(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146882
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】水システム
(51)【国際特許分類】
F24H 1/18 20220101AFI20241004BHJP
【FI】
F24H1/18 H
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024053440
(22)【出願日】2024-03-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-10-03
(31)【優先権主張番号】P 2023058795
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023058796
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023058797
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】久保田 恵二
(72)【発明者】
【氏名】阪口 栄穂
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA23
3L122AB24
3L122AB25
3L122AB60
(57)【要約】
【課題】タンクと、タンクから延びる配管と、の間で水を流さない状態が続くと、配管が周囲温度によって冷却されることにより、配管内に温度差が生じる。このとき、配管内の水に対流が生じて低温水がタンク内に流れ込み、タンク内の水の温度成層が崩れる恐れがある、という課題がある。
【解決手段】給湯システムは、タンク21と、第1沸上配管B1と、第2沸上配管B2と、を備える。第1沸上配管B1は、タンク21から延びる。第2沸上配管B2は、第1沸上配管B1に接続される。第1沸上配管B1は、抑制部40を有する。抑制部40は、第1状態のときに、第2沸上配管B2内の水が、第1沸上配管B1を介してタンク21内に流れ込むことを抑制する。第1状態は、タンク21と第1沸上配管B1との間で水を流さない状態である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を貯留するタンク(21)と、
前記タンクから延びる第1配管(B1,B4)と、
前記第1配管に接続される第2配管(B2,B5)と、
水を加熱する熱源装置(110)と、
制御部(190)と、
を備え、
前記第1配管は、抑制部(40)を有し、
前記抑制部は、前記タンクと前記第1配管との間で水を流さない第1状態のときに、前記第2配管内の水が、前記第1配管を介して前記タンク内に流れ込むことを抑制し、
前記第1配管、前記第2配管、および前記熱源装置は、前記タンク内の水を加熱するための沸上回路(C1,C3~C5)を構成する、
水システム(100)。
【請求項2】
前記抑制部は、前記タンクに向かって上る、勾配部(40a,40b,40d)または段差部(40c)である、
請求項1に記載の水システム(100)。
【請求項3】
前記勾配部または前記段差部の前記タンク側の端部における流路最下部の位置(P1,P5,P7)は、前記勾配部または前記段差部の前記タンクとは反対側の端部における流路最上部の位置(P2,P6,P8)より高い、
請求項2に記載の水システム(100)。
【請求項4】
前記抑制部は、前記第1配管に設けられる第1弁である、
請求項1に記載の水システム(100)。
【請求項5】
水の流路を調整する第2弁(22)と、
前記タンクの上面から延びる第4配管(B4)と、
前記熱源装置に接続される第5配管(B5)と、
前記タンクの下面から延び、前記熱源装置に接続される第8配管(B8)と、
をさらに備え、
前記第1配管は、前記タンクの側面から延び、
前記第4配管、前記第5配管、および前記第2配管は、前記第2弁を介して互いに接続され、
前記制御部は、前記第1状態のときに、前記第2弁の前記第2配管側を開くように、前記第2弁を制御する、
請求項1から4のいずれか1つに記載の水システム(100)。
【請求項6】
前記制御部は、前記タンク内の水を、前記第8配管、前記熱源装置、前記第5配管、および前記第4配管の順に通過させて前記タンク内の水を加熱する第1沸上運転を行う、
請求項5に記載の水システム(100)。
【請求項7】
前記制御部は、前記タンク内の水を、前記第8配管、前記熱源装置、前記第5配管、前記第2配管、および前記第1配管の順に通過させて前記タンク内の水を加熱する第2沸上運転を行う、
請求項5に記載の水システム(100)。
【請求項8】
前記第1配管に接続される第3配管(B3)、
をさらに備え、
前記第8配管は、前記タンクの下面から延びる第6配管(B6)と、前記熱源装置に接続される第7配管(B7)と、を有し、
前記第3配管、前記第6配管、および前記第7配管は、互いに接続される、
請求項5に記載の水システム(100)。
【請求項9】
水の流路を調整する第2弁(22)と、
前記第1配管に接続される第3配管(B3)と、
前記タンクの上面から延びる第4配管(B4)と、
前記熱源装置に接続される第5配管(B5)と、
前記タンクの下面から延びる第6配管(B6)と、
前記熱源装置に接続される第7配管(B7)と、
をさらに備え、
前記第1配管は、前記タンクの側面から延び、
前記第4配管、前記第5配管、および前記第2配管は、前記第2弁を介して互いに接続され、
前記第3配管、前記第6配管、および前記第7配管は、互いに接続され、
前記抑制部は、前記第1配管の前記タンクとは反対側の端部に接続され、水の流路を調整する第3弁(40e)であり、
前記制御部は、前記第1状態のときに、前記第3弁の、前記第2配管側と前記第3配管側とを開き、前記第1配管側を閉じるように、前記第3弁を制御し、
前記第1配管、前記第2配管、および前記第3配管は、前記第3弁を介して互いに接続される、
請求項1に記載の水システム(100)。
【請求項10】
前記第3弁は、接続される配管ごとに、開度を調整可能な混合弁である、
請求項9に記載の水システム(100)。
【請求項11】
前記制御部は、前記タンク内の水を、前記第1配管、前記第3配管、前記第7配管、前記熱源装置、前記第5配管、および前記第4配管の順に通過させて前記タンク内の水を加熱する第3沸上運転を行う、
請求項9に記載の水システム(100)。
【請求項12】
水の流路を調整する第4弁(23)、
をさらに備え、
前記第3配管、前記第6配管、および前記第7配管は、前記第4弁を介して互いに接続される、
請求項8に記載の水システム(100)。
【請求項13】
前記制御部は、前記タンク内の水を、前記第1配管、前記第3配管、前記第7配管、前記熱源装置、前記第5配管、および前記第4配管の順に通過させて前記タンク内の水を加熱する第3沸上運転を行う、
請求項12に記載の水システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2012-042090号公報)に示されているように、熱源装置を用いてタンク内に水の温度成層を形成し、例えば、タンク内の温度が異なる水を混合させて、所定の温度の水を供給する技術がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
タンクと、タンクから延びる配管と、の間で水を流さない状態が続くと、配管が周囲温度によって冷却されることにより、配管内に温度差が生じる。このとき、配管内の水に対流が生じて低温水がタンク内に流れ込み、タンク内の水の温度成層が崩れる恐れがある、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の水システムは、タンクと、第1配管と、第2配管と、熱源装置と、制御部と、を備える。タンクは、水を貯留する。第1配管は、タンクから延びる。第2配管は、第1配管に接続される。熱源装置は、水を加熱する。第1配管は、抑制部を有する。抑制部は、第1状態のときに、第2配管内の水が、第1配管を介してタンク内に流れ込むことを抑制する。第1状態は、タンクと第1配管との間で水を流さない状態である。第1配管、第2配管、および熱源装置は、タンク内の水を加熱するための沸上回路を構成する。
【0005】
第1観点の水システムでは、抑制部は、第1状態のときに、第2配管内の水が、第1配管を介してタンク内に流れ込むことを抑制する。第1状態は、タンクと第1配管との間で水を流さない状態である。その結果、水システムは、タンクと第1配管との間で水を流さない第1状態のときに、第2配管内の低温水が、第1配管を介してタンク内に流れ込むことを抑制し、タンク内の水の温度成層が崩れることを防止することができる。
【0006】
第2観点の水システムは、第1観点の水システムであって、抑制部は、勾配部または段差部である。勾配部または段差部は、タンクに向かって上る。
【0007】
第2観点の水システムは、このような構成により、第1状態のときに、第2配管内の低温水が、第1配管を介してタンク内に流れ込むことを抑制することができる。
【0008】
第3観点の水システムは、第2観点の水システムであって、勾配部または段差部のタンク側の端部における流路最下部の位置は、勾配部または段差部のタンクとは反対側の端部における流路最上部の位置より高い。
【0009】
第3観点の水システムは、このような構成により、第1状態のときに、第2配管内の低温水が、第1配管を介してタンク内に流れ込むことを、より効果的に抑制することができる。
【0010】
第4観点の水システムは、第1観点の水システムであって、抑制部は、第1配管に設けられる第1弁である。
【0011】
第4観点の水システムは、このような構成により、第1状態のときに、第2配管内の低温水が、第1配管を介してタンク内に流れ込むことを抑制することができる。
【0012】
第5観点の水システムは、第1観点から第4観点のいずれか1つの水システムであって、第2弁と、第4配管と、第5配管と、第8配管と、をさらに備える。第2弁は、水の流路を調整する。第4配管は、タンクの上面から延びる。第5配管は、熱源装置に接続される。第8配管は、タンクの下面から延びる。第8配管は、熱源装置に接続される。第1配管は、タンクの側面から延びる。第4配管、第5配管、および第2配管は、第2弁を介して互いに接続される。制御部は、第1状態のときに、第2弁の第2配管側を開くように、第2弁を制御する。
【0013】
第6観点の水システムは、第5観点の水システムであって、制御部は、第1沸上運転を行う。第1沸上運転は、タンク内の水を、第8配管、熱源装置、第5配管、および第4配管の順に通過させてタンク内の水を加熱する。
【0014】
第7観点の水システムは、第5観点または第6観点の水システムであって、制御部は、第2沸上運転を行う。第2沸上運転は、タンク内の水を、第8配管、熱源装置、第5配管、第2配管、および第1配管の順に通過させてタンク内の水を加熱する。
【0015】
第8観点の水システムは、第5観点から第7観点のいずれか1つの水システムであって、第3配管をさらに備える。第3配管は、第1配管に接続される。第8配管は、第6配管と、第7配管と、を有する。第6配管は、タンクの下面から延びる。第7配管は、熱源装置に接続される。第3配管、第6配管、および第7配管は、互いに接続される。
【0016】
第9観点の水システムは、第1観点の水システムであって、第2弁と、第3配管と、第4配管と、第5配管と、第6配管と、第7配管と、をさらに備える。第2弁は、水の流路を調整する。第3配管は、第1配管に接続される。第4配管は、タンクの上面から延びる。第5配管は、熱源装置に接続される。第6配管は、タンクの下面から延びる。第7配管は、熱源装置に接続される。第1配管は、タンクの側面から延びる。第4配管、第5配管、および第2配管は、第2弁を介して互いに接続される。第3配管、第6配管、および第7配管は、互いに接続される。抑制部は、第3弁である。第3弁は、第1配管のタンクとは反対側の端部に接続される。第3弁は、水の流路を調整する。制御部は、第1状態のときに、第3弁の、第2配管側と第3配管側とを開き、第1配管側を閉じるように、第3弁を制御する。第1配管、第2配管、および第3配管は、第3弁を介して互いに接続される。
【0017】
第9観点の水システムでは、制御部は、第1状態のときに、第3弁の、第2配管側と第3配管側とを開き、第1配管側を閉じるように、第3弁を制御する。その結果、水システムは、第1状態のときに、第2配管内の低温水が、第1配管を介してタンク内に流れ込むことを抑制し、タンク内の水の温度成層が崩れることを防止することができる。
【0018】
第10観点の水システムは、第9観点の水システムであって、第3弁は、混合弁である。混合弁は、接続される配管ごとに、開度を調整可能である。
【0019】
第10観点の水システムは、このような構成により、沸上運転の運転開始後、暫くの間は、タンク内の低温層および中温層の水を、タンク内の高温層に戻し、その後徐々に、高温層に戻す中温層の水を減らす等、柔軟な沸上運転を行うことができる。
【0020】
第11観点の水システムは、第9観点の水システムであって、制御部は、第3沸上運転を行う。第3沸上運転は、タンク内の水を、第1配管、第3配管、第7配管、熱源装置、第5配管、および第4配管の順に通過させてタンク内の水を加熱する。
【0021】
第12観点の水システムは、第8観点の水システムであって、第4弁をさらに備える。第4弁は、水の流路を調整する。第3配管、第6配管、および第7配管は、第4弁を介して互いに接続される。
【0022】
第13観点の水システムは、第12観点の水システムであって、制御部は、第3沸上運転を行う。第3沸上運転は、タンク内の水を、第1配管、第3配管、第7配管、熱源装置、第5配管、および第4配管の順に通過させてタンク内の水を加熱する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1実施形態における給湯システムの構成図である。
【
図2】タンクから延びる従来の配管の一例を示す図である。
【
図3】第1実施形態における第1沸上配管付近の拡大図である。
【
図4】変形例1Aにおける第1沸上配管付近の拡大図である。
【
図5】変形例1Bにおける第1沸上配管付近の拡大図である。
【
図6】変形例1Cにおける第1沸上配管付近の拡大図である。
【
図7】変形例1Eにおける第4沸上配管付近の拡大図である。
【
図8】第2実施形態における給湯システムの構成図である。
【
図9】タンクから延びる従来の配管の一例を示す図である。
【
図10】第2実施形態における第1沸上配管付近の拡大図である。
【
図11】第3実施形態における給湯システムの構成図である。
【
図12】第3実施形態における第1沸上配管付近の拡大図である。
【
図13】第4実施形態における給湯システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
(1)給湯システムの構成
図1は、本実施形態における給湯システム100(水システム)の構成図である。
図1に示されるように、給湯システム100は、主として、ヒートポンプユニット110(熱源装置)と、貯湯ユニット120と、給湯部140と、止水栓160と、制御部190と、を有する。
【0025】
ヒートポンプユニット110は、貯湯ユニット120から供給される水を加熱して、加熱された水を貯湯ユニット120に供給する。貯湯ユニット120は、ヒートポンプユニット110から供給される加熱された水を貯留し、例えば、貯留されている高温水の水を給湯部140に供給する。給湯部140は、蛇口およびシャワー等の水を供給する設備である。止水栓160は、水道等の外部の給水源に接続されている。止水栓160は、貯湯ユニット120に水を供給するために操作される。
【0026】
(1-1)ヒートポンプユニット
ヒートポンプユニット110は、主として、圧縮機11と、水熱交換器12と、膨張弁13と、空気熱交換器14と、を有する。圧縮機11、水熱交換器12、膨張弁13、および空気熱交換器14は、冷媒配管によって環状に接続されてヒートポンプサイクルを構成する。また、ヒートポンプユニット110は、第1制御装置10を有する。
【0027】
圧縮機11は、モータを駆動することで冷媒を圧縮する圧縮機構を有する。圧縮機11によって圧縮された冷媒は、水熱交換器12に送られる。ヒートポンプユニット110の能力は、モータの運転周波数の制御により調整可能である。
【0028】
水熱交換器12は、圧縮機11によって圧縮された高温の冷媒と、貯湯ユニット120から供給される水との間で熱交換を行い、水を加熱する。水熱交換器12は、例えば、外管と、外管内部に挿入される内管と、からなる二重管熱交換器である。
【0029】
膨張弁13は、水熱交換器12を通過して熱交換された冷媒を減圧する。膨張弁13は、例えば、電動膨張弁である。
【0030】
空気熱交換器14は、膨張弁13を通過して減圧された冷媒と、外気との間の熱交換を行い、冷媒を加熱する。空気熱交換器14には、例えば、外気ファンによって外気が供給される。空気熱交換器14を通過して熱交換された冷媒は、圧縮機11に送られる。
【0031】
(1-2)貯湯ユニット
貯湯ユニット120は、主として、タンク21と、第1沸上配管B1(第1配管)と、第2沸上配管B2(第2配管)と、第4沸上配管B4(第4配管)と、第5沸上配管B5(第5配管)と、第8沸上配管B8(第8配管)と、第1給湯配管S1~第6給湯配管S6と、給水配管L1と、排水配管L2と、第1沸上弁22(第2弁)と、沸上ポンプ24と、第1給湯弁25と、第2給湯弁26と、排水弁28と、を有する。また、貯湯ユニット120は、第2制御装置20を有する。
【0032】
タンク21は、水を貯留する。水の密度が温度に応じて変化することにより、タンク21内に貯留される水は、上側から下側にかけて順に、高温層、中温層、低温層となる層を形成する。
【0033】
第1沸上配管B1は、タンク21の側面から延びる。第1沸上配管B1のタンク21とは反対側の先端は、第2沸上配管B2と接続されている。
【0034】
第2沸上配管B2は、第1沸上配管B1に接続され上方向に延びる。本実施形態では、第2沸上配管B2は、第1沸上配管B1の先端から上方向に延びる。第2沸上配管B2は、第1沸上配管B1の途中から上方向に延びてもよい。第2沸上配管B2は、第1沸上弁22に接続されている。
【0035】
第4沸上配管B4は、タンク21の上面から延びる。第4沸上配管B4のタンク21とは反対側の先端は、第1沸上弁22に接続されている。
【0036】
第5沸上配管B5の一端は、第1沸上弁22に接続され、第5沸上配管B5の他端は、ヒートポンプユニット110の水熱交換器12の出口側に接続されている。
【0037】
第8沸上配管B8は、タンク21の下面から延びる。第8沸上配管B8のタンク21とは反対側の先端は、ヒートポンプユニット110の水熱交換器12の入口側に接続されている。第8沸上配管B8には、沸上ポンプ24が設けられている。
【0038】
第1沸上弁22は、水の流路を調整する。第4沸上配管B4、第5沸上配管B5、および第2沸上配管B2は、第1沸上弁22を介して互いに接続される。第1沸上弁22は、例えば、三方弁または混合弁である。三方弁は、接続される配管ごとに、開閉を調整可能である。混合弁は、接続される配管ごとに、開度を調整可能である。本実施形態では、第1沸上弁22は、混合弁である。
【0039】
タンク21、第1沸上配管B1、第2沸上配管B2、第4沸上配管B4、第5沸上配管B5、第8沸上配管B8、第1沸上弁22、およびヒートポンプユニット110の水熱交換器12は、タンク21内の水を加熱するための沸上回路C1を構成する。
【0040】
第1給湯配管S1は、タンク21の側面から延びる。第1給湯配管S1のタンク21とは反対側の先端は、第2給湯配管S2と接続されている。
【0041】
第2給湯配管S2は、第1給湯配管S1に接続され上方向に延びる。本実施形態では、第2給湯配管S2は、第1給湯配管S1の先端から上方向に延びる。第2給湯配管S2は、第1給湯配管S1の途中から上方向に延びてもよい。第2給湯配管S2は、第1給湯弁25に接続されている。
【0042】
第3給湯配管S3は、第1給湯配管S1の先端から下方向に延びる。第3給湯配管S3は、第2給湯弁26に接続されている。
【0043】
第4給湯配管S4は、タンク21の上面から延びる。第4給湯配管S4のタンク21とは反対側の先端は、第1給湯弁25に接続されている。
【0044】
第5給湯配管S5の一端は、第1給湯弁25に接続され、第5給湯配管S5の他端は、給湯部140に接続されている。
【0045】
第6給湯配管S6は、タンク21の下面から延びる。第6給湯配管S6のタンク21とは反対側の先端は、第2給湯弁26に接続されている。第2給湯弁26は、電動開閉弁である。
【0046】
給水配管L1の一端は、第2給湯弁26に接続され、給水配管L1の他端は、貯湯ユニット120の外部において止水栓160に接続される。
【0047】
排水配管L2は、タンク21の下面から延びる。排水配管L2には、排水弁28が設けられている。排水配管L2は、貯湯ユニット120の外部において排水用の配管に接続されている。
【0048】
第1給湯弁25は、水の流路を調整する。第4給湯配管S4、第5給湯配管S5、および第2給湯配管S2は、第1給湯弁25を介して互いに接続される。本実施形態では、第1給湯弁25は、三方弁である。
【0049】
第2給湯弁26は、水の流路を調整する。第3給湯配管S3、第6給湯配管S6、および給水配管L1は、第2給湯弁26を介して互いに接続される。本実施形態では、第2給湯弁26は、三方弁である。
【0050】
タンク21、第1給湯配管S1~第2給湯配管S2、第4給湯配管S4~第6給湯配管S6、給水配管L1、および給湯部140は、タンク21内の水を供給するための給湯回路C2を構成する。
【0051】
排水弁28は、タンク21内、沸上回路C1内、および給湯回路C2内の水を外部に排出するために操作される。
【0052】
(1-3)制御部
制御部190は、主として、ヒートポンプユニット110の第1制御装置10と、貯湯ユニット120の第2制御装置20とから構成される。第1制御装置10および第2制御装置20は、典型的には、制御演算装置および記憶装置を備えるマイクロコンピュータと、入出力回路とから構成される。制御演算装置は、CPUまたはGPU等のプロセッサである。制御演算装置は、記憶装置に記憶されている制御プログラムを読み出し、制御プログラムに従って、給湯システム100の運転制御を行う。制御演算装置は、制御プログラムに従って、演算結果を記憶装置に書き込んだり、記憶装置に記憶されている情報を読み出したりすることができる。
【0053】
制御部190は、タンク21に設けられた温度センサ(図示せず)等からの信号に基づいて、圧縮機11、膨張弁13、第1沸上弁22、沸上ポンプ24、第1給湯弁25、第2給湯弁26、および排水弁28等を制御する。
【0054】
(2)給湯システムの動作
給湯システム100は、主として、沸上運転および給湯運転を行う。制御部190は、給湯システム100が行うこれらの運転を制御する。
【0055】
(2-1)沸上運転
沸上運転は、ヒートポンプユニット110によりタンク21内の水を加熱する運転である。制御部190は、沸上ポンプ24を駆動し、タンク21内の水を、第1沸上配管B1、第2沸上配管B2、第4沸上配管B4、第5沸上配管B5、および第8沸上配管B8を介して循環させながら、水熱交換器12において加熱する。
【0056】
制御部190は、圧縮機11のモータの運転周波数、および膨張弁13の開度を制御して、水熱交換器12において加熱された水の温度等を調整する。
【0057】
例えば、制御部190は、第1沸上運転を行う。第1沸上運転は、タンク21内の水を、第8沸上配管B8、水熱交換器12、第5沸上配管B5、および第4沸上配管B4の順に通過させてタンク21内の水を加熱する。具体的には、制御部190は、第1沸上弁22の、第4沸上配管B4側と第5沸上配管B5側とを開き、第2沸上配管B2側を閉じるように、第1沸上弁22を制御する。このように、第1沸上弁22を制御した上で、制御部190が沸上ポンプ24を駆動すると、タンク21内の低温層の水が、水熱交換器12によって加熱され、タンク21内の高温層に戻される。
【0058】
例えば、制御部190は、第2沸上運転を行う。第2沸上運転は、タンク21内の水を、第8沸上配管B8、水熱交換器12、第5沸上配管B5、第2沸上配管B2、および第1沸上配管B1の順に通過させてタンク21内の水を加熱する。具体的には、制御部190は、第1沸上弁22の、第2沸上配管B2側と第5沸上配管B5側とを開き、第4沸上配管B4側を閉じるように、第1沸上弁22を制御する。このように、第1沸上弁22を制御した上で、制御部190が沸上ポンプ24を駆動すると、タンク21内の低温層の水が、水熱交換器12によって加熱され、タンク21内の中温層に戻される。
【0059】
沸上運転の運転開始後、暫くの間は、ヒートポンプユニット110による水の加熱が不十分であるため、沸上運転の運転開始時から第1沸上運転が行なわれると、タンク21内の低温層の水が、タンク21内の高温層に戻され、タンク21内の温度が下がる恐れがある。そのため、制御部190は、沸上運転の運転開始時は第2沸上運転を行い、その後徐々に、第1沸上弁22の第2沸上配管B2側の開度を小さく、そして第1沸上弁22の第4沸上配管B4側の開度を大きくし、最終的に第1沸上運転を行ってもよい。このように、制御部190が第1沸上弁22を制御することにより、沸上運転の運転開始後、暫くの間は、タンク21内の低温層の水がタンク21内の中温層に戻されることになり、タンク21内の温度が下がりにくくなる。
【0060】
(2-2)給湯運転
給湯運転は、タンク21内の水を用いて、所定の温度の水を給湯部140から出す運転である。所定の温度は、例えば、給湯システム100のユーザが、リモートコントローラ(図示せず)を用いて設定する。
【0061】
例えば、制御部190は、所定の温度の水を給湯部140から出すために、第1給湯弁25の、第4給湯配管S4側と第5給湯配管S5側とを開き、第2給湯配管S2側を閉じるように、第1給湯弁25を制御する。さらに、制御部190は、第2給湯弁26の、給水配管L1側と第6給湯配管S6側とを開き、第3給湯配管S3側を閉じるように、第2給湯弁26を制御する。このように、第1給湯弁25および第2給湯弁26を制御した上で、(止水栓160が開かれた状態で)ユーザが給湯部140から水を出すと、給水源からの水が、給水圧力により給水配管L1および第6給湯配管S6を介して、タンク21の下面からタンク21内に供給される。これにより、タンク21内の高温層の水が第4給湯配管S4を介して押し出され、第5給湯配管S5を通過して、給湯部140から流出する。
【0062】
例えば、制御部190は、所定の温度の水を給湯部140から出すために、第1給湯弁25を、第4給湯配管S4側、第5給湯配管S5側、および第2給湯配管S2側の三方を開くように制御する。さらに、制御部190は、第2給湯弁26の、給水配管L1側と第6給湯配管S6側とを開き、第3給湯配管S3側を閉じるように、第2給湯弁26を制御する。このように、第1給湯弁25および第2給湯弁26を制御した上で、(止水栓160が開かれた状態で)ユーザが給湯部140から水を出すと、給水源からの水が、給水圧力により給水配管L1および第6給湯配管S6を介して、タンク21の下面からタンク21内に供給される。これにより、タンク21内の高温層の水が第4給湯配管S4を介して押し出され、さらにタンク21内の中温層の水が第1給湯配管S1および第2給湯配管S2を介して押し出される。これらの水は、第1給湯弁25で混合され、混合された水が第5給湯配管S5を通過して、給湯部140から流出する。
【0063】
(3)第1沸上配管の詳細構造
図2は、タンク21’から延びる従来の配管B1’の一例を示す図である。
図2に示すように、配管B1’は、タンク21’の側面から水平方向(左右方向)に延びている。配管B1’のタンク21’とは反対側の先端は、配管B2’と接続されている。配管B2’は配管B1’の先端から上方向に延びる。タンク21’と配管B1’との間で水を流さない状態が続くと、特に、タンク21’から離れた配管B2’が周囲温度によって冷却される。配管B2’が周囲温度によって冷却されると、配管B2’内の内壁近傍は、中心近傍よりも温度が低くなるため、配管内に温度差が生じる。このとき、
図2に示すように、配管B2’内の内壁近傍の水は比較的温度が低くなり配管内を下方向に流れ(実線矢印)、配管B2’内の中心近傍の水は比較的温度が高くなり配管内を上方向に流れる(点線矢印)。言い換えると、配管B2’内の水に対流が生じる。この対流により、配管B2’内の冷却された低温水がタンク21’内に流れ込むと、タンク21’内の水の温度成層が崩れる恐れがある。
【0064】
図3は、本実施形態における第1沸上配管B1付近の拡大図である。
図3に示すように、第1沸上配管B1は、抑制部40を有する。抑制部40は、第1状態のときに、第2沸上配管B2内の水が、第1沸上配管B1を介してタンク21内に流れ込むことを抑制する。第1状態は、タンク21と第1沸上配管B1との間で水を流さない状態である。第1状態は、例えば、制御部190が、排水弁28を閉じ、圧縮機11および沸上ポンプ24を停止し、第1沸上弁22、第1給湯弁25、および第2給湯弁26の三方を開き、ユーザが給湯部140から水を出さない状態である。本実施形態では、抑制部40は、勾配部40aである。勾配部40aは、タンク21に向かって上る。
図3に示すように、勾配部40aのタンク21側の端部における流路最下部の位置P1は、勾配部40aのタンク21とは反対側の端部における流路最上部の位置P2より高い。
【0065】
その結果、給湯システム100は、タンク21と第1沸上配管B1との間で水を流さない第1状態のときに、第2沸上配管B2内の低温水が、第1沸上配管B1を介してタンク21内に流れ込むことを抑制し、タンク21内の水の温度成層が崩れることを防止することができる。
【0066】
(4)特徴
(4-1)
従来、熱源装置を用いてタンク内に水の温度成層を形成し、例えば、タンク内の温度が異なる水を混合させて、所定の温度の水を供給する技術がある。
【0067】
タンクと、タンクから延びる配管と、の間で水を流さない状態が続くと、配管が周囲温度によって冷却されることにより、配管内に温度差が生じる。このとき、配管内の水に対流が生じて低温水がタンク内に流れ込み、タンク内の水の温度成層が崩れる恐れがある、という課題がある。
【0068】
本実施形態の給湯システム100(水システム)は、タンク21と、第1沸上配管B1(第1配管)と、第2沸上配管B2(第2配管)と、ヒートポンプユニット110(熱源装置)と、制御部190と、を備える。タンク21は、水を貯留する。第1沸上配管B1は、タンク21から延びる。第2沸上配管B2は、第1沸上配管B1に接続される。ヒートポンプユニット110は、水を加熱する。第1沸上配管B1は、抑制部40を有する。抑制部40は、第1状態のときに、第2沸上配管B2内の水が、第1沸上配管B1を介してタンク21内に流れ込むことを抑制する。第1状態は、タンク21と第1沸上配管B1との間で水を流さない状態である。第1沸上配管B1、第2沸上配管B2、およびヒートポンプユニット110は、タンク21内の水を加熱するための沸上回路C1を構成する。
【0069】
本実施形態の給湯システム100では、抑制部40は、第1状態のときに、第2沸上配管B2内の水が、第1沸上配管B1を介してタンク21内に流れ込むことを抑制する。第1状態は、タンク21と第1沸上配管B1との間で水を流さない状態である。その結果、給湯システム100は、タンク21と第1沸上配管B1との間で水を流さない第1状態のときに、第2沸上配管B2内の低温水が、第1沸上配管B1を介してタンク21内に流れ込むことを抑制し、タンク21内の水の温度成層が崩れることを防止することができる。
【0070】
(4-2)
本実施形態の給湯システム100では、抑制部40は、勾配部40aである。勾配部40aは、タンク21に向かって上る。
【0071】
その結果、給湯システム100は、第1状態のときに、第2沸上配管B2内の低温水が、第1沸上配管B1を介してタンク21内に流れ込むことを抑制することができる。
【0072】
(4-3)
本実施形態の給湯システム100では、勾配部40aのタンク21側の端部における流路最下部の位置P1は、勾配部40aのタンク21とは反対側の端部における流路最上部の位置P2より高い。
【0073】
その結果、給湯システム100は、第1状態のときに第2沸上配管B2内の低温水が、第1沸上配管B1を介してタンク21内に流れ込むことを、より効果的に抑制することができる。
【0074】
(4-4)
本実施形態の給湯システム100は、第1沸上弁22(第2弁)と、第4沸上配管B4(第4配管)と、第5沸上配管B5(第5配管)と、第8沸上配管B8(第8配管)と、をさらに備える。第1沸上弁22は、水の流路を調整する。第4沸上配管B4は、タンク21の上面から延びる。第5沸上配管B5は、ヒートポンプユニット110に接続される。第8沸上配管B8は、タンク21の下面から延びる。第8沸上配管B8は、ヒートポンプユニット110に接続される。第1沸上配管B1は、タンク21の側面から延びる。第4沸上配管B4、第5沸上配管B5、および第2沸上配管B2は、第1沸上弁22を介して互いに接続される。制御部190は、第1状態のときに、第1沸上弁22の第2沸上配管B2側を開くように、第2沸上配管B2を制御する。
【0075】
(4-5)
本実施形態の給湯システム100では、制御部190は、第1沸上運転を行う。第1沸上運転は、タンク21内の水を、第8沸上配管B8、ヒートポンプユニット110、第5沸上配管B5、および第4沸上配管B4の順に通過させてタンク21内の水を加熱する。
【0076】
(4-6)
本実施形態の給湯システム100では、制御部190は、第2沸上運転を行う。第2沸上運転は、タンク21内の水を、第8沸上配管B8、ヒートポンプユニット110、第5沸上配管B5、第2沸上配管B2、および第1沸上配管B1の順に通過させてタンク21内の水を加熱する。
【0077】
(5)変形例
(5-1)変形例1A
図4は、本変形例における第1沸上配管B1付近の拡大図である。本実施形態では、抑制部40は、勾配部40aであった。しかし、
図4に示すように、抑制部40は、勾配部40bであってもよい。
図4に示すように、勾配部40bのタンク21側の第1端部における流路最下部の位置P3は、勾配部40bのタンク21とは反対側の第2端部における流路最下部の位置P4より高く、第2端部の流路断面A1において、第1端部における流路最下部の位置P3より高い第1部分A2(左側のハッチング部)の面積は、流路断面A1の面積の9%以上であってもよい。
【0078】
その結果、給湯システム100は、例えば、止水栓160が閉じられた状態で、排水弁28を開くことにより、タンク21内、沸上回路C1内、および給湯回路C2内の水を外部に排出する際、第1沸上配管B1に十分な量の水が残留しないため、第1沸上配管B1が凍結破損することを防止することができる。なお、右側のハッチング部W1は、第1沸上配管B1に残留した、第1沸上配管B1が凍結破損するには不十分な量の水を示している。さらに、給湯システム100は、第1状態のときに、第2沸上配管B2内の低温水が、第1沸上配管B1を介してタンク21内に流れ込むことを抑制することができる。
【0079】
(5-2)変形例1B
図5は、本変形例における第1沸上配管B1付近の拡大図である。本実施形態では、抑制部40は、勾配部40aであった。しかし、
図5に示すように、抑制部40は、段差部40cであってもよい。段差部40cは、タンク21に向かって上る。
【0080】
その結果、給湯システム100は、第1状態のときに、第2沸上配管B2内の低温水が、第1沸上配管B1を介してタンク21内に流れ込むことを抑制することができる。
【0081】
さらに、段差部40cのタンク21側の端部における流路最下部の位置P5は、段差部40cのタンク21とは反対側の端部における流路最上部の位置P6より高くてもよい。
【0082】
その結果、給湯システム100は、第1状態のときに第2沸上配管B2内の低温水が、第1沸上配管B1を介してタンク21内に流れ込むことを、より効果的に抑制することができる。
【0083】
(5-3)変形例1C
図6は、本変形例における第1沸上配管B1付近の拡大図である。本実施形態では、勾配部40aは、第1沸上配管B1全体であった。しかし、
図6に示すように、勾配部40aは、第1沸上配管B1の一部であってもよい。勾配部40aのタンク21側の端部における流路最下部の位置P1は、勾配部40aのタンク21とは反対側の端部における流路最上部の位置P2より高い。
【0084】
(5-4)変形例1D
本実施形態では、抑制部40は、勾配部40aであった。しかし、抑制部40は、第1沸上配管B1に設けられる第1弁であってもよい。第1弁は、例えば、開閉弁または逆止弁である。
【0085】
第1弁が開閉弁である場合、制御部190は、第1状態のとき第1弁を閉じ、第2状態のとき第1弁を開く。第2状態は、タンク21と第1沸上配管B1との間で水を流す状態である。第1弁が逆止弁である場合、第1弁は、タンク21内の水が第1沸上配管B1を介して流出しないように設けられる。
【0086】
その結果、給湯システム100は、第1状態のときに、第2沸上配管B2内の低温水が、第1沸上配管B1を介してタンク21内に流れ込むことを抑制することができる。
【0087】
(5-5)変形例1E
本実施形態では、タンク21の側面から延びる第1沸上配管B1(第1配管)が、抑制部40を有していた。しかし、第4沸上配管B4(第1配管)、および第2沸上配管B2(第2配管)(または第5沸上配管B5(第2配管))として、タンク21の上面から延びる第4沸上配管B4が、抑制部40を有していてもよい。
【0088】
図7は、本変形例における第4沸上配管B4付近の拡大図である。
図7では、抑制部40は、勾配部40dである。抑制部40は、第4沸上配管B4に設けられる第1弁であってもよい。第1状態のとき、第1沸上弁22は、三方を開いている。勾配部40dのタンク21側の端部における流路最下部の位置P7は、勾配部40dのタンク21とは反対側の端部における流路最上部の位置P8より高い。
【0089】
その結果、給湯システム100は、タンク21と第4沸上配管B4との間で水を流さない第1状態のときに、第2沸上配管B2内または第5沸上配管B5内の低温水が、第4沸上配管B4を介してタンク21内に流れ込む(
図7に示すように、比較的温度が高い水がタンク21内に流れ込むが(点線矢印)、タンク21内の水の温度と比較するとやはり低温水が流れ込むことになる)ことを抑制し、タンク21内の水の温度成層が崩れることを防止することができる。さらに、給湯システム100は、タンク21内、沸上回路C1内、および給湯回路C2内の水を外部に排出する際、第4沸上配管B4に十分な量の水が残留しないため、第4沸上配管B4が凍結破損することを防止することができる。
【0090】
(5-6)
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【0091】
<第2実施形態>
以下、第1実施形態とは異なる部分を中心に説明する。本実施形態で記載する内容以外は、基本的には、第1実施形態と同様である。
【0092】
(1)給湯システムの構成
図8は、本実施形態における給湯システム200(水システム)の構成図である。貯湯ユニット220は、第3沸上配管B3(第3配管)を有する。また、第8沸上配管B8は、第6沸上配管B6(第6配管)と、第7沸上配管B7(第7配管)と、を有する。
【0093】
第3沸上配管B3は、第1沸上配管B1に接続され下方向に延びる。本変形例では、第3沸上配管B3は、第1沸上配管B1の先端から下方向に延びる。第1沸上配管B1、第2沸上配管B2、および第3沸上配管B3は、互いに接続される。また、第3沸上配管B3は、第6沸上配管B6および第7沸上配管B7に接続される。第3沸上配管B3、第6沸上配管B6、および第7沸上配管B7は、互いに接続される。
【0094】
第6沸上配管B6は、タンク21の下面から延びる。第6沸上配管B6のタンク21とは反対側の先端は、第3沸上配管B3および第7沸上配管B7に接続される。
【0095】
第7沸上配管B7の一端は、第3沸上配管B3および第6沸上配管B6に接続され、第7沸上配管B7の他端は、ヒートポンプユニット110の水熱交換器12の入口側に接続されている。第7沸上配管B7には、沸上ポンプ24が設けられている。
【0096】
タンク21、第1沸上配管B1~第7沸上配管B7、第1沸上弁22、およびヒートポンプユニット110の水熱交換器12は、タンク21内の水を加熱するための沸上回路C3を構成する。
【0097】
(2)給湯システムの沸上運転の動作
制御部190は、沸上ポンプ24を駆動し、タンク21内の水を、第1沸上配管B1~第7沸上配管B7を介して循環させながら、水熱交換器12において加熱する。
【0098】
例えば、制御部190は、第1沸上弁22の、第4沸上配管B4側と第5沸上配管B5側とを開き、第2沸上配管B2側を閉じるように、第1沸上弁22を制御する。このように、第1沸上弁22を制御した上で、制御部190が沸上ポンプ24を駆動すると、タンク21内の低温層および中温層の水が、水熱交換器12によって加熱され、タンク21内の高温層に戻される。
【0099】
(3)第1沸上配管の詳細構造
図9は、タンク21’から延びる従来の配管B1’の一例を示す図である。
図9に示すように、配管B1’は、タンク21’の側面から水平方向(左右方向)に延びている。配管B1’のタンク21’とは反対側の先端は、配管B2’と配管B3’とに分岐している。配管B2’は配管B1’の先端から上方向に延び、配管B3’は配管B1’の先端から下方向に延びている。タンク21’と配管B1’との間で水を流さない状態が続くと、特に、タンク21’から離れた、配管B2’および配管B3’が周囲温度によって冷却される。配管B2’および配管B3’が周囲温度によって冷却されると、配管B2’内および配管B3’内の内壁近傍は、中心近傍よりも温度が低くなるため、配管内に温度差が生じる。このとき、
図2に示すように、配管B2’内および配管B3’内の内壁近傍の水は比較的温度が低くなり配管内を下方向に流れ(実線矢印)、配管B2’内および配管B3’内の中心近傍の水は比較的温度が高くなり配管内を上方向に流れる(点線矢印)。言い換えると、配管B2’内および配管B3’内の水に対流が生じる。この対流により、配管B2’内または配管B3’内の冷却された低温水がタンク21’内に流れ込むと、タンク21’内の水の温度成層が崩れる恐れがある。
【0100】
そこで、低温水がタンク21’内に流れ込まないように、配管B1’を、例えば、U字状の配管とすると、メンテナンス等の際に、タンク21’内、沸上回路内、および給湯回路内の水を外部に排出する際、U字状の配管の底部に水が残留し、配管B1’が凍結破損する恐れがある。
【0101】
図10は、本実施形態における第1沸上配管B1付近の拡大図である。
図10に示すように、第1沸上配管B1は、タンク21に向かって上る勾配部40aを有する。勾配部40aは、第1状態のときに、第2沸上配管B2内の水が、第1沸上配管B1を介してタンク21内に流れ込むことを抑制する。
図10に示すように、勾配部40aのタンク21側の端部における流路最下部の位置P1は、勾配部40aのタンク21とは反対側の端部における流路最上部の位置P2より高い。
【0102】
その結果、給湯システム200は、第1状態のときに、第2沸上配管B2内の低温水が、第1沸上配管B1を介してタンク21内に流れ込むことを抑制し、タンク21内の水の温度成層が崩れることを防止することができる。さらに、第1沸上配管B1は勾配部40aを有するため、給湯システム200は、例えば、止水栓160が閉じられた状態で、排水弁28を開くことにより、タンク21内、沸上回路C3内、および給湯回路C2内の水を外部に排出する際、第1沸上配管B1に十分な量の水が残留せず、第1沸上配管B1が凍結破損することを防止することができる。
【0103】
(4)特徴
本実施形態の給湯システム200は、第3沸上配管B3(第3配管)をさらに備える。第3沸上配管B3は、第1沸上配管B1に接続される。第8沸上配管B8は、第6沸上配管B6(第6配管)と、第7沸上配管B7(第7配管)と、を有する。第6沸上配管B6は、タンク21の下面から延びる。第7沸上配管B7は、ヒートポンプユニット110に接続される。第3沸上配管B3、第6沸上配管B6、および第7沸上配管B7は、互いに接続される。
【0104】
本実施形態の給湯システム200では、勾配部40aは、第1状態のときに、第2沸上配管B2内の水が、第1沸上配管B1を介してタンク21内に流れ込むことを抑制する。その結果、給湯システム200は、第1状態のときに、第2沸上配管B2内の低温水が、第1沸上配管B1を介してタンク21内に流れ込むことを抑制し、タンク21内の水の温度成層が崩れることを防止することができる。さらに、給湯システム200は、タンク21内、沸上回路C3内、および給湯回路C2内の水を外部に排出する際、第1沸上配管B1に十分な量の水が残留しないため、第1沸上配管B1が凍結破損することを防止することができる。
【0105】
(5)変形例
(5-1)変形例2A
本実施形態では、抑制部40は、勾配部40aであった。しかし、抑制部40は、勾配部40bであってもよいし、段差部40cであってもよいし、
図6に示すように、勾配部40aは、第1沸上配管B1の一部であってもよい。また、例えば、第4沸上配管B4(第1配管)、第2沸上配管B2(第2配管)、および第5沸上配管B5(第3配管)として、タンク21の上面から延びる第4沸上配管B4が、勾配部40dを有してもよい。
【0106】
(5-2)
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【0107】
<第3実施形態>
以下、第1実施形態とは異なる部分を中心に説明する。本実施形態で記載する内容以外は、基本的には、第1実施形態と同様である。
【0108】
(1)給湯システムの構成
図11は、本実施形態における給湯システム300(水システム)の構成図である。貯湯ユニット320は、第3沸上配管B3(第3配管)と、第6沸上配管B6(第6配管)と、第7沸上配管B7(第7配管)と、を有する。
【0109】
第3沸上配管B3は、第1沸上配管B1に接続され下方向に延びる。本変形例では、第3沸上配管B3は、第1沸上配管B1の先端から下方向に延びる。また、第3沸上配管B3は、第6沸上配管B6および第7沸上配管B7に接続される。第3沸上配管B3、第6沸上配管B6、および第7沸上配管B7は、互いに接続される。
【0110】
第6沸上配管B6は、タンク21の下面から延びる。第6沸上配管B6のタンク21とは反対側の先端は、第3沸上配管B3および第7沸上配管B7に接続される。
【0111】
第7沸上配管B7の一端は、第3沸上配管B3および第6沸上配管B6に接続され、第7沸上配管B7の他端は、ヒートポンプユニット110の水熱交換器12の入口側に接続されている。第7沸上配管B7には、沸上ポンプ24が設けられている。
【0112】
本実施形態では、抑制部40は、第3沸上弁40e(第3弁)である。第3沸上弁40eは、第1沸上配管B1のタンク21とは反対側の端部に接続される。第3沸上弁40eは、水の流路を調整する。第1沸上配管B1、第2沸上配管B2、および第3沸上配管B3は、第3沸上弁40eを介して互いに接続される。第3沸上弁40eは、混合弁である。
【0113】
第1沸上配管B1は、タンク21の側面から水平方向(左右方向)に延びる。
【0114】
タンク21、第1沸上配管B1~第7沸上配管B7、第1沸上弁22、第3沸上弁40e、およびヒートポンプユニット110の水熱交換器12は、タンク21内の水を加熱するための沸上回路C4を構成する。
【0115】
制御部190は、タンク21に設けられた温度センサ(図示せず)等からの信号に基づいて、圧縮機11、膨張弁13、第1沸上弁22、第3沸上弁40e、沸上ポンプ24、第1給湯弁25、第2給湯弁26、および排水弁28等を制御する。
【0116】
(2)給湯システムの沸上運転の動作
制御部190は、沸上ポンプ24を駆動し、タンク21内の水を、第1沸上配管B1~第7沸上配管B7を介して循環させながら、水熱交換器12において加熱する。
【0117】
例えば、制御部190は、第3沸上運転を行う。第3沸上運転は、タンク21内の水を、第1沸上配管B1、第3沸上配管B3、第7沸上配管B7、水熱交換器12、第5沸上配管B5、および第4沸上配管B4の順に通過させてタンク21内の水を加熱する。具体的には、制御部190は、第1沸上弁22の、第4沸上配管B4側と第5沸上配管B5側とを開き、第2沸上配管B2側を閉じるように、第1沸上弁22を制御する。また、制御部190は、第3沸上弁40eの、第1沸上配管B1側と第3沸上配管B3側とを開き、第2沸上配管B2側を閉じるように、第3沸上弁40eを制御する。このように、第1沸上弁22および第3沸上弁40eを制御した上で、制御部190が沸上ポンプ24を駆動すると、タンク21内の低温層および中温層の水が、水熱交換器12によって加熱され、タンク21内の高温層に戻される。
【0118】
沸上運転の運転開始後、暫くの間は、ヒートポンプユニット110による水の加熱が不十分であるため、沸上運転の運転開始時から、タンク21内の低温層の水が、タンク21内の高温層に戻されると、タンク21内の温度が下がる恐れがある。そのため、制御部190は、沸上運転の運転開始時は第3沸上運転を行い、その後徐々に、第3沸上弁40eの第3沸上配管B3側の開度を小さく、そして第3沸上弁40eの第2沸上配管B2側の開度を大きくし、最終的に、第3沸上弁40eの、第1沸上配管B1側と第2沸上配管B2側とを開き、第3沸上配管B3側を閉じるように、第3沸上弁40eを制御してもよい。このように、制御部190が第3沸上弁40eを制御することにより、沸上運転の運転開始後、暫くの間は、タンク21内の低温層および中温層の水が、タンク21内の高温層に戻されることになり、タンク21内の温度が下がりにくくなる。
【0119】
(3)第1沸上配管の詳細構造
図12は、本実施形態における第1沸上配管B1付近の拡大図である。
図12に示すように、抑制部40は、第1状態のときに、第2沸上配管B2内の水が、第1沸上配管B1を介してタンク21内に流れ込むことを抑制する。本実施形態では、抑制部40は、第3沸上弁40eである。第3沸上弁40eは、第1沸上配管B1のタンク21とは反対側の端部に接続される。第1沸上配管B1、第2沸上配管B2、および第3沸上配管B3は、第3沸上弁40eを介して互いに接続される。制御部190は、第1状態のときに、第3沸上弁40eの、第2沸上配管B2側と第3沸上配管B3側とを開き、第1沸上配管B1側を閉じるように、第3沸上弁40eを制御する。
【0120】
その結果、給湯システム200は、第1状態のときに、第2沸上配管B2内の低温水が、第1沸上配管B1を介してタンク21内に流れ込むことを抑制し、タンク21内の水の温度成層が崩れることを防止することができる。
【0121】
(4)特徴
(4-1)
本実施形態の給湯システム200は、第1沸上弁22と、第3沸上配管B3(第3配管)と、第4沸上配管B4と、第5沸上配管B5と、第6沸上配管B6(第6配管)と、第7沸上配管B7(第7配管)と、をさらに備える。第1沸上弁22は、水の流路を調整する。第3沸上配管B3は、第1沸上配管B1に接続される。第4沸上配管B4は、タンク21の上面から延びる。第5沸上配管B5は、ヒートポンプユニット110に接続される。第6沸上配管B6は、タンク21の下面から延びる。第7沸上配管B7は、ヒートポンプユニット110に接続される。第1沸上配管B1は、タンク21の側面から延びる。第4沸上配管B4、第5沸上配管B5、および第2沸上配管B2は、第1沸上弁22を介して互いに接続される。第3沸上配管B3、第6沸上配管B6、および第7沸上配管B7は、互いに接続される。抑制部40は、第3沸上弁40e(第3弁)である。第3沸上弁40eは、第1沸上配管B1のタンク21とは反対側の端部に接続される。第1沸上配管B1は、水の流路を調整する。制御部190は、第1状態のときに、第3沸上弁40eの、第2沸上配管B2側と第3沸上配管B3側とを開き、第1沸上配管B1側を閉じるように、第3沸上弁40eを制御する。第1沸上配管B1、第2沸上配管B2、および第3沸上配管B3は、第3沸上弁40eを介して互いに接続される。
【0122】
本実施形態の給湯システム200では、制御部190は、第1状態のときに、第3沸上弁40eの、第2沸上配管B2側と第3沸上配管B3側とを開き、第1沸上配管B1側を閉じるように、第3沸上弁40eを制御する。その結果、給湯システム200は、第1状態のときに、第2沸上配管B2内の低温水が、第1沸上配管B1を介してタンク21内に流れ込むことを抑制し、タンク21内の水の温度成層が崩れることを防止することができる。
【0123】
(4-2)
本実施形態の給湯システム200では、第3沸上弁40eは、混合弁である。混合弁は、接続される配管ごとに、開度を調整可能である。
【0124】
その結果、給湯システム200は、沸上運転の運転開始後、暫くの間は、タンク21内の低温層および中温層の水を、タンク21内の高温層に戻し、その後徐々に、高温層に戻す中温層の水を減らす等、柔軟な沸上運転を行うことができる。
【0125】
(4-3)
本実施形態の給湯システム200では、制御部190は、第3沸上運転を行う。第3沸上運転は、タンク21内の水を、第1沸上配管B1、第3沸上配管B3、第7沸上配管B7、ヒートポンプユニット110、第5沸上配管B5、および第4沸上配管B4の順に通過させてタンク21内の水を加熱する。
【0126】
(5)変形例
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【0127】
<第4実施形態>
以下、第2実施形態とは異なる部分を中心に説明する。本実施形態で記載する内容以外は、基本的には、第2実施形態と同様である。
【0128】
(1)給湯システムの構成
図13は、本実施形態における給湯システム400(水システム)の構成図である。貯湯ユニット420は、第2沸上弁23(第4弁)を有する。
【0129】
第2沸上弁23は、水の流路を調整する。第3沸上配管B3、第6沸上配管B6、および第7沸上配管B7は、第2沸上弁23を介して互いに接続される。本実施形態では、第2沸上弁23は、混合弁である。
【0130】
タンク21、第1沸上配管B1~第7沸上配管B7、第1沸上弁22、第2沸上弁23、およびヒートポンプユニット110の水熱交換器12は、タンク21内の水を加熱するための沸上回路C5を構成する。
【0131】
制御部190は、タンク21に設けられた温度センサ(図示せず)等からの信号に基づいて、圧縮機11、膨張弁13、第1沸上弁22、第2沸上弁23、沸上ポンプ24、第1給湯弁25、第2給湯弁26、および排水弁28等を制御する。
【0132】
(2)給湯システムの沸上運転の動作
例えば、制御部190は、第3沸上運転を行う。第3沸上運転は、タンク21内の水を、第1沸上配管B1、第3沸上配管B3、第7沸上配管B7、水熱交換器12、第5沸上配管B5、および第4沸上配管B4の順に通過させてタンク21内の水を加熱する。具体的には、制御部190は、第1沸上弁22の、第4沸上配管B4側と第5沸上配管B5側とを開き、第2沸上配管B2側を閉じるように、第1沸上弁22を制御する。また、制御部190は、第2沸上弁23の、第3沸上配管B3側と第7沸上配管B7側とを開き、第6沸上配管B6側を閉じるように、第2沸上弁23を制御する。このように、第1沸上弁22および第2沸上弁23を制御した上で、制御部190が沸上ポンプ24を駆動すると、タンク21内の中温層の水が、水熱交換器12によって加熱され、タンク21内の高温層に戻される。
【0133】
(3)第1沸上配管の詳細構造
図10に示すように、第1沸上配管B1は、タンク21に向かって上る勾配部40aを有する。勾配部40aは、第1状態のときに、第2沸上配管B2内の水が、第1沸上配管B1を介してタンク21内に流れ込むことを抑制する。第1状態は、例えば、制御部190が、排水弁28を閉じ、圧縮機11および沸上ポンプ24を停止し、第1沸上弁22、第2沸上弁23、第1給湯弁25、および第2給湯弁26の三方を開き、ユーザが給湯部140から水を出さない状態である。
【0134】
その結果、給湯システム200は、第1状態のときに、第2沸上配管B2内の低温水が、第1沸上配管B1を介してタンク21内に流れ込むことを抑制し、タンク21内の水の温度成層が崩れることを防止することができる。さらに、第1沸上配管B1は勾配部40aを有するため、給湯システム200は、例えば、止水栓160が閉じられた状態で、排水弁28を開くことにより、タンク21内、沸上回路C5内、および給湯回路C2内の水を外部に排出する際、第1沸上配管B1に十分な量の水が残留せず、第1沸上配管B1が凍結破損することを防止することができる。
【0135】
(4)特徴
(4-1)
本実施形態の給湯システム200は、第2沸上弁23(第4弁)をさらに備える。第2沸上弁23は、水の流路を調整する。第3沸上配管B3、第6沸上配管B6、および第7沸上配管B7は、第2沸上弁23を介して互いに接続される。
【0136】
(4-2)
本実施形態の給湯システム200では、制御部190は、第3沸上運転を行う。第3沸上運転は、タンク21内の水を、第1沸上配管B1、第3沸上配管B3、第7沸上配管B7、ヒートポンプユニット110、第5沸上配管B5、および第4沸上配管B4の順に通過させてタンク21内の水を加熱する。
【0137】
(5)変形例
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0138】
21 タンク
22 第1沸上弁(第2弁)
23 第2沸上弁(第4弁)
40 抑制部
40a,40b,40d 勾配部
40c 段差部
40e 第3沸上弁(第3弁)
100 給湯システム(水システム)
110 ヒートポンプユニット(熱源装置)
190 制御部
B1 第1沸上配管(第1配管)
B2 第2沸上配管(第2配管)
B3 第3沸上配管(第3配管)
B4 第4沸上配管(第4配管、第1配管)
B5 第5沸上配管(第5配管、第2配管)
B6 第6沸上配管(第6配管)
B7 第7沸上配管(第7配管)
B8 第8沸上配管(第8配管)
C1,C3~C5 沸上回路
P1,P2,P5~P8 位置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0139】
【手続補正書】
【提出日】2024-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を貯留するタンク(21)と、
前記タンクから延びる第1配管(B1,B4)と、
前記第1配管に接続される第2配管(B2,B5)と、
水を加熱する熱源装置(110)と、
制御部(190)と、
を備え、
前記第1配管は、抑制部(40)を有し、
前記抑制部は、前記タンクと前記第1配管との間で水を流さない第1状態のときに、前記第2配管内の水が、前記第1配管を介して前記タンク内に流れ込むことを抑制し、
前記第1配管、前記第2配管、および前記熱源装置は、前記タンク内の水を加熱するための沸上回路(C1,C3~C5)を構成し、
前記抑制部は、前記タンクに向かって上る、勾配部(40a,40b,40d)または段差部(40c)である、
水システム(100)。
【請求項2】
水を貯留するタンク(21)と、
前記タンクから延びる第1配管(B1,B4)と、
前記第1配管に接続される第2配管(B2,B5)と、
水を加熱する熱源装置(110)と、
制御部(190)と、
を備え、
前記第1配管は、抑制部(40)を有し、
前記抑制部は、前記タンクと前記第1配管との間で水を流さない第1状態のときに、前記第2配管内の水が、前記第1配管を介して前記タンク内に流れ込むことを抑制し、
前記第1配管、前記第2配管、および前記熱源装置は、前記タンク内の水を加熱するための沸上回路(C1,C3~C5)を構成し、
水の流路を調整する第2弁(22)と、
前記タンクの上面から延びる第4配管(B4)と、
前記熱源装置に接続される第5配管(B5)と、
前記タンクの下面から延び、前記熱源装置に接続される第8配管(B8)と、
をさらに備え、
前記第1配管は、前記タンクの側面から延び、
前記第4配管、前記第5配管、および前記第2配管は、前記第2弁を介して互いに接続され、
前記制御部は、前記第1状態のときに、前記第2弁の前記第2配管側を開くように、前記第2弁を制御する、
水システム(100)。
【請求項3】
前記抑制部は、前記タンクに向かって上る、勾配部(40a,40b,40d)または段差部(40c)である、
請求項2に記載の水システム(100)。
【請求項4】
前記勾配部または前記段差部の前記タンク側の端部における流路最下部の位置(P1,P5,P7)は、前記勾配部または前記段差部の前記タンクとは反対側の端部における流路最上部の位置(P2,P6,P8)より高い、
請求項1または3に記載の水システム(100)。
【請求項5】
前記抑制部は、前記第1配管に設けられる第1弁である、
請求項2に記載の水システム(100)。
【請求項6】
前記制御部は、前記タンク内の水を、前記第8配管、前記熱源装置、前記第5配管、および前記第4配管の順に通過させて前記タンク内の水を加熱する第1沸上運転を行う、
請求項2に記載の水システム(100)。
【請求項7】
前記制御部は、前記タンク内の水を、前記第8配管、前記熱源装置、前記第5配管、前記第2配管、および前記第1配管の順に通過させて前記タンク内の水を加熱する第2沸上運転を行う、
請求項2に記載の水システム(100)。
【請求項8】
前記第1配管に接続される第3配管(B3)、
をさらに備え、
前記第8配管は、前記タンクの下面から延びる第6配管(B6)と、前記熱源装置に接続される第7配管(B7)と、を有し、
前記第3配管、前記第6配管、および前記第7配管は、互いに接続される、
請求項2に記載の水システム(100)。
【請求項9】
水を貯留するタンク(21)と、
前記タンクから延びる第1配管(B1,B4)と、
前記第1配管に接続される第2配管(B2,B5)と、
水を加熱する熱源装置(110)と、
制御部(190)と、
を備え、
前記第1配管は、抑制部(40)を有し、
前記抑制部は、前記タンクと前記第1配管との間で水を流さない第1状態のときに、前記第2配管内の水が、前記第1配管を介して前記タンク内に流れ込むことを抑制し、
前記第1配管、前記第2配管、および前記熱源装置は、前記タンク内の水を加熱するための沸上回路(C1,C3~C5)を構成し、
水の流路を調整する第2弁(22)と、
前記第1配管に接続される第3配管(B3)と、
前記タンクの上面から延びる第4配管(B4)と、
前記熱源装置に接続される第5配管(B5)と、
前記タンクの下面から延びる第6配管(B6)と、
前記熱源装置に接続される第7配管(B7)と、
をさらに備え、
前記第1配管は、前記タンクの側面から延び、
前記第4配管、前記第5配管、および前記第2配管は、前記第2弁を介して互いに接続され、
前記第3配管、前記第6配管、および前記第7配管は、互いに接続され、
前記抑制部は、前記第1配管の前記タンクとは反対側の端部に接続され、水の流路を調整する第3弁(40e)であり、
前記制御部は、前記第1状態のときに、前記第3弁の、前記第2配管側と前記第3配管側とを開き、前記第1配管側を閉じるように、前記第3弁を制御し、
前記第1配管、前記第2配管、および前記第3配管は、前記第3弁を介して互いに接続される、
水システム(100)。
【請求項10】
前記第3弁は、接続される配管ごとに、開度を調整可能な混合弁である、
請求項9に記載の水システム(100)。
【請求項11】
前記制御部は、前記タンク内の水を、前記第1配管、前記第3配管、前記第7配管、前記熱源装置、前記第5配管、および前記第4配管の順に通過させて前記タンク内の水を加熱する第3沸上運転を行う、
請求項9に記載の水システム(100)。
【請求項12】
水の流路を調整する第4弁(23)、
をさらに備え、
前記第3配管、前記第6配管、および前記第7配管は、前記第4弁を介して互いに接続される、
請求項8に記載の水システム(100)。
【請求項13】
前記制御部は、前記タンク内の水を、前記第1配管、前記第3配管、前記第7配管、前記熱源装置、前記第5配管、および前記第4配管の順に通過させて前記タンク内の水を加熱する第3沸上運転を行う、
請求項12に記載の水システム(100)。