(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146850
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】複数のダイヤフラムを有するセンサ
(51)【国際特許分類】
G01L 9/00 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
G01L9/00 303P
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024050661
(22)【出願日】2024-03-27
(31)【優先権主張番号】18/193731
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518345815
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ソリューソンズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110004347
【氏名又は名称】弁理士法人大場国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド エリック ワグナー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンセント ウォング
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055BB05
2F055CC02
2F055DD01
2F055FF43
2F055GG25
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ハウジングを大きくすることなく、複数のダイヤフラムを有する圧力センサを提供する。
【解決手段】センサはハウジングを備え、ハウジングは、本体、複数のポート、および複数のキャビティを有する。ポートは、第1のポートと第2のポートとを含み、キャビティは、第1のポートに配置された第1のキャビティと、第2のポートに配置された第2のキャビティとを含む。センサは、第1のポートに配置されて第1のキャビティを閉塞する第1のダイヤフラムと、第2のポートに配置されて第2のキャビティを閉塞する第2のダイヤフラムとを備える。第1のダイヤフラムと第2のダイヤフラムとは、第1の平面で互いに同一平面上にある。センサは、第1のキャビティに配置された、薄膜を有するダイを備え、この薄膜は、第1のキャビティの第1の圧力と第2のキャビティの第2の圧力との差圧に従って撓むことが可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ(10)であって、
ハウジング(100)であり、本体(110)、前記本体(110)から延びる複数のポート(150)、および前記ハウジング(100)に配置された複数のキャビティ(160)を有し、前記ポート(150)は、第1のポート(152)と第2のポート(154)とを含み、前記キャビティ(160)は、前記第1のポート(152)に配置された第1のキャビティ(162)と、前記第2のポート(154)に配置された第2のキャビティ(164)とを含む、ハウジング(100)と、
複数のダイヤフラム(200)であり、前記第1のポート(152)に配置されて前記第1のキャビティ(162)を閉塞する第1のダイヤフラム(202)と、前記第2のポート(154)に配置されて前記第2のキャビティ(164)を閉塞する第2のダイヤフラム(204)とを含み、前記第1のダイヤフラム(202)と前記第2のダイヤフラム(204)とは、第1の平面(P1)で互いに同一平面上にある、ダイヤフラム(200)と、
前記第1のキャビティ(162)に配置された、薄膜(302)を有するダイ(300)であり、前記薄膜(302)は、前記第1のキャビティ(162)の第1の圧力(R1)と前記第2のキャビティ(164)の第2の圧力(R2)との差圧に従って撓むことが可能であり、前記ダイ(300)は、前記第1の平面(P1)に平行な第2の平面(P2)に沿って前記ハウジング(100)に取り付けられている、ダイ(300)とを備えた、
センサ(10)。
【請求項2】
前記本体(100)は、第1の面(112)と、前記第1の面(112)とは反対側の第2の面(114)と、前記第1の面(112)と前記第2の面(114)とを接続する複数の側壁(116)とを有し、前記ポート(150)は前記第1の面(112)から延びる、請求項1に記載のセンサ(10)。
【請求項3】
前記本体(110)は、前記本体(110)を通って延びる複数の通路(120)を有し、前記通路(120)は、前記側壁(116)のうちの1つを通って延びる主通路(122)を含む、請求項2に記載のセンサ(10)。
【請求項4】
前記通路(120)は、前記主通路(122)から延びる複数のキャビティ通路(130)を含み、前記キャビティ通路(130)は、前記主通路(122)を前記第1のキャビティ(162)に接続する第1のキャビティ通路(132)と、前記主通路(122)を前記第2のキャビティ(164)に接続する第2のキャビティ通路(134)とを含む、請求項3に記載のセンサ(10)。
【請求項5】
前記主通路(122)、前記キャビティ通路(130)、および前記キャビティ(160)に、油(500)が充填されている、請求項4に記載のセンサ(10)。
【請求項6】
前記ハウジング(100)は、前記側壁(116)のうちの前記1つにおいて前記主通路(122)の端部をシールする通路シール(600)を有する、請求項3に記載のセンサ(10)。
【請求項7】
前記主通路(122)は第1の主通路(124)であり、前記通路(120)は、前記側壁(116)のうちの前記1つを通って延びる第2の主通路(126)を含み、前記通路(120)は、前記第2の主通路(126)を前記第1のキャビティ(162)および前記第2のキャビティ(164)のうちの一方に接続する補助キャビティ通路(136)を含む、請求項4に記載のセンサ(10)。
【請求項8】
前記通路(120)は、前記第2の面(114)から前記第1のキャビティ(162)へ前記本体(110)を通って延びる複数のピン通路(140)を含む、請求項3に記載のセンサ(10)。
【請求項9】
前記ピン通路(140)に配置された複数のピン(400)をさらに備え、前記ピン(400)はそれぞれ、前記ハウジング(100)の外側に配置された第1の端部(402)と、前記第1のキャビティ(162)に配置された第2の端部(404)とを有し、前記ピン(400)の前記第2の端部(404)は、前記第1のキャビティ(162)の前記ダイ(300)に電気的に接続され、前記ピン(400)は、前記ピン通路(140)において前記ピン(400)の周りに配置されて前記ピン(400)を前記ハウジング(100)に対して気密にシールするピンシール(410)を有する、請求項8に記載のセンサ(10)。
【請求項10】
前記薄膜(302)は第1の薄膜(302)であり、前記ダイ(300)は、前記第1のキャビティ(162)の前記第1の圧力(R1)の絶対測定値に従って撓むことが可能な第2の薄膜(304)を有し、前記第2の薄膜(304)は、前記第1の薄膜(302)と単一部品で一体に形成されている、請求項1に記載のセンサ(10)。
【請求項11】
前記第1のキャビティ(162)に配置されて前記ダイ(300)に電気的に接続された集積回路(800)をさらに備える、請求項1に記載のセンサ(10)。
【請求項12】
前記ダイ(300)は第1のダイ(300)であり、前記薄膜(302)は第1の薄膜(302)であり、
前記センサ(10)は、前記第1のキャビティ(162)に配置された第2の薄膜(304)を有する第2のダイ(310)をさらに備え、前記第2の薄膜(304)は、前記第1のキャビティ(162)の前記第1の圧力(R1)の絶対測定値に従って撓むことが可能であり、前記第2のダイ(310)は、前記第2の平面(P2)に沿って前記ハウジング(100)に取り付けられている、請求項1に記載のセンサ(10)。
【請求項13】
前記本体(110)の前記第1の面(112)において前記ポート(150)の周りに配置されたハウジングシール(700)をさらに備え、前記ハウジングシール(700)は、エラストマー材料または金属材料である、請求項2に記載のセンサ(10)。
【請求項14】
前記ポート(150)は第3のポート(156)を含み、前記キャビティ(160)は、前記第3のポート(156)に配置された第3のキャビティ(166)を含み、前記ダイヤフラム(200)は、前記第3のポート(156)に配置されて前記第3のキャビティ(166)を閉塞する第3のダイヤフラム(206)を含み、前記第3のダイヤフラム(206)は、前記第1の平面(P1)で、前記第1のダイヤフラム(202)および前記第2のダイヤフラム(204)と同一平面上にある、請求項1に記載のセンサ(10)。
【請求項15】
前記ダイ(300)は第1のダイ(300)であり、前記薄膜(302)は第1の薄膜(302)であり、
前記センサ(10)は、前記第3のキャビティ(166)に配置された第2の薄膜(304)を有する第2のダイ(310)をさらに備え、前記第2の薄膜(304)は、前記第3のキャビティ(166)の前記第1の圧力(R1)の絶対測定値に従って撓むことが可能であり、前記第2のダイ(310)は、前記第2の平面(P2)に沿って前記ハウジング(100)に取り付けられている、請求項14に記載のセンサ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサに関し、より詳細には、複数のダイヤフラムを有するセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
圧力センサは、一般に、ハウジングと、ハウジングに取り付けられたダイヤフラムとを有する。油がハウジングの通路内に配置され、検出ダイが、ハウジングにおいて油の中に配置される。外圧がダイヤフラムに加えられると、ダイヤフラムは撓み、ダイを取り囲む油に外圧を伝達し、同じ外圧をダイに付与する。ダイは、外圧に従って撓んで、外圧を表す電気信号を発生させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の圧力センサは、一般に、2つの外圧をダイに伝達するための2つのダイヤフラムを有し、ダイが2つの外圧間の差圧を測定できるようにする。2つのダイヤフラムは、多くの場合、互いに軸方向に対向しているが、適切な圧力をダイに伝達するために、広い通路をハウジングに形成する必要がある。また、ダイヤフラムを軸方向に対向した配置で位置決めすることは、製造業者にとって困難で時間がかかる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
センサはハウジングを備え、ハウジングは、本体、複数のポート、および複数のキャビティを有する。ポートは、第1のポートと第2のポートとを含み、キャビティは、第1のポートに配置された第1のキャビティと、第2のポートに配置された第2のキャビティとを含む。センサは、第1のポートに配置されて第1のキャビティを閉塞する第1のダイヤフラムと、第2のポートに配置されて第2のキャビティを閉塞する第2のダイヤフラムとを備える。第1のダイヤフラムと第2のダイヤフラムとは、第1の平面で互いに同一平面上にある。センサは、第1のキャビティに配置された、薄膜を有するダイを備え、この薄膜は、第1のキャビティの第1の圧力と第2のキャビティの第2の圧力との差圧に従って撓むことが可能である。ダイは、第1の平面に平行な第2の平面に沿ってハウジングに取り付けられている。
【0005】
以下で、添付図面を参照しながら、本発明を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図3】別の実施形態によるセンサの断面斜視図である。
【
図4】別の実施形態によるセンサの断面斜視図である。
【
図5A】別の実施形態によるセンサの斜視図である。
【
図5B】別の実施形態によるセンサの斜視図である。
【
図6】別の実施形態によるセンサの断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下で、添付図面を参照しながら、本開示の例示的な実施形態について詳細に説明する。図中、同一の参照数字は同一の要素を指す。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されるものと解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が当業者に本開示の概念を伝えるように提供される。加えて、以下の詳細な説明では、説明の目的で、開示する実施形態の徹底的な理解をもたらすために、多数の具体的な詳細を記載する。しかしながら、これらの具体的な詳細がなくても1つまたは複数の実施形態を実施することもできることが明らかであろう。
【0008】
図面全体を通じて、図面を明確にするために、複数の同一の要素のうちの1つのみが図中で符号付けされることがあるが、本明細書の要素の詳細な説明は、図中に同一に現れる要素のそれぞれに同様に当てはまる。明細書全体を通じて、「高さ方向」、「深さ方向」、および「幅方向」などの方向の記述子が使用される。これらの記述子は、単に説明を明確にするため、および様々な方向を区別するためのものである。これらの方向の記述子は、開示する要素の特定の向きを示唆または要求するものではない。
【0009】
図1および
図2に示されている実施形態によるセンサ10が、ハウジング100と、ハウジング100に配置された複数のダイヤフラム200と、ハウジング100に配置されたダイ300と、ハウジング100を通って延びる複数のピン400とを含む。
【0010】
図1および
図2に示すように、ハウジング100は、第1の面112と第1の面112とは高さ方向Hに反対側の第2の面114とを有する本体110を含む。本体110は、第1の面112と第2の面114とを接続する複数の側壁116を有する。図示の実施形態において、側壁116は、本体110の略矩形の形状を形成する。他の実施形態において、本体110は、側壁116によって形成された異なる多角形形状を有することができる。
【0011】
図2に示すように、ハウジング100は、本体110を通って延びる複数の通路120を有する。通路120は、側壁116のうちの1つを通って高さ方向Hに対して垂直な幅方向Wに延びる主通路122を含む。主通路122は、本体110を部分的に通って延びる。
【0012】
通路120は、
図2に示す、主通路122から延びる複数のキャビティ通路130を含む。図示の実施形態において、キャビティ通路130は、主通路122に対して垂直な高さ方向Hに延びる。
図2に示す実施形態において、キャビティ通路130は、主通路122が入る側壁116とは反対側の主通路122の端部から延びる第1のキャビティ通路132と、第1のキャビティ通路132と主通路122が入る側壁116との間で主通路122から延びる第2の通路134とを含む。
【0013】
図2に示すように、通路120は、本体110を通って延びる複数のピン通路140を含む。ピン通路140は、第2の面114を通って高さ方向Hに延びる。図示の実施形態において、ピン通路140は、主通路122の端部に隣接して位置し、主通路122とは交差しない。
【0014】
図1および
図2に示すように、ハウジング100は、本体110から延びる複数のポート150を有する。図示の実施形態において、ポート150は、本体110の第1の面112から高さ方向Hに延びる第1の壁153を有する第1のポート152と、本体110の第1の面112から高さ方向Hに延びる第2の壁155を有する第2のポート154とを含む。図示の実施形態において、第1の壁153と第2の壁155とは、同一の広がりを有し、第1のポート152と第2のポート154との間に幅方向Wに単一の壁で形成されている。例えば
図3に示す別の実施形態において、第1の壁153と第2の壁155とは、本体110から突出する別個のポート152、154を画定するように、幅方向Wに沿って互いに分離されていてもよい。
【0015】
ハウジング100は、複数のキャビティ160を有する。
図2に示す実施形態において、キャビティ160は、第1のポート152に配置された第1のキャビティ162と、第2のポート154に配置された第2のキャビティ164とを含む。キャビティ160は、本体110内に延びる、ハウジング100の開口部である。第1のキャビティ通路132は、主通路122を第1のキャビティ162に接続し、第2のキャビティ通路134は、主通路122を第2のキャビティ164に接続する。図示の実施形態において、ピン通路140は、本体110の第2の面114から高さ方向Hに第1のキャビティ162内へ延びる。
【0016】
図示の実施形態において、ハウジング100は、金属材料から単一部品で一体に形成されている。別の実施形態において、ハウジング100を、複数の部品から形成し、互いに組み立てて、前述したハウジング100の要素を形成してもよい。他の実施形態において、ハウジング100を、金属以外の導電性材料から形成してもよく、または非導電性材料から形成してもよい。
【0017】
図1および
図2に示すように、ダイヤフラム200は、ハウジング100のポート150に配置されている。ダイヤフラム200はそれぞれ、弾性的に可撓性の材料から形成されている。ダイヤフラム200の弾性的に可撓性の材料は、ステンレス鋼などの薄い金属材料であってよく、または、より詳細に後述するように、力を伝達可能な他の導電性もしくは非導電性の可撓性材料であってよい。ダイヤフラム200は、平面の要素であってよく、または図示の実施形態のように、波形の断面形状を有していてもよい。
【0018】
図1および
図2に示す実施形態において、ダイヤフラム200は、第1のポート152に配置された第1のダイヤフラム202と、第2のポート154に配置された第2のダイヤフラム204とを含む。第1のダイヤフラム202は、第1のポート152の第1の壁153に取り付けられ、第1のキャビティ162を閉塞する。第2のダイヤフラム204は、第2のポート154の第2の壁155に取り付けられ、第2のキャビティ164を閉塞する。ダイヤフラム202、204を、溶接によって、または任意の他の形態の取付部によって、壁153、155に取り付けることができる。
図2に示すように、第1のダイヤフラム202と第2のダイヤフラム204とは、第1の平面P1において互いに同一平面上にある。
【0019】
図2に示すように、ダイ300は、第1のキャビティ162に配置され、ハウジング100の本体110に取り付けられている。ダイ300は、MEMS圧力センサであり、図示の実施形態において第1の薄膜302を有し、この第1の薄膜302は、その両側の圧力に従って弾性的に撓むことが可能である。ダイ300は、第1の平面P1に平行な第2の平面P2に沿って、ハウジング100に取り付けられている。
【0020】
図2に示すように、ピン400はそれぞれ、ピン通路140のうちの1つに配置され、ハウジング100の外側の第1の端部402から第1のキャビティ162に配置された反対側の第2の端部404へ延びる。ピン400は、ニッケルおよび/または金を含む金属合金などの導電性材料から形成されている。ピン400のそれぞれの第2の端部404は、ワイヤボンド420によって第1のキャビティ162のダイ300に電気的に接続されている。
【0021】
図2に示すように、ピン400はそれぞれ、ピン通路140においてピン400の周りに配置されたピンシール410を有する。ピンシール410は、ピン通路140において、ピン400をハウジング100に対して気密にシールする。実施形態において、ピンシール410はガラス材料であり、ハウジング100およびピン400とのガラス-金属結合を形成する。
【0022】
センサ10は、主通路122、キャビティ通路130、およびキャビティ160に油500が充填されている。油500は、ポート150に取り付けられたダイヤフラム200によってキャビティ160に保持されている。油500が主通路122、キャビティ通路130、およびキャビティ160に充填されると、
図2に示すように、通路シール600が、側壁116に隣接する主通路122の端部に位置決めされて、センサ10の油500を保持およびシールする。実施形態において、通路シール600はガラス材料であり、ハウジング100とのガラス-金属結合を形成する。他の実施形態において、油500の代わりに異なる非圧縮性液体を使用してもよい。
【0023】
センサ10を使用して圧力を測定する間、センサ10は、例えば、第1の圧力R1および第2の圧力R2を受ける。第1の圧力R1は、第1のポート152の第1のダイヤフラム202に作用する。第1のダイヤフラム202は、第1の圧力R1に比例して撓み、これに対応して、第1の圧力R1を第1のキャビティ162の油500に伝達する。第1のキャビティ162の油500は、第1の圧力R1を、ダイ300の第1の薄膜302の第1の側に付与する。第2の圧力R2は、第2のポート154の第2のダイヤフラム204に作用する。
第2のダイヤフラム204は、第2の圧力R2に比例して撓み、これに対応して、第2の圧力R2を第2のキャビティ164の油500に伝達する。第2のキャビティ164の油500は、主通路122およびキャビティ通路130に接続され、これらの領域122、130、164のそれぞれの油500は、第2のダイヤフラム204の撓みによって第2の圧力R2を受ける。第1のキャビティ通路132の油500は、第2の圧力R2を、ダイ300の第1の薄膜302の第2の側に付与する。
【0024】
図2に示す実施形態において、第1の薄膜302は、第1のキャビティ162の第1の圧力R1と第2のキャビティ164の第2の圧力R2との差圧に従って撓む。第1の薄膜302の撓みにより、第1の薄膜302の両側の差圧を表す電気信号を発生させる。電気信号は、ダイ300に接続されたピン400を介してセンサ10から外部に出力されてよい。
【0025】
別の実施形態によるセンサ10が、
図3および
図4に示されている。同一の参照符号は同一の要素を指し、ここでは主に、
図1および
図2に示すセンサ10の実施形態との違いを詳細に説明する。
【0026】
図3および
図4に示す実施形態において、ハウジング100は、第1の主通路124および第2の主通路126を含む一対の主通路122を有する。第1の主通路124および第2の主通路126はそれぞれ、本体110の側壁116のうちの同じ1つを通って幅方向Wに延び、本体110を部分的に通って延びる。第1の主通路124と第2の主通路126とは、互いに連通していない。主通路124、126は、幅方向Wおよび高さ方向Hに対して垂直な深さ方向Dに沿って分離されている。
【0027】
図4に示すように、第1のキャビティ通路132は、第1の主通路124を第1のキャビティ162に接続し、第2のキャビティ通路134は、第1の主通路124を第2のキャビティ164に接続する。
図3に示すように、補助キャビティ通路136が、第2の主通路126に対して垂直な高さ方向Hに延び、第2の主通路126を第1のキャビティ162に接続する。
【0028】
第1の主通路124と第2の主通路126との両方がハウジング100に存在することにより、主通路122、キャビティ通路130、およびキャビティ160に油500を充填するプロセスが容易になる。第1の主通路124および第2の主通路126のそれぞれを、
図1および
図2に示し、詳細に前述した通路シール600によってシールすることができる。
【0029】
図3の実施形態に示すように、センサ10のダイ300は、第1の薄膜302に加えて第2の薄膜304を有することができる。第2の薄膜304は、第1のキャビティ162の第1の圧力R1を受けるが、第2の薄膜304の反対側に作用する真空または所定の圧力を有し、第2の薄膜304が、第1のキャビティ162の第1の圧力R1の絶対測定値(絶対測定、an absolute measurement)に従って撓むようになっている。
図3に示す実施形態において、第2の薄膜304は、第1の薄膜302と単一部品で一体に形成されている。
【0030】
図4に示す実施形態において、センサ10は、本体110の第1の面112において、第1のポート152および第2のポート154の周りおよびそれらの間に配置されたハウジングシール700を有する。ハウジングシール700は、センサ10がポート150においてマニホルドなどの外部物体に取り付けられたときに、第1のポート152および第2のポート154を圧縮およびシールすることができる。ハウジングシール700は、弾性的に圧縮性であり、Oリングなどのエラストマー材料であってよく、または、Wリング、Cリング、Eリング、もしくは機械加工面と気密シールを形成することができる任意の種類のシール要素などの金属材料であってよい。
図4に示すハウジングシール700の向きは、例示的なものに過ぎず、用途に応じて他の向きが可能である。別の実施形態において、ハウジングシール700を省くことができ、第1のポート152および第2のポート154を、抵抗溶接または他の種類の溶接などによって外部物体に溶接することができる。
【0031】
他の実施形態によるセンサ10が、
図5Aおよび
図5Bに示されている。同一の参照符号は同一の要素を指し、ここでは主に、
図1および
図2に示すセンサ10の実施形態との違いを詳細に説明する。説明を容易にするために、
図5Aおよび
図5Bのセンサ10は、ダイヤフラム200なしで示されているが、図示の実施形態のセンサ10は、前述したように機能するダイヤフラム200を有する。
【0032】
図5Aの実施形態において、センサ10は、第1のキャビティ162に配置されてダイ300に電気的に接続された、特定用途向け集積回路(ASIC)などの集積回路800を有する。集積回路800は、ダイ300と同じ第2の平面P2に沿ってハウジング100に取り付けられている。図示の実施形態のダイ300は、第1の薄膜302と、第1の薄膜302と一体に形成された第2の薄膜304とを有するが、代わりに、差圧を測定する第1の薄膜302のみを有していても、本明細書に記載のダイ300の任意の他の実施形態であってもよい。集積回路800は、ダイ300から出力された電気信号を処理して、ダイ300によって検出された差圧および/または絶対圧力を判定する。集積回路800を油500の中でダイ300に近接して位置決めすることにより、信号処理が向上し、センサ10の製造が容易になる。
【0033】
図5Bの実施形態において、センサ10は、第1のキャビティ162に配置されたダイ300および集積回路800に加えて、第1のキャビティ162に配置されて集積回路800に電気的に接続された第2のダイ310も有する。本実施形態において、ダイ300は、第1のキャビティ162と第2のキャビティ164との間の差圧を測定する第1の薄膜302を有する第1のダイ300である。第2のダイ310は、第1のダイ300から分離された第2の薄膜304を有し、第1のキャビティ162の絶対圧力を測定する。第2のダイ310は、第1のダイ300および集積回路800と同じ第2の平面P2に沿ってハウジング100に取り付けられている。
【0034】
別の実施形態によるセンサ10が、
図6に示されている。同一の参照符号は同一の要素を指し、ここでは主に、
図1および
図2に示すセンサ10の実施形態との違いを詳細に説明する。
【0035】
図6の実施形態によるセンサ10において、ポート150は、本体110から延びる第3のポート156を含み、キャビティ160は、第3のポート156に配置された第3のキャビティ166を含む。第3のポート156は、本体110の第1の面112から高さ方向Hに延びる第3の壁157を有する。ダイヤフラム200は、第3のポート156に配置された第3のダイヤフラム206を含む。第3のダイヤフラム206は、第3のポート156の第3の壁157に、例えば溶接によって取り付けられ、第3のキャビティ166を閉塞する。第3のダイヤフラム206は、第1の平面P1で、第1のダイヤフラム202および第2のダイヤフラム204と同一平面上にある。
【0036】
図6に示すように、第1のキャビティ162に配置された第1のダイ300は、前述したように、第1の圧力R1と第2の圧力R2との差圧に従って撓むことが可能な第1の薄膜302を有する。センサ10は、第3のキャビティ166に配置されてハウジング100の本体110に取り付けられた第2のダイ310を備える。第2のダイ310は、第1のダイ300と同じ第2の平面P2に沿ってハウジング100に取り付けられている。
【0037】
図6に示すように、第2のダイ310は、第3のキャビティ166のみに晒され、第2のダイ310の側面まで延びる通路120を有していない。図示の実施形態において、第2のダイ310の第2の薄膜304は、第3のキャビティ166の第1の圧力R1の絶対測定値(絶対測定、an absolute measurement)に従って撓む。詳細に前述したように、第1のダイ300および第2のダイ310は、発生した圧力信号をピン400に沿って出力することができる。
【0038】
前述した様々な実施形態によるセンサ10において、ダイヤフラム200を第1の平面P1で互いに同一平面上に、かつダイ300の第2の平面P2に平行に位置決めすることにより、センサ10の製造可能性が向上する。ダイヤフラム200およびダイ300の配置も、ハウジング100内で通路120の広がりをより小さくすることができ、製造可能性をさらに向上させる。様々な実施形態によるポート150および実施形態で使用される様々なダイ300、310により、この配置において、様々な可能な差動測定、絶対測定、または差動測定および絶対測定の組合せ(差動測定値、絶対測定値、または差動測定値および絶対測定値の組合せ、differential, absolute, or combined differential and absolute measurements)が可能になり、集積回路800をポート150に位置決めすることにより、信号処理およびセンサ10の使用をさらに向上させることができる。
【外国語明細書】