場合がある。したがって、これらの実施形態では、生理的データ検出アセンブリ300は、本開示の範囲から逸脱することなく、ダッシュボード、ミラー、シート、アームレスト、又は車両における類似する任意の他の構成要素内に組み込まれ得る。
【0029】
図3に描写される実施形態では、生理的データ検出アセンブリ300によって測定される生理的パラメータは、車両の乗員に関する肌の水分レベルであり得る。これらの実施形態では、複数の車両動作のうちの少なくとも1つがフィードバックシステム100によって調整されるとき、生理的データ検出アセンブリ300は、車両101の乗員に関する肌の水分レベルの変化を監視して、乗員の感情的反応の大きさを測定し得る。
【0030】
車両の乗員に関する肌の水分レベルを測定するために、生理的データ検出アセンブリ300は、ライトパイプ又は導波路などの光拡散器304と、光センサなどの少なくとも1つのセンサ306と、を含み得る。これらの実施形態では、光拡散器304は、車両のステアリングホイール302内に組み込まれ得、その結果、光拡散器304は、乗員がステアリングホイール302を握っているときに乗員の手と接触した状態となり得る。光拡散器304は、光拡散器304と車両乗員の手との間で光が通過するのを可能にする、透明な又は透光性の材料を含み得る。
【0031】
ここで、図3及び図4を参照して、少なくとも1つのセンサ306は、ステアリングホイール302上に配置されており、光拡散器304を通過する光の屈折率を測定するために使用される。光の屈折率は、光が光拡散器304を通過するときにどれくらい光が屈折するかに関する指標であって、これは、光拡散器304、次いで、車両の乗員の手に存在する水分含有量によって影響を受ける。例えば、光拡散器304における水分含有量が増加すると、光拡散器304を通過している光の屈折率も増加する。同様に、光拡散器304における水分含有量が減少すると、光拡散器304を通過している光の屈折率も減少する。
【0032】
車両の乗員に関する感情的反応の大きさを決定するために、生理的データ検出アセンブリ300は、生理的パラメータについてのベースラインを確立して、ベースラインからの変動が生じるときを決定するために生理的パラメータを連続的に測定し得る。これらの実施形態では、生理的パラメータの変動は、車両の乗員に関する感情的反応の強度(例えば、大きさ)に対応し得る。例えば、少なくとも1つのセンサ306が、確立されたベースラインからの生理的パラメータの著しい変動を測定する場合、これは、車両の乗員が車両動作の変更に対して強い感情的反応を経験していることを示し得る。逆に、ベースラインからの最小限の逸脱は、無視できる感情的反応を示し得る。
【0033】
これらの実施形態では、ベースラインの生理的パラメータは、様々な方法で確立され得る。例えば、生理的データ検出アセンブリ300は、生理的パラメータについてのベースラインを確立するのに必要な所定の期間、生理的パラメータを監視し得る。これらの実施形態では、生理的パラメータについての新しいベースラインは、車両乗員が車両を利用する度に生成され得る。他の実施形態では、一旦、生理的パラメータについてのベースラインが決定されると、車両の乗員は、ユーザプロファイルに対するベースラインを保存し得、これは、フィードバックシステム100のメモリ115内に記憶され得る。したがって、車両乗員が車両を利用する度に、特定のユーザプロファイルに関連付けられる生理的パラメータのベースラインは、フィードバックシステム100にロードされ得、生理的パラメータの変動は、記憶されたベースラインに基づいて決定され得る。
【0034】
図1図4をまとめて参照して、一旦、ベースラインの生理的パラメータが確立されると、フィードバックシステム100は、少なくとも1つのセンサ306を利用して、光拡散器304を通過している光の屈折率を連続的に測定し、測定された生理的パラメータをベースラインと比較し得る。測定された屈折率がベースラインを超えると、フィードバックシステム100は、車両乗員が、車両動作の自動変更に対して強い反応を示していることを決定し得、それに従って、複数の車両動作のうちの少なくとも1つを調整し得る。
【0035】
例えば、運転中に、フィードバックシステム100は、車両の運転モードを、よりアグレッシブ又はスポーティである設定に自動的に調整し得る。運転モードが調整されるとき、少なくとも1つのセンサ306は、光拡散器304を通過している光の屈折率の著しい増加を測定し得、これは、乗員の手における水分レベル(例えば、汗)が増加していることを示唆し得る。これらの実施形態では、フィードバックシステム100は、乗員が運転モードの変更に対して強い感情的反応を経験していると結論付けて、それに従って、運転モードを調整し得る。
【0036】
他方、少なくとも1つのセンサ306が、光拡散器304を通過している光の屈折率の変化が最小限であるか又は当該変化がないことを測定する場合、フィードバックシステムは、車両101の乗員が運転モードの変更に対して強い反応をしていないことを確認し得、これは、車両101の乗員が快適であって、運転モードの更なる変更が必要でないことを示し得る。
【0037】
これらの実施形態では、複数の車両動作のうちの少なくとも1つに関する調整は、車両の乗員に関する感情的反応の大きさの範囲に比例し得ることを更に理解されたい。例えば、少なくとも1つのセンサ306は、車両101の速度が増加するとき、光拡散器304を通過している光の屈折率の様々な変化を測定し得、これは、本明細書に記載されているように、車両101の乗員の感情的反応の強度に対応し得る。これらの実施形態では、光拡散器304を通過している光の屈折率における最小限の変化が測定されると、フィードバックシステム100は、車両の乗員を快適な感情状態に戻すために車両101の速度を最小限に調整し得る。対照的に、光拡散器304を通過している光の屈折率における著しい変化が測定される場合、フィードバックシステム100は、車両101の乗員の感情的反応を管理するために、速度を著しく調整し得るか、又は場合によっては車両101を停止させ得る。
【0038】
更に、生理的データ検出アセンブリ300は、乗員の生理的パラメータをリアルタイムで連続的に測定するため、フィードバックシステム100は、車両101の乗員が車両101にいる間に快適で安心したままであることを保証するために、複数の車両動作をリアルタイムで連続的に調整し得ることを理解されたい。一部の実施形態では、これは、車両の乗員をリラックスさせるために、複数の車両動作を同時に調整することを含み得る。例えば、車両101の速度の増加に応じて、強いネガティブな感情的反応がフィードバックシステム100によって測定される場合、フィードバックシステム100は同時に、車両101の速度を減少させ、車両101内の気流を増加させ、且つ車両101内の温度を減少させて、車両の乗員がより迅速にリラックスした状態になるのを助けるよう努め得る。
【0039】
これらの実施形態では、フィードバックシステム100は、メモリ115に記憶されるユーザプロファイルの一部として、複数の車両動作の各々における変更に関する乗員の感情的反応及び感情的反応の強度を記憶し得る。これにより、フィードバックシステム100は、車両101の特定の乗員に関する特にポジティブな及び/又はネガティブな感情的反応に関連付けられる車両動作の変更を追跡することが可能であり得る。例えば、車両101の特定の乗員は、車両101内の温度の減少に対してポジティブに反応し得る一方、他の乗員は、そうではなく、車両101内の温度の増加に対してポジティブに反応し得る。メモリ115に記憶されたユーザプロファイルにおける特定の車両乗員の感情的反応を追跡することによって、フィードバックシステム100は、生理的パラメータの逸脱が測定される場合に、車両の動作を調整して特定の乗員に適合するように構成され得る。
【0040】
(描写されていない)一部の実施形態では、フィードバックシステム100はまた、交通制御システム及び/又は緊急サービスなどの車両の外部の他のシステム及び/又はデバイスと通信するように構成され得る。これらの実施形態では、少なくとも1つのセンサによって測定される生理的パラメータが、ベースラインから著しく逸脱しすぎる(例えば、高レベルのストレス及び/又は不安を示す)場合、フィードバックシステムは、緊急サービス又は指定の緊急連絡先にメッセージを送信して支援を要求し得る。
【0041】
再び図1図4を参照して、更に、車両101の乗員の生理的パラメータにおける変化は、車両101の動作の変更ではなく広告に応じて測定され得ることに留意されたい。これらの実施形態では、広告は、車両101内のグラフィカルユーザインターフェース140上に表示され得る。様々な広告が表示されるため、生理的データ検出アセンブリ300及びカメラ200は、各広告に対する乗員の感情的反応の性質及び強度を決定するように協働し得る。これらの感情的反応は、車両の乗員についてのユーザプロファイルを生成するために収集されメモリ115を介して記憶され、プロセッサ103を使用して分析され得る。例えば、フィードバックシステム100は、以前にネガティブな及び/又は強いネガティブな感情的反応を引き出したものと同様の広告を無視しつつ、以前に乗員からポジティブな及び/又は強いポジティブな反応を引き出したものと同様の一連の広告を車両の乗員に示し得る。
【0042】
依然、図1図4を参照して、以上を考慮して理解されるべきであるように、生理的データ検出の動作は、車両乗員がステアリングホイール302との自身の手の連動を維持することに依存し得る。例えば、車両乗員が自身の手をステアリングホイール302から離す場合、ステアリングホイール302に組み込まれた少なくとも1つのセンサ306によって取得されるデータは、乗員の生理的パラメータを正確に測定可能でない場合がある。この結果、プロセッサ103は、生理的パラメータの逸脱を監視することができなくなり得、これは、乗員に適合するように車両の動作を調整するフィードバックシステム100の能力に影響を与え得る。
【0043】
この問題に対処するために、フィードバックシステム100は、乗員が自身の手をステアリングホイール302から離したときを検出するための追加のセンサ又は機構を含み得る。フィードバックシステム100は、乗員が自身の手をステアリングホイール302から離したことを検出すると、車両101の適切な動作を保証するように適切な動作を行い得る。これは、自律運転モードの解除及び乗員への車両101の制御の移行、車両101の減速、又は車両101のハザードランプの作動を含み得る。同様に、フィードバックシステム100は、乗員が自身の手をステアリングホイール302に戻さない場合、車両の動作に対する変更が生じ得ることを示す警告をグラフィカルユーザインターフェース140上に表示し得る。
【0044】
依然、図1図4を参照して、複数の車両乗員が同時に自身の手をステアリングホイール302に置く事例において、類似する問題が生じ得る。例えば、複数の乗員が自身の手をステアリングホイール302に置く場合、ステアリングホイール302に組み込まれた少なくとも1つのセンサ306は、複数の乗員に関連付けられる生理的パラメータを同時に測定し得る。この結果、プロセッサ103は、矛盾しているか又は不整合のデータを少なくとも1つのセンサ306から受信している場合があるため、プロセッサ103は、生理的パラメータの逸脱を正確に監視することができなくなり得る。
【0045】
この問題に対処するために、フィードバックシステムは、ステアリングホイール302に触れている複数の乗員を区別するための追加のセンサ又は機構を更に含み得る。例えば、フィードバックシステム100は、複数の人の存在及び生理的状態を検出するために車両のシート又は他のエリアに追加のセンサを含み得るか、又はフィードバックシステム100は、複数の人を区別するために音声認識などの他の入力方法を利用し得る。代替的に、フィードバックシステム100は、他の乗員よりも、ある乗員からのデータを優先するように構成され得る。例えば、フィードバックシステムは、他の乗客よりも運転者から測定される生理的パラメータを優先するか、又は少なくとも1つのセンサ306に最も近い手の乗員からのデータを優先するようにプログラムされ得る。
【0046】
本明細書に記載される自律車両フィードバックシステム100は、車両の乗員の感情的反応を監視し、それに従って、車両の動作を調整するために使用され得る例示的なシステムであることに留意することが重要である。本明細書に記載されているように、生理的パラメータを測定するために、様々な他のセンサ及び入力方法が使用されてもよく、それに応じて、多種多様な車両動作が、本開示の範囲から逸脱することなく調整されてもよい。
【0047】
例えば、測定され得る他の生理的パラメータは、肌の水分レベルに加えて、心拍数、呼吸数、体温、又は脳活動を含む。心拍数モニタ、温度センサ、又は脳波記録(EEG)センサなどのセンサは、これらの生理的パラメータを測定するために使用され得る。
【0048】
更に、車両の速度又はルートの調整に加えて、フィードバックシステムは、生理的パラメータの逸脱に応じて、車両の動作の他の態様を調整し得る。例えば、フィードバックシステムは、乗員が車両に対して有する自動化のレベル若しくは制御のレベルを調整し得るか、又はフィードバックシステムは、乗員の快適性若しくは安全性を改善するように車両の操縦若しくは安定性を調整し得る。
【0049】
したがって、本明細書に記載される自律車両フィードバックシステム100は本質的に例示的なものであることを理解されたい。上記に示されるように、他のセンサ、入力方法、及び車両動作は、本開示から逸脱することなく、乗員の感情的反応を効果的に監視して、車両の快適性、安全性、及び効率を改善するように車両の動作を調整するシステムを作成するために利用され得る。
【0050】
ここで、図5を参照すると、車両を動作させる実例的な方法500が描写されている。例示のために、車両を動作させる方法500は、図1図4を参照して本明細書に記載されているフィードバックシステム100(例えば、乗員の生理的パラメータを決定するために乗員の肌の水分を測定するシステム)を参照して記載され得る。しかしながら、類似する方法が、本開示の範囲から逸脱することなく、生理的パラメータを測定する他の手段を利用したフィードバックシステムで実装され得ることを理解されたい。
【0051】
ブロック510に描写されるように、図5に描写される方法は最初に、車両の乗員が自身の手を車両のステアリングホイールに置いて、自律車両フィードバックシステムを開始することを含み得る。これらの実施形態では、自律車両フィードバックシステムは、車両の動作サイクル中における複数の車両動作のうちの少なくとも1つに対する変更の結果として、乗員の感情的反応及び当該感情的反応の強度を測定するために使用され得る、カメラ及び生理的データ検出アセンブリを含み得る。
【0052】
これらの実施形態では、生理的データ検出アセンブリは、車両のステアリングホイールに組み込まれ得る少なくとも1つのセンサを含み得る。これらの実施形態では、少なくとも1つのセンサは、車両の乗員の生理的パラメータを測定するように構成され得る。一旦、少なくとも1つのセンサが、乗員の生理的パラメータを読み取ることができると、方法は、ブロック520に移動し得、ブロック520は、センサからのフィードバックに基づいて、車両の乗員の生理的パラメータについてベースラインを確立することを含み得る。
【0053】
ブロック530に示されるように、一旦、ベースラインが確立されると、方法は、車両の乗員の生理的パラメータを監視することを更に含み得る。本明細書で詳細に記載されているように、生理的パラメータは、車両の乗員の手とステアリングホイールとの間の接触を通じて少なくとも1つのセンサにより測定され得る。少なくとも1つのセンサは、車両の乗員の生理的パラメータをリアルタイムで監視し続け得、生理的パラメータがベースラインから逸脱する場合に複数の車両動作のうちの少なくとも1つを調整し得る。
【0054】
特定の実施形態では、本明細書に記載されているように、監視される車両の乗員の生理的パラメータは、車両の乗員の手に存在する水分レベルであり得る。これらの実施形態では、生理的データ検出アセンブリは、ステアリングホイールに組み込まれた光拡散器を更に含み得、当該光拡散器は、光の屈折率を生成するために、拡散器を通過する光を散乱させ得る。次いで、水分レベルが光の屈折率に影響を与え得るため、車両の乗員の手に関する水分レベルを決定するために、少なくとも1つのセンサによって光の指標が測定され得る。したがって、本明細書に記載される特定の実施形態では、方法は、ステアリングホイール内に組み込まれた光拡散器を通じて光を通すことと、少なくとも1つのセンサを使用して光拡散器を通過している光の屈折率を監視することと、を更に含み得る。これらの実施形態では、少なくとも1つのセンサは、光拡散器によって生成される光の屈折率を測定する光センサであり得ることを更に理解されたい。
【0055】
依然、図5を参照して、ブロック540に示されるように、方法は、車両の動作に関連する車両の乗員からの感情的反応を決定するために、カメラを使用して乗員の顔画像を取り込むことを更に含み得る。例えば、顔認識ソフトウェアは、乗員が車両の現在の動作に対して、満足、混乱、又はニュートラルに感じるかどうかを決定するために使用され得る。
【0056】
更に、ブロック530及び540の方法ステップは同時に行われ得ることを理解されたい。すなわち、方法は、車両の乗員からの感情的反応を決定するためにカメラを利用することと、ベースラインからの逸脱を識別して感情的反応の大きさを決定するために乗員の生理的パラメータを測定することと、を同時に含み得る。例えば、一部の実施形態では、カメラは、乗員が、車両の動作に関して不満足であるという顔表示を示していることを決定し得る。これらの実施形態では、少なくとも1つのセンサによって測定されるベースラインからの生理的パラメータの逸脱は、乗員が経験する感情的反応の強度を示し得る。例えば、本明細書に記載されるように、ベースラインから著しく逸脱する生理的パラメータの測定値は、乗員による強いネガティブな感情的反応を示し得る。対照的に、ベースラインからわずかに逸脱する生理的パラメータの測定値は、乗員による比較的小さい感情的反応に対応し得る。
【0057】
依然、図5を参照して、ブロック550に描写されるように、方法は、ベースラインからの生理的パラメータの逸脱に応じて車両の動作を調整することを更に含み得る。一部の実施形態では、生理的パラメータの調整は、ベースラインからの生理的パラメータの逸脱が所定の閾値を満たすか又は所定の閾値を超える場合にのみ実装され得る。しかしながら、他の実施形態では、方法は、複数の車両動作のうちの少なくとも1つに関する調整がベースラインからの生理的パラメータの逸脱に比例するように、ベースラインからの生理的パラメータに関する任意の逸脱に応じて車両の動作をリアルタイムで調整することを含み得る。例えば、これらの実施形態では、ベースラインからの生理的パラメータに関するより大きい逸脱は、車両の動作に対するより強烈な調整に対応し得る。
【0058】
上記から、自律車両フィードバックシステム及び自律車両を動作させる方法が本明細書で定められることを理解されたい。具体的には、本明細書に開示される自律車両フィードバックシステムは、自律車両のステアリングホイールに組み込まれた少なくとも1つのセンサと、センサに対して電気的に接続されたプロセッサと、を含み得る。プロセッサは、少なくとも1つのセンサからのフィードバックに基づいて、車両の乗員の生理的パラメータについてベースラインを確立し得、複数の車両動作のうちの少なくとも1つに関する調整がベースラインからの生理的パラメータの逸脱に比例するように、生理的パラメータがベースラインから逸脱する場合に複数の車両動作のうちの少なくとも1つを調整し得る。更に、自律車両フィードバックシステムは、自律車両内に位置するカメラを含み得、カメラは、複数の車両動作のうちの少なくとも1つにおける変更に対する車両の乗員の感情的反応を決定するように構成されている。これらの実施形態では、カメラは、複数の車両動作のうちの少なくとも1つにおける変更に対する乗員の感情的反応(例えば、満足、悲しい、ニュートラル)を示し得る一方、ベースラインからの生理的パラメータの逸脱は、カメラによって取り込まれる感情的反応の強度に対応し得る。
【0059】
ここで、本開示の実施形態は、車両の乗員の生理的パラメータを監視して、ベースラインと比較した生理的パラメータの逸脱に応じて、当該逸脱に比例して複数の車両動作のうちの少なくとも1つを調整する、自律車両フィードバックシステムを対象とすることを理解されたい。このような自律車両フィードバックシステムは、最近の車両における車両動作を調整する、よりパーソナライズされて応答性に優れた方法を提供することによって、自律車両における乗員の安全性及び快適性を改善し得る。
【0060】
「実質的」及び「約」という用語は、任意の定量的な比較、値、測定、又は他の表現に起因し得る、内在する不確実性の程度を表すために本明細書で利用され得ることに留意されたい。これらの用語はまた、定量的な表現が、問題となる主題の基本的な機能の変化をもたらすことなく、述べられた基準から変わり得る程度を表すために本明細書で利用される。
【0061】
特定の実施形態が本明細書で説明及び記載されているが、様々な他の変更及び修正が、請求された主題の範囲から逸脱することなく行われ得ることを理解されたい。更に、請求された主題の様々な態様が本明細書に記載されているが、このような態様は、組み合わされて利用される必要はない。したがって、添付の特許請求の範囲は、請求された主題の範囲内にある全てのこのような変更及び修正を包含することが意図される。
【0062】
請求された主題の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される実施形態に対して様々な修正及び変形がなされ得ることが当業者に明らかであろう。したがって、本明細書は、このような修正及び変形が添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内で生じるならば、本明細書に記載される様々な実施形態の修正及び変形を包含することが意図される。
【0063】
〔例1〕
自律車両フィードバックシステムであって、
車両の内面に組み込まれた少なくとも1つのセンサと、
前記少なくとも1つのセンサに対して電気的に接続されたプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、前記少なくとも1つのセンサからのフィードバックに基づいて、前記車両の乗員の生理的パラメータについてベースラインを確立し、前記ベースラインと比較して前記生理的パラメータが逸脱する場合に複数の車両動作のうちの少なくとも1つに対する調整を提供して、前記複数の車両動作のうちの前記少なくとも1つの前記調整は、前記ベースラインからの前記生理的パラメータの前記逸脱に比例する、自律車両フィードバックシステム。
〔例2〕
前記乗員の前記生理的パラメータは、水分レベルである、例1に記載の自律車両フィードバックシステム。
〔例3〕
前記複数の車両動作のうちの前記少なくとも1つは、車両速度、ルート、運転モード、温度、気流、オーディオコンテンツ、又はメッセージ表示のうちの1つ以上を含む、例1に記載の自律車両フィードバックシステム。
〔例4〕
前記車両内に位置するカメラを更に備え、前記カメラは、前記車両の前記乗員の感情的反応を決定するために使用される顔認識ソフトウェアを含み、前記感情的反応は、前記カメラによって決定され、前記少なくとも1つのセンサは、前記車両の前記乗員の前記生理的パラメータの前記逸脱を決定するために使用される、例1に記載の自律車両フィードバックシステム。
〔例5〕
ステアリングホイール内に組み込まれた光拡散器を更に備える、例1に記載の自律車両フィードバックシステム。
〔例6〕
前記少なくとも1つのセンサは、光センサである、例5に記載の自律車両フィードバックシステム。
〔例7〕
前記少なくとも1つのセンサは、前記光拡散器を通過している光の屈折率を監視する、例6に記載の自律車両フィードバックシステム。
〔例8〕
前記光センサは、前記生理的パラメータについて前記ベースラインを確立するために、前記乗員に関連付けられる水分レベルを表しているデータを前記プロセッサに提供する、例7に記載の自律車両フィードバックシステム。
〔例9〕
前記生理的パラメータを表しているデータを前記車両の前記乗員に伝達するグラフィカルユーザインターフェースを更に含む、例1に記載の自律車両フィードバックシステム。
〔例10〕
前記グラフィカルユーザインターフェースは、前記車両の前記乗員に広告を更に表示し、前記グラフィカルユーザインターフェースによって表示される前記広告は、前記ベースラインからの前記生理的パラメータの前記逸脱に基づいて決定される、例9に記載の自律車両フィードバックシステム。
〔例11〕
前記グラフィカルユーザインターフェースは、前記車両の前記乗員が前記複数の車両動作のうちの前記少なくとも1つを手動で制御することを可能にする手動入力を更に含む、例9に記載の自律車両フィードバックシステム。
〔例12〕
自律車両フィードバックシステムであって、
車両の内面に組み込まれた光拡散器と、
前記車両の前記内面に組み込まれた少なくとも1つの光センサと、
前記少なくとも1つの光センサに対して電気的に接続されたプロセッサと、
を備え、
前記光センサは、前記光拡散器に関連付けられる光の屈折率を監視し、前記プロセッサは、前記少なくとも1つの光センサによって測定される前記屈折率の変化に基づいて前記車両の乗員のベースライン水分レベルを確立し、前記プロセッサは、前記ベースライン水分レベルからの逸脱が生じる場合に複数の車両動作のうちの少なくとも1つに対する調整を提供して、前記複数の車両動作のうちの前記少なくとも1つの前記調整は、前記ベースライン水分レベルからの前記逸脱に比例する、自律車両フィードバックシステム。
〔例13〕
前記複数の車両動作は、車両速度、ルート、運転モード、温度、気流、オーディオコンテンツ、又はメッセージ表示のうちの1つ以上を含む、例12に記載の自律車両フィードバックシステム。
〔例14〕
自律車両を動作させる方法であって、
前記車両の内面に組み込まれた少なくとも1つのセンサを使用して車両の乗員の生理的パラメータを監視することと、
前記少なくとも1つのセンサからのフィードバックに基づいて、前記車両の前記乗員の前記生理的パラメータについてベースラインを確立することと、
前記ベースラインからの前記生理的パラメータの逸脱が前記少なくとも1つのセンサによって測定される場合に複数の車両動作のうちの少なくとも1つに対する調整を提供することであって、前記複数の車両動作のうちの前記少なくとも1つの前記調整は、前記ベースラインからの前記生理的パラメータの前記逸脱に比例する、ということと、
を含む、方法。
〔例15〕
前記少なくとも1つのセンサは、光センサである、例14に記載の方法。
〔例16〕
前記生理的パラメータを監視するステップは、
前記車両の前記内面に組み込まれた光拡散器を通じて光を通すことと、
前記光センサを使用して前記光拡散器を通過している光の屈折率を監視することと、
を更に含む、例15に記載の方法。
〔例17〕
前記生理的パラメータについて前記ベースラインを確立するステップは、
前記光拡散器を通過している前記光の屈折率を読み取って、前記生理的パラメータについて前記ベースラインを決定することを更に含む、例16に記載の方法。
〔例18〕
前記生理的パラメータは、水分レベルである、例14に記載の方法。
〔例19〕
前記複数の車両動作のうちの前記少なくとも1つは、車両速度、ルート、運転モード、温度、気流、オーディオコンテンツ、又はメッセージ表示のうちの1つ以上を含む、例14に記載の方法。
〔例20〕
前記車両の前記乗員に広告を表示することと、
前記広告に応じて前記乗員の前記生理的パラメータを監視することと、
前記ベースラインからの前記生理的パラメータの前記逸脱に基づいて、前記乗員に表示される前記広告を調整することと、
を更に含む、例19に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】