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特開2024-146959製茶機械に用いる熱風発生器に備えたバーナの制御方法
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  • 特開-製茶機械に用いる熱風発生器に備えたバーナの制御方法 図1
  • 特開-製茶機械に用いる熱風発生器に備えたバーナの制御方法 図2
  • 特開-製茶機械に用いる熱風発生器に備えたバーナの制御方法 図3
  • 特開-製茶機械に用いる熱風発生器に備えたバーナの制御方法 図4
  • 特開-製茶機械に用いる熱風発生器に備えたバーナの制御方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146959
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】製茶機械に用いる熱風発生器に備えたバーナの制御方法
(51)【国際特許分類】
   A23F 3/12 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
A23F3/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059688
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000145116
【氏名又は名称】株式会社寺田製作所
(72)【発明者】
【氏名】小塚 篤
(72)【発明者】
【氏名】一ノ宮 正光
(72)【発明者】
【氏名】山内 英樹
【テーマコード(参考)】
4B027
【Fターム(参考)】
4B027FP28
4B027FP35
4B027FP42
4B027FR05
(57)【要約】
【課題】熱風温度が設定値まで下がらないと、茶温を製茶に適した温度に下げたくても下がらず、設定した茶温より高くなってしまい、茶製品の品質劣化になってしまっていた。反対に、熱風温度を設定値まで上げられないと、茶葉を時間内に乾燥することができず、前後の工程に影響が出てしまった。
【解決手段】 製茶機械に用いる熱風発生器に備えたバーナの燃焼を異なる制御手段を用いて制御し、製茶機械へ送風する熱風温度又は製茶機械内の茶葉温度を制御することを特徴とする
製茶機械に用いる熱風発生器に備えたバーナの制御方法。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製茶機械に用いる熱風発生器に備えたバーナの燃焼を異なる制御手段を用いて制御し、製茶機械へ送風する熱風温度又は製茶機械内の茶葉温度を制御することを特徴とする
製茶機械に用いる熱風発生器に備えたバーナの制御方法。
【請求項2】
前記異なる制御手段に、
比例制御とON-OFF制御とを組み合わせて、製茶機械へ送風する熱風温度又は製茶機械内の茶葉温度を制御することを特徴とする
請求項1記載の製茶機械に用いる熱風発生器に備えたバーナの制御方法。
【請求項3】
通常は前記比例制御をおこない、
あらかじめ定めた熱風温度より低い場合に前記ON-OFF制御に切り替え、前記ON-OFF制御で制御することを特徴とする
請求項2記載の製茶機械に用いる熱風発生器に備えたバーナの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製茶機械に用いる熱風発生器に備えたバーナの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、製茶機械に用いる熱風発生器に備えたバーナの燃焼量の制御は、比例制御用とON-OFF制御用の各仕様のものが販売されており、必要に応じて、いずれかを選択しなければならなかった。バーナの制御は、ON-OFF制御よりも比例制御をおこなう方が、熱風温度が安定するので、比例制御で温度制御をおこなうことを選択していた。
【0003】
更に、バーナの大きさを選択する場合、その製茶機械に対して最大風量から必要熱風温度を計算し、バーナを選択する。これは、4月の製茶の場合の、温度や湿度、茶葉の性状などによって、算出している。4月は特に夜間は、まだ気温がとても低く、製茶をするための熱風温度を得るためには、バーナの燃焼量がとても重要となる。それに対し、6~7月も製茶の時期であるが、昼間はとても気温が高くなり、製茶に適した茶温と気温の差がほとんどなくなり、製茶をするための熱風温度にするためのバーナの燃焼量はあまり必要としなくなる。しかし、比例制御用のバーナの場合、最大燃焼量だけでなく最小燃焼量も決まっていて、その最小値を使い続けなければならなかった。茶期によってはもっと低い熱風温度を設定したい場合があったが、もっと低い熱風温度を使用することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-65489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
比例制御で現在能力より低い設定温度が欲しい場合は、バーナノズルを小さくしたり、ガス圧を下げたりして物理的に対応するしかなかった。物理的に対応して低い温度を出すようにすると、そのバーナ本来の高い温度が出なくなってしまった。風量と燃焼量の比率も変わってしまい、不完全燃焼になってしまう。そのため、風量を下げて熱風温度を上げるか、風量を上げて熱風温度を下げるしかなかった。茶期毎に調整するか、熱風の高い温度か低い温度のどちらかを諦めるしかなかった。
【0006】
熱風温度が設定値まで下がらないと、茶温を製茶に適した温度に下げたくても下がらず、設定した茶温より高くなってしまい、茶製品の品質劣化になってしまっていた。反対に、熱風温度を設定値まで上げられないと、茶葉を時間内に乾燥することができず、前後の工程に影響が出てしまった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1手段は、
製茶機械に用いる熱風発生器に備えたバーナの燃焼を異なる制御手段を用いて制御し、製茶機械へ送風する熱風温度又は製茶機械内の茶葉温度を制御することを特徴とする
製茶機械に用いる熱風発生器に備えたバーナの制御方法。
【0008】
本発明の第2手段は、前記第1手段の
前記異なる制御手段に、
比例制御とON-OFF制御とを組み合わせて、製茶機械へ送風する熱風温度又は製茶機械内の茶葉温度を制御する。
本発明の第3手段は、前記第2手段の
通常は前記比例制御をおこない、
あらかじめ定めた熱風温度より低い場合に前記ON-OFF制御に切り替え、前記ON-OFF制御で制御する。
【発明の効果】
【0009】
バーナの仕様を変更しなくても自動で異なる制御である比例制御とON-OFF制御とに切り替わるので、温度制御幅が広くなり、すべての茶期の温度設定に対応できるようになる。とくに、風量が多い場合はON-OFF制御だと熱風温度のハンチング(波型)が大きくなるが、比例制御では熱風温度が一定であり、安定した熱風の供給が可能となる。従来よりも低温側の温度制御幅を広くすることができる。そのため、気温が高い時期でも、熱風温度が高くなりすぎず、茶温を設定温度に安定して保つことができ、茶製品の向上を望むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は製茶ラインの一例を示した説明図である。
図2図2は粗揉機の一例を示した斜視図である。
図3図3図2の上面図である。
図4図4はフローチャートの説明図である。
図5図5は熱風性能曲線の1例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
製茶ラインの一例について図1を参照して説明をする。製茶ラインは、粗揉機1、粗揉機2、揉捻機3、中揉機4、中揉機5、搬送機6等によって構成されている(この前には蒸機等があり、この後も精揉機、乾燥機等続くが、本実施例では記載しない)。この中の粗揉機1、2が固定胴型製茶機である。これらの製茶機1~5にはそれぞれに制御手段(粗揉機制御装置1A、2A、揉捻機制御装置3A、中揉機制御装置4A、5A)を備えており、それぞれ運転状況を制御している。搬送機6は搬送機制御装置6Aを備え、複数台の搬送機6を全体的に制御している。粗揉機1の前には計量器7を設置し、この計量器7の計量値は計量器制御装置7Aで設定する。これらの制御装置1A~7Aはネットワークで接続されており、ライン制御装置8Aは制御装置1A~7Aの運転状況を全体的に制御する。図1はあくまでも製茶ラインの一例であり、製茶機の種類、各製茶機の台数、配置などは、この限りではない。
【0012】
図2、3は粗揉機1である。粗揉機1は主に半円筒形の固定胴の乾燥室11であり、加熱乾燥手段である熱風発生器16を設ける。本実施例では熱風発生器16を2セット備えているが、熱風発生器16の数はこの限りではない。乾燥室11内には回転する主軸12に装着した揉手13、葉浚い手14を備え、熱風発生器16にはバーナ17と送風ファン18を備えている。乾燥室11内では、熱風発生器16による熱風をダクト20により送風し、茶葉を乾燥する。ダクト20内に整流板(図示しない)を設けることにより、乾燥室11へ供給する熱風を調整することができる。熱風発生器16では、送風ファン18によって送られた空気を、燃料にガスを用いたバーナ17により加熱し、この加熱された空気を送風ファン18により送風し、ダクト20を通って乾燥室11内へ供給している。従来、製茶機の燃料には重油を用いることが多かったが、重油の臭いが茶葉へ付着するのを防ぐため、ガスの方が良好である。送風ファン18にはインバータ(図示しない)が接続されており、風量を無段階に調節できる。乾燥室11内には熱風温度測定手段19を設け、熱風発生器16により送風される熱風の温度を測っている。熱風の温度が設定した温度になるように、バーナ17を比例制御する。比例制御でなくてもよいが、比例制御をすることにより熱風の温度が安定しやすい。
【0013】
茶葉は、搬送機6によって乾燥室11の上方の投入口21より投入され、製茶が完了すると、下部の取出扉22が開いて、搬送機6上に排出される。粗揉機制御装置1Aは、粗揉機1の主軸12の駆動、バーナ17および送風ファン18、熱風温度測定手段19や、茶葉の水分を計測するための水分計(図示しない)の制御等を行なう。
【0014】
本発明の制御に関する基本的な流れについて、図4を参照して説明する。粗揉機制御盤1Aの電源を入れ、粗揉機1を起動して、バーナ17と送風ファン18の電源を入れると、バーナ17が燃焼し、送風ファン18の送風量を設定値にし、供給する熱風温度を設定値にするように制御する。熱風温度温度測定手段19で熱風温度を測定し、設定した熱風温度より計測した熱風温度が高くなればバーナ17の燃焼を弱くし、設定した熱風温度より計測した熱風温度が低くなればバーナ17の燃焼を強くする。製茶中は、設定値になるように、熱風の温度と風量を制御する。これは、比例制御である。基本的には、設定した温度と風量の熱風により、製茶がおこなわれる。あらかじめ設定した時間または水分になると、茶葉は粗揉機1から取り出される。
【0015】
上記のように、基本の温度制御は比例制御でおこない、うまく熱風温度を保つことができていれば、比例制御を続ける。比例制御をおこなっても、設定温度まで下がらないと判断した場合、その時の温度を記憶してから、ON-OFF制御に切り替わる。比例制御では、その記憶した温度以下では制御できないので、その温度以上の設定に変更しない限り、ON-OFF制御のまま行われる。熱風温度を記憶するのは、比例制御の限界を記憶する為であり、これは毎回おこなうので、その都度(茶期によって、その日の温度によって・・・など)変わる。
【実施例0016】
例えば、熱風温度の設定を70度にした場合、比例制御の最低出力にしても熱風温度が75度位までしか下がらず、一定時間(変更できるが、本実施例では3分)経つと、これでは設定まで下がらないと判断して、ON-OFF制御に切替わる。この時、実際の熱風温度の75度を記憶しておく。今の比例制御では熱風温度が75度以下には下がらない、つまり、設定の熱風温度が75度以下では制御ができないので、設定が75度以上になるまでは、ON-OFF制御のままになる。
【0017】
製茶工場では通常、一日に一回、製茶機械の掃除をおこない、掃除時には電源を切る。電源を切ると、この記憶した熱風温度がリセットされる。
【実施例0018】
次に、茶葉温度で制御する例を説明する。例えば、茶葉温度を35.5度に設定する。茶葉温度測定手段23にて測定した茶葉温度が37度で、現在の茶葉温度が設定よりも高い場合は、1分毎に熱風温度の目標値(開始時は設定値が目標値であり、内部数値である)を5度ずつ下げる。反対に、茶葉温度測定手段23にて測定した茶葉温度が34度で、現在の茶葉温度が設定よりも低い場合は、1分毎に熱風温度の目標値を5度ずつ上げる。万一、測定した現在の茶葉温度が設定よりも50度高い場合は、熱風温度の目標値を20度下げる。つまり、茶葉温度が設定値になるように、熱風温度の設定値から熱風の目標値を変えていく。そして、熱風温度が目標温度まで下がることが出来なければ、前記した熱風温度の制御と同様に、比例制御からON-OFF制御に切替わる。茶葉が製茶機械から取り出されると、比例制御に戻る。
【符号の説明】
【0019】
1 粗揉機
1A 粗揉機制御装置
2 粗揉機
2A 粗揉機制御装置
3 揉捻機
3A 揉捻機制御装置
4 中揉機
4A 中揉機制御装置
5 中揉機
5A 中揉機制御装置
6 搬送機
6A 搬送機制御装置
6B 通信線
7 計量器
7A 計量器制御装置
8A ライン制御装置
8B 通信線
11 乾燥室
12 主軸
13 揉手
14 葉浚い手
16 熱風発生器
17 バーナ
18 送風ファン
19 熱風温度測定手段
20 ダクト
21 投入口
22 取出口
23 茶葉温度測定手段
図1
図2
図3
図4
図5