(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146875
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】磁性デバイス埋め込み集積構造及びその作製方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20241004BHJP
H01L 25/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H05K3/46 Q
H01L25/00 B
H05K3/46 B
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024052753
(22)【出願日】2024-03-28
(31)【優先権主張番号】202310348997.9
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521133551
【氏名又は名称】ズハイ アクセス セミコンダクター シーオー.,エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】Zhuhai Access Semiconductor Co., Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 彩夏
(74)【代理人】
【識別番号】100231647
【弁理士】
【氏名又は名称】千種 美也子
(72)【発明者】
【氏名】シェンミン チェン
(72)【発明者】
【氏名】シャオウェイ シュウ
(72)【発明者】
【氏名】イェジ ホン
(72)【発明者】
【氏名】ベンシア ホアン
(72)【発明者】
【氏名】ガオ ホアン
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA12
5E316AA38
5E316AA43
5E316CC04
5E316CC08
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC32
5E316CC54
5E316DD02
5E316DD22
5E316EE31
5E316FF12
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG18
5E316GG22
5E316GG23
5E316GG28
5E316HH40
5E316JJ12
5E316JJ14
5E316JJ24
(57)【要約】 (修正有)
【課題】磁性デバイス埋め込み集積構造及びその作製方法を提供する。
【解決手段】磁性デバイス埋め込み集積構造は第1の絶縁層と、第1の絶縁層の第1の表面に設けられる第1の回路層と、それぞれ第1の絶縁層内に埋め込まれる素子及び磁性デバイスであって、且つ素子の端子及び磁性デバイスの電極はそれぞれ第1の回路層に接続される素子及び磁性デバイスと、第1の絶縁層の第2の表面に設けられ、第1の絶縁層を貫通する第1の導通ポストを介して第1の回路層に導電的に連通する第2の回路層と、を含み、ここで、素子の少なくとも1つの端子と磁性デバイスの少なくとも1つの電極とは、第1の回路層を介して導電的に連通する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層の第1の表面に設けられる第1の回路層と、
それぞれ前記第1の絶縁層内に埋め込まれる素子及び磁性デバイスであって、且つ前記素子の端子及び前記磁性デバイスの電極はそれぞれ前記第1の回路層に接続される素子及び磁性デバイスと、
前記第1の絶縁層の第2の表面に設けられ、前記第1の絶縁層を貫通する第1の導通ポストを介して前記第1の回路層に導電的に連通する第2の回路層と、を含み、
ここで、前記素子の少なくとも1つの端子と前記磁性デバイスの少なくとも1つの電極とは、前記第1の回路層を介して導電的に連通する、ことを特徴とする磁性デバイス埋め込み集積構造。
【請求項2】
第1の絶縁層は積層された第2の絶縁層及び第3の絶縁層を含み、前記第2の絶縁層及び前記第3の絶縁層の材料は同じ、又は異なる、ことを特徴とする請求項1に記載の磁性デバイス埋め込み集積構造。
【請求項3】
前記素子及び前記磁性デバイスの端子側に位置する第2の絶縁層の材料はガラス繊維を含む樹脂材料であり、前記素子及び前記磁性デバイスの背面に位置する第3の絶縁層の材料はガラス繊維を含まない樹脂材料である、ことを特徴とする請求項2に記載の磁性デバイス埋め込み集積構造。
【請求項4】
前記磁性デバイス素子はコイルを含み、ここで、前記コイルは前記第1の絶縁層の高さと垂直な方向に延在する、ことを特徴とする請求項1に記載の磁性デバイス埋め込み集積構造。
【請求項5】
前記磁性デバイスは磁性層をさらに含み、前記コイルは前記磁性層内に埋め込まれ、ここで、前記電極は前記コイルから垂直に延在して前記第1の回路層まで前記磁性層を貫通し、前記磁性デバイスは少なくとも2つの電極を含む、ことを特徴とする請求項4に記載の磁性デバイス埋め込み集積構造。
【請求項6】
それぞれ前記第1の回路層及び前記第2の回路層上に設けられる第4の絶縁層と、
それぞれ前記第4の絶縁層の2つの表面に設けられ、且つ前記第4の絶縁層を貫通する第2の導通ポストを介してそれぞれ前記第1の回路層及び前記第2の回路層に導電的に連通する第3の回路層と、をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の磁性デバイス埋め込み集積構造。
【請求項7】
前記第4の絶縁層上に設けられ、且つソルダーレジスト開口部を介して一部の前記第3の回路層を露出するソルダーレジスト層をさらに含む、ことを特徴とする請求項6に記載の磁性デバイス埋め込み集積構造。
【請求項8】
載置板を提供するステップ(a)と、
前記載置板上にコイル、前記コイル上の電極、第1の導通ポスト及び犠牲金属ブロックを形成するステップであって、前記コイルは前記載置板と平行に延在し、前記電極は前記コイルと垂直に延在するステップ(b)と、
シート状の磁性材料及び絶縁材料を積層圧着し、前記コイルを覆う第1の磁性層及び前記第1の磁性層を覆う第2の絶縁層を形成するステップであって、前記コイル及び電極は前記第2の絶縁層内に埋め込まれるステップ(c)と、
前記第2の絶縁層を薄化して前記電極、前記第1の導通ポスト及び前記犠牲金属ブロックを露出させるステップ(d)と、
前記載置板を除去し、露出した犠牲金属ブロックをエッチングして素子を埋め込むキャビティを形成するステップ(e)と、
前記第2の絶縁層の前記コイルが露出した表面に接着層を形成し、素子を前記キャビティ内に配置し、且つ前記接着層によって前記素子の端子を固定するステップ(f)と、
前記第2の絶縁層の第1の磁性層が露出した表面にシート状の磁性材料及び絶縁材料を積層圧着し、前記第1の磁性層上の第2の磁性層及び前記第2の磁性層上の第3の絶縁層を形成するステップ(g)と、
前記接着層を除去するステップ(h)と、
前記第2の絶縁層の表面に第1の回路層を形成し、前記第3の絶縁層の表面に第2の回路層を形成するステップであって、前記第1の導通ポストは前記第1の回路層と第2の回路層とを導通接続するために用いられるステップ(i)と、を含む、ことを特徴とする磁性デバイス埋め込み集積構造の作製方法。
【請求項9】
前記載置板は第1のシード層をさらに含み、ステップ(b)は具体的に、
前記第1のシード層上に第1のパターンを含む第1のフォトレジスト層を形成するステップ(b1)と、
前記第1のパターンをめっき充填し、前記コイル、一部の電極、一部の第1の導通ポスト及び一部の犠牲金属ブロックを形成するステップ(b2)と、
前記第1のフォトレジスト層上に第2のパターンを含む第2のフォトレジスト層を形成するステップ(b3)と、
前記第2のパターンをめっき充填し、前記電極、前記第1の導通ポスト及び前記犠牲金属ブロックを形成するステップ(b4)と、
前記第1のフォトレジスト層及び前記第2のフォトレジスト層を除去するステップ(b5)と、を含む、ことを特徴とする請求項8に記載の作製方法。
【請求項10】
前記コイルに少なくとも2つの電極が接続される、ことを特徴とする請求項8に記載の作製方法。
【請求項11】
前記第2の絶縁層の材料はガラス繊維を含む樹脂材料である、ことを特徴とする請求項8に記載の作製方法。
【請求項12】
前記載置板は積層された第1の金属層及び第2の金属層を含み、ステップ(e)は具体的に、
前記第2の絶縁層上に第3のフォトレジスト層を形成するステップ(e1)と、
前記第1の金属層と前記第2の金属層を分離するステップ(e2)と、
前記第2の絶縁層上に付着した金属層をエッチングして、前記コイル、前記電極、前記第1の導通ポスト、前記犠牲金属ブロック、前記第1の磁性層及び前記第2の絶縁層を露出させるステップ(e3)と、を含む、ことを特徴とする請求項8に記載の作製方法。
【請求項13】
前記第3の絶縁層の材料はガラス繊維を含まない樹脂材料である、ことを特徴とする請求項8に記載の作製方法。
【請求項14】
前記第1の回路層及び第2の回路層上にそれぞれ第4の絶縁層を積層圧着するステップ(j1)と、
前記第4の絶縁層を貫通する第2の導通ポストを形成するステップ(j2)と、
前記第4の絶縁層の2つの表面にそれぞれ第3の回路層を形成するステップであって、前記第3の回路層は上記第2の導通ポストを介してそれぞれ前記第1の回路層及び前記第2の回路層に導通接続されるステップ(j3)と、を含むステップ(j)をさらに含む、ことを特徴とする請求項8に記載の作製方法。
【請求項15】
前記第3の回路層上にソルダーレジスト層を形成し、ソルダーレジスト開口部を介して前記第3の回路層を露出させるステップ(k)をさらに含む、請求項14に記載の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は半導体技術の分野に関し、特に磁性デバイス埋め込み集積構造及びその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子技術の発展に伴い、電子製品は性能がますます高く要求され、サイズがますます小さく要求され、それにより電子製品のパッケージ基板及びパッケージ構造の高密度集積化、小型化は必然的な傾向であり、磁性素子のマイクロ化傾向は、電子部品の小型化、基板への埋め込み及びパッケージ基板集積プロセス技術の実現が本分野の将来発展の重点方向となることを推進する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに鑑みて、本開示は磁性デバイス埋め込み集積構造及びその作製方法を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的に基づき、第1の態様において、本開示は、
第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層の第1の表面に設けられる第1の回路層と、
それぞれ前記第1の絶縁層内に埋め込まれる素子及び磁性デバイスであって、且つ前記素子の端子及び前記磁性デバイスの電極はそれぞれ前記第1の回路層に接続される素子及び磁性デバイスと、
前記第1の絶縁層の第2の表面に設けられ、前記第1の絶縁層を貫通する第1の導通ポストを介して前記第1の回路層に導電的に連通する第2の回路層と、を含み、
ここで、前記素子の少なくとも1つの端子と前記磁性デバイスの少なくとも1つの電極とは、前記第1の回路層を介して導電的に連通する、磁性デバイス埋め込み集積構造を提供する。
【0005】
第2の態様において、本開示の実施例は、
載置板を提供するステップ(a)と、
前記載置板上にコイル、前記コイル上の電極、第1の導通ポスト及び犠牲金属ブロックを形成するステップであって、前記コイルは前記載置板と平行に延在し、前記電極は前記コイルと垂直に延在するステップ(b)と、
シート状の磁性材料及び絶縁材料を積層圧着し、前記コイルを覆う第1の磁性層及び前記第1の磁性層を覆う第2の絶縁層を形成するステップであって、前記コイル及び電極は前記第2の絶縁層内に埋め込まれるステップ(c)と、
前記第2の絶縁層を薄化して前記電極、前記第1の導通ポスト及び前記犠牲金属ブロックを露出させるステップ(d)と、
前記載置板を除去し、露出した犠牲金属ブロックをエッチングして素子を埋め込むキャビティを形成するステップ(e)と、
前記第2の絶縁層の前記コイルが露出した表面に接着層を形成し、素子を前記キャビティ内に配置し、且つ前記接着層によって前記素子の端子を固定するステップ(f)と、
前記第2の絶縁層の前記第1の磁性層が露出した表面にシート状の磁性材料及び絶縁材料を積層圧着し、前記第1の磁性層上の第2の磁性層及び前記第2の磁性層上の第3の絶縁層を形成するステップ(g)と、
前記接着層を除去するステップ(h)と、
前記第2の絶縁層の表面に第1の回路層を形成し、前記第3の絶縁層の表面に第2の回路層を形成するステップであって、前記第1の導通ポストは前記第1の回路層と第2の回路層とを導通接続するために用いられるステップ(i)と、を含む、磁性デバイス埋め込み集積構造の作製方法をさらに提供する。
【発明の効果】
【0006】
以上の説明から分かるように、本開示にて提供される磁性デバイス埋め込み集積構造及びその作製方法の技術的解決手段は、磁性デバイスと素子が同一の薄い絶縁層内に同期に埋め込まれたパッケージ基板集積構造を実現し、磁性デバイスと素子が同層に埋め込まれることを実現し、磁性デバイスを埋め込む埋め込み基板の厚さを大幅に縮小し、また、プロセスフローを簡略化し、製品の生産効率を向上させ、生産コストを低減し、磁性デバイス埋め込みパッケージ基板の微細な回路配線を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
以下、本開示又は関連技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、実施例又は関連技術において使用する必要がある図面を簡単に紹介し、明らかに、以下説明される図面は本開示の実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力をせず、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。図面において、よりよく理解し説明しやすくするために、いくつかの層及び領域の厚みを誇張して示してもよい。
【
図1(a)】本開示の一実施例に係る磁性デバイス埋め込み集積構造の作製方法の各ステップにおける中間構造の断面模式図。
【
図1(b)】本開示の一実施例に係る磁性デバイス埋め込み集積構造の作製方法の各ステップにおける中間構造の断面模式図。
【
図1(c)】本開示の一実施例に係る磁性デバイス埋め込み集積構造の作製方法の各ステップにおける中間構造の断面模式図。
【
図1(d)】本開示の一実施例に係る磁性デバイス埋め込み集積構造の作製方法の各ステップにおける中間構造の断面模式図。
【
図1(e)】本開示の一実施例に係る磁性デバイス埋め込み集積構造の作製方法の各ステップにおける中間構造の断面模式図。
【
図1(f)】本開示の一実施例に係る磁性デバイス埋め込み集積構造の作製方法の各ステップにおける中間構造の断面模式図。
【
図1(g)】本開示の一実施例に係る磁性デバイス埋め込み集積構造の作製方法の各ステップにおける中間構造の断面模式図。
【
図1(h)】本開示の一実施例に係る磁性デバイス埋め込み集積構造の作製方法の各ステップにおける中間構造の断面模式図。
【
図1(i)】本開示の一実施例に係る磁性デバイス埋め込み集積構造の作製方法の各ステップにおける中間構造の断面模式図。
【
図1(j)】本開示の一実施例に係る磁性デバイス埋め込み集積構造の作製方法の各ステップにおける中間構造の断面模式図。
【
図1(k)】本開示の一実施例に係る磁性デバイス埋め込み集積構造の作製方法の各ステップにおける中間構造の断面模式図。
【
図1(l)】本開示の一実施例に係る磁性デバイス埋め込み集積構造の作製方法の各ステップにおける中間構造の断面模式図。
【
図1(m)】本開示の一実施例に係る磁性デバイス埋め込み集積構造の作製方法の各ステップにおける中間構造の断面模式図。
【
図1(n)】本開示の一実施例に係る磁性デバイス埋め込み集積構造の作製方法の各ステップにおける中間構造の断面模式図。
【
図1(o)】本開示の一実施例に係る磁性デバイス埋め込み集積構造の作製方法の各ステップにおける中間構造の断面模式図。
【
図1(p)】本開示の一実施例に係る磁性デバイス埋め込み集積構造の作製方法の各ステップにおける中間構造の断面模式図。
【
図1(q)】本開示の一実施例に係る磁性デバイス埋め込み集積構造の作製方法の各ステップにおける中間構造の断面模式図。
【
図2】本開示の実施例にて提供される磁性デバイス埋め込み集積構造の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、具体的な実施例に合わせ、図面を参照して、本開示について一層詳細に説明する。
【0009】
なお、特に断りのない限り、本開示の実施例で使用される技術用語又は科学用語は本開示が属する技術分野の当業者に理解される一般的な意味である。本開示の実施例において使用される「第1」、「第2」及び類似の単語はいかなる順序、数量、又は重要度を表すものではなく、異なる構成部分を区別するためのものに過ぎない。「含む」又は「包含」といった単語は当該単語の前に出現する素子又は物品が当該単語の後に列挙される素子又は物品及びその同等物をカバーし、他の素子又は物品を排除しないことを意味する。「接続」又は「つながり」といった単語は物理的又は機械的な接続に限定されず、電気的な接続を含んでもよく、直接的にも間接的にもかかわらない。「上」、「下」、「左」、「右」などは相対的な位置関係を示すためにのみ用いられ、説明されるオブジェクトの絶対的な位置が変化すると、それに応じて相対的な位置関係も変化する。これらの用語は、用語の「すぐ後に」又は「直接的に」と共に使用されない限り、2つの部材の間に1つ以上の部材が位置してもよい。
【0010】
現在、製品小型化の発展傾向を満たすために、パッケージにおいて磁性デバイスは主に2種類に分けられる。1つは、一般的でよく見られている表面実装プロセスであり、磁性デバイスが大きく、パッケージ後の体積が大きいものであり、もう1つは、パッケージ基板の内部に埋め込まれ、パッケージ後の体積を減少できるものであり、これは、まず1つの磁性体と金属コイルとが一体化された磁性部品を作製し、単一のデバイスに分割し、さらにチップマウントの方式によりデバイスを基板又はパッケージ基板に予め残されたキャビティ内に貼り付け、ファンアウトパッケージを行うことを必要とし、製品マイクロ化の発展傾向を実現する。
【0011】
しかし、磁性材料と金属コイルとが一体化されたデバイスを作製し、スリットしてパッケージ基板への実装を行い、磁性デバイス埋め込み基板構造を実現することは、作製プロセスが長くて複雑であり、生産コストが高く、単一の磁性デバイスをパッケージ基板のキャビティ内に実装し、パッケージ、ファンアウト配線を行い、デバイスピンとパッケージ基板回路との接続に偏差が存在するため、パッケージ基板の微細な回路配線を実現することができない。
【0012】
これに鑑みて、本開示の実施例の第1の態様は磁性デバイス埋め込み集積構造の作製方法を提供する。
図1(a)~
図1(q)は本開示の一実施例に係る磁性デバイス埋め込み集積構造の作製方法の各ステップにおける中間構造の断面模式図を示す。
【0013】
前記作製方法は以下のステップ(a)~(i)を含む。
図1(a)に示すように、ステップ(a)において、載置板100を提供する。載置板100は第1のシード層101、第1の金属層102及び第2の金属層103を含む。任意選択的には、第1のシード層101の材料はチタンであり、第1の金属層102及び第2の金属層103の材料は銅である。
【0014】
任意選択的には、第1の金属層102と第2の金属層103は物理的に結合し、基板分割プロセス技術の実現に役立つ。
【0015】
なお、ここでは、第1のシード層101は省略して、必要な場合(例えばステップbの前)に堆積により形成されてもよく、本開示はこれについて限定しない。
【0016】
次に、
図1(b)~
図1(f)に示すように、ステップ(b)において、載置板100上にコイル201、電極202、第1の導通ポスト203及び犠牲金属ブロック204を形成する。
【0017】
以下、
図1(b)~
図1(f)に合わせて、ステップ(b)を例示的に説明する。具体的には、ステップ(b)は以下のステップ(b1)~(b5)を含む。まず、
図1(b)に示すように、(b1)において、第1のシード層101上に第1のパターンを含む第1のフォトレジスト層を形成する。ここで、第1のフォトレジスト層はフォトレジスト材料を塗布又は圧着し、露光、現像を経由して形成することができる。次に、
図1(c)に示すように、(b2)において、第1のパターンをめっき充填し、コイル201及び一部の電極、一部の第1の導通ポスト及び一部の犠牲金属ブロックを形成する。続いて、
図1(d)に示すように、(b3)において、第1のフォトレジスト層上に第2のパターンを含む第2のフォトレジスト層を形成し、ここで、第2のフォトレジスト層の形成方式は第1のフォトレジスト層と類似し、ここでは詳述しない。次に、
図1(e)に示すように、(b4)において、第2のパターンをめっき充填し、電極202、第1の導通ポスト203及び犠牲金属ブロック204を形成する。最後に、
図1(f)に示すように、(b5)において、第1のフォトレジスト及び第2のフォトレジストを除去し、コイル201、電極202、第1の導通ポスト203及び犠牲金属ブロック204を露出させることができる。
【0018】
なお、第1のパターンと第2のパターンは、第1のパターンがコイルパターンを含むことのみに違いがある。コイル201の厚さは電極202、第1の導通ポスト203及び犠牲金属ブロック204の高さより低く、そのため、第1のフォトレジスト層及び第2のフォトレジスト層を、2回に分けてめっきする方式を用いて対応する構造を形成することにより、磁性デバイスの製造及び素子を埋め込むキャビティの形成ステップを同時に行うことを可能にし、プロセスフローを短縮し、製品の生産効率を向上させ、生産コストを低減することに役立つ。
【0019】
また、コイル201は載置板100の高さと垂直な方向に延在し、すなわちコイル201は載置板の平面方向に沿って延在する。このような形態は、偏平構造を有する磁性デバイスの形成に役立ち、パッケージ構造の高さを効果的に低くし、パッケージ体積を小さくすることができる。また、コイル201は1回で形成され、階層的に複数回で形成されることを回避し、位置合わせを必要とせず、精確性がより高い。
【0020】
ここで、コイル201の巻き数、幅及び高さはいずれも実際の設計要件に応じて調整し設計することができ、ここでは限定しない。
【0021】
電極202は、一般的に、コイル201の表面から垂直に延在し、又は、コイル201に導通接続されて載置台100の表面から垂直に延在する。一般的に、コイル201は2つの電極202を有するが、コイル201は2つ以上の電極202を有してもよく、この場合には電極に合わせて磁性デバイスのコイル長さを調整することができ、それによりインダクタンスを調整することができる。
【0022】
一般的に、電極202、第1の導通ポスト203及び犠牲金属ブロック204は同じ高さを有する。
【0023】
続いて、
図1(g)~
図1(h)に示すように、ステップ(c)において、シート状の磁性材料及び絶縁材料を積層圧着し、第1の磁性層205a及び第2の絶縁層206aを形成する。ここで、コイル201及び一部の電極202は第1の磁性層205aに埋め込まれ、電極202は第1の磁性層205aを通り抜けて第2の絶縁層206aに入り込んでいる。ここで、まず、コイル201及び電極202を覆う位置にシート状の磁性材を固定し、次に、絶縁材を積層し、最後に、第1の磁性層205a及び第2の絶縁層206aを圧着形成する。
【0024】
任意選択的には、第2の絶縁層206aの材料はガラス繊維を含む樹脂材料であり、例えばPPである。ガラス繊維を含む樹脂材料を用いることは、製品の剛性を補強することに役立つ。
【0025】
次に、
図1(i)に示すように、ステップ(d)において、第2の絶縁層206aを薄化して電極202、第1の導通ポスト203及び犠牲金属ブロック204を露出させる。任意選択的には、薄化のプロセスは機械研磨、化学機械研磨又はプラズマによる薄化であってもよい。
【0026】
続いて、
図1(j)に示すように、ステップ(e)において、載置板100を除去し、コイル201、電極202、第1の導通ポスト203、犠牲金属ブロック204、第1の磁性層205a及び第2の絶縁層206aを露出させる。
【0027】
いくつかの実施例では、載置板100を除去するステップは具体的にステップ(e1)~(e3)を含む。
【0028】
(e1)において、第2の絶縁層上に第3のフォトレジスト層207を形成し、ここで、第3のフォトレジスト層は電極202、第1の導通ポスト203を保護し、それらが後続の金属層をエッチングする過程で破壊されることを回避することができる。
【0029】
任意選択的には、第3のフォトレジスト207は露光現像によって犠牲金属ブロック204を露出させ、後続の犠牲金属ブロック204の除去に直接用いることができる。
【0030】
(e2)において、第1の金属層102と第2の金属層103を分離する。
【0031】
(e3)において、第2の絶縁層206a上に付着した金属層、例えば第1の金属層102、及び第1のシード層101をエッチングして、コイル201、電極202、第1の導通ポスト203、犠牲金属ブロック204、第1の磁性層205a及び第2の絶縁層206aを露出させる。
【0032】
任意選択的には、第3のフォトレジスト207が犠牲金属ブロック204を露出させない場合、第3のフォトレジストを除去する必要がある。
【0033】
次に、
図1(k)に示すように、ステップ(f)において、第2の絶縁層206a上に犠牲金属ブロック204が露出した第4のフォトレジスト層を形成し、犠牲金属ブロック204をエッチングして部品を埋め込むキャビティ204bを形成し、第4のフォトレジスト層を除去する。
【0034】
なお、第3のフォトレジスト207は、露光現像によって犠牲金属ブロック204を露出させれば、第4のフォトレジストとすることができ、この場合に、第2の絶縁層206aの他方面に第4のフォトレジストを形成することのみを必要とし、そうでない場合に、コイルなどの構造を保護するように、第2の絶縁層206aの両面に第4のフォトレジスト層を形成することを必要とする。
【0035】
続いて、
図1(l)に示すように、ステップ(g)において、第2の絶縁層のコイル201が露出した表面に接着層300を形成し、素子208をキャビティ204b内に配置し、且つ素子208の端子を接着層300に接着固定する。ここで、接着層300は素子208を仮固定するために用いられる。
【0036】
ここで、素子208は能動素子(例えばトランジスタ、IC素子、論理回路素子、電力増幅器)、受動素子(コンデンサ、インダクタ、抵抗器)又はそれらの組み合わせであってもよい。素子208の数は1つに限定されない。
【0037】
次に、
図1(m)~
図1(n)に示すように、ステップ(h)において、第2の絶縁層206aの第1の磁性層205aが露出した表面にシート状の磁性材料及び絶縁材料を積層圧着し、第2の磁性層205b及び第3の絶縁層206bを形成し、ここで、第2の磁性層は第1の磁性層205aを覆う。ここで、第2の磁性層205b及び第3の絶縁層206bの形成方式は、第1の磁性層及び第2の絶縁層の形成方式と類似であり、重複する説明は省略する。
【0038】
第3の絶縁層の材料はガラス繊維を含まない樹脂材料であり、例えば液晶高分子ポリマー、BT(bismaleimide triazine)樹脂、半硬化プリプレグ(Prepreg)、ABF(Ajinomoto Build-up)フィルム、エポキシ樹脂(expoxy)及びポリイミド(polyimide)樹脂からなる群から選択される1つであるが、本開示はこれについて限定しない。
【0039】
ここで、マイクロインダクタ(mini-inductor)埋め込み基板一体構造200を圧着により形成する。ここで、第1の磁性層205a、第2の磁性層205b、コイル201及び電極202はマイクロインダクタを形成する。
【0040】
続いて、
図1(o)に示すように、ステップ(i)において、接着層300を除去する。
【0041】
磁性デバイス埋め込み及びパッケージ基板のプロセスフローを最適化し、2つの作製プロセスを統合し、一体化して製造して集積構造を形成することは、余分なプロセスステップを減少し、プロセスフローを短縮し、生産能力を向上させ、生産コストを低減することに有利である。
【0042】
次に、
図1(p)、
図1(q)に示すように、ステップ(j)において、第2の絶縁層206a及び第3の絶縁層206bの露出面に回路層を形成し、ここで、第1の導通ポスト203は回路層を接続するために用いられる。
【0043】
いくつかの実施例において、ステップ(j)は、
第3の絶縁層206bに孔を開けて、素子の背面及び第1の導通ポスト203を露出させるステップであって、レーザ開孔又は機械的開孔を用いることができ、具体的には限定しないステップ(j1)と、
第3の絶縁層206b及び第2の絶縁層206aの露出面に第2のシード層303を形成するステップ(j2)と、
第2のシード層303上に回路パターンを含む第5のフォトレジスト層を形成するステップ(j3)と、
回路パターンをめっき充填し、第2の絶縁層上に第1の回路層301を形成し、第3の絶縁層上に第2の回路層302を形成するステップ(j4)と、
第5のフォトレジスト層を除去するステップ(j5)と、
第2のシード層303をエッチングして、
図1(p)に示す構造を得るステップ(j6)と、を含む。
【0044】
任意選択的には、ステップ(j)は、
第1の回路層301及び第2の回路層302の両側に第4の絶縁層304を形成し、また、第4の絶縁層上に第3の回路層305を形成するステップをさらに含む。第3の回路層305と第1の回路層301、第2の回路層302との層間導通方式は第2の導通ポスト306、レーザ孔導通又は機械孔導通などを有してもよく、具体的には限定されない。
【0045】
最後に、
図1(q)に示すように、ステップ(k)において、第3の回路層305上にソルダーレジスト層307を形成し、ソルダーレジスト開口部により第3の回路層305を露出させる。
【0046】
このような技術的解決手段は、磁性体埋め込み・パッケージ基板集積構造は、磁性デバイス埋め込みとパッケージ基板との電気的接続の偏差を低減し、端子とパッケージ基板との微細な電気的接続を向上させ、磁性デバイス集積化パッケージ基板構造の微細な配線能力を向上させ、製品の歩留まりを効果的に向上させる。
【0047】
本開示の実施例は、前記作製方法により作製して得られる磁性デバイス埋め込み集積構造をさらに提供する。
図2に示すように、磁性デバイス埋め込み集積構造は、
任意選択的には、第2の絶縁層206a及び第3の絶縁層206bを含む第1の絶縁層206であって、第2の絶縁層206a及び第3の絶縁層206bの材料は同じ、又は異なる第1の絶縁層206と、
第1の絶縁層206の第1の表面に設けられる第1の回路層301と、
それぞれ第1の絶縁層206内に埋め込まれる素子208及び磁性デバイス200であって、且つ素子208の端子及び磁性デバイスの電極202はそれぞれ第1の回路層301に接続される素子208及び磁性デバイス200と、
第1の絶縁層206の第2の表面に設けられ、第1の絶縁層206を貫通する第1の導通ポストを介して第1の回路層301に連通する第2の回路層302と、を含み、ここで、素子208の少なくとも1つの端子と磁性デバイス200の少なくとも1つの電極202とは、第1の回路層301を介して導電的に連通する。
【0048】
任意選択的には、素子208及び磁性デバイスの端子側に位置する第2の絶縁層206aの材料はガラス繊維を含む樹脂材料であり、素子208及び磁性デバイスの背面に位置する第3の絶縁層206bの材料はガラス繊維を含まない樹脂材料である。第2の絶縁層206a及び第3の絶縁層206bの材料は前記作製方法の説明を参照することができ、重複する説明は省略する。
【0049】
いくつかの実施例では、磁性デバイス200はコイル201を含み、コイル201は第1の絶縁層206の高さと垂直な方向に延在する。
【0050】
いくつかの実施例では、磁性デバイス200は磁性層(例えば、第1の磁性層及び第2の磁性層)をさらに含み、コイル201は磁性層内に埋め込まれ、ここで、電極202はコイル201から垂直に延在して第1の回路層301まで磁性層を貫通し、磁性デバイス200は少なくとも2つの電極202を含む。
【0051】
いくつかの実施例では、磁性デバイス埋め込み集積構造は、
それぞれ第1の回路層301及び第2の回路層302上に設けられる第4の絶縁層304と、
それぞれ第4の絶縁層304上に設けられ、且つ第4の絶縁層304を貫通する第2の導通ポスト306を介してそれぞれ第1の回路層及び前記第2の回路層に連通する第3の回路層305と、をさらに含む。
【0052】
いくつかの実施例では、磁性デバイス埋め込み集積構造はソルダーレジスト開口部を介して第3の回路層305を露出させるソルダーレジスト層307をさらに含む。
【0053】
上記実施例の磁性デバイス埋め込み集積構造は前記作製方法の実施例の有益な効果を有し、ここでは重複する説明は省略する。
【0054】
以上のあらゆる実施例の検討は例示的なものに過ぎず、本開示の範囲(特許請求の範囲を含む)がこれらの例に限定されることを暗示することを意図せず、本開示の思想において、以上の実施例又は異なる実施例における技術的特徴同士は組み合わせられてもよく、ステップは任意の順序で実現することができ、以上説明したような本開示の実施例の異なる態様の多くの他の変更が存在するが、簡明化のために詳細に説明されないことは、当業者に理解されるべきである。
【0055】
本発明の実施例は添付の特許請求の範囲の広い範囲内に含まれる全てのこのような置換、修正及び変形をカバーすることを意図する。本開示の実施例の精神及び原則内で行われた任意の省略、修正、同等の置換、改善などは、いずれも本開示の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0056】
100 載置板,載置台、101 第1のシード層、102 第1の金属層、103 第2の金属層、200 埋め込み基板一体構造,磁性デバイス、201 コイル、202 電極、203 第1の導通ポスト、204 犠牲金属ブロック、204b キャビティ、205a 第1の磁性層、205b 第2の磁性層、206 第1の絶縁層、206a 第2の絶縁層、206b 第3の絶縁層、207 第3のフォトレジスト,第3のフォトレジスト層、208 素子、300 接着層、301 第1の回路層、302 第2の回路層、303 第2のシード層、304 第4の絶縁層、305 第3の回路層、306 第2の導通ポスト、307 ソルダーレジスト層