(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146975
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】情報処理装置、推論装置、機械学習装置、情報処理方法、推論方法、及び、機械学習方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20240101AFI20241008BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059713
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 純
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】磯部 武志
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC01
5L050CC01
(57)【要約】
【課題】フードロスを抑制できるような出荷先を予測することが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置6は、食品の取引状況情報を取得する情報取得部600と、前記情報取得部600により取得された前記取引状況情報を、学習対象の食品の前記取引状況情報と、当該食品の食品比率情報との相関関係を機械学習により学習させた学習モデル12に入力することで、当該食品に対する前記食品比率情報を生成する生成処理部601と、を備える。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品の取引状況情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記取引状況情報を、学習対象の食品の前記取引状況情報と、当該食品の食品比率情報との相関関係を機械学習により学習させた学習モデルに入力することで、当該食品に対する前記食品比率情報を生成する生成処理部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記食品の取引状況情報には、
当該食品の供給に係る供給情報、
当該食品の需要に係る需要情報、及び
当該食品の流通に係る流通情報のうち、少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記食品比率情報には、
当該食品の形態を生鮮食品とする比率に係る情報、
当該食品の形態を加工食品とする比率に係る情報、及び、
当該食品の形態を保管食品とする比率に係る情報のうち、少なくとも1つを含む、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記保管食品とする比率に係る情報には、
冷凍保管食品とする比率に係る情報、及び
冷蔵保管食品とする比率に係る情報のうち、少なくとも1つを含む、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記供給情報は、
種類・数量に係る情報、
在庫量に係る情報、
消費期限に係る情報、
製品性状に係る情報、
梱包単位に係る情報、及び、
価格に係る情報のうち、少なくとも1つを含む、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記需要情報は、
希望種類・数量に係る情報、
希望消費期限に係る情報、
希望受領場所に係る情報、及び、
希望価格に係る情報のうち、少なくとも1つを含む、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記流通情報は、
気温・湿度に係る情報、
陸路運行状況に係る情報、
海路運行状況に係る情報、及び、
空路運行状況に係る情報のうち、少なくとも1つを含む、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
メモリと、プロセッサとを備える推論装置であって、
前記プロセッサは、
食品の取引状況情報を取得する情報取得処理と、
前記情報取得処理にて前記取引状況情報を取得すると、当該食品の食品比率情報を推論する推論処理と、を実行する
推論装置。
【請求項9】
学習対象の食品の取引状況情報と、当該食品の食品比率情報とで構成される学習用データを複数組記憶する学習用データ記憶部と、
複数組の前記学習用データを学習モデルに入力することで、前記取引状況情報と前記食品比率情報との相関関係を前記学習モデルに学習させる機械学習部と、
前記機械学習部により前記相関関係を学習させた前記学習モデルを記憶する学習済みモデル記憶部と、を備える、
機械学習装置。
【請求項10】
食品の取引状況情報を取得する情報取得工程と、
前記情報取得工程により取得された前記取引状況情報を、学習対象の食品の前記取引状況情報と、当該食品の食品比率情報との相関関係を機械学習により学習させた学習モデルに入力することで、当該食品に対する前記食品比率情報を生成する生成処理工程と、を備える、
情報処理方法。
【請求項11】
メモリと、プロセッサとを備える推論装置により実行される推論方法であって、
前記プロセッサは、
食品の取引状況情報を取得する情報取得処理と、
前記情報取得処理にて前記取引状況情報を取得すると、当該食品の食品比率情報を推論する推論処理と、を実行する
推論方法。
【請求項12】
学習対象の食品の供取引状況情報と、当該食品の食品比率情報とで構成される学習用データを学習用データ記憶部に複数組記憶する学習用データ記憶工程と、
複数組の前記学習用データを学習モデルに入力することで、前記取引状況情報と前記食品比率情報との相関関係を前記学習モデルに学習させる機械学習工程と、
前記機械学習工程により前記相関関係を学習させた前記学習モデルを学習済みモデル記憶部に記憶する学習済みモデル記憶工程と、を備える、
機械学習方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、推論装置、機械学習装置、情報処理方法、推論方法、及び、機械学習方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲食品の生産・流通・消費過程におけるロスの低減を目的としたシステムが提案されている。例えば、特許文献1には、飲食品原料の生産・流通・消費情報と、規格外情報と、消費者のニーズ情報と、を収集して、不足している消費者に対して、必要な物質を提供することで、ロスの低減を行うことについての開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ある食品を出荷する段階で、当該食品を生鮮食品用として出荷するのか、加工食品の原料として出荷するのか、或いは冷凍・冷蔵して保管する用途とするのかについての選択は、フードロス量の増減を左右するものと考えられる。一方、従来の特許文献1記載の方法は、フードロスの低減のために規格外品の利用が前提となるものであった。そのため、規格外品を除いた場合、フードロスを低減するために、ある食品の形態を生鮮食品とするのか、加工食品とするとするのか、保管食品とするのかについて把握することは困難であった。
その結果、ある食品を出荷する段階から、フードロス量をコントロールすることには限界があった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、食品の形態をどのように分配するのが最適であるかに係る食品比率(食品の形態を生鮮食品とする比率、加工食品とする比率、保管食品とする比率)を簡易に予測することを可能とする情報処理装置、推論装置、機械学習装置、情報処理方法、推論方法、及び、機械学習方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る情報処理装置は、
食品の取引状況情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記取引状況情報を、学習対象の食品の前記取引状況情報と、当該食品の食品比率情報との相関関係を機械学習により学習させた学習モデルに入力することで、当該食品に対する前記食品比率情報を生成する生成処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様に係る情報処理装置によれば、予測対象の食品の取引状況情報として、当該食品の供給に係る供給情報と、当該食品の需要に係る需要情報と、当該食品の流通に係る流通情報とを学習モデルに入力することで生成される食品比率情報に基づいて、ある食品を出荷する際に、フードロスを抑制できるような出荷先を予測することが可能となる。
【0008】
上記以外の課題、構成及び効果は、後述する発明を実施するための形態にて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】食品形態予測システム1の一例を示す全体構成図である。
【
図2】食品流通管理データベース41の供給情報管理テーブル410の一例を示すデータ構成図である。
【
図3】食品流通管理データベース41の需要情報管理テーブル411の一例を示すデータ構成図である。
【
図4】食品流通管理データベース41の流通情報管理テーブル412の一例を示すデータ構成図である。
【
図5】食品流通管理データベース41のロス情報管理テーブル413の一例を示すデータ構成図である。
【
図6】食品流通管理データベース41の食品比率情報管理テーブル414の一例を示すデータ構成図である。
【
図7】コンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。
【
図8】第1の実施形態に係る機械学習装置5の一例を示すブロック図である。
【
図9】取引状況情報が供給情報、需要情報、流通情報を含む場合の学習モデル12及び学習用データ13の一例を示す図である。
【
図10】機械学習装置5による機械学習方法の一例を示すフローチャートである。
【
図11】第1の実施形態に係る情報処理装置6の一例を示すブロック図である。
【
図12】第1の実施形態に係る情報処理装置6の一例を示す機能説明図である。
【
図13】情報処理装置6による情報処理方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明を実施するための実施形態について説明する。以下では、本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0011】
図1は、食品形態予測システム1の一例を示す全体構成図である。食品形態予測システム1は、生産者側が、ある食品を出荷する際、当該食品がどのような形態とされるように配分することが、最も合理性に叶っているかを予測するシステムである。
【0012】
食品の形態の分類は、大別すると「生鮮食品」、「加工食品」、及び「保管食品」であるものとする。食品形態予測システム1は、ある食品を出荷する際、当該食品の形態を生鮮食品とする比率、加工食品とする比率、保管食品とする比率をどのように配分することが最適であるかを予測する機能を有している。これらの比率の総和は「1」(すなわち、100%)である。
生鮮食品、加工食品、及び保管食品のうち、加工食品については、さらに、どのような形態の加工食品とするについて、より詳細な予測を行うような機能を、食品形態予測システム1は備えていてもよい。例えば、加工食品としては、レトルト食品の形態の加工食品ともなり得るし、缶詰食品の形態の加工食品ともなり得るし、乾燥食品の形態の加工食品ともなり得る。すなわち、本実施形態に係る食品形態予測システム1においては、加工食品の比率を、例えば第1種加工食品の比率、第2種加工食品の比率、第3種加工食品の比率・・・のようにブレークダウンすることもできる。その場合、ある食品の形態を、生鮮食品とする比率、第1種加工食品とする比率、第2種加工食品とする比率、第3種加工食品とする比率・・・、保管食品とする比率の総和が「1」となる。
【0013】
本実施形態に係る食品形態予測システム1は、ある食品を出荷する際に、当該食品の形
態をどの分類に属させるように配分することが合理的な最適解であるかを予測するものであるが、そのような合理的な最適解が、どのような観点に基づいて求められるものであるかは種々態様があり得る。
【0014】
例えば、合理的な最適解を、フードロスが最も削減できるように配分する観点から得るようにすることもできるし、合理的な最適解を、営利上最も有利であるように配分する観点から得るようにすることもできるし、或いは、合理的な最適解を、流通経路の総長を最も短くするように配分する観点から得るようにすることもできる。本実施形態では、フードロスが最も削減できるように配分する観点から合理的な最適解を導く例に基づいて説明していく。
【0015】
保管食品の下位の分類として「冷凍保管食品」、「冷蔵保管食品」が設けられている。本実施形態では、保管食品は、冷凍保管食品又は冷蔵保管食品のいずれかであり、冷凍保管食品に分類される食品の比率と、冷蔵保管食品に分類される食品の比率とを足すと、保管食品に分類される食品の比率となる。
なお、本実施形態では、食品の形態を生鮮食品、加工食品、及び保管食品として分類する例に基づいた説明を行うが、このような分類方法は一つの例示に過ぎない。
【0016】
上記の冷凍保管食品は、通常の速さで当該食品が冷凍されていくものであってもよいし、それより速く急速冷凍されるようなものであってもよい。特に、冷凍の速さの如何に関わらず冷凍する食品全てを冷凍保管食品に分類する。また、乾燥されることで保管食品となる食品(例えば、シイタケ、サクラエビ等)は、加工食品に分類する。常温で保存可能な食品については、本実施形態では「在庫」の分類に仕分けるようにしているが、適宜保管食品に分類するように設定してもよい。
【0017】
以下、食品形態予測システム1を説明していく上で、食品の一例として「ミカン」を挙げて説明する。ミカンは、スーパーの棚にそのまま陳列されることで生鮮食品の形態となり得るし、シロップと共に缶詰とされることで加工食品の形態となり得るし、冷凍、冷蔵されることで保管食品の形態となり得る。
【0018】
本実施形態に係る食品形態予測システム1では、上記のように、例えば、ミカン等の食品の各形態の比率を予測する際に、供給情報、需要情報、流通情報に基づいて、これを行うようにしている。供給情報、需要情報、流通情報は、それぞれ複数のデータの集合であり、後述する情報収集端末装置2によって収集され得る。
【0019】
供給情報は、ある食品を供給する事業者等(生産者や、生産者から当該食品を集荷して出荷する者等)に関連する情報や、当該事業者等から収集可能な情報である。また、需要情報は、食品を需要する事業者等(当該食品を購入する一般消費者や、加工業者、保管を行う倉庫業者等)に関連する情報や、当該事業者等から収集可能な情報である。また、流通情報は、供給側から需要側へと当該食品を輸送する事業者等(トラック・鉄道等陸路による輸送事業者や、海路、空路による輸送事業者等。)に関連する情報や、当該事業者等から収集可能な情報である。
【0020】
上記のような供給情報、需要情報、流通情報の全てを括る用語として、本実施形態では、取引状況情報を導入する。供給情報、需要情報及び流通情報は、例えば、それぞれ前記のような供給、需要、及び流通に係る一般消費者や事業者等から収集することができる。ここで、取引状況情報には、供給情報、需要情報、流通情報のいずれかが含まれていれば良く、食品形態予測システム1でこれら3つの情報の全てが揃った形で扱われる必要はない。
【0021】
本実施形態に係る食品形態予測システム1においては、上記のような供給情報、需要情報、流通情報は入力情報として、また、形態を生鮮食品とする比率に係る情報、形態を加工食品とする比率に係る情報、形態を保管食品とする比率に係る情報は出力情報として扱われる。本明細書においては、食品の形態を生鮮食品とする比率に係る情報、形態を加工食品とする比率に係る情報、及び、形態を保管食品とする比率に係る情報の全ての情報を含む情報を、「食品比率情報」と称する。食品形態予測システム1は、供給情報、需要情報、流通情報が入力されると、最適な食品比率情報が出力されるものとみることができる。
【0022】
食品比率情報(生鮮食品とする比率に係る情報、加工食品とする比率に係る情報、保管食品とする比率に係る情報)は、それぞれの形態の食品を入荷して販売する事業者からの販売データ等から、情報収集端末装置2を介して収集され得る。食品の形態を生鮮食品とする比率に係る情報は、例えばスーパー、生鮮食品宅配業者から情報収集端末装置2を介して収集することができる。また、加工食品とする比率に係る情報は、缶詰食品等の加工食品製造業者から情報収集端末装置2を介して収集することができる。また、保管食品とする比率に係る情報は、例えば食品の保冷倉庫業者から情報収集端末装置2を介して収集することができる。
【0023】
「フードロス情報」は、予測対象としているミカン等の食品が廃棄される量に係る情報である。このような情報は、情報収集端末装置2によって収集され得るが、その1つの収集方法としては、例えば、ゴミ処理施設に運び込まれるゴミの重量に対して、ミカンの廃棄分の割合の係数を積算する方法を挙げることができる。そのような係数は、サンプルとする複数の世帯や食品加工場から出されたゴミの全体の重量を分母とし、ミカンによるゴミの重量を分子とすることで、算出することができる。また、そのような係数は、地域性や季節性なども加味して算出することもできる。フードロス情報は、例えば、ゴミ処理に係る事業者等から収集することができる。
【0024】
フードロスが多い場合、フードロス情報の値が高く、フードロスが少ない場合、フードロス情報の値が低いものと定義する。そうすると、例えば、所定値以下の「フードロス情報」をもたらした際の「供給情報」、「需要情報」、「流通情報」と「食品比率情報」のデータセットは、教師あり学習における正解ラベルとして用いられるデータとなり得る。正解ラベルとして用い得るデータセットには、実際に入力されたデータや実測されたデータの他に、シミュレーションによって生成されたものも含まれる。
【0025】
食品形態予測システム1は、その主要な構成として、
図1に示すように、情報収集端末装置2と、管理者端末装置3と、食品流通管理装置4と、機械学習装置5と、情報処理装置6とを備え得る。各装置2~6は、例えば、汎用又は専用のコンピュータ(後述の
図7参照)で構成されるとともに、有線又は無線のネットワーク7に接続されて、各種のデータを相互に送受信可能に構成される。なお、各装置2~6の数やネットワーク7の接続構成は、
図1の例に限られず、適宜変更してもよい。
【0026】
情報収集端末装置2は、供給、需要、流通、及びゴミ処理に係る事業者等が使用する端末装置とて利用され得る。情報収集端末装置2は、据置型の装置でもよいし、携帯型の装置でもよい。情報収集端末装置2は、例えば、アプリケーションプログラム、ウェブブラウザ等の表示画面やリーダライタを介して各種の入力操作を受け付けるとともに、表示画面を介して各種の情報を表示する。情報収集端末装置2は、供給、需要、流通、及びゴミ処理に係る事業者等によって、業務上の各種管理情報を入力したり、日常の業務などの記録を入力したりする際に使用され得る。このような情報収集端末装置2には、POS(Point of Sale)システム用の端末装置も含まれ得る。
【0027】
また、情報収集端末装置2は、スーパー、生鮮食品宅配業者等を介して、生鮮食品販売用としてスーパー、生鮮食品宅配業者等が入荷したミカン(生鮮食品)の量を収集する。また、情報収集端末装置2は、缶詰食品等の加工食品製造業者を介して、加工するために原料として入荷したミカン(加工食品)の量を収集する。また、情報収集端末装置2は、食品の保冷倉庫業者を介して、保管しておくために入荷したミカン(保管食品)の量を収集する。
【0028】
また、情報収集端末装置2は、インターネットやイントラネット等のネットワーク上に設けられるサーバ等の情報蓄積・情報提供手段(不図示)から、各種データを取得する端末装置として利用され得る。このような用途に情報収集端末装置2を用いる際には、情報収集端末装置2には、当該情報蓄積・情報提供手段からデータを取得するためのアプリケーションプログラムが動作するように設定されることが好ましい。例えば、交通の運行状況に関する情報や、それぞれの地域における気候に関する情報などを収集するために、このような用途の情報収集端末装置2が用いられる。交通や気候に関する情報は、公共の機関が提供するものであってもよいし、民間の企業が提供するものであってもよい。また、これらの機関・企業が、交通や気候に関する情報を収集する際には、一般の個人が参加して情報を提供することで構築されるデータベースを用いるようにしてもよい。なお、このようなデータベースを構成する情報のことを、本明細書では「一般参加型集積情報」とも言う。
【0029】
また、情報収集端末装置2は、消費者に対し消費性向などに関するアンケートを質問して得た結果のデータなどを収集する端末装置としても利用され得る。消費者に対しアンケートを行い、その回答を得る際の手段としては、電話オペレーターや自動音声電話等に依ることができる。例えば、ミカンを購入する際には、どの程度の価格でどの位の量を購入したいかなどの希望価格・希望量に係る情報を収集する際には、アンケートで得た回答データを利用することができる。
【0030】
管理者端末装置3は、食品形態予測システム1全体の管理を行う管理者が使用する端末装置であり、据置型の装置でもよいし、携帯型の装置でもよい。管理者端末装置3は、例えば、アプリケーションプログラム、ウェブブラウザ等の表示画面やリーダライタを介して各種の入力操作を受け付けるとともに、表示画面を介して各種の情報を表示する。管理者端末装置3は、管理者が供給情報、需要情報、流通情報や食品比率情報としてどのようなデータを取得するかを設定したり、管理者が参照するための各種情報の表示をしたりする際に使用できる。
【0031】
食品流通管理装置4は、情報収集端末装置2で収集された情報を蓄積して管理するための食品流通管理データベース41を備える。食品流通管理データベース41には、供給、需要、流通、ゴミ処理に係る事業者等の情報収集端末装置2から入力されたデータや、前記情報蓄積・情報提供手段から情報収集端末装置2により取得された各種データが登録される。また、食品流通管理データベース41には、それぞれの形態の食品を入荷して販売する事業者から情報収集端末装置2により取得されたデータに基づいて、食品比率情報(実績値)が算出されて登録される。なお、食品流通管理データベース41の詳細は後述する。また、食品流通管理データベース41は、複数の食品を種別毎にデータ化して管理するようにしてもよいが、本実施形態では、食品流通管理データベース41は食品の種別としてミカンを例に説明する。
【0032】
機械学習装置5は、機械学習の学習フェーズの主体として動作する装置である。機械学習装置5は、例えば、食品流通管理装置4の食品流通管理データベース41に登録された各種の情報を学習用データ13として取得し、その学習用データ13に基づいて、情報処理装置6にて用いられる学習モデル12を機械学習により生成する。学習済みの学習モデ
ル12は、ネットワーク7や記録媒体等を介して情報処理装置6に提供される。
【0033】
情報処理装置6は、機械学習の推論フェーズの主体として動作する装置である。情報処理装置6は、機械学習装置5により生成された学習モデル12を用いて、予測対象の食品における取引状況情報(供給情報、需要情報、流通情報)に基づいて、その予測対象の食品に対する食品比率情報(生鮮食品の比率、加工食品の比率、冷凍保管食品の比率、冷蔵保管食品の比率)を予測する。その予測結果としての食品比率情報は、例えば、情報収集端末装置2や管理者端末装置3に提供されて、事業者等の情報提供者や管理者に提示される。また、予測結果としての食品比率情報は、食品流通管理装置4に提供されて、食品流通管理データベース41に蓄積される。
【0034】
図2乃至
図6は、食品流通管理データベース41を構成する各テーブル410~414の一例を示すデータ構成図である。なお、各テーブル410~414には、各情報が取得されたときの日時も合わせて登録されるが、
図2乃至
図6では、日時に関するフィールドを省略することがある。
【0035】
食品流通管理データベース41は、取引状況情報(供給情報、需要情報、流通情報)と、フードロス情報と、食品比率情報(生鮮食品の比率、加工食品の比率、冷凍保管食品の比率、冷蔵保管食品の比率)とを管理するデータベースである。本実施形態では、食品としてミカンを例に該データベースの説明を行っているが、食品流通管理データベース41は、複数の種別の食品を総括的に管理するデータベースとしてもよい。食品流通管理データベース41は、例えば、供給情報管理テーブル410(
図2)、需要情報管理テーブル411(
図3)、流通情報管理テーブル412(
図4)、ロス情報管理テーブル413(
図5)、及び、食品比率情報管理テーブル414(
図6)を有することができる。
【0036】
図2に示す供給情報管理テーブル410には、供給情報として、例えば、「種類」、「等級」、「量」、「梱包単位」、「小売価格」、「消費期限」、「市場在庫量」のそれぞれの項目に関する各データが記録されている。この供給情報管理テーブル410には、ミカンを出荷する側である生産者に関係しているデータが主として記録される。
【0037】
供給情報管理テーブル410における「種類」の項目には、例えば、「ミカンA種」、「ミカンB種」、「ミカンC種」、「ミカンD種」等のミカンの種類に関するデータが記録されている。また、供給情報管理テーブル410における「等級」の項目には、ミカンの種類別に、「特選」、「秀」、「優」、「良」の別に係るデータが記録されている。供給情報管理テーブル410においては、「等級」の項目に代え、食品の品質の「ランク」の項目等を用いることもできる。
【0038】
供給情報管理テーブル410における「量」の項目には、例えば、ミカンの種類・等級別毎に重量に関するデータが記録されている。本実施形態では、「量」の項目の単位には重さが用いられているが、食品の種類に応じて適宜異なる単位を使用し得る。
【0039】
供給情報管理テーブル410の「梱包単位」の項目には、例えば、ミカンの種類・等級別毎に、ミカンを梱包する際、どのようなもので梱包するかについてのデータが記録されている。「梱包単位」の項目には、段ボール、ケース、袋等を用い得る。これらの梱包単位には、収容量の目安などが付されるものであってもよい。
【0040】
供給情報管理テーブル410の「小売価格」の項目には、例えば、需要者に対してミカンが販売される際の価格に係るデータが記録されている。このような価格は、例えば、ミカンの種類・等級別毎の重さ単位でのものとすることができる。ここで、本実施形態では、「小売価格」を1つの目安として採用しているが、本項目には他の種類の価格を利用す
ることもできる。例えば、出荷時における価格、市場で取引される際の価格、或いは大口需要家に販売される際の価格など適宜利用しやすい価格を利用できる。また、複数の種類の価格に基づいて、重み付け・平均化等で算出される価格等も利用することができる。
【0041】
供給情報管理テーブル410の「消費期限」の項目には、例えば、ミカンの種類・等級別毎にミカンが可食である期限が記録される。本明細書では、「消費期限」とは、これによって指定された期限を越えると加工・摂取等にも供さないことが好ましい期限として定義する。
【0042】
供給情報管理テーブル410の「市場在庫量」の項目には、例えば、ミカンの種類・等級別毎に市場に流通している在庫量に係るデータが記録されている。本明細書では、「市場在庫量」とは、流通過程に存在する在庫であり、基本的にある種類・等級別毎の量によって定義され得る。
【0043】
まとめると、供給情報管理テーブル410は、供給情報として、例えば、種類に係る情報、数量に係る情報、在庫量に係る情報、消費期限に係る情報、製品性状(品質、等級等)に係る情報、梱包単位(段ボール、袋、ケース等の梱包形態等)に係る情報、及び、価格(小売時、出荷時等のタイミングのもの)に係る情報のうち、少なくとも1つを含むことができる。
【0044】
図3に示す需要情報管理テーブル411には、供給情報として、例えば、「希望種類」、「希望量」、「希望消費期限」、「希望受領場所」のそれぞれの項目に関する各データが記録されている。この需要情報管理テーブル411には、ミカンの消費等を行う需要者サイドに関係しているデータが主として記録される。需要情報管理テーブル411に記録される需要者サイドに関するデータは、ある地域(例えば、市町村単位等)に限ったデータであってもよいし、複数の地域をまとめた地域に関するデータであってもよい。
【0045】
なお、需要情報管理テーブル411に記録されるデータは、消費者・需要家から情報収集端末装置2により取得されるデータが含まれ得るが、消費者・需要家から取得されたデータで、希望する数値が、一般的な常識からかけ離れているような場合には、このような数値を含むデータについては切り捨てるようにすることもできる。
【0046】
需要情報管理テーブル411の「希望種類」の項目には、例えば、消費者・需要家が希望する「ミカンA種」、「ミカンB種」、「ミカンC種」、「ミカンD種」等のミカンの種類に関するデータが記録されている。なお、本実施形態では、需要情報管理テーブル411においては消費者・需要家が希望する「希望等級」に係る項目は設けていないが、必要に応じて設けるようにしてもよい。
【0047】
需要情報管理テーブル411の「希望量」の項目には、例えば、消費者・需要家が希望するミカンの種類毎の重量に関するデータが記録されている。本実施形態では、「希望量」の項目の単位には重さが用いられているが、食品の種類に応じて適宜異なる単位を使用し得る。また、需要情報管理テーブル411の「希望消費期限」の項目には、例えば、消費者・需要家が希望するミカンの種類毎の可食期限(消費・加工等し得る期間)が記録される。
【0048】
需要情報管理テーブル411の「希望受領場所」の項目には、例えば、消費者・需要家が希望する、ミカンを受け取る場所に関するデータが記録されている。「希望受領場所」としては、小売店(例、△△マート)の所在地や、宅配事業者による配達を受け取る自宅の所在地や、食品を加工する業者の工場(□□フーズ○○工場)の所在地などがあり得る。
【0049】
まとめると、需要情報管理テーブル411は、需要情報として、例えば、希望種類に係る情報、希望数量に係る情報、希望消費期限に係る情報、希望受領場所に係る情報、及び、希望価格に係る情報のうち、少なくとも1つを含むことができる。
【0050】
図4に示す流通情報管理テーブル412には、流通情報として、例えば、「気候」、「陸路」、「海路」、「空路」のそれぞれの項目に関する各データが記録されている。この流通情報管理テーブル412には、ミカンを流通させる際に関係するデータが主として記録される。例えば、ミカンが流通する際の「気候」に関するデータは、ミカンを常温で保存し得る期間に影響を与え得るので、本実施形態では流通情報の1つとして管理される。
【0051】
流通情報管理テーブル412の「気候」の項目には、例えば、気温、湿度を含む気象情報に係るデータが記録されている。この気象情報には、地域毎の現在・将来の天気、気温、湿度に係る情報が含まれ得る。また、気象情報のソースとしては、例えば気象庁により発信される気象情報、民間企業により発信される天気ニュースに依る情報や、一般人によって提供される気候に関するデータの集合である一般参加型集積情報を利用することができる。
【0052】
流通情報管理テーブル412の「陸路」の項目には、例えば、道路運行状況情報及び鉄道運行状況情報に係るデータが記録されている。道路運行状況情報は食品を運搬するトラック輸送が通る道路の状況に関するデータであり、及び、鉄道運行状況情報は、食品を運搬する鉄道の運行状況に関するデータである。
【0053】
道路運行状況情報のソースとしては、例えば、VICS(Vehicle Information and Communication Systemの略、登録商標)から収集されるデータ、高速道路会社により発信される高速道路における車両の走行状況に係るデータ、荷物を運搬する輸送事業者により発信される輸送状況に係るデータ、一般人によって提供される一般参加型集積情報を利用することができる。また、鉄道運行状況情報のソースとしては、例えば、鉄道各社により発信される鉄道の走行状況に係るデータ、一般人によって提供される一般参加型集積情報を利用することができる。
【0054】
流通情報管理テーブル412の「海路」の項目には、例えば、海路における船舶の運行状況に係るデータが記録されている。海路運行状況に係るデータは、主として船舶の運行状況情報により構成され得る。海路運行状況に係るデータには、船舶が通過する予定である海域の状況データ(潮の流れや船舶の混雑度に関するデータ)を含めることもできる。海路運行状況情報のソースとしては、例えば、船舶運行会社により発信される船舶の運行状況に係るデータ、インターネット上で提供されているリアルタイム運行状況に係るデータ、一般人によって提供される一般参加型集積情報を利用することができる。
【0055】
流通情報管理テーブル412の「空路」の項目には、例えば、空路における航空機の運行状況に係るデータが記録されている。航空機運行状況に係るデータには、航空機の運行状況に係るデータの他に、航空機が通過する予定である空域の状況データ(上空における天候や航空機の混雑度に関するデータ)を含めることもできる。空路運行状況情報のソースとしては、例えば、航空会社により発信される航空機の運行状況に係るデータ、インターネット上で提供されているリアルタイム運行状況に係るデータ、一般人によって提供される一般参加型集積情報を利用することができる。
【0056】
まとめると、流通情報管理テーブル412は、流通情報として、例えば、気温に係る情報、湿度に係る情報、陸路運行状況に係る情報、海路運行状況に係る情報、及び、空路運行状況に係る情報のうち、少なくとも1つを含むことができる。
【0057】
図5に示すロス情報管理テーブル413には、流通情報として、例えば、各地区のゴミ収集センターで処理されるゴミに関する各データが記録されており、これらのデータに基づいて各地区のゴミ収集センターで処理される該当する食品(ミカン)のフードロス情報の推定値が算出され得る。
【0058】
ロス情報管理テーブル413におけるA地区ゴミ収集センターを例に説明する。ゴミ総重量に対する該当食品(ミカン)が占める割合の係数をka1とし、該当食品(ミカン)の季節要因による消費動向を加味した係数をka2とする。例えば、A地区ゴミ収集センターに運び込まれるゴミの総重量A[トン]は、ゴミ収集トラックの重量を計量することで得ることができる。以上の情報に基づいて、A地区ゴミ収集センターにおける推定のフードロス情報a[トン]は、a=A×ka1×ka2により算出することができる。
また、ロス情報管理テーブル413に登録され得るフードロス情報としては、上記のような収集方法に限らず、他の収集方法を用いるようにしてもよい。例えば、ゴミ収集センターを運営する業者等から情報収集端末装置2を介して、ヒアリングやアンケートを行うことで収集したり、或いは、ゴミ収集センターにおける業務記録等から情報収集端末装置2を介して自動収集したりすることもできる。
【0059】
ロス情報管理テーブル413で管理されるフードロス情報は、取引状況情報(供給情報、需要情報、流通情報)を入力情報とし、食品比率情報(生鮮食品の比率、加工食品の比率、冷凍保管食品の比率、冷蔵保管食品の比率)を出力情報としたデータセットとしたとき、教師あり学習における正解ラベルとして用いられるデータを選定する際に用い得る。
【0060】
食品比率情報管理テーブル414には、
図6に示すように、例えば、食品比率情報として、生鮮食品とする比率に係る情報、加工食品とする比率に係る情報、冷凍保管食品とする比率に係る情報及び冷蔵保管食品とする比率に係る情報のうち、少なくとも1つが登録され得る。食品比率情報管理テーブル414には、食品(ミカン)の出荷時に、生鮮食品として出荷した比率、加工食品として出荷した比率、冷凍保管食品として出荷した比率、冷蔵保管食品として出荷した比率と、所定タイミング後のフードロス情報の実績値を登録することができる。また、食品比率情報管理テーブル414には、当該実績値のそれぞれに対応した予測値と、を登録することもできる。なお、生鮮食品の比率、加工食品の比率、冷凍保管食品の比率、冷蔵保管食品の比率、フードロス情報の実績値は、全ての食品について登録される必要はないが、実績値が登録された食品については、学習用データ13の出力データとして利用することができる。
【0061】
(各装置のハードウエア構成)
図7は、コンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。食品形態予測システム1の各装置2~6は、汎用又は専用のコンピュータ900により構成される。
【0062】
コンピュータ900は、
図7に示すように、その主要な構成要素として、バス910、プロセッサ912、メモリ914、入力デバイス916、出力デバイス917、表示デバイス918、ストレージ装置920、通信I/F(インターフェース)部922、外部機器I/F部924、I/O(入出力)デバイスI/F部926、及び、メディア入出力部928を備える。なお、上記の構成要素は、コンピュータ900が使用される用途に応じて適宜省略されてもよい。
【0063】
プロセッサ912は、1つ又は複数の演算処理装置(CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-processing unit)、DSP(digital signal processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等)で構成され、コンピュータ900全体を
統括する制御部として動作する。メモリ914は、各種のデータ及びプログラム930を記憶し、例えば、メインメモリとして機能する揮発性メモリ(DRAM、SRAM等)と、不揮発性メモリ(ROM)、フラッシュメモリ等とで構成される。
【0064】
入力デバイス916は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、電子ペン等で構成され、入力部として機能する。出力デバイス917は、例えば、音(音声)出力装置、バイブレーション装置等で構成され、出力部として機能する。表示デバイス918は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、プロジェクタ等で構成され、出力部として機能する。入力デバイス916及び表示デバイス918は、タッチパネルディスプレイのように、一体的に構成されていてもよい。ストレージ装置920は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等で構成され、記憶部として機能する。ストレージ装置920は、オペレーティングシステムやプログラム930の実行に必要な各種のデータを記憶する。
【0065】
通信I/F部922は、インターネットやイントラネット等のネットワーク940(
図1のネットワーク7と同じであってもよい)に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って他のコンピュータとの間でデータの送受信を行う通信部として機能する。外部機器I/F部924は、カメラ、プリンタ、スキャナ、リーダライタ等の外部機器950に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って外部機器950との間でデータの送受信を行う通信部として機能する。I/OデバイスI/F部926は、各種のセンサ、アクチュエータ等のI/Oデバイス960に接続され、I/Oデバイス960との間で、例えば、センサによる検出信号やアクチュエータへの制御信号等の各種の信号やデータの送受信を行う通信部として機能する。メディア入出力部928は、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)ドライブ、CD(Compact Disc)ドライブ等のドライブ装置、メモリカードスロット、USBコネクタで構成され、DVD、CD、メモリカード、USBメモリ等のメディア(非一時的な記憶媒体)970に対してデータの読み書きを行う。
【0066】
上記構成を有するコンピュータ900において、プロセッサ912は、ストレージ装置920に記憶されたプログラム930をメモリ914に呼び出して実行し、バス910を介してコンピュータ900の各部を制御する。なお、プログラム930は、ストレージ装置920に代えて、メモリ914に記憶されていてもよい。プログラム930は、インストール可能なファイル形式又は実行可能なファイル形式でメディア970に記録され、メディア入出力部928を介してコンピュータ900に提供されてもよい。プログラム930は、通信I/F部922を介してネットワーク940経由でダウンロードすることによりコンピュータ900に提供されてもよい。また、コンピュータ900は、プロセッサ912がプログラム930を実行することで実現する各種の機能を、例えば、FPGA、ASIC等のハードウエアで実現するものでもよい。
【0067】
コンピュータ900は、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータで構成され、任意の形態の電子機器である。コンピュータ900は、クライアント型コンピュータでもよいし、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータでもよい。コンピュータ900は、各装置2~6以外の装置にも適用されてもよい。また、コンピュータ900が携帯型コンピュータである場合には、コンピュータ900は自機が所在する位置情報を取得する機能を有し、当該位置情報を種々のデータ処理に供する構成とされることが好ましい。
【0068】
(機械学習装置5)
図8は、第1の実施形態に係る機械学習装置5の一例を示すブロック図である。機械学習装置5は、制御部50、通信部51、学習用データ記憶部52、及び、学習済みモデル記憶部53を備える。
【0069】
制御部50は、学習用データ取得部500及び機械学習部501として機能する。通信部51は、ネットワーク7を介して外部装置と接続され、各種のデータを送受信する通信インターフェースとして機能する。
【0070】
学習用データ取得部500は、通信部51及びネットワーク7を介して外部装置(例えば、情報収集端末装置2、管理者端末装置3、食品流通管理装置4等)と接続され、入力データとしての取引状況情報と、出力データとしての食品比率情報とで構成される学習用データ13を取得する。学習用データ13は、教師あり学習における教師データ(トレーニングデータ)、検証データ及びテストデータとして用いられるデータである。また、食品比率情報は、教師あり学習における正解ラベルとして用いられるデータである。
【0071】
学習用データ記憶部52は、学習用データ取得部500で取得した学習用データ13を複数組記憶するデータベースである。なお、学習用データ記憶部52を構成するデータベースの具体的な構成は適宜設計すればよい。
【0072】
機械学習部501は、学習用データ記憶部52に記憶された複数組の学習用データ13を用いて機械学習を実施する。すなわち、機械学習部501は、学習モデル12に学習用データ13を複数組入力し、学習用データ13に含まれる取引状況情報と食品比率情報との相関関係を学習モデル12に学習させることで、学習済みの学習モデル12を生成する。機械学習部501は、機械学習を実施する際、例えば、オンライン学習、バッチ学習、ミニバッチ学習等の任意の手法を採用することができる。なお、機械学習部501は、学習モデル12に入力する入力データ(取引状況情報)に対して所定の前処理を行うようにしてもよいし、学習モデル12から出力される出力データ(食品比率情報)に対して所定の後処理を行うようにしてもよい。
【0073】
学習済みモデル記憶部53は、機械学習部501により生成された学習済みの学習モデル12(具体的には、調整済みの重みパラメータ群)を記憶するデータベースである。学習済みモデル記憶部53に記憶された学習済みの学習モデル12は、ネットワーク7や記録媒体等を介して実システム(例えば、情報処理装置6)に提供される。なお、
図8では、学習用データ記憶部52と、学習済みモデル記憶部53とが別々の記憶部として示されているが、これらは単一の記憶部で構成されてもよい。
【0074】
図9は、取引状況情報が供給情報、需要情報、流通情報を含む場合の学習モデル12及び学習用データ13の一例を示す図である。学習モデル12の機械学習に用いられる学習用データ13は、取引状況情報と、食品比率情報とで構成される。
【0075】
学習用データ13を構成する取引状況情報は、学習対象の食品に関する供給情報、需要情報及び流通情報のうち、少なくとも1つを含むものであり、供給情報管理テーブル410、需要情報管理テーブル411、流通情報管理テーブル412、ロス情報管理テーブル413、及び、食品比率情報管理テーブル414に登録された情報にそれぞれ対応する。
【0076】
供給情報は、例えば、種類に係る情報、数量に係る情報、在庫量に係る情報、消費期限に係る情報、製品性状(品質、等級等)に係る情報、梱包単位(段ボール、袋、ケース等の梱包形態等)に係る情報、及び、価格(小売時、出荷時等のタイミングのもの)に係る情報のうち、少なくとも1つを含むものであり、供給情報管理テーブル410に登録された情報に対応する。
【0077】
需要情報は、例えば、希望種類に係る情報、希望数量に係る情報、希望消費期限に係る情報、希望受領場所に係る情報、及び、希望価格に係る情報のうち、少なくとも1つを含
むものであり、需要情報管理テーブル411に登録された情報に対応する。
【0078】
流通情報は、例えば、気温・湿度に係る情報、陸路運行状況に係る情報、海路運行状況に係る情報、及び、空路運行状況に係る情報のうち、少なくとも1つを含むものであり、流通情報管理テーブル412に登録された情報に対応する。
【0079】
学習用データ13を構成する食品比率情報は、学習対象の食品の生鮮食品の比率、加工食品の比率、冷凍保管食品の比率、冷蔵保管食品の比率に関する情報であり、食品比率情報管理テーブル414に登録された情報(実績値)に対応する。生鮮食品の比率、加工食品の比率、冷凍保管食品の比率、冷蔵保管食品の比率は、例えば、段階値又は連続値で表され、連続値の場合には、所定の範囲(例えば、0~1)に正規化された値でもよい。
【0080】
なお、取引状況情報に含まれる各データ(特に、取引状況情報の流通情報に含まれるデータ)は、所定の時点の状態を示す時点データでもよいし、所定の時間間隔(1時間毎、1日毎、1週間毎、1か月毎等)による複数の時点データからなる時系列データでもよいし、所定の期間に含まれる複数の時点データの代表値(平均値、最大値、最小値等)を示す代表データでもよい。取引状況情報の定義は適宜変更してもよく、その場合には、学習モデル12及び学習用データ13における入力データのデータ構成を適宜変更すればよい。
【0081】
また、食品比率情報は、食品の形態をどのようなものとするかに関する比率を示すものであればよく、生鮮食品の比率、加工食品の比率、冷凍保管食品の比率、冷蔵保管食品の比率のうちいずれかが省略されてもよいし、他の比率を含むものでもよい。食品比率情報の定義は、適宜変更してもよく、その場合には、学習モデル12及び学習用データ13における出力データのデータ構成を適宜変更すればよい。
【0082】
学習用データ取得部500は、食品流通管理データベース41に登録された各種の情報を参照したり、管理者端末装置3から管理者の入力操作を受け付けたりすることにより、学習用データ13を取得する。学習用データ取得部500が、食品流通管理データベース41を参照する際には、例えば、各テーブル410~414において、特定の食品(本実施形態では、ミカン)に関連付けられた取引状況情報(供給情報、需要情報、流通情報)、及び、食品比率情報(生鮮食品の比率、加工食品の比率、冷凍保管食品の比率、冷蔵保管食品の比率)の実績値を取得することにより、学習用データ13を取得する。
【0083】
学習モデル12は、例えば、ニューラルネットワークの構造を採用したものであり、入力層120、中間層121、及び、出力層122を備える。各層の間には、各ニューロンをそれぞれ接続するシナプス(不図示)が張られており、各シナプスには、重みがそれぞれ対応付けられている。各シナプスの重みからなる重みパラメータ群が、機械学習により調整される。
【0084】
入力層120は、入力データとしての取引状況情報に対応する数のニューロンを有し、取引状況情報の各値が各ニューロンにそれぞれ入力される。出力層122は、出力データとしての食品比率情報に対応する数のニューロンを有し、取引状況情報に対する食品比率情報の予測結果(推論結果)が、出力データとして出力される。学習モデル12が、回帰モデルで構成される場合には、食品比率情報は、所定の範囲(例えば、0~1)に正規化された数値でそれぞれ出力される。また、学習モデル12が、分類モデルで構成される場合には、食品比率情報は、各クラスに対するスコア(確度)として、所定の範囲(例えば、0~1)に正規化された数値でそれぞれ出力される。
【0085】
機械学習部501は、学習モデル12に学習用データ13を複数組入力し、学習用デー
タ13に含まれる取引状況情報と食品比率情報との相関関係を学習モデル12に学習させることで、学習済みの学習モデル12を生成する。
【0086】
なお、本実施形態では、学習モデル12及び学習用データ13のデータ構成は、
図9で示すように構成される場合について説明したが、例えば、機械学習の手法、食品の種類、取引状況情報に含まれるデータの種類、食品比率情報に含まれるデータの種類等によって、条件が異なる複数のデータ構成を採用してもよい。その場合には、学習用データ取得部500は、条件が異なる複数のデータ構成にそれぞれ対応する複数種類の学習用データを取得するとともに、機械学習部501は、それらの学習用データをそれぞれ用いて機械学習を実施するようにすればよい。
【0087】
(機械学習方法)
図10は、機械学習装置5による機械学習方法の一例を示すフローチャートである。なお、以下では、学習用データ13として学習用データ13を用いて、学習モデル12として学習モデル12を生成する場合について説明する。
【0088】
まず、ステップS100において、学習用データ取得部500は、機械学習を開始するための事前準備として、所望の数の学習用データ13を取得し、その取得した学習用データ13を学習用データ記憶部52に記憶する。ここで準備する学習用データ13の数については、最終的に得られる学習モデル12に求められる推論精度を考慮して設定すればよい。
【0089】
次に、ステップS110において、機械学習部501は、機械学習を開始すべく、学習前の学習モデル12を準備する。ここで準備する学習前の学習モデル12は、
図9に例示したニューラルネットワークモデルで構成されており、各シナプスの重みが初期値に設定されている。
【0090】
次に、ステップS120において、機械学習部501は、学習用データ記憶部52に記憶された複数組の学習用データ13から、例えば、ランダムに1組の学習用データ13を取得する。
【0091】
次に、ステップS130において、機械学習部501は、1組の学習用データ13に含まれる取引状況情報(入力データ)を、準備された学習前(又は学習中)の学習モデル12の入力層120に入力する。その結果、学習モデル12の出力層122から推論結果として食品比率情報(出力データ)が出力されるが、当該出力データは、学習前(又は学習中)の学習モデル12によって生成されたものである。そのため、学習前(又は学習中)の状態では、推論結果として出力された出力データは、学習用データ13に含まれる食品比率情報(正解ラベル)とは異なる情報を示す。
【0092】
次に、ステップS140において、機械学習部501は、ステップS120において取得された1組の学習用データ13に含まれる食品比率情報(正解ラベル)と、ステップS130において出力層から推論結果として出力された食品比率情報(出力データ)とを比較し、各シナプスの重みを調整する処理(バックプロパゲーション)を実施することで、機械学習を実施する。これにより、機械学習部501は、取引状況情報と食品比率情報との相関関係を学習モデル12に学習させる。
【0093】
次に、ステップS150において、機械学習部501は、所定の学習終了条件が満たされたか否かを、例えば、学習用データ13に含まれる食品比率情報(正解ラベル)と、推論結果として出力された食品比率情報(出力データ)とに基づく誤差関数の評価値や、学習用データ記憶部52内に記憶された未学習の学習用データ13の残数に基づいて判定す
る。
【0094】
ステップS150において、機械学習部501が、学習終了条件が満たされておらず、機械学習を継続すると判定した場合(ステップS150でNo)、ステップS120に戻り、学習中の学習モデル12に対してステップS120~S140の工程を未学習の学習用データ13を用いて複数回実施する。一方、ステップS150において、機械学習部501が、学習終了条件が満たされて、機械学習を終了すると判定した場合(ステップS150でYes)、ステップS160に進む。
【0095】
そして、ステップS160において、機械学習部501は、各シナプスに対応付けられた重みを調整することで生成された学習済みの学習モデル12(調整済みの重みパラメータ群)を学習済みモデル記憶部53に記憶し、
図10に示す一連の機械学習方法を終了する。機械学習方法において、ステップS100が学習用データ記憶工程、ステップS110~S150が機械学習工程、ステップS160が学習済みモデル記憶工程に相当する。
【0096】
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置6及び情報処理方法によれば、予測対象の食品の取引状況情報から、当該食品に対する食品比率情報を予測(推論)することが可能な学習モデル12を提供することができる。
【0097】
(情報処理装置6)
図11は、第1の実施形態に係る情報処理装置6の一例を示すブロック図である。
図12は、第1の実施形態に係る情報処理装置6の一例を示す機能説明図である。情報処理装置6は、制御部60、通信部61、及び、学習済みモデル記憶部62を備える。
【0098】
制御部60は、情報取得部600、生成処理部601及び出力処理部602として機能する。通信部61は、ネットワーク7を介して外部装置と接続され、各種のデータを送受信する通信インターフェースとして機能する。
【0099】
情報取得部600は、通信部61及びネットワーク7を介して外部装置(例えば、情報収集端末装置2、管理者端末装置3、食品流通管理装置4等)と接続され、予測対象の食品における取引状況情報を取得する。
【0100】
例えば、情報取得部600は、食品流通管理データベース41を参照することで、予測対象の食品に対する供給情報と、需要情報と、流通情報とを取引状況情報として取得する。具体的には、情報取得部600は、供給情報管理テーブル410から供給情報を取得し、需要情報管理テーブル411から需要情報を取得し、流通情報管理テーブル412から流通情報を取得する。その際、情報取得部600は、学習モデル12における入力データのデータ構成に合わせて取引状況情報を取得することができる。
【0101】
生成処理部601は、上記のように、情報取得部600により取得された予測対象の食品における取引状況情報を入力データとして学習モデル12に入力することで出力される食品比率情報に基づいて、当該食品に対する食品比率情報を生成する。具体的には、生成処理部601は、取引状況情報を学習モデル12に入力することで、生鮮食品の比率、加工食品の比率、冷凍保管食品の比率、及び、冷蔵保管食品の比率を含む食品比率情報を生成する。なお、生成処理部601は、学習モデル12に入力する入力データ(取引状況情報)に対して所定の前処理を行うようにしてもよいし、学習モデル12から出力される出力データ(食品比率情報)に対して所定の後処理を行うようにしてもよい。
【0102】
学習済みモデル記憶部62は、生成処理部601にて用いられる学習済みの学習モデル12を記憶するデータベースである。なお、学習済みモデル記憶部62に記憶される学習
モデル12の数は上記の例に限定されず、例えば、機械学習の手法、食品の種類、取引状況情報に含まれるデータの種類、食品比率情報に含まれるデータの種類等に依って、条件が異なる複数の学習済みモデルが記憶され、選択的に利用可能としてもよい。また、学習済みモデル記憶部62は、外部コンピュータ(例えば、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータ)の記憶部で代用されてもよく、その場合には、生成処理部601は、当該外部コンピュータにアクセスすればよい。
【0103】
出力処理部602は、生成処理部601により生成された食品比率情報を出力するための出力処理を行う。例えば、出力処理部602は、その食品比率情報を管理者端末装置3に送信することで、その食品比率情報に基づく表示画面が管理者端末装置3に表示されてもよいし、その食品比率情報を食品流通管理装置4に送信することで、その食品比率情報が食品比率情報管理テーブル414の予測値として、食品流通管理データベース41に登録されてもよい。
【0104】
(情報処理方法)
図13は、情報処理装置6による情報処理方法の一例を示すフローチャートである。以下では、学習用データ13として学習用データ13を用いて、学習モデル12として学習モデル12を生成する場合について説明する。
【0105】
まず、ステップS200において、情報処理装置6の情報取得部600は、例えば、管理者端末装置3から予測対象の食品の種類を受信する。そして、情報取得部600は、管理者端末装置3からの情報に基づいて、食品流通管理データベース41を参照することで、予測対象の食品における取引状況情報として、供給情報、需要情報、及び、流通情報とを取得する。
【0106】
次に、ステップS210において、生成処理部601は、ステップS200にて取得された取引状況情報を学習モデル12に入力することで、当該取引状況情報に対する食品比率情報を出力データとして生成する。
【0107】
次に、ステップS220において、出力処理部602は、ステップS210にて生成された食品比率情報を出力するための出力処理として、その食品比率情報を管理者端末装置3に送信する。そして、管理者端末装置3が、その食品比率情報に基づいて表示画面を表示することで、その食品の食品比率情報が管理者に提示される。なお、食品比率情報の送信先は、管理者端末装置3に加えて又は代えて、食品流通管理装置4でもよい。上記の情報処理方法において、ステップS200が情報取得工程、ステップS210が生成処理工程、ステップS220が出力処理工程に相当する。
【0108】
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置6及び情報処理方法によれば、予測対象の食品における取引状況情報を学習モデル12に入力することで、予測対象の食品に対する食品比率情報として、当該食品の生鮮食品の比率、加工食品の比率、冷凍保管食品の比率、冷蔵保管食品の比率が予測される。したがって、食品を出荷する際に、フードロスを抑制できるような出荷先を予測することが可能となる。
【0109】
(他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に制約されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれるものである。
【0110】
上記実施形態では、情報処理装置6の情報取得部600は、食品流通管理データベース
41を参照することで、食品流通管理データベース41に登録されたデータを取引状況情報として取得するものとして説明したが、例えば、一部のデータ又は全てのデータは情報収集端末装置2から直接取得するようにしてもよい。
【0111】
上記実施形態では、情報処理装置6の情報取得部600は、食品流通管理データベース41を参照することで、食品流通管理データベース41に登録されたデータを取引状況情報として取得するものとして説明したが、例えば、各データ(一部でもよい)が仮データである取引状況情報を取得するようにしてもよい。
【0112】
上記実施形態では、情報処理装置6は、特定の時点に対する食品比率情報を予測するものとして説明したが、複数の時点における食品比率情報を予測するようにしてもよい。例えば、情報処理装置6は、特定の時点の食品比率情報と、特定の時点よりも将来の時点の食品比率情報とを予測するようにしてもよいし、複数の将来の時点(例えば、1週間毎や1か月毎)の食品比率情報を予測することにより食品比率情報の経時変化を予測するようにしてもよい。その場合には、学習モデル及び学習用データのデータ構成を適宜変更すればよい。
【0113】
上記実施形態では、食品流通管理装置4、機械学習装置5及び情報処理装置6は、別々の装置で構成されたものとして説明したが、それら3つの装置が、単一の装置で構成されていてもよいし、それら3つの装置のうち任意の2つの装置が、単一の装置で構成されていてもよい。また、機械学習装置5及び情報処理装置6の少なくとも一方は、情報収集端末装置2又は管理者端末装置3に組み込まれていてもよい。
【0114】
上記実施形態では、機械学習部501による機械学習を実現する学習モデルとして、ニューラルネットワークを採用した場合について説明したが、他の機械学習のモデルを採用してもよい。他の機械学習のモデルとしては、例えば、決定木、回帰木等のツリー型、バギング、ブースティング等のアンサンブル学習、再帰型ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、LSTM等のニューラルネット型(ディープラーニングを含
む)、階層型クラスタリング、非階層型クラスタリング、k近傍法、k平均法等のクラス
タリング型、主成分分析、因子分析、ロジスティク回帰等の多変量解析、サポートベクターマシン等が挙げられる。
【0115】
(機械学習プログラム及び情報処理プログラム)
本発明は、機械学習装置5が備える各部としてコンピュータ900を機能させるプログラム(機械学習プログラム)や、機械学習方法が備える各工程をコンピュータ900に実行させるためのプログラム(機械学習プログラム)の態様で提供することもできる。また、本発明は、情報処理装置6が備える各部としてコンピュータ900を機能させるためのプログラム(情報処理プログラム)や、上記実施形態に係る情報処理方法が備える各工程をコンピュータ900に実行させるためのプログラム(情報処理プログラム)の態様で提供することもできる。
【0116】
(推論装置、推論方法及び推論プログラム)
本発明は、上記実施形態に係る情報処理装置6(情報処理方法又は情報処理プログラム)の態様によるもののみならず、食品比率情報を推論するために用いられる推論装置(推論方法又は推論プログラム)の態様で提供することもできる。その場合、推論装置(推論方法又は推論プログラム)としては、メモリと、プロセッサとを含み、このうちのプロセッサが、一連の処理を実行するものとすることができる。当該一連の処理とは、予測対象の食品における取引状況情報を取得する情報取得処理(情報取得工程)と、情報取得処理にて取引状況情報を取得すると、当該食品に対する食品比率情報を推論する推論処理(推論工程)とを含む。
【0117】
推論装置(推論方法又は推論プログラム)の態様で提供することで、情報処理装置を実装する場合に比して簡単に種々の装置への適用が可能となる。推論装置(推論方法又は推論プログラム)が食品比率情報を推論する際、上記実施形態に係る機械学習装置及び機械学習方法により生成された学習済みの学習モデルを用いて、生成処理部が実施する推論手法を適用してもよいことは、当業者にとって当然に理解され得るものである。
【0118】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
<付記1>
付記1の情報処理装置は、
食品の取引状況情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記取引状況情報を、学習対象の食品の前記取引状況情報と、当該食品の食品比率情報との相関関係を機械学習により学習させた学習モデルに入力することで、当該食品に対する前記食品比率情報を生成する生成処理部と、を備える。
<付記2>
付記2の情報処理装置は、付記1に記載の情報処理装置であって、
前記食品の取引状況情報には、
当該食品の供給に係る供給情報、
当該食品の需要に係る需要情報、及び
当該食品の流通に係る流通情報のうち、少なくとも1つを含む。
<付記3>
付記3の情報処理装置は、付記1又は付記2に記載の情報処理装置であって、
前記食品比率情報には、
当該食品の形態を生鮮食品とする比率に係る情報、
当該食品の形態を加工食品とする比率に係る情報、及び、
当該食品の形態を保管食品とする比率に係る情報のうち、少なくとも1つを含む。
<付記4>
付記4の情報処理装置は、付記1乃至付記3のいずれかに記載の情報処理装置であって、
前記保管食品とする比率に係る情報には、
冷凍保管食品とする比率に係る情報、及び
冷蔵保管食品とする比率に係る情報のうち、少なくとも1つを含む。
<付記5>
付記5の情報処理装置は、付記1乃至付記4のいずれかに記載の情報処理装置であって、
前記供給情報は、
種類・数量に係る情報、
在庫量に係る情報、
消費期限に係る情報、
製品性状に係る情報、
梱包単位に係る情報、及び、
価格に係る情報のうち、少なくとも1つを含む。
<付記6>
付記6の情報処理装置は、付記1乃至付記5のいずれかに記載の情報処理装置であって、
前記需要情報は、
希望種類・数量に係る情報、
希望消費期限に係る情報、
希望受領場所に係る情報、及び、
希望価格に係る情報のうち、少なくとも1つを含む。
<付記7>
付記7の情報処理装置は、付記1乃至付記6のいずれかに記載の情報処理装置であって、
前記流通情報は、
気温・湿度に係る情報、
陸路運行状況に係る情報、
海路運行状況に係る情報、及び、
空路運行状況に係る情報のうち、少なくとも1つを含む。
<付記8>
付記8の推論装置は、
メモリと、プロセッサとを備える推論装置であって、
前記プロセッサは、
食品の取引状況情報を取得する情報取得処理と、
前記情報取得処理にて前記取引状況情報を取得すると、当該食品の食品比率情報を推論する推論処理と、を実行する。
<付記9>
付記9の機械学習装置は、
学習対象の食品の取引状況情報と、当該食品の食品比率情報とで構成される学習用データを複数組記憶する学習用データ記憶部と、
複数組の前記学習用データを学習モデルに入力することで、前記取引状況情報と前記食品比率情報との相関関係を前記学習モデルに学習させる機械学習部と、
前記機械学習部により前記相関関係を学習させた前記学習モデルを記憶する学習済みモデル記憶部と、を備える。
<付記10>
付記9の情報処理方法は、
食品の取引状況情報を取得する情報取得工程と、
前記情報取得工程により取得された前記取引状況情報を、学習対象の食品の前記取引状況情報と、当該食品の食品比率情報との相関関係を機械学習により学習させた学習モデルに入力することで、当該食品に対する前記食品比率情報を生成する生成処理工程と、を備える。
<付記11>
付記11の推論方法は、
メモリと、プロセッサとを備える推論装置により実行される推論方法であって、
前記プロセッサは、
食品の取引状況情報を取得する情報取得処理と、
前記情報取得処理にて前記取引状況情報を取得すると、当該食品の食品比率情報を推論する推論処理と、を実行する。
<付記12>
付記12の機械学習方法は、
学習対象の食品の供取引状況情報と、当該食品の食品比率情報とで構成される学習用データを学習用データ記憶部に複数組記憶する学習用データ記憶工程と、
複数組の前記学習用データを学習モデルに入力することで、前記取引状況情報と前記食品比率情報との相関関係を前記学習モデルに学習させる機械学習工程と、
前記機械学習工程により前記相関関係を学習させた前記学習モデルを学習済みモデル記憶部に記憶する学習済みモデル記憶工程と、を備える。
【0119】
なお、実施形態を組み合わせたり、各実施形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0120】
1…食品形態予測システム、2…情報収集端末装置、3…管理者端末装置、
4…食品流通管理装置、5…機械学習装置、
6…情報処理装置、7…ネットワーク
12…学習モデル、13…学習用データ、
41…食品流通管理データベース、
50…制御部、51…通信部、52…学習用データ記憶部、
53…学習済みモデル記憶部、
60…制御部、61…通信部、62…学習済みモデル記憶部、
120…入力層、121…中間層、122…出力層
410…供給情報管理テーブル、411…需要情報管理テーブル、
412…流通情報管理テーブル、413…ロス情報管理テーブル、
414…食品比率情報管理テーブル、
500…学習用データ取得部、501…機械学習部、
600…情報取得部、601…生成処理部、602…出力処理部、
900…コンピュータ