(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146879
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】ファン用部材、ファン、ファンユニット、空気調和機、ヒートポンプ装置、及びファン用部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
F04D 29/38 20060101AFI20241004BHJP
F04D 29/66 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
F04D29/38 A
F04D29/66 M
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024053224
(22)【出願日】2024-03-28
(31)【優先権主張番号】P 2023059491
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023167785
(32)【優先日】2023-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】山崎 登博
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 弘宣
(72)【発明者】
【氏名】丸山 要
(72)【発明者】
【氏名】陳 作舟
(72)【発明者】
【氏名】小西 英明
(72)【発明者】
【氏名】中井 聡
(72)【発明者】
【氏名】山下 祐希
(72)【発明者】
【氏名】太田黒 竜佑
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC11
3H130BA16C
3H130CA04
3H130CB19
3H130EA08C
3H130EC17C
3H130ED01C
(57)【要約】
【課題】多孔質部材の騒音低減効果を維持しつつ、多孔質部材と樹脂部材とを好適に一体成形できるファン用部材、ファン、ファンユニット、空気調和機、ヒートポンプ装置、及びファン用部材の製造方法を提供する。
【解決手段】ファン用部材40は、複数の気孔を有する多孔質部材41と、多孔質部材41と一体に成形される樹脂部材42と、を備える。樹脂部材42を構成する樹脂のメルトフローレート(MFR)は、2g/10分以上、かつ、45g/10分以下である。複数の気孔のうちの一部には、樹脂が充填されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の気孔を有する多孔質部材(41)と、前記多孔質部材(41)と一体に成形される樹脂部材(42)と、を備えるファン用部材(40)であって、
前記樹脂部材(42)を構成する樹脂(42A)のメルトフローレート(MFR)は、2g/10分以上、かつ、45g/10分以下であって、
前記複数の気孔のうちの一部には、前記樹脂(42A)が充填されている、
ファン用部材。
【請求項2】
前記樹脂(42A)のメルトフローレート(MFR)は、5g/10分以上、かつ、40g/10分以下である、
請求項1に記載のファン用部材。
【請求項3】
前記樹脂(42A)のメルトフローレート(MFR)は、5g/10分以上、かつ、35g/10分以下である、
請求項2に記載のファン用部材。
【請求項4】
前記多孔質部材(41)の流動抵抗は、0.5kPa以上、かつ、1.1kPa以下である、
請求項1に記載のファン用部材。
【請求項5】
前記多孔質部材(41)の気孔率は、20%以上、かつ、90%以下であって、
前記多孔質部材(41)の気孔径は、50μm以上、かつ、500μm以下である、
請求項1に記載のファン用部材。
【請求項6】
前記多孔質部材(41)の気孔率は、30%以上、かつ、90%以下であって、
前記多孔質部材(41)の気孔径は、90μm以上、かつ、300μm以下である、
請求項5に記載のファン用部材。
【請求項7】
前記多孔質部材(41)は、孔充填部(45)を有し、
前記孔充填部(45)において、前記多孔質部材(41)の前記複数の気孔は、前記樹脂(42A)によって充填されている、
請求項1に記載のファン用部材。
【請求項8】
前記多孔質部材(41)は、中央部(43)と、前記中央部(43)の周囲に位置する周縁部(44)と、を有し、
前記周縁部(44)の流動抵抗は、前記中央部(43)の流動抵抗とは異なる、
請求項1に記載のファン用部材。
【請求項9】
多孔質部材(41)と、前記多孔質部材(41)と一体に成形される樹脂部材(42)と、を備えるファン用部材(40)であって、
前記多孔質部材(41)の気孔率は、20%以上、かつ、90%以下であって、
前記多孔質部材(41)の気孔径は、50μm以上、かつ、500μm以下である、
ファン用部材。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の前記ファン用部材(40)により構成される、
ファン。
【請求項11】
請求項10に記載の前記ファン(30)と、
ベルマウス(21)と、を備える、
ファンユニット。
【請求項12】
請求項11に記載の前記ファンユニット(20)を備える、
空気調和機。
【請求項13】
請求項11に記載の前記ファンユニット(20)を備える、
ヒートポンプ装置。
【請求項14】
複数の気孔を有する多孔質部材(41)と、前記多孔質部材(41)と一体に成形される樹脂部材(42)と、を備えるファン用部材(40)の製造方法であって、
前記多孔質部材(41)を、メルトフローレート(MFR)が2g/10分以上、かつ、45g/10分以下である樹脂(42A)でインサート成形する工程を含む、
製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ファン用部材、ファン、ファンユニット、空気調和機、ヒートポンプ装置、及びファン用部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回転時におけるファンユニットの騒音を低減するために、ファン用部材に多孔質部材を使用することが知られている。特許文献1には、多孔質部材を有するファンが開示されている。ファンが回転する際に、多孔質部材の気孔は空気流がファンの上面から下面に向けて通過することを可能にする。そのため、多孔質部材を有するファンによって、回転時におけるファンユニットの騒音が低減される。
【0003】
また、多孔質部材を有するファン用部材の製造方法として、多孔質部材と樹脂部材とを一体成形する方法が知られている。特許文献2及び特許文献3には、一例として多孔質部材を金型内に固定して、金型内に樹脂を射出するインサート成形による方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-134751号公報
【特許文献2】特開平4-012199号公報
【特許文献3】実開平6-025597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2及び特許文献3のように、多孔質部材をインサート成形する場合では、多孔質部材の気孔に樹脂が流れ込むことによって、樹脂が多孔質部材の気孔に充填されてしまう問題がある。多孔質部材の気孔が失われると、多孔質部材によって十分な騒音低減効果を得られない虞がある。
【0006】
本開示は、多孔質部材による騒音低減効果を維持しつつ、多孔質部材と樹脂部材とを好適に一体成形できるファン用部材、ファン、ファンユニット、空気調和機、ヒートポンプ装置、及びファン用部材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決する第1観点のファン用部材は、複数の気孔を有する多孔質部材と、前記多孔質部材と一体に成形される樹脂部材と、を備えるファン用部材であって、前記樹脂部材を構成する樹脂のメルトフローレート(MFR)は、2g/10分以上、かつ、45g/10分以下であって、前記複数の気孔のうちの一部には、前記樹脂が充填されている。
【0008】
この構成によれば、樹脂のメルトフローレート(MFR)が45g/10分以下であるため、樹脂が充填される多孔質部材の気孔を少なくできる。したがって、多孔質部材の騒音低減効果を維持しつつ、多孔質部材と樹脂部材とを好適に一体成形できる。
【0009】
第2観点のファン用部材は、第1観点のファン用部材であって、前記樹脂のメルトフローレート(MFR)は、5g/10分以上、かつ、40g/10分以下である。この構成によれば、樹脂のメルトフローレート(MFR)が40g/10分以下であるため、樹脂が充填される多孔質部材の気孔をより少なくできる。
【0010】
第3観点のファン用部材は、第2観点のファン用部材であって、前記樹脂のメルトフローレート(MFR)は、5g/10分以上、かつ、35g/10分以下である前記樹脂によって形成される。この構成によれば、樹脂のメルトフローレート(MFR)が35g/10分以下であるため、樹脂が充填される多孔質部材の気孔をより少なくできる。
【0011】
第4観点のファン用部材は、第1観点から第3観点のいずれか1つのファン用部材であって、前記多孔質部材の流動抵抗は、0.5kPa以上、かつ、1.1kPa以下である。この構成によれば、多孔質部材の流動抵抗が0.5kPa以上、かつ、1.1kPa以下であるため、多孔質部材を樹脂部材と一体に成形しつつ、多孔質構造による騒音低減効果を維持できる。
【0012】
第5観点のファン用部材は、第1観点から第4観点のいずれか1つのファン用部材であって、前記多孔質部材の気孔率は、20%以上、かつ、90%以下であって、前記多孔質部材の気孔径は、50μm以上、かつ、500μm以下である。この構成によれば、多孔質部材の気孔率が20%以上、かつ、90%以下であって、多孔質部材の気孔径が50μm以上、かつ、500μm以下であるため、樹脂が充填される多孔質部材の気孔をより少なくできる。
【0013】
第6観点のファン用部材は、第5観点のファン用部材であって、前記多孔質部材の気孔率は、30%以上、かつ、90%以下であって、前記多孔質部材の気孔径は、90μm以上、かつ、300μm以下である。この構成によれば、多孔質部材の気孔率が30%以上、かつ、90%以下であって、多孔質部材の気孔径が90μm以上、かつ、300μm以下であるため、樹脂が充填される多孔質部材の気孔をより少なくできる。
【0014】
第7観点のファン用部材は、第1観点から第6観点のいずれか1つのファン用部材であって、前記多孔質部材は、孔充填部を有し、前記孔充填部において、前記多孔質部材の前記複数の気孔は、前記樹脂によって充填されている。この構成によれば、充填部において多孔質部材の気孔に樹脂が充填されているため、多孔質部材は、樹脂部材と好適に接合できる。
【0015】
第8観点のファン用部材は、第1観点から第7観点のいずれか1つのファン用部材であって、前記多孔質部材は、中央部と、前記中央部の周囲に位置する周縁部と、を有し、前記周縁部の流動抵抗は、前記中央部の流動抵抗とは異なる。この構成によれば、多孔質部材において、中央部の流動抵抗と周縁部の流動抵抗とを異ならせることによって、多孔質部材と樹脂部材との接合具合を好適に操作できる。
【0016】
第9観点のファン用部材は、多孔質部材と、前記多孔質部材と一体に成形される樹脂部材と、を備えるファン用部材であって、前記多孔質部材の気孔率は、20%以上、かつ、90%以下であって、前記多孔質部材の気孔径は、50μm以上、かつ、500μm以下である。この構成によれば、多孔質部材の気孔率が20%以上、かつ、90%以下であって、多孔質部材の気孔径が50μm以上、かつ、500μm以下であるため、樹脂が充填される多孔質部材の気孔を少なくできる。したがって、多孔質部材の騒音低減効果を維持しつつ、多孔質部材と樹脂部材とを好適に一体成形できる。
【0017】
第10観点のファンは、第1観点から第9観点のいずれか1つの前記ファン用部材により構成される。この構成によれば、ファン用部材により構成されるファンを提供できる。
【0018】
第11観点のファンユニットは、第10観点の前記ファンと、ベルマウスと、を備える。この構成によれば、ファンとベルマウスとを備えるファンユニットを提供できる。
【0019】
第12観点の空気調和機は、第11観点の前記ファンユニットを備える。この構成によれば、ファンユニットを備える空気調和機を提供できる。
【0020】
第13観点のヒートポンプ装置は、第11観点の前記ファンユニットを備える。この構成によれば、ファンユニットを備えるヒートポンプ装置を提供できる。
【0021】
第14観点の製造方法は、複数の気孔を有する多孔質部材と、前記多孔質部材と一体に成形される樹脂部材と、を備えるファン用部材の製造方法であって、前記多孔質部材を、メルトフローレート(MFR)が2g/10分以上、かつ、45g/10分以下である樹脂でインサート成形する工程を含む。この構成によれば、樹脂のメルトフローレート(MFR)が2g/10分以上、かつ、45g/10分以下であるため、多孔質部材がインサート成形される際に、樹脂が多孔質部材の気孔に流れ込み難い。樹脂が多孔質部材の気孔に流れ込み難いため、多孔質部材の気孔が、維持され易い。このようなメルトフローレート(MFR)の樹脂を使用することによって、多孔質部材の騒音低減効果を維持しつつ、好適に多孔質部材をインサート成形できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図5】ファン用部材の製造方法の工程を示す模式図である。
【
図6】ファン用部材の製造方法の工程を示す模式図である。
【
図7】多孔質部材の気孔率、気孔径、及び流動抵抗の関係を示す図である。
【
図8】多孔質部材の気孔率、気孔径、及び騒音低減効果の関係を示す図である。
【
図9】樹脂部材を構成する樹脂のMFRに対するファン用部材の騒音低減効果を、多孔質部材の流動抵抗ごとに示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態>
図1から
図9を参照して、実施形態に係る空気調和機10A、ファンユニット20、ファン30、ファン用部材40、及びファン用部材40の製造方法について説明する。
【0024】
<空気調和機>
図1に示されるように、本実施形態の空気調和機10Aは、蒸気圧縮式冷凍サイクルを用いて室内の空気の温度を調整する装置である。本実施形態の空気調和機10Aは、室外機10及び室内機(図示せず)を含む。なお、空気調和機は、必ずしも、蒸気圧縮式冷凍サイクルを用いて室内の空気の温度を調整する装置に限られず、例えば空気清浄機や換気装置等を含む概念である。
【0025】
<室外機>
室外機10は、空気調和機10Aの室外機10である。空気調和機10Aは、例えば、住宅、オフィス等の室内空間の冷房または暖房を行う。空気調和機10Aは、例えば、物品を保管する倉庫内の空間、物品を取り扱う作業用空間等の屋内空間の冷房または暖房を行ってもよい。
【0026】
図1は、室外機10を正面から見た場合の模式図である。
図1の例では、縦置き型の室外機10が例示されるが、室外機10は、横置き型であってもよい。室外機10は、例えば、連絡配管によって空気調和機10Aの室内機と接続される。室内機には、室内膨張弁、室内熱交換器等の機器が設けられる。
【0027】
室外機10は、例えば、下部ユニット11を備える。下部ユニット11は、下部ケーシング12を有する。下部ケーシング12には、圧縮機、室外熱交換器、室外膨張弁、アキュムレータ、オイルセパレータ等の冷媒回路の構成機器と、冷媒回路を制御するための電子部品を有する制御機器が設けられる。空気調和機10Aは、ファンユニット20を備える。室外機10は、ファンユニット20を備える。ファンユニット20は、例えば、下部ユニット11と接続される。空気調和機10Aの室内機が、ファンユニット20を備えていてもよい。
【0028】
<ファンユニット>
ファンユニット20は、ファン30と、ベルマウス21と、を備える。本実施形態では、ファン30は、回転の中心軸心が上下方向に延びるように配置される。ファンユニット20は、例えば、下部ユニット11から吸込まれた空気を、ファン30によって、ベルマウス21を介して上向きに吹き出すように構成される。本実施形態のベルマウス21は、空気流KRが下から上に通過するように配置される。ベルマウス21は、ファン30の周囲に設けられる筒状部21Aを有する。筒状部21Aは、例えば、樹脂によって構成される。
【0029】
ファンユニット20は、例えば、モータ22と、ファンケーシング23と、を備える。モータ22の回転軸は、ファン30を回転させるように、ファン30に接続される。モータ22は、例えば、モータケースに収容される。
【0030】
ファンケーシング23は、例えば、下部ケーシング12の上部に配置される。ファンケーシング23は、例えば、ファン30、ベルマウス21、及びモータ22を収容する。ファンケーシング23は、例えば、ベルマウス21から吹き出した空気が通過する吹出口23Aと、吹出口23Aを支持する支持部23Bとを有する。ファンケーシング23は、例えば、樹脂によって構成される。
【0031】
<ファン>
図2に示されるように、本実施形態のファン30は、軸流ファンである。ファン30は、遠心ファンであってもよい。ファン30は、ハブ31と、ハブ31の周囲に設けられる翼32とを備える。ハブ31は、円筒状に形成される。ハブ31は、翼32と一体に形成される。ハブ31には、モータ22の回転軸が取り付けられる軸孔31Aが形成される。
【0032】
ハブ31には、周方向において互いに一定の角度間隔をあけて配置される複数の翼32が配置される。本実施形態では複数の翼32の数は3枚であるが、翼32の数は、3枚より少なくてもよく、3枚より多くてもよい。複数の翼32は、ハブ31からファン30の回転半径方向における外側に向けて放射状に広がるように配置される。隣り合う翼32同士は、ファン30の正面視または背面視で重なり合わない。翼32は、回転半径方向および回転方向に沿って滑らかに湾曲した板状に形成される。複数の翼32の形状は同じである。
【0033】
<ファン用部材>
図1及び
図2に示されるように、ファンユニット20は、ファン用部材40を備える。ファン用部材40は、空気流KRに接触することによってファンユニット20に発生する騒音を低減するように、ファンユニット20に配置される。ファンユニット20のうちの空気流KRに接触する部材は、例えば、ファン用部材40によって構成される。本実施形態では、ファン30は、ファン用部材40により構成される。
【0034】
ファン用部材40は、多孔質部材41と、多孔質部材41と一体に成形される樹脂部材42と、を備える。ファン用部材40は、樹脂部材42によって形成される。本実施形態では、翼32は、多孔質部材41と樹脂部材42とによって構成される。多孔質部材41は、例えば、各翼32の翼面32Aに配置される。翼面32Aは、例えば、空気流KRに対して面するように配置される面である。多孔質部材41の厚さは、樹脂部材42の厚さと略同じ厚さである。多孔質部材41が配置される場所は、翼32に限定されない。ハブ31が、多孔質部材41を備えるように構成されてもよい。
【0035】
ファン用部材40は、多孔質部材41が、樹脂部材42を形成する樹脂42A(
図6参照)にインサート成形されることによって成形される。多孔質部材41は、例えば、多孔質体によって形成される。多孔質部材41の形成材料の例として、樹脂、セラミックス、金属等が挙げられる。樹脂の例として、発泡樹脂を挙げることができる。樹脂製の多孔質部材41の具体例として、ポリスチレン樹脂(PS)製の発泡体、ABS樹脂製の発泡体、アクリルスチレン(AS)製の発泡体、またはポリプロピレン(PP)製の発泡体が挙げられる。多孔質部材41は、ガラス繊維強化スチレンアタリロニトリル樹脂(ASG)の発泡体によって構成されてもよい。多孔質部材41として、セラミックスや金属製の多孔質焼結体を採用することもできる。多孔質部材41として、金属製網状体を採用することもできる。
【0036】
多孔質部材41は、複数の気孔を有する。複数の気孔のうちの一部には、樹脂42Aが充填されている。多孔質部材41は多孔質構造を有している。多孔質構造は、翼32を厚さ方向に貫通する貫通孔を有する。多孔質構造の貫通孔は、多孔質部材41に含まれる複数の気孔がつながることによって、翼32を厚さ方向に貫通する。気孔は、空気流KRが通過可能である。多孔質部材41の気孔を空気流KRが通過することによって、ファンユニット20による騒音が低減される。
【0037】
樹脂部材42は、例えば、空気流KRが流通できないように構成される。樹脂部材42は、例えば、樹脂42Aによって構成される。樹脂部材42は、例えば、熱可塑性樹脂によって構成されている。樹脂部材42は、例えば、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ガラス繊維強化スチレンアタリロニトリル樹脂(ASG)、またはガラス繊維強化ポリプロピレン樹脂(PPGF)によって構成されている。
【0038】
多孔質部材41は、例えば、樹脂部材42と同種の樹脂によって形成される。多孔質部材41が、ポリスチレン樹脂製の発泡体である場合、樹脂部材42は、ポリスチレン樹脂によって構成されている。多孔質部材41が、ABS樹脂製の発泡体である場合、樹脂部材42は、ABS樹脂によって構成されている。多孔質部材41が、アクリルスチレン製の発泡体である場合、樹脂部材42は、ガラス繊維強化スチレンアタリロニトリル樹脂によって構成されている。多孔質部材41が、ポリプロピレン製の発泡体である場合、樹脂部材42は、ガラス繊維強化ポリプロピレン樹脂によって構成されている。多孔質部材41は、樹脂部材42と異種の樹脂によって形成されてもよく、樹脂とは異なる材料によって形成されてもよい。
【0039】
多孔質部材41が樹脂部材42と同種の材料によって構成される場合、ファン用部材40のインサート成形時に、多孔質部材41の気孔に樹脂部材42が流れ込むときに多孔質部材41と樹脂部材42とが密着し易い。多孔質部材41と樹脂部材42とが密着し合うことによって、インサート成形時における多孔質部材41と樹脂部材42との接合強度を向上できる。
【0040】
図3及び
図6に示されるように、多孔質部材41に対する樹脂42Aの流れ易さを示すパラメータは、例えば、所定条件における樹脂42Aのメルトフローレート(MFR:Melt Flow Rate)を含む。例えば、MFRが大きい程、インサート成形時に樹脂42Aが多孔質部材41に流れ易くなる。MFRは、例えば、メルトマスフローレート(Melt mass-flow rate)である。所定条件は、例えば、ISO 1133に準拠する試験条件である。一例として樹脂部材42がポリスチレン樹脂である場合、樹脂42AのMFRの測定のための所定条件は、ISO 1133に準拠して、温度200℃、荷重5kgの条件である。
【0041】
所定条件において、樹脂部材42を構成する樹脂42AのMFRは、2g/10分以上、かつ、45g/10分以下である。所定条件において樹脂42AのMFRは、2g/10分以上、かつ、40g/10分以下であってもよい。所定条件において樹脂42AのMFRは、2g/10分以上、かつ、35g/10分以下であってもよい。所定条件において樹脂42AのMFRは、2g/10分以上、かつ、30g/10分以下であってもよい。所定条件において樹脂42AのMFRは、5g/10分以上、かつ、45g/10分以下であってもよい。所定条件において樹脂42AのMFRは、5g/10分以上、かつ、40g/10分以下であってもよい。所定条件において樹脂42AのMFRは、5g/10分以上、かつ、35g/10分以下であってもよい。所定条件において樹脂42AのMFRは、5g/10分以上、かつ、25g/10分以下であってもよい。所定条件において樹脂42AのMFRは、7g/10分以上、かつ、16.5g/10分以下であってもよい。所定条件において樹脂42AのMFRが、7g/10分であってもよく、所定条件において樹脂42AのMFRが、16.5g/10分であってもよい。一例として樹脂42Aがポリスチレン樹脂である場合、樹脂42AのMFRの測定のための所定条件は、ISO 1133に準拠して、温度200℃、荷重5kgの条件である。樹脂42AのMFRが2g/10分以上、かつ、45g/10分以下である場合、多孔質部材41を樹脂42Aが流れ難くなる。
【0042】
多孔質部材41に対する樹脂42Aの流れ易さを示すパラメータは、例えば、多孔質部材41の流動抵抗を含む。例えば、多孔質部材41の流動抵抗が大きい程、インサート成形時に樹脂42Aが多孔質部材41に流れ難くなる。多孔質部材41の流動抵抗は、例えば、多孔質部材41の形成段階において調整される。多孔質部材41の流動抵抗は、例えば、多孔質部材41を構成する素材の粉砕粒径によって調整される。
【0043】
実施形態において多孔質部材41の流動抵抗は、多孔質部材41の多孔質構造における空気の流れ難さを示す。例えば、多孔質部材41の流動抵抗が大きい程、多孔質部材41を空気流KRが通過し難くなる。多孔質部材41の流動抵抗が大きいと、多孔質部材41の気孔径が小さい、または多孔質部材41の気孔率が低い傾向があるため、多孔質部材41に対して樹脂42Aが流れ難くなる。
【0044】
図4は、多孔質部材41の流動抵抗を測定する測定装置60の一例を示す。測定装置60は、試験片61の流動抵抗を測定するための治具である。測定装置60は、第1ケース62及び第2ケース63を有する。第1ケース62は、第1チャンバ64を構成する。第2ケース63は、第2チャンバ65を構成する。第1チャンバ64と第2チャンバ65とは、連通孔66によって連通する。連通孔66は、第1ケース62及び第2ケース63を貫通するように設けられる。連通孔66には、試験片61が配置される。試験片61は、第1チャンバ64から第2チャンバ65まで貫通する貫通孔を有する多孔質構造を有する。空気は、試験片61の多孔質構造を通過することによって、第1チャンバ64と第2チャンバ65との間において移動できる。
【0045】
測定装置60は、第1流路67、第2流路68、及び送風機69を有する。第1流路67は、第1チャンバ64を第1ケース62の外と連通させるように、第1チャンバ64に繋がる。第2流路68は、第2チャンバ65を第2ケース63の外と連通させるように、第2チャンバ65に繋がる。第1流路67、第1チャンバ64、第2チャンバ65、及び第2流路68によって、測定装置60に空気流路70が構成される。送風機69は、第1流路67から測定装置60に空気を送り込む。送風機69が送り込む空気は、空気流路70を流れる。空気流路70を流れた空気は、第2流路68から測定装置60の外に流れ出る。
【0046】
測定装置60は、第1流量計71及び第2流量計72を有する。第1流量計71および第2流量計72は、例えば風量計である。第1流量計71は、第1流路67の通過風量を測定するように構成される。第2流量計72は、第2流路68の通過風量を測定するように構成される。
【0047】
測定装置60は、第1差圧計73及び第2差圧計74を有する。第1差圧計73及び第2差圧計74は、例えば圧力計である。第1差圧計73は、第1チャンバ64内の圧力を測定するように構成される。第2差圧計74は、第2チャンバ65内の圧力を測定するように構成される。送風機69によって測定装置60に空気が送り込まれる状態において、第1チャンバ64内の圧力と第2チャンバ65内の圧力との差が、試験片61の流動抵抗である。
【0048】
測定装置60は、第1流路67の通過風量が100L/分である場合に、第1流路67の通過風量と第2流路68の通過風量との差が、第1流路67の通過風量の1%未満であるように構成される。第1ケース62及び第2ケース63は、連通孔66以外の部分からは、空気が第1チャンバ64と第2チャンバ65との間において移動できないように構成される。試験片61は、第1ケース62と第2ケース63との間に挟み込まれるように配置される。この際、第1ケース62と試験片61とが接触する部分、及び第2ケース63と試験片61とが接触する部分は、空気が漏れないようにパッキンによって密閉される。試験片61の表面における空気通過面積は、試験片61の種類に関わらず同じに設定される。試験片61のうち、第1チャンバ64に露出する面積は、試験片61の種類に関わらず同じに設定される。試験片61のうち、第2チャンバ65に露出する面積は、試験片61の種類に関わらず同じに設定される。送風機69は、第1流量計71及び第2流量計72によって測定される通過風量が安定するように、測定装置60及び試験片61による圧損に関わらず、100L/分を確保できるように構成される。
【0049】
多孔質部材41の流動抵抗は、例えば、0.2kPa以上、かつ、1.2kPa以下である。多孔質部材41の流動抵抗は、例えば、0.3kPa以上、かつ、1.1kPa以下であってもよい。多孔質部材41の流動抵抗は、例えば、0.35kPa以上、かつ、1.0kPa以下であってもよい。多孔質部材41の流動抵抗を、0.2kPa以上とすることによって、多孔質部材41を樹脂42Aが流れ難くなる。一方、多孔質部材41の流動抵抗を、1.2kPa以下とすることによって、樹脂42Aが多孔質部材41の気孔へ適度に充填されるため、樹脂部材42が多孔質部材41と接合できる。
【0050】
多孔質部材41の流動抵抗は、例えば、0.4kPa以上、かつ、1.1kPa以下であってもよい。多孔質部材41の流動抵抗は、例えば、0.5kPa以上、かつ、1.1kPa以下であってもよい。多孔質部材41の流動抵抗を、0.4kPa以上とすることによって、ファン用部材40において多孔質部材41の多孔質構造が好適に維持される。多孔質部材41の流動抵抗を、1.1kPa以下とすることによって、多孔質部材41の多孔質構造が維持されつつも、樹脂部材42が多孔質部材41と好適に接合できる。
【0051】
多孔質部材41の流動抵抗は、例えば、樹脂42AのMFRに重力加速度を乗じた後に、その乗算値を多孔質部材41の断面積によって除した値よりも大きい。多孔質部材41の断面積は、翼32を厚さ方向から見た場合の多孔質部材41の断面積である。
【0052】
多孔質部材41の流動抵抗は、多孔質部材41の気孔径と、多孔質部材41の気孔率とによって設定される。多孔質部材41の気孔径が小さい程、多孔質部材41の流動抵抗は大きくなり、多孔質部材41の気孔径が大きい程、多孔質部材41の流動抵抗は小さくなる。多孔質部材41の気孔率が小さい程、多孔質部材41の流動抵抗は大きくなり、多孔質部材41の気孔率が大きい程、多孔質部材41の流動抵抗は小さくなる。
【0053】
多孔質部材41の気孔径は、例えば、多孔質部材41が有する気孔の平均気孔径である。平均気孔径の測定方法は特に制限されないが、例えばBET法ともいうガス吸着法によって測定することができる。ガス吸着法の条件は、例えば、JIS Z8831-2 2010またはISO 15901-2 2006に準拠する試験条件である。ガス吸着法の条件は、JIS Z8830 2013またはISO 9277 2010に準拠する試験条件であってもよい。多孔質部材41の気孔率は、例えば、多孔質部材41の総体積に対する多孔質部材41が有する気孔の総体積である。
【0054】
多孔質部材41の気孔率は、20%以上、かつ、90%以下であって、多孔質部材41の気孔径は、50μm以上、かつ、500μm以下である。多孔質部材41の気孔率は、30%以上、かつ、90%以下であってもよく、多孔質部材41の気孔径は、90μm以上、かつ、300μm以下であってもよい。多孔質部材41の気孔率は、30%以上、かつ、80%以下であってもよく、多孔質部材41の気孔径は、100μm以上、かつ、200μm以下であってもよい。
【0055】
図3に示されるように、多孔質部材41は、中央部43と、周縁部44と、を有する。
図3では中央部43と周縁部44との境目が、破線によって表示されている。中央部43は、多孔質部材41のうちの樹脂42Aが流れずに、多孔質構造が露出する部分である。中央部43には、ファン用部材40のインサート成形後において多孔質部材41の気孔によって多孔質部材41の貫通孔が形成されるように、多孔質部材41の気孔が維持される。
【0056】
中央部43の面積は、例えば、2400mm2以上、かつ、6200mm2以下である。中央部43の面積は、例えば、2800mm2以上、かつ、5800mm2以下であってもよい。中央部43の面積は、例えば、3200mm2以上、かつ、5400mm2以下であってもよい。中央部43の面積は、例えば、1つの翼32に配置される多孔質部材41のうちの中央部43の面積である。
【0057】
周縁部44は、例えば、中央部43の周囲に位置する。周縁部44は、多孔質部材41のうちの樹脂42Aが流れる部分である。周縁部44は、ファン用部材40のインサート成形後において、多孔質部材41の気孔が維持されてもよく、維持されていなくてもよい。周縁部44の幅D1は、例えば、2mm以上、かつ、6mm以下である。周縁部44の幅D1は、例えば、2.5mm以上、かつ、5.5mm以下である。周縁部44の幅D1は、例えば、3mm以上、かつ、5mm以下である。周縁部44の幅D1は、例えば、中央部43の端部から多孔質部材41の端部までの長さである。周縁部44の幅D1は、例えば、中央部43の端部から多孔質部材41の端部までの長さのうちの最も短い長さである。
【0058】
周縁部44の気孔径は、中央部43の気孔径と同じでもよく、中央部43の気孔径よりも小さくてもよい。周縁部44の気孔率は、中央部43の気孔率と同じでもよく、中央部43の気孔率よりも小さくてもよい。本実施形態では、周縁部44の気孔径が中央部43の気孔径と同じ場合、周縁部44の気孔率は、中央部43の気孔率よりも小さい。本実施形態では、周縁部44の気孔率が中央部43の気孔率と同じ場合、周縁部44の気孔径は、中央部43の気孔径よりも小さい。
【0059】
周縁部44の流動抵抗は、中央部43の流動抵抗とは異なる。本実施形態では、周縁部44の流動抵抗は、中央部43の流動抵抗よりも大きい。周縁部44の流動抵抗は、多孔質部材41の形成時に、中央部43の流動抵抗と異なるように設定される。周縁部44の流動抵抗が、中央部43の流動抵抗よりも大きいため、ファン用部材40のインサート成形時に、樹脂42Aが周縁部44を越えて中央部43まで流れ込み難い。周縁部44の流動抵抗は、インサート成形時に金型50によって多孔質部材41が圧縮される際に、気孔が圧縮されて、気孔率が低くなることによって、中央部43の流動抵抗よりも大きくなってもよい(
図6参照)。
【0060】
図3に示されるように、多孔質部材41は、孔充填部45を有する。孔充填部45において、多孔質部材41の複数の気孔は、樹脂42Aによって充填されている。孔充填部45は、ファン用部材40がインサート成形される際に、多孔質部材41の気孔に樹脂42Aが浸み込むことによって成形される部分である。多孔質部材41は、孔充填部45によって樹脂部材42と接続される。孔充填部45は中央部43の周囲に位置する。孔充填部45は、周縁部44と重なってもよい。
【0061】
<ファン用部材の製造方法>
図3から
図6に示されるように、製造方法は、複数の気孔を有する多孔質部材41と、多孔質部材41と一体に成形される樹脂部材42と、を備えるファン用部材40の製造方法である。製造方法は、多孔質部材41を、メルトフローレート(MFR)が2g/10分以上、かつ、45g/10分以下である樹脂42Aでインサート成形する工程を含む。ファン用部材40は、例えば、インサート成形によって成形される。
図5及び
図6では、図の右側が、回転半径方向における翼32のハブ31側に対応する。また、図の左側が、回転半径方向における翼32の外端側に対応する。製造方法は、第1工程、第2工程、及び第3工程を含む。
【0062】
第1工程は、金型50に多孔質部材41を配置する工程である。
図5は、第1工程において、金型50に多孔質部材41が配置された状態を示す。金型50には、孔51に挿入されるピン52が設けられる。第1工程では、ピン52は、孔51から突出するように配置される。多孔質部材41は、ピン52に接触するように、金型50に配置される。
【0063】
第2工程は、金型50によって、多孔質部材41を押さえる工程である。第2工程において、多孔質部材41の厚さが第1寸法W1から第2寸法W2に薄くなるように、多孔質部材41は、金型50によって厚さ方向に圧縮される。多孔質部材41の圧縮量は、例えば、圧縮後の多孔質部材41の流動抵抗に基づいて設定される。
【0064】
第3工程は、多孔質部材41を、樹脂42Aでインサート成形する工程である。
図6に矢印で示すように、
図6の右側から金型50内に樹脂42Aが射出される。樹脂42Aが射出される工程において、多孔質部材41は、ピン52によって移動が抑制される。樹脂42Aが金型50内を満たすと、樹脂42Aの圧力によって、ピン52は、孔51に押し込まれる。インサート成形後の樹脂部材42には、ピン52の跡52Aが残ってもよい(
図3参照)。インサート成形時に多孔質部材41が金型50に対して動かないように多孔質部材41を金型50に配置できれば、金型50から、孔51及びピン52が省略されてもよい。
【0065】
<多孔質部材の騒音低減効果>
ファン用部材40の騒音低減効果は、多孔質部材41が、空気流KRが多孔質部材41の気孔を通過するように配置されることによって得られる。多孔質部材41の気孔が小さすぎる場合、または多孔質部材41の気孔率が少なすぎる場合では、空気流KRが多孔質部材41の気孔を通過できないため、十分な騒音低減効果が得られない。多孔質部材41の気孔が大きい場合、または多孔質部材41の気孔率が大きい場合では、多孔質部材41の気孔を通過する空気流KRの量が大きくなる。多孔質部材41の気孔を通過する空気流KRの量が大きくなると、ファン30本来の昇圧効果を得られない虞がある。十分な騒音低減効果を維持できるだけでなく、ファン30本来の昇圧効果を得るために、多孔質部材41の気孔径及び気孔率に基づいて、多孔質部材41の流動抵抗が設定される。
【0066】
図7では、多孔質部材41の気孔径及び気孔率に対する多孔質部材41の流動抵抗の値がマッピングされる。
図7では、流動抵抗が0.2kPaである線が一点鎖線によって表示されている。多孔質部材41の流動抵抗が0.2kPa以上の領域では、インサート成形時に樹脂42Aが多孔質部材41に流れ込み難い。多孔質部材41の流動抵抗が0.2kPa以上の領域では、インサート成形時に樹脂42Aが多孔質部材41に流れ込み難いだけでなく、ファン30が好適な昇圧効果を得ることができる。
【0067】
図8では、多孔質部材41の気孔径及び気孔率に対する多孔質部材41の騒音低減効果の値がマッピングされる。騒音低減効果の値は、例えば、多孔質部材41が騒音を低減できる音圧である。多孔質部材41の気孔径が50μm以上、かつ、500μm以下であって、多孔質部材41の気孔率が20%以上、かつ、90%以下の領域では、多孔質部材41は、騒音低減効果を維持できる。なお、騒音低減効果は、同じ形状のファン30において、多孔質部材41が設けられないファン30における騒音の大きさに対する、多孔質部材41が設けられるファン30における騒音の大きさとして数値化される。
【0068】
図8には、流動抵抗が0.2kPa以上であって、多孔質部材41の気孔径が50μm以上、かつ、500μm以下であって、多孔質部材41の気孔率が20%以上、かつ、90%以下の領域が二点鎖線によって表示される。二点鎖線によって表示される領域では、騒音低減効果を維持できるだけでなく、ファン30が好適な昇圧効果を得ることができる。
【0069】
図9では、多孔質部材41の流動抵抗が0.4kPa、0.5kPa、0.8kPa、または、1.1kPaの場合における、樹脂部材42を構成する樹脂42AのMFRに対するファン用部材40の騒音低減効果の割合が示される。
図9のデータを取得するために、試験用の複数のファン30が作成される。具体的には、多孔質部材41の流動抵抗と、樹脂部材42を構成する樹脂42AのMFRとが異なるファン用部材40によって、試験用の複数のファン30が構成される。試験用の複数のファン30は、形状が同じである。試験用の複数のファン30のそれぞれを構成するファン用部材40の多孔質部材41は、同じ材料で流動抵抗が異なるように作成されている。試験用の複数のファン30のそれぞれを構成するファン用部材40の樹脂部材42は、MFRが異なる同種の樹脂42Aで作成されている。試験用のファン30を構成するファン用部材40の多孔質部材41は、ガラス繊維強化スチレンアタリロニトリル樹脂(ASG)の発泡体によって構成されている。試験用のファン30を構成するファン用部材40の樹脂部材42は、ガラス繊維強化スチレンアタリロニトリル樹脂(ASG)によって構成されている。試験用の複数のファン30のそれぞれが回転する際の騒音を測定することによって、
図9のデータが取得される。
【0070】
図9における騒音低減効果の割合は、多孔質部材41の流動抵抗が所定の値である場合において、試験用のファン30の騒音低減効果の最大値に対する、樹脂42AのMFRの各値における試験用のファン30の騒音低減効果の値の比である。
図9によれば、多孔質部材41の流動抵抗が1.1kPaである場合では、樹脂42AのMFRが25g/10分であると、騒音低減効果が最大値となる。多孔質部材41の流動抵抗が1.1kPaである場合、樹脂42AのMFRが35g/10分であると、ファン30は、騒音低減効果の最大値の約80%以上の騒音低減効果が得られる。
【0071】
樹脂42AのMFRが大きくなる程、インサート成形時に、樹脂42Aが多孔質部材41の貫通孔に流れ込み易いため、ファン用部材40による騒音低減効果は小さくなる傾向がある。なお、多孔質部材41の流動抵抗が大きく、かつ、樹脂42AのMFRが小さい領域では、ファン30の形成が難しいため、ファン用部材40の騒音低減効果にばらつきが発生する場合がある。
【0072】
ファン用部材40は、多孔質部材41の流動抵抗が0.4kPa以上0.8kPa以下の場合であり、かつ、樹脂42AのMFRが2g/10分以上、かつ、45g/10分以下の範囲において、騒音低減効果を得ることができる。また、ファン用部材40は、多孔質部材41の流動抵抗が0.4kPa以上1.1kPa以下の場合であり、かつ、樹脂42AのMFRが5g/10分以上、かつ、40g/10分以下の範囲において、騒音低減効果の最大値の20%以上の騒音低減効果を得ることができる。好ましくは、ファン用部材40は、多孔質部材41の流動抵抗が0.5kPa以上1.1kPa以下の場合であり、かつ、樹脂42AのMFRが5g/10分以上、かつ、40g/10分以下の範囲において、騒音低減効果の最大値の30%以上の騒音低減効果を得ることができる。
【0073】
<実施形態の作用>
本実施形態の作用を説明する。
本実施形態では、ファン用部材40は、MFRが2g/10分以上、かつ、45g/10分以下である樹脂42Aによって形成される樹脂部材42を備える。MFRが45g/10分以下の樹脂42Aは、樹脂42Aによるインサート成形時に、多孔質部材41の気孔に流れ込み難い。
【0074】
本実施形態のファン用部材40の一例では、多孔質部材41の流動抵抗は、0.5kPa以上、かつ、1.1kPa以下である。
図7には、流動抵抗が0.5kPaの場合、及び流動抵抗が1.1kPaの場合が、破線で示される。
図7には、流動抵抗について、0.5kPa以上、かつ、1.1kPa以下の範囲が、破線の間の領域によって表示される。流動抵抗が1.1kPa以下であることによって、樹脂42Aによるインサート成形時に、樹脂42Aは多孔質部材41を流れることができる。このため、ファン用部材40において、多孔質部材41と樹脂部材42とが好適に接合できる。一方、流動抵抗が0.5kPa以上であることによって、樹脂42Aによるインサート成形時に、ファン用部材40が多孔質構造による騒音低減効果を得られる程度に、多孔質部材41の多孔質構造が維持される。
【0075】
本実施形態の多孔質部材41は、多孔質部材41の気孔径が50μm以上、かつ、500μm以下であって、多孔質部材41の気孔率が20%以上、かつ、90%以下であるような流動抵抗を有する。多孔質部材41の流動抵抗が十分大きいため、多孔質部材41は、樹脂42Aが流れ難い。ファン用部材40は、十分な騒音低減効果を維持できるだけでなく、インサート成形時に樹脂42Aが多孔質部材41の気孔に流れ込み難い。
【0076】
本実施形態の多孔質部材41は、周縁部44を有する。ファン用部材40のインサート成形時において、樹脂42Aは、まず周縁部44に流れ込み、その後、周縁部44を介して中央部43に向かって流れる。本実施形態の周縁部44は、幅D1を有するため、樹脂42Aが中央部43まで流れ込むことを抑制できる。周縁部44に樹脂42Aが流れ込むことによって、多孔質部材41に孔充填部45が形成される。孔充填部45では気孔に樹脂42Aが流れ込むため、孔充填部45によって、多孔質部材41と樹脂部材42とが好適に接合される。
【0077】
<実施形態の効果>
本実施形態の効果を説明する。
(1)ファン用部材40は、多孔質部材41と、樹脂部材42と、を備える。樹脂部材42を構成する樹脂42AのMFRは、2g/10分以上、かつ、45g/10分以下である。多孔質部材41が有する複数の気孔のうちの一部には、樹脂42Aが充填されている。
【0078】
この構成によれば、樹脂42AのMFRが45g/10分以下であるため、樹脂42Aが充填される多孔質部材41の気孔を少なくできる。したがって、多孔質部材41の騒音低減効果を維持しつつ、多孔質部材41と樹脂部材42とを好適に一体成形できる。
【0079】
MFRが45g/10分以下の樹脂42Aでは、樹脂部材42が多孔質部材41と一体に成形される際に、樹脂42Aが多孔質部材41の気孔に流れ込み難い。樹脂42Aが多孔質部材41の気孔に流れ込み難いため、多孔質部材41の気孔が維持され易い。
【0080】
樹脂42AのMFRが45g/10分よりも大きい場合、金型50に対して樹脂42Aが流れやすくなるため、インサート成形時の射出時間を短縮できる。しかし樹脂42AのMFRが大きすぎる場合、インサート成形時に樹脂42Aが多孔質部材41の周縁部44だけでなく、多孔質部材41の中央部43まで流れ込む。多孔質部材41の中央部43まで樹脂42Aが流れ込むと、樹脂42Aが中央部43の気孔に充填されるため、多孔質部材41の気孔が少なくなる。多孔質部材41の気孔が少なくなることによって、多孔質部材41による騒音低減効果が減少する虞がある。樹脂42AのMFRが45g/10分以下であると、インサート成形時に樹脂42Aが多孔質部材41の中央部43まで浸み込むことを抑制できる。
【0081】
樹脂42AのMFRは、2g/10分以上、かつ、40g/10分以下であってもよい。この構成によれば、樹脂42Aが多孔質部材41の気孔に、より流れ込み難いため、多孔質部材41の気孔が、より維持され易い。
【0082】
樹脂42AのMFRは、2g/10分以上、かつ、35g/10分以下であってもよい。この構成によれば、樹脂42Aが多孔質部材41の気孔に、より流れ込み難いため、多孔質部材41の気孔が、より維持され易い。
【0083】
樹脂42AのMFRが2g/10分未満である場合、インサート成形時に樹脂42Aが金型50内を流れ難いため、ファン用部材40を形成し難い。樹脂42AのMFRが小さすぎると、ファン用部材40を薄肉化する場合に、樹脂42Aは、よりファン用部材40を形成し難い。樹脂42AのMFRが2g/10分以上であると、樹脂42Aは、インサート成形時に金型50内を好適に流れることができるため、ファン用部材40を好適に形成できる。
【0084】
樹脂42AのMFRは、5g/10分以上、かつ、45g/10分以下であってもよい。この構成によれば、樹脂42Aがインサート成形時に金型50内をより好適に流れることができるため、ファン用部材40を、より好適に形成できる。
【0085】
また、この構成によれば、多孔質部材41の複数の気孔のうち、樹脂42Aが充填される気孔が適切に設定される。このようにMFRを設定することによって、多孔質部材41の多孔質構造による騒音低減効果を維持しつつ、多孔質部材41と樹脂部材42との接合強度を向上することができる。
【0086】
(2)樹脂42AのMFRは、5g/10分以上、かつ、40g/10分以下である。この構成によれば、樹脂42AのMFRが40g/10分以下であるため、樹脂42Aが充填される多孔質部材41の気孔をより少なくできる。また、樹脂42AのMFRが5g/10分以上であると、樹脂42Aは、インサート成形時に金型50内を好適に流れることができるため、ファン用部材40をより好適に形成できる。
【0087】
(3)樹脂42AのMFRは、5g/10分以上、かつ、35g/10分以下である。この構成によれば、樹脂42AのMFRが35g/10分以下であるため、樹脂42Aが充填される多孔質部材41の気孔をより少なくできる。また、樹脂42AのMFRが5g/10分以上であると、樹脂42Aは、インサート成形時に金型50内を好適に流れることができるため、ファン用部材40をより好適に形成できる。
【0088】
(4)多孔質部材41の流動抵抗は、0.5kPa以上、かつ、1.1kPa以下である。この構成によれば、多孔質部材41の流動抵抗が0.5kPa以上であるため、樹脂42Aが充填される多孔質部材41の気孔をより少なくできる。一方、多孔質部材41の流動抵抗が1.1kPa以下であるため、樹脂42Aは、多孔質部材41と樹脂部材42とが一体となる程度に、多孔質部材41の気孔に充填できる。このように、ファン用部材40は、多孔質部材41の流動抵抗が0.5kPa以上、かつ、1.1kPa以下であるため、多孔質部材41を樹脂部材42と一体に成形しつつ、多孔質構造による騒音低減効果を維持できる。
【0089】
(5)多孔質部材41の気孔率は、20%以上、かつ、90%以下であって、多孔質部材41の気孔径は、50μm以上、かつ、500μm以下である。この構成によれば、多孔質部材41の気孔率が20%以上、かつ、90%以下であって、多孔質部材41の気孔径が50μm以上、かつ、500μm以下であるため、樹脂42Aが充填される多孔質部材41の気孔をより少なくできる。
【0090】
多孔質部材41の流動抵抗を大きくすることによって、樹脂42Aが多孔質部材41に流れ難くできる。樹脂42Aが多孔質部材41に流れ難いため、多孔質部材41の気孔に樹脂42Aが流れ込み難い。多孔質部材41の流動抵抗が大きくなるように、気孔率及び気孔径を小さくすることによって、多孔質部材41を樹脂部材42と一体に成形する際に多孔質部材41の気孔を維持し易い。気孔率が20%以上かつ90%以下、気孔径が50μm以上かつ500μm以下の多孔質部材41は、騒音低減効果を維持できるだけでなく、樹脂42Aが多孔質部材41の気孔に流れ込み難い流動抵抗を保持できる。
【0091】
多孔質部材41の気孔径が50μm未満である場合、多孔質部材41による騒音低減効果が低下する。多孔質部材41の気孔径が500μmよりも大きい場合、多孔質部材41の流動抵抗が小さくなるため、インサート成形時に樹脂42Aが多孔質部材41の気孔に流れ込み易い。多孔質部材41の気孔率が20%未満である場合、多孔質部材41による騒音低減効果が低下する。多孔質部材41の気孔率が90%よりも大きい場合、多孔質部材41の流動抵抗が小さくなるため、インサート成形時に樹脂42Aが多孔質部材41の気孔に流れ込み易い。
【0092】
(6)多孔質部材41の気孔率は、30%以上、かつ、90%以下であって、多孔質部材41の気孔径は、90μm以上、かつ、300μm以下である。この構成によれば、多孔質部材41の気孔率が30%以上、かつ、90%以下であって、多孔質部材41の気孔径が90μm以上、かつ、300μm以下であるため、樹脂42Aが充填される多孔質部材41の気孔をより少なくできる。
【0093】
(7)多孔質部材41は、孔充填部45を有する。孔充填部45において、多孔質部材41の気孔は、樹脂42Aによって充填されている。この構成によれば、孔充填部45では、多孔質部材41の複数の気孔に樹脂42Aが充填されているため、孔充填部45において、多孔質部材41は、樹脂部材42と好適に接合できる。
【0094】
(8)多孔質部材41は、中央部43と、周縁部44と、を有する。周縁部44の流動抵抗は、中央部43の流動抵抗とは異なる。この構成によれば、多孔質部材41において、中央部43の流動抵抗と周縁部44の流動抵抗とを異ならせることによって、多孔質部材41と樹脂部材42との接合具合を好適に操作できる。本実施形態では、周縁部44の流動抵抗を中央部43の流動抵抗よりも大きくすることによって、多孔質部材41と樹脂部材42とが、周縁部44においてのみ接合するように操作できる。
【0095】
(9)ファン用部材40は、多孔質部材41と、多孔質部材41と一体に成形される樹脂部材42と、を備える。多孔質部材41の気孔率は、20%以上、かつ、90%以下であって、多孔質部材41の気孔径は、50μm以上、かつ、500μm以下である。この構成によれば、多孔質部材41の気孔率が20%以上、かつ、90%以下であって、多孔質部材41の気孔径が50μm以上、かつ、500μm以下であるため、樹脂42Aが充填される多孔質部材41の気孔を少なくできる。したがって、多孔質部材41の騒音低減効果を維持しつつ、多孔質部材41と樹脂部材42とを好適に一体成形できる。
【0096】
(10)ファン30は、ファン用部材40により構成される。この構成によれば、ファン用部材40により構成されるファン30を提供できる。
【0097】
(11)ファンユニット20は、ファン30と、ベルマウス21と、を備える。この構成によれば、ファン30とベルマウス21とを備えるファンユニット20を提供できる。
【0098】
(12)空気調和機10Aは、ファンユニット20を備える。この構成によれば、ファンユニット20を備える空気調和機10Aを提供できる。
【0099】
(13)ファン用部材40の製造方法は、複数の気孔を有する多孔質部材41を、MFRが2g/10分以上、かつ、45g/10分以下である樹脂42Aでインサート成形する工程を含む。この構成によれば、樹脂42AのMFRが2g/10分以上、かつ、45g/10分以下であるため、多孔質部材41がインサート成形される際に、樹脂42Aが多孔質部材41の気孔に流れ込み難い。樹脂42Aが多孔質部材41の気孔に流れ込み難いため、多孔質部材41の気孔が、維持され易い。このようなMFRの樹脂部材42を使用することによって、多孔質部材41の騒音低減効果を維持しつつ、好適に多孔質部材41をインサート成形できる。
【0100】
<変形例>
本開示の空気調和機、ファンユニット、ファン、ファン用部材、及びファン用部材の製造方法は、上記実施形態以外に、例えば以下に示される変形例、及び相互に矛盾しない少なくとも二つの変形例を組み合わせた形態としてもよい。
【0101】
・空気調和機10Aは、空気清浄機であってもよい。ファンユニット20は、空気清浄機の吸込口または吹出口を構成してもよい。空気清浄機は、例えば、吸い込んだ空気を、フィルタ、UV装置、イオナイザー装置、除ウィルスの散布装置、および、ストリーマ装置等によって処理した後に、吹き出す。空気清浄機は、住宅、オフィス等の室内空間の空気を処理するように構成される。空気清浄機は、物品を保管する倉庫内の空間、物品を取り扱う作業用空間等の屋内空間の空気を処理するように構成されてもよい。
【0102】
・ファンユニット20は、ヒートポンプ装置に備えられてもよい。本変形例のヒートポンプ装置は、ファンユニット20を備える。ヒートポンプ装置は、例えば、冷媒回路を有する装置である。ヒートポンプ装置は、例えば、空調機または給湯器である。この構成によれば、ファンユニット20を備えるヒートポンプ装置を提供できる。
【0103】
・ファン用部材40によって構成される部材は、ファン30に限定されない。ベルマウス21が、ファン用部材40によって構成されてもよく、ファンケーシング23が、ファン用部材40によって構成されてもよい。ファンケーシング23がファン用部材40によって構成される場合、吹出口23Aまたは支持部23Bがファン用部材40によって構成されてもよい。
【0104】
・所定条件は、ISO 1133-1またはISO 1133-2に準拠する試験条件であってもよい。所定条件は、JIS K7210-1、JIS K7210-2、またはASTM D1238に準拠する試験条件であってもよい。
【0105】
・MFRは、メルトボリュームフローレート(MVR:Melt volume-flow rate)であってもよい。MVRは、例えば、樹脂42Aのメルトマスフローレートと、樹脂42Aの融解密度との積である。
【0106】
・周縁部44の流動抵抗は、中央部43の流動抵抗よりも小さくてもよい。この構成によれば、周縁部44に樹脂42Aが浸み込みやすくなるため、多孔質部材41と樹脂部材42との接合強度が向上する。
【0107】
本明細書は、次の技術を開示する。
(C1)多孔質部材(41)と、前記多孔質部材(41)と一体に成形される樹脂部材(42)と、を備えるファン用部材(40)であって、前記多孔質部材(41)は、中央部(43)と、前記中央部(43)の周囲に位置する周縁部(44)と、を有する。前記周縁部(44)の流動抵抗は、前記中央部(43)の流動抵抗とは異なる。
(C2)(C1)に記載のファン用部材(40)であって、前記多孔質部材(41)の気孔率は、20%以上、かつ、90%以下であって、前記多孔質部材(41)の気孔径は、50μm以上、かつ、500μm以下である。
【0108】
以上、ファン用部材、ファン、ファンユニット、空気調和機、ヒートポンプ装置、及びファン用部材の製造方法の実施形態及び変形例を説明したが、特許請求の範囲に記載されたファン用部材、ファン、ファンユニット、空気調和機、ヒートポンプ装置、及びファン用部材の製造方法の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0109】
10A…空気調和機、10…室外機、20…ファンユニット、21…ベルマウス、30…ファン、40…ファン用部材、41…多孔質部材、42…樹脂部材、42A…樹脂、43…中央部、44…周縁部、45…孔充填部。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の気孔を有する多孔質部材(41)と、前記多孔質部材(41)と一体に成形される樹脂部材(42)と、を備えるファン用部材(40)であって、
前記樹脂部材(42)を構成する樹脂(42A)のメルトフローレート(MFR)は、5g/10分以上、かつ、40g/10分以下であって、
前記多孔質部材(41)の流動抵抗は、0.5kPa以上、かつ、1.1kPa以下であって、
前記複数の気孔のうちの一部には、前記樹脂(42A)が充填されている、
ファン用部材。
【請求項2】
前記樹脂(42A)のメルトフローレート(MFR)は、5g/10分以上、かつ、35g/10分以下である、
請求項1に記載のファン用部材。
【請求項3】
前記多孔質部材(41)の気孔率は、20%以上、かつ、90%以下であって、
前記多孔質部材(41)の気孔径は、50μm以上、かつ、500μm以下である、
請求項1に記載のファン用部材。
【請求項4】
前記多孔質部材(41)の気孔率は、30%以上、かつ、90%以下であって、
前記多孔質部材(41)の気孔径は、90μm以上、かつ、300μm以下である、
請求項3に記載のファン用部材。
【請求項5】
前記多孔質部材(41)は、孔充填部(45)を有し、
前記孔充填部(45)において、前記多孔質部材(41)の前記複数の気孔は、前記樹脂(42A)によって充填されている、
請求項1に記載のファン用部材。
【請求項6】
前記多孔質部材(41)は、中央部(43)と、前記中央部(43)の周囲に位置する周縁部(44)と、を有し、
前記周縁部(44)の流動抵抗は、前記中央部(43)の流動抵抗とは異なる、
請求項1に記載のファン用部材。
【請求項7】
複数の気孔を有する多孔質部材(41)と、前記多孔質部材(41)と一体に成形される樹脂部材(42)と、を備えるファン用部材(40)であって、
前記樹脂部材(42)を構成する樹脂(42A)のメルトフローレート(MFR)は、2g/10分以上、かつ、45g/10分以下であって、
前記多孔質部材(41)は、中央部(43)と、前記中央部(43)の周囲に位置する周縁部(44)と、を有し、
前記周縁部(44)の流動抵抗は、前記中央部(43)の流動抵抗とは異なり、
前記複数の気孔のうちの一部には、前記樹脂(42A)が充填される、
ファン用部材。
【請求項8】
多孔質部材(41)と、前記多孔質部材(41)と一体に成形される樹脂部材(42)と、を備えるファン用部材(40)であって、
前記多孔質部材(41)の気孔率は、20%以上、かつ、90%以下であって、
前記多孔質部材(41)の気孔径は、50μm以上、かつ、500μm以下であって、
前記樹脂部材(42)を構成する樹脂(42A)のメルトフローレート(MFR)は、5g/10分以上、かつ、40g/10分以下であって、
前記多孔質部材(41)の流動抵抗は、0.5kPa以上、かつ、1.1kPa以下である、
ファン用部材。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の前記ファン用部材(40)により構成される、
ファン。
【請求項10】
請求項9に記載の前記ファン(30)と、
ベルマウス(21)と、を備える、
ファンユニット。
【請求項11】
請求項10に記載の前記ファンユニット(20)を備える、
空気調和機。
【請求項12】
請求項10に記載の前記ファンユニット(20)を備える、
ヒートポンプ装置。
【請求項13】
複数の気孔を有する多孔質部材(41)と、前記多孔質部材(41)と一体に成形される樹脂部材(42)と、を備えるファン用部材(40)の製造方法であって、
前記多孔質部材(41)を、メルトフローレート(MFR)が5g/10分以上、かつ、40g/10分以下である樹脂(42A)でインサート成形する工程を含み、
前記多孔質部材(41)の流動抵抗は、0.5kPa以上、かつ、1.1kPa以下である、
製造方法。