(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014693
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】合わせガラスの製造方法
(51)【国際特許分類】
C03C 27/12 20060101AFI20240125BHJP
B32B 17/10 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
C03C27/12 Z
C03C27/12 P
B32B17/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034802
(22)【出願日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】P 2022117023
(32)【優先日】2022-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】蓑輪 元
(72)【発明者】
【氏名】川妻 幸宏
【テーマコード(参考)】
4F100
4G061
【Fターム(参考)】
4F100AG00
4F100AG00A
4F100AG00C
4F100AK01
4F100AK01B
4F100AK01D
4F100AK23
4F100AK23B
4F100AK42
4F100AK42B
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4F100AR00B
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4F100BA03
4F100BA04
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4F100DB16
4F100DB16D
4F100DG01
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4F100GB07
4F100JJ02
4F100JJ07
4G061AA25
4G061AA28
4G061BA01
4G061CB03
4G061CB16
4G061CB19
4G061CD02
4G061CD18
4G061DA09
4G061DA14
4G061DA29
4G061DA30
(57)【要約】
【課題】一対のガラス板の間からの樹脂の流出を抑えた場合であっても、複数枚の樹脂フィルムの間の気体の排出を容易に促進することのできる合わせガラスの製造方法を提供する。
【解決手段】積層体準備工程で準備する積層体16は、積層構造部17と、積層構造部17の端面を被覆する被覆材18とを備える。積層構造部17は、一対のガラス板12と、一対のガラス板12の間に配置した複数の樹脂フィルムF1,F2からなる中間フィルム層19とを有する。被覆材18は、複数の樹脂フィルムF1,F2の境界部分17aを覆う第1被覆材18aと、境界部分17a以外の非境界部分17bを覆う第2被覆材18bとを備える。第1被覆材18aは、第2被覆材18bよりも通気性の高い材料から構成される。積層体16の加熱工程では、積層体16を袋体の内部に配置した後、袋体の内部を排気した状態で積層体16を加熱する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のガラス板と、前記一対のガラス板の間に設けられた中間樹脂層との積層構造を有する合わせガラスの製造方法であって、
積層構造部と前記積層構造部の端面を被覆する被覆材とを備える積層体を準備する積層体準備工程と、
前記積層体を加熱する加熱工程と、を備え、
前記積層体の前記積層構造部は、前記一対のガラス板と、前記一対のガラス板の間に配置した複数の樹脂フィルムからなる中間フィルム層と、を有し、
前記積層体の前記被覆材は、前記積層構造部における前記複数の樹脂フィルムの境界部分を覆う第1被覆材と、
前記境界部分以外の非境界部分を覆う第2被覆材と、を備え、
前記第1被覆材及び前記第2被覆材は、前記加熱工程の加熱に耐え得る耐熱性を有し、
前記第1被覆材は、前記第2被覆材よりも通気性の高い材料から構成され、
前記加熱工程では、前記積層体を袋体の内部に配置した後、前記袋体の内部を排気した状態で前記積層体を加熱することで、前記中間フィルム層と前記一対のガラス板とを接着する、合わせガラスの製造方法。
【請求項2】
前記第1被覆材は、繊維集合体を備える、請求項1に記載の合わせガラスの製造方法。
【請求項3】
前記第2被覆材は、樹脂フィルム基材と粘着層とを有する粘着テープから構成される、請求項1又は請求項2に記載の合わせガラスの製造方法。
【請求項4】
前記被覆材と前記袋体の間には、前記加熱工程の加熱に耐え得る耐熱性を有し、前記第2被覆材よりも通気性の高い通気性部材が配置される、請求項1に記載の合わせガラスの製造方法。
【請求項5】
前記袋体の内部を、前記積層体と前記通気性部材との間に開口する吸引管を通じて排気する、請求項4に記載の合わせガラスの製造方法。
【請求項6】
前記中間フィルム層を構成する前記複数の樹脂フィルムは、第1の樹脂フィルムと、
前記第1の樹脂フィルムと隣り合って配置され、前記第1の樹脂フィルムと溶着し得る第2の樹脂フィルムと、を有し、
前記中間フィルム層は、前記第1の樹脂フィルムの一部と前記第2の樹脂フィルムの一部とが重なり合う重なり部分を有し、
前記重なり部分が、前記積層体の平面視で一対のガラス板の外周端縁よりも内側に設けられることで、前記第1の樹脂フィルムの外周端縁と前記第2の樹脂フィルムの外周端縁とは、前記一対のガラス板の外周端縁に沿った位置において離間し、
前記第1の樹脂フィルムと前記第2の樹脂フィルムとの距離は、
前記重なり部分から、前記第1の樹脂フィルムの外周端縁と前記第2の樹脂フィルムの外周端縁とにわたって等しいか、又は、
前記重なり部分から、前記第1の樹脂フィルムの外周端縁と前記第2の樹脂フィルムの外周端縁に向かうにつれて拡大する、請求項1に記載の合わせガラスの製造方法。
【請求項7】
前記第1の樹脂フィルムの外周端縁と、前記第2の樹脂フィルムの外周端縁との距離をD2aとし、前記第1の樹脂フィルムの外周端縁と前記第2の樹脂フィルムの外周端縁とを結ぶ直線と、前記重なり部分との距離をD2bとした場合、
D2a/D2b≧0.1の関係を満たす、請求項6に記載の合わせガラスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合わせガラスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、防火ガラスとして用いられる合わせガラスが知られている。このような合わせガラスは、一対のガラス板と、その一対のガラス板の間に設けられた中間樹脂層との積層構造を備えている。
【0003】
特許文献1に記載の合わせガラスにおける中間樹脂層は、ガラス板と接着してなる接着部と、接着部よりもガラス板に対する接着強度の低い低接着部とを有している。このような中間樹脂層の低接着部は、平面視で中間樹脂層の外周端縁から中間樹脂層の内側に向かって延在している。この構成によれば、火災時に合わせガラスが加熱された際に、中間樹脂層の低接着部とガラス板との間に隙間が形成され易くなる。そして、平面視で中間樹脂層の外周端縁から中間樹脂層の内側に向かって延在する低接着部により形成された隙間は、中間樹脂層とガラス板との間の気体を中間樹脂層の外周端縁へと排出する排出経路となる。これにより、一対のガラス板の間における気体の滞留が抑制されることで、合わせガラスの防火性能を高めることができる。
【0004】
上記特許文献1に記載されるように、低接着部を有する中間樹脂層は、例えば、複数枚の樹脂フィルムを用いて形成することができる。詳述すると、低接着部を有する中間樹脂層を形成するには、まず、一対のガラス板の間において複数枚の樹脂フィルムを樹脂フィルムの外周端面が向かい合うように配置する。これにより、一対のガラス板と複数の樹脂フィルムからなる中間フィルム層との積層体を形成する。この積層体の中間フィルム層は、複数の樹脂フィルムの外周端面同士が向かい合う不連続部を有している。次に、この積層体を加熱及び加圧することで、中間フィルム層と一対のガラス板とを接着する。これにより、中間フィルム層の不連続部から中間樹脂層の低接着部を形成することができる。
【0005】
上記のように積層体を加熱及び加圧する工程は、積層体における一対のガラス板の間の気体を脱気した状態で行われることが好ましい。このような脱気を行う方法としては、例えば、特許文献2に記載されるように、積層体を袋体の内部に配置し、袋体の内部を減圧する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-088500号公報
【特許文献2】特開2019-099452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような積層体を袋体の内部に配置し、袋体の内部を減圧した状態で積層体を加熱する場合、積層体の中間フィルム層を構成する樹脂が軟化し、一対のガラス体の間から流出するおそれがある。このような樹脂の流出を抑えるために、積層体の端面をテープ等の被覆材を用いて覆うことが好ましい。ここで、合わせガラスを得るための積層体の中間フィルム層を、上述したように複数枚の樹脂フィルムから構成し、積層体の端面を被覆材で覆うと、複数枚の樹脂フィルムの間の気体の脱気が不十分となる場合がある。これにより、合わせガラスの中間樹脂層に気泡が残留することで、合わせガラスの外観品位を低下させるおそれがあった。
【0008】
本発明の目的は、一対のガラス板の間からの樹脂の流出を抑えた場合であっても、複数枚の樹脂フィルムの間の気体の排出を容易に促進することのできる合わせガラスの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する合わせガラスの製造方法の各態様について説明する。
態様1の合わせガラスの製造方法は、一対のガラス板と、前記一対のガラス板の間に設けられた中間樹脂層との積層構造を有する合わせガラスの製造方法であって、積層構造部と前記積層構造部の端面を被覆する被覆材とを備える積層体を準備する積層体準備工程と、前記積層体を加熱する加熱工程と、を備え、前記積層体の前記積層構造部は、前記一対のガラス板と、前記一対のガラス板の間に配置した複数の樹脂フィルムからなる中間フィルム層と、を有し、前記積層体の前記被覆材は、前記積層構造部における前記複数の樹脂フィルムの境界部分を覆う第1被覆材と、前記境界部分以外の非境界部分を覆う第2被覆材と、を備え、前記第1被覆材及び前記第2被覆材は、前記加熱工程の加熱に耐え得る耐熱性を有し、前記第1被覆材は、前記第2被覆材よりも通気性の高い材料から構成され、前記加熱工程では、前記積層体を袋体の内部に配置した後、前記袋体の内部を排気した状態で前記積層体を加熱することで、前記中間フィルム層と前記一対のガラス板とを接着する。
【0010】
この方法によれば、加熱工程において、中間フィルム層の樹脂が一対のガラス板の間から流出することを被覆材によって抑えることができる。また、積層構造部における複数の樹脂フィルムの境界部分に存在する気体を、第1被覆材を通じて排出することができる。すなわち、積層構造部の境界部分に存在する気体の排出を第2被覆材よりも通気性の高い第1被覆材によって促進することができる。
【0011】
態様2の合わせガラスの製造方法では、態様1において、前記第1被覆材は、繊維集合体を備えてもよい。この方法によれば、積層構造部の境界部分に存在する気体の排出をさらに促進することが可能となる。
【0012】
態様3の合わせガラスの製造方法では、態様1又は態様2において、前記第2被覆材は、樹脂フィルム基材と粘着層とを有する粘着テープから構成されてもよい。この方法によれば、積層構造部に第2被覆材を容易に着脱することが可能となる。
【0013】
態様4の合わせガラスの製造方法では、態様1から態様3のいずれか一つの態様において、前記被覆材と前記袋体の間には、前記加熱工程の加熱に耐え得る耐熱性を有し、前記第2被覆材よりも通気性の高い通気性部材が配置されてもよい。この方法によれば、通気性部材が積層体と袋体との間の気体の流通路として機能する。これにより、積層体の積層構造部において、一対のガラス板の間の気体の排出をより促進することができる。
【0014】
態様5の合わせガラスの製造方法では、態様4において、前記袋体の内部を、前記積層体と前記通気性部材との間に開口する吸引管を通じて排気してもよい。この方法によれば、吸引管の開口が袋体により塞がれることを回避することが可能となる。これにより、一対のガラス板の間の気体の排出をより促進することができる。
【0015】
態様6の合わせガラスの製造方法では、態様1から態様5のいずれか一つの態様において、前記中間フィルム層を構成する前記複数の樹脂フィルムは、第1の樹脂フィルムと、前記第1の樹脂フィルムと隣り合って配置され、前記第1の樹脂フィルムと溶着し得る第2の樹脂フィルムと、を有し、前記中間フィルム層は、前記第1の樹脂フィルムの一部と前記第2の樹脂フィルムの一部とが重なり合う重なり部分を有し、前記重なり部分が、前記積層体の平面視で一対のガラス板の外周端縁よりも内側に設けられることで、前記第1の樹脂フィルムの外周端縁と前記第2の樹脂フィルムの外周端縁とは、前記一対のガラス板の外周端縁に沿った位置において離間し、前記第1の樹脂フィルムと前記第2の樹脂フィルムとの距離は、前記重なり部分から、前記第1の樹脂フィルムの外周端縁と前記第2の樹脂フィルムの外周端縁とにわたって等しいか、又は、前記重なり部分から、前記第1の樹脂フィルムの外周端縁と前記第2の樹脂フィルムの外周端縁に向かうにつれて拡大していてもよい。
【0016】
この方法によれば、第1の樹脂フィルムと第2の樹脂フィルムとの距離を上記のように確保することで、加熱工程において、第1の樹脂フィルムと第2の樹脂フィルムとの間における気体の排出を促進することができる。
【0017】
態様7の合わせガラスの製造方法では、態様6において、前記第1の樹脂フィルムの外周端縁と、前記第2の樹脂フィルムの外周端縁との距離をD2aとし、前記第1の樹脂フィルムの外周端縁と前記第2の樹脂フィルムの外周端縁とを結ぶ直線と、前記重なり部分との距離をD2bとした場合、D2a/D2b≧0.1の関係を満たしてもよい。
【0018】
この方法によれば、加熱工程において、第1の樹脂フィルムの外周端縁と第2の樹脂フィルムの外周端縁との間からの気体の排出を促進することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、一対のガラス板の間からの樹脂の流出を抑えた場合であっても、複数枚の樹脂フィルムの間の気体の排出を容易に促進することができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本実施形態における合わせガラスの一部を切り欠いて示す平面図である。
【
図5】
図5は、合わせガラスの作用を説明する断面図である。
【
図6】
図6は、積層体準備工程を説明する斜視図である。
【
図7】
図7は、積層構造部の一部を切り欠いて示す平面図である。
【
図11】
図11は、中間フィルム層の変更例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、合わせガラスの製造方法の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際と異なる場合がある。
【0022】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の合わせガラス11は、一対のガラス板12と、一対のガラス板12の間に設けられた中間樹脂層13との積層構造を有している。
<合わせガラス11のガラス板12>
合わせガラス11のガラス板12としては、例えば、ケイ酸塩ガラス、シリカガラス、ホウ珪酸ガラス、ソーダライムガラス、アルミノ珪酸塩ガラス、無アルカリガラス、結晶化ガラス等が挙げられる。ガラス板12は、風冷強化や化学強化されたガラスである強化ガラスであってもよいし、表面に反射防止膜等の機能膜が形成された未強化ガラスであってもよい。例えば、結晶化ガラス等の低熱膨張性のガラスを用いた合わせガラス11は、例えば、防火安全ガラスとして好適に用いられる。ガラス板12の厚さや外形寸法は、特に限定されない。合わせガラス11のガラス板12は、1000mm以上の辺を有していてもよい。ガラス板12の厚さは、例えば、2mm以上、10mm以下の範囲であることが好ましい。なお、一対のガラス板12の種類は、同じであってもよいし、互いに異なってもよい。また、一対のガラス板12の厚さは、同じであってもよいし、互いに異なってもよい。
【0023】
<合わせガラス11の中間樹脂層13>
合わせガラス11の中間樹脂層13は、平面視において、ガラス板12と接着してなる接着部14と、接着部14よりもガラス板12に対する接着強度の低い低接着部15とを有している。中間樹脂層13の低接着部15は、平面視で中間樹脂層13の外周端縁から中間樹脂層13の内側に向かって延在している。
【0024】
中間樹脂層13は、第1外周端縁13aから延在する第1低接着部15aと、第1外周端縁13aとは異なる位置の第2外周端縁13bから延在する第2低接着部15bとを有している。第1低接着部15a及び第2低接着部15bは、中間樹脂層13の内側で接続されるように配置されている。本実施形態の第1低接着部15aは、平面視で中間樹脂層13の第1外周端縁13aから中央部分に向かって延在している。第2低接着部15bは、平面視で中間樹脂層13の第2外周端縁13bから中央部分に向かって延在している。第1低接着部15a及び第2低接着部15bは、平面視で中間樹脂層13の中央部分において接続されている。
【0025】
図3に示すように、本実施形態の中間樹脂層13は、樹脂基材層L1と、樹脂基材層L1の両主面に設けられた接着層L2とを有している。中間樹脂層13の低接着部15は、樹脂基材層L1及び接着層L2のうち、樹脂基材層L1のみを有している。なお、中間樹脂層13の接着部14は、樹脂基材層L1及び接着層L2のいずれも有している。低接着部15は、全く接着強度が無い部分、又は、接着するものの、接着部14よりも接着強度が低い部位をいう。また、低接着部15としては、例えば、一方のガラス板12に対して、接着部14よりも接着強度が低く、他方のガラス板12に対しては、接着部14と同等の接着強度を有する場合も含まれる。
【0026】
中間樹脂層13の樹脂基材層L1を構成する樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。樹脂基材層L1は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。合わせガラス11の防火性能をより高めるという観点から、樹脂基材層L1を構成する樹脂は、フッ素系樹脂であることが好ましい。フッ素系樹脂を構成するモノマーとしては、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ビニリデンフルオライド(VDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ビニルフルオライド(VF)、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)等が挙げられる。フッ素系樹脂としては、テトラフルオロエチレン(TFE)-ヘキサフロオロプロピレン(HFP)-ビニリデンフルオライド(VDF)共重合体(THV)が好ましい。
【0027】
樹脂基材層L1の厚さは、例えば、0.2mm以上、2mm以下の範囲内であることが好ましい。
中間樹脂層13の接着層L2を構成する接着剤としては、例えば、アクリル系接着剤、フッ素系接着剤、シリコーン系接着剤、ビニル系接着剤等が挙げられる。接着剤には、ガラス板12との接着性を高めるという観点から、シランカップリング剤を含有させることが好ましい。接着層L2の厚さは、例えば、0.001μm以上、5μm以下の範囲内であることが好ましい。
【0028】
<合わせガラス11の作用>
次に、合わせガラス11の作用について説明する。
図4及び
図5は、合わせガラス11の使用状態を示している。火災時に合わせガラス11のガラス面が加熱されると、合わせガラス11の中間樹脂層13の温度上昇に伴って、中間樹脂層13から気体が発生する。このとき、本実施形態の合わせガラス11の中間樹脂層13は、接着部14よりもガラス板12に対する接着強度の低い低接着部15を有している。このため、火災時に合わせガラス11が加熱された際に、中間樹脂層13の低接着部15とガラス板12との間に隙間が形成され易い。また、中間樹脂層13の低接着部15は、平面視で中間樹脂層13の外周端縁から内側に向かって延在している。このため、中間樹脂層13の低接着部15とガラス板12との間の隙間が、
図5に矢印で示すように中間樹脂層13とガラス板12との間の気体を中間樹脂層13の外周端縁へと排出する排出経路となる。これにより、中間樹脂層13とガラス板12との間の気体の排出を促進することができる。本実施形態では、第1低接着部15aに沿った排出経路により中間樹脂層13の第1外周端縁13aからの気体の排出を促進することができる。また、第2低接着部15bに沿った排出経路により中間樹脂層13の第2外周端縁13bからの気体の排出を促進することができる。
【0029】
<合わせガラス11の製造方法>
次に、合わせガラス11の製造方法について説明する。
図6~
図17に示すように、合わせガラス11の製造方法は、積層体16を準備する積層体準備工程と、積層体16を加熱する加熱工程とを備えている。積層体16は、積層構造部17と、積層構造部17の端面を被覆する被覆材18とを備えている。
【0030】
図6及び
図7に示すように、積層構造部17は、一対のガラス板12と、一対のガラス板12の間に樹脂フィルムFを配置した中間フィルム層19とを有している。樹脂フィルムFは、第1の樹脂フィルムF1と第2の樹脂フィルムF2とを有している。第2の樹脂フィルムF2は、第1の樹脂フィルムF1と隣り合うように配置されている。第1の樹脂フィルムF1と第2の樹脂フィルムF2とは、互いに溶着し得る材質から構成されている。第1の樹脂フィルムF1の材質と第2の樹脂フィルムF2の材質は、同一であることが好ましい。第1の樹脂フィルムF1の厚さと第2の樹脂フィルムF2の厚さは、同一であることが好ましい。
【0031】
図7に示すように、第1の樹脂フィルムF1は、平面視で直線状の第1の端縁E1を有している。第2の樹脂フィルムF2は、平面視で第1の樹脂フィルムF1側に凸となる曲線状の第2の端縁E2を有している。第1の樹脂フィルムF1の第1の端縁E1の一部は、第2の樹脂フィルムF2に重なっている。また、第2の樹脂フィルムF2の第2の端縁E2の一部は、第1の樹脂フィルムF1に重なっている。
【0032】
図7及び
図8に示すように、積層構造部17の中間フィルム層19は、第1の樹脂フィルムF1の一部と第2の樹脂フィルムF2の一部とが重なり合う重なり部分19aを有している。
【0033】
図7に示すように、中間フィルム層19の重なり部分19aは、積層体16の平面視で一対のガラス板12の外周端縁よりも内側に設けられている。重なり部分19aと一対のガラス板12の外周端縁との距離D1aは、10mm以上であることが好ましく、より好ましくは、15mm以上であり、さらに好ましくは、20mm以上である。この場合、一対のガラス板12が接近する方向に力が加わったとしても、ガラス板12の外周端縁において、重なり部分19aを要因とした不要な曲げ応力の発生を抑えることができる。これにより、ガラス板12の割れの発生を抑えることができる。
【0034】
図8に示すように、重なり部分19aにおいて、第1の樹脂フィルムF1と第2の樹脂フィルムF2とが隣り合う方向に沿った幅寸法D1bは、例えば、1mm以上、10mm以下の範囲内であることが好ましい。
【0035】
図7、
図9及び
図10に示すように、第1の樹脂フィルムF1の外周端縁E1aと第2の樹脂フィルムF2の外周端縁E2aとは、積層構造部17の一対のガラス板12の外周端縁に沿った位置において離間している。このように中間フィルム層19は、平面視で中間フィルム層19の外周端縁から中間フィルム層19の内側に向かって延びる不連続部19bを有している。不連続部19bは、第1の樹脂フィルムF1の端面と第2の樹脂フィルムF2の端面とが向かい合うことで形成されている。このような不連続部19bは、第1の樹脂フィルムF1と第2の樹脂フィルムF2とが相対移動することで、積層構造部17の平面視で中間フィルム層19を横断するように形成される場合もある。
【0036】
第1の樹脂フィルムF1と第2の樹脂フィルムF2との距離は、重なり部分19aから、第1の樹脂フィルムF1の外周端縁E1aと第2の樹脂フィルムF2の外周端縁E2aに向かうにつれて拡大している。
図11に示すように、第1の樹脂フィルムF1と第2の樹脂フィルムF2との距離は、重なり部分19aから、第1の樹脂フィルムF1の外周端縁E1aと第2の樹脂フィルムF2の外周端縁E2aとにわたって等しい距離であってもよい。
【0037】
図9及び
図10には、中間フィルム層19において、第1の樹脂フィルムF1の外周端縁E1aと、第2の樹脂フィルムF2の外周端縁E2aとの距離を距離D2aで示している。
図10には、第1の樹脂フィルムF1の外周端縁E1aと第2の樹脂フィルムF2の外周端縁E2aとを結ぶ直線S1と、重なり部分19aとの距離を距離D2bで示している。距離D2aと距離D2bとは、加熱工程において、第1の樹脂フィルムF1の外周端縁E1aと第2の樹脂フィルムF2の外周端縁E2aとの間からの気体の排出を促進するという観点から、下記式(1)の関係を満たすことがより好ましい。
【0038】
D2a/D2b≧0.1・・・(1)
距離D2aと距離D2bとは、例えば、下記式(2)の関係を満たすことが好ましい。
D2a/D2b≦0.3・・・(2)
図12及び
図13に示すように、積層体16の被覆材18は、第1被覆材18aと第2被覆材18bとを備えている。
【0039】
図14及び
図15に示すように、第1被覆材18aは、積層構造部17の端面において、第1の樹脂フィルムF1と第2の樹脂フィルムF2との境界部分17aを覆うように配置される。
図15に示すように、第1被覆材18aは、例えば、粘着テープTを用いて積層構造部17の端部に固定することができる。なお、
図12~
図14では、第1被覆材18aを固定する粘着テープTの図示を省略している。
【0040】
図12及び
図13に示すように、第2被覆材18bは、積層構造部17の端面において、第1の樹脂フィルムF1と第2の樹脂フィルムF2との境界部分17a以外の非境界部分17bを覆うように配置される。
【0041】
第1被覆材18a及び第2被覆材18bは、積層体準備工程の後に行われる加熱工程の加熱に耐え得る耐熱性を有している。第1被覆材18aは、第2被覆材18bよりも通気性の高い材料から構成されている。第1被覆材18aとしては、例えば、繊維集合体、多孔質フィルム等が挙げられる。繊維集合体の繊維としては、例えば、ポリエステル系繊維等が挙げられる。繊維集合体は、不織布であってもよいし、織布であってもよい。繊維集合体は、不織布シート材であることが好ましく、例えば、ポリエステル系不織布であることがより好ましい。
【0042】
第2被覆材18bとしては、樹脂フィルム基材と粘着層とを有する粘着テープ等が挙げられる。樹脂フィルム基材の樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。粘着層の粘着剤としては、例えば、シリコーン系粘着剤等が挙げられる。
【0043】
次に、合わせガラス11の製造方法の加熱工程について説明する。
図16に示すように、加熱工程では、まず、積層体16を袋体20の内部に配置する。袋体20は、気密性を有している。また、袋体20は、加熱工程の加熱に耐え得る耐熱性を有している。袋体20の材質としては、例えば、真空用の樹脂フィルムが挙げられる。積層体16の被覆材18と、袋体20との間には、第2被覆材18bよりも通気性の高い通気性部材21が配置されている。通気性部材21は、加熱工程の加熱に耐え得る耐熱性を有している。通気性部材21としては、例えば、上記第1被覆材18aとして例示した繊維集合体、連続気泡を有する発泡体等が挙げられる。本実施形態の通気性部材21は、積層体16を包み込むように配置されているが、積層体16の被覆材18と重なる位置のみに通気性部材21を配置することもできる。
【0044】
次に、加熱工程では、袋体20の内部を排気した状態で積層体16を加熱する。袋体20には、袋体20の内部に開口する吸引管22が接続されている。吸引管22は、減圧用ポンプ23に接続されている。吸引管22は、積層体16と通気性部材21との間に開口するように配置されている。
図16及び
図17に示すように、吸引管22を通じて袋体20の内部を排気することができる。これにより、積層体16の積層構造部17において、一対のガラス板12の間の気体を排出する脱気処理を行うことができる。このとき、通気性部材21は、積層体16と袋体20との間の気体の流通路として機能する。
【0045】
加熱工程では、積層体16を加熱することで、積層構造部17の中間フィルム層19と一対のガラス板12とを接着する。これにより、合わせガラス11の中間樹脂層13を形成する。加熱工程は、積層体16を加熱及び加圧する工程であることが好ましい。積層体16を加熱及び加圧する工程は、加熱及び加圧可能な容器を有するオートクレーブを用いて行うことができる。
【0046】
合わせガラス11の製造方法の加熱工程により、中間樹脂層13が形成されることで、合わせガラス11が得られる。得られた合わせガラス11は、袋体20から取り出される。袋体20から取り出した合わせガラス11には、被覆材18が装着された状態である。被覆材18は、合わせガラス11から剥がされる。
【0047】
<合わせガラス11の製造方法の作用>
次に、合わせガラス11の製造方法の主な作用について説明する。
合わせガラス11の製造方法において、積層体準備工程で得られる積層体16は、積層構造部17の端面を被覆する被覆材18を備えている。被覆材18は、積層構造部17の中間フィルム層19よりも高い耐熱性を有している。この方法によれば、加熱工程において、中間フィルム層19の樹脂が一対のガラス板12の間から流出することを被覆材18によって抑えることができる。これにより、例えば、合わせガラス11の中間樹脂層13の偏肉を抑えることができる。
【0048】
また、被覆材18は、積層構造部17における境界部分17aを覆う第1被覆材18aと、境界部分17a以外の非境界部分17bを覆う第2被覆材18bとを備えている。第1被覆材18aの通気性は、第2被覆材18bの通気性よりも高い。この方法によれば、積層構造部17における複数の樹脂フィルムF1,F2の境界部分17aに存在する気体を、第1被覆材18aを通じて排出することができる。すなわち、積層構造部17の境界部分17aに存在する気体の排出を第2被覆材18bよりも通気性の高い第1被覆材18aによって促進することができる。
【0049】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)合わせガラス11の製造方法は、積層体16を準備する積層体準備工程と、積層体16を加熱する加熱工程とを備えている。積層体16は、積層構造部17と、積層構造部17の端面を被覆する被覆材18とを備えている。積層体16の積層構造部17は、一対のガラス板12と、一対のガラス板12の間に配置した複数の樹脂フィルムF1,F2からなる中間フィルム層19とを有している。積層体16の被覆材18は、積層構造部17における複数の樹脂フィルムF1,F2の境界部分17aを覆う第1被覆材18aと、境界部分17a以外の非境界部分17bを覆う第2被覆材18bとを備えている。第1被覆材18a及び第2被覆材18bは、加熱工程の加熱に耐え得る耐熱性を有している。第1被覆材18aは、第2被覆材18bよりも通気性の高い材料から構成されている。加熱工程では、積層体16を袋体20の内部に配置した後、袋体20の内部を排気した状態で積層体16を加熱する。これより、積層構造部17の中間フィルム層19と一対のガラス板12とを接着する。
【0050】
この方法によれば、上述したように加熱工程において、中間フィルム層19の樹脂が一対のガラス板12の間から流出することを被覆材18によって抑えることができる。また、積層構造部17の境界部分17aに存在する気体の排出を第2被覆材18bよりも通気性の高い第1被覆材18aによって促進することができる。従って、一対のガラス板12の間からの樹脂の流出を抑えた場合であっても、複数枚の樹脂フィルムF1,F2の間の気体の排出を容易に促進することができる。これにより、合わせガラス11の中間樹脂層13に気泡が残留することを抑えることができる。
【0051】
(2)積層体16の第1被覆材18aは、繊維集合体を備えることが好ましい。この場合、積層構造部17の境界部分17aに存在する気体の排出をさらに促進することが可能となる。
【0052】
(3)積層体16の第2被覆材18bは、樹脂フィルム基材と粘着層とを有する粘着テープから構成されることが好ましい。この場合、積層構造部17に第2被覆材18bを容易に着脱することが可能となる。
【0053】
(4)加熱工程において、被覆材18と袋体20の間には、第2被覆材18bよりも通気性の高い通気性部材21が配置されることが好ましい。通気性部材21は、加熱工程の加熱に耐え得る耐熱性を有している。この場合、通気性部材21が積層体16と袋体20との間の気体の流通路として機能する。これにより、積層体16の積層構造部17において、一対のガラス板12の間の気体の排出をより促進することができる。
【0054】
(5)合わせガラス11の製造方法の加熱工程において、袋体20の内部を、積層体16と通気性部材21との間に開口する吸引管22を通じて排気することが好ましい。この場合、吸引管22の開口が袋体20により塞がれることを回避することが可能となる。これにより、一対のガラス板12の間の気体の排出をより促進することができる。
【0055】
(6)樹脂フィルムFは、第1の樹脂フィルムF1と、第1の樹脂フィルムF1と隣り合って配置され、第1の樹脂フィルムF1と溶着し得る第2の樹脂フィルムF2とを有している。積層構造部17の中間フィルム層19は、第1の樹脂フィルムF1の一部と第2の樹脂フィルムF2の一部とが重なり合う重なり部分19aを有している。
【0056】
ここで、積層構造部17を例えば次工程へ搬送したときに、第1の樹脂フィルムF1と第2の樹脂フィルムF2とが互いに離間する方向に相対移動する場合がある。このとき、積層構造部17の中間フィルム層19は、上述した重なり部分19aを有するため、第1の樹脂フィルムF1と第2の樹脂フィルムF2との間の隙間寸法を小さく抑えることができる。従って、中間樹脂層13における気泡の形成を抑えることができる。
【0057】
(7)合わせガラス11の製造方法において、積層構造部17の中間フィルム層19における重なり部分19aは、積層構造部17の平面視で一対のガラス板12の外周端縁よりも内側に設けられている。このため、一対のガラス板12が接近する方向に力が加わった場合であっても、ガラス板12の外周端縁において、第1の樹脂フィルムF1と第2の樹脂フィルムF2との重なり部分19aを要因とした不要な曲げ応力が発生し難い。これにより、ガラス板12の割れの発生を抑えることができる。
【0058】
(8)積層体16の第1の樹脂フィルムF1の外周端縁E1aと第2の樹脂フィルムF2の外周端縁E2aとは、一対のガラス板12の外周端縁に沿った位置において離間している。この場合、ガラス板12の外周端縁における上述した不要な曲げ応力の発生をより抑えることができる。これにより、ガラス板12の割れの発生をより抑えることができる。
【0059】
(9)合わせガラス11の製造方法において、第1の樹脂フィルムF1と第2の樹脂フィルムF2との距離は、重なり部分19aから、第1の樹脂フィルムF1の外周端縁E1aと第2の樹脂フィルムF2の外周端縁E2aとにわたって等しいことが好ましい。また、第1の樹脂フィルムF1と第2の樹脂フィルムF2との距離は、重なり部分19aから、第1の樹脂フィルムF1の外周端縁E1aと第2の樹脂フィルムF2の外周端縁E2aに向かうにつれて拡大することが好ましい。この場合、第1の樹脂フィルムF1と第2の樹脂フィルムF2との間の気体の排出を促進することができる。詳述すると、第1の樹脂フィルムF1と第2の樹脂フィルムF2との間における気体を排出する流路が途中で狭まる形状ではないため、第1の樹脂フィルムF1と第2の樹脂フィルムF2との間に気体が残留し難い。
【0060】
また、合わせガラス11の製造方法において、上記距離D2aと上記距離D2bとは、上記式(1)の関係を満たすことがより好ましい。この場合、第1の樹脂フィルムF1の外周端縁E1aと第2の樹脂フィルムF2の外周端縁E2aとの間からの気体の排出を促進することができる。
【0061】
(10)一対のガラス板12は、1000mm以上の辺を有していてもよい。このように一対のガラス板12の寸法が比較的大きい場合、その寸法に適合した一枚の樹脂フィルムの入手が困難となるおそれがある。上記の合わせガラス11の製造方法では、複数枚の樹脂フィルムF1,F2を用いるため、既存の寸法の樹脂フィルムから比較的大きい寸法の中間フィルム層19を形成することができる。
【0062】
(変更例)
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0063】
・上記加熱工程において、袋体20の内部を排気するための吸引管22は、積層体16と通気性部材21との間ではなく、通気性部材21と袋体20との間に開口するように配置することもできる。
【0064】
・上記加熱工程において、通気性部材21を省略することもできる。
・上記積層体16の第1被覆材18aを、例えば、第2被覆材18bよりも通気性の高い多孔質フィルム、連続気泡を有する発泡体等を備える構成に変更してもよい。
【0065】
・上記積層体16の第2被覆材18bを、例えば、第1被覆材18aよりも通気性の低い繊維集合体を備える構成に変更してもよい。具体的には、第2被覆材18bは、積層構造部17の非境界部分17bを覆う繊維集合体と、繊維集合体を積層構造部17に固定する粘着テープとを備えていてもよい。また、第2被覆材18bは、第1被覆材18aよりも通気性の低い多孔質フィルムを備えていてもよい。
【0066】
・積層構造部17の中間フィルム層19において、第1の樹脂フィルムF1の一部と第2の樹脂フィルムF2の一部とが重なり合う重なり部分19aを省略することもできる。
・合わせガラス11の中間樹脂層13は、樹脂基材層L1と接着層L2とを有しているが、接着層L2を省略し、樹脂基材層L1のみから中間樹脂層13を構成してもよい。
【0067】
・合わせガラス11の中間樹脂層13における第1低接着部15aと第2低接着部15bとは、接続されずに離間していてもよい。
・合わせガラス11の中間樹脂層13における第1低接着部15aと第2低接着部15bとは、平面視で中間樹脂層13の中央部で接続されているが、中央部よりも外周側で接続されていてもよい。
【0068】
・合わせガラス11の中間樹脂層13における第1低接着部15a及び第2低接着部15bの形状は、直線状であってもよいし、曲線状であってもよい。
・合わせガラス11の平面形状は、四角形状以外の多角形状であってもよいし、例えば、円形、楕円形等の平面形状であってもよい。
【0069】
・積層構造部17の中間フィルム層19を構成する樹脂フィルムFの枚数は、3枚以上であってもよい。上記の重なり部分19aは、少なくとも隣り合う2枚の樹脂フィルムによって形成することができる。
【0070】
・
図7に示す積層体16の平面視において、第1の樹脂フィルムF1の第1の端縁E1の形状と第2の樹脂フィルムF2の第2の端縁E2の形状は、同じ形状であってもよい。また、例えば、第2の樹脂フィルムF2の第2の端縁E2の形状は、曲線状であるが、例えば、屈曲形状であってもよい。
【0071】
・
図7に示す積層体16の平面視において、重なり部分19aは、第1の樹脂フィルムF1の第1の端縁E1と第2の樹脂フィルムF2の第2の端縁E2との全体にわたって形成されていてもよい。また、重なり部分19aを、第1の樹脂フィルムF1の第1の端縁E1と第2の樹脂フィルムF2の第2の端縁E2とに沿って点在するように形成してもよい。
【0072】
・合わせガラス11は、一対のガラス板12と、中間樹脂層13との三層構造に限定されず、例えば、第1のガラス板、第1の中間樹脂層、第2のガラス板、第2の中間樹脂層、及び第3のガラス板の五層構造であってもよい。この場合、上記実施形態の積層構造を、五層構造中における第1のガラス板、第1の中間樹脂層、及び第2のガラス板の第1の積層構造に適用してもよいし、第2のガラス板、第2の中間樹脂層、及び第3のガラス板の第2の積層構造に適用してもよい。また、上記実施形態の積層構造を、五層構造中における第1の積層構造及び第2の積層構造のいずれにも適用してもよい。なお、合わせガラス11は、さらに中間樹脂層及びガラス板を加えた七層以上の構造を有していてもよい。
【符号の説明】
【0073】
11…合わせガラス
12…ガラス板
13…中間樹脂層
16…積層体
17…積層構造部
17a…境界部分
17b…非境界部分
18…被覆材
18a…第1被覆材
18b…第2被覆材
19…中間フィルム層
20…袋体
21…通気性部材
22…吸引管
D2a,D2b…距離
E1a…第1の樹脂フィルムの外周端縁
E2a…第2の樹脂フィルムの外周端縁
F…樹脂フィルム
F1…第1の樹脂フィルム
F2…第2の樹脂フィルム
S1…直線