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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146876
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】冷凍グラタン
(51)【国際特許分類】
   A23L 35/00 20160101AFI20241004BHJP
   A23L 29/238 20160101ALI20241004BHJP
   A23L 29/256 20160101ALI20241004BHJP
   A23L 29/269 20160101ALI20241004BHJP
【FI】
A23L35/00
A23L29/238
A23L29/256
A23L29/269
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024052992
(22)【出願日】2024-03-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-10-02
(31)【優先権主張番号】P 2023058742
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003274
【氏名又は名称】マルハニチロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石打 麻里子
(72)【発明者】
【氏名】亀田 優佳
(72)【発明者】
【氏名】石井 健太郎
【テーマコード(参考)】
4B036
【Fターム(参考)】
4B036LC01
4B036LF04
4B036LF19
4B036LH01
4B036LH07
4B036LH08
4B036LH10
4B036LH11
4B036LH12
4B036LH13
4B036LH15
4B036LH22
4B036LH37
4B036LH39
4B036LP01
4B036LP06
4B036LP17
4B036LP19
4B036LP24
(57)【要約】
【課題】口溶けの良好な冷凍グラタンを提供する。
【解決手段】縦型油脂及びゲル化剤を含有するホワイトソースを含有する冷凍グラタン。前記ホワイトソースは、25℃の粘度が50P以上であることが好ましい。縦型油脂の固体脂含量が20℃で20%超30%以下、25℃で4%以上16%以下であることが好ましい。ホワイトソースにおける前記縦型油脂の量が0.5~10質量%であることが好ましい。ゲル化剤として、ジェランガム、ゼラチン、寒天、ローカストビーンガム、キサンタンガムから選ばれる少なくとも一種を含有することも好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦型油脂及びゲル化剤を含有するホワイトソースを含有する冷凍グラタン。
【請求項2】
ホワイトソースは、25℃の粘度V25が50P以上である、請求項1に記載の冷凍グラタン。
【請求項3】
縦型油脂の固体脂含量が20℃で20%超30%以下、25℃で4%以上16%以下である、請求項1又は2に記載の冷凍グラタン。
【請求項4】
ホワイトソースは、35℃の粘度V35と25℃の粘度V25の差(V35-V25)が13P~30Pである、請求項1又は2に記載の冷凍グラタン。
【請求項5】
ホワイトソースにおける前記縦型油脂の量が0.5~10質量%である、請求項1又は2に記載の冷凍グラタン。
【請求項6】
ゲル化剤として、ジェランガム、ゼラチン、寒天、ローカストビーンガム、キサンタンガムから選ばれる少なくとも一種を含有する、請求項1又は2に記載の冷凍グラタン。
【請求項7】
前記ホワイトソースが加工澱粉を含有する、請求項1又は2に記載の冷凍グラタン。
【請求項8】
加工澱粉がヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉である、請求項7に記載の冷凍グラタン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍グラタンに関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍グラタンは、喫食時にその口溶けのよい食感が好まれる食品である。
特許文献1には15℃と20℃のSFCが固定値であるホワイトソース用油脂組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-068675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の冷凍グラタンについては、更に良好な口溶けが求められている。
【0005】
本発明の課題は、口溶けの良好な冷凍グラタンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は縦型油脂及びゲル化剤を含有するホワイトソースを含有する冷凍グラタンを提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、口溶けの良好な冷凍グラタンを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。本明細書において、口溶けとは、口に入れた瞬間にホワイトソースが急激に緩くなる感覚をいう。
本発明は縦型油脂及びゲル化剤を含有するホワイトソースを含有する冷凍グラタンに関する。本発明の冷凍グラタンは縦型油脂を用いることで口溶けがよいものとなる。本発明の冷凍グラタンは縦型油脂とゲル化剤を含有し、25℃の粘度が50P以上であると、口溶けに一層優れるほか、容器からの離型性にも優れ、口溶けと離型性を優れて両立できるものとなる。離型性がよいと、喫食者がグラタンを、冷えてから容器から容易にはがせ、喫食しやすく、食べ残りがきれいで、容器の廃棄等にも便利であり、喫食者にも好まれる傾向がある。
【0009】
本発明において冷凍グラタンは、ホワイトソースと具材とを有する。ホワイトソースと具材は通常、解凍後に1mmの篩で濾過することで分離することができる。解凍は500~800gの冷凍グラタンを常温(例えば25℃)にて60分以上静置することで完全に解凍させる。解凍したグラタンは具材が壊れないように撹拌して均一とした後に、上記の篩で分離させる。分離は篩上にグラタンを戴置させてから10分以上静置させる。これにより、具材とホワイトソースを分離することができる。なお具材としては、野菜、魚介類、肉、パスタなどが挙げられる。
【0010】
本発明では、縦型油脂としては、油脂組成物であってよく、25℃の固体脂含量S25と20℃の固体脂含量S20との差S20-S25が5%以上であるものを用いる。このような縦型油脂を用い、25℃の粘度を上記とすることで、ホワイトソースの口溶けが良く、且つ容器からの離型性の優れたものとなる。この理由としては明確ではないが、比較的低温での急峻な溶解が口の中での口溶け感につながる可能性があると考えている。
【0011】
縦型油脂のS20-S25は7%以上が更に好適である。口溶けの点からS20-S25は25%以下であることが好適であり、20%以下がより好適であり、18%以下が更に好適である。
【0012】
特に好適な縦型油脂としては、固体脂含量が20℃で20%超30%以下、25℃で4%以上16%以下であるものが挙げられる。当該縦型油脂の20℃の固体脂含量は更に23~28%が好適である。25℃の固体脂含量は更に6~12%がより好適である。縦型油脂は35℃の固体脂含量は1~5%が好適であり、1~3%がより好適である。上記縦型油脂をゲル化剤と組み合わせることで容器からの離型性と口溶けを一層良好に両立できる。
【0013】
本発明において、ホワイトソースにおける前記縦型油脂の量が0.5~10質量%であることが好ましい。当該含有量とすることで、離型性と口溶けとの両立が一層優れたものとなる。この観点から、ホワイトソースにおける前記縦型油脂の量は、0.6~7質量%であることがより好ましく、0.7~5質量%であることが更に一層好ましい。
【0014】
上記の縦型油脂は、例えばパーム系油脂と液状油とを混合し、且つ液状油の種類を選定することで得ることができる。その様な液状油としては、菜種油、大豆油等の植物油が挙げられ、菜種油が特に好ましい。パーム系油脂としては、パーム油又はそれに水素添加、分別等の加工を行った油脂が挙げられる。
【0015】
ホワイトソースを構成する縦型油脂以外に、S20-S25の固体脂含量差が5%未満の非液状油脂組成物を有していてもよく、非含有であってもよい。ここでいう非液状とは、25℃で固体脂含量が0%を超える油脂をいう。S20-S25の固体脂含量差が5%未満の非液状油脂組成物の量はホワイトソース中、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
【0016】
また、ホワイトソースは縦型油脂以外に、液状油を含有していてもよい。ホワイトソースは、当該液状油を非含有であってもよいが、仮に含有する場合、ホワイトソース中、液状油の含有量は0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。ここでいう液状油は、上記の非液状油脂組成物に含まれる液状油を含む。
【0017】
また、ホワイトソース中の全油脂中、上記縦型油脂に含まれる固形油脂を除き、固形油脂の量は60質量%以下であってもよく、50質量%以下であってもよく、40質量%以下であってもよく、30質量%以下であってもよい。ここでいう固形油脂とは、25℃で固形の油脂をいい、乳中の乳脂、上記非液状油脂組成物に含まれる固形油脂を含む。
【0018】
なお、固体脂含量は、全油脂中の所定温度における固形分である油脂の量をいう。
【0019】
ホワイトソース中の全油脂含量は1~30質量%が好適であり、1.5~25質量%がより好適であり、2~20質量%が更に一層好適である。
【0020】
本発明ではホワイトソースの25℃の粘度V25が一定以上である。上記の通り、縦型油脂を用い、この粘度以上であることで、ホワイトソースが容器からの離型性に優れるため好ましい。
ホワイトソースは25℃の粘度V25が50P以上であり、55P以上が好適であり、60P以上がより好適である。上限としては口溶けの点から25℃の粘度V25は、90P以下であることが好適であり、80P以下であることがより好適である。ここでいう粘度は解凍後の粘度である。解凍後、具材をホワイトソースに分離する。解凍及び分離は上記の方法にて行う。得られたホワイトソースを下記サンプルとして供する。粘度測定はB型粘度計で下記方法にて行う。
上記25℃の粘度V25を粘度とする方策としては、ゲル化剤や加工澱粉、油脂の量や種類等を調整する方策が挙げられる。
【0021】
<粘度の測定方法>
ホワイトソースサンプル200gを25℃の恒温槽中の環境で3分間静置してから、B型粘度計を用いて回転数62.5rpmでホワイトソースの粘度を測定する。B型粘度計によるホワイトソースの回転の開始から1分経過時点の粘度の測定値を、測定対象のホワイトソースの粘度とする。B型粘度計による粘度測定は、例えば、Visco tester VT-06(RION (リオン株式会社)を用い、1号ローターを使用する。
上記粘度とする方策としては、ゲル化剤や加工澱粉を用いることが挙げられる。
【0022】
本発明では離型性と口溶けの両立の点から、ホワイトソースの25℃の粘度V25と35℃の粘度V35との差(V35-V25)が13P以上が好適であり、15P以上がより好適であり、20P以上が更に好適である。このように粘度差を有することで口溶けと離型性とを一層優れて両立させることができる。35℃の粘度V35と差(V35-V25)は50P以下であることがホワイトソースの滑らかな物性の維持の点で好ましく、30P以下がより好ましい。
上記粘度差とする方策としては、後述する実施例1、比較例1、2に示すように、ゲル化剤の量等を調整したり、使用する油脂の種類を変更する方策が挙げられる。V35の測定は、上記25℃の粘度V25の測定において、恒温槽におけるサンプル温度を35℃に設定すればよい。
【0023】
本発明ではホワイトソースの35℃の粘度V35は、30P以上がより好適であり、35P以上が更に好適である。このような粘度を有することで口溶け及び離型性が一層優れたものとなる。35℃の粘度は口溶けの点から75P以下であってよいが、60P以下であることが一層口溶けの良さを表現する点で好ましく、50P以下がより好ましい。
35℃の粘度V35を上記粘度とする方策としてはゲル化剤や加工澱粉、油脂の量や種類等を調製する方策が挙げられる。
【0024】
本発明では、ホワイトソースの上記粘度V25、V35、及び上記粘度差V25-V35とするために、前記ホワイトソースにおけるゲル化剤を用いる。ゲル化剤としてはジェランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、タマリンドガム、サイリウムシードガム、タラガム、カラギーナン、アカシアガム、アラビアガム、ガティガム、トラガントガム、カラヤガム、カシアガム、ラムザンガム、ウェランガム、マクロホモプシスガム等のガム類;ゼラチン;寒天;マンナン、グルコマンナン等のマンナン類;ヒアルロン酸;アルギン酸やアルギン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレンエーテル等のアルギン酸又はその塩若しくは誘導体;カードラン;プルラン;ペクチン等が挙げられる。
【0025】
中でも、ゲル化剤としては、ガム類と、ゼラチン又は寒天とを組み合わせて用いることが好ましく、ガム類とゼラチンと寒天とを含有することがより好ましい。
【0026】
ガム類としては、ジェランガム、ローカストビーンガム、キサンタンガムから選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。
【0027】
ガム類の量はホワイトソース中、0.001~0.5質量%が好ましく、0.01~0.5質量%がより好ましい。
【0028】
ジェランガムの量は、ホワイトソース中、0.001~0.5質量%が好ましく、0.002~0.1質量%がより好ましく、0.045~0.1質量%であってもよく、0.048~0.1質量%であってもよい。
【0029】
ローカストビーンガムの量は、ホワイトソース中、0.001~0.5質量%が好ましく、0.002~0.1質量%がより好ましい。
【0030】
キサンタンガムの量は、ホワイトソース中、0.001~0.5質量%が好ましく、0.002~0.1質量%がより好ましい。
【0031】
ゼラチンの量は、ホワイトソース中、0.001~0.5質量%が好ましく、0.002~0.3質量%がより好ましい。
【0032】
寒天の量は、ホワイトソース中、0.001~0.5質量%が好ましく、0.002~0.2質量%がより好ましい。
【0033】
ゲル化剤全体の量としては、ホワイトソース中、0.08~0.8質量%が好ましく、0.1~0.5質量%がより好ましく、0.2~0.4質量%が更に一層好ましい。
【0034】
本発明では、ホワイトソースが更に加工澱粉を含有していてもよい。加工澱粉としては、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、米澱粉等の澱粉にα化、エーテル化、エステル化、架橋、油脂加工、酸化から選ばれる1種又は2種以上の処理を施したものが挙げられる。特に離型性を得る点から、本発明で用いる加工澱粉としては、エーテル化を施した澱粉が好ましく、とりわけ、ヒドロキシプロピル化を施した澱粉が好ましい。ヒドロキシプロピル化を施した澱粉としては、ヒドロキシプロピル化澱粉やヒドロキシプロピル化と架橋処理を施した澱粉等が挙げられる。特に本発明では、加工澱粉が、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉を含有することが好ましい。
【0035】
加工澱粉の量は、ホワイトソース中、1~5質量%が好ましく、1~3質量%がより好ましい。
【0036】
また、本発明では、澱粉及び加工澱粉の合計量は、ホワイトソース中、1~5質量%が好ましく、1~4質量%がより好ましく、1~3質量%であってもよい。
【0037】
本発明のホワイトソースは、その他適宜、小麦粉を含有していてもよい。ここでいう小麦粉には焙煎小麦粉も含まれる。
【0038】
また、本発明では、小麦粉の合計量は、ホワイトソース中、3~10質量%が好ましく、3.5~8質量%がより好ましく、4~5質量%が特に好ましい。
【0039】
また、本発明では、水分の合計量は、ホワイトソース中、50~98質量%が好ましく、70~96質量%がより好ましい。ここでいう水分とは、液体原料中の水の合計量をいう。
【0040】
本明細書において、乳化剤を用いてもよい。乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチンが挙げられる。ここで、グリセリン脂肪酸エステルには、グリセリンと脂肪酸のエステルの外、グリセリン酢酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン縮合リシノール酸エステルが含まれる。またレシチンには、分別レシチン、酵素分解レシチン、酵素処理レシチンが含まれる。
【0041】
本発明において乳化剤の含有量はホワイトソースの乳化容易性や乳化剤により風味がぼやけることを防止する点から、ホワイトソース中、0.004~1.5質量%が好ましく、0.03~1.5質量%が好ましく、0.03~1.0質量%がより好ましく、0.03~0.2質量%が更に好ましく、0.15質量%以下であってもよい。
【0042】
本発明では、油脂、水、ゲル化剤、及び澱粉、加工澱粉及び乳化剤以外のその他の成分を含有してもよく、そのようなその他の成分としては、糖類、糖類以外の調味料、乳製品、デキストリン、炭酸カルシウムなどの金属塩等の各種添加剤を含有することができる。それらの成分の量は、ホワイトソース中、5質量%~95質量%が好適である。
【0043】
ホワイトソースの製造方法としては、水や牛乳といった液体原料を加熱し、必要に応じて乳化剤、小麦粉、澱粉類(澱粉及び/又は加工澱粉)、ゲル化剤を投入して加熱混合する方法が挙げられる。縦型油脂を含め、油脂は加熱混合中、いずれのタイミングで添加してもよいが、例えば縦型油脂等の常温で固形分を有する油脂は、ゲル化剤添加後に添加することが油脂に起因した風味を向上しやすい点で好ましい。
【0044】
上記のホワイトソースを具材と混合して冷凍させることでグラタンが得られる。ホワイトソースの上に別のソース、マカロニ等でデコレーションを行ってもよい。仮にデコレーションソースがかかっている場合には、デコレーションソースを除いた部分についての粘度測定を行うことが好適である。
【0045】
本明細書において、離型性は容器付きの状態で販売されている冷凍グラタンに対するものである。冷凍グラタンは、容器にホワイトソースが接触状態で収容されていることが好ましい。容器としては、プラスチック製のものが挙げられる。容器の材質としては、紙又は合成樹脂フィルムが挙げられる。合成樹脂フィルムとしては、例えば、VDC/MA(塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体)、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PA(ポリアミド)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、EVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合体)、PET(ポリエチレンテフタレート樹脂)及びこれらの1又は2以上の複合材が挙げられ、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリプロピレン又はこれらの複合材であることが破れにくさや保存性等の点で好ましい。
【0046】
容器表面には離型処理又は耐熱処理がされていても、されていなくてもよい。離型処理としては、例えばシリコン塗布やエンボス加工の処理が挙げられる。耐熱処理としては、樹脂保護層で覆って補強する処理が挙げられる。この樹脂保護層は、PTFEの他に、ポリエチレン類、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂類を用いることができ、ポリプロピレンが特に好ましい。
【0047】
以上、本発明をその好ましい態様に基づき適宜説明したが、本発明は上記載に限定されない。
【実施例0048】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
【0049】
(実施例1)
(1)水687g、牛乳100g、液体調味料49.8g、キャノーラ油5g、グリセリン脂肪酸エステル0.6gを加熱混合した。ここに、小麦粉41g、ヒドロキシプロピル化澱粉10g、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉11g、デキストリン10.5g、粉末調味料46.9g、炭酸カルシウム10g、ゼラチン1.7g、寒天0.46g、ローカストビーンガム0.096g、クエン酸三ナトリウム0.18g、キサンタンガム0.045g、ジェランガム0.56g、ブドウ糖0.3gを投入して加熱混合した。次いで、撹拌を停止し、植物油脂Aを7.7g、植物油脂Bを10g、バター4g投入した。更に加熱撹拌し、90℃達温させてホワイトソースを製造した。液体原料中の水分量合計はホワイトソース中、75~95質量%の範囲内であった。
【0050】
(2)得られたホワイトソースは冷却後、茹でたマカロニ、炒めたエビと混合して材質が紙製(表面をポリプロピレンコート処理済み)のカップ(厚さ36μm)に入れ、-40℃の冷凍庫に入れて凍結させて冷凍グラタンを得た。
【0051】
植物油脂Aは、パーム油、菜種油、大豆油、コーン油からなり、20℃の固体脂含量は9.7%、25℃の固体脂含量は7.6%、35℃の固体脂含量が3.3%であった。S20-S25は2.1%である(S20-S25の固体脂含量差が5%未満の非液状油脂組成物)。
植物油脂Bは、パーム油及び菜種油からなり、20℃の固体脂含量は25.4%、25℃の固体脂含量は9.6%、35℃で1.5%であった。S20-S25は15.8%である(縦型油脂(油脂組成物))。
【0052】
(比較例1)
植物油脂B10gを、油脂製剤(ユニショートFT、不二製油)10gに変更した。
上記油脂製剤は、20℃の固体脂含量が8%、25℃の固体脂含量が8%であった。S20-S25は0%である。
その点以外は、実施例1と同様として、凍結させて冷凍グラタンを得た。
【0053】
(実施例2)
ジェランガムを0.44gに、ブドウ糖を0.23gに、クエン酸三ナトリウムを0.16gに変更した。その点以外は実施例1と同様として、凍結させて冷凍グラタンを得た。
【0054】
(実施例3)
デキストリンの量を10gに、ゼラチンを0gに、寒天を0g、ローカストビーンガムを0g、クエン酸三ナトリウムを0.4gに、キサンタンガムを0gに、ジェランガムを2.3gに、ブドウ糖を1.3gに変更した。変動分は水の量で調整した。その点以外は、実施例1と同様にして冷凍グラタンを得た。
【0055】
(実施例4)
ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉の量を19gに、クエン酸三ナトリウムの量を0.09gに、ジェランガムの量を0.045gに、ブドウ糖の量を0gに変更した。変動分は水の量で調整した。その点以外は、実施例1と同様にして冷凍グラタンを得た。
【0056】
(実施例5)
デキストリンの量を10.8gに、ゼラチンの量を3.0gに、寒天の量を0.77gに、ローカストビーンガムの量を0.16gに、クエン酸三ナトリウムの量を0.24gに、キサンタンガムの量を0.09gに、ジェランガムの量を0.59gにそれぞれ変更した。変動分は水の量で調整した。その点以外は、実施例1と同様にして冷凍グラタンを得た。
【0057】
実施例及び比較例の冷凍グラタンは75分間凍結後、電子レンジにより解凍させ、以下の方法で25℃と35℃の粘度を測定したほか、以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0058】
<離型性>
以下の方法にて評価した。
冷凍グラタンを電子レンジで1つを40秒、600Wで加熱して解凍させた。この冷凍グラタンについて、お弁当使用想定として常温(25℃)まで冷却させてから、カップの側面をめくるようにはがしてカップからの離型性(はがれやすさ)をパネラー5人に下記基準で評価させた。パネラー5人の評価点の平均点を下記に示す。
(基準)
5;非常に良い。
4;良い。
3;普通。
2;悪い。
1;非常に悪い。
【0059】
また上記のようにして解凍した冷凍グラタンのホワイトソースの口溶けをパネラー5人に下記基準で評価させた。加熱後、常温まで冷却させてから喫食を実施した。パネラー5人の評価点の平均点を下記に示す。
(基準)
5;非常に良い。
4;良い。
3;普通。
2;悪い。
1;非常に悪い。
【0060】
【表1】
【手続補正書】
【提出日】2024-07-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体脂含量が20℃で30%以下であり、25℃の固体脂含量S25と20℃の固体脂含量S20との差S20-S25が15.8%以上である縦型油脂及びゲル化剤を含有する、25℃の粘度V 25 が50P以上90P以下である、ホワイトソースを含有する冷凍グラタン。
【請求項2】
縦型油脂の固体脂含量が20℃で20%、25℃で4%以上16%以下である、請求項に記載の冷凍グラタン。
【請求項3】
ホワイトソースは、35℃の粘度V35と25℃の粘度V25の差(V35-V25)が13P~30Pである、請求項1又は2に記載の冷凍グラタン。
【請求項4】
ホワイトソースにおける前記縦型油脂の量が0.5~10質量%である、請求項1又は2に記載の冷凍グラタン。
【請求項5】
ゲル化剤として、ジェランガム、ゼラチン、寒天、ローカストビーンガム、キサンタンガムから選ばれる少なくとも一種を含有する、請求項1又は2に記載の冷凍グラタン。
【請求項6】
前記ホワイトソースが加工澱粉を含有する、請求項1又は2に記載の冷凍グラタン。
【請求項7】
加工澱粉がヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉である、請求項に記載の冷凍グラタン。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明において冷凍グラタンは、ホワイトソースと具材とを有する。ホワイトソースと具材は通常、解凍後に1mmの篩で濾過することで分離することができる。解凍は電子レンジで行うか、又は、500~800gの冷凍グラタンを常温(例えば25℃)にて60分以上静置することで完全に解凍させる。解凍したグラタンは具材が壊れないように撹拌して均一とした後に、上記の篩で分離させる。分離は篩上にグラタンを戴置させてから10分以上静置させる。これにより、具材とホワイトソースを分離することができる。なお具材としては、野菜、魚介類、肉、パスタなどが挙げられる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明では、縦型油脂としては、油脂組成物であってよく、25℃の固体脂含量S25と20℃の固体脂含量S20との差S20-S25が15.8%以上であるものを用いる。このような縦型油脂を用い、25℃の粘度を上記とすることで、ホワイトソースの口溶けが良く、且つ容器からの離型性の優れたものとなる。この理由としては明確ではないが、比較的低温での急峻な溶解が口の中での口溶け感につながる可能性があると考えている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
実施例及び比較例の冷凍グラタンは75分間凍結後、電子レンジにより解凍させ、上記の方法で25℃と35℃の粘度を測定したほか、以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
<離型性、口溶け
以下の方法にて評価した。
冷凍グラタンを電子レンジで1つを40秒、600Wで加熱して解凍させた。この冷凍グラタンについて、お弁当使用想定として常温(25℃)まで冷却させてから、カップの側面をめくるようにはがしてカップからの離型性(はがれやすさ)をパネラー5人に下記基準で評価させた。パネラー5人の評価点の平均点を下記に示す。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
【表1】