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特開2024-146918改変タンパク質および糖のエピメリ化反応触媒用の酵素剤
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146918
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】改変タンパク質および糖のエピメリ化反応触媒用の酵素剤
(51)【国際特許分類】
   C12N 9/90 20060101AFI20241004BHJP
   C12P 19/02 20060101ALI20241004BHJP
   A23L 33/125 20160101ALI20241004BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241004BHJP
   A61K 38/52 20060101ALI20241004BHJP
   A61K 8/66 20060101ALI20241004BHJP
   A61Q 90/00 20090101ALI20241004BHJP
   C12N 15/61 20060101ALN20241004BHJP
   C12N 15/31 20060101ALN20241004BHJP
   A23K 20/163 20160101ALN20241004BHJP
【FI】
C12N9/90 ZNA
C12P19/02
A23L33/125
A61P43/00 111
A61K38/52
A61K8/66
A61Q90/00
C12N15/61
C12N15/31
A23K20/163
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024057611
(22)【出願日】2024-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2023058966
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】507219686
【氏名又は名称】静岡県公立大学法人
(71)【出願人】
【識別番号】000231453
【氏名又は名称】日本食品化工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 創平
(72)【発明者】
【氏名】中野 祥吾
(72)【発明者】
【氏名】小塚 康平
(72)【発明者】
【氏名】金井 研太
【テーマコード(参考)】
2B150
4B018
4B064
4C083
4C084
【Fターム(参考)】
2B150AA05
2B150AA08
2B150AA09
2B150AB10
2B150AE02
2B150AE05
2B150AE17
2B150BB05
2B150DC13
4B018MD28
4B018MF12
4B064AF02
4B064CA02
4B064CA19
4B064CA21
4B064CC03
4B064CC06
4B064CC24
4B064CD02
4B064CD09
4B064CD21
4B064CE03
4B064CE06
4B064DA01
4B064DA10
4B064DA16
4C083AD411
4C083AD412
4C083CC01
4C083EE01
4C083FF01
4C084AA06
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084CA59
4C084DC27
4C084NA03
4C084ZC021
4C084ZC022
(57)【要約】      (修正有)
【課題】熱安定性が向上したエピメリ化反応を触媒する酵素を提供する。
【解決手段】以下の(a)から(d)のいずれかのタンパク質。(a)特定のアミノ酸配列を含むタンパク質;(b)特定のアミノ酸配列に対して90%以上のアミノ酸配列同一性を有し、且つ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質;(c)特定のアミノ酸配列において、1から数個のアミノ酸が置換、挿入、欠失及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質;(d)特定のアミノ酸配列に対して70%以上のアミノ酸配列同一性を有し、且つK35R、N55S、R111A、A117P、I245V、A287P、K352R、Q377FまたはQ377Y、A385E、G387D、I391R、R423P及びD424Gから選択されるアミノ酸置換配列を含み、且つ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)から(d)のいずれかのタンパク質。
(a)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49および配列番号51からなる群から選択される一に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質;
(b)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17および配列番号19、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49および配列番号51からなる群から選択される一に記載のアミノ酸配列に対して90%以上のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質;
(c)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17および配列番号19、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49および配列番号51からなる群から選択されるいずれか一に記載のアミノ酸配列において、1から数個のアミノ酸が置換、挿入、欠失および/または付加されたアミノ酸配列を含み、かつ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質;
(d)配列番号27に記載のアミノ酸配列に対して70%以上のアミノ酸配列同一性を有し、かつ配列番号27に記載のアミノ酸配列においてK35R、N55S、R111A、A117P、I245V、A287P、K352R、Q377FまたはQ377Y、A385E、G387D、I391R、R423PおよびD424Gからなる群から選択される一以上のアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含み、かつ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質。
【請求項2】
配列番号27に記載のアミノ酸配列を含む糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質に比較して熱安定性および/または高温反応性が向上している、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項3】
請求項1に記載のタンパク質を含む、糖のエピメリ化反応触媒用の酵素剤。
【請求項4】
以下の(e)から(h)のいずれかのDNAが導入された形質転換細胞の培養上清を含む、糖のエピメリ化反応触媒用の酵素剤。
(e)請求項1に記載のタンパク質をコードするDNA;
(f)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50および配列番号52からなる群から選択される一に記載の塩基配列を含むDNA;
(g)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50および配列番号52からなる群から選択される一に記載の塩基配列の相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、かつ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(h)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50および配列番号52からなる群から選択される一に記載の塩基配列に対して90%以上の塩基配列同一性を有する塩基配列を含むDNAであって、かつ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードするDNA。
【請求項5】
糖基質に、請求項1または2に記載のタンパク質、または請求項3または4に記載の酵素剤を作用させて、糖のエピメリ化反応生成物を得る工程を含む、糖のエピメリ化反応生成物の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法を実施して得られた糖のエピメリ化反応生成物を用いて食品、飼料、餌料、化成品、化粧料、または医薬品を得る工程を含む、食品、飼料、餌料、化成品、化粧料、または医薬品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改変タンパク質、当該タンパク質を含む糖のエピメリ化反応触媒用の酵素剤、および当該改変タンパク質または酵素剤を作用させて、エピメリ化反応生成物を得る工程を含む、エピメリ化反応生成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マンノースはグルコースの異性体であり、コンニャクなどから抽出されるグルコマンナン、ヘミセルロース、あるいは細胞表面などに存在する糖鎖の構成糖として良く知られている。また、マンノースそのものはクランベリーに含まれることが知られている。
【0003】
マンノースの生体利用性は低く、経口摂取したマンノースのほとんどは速やかに尿中に排出される。尿路感染症の原因菌は、当該菌が有するマンノース結合レクチンと、尿路表面細胞に存在する糖鎖の結合を介して尿路表面へ付着し感染すると考えられている。経口摂取したマンノースは尿中に速やかに排出されるため、排出されたマンノースは当該菌のマンノース結合レクチンと細胞表面糖鎖への結合を阻害することで、尿路感染症を予防する効果が期待されている(非特許文献1)。
【0004】
特許文献1にはマンノース含有糖組成物を有効成分とする有害菌感染抑制剤または有害菌感染防止用飼料に関わる技術が開示されている。特許文献2にはマンノースを有効成分とする飲食品の食感改良剤についての記述がある。
【0005】
マンノースの調製法としては、化学反応法および酵素法が複数知られている。以下に、各調製法について検討する。
第一の化学反応法は、蔗糖を還元することでソルビトールとマンニトールを生成し、マンニトールを分取し、さらにマンニトールを酸化することでマンノースを調製する方法である。しかし、この方法は多段階のステップおよび高温高圧での触媒反応を必要とするため、効率面で問題がある。
【0006】
第二の化学反応法は、グルコマンナンやマンナンを加水分解することでマンノースを調製する方法である。しかし、この方法は、基質が高価でありかつ基質の調製に労力を要するという問題がある。
【0007】
第三の化学反応法は、コプラミールなどのヘミセルロースを加水分解する手法である。しかし、この方法は、構成糖が多様であるためマンノースの収率が悪く、酸加水分解の場合はさらに収率が悪化し精製負荷が大きくなるという問題がある。
【0008】
第四の化学反応法は、グルコースをアルカリ条件下で異性化することでマンノースを調製する方法である。しかし、この方法は、糖の分解が生じるため収率が悪く、精製負荷が大きいという問題がある。
【0009】
第五の化学反応法は、同じくフルクトースをアルカリ条件下で異性化することでマンノースを調製する方法である。しかし、この方法は、第四の化学反応法と同様に収率および精製負荷の点で問題があり、またフルクトースがグルコースに比べて比較的高価である点およびフルクトースが反応系に残存してしまいマンノースとの分離が困難である点も問題がある。
【0010】
第一の酵素法としては、フルクトースにマンノースイソメラーゼを作用させることでマンノースを調製する方法である。しかし、原料となるフルクトースの価格面および反応系に残存するフルクトースの分離の点で問題がある。
【0011】
第二の酵素法としては、グルコースあるいはフルクトースに対してアルドース-ケトースイソメラーゼ(Aldose-ketose isomerase、以下「AKI」と記載する)を作用させることでマンノースを調製する方法である。しかし、この方法は、反応系に残存するフルクトースの分離の点でやはり問題がある。
【0012】
また、セロビオースなどの還元末端糖残基がβ-1,4結合で結合している2つ以上の糖残基からなる糖について、前記還元末端糖残基の2位の水酸基を2-エピメリ化(異性化)する反応、またはその逆反応を触媒する酵素として、セロビオース 2-エピメラーゼ(Cellobiose 2-epimerase、以下「CE」と記載する)が知られている(特許文献3、特許文献4)。当該酵素により、グルコースがβ-1,4結合したセロビオースを4-O-β-グルコシル-マンノースへ変換、またはその逆反応を触媒することができる。また、特許文献4には当該CEをグルコースに作用させると、マンノースが得られたことが記載されている(第三の酵素法)。しかし、特許文献4に記載のCEを用いる第三の酵素法では、CEがエピメリ化反応に加えアルドース-ケトース異性化反応も触媒する。そのため、マンノースと共にフルクトースも生成してしまい、副生するフルクトースの分離の点で問題がある。
【0013】
第四の酵素法としては、グルコース、マンノース、ガラクトースおよびタロースの2位の水酸基をエピメリ化する反応を触媒する酵素を用いる方法である(特許文献5、6)。当該方法では、フルクトースおよびタガトースがほとんど副生されない点が第一から第三の酵素法より優れている(特許文献5、6)。さらに、第四の酵素法に関する最近の報告として、より効率的にマンノースを製造できる酵素や熱安定性が向上した酵素が知られている(特許文献7、8)。しかし、これらの酵素が活性を安定的に保持できる温度は、弱アルカリ性の条件下(pH7.5~8.0)では最大で55℃程度であり、弱酸性~弱アルカリ性の幅広いpH帯において、より向上した熱安定性を有する酵素が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許4694667号
【特許文献2】特開2001-275583号
【特許文献3】特許5092049号
【特許文献4】国際公開2010/090095号
【特許文献5】特開2019-033702号
【特許文献6】特許6657453号 特開2020-137485号
【特許文献7】特許6959411号 特開2022-26753号
【特許文献8】特開2022-158102号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Sharma V, Ichikawa M, Freeze HH. Mannose metabolism: more than meets the eye. Biochem Biophys Res Commun. 2014;453(2):220-228. doi:10.1016/j.bbrc.2014.06.021
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
酵素法によるエピメリ化反応生成物の生産効率は、使用する酵素の特性に依る部分が大きい。工業的規模での利用に適した、熱安定性が向上した酵素が求められていた。
【0017】
本発明は、熱安定性が向上したエピメリ化反応を触媒する酵素を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、改変マンノース 2-エピメラーゼの作出を企図し、機械学習法による配列解析およびタンパク質改変技術を用い、多数の改変体を設計し、機能解析によるスクリーニングを行ってきた。その中で、特許文献8で報告されているマンノース 2-エピメラーゼ活性を有するタンパク質を鋳型に、11種の耐熱性を有する改変マンノース 2-エピメラーゼを見出した。
【0019】
本発明は以下の通りである。
[1] 以下の(a)から(d)のいずれかのタンパク質。
(a)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49および配列番号51からなる群から選択される一に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質;
(b)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49および配列番号51からなる群から選択される一に記載のアミノ酸配列に対して90%以上のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質;
(c)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49および配列番号51からなる群から選択されるいずれか一に記載のアミノ酸配列において、1から数個のアミノ酸が置換、挿入、欠失および/または付加されたアミノ酸配列を含み、かつ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質;
(d)配列番号27に記載のアミノ酸配列に対して70%以上のアミノ酸配列同一性を有し、かつ配列番号27に記載のアミノ酸配列においてK35R、N55S、R111A、A117P、I245V、A287P、K352R、Q377FまたはQ377Y、A385E、G387D、I391R、R423PおよびD424Gからなる群から選択される一以上のアミノ酸置換を含み、かつ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質。
[1-1] 但し、配列番号25もしくは27に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質;配列番号25もしくは27に記載のアミノ酸配列に対して90%以上のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質;または配列番号25もしくは27に記載のアミノ酸配列において、1から数個のアミノ酸が置換、挿入、欠失および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質を除く、[1]に記載のタンパク質。
[2] 配列番号27に記載のアミノ酸配列を含む糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質に比較して熱安定性および/または高温反応性が向上している、[1]に記載のタンパク質。
[3] [1]または[2]に記載のタンパク質を含む、糖のエピメリ化反応触媒用の酵素剤。
[4] 以下の(e)から(h)のいずれかのDNAが導入された形質転換細胞の培養上清を含む、糖のエピメリ化反応触媒用の酵素剤。
(e)[1]に記載のタンパク質をコードするDNA;
(f)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50および配列番号52からなる群から選択される一に記載の塩基配列を含むDNA;
(g)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50および配列番号52からなる群から選択される一に記載の塩基配列の相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、かつ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(h)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50および配列番号52からなる群から選択される一に記載の塩基配列に対して90%以上の塩基配列同一性を有する塩基配列を含むDNAであって、かつ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードするDNA。
[4-1] 但し、形質転換細胞に導入されたDNAは、配列番号26もしくは28に示す塩基配列からなるDNA、配列番号26もしくは28に示す塩基配列の相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA、または配列番号26もしくは28に示す塩基配列に対して90%以上の塩基配列同一性を有する塩基配列を含むDNAを除く、[4]に記載の酵素剤。
[5] 糖基質に、[1]または[2]に記載のタンパク質、または[3]または[4]に記載の酵素剤を作用させて、糖のエピメリ化反応生成物を得る工程を含む、糖のエピメリ化反応生成物の製造方法。
[6] [5]に記載の方法を実施して得られた糖のエピメリ化反応生成物を用いて食品、飼料、餌料、化成品、化粧料、または医薬品を得る工程を含む、食品、飼料、餌料、化成品、化粧料、または医薬品の製造方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、エピメリ化活性を有する新規なタンパク質および当該タンパク質を含む酵素剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A図1Aは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-1C6)のアミノ酸配列(配列番号1)である。下線を付した領域は、シグナルペプチド配列と推定された部分である。
図1B図1Bは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-1C6)のアミノ酸配列をコードする塩基配列(配列番号2)である。下線を付した領域はシグナルペプチド配列に対応する塩基配列である。
図1C図1Cは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-1C6)のアミノ酸配列(配列番号3)である。配列番号3に示すアミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸配列からシグナルペプチドと推定された部分を削った配列である。
図1D図1Dは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-1C6)のアミノ酸配列をコードする塩基配列(配列番号4)である。配列番号4に示す塩基配列は、配列番号2の塩基配列からシグナルペプチド配列に対応する塩基配列を削除した配列である。
図2A図2Aは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2)のアミノ酸配列(配列番号5)である。下線を付した領域は、シグナルペプチド配列と推定された部分である。
図2B図2Bは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2)のアミノ酸配列をコードする塩基配列(配列番号6)である。下線を付した領域はシグナルペプチド配列に対応する塩基配列である。
図2C図2Cは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2)のアミノ酸配列(配列番号7)である。配列番号7に示すアミノ酸配列は、配列番号5のアミノ酸配列からシグナルペプチドと推定された部分を削った配列である。
図2D図2Dは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2)のアミノ酸配列をコードする塩基配列(配列番号8)である。配列番号8に示す塩基配列は、配列番号6の塩基配列からシグナルペプチド配列に対応する塩基配列を削除した配列である。
図3A図3Aは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2C2)のアミノ酸配列(配列番号9)である。下線を付した領域は、シグナルペプチド配列と推定された部分である。
図3B図3Bは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2C2)のアミノ酸配列をコードする塩基配列(配列番号10)である。下線を付した領域はシグナルペプチド配列に対応する塩基配列である。
図3C図3Cは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2C2)のアミノ酸配列(配列番号11)である。配列番号11に示すアミノ酸配列は、配列番号9のアミノ酸配列からシグナルペプチドと推定された部分を削った配列である。
図3D図3Dは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2C2)のアミノ酸配列をコードする塩基配列(配列番号12)である。配列番号12に示す塩基配列は、配列番号10の塩基配列からシグナルペプチド配列に対応する塩基配列を削除した配列である。
図4A図4Aは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2C7)のアミノ酸配列(配列番号13)である。下線を付した領域は、シグナルペプチド配列と推定された部分である。
図4B図4Bは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2C7)のアミノ酸配列をコードする塩基配列(配列番号14)である。下線を付した領域はシグナルペプチド配列に対応する塩基配列である。
図4C図4Cは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2C7)のアミノ酸配列(配列番号15)である。配列番号15に示すアミノ酸配列は、配列番号13のアミノ酸配列からシグナルペプチドと推定された部分を削った配列である。
図4D図4Dは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2C7)のアミノ酸配列をコードする塩基配列(配列番号16)である。配列番号16に示す塩基配列は、配列番号14の塩基配列からシグナルペプチド配列に対応する塩基配列を削除した配列である。
図5A図5Aは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2SC75)のアミノ酸配列(配列番号17)である。下線を付した領域は、シグナルペプチド配列と推定された部分である。
図5B図5Bは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2SC75)のアミノ酸配列をコードする塩基配列(配列番号18)である。下線を付した領域はシグナルペプチド配列に対応する塩基配列である。
図5C図5Cは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2SC75)のアミノ酸配列(配列番号19)である。配列番号19に示すアミノ酸配列は、配列番号17のアミノ酸配列からシグナルペプチドと推定された部分を削った配列である。
図5D図5Dは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2SC75)のアミノ酸配列をコードする塩基配列(配列番号20)である。配列番号20に示す塩基配列は、配列番号18の塩基配列からシグナルペプチド配列に対応する塩基配列を削除した配列である。
図6A図6Aは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toALL2)のアミノ酸配列(配列番号29)である。下線を付した領域は、シグナルペプチド配列と推定された部分である。
図6B図6Bは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toALL2)のアミノ酸配列をコードする塩基配列(配列番号30)である。下線を付した領域はシグナルペプチド配列に対応する塩基配列である。
図6C図6Cは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toALL2)のアミノ酸配列(配列番号31)である。配列番号31に示すアミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸配列からシグナルペプチドと推定された部分を削った配列である。
図6D図6Dは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toALL2)のアミノ酸配列をコードする塩基配列(配列番号32)である。配列番号32に示す塩基配列は、配列番号30の塩基配列からシグナルペプチド配列に対応する塩基配列を削除した配列である。
図7A図7Aは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-1C6to2S2)のアミノ酸配列(配列番号33)である。下線を付した領域は、シグナルペプチド配列と推定された部分である。
図7B図7Bは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-1C6to2S2)のアミノ酸配列をコードする塩基配列(配列番号34)である。下線を付した領域はシグナルペプチド配列に対応する塩基配列である。
図7C図7Cは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-1C6to2S2)のアミノ酸配列(配列番号35)である。配列番号35に示すアミノ酸配列は、配列番号33のアミノ酸配列からシグナルペプチドと推定された部分を削った配列である。
図7D図7Dは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-1C6to2S2)のアミノ酸配列をコードする塩基配列(配列番号36)である。配列番号36に示す塩基配列は、配列番号34の塩基配列からシグナルペプチド配列に対応する塩基配列を削除した配列である。
図8A図8Aは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAH10)のアミノ酸配列(配列番号37)である。下線を付した領域は、シグナルペプチド配列と推定された部分である。
図8B図8Bは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAH10)のアミノ酸配列をコードする塩基配列(配列番号38)である。下線を付した領域はシグナルペプチド配列に対応する塩基配列である。
図8C図8Cは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAH10)のアミノ酸配列(配列番号39)である。配列番号39に示すアミノ酸配列は、配列番号37のアミノ酸配列からシグナルペプチドと推定された部分を削った配列である。
図8D図8Dは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAH10)のアミノ酸配列をコードする塩基配列(配列番号40)である。配列番号40に示す塩基配列は、配列番号38の塩基配列からシグナルペプチド配列に対応する塩基配列を削除した配列である。
図9A図9Aは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR10)のアミノ酸配列(配列番号41)である。下線を付した領域は、シグナルペプチド配列と推定された部分である。
図9B図9Bは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR10)のアミノ酸配列をコードする塩基配列(配列番号42)である。下線を付した領域はシグナルペプチド配列に対応する塩基配列である。
図9C図9Cは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR10)のアミノ酸配列(配列番号43)である。配列番号43に示すアミノ酸配列は、配列番号41のアミノ酸配列からシグナルペプチドと推定された部分を削った配列である。
図9D図9Dは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR10)のアミノ酸配列をコードする塩基配列(配列番号44)である。配列番号44に示す塩基配列は、配列番号42の塩基配列からシグナルペプチド配列に対応する塩基配列を削除した配列である。
図10A図10Aは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR15)のアミノ酸配列(配列番号45)である。下線を付した領域は、シグナルペプチド配列と推定された部分である。
図10B図10Bは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR15)のアミノ酸配列をコードする塩基配列(配列番号46)である。下線を付した領域はシグナルペプチド配列に対応する塩基配列である。
図10C図10Cは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR15)のアミノ酸配列(配列番号47)である。配列番号47に示すアミノ酸配列は、配列番号45のアミノ酸配列からシグナルペプチドと推定された部分を削った配列である。
図10D図10Dは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR15)のアミノ酸配列をコードする塩基配列(配列番号48)である。配列番号48に示す塩基配列は、配列番号46の塩基配列からシグナルペプチド配列に対応する塩基配列を削除した配列である。
図11A図11Aは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR25)のアミノ酸配列(配列番号49)である。下線を付した領域は、シグナルペプチド配列と推定された部分である。
図11B図11Bは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR25)のアミノ酸配列をコードする塩基配列(配列番号50)である。下線を付した領域はシグナルペプチド配列に対応する塩基配列である。
図11C図11Cは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR25)のアミノ酸配列(配列番号51)である。配列番号51に示すアミノ酸配列は、配列番号49のアミノ酸配列からシグナルペプチドと推定された部分を削った配列である。
図11D図11Dは、改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR25)のアミノ酸配列をコードする塩基配列(配列番号52)である。配列番号52に示す塩基配列は、配列番号50の塩基配列からシグナルペプチド配列に対応する塩基配列を削除した配列である。
図12-1】図12―1は各改変マンノース 2-エピメラーゼおよび比較用酵素の各反応pHにおける相対活性を示したグラフである。黒四角(■)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-1C6)、白四角は(□)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2)、黒三角(▲)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2C2)、白三角(△)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2C7)、黒丸(●)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2SC75)、白丸(○)は比較用酵素の相対活性を示している。相対値は、各改変マンノース 2-エピメラーゼまたは比較用酵素ごとに、pH7.9における活性を100%とした場合の各反応pHにおける活性の割合(%)である。
図12-2】図12―2は各改変マンノース 2-エピメラーゼの各反応pHにおける相対活性を示したグラフである。黒四角(■)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toALL2)、白四角は(□)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-1C6to2S2)、黒三角(▲)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAH10)、白三角(△)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR10)、黒丸(●)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR15)、白丸(○)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR25)の相対活性を示している。ME-2S2toALL2を除いて、相対値は、各改変マンノース 2-エピメラーゼごとに、pH7.9における活性を100%とした場合の各反応pHにおける活性の割合(%)である。ME-2S2toALL2については、pH7.2における活性を100%とし、各反応pHにおける活性の割合(%)を示した。
図13-1】図13-1は各改変マンノース 2-エピメラーゼの各反応温度における相対活性を示したグラフである。黒四角(■)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-1C6)、白四角は(□)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2)、黒三角(▲)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2C2)、白三角(△)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2C7)、黒丸(●)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2SC75)、白丸(○)は比較用酵素の相対活性を示している。相対値は、各改変マンノース 2-エピメラーゼまたは比較用酵素ごとに、45℃における活性を100%とした場合の各反応温度における活性の割合(%)である。
図13-2】図13-2は各改変マンノース 2-エピメラーゼの各反応温度における相対活性を示したグラフである。黒四角(■)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toALL2)、白四角は(□)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-1C6to2S2)、黒三角(▲)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAH10)、白三角(△)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR10)、黒丸(●)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR15)、白丸(○)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR25)の相対活性を示している。相対値は、各改変マンノース 2-エピメラーゼごとに、45℃における活性を100%とした場合の各反応温度における活性の割合(%)である。
図14-1】図14-1は各改変マンノース 2-エピメラーゼの各温度で60分間保持した際の相対残存活性を示したグラフである。黒四角(■)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-1C6)、白四角は(□)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2)、黒三角(▲)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2C2)、白三角(△)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2C7)、黒丸(●)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2SC75)、白丸(○)の相対残存活性を示している。各温度に保持する前の活性を100%とし、保持後の残存活性を相対値にて表した。
図14-2】図14-2は各改変マンノース 2-エピメラーゼの各温度で60分間保持した際の相対残存活性を示したグラフである。黒四角(■)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toALL2)、白四角は(□)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-1C6to2S2)、黒三角(▲)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAH10)、白三角(△)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR10)、黒丸(●)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR15)、白丸(○)は改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR25)の相対活性を示している。各温度に保持する前の活性を100%とし、保持後の残存活性を相対値にて表した。
図15A図15Aは、グルコースに対して各改変マンノース 2-エピメラーゼ、比較用酵素および比較用培養上清を、pH6.0、反応温度55、60および70℃の条件下で、それぞれ24時間作用させたときの反応液中のマンノース含有率およびフルクトース含有率を示すグラフである。酵素添加量は、改変マンノース 2-エピメラーゼおよび比較用培養上清が450μL/g-ds、比較用酵素が300μL/g-dsである。マンノース含有率およびフルクトース含有率はHPLC分析のピーク面積比より算出した。
図15B図15Bは、グルコースに対して各改変マンノース 2-エピメラーゼ、比較用酵素および比較用培養上清を、pH6.0、反応温度55、60および70℃の条件下で、それぞれ72時間作用させたときの反応液中のマンノース含有率およびフルクトース含有率を示すグラフである。酵素添加量は、改変マンノース 2-エピメラーゼおよび比較用培養上清が450μL/g-ds、比較用酵素が300μL/g-dsである。マンノース含有率およびフルクトース含有率はHPLC分析のピーク面積比より算出した。
図16-1】図16-1は、野生型(Wild Type;配列番号27)と11種の改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-1C6、ME-2S2、ME-2C2、ME-2C7、ME-2SC75、ME-2S2toALL2、ME-1C6to2S2、ME-2S2toAH10、ME-2S2toAR10、ME-2S2toAR15、ME-2S2toAR25);順に配列番号3、配列番号7、配列番号11、配列番号15、配列番号19、配列番号31、配列番号35、配列番号39、配列番号43、配列番号47または配列番号51)のアライメントである。枠で囲った部分は、野生型と比較して11種の改変マンノース 2-エピメラーゼが共通して有するアミノ酸置換である。
図16-2】図16-2は図16-1の続き。
図16-3】図16-3は図16-2の続き。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に記載する本発明の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書について、糖質の記載は特に明記しない場合はD体を表す。また、「~」を用いて表される数値範囲は「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。本明細書では、数値が「約」の用語を伴う場合、その値の±10%の範囲を含むことを意図する。
【0023】
本発明の酵素による反応生成物の糖組成(%)は、HPLCで検出されたピークの総面積を100とした場合の、各糖類に対応するピークの面積比率(%)として算出したものである。
【0024】
本明細書中「糖のエピメリ化」または「エピメリ化」とは、糖の複数ある不斉炭素原子のうち、1つの不斉炭素原子上の立体を反転させる反応を指し、具体的には、一例として、糖の2位の水酸基をエピメリ化(異性化)する反応、またはその逆反応を挙げることができる。
【0025】
エピメリ化を触媒する酵素を、通常、エピメラーゼといい、例えば、よく研究されているエピメラーゼとして、セロビオース 2-エピメラーゼ(CE)を挙げることができる。CEは、セロビオースの還元末端グルコース残基をマンノース残基に異性化する反応を触媒する。本明細書中、グルコースの2位の水酸基をエピメリ化してマンノースを生成する反応を触媒する活性を有する酵素を、特にマンノース 2-エピメラーゼ(以下、MEと記載する場合がある)という。本明細書中「マンノース 2-エピメラーゼ」という用語は、酵素がグルコースまたはマンノースを基質とするエピメリ化反応を触媒する活性のほかに、他の糖を基質とするエピメリ化反応を触媒する活性を有することを除外するものではないことが理解される。また、本明細書中「マンノース 2-エピメラーゼ活性」とは、グルコースの2位の水酸基をエピメリ化してマンノースを生成する反応を触媒する活性を意味する。
【0026】
本明細書中、アミノ酸置換は、改変前のアミノ酸をアミノ酸の位置を示す数字の左側(頭)、さらに改変後のアミノ酸をアミノ酸の位置を示す数字の右側に記載して、例えばK35Rと記載することができる。例えば配列番号27に記載のアミノ酸配列においてK35Rのアミノ酸置換を含むという記載は、配列番号27のアミノ酸配列のN末端から35番目の改変前(野生型)のリシン(K)が、アルギニン(R)に改変されていることを意味する。
【0027】
(タンパク質)
本発明は、以下の(a)から(d)のいずれかのタンパク質を提供する。
(a)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49および配列番号51からなる群から選択される一に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質;
(b)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49および配列番号51からなる群から選択される一に記載のアミノ酸配列に対して90%以上のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質;
(c)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49および配列番号51からなる群から選択されるいずれか一に記載のアミノ酸配列において、1から数個のアミノ酸が置換、挿入、欠失および/または付加されたアミノ酸配列を含み、かつ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質;
(d)配列番号27に記載のアミノ酸配列に対して70%以上のアミノ酸配列同一性を有し、かつK35R、N55S、R111A、A117P、I245V、A287P、K352R、Q377FまたはQ377Y、A385E、G387D、I391R、R423PおよびD424Gからなる群から選択される一以上のアミノ酸置換を含み、かつ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質。
なお、本明細書中において、上記(a)から(d)のいずれかのタンパク質を、本発明の改変タンパク質または本タンパク質ということがある。
【0028】
配列番号1、配列番号5、配列番号9、配列番号13、配列番号17、配列番号29、配列番号33、配列番号37、配列番号41、配列番号45および配列番号49に記載のアミノ酸配列の各々は、特許文献8で報告されているマンノース 2-エピメラーゼ活性を有するタンパク質を改変して得られた新規タンパク質のアミノ酸配列である。
【0029】
本発明者らは、配列番号3、配列番号7、配列番号11、配列番号15、配列番号19、配列番号31、配列番号35、配列番号39、配列番号43、配列番号47または配列番号51に記載のアミノ酸配列を含む改変タンパク質を、枯草菌発現系による組換えタンパク質として発現させ、その酵素活性を解析したところ、当該改変タンパク質の各々は、少なくともグルコースおよびマンノースに作用することを発見した。すなわち、本発明者らは、配列番号3、配列番号7、配列番号11、配列番号15、配列番号19、配列番号31、配列番号35、配列番号39、配列番号43、配列番号47および配列番号51に記載のアミノ酸配列を含む改変タンパク質は、グルコース、マンノース等の単糖における2位の炭素上の水酸基に対しエピメリ化を触媒する酵素であることを見出した。配列番号3、配列番号7、配列番号11、配列番号15、配列番号19、配列番号31、配列番号35、配列番号39、配列番号43、配列番号47および配列番号51のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号1、配列番号5、配列番号9、配列番号13、配列番号17、配列番号29、配列番号33、配列番号37、配列番号41、配列番号45および配列番号49のアミノ酸配列からシグナルペプチドと推定された部分を削った配列である。
【0030】
本発明の改変タンパク質は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49および配列番号51からなる群から選択される一に記載のアミノ酸配列に対して、90%以上のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなり、かつ糖のエピメリ化活性を示すタンパク質であってもよい。一実施態様では、本発明の改変タンパク質は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49および配列番号51からなる群から選択される一に記載のアミノ酸配列に対して、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなり、かつ糖のエピメリ化活性を示すタンパク質であってもよい。一実施態様において、本発明の改変タンパク質は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49および配列番号51からなる群から選択される一に記載のアミノ酸配列に対して、90%以上のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなり、かつ糖のエピメリ化活性を示すタンパク質であり、但し、配列番号25もしくは27に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質;または配列番号25もしくは27に記載のアミノ酸配列に対して90%以上のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質を除く。
【0031】
アミノ酸配列同一性は、比較する2本のアミノ酸配列をアライメント(整列)させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならばギャップを導入した後、2本のアミノ酸配列間で同一であるアミノ酸残基のパーセントとして定義される。アライメントには、例えば、Clustal WまたはClustal Xのバージョン2.0(Larkin,M.A., et al., (2007) Bioinformatics, 23:2947-2948.)を用いることができる。アミノ酸配列同一性は、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGN、MEGAまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアのような公に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用することにより決定することができる。
【0032】
さらには、本発明の改変タンパク質は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49および配列番号51からなる群から選択される一に記載のアミノ酸配列において、1から数個のアミノ酸が置換、挿入、欠失および/または付加されたアミノ酸配列を含むかまたはそれからなり、かつ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質であってもよい。本明細書で言う「1から数個のアミノ酸が置換、挿入、欠失および/または付加されたアミノ酸配列」における「1から数個」の範囲は特には限定されないが、例えば、1から40個、1から30個、1から20個、1から10個、1から7個、1から5個または1から3個程度を意味する。一実施態様において、本発明の改変タンパク質は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17および配列番号19、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49および配列番号51からなる群から選択される一に記載のアミノ酸配列において、1から数個のアミノ酸が置換、挿入、欠失および/または付加されたアミノ酸配列を含むかまたはそれからなり、かつ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質であり、但し、配列番号25または27に記載のアミノ酸配列において、1から数個のアミノ酸が置換、挿入、欠失および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質を除く。
【0033】
アミノ酸配列において、アミノ酸変異(置換、挿入、欠失および/または付加)は連続して生じてもよいし、不連続に生じてもよい。アミノ酸の挿入としては、例えば、アミノ酸配列の内部への挿入が挙げられる。さらに、アミノ酸の付加は、例えば、アミノ酸配列のN末端もしくはC末端への付加であっても、N末端およびC末端の両末端への付加であってもよい。
【0034】
アミノ酸の置換は、保存的置換であってもよい。アミノ酸は側鎖の特性や分子量に従ってグループ化することができる。
(1)酸性アミノ酸:グルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)
(2)塩基性アミノ酸:アルギニン(R)、リシン(K)、ヒスチジン(H)
(3)芳香族アミノ酸:フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)
(4)極性アミノ酸:グルタミン(Q)、アスパラギン(N)
(5)疎水性アミノ酸:ロイシン(L)、イソロイシン(I)、バリン(V)
(6)低分子アミノ酸:グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)およびメチオニン(M)
(1)~(6)のアミノ酸名の後ろの括弧内はアミノ酸の一文字表記である。
保存的置換の例は、上記グループ内に含まれるアミノ酸を、同じグループ内の他のメンバーと交換することである。
【0035】
さらに、本発明の改変タンパク質は、配列番号27に記載のアミノ酸配列に対して70%以上のアミノ酸配列同一性を有し、かつ配列番号27に記載のアミノ酸配列においてK35R、N55S、R111A、A117P、I245V、A287P、K352R、Q377FまたはQ377Y、A385E、G387D、I391R、R423PおよびD424Gからなる群から選択される一以上のアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含むかそれからなり、かつ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質であってもよい。位置377のグルタミン(Q)についてのアミノ酸置換は、フェニルアラニン(F)またはチロシン(Y)のいずれでもよい。フェニルアラニン(F)およびチロシン(Y)は共にベンゼン環を有する中性アミノ酸である。配列番号27に記載のアミノ酸配列は、特許文献8に開示の、パルディスファエラ・ボレアリス(Paludisphaera borealis)由来のマンノース 2-エピメラーゼ活性を有するタンパク質のアミノ酸配列からシグナルペプチド配列を除いたものである(特許文献8では配列番号3)。本明細書において「野生型」は、パルディスファエラ・ボレアリス由来の上記タンパク質を指す。一実施態様において、本発明の改変タンパク質は、配列番号27に記載のアミノ酸配列に対して70%以上のアミノ酸配列同一性を有し、かつ配列番号27に記載のアミノ酸配列においてK35R、N55S、R111A、A117P、I245V、A287P、K352R、Q377FまたはQ377Y、A385E、G387D、I391R、R423PおよびD424Gからなる群から選択される一以上のアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含むかそれからなり、かつ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質であり、但し、配列番号25もしくは27に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質;配列番号25もしくは27に記載のアミノ酸配列に対して90%以上のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質;または配列番号25もしくは27に記載のアミノ酸配列において、1から数個のアミノ酸が置換、挿入、欠失および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質を除く。
【0036】
上記13のアミノ酸置換(K35R、N55S、R111A、A117P、I245V、A287P、K352R、Q377FまたはQ377Y、A385E、G387D、I391R、R423PおよびD424G)は、野生型のアミノ酸配列と比較して、後記する実施例で得られた11種の改変マンノース 2-エピメラーゼが共通して有するものである。上記13のアミノ酸置換は、配列番号27に記載のアミノ酸配列と、配列番号3、配列番号7、配列番号11、配列番号15、配列番号19、配列番号31、配列番号35、配列番号39、配列番号43、配列番号47および配列番号51に記載のアミノ酸配列のアライメントで確認することができる(図16)。アライメントは、Clustal WまたはClustal Xのバージョン2.0(Larkin,M.A., et al., (2007) Bioinformatics, 23:2947-2948.)を用いて実施することができる。野生型と11種の改変マンノース 2-エピメラーゼのアライメントでは、N末端とS末端に1から5個のギャップの挿入が必要であったが、それ以外の部分にギャップの挿入は必要なかった。
【0037】
一実施態様では、本発明の改変タンパク質は、配列番号27に記載のアミノ酸配列に対して70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上または99%以上のアミノ酸配列同一性を有し、かつ配列番号27に記載のアミノ酸配列においてK35R、N55S、R111A、A117P、I245V、A287P、K352R、Q377FまたはQ377Y、A385E、G387D、I391R、R423PおよびD424Gからなる群から選択される1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上、11以上または12以上または13のアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含むかそれからなり、かつ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質であってもよい。配列番号27に記載のアミノ酸配列に対する、改変タンパク質のアミノ酸配列同一性の算出には、K35R、N55S、R111A、A117P、I245V、A287P、K352R、Q377F、A385E、G387D、I391R、R423PおよびD424Gからなる群から選択される1~13のアミノ酸置換を含めることができる。配列番号27に記載のアミノ酸配列に対する、改変タンパク質のアミノ酸配列同一性(%)は、K35R、N55S、R111A、A117P、I245V、A287P、K352R、Q377FまたはQ377Y、A385E、G387D、I391R、R423PおよびD424Gからなる群から選択される1~13のアミノ酸置換の数と、その他の任意のアミノ酸変異(置換、挿入、欠失および/または付加)の数を合算し、その値をアライメントしたアミノ酸配列の全長で割り、100を乗算することで算出することができる。
【0038】
一実施態様では、本発明の改変タンパク質は、配列番号27に記載のアミノ酸配列におけるK35R、N55S、R111A、A117P、I245V、A287P、K352R、Q377FまたはQ377Y、A385E、G387D、I391R、R423PおよびD424Gからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸置換のほか、マンノース 2-エピメラーゼ活性を失わない限りにおいて、後記する実施例で得られた11種の改変マンノース 2-エピメラーゼのうち4種以上、3種以上または2種以上が共通して有する更なるアミノ酸変異並びにその他の任意のアミノ酸変異を含むことができる。
【0039】
本発明の改変タンパク質のエピメリ化活性の評価は、グルコースを基質として、本発明の改変タンパク質を作用させ、エピメリ化反応生成物であるマンノースを検出することにより行なわれる。
【0040】
反応生成物は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用い、RI検出器や荷電化粒子検出器などで検出することができる。検出は、薄層クロマトグラフィー(TLC)および高性能イオン交換クロマトグラフィー/パルスドアンペロメトリ検出法(HPAEC-PAD)を用いて行うこともできる。
【0041】
本発明の改変タンパク質を作用させると、グルコースのエピメリ化によりマンノースが生成され、マンノースのエピメリ化によりグルコースが生成される。本発明の改変タンパク質は、グルコースおよびマンノースのほか、タロース、ガラクトース、ラクトース、エピラクトース、セロビオースおよびβ-1,4-マンノビオースを基質として、エピメラーゼ反応を触媒すると考えられる。野生型がこれらの糖を基質としてエピメラーゼ反応を触媒するため、本発明の改変タンパク質も同様であると考えられる。その場合には、タロースのエピメリ化によりガラクトースが生成され、ガラクトースのエピメリ化によりタロースが生成され、ラクトースのエピメリ化によりエピラクトースが生成され、エピラクトースのエピメリ化によりラクトースが生成され、セロビオースのエピメリ化により4-O-β-グルコシル-マンノースが生成され、β-1,4-マンノビオースから4-O-β-マンノシル-グルコースが生成される。
【0042】
本発明の改変タンパク質は、マンノースを基質として温度37℃で測定した場合、ME-2S2toALL2を除いて、pH7.9で最大活性を示し、最大活性に対し60%以上の活性となるpHは7.2~7.9である。また、ME-2S2toALL2はpH7.2で最大活性を示した。なお、最適pHは、グルコース生成量を、実施例3-1項に示す条件で測定したものである。
【0043】
本発明の改変タンパク質は、マンノースを基質としてpH8.0で測定した場合、温度45~50℃で最大活性を示した。また、本発明の改変タンパク質は、温度50℃~70℃で60分保持する試験において、60℃以下で68%以上の残存活性を示し安定であった。なお、最適温度および温度安定性は、グルコース生成量を、実施例3-2および3-3項に示す条件で測定したものである。
【0044】
本発明の改変タンパク質は、SDS-PAGEにより測定される分子量が45~55kDaの範囲であるか、または約48kDaである。なお、ここで示す本タンパク質の分子量は、プラスミドに本タンパク質をコードするDNAを挿入し、枯草菌を宿主細胞として発現させたタンパク質の分子量である。
【0045】
本発明の改変タンパク質は、野生型に比較して熱安定性および/または高温反応性が向上している。後記する実施例では、配列番号3、配列番号7、配列番号11、配列番号15、配列番号19、配列番号31、配列番号35、配列番号39、配列番号43、配列番号47または配列番号51に記載のアミノ酸配列をそれぞれ含む、11種の改変タンパク質(改変マンノース 2-エピメラーゼ)が、60℃で60分間の熱処理後に68%以上の残存活性を有することが示されている。比較例の配列番号27に記載のアミノ酸配列を有する野生型タンパク質では同じ条件の熱処理後の残存活性は27%であった。この結果は、本発明の改変タンパク質の熱安定性が、野生型に比較して、向上していることを示す。後記する実施例では、さらに、配列番号3、配列番号7、配列番号11、配列番号15または配列番号19に記載のアミノ酸配列をそれぞれ含む5種の改変タンパク質によるマンノース合成が反応温度60℃と70℃において同等であるが、野生型では、60℃と比較して70℃でのマンノース合成が減少した。この結果は、本発明の改変タンパク質の高温反応性が、野生型に比較して、向上していることを示す。
【0046】
マンノースの調製法で従来使用されているセロビオース 2-エピメラーゼには、グルコースからマンノースおよびフルクトースを生成するものがある(特許文献3、特許文献4)。しかし、本発明の改変タンパク質は、グルコースを主としてマンノースに変換することができ、反応条件により、わずかにフルクトースが生成されることがあるが、微量である。
【0047】
(酵素剤)
本発明は、本発明の改変タンパク質を含む、糖のエピメリ化反応触媒用の酵素剤を提供する。
【0048】
本発明は、以下の(e)から(h)のいずれかのDNAが導入された形質転換細胞の培養上清を含む、糖のエピメリ化反応触媒用の酵素剤を提供する。
(e)請求項1に記載のタンパク質をコードするDNA;
(f)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、および配列番号52からなる群から選択される一に記載の塩基配列を含むDNA;
(g)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、および配列番号52からなる群から選択される一に記載の塩基配列の相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、かつ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(h)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、および配列番号52からなる群から選択される一に記載の塩基配列に対して90%以上の塩基配列同一性を有する塩基配列を含むDNAであって、かつ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードするDNA。
【0049】
請求項1に記載のタンパク質をコードするDNAは、宿主での発現を最適化するように使用コドンを選択することができる。宿主が使用するコドンの情報は、Codon Usage Database(www.kazusa.or.jp/codon/)から入手可能である。宿主用コドンの選択は、枯草菌のコドン頻度(https://www.kazusa.or.jp/codon/cgi-bin/showcodon.cgi?species=1423)あるいは大腸菌のコドン頻度(http://www.kazusa.or.jp/codon/cgi-bin/showcodon.cgi?species=37762)などを参考に実施することができる。
【0050】
配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52からなる群から選択される一に記載の塩基配列を含むかまたはそれからなるDNAが導入された形質転換細胞の培養上清は、本発明に含まれる。配列番号2、配列番号6、配列番号10、配列番号14、配列番号18、配列番号30、配列番号34、配列番号38、配列番号42、配列番号46および配列番号50に示す塩基配列は、それぞれ配列番号1、配列番号5、配列番号9、配列番号13、配列番号17、配列番号29、配列番号33、配列番号37、配列番号41、配列番号45および配列番号49に記載のアミノ酸配列をコードする配列であり、枯草菌での良好な発現を企図して、コドン最適化が行われている。配列番号4、配列番号8、配列番号12、配列番号16および配列番号20、配列番号32、配列番号36、配列番号40、配列番号44、配列番号48および配列番号52は、それぞれ配列番号2、配列番号6、配列番号10、配列番号14、配列番号18の塩基配列、配列番号30、配列番号34、配列番号38、配列番号42、配列番号46および配列番号50からシグナルペプチドと推定された部分をコードする塩基配列を削った配列である。
【0051】
配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50および配列番号52からなる群から選択される一に記載の塩基配列の相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、かつ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードするDNAが導入された形質転換細胞の培養上清も、本発明に含まれる。「配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50および配列番号52からなる群から選択される一に記載の塩基配列の相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA」とは配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50および配列番号52からなる群から選択される一に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖をプローブとして使用し、コロニーハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法、サザンブロットハイブリダイゼーション法等を採用することにより取得できるポリヌクレオチド(DNA)を意味する。「ストリンジェントな条件」は、例えば、0.7~1.0M塩化ナトリウム存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1~5×SSC溶液(1×SSCの組成:150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウム)を使用し、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるDNA等が挙げられる(Molecular Cloning : A Laboratory Manual 2nd Ed (Sambrook, J., Fritsch, E. R., & Maniatis, T., Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)))。
【0052】
また、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50および配列番号52からなる群から選択される一に記載の塩基配列に対して90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上または99%以上の塩基配列同一性を有する塩基配列を含むかまたはそれからなるDNAであって、かつ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードするDNAが導入された形質転換細胞の培養上清も、本発明に含まれる。塩基配列同一性は、比較する2本の塩基配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならばギャップを導入した後、2本の塩基配列間で同一である塩基のパーセントとして定義される。アライメントには、例えば、Clustal WまたはClustal Xのバージョン2.0(Larkin,M.A., et al., (2007) Bioinformatics, 23:2947-2948.)を用いることができる。塩基配列同一性は、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアのような公に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用することにより決定することができる。
【0053】
一実施態様において、形質転換細胞に導入されるDNAは、(e)請求項1に記載のタンパク質をコードするDNA;(f)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50および配列番号52からなる群から選択される一に記載の塩基配列を含むDNA;(g)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50および配列番号52からなる群から選択される一に記載の塩基配列の相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、かつ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードするDNA;または(h)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50および配列番号52からなる群から選択される一に記載の塩基配列に対して90%以上の塩基配列同一性を有する塩基配列を含むDNAであって、かつ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードするDNAであり、但し、配列番号26もしくは28に示す塩基配列からなるDNA、配列番号26もしくは28に示す塩基配列の相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA、または配列番号26もしくは28に示す塩基配列に対して90%以上の塩基配列同一性を有する塩基配列を含むDNAを除く。
【0054】
上記形質転換細胞は、枯草菌(バチルス・スブチリス、Bacillus subtilis)であることが好ましい。また、本発明の培養上清は、細胞を実質的に含まないものであり、細胞はフィルターや遠心分離により除去される。一実施態様において、培養上清から形質転換細胞が産生したタンパク質を単離・精製して酵素剤に含有させることができる。形質転換細胞が産生したタンパク質の単離・精製は、後記する<タンパク質の製造>に記載のように公知の分離方法や精製方法を適当に組み合わせて行なうことができる。
【0055】
本発明の培養上清は、上記(e)から(h)のDNAの発現産物であるタンパク質を含む。
【0056】
本発明の糖のエピメリ化反応触媒用の酵素剤は、単糖または二糖の還元性糖残基における2位の炭素に結合した水酸基に対しエピメリ化を触媒するために用いることができる。本発明の一実施態様において、本発明の酵素剤は、これらに限定されないが、グルコースおよびマンノースのエピメリ化反応を触媒するために用いることができる。本発明の一実施態様において、本発明の酵素剤は、グルコースおよびマンノースのほか、これらに限定されないが、タロース、ガラクトース、セロビオース、β-1,4-マンノビオース、ラクトースおよびエピラクトースのエピメリ化反応を触媒するために用いることができる。グルコース、マンノース、タロース、ガラクトース、セロビオース、β-1,4-マンノビオース、ラクトースおよびエピラクトース以外の糖であっても、本発明の改変タンパク質がエピメリ化を触媒できるものであれば、本発明の酵素剤を用いることができる。
【0057】
本発明の糖のエピメリ化反応触媒用の酵素剤は、糖のエピメリ化反応生成物の製造に用いることができる。具体的には、本発明の酵素剤は、グルコースを基質としてマンノースを製造するために使用することができ、またマンノースを基質としてグルコースを製造するために使用することができる。本発明の一実施態様において、本発明の酵素剤は、グルコースを基質としてマンノースを製造するために使用することが好ましい。グルコースは、工業的に大量生産され安価であることから、工業的製造法に課題のあるマンノースを製造するために、容易に調達できるためである。
【0058】
本発明の酵素剤は、本発明の改変タンパク質そのものでもよい。本発明の酵素剤は、本発明の改変タンパク質を有効成分として含む酵素組成物であってもよく、糖のエピメリ化反応を阻害しないものであれば、さらなる成分を含むことができる。これらは、例えば、緩衝液、安定化剤、賦形剤など、通常の酵素製剤に用いる成分であってもよい。このようなさらなる成分は、先行技術より公知であり、また当業者によく知られている。また、本発明の酵素剤は、その形状も特に制限は無く、固体(たとえば、粉末状)や液体であり得る。本発明の酵素剤は、例えば、固体や液体のものを、糖基質の溶液に添加することにより使用することができる。
【0059】
本発明の酵素剤は、例えば、本発明の改変タンパク質が固定化担体に固定された酵素剤として提供することができる。固定化された酵素剤とすることで、例えば、高基質濃度および高温において、反応生成物の製造を行うことができ、また、バイオリアクター方式による反応生成物の製造を行うこともできる。
【0060】
上記固定化担体は、特に制限されず、例えば、本タンパク質が吸着または架橋結合され、本タンパク質の活性が保持されるものであれば使用できる。
【0061】
上記固定化担体は、例えば、陰イオン交換担体、陽イオン交換担体、疎水性担体等があげられる。上記固定化担体の具体例は、例えば、イオン交換ゲルである。上記イオン交換ゲルは、例えば、ダイヤイオン(登録商標)SK1B、ダイヤイオン(登録商標)PK212、ダイヤイオン(登録商標)HPA25、ダイヤイオン(登録商標)UBK550、UBK555等のダイヤイオン(登録商標)シリーズ(三菱ケミカル社製);セパビーズ(登録商標)SP-207、セパビーズ(登録商標)SP-850等のセパビーズ(登録商標)シリーズ(三菱ケミカル社製);デュオライトA568、デュオライトPWA7、デュオライトXAD761等のデュオライトシリーズ(住化ケムテックス社製)等があげられる。上記固定化担体の形状は、特に制限されず、例えば、膜、ビーズ、プレート等があげられる。本タンパク質の上記固定化担体への固定方法は、特に制限されず、例えば、緩衝液等の溶媒に本タンパク質と上記固定化担体とを添加し、この混合液を振とうすることで行うことができる。
【0062】
(糖のエピメリ化反応生成物の製造方法)
本発明は、糖基質に、本発明の改変タンパク質または本発明の糖のエピメリ化反応触媒用の酵素剤を作用させて、糖のエピメリ化反応生成物を得る工程を含む、糖のエピメリ化反応生成物の製造方法を提供する。
【0063】
糖基質に、本発明の改変タンパク質を作用させることは、例えば、糖基質の水溶液を調製し、必要に応じてpHを調整した後、当該水溶液に本発明の改変タンパク質を添加することにより実施することができる。さらには、本発明の改変タンパク質を担体に固定して酵素剤とし、当該酵素剤に糖基質の水溶液を接触させることにより実施することができる。本発明の改変タンパク質を用いた糖のエピメリ化反応は、反応液中で実施することができるためである。
【0064】
糖のエピメリ化反応生成物の製造方法に用いることができる糖基質は、グルコース、マンノース、タロース、ガラクトース、セロビオース、β-1,4-マンノビオース、ラクトースおよびエピラクトースから選択されるいずれかであってもよいが、これらに限定されず、これ以外の糖であっても本発明の改変タンパク質がエピメリ化を触媒できるものであれば、糖基質として使用することができる。上記糖基質としては、純品を用いても良いが、コスト等の点から他の糖質が含まれる糖組成物を用いてもよい。具体的には、例えば、グルコースを主な基質に用いる場合、グルコースに加えて澱粉の分解で生じるマルトースやマルトトリオースなどを含む糖組成物でもよい。
【0065】
糖基質に、本発明の改変タンパク質を作用させる際の反応温度は、酵素活性が発現する温度域であれば、特に制限はない。本発明の改変タンパク質は、実施例記載の通り、pH6.0で反応した場合、温度が70℃以下で反応可能である。従来のエピメラーゼの中には、熱安定性の点から工業的規模での使用について制限があるものがあった。しかし、本発明の改変タンパク質は、高い耐熱性を示し、工業的規模での使用に適した熱安定性を有している。
【0066】
よって、本発明の改変タンパク質を作用させる際の反応温度(反応液の液温)を、35~70℃といった幅広い温度域に設定することができる。工業的規模の反応系では正確な温度管理が難しい場合があるが、本タンパク質は、幅広い温度域で安定的に使用できる点で有利である。
【0067】
上記反応温度は、35~70℃の範囲に設定することができるが、pH6.0の場合、50~60℃の範囲に設定することが好ましい。反応温度が50℃以上であれば、糖を栄養分とする混入菌が繁殖しにくく、60℃以下で、本タンパク質は安定するためである。
【0068】
糖のエピメリ化反応生成物の製造方法においては、後述の通り、本発明の改変タンパク質と、その他の酵素を併用することができる。その他の酵素を併用する場合には、上記反応温度は、本発明の改変タンパク質が安定に作用する温度域であればよい。上記の通り、本発明の改変タンパク質は幅広い温度域で安定性を有するため、併用するその他の酵素が安定に活性化する温度を勘案して、反応系で使用するすべての酵素の活性が十分に利用できる範囲に、温度設定ができる場合が多い。
【0069】
反応温度は、反応時間の全体を通して一定である必要はなく、反応時間の初期に併用するその他の酵素の活性を高めることが望ましい場合には、その酵素の活性が高くなる温度域に、反応初期の温度を設定し、反応時間の中期や後期には、本発明の改変タンパク質の活性が高くなる温度域に温度を設定するなど、適宜調整することができる。
【0070】
糖基質に、本発明の改変タンパク質を作用させる際の反応液のpHは、酵素活性が発現するpH域であれば、特に制限はないが、pH5.5~8.5の範囲に設定することができる。本発明の改変タンパク質は、実施例記載の通り、少なくともpH6.0~8.0の範囲で反応が可能であるためである。
【0071】
糖のエピメリ化反応生成物の製造方法における基質と本発明の改変タンパク質の反応時間は、反応温度や基質の濃度、その他の酵素を併用する場合には使用する酵素の特性等を考慮して適宜決定できる。また、本分野の従来技術に基づいて、効率よくエピメリ化反応生成物を製造するための、好適な反応時間を適宜決定することができる。具体的な反応時間の例としては、10分から72時間を挙げることができるが、これに限定する意図はない。反応中、本発明の改変タンパク質を、適宜添加することができる。
【0072】
反応液中の基質濃度は、特に制限されず、例えば、上記酵素反応が進行可能な範囲において、基質濃度が高いほど経済的に有利である。基質としてグルコースを使用する場合、グルコース濃度は、溶媒100gあたり0.1g~300gの範囲である。上記反応液の溶媒は、特に制限されず、例えば、水、緩衝液等があげられる。なお、選択した基質の溶媒への溶解度が低い場合、例えば、所望の濃度で完全に溶解されない場合がある。バッチ式で酵素反応を行う場合、例えば、反応初期において基質が完全に溶解された状態である必要はなく、酵素反応の終了時に溶解される基質濃度を選択すればよい。一方、固定化された本タンパク質を充填したカラムを酵素反応に使用する場合、例えば、カラムの目詰まりによる圧力損失を避けるために、基質が完全に溶解された状態であることが好ましい。また、固定化された酵素剤を充填したカラムを酵素反応に使用する場合、例えば、基質溶液を、上記カラムに還流させて、連続的に通液するのが好ましい。また、本発明の改変タンパク質を用いて、グルコースを基質としてマンノースを生成する場合、水飴、粉飴、ハイドロール(結晶グルコース製造の際に生ずる分蜜液)などを用いることができる。さらに、例えばデキストリン、澱粉等のグルコースを構成糖として含む糖質を原料とし、本発明の改変タンパク質と共に加水分解酵素を添加し、原料より基質となるグルコースを生成しつつグルコースからマンノースを製造することができる。
【0073】
本発明の改変タンパク質を用いるエピメリ化反応生成物の製造は、具体的な例として、基質としてグルコースを用いる場合、固形分濃度1~65%程度のグルコース水溶液を調製し、必要に応じて酸またはアルカリを用いて当該水溶液のpHを6.0~8.0程度に調整し、当該水溶液に本発明の改変タンパク質を添加し、温度35~70℃の範囲で、約1~72時間保持することでマンノースを製造することができる。
【0074】
また、糖のエピメリ化反応生成物の製造方法において、本発明の改変タンパク質と、その他の酵素を併用することができる。その他の酵素は、これに制限されないが、本発明の改変タンパク質の基質となりうる糖を生成するものであってもよい。例えば、その他の酵素として、澱粉、デキストリン、マルトース等のグルコースを構成糖として含む糖質を加水分解する酵素を用いることができる。本発明の改変タンパク質と、当該加水分解酵素をその他の酵素として併用することにより、澱粉、デキストリン、マルトース等のグルコースを構成糖として含む糖質から、加水分解によりグルコースを生成しつつ、エピメリ化によりグルコースからマンノースを生成することができる。
【0075】
上記製造方法により、エピメリ化反応生成物を含む糖水溶液が得られる。このエピメリ化反応生成物を含む糖水溶液に対し、必要に応じて常法を用いて脱色、脱塩、精製処理などを施すことができる。また、エピメリ化反応生成物を含む糖水溶液に、樹脂分画処理、エタノール等を用いた有機溶媒による沈殿法、クロマト分画法や限外濾過膜による処理等を施すことにより、未反応の基質等を除去し、エピメリ化反応生成物の純度を高めることができる。精製処理は、単独の操作によって、またはいくつかの操作を組み合わせることにより、より効率的にエピメリ化反応生成物を精製することができる。
【0076】
別の実施態様において、本発明は、糖基質に、本発明の改変タンパク質をpH5.5~7.0条件下で作用させて、糖のエピメリ化反応生成物を得る工程を含む、反応生成物中の副生成物が、目的エピメリ化反応生成物の5%以下に抑制された、糖のエピメリ化反応生成物の製造方法を提供する。例えば、グルコースに本発明の糖のエピメリ化反応触媒用の酵素剤をpH6.0~7.0条件下で作用させてマンノースを製造することができ、当該方法では反応生成物中のフルクトースの副生をマンノースの5%以下に抑制することができる。上記pH条件は、pH6.0~6.5の範囲であることが好ましい。反応生成物中の副生成物は、目的エピメリ化反応生成物の4.5%以下、4.0%以下、3.5%以下、3.0%以下、2.5%以下、2.0%以下、1.5%以下、1.0%以下または0.5%以下に抑制することが好ましい。
【0077】
本発明は、糖のエピメリ化反応生成物の製造方法を実施して得られた糖のエピメリ化反応生成物を用いて食品、飼料、餌料、化成品、化粧料、または医薬品を得る工程を含む、食品、飼料、餌料、化成品、化粧料、または医薬品の製造方法を提供する。
【0078】
糖のエピメリ化反応生成物は、上述の糖のエピメリ化反応生成物の製造方法を実施して得ることができる。
【0079】
糖のエピメリ化反応生成物の製造方法を実施して得られた糖のエピメリ化反応生成物を用いて食品、飼料、餌料、化成品、化粧料、または医薬品を得る工程では、エピメリ化反応生成物を原料の一つとして、食品、飼料、餌料、化成品、化粧料、または医薬品を製造すること、またはエピメリ化反応生成物そのものを適当な形態(粉末、液体など)に調製し、食品、飼料、餌料、化粧料、または医薬品として提供することができる。
【0080】
本発明の方法で製造される食品の例には、限定されるものではないが、各種炭水化物類(パン、麺、米飯、もち)、各種和菓子類(せんべい、あられ、おこし、求肥、もち類、まんじゅう、どら焼き、ういろう、餡類、羊羹、水羊羹、錦玉、カステラ、飴玉)、各種洋菓子類(パン、ビスケット、クラッカー、クッキー、パイ、ドーナツ、蒸しケーキ、プリン、ゼリー、ムース、ババロア、カスタードクリーム、シュークリーム、ワッフル、スポンジケーキ、チョコレート、チューインガム、キャラメル、ヌガー、キャンディー、シロップ類)、各種氷菓(アイスクリーム、シャーベット、ジェラート、かき氷)、各種ペースト状食品(フラワーペースト、ピーナッツペースト、マーガリン、フルーツペースト)、各種飲料(果汁含有飲料、果汁ジュース、野菜ジュース、サイダー、ジンジャーエール、アイソトニック飲料、アミノ酸飲料、ゼリー飲料、コーヒー飲料、緑茶、紅茶、ウーロン茶、麦茶、乳飲料、乳酸菌飲料、ココア、ビール、発泡酒、第三のビール、ノンアルコール飲料、ビール風味飲料、リキュール、チューハイ、清酒、果実酒、蒸留酒、栄養ドリンク、健康飲料、粉末飲料)、果物・野菜加工品(ジャム、マーマレード、シロップ漬、糖果、漬物)、各種乳製品(チーズ、ヨーグルト、バター、練乳、粉乳)、粉末食品(粉末スープ、粉末ムース、粉末ゼリー、粉末甘味料)、栄養食、ダイエット食、スポーツ用栄養食、流動食、半固形流動食、介護食、嚥下食等が挙げられる。
【0081】
本発明の方法で製造される飼料および餌料の例には、限定されるものではないが、家畜、家禽、魚介類、昆虫(ミツバチ、蚕など)用飼料および餌料を挙げることができる。その形態としては、粉体、ペレット、錠剤、練り餌、カプセルなどである。
【0082】
本発明の方法で製造される化粧料の例には、限定されるものではないが、保湿剤および美容剤などを挙げることができる。それらの形態としては、乳液、化粧水、クリームおよびエマルジョンなどである。
【0083】
本発明の方法で製造される医薬品の例には、限定されるものではないが、例えば抗肥満剤、血糖値上昇抑制剤などを挙げることができ、それらの形態としては、錠剤、粉剤、液剤、カプセル剤などである。本発明の方法で製造される化成品は、上記糖のエピメリ化反応生成物を原料として化学反応や化学加工により生産されたものであり得る。本発明の方法で製造される化成品の例は、限定されるものではないが、例えば糖アルコール、オリゴ糖、シクロオリゴ糖、多糖類、ポリマーなどが挙げることができ、これらは例えば樹脂、塗料、染料、医薬品、農薬、洗剤、合成繊維、プラスチック、化粧品、電子材料、食品添加物、化学繊維、医療用具などの原料として用いることができる。
【0084】
<タンパク質の製造>
本発明の改変タンパク質の取得方法は、特に制限されず、化学合成により合成したタンパク質であってもよいし、遺伝子組換え技術により作製した組換えタンパク質であってもよい。以下に、遺伝子組換えタンパク質を作製する場合について説明する。
【0085】
本発明の改変タンパク質は、遺伝子工学的手法によって調製することができる。例えば、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49および配列番号51からなる群から選択される一に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする遺伝子は、宿主細胞内で複製可能な状態で含むDNA分子として、あるいは染色体に組み込まれかつ同遺伝子を発現可能な状態で含むDNA分子として、特に発現ベクターに挿入された形態で宿主細胞の形質転換を行い、宿主細胞を培養することでタンパク質を産生させることができる。配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49および配列番号51からなる群から選択される一に記載のアミノ酸配列に対して90%以上のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質;配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49および配列番号51からなる群から選択されるいずれか一に記載のアミノ酸配列において、1から数個のアミノ酸が置換、挿入、欠失および/または付加されたアミノ酸配列を含み、かつ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質;配列番号27に記載のアミノ酸配列に対して70%以上のアミノ酸配列同一性を有し、かつ配列番号27に記載のアミノ酸配列においてK35R、N55S、R111A、A117P、I245V、A287P、K352R、Q377FまたはQ377Y、A385E、G387D、I391R、R423PおよびD424Gからなる群から選択される一以上のアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含み、かつ糖のエピメリ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子も、同様に発現ベクターに挿入された形態で宿主細胞の形質転換を行い、宿主細胞を培養することでタンパク質を産生させることができる。このDNA分子は、本発明の改変タンパク質をコードするDNA断片をベクター分子に組み込むことによって得ることができる。本発明の好ましい態様によれば、このベクターはプラスミドである。本発明におけるDNA分子の作製は、Molecular Cloning:A Laboratory Manualに記載の方法に準じて行なうことができる。
【0086】
本発明において利用できるベクターは、使用する宿主細胞の種類を勘案しながら、ウイルス、プラスミド、コスミドベクターなどから適宜選択できる。例えば、宿主細胞が枯草菌の場合はpJEXOPT2系(特許5126879号を参照)、pHT系のプラスミド、大腸菌の場合はλファージ系のバクテリオファージ、pET系、pUC系、pCold系、pGEX系のプラスミド、酵母の場合はYEp、YCp系、YIp系のベクター、あるいはpLeu4、pPPLeu4、pJPLeu4系(特開平4-218382号公報に記載)などが挙げられるが、これらに限定されない。このプラスミドは形質転換細胞を選択するためのマーカーを含んでいてもよく、該選択マーカーとしては薬剤耐性マーカーや栄養要求マーカー遺伝子を使用することができるが、これらに限定されない。
【0087】
さらに、本発明で利用できる発現ベクターは、酵素遺伝子の発現に必要なDNA配列、例えばプロモーター、ターミネーター、リボゾーム結合部位、転写終結シグナルなどの転写調節信号、翻訳調節信号などを有することができる。該プロモーターとしては、枯草菌においてはズブチリシン、SPAC等のプロモーター、酵母ではアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)、酸性フォスファターゼ(PHO)、ガラクトース遺伝子(GAL)、グリセルアルデビド3リン酸脱水素酵素遺伝子(GAP)等のプロモーターを用いることができるが、これらに限定されない。シグナルペプチドの付与は、目的酵素が培養上清中に分泌され、精製が容易になるという利点があるので使用することが好ましい。また、シグナルペプチドを枯草菌や酵母由来のもの(例えば、インベルターゼシグナル、酸性フォスファターゼシグナル、λ-ファクターシグナルなど)に置き換えることができる。また、大腸菌においては、一般に慣用されるlacプロモーターやT7プロモーターのほかに、cspAプロモーター等を用いて分子シャペロンを同時に発現させるなど、発現をより効率化する工夫を行うことができる。DNAはエレクトロポレーション法、リポフェクション法などによりベクターを使用せずに宿主細胞に導入することもできる。
【0088】
形質転換を行なった宿主細胞の培養は、使用する宿主細胞に関して一般的な方法を用いることができる。通常は、1~4日程度の培養により細胞内または細胞外の培養物中に酵素が生成され蓄積される。培養条件(培地、pH、温度等)に関しては、例えば、細菌では25~37℃、酵母では25~30℃、真核細胞では37℃程度が一般的である。培養条件については、遺伝子発現実験マニュアル(講談社)等を参照することができる。
【0089】
宿主細胞としては、大腸菌、枯草菌等の細菌、カンディダ・ウチリス(Candida utilis)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccaromyces cerevisiae)、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)等の酵母以外に、リゾプス・ニベウス(Rhizopus niveus)、リゾプス・デルマー(Rhizopus delemar)や高等真核生物(例えばCHO細胞など)を用いることができる。枯草菌であるバチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)はタンパク質を菌体外へ分泌することが知られており、中にはプロテアーゼを殆ど分泌しない株もあり、このような株を宿主として用いることも好ましい。本発明においては、宿主細胞として酵母、糸状菌または細菌が好ましいが、細菌がより好ましく、特に大腸菌やバチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)が好ましい。実施例に記載の通り、本発明の改変タンパク質を効率よく発現させることができることから、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)が最も好ましい。
【0090】
形質転換細胞が産生したタンパク質の単離・精製は、公知の分離方法や精製方法を適当に組み合わせて行なうことができる。これらの分離・精製方法としては例えば塩沈殿、溶媒沈殿のような溶解性の差を利用する方法、透析、限外濾過、ゲル濾過およびSDS-ポリアクリルアミド電気泳動のような分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーのような電荷の差を利用する方法、疎水クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーのような疎水性の差を利用する方法、さらに等電点電気泳動のような等電点の差を利用する方法、このほかにアフィニティークロマトグラフィー等が挙げられる。実施例に記載した精製方法のほかに、一般的な分離・精製法に関しては、例えば蛋白質・酵素の基礎実験法(南江堂)等を参照することができる。
【実施例0091】
以下の例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、本明細書において、特に記載しない限り、「%」は質量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。また、操作手順は特に記載しない限り、Molecular Cloning : A Laboratory Manual 2nd Ed (Sambrook, J., Fritsch, E. R., & Maniatis, T., Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))に記載の方法に従った。
【0092】
実施例1:改変マンノース 2-エピメラーゼの設計
特許文献8で報告されているパルディスファエラ・ボレアリス(Paludisphaera borealis)のエピメラーゼ様配列(NCBI Accession number: WP_083712873.1)を鋳型とし、Blastpから類似配列を5,000個取得した。取得した類似配列を解析し、設計に適さない配列を除去した後、文献A(Nakano, S., and Asano, Y. (2015) Protein evolution analysis ofS-hydroxynitrile lyase by complete sequence design utilizing the INTMSAlign software, Scientific Reports 5, 8193)、文献B(Nakano, S., Motoyama, T., Miyashita, Y., Ishizuka, Y., Matsuo, N., Tokiwa, H., Shinoda, S., Asano, Y., and Ito, S. (2018) Benchmark Analysis of Native and Artificial NAD+-Dependent Enzymes Generated by a Sequence-Based Design Method with or without Phylogenetic Data, Biochemistry 57, 3722-3732.)、および文献C(Motoyama, T., Hiramatsu, N., Asano. Y., Nakano, S., and Ito, S. (2020) HYPERLINK "https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.biochem.0c00570"Protein Sequence Selection Method That Enables Full Consensus Design of Artificial L-Threonine 3-Dehydrogenases With Unique Enzymatic Properties, Biochemistry 59, 3823-3833)で用いた手法を適用し、多数の改変型エピメラーゼ様配列をデザインした。最終的に、11のアミノ酸配列(ME-1C6、ME-2S2、ME-2C2、ME-2C7、ME-2SC75、ME-2S2toALL2、ME-1C6to2S2、ME-2S2toAH10、ME-2S2toAR10、ME-2S2toAR15、ME-2S2toAR25)(順に配列番号1、5、9、13、17、29、33、37、41、45、49)を選抜した。この11個のアミノ酸配列は、互いに85%以上の配列同一性を有するものであった。配列番号5、9、13、17、29、33、37、41、45、49に記載のアミノ酸配列は、配列番号1に15%未満の点変異を加えた、配列番号1に記載のアミノ酸配列の変異体とみなすことができる。
【0093】
実施例2:枯草菌を宿主とした改変マンノース 2-エピメラーゼの菌体外発現
2-1.発現プラスミドの構築
実施例1にて設計および選抜した、11種の改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-1C6、ME-2S2、ME-2C2、ME-2C7、ME-2SC75、ME-2S2toALL2、ME-1C6to2S2、ME-2S2toAH10、ME-2S2toAR10、ME-2S2toAR15、ME-2S2toAR25))に関する機能解析を行った。このアミノ酸配列(配列番号1、5、9、13、17、29、33、37、41、45、49)およびアミノ酸配列をコードする遺伝子の塩基配列(配列番号2、6、10、14、18、30、34、38、42、46、50)を、それぞれ図1~11のAおよびBに示す。図1~11のCに示す配列番号のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号1、5、9、13、17、29、33、37、41、45、49のアミノ酸配列からシグナルペプチドと推定された部分を削った配列である。図1~11のDに示す塩基配列は、配列番号2、6、10、14、18、30、34、38、42、46、50のシグナルペプチド配列に対応する塩基配列を削った配列である。以下、配列番号4、8、12、16、20、32、36、40、44、48、52を目的遺伝子とする。配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50および52に示す塩基配列は、枯草菌での良好な発現を企図して、コドン最適化が行われている。
【0094】
目的遺伝子を枯草菌(Bacillus subtilis)で発現させるための発現プラスミドを構築した。まず、pUC57ベクターに、ベクターpJEXOPT2(特許5126879号を参照)を本実施例に最適化するために改変したプラスミドのシグナルペプチド配列の末端およびターミネーター配列の一部を付加した配列番号4、8、12、16、20、32、36、40、44、48、52に記載の塩基配列がそれぞれ挿入されたプラスミドを得た。このプラスミドを鋳型として、センス鎖増幅についてはベクターのシグナルペプチド配列の末端と相同な塩基配列のプライマーを用いて、アンチセンス鎖増幅についてはターミネーター配列の一部を付加したプライマーを用いて、目的遺伝子をPCR増幅した。PCR増幅用の反応液の組成を以下に示す。
2×Primestar Max Premix(タカラバイオ) 50μL
10μM プライマー(ME-Insert-Fw) 2μL
10μM プライマー(ME-Insert-Rv) 2μL
1ng/μL テンプレート 2μL
2O 44μL
【0095】
使用プライマーを表1に示す。
【表1】
【0096】
PCR増幅反応のプログラムは、まず、96℃に1分間保持した後、98℃で10秒間→55℃で5秒間→72℃で35秒間を1サイクルとして35サイクル行った後にさらに72℃で5分間保持した。得られたPCR産物をアガロースゲル電気泳動し、増幅断片に相当するバンドをゲルから切り出し、illustraTM GFXTM PCR DNA and Gel Band Purification Kit(GEヘルスケア)を用いて抽出し精製した。
【0097】
In-Fusion(登録商標)クローニング反応で用いる線状化プラスミドの調製のため、ベクターpJEXOPT2(特許5126879号を参照)を本実施例に最適化するために改変したプラスミドを鋳型として、表2に示したプライマーを用いてPCRを行った。
【0098】
使用プライマーを表2に示す。
【表2】
【0099】
PCR増幅の反応液の組成は、プライマーおよび鋳型以外は目的遺伝子の増幅に使用したものと同じであった。PCR増幅反応のプログラムは、まず、96℃に1分間保持した後、98℃で10秒間→55℃で5秒間→72℃で35秒間を1サイクルとして35サイクル行った後にさらに72℃で5分間保持した。得られたPCR産物をアガロースゲル電気泳動し、増幅断片(6,935bp)に相当するバンドをゲルから切り出し、illustraTM GFXTM PCR DNA and Gel Band Purification Kit(GEヘルスケア)を用いて抽出し精製した。目的遺伝子の増幅DNA断片およびベクターpJEXOPT2の増幅断片をIn-Fusion HD Cloning Kit(タカラバイオ)を用いて連結した。連結反応は50℃にて15分間保持することで行った。
【0100】
連結反応溶液を2μL用いてE.coli DH5αを形質転換し、培養した培養液からillustraTM plasmidPrep Mini Spin Kit(GEヘルスケア)によりプラスミドDNAを調製した。得られたプラスミドをそれぞれ改変マンノース 2-エピメラーゼ発現用プラスミドME-1C6、ME-2S2、ME-2C2、ME-2C7、ME-2SC75、ME-2S2toALL2、ME-1C6to2S2、ME-2S2toAH10、ME-2S2toAR10、ME-2S2toAR15、ME-2S2toAR25)とした。
【0101】
2-2.組換えタンパク質の発現
上記11種の改変マンノース 2-エピメラーゼ発現用プラスミドをプロトプラスト化した枯草菌ISW1214(タカラバイオ)に導入し、7.5μg/mLテトラサイクリンを含むDM3再生寒天培地(組成:8.1%コハク酸ナトリウム、1%寒天、0.5%カザミノ酸、0.5%酵母エキス、0.15%リン酸2水素カリウム、0.35%リン酸水素2カリウム、0.5%グルコース、0.4%塩化マグネシウム、0.01%ウシ血清アルブミン、0.001%メチオニン、および0.001%ロイシン)にて30℃で2日間培養した。得られたコロニーを用い、前培養を経た後、本培養を72時間培養した(特許5126879号に記載の通り培養したが、培地の組成は改変したものを使用した)。得られた培養液を遠心分離(15,000×g、4℃、5分間)し、上清をポアサイズが0.45μmのフィルター(メルク)で濾過したものをそれぞれ改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-1C6、ME-2S2、ME-2C2、ME-2C7、ME-2SC75、ME-2S2toALL2、ME-1C6to2S2、ME-2S2toAH10、ME-2S2toAR10、ME-2S2toAR15、ME-2S2toAR25))とした。
【0102】
比較例1:比較用酵素溶液の調製
実施例1および2の改変マンノース 2-エピメラーゼと機能の比較を行うために、特許文献8記載のパルディスファエラ・ボレアリス(Paludisphaera borealis)由来のマンノース 2-エピメラーゼ活性を有するタンパク質について、菌体外発現を行った。比較用酵素発現プラスミドの構築については特許文献8に記載の方法で実施した。比較用酵素発現プラスミドをプロトプラスト化した枯草菌ISW1214(タカラバイオ)に導入し、7.5μg/mLテトラサイクリンを含む再生寒天培地(組成:8.1%コハク酸ナトリウム、1%寒天、0.5%カザミノ酸、0.5%酵母エキス、0.15%リン酸2水素カリウム、0.35%リン酸水素2カリウム、0.5%グルコース、0.4%塩化マグネシウム、0.01%ウシ血清アルブミン、0.001%メチオニン、および0.001%ロイシン)にて30℃で2日間培養した。得られたコロニーを用い、実施例2-2と同様に前培養および本培養を行った。得られた培養液を遠心分離(5,000×g、4℃、5分間)し、上清をポアサイズが0.45μmのフィルター(メルク)で濾過したものを比較用酵素とした。
【0103】
比較例2:比較用培養上清の調製
陰性対照としてマンノース 2-エピメラーゼ活性を発現しないプラスミド形質転換した細胞の培養上清を調製した。ベクターpJEXOPT2(特許5126879号を参照)を本比較例用に改変したプラスミドをプロトプラスト化した枯草菌ISW1214(タカラバイオ)に導入し、7.5μg/mLテトラサイクリンを含む再生寒天培地(組成:8.1%コハク酸ナトリウム、1%寒天、0.5%カザミノ酸、0.5%酵母エキス、0.15%リン酸2水素カリウム、0.35%リン酸水素2カリウム、0.5%グルコース、0.4%塩化マグネシウム、0.01%ウシ血清アルブミン、0.001%メチオニン、および0.001%ロイシン)にて30℃で2日間培養した。得られたコロニーを用い、実施例2-2と同様に前培養および本培養を行った。得られた培養液を遠心分離(15,000×g、4℃、5分間)し、上清をポアサイズが0.45μmのフィルター(メルク)で濾過したものを比較用培養上清とした。
【0104】
実施例3:改変マンノース 2-エピメラーゼの諸性質(pHと温度)
改変マンノース 2-エピメラーゼのpHおよび温度に対する特性を調査するために、マンノースに対する活性をグルコース生成量に基づき、以下の通り測定した。酵素活性単位1Uは、各反応1分間に1nmolのグルコースを生成する酵素量と定義した。
【0105】
3-1.最適pH
500mM マンノース 40μL、100mM ブリトン-ロビンソン緩衝液(pH4.0~9.5)80μL、および適宜希釈した各酵素溶液 80μLからなる反応液200μLを37℃に60分間保持した。希釈溶液には50mM NaClを含む40mM HEPES-NaOH緩衝液(pH8.0)を用いた。反応60分後に2.0M HClを40μL添加し、100℃にて5分間保持して反応を停止した。これに2.0M NaOHを40μL添加して中和し、16,500×g、4℃にて5分間遠心分離した。遠心後の上清 140μLと発色試薬(333mM Tris-HCl、33.3mM MgCl2、16.7mM Thio-NAD+(オリエンタル酵母)、23.3mM ATP(和光純薬)、6.7U/mL ヘキソキナーゼ(GRADE-I、オリエンタル酵母)および6.7U/mL グルコース6リン酸デヒドロキナーゼ (東洋紡))60μLを混合し、37℃、20分間保持した。保持後、405nmの吸光度を測定し、反応によって生じたグルコース量を求めた。検量線作成には、100mM マンノースと0~3mM グルコースを含む混合液を用いた。
【0106】
その結果を、図12に示す。ME-2S2toALL2を除いて、いずれの改変マンノース 2-エピメラーゼも比較用酵素溶液と同様に、pH7.9において、酵素活性が最大となった。なお、pH7.9における活性を100%とし、各反応pHにおける活性を相対値として示した。ME-2S2toALL2はpH7.2で酵素活性が最大となった。ME-2S2toALL2については、pH7.2における活性を100%とし、各反応pHにおける活性を相対値として示した。
【0107】
3-2.最適温度
500mM マンノース 40μL、200mM HEPES-NaOH緩衝液(pH8.0)80μLおよび適宜希釈した各酵素溶液 80μLからなる、反応液200μLを45~70℃に60分間保持した。希釈溶液には50mM NaClを含む40mM HEPES-NaOH緩衝液(pH8.0)を用いた。反応60分後に2.0M HClを40μL添加し、100℃にて5分間保持して反応を停止した。反応停止以降の操作は実施例3-1に記載の方法と同様に行い、反応によって生じたグルコース量を求めた。その結果を図13に示す。ME-1C6to2S2を除いて、いずれの改変マンノース 2-エピメラーゼは45~50℃の条件にて酵素活性が最大となった。ME-1C6、ME-2C2、ME-2SC75、ME-2S2toALL、ME-1C6to2S2、ME-2S2toAH10、ME-2S2toAR10、ME-2S2toAR15、ME-2S2toAR25は45~60℃の範囲で最大活性の80%以上の活性を示した。なお、図13では各酵素における45℃における活性を100%とし、各反応条件における活性を相対値として示した。一方で、ME-1C6to2S2は60℃にて酵素活性が最大となった。
【0108】
3-3.温度安定性
改変マンノース 2-エピメラーゼ(pH7.5~8.0)50μLを50℃~70℃に60分間保持し、保持後の残存活性を以下の方法に従って求めた。500mM マンノース 40μL、200mM HEPES-NaOH緩衝液(pH8.0)80μLおよび適宜希釈した各改変マンノース 2-エピメラーゼ 80μLからなる、反応液200μLを37℃に60分間保持した。希釈溶液には50mM NaClを含む40mM HEPES-NaOH(pH8.0)を用いた。反応60分後に2.0M HClを40μL添加し、100℃にて5分間保持して反応を停止した。反応停止以降の操作は実施例3-1に記載の方法と同様に行い、反応によって生じたグルコース量を求め、残存活性を測定した。
【0109】
比較用酵素(pH7.5)50μLを50℃~70℃に60分間保持し、保持後の残存活性を以下の方法に従って求めた。500mM マンノース 40μL、200mM HEPES-NaOH緩衝液(pH7.5)80μLおよび適宜希釈した比較用酵素 80μLからなる、反応液200μLを37℃に60分間保持した。希釈溶液には50mM NaClを含む20mM HEPES-NaOH(pH7.5)を用いた。反応60分後に2.0M HClを40μL添加し、100℃にて5分間保持して反応を停止した。反応停止以降の操作は実施例3-1に記載の方法と同様に行い、反応によって生じたグルコース量を求め、残存活性を測定した。
【0110】
各温度に保持する前の活性を100%とし、保持後の残存活性を相対値にて表した(図14)。比較用酵素液は60℃での残存活性が27%であったが、改変マンノース 2-エピメラーゼはいずれも60℃においても68%以上の残存活性を示した。また、ME-1C6to2S2は70℃においても、残存活性が52%であった。
【0111】
実施例4:マンノース合成試験
1.方法
各酵素溶液を用いて、グルコースを基質としたマンノースの合成試験を実施した。すなわち、300μL/g-dsの比較用酵素液または450μL/g-dsの各改変マンノース 2-エピメラーゼ溶液もしくは比較用培養上清を添加した50%グルコース(pH5.9~6.2)を調製し、55、60および70℃にて24~72時間保持した。各反応時間にて採取した反応液に1M HClを1/50量添加し、10分間煮沸することで反応を停止した。その後、反応液50μLと純水950μLを混合し希釈した。希釈後、MB-4 (オルガノ) を添加、混合することで脱塩した。脱塩後の溶液を0.45μmフィルターにて濾過した後に、HPLCにて糖組成を分析した。
【0112】
グルコースを基質とした各酵素溶液の生成物の糖組成をHPLCで分析した。分析条件は下記のいずれかの方法で行った。1:カラム:Ultron PS―80C.L(SHIMADZU)、溶離液:超純水、流速:1.0mL/min、カラム温度:80℃、検出器:示差屈折率検出器、若しくは2:SUGAR SP0810(Shodex)、溶離液:超純水、流速:0.4mL/min、カラム温度:50℃、検出器:示差屈折率検出器。
【0113】
2.結果
グルコースに対して上記の通り各改変マンノース 2-エピメラーゼ溶液を作用させたときの反応生成物について、その糖組成分析の結果を図15Aおよび図15Bに示す。反応生成物中のマンノース含有率およびフルクトース含有率は、HPLC分析のグルコース、マンノースおよびフルクトースのピーク面積の合計を100%とした際のそれぞれの割合(Area%)とした。
【0114】
各改変マンノース 2-エピメラーゼ添加区および比較用酵素添加区では、55、60および70℃の全ての試験区において、グルコースからマンノースが生成された。一方で、比較用培養上清を添加した試験区では、試験した何れの反応温度においても、マンノース生成量は0.1%以下であった。
【0115】
反応24時間時点では、いずれの改変マンノース 2-エピメラーゼ添加区(ME-1C6、ME-2S2、ME-2C2、ME-2C7、ME-2SC75)も反応温度70℃の条件において最大のマンノース含量(13.7~20.3%)を示した。一方で、比較用酵素添加区ではマンノース含量が60℃で16.6%と70℃で16.8%であり、同等の含量であった(図15A)。
【0116】
反応72時間時点では、改変マンノース 2-エピメラーゼME-1C6、ME-2S2、ME-2C2およびME-2C7の添加区は反応温度60℃と70℃の条件におけるマンノース含量は同等の値を示した。改変マンノース 2-エピメラーゼME-2SC75の添加区のマンノース含量は、反応温度60℃(18.2%)に比べて70℃(16.9%)では1.4%低かった。一方で、比較用酵素添加区のマンノース含量は、反応温度60℃(20.7%)に比べて70℃(17.1%)では3.6%低かった(図15B)。
【0117】
フルクトース含量は、すべての改変マンノース 2-エピメラーゼ添加区および比較用酵素添加区の反応72時間時点において、70℃では2%未満、60℃では1%未満であった(図15B)。各改変マンノース 2-エピメラーゼのフルクトースの副生は、比較用酵素(野生型)と比較して、反応温度70℃において、多くなる傾向があったが、最大で+1%程度であった。一方で、比較用培養上清を添加した試験区では、反応72時間時点において、フルクトース含量は70℃で0.5%、60℃では0.2%であった。フルクトースの副生は非酵素的な反応(アルカリ異性化)に加え、改変マンノース 2-エピメラーゼおよび比較用酵素自身による副次的な酵素反応に起因してフルクトースが生成されたものと考えられる。
【0118】
これらの結果から、改変マンノース 2-エピメラーゼは比較用酵素と比べて、高温条件下(70℃)において高い反応性を有することが示された。
【配列表フリーテキスト】
【0119】
配列番号1:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-1C6)のアミノ酸配列
配列番号2:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-1C6)をコードする塩基配列
配列番号3:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-1C6)のタンパク質のアミ ノ酸配列
配列番号4:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-1C6)のタンパク質をコー ドする塩基配列
配列番号5:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2)のアミノ酸配列
配列番号6:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2)をコードする塩基配列
配列番号7:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2)のタンパク質のアミ ノ酸配列
配列番号8:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2)のタンパク質をコー ドする塩基配列
配列番号9:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2C2)のアミノ酸配列
配列番号10:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2C2)をコードする塩基配列
配列番号11:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2C2)のタンパク質のアミノ酸配列
配列番号12:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2C2)のタンパク質をコードする塩基配列
配列番号13:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2C7)のアミノ酸配列
配列番号14:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2C7)をコードする塩基配列
配列番号15:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2C7)のタンパク質のアミノ酸配列
配列番号16:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2C7)のタンパク質をコードする塩基配列
配列番号17:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2SC75)のアミノ酸配列
配列番号18:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2SC75)をコードする塩基配列
配列番号19:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2SC75)のタンパク質のアミノ酸配列
配列番号20:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2SC75)のタンパク質をコードする塩基配列
配列番号21~24:プライマー配列
配列番号25:パルディスファエラ・ボレアリス由来のマンノース 2-エピメラーゼ活性を有するタンパク質のアミノ酸配列
配列番号26:パルディスファエラ・ボレアリス由来のマンノース 2-エピメラーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列
配列番号27:パルディスファエラ・ボレアリス由来のマンノース 2-エピメラーゼ活性を有するタンパク質のアミノ酸配列からシグナルペプチド配列を除いたもの
配列番号28:パルディスファエラ・ボレアリス由来のマンノース 2-エピメラーゼ活性を有するタンパク質(シグナルペプチド配列を除いたもの)をコードする塩基配列
配列番号29:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toALL2)のアミノ酸配列
配列番号30:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toALL2)をコードする塩基配列
配列番号31:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toALL2)のタ ンパク質のアミノ酸配列
配列番号32:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toALL2)のタ ンパク質をコードする塩基配列
配列番号33:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-1C6to2S2)のアミノ酸配列
配列番号34:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-1C6to2S2)をコードする塩基配列
配列番号35:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-1C6to2S2)のタン パク質のアミノ酸配列
配列番号36:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-1C6to2S2)のタン パク質をコードする塩基配列
配列番号37:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAH10)のアミノ酸配列
配列番号38:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAH10)をコードする塩基配列
配列番号39:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAH10)のタンパク質のアミノ酸配列
配列番号40:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAH10)のタンパク質をコードする塩基配列
配列番号41:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR10)のアミノ酸配列
配列番号42:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR10)をコードする塩基配列
配列番号43:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR10)のタンパク質のアミノ酸配列
配列番号44:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR10)のタンパク質をコードする塩基配列
配列番号45:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR15)のアミノ酸配列
配列番号46:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR15)をコードする塩基配列
配列番号47:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR15)のタンパク質のアミノ酸配列
配列番号48:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR15)のタンパク質をコードする塩基配列
配列番号49:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR25)のアミノ酸配列
配列番号50:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR25)をコードする塩基配列
配列番号51:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR25)のタンパク質のアミノ酸配列
配列番号52:改変マンノース 2-エピメラーゼ(ME-2S2toAR25)のタンパク質をコードする塩基配列
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図11D
図12-1】
図12-2】
図13-1】
図13-2】
図14-1】
図14-2】
図15A
図15B
図16-1】
図16-2】
図16-3】
【配列表】
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