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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146987
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20241008BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20241008BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20241008BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20241008BHJP
   B41J 2/155 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B41J2/01 307
B41J2/18
B41J2/14 603
B41J2/175 201
B41J2/155
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059731
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 啓太
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EA06
2C056EA28
2C056FA04
2C056FA13
2C056HA05
2C056HA07
2C056HA22
2C056KB16
2C056KB26
2C057AF25
2C057AG15
2C057AG68
2C057AG72
2C057AG77
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】流路構造体内の液体の第1方向における温度差を小さくする。
【解決手段】ヘッド1は、6つの流路群41~46を有する流路構造体11と、アクチュエータ部材12とを含む。6つの流路群41~46は、それぞれ、複数のノズル21と、供給流路31と、帰還流路32と、供給流路31の第1方向の一端と帰還流路32の第1方向の一端とを接続する接続流路33と、を有する。流路構造体11は、供給流路31の第1方向の他端に連通する供給口31Xと、帰還流路32の第1方向の他端に連通する排出口32Xとを有し、第3方向に隣接する2つの流路群のうち、一方の流路群に連通する供給口31X及び排出口32Xの組と、他方の流路群に連通する供給口31X及び排出口32Xの組とが、第1方向において互いに逆に配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の流路群を有する流路構造体と、前記流路構造体上に配置された複数のアクチュエータと、を備えた液体吐出ヘッドであって、
前記複数の流路群は、それぞれ、第1方向に沿って配列された複数のノズルと、前記第1方向に延びて前記複数のノズルに連通する供給流路と、前記第1方向に延びて前記複数のノズルに連通し、前記第1方向と交差する第2方向において前記供給流路と並んで配置された帰還流路と、前記供給流路の前記第1方向の一端と前記帰還流路の前記第1方向の一端とを接続する接続流路と、を有し、
前記複数の流路群は、前記第1方向と交差する第3方向に配列されており、
前記複数のアクチュエータは、それぞれ、前記流路構造体内の液体に前記複数のノズルの1つから液体を吐出させるエネルギーを付与するものであり、前記ノズルに対応して前記第1方向に沿って配置されており、
前記流路構造体は、前記供給流路の前記第1方向の他端に連通する供給口と、前記帰還流路の前記第1方向の他端に連通する排出口と、をさらに有し、
前記第3方向に隣接する2つの前記流路群のうち、一方の流路群に連通する前記供給口及び前記排出口の組と、他方の流路群に連通する前記供給口及び前記排出口の組とが、前記第1方向において互いに逆に配置されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記複数の流路群は、それぞれ、複数の個別流路を有し、
前記複数の個別流路は、それぞれ、前記ノズルと、前記供給流路に連通する一端と前記ノズルに連通する他端とを有する第1連通流路と、前記ノズルに連通する一端と前記帰還流路に連通する他端とを有する第2連通流路と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
複数の流路群を有する流路構造体と、前記流路構造体上に配置された複数のアクチュエータと、を備えた液体吐出ヘッドであって、
前記複数の流路群は、それぞれ、第1方向に沿って配列された複数の個別流路と、前記第1方向に延びて前記複数の個別流路に連通する供給流路と、前記第1方向に延びて前記複数の個別流路に連通し、前記第1方向と交差する第2方向において前記供給流路と並んで配置された帰還流路と、を有し、
前記複数の流路群は、前記第1方向と交差する第3方向に配列されており、
前記複数の個別流路は、それぞれ、ノズルと、前記供給流路に連通する一端と前記ノズルに連通する他端とを有する第1連通流路と、前記ノズルに連通する一端と前記帰還流路に連通する他端とを有する第2連通流路と、を含み、
前記複数のアクチュエータは、それぞれ、前記流路構造体内の液体に複数の前記ノズルの1つから液体を吐出させるエネルギーを付与するものであり、前記ノズルに対応して前記第1方向に沿って配置されており、
前記流路構造体は、前記供給流路の前記第1方向の他端に連通する供給口と、前記帰還流路の前記第1方向の他端に連通する排出口と、をさらに有し、
前記第3方向に隣接する2つの前記流路群のうち、一方の流路群に連通する前記供給口及び前記排出口の組と、他方の流路群に連通する前記供給口及び前記排出口の組とが、前記第1方向において互いに逆に配置されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記複数の流路群は、それぞれ、前記供給流路の前記第1方向の一端と前記帰還流路の前記第1方向の一端とを接続する接続流路を、さらに有していることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記供給口及び前記排出口は、前記流路構造体の一表面に形成されており、
前記供給口及び前記排出口が、各流路群において、前記第3方向に並んで配置されていることを特徴とする請求項1又は3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記隣接する2つの流路群のうち、前記一方の流路群の前記供給口と、前記他方の流路群の前記排出口とが前記第1方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項5に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記供給口を覆うフィルタをさらに有していることを特徴とする請求項1又は3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記排出口が前記フィルタで覆われていないことを特徴とする請求項7に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記供給口の面積が、前記排出口の面積よりも大きいことを特徴とする請求項7に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項10】
前記供給口は、前記一表面と面する方向から見て、前記第1方向に沿って前記供給流路に近づくに連れて前記第3方向の幅が小さくなるように形成されており、
前記排出口は、前記一表面と面する方向から見て、前記第1方向に沿って前記帰還流路から離れるに連れて前記第3方向の幅が小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項5に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項11】
1つの前記供給口が、前記複数の流路群に属する複数の前記供給流路に連通することを特徴とする請求項7に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項12】
前記供給口及び前記排出口は、前記流路構造体の一表面に形成されており、
前記一表面は、前記第1方向に長尺な矩形形状を有しており、
前記排出口は、前記一表面の4隅の角部のうちの少なくともいずれかの前記角部に配置されていることを特徴とする請求項11に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項13】
前記流路構造体には、前記流路群が3以上設けられており、
各流路群に連通する前記供給口及び前記排出口の組は、前記流路構造体の前記第1方向の両端部において、前記第3方向に沿って交互に配置されていることを特徴とする請求項1又は3に記載の液体吐出ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の流路群を有する流路構造体と、流路構造体上に配置された圧電アクチュエータと、を備えたインクジェットヘッドについて記載されている。複数の流路群は、それぞれ、第1方向に沿って配列された複数のノズルと、第1方向に延びて複数のノズルに連通する第1マニホールド(供給流路)と、第1方向に延びて複数のノズルに連通し、第1方向と直交する第2方向に第1マニホールドと並んで配置された第2マニホールド(帰還流路)と、第1マニホールドの第1方向の一端と第2マニホールドの第1方向の一端とを接続する接続流路と、を有する。複数の流路群は、第2方向に並んでいる。圧電アクチュエータは、複数の活性部(アクチュエータ)を有する。活性部は、流路構造体内のインクにエネルギーを付与することで、ノズルからインクを吐出させる。流路構造体はさらに、第1マニホールドの第1方向の他端部に連通するインク供給口と、第2マニホールドの第1方向の他端部に連通するインク排出口と、を有する。
【0003】
上記特許文献1において、インク供給口から供給されたインクは、第1マニホールドを通って、流路構造体の他端部側から一端部側へと第1方向に沿って流れる。その後当該インクは、接続流路を介して第2マニホールドを通って、流路構造体の一端部側から他端部側へと第1方向に沿って流れ、インク排出口から排出される。
【0004】
特許文献2にも、複数の流路群を有する流路構造体と、流路構造体上に配置された圧電アクチュエータと、を備えたインクジェットヘッドについて記載されている。複数の流路群は、それぞれ、第1方向に沿って配列された複数の個別流路と、第1方向に延びて複数の個別流路に連通する供給流路と、第1方向に延びて複数の個別流路に連通し、第1方向と直交する第2方向に供給流路と並んで配置された帰還流路と、を有する。複数の流路群は、第1方向及び第2方向と直交する第3方向に並んでいる。複数の個別流路は、それぞれ、ノズルと、供給流路に連通する一端とノズルに連通する他端とを有する第1連通流路と、ノズルに連通する一端と帰還流路に連通する他端とを有する第2連通流路と、を含む。圧電アクチュエータは、複数の活性部(アクチュエータ)を有する。活性部は、流路構造体内のインクにエネルギーを付与することで、ノズルからインクを吐出させる。流路構造体はさらに、供給流路の第1方向の他端部に連通するインク供給口と、帰還流路の第1方向の他端部に連通するインク排出口と、を有する。
【0005】
上記特許文献2において、インク供給口から供給されたインクは、供給流路を通って、流路構造体の他端部側から一端部側へと第1方向に沿って流れる。その後当該インクは、第1連通流路及び第2連通流路を介して帰還流路を通って、流路構造体の一端部側から他端部側へと第1方向に沿って流れ、インク排出口から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-190431号公報
【特許文献2】特開2020-196234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のインクジェットヘッドにおいては、印刷中にインク供給口から第1マニホールドへ供給されたインクは、接続流路に到達するまでに、アクチュエータからの伝熱によって、温度が上昇する。また、第1マニホールドにおいては、印刷中、インク供給口に近いほどインクの流量が多く、接続流路に近いほどインクの流量が少ない。インクの流量が少ないほど、流路構造体及び/又はアクチュエータの冷却効果が小さくなる。アクチュエータからの伝熱による温度上昇、及び、流量が少なく冷却効果が得にくいことにより、流路構造体の第1方向の他端部(インク供給口側の端部)が一端部(接続流路側の端部)よりも温度が低くなる。そのため、第1マニホールド内のインクは、第1方向の一端部が、第1方向の他端部に比べ、温度が高く、ひいては粘度が低くなる。これにより、第1マニホールドに連通する複数のノズルにおいて、インク吐出特性にばらつきが生じる。
【0008】
なお、接続流路から第2マニホールドを通ってインク排出口へと向かうインクも、アクチュエータからの伝熱によって温度が上昇する。しかし、印刷中においては、上述の流量差により、第2マニホールドを通るインク量は第1マニホールドを通るインク量よりも少ない。第2マニホールドを通ってインク排出口へと向かうインクは第1マニホールドを通過した時点である程度温度が上昇している。このため、第2マニホールドを通ってインク排出口へと向かうインクの温度上昇は、第1マニホールドを通ってインク供給口から接続流路へと向かうインクの温度上昇に比べ小さく、冷却効果もほとんどない。したがって、流路構造体全体において、第1方向の他端部が一端部よりも温度が低くなる。
【0009】
特許文献2に記載のインクジェットヘッドにおいても、特許文献1に記載のインクジェットヘッドと同様に、アクチュエータからの伝熱による温度上昇、及び、流量が少なく冷却効果が得にくいことにより、流路構造体の第1方向の他端部(インク供給口側の端部)が一端部(インク供給口とは反対側の端部)よりも温度が低くなる。そのため、供給流路内のインクは、第1方向の一端部が、第1方向の他端部に比べ、温度が高く、ひいては粘度が低くなる。これにより、供給流路に連通する複数のノズルにおいて、インク吐出特性にばらつきが生じる。
【0010】
なお、帰還流路においても、特許文献1に記載のインクジェットヘッドと同様に、帰還流路を通ってインク排出口へと向かうインクは供給流路を通過した時点である程度温度が上昇している。このため、帰還流路を通ってインク排出口へと向かうインクの温度上昇は、供給流路を通って流路構造体の他端部側から一端部側へと向かうインクの温度上昇に比べ小さく、冷却効果もほとんどない。したがって、流路構造体全体において、第1方向の他端部が一端部よりも温度が低くなる。
【0011】
そこで、本発明の目的は、流路構造体内の液体の第1方向における温度差を小さくすることが可能な液体吐出ヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の液体吐出ヘッドは、第1の観点では、複数の流路群を有する流路構造体と、前記流路構造体上に配置された複数のアクチュエータと、を備えた液体吐出ヘッドであって、前記複数の流路群は、それぞれ、第1方向に沿って配列された複数のノズルと、前記第1方向に延びて前記複数のノズルに連通する供給流路と、前記第1方向に延びて前記複数のノズルに連通し、前記第1方向と交差する第2方向において前記供給流路と並んで配置された帰還流路と、前記供給流路の前記第1方向の一端と前記帰還流路の前記第1方向の一端とを接続する接続流路と、を有し、前記複数の流路群は、前記第1方向と交差する第3方向に配列されており、前記複数のアクチュエータは、それぞれ、前記流路構造体内の液体に前記複数のノズルの1つから液体を吐出させるエネルギーを付与するものであり、前記ノズルに対応して前記第1方向に沿って配置されており、前記流路構造体は、前記供給流路の前記第1方向の他端に連通する供給口と、前記帰還流路の前記第1方向の他端に連通する排出口と、をさらに有し、前記第3方向に隣接する2つの前記流路群のうち、一方の流路群に連通する前記供給口及び前記排出口の組と、他方の流路群に連通する前記供給口及び前記排出口の組とが、前記第1方向において互いに逆に配置されている。
【0013】
また、本発明の液体吐出ヘッドは、第2の観点では、複数の流路群を有する流路構造体と、前記流路構造体上に配置された複数のアクチュエータと、を備えた液体吐出ヘッドであって、前記複数の流路群は、それぞれ、第1方向に沿って配列された複数の個別流路と、前記第1方向に延びて前記複数の個別流路に連通する供給流路と、前記第1方向に延びて前記複数の個別流路に連通し、前記第1方向と交差する第2方向において前記供給流路と並んで配置された帰還流路と、を有し、前記複数の流路群は、前記第1方向と交差する第3方向に配列されており、前記複数の個別流路は、それぞれ、ノズルと、前記供給流路に連通する一端と前記ノズルに連通する他端とを有する第1連通流路と、前記ノズルに連通する一端と前記帰還流路に連通する他端とを有する第2連通流路と、を含み、前記複数のアクチュエータは、それぞれ、前記流路構造体内の液体に複数の前記ノズルの1つから液体を吐出させるエネルギーを付与するものであり、前記ノズルに対応して前記第1方向に沿って配置されており、前記流路構造体は、前記供給流路の前記第1方向の他端に連通する供給口と、前記帰還流路の前記第1方向の他端に連通する排出口と、をさらに有し、前記第3方向に隣接する2つの前記流路群のうち、一方の流路群に連通する前記供給口及び前記排出口の組と、他方の流路群に連通する前記供給口及び前記排出口の組とが、前記第1方向において互いに逆に配置されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の液体吐出ヘッドによると、隣接する2つの流路群のうち、一方の流路群に連通する供給口及び排出口の組が流路構造体の第1方向の一方の端部側に配置され、他方の流路群に連通する供給口及び排出口の組が流路構造体の第1方向の他方の端部側に配置される。このため、アクチュエータからの伝熱による温度上昇及び第1方向における流量差の傾向が、2つの流路群間で逆になり、流路構造体全体において、第1方向における液体の温度差を小さくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係るヘッドを備えたプリンタの平面図である。
図2図1に示すヘッドの平面図である。
図3図2のIII-III線に沿ったヘッドの断面図である。
図4図2のIV-IV線に沿ったヘッドの断面図である。
図5】本発明の第2実施形態に係るヘッドの平面図である。
図6】本発明の第3実施形態に係るヘッドの平面図である。
図7】本発明の第4実施形態に係るヘッドの平面図である。
図8】本発明の第5実施形態に係るヘッドの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
先ず、図1を参照し、本発明の第1実施形態に係るヘッド1を備えたプリンタ100の全体構成について説明する。
【0017】
プリンタ100は、4つのヘッド1を含むヘッドユニット1X、プラテン3、搬送機構4及び制御部5を備えている。プラテン3の上面に、用紙9が載置される。
【0018】
搬送機構4は、搬送方向にプラテン3を挟んで配置された2つのローラ対4A,4Bを有する。制御部5の制御により搬送モータ(図示略)が駆動されると、ローラ対4A,4Bが用紙9を挟持した状態で回転し、用紙9が搬送方向に搬送される。
【0019】
ヘッドユニット1Xは、紙幅方向(本発明の「第1方向」:搬送方向及び鉛直方向の双方と直交する方向)に長尺であり、位置が固定された状態でノズル21(図2及び図3参照)から用紙9に対してインクを吐出するライン式である。4つのヘッド1は、それぞれ紙幅方向に長尺であり、紙幅方向に千鳥状に配列されている。
【0020】
制御部5は、ROM、RAM及びASICを有する。ASICは、ROMに格納されたプログラムに従い、記録処理等を実行する。記録処理において、制御部5は、PC等の外部装置から入力された記録指令(画像データを含む。)に基づき、各ヘッド1のドライバIC及び搬送モータ(共に図示略)を制御し、用紙9上に画像を記録する。
【0021】
次いで、図2図4を参照し、ヘッド1の構成について説明する。ヘッド1は、図2及び図4に示すように、流路構造体11及びアクチュエータ部材12を有する。
【0022】
流路構造体11は、図3及び図4に示すように、鉛直方向に積層されかつ互いに接着された11枚のプレート11A~11Kで構成されている。各プレート11A~11Kには、流路を構成する貫通孔が形成されている。当該流路は、複数の個別流路20、供給流路31、帰還流路32及び接続流路33を含む。
【0023】
流路構造体11には、図2に示すように、紙幅方向に一列に配列された複数の個別流路20と、これら個別流路20に連通する供給流路31、帰還流路32及び接続流路33とでそれぞれ構成される、6つの流路群41~46が設けられている。
【0024】
各流路群41~46において、供給流路31及び帰還流路32は、図3及び図4に示すように、鉛直方向(本発明の「第2方向」:供給流路31及び帰還流路32の高さ方向であり、第1方向と交差する方向)に並び、鉛直方向に互いに重なっている。
【0025】
6つの流路群41~46は、搬送方向と平行な方向(本発明の「第3方向」:供給流路31及び帰還流路32の幅方向であり、第1方向及び第2方向の双方と直交する方向)に等間隔で並んでいる。
【0026】
供給流路31及び帰還流路32は、それぞれ、第1方向に延びている。供給流路31及び帰還流路32は、長さ(第1方向の長さ)、幅(第3方向の長さ)及び高さ(第2方向の長さ)が互いに略同じである。
【0027】
各流路群41~46において、接続流路33は、図4に示すように、第2方向に延び、供給流路31の第1方向の一端と帰還流路32の第1方向の一端とを接続している。
【0028】
供給流路31及び帰還流路32は、それぞれの第1方向の他端に連通する供給口31X及び排出口32Xを介して、サブタンク(図示略)に連通している。各流路群41~46の供給流路31及び帰還流路32にそれぞれ連通する供給口31X及び排出口32Xは、流路構造体11の上面(本発明の「一表面」)11Xに開口している。
【0029】
6つの流路群41~46のうち、3つの流路群41,43,45にそれぞれ連通する供給口31X及び排出口32Xの組は、第1方向において複数の個別流路20に対して互いに同じ側(図2の上端側)にあり、第3方向に並んでいる。6つの流路群41~46のうち、3つの流路群42,44,46にそれぞれ連通する供給口31X及び排出口32Xの組は、第1方向において複数の個別流路20に対して互いに同じ側(図2の下端側)にあり、第3方向に並んでいる。つまり、第3方向に隣接する2つの流路群のうち、一方の流路群41,43,45にそれぞれ連通する供給口31X及び排出口32Xの組と、他方の流路群42,44,46にそれぞれ連通する供給口31X及び排出口32Xの組とが、第1方向において互いに逆に配置されている。また、各流路群41~46に連通する供給口31X及び排出口32Xの組は、流路構造体11の第1方向の両端部において、第3方向に沿って交互に配置されている。
【0030】
また、各流路群41~46に連通する供給口31X及び排出口32Xは、第3方向に並んでいる。また、第3方向に隣接する2つの流路群のうち、一方の流路群41,43,45にそれぞれ連通する供給口31Xと、他方の流路群42,44,46にそれぞれ連通する排出口32Xとが、第1方向に沿って配置されている。換言すると、第3方向に隣接する2つの流路群のうち、一方の流路群41,43,45にそれぞれ連通する排出口32Xと、他方の流路群42,44,46にそれぞれ連通する供給口31Xとが、第1方向に沿って配置されている。
【0031】
また、流路構造体11の上面11Xには、6つのフィルタ31Fが設けられている。フィルタ31Fは、供給口31Xを覆う。これにより、供給流路31に流入するインクから異物を捕捉することができる。本実施形態においては、流路構造体11の上面11Xに供給口31Xを覆うフィルタ31Fが設けられているものの、排出口32Xを覆うフィルタが設けられていない。つまり、排出口32Xはフィルタで覆われていない。これにより、インクが排出口32Xを通過する際の抵抗が小さくなる。
【0032】
サブタンクは、インクを貯留するメインタンクに連通し、メインタンクから供給されたインクを貯留する。サブタンク内のインクは、制御部5の制御によりポンプ(図示略)が駆動されることで、供給口31Xから供給流路31に流入する。供給流路31に流入したインクは、供給流路31内を第1方向の他端(図4の左端)から一端(図4の右端)に向かって移動しつつ、各個別流路20に供給される(図3参照)。各個別流路20から流出したインクは、帰還流路32に流入する。また、供給流路31の第1方向の一端(図4の右端)に到達したインクは、接続流路33を通って帰還流路32に流入する。帰還流路32に流入したインクは、帰還流路32内を第1方向の一端から他端(図4の左端)に向かって移動し、排出口32Xを介してサブタンクに戻される。
【0033】
図3及び図4に示すように、供給流路31は、プレート11Eに形成された貫通孔で構成されている。帰還流路32は、プレート11Hに形成された貫通孔で構成されている。第2方向において供給流路31と帰還流路32との間には、ダンパ室30が設けられている。ダンパ室30は、プレート11Fに形成された凹部と、プレート11Gに形成された凹部とで構成されている。プレート11Fにおける凹部の底部は、供給流路31のダンパ膜31Dとして機能する。プレート11Gにおける凹部の底部は、帰還流路32のダンパ膜32Dとして機能する。
【0034】
各個別流路20は、図3に示すように、ノズル21と、圧力室22と、連通流路23と、流入流路24と、流出流路25とを含む。
【0035】
ノズル21は、プレート11Kに形成された貫通孔で構成され、流路構造体11の下面11Yに開口している。圧力室22は、プレート11Aに形成された貫通孔で構成され、流路構造体11の上面11Xに開口している。圧力室22は、第3方向に長尺な略矩形平面形状を有している。圧力室22に対し、第3方向の一端に流入流路24が接続し、第3方向の他端に連通流路23が接続している。
【0036】
連通流路23は、プレート11B~11Jに形成された貫通孔で構成され、第2方向に延びている。連通流路23は、第2方向においてノズル21と圧力室22との間に配置され、ノズル21と圧力室22とを互いに接続している。
【0037】
流入流路24は、プレート11B~11Dに形成された貫通孔で構成されている。流入流路24は、圧力室22に接続する上端と、供給流路31に接続する下端とを有する。流出流路25は、プレート11I~11Kに形成された貫通孔で構成されている。流出流路25は、連通流路23の下端に接続する一端と、帰還流路32に接続する他端とを有する。流入流路24及び流出流路25は、それぞれ、圧力室22の幅(第1方向の長さ)よりも小さい幅を有し、絞りとして機能する。
【0038】
ここで、流入流路24、圧力室22、連通流路23が本発明の「第1連通流路」に該当し、連通流路23の一部、流出流路25が本発明の「第2連通流路」に該当する。
【0039】
供給流路31から各個別流路20に供給されたインクは、流入流路24を通って圧力室22に流入し、圧力室22内を略水平に移動して、連通流路23に流入する。連通流路23に流入したインクは、下方に移動し、一部がノズル21から吐出され、残りが流出流路25を通って帰還流路32に流入する。
【0040】
このようにサブタンクと流路構造体11との間でインクを循環させることで、流路構造体11に形成された供給流路31及び帰還流路32、さらには個別流路20における、エアの排出やインクの増粘防止が実現される。また、インクが沈降成分(沈降が生じ得る成分。顔料等)を含む場合、当該成分が攪拌されて沈降が防止される。
【0041】
アクチュエータ部材12は、図3に示すように、下から順に、振動板12A、共通電極12B、複数の圧電体12C及び複数の個別電極12Dを含む。振動板12A及び共通電極12Bは、流路構造体11の上面11Xに配置され、プレート11Aに形成された全ての圧力室22を覆っている。一方、圧電体12C及び個別電極12Dは、圧力室22毎に設けられており、圧力室22のそれぞれと第2方向に重なっている。
【0042】
共通電極12B及び複数の個別電極12Dは、ドライバIC(図示略)と電気的に接続されている。ドライバICは、共通電極12Bの電位をグランド電位に維持する一方、個別電極12Dの電位を変化させる。具体的には、ドライバICは、制御部5からの制御信号に基づいて駆動信号を生成し、当該駆動信号を個別電極12Dに付与する。これにより、個別電極12Dの電位が所定の駆動電位とグランド電位との間で変化する。このとき、振動板12A及び圧電体12Cにおいて個別電極12Dと圧力室22とで挟まれた部分(アクチュエータ12X)が、圧力室22に向かって凸となるように変形することにより、圧力室22の容積が変化し、圧力室22内のインクに圧力が付与され、ノズル21からインクが吐出される。アクチュエータ部材12は、圧力室22のそれぞれに対応する複数のアクチュエータ12Xを有する。複数のアクチュエータ12Xは、図4に示すように、ノズル21に対応して第1方向に沿って配置されている。
【0043】
以上に述べたように、本実施形態のヘッド1によると、隣接する2つの流路群のうち、一方の流路群41,43,45に連通する供給口31X及び排出口32Xの組が流路構造体11の第1方向の一方の端部側(図2中上端部側)に配置され、他方の流路群42,44,46に連通する供給口31X及び排出口32Xの組が流路構造体11の第1方向の他方の端部側(図2中下端部側)に配置される。このため、アクチュエータ部材12(アクチュエータ12X)からの伝熱による温度上昇及び第1方向における流量差の傾向が、隣接する2つの流路群間で逆になる。
【0044】
つまり、流路群41,43,45においては、供給口31X及び排出口32Xの組が流路構造体11の第1方向の一方の端部側にあるため、印刷時の流量差により流路構造体11の一方の端部側が他方の端部側よりも冷却される。一方、流路群42,44,46においては、供給口31X及び排出口32Xの組が流路構造体11の第1方向の他方の端部側にあるため、印刷時の流量差により流路構造体11の他方の端部側が一方の端部側よりも冷却される。また、流路群41,43,45においては、供給口31X及び排出口32Xの組が流路構造体11の第1方向の一方の端部側にあるため、印刷時のアクチュエータ部材12(アクチュエータ12X)からの伝熱により、流路構造体11の他方の端部側が一方の端部側よりも温度上昇しやすい。一方、流路群42,44,46においては、供給口31X及び排出口32Xの組が流路構造体11の第1方向の他方の端部側にあるため、印刷時のアクチュエータ部材12(アクチュエータ12X)からの伝熱により、流路構造体11の一方の端部側が他方の端部側よりも温度上昇しやすい。このように、隣接する2つの流路群間で温度上昇や冷却効果の傾向が逆になり、流路構造体11全体において、第1方向における温度差が小さくなる。この結果、流路構造体11全体において、第1方向におけるインクの温度差を小さくすることが可能となる。
【0045】
また、各流路群41~46に連通する供給口31X及び排出口32Xの組は、流路構造体11の第1方向の両端部において、第3方向に沿って交互に配置されている。これにより、流路群が3以上設けられた流路構造体11においても、第1方向における温度差を小さくすることが可能となる。
【0046】
また、個別流路20が帰還流路32に連通している。これにより、個別流路20が帰還流路32に連通しない場合に比べ、供給流路31と帰還流路32との間でインクが流れやすくなる。このため、供給流路31及び帰還流路32における第1方向の流量差が小さくなり、第1方向におけるインクの温度差も小さくなる。また、当該構成では、帰還流路32を介して個別流路20内の気泡を排出できる。さらに、供給流路31、個別流路20及び帰還流路32においてインクを循環させることで、個別流路20におけるインクの増粘を抑制することが可能となる。
【0047】
供給口31X及び排出口32Xが、各流路群41~46において、第3方向に並んで配置されている。これにより、第1方向において、流路構造体11を小型化することが可能となる。
【0048】
隣接する2つの流路群のうち、一方の流路群41,43,45(又は42,44,46)の供給口31Xと、他方の流路群42,44,46(又は41,43,45)の排出口32Xとが第1方向に沿って配置されている。これにより、第3方向において、流路構造体11を小型化することが可能となる。
【0049】
<第2実施形態>
続いて、図5を参照し、本発明の第2実施形態に係るヘッド201について説明する。第1実施形態と同様な構成については同符号で示し、説明を省略する。本実施形態におけるヘッド201の流路構造体211の上面211Xには、供給口231Xと排出口232Xとが2つずつ設けられている。上面211Xは第1方向に長尺な矩形形状を有している。一組の供給口231Xと排出口232Xが流路構造体211の第1方向の一端部側(図5中上端部側)に設けられ、もう一組の供給口231Xと排出口232Xが流路構造体211の第1方向の他端部側(図5中下端部側)に設けられている。
【0050】
流路構造体211の第1方向の一端部側の供給口231Xは、6つの流路群241~246のうちの左側の3つの流路群241~243の供給流路31にそれぞれ連通している。流路構造体211の第1方向の他端部側の供給口231Xは、6つの流路群241~246のうちの右側の3つの流路群244~246の供給流路31にそれぞれ連通している。2つの供給口231Xは、いずれも第3方向に長尺な略矩形平面形状を有し、排出口232Xよりも面積が大きい。
【0051】
流路構造体211の上面211Xには、2つのフィルタ231Fが設けられている。フィルタ231Fは、供給口231X全体を覆う。これにより、供給流路31に流入するインクから異物を捕捉することができる。
【0052】
流路構造体211の第1方向の一端部側の排出口232Xは、左側の3つの流路群241~243の帰還流路32にそれぞれ連通している。流路構造体211の第1方向の他端部側の排出口232Xは、右側の3つの流路群244~246の帰還流路32にそれぞれ連通している。また、2つの排出口232Xは、流路構造体211の上面211Xの角部に配置されている。なお、左側の3つの流路群241~243は互いに同様な構成である。右側の3つの流路群244~246も互いに同様な構成である。左側の3つの流路群241~243と、右側の3つの流路群244~246とが、第1方向において互いに逆に配置されている。また、各流路群241~246における個別流路20、供給流路31及び帰還流路32の構成は、第1実施形態と同様である。
【0053】
本実施形態においては、左側の3つの流路群241~243にそれぞれ連通する供給口231X及び排出口232Xの組と、右側の3つの流路群244~246にそれぞれ連通する供給口231X及び排出口232Xの組とが、第1方向において互いに逆に配置されている。
【0054】
以上に述べたように、本実施形態のヘッド201においても、隣接する2つの流路群243,244のうち、一方の流路群243に連通する供給口231X及び排出口232Xの組が流路構造体211の第1方向の一方の端部側に配置され、他方の流路群244に連通する供給口231X及び排出口232Xの組が流路構造体211の第1方向の他方の端部側に配置される。このため、第1実施形態と同様な効果を得ることができる。なお、第1実施形態と同様な構成においては、同じ効果を得ることができる。
【0055】
供給口231Xの面積が、排出口232Xの面積よりも大きい。これにより、フィルタ面積を大きくすることが可能となる。このため、捕捉した異物によってフィルタ231Fが閉塞しにくくなる。
【0056】
1つの供給口231Xが、3つの流路群241~243(又は244~246)に属する3つの供給流路31に連通している。これにより、より一層供給口231Xの面積を大きくし、フィルタ231Fの面積を大きくすることができる。
【0057】
排出口232Xが、上面211Xの角部に配置されている。このように排出口232Xを角部に配置することで、当該角部以外の大きなスペースに供給口231Xを配置することができる。これにより、供給口231Xの面積を大きくし、フィルタ231Fの面積も大きくすることが可能となる。
【0058】
<第3実施形態>
続いて、図6を参照し、本発明の第3実施形態に係るヘッド301について説明する。第1及び第2実施形態と同様な構成については同符号で示し、説明を省略する。
【0059】
上述の第2実施形態においては、6つの流路群241~246が設けられているが、本実施形態(図6)では、4つの流路群341~344が設けられている。上述の各流路群241~246に属する接続流路33は、第2方向に並ぶ供給流路31と帰還流路32とを接続しているが、本実施形態では、第3方向に隣接する2つの流路群341,342のうち、一方の流路群341の供給流路31と他方の流路群342の帰還流路32とを接続流路333Aが接続し、一方の流路群341の帰還流路32と他方の流路群342の供給流路31とを接続流路333Bが接続している。また、第3方向に隣接する2つの流路群343,344のうち、一方の流路群343の供給流路31と他方の流路群344の帰還流路32とを接続流路333Aが接続し、一方の流路群343の帰還流路32と他方の流路群344の供給流路31とを接続流路333Bが接続している。なお、各流路群341~344における個別流路20、供給流路31及び帰還流路32の配置構成は、第1実施形態と同様である。
【0060】
本実施形態におけるヘッド301の流路構造体311の上面311Xには、供給口331Xと排出口332Xとが2つずつ設けられている。一組の供給口331Xと排出口332Xが流路構造体311の第1方向の一端部側(図6中上端部側)に設けられ、もう一組の供給口331Xと排出口332Xが流路構造体311の第1方向の他端部側(図6中下端部側)に設けられている。
【0061】
流路構造体311の第1方向の一端部側の供給口331Xは、4つの流路群341~344のうちの左側の2つの流路群341,342の供給流路31にそれぞれ連通している。流路構造体311の第1方向の他端部側の供給口331Xは、右側の2つの流路群343,344の供給流路31にそれぞれ連通している。2つの供給口331Xは、いずれも第3方向に長尺な略矩形平面形状を有し、排出口332Xよりも面積が大きい。
【0062】
流路構造体311の上面311Xには、2つのフィルタ331Fが設けられている。フィルタ331Fは、供給口331X全体を覆う。これにより、供給流路31に流入するインクから異物を捕捉することができる。
【0063】
流路構造体311の第1方向の一端部側の排出口332Xは、左側の2つの流路群341,342の帰還流路32にそれぞれ連通している。流路構造体311の第1方向の他端部側の排出口332Xは、右側の2つの流路群343,344の帰還流路32にそれぞれ連通している。また、2つの排出口332Xは、流路構造体311の上面311Xの角部に配置されている。
【0064】
本実施形態においては、左側の2つの流路群341,342にそれぞれ連通する供給口331X及び排出口332Xの組と、右側の2つの流路群343,344にそれぞれ連通する供給口331X及び排出口332Xの組とが、第1方向において互いに逆に配置されている。
【0065】
以上に述べたように、本実施形態のヘッド301においても、隣接する2つの流路群342,343のうち、一方の流路群342に連通する供給口331X及び排出口332Xの組が流路構造体311の第1方向の一方の端部側に配置され、他方の流路群343に連通する供給口331X及び排出口332Xの組が流路構造体311の第1方向の他方の端部側に配置される。このため、第1実施形態と同様な効果を得ることができる。なお、第1及び第2実施形態と同様な構成においては、同じ効果を得ることができる。
【0066】
<第4実施形態>
続いて、図7を参照し、本発明の第4実施形態に係るヘッド401について説明する。第1~第3実施形態と同様な構成については同符号で示し、説明を省略する。
【0067】
本実施形態では、2つの流路群441,442が設けられている。上述の各流路群41~46に属する供給流路31と帰還流路32は、第2方向に並んで配置されていたが、本実施形態では、供給流路31と帰還流路32が第3方向に並んで配置されている。第3方向に並ぶ供給流路31と帰還流路32は、接続流路433により接続される。2つの流路群441,442は、それぞれ、第3方向に並んだ2列の個別流路列を有する。各個別流路列は、複数の個別流路20が第1方向に配列されて構成されている。本実施形態における個別流路20は、流出流路25を有していない。各流路群441,442に属する2列の個別流路列のうち、一方の個別流路列に属する個別流路20が供給流路31に連通し、他方の個別流路列に属する個別流路20が帰還流路32に連通する。
【0068】
本実施形態におけるヘッド401の流路構造体411の上面411Xには、供給口431Xと排出口432Xとが2つずつ設けられている。一組の供給口431Xと排出口432Xが流路構造体411の第1方向の一端部側(図7中上端部側)に設けられ、もう一組の供給口431Xと排出口432Xが流路構造体411の第1方向の他端部側(図7中下端部側)に設けられている。
【0069】
流路構造体411の第1方向の一端部側の供給口431X及び排出口432Xは、流路群441の供給流路31及び帰還流路32に連通しており、第3方向に並んで配置されている。流路構造体411の第1方向の他端部側の供給口431X及び排出口432Xは、流路群442の供給流路31及び帰還流路32に連通しており、第3方向に並んで配置されている。
【0070】
供給口431Xは、鉛直上方(上面411Xと面する方向)から見て、第1方向に沿って供給流路31に近づくに連れて第3方向の幅が小さくなるような、台形平面形状を有している。排出口432Xは、鉛直上方から見て、第1方向に沿って帰還流路32から離れるに連れて第3方向の幅が小さくなるような、略三角平面形状を有している。これにより、供給口431Xと排出口432Xとを第3方向に並んで配置した状態で、供給口431Xの面積を大きくすることが可能となる。また、供給口431Xから供給流路31へのインクの流れ、及び、帰還流路32から排出口432Xへのインクの流れが、それぞれスムーズになり、気泡の発生を抑制できる。
【0071】
流路構造体411の上面411Xには、2つのフィルタ431Fが設けられている。フィルタ431Fは、供給口431X全体を覆う。これにより、供給流路31に流入するインクから異物を捕捉することができる。
【0072】
本実施形態においては、流路群441に連通する供給口431X及び排出口432Xの組と、流路群442に連通する供給口431X及び排出口432Xの組とが、第1方向において互いに逆に配置されている。
【0073】
以上に述べたように、本実施形態のヘッド401においても、隣接する2つの流路群441,442のうち、一方の流路群441に連通する供給口431X及び排出口432Xの組が流路構造体411の第1方向の一方の端部側に配置され、他方の流路群442に連通する供給口431X及び排出口432Xの組が流路構造体411の第1方向の他方の端部側に配置される。このため、第1実施形態と同様な効果を得ることができる。なお、第1~第3実施形態と同様な構成においては、同じ効果を得ることができる。
【0074】
供給口431X及び排出口432Xが上記のような形状を有していることで、供給口431Xと排出口432Xとを第3方向に並んで配置した状態で、供給口431Xの面積を大きくすることが可能となる。また、供給口431Xから供給流路31へのインクの流れ、及び、帰還流路32から排出口432Xへのインクの流れが、それぞれスムーズになる。仮に供給口が矩形平面形状を有し、その第3方向の幅が供給流路31の幅よりも大きい場合、供給口の供給流路31側の角部のインクがスムーズに供給流路31へと流れずに澱むことがある。このような澱みが生じる部分には気泡が発生しやすくなる。しかしながら、本実施形態においてはインクがスムーズに流れるため、気泡の発生を抑制できる。
【0075】
<第5実施形態>
続いて、図8を参照し、本発明の第5実施形態に係るヘッド501について説明する。第1実施形態と同様な構成については同符号で示し、説明を省略する。
【0076】
本実施形態におけるヘッド501は、流路構造体511に各流路群41~46に属する接続流路33が形成されておらず、これ以外は第1実施形態のヘッド1と同様である。本実施形態のヘッド501においても、隣接する2つの流路群のうち、一方の流路群41,43,45に連通する供給口31X及び排出口32Xの組が流路構造体511の第1方向の一方の端部側(図8中上端部側)に配置され、他方の流路群42,44,46に連通する供給口31X及び排出口32Xの組が流路構造体511の第1方向の他方の端部側(図8中下端部側)に配置される。このため、アクチュエータ部材12(アクチュエータ12X)からの伝熱による温度上昇及び第1方向における流量差の傾向が、隣接する2つの流路群間で逆になる。このため、第1実施形態と同様な効果を得ることができる。なお、第1実施形態と同様な構成においては、同じ効果を得ることができる。
【0077】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。
【0078】
上述の第1実施形態における供給口31X及び排出口32Xが、各流路群41~46において、第3方向に並んで配置されているが、第1方向に並んで配置されていてもよい。また、供給口31X及び排出口32Xは、流路構造体11の上面11Xと交差する側面(流路構造体11の第1方向の一端側の側面及び他端側の側面)に形成されていてもよい。また、個別流路20が流出流路25を有していなくてもよい。
【0079】
上述の第2及び第3実施形態における排出口232X,332Xが、上面211X,311Xの角部以外の部分(第3方向において中央寄り)に配置されていてもよい。
【0080】
フィルタ31F,231F,331F,431Fが設けられていなくてもよい。また、排出口32X,232X,332X,432Xを覆うフィルタが設けられていてもよい。
【0081】
液体吐出ヘッドは、ライン式に限定されず、シリアル式(紙幅方向と平行な走査方向に移動しつつノズルから吐出対象に対して液体を吐出する方式)であってもよい。
【0082】
吐出対象は、用紙に限定されず、例えば布、基板等であってもよい。
【0083】
ノズルから吐出される液体は、インクに限定されず、任意の液体(例えば、インク中の成分を凝集又は析出させる処理液等)であってよい。
【0084】
本発明は、プリンタに限定されず、ファクシミリ、コピー機、複合機等にも適用可能である。また、本発明は、画像の記録以外の用途で使用される液体吐出ヘッド(例えば、基板に導電性の液体を吐出して導電パターンを形成する液体吐出ヘッド)にも適用可能である。
【符号の説明】
【0085】
1,201,301,401 ヘッド
11,211,311,411 流路構造体
11x,211x,311x,411x 上面(一表面)
12X アクチュエータ
20 個別流路
21 ノズル
31 供給流路
31X,231X,331X,431X 供給口
31F,231F,331F,431F フィルタ
32 帰還流路
32X,232X,332X,432X 排出口
33,333A,333B 接続流路
41~46,241~246,341~344,441,442 流路群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8