IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電産株式会社の特許一覧

特開2024-146969作業管理システム、管理装置およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146969
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】作業管理システム、管理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0631 20230101AFI20241008BHJP
【FI】
G06Q10/0631
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059704
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】小林 健太
(72)【発明者】
【氏名】大口 修平
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA09
5L049AA09
(57)【要約】
【課題】一つ以上の工程を有する作業全体についての進捗状況を容易に把握することができる作業管理システムを提供する。
【解決手段】作業管理システムは、一つ以上の工程を有する作業を説明する電子作業手順書の作業者による閲覧状況と閲覧時刻を、作業で製造される製品の個体を識別する識別情報とともに報告する通信装置と、通信装置から報告される閲覧状況と閲覧時刻と識別情報を逐次、受信する受信部と、閲覧状況と閲覧時刻と識別情報を逐次、記憶装置に記憶するプロセッサとを備える。プロセッサは、記憶装置に蓄積された閲覧状況と閲覧時刻と識別情報から、作業の進捗状況情報を生成する。進捗状況情報は、少なくとも作業の全体に対する作業の現在状況の割合を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ以上の工程を有する作業を説明する電子作業手順書の作業者による閲覧状況と閲覧時刻を、前記作業で製造される製品の個体を識別する識別情報とともに報告する通信装置と、
前記通信装置から報告される前記閲覧状況と前記閲覧時刻と前記識別情報を逐次、受信する受信部と、
前記閲覧状況と前記閲覧時刻と前記識別情報を逐次、記憶装置に記憶するプロセッサとを備え、
前記プロセッサは、前記記憶装置に蓄積された前記閲覧状況と前記閲覧時刻と前記識別情報から、前記一つ以上の工程を有する前記作業の進捗状況情報を生成し、前記進捗状況情報は、少なくとも前記作業の全体に対する前記作業の現在状況の割合を有する
作業管理システム。
【請求項2】
作業者が使用する少なくとも1つの通信装置から、一つ以上の工程を有する作業を説明する電子作業手順書の前記作業者による閲覧状況と閲覧時刻と、前記作業で製造される製品の個体を識別する識別情報の報告を逐次、受信する受信部と、
前記閲覧状況と前記閲覧時刻と前記識別情報を逐次、記憶装置に記憶するプロセッサとを備え、
前記プロセッサは、前記記憶装置に蓄積された前記閲覧状況と前記閲覧時刻と前記識別情報から、前記一つ以上の工程を有する前記作業の進捗状況情報を生成し、前記進捗状況情報は、少なくとも前記作業の全体に対する前記作業の現在状況の割合を有する
管理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記電子作業手順書のうち閲覧履歴のある部分から、前記作業の現在状況を推定する
請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記電子作業手順書のうち閲覧履歴のある各箇所に重みづけを乗算し、乗算結果を合計することにより、前記作業の現在状況を推定する
請求項3に記載の管理装置。
【請求項5】
オペレータが前記重みづけを修正可能なユーザインタフェースをさらに有する
請求項4に記載の管理装置。
【請求項6】
前記作業の進捗状況情報は、前記作業の実際経過時間をさらに有し、
前記プロセッサは、前記記憶装置に蓄積された前記閲覧状況と前記閲覧時刻から、前記実際経過時間を計算する
請求項2に記載の管理装置。
【請求項7】
前記作業の進捗状況情報は、前記作業の推定残り時間を有し、
前記プロセッサは、前記作業の完了に要すると推定される推定所要時間から前記実際経過時間を減算することにより、前記推定残り時間を計算する
請求項6に記載の管理装置。
【請求項8】
オペレータが前記推定所要時間を修正可能なユーザインタフェースをさらに有する
請求項7に記載の管理装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記実際経過時間が前記作業の前記現在状況までに要すると想定される想定時間より長い場合に、前記通信装置に警告を送信する
請求項6に記載の管理装置。
【請求項10】
前記作業の進捗状況情報は、前記作業が行われた少なくとも一つの期間を示すチャートを表示装置に表示するため前記作業が行われた期間を表す情報項目をさらに有し、
前記プロセッサは、前記記憶装置に蓄積された前記閲覧状況と前記閲覧時刻から、前記作業が行われた期間を表す前記情報項目を生成する
請求項2から9のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項11】
前記閲覧状況は、前記電子作業手順書の後戻りに関する情報を含む
請求項2から9のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項12】
前記受信部は、複数の作業者がそれぞれ使用する複数の通信装置から、前記閲覧状況と前記閲覧時刻と前記識別情報の報告を逐次、受信し、
前記プロセッサは、前記記憶装置に蓄積された前記閲覧状況と前記閲覧時刻と前記識別情報から、各作業者についての作業の進捗状況情報を生成する
請求項2から9に記載の管理装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記進捗状況情報に対応する進捗状況画面を表示装置に表示するための進捗状況画面情報を生成し、前記進捗状況画面は、互いに関連する複数の製品の製造作業の進捗状況を関連付けて表示する
請求項12に記載の管理装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記複数の製品である複数のサブアセンブリの製造作業の進捗状況に基づいて、前記複数のサブアセンブリから製造される前記複数の製品の一つであるアセンブリの製造作業の進捗状況を算出し、前記進捗状況画面は、前記複数のサブアセンブリの製造作業の進捗状況と前記アセンブリの製造作業の進捗状況を関連付けて表示する
請求項13に記載の管理装置。
【請求項15】
コンピュータに、
作業者が使用する少なくとも1つの通信装置から、一つ以上の工程を有する作業を説明する電子作業手順書の前記作業者による閲覧状況と閲覧時刻と、前記作業で製造される製品の個体を識別する識別情報の報告を逐次、受信することと、
前記閲覧状況と前記閲覧時刻と前記識別情報を逐次、記憶装置に記憶することと、
前記記憶装置に蓄積された前記閲覧状況と前記閲覧時刻と前記識別情報から、前記一つ以上の工程を有する前記作業の進捗状況情報を生成することとを実行させ、
前記進捗状況情報は、少なくとも前記作業の全体に対する前記作業の現在状況の割合を有する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業管理システム、管理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば工場またはプラントなどの製造施設において、作業工程の進捗状況を管理することは重要である。一般的な大量生産の製品の生産管理では、製造設備、装置、センサ等から取得された情報に基づいて進捗状況を判定することが一般的である。
【0003】
また、特許文献1は、作業者が所持する通信端末が各作業の区切りをサーバに報告し、サーバが各作業の開始時刻と終了時刻を格納装置に蓄積する技術を開示する。この技術によれば、各作業の終了を把握することができ、作業者の各作業期間を計算することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2023-002084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の技術では、特に複数の工程を有する作業全体についての進捗状況を把握することが困難である。
【0006】
そこで、本発明は、一つ以上の工程を有する作業全体についての進捗状況を容易に把握することができる作業管理システム、管理装置およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、作業管理システムを提供する。作業管理システムは、一つ以上の工程を有する作業を説明する電子作業手順書の作業者による閲覧状況と閲覧時刻を、前記作業で製造される製品の個体を識別する識別情報とともに報告する通信装置と、前記通信装置から報告される前記閲覧状況と前記閲覧時刻と前記識別情報を逐次、受信する受信部と、前記閲覧状況と前記閲覧時刻と前記識別情報を逐次、記憶装置に記憶するプロセッサとを備える。前記プロセッサは、前記記憶装置に蓄積された前記閲覧状況と前記閲覧時刻と前記識別情報から、前記一つ以上の工程を有する前記作業の進捗状況情報を生成する。前記進捗状況情報は、少なくとも前記作業の全体に対する前記作業の現在状況の割合を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様によれば、一つ以上の工程を有する作業全体についての進捗状況を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係る作業管理システムを示すブロック図である。
図2図2は、作業管理システムの通信装置のGUIに表示される電子作業手順書の一例を示す図である。
図3図3は、通信装置のGUIに表示される電子作業手順書の画面の他の一例を示す図である。
図4図4は、通信装置のGUIに表示される電子作業手順書の画面の他の一例を示す図である。
図5図5は、通信装置のGUIに表示される電子作業手順書の画面の他の一例を示す図である。
図6図6は、通信装置のGUIに表示される電子作業手順書の画面の他の一例を示す図である。
図7A図7Aは、通信装置で実行される動作の一例を示すフローチャートである。
図7B図7Bは、図7Aの変形例を示すフローチャートである。
図8A図8Aは、作業管理システムの管理装置で実行される動作の一例を示すフローチャートである。
図8B図8Bは、図8Aの変形例を示すフローチャートである。
図9A図9Aは、管理装置で実行される他の動作の一例を示すフローチャートである。
図9B図9Bは、図9Aの変形例を示すフローチャートである。
図10図10は、本発明の実施形態に係る管理装置の動作の概略を示す図である。
図11図11は、進捗状況画面の一例を示す図である。
図12図12は、進捗状況画面の他の一例を示す図である。
図13図13は、進捗状況画面の他の一例を示す図である。
図14図14は、管理装置で使用される重みづけの一例を示す図である。
図15図15は、重みづけの他の一例を示す図である。
図16図16は、重みづけの他の一例を説明するための電子作業手順書の複数のページを示す図である。
図17図17は、図16の電子作業手順書の作業項目と重みづけの関係を示す表である。
図18図18は、管理装置で推定される進捗度の他の一例を示す図である。
図19図19は、実施形態の変形例に係る作業管理システムの一部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る実施形態を説明する。
【0011】
<作業管理システムの概略構成>
図1は、本発明の実施形態に係る作業管理システムを示すブロック図である。図1に示すように、作業管理システム1は、管理装置10、複数の通信装置20、格納装置30およびネットワーク40を有する。管理装置10、通信装置20および格納装置30は、ネットワーク40に接続されており、相互に情報交換することができる。
【0012】
管理装置10は、プロセッサ11、通信インタフェース12、記憶部13およびGUI(Graphical User Interface)14を有する。プロセッサ11は、記憶部13または他の図示しない記憶装置に格納されたコンピュータプログラムに従って、管理装置10の全体動作を統括する。通信インタフェース12は、ネットワーク40に接続された他の装置、すなわち複数の通信装置20および格納装置30と情報を送受信する。記憶部13は、書き込み可能なメモリ装置であって、例えばHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)であってよい。GUI14は、管理装置10のオペレータの指令をプロセッサ11に供給する入力装置であり、管理装置10で生成された画像情報に基づいて画像を表示する表示装置でもある。GUI14の代わりに、個別の入力装置と表示装置を管理装置10が有していてもよい。
【0013】
管理装置10の例は、パーソナルコンピュータであるが、タブレット端末であってもよく、サーバであってもよい。
【0014】
ネットワーク40は、イントラネットでもよいしインターネットでもよい。
【0015】
各通信装置20は、プロセッサ21、通信インタフェース22、記憶部23およびGUI24を有する。プロセッサ21は、記憶部23または他の図示しない記憶装置に格納されたコンピュータプログラムに従って、通信装置20の全体動作を統括する。通信インタフェース22は、ネットワーク40に接続された他の装置、すなわち管理装置10および格納装置30と情報を送受信する。記憶部23は、書き込み可能なメモリ装置であって、例えばHDDまたはSSDであってよい。GUI24は、通信装置20のオペレータの指令をプロセッサ21に供給する入力装置であり、通信装置20で生成された画像情報に基づいて画像を表示する表示装置でもある。GUI24の代わりに、個別の入力装置と表示装置を通信装置20が有していてもよい。
【0016】
各通信装置20の例は、タブレット端末であるが、パーソナルコンピュータまたはスマートフォンでもよい。
【0017】
各通信装置20は、工場またはプラントなどの製造施設における手作業を行うための機械または工具(図示せず)の近傍に配置されている。各通信装置20のオペレータは、機械または工具を取り扱う作業者である。このような機械または工具は、例えば、ネジを締める手動または電動ドライバー、ボルトをナットに締結する手動または電動レンチ、半田ごて、電気接続を試験するテスターを含む。
【0018】
格納装置30には、複数の電子作業手順書が格納されている。各電子作業手順書は、一つ以上の工程を有する作業を説明する。各通信装置20のオペレータである作業者は、通信装置20を操作しネットワーク40を介して、自身が行うべき作業に対応する電子作業手順書を通信装置20にダウンロードする。
【0019】
各通信装置20は、ネットワーク40を介して、電子作業手順書の作業者による閲覧状況と閲覧時刻を、製品個体IDとともに管理装置10に報告する。製品個体IDは、通信装置20に対応する作業で製造される製品の個体を識別する識別情報である。「製品の個体」とは、同じ製品の複数の個体の各々を意味する。製品個体IDは、作業者が製品の部品に貼付されたステッカーを見ながらGUI24を用いて通信装置20に入力してもよいし、ステッカーに印刷されたバーコードまたは二次元コードをリーダー(図示せず)で読み取ることによって通信装置20に入力してもよい。
【0020】
製品個体IDに加えて、各通信装置20は、製品ID(製品を識別する情報)を管理装置10に報告してもよい。製品IDは、作業者が製品の部品に貼付されたステッカーを見ながらGUI24を用いて通信装置20に入力してもよいし、ステッカーに印刷されたバーコードまたは二次元コードをリーダーで読み取ることによって通信装置20に入力してもよい。
【0021】
本明細書で、「製品」は、最終製品つまりアセンブリであってもよいし、最終製品の部品であるサブアセンブリであってもよい。すなわち、アセンブリを組み立てる作業者が使用する通信装置20は、アセンブリの個体を識別する製品個体ID(および必要に応じてアセンブリを識別する製品ID)をネットワーク40に報告する。一方、サブアセンブリの作業を行う作業者が使用する通信装置20は、サブアセンブリの個体を識別する製品個体ID(および必要に応じてサブアセンブリを識別する製品ID)をネットワーク40に報告する。
【0022】
また、各各通信装置20は、作業者IDを管理装置10に報告してもよい。作業者IDは、作業者がGUI24を用いて通信装置20に入力してもよいし、作業者の名札に印刷されたバーコードまたは二次元コードをリーダーで読み取ることによって通信装置20に入力してもよい。
【0023】
管理装置10の通信インタフェース12は、複数の作業者がそれぞれ使用する複数の通信装置20の各々から報告される閲覧状況と閲覧時刻と製品個体IDを逐次、受信し、プロセッサ11は、閲覧状況と閲覧時刻と製品個体IDを記憶装置(記憶部13または格納装置30)に記憶する。プロセッサ11は、記憶装置に蓄積された閲覧状況と閲覧時刻と製品個体IDから、各通信装置20の近傍で行われている作業の進捗状況情報を生成し、進捗状況情報を記憶装置(記憶部13または格納装置30)に格納する。
【0024】
記憶装置に格納された進捗状況情報は、管理装置10で閲覧することもできるし、各通信装置20で閲覧することもできる。進捗状況情報に基づいて、管理装置10のプロセッサ11は、進捗状況情報に対応する進捗状況画面を表示装置に表示するための進捗状況画面情報を生成する。進捗状況画面情報に基づいて、管理装置10のプロセッサ11または通信装置20のプロセッサ21は、GUI14または24に進捗状況情報に対応する進捗状況画面を表示する。
【0025】
<電子作業手順書の例>
図2に示すように、通信装置20のGUI24に表示される電子作業手順書の画面の一例は、作業指示領域41、前ページ移動ボタン42、次ページ移動ボタン43および現在ページ表示領域44を有する。作業指示領域41には、作業者に作業の手順を教える作業指示が表示される。作業者が前ページ移動ボタン42をタッチまたはクリックすると、現在ページの前ページが表示される。作業者が次ページ移動ボタン43をタッチまたはクリックすると、現在ページの次ページが表示される。現在ページ表示領域44には、電子作業手順書の全ページ数(図示例では50)と、現在表示されている現在ページ(図示例では12)が表示される。
【0026】
図2の画面が使用される場合、作業者が次ページ移動ボタン43をタッチまたはクリックすると、通信装置20のプロセッサ21は、それまで表示されていた現在ページを前記の閲覧状況として管理装置10に報告する。この閲覧状況は、作業者が現在ページを読了したこと、ひいては現在ページに対応する作業部分を完了したことを意味する。管理装置10には、現在ページは電子作業手順書のうち閲覧履歴がある箇所として把握される。また、プロセッサ21は、作業者が次ページ移動ボタン43をタッチまたはクリックした時刻を閲覧時刻として、閲覧状況および製品個体IDとともに管理装置10に報告する。したがって、管理装置10のプロセッサ11は、電子作業手順書の作業者による閲覧履歴があるページと、作業者が閲覧した時刻と、製品個体IDを記憶装置(記憶部13または格納装置30)に記憶する。
【0027】
また、作業者が前ページ移動ボタン42を一度以上タッチまたはクリックすると、通信装置20のプロセッサ21は、後戻りして停止したページを閲覧状況として管理装置10に報告する。この閲覧状況は、作業者が停止したページを読み直すことを意味する。管理装置10には、この閲覧状況は、電子作業手順書の後戻りに関する情報として把握される。また、プロセッサ21は、作業者が前ページ移動ボタン42をタッチまたはクリックし終えた時刻を閲覧時刻として、閲覧状況および製品個体IDとともに管理装置10に報告する。したがって、管理装置10のプロセッサ11は、電子作業手順書の作業者による後戻りして停止したページと、作業者が後戻りした時刻と、製品個体IDを記憶装置(記憶部13または格納装置30)に記憶する。
【0028】
後戻りの回数が多いことは、作業手順が不合理であるか、電子作業手順書の作業指示が難解であるか、またはその両方であることを意味する。したがって、後戻りの回数が多いことを把握した場合、作業管理システム1の管理者は、作業手順を修正および/または電子作業手順書を改訂することができる。
【0029】
図3に示すように、通信装置20のGUI24に表示される電子作業手順書の画面の他の一例は、図2に示す要素に加えて、複数の既読ボタン45を有する。作業指示領域41には、作業の複数の工程の指示が説明されており、各工程の説明の後に既読ボタン45が配置されている。
【0030】
作業者は、各工程の説明を読了すると、既読ボタン45をタッチまたはクリックする。すると、通信装置20のプロセッサ21は、読了された箇所を前記の閲覧状況として管理装置10に報告する。この閲覧状況は、作業者が現在ページ内のある工程の説明を読了したこと、ひいては当該工程を完了したことを意味する。管理装置10には、その工程の説明は電子作業手順書のうち閲覧履歴がある箇所として把握される。また、プロセッサ21は、作業者が次ページ移動ボタン43をタッチまたはクリックした時刻を閲覧時刻として、閲覧状況および製品個体IDとともに管理装置10に報告する。したがって、管理装置10のプロセッサ11は、電子作業手順書の作業者による閲覧履歴がある箇所と、作業者が閲覧した時刻と、製品個体IDを記憶装置(記憶部13または格納装置30)に記憶する。
【0031】
図3の既読ボタン45は、一つの電子作業手順書の全ページに必要とは限らない。すなわち、一つの電子作業手順書におけるいくつかのページが図2の画面で表示され、一つ以上の他のページが図3の画面で表示されてもよい。既読ボタン45を設ける代わりに、あるページの表示時間が一定時間を超えたら、一定時間に相当する分量の箇所を読了された箇所として、通信装置20のプロセッサ21は、前記の閲覧状況として管理装置10に報告してもよい。また、あるページがスクロールダウンされたら、スクロールダウンに伴いGUI24の画面から消えた箇所を読了された箇所として、通信装置20のプロセッサ21は、前記の閲覧状況として管理装置10に報告してもよい。
【0032】
図4に示すように、通信装置20のGUI24に表示される電子作業手順書の画面の他の一例は、電子作業手順書の最終ページを示す。他のページは、図2または図3の画面で表示される。図4の画面は、作業指示領域41の作業指示の後に配置された製品完成ボタン46を有する。
【0033】
作業者は、電子作業手順書に対応する作業が終了すると、製品完成ボタン46をタッチまたはクリックする。すると、通信装置20のプロセッサ21は、作業完了を前記の閲覧状況として管理装置10に報告する。また、プロセッサ21は、作業者が製品完成ボタン46をタッチまたはクリックした時刻を閲覧時刻として、閲覧状況および製品個体IDとともに管理装置10に報告する。したがって、管理装置10のプロセッサ11は、電子作業手順書に対応する作業の終了(すなわち製品の完成)と、作業の終了時刻と、製品個体IDを記憶装置(記憶部13または格納装置30)に記憶する。また、プロセッサ11は、完成した製品の個数を記憶装置(記憶部13または格納装置30)に記憶してもよい。製品完成ボタン46を設ける代わりに、最終ページを表示した後に、作業手順書を表示するためのアプリケーションを閉じるか、通信装置20をシャットダウンすると、通信装置20のプロセッサ21が、作業完了を前記の閲覧状況として管理装置10に報告してもよい。あるいは、最終ページに次ページ移動ボタンを設け、最終ページ上の次ページ移動ボタンを作業者がタッチまたはクリックすると、通信装置20のプロセッサ21が、作業完了を前記の閲覧状況として管理装置10に報告してもよい。あるいは、最終ページを開いた時、または最終ページを開いてから一定時間が経過した時、通信装置20のプロセッサ21が、作業完了を前記の閲覧状況として管理装置10に報告してもよい。
【0034】
図5に示すように、通信装置20のGUI24に表示される電子作業手順書の画面の他の一例は、電子作業手順書の最終ページを示す。他のページは、図2または図3の画面で表示される。図5の画面は、作業指示領域41に加えて、試験結果・工程作業チェック領域47を有する。
【0035】
作業者は、電子作業手順書に対応する作業が終了すると、試験結果・工程作業チェック領域47に試験結果および工程作業チェック結果を入力する。試験とは、製品の電気接続試験でもよいし、目視による外観試験でもよい。工程作業チェックとは、作業者が作業の一つ以上の工程をすべて完了したか(実行済みか)否か、換言すればいずれかの工程を省略したか(未実行か)否かを作業者自身がチェックすることである。
【0036】
試験結果・工程作業チェック領域47には、各工程について、作業者がタッチまたはクリック可能な実行済ボタンと未実行ボタンが設けられている。いずれかの工程で未実行である場合には、作業者はそのことに気づいて、電子作業手順書を後戻りして、当該工程を実行することができる。したがって、工程の省略を減少させることができる。
【0037】
また、試験結果・工程作業チェック領域47には、試験結果について、作業者がタッチまたはクリック可能な良品ボタンと不良品ボタンが設けられている。製品が試験に合格した場合には、良品ボタンを作業者はタッチまたはクリックする。製品が試験に不合格であった場合には、不良品ボタンを作業者はタッチまたはクリックする。
【0038】
試験結果・工程作業チェック領域47への入力終了後、作業者は製品完成ボタン46をタッチまたはクリックする。
【0039】
すると、通信装置20のプロセッサ21は、作業完了を前記の閲覧状況として管理装置10に報告する。また、プロセッサ21は、作業者が製品完成ボタン46をタッチまたはクリックした時刻を閲覧時刻として、閲覧状況および製品個体IDとともに管理装置10に報告する。したがって、図4の画面と同様に、管理装置10のプロセッサ11は、電子作業手順書に対応する作業の終了(すなわち製品の完成)と、作業の終了時刻と、製品個体IDを記憶装置(記憶部13または格納装置30)に記憶する。また、通信装置20のプロセッサ21は、試験結果・工程作業チェック領域47に入力された結果を管理装置10に報告する。
【0040】
試験結果・工程作業チェック領域47に入力された結果に基づいて、管理装置10のプロセッサ11は、試験結果が良好か否か、および工程作業チェック結果が良好か否かを把握することができる。試験結果が不良である場合、またはいずれかの工程が省略された場合、プロセッサ11は、対応する個体を完成した製品の個数から除外する。このような場合、プロセッサ11は、管理装置10のスピーカー(図示せず)にアラート音を発生させてもよいし、対応する通信装置20に警告メッセージを送信してもよい。
【0041】
図6に示すように、通信装置20のGUI24に表示される電子作業手順書の画面の他の一例は、前ページ移動ボタン42と次ページ移動ボタン43の代わりに、垂直スクロールバー48を有する。垂直スクロールバー48は、ノブ49、上アロー50および下アロー51を有する。
【0042】
作業者がノブ49を上昇させると、電子作業手順書のページが戻り、作業者がノブ49を下降させると、電子作業手順書のページが進む。また、作業者が上アロー50をタッチまたはクリックすると、電子作業手順書のページが戻り、作業者が下アロー51をタッチまたはクリックすると、電子作業手順書のページが進む。
【0043】
図2の画面の場合と同様に、ページが変更されると、通信装置20のプロセッサ21は、閲覧状況、閲覧時刻および製品個体IDを管理装置10に報告する。
【0044】
図6の画面においても、既読ボタン45、製品完成ボタン46、試験結果・工程作業チェック領域47の少なくともいずれかが表示されるようになっていてもよい。
【0045】
<通信装置で実行される動作>
図7Aは、通信装置20で実行される動作の一例を示す。
【0046】
ステップS1では、プロセッサ21は、電子作業手順書のページ変更または一部既読があったか否か判断する。ページ変更とは、作業者が次のページに進んだこと、または以前のいずれかのページに戻ったことである。一部既読とは、例えば、前記の既読ボタン45が押されたことである。
【0047】
ステップS1の判断がNOであれば、プロセッサ21はステップS1を繰り返す。ステップS1の判断がYESであれば、動作はステップS2に進む。ステップS2で、プロセッサ21は、上記の通り、閲覧状況、閲覧時刻および製品個体IDを管理装置10宛てに送信する。
【0048】
ステップS3では、プロセッサ21は作業が終了したか否か判断する。作業の終了は、例えば前記の製品完成ボタン46が押されたこと、または最終ページが開かれた電子作業手順書が閉じられたことである。ステップS3の判断がNOであれば、動作はステップS1に戻る。ステップS3の判断がYESであれば、動作は終了する。
【0049】
図7B図7Aの変形例を示すフローチャートである。ステップS1Aでは、プロセッサ21は、電子作業手順書のページ変更または一部既読を検知する。次に、ステップS2およびステップS3が実行される。ステップS3の判断がNOであれば、動作はステップS1Aに戻る。ステップS3の判断がYESであれば、動作は終了する。
【0050】
<管理装置で実行される動作>
図8Aは、管理装置10で実行される動作の一例を示す。
【0051】
ステップS10では、プロセッサ11は、いずれかの通信装置20から情報(閲覧状況、閲覧時刻および製品個体ID)を受信したか否か判断する。ステップS10の判断がNOであれば、プロセッサ11はステップS10を繰り返す。ステップS10の判断がYESであれば、動作はステップS11に進む。ステップS11で、プロセッサ11は、受信した情報を記憶装置(記憶部13または格納装置30)に格納する。この後、動作はステップS10に戻る。
【0052】
図8B図8Aの変形例を示すフローチャートである。ステップS10Aでは、プロセッサ11は、いずれかの通信装置20から情報(閲覧状況、閲覧時刻および製品個体ID)を受信したことを検知する。次に、ステップS11が実行され、その後、動作はステップS10Aに戻る。
【0053】
図9Aは、管理装置10で実行される他の動作の一例を示す。
【0054】
ステップS15で、プロセッサ11は、進捗状況依頼があったか否か判断する。進捗状況依頼は、進捗状況を確認したいオペレータが管理装置10自体または通信装置20を介して管理装置10に指令する。ステップS15の判断がNOであれば、プロセッサ11はステップS15を繰り返す。ステップS15の判断がYESであれば、動作はステップS16に進む。
【0055】
ステップS16で、プロセッサ11は、記憶装置に蓄積された閲覧状況と閲覧時刻と製品個体IDから、各通信装置20の近傍で行われている作業の進捗状況情報を生成し、進捗状況情報を記憶装置(記憶部13または格納装置30)に格納する。
【0056】
ステップS17で、プロセッサ11は、進捗状況情報に対応する進捗状況画面を表示装置に表示するための進捗状況画面情報を生成し、進捗状況画面情報を記憶装置(記憶部13または格納装置30)に格納する。
【0057】
ステップS18で、プロセッサ11は、進捗状況依頼元に、進捗状況画面情報を供給する。進捗状況画面情報に基づいて、管理装置10のプロセッサ11または通信装置20のプロセッサ21は、GUI14または24に進捗状況情報に対応する進捗状況画面を表示する。進捗状況依頼元が通信装置20のいずれかであれば、プロセッサ11は通信装置20に進捗状況画面情報を送信する。進捗状況依頼元が管理装置10自体であれば、プロセッサ11は、管理装置10のワークエリアに進捗状況画面情報を格納する。
【0058】
この後、動作はステップS15に戻る。
【0059】
図9B図9Aの変形例を示すフローチャートである。ステップS15Aでは、プロセッサ11は、進捗状況依頼があったことを検知する。次に、ステップS16、ステップS17およびステップS18が実行され、その後、動作はステップS15Aに戻る。
【0060】
図10は、管理装置10の動作の概略を示す。図10に示すように、作業者Aが行う作業は三つの工程1~3を有し、作業者Bが行う作業は二つの工程4,5を有し、作業者Cが行う作業は一つの工程6を有する。
【0061】
各工程は一つの電子作業手順書の複数のページ(図示例では10ページであるが、図示例には限定されない)に対応する。但し、各作業者に別々の電子作業手順書が与えられてもよい。すなわち各作業者は一つの電子作業手順書を参照するように規定されていてもよい。
【0062】
電子作業手順書の閲覧履歴がある箇所は、作業者が読了した箇所に対応し、作業者が工程中のどこまで完了したかを示すと考えてよい。
【0063】
各作業者からの閲覧状況は、記憶装置(記憶部13または格納装置30)のデータベースに格納される。管理装置10は、データベースの格納内容から進捗状況情報を生成する。図10において、「SN」は製品個体を示すシリアル番号すなわち製品個体IDである。例えば、SN1の製品個体については、全50ページの電子作業手順書の12ページまで作業者が読了しており(12ページまで閲覧履歴があり)、作業の進捗率が12/50すなわち24%である。「進捗率」とは、作業の全体に対する作業の現在状況の割合である。
【0064】
管理装置10のプロセッサ11は、電子作業手順書のうち閲覧履歴がある部分から作業の進捗率を推定する。図10に示される進捗率は、電子作業手順書の全ページに対する閲覧履歴があるページの割合である。しかし、後述するように、各ページに異なる重みづけを与えてもよい。この場合、プロセッサ11は、電子作業手順書のうち閲覧履歴がある各箇所に重みづけを乗算し、乗算結果を合計することにより、作業の進捗率を推定する。
【0065】
図10に示される進捗状況情報は例示であって、後述するように、作業の進捗率以外の情報項目を含んでもよい。
【0066】
<進捗状況画面の例>
図11は、管理装置10で生成された進捗状況情報の結果である進捗状況画面情報に基づいて、管理装置10のGUI14または通信装置20のGUI24に表示される進捗状況画面の一例を示す。
【0067】
この進捗状況画面は、オペレータが検索条件を指定するリストボックス60~66、検索ボタン67、情報表示領域68~74を有する。
【0068】
リストボックス60~66は、期間の開始日ボックス60、期間の末日ボックス61、モデルボックス62、シリアル番号ボックス63、製造ラインボックス64、最低進捗率ボックス65および最高進捗率ボックス66を有する。
【0069】
オペレータは、期間の開始日ボックス60と末日ボックス61に、進捗状況を確認したい期間の開始日と末日をそれぞれ入力することができる。
【0070】
オペレータは、モデルボックス62に、進捗状況を確認したいアセンブリ(モデル)を入力することができる。モデルボックス62にモデルを入力するか否かは任意である。但し、モデルボックス62にモデルを入力しない場合には、シリアル番号ボックス63にシリアル番号を入力しなければならない。
【0071】
オペレータは、シリアル番号ボックス63に、進捗状況を確認したいアセンブリの製品個体IDすなわちシリアル番号を入力することができる。シリアル番号ボックス63にシリアル番号を入力するか否かは任意である。シリアル番号ボックス63にシリアル番号が入力された場合には、そのシリアル番号の製品個体に関する情報が情報表示領域68~74に表示され、シリアル番号ボックス63にシリアル番号が入力されなかった場合には、モデルボックス62に入力されたモデル(製品)に対応するすべての製品個体に関する情報が情報表示領域68~74に表示される。
【0072】
オペレータは、製造ラインボックス64に、進捗状況を確認したい製造ラインを入力することができる。製造ラインボックス64に製造ラインを入力するか否かは任意である。製造ラインボックス64に製造ラインが入力された場合には、その製造ラインに関する情報が情報表示領域68~74に表示され、製造ラインボックス64に製造ラインが入力されなかった場合には、すべての製造ラインに関する情報が情報表示領域68~74に表示される。
【0073】
オペレータは、最低進捗率ボックス65および最高進捗率ボックス66に、確認したい進捗状況の範囲の下限と上限をそれぞれ入力することができる。図示のように、最低進捗率ボックス65にゼロ、最高進捗率ボックス66に99を入力することにより、未完成の製品に関する情報が情報表示領域68~74に表示される。例えば、最低進捗率ボックス65に10、最高進捗率ボックス66に90を入力することにより、進捗率が10~90%の製品に関する情報が情報表示領域68~74に表示される。最低進捗率ボックス65に0、最高進捗率ボックス66に100を入力することにより、進捗率が0~100%のすべての製品に関する情報が情報表示領域68~74に表示される。
【0074】
オペレータが所望のパラメータをリストボックス60~66に入力した後、検索ボタン67をタッチまたはクリックすると、リストボックス60~66に入力されたパラメータに対応する情報が情報表示領域68~74に表示される。情報表示領域68~74は、シリアル番号表示領域68、進捗表示領域69、実際経過時間表示領域70、ページ表示領域71、進捗グラフ表示領域72、ガントチャート表示領域73およびページの推移表示領域74を有する。
【0075】
シリアル番号表示領域68には、製品のシリアル番号が表示される。シリアル番号ボックス63にシリアル番号が入力された場合には、その番号のみがシリアル番号表示領域68に表示される。図示例のように、モデルボックス62にモデルが入力され、シリアル番号ボックス63にシリアル番号が入力されなかった場合には、モデルボックス62に入力されたモデル(製品)に対応するすべての製品個体に関する製品個体IDすなわちシリアル番号がシリアル番号表示領域68に表示される。
【0076】
これらの製品個体は、異なる作業者によって製造されている。管理装置10のプロセッサ11は、記憶装置(記憶部13または格納装置30)に蓄積された複数の通信装置20から報告された閲覧状況と閲覧時刻と識別情報から、各作業者についての作業の進捗状況情報を生成する。作業の進捗状況は、情報表示領域69~74に表示される。したがって、各作業者の進捗状況を把握することができる。
【0077】
進捗表示領域69には、シリアル番号表示領域68に表示されたシリアル番号の製品個体の作業の進捗率と、作業の期間が表示される。例えば、シリアル番号「00M0034567801」の製品個体については、進捗率は70%であり、この個体については、5月22日から8月7日まで作業が行われたことが表示されている。こうして、作業の進捗状況を可視化することができる。
【0078】
このように、作業の進捗状況情報は、作業の進捗率と作業が行われた期間を表す情報項目を有する。管理装置10のプロセッサ11は、記憶装置(記憶部13または格納装置30)に蓄積された閲覧状況と閲覧時刻から、作業の進捗率と作業が行われた期間を表す前記情報項目を生成する。
【0079】
実際経過時間表示領域70には、シリアル番号表示領域68に表示されたシリアル番号の製品個体の作業の実際経過時間が表示される。作業管理システム1の管理者が実際経過時間を把握することは、生産効率改善のヒントになりうる。また、実際経過時間が長いことは、電子作業手順書の難解さに原因があることもありうるので、管理者は電子作業手順書を改訂することができる。また、実際経過時間から管理者は作業者の習熟度を判断することができる。
【0080】
このように、作業の進捗状況情報は、作業の実際経過時間を有する。管理装置10のプロセッサ11は、記憶装置(記憶部13または格納装置30)に蓄積された閲覧状況と閲覧時刻から、実際経過時間を計算する。
【0081】
管理装置10のプロセッサ11は、実際経過時間が作業の現在状況までに要すると想定される想定時間より長い場合に、その作業を行っている作業者に対応する通信装置20に警告メッセージを送信することができる。このようにして、習熟度および/または達成度が低い作業者に警告することができる。
【0082】
想定時間は、作業管理システム1の管理者によって推定され、プロセッサ11で使用されるコンピュータプログラム上に記録されているか、そのコンピュータプログラムが参照するパラメータとして記憶部23または他の図示しない記憶装置に記録されている。想定時間は、実際の作業の負荷および/または電子作業手順書の難解さに応じて修正してよい。この場合、管理装置10のオペレータがGUI14を用いて、想定時間を修正することができる。
【0083】
ページ表示領域71には、シリアル番号表示領域68に表示されたシリアル番号の製品個体の作業の電子作業手順書の作業者による閲覧状況が表示される。例えば、シリアル番号「00M0034567801」の製品個体については、電子作業手順書の全ページ数は100であり、作業者による読了ページ数は70である。
【0084】
進捗グラフ表示領域72には、シリアル番号表示領域68に表示されたシリアル番号の製品個体の作業の進捗率の数値と、進捗率の棒グラフが表示される。
【0085】
ガントチャート表示領域73には、シリアル番号表示領域68に表示されたシリアル番号の製品個体のガントチャートが表示される。ガントチャートは、作業が行われた少なくとも一つの期間を示すチャートであり、進捗表示領域69に表示された作業の開始日から末日までが着色されている。
【0086】
このように、作業の進捗状況情報は、ガントチャートをGUIに表示するために、作業が行われた期間を表す情報項目を有する。ガントチャート表示領域73に表示されたガントチャートによって、作業の進捗状況を容易に把握することができる。
【0087】
ページの推移表示領域74には、シリアル番号表示領域68に表示されたシリアル番号の製品個体の電子作業手順書の作業者によるページ変更の履歴が折れ線グラフとして表示される。この折れ線グラフでは、時間が縦軸であり、作業者が読んだ電子作業手順書のページが横軸である。ここで横軸の方向は、各グラフの長手方向である。但し、折れ線グラフの代わりに、電子作業手順書の後戻りされたページおよび後戻りの回数をページの推移表示領域74に表示してもよい。いずれの場合にせよ、ページの推移表示領域74を見た者は、電子作業手順書の後戻りされたページおよび後戻りの回数を把握することができる。
【0088】
管理装置10または通信装置20のオペレータは、図11に示す進捗状況画面から、所望の期間にわたる所望のモデルまたは所望の個体の進捗率その他の進捗状況を把握することができる。特に、同じモデルに属する複数の製品個体の作業の進捗状況を把握することができ、これらの製品個体に対応する複数の作業者の作業能率を分析することができる。
【0089】
開始日ボックス60と末日ボックス61で指定される所望の期間を変更すると、異なる期間における作業の進捗状況を把握することができる。したがって、作業能率が改善されたか否か確認することが可能である。
【0090】
また、ページの推移表示領域74を作業管理システム1の管理者が見た場合、電子作業手順書の後戻りされたページおよび後戻りの回数を把握することができる。特定のページへの後戻りの回数が多いことは、そのページまたは周辺ページに関する作業手順が不合理であるか、電子作業手順書のそのページまたは周辺ページにおける作業指示が難解であるか、またはその両方であることを意味する。したがって、後戻りの回数が多いことを把握した場合、作業管理システム1の管理者は、作業手順を修正および/または電子作業手順書を改訂することができる。
【0091】
上記の通り、リストボックス60~66は、オペレータが検索条件を指定する指定部であり、情報表示領域68~74は検索条件にマッチした情報を表示する領域である。
【0092】
進捗状況画面を用いた検索は、図9のフローチャートのステップS18で供給された進捗状況画面情報に対して行われてもよい。この場合、検索ボタン67をオペレータがタッチまたはクリックすると、管理装置10または通信装置20に供給されたすべての進捗状況画面情報内で、リストボックス60~66での指定に応じた検索が行われる。
【0093】
あるいは、検索ボタン67をオペレータがタッチまたはクリックすることは、図9のフローチャートのステップS15の進捗状況依頼に相当してもよい。この場合、リストボックス60~66での指定に応じて、管理装置10は記憶装置(記憶部13または格納装置30)内を検索し、進捗状況情報および進捗状況画面情報を生成し、進捗状況依頼元である管理装置10または通信装置20に、進捗状況画面情報を供給する。
【0094】
図12は、進捗状況画面の他の一例を示す。この進捗状況画面は、シリアル番号ボックス63に製品個体IDすなわちシリアル番号が入力された場合に表示される。情報表示領域は、シリアル番号表示領域68、ページ表示領域71、ガントチャート表示領域73、実際経過時間表示領域70、推定残り時間表示領域75、進捗グラフ表示領域72、ページの推移表示領域74を有する。
【0095】
この進捗状況画面では、シリアル番号ボックス63に入力されたシリアル番号「00M0034567801」を持つ最終製品であるアセンブリの進捗状況だけでなく、そのアセンブリを構成する部品であるサブアセンブリ(シリアル番号「00CM7801100」)の進捗状況が表示されている。さらに、シリアル番号「00CM7801100」を持つサブアセンブリを構成する部品である2つのサブアセンブリ(シリアル番号「00CM7802100」、「00CM7802200」)の進捗状況が表示されている。
【0096】
このように、この進捗状況画面は、互いに関連する複数の製品個体の製造作業の進捗状況を関連付けて表示する。したがって、関連する製品個体(アセンブリとサブアセンブリ)の進捗状況を同時に把握することができる。
【0097】
これらの製品個体は、異なる作業者によって製造されている。管理装置10のプロセッサ11は、記憶装置(記憶部13または格納装置30)に蓄積された複数の通信装置20から報告された閲覧状況と閲覧時刻と識別情報から、各作業者についての作業の進捗状況情報を生成する。作業の進捗状況は、情報表示領域70~75に表示される。したがって、各作業者の進捗状況を把握することができる。プロセッサ11は、複数の製品である複数のサブアセンブリの製造作業の進捗状況に基づいて、複数のサブアセンブリから製造されるアセンブリの製造作業の進捗状況を算出する。
【0098】
図12に示す情報表示領域70~74は、図11のそれらと同じである。但し、ガントチャート表示領域73には、作業の期限が縦線として表示されている。実際経過時間表示領域70の右に位置する推定残り時間表示領域75は、作業の推定残り時間を表示する。
【0099】
このように、作業の進捗状況情報は作業の推定残り時間を有する。管理装置10のプロセッサ11は、作業の完了に要すると推定される推定所要時間から実際経過時間を減算することにより、推定残り時間を計算する。推定所要時間は、作業管理システム1の管理者によって推定され、プロセッサ11で使用されるコンピュータプログラム上に記録されているか、そのコンピュータプログラムが参照するパラメータとして記憶部23または他の図示しない記憶装置に記録されている。推定残り時間の可視化により、作業の終了期限に間に合うか否か判断することが可能である。
【0100】
推定所要時間は、実際の作業の負荷および/または電子作業手順書の難解さに応じて修正してよい。この場合、管理装置10のオペレータがGUI14を用いて、推定所要時間を修正することができる。
【0101】
管理装置10または通信装置20のオペレータは、図12に示す進捗状況画面から、所望の期間にわたる所望の製品個体およびその製品個体を構成する部品の進捗率その他の進捗状況を把握することができる。特に、同じ製品個体に関連する複数の製品個体の作業の進捗状況を把握することができるため、これらの製品個体に対応する複数の作業者の作業能率を分析することができる。
【0102】
開始日ボックス60と末日ボックス61で指定される所望の期間を変更すると、異なる期間における作業の進捗状況を把握することができる。したがって、作業能率が改善されたか否か確認することが可能である。
【0103】
図11および図12に示される情報表示領域68~74または70~75は例示であり、本発明は図示の例示に限定されない。また、図示されたどの表示領域を表示するかは、管理装置10または通信装置20のオペレータによって選択可能である。また、情報表示領域の横方向の順序は、管理装置10または通信装置20のオペレータによって並べ替え可能である。
【0104】
図13は、進捗状況画面の他の一例を示す。この進捗状況画面は、シリアル番号ボックス63に何も入力されず、最低進捗率ボックス65に100が入力された場合に表示される。情報表示領域は、モデル表示領域80、完成数表示領域81および良品数表示領域82を有する。
【0105】
モデル表示領域80には、モデルボックス62に入力されたモデル(製品)が表示される。完成数表示領域81には、そのモデルの完成数が表示される。良品数表示領域82には、そのモデルの完成数のうち良品数(前記の試験に合格した製品の数)が表示される。
【0106】
管理装置10または通信装置20のオペレータは、図13に示す進捗状況画面から、所望の期間にわたる所望の製品の完成数および良品数を把握することができる。
【0107】
<管理装置で使用される重みづけの例>
上記の通り、図10に示される進捗率は、電子作業手順書の全ページに対する閲覧履歴があるページの割合である。つまり、各ページに対応する作業負荷は均等であることを前提としている。
【0108】
しかし、実際にはページに対応する負荷はまちまちであることがある。そこで、各ページに異なる重みづけを与えてもよい。この場合、管理装置10のプロセッサ11は、電子作業手順書のうち閲覧履歴がある各箇所に重みづけを乗算し、乗算結果を合計することにより、作業の進捗率を推定する。これにより、実際の作業の負荷を反映した進捗状況の把握することが可能である。重みづけは、プロセッサ11で使用されるコンピュータプログラムが参照するパラメータとして記憶部23または他の図示しない記憶装置に記録されている。
【0109】
重み付けの値は、作業管理システム1の管理者が知っていればよく、通信装置20のオペレータである作業者が知っている必要はない。しかし、GUI24に表示された電子作業手順書に記載されたバーコードまたは二次元コードをリーダーで読み取ることによって、作業者は通信装置20に重み付けの値をダウンロードして、GUI24に重み付けの値を表示させてもよい。
【0110】
図14は、管理装置10で使用される重みづけの一例を示す。図14には、複数の工程と、各工程に対応する電子作業手順書のページが示されている。
【0111】
工程1については、電子作業手順書のページ数が多く、1ページ当たりの作業量が多い。このため、工程1全体の重みづけは45%に設定されている。つまり、工程1が完了すれば、作業の進捗率は45%である。工程1に関する電子作業手順書の1ページあたりの重み付けは3%である。
【0112】
工程2については、電子作業手順書のページ数が少なく、1ページ当たりの作業量が少ない。このため、工程2全体の重みづけは5%に設定されている。工程2に関する電子作業手順書の1ページあたりの重み付けは1%である。
【0113】
工程3については、電子作業手順書のページ数は少ないが、1ページ当たりの作業量が多い。このため、工程3全体の重みづけは20%に設定されている。工程3に関する電子作業手順書の1ページあたりの重み付けは2.857%である。
【0114】
工程4については、電子作業手順書のページ数が多いが、1ページ当たりの作業量は少ない。このため、工程4全体の重みづけは10%に設定されている。工程4に関する電子作業手順書の1ページあたりの重み付けは0・769%である。
【0115】
工程5については、電子作業手順書のページ数、1ページ当たりの作業量も標準的である。このため、工程5全体の重みづけは20%に設定されている。工程5に関する電子作業手順書の1ページあたりの重み付けは2%である。
【0116】
ここでは、各工程の重み付けを説明したが、複数の工程(例えば工程1~工程3)にわたって一つの重み付けを設定してもよい。その場合、電子作業手順書の1ページあたりの重み付けは、その重み付けを複数の工程についての電子作業手順書のページ数で除算することにより得られる。
【0117】
図15は、重みづけの他の一例を示す。図15には、複数の工程と、各工程に対応する電子作業手順書のページが示されている。
【0118】
工程1全体の重みづけは15%に設定されている。工程1に関する電子作業手順書の1ページあたりの重み付けは1%である。つまり、ページあたりの作業量は均等である。
【0119】
工程2全体の重みづけは25%に設定されている。工程2に関する電子作業手順書の1ページあたりの重み付けは5%である。つまり、ページあたりの作業量は均等である。
【0120】
工程3全体の重みづけは8%に設定されている。工程3に関する電子作業手順書の21~26ページについては、1ページあたりの重み付けは1%である。27ページについては、1ページあたりの重み付けは2%である。つまり、ページあたりの作業量は不均等である。
【0121】
工程4全体の重みづけは42%に設定されている。工程4に関する電子作業手順書の28~32ページについては、1ページあたりの重み付けは2%である。33~42ページについては、1ページあたりの重み付けは4%である。つまり、ページあたりの作業量は不均等である。
【0122】
工程5全体の重みづけは10%に設定されている。工程5に関する電子作業手順書の1ページあたりの重み付けは1%である。つまり、ページあたりの作業量は均等である。
【0123】
以上のように、各工程に関する電子作業手順書の1ページあたりの重み付けは不均等に設定してもよい。
【0124】
図16および図17は、重みづけの他の一例を示す。ここでは、電子作業手順書に記載されている作業項目に応じて、異なる重みづけが設定されている。
【0125】
図16は、電子作業手順書の第1ページ、第2ページ、最終ページが示されており、途中のページは省略されている。各ページには作業項目が記載されている。図17に示すように、各作業項目には、タクトタイムと重みづけが設定されている。
【0126】
図16に示すように、第1ページは、ネジ締め1、ネジ締め2および組立1を説明する。第1ページを作業者が読了すると、図17に示す対応する重みづけが合計され、作業の7%が完了したことになる。第2ページは、組立2~4を説明する。第2ページを作業者が読了すると、作業の23%が完了したことになる。
【0127】
図17には、タクトタイムと重みづけが描写されているが、タクトタイムはコンピュータプログラムが参照するパラメータとして設定しなくてもよい。逆に、重みづけをパラメータとして設定せず、タクトタイムからプロセッサ11が重みづけの値を計算してもよい。同種の作業項目については、同一のタクトタイムひいては重みづけを設定することができる。
【0128】
前記の重みづけおよび図17に示すタクトタイムは、管理装置10のオペレータがGUI14を用いて、修正することが可能である。実際の作業の負荷および/または電子作業手順書の難解さに応じて、重みづけおよびタクトタイムを修正してよい。
【0129】
<管理装置で推定される進捗度の他の例>
図18は、管理装置10で推定される進捗度の他の一例を示す。図18の上段は電子作業手順書のページ数を示し、下段は作業の進捗度を示す。
【0130】
図14図17を参照して説明した重みづけの方式では、各ページに対して重みづけが決まっている。管理装置10のプロセッサ11は、電子作業手順書のうち閲覧履歴がある各箇所に重みづけを乗算し、乗算結果を合計することにより、作業の進捗率を推定する。
【0131】
しかし、図18は、作業者が読了した閲覧履歴から、直接、作業の進捗度を推定することを想定する。すなわち、作業者が電子作業手順書の5ページを読了したなら、作業の進捗度は10%であり、作業者が電子作業手順書の10ページを読了したなら、作業の進捗度は30%であり、作業者が電子作業手順書の20ページを読了したなら、作業の進捗度は50%である。作業者が電子作業手順書の30ページを読了したなら、作業の進捗度は70%であり、作業者が電子作業手順書の40ページを読了したなら、作業の進捗度は90%であり、作業者が電子作業手順書の50ページを読了したなら、作業の進捗度は100%である。すなわち、この例では作業の進捗度を推定するためのページが離散的に設定されている。
【0132】
図18に例示するページと進捗度の組み合わせは、プロセッサ11で使用されるコンピュータプログラムが参照するテーブルに記述されて記憶部23または他の図示しない記憶装置に記録されている。プロセッサ11は、作業者が読了した閲覧履歴から、テーブルを参照し、作業の進捗度を推定する。
【0133】
図18に例示されていないページを作業者が読了した場合、プロセッサ11は進捗度を推定しなくてもよい。例えば、19ページを作業者が読了した場合、プロセッサ11は進捗度を30%のまま変更しなくてもよい、あるいは、プロセッサ11は、当該ページの前後のページに設定された進捗度から、当該ページの進捗度を補間してもよい。補間は線形補間であってよい。例えば、19ページを作業者が読了した場合、下記の式から進捗度は48と推定される。
30+(19-10)・(50-30)/(20-10)=48
【0134】
前記のテーブルは、管理装置10のオペレータがGUI14を用いて、修正することが可能である。実際の作業の負荷および/または電子作業手順書の難解さに応じて、テーブルを修正してよい。
【0135】
<他の特徴>
作業管理システム1の管理者は、格納装置30に記憶された電子作業手順書を改訂する場合、管理装置10のGUI14を使用することができる。改訂の際には、追加されたページ、修正されたページ、および変更されていないページが理解可能なように、変更履歴を格納装置30に登録することが好ましい。変更履歴を登録することによって、同じ作業について異なる期間で作業能率が変化した場合に、改訂が作業能率の変化に影響を与えたか否かを分析することができる。
【0136】
各通信装置20において、通信装置20をシャットダウンした後、通信装置20のオペレーティングシステムを再起動すると、電子作業手順書のシャットダウン直前に閲覧していたページをプロセッサ21が開くと好ましい。例えば、シャットダウン時に、プロセッサ21がそのページを通信装置20内で記憶しておいてもよいし、プロセッサ21が管理装置10にそのページを報告し、管理装置10がそのページを記憶しておいてもよい。
【0137】
<変形例>
図19は、実施形態の変形例に係る作業管理システムの一部を示す。この変形例では、通信装置20は、その近傍の機械または工具26に搭載されたセンサ27と無線通信可能な通信インタフェース25を有する。
【0138】
上記の実施形態では、作業者がGUI24で電子作業手順書のページを変更するか、既読ボタン45をタッチまたはクリックすると、プロセッサ21が閲覧箇所の変更を検知して、閲覧状況、閲覧時刻および製品個体IDを管理装置10に報告する。しかし、図19の変形例では、通信装置20の近傍の機械または工具26での作業工程が終了すると、自動的にGUI24で電子作業手順書のページが変更される。
【0139】
例えば、機械または工具26は、ネジを締める電動ドライバーであって、ネジ締め作業の完了をセンサ27が検知すると、センサ27は通信インタフェース25にページを進める指令を送信する。センサ27と通信インタフェース25の間の通信は、電波通信、赤外線通信、その他の無線通信であってよい。通信インタフェース25が指令を受信すると、プロセッサ21は、ネジ締め作業を説明するページから次のページにGUI24上の表示を変化させ、閲覧状況、閲覧時刻および製品個体IDを管理装置10に報告する。
【0140】
他の例では、作業者が機械または工具26を特定の場所に置くと、センサ27がこれを検知して、センサ27は通信インタフェース25にページを進める指令を送信する。他の例では、機械または工具26はテスターであって、作業者がテスターのボタンを押すと、センサ27がこれを検知して、センサ27は通信インタフェース25にページを進める指令を送信する。他の例では、機械または工具26は外観試験のためのカメラであって、作業者が外観試験のために製品の写真を撮影すると、センサ27がこれを検知して、センサ27は通信インタフェース25にページを進める指令を送信する。他の例では、センサ27は作業工程の終了時に発生する特定の音を検知すると、センサ27は通信インタフェース25にページを進める指令を送信する。
【0141】
以上、本発明の好ましい実施形態を参照しながら本発明を図示して説明したが、当業者にとって特許請求の範囲に記載された発明の範囲から逸脱することなく、形式および詳細の変更が可能であることが理解されるであろう。このような変更、改変および修正は本発明の範囲に包含されるはずである。
【0142】
例えば、上記の実施形態においては、主に複数の工程を有する作業の進捗が管理されるが、一つの工程だけを有する作業の進捗を管理してもよい。
【0143】
上記の実施形態では、管理装置10は通信装置20とは別の装置であるが、いずれかの通信装置20を管理装置10として使用してもよい。上記の実施形態では、格納装置30は管理装置10とネットワーク40を介して接続されているが、格納装置30は管理装置10に内蔵されていてもよいし、管理装置10に直接接続されていてもよい。いずれかの通信装置20を管理装置10として使用する場合には、格納装置30はその通信装置20に内蔵されていてもよいし、その通信装置20に直接接続されていてもよい。
【0144】
プロセッサ11または21が実行する各機能は、プロセッサの代わりに、ハードウェアで実行してもよいし、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)等のプログラマブルロジックデバイスで実行してもよい。
【0145】
前記の実施形態および変形例は、矛盾しない限り、組み合わせてもよい。
【0146】
なお、本技術は、以下のような構成をとることが可能である。
(1) 一つ以上の工程を有する作業を説明する電子作業手順書の作業者による閲覧状況と閲覧時刻を、前記作業で製造される製品の個体を識別する識別情報とともに報告する通信装置と、
前記通信装置から報告される前記閲覧状況と前記閲覧時刻と前記識別情報を逐次、受信する受信部と、
前記閲覧状況と前記閲覧時刻と前記識別情報を逐次、記憶装置に記憶するプロセッサとを備え、
前記プロセッサは、前記記憶装置に蓄積された前記閲覧状況と前記閲覧時刻と前記識別情報から、前記一つ以上の工程を有する前記作業の進捗状況情報を生成し、前記進捗状況情報は、少なくとも前記作業の全体に対する前記作業の現在状況の割合を有する
作業管理システム。
【0147】
(2) 作業者が使用する少なくとも1つの通信装置から、一つ以上の工程を有する作業を説明する電子作業手順書の前記作業者による閲覧状況と閲覧時刻と、前記作業で製造される製品の個体を識別する識別情報の報告を逐次、受信する受信部と、
前記閲覧状況と前記閲覧時刻と前記識別情報を逐次、記憶装置に記憶するプロセッサとを備え、
前記プロセッサは、前記記憶装置に蓄積された前記閲覧状況と前記閲覧時刻と前記識別情報から、前記一つ以上の工程を有する前記作業の進捗状況情報を生成し、前記進捗状況情報は、少なくとも前記作業の全体に対する前記作業の現在状況の割合を有する
管理装置。
【0148】
(3) 前記プロセッサは、前記電子作業手順書のうち閲覧履歴のある部分から、前記作業の現在状況を推定する
(2)に記載の管理装置。
【0149】
(4) 前記プロセッサは、前記電子作業手順書のうち閲覧履歴のある各箇所に重みづけを乗算し、乗算結果を合計することにより、前記作業の現在状況を推定する
(3)に記載の管理装置。
【0150】
(5) オペレータが前記重みづけを修正可能なユーザインタフェースをさらに有する
(4)に記載の管理装置。
【0151】
(6) 前記作業の進捗状況情報は、前記作業の実際経過時間をさらに有し、
前記プロセッサは、前記記憶装置に蓄積された前記閲覧状況と前記閲覧時刻から、前記実際経過時間を計算する
(2)から(5)のいずれか1項に記載の管理装置。
【0152】
(7) 前記作業の進捗状況情報は、前記作業の推定残り時間を有し、
前記プロセッサは、前記作業の完了に要すると推定される推定所要時間から前記実際経過時間を減算することにより、前記推定残り時間を計算する
(6)に記載の管理装置。
【0153】
(8) オペレータが前記推定所要時間を修正可能なユーザインタフェースをさらに有する
(7)に記載の管理装置。
【0154】
(9) 前記プロセッサは、前記実際経過時間が前記作業の前記現在状況までに要すると想定される想定時間より長い場合に、前記通信装置に警告を送信する
(6)に記載の管理装置。
【0155】
(10) 前記作業の進捗状況情報は、前記作業が行われた少なくとも一つの期間を示すチャートを表示装置に表示するため前記作業が行われた期間を表す情報項目をさらに有し、
前記プロセッサは、前記記憶装置に蓄積された前記閲覧状況と前記閲覧時刻から、前記作業が行われた期間を表す前記情報項目を生成する
(2)から(9)のいずれか1項に記載の管理装置。
【0156】
(11) 前記閲覧状況は、前記電子作業手順書の後戻りに関する情報を含む
(2)から(10)のいずれか1項に記載の管理装置。
【0157】
(12) 前記受信部は、複数の作業者がそれぞれ使用する複数の通信装置から、前記閲覧状況と前記閲覧時刻と前記識別情報の報告を逐次、受信し、
前記プロセッサは、前記記憶装置に蓄積された前記閲覧状況と前記閲覧時刻と前記識別情報から、各作業者についての作業の進捗状況情報を生成する
(2)から(11)に記載の管理装置。
【0158】
(13) 前記プロセッサは、前記進捗状況情報に対応する進捗状況画面を表示装置に表示するための進捗状況画面情報を生成し、前記進捗状況画面は、互いに関連する複数の製品の製造作業の進捗状況を関連付けて表示する
(12)に記載の管理装置。
【0159】
(14) 前記プロセッサは、前記複数の製品である複数のサブアセンブリの製造作業の進捗状況に基づいて、前記複数のサブアセンブリから製造される前記複数の製品の一つであるアセンブリの製造作業の進捗状況を算出し、前記進捗状況画面は、前記複数のサブアセンブリの製造作業の進捗状況と前記アセンブリの製造作業の進捗状況を関連付けて表示する
(13)に記載の管理装置。
【0160】
(15) コンピュータに、
作業者が使用する少なくとも1つの通信装置から、一つ以上の工程を有する作業を説明する電子作業手順書の前記作業者による閲覧状況と閲覧時刻と、前記作業で製造される製品の個体を識別する識別情報の報告を逐次、受信することと、
前記閲覧状況と前記閲覧時刻と前記識別情報を逐次、記憶装置に記憶することと、
前記記憶装置に蓄積された前記閲覧状況と前記閲覧時刻と前記識別情報から、前記一つ以上の工程を有する前記作業の進捗状況情報を生成することとを実行させ、
前記進捗状況情報は、少なくとも前記作業の全体に対する前記作業の現在状況の割合を有する
プログラム。
【符号の説明】
【0161】
1 作業管理システム
10 管理装置
11 プロセッサ
12 通信インタフェース
13 記憶部(記憶装置)
14 GUI(入力装置、表示装置)
20 通信装置
21 プロセッサ
22 通信インタフェース
23 記憶部
24 GUI(入力装置、表示装置)
30 格納装置(記憶装置)
40 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19