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特開2024-146950シート包装体およびシート集合包装体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146950
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】シート包装体およびシート集合包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20241004BHJP
   A47K 10/16 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B65D83/08 A
A47K10/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024095326
(22)【出願日】2024-06-12
(62)【分割の表示】P 2023057536の分割
【原出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 祥子
【テーマコード(参考)】
2D135
3E014
【Fターム(参考)】
2D135AA12
2D135AA20
2D135AB02
2D135AB03
2D135AB06
2D135AB11
2D135BA11
3E014LA09
(57)【要約】
【課題】コンパクト化とシートの取出性低下の抑制を両立するシート包装体を提供すること。
【解決手段】複数枚のシートが積層された直方体状のシート積層体と、前記シート積層体を収容する樹脂フィルム製の包装袋と、前記包装袋の天面に形成されて前記シートが引き出される取出口と、を有するシート包装体であって、前記シート包装体は、前記シート積層体が締め付けられた状態で前記包装袋に収容されたものであり、前記シート包装体の容積が、前記包装袋に収容される前の前記シート積層体の容積に対して90%以上99%以下であり、シート包装体。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のシートが積層された直方体状のシート積層体と、前記シート積層体を収容する樹脂フィルム製の包装袋と、前記包装袋の天面に形成されて前記シートが引き出される取出口と、を有するシート包装体であって、
前記シート包装体は、前記シート積層体が締め付けられた状態で前記包装袋に収容されたものであり、
前記シート包装体の容積が、前記包装袋に収容される前の前記シート積層体の容積に対して90%以上99%以下である、シート包装体。
【請求項2】
前記シート包装体の高さ方向の硬さRHが、4%以上10%以下である、請求項1に記載のシート包装体。
【請求項3】
前記シート包装体の短手方向の硬さRSが、2%以上5%以下である、請求項1に記載のシート包装体。
【請求項4】
前記シート包装体の長手方向の硬さRLが、0.1%以上4%以下である、請求項1に記載のシート包装体。
【請求項5】
前記シート包装体の長手方向において、前記取出口の長さが前記天面の長さに対して20%以上90%以下であり、
前記シート包装体の短手方向において、前記取出口の幅が前記天面の幅に対して20%以上40%以下である、請求項1に記載のシート包装体。
【請求項6】
前記取出口の形状が、平面視で瓢箪形状またはダンベル形状である、請求項1に記載のシート包装体。
【請求項7】
前記シートが保湿剤を含有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシート包装体。
【請求項8】
複数枚のシートが積層された直方体状のシート積層体と、前記シート積層体を収容する樹脂フィルム製の包装袋と、前記包装袋の天面に形成されて前記シートが引き出される取出口と、を有するシート包装体が複数集積された集合体と、
前記集合体を収容する樹脂フィルム製の集合包装袋と、を有するシート集合包装体であって、
前記シート集合包装体は、前記集合体が締め付けられた状態で前記集合包装袋に収容されたものであり、
前記シート集合包装体の容積が、前記集合包装袋に収容される前の前記集合体の容積に対して85%以上95%以下である、シート集合包装体。
【請求項9】
前記シート集合包装体の高さ方向の硬さARHが、2%以上6%以下である、請求項8に記載のシート集合包装体。
【請求項10】
前記集合体は、前記シート包装体の高さ方向に、一方の前記シート包装体の底面が他方の前記シート包装体の前記天面に対面するように、2個以上10個以下の前記シート包装体が集積されている、請求項8に記載のシート集合包装体。
【請求項11】
前記シート包装体の長手方向に、一方の前記シート包装体の一方の短側面が他方の前記シート包装体の他方の短側面に対面するように、2個以上3個以下の前記シート包装体が集積されている、請求項8に記載のシート集合包装体。
【請求項12】
前記シート包装体の短手方向に、一方の前記シート包装体の一方の長側面が他方の前記シート包装体の他方の長側面に対面するように、2個以上3個以下の前記シート包装体が集積されている、請求項8に記載のシート集合包装体。
【請求項13】
前記シートが保湿剤を含有する、請求項8乃至12のいずれか一項に記載のシート集合包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート包装体およびシート集合包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
ティシュペーパー等の衛生薄葉紙は、そのウェブが厚紙の箱に収容されたカートンタイプが普及しているが、運搬、保管、廃棄、環境負荷、コスト等の観点から、近年は、樹脂フィルム製の包装袋にウェブが収容されたフィルムパックの需要が高まっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、フィルムパックの個包装体は、さらにフィルム状の包装袋に複数収容された集合包装体として流通する(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-177901号公報
【特許文献2】特開2021-54517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
運搬効率の向上やフィルム樹脂原料の使用量削減等の観点から、フィルムパックのコンパクト化が必須の課題となっているが、フィルムパックをコンパクト化すると、シートがつぶれ、取出し時にシートが詰まったり、破れやすくなる。
【0006】
本発明の課題は、コンパクト化とシートの取出性低下の抑制を両立するシート包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る第1の態様は、複数枚のシートが積層された直方体状のシート積層体と、前記シート積層体を収容する樹脂フィルム製の包装袋と、前記包装袋の天面に形成されて前記シートが引き出される取出口と、を有するシート包装体であって、前記シート包装体は、前記シート積層体が締め付けられた状態で前記包装袋に収容されたものであり、前記シート包装体の容積が、前記包装袋に収容される前の前記シート積層体の容積に対して90%以上99%以下である、シート包装体を提供する。
【0008】
第1の態様では、シート包装体の容積が包装袋に収容される前のシート積層体の容積に対して90%以上99%以下であることで、シート積層体が締め付けられた状態で包装袋に収容されていても、シートがつぶれにくく、シートの詰まりや破れを防ぐことができる。そのため、第1の態様によれば、コンパクト化とシートの取出性低下の抑制を両立するシート包装体を提供することができる。
【0009】
本発明に係る第2の態様は、前記シート包装体の高さ方向の硬さRHが、4%以上10%以下である、第1の態様に記載のシート包装体を提供する。
【0010】
本明細書において、シート包装体の高さ方向の硬さRHとは、シート包装体をシート積層体の積層方向が地面と垂直になるように置いた状態で、シート包装体の上面中央に圧縮試験機(カトーテック株式会社製、KES-G5)により100gf/2cm(初期検知1.0gf/2cm)の荷重をかけたときの、シート包装体の垂直方向における荷重前の長さ(AH)に対する荷重前の長さ(AH)と荷重後の長さ(BH)の差(AH-BH)の割合[(AH-BH)/(AH)]×100(%)を示す。
【0011】
第2の態様では、シート包装体の高さ方向の硬さRHが4%以上10%以下であることで、シートが包装袋内で押し潰されることを抑制することができる。そのため、第2の態様によれば、シートの取出性の低下を防ぐことができる。
【0012】
本発明に係る第3の態様は、前記シート包装体の短手方向の硬さRSが、2%以上5%以下である、第1または第2の態様に記載のシート包装体を提供する。
【0013】
本明細書において、シート包装体の短手方向の硬さRSとは、シート包装体をシート積層体の短手方向が地面と垂直になるように置いた状態で、シート包装体の上面中央に圧縮試験機(カトーテック株式会社製、KES-G5)により100gf/2cm(初期検知1.0gf/2cm)の荷重をかけたときの、シート包装体の垂直方向における荷重前の長さ(AS)に対する荷重前の長さ(AS)と荷重後の長さ(BS)の差(AS-BS)の割合[(AS-BS)/(AS)]×100(%)を示す。
【0014】
第3の態様では、シート包装体の短手方向の硬さRSが2%以上5%以下であることで、シートが包装袋内で押し潰されることを抑制することができる。そのため、第3の態様によれば、シートの取出性の低下を防ぐことができる。
【0015】
本発明に係る第4の態様は、前記シート包装体の長手方向の硬さRLが、0.1%以上4%以下である、第1乃至第3の態様のいずれか一つに記載のシート包装体を提供する。
【0016】
本明細書において、シート包装体の長手方向の硬さRLとは、シート包装体をシート積層体の長手方向が地面と垂直になるように置いた状態で、シート包装体の上面中央に圧縮試験機(カトーテック株式会社製、KES-G5)により100gf/2cm(初期検知1.0gf/2cm)の荷重をかけたときの、シート包装体の垂直方向における荷重前の長さ(AL)に対する荷重前の長さ(AL)と荷重後の長さ(BL)の差(AL-BL)の割合[(AL-BL)/(AL)]×100(%)を示す。
【0017】
第4の態様では、シート包装体の長手方向の硬さRLが0.1%以上4%以下であることで、シートが包装袋内で押し潰されることを抑制することができる。そのため、第4の態様によれば、シートの取出性の低下を防ぐことができる。
【0018】
本発明に係る第5の態様は、前記シート包装体の長手方向において、前記取出口の長さが前記天面の長さに対して20%以上90%以下であり、前記シート包装体の短手方向において、前記取出口の幅が前記天面の幅に対して20%以上40%以下である、第1乃至第4の態様のいずれか一つに記載のシート包装体を提供する。
【0019】
第5の態様では、シート包装体の長手方向における天面の長さに対する取出口の長さを20%以上90%以下にし、且つシート包装体の短手方向における天面の幅に対する取出口の幅を20%以上40%以下にすることで、シートが取出口に詰まりにくくなる。そのため、第5の態様によれば、シート積層体が締め付けられた状態で包装袋に収容されていても、シートの取出性の低下を防ぐことができる。
【0020】
本発明に係る第6の態様は、前記取出口の形状が、平面視で瓢箪形状またはダンベル形状である、第1乃至第5の態様のいずれか一つに記載のシート包装体を提供する。
【0021】
本明細書において、瓢箪形状またはダンベル形状は、取出口の中央部の幅が取出口の両端部の幅より狭い形状を示す。
【0022】
第6の態様では、取出口の形状が平面視で瓢箪形状またはダンベル形状であることで、シートを引き出す際に、取出口に詰まりにくいため、シートの破れやシート包装体が持ち上がりを抑制することができる。そのため、シート積層体が締め付けられた状態で包装袋に収容されていても、シートの取出性の低下を防ぐことができる。
【0023】
本発明に係る第7の態様は、前記シートが保湿剤を含有する、第1乃至第6の態様のいずれか一項に記載のシート包装体を提供する。
【0024】
本明細書において、保湿剤は、吸湿性によってシート中に水分を取り込み、水分率を上昇させる機能を有する成分を示す。保湿剤を含有するシートは、シート積層体が締め付けられた状態で包装袋に収容される(コンパクションをかける)とシートが薄くなり、またシート同士が密着して取出性の低下が顕著になる。
【0025】
これに対して、第7の態様では、シート包装体の容積が包装袋に収容される前のシート積層体の容積に対して90%以上99%以下であることで、保湿剤を含有するシートの積層体が締め付けられた状態で包装袋に収容されていても、シートがつぶれにくく、取出時のシートの詰まりや破れを防ぐことができる。そのため、第7の態様によれば、保湿剤を含有するシートでも、コンパクト化とシートの取出性低下の抑制を両立するシート包装体を提供することができる。
【0026】
本発明に係る第8の態様は、複数枚のシートが積層された直方体状のシート積層体と、前記シート積層体を収容する樹脂フィルム製の包装袋と、前記包装袋の天面に形成されて前記シートが引き出される取出口と、を有するシート包装体が複数集積された集合体と、前記集合体を収容する樹脂フィルム製の集合包装袋と、を有するシート集合包装体であって、前記シート集合包装体は、前記集合体が締め付けられた状態で前記集合包装袋に収容されたものであり、前記シート集合包装体の容積が、前記集合包装袋に収容される前の前記集合体の容積に対して85%以上95%以下である、シート集合包装体を提供する。
【0027】
第8の態様では、シート集合包装体の容積が集合包装袋に収容される前の集合体の容積に対して85%以上95%以下であることで、集合体が締め付けられた状態で集合包装袋に収容されていても、各シート包装体でシートがつぶれにくく、シートの詰まりや破れを防ぐことができる。そのため、第8の態様によれば、コンパクト化とシートの取出性低下の抑制を両立するシート集合包装体を提供することができる。
【0028】
本発明に係る第9の態様は、前記シート集合包装体の高さ方向の硬さARHが、2%以上6%以下である、第8の態様に記載のシート集合包装体を提供する。
【0029】
本明細書において、シート集合包装体の高さ方向の硬さARHとは、シート包装体の高さ方向に5個のシート包装体を積み重ねた集合体の上面に3mm厚のアクリル板を載せ、所定の重さ(500gもしくはシート包装体5個分に相当する荷重)の重りをアクリル板中央に載せて荷重し10分後経過したときの、集合体の荷重前の高さ(A)に対する荷重前の高さ(A)と荷重後の高さ(B)の差(A-B)の割合[(A-B)/(A)]×100(%)を示す。
【0030】
第9の態様では、シート集合包装体の高さ方向の硬さARHが、2%以上6%以下であることで、シート包装体が集合包装袋内で押し潰されることが抑制され、さらに各シート包装体でシートが包装袋内で押し潰されることを抑制することができる。そのため、第9の態様によれば、シートの取出性の低下を防ぐことができる。
【0031】
本発明に係る第10の態様は、前記集合体は、前記シート包装体の高さ方向に、一方の前記シート包装体の底面が他方の前記シート包装体の前記天面に対面するように、2個以上10個以下の前記シート包装体が集積されている、第8または第9の態様に記載のシート集合包装体を提供する。
【0032】
第10の態様では、シート包装体の高さ方向に一方のシート包装体の底面が他方のシート包装体の天面に対面するように2個以上10個以下のシート包装体が集積された集合体は、シート包装体が重なるシート包装体の高さ方向にもコンパクションがかけられている。そのため、第10の態様では、シート包装体が重なるシート包装体の高さ方向にシート集合包装体が膨らむことを防ぐことができる。
【0033】
本発明に係る第11の態様は、前記シート包装体の長手方向に、一方の前記シート包装体の一方の短側面が他方の前記シート包装体の他方の短側面に対面するように、2個以上3個以下の前記シート包装体が集積されている、第8乃至第10の態様のいずれか一つに記載のシート集合包装体を提供する。
【0034】
第11の態様では、シート包装体の長手方向に一方のシート包装体の一方の短側面が他方のシート包装体の他方の短側面に対面するように2個以上3個以下のシート包装体が集積された集合体は、シート包装体が重なるシート包装体の長手方向にもコンパクションがかけられている。そのため、第11の態様では、シート包装体が重なるシート包装体の長手方向にシート集合包装体が膨らむことを防ぐことができる。
【0035】
本発明に係る第12の態様は、前記シート包装体の短手方向に、一方の前記シート包装体の一方の長側面が他方の前記シート包装体の他方の長側面に対面するように、2個以上3個以下の前記シート包装体が集積されている、第8乃至第11の態様のいずれか一つに記載のシート集合包装体を提供する。
【0036】
第12の態様では、シート包装体の短手方向に、一方のシート包装体の一方の長側面が他方のシート包装体の他方の長側面に対面するように、2個以上3個以下のシート包装体が集積された集合体は、シート包装体が重なるシート包装体の短手方向にもコンパクションがかけられている。そのため、第12の態様では、シート包装体が重なるシート包装体の短手方向にシート集合包装体が膨らむことを防ぐことができる。
【0037】
本発明に係る第13の態様は、前記シートが保湿剤を含有する、第8乃至第12の態様のいずれか一つに記載のシート集合包装体を提供する。
【0038】
第13の態様では、シート集合包装体の容積が、集合包装袋に収容される前の集合体の容積に対して85%以上95%以下であることで、保湿剤を含有するシートの積層体が収容されたシート包装体の集合体が締め付けられた状態で包装袋に収容されていても、シートがつぶれにくく、取出時のシートの詰まりや破れを防ぐことができる。そのため、第13の態様によれば、保湿剤を含有するシートでも、コンパクト化とシートの取出性低下の抑制を両立するシート集合包装体を提供することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明の一態様によれば、コンパクト化とシートの取出性低下の抑制を両立するシート包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】シート包装体およびその高さ方向の硬さを測定する態様を示す図である。
図2】シート包装体の短手方向の硬さを測定する態様を示す図である。
図3】シート包装体の長手方向の硬さを測定する態様を示す図である。
図4】シート集合包装体を示す図である。
図5】シート集合包装体の高さ方向の硬さを測定する態様を示す図である。
図6】シート集合包装体の高さ方向の硬さを測定する他の態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において共通する部分については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、各図面における各部材の縮尺は、実際とは異なる場合がある。
【0042】
本明細書では、図の方向を3軸方向(X方向、Y方向、Z方向)の3次元直交座標系を用いて説明する。各図において、左右方向(シート包装体またはシート集合包装体の長手方向)をX方向とし、前後方向(シート包装体またはシート集合包装体の短手方向)をY方向とし、上下方向(シート包装体またはシート集合包装体の高さ方向)をZ方向とする。
【0043】
また、本明細書において、各方向には、実施形態の作用、効果を損なわない程度のずれが許容される。また、直交には、略直交が含まれてもよい。
【0044】
<シート包装体>
図1は、シート包装体を示す図である。本実施形態に係るシート包装体100は、シート積層体SL、包装袋10を有する(図1)。本実施形態では、シート積層体SLを構成するシートの積層方向が高さ方向(Z方向)となるようにシート積層体SLが包装袋10に収容される。なお、シート包装体100は、本実施形態に係るシート包装体の一例である。
【0045】
シート積層体SLは、複数枚(または複数組)のシート(図示せず)が積層されたものである。シート積層体SLの形状は、直方体状である。シート積層体SLは、包装袋10の天面11に形成される取出口(図示せず)を通してシートが1枚ずつ(または1組ずつ)引き出せるようになっている。
【0046】
シートの材質は、特に限定されず、例えば、紙、不織布又は布等であり、好ましくは薄葉紙である。シートが薄葉紙の場合、パルプ組成は、薄葉紙における公知の組成を用いることができる。パルプの配合割合は、例えば、50質量%以上にすることができ、好ましくは90質量%以上、より好ましくは100質量%である。
【0047】
また、シートの坪量は、特に限定されないが、プライ数に応じて、紙の場合は、5g/m以上80g/m以下であり、好ましくは8g/m以上50g/m以下、より好ましくは10g/m以上20g/m以下である。また、不織布の場合は、20g/m以上100g/m以下のものが望ましい。なお、坪量は、JIS P 8124(2011)の規定に準拠して測定される。
【0048】
また、シートの厚みは、特に限定されず、JIS P 8111(1998)の環境下で測定された紙厚を採用することができる。例えば、シートが薄葉紙の場合、薄葉紙の紙厚は、1プライ(2プライの場合は2プライ)あたり、40μm以上500μm以下であり、好ましくは50μm以上400μm以下、より好ましくは60μm以上300μm以下である。
【0049】
なお、シート積層体SLは、シートを1枚または1組ずつ引き出す観点から、各シートが折り込まれた状態で互い違いに積層されたもの(いわゆるポップアップ式のシート積層体SL)であることが好ましい。また、シート積層体SLの形態は、ポップアップ式に引き出せるものに限定されず、複数枚(または複数組)のシートが単に積層されたもの、各シートが折り畳まれた状態で積層されたものでもよい。
【0050】
また、シート積層体SLの寸法は、シート包装体100の長手方向(X方向)の長さを155mm以上230mm以下、シート包装体100の長手方向(X方向)に直交する短手方向または奥行方向(Y方向)の長さを80mm以上120mm以下、高さ方向または厚み方向(Z方向)の厚みを30mm以上100mm以下とすることができる。
【0051】
シート積層体SLを構成するシートの態様は、特に限定されず、例えば、ティシュペーパー、トイレットペーパー、キッチンペーパー、ペーパータオル等の衛生薄葉紙に適用可能である。なお、ティシュペーパー、ペーパータオル等のシートには、保湿成分(または保湿剤)を含有するシート(例えば、ローションティシュー等)も含まれる。また、シートの用途は、特に限定されず、産業用、家庭用、携帯用のいずれにも適用できる。これらの中でも、家庭用のティシュペーパーに好適に用いられる。
【0052】
なお、シートが保湿剤を含有する場合、保湿剤には、吸湿性によって紙中に水分を取り込み、水分率を上昇させる機能(保湿機能)を有する成分が用いられる。このような保湿機能を有する成分としては、例えば、ポリオールが挙げられる。
【0053】
ポリオールとしては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、マルトース、マルチトール、マンニトール、トレハロースなどが挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。これらの中でも、グリセリン、ジグリセリンが好ましい。
【0054】
シート積層体SLの製造方法は、特に限定されない。シート積層体SLの製造方法としては、例えば、ロータリー式インターフォルダ、マルチスタンド式インターフォルダ(1つの折り板でシートを折り込みながら交互に重ねてウェブを製造する装置)等を用いて製造することができる。なお、マルチスタンド式インターフォルダは、シートの供給能力が高い。
【0055】
マルチスタンド式インターフォルダを用いて製造されたシート積層体SLでは、シートが引き出される方向がMD方向(シートを構成する繊維の流れ方向)となるようにシートが積層される。すなわち、シート包装体100の取出口からシートが引き出される場合のシートの移動方向はMD方向となる。また、シート包装体100内のシート積層体SLの状態においてもシートの移動方向はMD方向となる。
【0056】
また、ロータリー式インターフォルダを用いて製造されたシート積層体SLでは、シートが引き出される方向がCD方向(MD方向と直交する方向)となるようにシートが積層される。すなわち、シート包装体100の取出口からシートが引き出される場合のシートの移動方向はCD方向となる。また、シート包装体100内のシート積層体SLの状態においてもシートの移動方向はCD方向となる。
【0057】
なお、マルチスタンド式インターフォルダで積層されたシート積層体SLは、シート積層体SLが直方体状の場合は、シート積層体SLの一方の短側面から長手方向(X方向)に見た一対の長側面が不揃いとなりやすい(シートの折り目が積層方向(Z方向)にずれやすい)。一方、マルチスタンド式インターフォルダは、シートの供給能力が高いため、シート積層体、シート積層体を収容するシート包装体、および複数のシート包装体を収容するシート集合包装体の生産性を向上させることができる。
【0058】
また、ロータリー式インターフォルダで積層されたシート積層体は、シート積層体が直方体状の場合は、シート積層体の一方の短側面から長手方向(X方向)に見た一対の長側面が揃いやすい(シートの折り目が積層方向にずれにくい)。
【0059】
包装袋10は、シート積層体SLを収容する。
【0060】
包装袋10は、シート積層体SLが収容された状態で、天面11、底面12、正面13、背面14、側面15、側面16を有する。包装袋10では、天面11と底面12が上下方向(Z方向)に対向し、正面13と背面14が前後方向(Y方向)に対向し、側面15と側面16が左右方向(X方向)に対向する。側面15および側面16は、天面11、底面12、正面13、および背面14のいずれにも連続する(図1参照)。
【0061】
包装袋10に収容されたシート積層体SLは、シート積層体SLの天面、底面、一対の長側面、一対の短側面が、包装袋10の天面11、底面12、正面13、背面14、側面15、側面16にそれぞれ対面する。
【0062】
包装袋10の天面11には、取出口(図示せず)が設けられている。取出口は、シートが引き出せるようになっている。取出口の形態は、開口で構成される。取出口を構成する開口は、ミシン目(断続的な切込み)を破ることで構成してもよい。
【0063】
取出口を構成する開口の形状は、平面視で瓢箪形状またはダンベル形状である。平面視で瓢箪形状またはダンベル形状の取出口は、取出口の中央部の幅が取出口の両端部の幅より狭い形状を示す。取出口の中央部の形状は、特に限定されないが、例えば、細長い長方形等である。取出口の両端部の形状は、特に限定されないが、例えば、円形、扇形等である。
【0064】
取出口の中央部の幅(Y方向の幅)は、特に限定されないが、好ましくは1mm以上10mm以下であり、より好ましくは3mm以上8mm以下、より好ましくは4mm以上6mm以下である。
【0065】
取出口の両端部の幅(Y方向の最大幅)は、特に限定されないが、好ましくは5mm以上40mm以下であり、より好ましくは10mm以上37mm以下、より好ましくは15mm以上35mm以下である。
【0066】
取出口の両端部の幅(Y方向の最大幅)に対する取出口の中央部の幅(Y方向の幅)の比率は、特に限定されないが、好ましくは5%以上40%以下であり、より好ましくは10%以上35%以下、さらに好ましくは15%以上30%以下である。
【0067】
取出口の両端部の幅(Y方向の最大幅)は、シート包装体100の包装袋10の天面11の短手方向(Y方向)の幅に対して10%以上40%以下であり、好ましくは20%以上35%以下、より好ましくは25%以上30%以下である。
【0068】
取出口の長手方向(X方向)の全長は、特に限定されず、例えば、シート包装体100の包装袋10の天面11の長手方向(X方向)の全長に対して20%以上90%以下であり、好ましくは25%以上85%以下、より好ましくは30%以上80%以下である。
【0069】
取出口の長手方向(X方向)の全長に対する取出口の中央部の長手方向(X方向)の長さの比率は、特に限定されないが、好ましくは10%以上50%以下であり、より好ましくは15%以上40%以下、さらに好ましくは20%以上30%以下である。
【0070】
取出口の長手方向(X方向)の全長に対する取出口の両端部の長手方向(X方向)の各長さの比率は、特に限定されないが、好ましくは5%以上45%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以上30%以下、さらに好ましくは15%以上25%以下である。
【0071】
包装袋10は、樹脂フィルム製である。包装袋10を構成する樹脂フィルムは、可撓性である。樹脂フィルムに用いられる樹脂は、特に限定されず、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリアミド(PA)等の樹脂を用いることができる。ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等を用いることができる。
【0072】
なお、これらの中でも、柔軟で取扱い性に優れ、ヒートシールした場合のシール性も高いこと、安価であること等の点で、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等が好ましい。また、無臭であり、耐水性・耐薬品性に優れ、低コストで大量生産が可能である点で、ポリエチレンが好ましい。また、堅牢であり、成形しやすく、印刷時の発色がよく、また光沢を付与できること等の観点からは、ポリプロピレンが好ましい。
【0073】
なお、包装袋10を形成する材質には、生分解性材料(ポリ乳酸などの生分解性プラスチック等)、バイオマス材料(バイオマスフィルム等の再生可能な生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの)を用いることができる。
【0074】
包装袋10を形成する樹脂フィルムの形態は、特に限定されず、上述の樹脂が単層で形成された単層フィルム、上述の樹脂を積層したラミネートフィルム、上述の樹脂とパルプ紙または不織布とを貼合またはラミネートしたフィルム、または上述の2種類以上の樹脂の混合物で形成された混合フィルムであってもよい。
【0075】
包装袋10を形成する樹脂フィルムの厚みは、特に限定されず、好ましくは20μm以上100μm以下、より好ましくは25μm以上70μm以下である。樹脂フィルムの厚みを20μm以上とすることで、シートが収容される包装袋10としての十分な強度を確保することができる。また、樹脂フィルムの厚みを100μm以下とすることで、包装袋10の柔軟性及び軽量性を確保できるとともに、コストが抑えられる。
【0076】
また、包装袋10の包装態様は、特に限定されない。本実施形態では、例えば、筒状の樹脂フィルムの両端部を折り畳んでシール(封止)する包装(キャラメル包装)、ガセット状に折り込まれた筒状の樹脂フィルムの両端部またはいずれか一方の端部をシール(封止)する包装(ピロー包装)、熱収縮性の樹脂フィルムを加熱して被包装体に密着させる包装(シュリンク包装)、またはこれらを組み合わせた包装等を採用することができる。これらの中でも、シート積層体SLに対するコンパクションの制御が容易な点で、キャラメル包装が好ましい(図1参照)。
【0077】
キャラメル包装では、シート積層体SLを樹脂フィルムで長手方向(X方向)の両端が開口する筒型に巻き込むようにして包み、その巻き込み方向に重畳する部分を融着処理や接着剤によって接着する。次に、筒型の樹脂フィルムの長手方向(X方向)の両端を、シート積層体SLの端面側に折り込み、その際に形成される略三角形又は略台形の片の少なくとも各先端縁部同士を重ねて融着処理や接着剤によって接着して、筒型の開口を封止する。本実施形態では、筒状の樹脂フィルムの両端部(包装袋10の側面15、16)が折り畳まれてシールされている(図1参照)。
【0078】
シート包装体100では、シート積層体SLが締め付けられた状態で包装袋10に収容されている。具体的には、シート包装体100の容積が、包装袋10に収容される前のシート積層体SLの容積に対して90%以上99%以下、好ましくは91%以上98%以下、より好ましくは92%以上97%以下となるように、シート積層体SLにコンパクション(圧縮)がかけられている。
【0079】
このときのコンパクションは、シート包装体100の高さ方向(Z方向)の硬さRHが、好ましくは4%以上10%以下、より好ましくは4%以上8%以下、さらに好ましくは4%以上6%以下となるように調整される。
【0080】
ここで、シート包装体100の高さ方向(Z方向)の硬さRHは、図1に示すように、シート包装体100をシート積層体SLの積層方向が地面と垂直になるように置いた状態で、シート包装体100の上面中央に圧縮試験機(カトーテック株式会社製、KES-G5)により端子W1が100gf/2cm(初期検知1.0gf/2cm)の荷重をかけたときの、シート包装体100の垂直方向(H1方向)における荷重前の長さ(AH)に対する荷重前の長さ(AH)と荷重後の長さ(BH)の差(AH-BH)の割合[(AH-BH)/(AH)]×100(%)を示す。
【0081】
また、コンパクションは、シート包装体100の短手方向(Y方向)の硬さRSが、好ましくは2%以上5%以下、より好ましくは2%以上4%以下、さらに好ましくは2%以上3%以下となるように調整される。
【0082】
ここで、シート包装体100の短手方向(Y方向)の硬さRSは、図2に示すように、シート包装体100をシート積層体SLの短手方向が地面と垂直になるように置いた状態で、シート包装体100の上面中央に圧縮試験機(カトーテック株式会社製、KES-G5)により端子W1が100gf/2cm(初期検知1.0gf/2cm)の荷重をかけたときの、シート包装体100の垂直方向(D1方向)における荷重前の長さ(AS)に対する荷重前の長さ(AS)と荷重後の長さ(BS)の差(AS-BS)の割合[(AS-BS)/(AS)]×100(%)を示す。
【0083】
さらに、コンパクションは、シート包装体100の長手方向(X方向)の硬さRLが、好ましくは0.1%以上4%以下、より好ましくは0.5%以上3%以下、さらに好ましくは1%以上2.5%以下となるように調整される。
【0084】
ここで、シート包装体100の長手方向(X方向)の硬さRLは、図3に示すように、シート包装体100をシート積層体SLの長手方向が地面と垂直になるように置いた状態で、シート包装体100の上面中央に圧縮試験機(カトーテック株式会社製、KES-G5)により端子W1が100gf/2cm(初期検知1.0gf/2cm)の荷重をかけたときの、シート包装体100の垂直方向(L1方向)における荷重前の長さ(AL)に対する荷重前の長さ(AL)と荷重後の長さ(BL)の差(AL-BL)の割合[(AL-BL)/(AL)]×100(%)を示す。
【0085】
本実施形態のシート包装体100では、シート包装体100の容積が包装袋10に収容される前のシート積層体SLの容積に対して90%以上99%以下であることで、シート積層体SLが締め付けられた状態で包装袋10に収容されていても、シートがつぶれにくく、シートの詰まりや破れを防ぐことができる。そのため、本実施形態によれば、コンパクト化とシートの取出性低下の抑制を両立するシート包装体100を提供することができる。
【0086】
本実施形態では、シート包装体100の高さ方向(Z方向)の硬さRHが4%以上10%以下であることで、シートが包装袋10内で押し潰されることを抑制することができる。そのため、本実施形態によれば、シートの取出性の低下を防ぐことができる。
【0087】
本実施形態では、シート包装体100の短手方向(Y方向)の硬さRSが2%以上5%以下であることで、シートが包装袋10内で押し潰されることを抑制することができる。そのため、本実施形態によれば、シートの取出性の低下を防ぐことができる。
【0088】
本実施形態では、シート包装体100の長手方向(X方向)の硬さRLが0.1%以上4%以下であることで、シートが包装袋10内で押し潰されることを抑制することができる。そのため、本実施形態によれば、シートの取出性の低下を防ぐことができる。
【0089】
本実施形態では、シート包装体100の長手方向(X方向)における天面(包装袋10の天面11)の長さに対する取出口の長さを20%以上90%以下にし、且つシート包装体100の短手方向(Y方向)における天面(包装袋10の天面11)の幅に対する取出口の幅を20%以上40%以下にすることで、シートが取出口に詰まりにくくなる。そのため、本実施形態によれば、シート積層体SLが締め付けられた状態で包装袋10に収容されていても、シートの取出性の低下を防ぐことができる。
【0090】
本実施形態では、取出口の形状が平面視で瓢箪形状またはダンベル形状であることで、シートを引き出す際に、取出口に詰まりにくいため、シートの破れやシート包装体100が持ち上がりを抑制することができる。そのため、シート積層体SLが締め付けられた状態で包装袋10に収容されていても、シートの取出性の低下を防ぐことができる。
【0091】
本実施形態では、シート包装体100の容積が包装袋10に収容される前のシート積層体SLの容積に対して90%以上99%以下であることで、保湿剤を含有するシートの積層体(シート積層体SL)が締め付けられた状態で包装袋10に収容されていても、シートがつぶれにくく、取出時のシートの詰まりや破れを防ぐことができる。そのため、実施形態によれば、保湿剤を含有するシートでも、コンパクト化とシートの取出性低下の抑制を両立するシート包装体100を提供することができる。
【0092】
<シート集合包装体>
図4は、シート集合包装体を示す図である。シート集合包装体200は、集合包装袋50と集合体70とを有する。集合包装袋50は、集合体70を収容する。
【0093】
集合包装袋50は、集合体70が収容された状態で、天面51、底面52、正面53、背面54、側面55、側面56を有する。集合包装袋50では、天面51と底面52が上下方向(Z方向)に対向し、正面53と背面54が前後方向(Y方向)に対向し、側面55と側面56が左右方向(X方向)に対向する。側面55および側面56は、天面51、底面52、正面53、および背面54のいずれにも連続する(図4参照)。
【0094】
集合包装袋50の天面51には、持手60が設けられている。持手60には、指掛け用の開口(図示せず)が設けられている。持手60は、集合包装袋50と一体に形成され、集合包装袋50の天面51に倒れた状態から、ユーザが持手60を掴むときに立てた状態にすることができる(図4)。
【0095】
集合包装袋50は、樹脂フィルム製である。集合包装袋50を構成する樹脂フィルムは、可撓性である。樹脂フィルムに用いられる樹脂は、特に限定されず、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリアミド(PA)等の樹脂を用いることができる。
【0096】
なお、これらの中でも、柔軟で取扱い性に優れ、ヒートシールした場合のシール性も高いこと、安価であること等の点で、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等が好ましい。また、無臭であり、耐水性・耐薬品性に優れ、低コストで大量生産が可能である点で、ポリエチレンが好ましい。
【0097】
ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等を用いることができる。また、堅牢であり、成形しやすく、印刷時の発色がよく、また光沢を付与できること等の観点からは、ポリプロピレンが好ましい。
【0098】
なお、集合包装袋50を形成する材質には、生分解性材料(生分解性プラスチック等)、バイオマス材料(バイオマスフィルム等の再生可能な生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの)を用いることができる。
【0099】
集合包装袋50を形成する樹脂フィルムの形態は、特に限定されず、上述の樹脂が単層で形成された単層フィルム、上述の樹脂を積層したラミネートフィルム、または上述の2種類以上の樹脂の混合物で形成された混合フィルムであってもよい。
【0100】
集合包装袋50を形成する樹脂フィルムの厚みは、特に限定されず、好ましくは20μm以上100μm以下、より好ましくは25μm以上70μm以下である。樹脂フィルムの厚みを20μm以上とすることで、シート包装体100の集合体70が収容される集合包装袋50としての十分な強度を確保することができる。また、樹脂フィルムの厚みを100μm以下とすることで、集合包装袋50の柔軟性及び軽量性を確保できるとともに、コストが抑えられる。
【0101】
また、集合包装袋50の包装態様は、特に限定されない。例えば、ガセット状に折り込まれた筒状の樹脂フィルムの両端部またはいずれか一方の端部をシール(封止)する包装(ガセット包装またはピロー包装)、筒状の樹脂フィルムの両端部またはいずれか一方の端部が折り畳まれて接着または封止された包装(キャラメル包装)、熱収縮性の樹脂フィルムを加熱して被包装体に密着させる包装(シュリンク包装)、またはこれらを組み合わせた包装等を採用することができる。これらの中でも、集合包装袋50に収容される集合体70に対するコンパクションの制御が容易な点で、ガセット包装が好ましい。
【0102】
集合体70は、上述のシート包装体100が複数集積されている。本実施形態では、シート包装体100の高さ方向がシート集合包装体200の横方向(X方向)となり、シート包装体100の長手方向がシート集合包装体200の高さ方向(Z方向)とるように、複数のシート包装体100が集積されて、集合体70を構成する(図4)。なお、集合体70を構成するシート包装体100の個数は、限定されず、2個以上であればよい。
【0103】
集合体70は、シート包装体100の高さ方向に、一方のシート包装体100の底面12が他方のシート包装体100の天面11に対面するように、2個以上10個以下のシート包装体100が集積されていてもよい(図4)。
【0104】
具体的には、シート集合包装体200の横方向(X方向)に、隣り合うシート包装体100の一方のシート包装体100の包装袋10の底面12と他方のシート包装体100の包装袋10の天面11とが対面するように5個のシート包装体100が並ぶ(図1図4)。
【0105】
また、集合体70は、シート包装体100の長手方向に、単列で集積されていてもよいし、2列以上集積されていてもよい。集合体70がシート包装体100の長手方向に2列以上集積される場合は、一方のシート包装体100の一方の短側面16が他方のシート包装体の他方の短側面15に対面するように、2個以上3個以下のシート包装体100を集積することが好ましい。
【0106】
具体的には、シート集合包装体200の高さ方向(Z方向)に、重なり合うシート包装体100の一方のシート包装体100の包装袋10の短側面16と他方のシート包装体100の包装袋10の短側面15とが対面するように2個のシート包装体100が重なる(図1図4)。
【0107】
また、集合体70は、シート包装体100の短手方向に、単列で集積されていてもよいし、2列以上集積されていてもよい。集合体70がシート包装体100の短手方向に2列以上集積される場合は、一方のシート包装体100の一方の長側面14が他方のシート包装体の他方の長側面13に対面するように、2個以上3個以下のシート包装体100を集積することが好ましい。
【0108】
具体的には、シート集合包装体200の高さ方向(Z方向)に、重なり合うシート包装体100の一方のシート包装体100の包装袋10の長側面14と他方のシート包装体100の包装袋10の長側面13とが対面するように2個のシート包装体100が重なる(図1)。
【0109】
シート集合包装体200では、集合体70が締め付けられた状態で集合包装袋50に収容されている。具体的には、シート集合包装体200の容積が、集合包装袋50に収容される前の集合体70の容積に対して85%以上95%以下、好ましくは86%以上94%以下、より好ましくは87%以上93%以下となるようにコンパクション(圧縮)がかけられる。
【0110】
このときのコンパクションは、シート集合包装体200の高さ方向(L2方向)の硬さARHが、2%以上6%以下、より好ましくは2.5%以上5.5%以下、さらに好ましくは3%以上5%以下となるように調整される。なお、硬さARHを測定する際のシート集合包装体200の高さ方向(L2方向)は、シート集合包装体200を持手60を介して持ったときの高さ方向(H2方向)と直交する方向である。
【0111】
ここで、シート集合包装体200の高さ方向(L2方向)の硬さARHは、図5図6に示すように、シート包装体100の高さ方向に5個のシート包装体を積み重ねた集合体70を収納するシート集合包装体200の天面(集合包装袋50の側面55)に重りW2を載せて荷重したときの、シート集合包装体200の荷重前の高さ(A)に対する荷重前の高さ(A)と荷重後の高さ(B)の差(A-B)の割合[(A-B)/(A)]×100(%)を示す。
【0112】
具体的には、シート集合包装体200の天面(集合包装袋50の側面55)の4か所に印(図示せず)をつけたアクリル板Bを載せた状態をシート集合包装体200の荷重前とし、アクリル板Bの上面中央に500g(もしくはシート包装体100の5個分に相当する荷重)の重りW2を載せて10分経過した状態をシート集合包装体200の荷重後とする。そして、印を付けた4か所における荷重前の高さの平均と荷重後の高さの平均とを上式に当てはめて硬さARHを算出する(図5図6)。
【0113】
本実施形態のシート集合包装体200では、シート集合包装体200の容積が集合包装袋50に収容される前の集合体70の容積に対して85%以上95%以下であることで、集合体70が締め付けられた状態で集合包装袋50に収容されていても、各シート包装体100でシートがつぶれにくく、シートの詰まりや破れを防ぐことができる。そのため、第8の態様によれば、コンパクト化とシートの取出性低下の抑制を両立するシート集合包装体を提供することができる。
【0114】
本実施形態では、シート集合包装体200の高さ方向(L2方向)の硬さARHが、2%以上6%以下であることで、シート包装体100が集合包装袋50内で押し潰されることが抑制され、さらに各シート包装体100でシートが包装袋10内で押し潰されることを抑制することができる。そのため、本実施形態によれば、シートの取出性の低下を防ぐことができる。
【0115】
本実施形態では、シート包装体100の高さ方向(図4のX方向)に一方のシート包装体100の底面(包装袋10の底面12)が他方のシート包装体100の天面(包装袋10の天面11)に対面するように2個以上10個以下のシート包装体100が集積された集合体70は、シート包装体100が重なるシート包装体100の高さ方向にもコンパクションがかけられている。そのため、本実施形態では、シート包装体100が重なるシート包装体100の高さ方向(図4のX方向)にシート集合包装体200が膨らむことを防ぐことができる。
【0116】
本実施形態では、シート包装体100の長手方向(図4のZ方向)に一方のシート包装体100の一方の短側面(包装袋10の短側面16)が他方のシート包装体100の他方の短側面(包装袋10の短側面15)に対面するように2個以上3個以下のシート包装体100が集積された集合体は、シート包装体100が重なるシート包装体100の長手方向(図4のZ方向)にもコンパクションがかけられている。そのため、本実施形態では、シート包装体100が重なるシート包装体100の長手方向にシート集合包装体200が膨らむことを防ぐことができる。
【0117】
本実施形態では、シート包装体100の短手方向に、一方のシート包装体100の一方の長側面(包装袋10の長側面13)が他方のシート包装体100の他方の長側面(包装袋10の長側面14)に対面するように、2個以上3個以下のシート包装体100が集積された集合体70は、シート包装体100が重なるシート包装体100の短手方向にもコンパクションがかけられる。そのため、本実施形態では、シート包装体100が重なるシート包装体100の短手方向にシート集合包装体200が膨らむことを防ぐことができる。
【0118】
本実施形態では、シート集合包装体200の容積が、集合包装袋50に収容される前の集合体70の容積に対して85%以上95%以下であることで、保湿剤を含有するシートの積層体SLが収容されたシート包装体100の集合体70が締め付けられた状態で集合包装袋50に収容されていても、シートがつぶれにくく、取出時のシートの詰まりや破れを防ぐことができる。そのため、本実施形態によれば、保湿剤を含有するシートでも、コンパクト化とシートの取出性低下の抑制を両立するシート集合包装体200を提供することができる。
【実施例0119】
以下、本発明について、さらに実施例を用いて具体的に説明する。実施例、比較例の評価は、以下の条件で行った。実施例、比較例の条件および評価結果は、表1~表3に示す。
【0120】
[シート包装体(個包装体)]
シート積層体SL(ウェブ)として保湿剤を含有するシートが交互に折り畳まれてポップアップ式に1組ずつ引き出せるように積層されたティシュペーパー(寸法:高さ(Z方向)約58mm、横(X方向)約180mm、縦(Y方向)約101mm、重さ約120g)を、厚み約62μmのポリエチレンのラミネートフィルムで形成され、天面11に取出口が形成された包装袋10でキャラメル包装したシート包装体100(以下、フィルムパックまたはパックという場合がある)を用意した(図1参照)。
【0121】
保湿剤を含有するシートは、ソックスレー抽出法により、ソックスレー抽出器を使用して、アセトンとエタノールの混合溶媒(容積比でアセトン:エタノール=1:1)を用いて還流状態で4時間抽出した。保湿剤の付着量は、付着量(g/m)=(坪量-付着量)×薬液付着量/100の式に基づいて調整した。ティシュペーパーに保湿剤が含まれる量は必ずしも限定されないが、10質量%以上30質量%以下が好ましく、15質量%以上28質量%以下がより好ましく、20質量%以上26質量%以下がさらに好ましい。なお、表1中の「%」は質量基準である。
【0122】
取出口は、幅(長手方向の長さ)の比率を、取り出し口幅(長手方向の長さ)÷パック幅(長手方向の長さ)×100、の式に基づいて算出し、奥行(短手方向の長さ)の比率を、取り出し口奥行÷パック奥行×100、の式に基づいて算出し、天面に対する比率を、取出口面積÷天面面積×100、の式に基づいて算出した。
【0123】
[シート包装体のコンパクション率]
シート積層体SLの容積Vwを、幅寸法L×最大奥行T×高さH1の式に基づいて算出した。なお、シート積層体SLの容積Vwは、シート包装体100からウェブを取出し、2時間後の容積とする。また、フィルムパックの容積VCを、幅寸法(長手方向の長さ)×最大奥行(短手方向の長さ)×高さ、の式に基づいて算出した。さらに、ウェブに対するフィルムパックの容積の割合を、ウェブ積層体の容積Vw÷フィルムパックの容積VC×100、の式に基づいて算出した。
【0124】
[シート包装体の硬さ]
シート包装体(個包装体)の高さ方向(Z方向)、短手方向(Y方向)、および長手方向(X方向)のそれぞれの硬さ(RH、RS、RL)の平均値、最大値、および最小値を測定した。N数は5とした。測定装置として圧縮試験機(カトーテック社製、KES-G5)を用い、以下の条件で測定した。
・試料: 布・フィルム等
・SENS:2
・力計の種類:1kg
・SPEED RANGE:0.1cm/s
・DEF感度:20mm/10V
・加圧面積:2cm
・取込み間隔:0.100
・測定荷重:10
・上限荷重:100gf/2cm
【0125】
シート包装体の高さ方向(Z方向)の硬さ(RH)は、シート包装体をシート積層体SLの積層方向(Z方向)が地面と垂直になるように置いた状態で、シート包装体の上面中央に圧縮試験機の端子W1が初期検知(1gf/2cm)から上限荷重(100gf/2cm)まで荷重したときの、シート包装体の垂直方向(Z方向)における荷重前の高さ[mm]に対する荷重前の高さ(初期高さT0)と荷重後の長さ(TM)の差(押込み量DS:T0-TM)の割合[DS/D]×100(%)を求める(図1参照)。硬さ(RH)は、4%以上10%以下の場合は、コンパクト性が良好と評価し、4%以上10%以下の範囲外の場合はコンパクト性が不良と評価した。
【0126】
シート包装体の短手方向(Y方向)の硬さ(RS)は、シート包装体を短手方向(Y方向)が地面と垂直になるように置いた状態で、シート包装体の上面中央に圧縮試験機の端子W1が初期検知(1gf/2cm)から上限荷重(100gf/2cm)まで荷重したときの、シート包装体の垂直方向(Y方向)における荷重前の長さ[mm]に対する荷重前の長さ(初期高さT0)と荷重後の長さ(TM)の差(押込み量DS:T0-TM)の割合[DS/H]×100(%)を求める(図2参照)。硬さ(RS)は、2%以上5%以下の場合は、コンパクト性が良好と評価し、2%以上5%以下の範囲外の場合はコンパクト性が不良と評価した。
【0127】
シート包装体の長手方向(X方向)の硬さ(RL)は、シート包装体を長手方向(X方向)が地面と垂直になるように置いた状態で、シート包装体の上面中央に圧縮試験機の端子W1が初期検知(1gf/2cm)から上限荷重(100gf/2cm)まで荷重したときの、シート包装体の垂直方向(Z方向)における荷重前の長さ[mm]に対する荷重前の長さ(初期高さT0)と荷重後の長さ(TM)の差(押込み量DS:T0-TM)の割合[DS/H]×100(%)を求める(図3参照)。硬さ(RL)は、0.1%以上4%以下の場合は、コンパクト性が良好と評価し、0.1%以上4%以下の範囲外の場合はコンパクト性が不良と評価した。
【0128】
[シート集合包装体]
シート集合包装体200として、10個のシート包装体100(シート集合包装体200の横方向(X方向)に、隣り合うシート包装体100の一方のシート包装体100の包装袋10の底面12と他方のシート包装体100の包装袋10の天面11とが対面するように5個のシート包装体100が並び、シート集合包装体200の高さ方向(Z方向)に、重なり合うシート包装体100の一方のシート包装体100の包装袋10の短側面16と他方のシート包装体100の包装袋10の短側面15とが対面するように2個のシート包装体100が重なる集合体70)を、厚み約35μmのポリエチレン製のフィルムで形成された集合包装袋50に、ガセット状にピロー包装したものを用意した(図4参照)。
【0129】
[シート集合包装体のコンパクション率]
フィルムパック集合包装体の容積VPを、幅寸法(横方向の長さ)×最大奥行(前後方向の長さ)×高さ、の式に基づいて算出した。さらに、シート包装体に対するシート集合包装体の容積の割合を、フィルムパックの容積VC÷フィルムパック集合包装体の容積VP×100、の式に基づいて算出した。
【0130】
[シート集合包装体の硬さ]
シート集合包装体200の高さ方向(L2方向)の硬さARHを測定した。硬さARHの測定では、厚さ(Z方向)3mm、縦(Y方向)165mm、横(X方向)320mmのアクリル板Bの4辺の各中央部に印を付けたものを、シート集合包装体200の側面(集合包装袋50の側面55)に置き、シート集合包装体200(集合包装袋50)の下面(集合包装袋50の側面56)からアクリル板Bの4か所までの高さを測定し、該4か所までの高さの平均値を荷重前の高さとする。アクリル板Bの中央に重さ500g(もしくはシート包装体100の5個分に相当する荷重)の重りW2を載せて10分経過した状態で、シート集合包装体200(集合包装袋50)の下面(集合包装袋50の側面56)からアクリル板Bの4か所までの高さを測定し、4か所までの高さの平均値を荷重後の高さL2とする。荷重前の高さから荷重後の高さL2を差し引いた押し込み量DHを求める。そして、(押し込み量DH/荷重前の高さ)×100を硬さARHとする。硬さARHは、2%以上6%以下の場合はコンパクト性が良好と評価し、2%以上6%以下の範囲外の場合はコンパクト性が不良と評価した。
【0131】
[取出し抵抗値]
シート包装体100のシートを取出口から見えるシート端部に治具(プラス株式会社製、ダブルクリップCP-103)を取り付け、プッシュプルゲージ(株式会社イマダ製、デジタルフォースゲージZ2-20N)にて垂直方向へ引き出し、引き出し時の抵抗値(ピーク)の測定を行った。1~10組目まで10回測定し、平均値を取出し抵抗値として算出した。取出し抵抗値は、2未満の場合は取出性が良好と評価し、引き出し抵抗値の平均値が2以上の場合は取出性が不良と評価した。
【0132】
【表1】
【0133】
【表2】
【0134】
【表3】
【0135】
表1~3より、シート包装体の容積が包装袋に収容される前のシート積層体の容積に対して90%以上99%以下であるシート包装体、およびシート集合包装体の容積が集合包装袋に収容される前の集合体の容積に対して85%以上95%以下であるシート集合包装体は、コンパクト化とシートの取出性低下の抑制を両立することが判った(実施例1~8)
【0136】
一方、シート包装体の容積が包装袋に収容される前のシート積層体の容積に対して90%以上99%以下の範囲外であるシート包装体、およびシート集合包装体の容積が集合包装袋に収容される前の集合体の容積に対して85%以上95%以下の範囲外であるシート集合包装体は、コンパクト化とシートの取出性低下の抑制を両立することができないことが判った(比較例1~4)。
【0137】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0138】
100 シート包装体
SL シート積層体
10 包装袋
11 天面
12 底面
13 長側面
14 長側面
15 短側面
16 短側面
W1 圧縮試験機の端子
200 シート集合包装体
50 集合包装袋
51 天面
52 底面
53 正面
54 背面
55 側面
56 側面
70 集合体
W2 重り
図1
図2
図3
図4
図5
図6