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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146989
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20241008BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20241008BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B41J2/01 307
B41J2/18
B41J2/14 603
B41J2/14 611
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059733
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 啓太
(72)【発明者】
【氏名】片山 寛
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EA06
2C056EA28
2C056FA04
2C056FA13
2C056HA07
2C056HA15
2C056HA22
2C056HA52
2C056KB16
2C057AF25
2C057AG15
2C057AG68
2C057AR14
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】複数の単位ヘッドを配列した構成において、濃度ムラを抑制する。
【解決手段】ヘッド1は、2つの単位ヘッド1A,1Bを有している。各単位ヘッド1A,1Bは、流路構造体11と、アクチュエータ部材12と、を含む。流路構造体11は、複数のノズル21と、供給流路と、帰還流路と、供給流路と帰還流路とを接続する接続流路と、供給口31Xと、排出口32Xと、を有する。2つの単位ヘッド1A,1Bは、第3方向に隣接する2つの単位ヘッド1A,1Bにおける第1方向のノズル間隔が等間隔となるように、第1方向に沿ってずれて配置されている。第3方向に隣接する2つの単位ヘッド1A,1Bのうち、一方の単位ヘッド1Aの供給口31X及び排出口32Xの組と、他方の単位ヘッド1Bの供給口31X及び排出口32Zの組とが、第1方向において互いに逆に配置されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単位ヘッドを備えた液体吐出ヘッドであって、
前記複数の単位ヘッドは、それぞれ、流路構造体と、前記流路構造体上に配置された複数のアクチュエータと、を含み、
前記流路構造体は、第1方向に沿って配列された複数のノズルと、前記第1方向に延びて前記複数のノズルに連通する供給流路と、前記第1方向に延びて前記複数のノズルに連通し、前記第1方向と交差する第2方向において前記供給流路と並んで配置された帰還流路と、前記供給流路の前記第1方向の一端と前記帰還流路の前記第1方向の一端とを接続する接続流路と、前記供給流路の前記第1方向の他端と連通する供給口と、前記帰還流路の前記第1方向の他端と連通する排出口と、を有し、
前記複数のアクチュエータは、それぞれ、前記流路構造体内の液体に前記複数のノズルの1つから液体を吐出させるエネルギーを付与するものであり、前記ノズルに対応して前記第1方向に沿って配置されており、
前記複数の単位ヘッドは、前記第1方向と直交する第3方向に隣接する2つの前記単位ヘッドにおける前記第1方向のノズル間隔が等間隔となるように、前記第1方向に沿ってずれて配置されており、
前記第3方向に前記隣接する2つの単位ヘッドのうち、一方の前記単位ヘッドの前記供給口及び前記排出口の組と、他方の前記単位ヘッドの前記供給口及び前記排出口の組とが、前記第1方向において互いに逆に配置されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記一方の単位ヘッドの前記供給口及び前記排出口の組が、前記第1方向において、前記他方の単位ヘッド側の端部に配置され、
前記他方の単位ヘッドの前記供給口及び前記排出口の組が、前記第1方向において、前記一方の単位ヘッド側の端部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記隣接する2つの単位ヘッド毎に、前記2つの単位ヘッドを支持する支持フレームをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記隣接する2つの単位ヘッドのそれぞれの前記供給口に接続された第1流路と、前記隣接する2つの単位ヘッドのそれぞれの前記排出口に接続された第2流路とを有する流路部材を、さらに備えていることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記流路部材は、前記第1流路に連通する第1接続ポートと、前記第2流路に連通する第2接続ポートとを有し、
前記第1接続ポートは、前記一方の単位ヘッドの前記第3方向における外側端部と重なる位置に配置され、
前記第2接続ポートは、前記他方の単位ヘッドの前記第3方向における外側端部と重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記複数の単位ヘッドは、それぞれ、前記複数のアクチュエータに接続された配線部材を有し、
前記一方の単位ヘッドの前記配線部材が、前記第3方向において、前記他方の単位ヘッドとは反対側に引き出され、
前記他方の単位ヘッドの前記配線部材が、前記第3方向において、前記一方の単位ヘッドとは反対側に引き出され、
前記隣接する2つの単位ヘッドのそれぞれの前記配線部材と接続された配線基板をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記隣接する2つの単位ヘッドに接続された放熱板をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記隣接する2つの単位ヘッドのそれぞれの前記供給口に接続された第1流路と、前記隣接する2つの単位ヘッドのそれぞれの前記排出口に接続された第2流路とを有する流路部材を、さらに備えており、
前記放熱板は、前記一方の単位ヘッドに接続された第1接続部と、前記他方の単位ヘッドに接続された第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部とを連結する連結部とを有しており、
前記連結部は、前記第1方向及び前記第3方向と直交する第4方向において、前記単位ヘッドから離隔されており、
前記流路部材が、前記連結部と前記単位ヘッドとの間を通るように配置されていることを特徴とする請求項7に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記一方の単位ヘッドの前記供給流路は、前記他方の単位ヘッドの前記供給流路と、前記第3方向に重なる部分を有することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項10】
前記一方の単位ヘッドの前記供給口及び前記排出口に接続された第1部分と、前記他方の単位ヘッドの前記供給口及び前記排出口に接続された第2部分とを有する流路部材を、さらに備えており、
前記第1部分及び前記第2部分は、前記第3方向に延び、
前記第1部分は、前記隣接する2つの単位ヘッドの前記第1方向における中心線に対し、前記一方の単位ヘッドの前記複数のアクチュエータの重心と前記第1方向において反対側に配置され、
前記第2部分は、前記中心線に対し、前記他方の単位ヘッドの前記複数のアクチュエータの重心と前記第1方向において反対側に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれ一方の端部に供給口及び排出口を有する流路構造体を含む複数の単位ヘッドを備えた液体吐出ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、流路構造体と、流路構造体上に配置された圧電アクチュエータと、を備えたインクジェットヘッド(単位ヘッド)について記載されている。流路構造体は、第1方向に沿って配列された複数のノズルと、第1方向に延びて複数のノズルに連通する第1マニホールド(供給流路)と、第1方向に延びて複数のノズルに連通し、第1方向と直交する第2方向に第1マニホールドと並んで配置された第2マニホールド(帰還流路)と、第1マニホールドの第1方向の一端と第2マニホールドの第1方向の一端とを接続する接続流路と、第1マニホールドの第1方向の他端部に連通するインク供給口と、第2マニホールドの第1方向の他端部に連通するインク排出口と、を有する。圧電アクチュエータは、複数の活性部(アクチュエータ)を有する。活性部は、流路構造体内のインクにエネルギーを付与することで、ノズルからインクを吐出させる。インク供給口及びインク排出口は、第1方向において、流路構造体の他端部に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-190431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インクジェットヘッドの分野において、歩留まり向上のために、例えば、上記のインクジェットヘッドを単位ヘッドとして、複数の単位ヘッドを第1方向に沿って千鳥状に配列して組み合わせ、第1方向に関してノズル間隔が等間隔になり、且つ1つの単位ヘッドに形成されたノズル列の長さよりも長いノズル列を有するヘッドを構成することが考えられる。
【0005】
上記の単位ヘッドにおいて、印刷中にインク供給口から第1マニホールドへ供給されたインクは、接続流路に到達するまでに、アクチュエータからの伝熱によって、温度が上昇する。また、第1マニホールドにおいては、印刷中、インク供給口に近いほどインクの流量が多く、接続流路に近いほどインクの流量が少ない。インクの流量が少ないほど、流路構造体及び/又はアクチュエータの冷却効果が小さくなる。アクチュエータからの伝熱による温度上昇、及び、流量が少なく冷却効果が得にくいことにより、流路構造体の第1方向の他端部(インク供給口側の端部)が一端部(接続流路側の端部)よりも温度が低くなる。そのため、第1マニホールド内のインクは、第1方向の一端部が、第1方向の他端部に比べ、温度が高く、ひいては粘度が低くなる。これにより、第1マニホールドに連通する複数のノズルにおいて、インク吐出特性にばらつきが生じる。
【0006】
なお、接続流路から第2マニホールドを通ってインク排出口へと向かうインクも、アクチュエータからの伝熱によって温度が上昇する。しかし、印刷中においては、上述の流量差により、第2マニホールドを通るインク量は第1マニホールドを通るインク量よりも少ない。第2マニホールドを通ってインク排出口へと向かうインクは第1マニホールドを通過した時点である程度温度が上昇している。このため、第2マニホールドを通ってインク排出口へと向かうインクの温度上昇は、第1マニホールドを通ってインク供給口から接続流路へと向かうインクの温度上昇に比べ小さく、冷却効果もほとんどない。したがって、流路構造体全体において、第1方向の他端部が一端部よりも温度が低くなる。
このように、各単位ヘッドにおいて、流路構造体全体において、第1方向の他端部が一端部よりも温度が低くなり、第1方向におけるインクの温度差により、インク吐出特性にばらつきが生じる。
【0007】
上記ヘッドを構成する際に、各単位ヘッドのインク供給口が、第1方向において、同じ側に配置されて構成された場合、第1方向と直交する方向に隣接する2つの単位ヘッドのうち、一方の単位ヘッドの他方の単位ヘッド側の端部(流路構造体のインク供給口とは反対側の端部又はインク供給口側の端部)と、他方の単位ヘッドの一方の単位ヘッド側の端部(流路構造体のインク供給口側の端部又はインク供給口とは反対側の端部)とに、大きな温度差が生じる。このため、2つの単位ヘッドの当該端部のノズルから吐出されたインクによって形成された画像において、温度差に起因したインク量の差による濃度ムラが生じる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、複数の単位ヘッドを配列した構成において、濃度ムラを抑制可能な液体吐出ヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の液体吐出ヘッドは、複数の単位ヘッドを備えた液体吐出ヘッドであって、前記複数の単位ヘッドは、それぞれ、流路構造体と、前記流路構造体上に配置された複数のアクチュエータと、を含み、前記流路構造体は、第1方向に沿って配列された複数のノズルと、前記第1方向に延びて前記複数のノズルに連通する供給流路と、前記第1方向に延びて前記複数のノズルに連通し、前記第1方向と交差する第2方向において前記供給流路と並んで配置された帰還流路と、前記供給流路の前記第1方向の一端と前記帰還流路の前記第1方向の一端とを接続する接続流路と、前記供給流路の前記第1方向の他端と連通する供給口と、前記帰還流路の前記第1方向の他端と連通する排出口と、を有し、前記複数のアクチュエータは、それぞれ、前記流路構造体内の液体に前記複数のノズルの1つから液体を吐出させるエネルギーを付与するものであり、前記ノズルに対応して前記第1方向に沿って配置されており、前記複数の単位ヘッドは、前記第1方向と直交する第3方向に隣接する2つの前記単位ヘッドにおける前記第1方向のノズル間隔が等間隔となるように、前記第1方向に沿ってずれて配置されており、前記第3方向に前記隣接する2つの単位ヘッドのうち、一方の前記単位ヘッドの前記供給口及び前記排出口の組と、他方の前記単位ヘッドの前記供給口及び前記排出口の組とが、前記第1方向において互いに逆に配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の液体吐出ヘッドによると、隣接する2つの単位ヘッドのうち、一方の単位ヘッドの供給口及び排出口の組が流路構造体の第1方向の一方の端部側に配置され、他方の単位ヘッドの供給口及び排出口の組が流路構造体の他方の端部側に配置される。このため、一方の単位ヘッドの他方の単位ヘッド側の端部と、他方の単位ヘッドの一方の単位ヘッド側の端部との、温度差を小さくすることが可能となる。この結果、隣接する2つの単位ヘッド間において、温度差に起因した液体吐出量の差を小さくすることが可能となる。したがって、液体吐出量の差による濃度ムラを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係るヘッドを備えたプリンタの平面図である。
図2図1に示すヘッドのカバーを上方に取り外したときの分解斜視図である。
図3図2に示すヘッドのカバー以外の部分の一部を分解したときの分解斜視図である。
図4図1に示すヘッドに含まれる2つの単位ヘッドの位置関係を示す平面図である。
図5図4に示す単位ヘッドの平面図である。
図6図5のVI-VI線に沿ったヘッドの断面図である。
図7図5のVII-VII線に沿ったヘッドの断面図である。
図8】本発明の第2実施形態に係るヘッドに含まれる3つの単位ヘッドの位置関係を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
先ず、図1を参照し、本発明の第1実施形態に係るヘッド1を備えたプリンタ100の全体構成について説明する。
【0013】
プリンタ100は、4つのヘッド1を含むヘッドユニット1X、プラテン3、搬送機構4及び制御部5を備えている。プラテン3の上面に、用紙9が載置される。
【0014】
搬送機構4は、搬送方向にプラテン3を挟んで配置された2つのローラ対4A,4Bを有する。制御部5の制御により搬送モータ(図示略)が駆動されると、ローラ対4A,4Bが用紙9を挟持した状態で回転し、用紙9が搬送方向に搬送される。
【0015】
ヘッドユニット1Xは、紙幅方向(本発明の「第1方向」:搬送方向及び鉛直方向の双方と直交する方向)に長尺であり、位置が固定された状態でノズル21(図4図5及び図6参照)から用紙9に対してインクを吐出するライン式である。4つのヘッド1(本発明の「液体吐出ヘッド」)は、紙幅方向に配列されている。また、4つのヘッド1は、紙幅方向において、隣接する2つのヘッド1のうち、一方のヘッド1の他方のヘッド1に最も近いノズル21と、他方のヘッドの一方のヘッド1に最も近いノズル21とが、各ヘッド1のノズル21間隔T(図5参照)に等しくなるように、配置されている。
【0016】
制御部5は、ROM、RAM及びASICを有する。ASICは、ROMに格納されたプログラムに従い、記録処理等を実行する。記録処理において、制御部5は、PC等の外部装置から入力された記録指令(画像データを含む。)に基づき、各ヘッド1の単位ヘッド1A,1BのドライバIC1M3,1N3(図3参照)及び搬送モータ(図示略)を制御し、用紙9上に画像を記録する。
【0017】
次いで、図2図7を参照し、ヘッド1の構成について説明する。ヘッド1は、図2及び図3に示すように、2つの単位ヘッド1A,1B、支持フレーム1F、カバー1G、ヒートシンク1H、配線基板1K、及び、流路部材1Lを含む。
【0018】
2つの単位ヘッド1A,1Bはいずれも同じ構成であるため、一方の単位ヘッド1Aについて説明し、他方の単位ヘッド1Bの説明を省略する。単位ヘッド1Aは、図5及び図7に示すように、流路構造体11及びアクチュエータ部材12を有する。
【0019】
流路構造体11は、図6及び図7に示すように、鉛直方向に積層されかつ互いに接着された11枚のプレート11A~11Kで構成されている。各プレート11A~11Kには、流路を構成する貫通孔が形成されている。当該流路は、複数の個別流路20、供給流路31、帰還流路32及び接続流路33を含む。
【0020】
流路構造体11には、図5に示すように、紙幅方向に一列に配列された複数の個別流路20と、これら個別流路20に連通する供給流路31、帰還流路32及び接続流路33とでそれぞれ構成される、6つの流路群41~46が設けられている。
【0021】
各流路群41~46において、供給流路31及び帰還流路32は、図6及び図7に示すように、鉛直方向(本発明の「第2方向」:供給流路31及び帰還流路32の高さ方向であり、第1方向と交差する方向)に並び、鉛直方向に互いに重なっている。
【0022】
6つの流路群41~46は、搬送方向と平行な方向(本発明の「第3方向」:供給流路31及び帰還流路32の幅方向であり、第1方向及び第2方向の双方と直交する方向)に等間隔で並んでいる。
【0023】
供給流路31及び帰還流路32は、それぞれ、第1方向に延びている。供給流路31及び帰還流路32は、長さ(第1方向の長さ)、幅(第3方向の長さ)及び高さ(第2方向の長さ)が互いに略同じである。
【0024】
各流路群41~46において、接続流路33は、図7に示すように、第2方向に延び、供給流路31の第1方向の一端と帰還流路32の第1方向の一端とを接続している。
【0025】
供給流路31及び帰還流路32は、それぞれの第1方向の他端に連通する供給口31X及び排出口32Xを介して、サブタンク(図示略)に連通している。供給口31X及び排出口32Xは、流路構造体11の上面11Xに2つずつ開口している。
【0026】
図5中左側に配置された供給口31X及び排出口32Xは、6つの流路群41~46のうちの3つの流路群41~43にそれぞれ連通する。図5中右側に配置された供給口31X及び排出口32Xは、6つの流路群41~46のうちの3つの流路群44~46にそれぞれ連通する。左及び右側にそれぞれ配置された供給口31X及び排出口32Xは、第1方向において複数の個別流路20に対して互いに同じ側(図5中上端側)にあり、第1方向に並んでいる。第1方向において、複数の個別流路20と排出口32Xとの間に、供給口31Xがある。
【0027】
サブタンクは、インクを貯留するメインタンクに連通し、メインタンクから供給されたインクを貯留する。サブタンク内のインクは、制御部5の制御によりポンプ(図示略)が駆動されることで、チューブ17及び流路部材1Lを介して供給口31Xから供給流路31に流入する。供給流路31に流入したインクは、供給流路31内を第1方向の他端(図7の左端)から一端(図7の右端)に向かって移動しつつ、各個別流路20に供給される(図6参照)。各個別流路20から流出したインクは、帰還流路32に流入する。また、供給流路31の第1方向の一端(図7の右端)に到達したインクは、接続流路33を通って帰還流路32に流入する。帰還流路32に流入したインクは、帰還流路32内を第1方向の一端から他端(図7の左端)に向かって移動し、排出口32X、流路部材1L及びチューブ18を介してサブタンクに戻される。
【0028】
図6及び図7に示すように、供給流路31は、プレート11Eに形成された貫通孔で構成されている。帰還流路32は、プレート11Hに形成された貫通孔で構成されている。第2方向において供給流路31と帰還流路32との間には、ダンパ室30が設けられている。ダンパ室30は、プレート11Fに形成された凹部と、プレート11Gに形成された凹部とで構成されている。プレート11Fにおける凹部の底部は、供給流路31のダンパ膜31Dとして機能する。プレート11Gにおける凹部の底部は、帰還流路32のダンパ膜32Dとして機能する。
【0029】
各個別流路20は、図6に示すように、ノズル21と、圧力室22と、連通流路23と、流入流路24と、流出流路25とを含む。
【0030】
ノズル21は、プレート11Kに形成された貫通孔で構成され、流路構造体11の下面11Yに開口している。単位ヘッド1Aに形成されたすべてのノズル21は、第1方向において隣接する2つのノズル21の間隔がいずれも同じになるように配置されている。
【0031】
圧力室22は、プレート11Aに形成された貫通孔で構成され、流路構造体11の上面11Xに開口している。圧力室22は、第3方向に長尺な略矩形平面形状を有している。圧力室22に対し、第3方向の一端に流入流路24が接続し、第3方向の他端に連通流路23が接続している。
【0032】
連通流路23は、プレート11B~11Jに形成された貫通孔で構成され、第2方向に延びている。連通流路23は、第2方向においてノズル21と圧力室22との間に配置され、ノズル21と圧力室22とを互いに接続している。
【0033】
流入流路24は、プレート11B~11Dに形成された貫通孔で構成されている。流入流路24は、圧力室22に接続する上端と、供給流路31に接続する下端とを有する。流出流路25は、プレート11I~11Kに形成された貫通孔で構成されている。流出流路25は、連通流路23の下端に接続する一端と、帰還流路32に接続する他端とを有する。流入流路24及び流出流路25は、それぞれ、圧力室22の幅(第1方向の長さ)よりも小さい幅を有し、絞りとして機能する。
【0034】
供給流路31から各個別流路20に供給されたインクは、流入流路24を通って圧力室22に流入し、圧力室22内を略水平に移動して、連通流路23に流入する。連通流路23に流入したインクは、下方に移動し、一部がノズル21から吐出され、残りが流出流路25を通って帰還流路32に流入する。
【0035】
このようにサブタンクと流路構造体11との間でインクを循環させることで、流路構造体11に形成された供給流路31及び帰還流路32、さらには個別流路20における、エアの排出やインクの増粘防止が実現される。また、インクが沈降成分(沈降が生じ得る成分。顔料等)を含む場合、当該成分が攪拌されて沈降が防止される。
【0036】
アクチュエータ部材12は、図6に示すように、下から順に、振動板12A、共通電極12B、複数の圧電体12C及び複数の個別電極12Dを含む。振動板12A及び共通電極12Bは、流路構造体11の上面11Xに配置され、プレート11Aに形成された全ての圧力室22を覆っている。一方、圧電体12C及び個別電極12Dは、圧力室22毎に設けられており、圧力室22のそれぞれと第2方向に重なっている。
【0037】
共通電極12B及び複数の個別電極12Dは、図3に示すようにドライバIC1M3,1N3を搭載する配線部材1M,1Nとそれぞれ電気的に接続されている。単位ヘッド1Aは配線部材1Mを有し、単位ヘッド1Bは配線部材1Nを有している。ドライバIC1M3,1N3は、共通電極12Bの電位をグランド電位に維持する一方、個別電極12Dの電位を変化させる。具体的には、ドライバIC1M3,1N3は、制御部5からの制御信号に基づいて駆動信号を生成し、当該駆動信号を個別電極12Dに付与する。これにより、個別電極12Dの電位が所定の駆動電位とグランド電位との間で変化する。このとき、振動板12A及び圧電体12Cにおいて個別電極12Dと圧力室22とで挟まれた部分(アクチュエータ12X)が、圧力室22に向かって凸となるように変形することにより、圧力室22の容積が変化し、圧力室22内のインクに圧力が付与され、ノズル21からインクが吐出される。アクチュエータ部材12は、圧力室22のそれぞれに対応する複数のアクチュエータ12Xを有する。複数のアクチュエータ12Xは、図7に示すように、ノズル21に対応して第1方向に沿って配置されている。
【0038】
配線部材1Mは、図3に示すように、2つの第1配線基板1M1と、第2配線基板1M2とを有している。各第1配線基板1M1は、ドライバIC1M3が実装されたチップオンフィルム(Chip On Film:COF)からなり、一端部が共通電極12B及び複数の個別電極12Dと電気的に接続され、他端部が第2配線基板1M2と接続されている。各第1配線基板1M1は、アクチュエータ部材12の上面から第1方向に沿ってアクチュエータ部材12の外側に一旦引き出され、他端部がアクチュエータ部材12の上方に配置されるように湾曲している。第2配線基板1M2は、フレキシブル配線基板(Flexible printed circuits:FPC)からなり、一端部がアクチュエータ部材12の上方で2つの第1配線基板1M1と電気的に接続されている。第2配線基板1M2は、アクチュエータ部材12の上方から第3方向に沿って単位ヘッド1Bとは反対側に一旦引き出され、他端部がアクチュエータ部材12の上方に配置されるように湾曲している。
【0039】
配線部材1Nは、配線部材1Mと同様の構成を有している。配線部材1Nは、図3に示すように、2つの第1配線基板1N1と、第2配線基板1N2とを有している。各第1配線基板1N1は、ドライバIC1N3が実装されたチップオンフィルム(COF)からなり、一端部が共通電極12B及び複数の個別電極12Dと電気的に接続され、他端部が第2配線基板1N2と接続されている。各第1配線基板1N1は、アクチュエータ部材12の上面から第1方向に沿ってアクチュエータ部材12の外側に一旦引き出され、他端部がアクチュエータ部材12の上方に配置されるように湾曲している。第2配線基板1N2は、フレキシブル配線基板(FPC)からなり、一端部がアクチュエータ部材12の上方で2つの第1配線基板1N1と電気的に接続されている。第2配線基板1N2は、アクチュエータ部材12の上方から第3方向に沿って単位ヘッド1Aとは反対側に一旦引き出され、他端部がアクチュエータ部材12の上方に配置されるように湾曲している。
【0040】
これら配線部材1M,1Nは、図2に示すように、配線基板1Kのコネクタ1K2にそれぞれ接続されている。配線基板1Kは、図2及び図3に示すように、基板1K1と、2つのコネクタ1K2と、1つのコネクタ1K3とを有している。基板1K1には、図示しない複数の配線が形成されており、2つのコネクタ1K2とコネクタ1K3とが電気的に接続されている。2つのコネクタ1K2は、基板1K1の上面であって第3方向の両端部に配置されている。コネクタ1K3は、基板1K1の上面であって2つのコネクタ1K2間に配置されている。このような構成により、2つの配線部材1M,1Nを1つの配線基板1Kに統合することが可能となる。
【0041】
ここで、第3方向に隣接する2つの単位ヘッド1A,1Bの位置関係について説明する。2つの単位ヘッド1A,1Bは、第1方向において、単位ヘッド1Aの単位ヘッド1Bに最も近いノズル21と、単位ヘッド1Bの単位ヘッド1Aに最も近いノズル21とが、各単位ヘッド1A,1Bのノズル21間隔に等しくなるように、第1方向に沿ってずれて配置されている。2つの単位ヘッド1A,1Bは、第3方向に互いにずれて配置されている。また、2つの単位ヘッド1A,1Bは、図4に示すように、単位ヘッド1Aの供給口31X及び排出口32Xの組と、単位ヘッド1Bの供給口31X及び排出口32Xの組とが、第1方向において互いに逆に配置されている。つまり、単位ヘッド1Aの供給口31X及び排出口32Xの組が流路構造体11において図4中上側端部に配置され、単位ヘッド1Bの供給口31X及び排出口32Xの組が流路構造体11において図4中下側に配置されている。また、2つの単位ヘッド1A,1Bは、単位ヘッド1Aの供給流路31が、単位ヘッド1Bの供給流路31と第3方向に重なる部分を有するように、配置されている。
【0042】
支持フレーム1Fは、図3に示すように、枠状フレーム1F1と、2つの底板1F2とを有する。枠状フレーム1F1は、図4に示すように配置された2つの単位ヘッド1A,1Bの外縁を模るようにして形成されている。底板1F2は、流路構造体11の上面11Xよりも若干大きい平面形状を有している。2つの底板1F2のうち、一方の底板1F2は枠状フレーム1F1の第3方向の一方(図3中左側)を下方から塞ぐように配置され、他方の底板1F2は枠状フレーム1F1の第3方向の他方(図3中右側)を下方から塞ぐように配置されている。
【0043】
底板1F2には、図3に示すように、中央に形成された貫通孔1F3と、2つの貫通孔1F4と、2つの貫通孔1F5とが形成されている。2つの貫通孔1F4は、底板1F2の第1方向の端部であってもう一方の底板1F2側の端部に配置されている。2つの貫通孔1F5は、底板1F2の2つの貫通孔1F4よりも第1方向の外側に配置されている。2つの底板1F2の下面には、貫通孔1F3にアクチュエータ部材12が配置され、2つの貫通孔1F4のそれぞれが供給口31Xと連通し、2つの貫通孔1F5のそれぞれが排出口32Xと連通する状態で、単位ヘッド1A,1Bが固定されている。
【0044】
流路部材1Lは、図3及び図4に示すように、第1部分1L1と、第2部分1L2と、連結部1L3とを有する。第1部分1L1は、第3方向に延び、単位ヘッド1Aが固定された底板1F2上に配置される。また、第1部分1L1は、隣接する2つの単位ヘッド1A,1Bの第1方向における中心線(図4中に示す中心線)に対し、単位ヘッド1Aのアクチュエータ部材12(より詳細にはアクチュエータ部材12に属する複数のアクチュエータ12Xの重心)と第1方向において反対側に配置されている。
【0045】
第1部分1L1は、図4に示すように、第3方向に延びる2つの流路1L4,1L5と、第1接続ポート1L6とを有する。流路1L4は、単位ヘッド1Aの2つの供給口31Xと鉛直方向に重なる位置に配置され、貫通孔1F4を介してこれら供給口31Xと連通している。流路1L5は、単位ヘッド1Aの2つの排出口32Xと鉛直方向に重なる位置に配置され、貫通孔1F5を介してこれら排出口32Xと連通している。このように第1部分1L1は、単位ヘッド1Aの供給口31X及び排出口32Xと接続している。第1接続ポート1L6は、図3に示すように、円筒形状を有しており、チューブ17に接続可能に構成されている。また、第1接続ポート1L6は、図4に示すように、単位ヘッド1Aの第3方向の外側端部(隣接する単位ヘッド1Bと第3方向において最も離れた端部)と重なる位置に配置されている。流路1L4は、第1接続ポート1L6と連通している。
【0046】
第2部分1L2は、図3及び図4に示すように、第3方向に延び、単位ヘッド1Bが固定された底板1F2上に配置される。また、第2部分1L2は、隣接する2つの単位ヘッド1A,1Bの第1方向における中心線に対し、単位ヘッド1Bのアクチュエータ部材12(より詳細にはアクチュエータ部材12に属する複数のアクチュエータ12Xの重心)と第1方向において反対側に配置されている。
【0047】
第2部分1L2は、図4に示すように、第3方向に延びる2つの流路1L7,1L8と、第2接続ポート1L9とを有する。流路1L7は、単位ヘッド1Bの2つの供給口31Xと鉛直方向に重なる位置に配置され、貫通孔1F4を介してこれら供給口31Xと連通している。流路1L8は、単位ヘッド1Bの2つの排出口32Xと鉛直方向に重なる位置に配置され、貫通孔1F5を介してこれら排出口32Xと連通している。このように第2部分1L2は、単位ヘッド1Bの供給口31X及び排出口32Xと接続している。第2接続ポート1L9は、図3に示すように、円筒形状を有しており、チューブ18に接続可能に構成されている。また、第2接続ポート1L9は、図4に示すように、単位ヘッド1Bの第3方向の外側端部(隣接する単位ヘッド1Aと第3方向において最も離れた端部)と重なる位置に配置されている。流路1L8は、第2接続ポート1L9と連通している。
【0048】
連結部1L3は、図4に示すように、2つの流路1L10,1L11を有する。2つの流路1L10,1L11は、第1方向に延び、連結部1L3内において互いに連通しないように迂回して形成されている。流路1L10は、第1部分1L1の流路1L4と、第2部分1L2の流路1L7とに連通している。これにより、各単位ヘッド1A,1Bの2つの供給口31Xが、流路1L4,1L7,1L10を介して第1接続ポート1L6と連通する。これにより、チューブ17を介して供給されたインクが各単位ヘッド1A,1Bの2つの供給口31Xに流入する。流路1L4,1L7,1L10は、本発明の「第1流路」に該当する。
【0049】
流路1L11は、第1部分1L1の流路1L5と、第2部分1L2の流路1L8とに連通している。これにより、各単位ヘッド1A,1Bの2つの排出口32Xが、流路1L5,1L8,1L11を介して第2接続ポート1L9と連通する。これにより、各単位ヘッド1A,1Bの2つの排出口32Xから排出されたインクが、流路1L5,1L8,1L11及びチューブ18を介してサブタンクに戻される。流路1L5,1L8,1L11は、本発明の「第2流路」に該当する。
【0050】
ヒートシンク(本発明の「放熱板」)1Hは、例えば、銅やアルミニウムなどの金属からなるが、熱伝導率の高い材質であれば、どのような材質であってもよい。ヒートシンク1Hは、図3に示すように、第1接続部1H1と、第2接続部1H2と、連結部1H3とを有する。第1接続部1H1は、単位ヘッド1A上に配置され、配線部材1Mの2つのドライバIC1M3に接触している。第2接続部1H2は、単位ヘッド1B上に配置され、配線部材1Nの2つのドライバIC1N3に接触している。これにより、各単位ヘッド1A,1BのドライバIC1M3,1N3の熱を放熱することができる。
【0051】
連結部1H3は、図3に示すように、第1方向に延び、第1接続部1H1と第2接続部1H2とを一体的に連結する。連結部1H3は、鉛直方向において、第1接続部1H1及び第2接続部1H2の上半部分に連結するように配置されている。これにより、ヒートシンク1Hを、2つの単位ヘッド1A,1B上に配置した状態において、連結部1H3が各単位ヘッド1A,1Bと鉛直方向(本発明の「第4方向」)に離隔される。この連結部1H3と各単位ヘッド1A,1Bとの間には、図2に示すように、流路部材1Lの連結部1L3が配置される。これにより、ヘッド1の小型化を図ることが可能となる。
【0052】
カバー1Gは、図2に示すように、支持フレーム1Fに支持された2つの単位ヘッド1A,1Bを覆うことが可能な蓋形状を有している。カバー1Gは、2つの単位ヘッド1A,1Bを覆った状態で支持フレーム1F上に載置される。また、カバー1Gの天板1G1には、チューブ17,18を通すための貫通孔1G2,1G3が形成されている。
【0053】
以上に述べたように、本実施形態のヘッド1によると、隣接する2つの単位ヘッド1A,1Bのうち、単位ヘッド1Aの供給口31X及び排出口32Xの組が流路構造体11の第1方向の一方の端部側(単位ヘッド1B側)に配置され、単位ヘッド1Bの供給口31X及び排出口32Xの組が流路構造体11の他方の端部側(単位ヘッド1A側)に配置される。このため、単位ヘッド1Aの単位ヘッド1B側の端部と、単位ヘッド1Bの単位ヘッド1A側の端部との、温度差を小さくすることが可能となる。この結果、隣接する2つの単位ヘッド1A,1B間において、温度差に起因したインク吐出量の差を小さくすることが可能となる。したがって、インク吐出量の差による濃度ムラを抑制できる。
【0054】
単位ヘッド1Aの供給口31X及び排出口32Xの組が、第1方向において、単位ヘッド1B側の端部に配置され、単位ヘッド1Bの供給口31X及び排出口32Xの組が、第1方向において、単位ヘッド1A側の端部に配置されている。これにより、隣接する2つの単位ヘッド1A,1Bの供給口31X及び排出口32Xの組が第1方向において互いに近い位置に配置される。このため、これら単位ヘッド1A,1Bの供給口31X及び排出口32Xへ流路部材1Lを着脱する際の作業が容易になる。また、各単位ヘッド1A,1Bの供給口31X及び排出口32Xの組が、第1方向において、互いに外側に配置されている場合よりも、流路部材1Lの小型化することが可能となる。したがって、流路部材1L内の流路長自体も短くすることが可能となり、圧力損失も小さくすることが可能となる。
【0055】
ヘッド1が、2つの単位ヘッド1A,1Bを支持する支持フレーム1Fを有する。これにより、支持フレーム1Fごと、隣接する2つの単位ヘッド1A,1Bを交換することが可能となる。このため、隣接する2つの単位ヘッド1A,1Bを個別に交換する構成よりも、隣接する2つの単位ヘッド1A,1B間における位置ズレなどが生じるのを防ぐことができる。
【0056】
流路部材1Lが、各単位ヘッド1A,1Bの2つの供給口31Xと接続された流路1L4,1L7,1L10と、各単位ヘッド1A,1Bの2つの排出口32Xと接続された流路1L5,1L8,1L11とを有する。これにより、隣接する2つの単位ヘッド1A,1Bのそれぞれの供給口31X及び排出口32Xを流路1L4,1L7,1L10及び流路1L5,1L8,1L11により、それぞれ1つの接続ポート1L6,1L9に統合することが可能となる。このため、隣接する2つの単位ヘッド1A,1Bを交換する際の作業性が向上する。
【0057】
流路部材1Lの第1接続ポート1L6が単位ヘッド1Aの第3方向における外側端部と重なる位置に配置され、第2接続ポート1L9が単位ヘッド1Bの第3方向における外側端部と重なる位置に配置されている。これにより、2つの接続ポート1L6,1L9を介してチューブ17,18などの配管部材を流路部材1Lに接続しやすくなる。このため、隣接する2つの単位ヘッド1A,1Bを交換する際の作業性がより向上する。
【0058】
流路部材1Lの第1部分1L1及び第2部分1L2は、中心線に対し、互いに接続された単位ヘッド1A,1Bのアクチュエータ部材12と第1方向において反対側に配置されている。これにより、ヒートシンク1Hの第1接続部1H1及び第2接続部1H2や基板1K1の各単位ヘッド1A,1Bのアクチュエータ部材12上の部分を避けて、各接続ポート1L6,1L9に接続されたチューブ17,18を上方に立ち上げて引き回すことが可能となる。
【0059】
単位ヘッド1Aの配線部材1Mが、第3方向において、単位ヘッド1Bとは反対側に引き出され、単位ヘッド1Bの配線部材1Nが、第3方向において、単位ヘッド1Aとは反対側に引き出され、配線基板1Kにそれぞれの配線部材1M,1Nが接続されている。これにより、隣接する2つの単位ヘッド1A,1Bのそれぞれの配線部材1M,1Nを、1つの配線基板1Kにより統合することが可能となる。このため、隣接する2つの単位ヘッド1A,1Bを交換する際の作業性が向上する。
【0060】
ヒートシンク1Hが、隣接する2つの単位ヘッド1A,1Bに接続されている。これにより、隣接する2つの単位ヘッド1A,1B間の温度差がより小さくなる。
【0061】
2つの単位ヘッド1A,1Bは、単位ヘッド1Aの供給流路31が、単位ヘッド1Bの供給流路31と第3方向に重なる部分を有するように、配置されている。これにより、隣接する2つの単位ヘッド1A,1B間の温度差を効果的に小さくすることが可能となる。
【0062】
<第2実施形態>
続いて、図8を参照し、本発明の第2実施形態に係るヘッド201について説明する。第1実施形態と同様な構成については同符号で示し、説明を省略する。本実施形態におけるヘッド201は、3つの単位ヘッド1A~1Cを有している。具体的には、ヘッド201は、上述の2つの単位ヘッド1A,1Bに加えて単位ヘッド1Cを有している。なお、単位ヘッド1Cは、上述の単位ヘッド1A,1Bと同様の構成を有している。
【0063】
2つの単位ヘッド1A,1Bは、上述の第1実施形態と同様な位置関係である。単位ヘッド1B及び当該単位ヘッド1Bと第3方向に隣接する単位ヘッド1Cは、第1方向において、単位ヘッド1Bの単位ヘッド1Cに最も近いノズル21と、単位ヘッド1Cの単位ヘッド1Bに最も近いノズル21とが、各単位ヘッド1B,1Cのノズル21間隔Tに等しくなるように、第1方向に沿ってずれて配置されている。単位ヘッド1Cは、第3方向において、単位ヘッド1Bに対して単位ヘッド1Aとは反対側にずれて配置されている。また、2つの単位ヘッド1B,1Cは、図8に示すように、単位ヘッド1Bの供給口31X及び排出口32Xの組と、単位ヘッド1Cの供給口31X及び排出口32Xの組とが、第1方向において互いに逆に配置されている。つまり、単位ヘッド1Bの供給口31X及び排出口32Xの組が流路構造体11において図8中下側端部に配置され、単位ヘッド1Cの供給口31X及び排出口32Xの組が流路構造体11において図8中上側に配置されている。また、2つの単位ヘッド1B,1Cは、単位ヘッド1Bの供給流路31が、単位ヘッド1Cの供給流路31と第3方向に重なる部分を有するように、配置されている。
【0064】
以上に述べたように、本実施形態のヘッド201においても、隣接する2つの単位ヘッド1B,1Cのうち、単位ヘッド1Bの供給口31X及び排出口32Xの組が流路構造体11の第1方向の一方の端部側(単位ヘッド1Cとは反対側)に配置され、単位ヘッド1Cの供給口31X及び排出口32Xの組が流路構造体11の他方の端部側(単位ヘッド1Bとは反対側)に配置される。このため、単位ヘッド1Bの単位ヘッド1C側の端部と、単位ヘッド1Cの単位ヘッド1B側の端部との、温度差を小さくすることが可能となる。この結果、上述した隣接する2つの単位ヘッド1A,1B間のみならず、2つの単位ヘッド1B,1C間において、温度差に起因したインク吐出量の差を小さくすることが可能となる。したがって、インク吐出量の差による濃度ムラを抑制できる。
【0065】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。
【0066】
上述の第2実施形態では、3つの単位ヘッド1A~1Cを有していたが、2つの単位ヘッド1B,1Cだけを有していてもよい。また、ヘッドは、4以上の単位ヘッドを有していてもよい。
【0067】
また、上述の第2実施形態では、3つの単位ヘッド1A~1Cが第3方向の一方に向かって順にずれて配置されているが、単位ヘッド1Aと単位ヘッド1Cとが、第3方向において同じ位置に配置され、第1方向に沿って並んで配置されていてもよい。こうすれば、第3方向において、ヘッドを小型化することが可能となる。また、単位ヘッド1Aと単位ヘッド1Cとが、第1方向において同じ位置に配置され、第3方向に沿って並んで配置されもよい。こうすれば、第1方向において、ヘッドを小型化することが可能となる。
【0068】
供給流路及び帰還流路は、各流路の幅方向に並んでもいてもよい。即ち、第2方向は鉛直方向に限定されない。
【0069】
上述の実施形態では、複数の流路群が設けられているが、1つの流路群(複数の個別流路と、これら個別流路に連通する供給流路、帰還流路及び接続流路)が設けられてもよい。
【0070】
液体吐出ヘッドは、ライン式に限定されず、シリアル式(紙幅方向と平行な走査方向に移動しつつノズルから吐出対象に対して液体を吐出する方式)であってもよい。
【0071】
吐出対象は、用紙に限定されず、例えば布、基板等であってもよい。
【0072】
ノズルから吐出される液体は、インクに限定されず、任意の液体(例えば、インク中の成分を凝集又は析出させる処理液等)であってよい。
【0073】
本発明は、プリンタに限定されず、ファクシミリ、コピー機、複合機等にも適用可能である。また、本発明は、画像の記録以外の用途で使用される液体吐出ヘッド(例えば、基板に導電性の液体を吐出して導電パターンを形成する液体吐出ヘッド)にも適用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1,201 ヘッド(液体吐出ヘッド)
1A~1C 単位ヘッド
1F 支持フレーム
1K 配線基板
1H ヒートシンク(放熱板)
1H1 第1接続部
1H2 第2接続部
1H3 連結部
1L 流路部材
1L6 第1接続ポート
1L9 第2接続ポート
1M,1N 配線部材
11 流路構造体
12X アクチュエータ
20 個別流路
21 ノズル
31 供給流路
31X 供給口
32 帰還流路
32X 排出口
33 接続流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8