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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146995
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20241008BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G03G21/16 147
G03G21/16 185
G03G15/20 535
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059742
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】大須賀 未都
(72)【発明者】
【氏名】石塚 大輔
(72)【発明者】
【氏名】入山 翔太
【テーマコード(参考)】
2H033
2H171
【Fターム(参考)】
2H033AA36
2H033BA11
2H033BB01
2H033BB28
2H033BB33
2H033BB34
2H033BB37
2H033CA39
2H171FA03
2H171FA04
2H171FA19
2H171GA12
2H171JA12
2H171JA14
2H171KA05
2H171KA25
2H171LA03
2H171LA08
2H171QC36
(57)【要約】
【課題】定着器を着脱する場合に定着器を駆動させるギヤと駆動力を伝達するギヤが干渉するのを抑制すること。
【解決手段】画像形成装置は、第1駆動ギヤR1と、定着器80とを備える。第1駆動ギヤR1は、第1軸1Xを中心に回転可能である。定着器80は、第1入力ギヤR2と、定着フレーム83と、第1シャフト130とを有する。第1入力ギヤR2は、第2軸2Xを中心に回転可能である。第1入力ギヤR2は、装着位置で第1駆動ギヤR1と噛み合う。定着器80は、装着方向に移動して本体筐体内に進入する第1工程と、第1工程の後、第1シャフト130を中心に回動することで装着位置まで回動し、第1入力ギヤR2が第1駆動ギヤR1と噛み合う位置まで回動する第2工程と、を経て本体筐体10に装着される。定着器80が装着位置に装着された場合、軸方向から見て、第1シャフト130は、第1軸1Xと第2軸2Xとを通る直線L1上に位置する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体筐体と、
前記本体筐体に支持され、軸方向に延びる第1軸を中心に回転可能な第1駆動ギヤと、
前記本体筐体の装着位置に装着可能な定着器であり、シートに形成された現像剤像を熱定着する定着器であって、ヒータを有する加熱部材と、前記加熱部材との間でシートをニップする加圧部材と、前記軸方向に延びる第2軸を中心に回転可能な第1入力ギヤであって、前記定着器が前記装着位置に位置する場合に前記第1駆動ギヤと噛み合い、前記加熱部材および前記加圧部材の少なくとも一方を回転させるための第1入力ギヤと、前記加熱部材および前記加圧部材を支持する定着フレームと、前記軸方向に延びる第1シャフトと、を有する定着器と、を備え、
前記定着器は、前記定着器が装着される装着方向に移動して前記本体筐体内に進入する第1工程と、前記第1工程の後、シャフトを中心に回動することで前記装着位置まで回動する第2工程であって、前記第1入力ギヤが前記第1駆動ギヤと噛み合う位置まで回動する第2工程と、を経て前記本体筐体に装着され、
前記定着器が前記装着位置に装着された場合、前記軸方向から見て、前記第1シャフトは、前記第1軸と前記第2軸とを通る直線上に位置することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記本体筐体に支持され、前記軸方向に延びる第3軸を中心に回転可能な第2駆動ギヤをさらに備え、
前記定着器は、
前記加熱部材と前記加圧部材の少なくとも一方を動かして、シートをニップするニップ圧を変更する回転カムと、
前記軸方向に延びる第4軸を中心に回転可能な第2入力ギヤであって、前記第2駆動ギヤと噛み合い、前記回転カムを回転させるための第2入力ギヤと、を有し、
前記定着器が前記装着位置に装着された場合、前記軸方向から見て、前記第1シャフトは、前記第3軸と前記第4軸とを通る直線上に位置することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記定着器が前記装着位置に装着された場合、前記第1シャフトから前記前記第1駆動ギヤと第1入力ギヤとの噛み合い位置までの距離は、前記第1シャフトから前記第2駆動ギヤと前記第2入力ギヤとの噛み合い位置までの距離よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1シャフトは、前記第2軸および前記第4軸よりも下に位置することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記装着方向と直交する方向において、前記第2軸は、前記第1軸と、前記第1シャフトと、の間に位置し、
前記装着方向と直交する方向において、前記第4軸は、前記第3軸と、前記第1シャフトと、の間に位置することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1シャフトから前記第2軸までの距離は、前記第1シャフトから前記第1軸までの距離より小さいことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1シャフトから前記第4軸までの距離は、前記第1シャフトから前記第3軸までの距離より小さいことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記定着器は、前記装着位置に位置決めする第2シャフトであって、前記軸方向に延びる第2シャフトを有し、
前記定着器を前記装着位置に装着する装着方向において、前記第2シャフトは、前記シャフトの下流側に位置することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記本体筐体は、前記定着器が前記装着位置に位置した場合に、前記第2シャフトが入り込む位置決め溝であって、下方に凹んだ位置決め溝を有することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記定着器が前記装着位置に装着された場合、前記第1入力ギヤは、前記第2入力ギヤよりも前記定着器を前記本体筐体に装着する装着方向の下流側に位置することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項11】
モータと、
前記モータの駆動力を前記第1駆動ギヤに伝達する接続状態と、前記モータの駆動力を前記第1駆動ギヤに伝達しない切断状態と、に切り替え可能な伝達機構と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
画像形成する場合、前記伝達機構を前記接続状態とし、
画像形成しない場合、前記伝達機構を前記切断状態とすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、定着器が着脱可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、定着器が着脱可能な画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。この画像形成装置では、第1位置にある定着装置を位置決めピンを支点として回動させると、係止用突起とロック部材との係合が解除され離脱可能な第2位置に配置される。
【0003】
定着器を駆動させる定着入力ギヤは、定着器を引き出すとモータの駆動力を伝達するギヤから離脱し、定着器を挿入すると定着入力ギヤがモータの駆動力を伝達するギヤに噛み合う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-034009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、定着器を着脱する場合に定着器を回動する動作を伴う場合、定着器を駆動させるギヤと、駆動力を伝達するギヤが干渉する場合があった。
【0006】
そこで、本開示は、定着器を着脱する場合に定着器を駆動させるギヤと駆動力を伝達するギヤが干渉するのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を達成するため、本願の画像形成装置は、本体筐体と、第1駆動ギヤと、定着器と、を備える。
第1駆動ギヤは、本体筐体に支持され、軸方向に延びる第1軸を中心に回転可能である。定着器は、本体筐体の装着位置に装着可能である。定着器は、シートに形成された現像剤像を熱定着する。定着器は、加熱部材と、加圧部材と、第1入力ギヤと、定着フレームと、第1シャフトと、を有する。加熱部材は、ヒータを有する。加圧部材は、加熱部材との間でシートをニップする。第1入力ギヤは、軸方向に延びる第2軸を中心に回転可能である。第1入力ギヤは、定着器が装着位置に位置する場合に第1駆動ギヤと噛み合い、加熱部材および加圧部材の少なくとも一方を回転させる。定着フレームは、加熱部材および加圧部材を支持する。第1シャフトは、軸方向に延びる。
定着器は、定着器が装着される装着方向に移動して本体筐体内に進入する第1工程と、第1工程の後、シャフトを中心に回動することで前記装着位置まで回動する第2工程であって、第1入力ギヤが第1駆動ギヤと噛み合う位置まで回動する第2工程と、を経て本体筐体に装着される。
定着器が装着位置に装着された場合、軸方向から見て、第1シャフトは、第1軸と第2軸とを通る直線上に位置する。
【0008】
第1シャフトは、第1軸と第2軸とが通る直線上に位置するので、定着器が回動して装着位置に位置した場合に第1入力ギヤが第1駆動ギヤに最も近づく。このため、定着器着脱時に第1入力ギヤと第1駆動ギヤとが干渉するのを抑制できる。
【0009】
また、本体筐体に支持され、軸方向に延びる第3軸を中心に回転可能な第2駆動ギヤをさらに備えてもよい。そして、定着器は、加熱部材と加圧部材の少なくとも一方を動かして、シートをニップするニップ圧を変更する回転カムと、軸方向に延びる第4軸を中心に回転可能な第2入力ギヤであって、第2駆動ギヤと噛み合い、回転カムを回転させるための第2入力ギヤと、を有してもよい。そして、定着器が装着位置に装着された場合、軸方向から見て、第1シャフトは、第3軸と第4軸とを通る直線上に位置する構成としてもよい。
【0010】
第1シャフトは、第3軸と第4軸とが通る直線上に位置するので、定着器が回動して装着位置に位置した場合に第2入力ギヤが第2駆動ギヤに最も近づく。このため、定着器着脱時に第2入力ギヤと第2駆動ギヤとが干渉するのを抑制できる。
【0011】
また、定着器が装着位置に装着された場合、第1シャフトから第1駆動ギヤと第1入力ギヤとの噛み合い位置までの距離は、第1シャフトから第2駆動ギヤと第2入力ギヤとの噛み合い位置までの距離よりも小さい構成としてもよい。
【0012】
駆動負荷の大きい第1駆動ギヤの方が駆動負荷の小さい第2駆動ギヤよりも第1シャフトに近いため、定着器の着脱に伴う回転操作時にモーメントによる操作荷重を低減することができる。
【0013】
また、第1シャフトは、第2軸および第4軸よりも下に位置する構成としてもよい。
【0014】
また、装着方向と直交する方向において、第2軸は第1軸と第1シャフトとの間に位置し、装着方向と直交する方向において、第4軸は第3軸と第1シャフトとの間に位置する構成としてもよい。
【0015】
また、第1シャフトから第2軸までの距離は、第1シャフトから第1軸までの距離より小さくてもよい。
【0016】
また、第1シャフトから第4軸までの距離は、第1シャフトから第3軸までの距離より小さくてもよい。
【0017】
また、定着器は、装着位置に位置決めし、軸方向に延びる第2シャフトを有し、定着器を装着位置に装着する装着方向において、第2シャフトは、シャフトの下流側に位置してもよい。
【0018】
また、本体筐体は、定着器が装着位置に位置した場合に、第2シャフトが入り込み、下方に凹んだ位置決め溝を有してもよい。
【0019】
また、定着器が装着位置に装着された場合、第1入力ギヤは、第2入力ギヤよりも定着器を本体筐体に装着する装着方向の下流側に位置する
【0020】
また、画像形成装置は、モータと、モータの駆動力を第1駆動ギヤに伝達する接続状態と、モータの駆動力を第1駆動ギヤに伝達しない切断状態と、に切り替え可能な伝達機構と制御部とを備えていてもよい。そして、制御部は、画像形成する場合、伝達機構を接続状態とし、画像形成しない場合、伝達機構を切断状態とする構成としてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、定着器を着脱する場合に定着器を駆動させるギヤと駆動力を伝達するギヤが干渉するのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係る画像形成装置の断面図である。
図2】リヤカバーを開けた状態の画像形成装置を示す斜視図である。
図3図2の状態から定着器を引き出した状態の斜視図である。
図4】定着器を本体筐体に装着する前を示す図(a)と、定着器を本体筐体に装着する過程であり、第2シャフトがガイド面と接触した状態を示す図(b)である。
図5】定着器を本体筐体に装着する過程であり、第2シャフトが傾斜面と接触した状態を示す図(a)と、第2シャフトが先端面から外れた状態を示す図(b)である。
図6】レバーが第1位置に位置し、定着器が装着位置に位置した状態を示す図(a)と、レバーが第2位置に位置し、定着器が装着位置に位置した状態を示す図(b)である。
図7】ニップ圧変更機構を示す図であり、カムが第1位置に位置するときの状態を示す図である。
図8】ニップ圧変更機構を示す図であり、カムが第3位置に位置するときの状態を示す図である。
図9】ニップ圧変更機構を示す図であり、カムが第2位置に位置するときの状態を示す図である。
図10】モータ、伝達機構、第1駆動ギヤおよび第2駆動ギヤの接続を示すブロック図である。
図11】定着器が装着位置に位置した場合の第1入力ギヤおよび第2入力ギヤを示す図である。
図12】定着器が装着位置に位置する少し前における第1入力ギヤおよび第2入力ギヤを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、画像形成装置1は、本体筐体10と、シート供給部20と、プロセス部30と、ユニットの一例としての定着器80と、シート排出部9とを備える。
【0024】
本体筐体10は、フロントカバー11と、排出トレイ12と、リヤカバー13とを有する。本体筐体10は、開口10Aと、開口10Bと、を有する。フロントカバー11は、本体筐体10の前側の開口10Aを開閉する。リヤカバー13は、本体筐体10の後側の開口10Bを開閉する。
【0025】
シート供給部20は、シートトレイ21と、供給機構22とを備える。シートトレイ21は、紙などのシートSを収容する。供給機構22は、シートトレイ21内のシートSをプロセス部30に供給する。
【0026】
プロセス部30は、シートSに現像剤像を形成する。プロセス部30は、露光装置SCと、プロセスユニットPUと、転写ユニット70とを備える。
【0027】
露光装置SCは、プロセスユニットPUの上に位置する。露光装置SCは、光ビームを出射して感光ドラム51の表面を露光する。
【0028】
プロセスユニットPUは、シートトレイ21と露光装置SCの間に位置する。プロセスユニットPUは、フロントカバー11を開くことで開放される本体筐体10の開口10Aを通して、本体筐体10に着脱可能である。プロセスユニットPUは、ドラムカートリッジ50と、複数のトナーカートリッジ60とを備える。
【0029】
ドラムカートリッジ50は、複数の感光ドラム51と、複数の感光ドラム51に対応する複数の帯電器52と、ドラムフレーム53とを備える。
【0030】
ドラムフレーム53は、感光ドラム51および帯電器52を支持する。ドラムフレーム53は、本体筐体10に移動可能に支持される。ドラムフレーム53には、トナーカートリッジ60が着脱可能である。
【0031】
複数のトナーカートリッジ60は、互いに異なる色のトナーを収容する。トナーカートリッジ60は、現像ローラ61と、供給ローラ62と、層厚規制ブレード63と、トナーを収容するトナー収容部64と、アジテータ65とを備える。
【0032】
アジテータ65は、トナー収容部64内のトナーを攪拌する。アジテータ65は、トナーを供給ローラ62に供給する。供給ローラ62は、トナーを現像ローラ61に供給する。層厚規制ブレード63は、現像ローラ61上のトナーを一定の厚さに規定する。
【0033】
転写ユニット70は、シートトレイ21とプロセスユニットPUの間に位置する。転写ユニット70は、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、搬送ベルト73と、複数の転写ローラ74とを備える。搬送ベルト73は、シートSを搬送するための無端状のベルトである。駆動ローラ71および従動ローラ72は、搬送ベルト73を回転させる。転写ローラ74は、搬送ベルト73の内側に位置する。転写ローラ74は、感光ドラム51との間で搬送ベルト73を挟む。
【0034】
定着器80は、加熱部材の一例としての加熱ローラ81と、加圧部材の一例としての加圧ローラ82と、定着フレーム83と、を備える。加熱ローラ81は、ヒータ81Aを有する。加熱ローラ81は、後述するモータMT1の駆動力を受けて回転する。
【0035】
加圧ローラ82は、加熱ローラ81との間でニップ部NPを形成する。加圧ローラ82は、加熱ローラ81との間でシートSをニップする。加圧ローラ82は、加熱ローラ81に従動して回転する。定着フレーム83は、加熱ローラ81および加熱部材を支持する。
【0036】
帯電器52は、感光ドラム51の表面を帯電する。露光装置SCは、感光ドラム51の表面を露光する。これにより、感光ドラム51上には、静電潜像が形成される。現像ローラ61は、感光ドラム51にトナーを供給する。これにより、感光ドラム51上には、トナー像が形成される。
【0037】
シート供給部20は、シートSを感光ドラム51と転写ローラ74の間に搬送する。感光ドラム51上のトナー像は、シートSに転写される。トナー像が転写されたシートSは、加熱ローラ81と加圧ローラ82の間に搬送される。これにより、定着器80は、シートSに形成された現像剤像を熱定着する。
【0038】
シート排出部9は、搬送ローラ9Aと、排出ローラ9Bとを有する。搬送ローラ9Aは、シートSを排出ローラ9Bに搬送する。排出ローラ9Bは、シートSを排出トレイ12上に排出する。
【0039】
図2図3に示すように、定着器80は、本体筐体10に着脱可能である。詳しくは、定着器80は、リヤカバー13を開くことで開放される本体筐体10の開口10Bを通して、本体筐体10に着脱可能である。つまり、本体筐体10は、定着器80を着脱可能に支持する。定着器80は、本体筐体10の装着位置に装着可能である。
【0040】
第1方向は、定着器80が本体筐体10の外側から本体筐体10の内側に向かう装着方向に沿った方向である。本実施形態では、第1方向は、画像形成装置1の前後方向に沿った方向であり、第1方向の一方側は画像形成装置1の後側を向く方向である。以下の説明では、定着器80の装着方向の上流側を第1方向の一方側といい、下流側を第1方向の他方側という。図面における各方向を示す矢印は、各方向における一方側を指すこととする。
また、第2方向は、第1方向に直交する方向である。本実施形態では、第2方向は、画像形成装置1の上下方向に沿った方向である。以下の説明では、下方向を第2方向の一方側といい、上方向を第2方向の他方側という。
また、軸方向は、第1方向および第2方向に直交する方向である。本実施形態において、軸方向の一方側は、画像形成装置1の右側に相当し、軸方向の他方側は、画像形成装置1の左側に相当する。
【0041】
定着器80は、図2に示す装着位置から第1方向の一方側に外される。以下の説明では、定着器80が外される方向を離脱方向ともいう。そして、定着器80は、図3に示すように、第1方向の一方側から他方側に向けて装着される。以下の説明では、定着器80が装着される方向を装着方向ともいう。
【0042】
図3に示すように、定着器80は、第2シャフト120と、第1シャフト130と、固定ハンドル140と、レバー150と、バネSPと、を有する。なお、図3では、第2シャフト120と、第1シャフト130およびバネSPは、軸方向の他方側のみ示している。第2シャフト120および第1シャフト130は、定着フレーム83から軸方向に延びている。
【0043】
第2シャフト120は、外面に円筒面を有する軸である。第2シャフト120は、定着フレーム83の軸方向における一方側の面と、他方側の面とに位置する。2つの第2シャフト120は、軸方向の一方側と、他方側とに向けてそれぞれ突出する。第2シャフト120は、定着フレーム83の第2方向の一方側の端部に位置する。第2シャフト120は、定着フレーム83の第1方向の他方側の端に位置する。別の言い方をすれば、第2シャフト120は、装着方向の下流端に位置する。
【0044】
第2シャフト120は、第1凹部G3に入り込んで、定着器80を装着位置に位置決めする。具体的には、第2シャフト120は、定着器80が装着位置に位置する場合に、後述する第1凹部G3(図4(a)参照)に入り込むことで、定着器80を装着位置に位置決めする。定着器80は、第2シャフト120が第1凹部G3に入り込むことで、本体筐体10に対して第2方向および第1方向に位置決めされる。
【0045】
第1シャフト130は、外面に円筒面を有する軸である。第1シャフト130は、定着フレーム83の軸方向における一方側の面と、他方側の面とに位置する。2つの第1シャフト130は、軸方向の一方側と、他方側とに向けてそれぞれ突出する。第1シャフト130は、定着フレーム83の第2方向の一方側の端に位置する。第1シャフト130は、第2シャフト120より装着方向の上流側に位置する。また、第1シャフト130は、第2シャフト120より第2方向の一方側に位置する。第1シャフト130は、装着方向において、定着フレーム83の中央よりも上流側に位置する。これにより、装着方向において、第1シャフト130より下流側の方が、第1シャフト130より上流側よりも重量が大きい。なお、以下の説明では、第1シャフト130の中心を通り軸方向に延びる軸を第5軸5Xという。
【0046】
固定ハンドル140は、定着器80を着脱するときに、ユーザが把持するハンドルである。固定ハンドル140は、定着フレーム83の軸方向における一方側の端と、他方側の端とに1つずつ設けられている。2つの固定ハンドル140は、第1方向の一方側の端に位置する。別の言い方をすれば、固定ハンドル140は、装着方向の上流端に位置する。図4(a)に示すように、固定ハンドル140は、グリップ141と、第1突起143と、を有する。
【0047】
グリップ141は、定着器80を外すときに、ユーザが把持可能な部分である。グリップ141は、リヤカバー13を開いた状態で本体筐体10の外表面に露出する(図2参照)。第1突起143は、下方に突出する突起である。第1突起143は、バネSPの一端を保持する。
【0048】
レバー150は、L字状に形成されている。レバー150は、固定ハンドル140にネジNによって取り付けられている。レバー150は、レバー軸150Xを中心に、図6(b)に示す第1位置と、図6(a)に示す第2位置との間で回動可能である。なお、本実施形態では、レバー軸150Xの軸方向は、シートSの幅方向である。バネSPは、固定ハンドル140とレバー150の間に配置された圧縮バネである。バネSPは、レバー150を第2位置から第1位置に向けて常に付勢している。
【0049】
レバー150は、本体部151と、把持部152と、第2突起154と、係合部156と、を有する。
【0050】
本体部151は、第1方向に沿って延びている。把持部152は、第2方向に沿って延びている。すなわち、把持部152は、本体部151と異なる方向に延び、本体部151と共にL字を形成している。把持部152は、定着器80を本体筐体10から外す場合に把持可能である。ユーザがグリップ141と把持部152の両方を把持して、把持部152をグリップ141に近づけると、レバー150が図6(b)に示す第1位置から、図6(a)に示す第2位置に移動する。すなわち、把持部152は、レバー150が第1位置に位置する場合よりも、レバー150が第2位置に位置する場合の方がグリップ141の近くに位置する。
【0051】
図4(a)に示すように、第2突起154は、上方に突出する突起である。第2突起154は、バネSPの一端を保持する。
【0052】
係合部156は、本体部151の第1方向における他端側の端部から第2方向の一方側に延びる突起である。すなわち、係合部156は、レバー150の回動方向に突出する突起である。本実施形態では、係合部156は、先端が離脱方向に向けて折れ曲がるフック形状を有している。
【0053】
ここで、本体筐体10は、係合穴16を有する。係合穴16は、本体筐体10の内壁面に位置する。係合穴16は、定着器80が本体筐体10に装着され、かつ、レバー150が第1位置に位置する場合、係合部156が入り込む穴である。係合穴16は、係合部156が入り込んだ場合に、定着器80が本体筐体10から外れるのを規制する。
【0054】
図6(b)に示すように、係合部156は、レバー150が第1位置に位置する場合、係合穴16に入り込む。係合部156が係合穴16に入り込むと、係合部156は、本体筐体10と係合可能である。
【0055】
係合部156は、レバー150が、第1位置に位置する場合に、本体筐体10と係合して、定着器80が本体筐体10から外れるのを規制する。詳しくは、係合部156は、定着器80が装着位置に位置する場合に、離脱方向にスライド移動するのを規制する。
【0056】
図6(a)に示すように、係合部156は、レバー150が、第2位置に位置する場合に、本体筐体10と係合せず、定着器80が本体筐体10から外れるのを規制しない。
【0057】
図4(a)に示すように、本体筐体10は、第1ガイド面G1を有する第1ガイドW1と、第2ガイドの一例としての突起G2と、位置決め溝の一例としての第1凹部G3と、第3ガイドの一例としての第2凹部G4と、を有する。
【0058】
第1ガイドW1は、第1方向に延びるレールである。第1ガイド面G1は、第1ガイドW1の上側の面である。第1ガイド面G1は、定着器80の第2シャフト120を案内する面である。第1ガイド面G1は、第2方向に直交する。第1ガイド面G1は、定着器80が着脱される過程において、第2シャフト120に下から接触する。
【0059】
突起G2は、第1ガイド面G1から上に突出する。突起G2は、第2ガイド面G21と、先端面G22と、基準面G23とを有する。
【0060】
第2ガイド面G21は、第1ガイド面G1から第1方向に対して傾斜して延びる。第2ガイド面G21は、突起G2の第1方向の一方側の端部に位置する。つまり、第2ガイド面G21は、定着器80の装着方向において、突起G2の装着方向の上流側の端部に位置する。詳しくは、第2ガイド面G21は、装着方向の下流側に向かうにつれて上に位置するように斜め上方を向くように傾斜している。言い換えると、第2ガイド面G21は、装着方向の下流側に向かうにつれて、第1ガイド面G1から離れるように傾斜している。
【0061】
先端面G22は、第2ガイド面G21の装着方向の下流端から装着方向の下流側に向けて延びている。基準面G23は、先端面G22の装着方向の下流端から下に向けて延びている。基準面G23は、第1方向と直交する。基準面G23は、装着方向において、突起G2の下流側に位置する。基準面G23は、定着器80が本体筐体10に装着された状態において、第2シャフト120と接触する。
【0062】
第1凹部G3は、突起G2の先端面G22から第2方向の一方側に凹んだ溝である。定着器80が本体筐体10に装着された状態において、第2シャフト120は第1凹部G3内に入り込む。第1凹部G3は、前述した基準面G23と、第2基準面G31と、ストッパ面G32とを有する。
【0063】
第2基準面G31は、基準面G23と交差している。詳しくは、第2基準面G31は、基準面G23と直交している。第2基準面G31は、基準面G23の下端から装着方向の下流側に向けて延びる。第2基準面G31は、第2方向に直交する。第2基準面G31は、定着器80が本体筐体10に装着された状態において、第2シャフト120と接触する。
【0064】
ストッパ面G32は、第2基準面G31の装着方向の下流端から上に向けて延びる。ストッパ面G32は、定着器80の装着の際に第2シャフト120と接触することで、第2シャフト120が装着方向の下流側に移動するのを抑制する。
【0065】
第2凹部G4は、第1方向に延びている。第2凹部G4は、定着器80が本体筐体10に装着された状態において、第1シャフト130が入る凹部である。第2凹部G4は、装着方向の上流側に開口している。第2凹部G4は、規制面G41と、底面G42と、第2規制面G43とを有する。
【0066】
規制面G41は、第2シャフト120を中心に第1シャフト130が回転するのを止めるための面である。規制面G41は、第2方向に直交する。規制面G41は、定着器80が本体筐体10に装着された状態において、第1シャフト130に下から接触する。規制面G41は、第2規制面G43よりも装着方向の上流側に延びる。
【0067】
底面G42は、規制面G41の装着方向の下流端から上に延びる。第2規制面G43は、底面G42の上端から装着方向の上流側に延びる。第2規制面G43は、第1シャフト130と接触することで、第1シャフト130が上に移動するのを抑制する。
【0068】
ここで、図7~9に示すように、定着器80は、ニップ圧変更機構NMをさらに備えている。
【0069】
ニップ圧変更機構NMは、加熱ユニット2と加圧ローラ82の間のニップ圧を変更する機構である。ニップ圧変更機構NMは、加熱ユニット2と加圧ローラ82の少なくとも一方を、移動させることで、ニップ部NPにおけるニップ圧を変更可能である。本実施形態では、ニップ圧変更機構NMは、加熱ユニット2に対して、加圧ローラ82を移動させることで、ニップ圧を変更する。図7に示すように、ニップ圧変更機構NMは、アーム84と、バネ85と、回転カム86と、を有する。
【0070】
アーム84は、アーム軸84Xを中心に回転可能である。本体筐体10に対する定着器80の装着方向において、アーム軸84Xは、ニップ部NPの下流側に位置する。
【0071】
アーム84は、定着フレーム83に回転可能に支持される。アーム84は、一端部84Aと、他端部84Bと、第1部位84Cと、第2部位84Dとを有する。
【0072】
一端部84Aは、定着フレーム83に回転可能に支持される。
他端部84Bは、カムフォロア84Eを有する。カムフォロア84Eは、回転カム86と接触可能である。
【0073】
第1部位84Cと第2部位84Dは、一端部84Aと他端部84Bの間に位置する。
第1部位84Cは、加圧ローラ82のシャフト82Aを支持する。
【0074】
第2部位84Dは、バネ85が接続される部位である。一端部84Aから第1部位84Cまでの距離は、一端部84Aから第2部位84Dまでの距離よりも小さい。
【0075】
バネ85の一端は、第2部位84Dに引っ掛かり、他端は、定着フレーム83に引っ掛かっている。バネ85は、アーム84を介して、加圧ローラ82を加熱ローラ81に圧接させる。
【0076】
回転カム86は、定着フレーム83に回転可能に支持され、第4軸4Xを中心に回転可能である。回転カム86は、回転することで、加熱ユニット2と加圧ローラ82の少なくとも一方を動かして、シートSをニップするニップ圧を変更する。回転カム86は、図7に示す第1位置と、図8に示す第3位置と、図9に示す第2位置との間で回転可能である。回転カム86は、第1位置と、第3位置と、第2位置とに切替可能である。
【0077】
第1位置は、ニップ圧が第1ニップ圧となる位置である。第2位置は、ニップ圧が第1ニップ圧より小さい第2ニップ圧となる位置である。第3位置は、第1位置と第2位置の間の位置である。
【0078】
図8に示すように、回転カム86が第3位置に位置するとき、ニップ圧は、第3ニップ圧となる。第3ニップ圧は、第1ニップ圧より小さく、かつ、第2ニップ圧より大きい。
【0079】
回転カム86は、図7に示す第1位置から、時計回りに回転することで、図8に示す第3位置を経て、図9に示す第2位置まで回転可能となっている。また、回転カム86は、図7の第2位置から、反時計回りに回転することで、第3位置を経て第1位置まで回転可能となっている。
【0080】
図9に示すように、画像形成装置1は、制御部CUと、モータMT1,MT2と、伝達機構CR1,CR2と、第1駆動ギヤR1と、第2駆動ギヤR3と、をさらに備える。
【0081】
制御部CUは、CPU、RAM、ROM、入出力回路などを備えており、ROMなどに記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって制御を実行する。
【0082】
モータMT1は、第1駆動ギヤR1を駆動させるモータである。モータMT2は、第2駆動ギヤR3を駆動させるモータである。本実施形態では、第1駆動ギヤR1を駆動させるモータMT1と、第2駆動ギヤR3を駆動させるモータMT2が別々のモータであるが、1つのモータで第1駆動ギヤR1と第2駆動ギヤR3の両方を駆動させる構成であってもよい。
【0083】
伝達機構CR1は、モータMT1と第1駆動ギヤR1の間に配置されたクラッチである。伝達機構CR1は、モータMT1の駆動力を第1駆動ギヤR1に伝達する接続状態と、モータMT1の駆動力を第1駆動ギヤR1に伝達しない切断状態と、に切り替え可能である。伝達機構CR2は、モータMT2と第2駆動ギヤR3の間に配置された電磁クラッチである。伝達機構CR2は、モータMT2の駆動力を第2駆動ギヤR3に伝達する接続状態と、モータMT2の駆動力を第2駆動ギヤR3に伝達しない切断状態と、に切り替え可能である。
【0084】
制御部CUは、画像形成する場合、伝達機構CR1を接続状態とし、画像形成しない場合、伝達機構CR1を切断状態とする。制御部CUは、ニップ圧を変更する場合、伝達機構CR2を接続状態とし、画像形成しない場合、伝達機構CR2を切断状態とする。
【0085】
図10に示すように、第1駆動ギヤR1は、本体筐体10に支持され、軸方向に延びる第1軸1Xを中心に回転可能である。
【0086】
第2駆動ギヤR3は、本体筐体10に支持され、軸方向に延びる第3軸3Xを中心に回転可能である。
【0087】
定着器80は、第1入力ギヤR2と、第2入力ギヤR4と、を有する。
【0088】
第1入力ギヤR2は、軸方向に延びる第2軸2Xを中心に回転可能である。第1入力ギヤR2は、定着器80が装着位置に位置する場合に第1駆動ギヤR1と噛み合い、加熱ローラ81を回転させる。図10においては、第1駆動ギヤR1が反時計回りに回転すると、第1入力ギヤR2が時計回りに回転し、加熱ローラ81が時計回りに回転するようになっている。
【0089】
第2方向において、第2軸2Xは、第1軸1Xと、第1シャフト130と、の間に位置する。また、第1シャフト130から第2軸2Xまでの距離D2は、第1シャフト130から第1軸1Xまでの距離D1より小さい。すなわち、定着器80が装着位置に位置する場合に、第1入力ギヤR2は、第1駆動ギヤR1より第2方向において第1シャフト130側に位置する。
【0090】
第2入力ギヤR4は、軸方向に延びる第4軸4Xを中心に回転可能である。第2入力ギヤR4は、第2駆動ギヤR3と噛み合い、回転カム86を回転させる。図10において、回転カム86を時計回りに回転させたい場合には第2駆動ギヤR3を反時計回りに回転させればよく、回転カム86を反時計回りに回転させたい場合には第2駆動ギヤR3を時計回りに回転させればよい。
【0091】
第2方向において、第4軸4Xは、第3軸3Xと、第1シャフト130と、の間に位置する。また、第1シャフト130から第4軸4Xまでの距離D4は、第1シャフト130から第3軸3Xまでの距離D3より小さい。すなわち、定着器80が装着位置に位置する場合に、第2入力ギヤR4は、第2駆動ギヤR3より第2方向において第1シャフト130側に位置する。
【0092】
定着器80が装着位置に装着された場合、第1入力ギヤR2は、第2入力ギヤR4よりも定着器80を本体筐体10に装着する装着方向の下流側に位置する。
【0093】
定着器80が装着位置に装着された場合、軸方向から見て、第1シャフト130は、第1軸1Xと第2軸2Xとを通る直線L1上に位置する。また、定着器80が装着位置に装着された場合、軸方向から見て、第1シャフト130は、第3軸3Xと第4軸4Xとを通る直線L2上に位置する。第1シャフト130は、第2軸2Xおよび第4軸4Xよりも下に位置する。
【0094】
定着器80が装着位置に装着された場合、第1シャフト130から第1駆動ギヤR1と第1入力ギヤR2との噛み合い位置までの距離D5は、第1シャフト130から第2駆動ギヤR3と第2入力ギヤR4との噛み合い位置までの距離D6よりも小さい。なお、第1駆動ギヤR1の方が第2駆動ギヤR3よりも駆動負荷が大きい。
【0095】
次に、定着器80を着脱する動作について説明する。まず、定着器80を本体筐体10に取り付ける動作について説明する。
【0096】
本実施形態では、定着器80は、第1工程と、第2工程とを経て本体筐体10に装着される。
【0097】
第1工程は、定着器80が装着方向に移動して本体筐体10内に進入する工程である。具体的に、第1工程は、図4(a)に示す状態から図4(b)および図5(a)の状態を経て、図5(b)の状態に至るまでの工程である。第2工程は、図5(b)に示す状態から図6(a)の状態に至るまでの工程である。
【0098】
図4(a)の状態から、定着器80を装着方向に移動させていくと、図4(b)に示すように、第2シャフト120が第1ガイド面G1と接触するので、定着器80は、第1ガイド面G1に沿って、装着方向に向けてスライド移動して本体筐体10内に案内される。
【0099】
図4(b)の状態から、定着器80がさらに装着方向に移動されると、図5(a)に示すように、第1シャフト130が第2凹部G4に入り込み、規制面G41と接触する。これにより、定着器80は、規制面G41に接触した後、規制面G41で装着位置に向けて案内される。すなわち、定着器80は、第2シャフト120が第1ガイド面G1と接触すると共に、第1シャフト130が規制面G41に接触して装着位置に向けて案内される。このとき、第1ガイド面G1および規制面G41は、平行であるため、定着器80は、回動することなく、第2シャフト120が第2ガイド面G21に接触するまで、第1方向に真っすぐスライド移動する。
【0100】
次に、図5(a)に示すように、第2シャフト120が第2ガイド面G21に接触した状態で、定着器80を装着方向にさらに移動させていくと、第1シャフト130は第2凹部G4内で保持されたまま、第2シャフト120が上方に持ち上げられていくので、第2シャフト120が第2ガイド面G21に案内されるにつれて、定着器80が図5(b)における反時計回りに回動しながら装着方向に移動する。別の言い方をすれば、図5(a)の状態から、定着器80は、装着方向に進むにつれて、図5(b)に示すように、装着方向の下流側の面が斜め上方を向いた姿勢となるように本体筐体10に進入していく。
【0101】
このように、定着器80は、第2シャフト120が第2ガイド面G21上をスライドして斜め上方に移動するので、第1シャフト130を中心に定着器80の全体が回動する。
【0102】
第2工程は、第1工程の後、第2シャフト120を中心に回動することで装着位置まで回動する工程である。第2工程では、第1入力ギヤR2が第1駆動ギヤR1と噛み合う位置まで回動する。本実施形態では、第1入力ギヤR2が第1駆動ギヤR1と噛み合う位置は、第1入力ギヤR2が第1駆動ギヤR1に最も近づく位置である。
【0103】
具体的に、第1工程において、図5(a)の状態から、第2シャフト120は、第2ガイド面G21で案内された後、先端面G22で第1方向に沿った方向に案内される。定着器80は、第5軸5Xより装着方向の下流側が上流側より重いので、第2シャフト120が先端面G22から外れると、図5(b)の状態から図6(a)に示すように、第2シャフト120が、重力によって、第1凹部G3内に入り込む。このとき、第1シャフト130が依然として第2凹部G4内で保持されているので、定着器80は、第5軸5Xを中心に時計回りに回動することで装着位置まで移動する。このとき、第1入力ギヤR2は、図11に示す位置から、図10に示す第1駆動ギヤR1と噛み合う位置まで、第1シャフト130を中心に回動する。また、第2入力ギヤR4は、図11に示す位置から、図10に示す第2駆動ギヤR3と噛み合う位置まで、第1シャフト130を中心に回動する。
【0104】
定着器80が装着位置に位置した状態で、ユーザがレバー150から手を離すと、バネSPの付勢力により、レバー150が図6(a)に示す第2位置から図6(b)に示す第1位置に移動する。図6(b)に示すように、レバー150が第1位置に移動すると、係合部156が係合穴16に入り込み、ユーザがレバー150を把持しない限り、定着器80が本体筐体10から外れないようになる。
【0105】
次に、定着器80を本体筐体10から取り外す過程を説明する。
【0106】
本実施形態では、定着器80は、第3工程と、第4工程とを経て本体筐体10から取り外される。第3工程は、第2工程と対応する工程である。第4工程は、第1工程と対応する工程である。
【0107】
図6(b)に示すように、定着器80が定着位置に位置するとき、レバー150の係合部156が係合穴16と係合している。図6(a)に示すように、ユーザがレバー150を把持して、レバー150を反時計回りに回動させると、レバー150が第1位置から第2位置に移動して、係合穴16に入り込んでいた係合部156が係合穴15の外に出る。これにより、定着器80が本体筐体10から外れるようになる。
【0108】
第3工程は、定着器80が装着位置に位置した状態から第1シャフト130を中心に回動して、第2シャフト120が第1凹部G3から離脱する工程である。第3工程では、第1入力ギヤR2が第1駆動ギヤR1と噛み合う位置(図10参照)から移動する。すなわち、第3工程では、第1入力ギヤR2が第1駆動ギヤR1と最も近づく位置(図11の鎖線参照)から、第1シャフト130を中心に回動する(図11の実線参照)。また、第2入力ギヤR4が第2駆動ギヤR3と最も近づく位置(図11の鎖線参照)から、第1シャフト130を中心に回動する(図11の実線参照)。
【0109】
第3工程において、ユーザは、図6(a)の状態からグリップ141と把持部152を把持したまま下に引っ張る。すると、図5(b)に示すように、第5軸5Xを中心として定着器80が反時計回りに回動する。このとき、定着器80は、レバー軸150Xが下に下がり、第2シャフト120が上に上がる方向に回動する。この回動により、第2シャフト120が第1凹部G3から外に出るので、第2シャフト120が基準面G23に規制されず、定着器80が離脱方向に移動可能となる。
【0110】
第4工程は、第3工程の後、定着器80が離脱方向にスライド移動して、第2シャフト120が第2ガイド面G21および第1ガイド面G1に案内されて移動する工程である。詳しくは、ユーザは、図5(b)の状態からグリップ141と把持部152を把持したまま離脱方向に引っ張る。すると、図5(a)に示すように、定着器80が離脱方向に移動し、第2シャフト120が第2ガイド面G21と接触する。第2シャフト120が第2ガイド面G21に案内されるにつれて、定着器80が時計回りに回動する。その後、グリップ141を離脱方向にさらに引っ張ると、図4(b)に示すように、定着器80が離脱方向にさらに移動し、第2シャフト120が第1ガイド面G1と接触する。このとき、第1シャフト130は、第2凹部G4内で保持されているため、定着器80は、第2シャフト120が第1ガイド面G1と接触すると共に、第1シャフト130が規制面G41に接触して本体筐体10の外に向けて案内される。第1ガイド面G1および規制面G41は、平行であるため、定着器80は、回動することなく、軸方向に真っすぐスライド移動する。
【0111】
以上によれば、本実施形態において次のような効果を得ることができる。
従来、定着器を画像形成装置の本体筐体から着脱する場合に、定着器を回動する動作を伴う場合、定着器を駆動させるギヤと、駆動力を伝達するギヤが干渉する場合があった。
しかし、画像形成装置1によれば、定着器80を着脱する場合における回動中心となる第1シャフト130が第1軸1Xと第2軸2Xとが通る直線L1上に位置するため、定着装置を装着する場合において、定着器80が回動して装着位置に位置した場合に第1入力ギヤR2が第1駆動ギヤR1に最も近づく。このため、定着器80の着脱時に第1入力ギヤR2と第1駆動ギヤR1とが干渉することを抑制することができる。
【0112】
また、第1シャフト130は、第3軸3Xと第4軸4Xとが通る直線L2上に位置するので、定着器80が回動して装着位置に位置した場合に第2入力ギヤR4が第2駆動ギヤR3に最も近づく。このため、定着器80の着脱時に第2入力ギヤR4と第2駆動ギヤR3とが干渉するのを抑制できる。
【0113】
また、駆動負荷の大きい第1駆動ギヤR1の方が駆動負荷の小さい第2駆動ギヤR3よりも第1シャフト130に近いため、定着器80の着脱に伴う回転操作時に第1駆動ギヤR1からの負荷による操作荷重を低減することができる。
【0114】
以上に実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように適宜変形して実施することができる。なお、以下の説明では、先に説明した形態と同様の構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0115】
上述した実施形態では、加熱部材の一例として加熱ローラを例示したが、加熱部材は加熱ローラに限られず、例えば、ヒータによって内周面が加熱される無端ベルトであってもよい。また、ヒータを回転体の外部に配置し、回転体の外周面を加熱する外部加熱方式や、IH(Induction Heating)方式でもよい。また、無端ベルトの内部にヒータを配置し、無端ベルトの外周面に接触する回転体を間接的に加熱してもよい。また、回転体と無端ベルトがそれぞれヒータを内蔵していてもよい。
【0116】
上述した実施形態では、加圧部材の一例として加圧ローラを例示したが、加圧部材は加熱ローラに限られず、例えば、内側に押圧部材が配置された無端ベルトであってもよい。
【0117】
上述した実施形態では、第1入力ギヤR2は、定着器80が装着位置に位置する場合に第1駆動ギヤR1と噛み合い、加熱ローラ81を回転させていたが、加圧ローラ82を回転させる構成であってもよい。この場合、加熱ローラ81は、加圧ローラ82に従動して回転する。
【0118】
上述した実施形態では、伝達機構CR1,CR2の一例として電磁クラッチを例示したが、伝達機構は、モータの駆動力の伝達・遮断を切り替え可能であればよく、例えば、振り子ギヤを含むギヤ列であってもよい。
【0119】
上述した実施形態では、第1方向は画像形成装置1の前後方向に沿った方向としたが、第1方向は画像形成装置1の前後方向と異なる方向であってもよい。また、第2方向は画像形成装置1の上下方向に沿った方向としたが、第2方向は画像形成装置1の上下方向と異なる方向であってもよい。
【0120】
また、画像形成装置は、カラープリンタに限られず、モノクロプリンタ、複合機、コピー機などのいずれであってもよい。また、前記実施形態では、電子写真方式の画像形成装置を例示したが、これに限定されず、例えば、インクジェット方式の画像形成装置などであってもよい。
【0121】
また、上述した実施形態および変形例で説明した各要素は、適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0122】
1 画像形成装置
1X 第1軸
2X 第2軸
10 本体筐体
80 定着器
83 定着フレーム
120 第2シャフト
130 第1シャフト
L1 直線
R1 第1駆動ギヤ
R2 第1入力ギヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12