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特開2024-146890炭酸リチウムの製造方法及び炭酸リチウムの製造装置
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  • 特開-炭酸リチウムの製造方法及び炭酸リチウムの製造装置 図1
  • 特開-炭酸リチウムの製造方法及び炭酸リチウムの製造装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146890
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】炭酸リチウムの製造方法及び炭酸リチウムの製造装置
(51)【国際特許分類】
   C01D 15/08 20060101AFI20241004BHJP
   C22B 26/12 20060101ALI20241004BHJP
   C22B 7/00 20060101ALI20241004BHJP
   C22B 1/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
C01D15/08
C22B26/12
C22B7/00 C
C22B1/00 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024053899
(22)【出願日】2024-03-28
(31)【優先権主張番号】P 2023058132
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 亮介
(72)【発明者】
【氏名】林 浩志
(72)【発明者】
【氏名】村岡 弘樹
【テーマコード(参考)】
4K001
【Fターム(参考)】
4K001AA34
4K001BA22
4K001CA01
4K001CA02
4K001CA11
(57)【要約】
【課題】品質のよい炭酸リチウムを、二酸化炭素の排出量と使用コストを低減しながら得ることができる、炭酸リチウムの製造方法、及び炭酸リチウムの製造装置を提供することを目的する。
【解決手段】本発明の炭酸リチウムの製造方法は、炭酸塩を含む原料に無機酸を加えて二酸化炭素を発生させる、二酸化炭素発生工程と、前記二酸化炭素を回収する、二酸化炭素回収工程と、回収した前記二酸化炭素をリチウム含有液に加えて炭酸リチウムを得る、炭酸リチウム生成工程と、を有する。本発明の炭酸リチウムの製造装置は、炭酸塩を含む原料と無機酸とを用いて二酸化炭素を発生させる反応槽と、前記二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収デバイスと、前記二酸化炭素回収デバイスから、リチウム含有液に二酸化炭素を供給して、炭酸リチウムを生成する、炭酸リチウム生成槽と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸塩を含む原料に無機酸を加えて二酸化炭素を発生させる、二酸化炭素発生工程と、
前記二酸化炭素を回収する、二酸化炭素回収工程と、
回収した前記二酸化炭素をリチウム含有液に加えて炭酸リチウムを得る、炭酸リチウム生成工程と、を有する炭酸リチウムの製造方法。
【請求項2】
前記二酸化炭素回収工程において、アルカリ性溶液にガス状の二酸化炭素を吸収させて前記二酸化炭素を回収する、請求項1に記載の炭酸リチウムの製造方法。
【請求項3】
前記二酸化炭素回収工程において、ガス状の二酸化炭素を捕集することで前記二酸化炭素を回収する、請求項1に記載の炭酸リチウムの製造方法。
【請求項4】
前記原料がリチウム化合物を含有する、請求項1に記載の炭酸リチウムの製造方法。
【請求項5】
前記原料がリチウムイオン電池を焼成、粉砕して得るリチウムイオン電池焼成粉である、請求項1に記載の炭酸リチウムの製造方法。
【請求項6】
前記無機酸が、硫酸、塩酸、及び硝酸からなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載の炭酸リチウムの製造方法。
【請求項7】
前記二酸化炭素発生工程において、温度条件が10℃以上40℃以下の範囲であり、pHの条件がpH6以下である、請求項1に記載の炭酸リチウムの製造方法。
【請求項8】
炭酸塩を含む原料と無機酸とを用いて二酸化炭素を発生させる反応槽と、
前記二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収デバイスと、
前記二酸化炭素回収デバイスから、リチウム含有液に二酸化炭素を供給して、炭酸リチウムを生成する、炭酸リチウム生成槽と、を有する炭酸リチウムの製造装置。
【請求項9】
前記二酸化炭素回収デバイスが、ガス状の二酸化炭素を捕集するデバイスである、請求項8に記載の炭酸リチウムの製造装置。
【請求項10】
前記二酸化炭素回収デバイスが、アルカリ性溶液にガス状の二酸化炭素を吸収させて二酸化炭素を捕集するデバイスである、請求項8に記載の炭酸リチウムの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸リチウムの製造方法及び炭酸リチウムの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車や電気自動車に用いるリチウムイオン電池において、商品の原材料調達から、廃棄、リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室ガスの排出量を低減することが求められている。
【0003】
リチウムイオン電池からリチウムなどの資源を回収する際には、リチウムイオン電池を焼成、粉砕して得るリチウムイオン電池焼成粉、いわゆるブラックマスと称される再生原料を用いることが一般的である。
【0004】
ブラックマスからリチウムを回収する方法としては、例えば、特許文献1には、ブラックマスに含有されるアルミン酸リチウムに着目し、アルミン酸リチウムを含有するブラックマスを酸性溶液中で浸出させ、リチウムを回収する方法が開示されている。
【0005】
特許文献2では、リチウムイオン電池を粉砕して得た活物質粉を燃焼し、該活物質粉中の炭素分を燃焼して二酸化炭素に変換したのちに、燃焼後の活物質粉を湿式溶解して、リチウムを回収する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6998241号
【特許文献2】特開2022-168616号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示のリチウム回収方法では、リチウムを回収したのちに、リチウムを炭酸化させて炭酸リチウムを得ることは開示しているが、炭酸リチウムを得るまでの過程で、二酸化炭素などの温室ガスを低減することは考慮していない。
【0008】
特許文献2では、活物質粉中の炭素分を燃焼して得られた二酸化炭素を、湿式溶解で得られるリチウム含有溶液に導入して、炭酸リチウムを得ることが開示されている。すなわち、活物質粉中の炭素分の燃焼で発生する二酸化炭素を、炭酸リチウムを得るための炭酸源として活用することで、二酸化炭素の排出量を低減する方法が検討されている。
【0009】
しかしながら、リチウムイオン電池を粉砕して得た活物質粉には、不純物が多く含有されており、活物質粉を燃焼する際に生じるガス成分には、二酸化炭素だけではなくフッ化水素、窒素酸化物、及び硫黄化合物などが含有されている。ガス成分中のフッ化水素、窒素酸化物、及び硫黄化合物は、不純物として取り込まれやすく、炭酸リチウムの純度を低下させるという課題がある。
【0010】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、品質のよい炭酸リチウムを、二酸化炭素の排出量と使用コストを低減しながら得ることができる炭酸リチウムの製造方法、及び炭酸リチウムの製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために、以下のいずれかの態様を有することを特徴とする。
(1) 炭酸塩を含む原料に無機酸を加えて二酸化炭素を発生させる、二酸化炭素発生工程と、
前記二酸化炭素を回収する、二酸化炭素回収工程と、
回収した前記二酸化炭素をリチウム含有液に加えて炭酸リチウムを得る、炭酸リチウム生成工程と、を有する炭酸リチウムの製造方法。
【0012】
(2) 前記二酸化炭素回収工程において、アルカリ性溶液にガス状の二酸化炭素を吸収させて前記二酸化炭素を回収する、(1)に記載の炭酸リチウムの製造方法。
【0013】
(3) 前記二酸化炭素回収工程において、ガス状の二酸化炭素を捕集することで前記二酸化炭素を回収する、(1)に記載の炭酸リチウムの製造方法。
【0014】
(4) 前記原料がリチウム化合物を含有する、(1)~(3)の何れか一項に記載の炭酸リチウムの製造方法。
【0015】
(5) 前記原料がリチウムイオン電池を焼成、粉砕して得るリチウムイオン電池焼成粉である、(1)~(3)の何れか一項に記載の炭酸リチウムの製造方法。
【0016】
(6) 前記無機酸が、硫酸、塩酸、及び硝酸からなる群より選択される1種以上である、(1)~(5)の何れか一項に記載の炭酸リチウムの製造方法。
【0017】
(7) 前記二酸化炭素発生工程において、温度条件が10℃以上40℃以下の範囲であり、pHの条件がpH6以下である、(1)~(5)の何れか一項に記載の炭酸リチウムの製造方法。
【0018】
(8) 炭酸塩を含む原料と無機酸とを用いて二酸化炭素を発生させる反応槽と、
前記二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収デバイスと、
前記二酸化炭素回収デバイスから、リチウム含有液に二酸化炭素を供給して、炭酸リチウムを生成する、炭酸リチウム生成槽と、を有する炭酸リチウムの製造装置。
【0019】
(9) 前記二酸化炭素回収デバイスが、ガス状の二酸化炭素を捕集するデバイスである、(8)に記載の炭酸リチウムの製造装置。
【0020】
(10) 前記二酸化炭素回収デバイスが、アルカリ性溶液にガス状の二酸化炭素を吸収させて二酸化炭素を捕集するデバイスである、(8)に記載の炭酸リチウムの製造装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、品質のよい炭酸リチウムを、二酸化炭素の排出量と使用コストを低減しながら得ることができる炭酸リチウムの製造方法、及び炭酸リチウムの製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態の炭酸リチウムの製造方法を段階的に示したフローチャートである。
図2】本発明の一実施形態の炭酸リチウムの製造装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態の炭酸リチウムの製造方法、炭酸リチウムの製造装置について説明する。なお、以下に示す各実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0024】
(炭酸リチウムの製造方法)
本実施形態の炭酸リチウムの製造方法は、図1で示す通り、炭酸塩を含む原料に無機酸を加えて二酸化炭素を発生させる、二酸化炭素発生工程S1と、前記二酸化炭素を回収する、二酸化炭素回収工程S2と、回収した前記二酸化炭素をリチウム含有液に加えて炭酸リチウムを得る、炭酸リチウム生成工程S5と、を少なくとも有する。
本実施形態の炭酸リチウムの製造方法では、二酸化炭素発生工程S1は、炭酸塩を含む原料からリチウムイオンを浸出させる浸出工程であってもよい。この場合、本実施形態の炭酸リチウムの製造方法は、二酸化炭素発生工程S1で生じる浸出液と浸出残渣とを分離する固液分離工程S3と、固液分離工程S3にて分離された浸出液から不純物を除去する不純物除去工程S5とを有していてもよい。
【0025】
本実施形態の炭酸リチウムの製造方法は、好ましくは、図2に示す炭酸リチウム製造装置10によって製造される。本実施形態で用いる炭酸リチウム製造装置10は、反応槽(浸出槽)11、二酸化炭素回収デバイス13、及び炭酸リチウム生成槽14を少なくとも有する。なお、本実施形態の炭酸リチウム製造装置10は、固液分離槽12を有していてもよい。
【0026】
(二酸化炭素発生工程:S1)
二酸化炭素発生工程S1では、炭酸塩を含む原料に無機酸を加えて二酸化炭素を発生させる。
本実施形態では、原料はリチウム化合物を含有していてもよく、前記炭酸塩がリチウム化合物であってもよい。
炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸コバルト、炭酸ニッケル、炭酸アルミニウム、及び炭酸カルシウムからなる群より選択される1種以上が挙げられる。
【0027】
炭酸塩を含む原料としてより具体的には、リサイクル原料として回収された使用済みのリチウムイオン電池を用いて形成されたリチウムイオン電池焼成粉(ブラックマス)、若しくはリチウムイオン電池の製造工程で生じるスクラップを用いて形成されたリチウムイオン電池焼成粉(ブラックマス)を挙げることができる。
【0028】
リチウムイオン電池の正極活物質には、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)などのリチウム化合物が含まれている。また、負極活物質には、チタン酸リチウムなどのリチウム化合物が含まれているものがある。更に、電解液には、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)や四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)などのリチウム化合物が含まれている。
【0029】
これらのリチウム化合物のうち、3価のコバルト、ニッケル、又はマンガンと結合したリチウム化合物(コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)など)は、硫酸などの2価イオンになる無機酸には溶けにくい。
そこで、上記の3価のコバルト、ニッケル、又はマンガンと結合したリチウム化合物を加熱・熱分解し、3価のコバルト、ニッケル、又はマンガンとのリチウム化合物中のリチウムを炭酸リチウムの形態にすることが好ましい。熱分解の過程で、3価のコバルト、ニッケル、又はマンガンと結合したリチウム化合物中のリチウムは、熱分解の過程で生成した二酸化炭素と反応して、炭酸リチウム(LiCO)が生成される。また、電解液に由来するリチウム化合物も熱分解の過程で生成した二酸化炭素と反応して炭酸リチウム(LiCO)が生成される。
【0030】
第1の方法:
炭酸リチウム(LiCO)を含むリチウムイオン電池焼成粉(ブラックマス)を得る第1の方法では、使用済みのリチウムイオン電池を放電後、直接熱分解炉に入れ、好ましくは、過熱水蒸気雰囲気または窒素などの非酸化性雰囲気下で、例えば、400℃以上600℃以下程度の温度範囲で、30分以上5時間以下程度加熱し、リチウムイオン電池を熱分解する。リチウムイオン電池の熱分解を、上記の雰囲気、温度、及び時間の条件で行う場合、リチウムイオン電池が含有するアルミニウムが溶融することなく脆化するため、好ましい。
【0031】
本実施形態のリチウムイオン電池の熱分解では、リチウムイオン電池の外装ケースを溶融又は脆化させて分離回収し、バインダーを分解して、正極活物質と集電体とを相互分離可能な状態にできる。更に、本実施形態のリチウムイオン電池の熱分解では、正極活物質中の3価のコバルト、ニッケル、又はマンガンと結合したリチウム化合物が熱分解されて、熱分解物が生成される。そして、熱分解の過程で生成した二酸化炭素と熱分解物中のリチウムとが反応して炭酸リチウム(LiCO)が生成される。
【0032】
次に、上述したリチウムイオン電池の熱分解物を破砕する。破砕によって、熱分解後の電極活物質は、概ね粒径が1mm未満の微細な第1の破砕物にされる。破砕には、例えば、二軸剪断破砕機のようなせん断式破砕機やハンマーミルのような衝撃式破砕機を単独あるいは組み合わせで使用して破砕処理することができる。
【0033】
次に、リチウムイオン電池の熱分解物の破砕物を、適切な目開きの篩を用いて分級して、例えば、1mm未満、好ましくは0.5mm以下の細粒物と、これより大きい粗粒物とに篩分けする。分級には、例えば、目開き0.1mm以上1.0mm以下、好ましくは目開き0.1mm以上0.5mm以下程度の振動篩などを用いて篩分けすればよい。こうした分級によって、粗粒物に含まれる外装ケースの金属塊や集電体由来の金属箔と、細粒物に含まれる電極活物質の熱分解物とを分級することができる。
【0034】
以上の工程によって、本実施形態の炭酸リチウムを含む、粒度が1mm以下のリチウムイオン電池焼成粉(ブラックマス)を得ることができる。なお、ブラックマスに含まれる炭酸リチウムの割合は、例えば、1質量%以上10質量%以下程度であり、二酸化炭素の発生に好適である。
【0035】
第2の方法:
炭酸リチウム(LiCO)を含むリチウムイオン電池焼成粉(ブラックマス)を得る第2の方法では、先ず、使用済みのリチウムイオン電池を塩水に浸漬して、リチウムイオン電池の内部電荷を除去する。続けて、内部電荷が除去されたリチウムイオン電池を乾燥後に破砕して、リチウムイオン電池内部の正極活物質と外装ケースとを精度よく分離できる大きさの第2の破砕物とする。破砕には、例えば、一軸式の破砕機を使用して破砕処理することができる。
リチウムイオン電池の内部電荷を除去する塩水の濃度は特に限定されない。
また、一軸式の破砕機のスクリーンの目開き寸法は、直径6mm以上10mm以下であることが好ましい。スクリーンの目開き寸法がこの範囲内である場合、リチウムイオン電池内部の正極活物質と外装ケースとを十分に分離することができる。
【0036】
次に、適切な目開きの篩を用いて分級して、第2の破砕物から正極活物質を回収する。例えば、目開き0.25mm以上2.8mm以下の振動篩などを用いて篩分けして、第2の破砕物に含まれるリチウムイオン電池内部の正極活物質と外装のケースとを分級することができる。
【0037】
使用済みのリチウムイオン電池をリチウムイオン電池内部の正極活物質と外装のケースとに分離する方法として、他に、浸漬液中に粉砕装置を浸漬させた浸漬粉砕装置を用いる方法が挙げられる。具体的には、使用済みのリチウムイオン電池を、浸漬粉砕装置を用いて破砕し、破砕されたリチウムイオン電池の外装ケース(プラスチック製の部分)などの軽量な破砕物を浮遊させ、正極活物質を含む金属を沈殿させて、沈殿物を回収することで、正極活物質を回収する。
浸漬液は、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、及び水酸化リチウムから選択される少なくとも1種を含む水溶液であって、pHが8以上であることが好ましい。浸水液が水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、及び水酸化リチウムから選択される少なくとも1種の塩を含む場合、浸水液中でリチウムイオン電池内の残留電荷を放出することができる。
【0038】
以上の通り、一軸式の破砕機又は浸漬粉砕装置を用いて回収された正極活物質は、熱分解炉に入れ、好ましくは、過熱水蒸気雰囲気または窒素などの非酸化性雰囲気下で、例えば、400℃以上600℃以下程度の温度範囲で、1時間以上2時間以下程度加熱し、3価のコバルト、ニッケル、又はマンガンと結合したリチウム化合物中のリチウムを、熱分解の過程で生成した二酸化炭素と反応させて炭酸リチウム(LiCO)を生成する。
正極活物質の熱分解を、上記の雰囲気、温度、及び時間の条件で行う場合、正極活物質が含有するアルミニウム等の金属が溶融することなく脆化するため、好ましい。
【0039】
炭酸リチウム(LiCO)を含む熱分解物は、第1の方法と同様に、適切な目開きの篩を用いて分級し、本実施形態の炭酸リチウムを含む、粒度が1mm以下のリチウムイオン電池焼成粉(ブラックマス)を得ることができる。
【0040】
炭酸リチウム(LiCO)を含むブラックマスを得る第2の方法は、排ガス量をより削減できるため好ましい。
【0041】
第3の方法:
炭酸リチウム(LiCO)を含むリチウムイオン電池焼成粉(ブラックマス)を得る第3の方法では、リチウムイオン電池の製造工程で生じるスクラップ、例えば、シート状の正極材料の切れ端やリチウムイオン電池の不良品であるブラックパウダーから、ブラックマスを得る。
【0042】
例えば、リチウムイオン電池の製造工程で生じるスクラップを、前記第1の方法と同様の方法で、熱分解、破砕、分級することによりブラックマスを得ることができる。若しくは、リチウムイオン電池の製造工程で生じるスクラップを、前記第2の方法と同様の方法で、一軸式の破砕機又は浸漬粉砕装置を用いて破砕した後、破砕物から正極活物質を回収し、正極活物質を熱分解した後、分級することにより、ブラックマスを得ることができる。
【0043】
本実施形態の二酸化炭素発生工程S1では、例えば上述した第1の方法~第3の方法の何れかで得られた炭酸リチウムを炭酸塩として含むリチウムイオン電池焼成粉(ブラックマス)を原料として用いる。
【0044】
本実施形態では、上述したブラックマスを、樹脂製の反応槽(浸出槽)11に入れ、更に反応槽11に水と無機酸を入れた後、反応槽11を撹拌振盪させる。なお、反応槽11内で反応効率を向上するためにブラックマスの微粉砕や摩滅粉砕を行っても良い。
【0045】
無機酸としては、硫酸、塩酸、及び硝酸からなる群より選択される1種以上を用いることが好ましい。
反応槽11において、原料であるブラックマス、水、及び無機酸を混合し、炭酸リチウムが溶解するpHとすることが好ましい。炭酸リチウムが溶解するpHとしては、例えばpH6以下程度であると好ましく、より好ましくはpH2以上pH5以下の範囲である。pH6以下では、炭酸リチウムが溶解して二酸化炭素が発生する。一方、pH2未満では、炭酸リチウムの溶解度が変化せず、二酸化炭素の発生量も変化しない。
炭酸リチウムが溶解すると、以下式(1)~(3)に示す分解反応から選択される1以上の反応が進行し、二酸化炭素が発生する(二酸化炭素発生工程S1)。
LiCO+HSO→LiSO(液相)+HO(液相)+CO(ガス) (1)
LiCO+2HCl→2LiCl(液相)+HO(液相)+CO(ガス) (2)
LiCO+2HNO→2LiNO(液相)+HO(液相)+CO(ガス) (3)
【0046】
二酸化炭素発生工程は、常温(10以上40℃以下、好ましくは18以上25℃以下)程度で行われることが好ましい。
従来の、リチウムイオン電池中の活物質粉中の炭素分を燃焼して二酸化炭素を発生させる方法では、反応温度が高く、フッ化水素、窒素酸化物(NO)、及び硫黄化合物が同時に発生するため、従来の方法で得たガス成分を、後段の炭酸リチウム生成工程に用いる場合、炭酸リチウムの品質が低下することが問題であった。
本実施形態の二酸化炭素発生工程S1で発生したガスは、前述の通り、非燃焼ガスであるため、フッ化水素、窒素酸化物(NO)、及び硫黄化合物を含まない。
【0047】
本実施形態の二酸化炭素発生工程S1の温度条件の範囲内であれば、ブラックマス、水、及び無機酸を混合して二酸化炭素を発生させる際に生じるガスには、二酸化炭素、水素、及び酸素等が含有される。
一方、温度が常温未満である場合、二酸化炭素が発生しにくいという問題が生じる。
本実施形態の二酸化炭素発生工程S1で生じるガスの成分組成としては、例えば、二酸化炭素:95vol%以上98vol%以下、水素:1vol%以上2vol%以下、並びに残部:酸素等である。
ガスの成分はガスクロマトグラフィーで測定することが出来る。
【0048】
反応槽11の反応時間は、例えば、30分以上、20時間以下の範囲であればよい。反応時間が30分未満では、ブラックマスに含まれる炭酸リチウムが無機酸と十分に反応しない懸念がある。また、反応時間を20時間を超えるようにしても、それ以上反応が進まず、処理効率が低下する懸念がある。
【0049】
本実施形態の二酸化炭素発生工程S1で得られるガスに含有される成分は、前述の通り、二酸化炭素、酸素、及び水素等である。酸素及び水素は炭酸リチウム生成工程S5において、不純物を発生させることがない。従って、本実施形態の二酸化炭素発生工程S1で得られる二酸化炭素を、後段の炭酸リチウム生成工程S5で二酸化炭素源として用いる場合に、ガス中の不純物の除去をせずに、品質の高い炭酸リチウムを得ることができる。
【0050】
本実施形態の二酸化炭素発生工程S1では、同時にリチウム化合物の液相への浸出が進行する。
例えば、ブラックマスに含まれる炭酸リチウムは、無機酸と反応して、硫酸リチウム、塩化リチウム、及び硝酸リチウム等の形で浸出液(液相)に移動する。続いて、コバルト、ニッケルとの分離のためにカルシウム化合物を加えて中和を行う。中和にて添加したカルシウム化合物が溶出した分、また、ブラックマスは炭酸リチウム以外にフッ化リチウムを含有しているため、浸出液はカルシウム、及びフッ素等の不純物を含有する。
一方、浸出後に得られる浸出残渣(固相)には、ブラックマスに含まれる炭素、コバルト、ニッケル等が含まれている。
【0051】
(二酸化炭素回収工程:S2)
次に、二酸化炭素回収工程S2にて、二酸化炭素発生工程S1で発生した二酸化炭素を回収する。
二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収デバイス13としては、二酸化炭素をガス状のまま捕集して回収するガス捕集デバイス、ガス状の二酸化炭素をアルカリ溶液で吸収して回収するアルカリ溶液槽、の何れかを用いることが出来る。
【0052】
ガス捕集デバイス13にて、ガス状の二酸化炭素を回収する場合は、そのまま二酸化炭素を後段の炭酸リチウム製造工程S5で使用できる。従って、ガス捕集デバイスから、ガス供給管(図示外)を通して、炭酸リチウム生成槽14に二酸化炭素を供給する。
【0053】
アルカリ溶液槽を用いて二酸化炭素を回収する場合、アルカリ溶液として水酸化ナトリウム水溶液を用い、水酸化ナトリウム水溶液に二酸化炭素(ガス)を導入することで二酸化炭素を回収する。二酸化炭素を回収するのに好ましい水酸化ナトリウム水溶液の濃度は1mol/L以上18mol/L以下である。
水酸化ナトリウム水溶液に二酸化炭素を導入すると、下記式(4)及び(5)で示す通り、炭酸水素ナトリウムとして二酸化炭素が回収される。
CO+2NaOH→NaCO+HO (4)
NaCO+CO+HO→2NaHCO (5)
【0054】
(固液分離工程:S3)
本実施形態の固液分離工程S3では、二酸化炭素発生工程S1で得られた浸出液(液相)と浸出残渣(固相)とを分離する。
固液分離は、例えば、濾過装置を用いて、二酸化炭素発生工程S1で得られた固液混合物を濾過することにより、固相と液相とを濾別すればよい。こうした固液分離工程S3によって、ブラックマスに含まれる炭素、コバルト、ニッケル等からなる固相と、炭酸リチウムが硫酸リチウム、塩化リチウム、及び硝酸リチウムの何れかの形で溶解した浸出液(液相)と、をそれぞれ得ることができる。
【0055】
固液分離工程S3によって得られた固相は、この後、硫酸等を用いて浸出を行うことにより、固相に含まれる炭素(グラファイト)などの不溶性物質から、それぞれの金属を浸出させて、回収することができる。
【0056】
(不純物除去工程:S4)
本実施形態の不純物除去工程S4では、固液分離工程S3で分離された浸出液(液相)から不純物を除去する。
本実施形態では、リチウムイオン電池焼成粉(ブラックマス)を硫酸、塩酸、及び硝酸からなる群より選択される1種以上の無機酸で浸出しており、浸出液には、カルシウムイオン、フッ化物イオン等の不純物が共存している。
浸出液にカルシウムイオンが共存している場合、後段の炭酸リチウム生成工程S5で、二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムが生成され、炭酸リチウムの純度が低下する。また、浸出液にフッ化物イオンが共存している場合、後段の炭酸リチウム生成工程S5で、フッ化リチウムが生成され、炭酸リチウムの純度が低下する。
そこで、本実施形態では、固液分離工程S3で分離された浸出液(液相)からカルシウムイオン、フッ化物イオン等の不純物を除去することが望ましい。
【0057】
不純物除去工程S4では、先ず、浸出液からフッ化物イオンを除去することが好ましい。
フッ化物イオンを除去する方法としては、浸出液にカルシウム塩を添加して、フッ化カルシウム(CaF)を沈殿させて、フッ化物イオンを固形分として分離するフッ化カルシウム法、及び水酸化アルミニウムにフッ化物イオンを吸着させる吸着法の何れか、又は両方が挙げられる。
【0058】
フッ化カルシウム法では、カルシウム塩として、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、及び硫酸カルシウムから選択される1種以上を用いることができる。フッ化物イオンを含有する浸出液に、上記いずれかのカルシウム塩を添加することで、フッ化カルシウム(CaF)が析出し、沈殿する。このような反応によって、浸出液中のフッ化物イオン濃度が低減できる。
【0059】
吸着法では、フッ化物イオンを含有する浸出液中で水酸化アルミニウムの表面にフッ化物イオンを吸着させることで浸出液中からフッ化物イオンを除去し、フッ化物イオンが吸着した水酸化アルミニウム沈殿物を分離して、浸出液中のフッ化物イオン濃度を低減する方法である。
吸着法では、フッ化物イオンを含有する浸出液に硫酸アルミニウム又は塩化アルミニウムを添加するとよい。本実施形態の浸出液は、リチウムイオンを含有しており、硫酸アルミニウム又は塩化アルミニウムを添加すると、水酸化アルミニウムが析出し、沈殿する。このとき、浸出液中のpHはpH6以上pH8以下の範囲であることが好ましい。pH6以上pH8以下の範囲であれば、析出した水酸化アルミニウムの溶解度を低減しながら、水酸化アルミニウムにフッ化物イオンを吸着させることができ、後段の炭酸リチウム生成工程S5で得られる炭酸リチウムの純度を高くすることができる。
浸出液中のpHがpH6以上pH8以下の範囲外である場合、浸出液中にアルミニウムイオンが残留し、後段の炭酸リチウム生成工程S5に好ましくない影響を及ぼす。
【0060】
本実施形態の不純物除去工程S4では、フッ化物イオンを除去した後の浸出液に、更に炭酸ナトリウム(NaCO)を添加するとよい。浸出液に炭酸ナトリウムを添加すると、浸出液中のカルシウムイオンと炭酸ナトリウムとが反応し、炭酸カルシウム(CaCO)が沈殿し、カルシウムイオンを固形分として分離することが出来る。このようなカルシウムイオンの分離によって、浸出液中のカルシウムイオン濃度を低下させ、後段の炭酸リチウム生成工程S5で得られる炭酸リチウムの純度を高くすることができる。
【0061】
なお、固液分離工程S3で分離された浸出液が、重金属イオン(Fe3+、Mn2+、Ni2+、Co2+等)を含有する場合、上記のフッ化カルシウム法、吸着法、及び炭酸カルシウムの生成の何れかの方法にて、重金属イオンを析出又は吸着させて、浸出液中の重金属イオンの濃度を低減することが出来る。
【0062】
(炭酸リチウム生成工程:S5)
本実施形態の炭酸リチウム生成工程S5では、不純物除去工程S4で不純物が除去された浸出液に、二酸化炭素回収工程S2で回収された二酸化炭素を導入して、炭酸リチウムを析出させ、炭酸リチウム沈殿物を分離することで炭酸リチウムを得ることが出来る。
即ち、浸出液をリチウム含有液として用いる。
【0063】
本実施形態の炭酸リチウム生成工程S5では、二酸化炭素回収工程S2で回収された二酸化炭素を、二酸化炭素源として用いる。二酸化炭素回収工程S2で回収された二酸化炭素は、前段の二酸化炭素発生工程S1で発生したガスに含まれる二酸化炭素である。本実施形態の二酸化炭素発生工程S1で発生するガスは、二酸化炭素の他に、酸素及び水素等を含有している。しかし、当該ガスにはフッ化水素、窒素酸化物(NO)、及び硫黄化合物等の成分は含まれていない。
従って、本実施形態の炭酸リチウム生成工程S5では、不純物が生成されず、品質の高い炭酸リチウムを得ることができる。
【0064】
また、本実施形態の炭酸リチウム生成工程S5では、ブラックマスに含有されるリチウム化合物を、無機酸を用いて液相に浸出させる際に生じる二酸化炭素を二酸化炭素源として用いているため、リチウムイオン電池をリサイクルする際に発生する二酸化炭素の大気中への排出量を低減するとともに、炭酸リチウム製造時の二酸化炭素のコストを低減することができる。
【0065】
本実施形態の炭酸リチウム生成工程S5では、二酸化炭素回収工程S2においてガス捕集デバイスを用いて回収されたガス状の二酸化炭素を、ガス供給管を通して直接、硫酸リチウム、塩化リチウム、及び硝酸リチウムの何れかが溶解している浸出液に導入することが好ましい。
ガス状の二酸化炭素を用いて炭酸リチウムを析出させる場合、炭酸リチウムを析出させる反応に影響のある成分が浸出液には導入されず、より品質の高い炭酸リチウムを製造することが出来る。
【0066】
炭酸リチウム生成工程S5では、二酸化炭素回収工程S2において、水酸化ナトリウム水溶液で回収された二酸化炭素を、二酸化炭素源として用いてもよい。
この場合、硫酸リチウム、塩化リチウム、及び硝酸リチウムの何れかが溶解している浸出液に、二酸化炭素回収工程S2で得た水酸化ナトリウム水溶液で回収された二酸化炭素を添加するとよい。
この方法では、水酸化ナトリウム水溶液(アルカリ溶液槽)で二酸化炭素を回収して保存できるため、二酸化炭素がガスとして排出されることを防止できる。また、この方法では、ガス状の二酸化炭素を導入する方法より、炭酸リチウムが生成する反応が早く進む。従って、炭酸リチウム生成における二酸化炭素のコストをより効果的に低減できる。
【0067】
本実施形態の炭酸リチウム生成工程S5では、二酸化炭素源として、ガス捕集デバイスを用いて回収されたガス状の二酸化炭素のみを用いてもよいし、水酸化ナトリウム水溶液で回収された二酸化炭素のみを用いてもよいし、これらの両方を用いてもよい。
【0068】
上述の実施形態では、炭酸塩を含む原料として、リサイクル原料として回収されたリチウムイオン電池を用いて形成されたリチウムイオン電池焼成粉(ブラックマス)を用いたが、他に焼却残渣、ダスト、汚泥等を用いてもよい。
また、上述の実施形態では、炭酸リチウムを得るためのリチウム含有液として、ブラックマスを無機酸で浸出して得た浸出液を用いているが、他に正極端材や電解質を酸浸出したときに発生するリチウム含有液を用いてもよい。
【0069】
(炭酸リチウム製造装置)
本実施形態の炭酸リチウム製造装置10は、図2に示すとおり、反応槽(浸出槽)11、二酸化炭素回収デバイス13、及び炭酸リチウム生成槽14を少なくとも有する。本実施形態の炭酸リチウム製造装置10は、更に、固液分離槽12を有していてもよい。
本実施形態の反応槽(浸出槽)11は、硫酸、塩酸、及び硝酸からなる群より選択される1種以上の無機酸を用いて、炭酸塩を含む原料から二酸化炭素を発生させることが出来る反応槽であればよい。二酸化炭素回収デバイス13は、ガス捕集デバイスとアルカリ溶液槽との何れか又は両方であってよい。固液分離槽12は、反応槽(浸出槽)11において生じる固液混合物を固液分離する分離装置、例えば、濾過装置であればよい。炭酸リチウム生成槽14は、二酸化炭素回収デバイス13で回収した二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給手段と、固液分離槽12で分離された、硫酸リチウム、塩化リチウム、及び硝酸リチウムの何れかが溶解している浸出液を供給する浸出液供給手段とを有しており、炭酸リチウムを生成することが出来る反応槽であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の炭酸リチウムの製造方法及びリチウムの製造装置によれば、品質の良い炭酸リチウムを、二酸化炭素の排出量と使用コストを低減しながら得ることができ、温室ガスの削減に寄与することが可能となる。
【符号の説明】
【0071】
10:炭酸リチウム製造装置
11:反応槽(浸出槽)
12:固液分離槽
13:二酸化炭素回収デバイス
14:炭酸リチウム生成槽
図1
図2