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特開2024-146937ラインフィールドフーリエ領域光コヒーレンストモグラフィ撮像システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146937
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】ラインフィールドフーリエ領域光コヒーレンストモグラフィ撮像システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20241004BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
A61B3/10 100
G01N21/17 625
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024058897
(22)【出願日】2024-04-01
(31)【優先権主張番号】23165882.4
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】509012991
【氏名又は名称】オプトス ピーエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーガレット カトリーヌ ノルマンド
(72)【発明者】
【氏名】ミゲル アンヘル プレシアド
【テーマコード(参考)】
2G059
4C316
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB12
2G059EE02
2G059EE09
2G059EE11
2G059FF02
2G059GG01
2G059JJ11
2G059JJ15
2G059KK04
2G059MM01
2G059NN06
4C316AA09
4C316AB03
4C316AB11
4C316FB21
4C316FB29
4C316FY02
4C316FY04
4C316FY05
4C316FY06
(57)【要約】
【課題】本明細書は、ラインフィールドフーリエ領域光コヒーレンストモグラフィ撮像システムを提供することを目的とする。
【解決手段】ラインフィールドフーリエ領域光コヒーレンストモグラフィ(OCT)撮像システムであって、曲面ミラーと、前記ミラーの第1の焦点にある走査素子であって、前記ミラーを介して、前記ミラーの第2の焦点にある物体にわたって光線を走査し、前記ミラーを介して、前記物体によって散乱され、前記ミラーによって錯乱された光を受光して、錯乱光線を形成する走査素子と、基準光と前記錯乱光線との間の干渉に起因する光の干渉線を光検出器アレイ上に投影する干渉計と、を備える、OCT撮像システム。OCT撮像システムは、光検出器アレイによって検出された光の干渉線に基づいてOCTデータを生成し、補正されたOCTデータがOCTデータよりも光学収差が小さくなるように、OCTデータ内の位相情報を使用してOCTデータを補正する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラインフィールドフーリエ領域光コヒーレンストモグラフィ(OCT)撮像システムであって、
光線を生成するように配置されたラインフィールド照明源と、
走査素子と、第1の焦点及び共役の第2の焦点を有する曲面ミラーとを備える走査システムであって、前記走査素子は、前記第1の焦点に配置され、前記曲面ミラーを介して撮像対象にわたって前記光線の少なくとも一セグメントを走査することによって、前記第2の焦点を介して前記撮像対象の走査を実施するように配置され、前記走査素子は、前記曲面ミラーを介して、走査中に前記撮像対象によって散乱され、前記曲面ミラーによって錯乱された光を受光して、デフォーカス又は歪みの少なくとも一方を含む錯乱光線を形成するようにさらに配置される、走査システムと、
光検出素子のアレイを備える光検出器と、
前記走査素子を介して前記錯乱光線の少なくとも一セグメントを受光し、基準光と前記走査素子を介して受光した前記錯乱光線の前記少なくとも一セグメントとの間の干渉から生じる光の干渉線を生成し、前記光の干渉線を前記光検出素子のアレイ上に投射するように配置された干渉計であって、
前記光検出器が、前記走査中に前記光検出素子のアレイ上に投影された前記光の干渉線を検出し、前記検出された光の干渉線に基づいて検出信号を生成するように配置される、干渉計と、
OCTデータ処理ハードウェアであって、
前記検出信号に基づいて、その中に光学収差を有する、前記撮像対象の複合容積OCTデータを生成し、
補正された複合容積OCTデータが前記複合容積OCTデータよりも光学収差が小さくなるように、前記複合容積OCTデータに符号化された位相情報を使用して前記複合容積OCTデータを補正する補正アルゴリズムを実行することによって、補正された複合容積OCTデータを生成するように配置されたOCTデータ処理ハードウェアと、
を備える、ラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項2】
前記ラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システムは、ラインフィールド掃引光源OCT撮像システムであり、
前記ラインフィールド照明源は、前記光線を生成するように配置された掃引ラインフィールド照明源であり、
前記光検出素子のアレイは、光検出素子の1次元アレイであり、前記光検出素子の前記1次元アレイの前記光検出素子は、前記光の干渉線の前記光検出素子の1次元アレイ上への投影の長さに沿って配列される、請求項1に記載のラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項3】
前記1次元アレイの前記光検出素子は、前記光検出素子の前記1次元アレイ上への前記光の干渉線の前記投影の長さに垂直な方向に幅を有し、前記幅は、前記光の干渉線の前記光検出素子の1次元アレイ上への前記投影の最大幅よりも広い、請求項2に記載のラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項4】
前記ラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システムは、ラインフィールド掃引光源OCT撮像システムであり、
前記ラインフィールド照明源は、掃引ラインフィールド照明源であり、
前記光検出素子のアレイは、光検出素子の2次元アレイであり、前記光検出素子の2次元アレイの前記光検出素子は、前記光の干渉線の前記光検出素子の2次元アレイ上への投影の長さに沿って第1の方向、及び前記第1の方向に垂直な第2の方向に配列される、請求項1に記載のラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項5】
前記第2の方向における前記光検出素子の2次元アレイの幅は、前記光の干渉線の前記光検出素子の2次元アレイ上への前記投影の最大幅よりも広く、
前記光の干渉線の前記光検出素子の2次元アレイ上への前記投影は、複数の前記光検出素子によって前記第2の方向に広げられる、請求項4に記載のラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項6】
前記ラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システムは、ラインフィールドスペクトル領域OCT撮像システムであり、
前記ラインフィールド照明源は、前記光線を生成するように配置された広帯域ラインフィールド照明源であり、
前記光検出素子のアレイは、光検出素子の2次元アレイであり、
前記光検出器は、回折素子と、前記光検出素子の2次元アレイとを備える2次元分光計を備え、前記回折素子は、前記光検出素子の2次元アレイにわたる前記光の干渉線のスペクトル内容を、前記光検出素子の1次元アレイへの前記光の干渉線の投影が延在する第2の方向に垂直な第1の方向に分散させるように配置され、前記2次元アレイの前記光検出素子は、前記第1の方向及び前記第2の方向に配列される、請求項1に記載のラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項7】
前記走査素子は、走査中の前記撮像対象の表面上への前記光線の前記少なくとも一セグメントの投影が第1の方向に沿って互いに対して変位するように、前記撮像対象の表面にわたって前記第1の方向に前記光線の前記少なくとも一セグメントを走査するように配置された第1の走査素子であり、
前記走査システムは、前記ラインフィールド照明源からの前記光線の前記少なくとも一セグメントを前記第1の走査素子に向けて反射するように配置され、前記第1の方向に垂直な第2の方向、及び前記第2の方向とは反対の第3の方向に、前記第1の走査素子が前記撮像対象の表面にわたって前記光線の前記少なくとも一セグメントを走査する位置を変更するように配置された第2の走査素子をさらに備える、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項8】
前記第1の走査素子は、前記変更の前後の両方で、前記撮像対象の前記表面にわたって前記第1の方向に、又は前記撮像対象の前記表面にわたって前記第1の方向とは反対の方向に、前記光線の前記少なくとも一セグメントを走査するように配置される、請求項7に記載のラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項9】
前記曲面ミラーは、円対称の軸を有する回転楕円鏡であり、前記走査素子は、前記回転楕円鏡に入射する前記光線の前記少なくとも一セグメントが前記回転楕円鏡の前記円対称の軸に平行な平面内を伝播するように、前記回転楕円鏡を介して前記撮像対象にわたって前記光線の少なくとも一セグメントを走査することによって前記撮像対象の走査を実施するように配置される、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項10】
前記曲面ミラーは、回転楕円鏡であり、
前記光線の前記少なくとも一セグメントが投影される、前記回転楕円鏡の一部分が、前記円対称の軸に平行であり、かつこれを通る平面を中心とした反射対称性を有するように、前記走査素子は、前記回転楕円鏡を介して前記撮像対象にわたって前記光線の前記少なくとも一セグメントを走査することによって前記撮像対象の前記走査を実施するように配置される、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項11】
第1の領域及び前記第1の領域を取り囲む第2の領域を有するマスクをさらに備え、前記第1の領域は前記第2の領域よりも高い透明度を有し、前記マスクは両方ともラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム内に位置し、前記光の干渉線の少なくとも一部が前記光検出素子のアレイに伝播することを可能にし、前記光の干渉線以外の光が前記光検出素子のアレイに伝播するのを少なくとも部分的に防止するように成形された前記第1の領域を有する、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項12】
光源をさらに備え、前記ラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システムは、前記光源によって生成された光刺激に対する眼の網膜の応答を測定するように配置される、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項13】
フルフィールド掃引光源光コヒーレンストモグラフィ(OCT)撮像システムであって、
前記フルフィールド掃引光源OCT撮像システムによる撮像中にその波長が値の範囲にわたって掃引される光ビームを生成するように配置された掃引照明源と、
第1の焦点及び共役の第2の焦点を有する曲面ミラーを備える移送システムであって、前記移送システムは、前記掃引照明源によって生成された前記光ビームを前記第1の焦点に集束させるように配置される集束システムをさらに備え、前記曲面ミラーは、撮像対象の撮像中に前記撮像対象のフルフィールド照明を提供するように、前記第1の焦点に集束された前記光ビームを前記第2の焦点を介して前記撮像対象に誘導するように配置され、前記曲面ミラーは、前記撮像対象の前記撮像中に前記撮像対象によって散乱され、前記曲面ミラーによって錯乱された光を受光して、デフォーカス又は歪みのうちの少なくとも一方を含む錯乱光ビームを形成するようにさらに配置される、移送システムと、
光検出素子の2次元アレイを含む光検出器と、
前記曲面ミラーによって受光された前記光の少なくとも一部分を受光し、基準光と前記錯乱光ビームの前記少なくとも一部分との間の干渉に起因する干渉光を生成し、前記干渉光を前記光検出素子の2次元アレイ上に投影するように配置された干渉計であって、
前記光検出器は、前記撮像中に前記光検出素子の2次元アレイ上に投影された前記干渉光を検出し、前記検出された干渉光に基づいて検出信号を生成するように配置される、干渉計と、
OCTデータ処理ハードウェアであって、
前記検出信号に基づいて、内部に収差を有する、前記撮像対象の複合容積OCTデータを生成し、
補正された複合容積OCTデータが前記複合容積OCTデータよりも収差が小さくなるように、前記複合容積OCTデータに符号化された位相情報を使用して前記複合容積OCTデータを補正する補正アルゴリズムを実行することによって、前記補正された複素容積OCTデータを生成するように配置された、OCTデータ処理ハードウェアと、
を備える、フルフィールド掃引光源OCT撮像システム。
【請求項14】
光源をさらに備え、前記フルフィールド掃引光源OCT撮像システムは、前記光源によって生成された光刺激に対する眼の網膜の応答を測定するように配置される、請求項13に記載のフルフィールド掃引光源OCT撮像システム。
【請求項15】
請求項1に記載のライン走査フーリエ領域OCT撮像システム又は請求項13に記載のフルフィールドフーリエ領域OCT撮像システムのいずれかによって生成された撮像対象の複合容積OCTデータを処理するコンピュータ実装方法であって、
前記撮像対象の前記複合容積OCTデータであって、前記複合容積OCTデータが、内部に光学収差を有する、前記複合容積OCTデータを取得することと、
補正された複合容積OCTデータが前記複合容積OCTデータよりも光学収差が小さくなるように、前記複合容積OCTデータに符号化された位相情報を使用して前記複合容積OCTデータを補正する補正アルゴリズムを実行することによって、前記補正された複素容積OCTデータを生成することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の例示的な態様は、一般に、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)撮像システムの分野に関し、詳細には、フーリエ領域OCT(FD-OCT)撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光コヒーレンストモグラフィ(OCT)は、低コヒーレンス干渉法に基づく撮像技術であり、生体組織などの光散乱媒体の高解像度の2次元及び3次元画像を取得するために広く使用されている。
【0003】
OCT撮像システムは、深さ範囲がどのように達成されるかに応じて、時間領域OCT(TD-OCT)又はフーリエ領域OCT(FD-OCT)(周波数領域OCTとも呼ばれる)として分類することができる。TD-OCTでは、撮像システムの干渉計の基準アームの光路長は、OCT撮像システムによって撮像されている散乱媒体の反射率プロファイル(本明細書では「撮像対象」と呼ぶ)の取得中に時間的に変化し、反射率プロファイルは一般に「深さ走査」又は「軸方向走査」(「A走査」)と呼ばれる。FD-OCTでは、各A走査位置での干渉計の基準アームとサンプルアームとの間の干渉から生じるスペクトル干渉図がフーリエ変換され、基準アームの光路長の変化を必要とせずに、A走査の深さに沿ったすべての点を同時に取得する。FD-OCTは、サンプルからのすべての後方反射が同時に測定されるので、干渉計におけるサンプルアームミラーの走査よりもはるかに高速な撮像を可能にすることができる。FD-OCTの2つの一般的なタイプは、スペクトル領域OCT(SD-OCT)及び掃引光源OCT(SS-OCT)である。SD-OCTでは、広帯域光源が撮像対象に多くの波長を送達し、検出器として分光計を用いてすべての波長を同時に測定する。SS-OCT(時間符号化周波数領域OCTとも呼ばれる)では、光源が一定の波長範囲にわたって掃引され、検出器の時間出力がスペクトル干渉に変換される。
【0004】
OCT撮像システムはまた、撮像システムが横方向にOCTデータを取得するように構成されている方法に応じて、点走査(「点検出」又は「走査点」としても知られる)、ラインフィールド又はフルフィールドとして分類することができる。点走査OCT撮像システムは、典型的には撮像対象の表面上の単一の線(これは、例えば、直線であってもよく、或いは円又は螺旋を画定するように湾曲していてもよい)に沿って、又は撮像対象の表面上の(通常は実質的に平行な)線のセットに沿って、撮像対象の表面上の点に集束されるサンプルビームを走査し、一度に1つの点で、線(複数可)に沿った複数の点のそれぞれについて軸方向深さプロファイル(A走査)を取得して、サンプルの2次元又は3次元(体積)反射率プロファイルを表すA走査の1次元又は2次元アレイを含むOCTデータを構築することによって、OCTデータを取得する。ライン走査OCT撮像システムは、例えば、シリンドリカルレンズ又はパウエルレンズを使用して(名目上円形の)光ビームを光線に成形することによって光線を生成し、例えば、撮像対象の表面にわたって光線(すなわち、ラインフィールド照明)を走査し、ラインの各走査位置について、ラインに沿った複数の点のそれぞれについて軸方向深さプロファイル(A走査)を並行して取得して、サンプルの2次元又は3次元(体積)反射率プロファイルを表すA走査の1次元又は2次元アレイを含むOCTデータを構築することによって、OCTデータを取得する。フルフィールドFD-OCT撮像システムは、典型的には、掃引光源レーザ又はスーパールミネッセントダイオード(SLD)及びCCDカメラなどの2D検出器アレイを使用して、2D検出器アレイによって並列に記録される正面(横方向)配向の断層画像の形態のOCTデータを取得する。
【0005】
眼科用途では、OCT撮像システムは、広視野(WF)又は超広視野(UWF)であってもよく、眼の網膜の拡張領域(撮像対象130の一例として)が照射される。国際広視野撮像研究グループ(Choudhry N.らによる、「Classification and guidelines for widefield imaging:Recommendations from the International Widefield Imaging Study Group」、Ophthalmol.Retin.2019;3:10:843-849)によって提供されるWF及びUWFの容認された定義によれば、WF網膜画像は中心窩を中心とし、渦静脈膨大部の後及びそれを含む4つの象限すべてに網膜を含み、一方、UWF網膜画像は4つの象限すべてに渦静脈膨大部の前の網膜解剖学的構造を示す。WF撮像システムは、約60度~100度の視野を有し、網膜の中央周辺部から渦静脈膨大部の後縁までを取り込む。UWF撮像システムは、渦静脈膨大部の前縁及びそれ以降を含む網膜の遠方周辺部を取り込むように、約110度~220度の視野を有する。
【0006】
しかしながら、そのような従来のWF及びUWF OCT撮像システムの画質は、そのようなシステムで通常使用される撮像光学系によって、ならびに画像取り込み中の眼(又は他の撮像対象)の動きによって劣化する可能性がある。そのようなシステムによって行われる網膜のOCTボリューム走査は、遅すぎて眼球運動なしに網膜の広い領域を取り込むことができない傾向がある。低速取り込みはまた、刺激に応答した網膜の小さな変化(すなわち、機能的OCT)の研究を妨げる。より高速の取得は、OCT血管造影(OCTA)にとって重要であり、追跡に関する要件を緩和する。したがって、典型的にはWF/UWF撮像光学系によって引き起こされる光学収差がなく(又は少なくとも光学収差が少なく)、画像標的移動の影響を低減又は排除するのに十分に短いタイムスケールでWF又はUWF OCT画像を取り込むことができるOCT撮像システムが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本明細書の第1の例示的な態様によれば、ラインフィールドフーリエ領域光コヒーレンストモグラフィ(OCT)撮像システムであって、光線を生成するように配置されたラインフィールド照明源と、走査素子と、第1の焦点及び共役の第2の焦点を有する曲面ミラーとを備える走査システムであって、前記走査素子は、前記曲面ミラーの前記第1の焦点に配置され、前記曲面ミラーを介して撮像対象にわたって前記光線の少なくとも一セグメントを走査することにより、前記曲面ミラーの前記第2の焦点を介して前記撮像対象の走査を実行するように配置され、前記走査素子は、前記走査中に前記撮像対象によって散乱され、前記曲面ミラーによって錯乱された光を前記曲面ミラーを介して受光して、デフォーカス又は歪みのうちの少なくとも一方を含む錯乱光線を形成するようにさらに配置される、走査システムと、を備えるラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システムが提供される。ラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システムは、光検出素子のアレイを備える光検出器と、走査素子を介して錯乱光線の少なくとも1つのセグメントを受光し、走査素子を介して受光された錯乱光線の少なくとも1つのセグメントと基準光との間の干渉から生じる光の干渉線を生成し、光の干渉線を光検出素子のアレイ上に投射するように配置された干渉計とをさらに備える。光検出器は、走査中に光検出素子のアレイ上に投影された光の干渉線を検出し、検出された光の干渉線に基づいて検出信号を生成するように配置される。ラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システムは、検出信号に基づいて撮像対象の複合容積OCTデータであって、前記複合容積OCTデータは、その中に光学収差を有する、複合容積OCTデータを生成し、補正された複素容積OCTデータが前記複合容積OCTデータよりも光学収差が小さくなるように、前記複合容積OCTデータに符号化された位相情報を使用して前記複合容積OCTデータを補正する補正アルゴリズムを実行することによって、前記補正された複合容積OCTデータを生成するように配置されたOCTデータ処理ハードウェアをさらに備える。第1の例示的な態様のラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システムは、広視野(WF)ラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム又は超広視野(UWF)ラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システムであってもよい。
【0008】
1つの例示的な実施形態では、ラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システムは、ラインフィールド掃引光源OCT撮像システムであってもよく、ラインフィールド照明源は、光線を生成するように配置された掃引ラインフィールド照明源であってもよく、光検出素子のアレイは、光検出素子の1次元アレイであってもよく、光検出素子の1次元アレイの光検出素子は、光の干渉線の光検出素子の1次元アレイ上への投影の長さに沿って配列される。この例示的な実施形態では、1次元アレイの光検出素子は、光検出素子の1次元アレイ上への光の干渉線の投影の長さに垂直な方向(すなわち、光の干渉線の投影が光検出素子のアレイに沿って延びる方向に垂直)に、光の干渉線の光検出素子の1次元アレイ上への投影の最大幅よりも広い幅を有することができる。
【0009】
代替の例示的な実施形態では、ラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システムは、ラインフィールド掃引光源OCT撮像システムであってもよく、ラインフィールド照明源は、掃引ラインフィールド照明源であってもよく、光検出素子のアレイは、光検出素子の2次元アレイであってもよく、光検出素子の2次元アレイの光検出素子は、光の干渉線の光検出素子の2次元アレイ上への投影の長さに沿って第1の方向、及び第1の方向に垂直な第2の方向に配列されてもよい。この例示的な実施形態では、第2の方向における光検出素子の2次元アレイの幅は、光の干渉線の光検出素子の2次元アレイ上への投影の最大幅よりも広くてもよく、光の干渉線の光検出素子の2次元アレイ上への投影は、複数の光検出素子によって第2の方向に広げられ得る。
【0010】
別の例示的な実施形態では、ラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システムは、ラインフィールドスペクトル領域OCT撮像システムであってもよく、ラインフィールド照明源は、光線を生成するように配置された広帯域ラインフィールド照明源であってもよく、光検出素子のアレイは、光検出素子の2次元アレイであってもよく、光検出器は、回折素子及び光検出素子の2次元アレイを備える2次元分光計を備えることができ、回折素子は、光検出素子のアレイに沿った光の干渉線の投影が延在する第2の方向に垂直な第1の方向に光の干渉線のスペクトル内容を光検出素子の2次元アレイにわたって分散させるように配置され、2次元アレイの光検出素子は、第1の方向及び第2の方向に配列される。
【0011】
第1の例示的な態様又は上記の例示的な実施形態のいずれかのラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システムでは、走査素子は、走査中の撮像対象の表面上への光線の少なくとも1つのセグメントの投影が第1の方向に沿って互いに対して変位するように、撮像対象の表面にわたって第1の方向に光線の少なくとも1つのセグメントを走査するように配置された第1の走査素子であってもよく、走査システムは、ラインフィールド照明源からの光線の少なくとも1つのセグメントを第1の走査素子に向けて反射するように配置され、第1の方向に垂直な第2の方向、及び第2の方向とは反対の第3の方向に、第1の走査素子が撮像対象の表面にわたって光線の少なくとも1つのセグメントを走査する位置を変更するように配置された第2の走査素子をさらに備えてもよい。第1の走査素子は、変更の前後の両方で、撮像対象の表面にわたって第1の方向に、又は撮像対象の表面にわたって第1の方向とは反対の方向に、光線の少なくとも1つのセグメントを走査するように配置され得る。
【0012】
上記において、曲面ミラーは、円対称の軸を有する(扁長)回転楕円鏡であってもよく、走査素子は、回転楕円鏡に入射する光線の少なくとも一セグメントが回転楕円鏡の円対称の軸に平行な平面内を伝播するように、回転楕円鏡を介して撮像対象にわたって光線の少なくとも一セグメントを走査することによって撮像対象の走査を実行するように配置されてもよい。
【0013】
或いは、曲面ミラーは、(扁長)回転楕円鏡であってもよく、光線の少なくとも1つのセグメントが投影される、回転楕円鏡の一部分は、円対称の軸に平行であり、かつこれを通る平面を中心とした反射対称性を有するように、走査素子は、回転楕円鏡を介して撮像対象にわたって光線の少なくとも1つのセグメントを走査することによって撮像対象の走査を実行するように配置されてもよい。
【0014】
第1の例示的な態様又は上記の例示的な実施形態のいずれかのラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システムは、第1の領域及び第1の領域を取り囲む第2の領域を有するマスクをさらに備えてもよく、第1の領域は第2の領域よりも高い透明度を有し、マスクは両方ともラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム内に位置し、光の干渉線の少なくとも一部が光検出素子のアレイに伝播することを可能にし、光の干渉線以外の光が光検出素子のアレイに伝播するのを少なくとも部分的に防止するように成形された第1の領域を有する。
【0015】
第1の例示的な態様又は上記の例示的な実施形態のいずれかのラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システムは、光源をさらに備えてもよく、ラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システムは、光源によって生成された光刺激に対する眼の網膜の応答を測定するように配置される。
【0016】
本明細書の第2の例示的な態様によれば、フルフィールド掃引光源OCT撮像システムであって、その波長がフルフィールド掃引光源OCT撮像システムによる撮像中に値の範囲にわたって掃引される光ビームを生成するように配置された掃引照明源と、第1の焦点及び共役の第2の焦点を有する曲面ミラーを備える移送システムであって、前記移送システムは掃引照明源によって生成された前記光ビームを前記第1の焦点に集束させるように配置された集束システムをさらに備え、前記曲面ミラーは、前記撮像対象の撮像中に前記撮像対象のフルフィールド照明を提供するように、前記第1の焦点に集束された前記光ビームを前記曲面ミラーの前記第2の焦点を介して撮像対象に誘導するように配置され、前記曲面ミラーは、前記撮像対象の撮像中に前記撮像対象によって散乱され、前記曲面ミラーによって錯乱された光を受光して、デフォーカス又は歪みのうちの少なくとも一方を含む錯乱光ビームを形成するようにさらに配置される、移送システムと、を備えるフルフィールド掃引光源OCT撮像システムが提供される。フルフィールド掃引光源OCT撮像システムは、光検出素子の2次元アレイを備える光検出器と、曲面ミラーによって受光された光の少なくとも一部分を受光し、基準光と錯乱光ビームの少なくとも一部分との間の干渉から生じる干渉光を生成し、干渉光を光検出素子の2次元アレイ上に投影するように配置された干渉計とをさらに備える。光検出器は、撮像中に光検出素子の2次元アレイ上に投影された干渉光を検出し、検出された干渉光に基づいて検出信号を生成するように配置される。フルフィールド掃引光源OCT撮像システムは、検出信号に基づいて撮像対象の複合容積OCTデータであって、前記複合容積OCTデータは、その中に光学収差を有する、複合容積OCTデータを生成し、補正された複素容積OCTデータが前記複合容積OCTデータよりも光学収差が小さくなるように、前記複合容積OCTデータに符号化された位相情報を使用して前記複合容積OCTデータを補正する補正アルゴリズムを実行することによって、前記補正された複合容積OCTデータを生成するように配置されたOCTデータ処理ハードウェアをさらに備える。曲面ミラーは、楕円ミラーなどの放物面ミラーであってもよい。フルフィールド掃引光源OCT撮像システムは、光源をさらに備えてもよく、光源によって生成された光刺激に対する眼の網膜の応答を測定するように配置されてもよい。
【0017】
第1の例示的な態様及び/又は第2の例示的な態様、又は上述したそれらの例示的な実施形態のいずれかにおいて、OCTデータ処理ハードウェアは、複合容積OCTデータが、複合容積OCTデータの正面投影を生成するように処理されると、内部に光学収差を有する正面投影を提供するように、撮像対象の複合容積OCTデータを生成し、補正された複合容積OCTデータが、補正された複合容積OCTデータの正面投影を生成するように処理されたときに、複合容積OCTデータの正面投影よりも光学収差が小さい正面投影を提供するように補正された複合容積OCTデータを生成するように配置されてもよい。OCTデータ処理ハードウェアは、追加的又は代替的に、複合容積OCTデータの少なくとも1つのB走査がその中に光学収差を有するように、撮像対象の複合容積OCTデータを生成し、補正された複合容積OCTデータの少なくとも1つの対応する補正されたB走査が、前記複合容積OCTデータの前記少なくとも1つのB走査よりも光学収差が小さくなるように、前記補正された複合容積OCTデータを生成するように配置されてもよい。
【0018】
本明細書の第3の例示的な態様によれば、第1の例示的な態様のライン走査フーリエ領域OCT撮像システム又は第2の例示的な態様のフルフィールドフーリエ領域OCT撮像システムのいずれかによって生成された撮像対象の複合容積OCTデータを処理するコンピュータ実装方法が提供され、方法は、収差を内部に有する、撮像対象の複合容積OCTデータを取得することと、補正された複合容積OCTデータが前記複合容積OCTデータよりも光学収差が小さくなるように、前記複合容積OCTデータに符号化された位相情報を使用して前記複合容積OCTデータを補正する補正アルゴリズムを実行することによって、補正された複合容積OCTデータを生成することとを含む。
【0019】
ここで以下に説明する添付の図面を参照して、例示的な実施形態を、非限定的な例としてのみ詳細に説明する。図面の異なるものに現れる同様の参照符号は、特に指示しない限り、同一の又は機能的に同様の要素を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本明細書の第1の例示的な実施形態によるラインフィールド掃引光源OCT撮像システムの概略図である。
図2図2は、第1の例示的な実施形態の一部を形成する走査システムの概略図である。
図3A図3Aは、図2の走査システムの代わりに、第1の例示的な実施形態の一部を形成することができる代替的な走査システムの概略図である。
図3B図3Bは、図3Aの走査システムの一部分の概略図である。
図4A図4Aは、第1の例示的な実施形態に含まれる光検出素子の2次元アレイの概略図である。
図4B図4Bは、図4Aに示す光検出素子の2次元アレイの代わりに使用することができる光検出素子の1次元アレイの概略図である。
図5図5は、代替の実施形態による、ラインフィールドSD-OCT撮像システムで使用するための光検出素子の2次元アレイの概略図である。
図6図6は、第1の例示的な実施形態及び/又は代替の例示的な実施形態で使用することができるマスクの概略図である。
図7図7は、本明細書に記載のOCTデータ処理ハードウェアの機能を実行するように構成され得るプログラマブル信号処理ハードウェアの概略図である。
図8図8は、本明細書の第2の例示的な実施形態によるフルフィールドFD-OCT撮像システムの概略図である。
図9図9は、本明細書の例示的な実施形態による補正された複合容積OCTデータを生成するプロセスを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
上記の背景に鑑みて、本発明者らは、共役焦点を有する曲面ミラーを利用して光が眼の網膜の拡張領域を照射することを可能にし、眼のWF又はUWF撮像を可能にするラインフィールドFD-OCT撮像システム及びフルフィールドFD-OCT撮像システムを考案した。さらに、収差がない場合に干渉光が有するより画像平面上のより大きな投影(曲面ミラーによって少なくとも部分的に引き起こされる光学収差のために)を有する非集束干渉光(好ましくは、そのほとんど、又はそのすべて)を検出するために光検出素子のアレイを使用することによって、取得された複合容積OCTデータ内の位相情報を取得し、光学収差の影響を緩和するように数値補正アルゴリズムを用いて複合容積OCTデータをデジタル的に焦点変更するために使用することができる。
【0022】
ラインフィールド及びフルフィールドOCT撮像システムの本質的により高い撮像速度と組み合わせたデジタルリフォーカスの使用は、生成されるOCT画像の品質を大幅に向上させることができる。さらに、本明細書に記載のOCTシステムの比較的速いOCTデータ取得速度は、広範囲の超広視野にわたって機能的OCTを実行することを可能にし得る。
【0023】
ここで、ラインフィールドFD-OCT撮像システム及びフルフィールドFD-OCT撮像システムの例示的な実施形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
(第1の例示的な実施形態)
図1は、本明細書の第1の例示的な実施形態によるラインフィールドFD-OCT撮像システム100の概略図である。ラインフィールドFD-OCT撮像システム100は、ラインフィールド照明源110と、走査システム120と、光検出器140と、干渉計150と、OCTデータ処理ハードウェア160とを備える。ラインフィールドFD-OCTシステム100は、本例示的な実施形態のように、ラインフィールド掃引光源OCT(SS-OCT)システムであってもよい。しかしながら、ラインフィールドFD-OCT撮像システム100は、この形態で提供される必要はなく、例えば、スペクトル領域OCT(SD-OCT)撮像システムの代替形態をとることができる。より一般的には、例示的な実施形態は、複合容積OCTデータ170、すなわち、連続するライン走査中にOCT測定が行われた各走査ライン位置に対して得られた複合A走査情報を表すそれぞれのスペクトル干渉図(干渉スペクトル)のフーリエ変換を生成することができるラインフィールドFD-OCT撮像システムの任意の形態のとして提供することができる。そのような複合容積OCTデータ170は、本明細書に記載の補正アルゴリズム161によって使用して、OCT画像データをデジタル的に焦点変更することができる取得されたOCT測定値からの位相情報を符号化する。さらに、ラインフィールドFD-OCT撮像システム100は、後述するように、広視野(WF)又は超広視野(UWF)FD-OCT撮像システムであってもよい。
【0025】
ラインフィールド照明源110は、光線LLを生成することによってライン照明を提供するように配置される。ラインフィールド照明源110は、本例示的な実施形態のように、ラインフィールドFD-OCT撮像システム100によって実行される走査中に波長範囲にわたって掃引される波長を有する光線LLを生成するように構成される掃引ラインフィールド照明源であってもよい。或いは、ラインフィールドFD-OCT撮像システム100がSD-OCT撮像システムの形態をとる例示的な実施形態では、ラインフィールド照明源110は、ラインフィールドSD-OCT撮像システムによって実行される走査中に一定の範囲の波長(すなわち、広いスペクトル内容)を同時に有する光線LLを生成するように配置される広帯域ラインフィールド照明源であってもよい。
【0026】
ラインフィールド照明源110は、(場合によっては)任意の既知の掃引又は広帯域源と、光線LLを生成するように配置された光学系とを備えることができる。例えば、ラインフィールド照明源110は、レーザと、1又は複数のシリンドリカルレンズ(例えば、レーザからのビームを互いに直交するそれぞれの方向に集束させて光線LLを形成するように配置される平凹レンズと平凸レンズとの組み合わせ)とを備えることができる。しかしながら、当業者に知られているビーム成形のための任意の他の種類の空間光変調器が代替的に使用されてもよい。ラインフィールド照明源110は、追加的又は代替的に、ビーム成形のための回折光学素子、又は光線LLを提供するために一列に配置された複数の光源を使用することができる。
【0027】
走査システム120は、走査素子121と、第1の焦点FP1及び共役の第2の焦点FP2を有する曲面ミラー122とを備え、第1の焦点FP1を通過する光線は曲面ミラーによって反射されて第2の焦点FP2を通過する。走査素子121は、第1の焦点FP1に位置し、曲面ミラー122を介して撮像対象130にわたって光線LLの少なくとも一セグメントを走査することによって、第2の焦点FP2を介して撮像対象130の走査を実行するように配置される。第1の焦点FP1及び第2の焦点FP2は、線の長寸法が点(点走査システムの仮想点と同じ)に焦点を合わせる場所を記述する。撮像対象130が眼の網膜である場合、これらの焦点は、線が眼に入ることができるように瞳孔と共役であってもよい。垂直線寸法の焦点は、網膜と共役した異なる平面内にあってもよい。走査素子121は、この例示的な実施形態のように、第1の焦点FP1を通過する回転軸の周りを回転するように配置されるミラーを備えて、ミラーに入射する光線LL(又はそのセグメント)を、曲面ミラー122を介して撮像対象130にわたって走査することができる。走査中、走査素子121は、撮像対象130によって散乱され、曲面ミラー122によって錯乱される光を曲面ミラー122を介して受光して、走査中に撮像対象130によって散乱された光のデフォーカス及び/又は歪みを含む錯乱光線LAを形成するようにさらに配置される。走査素子121は、そこに入射する光線全体を反射するのに十分な大きさであることが好ましい。したがって、走査システム120及びOCTデータ処理ハードウェア160は、撮像対象130の表面にわたって分布するそれぞれの走査線(又は走査位置)でB走査を取得し、走査線を光線LLの少なくとも一セグメントで一度に一走査線ずつ順次に照射し、各走査線で撮像対象130によって散乱された光の少なくとも一部を曲面ミラー122を介して受光することによって複合容積OCTデータ(すなわち、OCT C走査)を形成するように配置される。走査システム120は、本例示的な実施形態のように、同じ長さの平行な隣接する走査線のセットに沿ってラインフィールド照明を順次提供することによって走査を実行することができるが、使用される走査パターンはそのように限定されない。
【0028】
眼科用途では、曲面ミラー122は、渦静脈膨大部の後縁まで網膜の中央周辺部を取り込むように、光線LLが約60度~100度の視野に対応する眼底の領域を照射することを可能にすることによって、ラインフィールドFD-OCT撮像システム100がWF OCT撮像システムとして機能することを可能にし得る。或いは、曲面ミラー122は、渦静脈膨大部の前縁を含む網膜の遠方周辺部を取り込むように、光線LLが約110度~220度の視野に対応する眼底の領域を照射することを可能にすることによって、ラインフィールドFD-OCT撮像システム100がUWF OCT撮像システムとして機能することを可能にし得る。
【0029】
走査システム120は、本例示的な実施形態のように、図2に概略的に示すような光学構成部品の配置を含むことができる。図2に示す走査システム200は、それぞれ図1の走査素子121及び曲面ミラー122の例である第1の走査素子201及び第1の曲面ミラー202を備える。走査システム200は、本例のように、第2の曲面ミラー203(本明細書では「スリットミラー」とも呼ばれる)、レンズ204(例えば、シリンドリカルレンズ)、及び第2の走査素子205をさらに備えてもよいが、これらの素子は後述するように任意選択である。第2の走査素子205は、本例示的な実施形態のように、眼210の瞳孔が位置する平面と共役な平面内にあってもよい。走査システム200の動作中、光線LLの少なくとも一セグメントは、干渉計150から走査システム200に入り、レンズ204によって第2の走査素子205上に集束される。ただし、レンズ204は任意選択であり、省略されてもよいことに留意されたい。この場合、ラインフィールド照明源110(又はそのセグメント)からの光線LLは、第2の走査素子205で焦点が合うように走査システム200によって受光される前に、干渉計150の一部を形成する光学素子によって焦点が合わされてもよい。そして、第2の走査素子205で受光された光線LL(又はそのセグメント)は、第2の走査素子205、第2の曲面ミラー203、第1の走査素子201及び第2の曲面ミラー202によって順次反射されて、その後撮像対象130に入射する。図2に示すように、撮像対象130は、本例示的な実施形態では、眼210の網膜の領域の形態をとるが、撮像対象130のこの形態は一例としてのみ与えられる。眼210の網膜の被照射領域によって散乱された戻り光は、眼210に入射する光線LLと同じ走査システム200を通る光路をたどるが、その順序は逆であり、第1の曲面ミラー202によって引き起こされるデフォーカス及び/又は歪みを含む錯乱光線LAとして走査システム200を出る。錯乱光線LAの少なくとも一セグメントは、図1に示す干渉計150によって受光される。
【0030】
第1の走査素子201は、走査中の撮像対象130の表面上への光線LL(又はそのセグメント)の投影が第1の方向に沿って互いに変位するように、撮像対象130の表面にわたって第1の方向に光線LL(又はその受光セグメント)を走査するように配置される。この走査は、図2に示す第1の軸206の周りを回転する第1の走査素子201によって実行されて、撮像対象130にわたって第1の方向に光線LL(又はそのセグメント)を走査することができる。第1の方向は、本例示的な実施形態のように、撮像対象130の表面上の光線LL(又はそのセグメント)の投影に対して垂直、すなわち、光線LLの投影の延長方向に対して垂直であってもよい。しかし、第1の方向は、これに限らず、撮像対象130の表面における光線LLの投影(又はそのセグメント)に沿った方向の成分を有していてもよい。
【0031】
第2の走査素子205は、受光した光線LL(又はその受光セグメント)を第1の走査素子201に向けて反射し、第1の方向と直交する第2の方向及び第2の方向とは反対の第3の方向に、第1の走査素子201が撮像対象130の表面にわたって光線LL(又はそのセグメント)を走査する位置を変更するように配置される。これを行うために、第2の走査素子205は、第2の軸(図示せず)を中心に回転して、第1の走査素子201が撮像対象130の表面にわたって光線LL(又はそのセグメント)を第2の方向又は第3の方向のいずれかに走査する位置を変更する。このように、第2の走査素子205を回転させることにより、光線LLを第2の方向又は第3の方向に撮像対象130上の走査線開始位置まで並進させることができる。これにより、第1の走査素子210による走査が行われる撮像対象130の表面上の第2の方向及び第3の方向に沿った軸に沿って延在する軸に沿った位置を、第2の走査素子205の向きによって設定することができる。第1の走査素子201及び第2の走査素子205の回転は、走査システムコントローラ(図示せず)によって制御されてもよい。
【0032】
第1の走査素子201は、本例示的な実施形態のように、上述した変更の前後において、撮像対象130の表面にわたって第1の方向、又は第1の方向とは反対の方向に、光線LL(又はその受光セグメント)を走査するように配置されてもよい。したがって、本例示的な実施形態のラインフィールドSS-OCT撮像システム100は、第2の走査素子205が、第1の走査素子201が第1の走査素子201によって実行されるその後の走査において撮像対象130の表面にわたって光線LL(又はそのセグメント)を走査し続ける位置を変更する前に、眼210の網膜の第1の領域(又はより概略的には、撮像対象130の第1の領域)を走査することができ、次いで、第1の走査素子210は、第1の領域と部分的に重複するか又は第1の領域に隣接し得る撮像対象130の第二領域にわたって走査を実行する。このようにして、本例示的な実施形態のラインフィールドFD-OCT撮像システム100は、眼210の網膜又は他の撮像対象130の2つ以上の異なる領域を走査し、取得されたOCTデータを組み合わせて、個々の走査のいずれか1つによって網羅される部分よりも大きい撮像対象130の部分を網羅するOCTデータのモザイクを作成することができ、したがってラインフィールドFD-OCT撮像システム100によって取得された画像の視野を効果的に増加させることができる。
【0033】
第1の走査素子201及び第2の走査素子202は、本例示的な実施形態のように、それぞれがガルバノメータ光学スキャナ(それぞれ「H-galvo」及び「V-galvo」)であってもよいが、例えば、MEMS走査ミラー又は共振走査ミラーなどの別の種類の走査素子が代わりに使用されてもよい。
【0034】
第1の曲面ミラー202及び第2の曲面ミラー203は、本例示的な実施形態のように、それぞれが第1の焦点及び共役の第2の焦点を有する、それぞれ回転楕円鏡及び楕円面鏡であってもよい。第1の走査素子201は、第1の曲面ミラー202の第1の焦点FP1に位置し、撮像対象130は、第1の曲面ミラー202の第2の焦点FP2の近傍に位置する。撮像対象130が眼210の網膜の一部分である場合、本例示的な実施形態のように、眼210の瞳孔は、走査中に光線LLの少なくとも一セグメントが眼210の網膜の領域を走査されるように、第1の曲面ミラー202の第2の焦点FP2に位置する。第2の走査素子205は、第2の曲面ミラー203の第1の焦点FP3に位置し、第1の走査素子201は、第2の曲面ミラー203の第2の焦点FP2の近傍に位置する。しかしながら、第2の曲面ミラー203(本例示的な実施形態では楕円面鏡)は、放物面又は双曲面のような円錐断面の形状などの非球面反射面を有する任意の反射構成要素であってもよく、より一般的には、二変数の1又は複数の多項式関数によって記述される形状を有してもよい。
【0035】
第1の曲面ミラー202は、扁長回転楕円形状の凹面反射面を有し、円対称軸207を有する。第1の走査素子201は、第1の曲面ミラー202に入射する光線LL又はそのセグメントが第1の曲面ミラー202の円対称軸207に平行な平面内を伝播するように、第1の曲面ミラー202を介して撮像対象130にわたって光線LL(又はその受光セグメント)を走査することによって眼210の網膜の走査を実行するように配置される。言い換えれば、第1の曲面ミラー202のうちの光線LL(又はセグメント)が投影される部分は、楕円形状を有し、この楕円形状は、円対称軸207を中心に回転したときに、第1の曲面ミラー202の形状を確定する回転楕円体を形成する。これを達成するために、第1の走査素子201は、図2に示すように、円対称軸207に平行な第1の軸206を中心に回転する。
【0036】
走査中に撮像対象130によって散乱された、第1の曲面ミラー202を介して受光された光は、第1の曲面ミラー202によって錯乱され、デフォーカス及び/又は歪みを含む錯乱光線LAを形成する。第1の曲面ミラー202による収差は、本例示的な実施形態では垂直方向である、円対称軸202に沿った第1の曲面ミラー202の楕円形の曲率によって生じるデフォーカスであってもよい。このように、垂直(又は斜め)ラインフィールドが照明に使用される場合、ラインの全長は、光検出器140ですべて焦点が合うようにならない。したがって、第1の曲面ミラー202の楕円形の曲率は、FD-OCT撮像システム100が広視野又は超広視野を有することを可能にするが、それはまた、最初に光線LLが第1の曲面ミラー202から反射されると、次に撮像対象130によって散乱された光が第1の曲面ミラー202の第1の焦点に到達する前に第1の曲面ミラー202によって反射されることによって、戻り光線を錯乱する。さらに、第2の曲面ミラー203が設けられる場合、これは(その形状に応じて)反射する光の同様のデフォーカスを引き起こす可能性がある。したがって、走査システム200を出る錯乱光線LAは、第1の曲面ミラー202からのデフォーカス及び第2の曲面ミラー203からのデフォーカスを含む可能性がある。第1の曲面ミラー202及び第2の曲面ミラー203のいずれか又は両方はまた、走査システム200を出る錯乱光線LA内で歪みを引き起こす可能性がある。
【0037】
図2を参照して上述した本例示的実施態様の代替として、図1の走査システム120は、代替の実施態様による走査システム300のx-y面及びx-z面の図をそれぞれ示す、図3A及び図3Bを参照してここで説明する代替の形態をとることができる。走査システム120は垂直走査を実行するように配置され、後述する走査システム120の代替形態は水平走査を実行するように配置されるが、任意の走査方向が可能であることに留意されたい。
【0038】
走査システム300は、走査システムの他の光学構成部品に対する第1の曲面ミラー202の回転対称軸207の向きが走査システム200とは異なり、これにより、走査システム300は、(走査システム200によって実行される「垂直」走査線走査とは対照的に)眼の「水平」走査線走査を実行することができる。図2図3A及び図3Bにおいて同じ参照符号で識別されるこれらの他の光学構成部品の形態及び配置は、走査システム200及び300において同じである。図2に示すように、軸207は走査システム200のy軸に平行であるが、図3A及び図3Bに示すように、軸207は走査システム300のz軸に平行である。走査システム300では、走査素子201は、光線LL(又はセグメント)が投影される第1の曲面ミラー202の一部分が、円対称軸207に平行及びそれを含む平面を中心とした反射対称性を有するように、第1の曲面ミラー202を介して網膜にわたって光線LL(又はそのセグメント)を走査することによって眼210の網膜の走査を実行するように配置される。図3Aでは、この平面はx-z面に平行であり、軸207を含む。別の言い方をすれば、走査素子201は、第1の曲面ミラー202に入射する光線LL(又はそのセグメント)が第1の曲面ミラー202の半軸を含む平面内を伝播するように、第1の曲面ミラー202を介して網膜にわたって光線LL(又はそのセグメント)を走査することができる(半軸は、第1の曲面ミラー202の円対称軸207に沿った点で第1の曲面ミラー202の半径を画定する線である)。これを達成するために、第1の走査素子201は、半軸に平行な第1の軸206を中心に回転してもよい。x-z面内の走査システム300の一部分を示す図3Bに示すように、ミラー202に入射し、ミラー202によって反射される光線LLの少なくとも一セグメントの伝播面は、ミラー202の円対称軸が存在するx-z面に直交する。
【0039】
走査システム300における第1の曲面ミラー202の上記の配置により、光線LL及び撮像対象130によって散乱された光は、これらの反射を行う第1の曲面ミラー202の被照射部が走査システム200における第1の曲面ミラー202の反射部分よりも実質的に非球面の曲率が小さくなるように、第1の曲面ミラー202によって反射される。これにより、第1の曲面ミラー202の楕円形の曲率に起因するデフォーカスを、走査システム200よりも走査システム300においてが小さくすることができる。しかしながら、第1の走査素子201は軸206を中心に回転すると、第1の曲面ミラー202上の異なる高さで光線LLを走査し、ミラー202の曲率は変化するため、走査システム300は、その後の各走査線位置でのミラー202の曲率の変化を考慮して、高さが変化すると焦点変更される必要があり得る。そのような焦点変更は、必要とされる短いタイムスケールでは達成することが困難である可能性があり、したがって、楕円形の曲率によって誘発されるデフォーカスの程度が走査システム300において優勢であり得る。しかしながら、このデフォーカスは、以下に説明するように、走査システム200と同じ方法でデジタル的に補正することができる。
【0040】
第1の曲面ミラー202は、図2図3A及び図3Bを参照して上述した走査システムにおける回転楕円鏡であるが、代わりに、放物面又は双曲面のような円錐断面の形状などの非球面形状を有する任意の反射構成要素であってもよく、又はより一般的には、二変数の1又は複数の多項式関数によって記述される形状を有してもよい。さらに、第2の走査素子205及び第2の曲面ミラー203を含むことは任意であり、これらの光学構成部品は、第1の走査素子201がシリンドリカルレンズ204の焦点に配置されるように除去されてもよい。
【0041】
図2の走査システム200(又は図3A及び図3Bの代替的な走査システム300)を含むFD-OCT撮像システム100が眼科用FD-OCT撮像システムである場合、FD-OCT撮像システム100は、眼210の網膜の領域の形態で撮像対象130からOCTデータを取得するように配置することができるが、眼の前眼部の一部分など、OCTによって撮像することができる眼210の任意の他の部分は、FD-OCT撮像システム100によって代替的又は追加的に撮像することができる。しかしながら、撮像対象130は、眼の一部分に限定されず、代替的に、任意の組織(例えば、皮膚)、生体試料、又はより一般的には、その準表面下構造がOCTによって撮像される任意の散乱媒体であってもよい。
【0042】
再び図1を参照すると、光検出器140は、受光面が眼210の網膜と共役な平面内にある光検出素子141のアレイを備える。アレイ141は、本例示的な実施形態のように、直交する行及び列の2次元グリッドに配置された複数の光検出素子を含むことができる。しかしながら、アレイ141は、より一般的には、光検出素子の1次元又は任意の2次元アレイであってもよい。光検出素子は、例えば、電荷結合素子のフォトダイオード、フォトトランジスタ、又はキャパシタであってもよい。FD-OCT撮像システム100は、本例示的な実施形態のように、マスク142をさらに備えてもよく、その例は、図6を参照して以下により詳細に説明される。マスク142は、(図1に示すように)光検出器140の一部として、又は光検出器140の外部にある構成要素として設けられてもよい。
【0043】
干渉計150は、自由空間干渉計であり、干渉計150のサンプルアーム及び基準アームに沿って伝播するようにラインフィールド照明源110からの光線LLを分割するように配置される。干渉計150は、走査素子121を介して錯乱光線LAの少なくとも一セグメントを受光し、走査素子121を介して受光された、基準アームからの基準光線LRとサンプルアーム内の錯乱光線LAの少なくとも一セグメントとの間の干渉から生じる光の干渉線LIを生成し、光の干渉線LI(好ましくはその全体)を光検出素子141のアレイ上に投射するようにさらに配置される。言い換えれば、基準光LRと、走査中に走査システム120から干渉計150によって受光された錯乱光線LAの最小セグメントとは、互いに一致して干渉するように誘導され、結果として生じる光の干渉線LIは、光検出素子141のアレイに向けられ、前記アレイによって受光される。干渉計150は、本例示的な実施形態のように、ビームスプリッタを使用して干渉計のサンプルアーム及び基準アームに沿って伝播するように光線LLを分割し、基準光LR及び錯乱光線LAの少なくとも一セグメントを干渉させるマイケルソン干渉計であってもよい。しかしながら、ラインフィールドOCTに適した任意の自由空間干渉計、例えばマッハツェンダ干渉計を使用してもよい。干渉計150を含む撮像対象130から光検出器140までの光路は、本例示的な実施形態のように、完全に自由空間であってもよい。
【0044】
したがって、光検出器140は、走査中に光検出素子141のアレイ上に投影された光の干渉線LIを検出し、検出された光の干渉線LIに基づいて検出信号Sdを生成するように配置される。光検出器140は、光検出素子に入射した光の干渉線Liを光電変換することにより、検出信号Sdを生成する。光検出器140の特定の形態は、ラインフィールドFD-OCTが実装される形態に依存する。
【0045】
ラインフィールドFD-OCT撮像システム100がラインフィールドSS-OCT撮像システムである場合、本例示的な実施形態のように、光検出素子141のアレイは、本例示的な実施形態のように、図4Aに概略的に示すように、光検出素子400の2次元アレイであってもよい。光検出素子400の2次元アレイの光検出素子401は、光検出素子400の2次元アレイへの光の干渉線LIの投影PIの長さに沿った第1の方向(y軸方向)と、第1の方向に垂直な第2の方向(x軸方向)とに配列される。投影PIは、錯乱光線LAにおけるデフォーカス及び/又は歪みに起因する形状を有する。一例として、図4Aに示す投影PIは、上述したように、走査中に撮像対象130によって散乱された光が走査システム200内の第1の曲面ミラー202によって少なくとも部分的に錯乱されるために、線分の中心から線分の端部に向かって徐々に増加する線幅を有する線分の形状を有する。
【0046】
第2の方向における光検出素子400の2次元アレイの幅は、本例示的な実施形態のように、投影PIの最大幅よりも大きくてもよく、投影PIは、図4Aに示すように、複数の光検出素子401によって第2の方向に広げられてもよい。投影PIの最大幅は、本例示的な実施形態のように、光の干渉線Liからの光が光検出素子(すなわち、光強度は、光検出素子によって検出可能な最小光強度を上回る場合)によって検出可能な第2方向の最も遠い点と、光の干渉線Liからの光が光検出素子(すなわち、光強度が光検出素子によって検出可能な最小光強度を上回る場合)によって検出可能な第2の方向とは反対の第3方向の最も遠い点との間の第2方向の変位であってもよい。これは、光の干渉線LIの投影PIの境界によって図4Aに概略的に示されており、それに沿って、光の干渉線LIの強度は、光検出素子によって検出可能な最小光強度に等しい。図4Aに示すように、光検出素子は、すべての検出可能な干渉光が光検出器アレイ400によって検出され得るように、光の干渉線Liの投影PIの境界を越えて第1及び第2の方向に延在する。言い換えれば、光検出素子401のアレイの表面を含む平面上への光の干渉線Liの投影PIは、光検出素子401のアレイの表面の周囲によって囲まれている。なお、投影PIの最大幅は、他の方法で、例えば、光の干渉線Liの強度が、第1の方向のそれぞれの位置における第2の方向のピーク強度値(又は投影された光の干渉線LI全体のピーク強度値)の0.1%、1%、5%、又は10%に低下する、第1の方向(又はx軸)に沿った位置の間の光の干渉線Liの第2の方向における幅のうちの最大の幅として定義されてもよい。
【0047】
光検出素子400の2次元アレイは、(光検出素子が配列される2つの方向に沿って光検出素子間の間隔が等しい)光検出素子の正方格子として図4Aに示されているが、アレイの形態はそれに限定されず、任意の代替形態をとることができる。光検出素子は、例えば、代わりに長方形グリッド又は三角形グリッドに配置されてもよい。
【0048】
図4Aに示す光検出素子400の2次元アレイの代替として、光検出器140の光検出器アレイ141は、図4Bに概略的に示すように、光検出素子450の1次元アレイの形態で提供されてもよい。光検出素子450の1次元アレイの光検出素子451は、光の干渉線LIの光検出素子450の1次元アレイへの投影PIの長さに沿って配列される(すなわち、上述の第1の方向に、y軸に沿って)。
【0049】
1次元アレイの光検出素子450は、光の干渉線LIの光検出素子450の1次元アレイへの投影PIの長さに垂直な方向(すなわち、図4Bに示すx軸に沿った上述の第2の方向に)に幅を有することができ、これは第2の方向の投影PIの最大幅よりも大きい。最大幅は、図4Aに関して上述したように確定することができる。光検出素子450の1次元アレイは、図4Bに示すように、第1の方向の最大幅の中間点で第1の方向に中心付けられてもよい。
【0050】
光検出器140は、上述した光検出器400又は光検出器450の形態で設けられる場合、干渉計150を出る干渉光の検出を最大化する。したがって、この種の光検出器は、デフォーカス及び/又は歪みを含む基準光LRと錯乱光線LAとの間の干渉を効果的に検出することができる。したがって、光検出器140によって生成された検出信号Sdは、デフォーカス及び/又は歪みに関する情報(より具体的には、測定された強度及び位相が空間的にどのように分布しているかに関する情報)を含み、これは、後述するように、OCTデータ処理ハードウェア160によって実行される補正アルゴリズム161によって使用されて、取得されたOCTデータ170のデフォーカス及び/又は歪みをデジタル的に補正することができる。
【0051】
上述したように、ラインフィールドFD-OCT撮像システム100がラインフィールドSD-OCT撮像システムである場合、光検出器140は、光検出素子141のアレイとして、回折素子及び光検出素子の2次元アレイを備える2次元分光計を備えることができる。図5は、2次元分光計の一部を形成する光検出素子500の2次元アレイの概略図である。回折素子(図示せず)は、図5(例示を目的として、回折素子によって作成された投影の連続体からの7つの投影、PI、1~PI、7の選択のみが図5に示されている)に示すように、光の干渉線LIの投影がそれに沿って延在する第1の方向(y軸に沿って)に垂直な第2の方向(x軸に沿って)に光検出素子500の2次元アレイにわたって光の干渉線LIのスペクトル成分を分散させるように配置される。光検出素子501の2次元アレイの光検出素子500は、第1の方向及び第2の方向に配列される。走査中に光検出素子500の2次元アレイ上に回折格子によって投影される光の干渉線LIのスペクトル成分は、様々な波長の干渉光の重なり合う投影を含み、その空間分布は、少なくとも部分的に、錯乱光線LA内のデフォーカス及び/又は歪みによって画定される。例として、図5では、光の干渉線Liの波長の選択に対応する投影PI、1~PI、7は、上述したように、走査中に撮像対象130によって散乱された光が走査システム200内の曲面ミラー202によって少なくとも部分的に錯乱されることにより、線分の中心から線分の端部に向かって徐々に増加する線幅を有する線分の形状を有するように示される。
【0052】
光検出素子500の2次元アレイは、光検出素子の正方格子として図5に示されているが、アレイの形態はそのように限定されず、任意の代替形態をとることができる。光検出素子は、例えば、代わりに長方形グリッド又は三角形グリッドに配置されてもよい。
【0053】
図4A図4B、及び図5では、光検出素子の数及びサイズは、本明細書の原理の説明を容易にするために選択されており、光検出器140の実際の実装に必要な数及びサイズを必ずしも反映していない。光検出器140の実際の実施態様では、光検出素子は、典型的には、光の干渉線LIの投影PIの線幅よりもはるかに小さく、より多くの光検出素子が、通常、図4A図4B、及び図5に示すよりも投影PIに広がる。
【0054】
マスク142(設けられている場合)は、第1の領域と、第1の領域を取り囲む第2の領域とを有し、第1の領域は第2の領域よりも透明性が高い。マスク142は、両方ともラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム100内に配置され、光の干渉線LIの少なくとも一部が光検出素子141のアレイに伝播することを可能にし、光の干渉線LI以外の光が光検出素子141のアレイに伝播するのを少なくとも部分的に防止するように成形された第1の領域を有する。ラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム100におけるマスク142の位置は、本例示的な実施形態のように、撮像対象130と共役な平面(光検出器140の前の平面であってもよい)内にあってもよく、第1の領域の形状は、共役平面内に配置されたときに、光の干渉線LIの少なくとも一部がマスク142によって光検出素子141のアレイに伝播することを可能にし、光の干渉線LI以外の光がマスク142によって光検出素子141のアレイに伝播することを少なくとも部分的に防止するように選択されてもよい。したがって、より高い透明度のマスク142の第1の領域は、光の干渉線LIの少なくとも一部が光検出素子141のアレイに伝播することを可能にし、より透明度が低い(不透明であり得る)マスク142の第2の領域は、望ましくない反射又はアーチファクトなどの望ましくない光が光検出素子141のアレイに伝播するのを少なくとも部分的に防止する。したがって、マスク142は、光の干渉線LIからの不要な信号をフィルタリングし、検出信号Sdの品質(信号対雑音比を含む)を改善することができる。第1の領域の形状は、撮像対象130とは異なる領域からの光によるアーチファクトを最小化しながら、信号対雑音比を最大化するように最適化されてもよい。
【0055】
図1のマスク142は、例えば、第1の領域801及び第2の領域802を有する図6に示すようなマスク800の形態で提供されてもよい。マスク800の第1の領域801は、不透明材料で作られたマスク800の第2の領域802内の穴である。しかしながら、マスク800の形態はそのように限定されず、代替的に、段階的減光(ND)フィルタ又は空間光変調器の形態で提供されてもよく、第2の領域802よりも高い透明性を有する第1の領域801を形成するように配置される。マスク800は、光の干渉線LIの光検出素子141のアレイへの投影の輪郭の形状と(ほぼ)同じ形状を有する(投影の輪郭は、光の干渉線LIの強度が光検出素子によって検出可能な最小光強度に等しい境界として確定されてもよい)。例えば、ラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム100がラインフィールドSS OCT撮像システムである場合、第1の領域801の形状は、図4A又は図4Bの投影PIの輪郭の形状を有することができ、マスク800は、干渉計150と図4A又は図4Bの光検出素子400、450のそれぞれのアレイとの間に(撮像対象130と共役な平面内に)配置することができる。ラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム100がラインフィールドSD OCT撮像システムである場合、第1の領域801の形状は、図5の投影PI,1(又は投影PI,1~PI,7のいずれか)の輪郭の形状を有することができ、マスク800は、干渉計150と2次元分光計の回折素子との間に(撮像対象130と共役な平面内に)配置され得る。いずれの場合も、マスク800は、第1の領域801の形状が光の干渉線LIの断面(第1の領域801の形状を決定する形状である)に重ねられて位置合わせされるように、光の干渉線LIと位置合わせされてもよい。
【0056】
再び図1を参照すると、OCTデータ処理ハードウェア160は、既知のデータ処理技術を使用して、検出信号Sd´に基づいて、撮像対象130の複合容積OCTデータ170を生成するように配置される。検出信号Sdに基づいてOCTデータ処理ハードウェア160によって生成された複合容積OCTデータ170は、本例示的な実施形態のように、一連のB走査を含むことができ、各B走査は、光線LLの伝播方向及び伝播方向に直交する方向に延在する撮像対象130を通る平面内で取得されたOCT測定結果を表すOCTデータ要素の2次元アレイである。複合容積OCTデータ170は、デフォーカス(ぶれ)及び/又は歪みなどの光学収差をその中に有する。光学収差は、上述したように、FD-OCT撮像システム100内の光学系の一部、例えば走査システム120に設けられ得るより多くの曲面ミラーのうちの1つに由来し得る。すなわち、光学収差の少なくとも一部は、錯乱光線LA内のデフォーカス又は歪みの少なくとも一方によって生じ得る。追加の光学収差は、撮像対象(例えば、ラインフィールドFD-OCT撮像システム100の眼科用途における眼)の光学的不完全性によって引き起こされ得る。同様に、複合容積OCTデータ170は、複合容積OCTデータ170の正面投影を生成するように処理されたとき(又はその場合)(合計ボクセル投影(SVP)又は、SVPを撮像されたサンプルの選択されたスラブに制限する、制限されたSVP(RSVP)などの任意の周知の投影技術を使用して)、その中に光学収差を有する正面投影を提供することができる。言い換えれば、複合容積OCTデータ170は、複合容積OCTデータ170(又はそのサブセットのみ)が処理されて複合容積OCTデータ170(上述したように、任意の周知の投影技術を使用して)の正面投影を生成するとき(又はその場合)、正面投影画像に光学収差を提供する成分(例えば、以下で説明するように、位相誤差)を含む。
【0057】
OCTデータ処理ハードウェア160は、補正アルゴリズム161を実行することによって補正された複合容積OCTデータ180を生成するようにさらに配置され、補正アルゴリズムは、複合容積OCTデータ170で符号化された位相情報を処理して複合容積OCTデータ170を補正し、その結果、補正された複合容積OCTデータ180(又はその中に光学収差を有する複合容積OCTデータ170の少なくとも1つのB走査に対応する補正された複合容積OCTデータ180の少なくとも1つの補正されたB走査)は、複合容積OCTデータ170(又はその中に光学収差を有する複合容積OCTデータ170の少なくとも1つのB走査)よりも光学収差が小さい(すなわち、より小さいデフォーカス及び/又は歪みの程度(大きさ))。別の言い方をすれば、OCTデータ処理ハードウェア160は、補正アルゴリズム161を実行することによって補正された複合容積OCTデータ180を生成するようにさらに配置され、補正アルゴリズムは、複合容積OCTデータ170で符号化された位相情報を処理して、複合容積OCTデータ170(又は少なくとも1つのB走査)から前述の成分(すなわち、複合容積OCTデータ170又はその少なくとも1つのB走査に存在する光学収差の発生源)の少なくとも一部を除去又は低減する。上述したように、OCTデータ処理ハードウェア160によって生成された補正された複合容積OCTデータ180は、本例示的な実施形態のように、(補正されていない一連のB走査に対する)補正された対応する一連のB走査を含むことができる。FD-OCTでは、位相情報を符号化する複合データは、ラインフィールドFD-OCT撮像システム100によって測定された干渉の光スペクトルの離散フーリエ変換(DFT)から得ることができる。
【0058】
同様に、OCTデータ処理ハードウェア160は、複合容積OCTデータ170の正面投影を生成するために複合容積OCTデータ160が処理される場合、正面投影がその中に光学収差を有するような撮像対象130の複合容積OCTデータ170を生成するように配置することができ、さらに、補正された複合容積OCTデータ180の正面投影を生成するために補正された複合容積OCTデータ180が処理される場合、結果として生じる正面投影は、(上述したように)複合容積OCTデータ170の正面投影よりも少ない光学収差を有するように、補正された複合容積OCT180データを生成するようにさらに配置することができる。
【0059】
したがって、OCTデータ処理ハードウェア160は、複合容積OCTデータ170を補正アルゴリズム161への入力として受け取り、補正アルゴリズムは、補正された複合容積OCTデータ180を生成及び出力するために実行され、補正された複合容積OCTデータ180(又は前記補正された複合容積OCTデータ180の1若しくは複数の補正されたB走査又は補正された正面投影)は、入力複合容積OCTデータ170(又はその1若しくは複数のB走査又は正面投影)よりも光学収差が小さい。したがって、補正された複合容積OCTデータ180(又は1若しくは複数の補正されたB走査若しくは補正された正面投影)は、複合容積OCTデータ170からの上述の成分(発生源)の少なくとも一部が除去又は低減されている。結果として、補正されたOCTデータ180の正面投影(又は1若しくは複数のB走査)は、光学収差の減少を示すことができ、したがって、補正アルゴリズム161への入力として機能する複合容積OCTデータの正面投影(又は対応する1若しくは複数のB走査)に対して、改善された横方向分解能を示すことができる。正面投影画像又はB走査における合焦(デフォーカス)の程度は、当業者に知られているいくつかの異なる方法のうちのいずれか1つを使用して定量化され得る。例として、デフォーカスの程度は、勾配ベース、ラプラシアンベース、ウェーブレットベース、統計ベース、又は離散コサイン変換ベースの焦点測定演算子を使用して定量化することができる。そのような焦点測定演算子の様々な例は、Pattern Recognition 46(2013)、1415~1432ページに公開された、S.Pertuzらによる「Analysis of focus measure operators from shape-from-focus」と題する論文に提供されており、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0060】
補正アルゴリズム161は、当技術分野で既知の任意の数値リフォーカス及び/又は収差補正アルゴリズムであってもよく、これは、容積OCTデータ170内の複合場情報を使用することによって、補正された容積OCTデータ180(又はその正面投影画像若しくはB走査(複数可))内の横方向分解能(したがって、有効軸方向分解能)及び/又はコントラストを改善することができる。一般に、補正アルゴリズム161は、結果の逆フーリエ変換を行う前に、フーリエ領域内の複合容積OCTデータ170に位相フィルタを適用する。位相フィルタは、複合容積OCTデータ170の正面投影においてデフォーカス/歪みを生じさせる位相誤差を低減又は除去するように選択される。適切な位相フィルタは、ラインフィールドFD-OCT撮像システム100の数学的モデルから導出することができる。
【0061】
一例として、補正アルゴリズム161は、その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる(その中の補足セクションを含む)、Nature Photonics第9巻(2015):440~443ページ、N.D.Shemonskiらによる「Computational high-resolution optical imaging of the living human retina」と題する論文に記載される完全に自動化された収差補正アルゴリズムの形態をとることができる。記載された収差補正アルゴリズムでは、逆フーリエ変換が適用される前に、複合容積OCTデータのフーリエ変換が位相フィルタで乗算される。この位相フィルタは、シャックハルトマン波面センサの関数を計算的に模倣するが、N.D.Shemonskiらによる前述の論文で説明されているように、デフォーカス補正を含むように適合させることもできる。収差補正を反復的に微調整するために、ピーク検出メトリックをガイドスターベースのアルゴリズムと共に適用することができる。
【0062】
別の例として、補正アルゴリズム161は、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、G.Liuらによる「Digital focusing of OCT images based on scalar diffraction theory and information entropy」、Biomed.Opt.Express 3、2774~2783ページ(2012)におけるデジタルリフォーカス方法の形態をとることができる。記載されたデジタルリフォーカス方法は、複合容積OCTデータのフーリエ変換を行い、それを線形k空間に再スケーリングすることを含む。次に、このデータを軸方向に再サンプリングして、軸方向に沿った一連の正面フレームを得る。次いで、これらの正面フレームは、各距離(異なる焦点距離における焦点変更された画像の範囲からの最小シャノンエントロピーを有する画像に対応する距離など)によって変化するときに画像のエントロピー関数を最小化する焦点距離の探索を実行することによって、新しい焦点面にデジタル的に焦点変更される。すべての正面フレームが軸方向に沿って焦点変更されると、焦点変更された正面フレームに逆フーリエ変換が適用されて、焦点変更された画像領域の容積OCTデータが得られる。
【0063】
しかしながら、補正アルゴリズム161は上記の例に限定されないことに留意されたい。補正アルゴリズム161は、例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Y.Liu らによる、「Computational optical coherence tomography [Invited]」、Biomed.Opt.Express 8,pp.1549-1574(2017)に開示及び/又は参照される計算収差補正アルゴリズム、デジタルリフォーカスアルゴリズム及び干渉合成開口顕微鏡アルゴリズムのうちの1つの代替形態をとることができる。
【0064】
本例示的な実施形態では、ラインフィールドFD-OCT撮像システム100が、光検出素子400の2次元アレイを使用するラインフィールドSS-OCT撮像システムである場合、検出信号Sdに基づいてOCTデータ処理ハードウェア160によって生成された複合容積OCTデータ170は、一連のB走査を含むことができ、OCTデータ処理ハードウェア160によって生成された補正された複合容積OCTデータ180は、一連の対応する補正されたB走査を含むことができる。この場合、OCTデータ処理ハードウェア160は、補正アルゴリズム161として、対応するB走査で符号化された位相情報(のみ)を使用する補正アルゴリズム161(上述)を実行することによって、補正されたB走査の各補正されたB走査を生成するように配置され得る。言い換えれば、補正アルゴリズム161は、複合容積OCTデータ170のそれぞれのB走査に符号化された位相情報を使用することによって、補正された複合容積OCTデータ180に含まれる複数の補正されたB走査の各補正されたB走査を生成することができ、これは、走査中に光線LLの少なくとも一セグメントが撮像対象130の表面上のそれぞれの位置に投影されたときに光検出器140によって行われた光の干渉線Liの検出に応答して光検出器140によって生成された検出信号Sdのそれぞれの部分に基づく(複合容積OCTデータ170のそれぞれの部分は、補正されたB走査及び少なくとも1つの隣接するB走査に対応するB走査を確定する)。
【0065】
ラインフィールドFD-OCT撮像システム100が光検出素子450の代替的な1次元アレイを使用するラインフィールドSS-OCT撮像システムである場合、OCTデータ処理ハードウェア160は、補正アルゴリズム161として、対応するB走査及び一連のB走査内の少なくとも1つの隣接するB走査で符号化された位相情報を使用する補正アルゴリズム161(上述)を実行することによって、補正されたB走査のそれぞれを生成するように配置され得る。言い換えれば、補正アルゴリズム161は、走査中に光線LLの少なくとも一セグメントが撮像対象130の表面上のそれぞれに隣接する異なるそれぞれの位置に投影されたときに光検出器140によって行われた光の干渉線LIのそれぞれの複数の連続した検出に応答して光検出器140によって生成された検出信号Sdの一部分に基づく(複合容積OCTデータ170の一部分は、補正されたB走査及びB走査に隣接する少なくとも1つのB走査に対応するB走査を確定する)、複合容積OCTデータ170の一部分に符号化された位相情報を使用することによって、補正された複合容積OCTデータ180に含まれる複数の補正されたB走査の各補正されたB走査を生成することができる。
【0066】
ラインフィールドFD-OCT撮像システム100がラインフィールドSD-OCT撮像システムである場合、光検出器は、上述したように回折素子及び光検出素子の2次元アレイを含む2次元分光計を備え、補正アルゴリズム161は、例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Y.Nakamuraによる「Complex Numerical Processing for In-Focus Line-Field Spectral-Domain Optical Coherence Tomography」、Japanese Journal of Applied Physics第46巻(2007)、1774~1778ページに記載されているような非反復逆畳み込み法の形態をとることができる。記載された方法では、逆フィルタがフーリエ変換されたOCT画像によって乗算され、得られたデータが実領域に変換されて、逆畳み込みされたOCT画像が得られる。逆フィルタは、使用される光学系の完全な収差のないバージョンの推定点広がり関数と、2D分光計によって検出される回折素子から発散するフレネル回折光の両方に基づく。
【0067】
ラインフィールドFD-OCT撮像システム100は、本例示的な実施形態のように、光刺激に対する眼の網膜の応答を測定するように配置することができる。オプトレチノグラフィは、網膜が光刺激にどの程度良好に反応するかの指標を提供し、眼の健康を評価するための強力なツールを提供することができる。オプトレチノグラフィでは、典型的には2秒以下の期間にわたって順次付与される単一の光閃光又は2回以上の光閃光によって網膜が刺激されている間に、OCTデータが取得される。場合によっては、OCTデータは、網膜が例えば20~30秒の期間にわたって数百又は数千回の光閃光によって刺激されている間に高いデータレートで取得されてもよく、次いで、刺激に対する網膜応答の表示を提供するために、付与された光刺激のタイミングを定義する情報と相関される。
【0068】
ラインフィールドFD-OCT撮像システム100は、本例示的な実施形態のように、眼に光刺激LSを提供するように配置された光源190と、光刺激に対する網膜の応答の表示を生成するために、光源190からの光刺激によって網膜が繰り返し刺激されている間に撮像システム100が対象の網膜を走査することによって取得された機能的OCT画像データを処理するように配置されたプロセッサ195とを備えることができる。本例示的な実施形態では、プロセッサ195は、機能的OCT画像データとして、一定の期間にわたって網膜の領域を繰り返し撮像する撮像システム100によって生成されたOCT画像データ180と、その期間にわたる一連の時間間隔のそれぞれの時間間隔において光源190による網膜の刺激をそれぞれ示す一連の刺激指標を定義する刺激データとを取得する。
【0069】
プロセッサ195は、例示的な本実施形態のように、例えば、刺激指標ごとに、刺激指標と、網膜が刺激指標に従って刺激されている間に生成されたOCT画像データの一部分に基づく正面画像を含む一連の正面画像のそれぞれの窓処理部分との積を計算することと、前記計算された積を組み合わせて、前記光刺激に対する前記網膜の前記応答の表示を生成することとによって、OCT画像データに基づく一連の正面画像と一連の刺激指標内の刺激指標との間のローリングウィンドウ相関を計算することができる。或いは、プロセッサは、一連の刺激指標における一連の正面画像と刺激指標との間のローリングウィンドウ相関を、各刺激指標について、(i)刺激指標及び所定数の隣接する刺激指標を含むウィンドウ内の刺激指標と、(ii)ウィンドウ内の刺激指標に従って網膜が刺激されている間に生成されたOCT画像データの一部分に基づく一連の正面画像の正面画像との間の相関を計算することによって計算することができ、プロセッサは、計算された相関を組み合わせることによって光刺激に対する網膜の応答の表示をさらに生成することができる。
【0070】
ラインフィールドFD-OCT撮像システム100のプロセッサ195が、網膜が光刺激によって繰り返し刺激されている間に網膜を撮像するラインフィールドFD-OCT撮像システム100によって取得された機能的OCT画像データを処理して、光刺激に対する網膜の応答の表示を生成する方法のさらなる詳細は、米国特許第11,540,712号から得ることができ、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。取得された一連のB走査のうちのB走査を参照して本特許に記載されている処理演算は、必要な変更を加えて、本例示的な実施形態における取得された一連の正面画像のうちの正面画像の処理に適用される。
【0071】
しかしながら、ラインフィールドFD-OCT撮像システム100は、例えば、その内容は全体が参照により本明細書に組み込まれる、D.Hillmannらによる、「In vivo optical imaging of physiological responses to photostimulation in human photoreceptors」、と題する論文Proceedings of the National Academy of Sciences、第113巻、第46号、13138~13143ページ(2016年10月11日)に記載されている機能的OCTへのアプローチを使用して、他の技術によって光刺激に対する網膜の応答を測定するように配置することができる。一般に、光刺激に対する網膜の応答は、網膜を少なくとも1回の閃光で刺激し、閃光前、閃光中、及び閃光後(任意選択的に)の網膜の一部分のOCTスキャンを記録し、(時間で分離された)OCTスキャン間の差を使用して網膜の応答を測定することによって測定され得る。位相感受性アプローチを使用して、このようにして網膜の応答を測定することができる。
【0072】
OCTデータ処理ハードウェア160及びプロセッサ195は、任意の適切な形態で、例えば、図7に概略的に示されている種類のプログラマブル信号処理ハードウェア600として提供されてもよい。プログラマブル信号処理装置600は、光検出器140から検出信号Sdを受信し、コンピュータ画面などのディスプレイ上に表示するために、補正された複合容積OCTデータ180及び/又はそのグラフィカル表現(例えば、補正された複合容積OCTデータ180の正面投影又は1又は複数のB走査の形態で)を出力するための通信インターフェース(I/F)610を備える。信号処理ハードウェア600は、プロセッサ(例えば、中央処理装置、CPU、及び/又はグラフィックス処理装置、GPU)620と、ワーキングメモリ630(例えば、ランダムアクセスメモリ)と、プロセッサ620によって実行されると、プロセッサ620に本明細書に記載のOCTデータ処理ハードウェア160の機能を含む様々な機能を実行させるコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラム645を格納する命令ストア640とをさらに備える。ワーキングメモリ630は、コンピュータプログラム645の実行中にプロセッサ620によって使用される情報を格納する。命令ストア640は、コンピュータ可読命令が予めロードされたROM(例えば、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)又はフラッシュメモリの形態で)を備えることができる。或いは、命令ストア640は、RAM又は同様の種類のメモリを備えることができ、コンピュータプログラム645のコンピュータ可読命令は、CD-ROM、DVDROMなどの形態の非一時的コンピュータ可読記憶媒体650又はコンピュータ可読命令を搬送するコンピュータ可読信号660などのコンピュータプログラム製品から入力することができる。いずれの場合でも、コンピュータプログラム645は、プロセッサ620によって実行されると、本明細書で説明するように、プロセッサ620に、OCTデータ処理ハードウェア160の機能、及び任意選択でプロセッサ195(機能的OCTデータ処理ハードウェア)の機能も実行させる。言い換えれば、例示的な実施形態のOCTデータ処理ハードウェア160は、コンピュータプロセッサ620と、コンピュータプロセッサ620によって実行されると、コンピュータプロセッサ620に、光検出器140からの検出信号Sdに基づいて撮像対象130の複合容積OCTデータ170であって、複合容積OCTデータ170は、複合容積OCTデータ170の正面投影及び/又は1又は複数のB走査で観察され得る光学収差を有する、複合容積OCTデータ170を生成させるコンピュータ可読命令を格納するメモリ640とを備えることができる。さらに、コンピュータ可読命令は、コンピュータプロセッサ620によって実行されると、コンピュータプロセッサ620に、補正アルゴリズム161を実行させて、上述したように、複合容積OCTデータ170から成分の少なくとも一部を除去して、補正された複合容積OCTデータ180を生成させる。さらに、プロセッサ195は、コンピュータプロセッサ620と、コンピュータプロセッサ620によって実行されると、コンピュータプロセッサ620に、光刺激に対する網膜の応答の表示を生成するために、網膜が光源190からの光刺激によって繰り返し刺激されている間に対象の網膜を走査する撮像システムによって取得された機能的OCT画像データを処理させるコンピュータ可読命令を格納するメモリ640とを備えることができる。
【0073】
しかしながら、OCTデータ処理ハードウェア160(及び/又はプロセッサ195、設けられている場合)は、代替的に、ASIC、FPGA、又は上述のOCTデータ処理ハードウェア160の機能(場合によっては、プロセッサ195の機能)を実行する専用の他の集積回路などの非プログラマブルハードウェア、又は図7を参照して上述したそうした非プログラマブルハードウェアとプログラマブルハードウェアとの組み合わせで実装されてもよいことに留意されたい。
【0074】
(第2の例示的な実施形態)
図8は、本明細書の第2の例示的な実施形態によるフルフィールドSS-OCT撮像システム700の概略図である。フルフィールドSS-OCT撮像システム700は、広視野(WF)又は超広視野(UWF)OCT撮像システムであってもよく、掃引照明源710、移送システム720、光検出器740、干渉計750及びOCTデータ処理ハードウェア760を備える。第1の例示的な実施形態と同じ参照符号でラベル付けされる図示の構成部品及び要素は同じであり、繰り返し説明しない。
【0075】
掃引照明源710は、その波長がフルフィールド掃引光源OCT撮像システム700による撮像中に値の範囲にわたって掃引される光ビームLBを生成するように配置される。例えば、掃引照明源710は、本例示的な実施形態のように、フルフィールド走査中に波長が波長値の範囲にわたって掃引される実質的に単色の光を出力するように配置された掃引光源レーザであってもよい。
【0076】
移送システム720は、第1の焦点FP5及び共役の第2の焦点FP6を有する曲面ミラー722を備える。曲面ミラー722は、本例示的な実施形態のように、放物面ミラーであってもよい。しかしながら、曲面ミラー722は、代替的に、楕円ミラー、回転楕円鏡、放物面又は双曲面のような円錐断面の形状などの非球面反射面を有する任意の反射構成要素であってもよく、又はより一般的には、二変数の1又は複数の多項式関数によって記述される形状を有してもよい。
【0077】
移送システム720は、掃引照明源710によって生成された光ビームLBを第1の焦点FP5に集束させるように配置された集束システム721をさらに備える。例えば、集束システム721は、シリンドリカルレンズを含むことができる少なくとも1つのレンズを備えることができる。曲面ミラー722は、第1の焦点FP5に集束された光ビームLBを第2の焦点FP6の近傍に位置する撮像対象130に導き、撮像対象130の撮像中に撮像対象130をフルフィールド照明するように配置される。曲面ミラー722は、撮像対象130の撮像中に撮像対象130によって散乱され、曲面ミラー722によって錯乱された光を受光して、デフォーカス又は歪みの少なくとも一方を含む錯乱光ビームLA´を形成するようにさらに配置される。
【0078】
眼科用途では、曲面ミラー722は、渦静脈膨大部の後縁まで網膜の中央周辺部を取り込むように、光ビームLBが約60度~100度の視野に対応する眼底の領域を照射することを可能にすることによって、フルフィールドFD-OCT撮像システム700がWF OCT撮像システムとして機能することを可能にし得る。照明領域はまた、網膜の異なる領域を撮像するためにUWF撮像システムの周りで(例えば、ガルボミラーを用いて)操作することができる。或いは、曲面ミラー722は、渦静脈膨大部の前縁及びそれ以降を含む網膜の遠方周辺部を取り込むように、光ビームLBが約110度~220度の視野に対応する眼底の領域を照射することを可能にすることによって、フルフィールドFD-OCT撮像システム100がUWF OCT撮像システムとして機能することを可能にし得る。
【0079】
光検出器740は、光検出素子741の2次元アレイを備える。光検出素子741の2次元アレイは、本例示的な実施形態のように、光検出素子(すなわち、直交する行及び列を形成するように正方形の格子状に配置された複数の光検出器要素)の正方形グリッドであってもよい。しかしながら、アレイの形態はそのように限定されず、任意の代替形態をとることができる。光検出素子は、例えば、代わりに長方形グリッド又は三角形グリッドに配置されてもよい。光検出素子は、例えば、電荷結合素子のフォトダイオード、フォトトランジスタ、又はキャパシタであってもよい。
【0080】
干渉計750は、曲面ミラー722によって受光された錯乱戻り光ビームLA´の少なくとも一部分を受光し、基準光LR´と錯乱戻り光ビームLA´の少なくとも一部分との間の干渉から生じる干渉光LI´を生成し、干渉光LI´を光検出素子741の2次元アレイ上に(好ましくはその全体を)投影するように配置される。言い換えれば、基準光LR´と、撮像中に移送システム720から干渉計750によって受光された錯乱光線LA´の最小セグメントとは、互いに一致して干渉するように誘導され、結果として生じる光の干渉線LI´は、光検出素子741のアレイに向けられ、前記アレイによって受光される。干渉計750は、本例示的な実施形態のように、ビームスプリッタを使用して基準光LR´及び錯乱光線LA´の少なくとも一セグメントを干渉させるマイケルソン干渉計であってもよい。しかしながら、フルフィールドOCTに適した任意の自由空間干渉計、例えばマッハツェンダ干渉計を使用してもよい。
【0081】
したがって、光検出器740は、撮像中に光検出素子741の2次元アレイ上に投影された干渉光LI´を検出し、検出された干渉光LI´に基づいて検出信号Sdを生成するように配置される。光検出器740は、光検出素子に入射した干渉光LI´を光電変換することにより、検出信号Sdを生成する。
【0082】
光検出素子741の2次元アレイの光検出素子は、第1の方向及び第1の方向に垂直な第2の方向に配列される。第1及び第2の方向における光検出素子741の2次元アレイのサイズは、本例示的な実施形態のように、それぞれの方向における光検出素子741の2次元アレイ上への干渉光LI´の投影PIの最大サイズよりも広くてもよく、光検出素子741の2次元アレイ上への干渉光LI´投影PIは、複数の光検出素子によって両方向に広げられる。投影PIの最大サイズは、本例示的な実施形態のように、干渉光LI´からの光が光検出素子(すなわち、光強度が、光検出素子によって検出可能な最小光強度を上回る場合)によって検出可能な方向の最も遠い点と、干渉光LI´からの光が光検出素子(すなわち、光強度が光検出素子によって検出可能な最小光強度を上回る場合)によって検出可能な対向する方向の最も遠い点との間の方向の変位であってもよい。なお、投影PIの最大サイズは、他の方法で、例えば、干渉光LIの強度が、第1の方向のそれぞれの位置で第2の方向のピーク強度値(又は投影された干渉光LI´全体のピーク強度値)の0.1%、1%、5%、又は10%に低下する、第1の方向に沿った位置の間の干渉光LI´の第2の方向における幅のうちの最大の幅として定義されてもよい。
【0083】
光検出器740によって生成された検出信号Sdは、デフォーカス及び/又は歪みに関する情報(より具体的には、測定された強度及び位相が空間的にどのように分布しているかに関する情報)を含み、前記検出信号Sdは、後述するように、OCTデータ処理ハードウェア760によって実行される補正アルゴリズム161によって使用されて、取得されたOCTデータ170のデフォーカス及び/又は歪みをデジタル的に補正することができる。
【0084】
OCTデータ処理ハードウェア760は、ラインフィールドシステムではなくフルフィールドからの検出信号Sdを処理するように適合されていることを除いて、OCTデータ処理ハードウェア160と同じである。撮像対象の複合容積OCTデータ170が生成されると、第1の例示的な実施形態で説明したように、補正アルゴリズム161を使用して補正された複合容積OCTデータ180を生成することができる。一般に、第2の例示的な実施形態における補正アルゴリズム161は、結果の逆フーリエ変換を行う前に、フーリエ領域内の複合容積OCTデータ170に位相フィルタを適用する。位相フィルタは、複合容積OCTデータ170の正面投影においてデフォーカス/歪みを生じさせる位相誤差を低減又は除去するように選択される。適切な位相フィルタは、フルフィールドFD-OCT撮像システム700の数学的モデルから導出することができる。
【0085】
第1の例示的な実施形態に記載されている補正アルゴリズムのさらなる例として、補正アルゴリズム161は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Hillmannらによる、「Aberration-free volumetric high-speed imaging of in vivo retina」と題する論文Sci Rep 6、2016年10月20日に記載されている収差補正アルゴリズムの形態をとることができる。記載された収差補正アルゴリズムでは、ゼルニケ多項式を使用して、仮定された位相誤差波面のパラメータ化に基づいて、位相フィルタを使用して形成された補正された画像の画像鮮鋭度の定量化された尺度のシャノンエントロピーの最適化が実行される。最適化は、滑降シンプレックスアルゴリズムの2段階アプローチ、及び推定される大域的最小値に近づくと、共役勾配法などの勾配ベースのアルゴリズムを介してシャノンエントロピーを最小化するゼルニケ係数を見つける。これらの最適化されたゼルニケ係数に基づく位相フィルタは、補正された画像を形成するために使用される。
【0086】
しかしながら、補正アルゴリズム161は上記の例、又は第1の例示的な実施形態に限定されないことに留意されたい。補正アルゴリズム161は、例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、A.Kumarらによる「Numerical focusing methods for full field OCT:a comparison based on a common signal model」、Opt.Express 22、16061~16078ページ(2014)に開示及び/又は参照される、部分開口相関関係アルゴリズムに基づく、順モデル、逆散乱、又はデジタル適応光学などの焦点合わせ補正アルゴリズムのうちの1つの代替の形態をとることができる。
【0087】
フルフィールドSS-OCT撮像システム700は、本例示的な実施形態のように、第1の例示的な実施形態の光源190及びプロセッサ195と同じ構造及び機能を有する光源770及びプロセッサ780を備えてもよい。
【0088】
図9は、複合容積OCTデータに符号化された位相情報を処理して複合容積OCTデータを補正する、第1の例示的な実施形態又は第2の例示的な実施形態のいずれかのOCTデータ処理ハードウェア160、760が、補正アルゴリズム161を実行することによって補正された複合容積OCTデータ180を生成するプロセス(複合容積OCTデータ補正アルゴリズム)を示す流れ図である。
【0089】
図9のプロセスS10では、OCTデータ処理ハードウェア160、760は、例えば、OCTデータ処理ハードウェア160、760からこのデータを受信することによって、例えば、OCTデータ処理ハードウェア160、760のメモリ(例えば、図7に示すワーキングメモリ630)からデータを取得することによって、(場合によっては)ライン走査フーリエ領域OCT撮像システム100又はフルフィールドフーリエ領域OCT撮像システム700によって生成された、内部に収差を有する撮像対象130の複合容積OCTデータを取得する。
【0090】
次に、図9のプロセスS20では、OCTデータ処理ハードウェア160、760は、上述の補正アルゴリズム161を実行することによって、補正された複合容積OCTデータ180を生成する。
【0091】
図9のプロセスは、コンピュータプログラムが1又は複数のプロセッサによって実行されるときに複合容積OCTデータ補正コンピュータプログラムに含まれる命令に従って動作する、図7を参照して上述したプログラマブル信号処理ハードウェア600の形態で実装されたOCTデータ処理ハードウェア160、760によって実施することができる。このコンピュータプログラムは、CD-ROM、DVDROMなどの形態の非一時的コンピュータ可読記憶媒体、又はコンピュータ可読命令を搬送するコンピュータ可読信号などのコンピュータプログラム製品に格納され得る。
【0092】
複合容積OCTデータ補正コンピュータプログラムは、検出信号Sdに基づいて撮像対象130の複合容積OCTデータも生成するコンピュータプログラムの一部を形成してもよく、又は、代替的に、検出信号Sdに基づいて撮像対象130の複合容積OCTデータを生成する同じ1又は複数のプロセッサによって実行されてもされなくてもよい別個のプログラムであってもよい。複合容積OCTデータ補正コンピュータプログラムが第1のセットの1又は複数のプロセッサによって実行される実施態様では、撮像対象130の複合容積OCTデータが第2のセットの(異なる)1又は複数のプロセッサによる検出信号Sdに基づいて生成される間、第1のセットの1又は複数のプロセッサは、2つのセットのプロセッサ間の適切なインターフェースを介して第2のセットの1又は複数のプロセッサからこのデータを受信することによって、図9のプロセスS10において撮像対象130の複合容積OCTデータを取得することができる。
【0093】
図9を参照して上述したコンピュータ実装方法は、第1の例示的な実施形態のライン走査フーリエ領域OCT撮像システム100又は第2の例示的な実施形態のフルフィールドフーリエ領域OCT撮像システム700のいずれかによって生成された撮像対象130の複合容積OCTデータを処理する方法の一部を形成することができ、本方法は、図9のプロセスS10において撮像対象130の複合容積OCTデータを取得する前に、撮像対象130の複合容積OCTデータを生成するために撮像対象130をライン走査フーリエ領域OCT撮像システム100(又は、場合によっては、フルフィールドフーリエ領域OCT撮像システム700)が撮像することを含む。言い換えれば、完全にコンピュータによって実装されない図9の方法の変形例では、プロセスS10は、ライン走査フーリエ領域OCT撮像システム100(又は、場合によっては、フルフィールドフーリエ領域OCT撮像システム700)を使用して、撮像対象130を撮像して複合容積OCTデータを生成することによって、撮像対象130の複合OCTデータを取得することを含むことができる。
【0094】
前述の説明では、いくつかの例示的な実施形態を参照して例示的な態様が説明されている。したがって、本明細書は、限定的ではなく例示的であると見なされるべきである。同様に、例示的な実施形態の機能及び利点を強調する図面に示されている図は、例示のみを目的として提示されている。本例示的な実施形態のアーキテクチャは、十分に柔軟で構成可能であり、添付の図に示されている方法以外の方法で利用することができる。
【0095】
コントローラの機能など、本明細書に提示される例のいくつかの態様は、1つの例示的な実施形態では、各々が非一時的であり得る、機械アクセス可能又は機械可読媒体、命令ストア、又はコンピュータ可読記憶装置などの製造品に含まれるか又は格納された命令又は一連の命令を有する1又は複数のプログラムなどのコンピュータプログラム又はソフトウェアとして提供されてもよい。非一時的な機械アクセス可能媒体、機械可読媒体、命令ストア、又はコンピュータ可読記憶装置上のプログラム又は命令は、コンピュータシステム又は他の電子デバイスをプログラムするために使用されてもよい。機械又はコンピュータ可読媒体、命令ストア、及び記憶装置は、限定はしないが、フロッピー(登録商標)ディスケット、光ディスク、及び光磁気ディスク、又は電子命令を格納又は送信するのに適した他の種類の媒体/機械可読媒体/命令ストア/記憶デバイスを含むことができる。本明細書に記載の技法は、いかなる特定のソフトウェア構成にも限定されない。それらは、任意のコンピューティング又は処理環境において適用可能性を見出すことができる。本明細書で使用される「コンピュータ可読」、「機械アクセス可能媒体」、「機械可読媒体」、「命令ストア」、及び「コンピュータ可読記憶装置」という用語は、機械、コンピュータ、又はコンピュータプロセッサによる実行のための命令又は一連の命令を格納、符号化、又は送信することができ、機械/コンピュータ/コンピュータプロセッサに本明細書に記載の方法のいずれか1つを実施させる任意の媒体を含むものとする。さらに、当技術分野では、措置を講じる又は結果を引き起こす、1つの形態又は別の形態(例えば、プログラム、手順、プロセス、アプリケーション、モジュール、ユニット、論理など)のソフトウェアについて話すことが一般的である。そのような表現は、処理システムによるソフトウェアの実行がプロセッサに結果を生成するための動作を実施させることを述べる簡単な方法にすぎない。
【0096】
コントローラの機能の一部又はすべてはまた、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイの調製によって、又は従来の構成要素回路の適切なネットワークを相互接続することによって実装されてもよい。
【0097】
コンピュータプログラム製品は、本明細書に記載の例示的な実施形態の手順のいずれかをコンピュータ又はコンピュータプロセッサに実施するように制御する又は実施させるために使用することができる命令が格納された1若しくは複数の記憶媒体、1若しくは複数の命令ストア、又は1若しくは複数の記憶装置の形態で提供することができる。記憶媒体/命令ストア/記憶装置は、限定ではなく例として、光ディスク、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、DRAM、VRAM、フラッシュメモリ、フラッシュカード、磁気カード、光カード、ナノシステム、分子メモリ集積回路、RAID、リモートデータ記憶装置/アーカイブ/倉庫保管、及び/又は命令及び/又はデータを格納するのに適した任意の他の種類の装置を含むことができる。
【0098】
1若しくは複数のコンピュータ可読媒体、1若しくは複数の命令ストア、又は1若しくは複数の記憶装置のいずれか1つに格納されて、いくつかの実装形態は、システムのハードウェアの両方を制御し、システム又はマイクロプロセッサが本明細書に記載の例示的な実施形態の結果を利用して人間のユーザ又は他の機構と対話することを可能にするためのソフトウェアを含む。そのようなソフトウェアは、限定はしないが、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、及びユーザアプリケーションを含むことができる。最後に、そのようなコンピュータ可読媒体又は記憶装置(複数可)は、上述のように、本発明の例示的な態様を実施するためのソフトウェアをさらに含む。
【0099】
システムのプログラミング及び/又はソフトウェアには、本明細書に記載の手順を実装するためのソフトウェアモジュールが含まれる。本明細書のいくつかの例示的な実施形態では、モジュールはソフトウェアを含むが、本明細書の他の例示的な実施形態では、モジュールはハードウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせを含む。
【0100】
以上、本発明の様々な例示的な実施形態を説明したが、それらは限定ではなく例として提示されていることを理解されたい。当業者(複数可)には、形態及び詳細の様々な変更を行うことができることが明らかであろう。したがって、本発明は、上述の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物に従ってのみ定義されるべきである。
【0101】
さらに、要約書の目的は、特許庁及び一般の人々、特に特許又は法律用語又は表現に精通していない科学者、技術者及び実務家が、大まかな検査から本出願の技術的開示の性質及び本質を迅速に判定することを可能にすることである。要約書は、本明細書に提示される例示的な実施形態の範囲に関して決して限定することを意図するものではない。また、特許請求の範囲に記載された手順は、提示された順序で実行される必要はないことも理解されたい。
【0102】
本明細書は多くの特定の実施形態の詳細を含むが、これらは、任意の発明又は特許請求され得るものの範囲に対する限定として解釈されるべきではなく、むしろ本明細書に記載された特定の実施形態に特有の特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実施形態の文脈で本明細書に記載されている特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて実装することもできる。逆に、単一の実施形態の文脈で説明される様々な特徴は、複数の実施形態において別々に、又は任意の適切な部分的組み合わせで実装することもできる。さらに、特徴は、特定の組み合わせで作用するものとして上記で説明され、最初にそのように特許請求されてもよいが、特許請求される組み合わせからの1又は複数の特徴は、場合によっては、組み合わせから削除され得、特許請求される組み合わせは、部分的な組み合わせ又は部分的な組み合わせの変形を対象とし得る。
【0103】
特定の状況では、マルチタスク処理及び並列処理が有利であり得る。さらに、上述の実施形態における様々な構成要素の分離は、すべての実施形態においてそのような分離を必要とすると理解されるべきではなく、記載されたプログラム構成要素及びシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品に一緒に統合されるか、又は複数のソフトウェア製品にパッケージ化され得ることを理解されたい。
【0104】
ここでいくつかの例示的な実施形態及び実施形態を説明してきたが、上記は例示的であり、限定的ではなく、例として提示されていることは明らかである。特に、本明細書に提示される例の多くは、装置又はソフトウェア要素の特定の組み合わせを含むが、それらの要素は、同じ目的を達成するために他の方法で組み合わされてもよい。1つの実施形態に関連してのみ論じられる動作、要素、及び特徴は、他の実施形態又は実施形態における同様の役割から除外されることを意図しない。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-04-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラインフィールドフーリエ領域光コヒーレンストモグラフィ(OCT)撮像システムであって、
光線を生成するように配置されたラインフィールド照明源と、
走査素子と、第1の焦点及び共役の第2の焦点を有する曲面ミラーとを備える走査システムであって、前記走査素子は、前記第1の焦点に配置され、前記曲面ミラーを介して撮像対象にわたって前記光線の少なくとも一セグメントを走査することによって、前記第2の焦点を介して前記撮像対象の走査を実施するように配置され、前記走査素子は、前記曲面ミラーを介して、走査中に前記撮像対象によって散乱され、前記曲面ミラーによって錯乱された光を受光して、デフォーカス又は歪みの少なくとも一方を含む錯乱光線を形成するようにさらに配置される、走査システムと、
光検出素子のアレイを備える光検出器と、
前記走査素子を介して前記錯乱光線の少なくとも一セグメントを受光し、基準光と前記走査素子を介して受光した前記錯乱光線の前記少なくとも一セグメントとの間の干渉から生じる光の干渉線を生成し、前記光の干渉線を前記光検出素子のアレイ上に投射するように配置された干渉計であって、
前記光検出器が、前記走査中に前記光検出素子のアレイ上に投影された前記光の干渉線を検出し、前記検出された光の干渉線に基づいて検出信号を生成するように配置される、干渉計と、
OCTデータ処理ハードウェアであって、
前記検出信号に基づいて、その中に光学収差を有する、前記撮像対象の複合容積OCTデータを生成し、
補正された複合容積OCTデータが前記複合容積OCTデータよりも光学収差が小さくなるように、前記複合容積OCTデータに符号化された位相情報を使用して前記複合容積OCTデータを補正する補正アルゴリズムを実行することによって、補正された複合容積OCTデータを生成するように配置されたOCTデータ処理ハードウェアと、
を備える、ラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項2】
前記ラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システムは、ラインフィールド掃引光源OCT撮像システムであり、
前記ラインフィールド照明源は、前記光線を生成するように配置された掃引ラインフィールド照明源であり、
前記光検出素子のアレイは、光検出素子の1次元アレイであり、前記光検出素子の前記1次元アレイの前記光検出素子は、前記光の干渉線の前記光検出素子の1次元アレイ上への投影の長さに沿って配列される、請求項1に記載のラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項3】
前記1次元アレイの前記光検出素子は、前記光検出素子の前記1次元アレイ上への前記光の干渉線の前記投影の長さに垂直な方向に幅を有し、前記幅は、前記光の干渉線の前記光検出素子の1次元アレイ上への前記投影の最大幅よりも広い、請求項2に記載のラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項4】
前記ラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システムは、ラインフィールド掃引光源OCT撮像システムであり、
前記ラインフィールド照明源は、掃引ラインフィールド照明源であり、
前記光検出素子のアレイは、光検出素子の2次元アレイであり、前記光検出素子の2次元アレイの前記光検出素子は、前記光の干渉線の前記光検出素子の2次元アレイ上への投影の長さに沿って第1の方向、及び前記第1の方向に垂直な第2の方向に配列される、請求項1に記載のラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項5】
前記第2の方向における前記光検出素子の2次元アレイの幅は、前記光の干渉線の前記光検出素子の2次元アレイ上への前記投影の最大幅よりも広く、
前記光の干渉線の前記光検出素子の2次元アレイ上への前記投影は、複数の前記光検出素子によって前記第2の方向に広げられる、請求項4に記載のラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項6】
前記ラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システムは、ラインフィールドスペクトル領域OCT撮像システムであり、
前記ラインフィールド照明源は、前記光線を生成するように配置された広帯域ラインフィールド照明源であり、
前記光検出素子のアレイは、光検出素子の2次元アレイであり、
前記光検出器は、回折素子と、前記光検出素子の2次元アレイとを備える2次元分光計を備え、前記回折素子は、前記光検出素子の2次元アレイにわたる前記光の干渉線のスペクトル内容を、前記光検出素子の1次元アレイへの前記光の干渉線の投影が延在する第2の方向に垂直な第1の方向に分散させるように配置され、前記2次元アレイの前記光検出素子は、前記第1の方向及び前記第2の方向に配列される、請求項1に記載のラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項7】
前記走査素子は、走査中の前記撮像対象の表面上への前記光線の前記少なくとも一セグメントの投影が第1の方向に沿って互いに対して変位するように、前記撮像対象の表面にわたって前記第1の方向に前記光線の前記少なくとも一セグメントを走査するように配置された第1の走査素子であり、
前記走査システムは、前記ラインフィールド照明源からの前記光線の前記少なくとも一セグメントを前記第1の走査素子に向けて反射するように配置され、前記第1の方向に垂直な第2の方向、及び前記第2の方向とは反対の第3の方向に、前記第1の走査素子が前記撮像対象の表面にわたって前記光線の前記少なくとも一セグメントを走査する位置を変更するように配置された第2の走査素子をさらに備える、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項8】
前記第1の走査素子は、前記変更の前後の両方で、前記撮像対象の前記表面にわたって前記第1の方向に、又は前記撮像対象の前記表面にわたって前記第1の方向とは反対の方向に、前記光線の前記少なくとも一セグメントを走査するように配置される、請求項7に記載のラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項9】
前記曲面ミラーは、円対称の軸を有する回転楕円鏡であり、前記走査素子は、前記回転楕円鏡に入射する前記光線の前記少なくとも一セグメントが前記回転楕円鏡の前記円対称の軸に平行な平面内を伝播するように、前記回転楕円鏡を介して前記撮像対象にわたって前記光線の少なくとも一セグメントを走査することによって前記撮像対象の走査を実施するように配置される、請求項1から請求項のいずれか一項に記載のラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項10】
前記曲面ミラーは、回転楕円鏡であり、
前記光線の前記少なくとも一セグメントが投影される、前記回転楕円鏡の一部分が、前記円対称の軸に平行であり、かつこれを通る平面を中心とした反射対称性を有するように、前記走査素子は、前記回転楕円鏡を介して前記撮像対象にわたって前記光線の前記少なくとも一セグメントを走査することによって前記撮像対象の前記走査を実施するように配置される、請求項1から請求項のいずれか一項に記載のラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項11】
第1の領域及び前記第1の領域を取り囲む第2の領域を有するマスクをさらに備え、前記第1の領域は前記第2の領域よりも高い透明度を有し、前記マスクは両方ともラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム内に位置し、前記光の干渉線の少なくとも一部が前記光検出素子のアレイに伝播することを可能にし、前記光の干渉線以外の光が前記光検出素子のアレイに伝播するのを少なくとも部分的に防止するように成形された前記第1の領域を有する、請求項1から請求項のいずれか一項に記載のラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項12】
光源をさらに備え、前記ラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システムは、前記光源によって生成された光刺激に対する眼の網膜の応答を測定するように配置される、請求項1から請求項のいずれか一項に記載のラインフィールドフーリエ領域OCT撮像システム。
【請求項13】
フルフィールド掃引光源光コヒーレンストモグラフィ(OCT)撮像システムであって、
前記フルフィールド掃引光源OCT撮像システムによる撮像中にその波長が値の範囲にわたって掃引される光ビームを生成するように配置された掃引照明源と、
第1の焦点及び共役の第2の焦点を有する曲面ミラーを備える移送システムであって、前記移送システムは、前記掃引照明源によって生成された前記光ビームを前記第1の焦点に集束させるように配置される集束システムをさらに備え、前記曲面ミラーは、撮像対象の撮像中に前記撮像対象のフルフィールド照明を提供するように、前記第1の焦点に集束された前記光ビームを前記第2の焦点を介して前記撮像対象に誘導するように配置され、前記曲面ミラーは、前記撮像対象の前記撮像中に前記撮像対象によって散乱され、前記曲面ミラーによって錯乱された光を受光して、デフォーカス又は歪みのうちの少なくとも一方を含む錯乱光ビームを形成するようにさらに配置される、移送システムと、
光検出素子の2次元アレイを含む光検出器と、
前記曲面ミラーによって受光された前記光の少なくとも一部分を受光し、基準光と前記錯乱光ビームの前記少なくとも一部分との間の干渉に起因する干渉光を生成し、前記干渉光を前記光検出素子の2次元アレイ上に投影するように配置された干渉計であって、
前記光検出器は、前記撮像中に前記光検出素子の2次元アレイ上に投影された前記干渉光を検出し、前記検出された干渉光に基づいて検出信号を生成するように配置される、干渉計と、
OCTデータ処理ハードウェアであって、
前記検出信号に基づいて、内部に収差を有する、前記撮像対象の複合容積OCTデータを生成し、
補正された複合容積OCTデータが前記複合容積OCTデータよりも収差が小さくなるように、前記複合容積OCTデータに符号化された位相情報を使用して前記複合容積OCTデータを補正する補正アルゴリズムを実行することによって、前記補正された複素容積OCTデータを生成するように配置された、OCTデータ処理ハードウェアと、
を備える、フルフィールド掃引光源OCT撮像システム。
【請求項14】
光源をさらに備え、前記フルフィールド掃引光源OCT撮像システムは、前記光源によって生成された光刺激に対する眼の網膜の応答を測定するように配置される、請求項13に記載のフルフィールド掃引光源OCT撮像システム。
【請求項15】
請求項1に記載のライン走査フーリエ領域OCT撮像システム又は請求項13に記載のフルフィールドフーリエ領域OCT撮像システムのいずれかによって生成された撮像対象の複合容積OCTデータを処理するコンピュータ実装方法であって、
前記撮像対象の前記複合容積OCTデータであって、前記複合容積OCTデータが、内部に光学収差を有する、前記複合容積OCTデータを取得することと、
補正された複合容積OCTデータが前記複合容積OCTデータよりも光学収差が小さくなるように、前記複合容積OCTデータに符号化された位相情報を使用して前記複合容積OCTデータを補正する補正アルゴリズムを実行することによって、前記補正された複素容積OCTデータを生成することと、
を含む、方法。
【外国語明細書】