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特開2024-14700係合金具、開閉体の組み立て方法及び開閉体の補修又は解体方法
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  • 特開-係合金具、開閉体の組み立て方法及び開閉体の補修又は解体方法 図1
  • 特開-係合金具、開閉体の組み立て方法及び開閉体の補修又は解体方法 図2
  • 特開-係合金具、開閉体の組み立て方法及び開閉体の補修又は解体方法 図3
  • 特開-係合金具、開閉体の組み立て方法及び開閉体の補修又は解体方法 図4
  • 特開-係合金具、開閉体の組み立て方法及び開閉体の補修又は解体方法 図5
  • 特開-係合金具、開閉体の組み立て方法及び開閉体の補修又は解体方法 図6
  • 特開-係合金具、開閉体の組み立て方法及び開閉体の補修又は解体方法 図7
  • 特開-係合金具、開閉体の組み立て方法及び開閉体の補修又は解体方法 図8
  • 特開-係合金具、開閉体の組み立て方法及び開閉体の補修又は解体方法 図9
  • 特開-係合金具、開閉体の組み立て方法及び開閉体の補修又は解体方法 図10
  • 特開-係合金具、開閉体の組み立て方法及び開閉体の補修又は解体方法 図11
  • 特開-係合金具、開閉体の組み立て方法及び開閉体の補修又は解体方法 図12
  • 特開-係合金具、開閉体の組み立て方法及び開閉体の補修又は解体方法 図13
  • 特開-係合金具、開閉体の組み立て方法及び開閉体の補修又は解体方法 図14
  • 特開-係合金具、開閉体の組み立て方法及び開閉体の補修又は解体方法 図15
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014700
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】係合金具、開閉体の組み立て方法及び開閉体の補修又は解体方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 1/28 20060101AFI20240125BHJP
   E06B 9/02 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B66C1/28 H
E06B9/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058009
(22)【出願日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2022115458
(32)【優先日】2022-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(74)【代理人】
【識別番号】100150865
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 司
(72)【発明者】
【氏名】野口 茂
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004AD06
3F004AE03
3F004EA40
(57)【要約】
【課題】複数のパネル体が接続されることによって構成される開閉体の組み立ての容易化を可能にする開閉体の組み立て方法に用いる係合金具の提供。
【解決手段】パネル体を吊り上げるための吊上部材と係合させるための係合金具であって、パネル体に設けられている締結部材1014を受け入れるスリットであって、外周に開口するスリットSを備えた引掛け部材11R、11Lと、吊上部材と係合する係合部121を有し、引掛け部材11R、11Lに取り付けられる若しくは一体的に形成された係合部材12と、を備える、係合金具1。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル体を吊り上げるための吊上部材若しくは押し上げるための押上部材と係合させるための係合金具であって、
前記パネル体に設けられている締結部材を受け入れるスリットであって、外周に開口するスリットを備えた引掛け部材と、
前記吊上部材若しくは前記押上部材と係合する係合部を有し、前記引掛け部材に取り付けられる若しくは一体的に形成された係合部材と、
を備える、係合金具。
【請求項2】
前記引掛け部材が2つあり、前記係合部材が前記2つの引掛け部材の双方に接続された状態で、前記係合部が前記2つの引掛け部材の中央に配置されるように構成されている、請求項1に記載の係合金具。
【請求項3】
前記引掛け部材が2つあり、前記係合部材が、前記2つの引掛け部材の間の距離を規定するように構成されている、請求項1に記載の係合金具。
【請求項4】
前記係合部材が、複数の異なる間隔で、前記2つの引掛け部材の間の距離を規定可能なように構成されている、請求項3に記載の係合金具。
【請求項5】
前記係合部材と前記引掛け部材の取付構造において、前記係合部材と前記引掛け部材を係合させたまま両者の相対位置を変更可能であることにより、前記2つの引掛け部材の間の距離を規定可能なように構成されている、請求項4に記載の係合金具。
【請求項6】
前記取付構造が、長穴と、前記長穴に挿通され、前記長穴内で移動可能な挿通部材と、によって構成されており、
前記長穴に、前記挿通部材を留め置く保持部が複数形成されていることにより、前記複数の異なる間隔で、前記2つの引掛け部材の間の距離を規定可能なように構成されている、請求項5に記載の係合金具。
【請求項7】
前記長穴が、前記複数の保持部の間において、上方向に変位する形状を有している、請求項6に記載の係合金具。
【請求項8】
前記引掛け部材が2つあり、前記2つの引掛け部材の間隔が変動可能に構成されている、請求項1に記載の係合金具。
【請求項9】
前記係合部材が、前記2つの引掛け部材の間の距離を狭めるように作用するように構成されている、請求項8に記載の係合金具。
【請求項10】
前記係合部が、前記パネル体の厚さ方向における前記パネル体の重心位置の鉛直方向の延長線上に配されるように構成されている、請求項1に記載の係合金具。
【請求項11】
前記スリットに、鉛直方向に前記締結部材を受け入れる締結部材受入部が形成されている、請求項1に記載の係合金具。
【請求項12】
請求項1から11の何れかに記載の係合金具を使用した、複数のパネル体が接続されることによって構成される開閉体の組み立て方法であって、
1つ又は接続された複数のパネル体に対して、前記係合金具を取り付けるステップと、
前記係合金具に前記吊上部材若しくは押上部材を係合させ、前記1つ又は接続された複数のパネル体を吊り上げ若しくは押し上げて、その下部側に、1つ又は接続された複数のパネル体を配置させるスペースを形成するステップと、
前記スペースに、別の1つ又は接続された複数のパネル体を配し、前記1つ又は接続された複数のパネル体と、前記別の1つ又は接続された複数のパネル体を接続するステップと、を備える、開閉体の組み立て方法。
【請求項13】
前記係合金具を取り付けるステップにおいて、
前記締結部材を緩めることで、前記締結部材によって前記パネル体に取り付けられている被締結部材と前記パネル体との間に隙間を形成するステップと、
前記隙間から、前記引掛け部材を差し込むようにして、前記締結部材を前記スリットへと挿入させるステップと、を備える、請求項12に記載の開閉体の組み立て方法。
【請求項14】
請求項1から11の何れかに記載の係合金具を使用した、複数のパネル体が接続されることによって構成された開閉体の補修又は解体方法であって、
前記複数のパネル体の何れかに対して、前記係合金具を取り付けるステップと、
前記係合金具に前記吊上部材若しくは押上部材を係合させ、前記開閉体を吊り上げ若しくは押し上げるステップと、
前記吊り上げ若しくは押し上げられた状態の開閉体を構成する前記複数のパネル体の一つ若しくは複数を取り外すステップと、を備える、開閉体の補修又は解体方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のパネル体が接続されることによって構成される開閉体の組み立てに用いられる係合金具、並びに、開閉体の組み立て方法及び開閉体の補修又は解体方法に関する。
【背景技術】
【0002】
開口部を開閉するための開閉装置の一形態として、シャッターに代表されるように、開閉体が上下方向にスライドすることで開口部を開閉させるものがある。
このような開閉体が上下方向にスライドするものの一形態として、オーバーヘッドドアやオーバースライディングドアと呼称される開閉装置(以下、「オーバーヘッドドア」という)があり、特許文献1と2にはこのような開閉装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-109184号公報
【特許文献2】特開2014-109185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オーバーヘッドドアにおける開閉体は、複数のパネル体が相互に回動可能に接続された構成を有している。このような開閉体の組み立ては、先ず最下部のパネル体を設置し、その上に順次パネル体を積み上げながら各パネル体を連結していく、積み上げ連結方式が用いられている。図15に1~5の順番を示したように、開閉体の上下方向の移動をガイドするガイドレール102に対する組み付けを行いつつ、設置した下部のパネル体の上に、次のパネル体を積み上げ、これらをヒンジ(10121,10122)で接続する作業を順次繰り返すことにより、開閉体を組み立てるものである。
しかしながら、積み上げ連結方式では、図15からも理解されるように、作業が進むにつれて高所作業を要するものとなり、作業の危険性が高まると共に作業効率もあまりよくないといった問題があるものであった。また、損傷した開閉体を補修する場合等の作業においても同様の問題が生じ得るものであった。この問題は、開口部が大きく(即ち開閉体が大きく)なる程、顕在化するものであった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、複数のパネル体が接続されることによって構成される開閉体の組み立てや補修等の容易化を可能にする開閉体の組み立て方法及び開閉体の補修又は解体方法並びにこれに用いる係合金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(構成1)
パネル体を吊り上げるための吊上部材若しくは押し上げるための押上部材と係合させるための係合金具であって、前記パネル体に設けられている締結部材を受け入れるスリットであって、外周に開口するスリットを備えた引掛け部材と、前記吊上部材若しくは前記押上部材と係合する係合部を有し、前記引掛け部材に取り付けられる若しくは一体的に形成された係合部材と、を備える、係合金具。
【0007】
(構成2)
前記引掛け部材が2つあり、前記係合部材が前記2つの引掛け部材の双方に接続された状態で、前記係合部が前記2つの引掛け部材の中央に配置されるように構成されている、構成1に記載の係合金具。
【0008】
(構成3)
前記引掛け部材が2つあり、前記係合部材が、前記2つの引掛け部材の間の距離を規定するように構成されている、構成1又は2に記載の係合金具。
【0009】
(構成4)
前記係合部材が、複数の異なる間隔で、前記2つの引掛け部材の間の距離を規定可能なように構成されている、構成3に記載の係合金具。
【0010】
(構成5)
前記係合部材と前記引掛け部材の取付構造において、前記係合部材と前記引掛け部材を係合させたまま両者の相対位置を変更可能であることにより、前記2つの引掛け部材の間の距離を規定可能なように構成されている、構成4に記載の係合金具。
【0011】
(構成6)
前記取付構造が、長穴と、前記長穴に挿通され、前記長穴内で移動可能な挿通部材と、によって構成されており、前記長穴に、前記挿通部材を留め置く保持部が複数形成されていることにより、前記複数の異なる間隔で、前記2つの引掛け部材の間の距離を規定可能なように構成されている、構成5に記載の係合金具。
【0012】
(構成7)
前記長穴が、前記複数の保持部の間において、上方向に変位する形状を有している、構成6に記載の係合金具。
【0013】
(構成8)
前記引掛け部材が2つあり、前記2つの引掛け部材の間隔が変動可能に構成されている、構成1に記載の係合金具。
【0014】
(構成9)
前記係合部材が、前記2つの引掛け部材の間の距離を狭めるように作用するように構成されている、構成8に記載の係合金具。
【0015】
(構成10)
前記係合部が、前記パネル体の厚さ方向における前記パネル体の重心位置の鉛直方向の延長線上に配されるように構成されている、構成1から9の何れかに記載の係合金具。
【0016】
(構成11)
前記スリットに、鉛直方向に前記締結部材を受け入れる締結部材受入部が形成されている、構成1から10の何れかに記載の係合金具。
【0017】
(構成12)
構成1から11の何れかに記載の係合金具を使用した、複数のパネル体が接続されることによって構成される開閉体の組み立て方法であって、1つ又は接続された複数のパネル体に対して、前記係合金具を取り付けるステップと、前記係合金具に前記吊上部材若しくは押上部材を係合させ、前記1つ又は接続された複数のパネル体を吊り上げ若しくは押し上げて、その下部側に、1つ又は接続された複数のパネル体を配置させるスペースを形成するステップと、前記スペースに、別の1つ又は接続された複数のパネル体を配し、前記1つ又は接続された複数のパネル体と、前記別の1つ又は接続された複数のパネル体を接続するステップと、を備える、開閉体の組み立て方法。
【0018】
(構成13)
前記係合金具を取り付けるステップにおいて、前記締結部材を緩めることで、前記締結部材によって前記パネル体に取り付けられている被締結部材と前記パネル体との間に隙間を形成するステップと、前記隙間から、前記引掛け部材を差し込むようにして、前記締結部材を前記スリットへと挿入させるステップと、を備える、構成12に記載の開閉体の組み立て方法。
【0019】
(構成14)
構成1から11の何れかに記載の係合金具を使用した、複数のパネル体が接続されることによって構成された開閉体の補修又は解体方法であって、前記複数のパネル体の何れかに対して、前記係合金具を取り付けるステップと、前記係合金具に前記吊上部材若しくは押上部材を係合させ、前記開閉体を吊り上げ若しくは押し上げるステップと、前記吊り上げ若しくは押し上げられた状態の開閉体を構成する前記複数のパネル体の一つ若しくは複数を取り外すステップと、を備える、開閉体の補修又は解体方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明の開閉体の組み立て方法及び開閉体の補修又は解体方法並びにこれに用いる係合金具によれば、複数のパネル体が接続されることによって構成される開閉体の組み立て若しくは補修の容易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】開閉装置(オーバーヘッドドア)の概略を示す斜視図
図2】実施形態1の係合金具を示す図
図3】係合金具を構成する引掛け部材を示す図
図4】係合金具を構成する係合部材を示す図
図5】開閉装置の上部パネル体の側部を拡大して示す斜視図
図6】係合金具の取り付け方法を説明する説明図
図7】係合金具の別の取り付け状態を示す図
図8】実施形態1の開閉体の組み立て方法の説明図
図9】実施形態2の係合金具を示す図
図10】実施形態3の係合金具を示す図
図11】実施形態4の係合金具を示す図
図12】実施形態5の係合金具を示す図
図13】実施形態6の係合金具を示す図
図14】実施形態7の係合金具を示す図
図15】従来の開閉体の組み立て方法の説明図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。
【0023】
<実施形態1>
図1は、本発明に係る実施形態の開閉体の組み立て方法が適用される(及びそのための係合金具が使用される)開閉装置を示す図であり、屋内側から見た斜視図である。
開閉装置100は、例えば屋内と屋外を隔てる壁面に形成されている開口部を開閉する開閉装置であって、より具体的には、オーバーヘッドドアやオーバースライディングドア等と呼称される開閉装置である。
【0024】
図1に示されるように、開閉装置100は、
複数のパネル体が相互に回動可能に接続された開閉体101と、
開閉体101の移動を案内するガイドレール102と、
開閉体101の下端部付近に接続されるワイヤロープ103と、ワイヤロープ103を巻き上げるドラム104と、ドラム104に接続されるシャフト105と、ばね106等を有することにより、開閉体101の自重による負荷を補正するための自重補正機構と、を備える。
【0025】
開閉体101の幅方向の両端部には複数のローラ1011が備えられており、ガイドレール102は、当該ローラ1011の移動を案内する。
開閉体101は、上部パネル体101Aと、下部パネル体101Cと、両者の間に配される複数の中間パネル体101Bが、それぞれ相互にヒンジによって回動可能に接続されることによって構成され、図1に示される閉状態と、開閉体101が上部で略水平状態となる開状態との間で、ガイドレール102に沿って移動可能である。
各パネル体を接続するヒンジは、パネル体の幅方向の中間部で使用されるヒンジ10122と、両端部で使用されるヒンジ10121があり、本実施形態では、ローラ1011が、ヒンジ10121によって保持されている。ヒンジ10121のヒンジ軸が、軸筒によって構成されており、この軸筒に、ローラ1011の軸が挿通されて保持されるものである。
また、上部パネル体101Aの上部側の両端部では、上部ローラ保持部材1013によって、ローラ1011が保持されている。
なお、開閉装置100には、その他に、開閉体101の開閉を駆動させるための駆動装置及びその機構、開閉動作を制御するための制御装置等(特に図示せず)が備えられるが、それらの構成は本発明に直接関係するものではないため、ここでのこれ以上の説明を省略する。
【0026】
前述したように、従来、このような開閉体の組み立ては、先ず最下部のパネル体を設置し、その上に順次パネル体を積み上げながら連結する積み上げ連結方式が用いられている(図15参照)。このような積み上げ連結方式では、図15からも理解されるように、作業が進むにつれて高所作業を要するものとなり、作業の危険性が高まると共に作業効率もあまりよくないといった問題があるものであった。この問題は、開口部が大きく(即ち開閉体が大きく)なる程、顕在化するものであった。
【0027】
これに対し、本実施形態の開閉体の組み立て方法(及びこれに使用する係合金具)では、
1つ又は接続された複数のパネル体に対して、係合金具を取り付けるステップと、
前記係合金具に前記吊上部材若しくは押上部材を係合させ、前記1つ又は接続された複数のパネル体を吊り上げ若しくは押し上げて、その下部側に、1つ又は接続された複数のパネル体を配置させるスペースを形成するステップと、
前記スペースに、別の1つ又は接続された複数のパネル体を配し、前記1つ又は接続された複数のパネル体と、前記別の1つ又は接続された複数のパネル体を接続するステップと、を備える、ことにより、作業者の高所作業を不要としたものである。
【0028】
図8には、当該組み立て方法の説明図を示した。
先ず、上部パネル体101Aを設置する。当該設置はガイドレール102に対するローラ1011の組み付けを行いつつ行われる。また、後に説明する係合金具1の上部パネル体101Aに対する取り付けが行われる。
次に、ワイヤ201(吊上部材)を係合金具1に取り付け、ウインチ200を利用して、上部パネル体101Aを持ち上げ、その下部に次のパネル体(中間パネル体101B-1)を配置し、ガイドレール102に対するローラ1011の組み付けを行いつつ、ヒンジ10121、10122によって、上部パネル体101Aと中間パネル体101B-1の接続を行う。
次に、ウインチ200を利用してパネル体(上部パネル体101Aと中間パネル体101B-1が接続されたもの)を持ち上げ、その下部に次のパネル体(中間パネル体101B-2)を配置し、ガイドレール102に対するローラ1011の組み付けを行いつつ、ヒンジ10121、10122によって、パネル体間の接続を行う。
上記作業を、下部パネル体101Cを組み付けるまで繰り返すことにより、開閉体の組み立てが行われる。
このような下部挿入連結方式によれば、作業者の高所作業が不要となるため、作業の容易化及び安全化が図られる。
なお、図8では、パネル体1枚単位で挿入、連結するものを例としているが、予めヒンジで接合した複数枚のパネル体を1単位として、これを挿入、連結するようなものであってもよい。例えば、2枚のパネル体を予めヒンジで接合しておき、この2枚のパネル体を下部に挿入させるスペースが得られるように吊上げを行い、2枚のパネル体を挿入・接続するもの等であってもよい。
【0029】
また、同様の概念で、開閉体101の補修又は解体を行うことができる。
例えば工場などの作業現場に設置された開閉体においては、フォークリフト等がぶつかることによってその下部側が破損することがある。このような場合に、下部側のパネル体(1枚若しくは数枚)だけを交換することがある。
このような補修作業においては、先ず、パネル体の何れかに対して、後に説明する係合金具1の取り付けを行う。「パネル体の何れか」とは、少なくとも交換が必要なパネル体よりも上に位置するパネル体の内、後に説明する係合金具の取り付けが可能なパネル体である。一般的には、周りの各構造体等との関係で(作業時の手の入れやすさ等により)、最上段のパネル体に対する取り付け(例えば、後に説明する上部ローラ保持部材1013を上部パネル体101Aに締結するためのボルト1014に対する取り付け)が最も容易である場合も多いと考えられる。
次に、ワイヤ201(吊上部材)を係合金具1に取り付け、ウインチ200を利用して、開閉体101を少し持ち上げる。当該持ち上げは、パネル体の取り外し作業のし易い高さまで持ち上げるものであればよい。
そして、当該持ち上げられた状態の開閉体101を構成するパネル体の一つ若しくは複数を取り外す作業を行う。複数のパネル体を取り外す場合には、都度、それぞれの作業のしやすい高さに開閉体101を上下させるようにするとよい。
なお、当該作業においても、パネル体を1枚ごとに取り外すものであってもよいし、複数枚のパネル体を1単位として取り外すものであってもよい。
交換すべきパネル体の取り外しが終わったら、新しいパネル体の取り付けを行う。当該取り付け作業は図8の説明と同じ概念である。
なお、上記説明したパネル体の取り外し作業は、補修だけではなく、開閉体101の解体作業にも用いることができる。
【0030】
次に、上記した下部挿入連結方式(若しくは補修又は解体方法)において使用される係合金具1について説明する。
図2は、係合金具1を示す図であり、図1(a):側面図、図1(b):正面図である。
なお、図2で示す係合金具1は、上部パネル体101Aの左側(屋内側から見た際の左側)に対して取り付けられる金具である。右側に取り付けられる係合金具は、図2で示す係合金具と左右対称の構成であるため、ここでの説明を省略する(なお、右側に、図2で示す係合金具そのものを使用することも可能である(必ずしも左右対称である必要は無い))。
【0031】
係合金具1は、
パネル体に設けられている締結部材を受け入れるスリットであって、外周に開口するスリットSを備えた2つの引掛け部材11R、11Lと、
吊上部材(ワイヤ201)と係合する係合部121を有し、引掛け部材11R、11Lに取り付けられる係合部材12と、を備えている。
【0032】
図3は、引掛け部材11Rを示す図であり、図3(a):正面図、図3(b):側面図、図3(c):上面図である。なお、引掛け部材11Lは、引掛け部材11Rと左右対称の部材であるため引掛け部材11Lの説明を省略し、引掛け部材11Rのみの説明とする。
引掛け部材11Rは、縦部材11R1と、補強部材11R2を備える。
縦部材11R1は、上面視がL字状の部材(アングル材)であり、側面(内側)から切り込まれるように形成されたスリットSを、上下で2か所有する。
このスリットSは、後に説明する上部ローラ保持部材1013を上部パネル体101Aに締結するための締結部材であるボルト1014の軸部分を横から挿入させるためのものである。スリットSは、内側側面(引掛け部材11Rでは左側面、引掛け部材11Lでは右側面)から水平方向に進み、その後鉛直方向の下方へと折れ曲がるようにして形成されている。下方へと折れ曲がる部分は、鉛直方向に締結部材(ボルト1014の軸部分)を受け入れる締結部材受入部S1となる。
縦部材11R1の上部には、上面視でコ字状の部材である補強部材11R2が接合(溶接)されている。補強部材11R2が形成される箇所には、補強部材11R2及び縦部材11R1を貫通した取り付け穴11R3が形成されている。取り付け穴11R3は、係合部材12をピン止めするためのピン部材14を挿通させるための穴である。また、図3(c)に示されるように、縦部材11R1と補強部材11R2によって隙間Gが形成されている。この隙間Gは、係合部材12が挿入されるスペースである。なお、補強部材11R2はその名の通り補強のための部材であり、縦部材11R1によって必要な強度が得られる場合には、必ずしも必要ない。以下の各実施形態においても同様である。
【0033】
図4は、係合部材12を示す図である。
係合部材12は板状の部材であり、ワイヤ201(吊上部材)を取り付けるための係合部121と、引掛け部材11Lに取り付けるためのピン部材13を挿通させるための穴122と、引掛け部材11Rに取り付けるためのピン部材14を挿通させるための穴1231,1232と、が形成されている。
穴1231と穴1232は、上部ローラ保持部材のサイズの違いに対応するために複数設けられた穴であり、ここでは2つのサイズの違いに対応可能なように2つの穴が形成されているものである。
各穴の位置関係は、係合部121の頂点部分(吊上部材によって吊られる点)を中心とした円弧上に、穴122、穴1231、穴1232が位置するように構成される。別の言い方とすると、係合部121の頂点部分と穴122と穴1231によって、及び、係合部121の頂点部分と穴122と穴1232によって、それぞれ二等辺三角形が形成されるように構成される。
これにより、後に説明するように、「係合部材が2つの引掛け部材の双方に接続された状態で、係合部が2つの引掛け部材の中央に配置されるように構成され」ているものである。
【0034】
図5は、係合金具1の取り付け場所となる、上部ローラ保持部材1013の上部パネル体101Aへの取り付け構造を示す図である。
図5(b)に示されるように、上部ローラ保持部材(被締結部材)1013は、4本のボルト(締結部材)1014によって上部パネル体101Aに対して締結されている。
係合金具1は、この4本のボルト1014の軸部分が、引掛け部材11Rと引掛け部材11LのスリットSに入るように構成されているものであり、上部ローラ保持部材1013を完全に取り外すことなく、脇から差し込むようにして取り付けることができるように構成されているものである。
係合金具1の取り付けは、
締結部材(4本のボルト1014)を緩めることで、締結部材によってパネル体に取り付けられている被締結部材(上部ローラ保持部材1013)とパネル体との間に隙間を形成するステップと、
前記隙間から、引掛け部材を差し込むようにして、締結部材をスリットへと挿入させるステップと、
引掛け部材に係合部材を取り付けるステップと、によって行われる。
【0035】
図6には、係合金具1の取り付けの説明図を示した。
上記説明のように、先ず、上部ローラ保持部材1013を取り付けている4本のボルト1014を緩めることで、上部ローラ保持部材1013と上部パネル体101Aとの間に隙間ができるようにし、当該隙間に差し込むようにして、引掛け部材11Rと引掛け部材11Lを取り付ける(図6(a))。この際に、4本のボルト1014の軸部分が、引掛け部材11Rと引掛け部材11LのそれぞれのスリットS(さらには、締結部材受入部S1)に入るように取り付けを行う。
次に、引掛け部材の縦部材と補強部材の間の隙間Gに、係合部材12を差し込むようにして挿入する(図6(b))。図6の例では、穴122と穴1232が対応するサイズとなる。
引掛け部材11Lの穴11L3と係合部材12の穴122にピン部材13を通し、引掛け部材11Rの穴11R3と係合部材12の穴1232にピン部材14を通すことで、係合金具1の取り付けが行われる(図6(c))。図6(d)は、係合金具1が取り付けられた状態の側面図(ローラ1011は省略した図)である。
なお、係合金具1を取り付けた状態で、緩めていた4本のボルト1014を締め込むことで、係合金具1がしっかりと固定されるが、締結部材受入部S1にボルト1014の軸部が嵌り込むこと等により、係合金具1が外れることが抑止されているため、4本のボルト1014を締め込むことは必須のものではない。
図6では、係合部材12、引掛け部材11Rと引掛け部材11Lがそれぞれバラバラの状態から取り付けるものとして説明したが、係合部材12と引掛け部材11Lが予め組みつけられたものとして用意すると、組み立ての手順を削減することができるため好ましい。本実施形態においても、係合部材12と引掛け部材11Lを回動可能に接合するピン部材13として、ヒンジピン(ツバ付割りピン止め)が用いられており、係合部材12と引掛け部材11Rを回動可能に接合するピン部材14として、ボールロックピンが用いられている。ピン部材13は随時の着脱が想定されておらず、ピン部材14は随時の着脱に対応しているものである。
さらに、係合部材12に引掛け部材11R及び引掛け部材11Lを予め組み立てた上で、パネル体へ取り付け作業を行うものであってもよい。
係合部材12に対して、引掛け部材11R、引掛け部材11Lの一方又は両方が回動可能に取り付けられていることにより、引掛け部材11Rと引掛け部材11Lの間隔を開くように引掛け部材11R及び/又は引掛け部材11Lを回動させることができる。従って、引掛け部材11Rと引掛け部材11Lの間隔を開いた状態として、上部ローラ保持部材1013と上部パネル体101Aとの間に隙間に差し込みながら、両者の間隔を閉じるように回動させ、引掛け部材11Rと引掛け部材11Lをパネル体へ取り付けるものであってもよい。これらの点は、以下の各実施形態においても同様である。
【0036】
図7には、上部ローラ保持部材の幅方向のサイズが小さい場合の取り付け状態を示した。即ち、幅が狭い上部ローラ保持部材1013-1に対して、係合部材12の穴122と穴1231が対応しており、それぞれが引掛け部材の取り付け穴とピン部材によって取り付けられている。
図6図7からも理解されるように、係合部材12と引掛け部材11Lは同じ取り付け状態が維持されており(係合部材12の穴122と、引掛け部材11Lの穴11L3が、ピン部材13によって取り付けられている)、これらは着脱可能である必要は無い(間隔調整のために取り付け位置を変える引掛け部材が係合部材と着脱可能であればよく、他方の引掛け部材は係合部材と着脱可能である必要はない)。
本実施形態の係合部材12は、穴122に対して距離が異なる穴1231と穴1232が形成されていることにより、2つの異なる間隔で、引掛け部材11R、11Lの間の距離を規定可能としている。なお、3つ以上の距離に対応するように3つ以上の穴を設けるものであってもよいし、1つだけとするもの(サイズに違いに対応しないもの)であってもよい。サイズ違いに対応しないものについては、係合部材に対して何れの引掛け部材も着脱不能であってよい(ただし何れか一方若しくは両方とも係合部材に対して回動可能に接続する)。
【0037】
また、図6図7からも理解されるように、係合部材12が2つの引掛け部材11R、11Lの双方に接続された状態で、係合部121が2つの引掛け部材11R、11Lの中央(より具体的には、左右の締結部材(ボルト1014)の幅方向の中間の鉛直方向の延長線上)に配置されるように構成される。係合部材12には、上述のように、穴1231と穴1232が設けられていることにより、ローラ保持部材のサイズの違いに対応することができるものであるが、何れの取り付け状態においても、係合部121が2つの引掛け部材11R、11Lの中央となるように構成されているものである。これによって、左右の引掛け部材11R、11Lにほぼ均等に荷重がかかるようにすることができるため好適である。
【0038】
上記説明したように、係合金具1を上部パネル体101Aの両サイドに取り付けることによって、上部パネル体101A(及びこれに接続された各パネル体)を吊り上げることが可能となり、図8で示した下部挿入連結方式によって開閉体の101の組み立てや、開閉体の補修・解体をすることができる。
開閉体101の組み立て(若しくは補修作業)が終わったら、係合金具1を取り外して(取り外しは取り付けの逆の手順)、ボルト1014を締めつけて、上部ローラ保持部材1013の上部パネル体101Aに対する締結を行う。なお、係合金具1の取り外しは必須のものという訳では無く、係合金具1を取り付けたままとするものであっても構わない。
【0039】
以上のごとく、本実施形態の開閉体の組み立て方法(下部挿入連結方式)によれば、作業者の高所作業が不要となるため、作業の容易化及び安全化が図られる。
また、本実施形態の係合金具1によれば、その取り付けにおいて、締結部材(ボルト1014)や被締結部材(上部ローラ保持部材1013)を完全に取り外す必要が無いため、作業性及び作業効率に優れている。即ち、上述したように、ボルト1014の取り外しは必要無く、ボルト1014を緩めるのみで、これによって生じる隙間に差し込むようにして引掛け部材を取り付けることができるため、作業性及び作業効率が高い。
【0040】
<実施形態2>
図9は、実施形態2の係合金具1-1を示す図であり、図9(a)は幅の広い被締結部材に対する取り付け状態を示す正面図、図9(b)は幅の狭い被締結部材に対する取り付け状態を示す正面図、図9(c)は側面図である。なお、ローラ1011は省略した図としている。
本実施形態の係合金具1-1は、実施形態1の係合金具1と同様に、2つの引掛け部材11R-1、11L-1と、係合部材12-1を備えている。
【0041】
係合部材12-1は、一部形状の違いはあるが、実施形態1の係合部材12と基本的に同様の構成(概念)である。
【0042】
引掛け部材11R-1も、実施形態1の引掛け部材11Rの縦部材11R1と基本的には同様の構成(概念)であるが、係合部材12-1との接続部においてスペーサー15を備えている点で相違がある。
スペーサー15は、係合部材12-1の取り付け位置をオフセットさせて、係合部材12-1の係合部が、上部パネル体101Aの厚さ方向(図9(c)の左右方向)におけるパネル体の重心位置の鉛直方向の延長線上に配されるように構成するものである。
スペーサー15は、ボルト151を螺合させるネジ穴が形成されており、ボルト151によって、係合部材12-1が締結される。
なお、引掛け部材11L-1は引掛け部材11R-1と左右対称の構成であるため、説明を省略する。
【0043】
本実施形態の係合金具1-1によれば、実施形態1と同様の作用効果を得られるとともに、係合部材12-1の、2つの引掛け部材11R-1、11L-1への取り付けにおいて、係合部が開閉体の重心の延長線上に配置されるため、開閉体を吊り上げた際のバランスが良い(開閉体に対して吊り上げによるモーメントが生じない)という効果も得ることができる。
【0044】
<実施形態3>
図10は、実施形態3の係合金具1-2を示す図であり、図10(a)は幅の広い被締結部材に対する取り付け状態を示す正面図、図10(b)は幅の狭い被締結部材に対する取り付け状態を示す正面図、図10(c)は側面図である。なお、ローラ1011は省略した図としている。
本実施形態の係合金具1-2は、実施形態1の係合金具1と同様に、2つの引掛け部材11R-1、11L-1と、係合部材12-2を備えている。
【0045】
引掛け部材11R-1、11L-1は、実施形態2の引掛け部材11R-1、11L-1と同じものであり、スペーサー15を備えている点も同様である。
【0046】
係合部材12-2は、板状の部材であり、ワイヤ201(吊上部材)を取り付けるための係合部121-11、121-12と、引掛け部材11L-1に取り付けるためのボルト151を挿通させるための穴122-1と、引掛け部材11R-1に取り付けるためのボルト151を挿通させるための穴1231-1、1232-1と、が形成されている。
本実施形態の係合部材12-2では、係合部121-11が、穴122-1と穴1231-1の中間位置、係合部121-12が、穴122-1と穴1232-1の中間位置となるようにそれぞれ構成されている。これにより、「2つの引掛け部材の双方に接続された状態で、係合部が2つの引掛け部材の中央に配置されるように構成されている」ものである。
【0047】
本実施形態の係合金具1-2によれば、実施形態1及び実施形態2と同様の作用効果を得ることができる。
【0048】
<実施形態4>
図11は、実施形態4の係合金具1-3を示す図であり、図11(a)は幅の広い被締結部材に対する取り付け状態を示す正面図、図11(b)は幅の狭い被締結部材に対する取り付け状態を示す正面図、図11(c)は側面図である。なお、ローラ1011は省略した図としている。
本実施形態の係合金具1-3は、実施形態1の係合金具1と同様に、2つの引掛け部材11R-1、11L-1と、係合部材12-3を備えている。
【0049】
引掛け部材11R-1、11L-1は、実施形態2の引掛け部材11R-1、11L-1と同じものであり、スペーサー15を備えている点も同様である。
【0050】
係合部材12-3は、板状の部材であり、ワイヤ201(吊上部材)を取り付けるための係合部121-2と、引掛け部材11L-1に取り付けるためのボルト151を挿通させるための穴122-21、122-22と、引掛け部材11R-1に取り付けるためのボルト151を挿通させるための穴1231-2、1232-2と、が形成されている。
本実施形態の係合部材12-3では、幅の広い被締結部材に対する取り付けの穴として、穴122-22と穴1232-2が形成され(図11(a)参照)、幅の狭い被締結部材に対する取り付けの穴として、穴122-21と穴1231-2が形成されている(図11(b)参照)。
各穴は、穴122-22と穴1232-2の中間位置と、穴122-21と穴1231-2の中間位置が同じ位置となるよう構成され、かつ、係合部121-2がこの中間位置に位置するように構成される。これにより、「2つの引掛け部材の双方に接続された状態で、係合部が2つの引掛け部材の中央に配置されるように構成されている」ものである。
【0051】
本実施形態の係合金具1-3によれば、実施形態1及び実施形態2と同様の作用効果を得ることができる。
【0052】
<実施形態5>
図12は、実施形態5の係合金具1-4を示す図であり、図12(a)は幅の広い被締結部材に対する取り付け状態を示す正面図、図12(b)は幅の狭い被締結部材に対する取り付け状態を示す正面図、図12(c)は側面図である。なお、ローラ1011は省略した図としている。
本実施形態の係合金具1-4は、2つの引掛け部材11R-1、11L-1と、2つの係合部材12-41、12-42を備えている。
【0053】
引掛け部材11R-1、11L-1は、実施形態2の引掛け部材11R-1、11L-1と同じものであり、スペーサー15を備えている点も同様である。なお、係合金具1-4のスペーサー15は、左右で厚さが異なっており、右側の係合部材12-42の板厚の分だけ、右側のスペーサーの方が、厚さが小さく形成されている。
【0054】
本実施形態の係合部材は、左右対称の部材である係合部材12-41、係合部材12-42によって構成される。
係合部材12-41、12-42は、板状の部材であり、一方側に係合部121-3が形成され、他方側に、引掛け部材に取り付けるためのボルト151を挿通させるための穴が形成されている。
図からも理解されるように、本実施形態の係合部材によれば、2つの引掛け部材の間隔を任意に変動可能である。
なお、ここでは、係合部材12-41と係合部材12-42が別体のものを例としているが、係合部材12-41と係合部材12-42が係合部121-3の箇所で相互に回動可能に接続されたものとしてもよい。
【0055】
係合部材12-41と係合部材12-42は、同じ長さであり、従って、「2つの引掛け部材の双方に接続された状態で、係合部が2つの引掛け部材の中央に配置されるように構成されている」ものである。
【0056】
図12(a)からも理解されるように、係合部材12-41は、鉛直方向に対して傾斜しているため、係合部121-3で吊上げられると、これを鉛直方向しようとするようなモーメントが働く。このモーメントは、引掛け部材11L-1を、右方向へ移動させるような作用を生じさせる。同様に、係合部材12-42は、引掛け部材11R-1を、左方向へ移動させるような作用を生じさせる。即ち、係合金具1-4は、「2つの引掛け部材の間の距離を狭めるように作用するように構成されている」ものである。
これにより、吊上げ時に、引掛け部材11R-1、11L-1の各スリットSから締結部材が外れ難くするような作用が得られる。
なお、例えば、2つの引掛け部材を近づける方向に付勢するばね部材を設けること等により、より能動的に、「2つの引掛け部材の間の距離を狭めるように作用するように構成」とするもの等であってもよい。
【0057】
本実施形態の係合金具1-4によれば、実施形態1及び実施形態2と同様の作用効果を得ることができる。また、係合金具の取り付けにおいて、任意の幅方向サイズに対応することができ、且つ、2つの引掛け部材の締結部材への引っかけが外れないようにする作用を得ることができる。
なお、本実施形態の係合金具1-4においては、係合部材に対して何れの引掛け部材も着脱可能である必要はない(勿論、着脱可能であっても良い)。
【0058】
<実施形態6>
図13は、実施形態6の係合金具1-5を示す図であり、図13(a)は幅の広い被締結部材に対する取り付け状態を示す正面図、図13(b)は幅の狭い被締結部材に対する取り付け状態を示す正面図、図13(c)は側面図である。なお、ローラ1011は省略した図としている。
本実施形態の係合金具1-5は、2つの引掛け部材11R-2、11L-2と、2つの係合部材12-51、12-52を備えている。
【0059】
引掛け部材11R-2、11L-2は、基本的な概念としては、実施形態2の引掛け部材11R-1、11L-1と同様のものであるが、係合部材と一体的に形成されている点で相違している。即ち、引掛け部材11R-2の上部側が延長される形で、係合部材12-52が一体的に形成され、引掛け部材11L-2の上部側が延長される形で、係合部材12-51が一体的に形成されている。
【0060】
引掛け部材の上部を延長する形で形成されている係合部材は、その上端部で幅方向の内側へ屈曲することでフック状に形成されており、左右のフック部の少なくとも一部が重畳されることにより、係合部121-4が形成される。
また、図13(c)に示されるように、係合部材12-51、12-52は、引掛け部材11R-2、11L-2に対して、パネル体の厚さ方向に屈曲されている。これにより、係合部121-4が、「パネル体の厚さ方向におけるパネル体の重心位置の鉛直方向の延長線上に配されるように構成されている」ものである。
なお、左右のフック部が重なるような配置とすることができるように、係合部材12-51と12-52の厚さ方向の屈曲位置は、相互に異なる位置となっている。
【0061】
本実施形態の係合金具1-5によれば、実施形態1及び実施形態2と同様の作用効果を得ることができる。また、係合金具の取り付けにおいて、任意の幅方向サイズに対応することができる。
【0062】
<実施形態7>
図14は、実施形態7の係合金具1-6を示す図であり、図14(a)は幅の広い被締結部材に対する取り付け状態を示す正面図、図14(b)は幅の狭い被締結部材に対する取り付け状態を示す正面図、図14(c)は係合部材12-6を示す図である。なお、ローラ1011は省略した図としている。
本実施形態の係合金具1-6は、実施形態1の係合金具1と同様に、2つの引掛け部材11R-1、11L-1と、係合部材12-6を備えている。
【0063】
引掛け部材11R-1、11L-1については、実施形態1と同様の構成(概念)である。なお、実施形態2等と同様に、係合部材12-6との接続部においてスペーサーを備えさせてもよい。
【0064】
係合部材12-6は、板状の部材であり、図14(c)に示されるように、係合部121及び引掛け部材の取り付け用の穴122については、実施形態1の係合部材12と基本的に同様の構成(概念)であるが、長穴124を有している点で実施形態1の係合部材12と相違している。
長穴124は、概念的には実施形態1の係合部材12の穴1231と穴1232を連結しているものであり、その内部において、引掛け部材11R-1を回動可能に取り付けるピン部材(挿通部材)13´を、移動可能に挿通させる。なお、本実施形態のピン部材13´は、長尺ローレット付ボルト(つまみ部を有する挿通部材)によって構成されており、これにより、ピン部材13´を長穴124内で移動させる際の手掛かりを良好なものとしている。
長穴124は、ヘの字状に形成されており、その両端部において、ピン部材13´を留め置く保持部1241、1242を構成する。長穴124は、保持部1241と保持部1242の間で、上方向に変位する形状であることにより、係合部121で吊上げられた際には、ピン部材13´を保持部1241又は保持部1242に留め置くように(何れか一方から他方側へと移動することを妨げるように)機能する。
図14(a)、(b)からも理解されるように、引掛け部材11R-1が、長穴124内で移動可能なピン部材13´によって取り付けられていることにより、引掛け部材を取り外すことなく、引掛け部材11R-1と引掛け部材11L-1の間の幅の調整を行うことができる(即ち、本実施形態の係合金具1-6においては、係合部材に対して何れの引掛け部材も着脱可能である必要はない(勿論、着脱可能であっても良い))。
上記構成により、係合金具1-6は、「係合部材と引掛け部材の取付構造において、係合部材と引掛け部材を係合させたまま両者の相対位置を変更可能であることにより、2つの引掛け部材の間の距離を規定可能なように構成されている」ものであり、且つ、「係合部材と引掛け部材の取付構造が、長穴と、当該長穴に挿通されて長穴内で移動可能な挿通部材と、によって構成されている」ものである。また、「長穴に、挿通部材を留め置く保持部が複数形成されていることにより、複数の異なる間隔で、2つの引掛け部材の間の距離を規定可能なように構成されている」ものである。
【0065】
本実施形態の係合金具1-6によれば、実施形態1と同様の作用効果を得られるとともに、引掛け部材の間隔調整ために引掛け部材を着脱する必要が無く、係合金具を一体の部材として構成することができる。
上記説明したように、開閉体の補修又は解体の際には、開閉体の上部に係合金具を取り付ける必要がある場合がある。即ち、高所作業となる場合があり、高所作業において部品点数が多い部材で作業をすると、作業が煩雑であったり、部品を落とす可能性が増大するおそれもあるが、本実施形態の係合金具1-6によれば、一体的な部材とすることができる(間隔調整ために引掛け部材を着脱する作業が不要である)ため、好適である。
【0066】
本実施形態では、長穴がへの字状のもの例としたが、本発明をこれに限るものではなく、「複数の保持部の間において、上方向に変位する形状を有している」ものであればよい(例えば、円弧(下方に中心を有する円弧)状のもの等であってもよい)。また、保持部の数も2つに限るものではなく、3つ以上あってもよい(例えば、ジグザク状の長穴とすることで、保持部を3つ以上構成するなど)。
また、「複数の保持部の間において、上方向に変位する形状を有している」ものに限られるものでもなく、「長穴に、挿通部材を留め置く保持部が複数形成されている」ものであればよい(例えば、保持部からの移動に対して抵抗を生じさせる係合突起を設けることにより、挿通部材を保持部に留め置く機能を持たせるもの等であってよい)。
実施形態では、引掛け部材11R-1を取り付ける側において長穴が形成されているものを例としているが、引掛け部材11L-1を取り付ける側において長穴が形成されているものであってもよいし、両側に長穴が形成されているものであっても良い。
【0067】
各実施形態では、被締結部材が上部ローラ保持部材1013(若しくは上部ローラ保持部材1013-1)であるものを例としたが、係合金具を取り付ける対象を上部ローラ保持部材に限るものではない。上記説明によって理解される概念からも明らかなように、パネル体に設けられている任意の締結部材に適応させた係合金具を用いることができる。また、開閉体自体に備わっている締結部材を利用するのではなく、係合金具を取り付けるための締結部材を別途開閉体に設けるものであってもよい。
また、これらに応じて、使用する係合金具の数も増減されるものであってよい。例えば、パネル体の幅方向の中央付近に締結部材があり、これを利用する場合、1つの係合金具のみを使用してパネル体を吊り上げるものであっても良い。パネル体に備えられている締結部材の構成に応じて、3つ以上の係合金具が使用されるものであってもよい。
【0068】
また、各実施形態では、引掛け部材において、スリットが上下2段形成されるものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、スリットが1段のみのものや、3段以上あるものであってもよい(締結部材との関係により、適宜定められるもの等であってよい)。
スリットを上下方向に複数段設けることにより、異なる締結部材の配置状態(本実施形態の例で言えば、上部ローラ保持部材の上下方向のサイズの違い)に対応させることも可能である。
【0069】
実施形態では、開閉体の吊り上げがウインチ200を用いて行われるものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、開閉体をリフトすることができる任意の機構を利用するものであってよい。例えば、自重補正機構のワイヤロープ103(図1参照)を利用するものや、開閉体の開閉を駆動させるための駆動装置等を利用するものであってもよい。
また、実施形態では、係合部が穴であるものを例としているが、係合部の形状は、パネル体を吊り上げるための吊上部材若しくは押し上げるための押上部材と係合することができる任意の形状とすることができる。例えば、ウインチ等の吊り上げ方式ではなく、ジャッキ等を使用した押し上げ方式を使用する場合、係合部を、ジャッキと係合させるための突起状の部材(ジャッキが下方側から突き当たる接触面を有するように、パネル体の厚さ方向に突出させた係合部等)として形成するもの等であってよい。
【0070】
各実施形態では、係合金具の引掛け部材が左右一対であるものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、引掛け部材が1つであるものであってもよい。締結部材を受け入れるスリットに、鉛直方向に締結部材を受け入れる締結部材受入部(S1)を形成することで、吊上げ状態において引掛け部材が外れるといったことが防止される。また、係合金具を取り付けた状態で、締結部材を締め込むことで、係合金具(引掛け部材)をしっかりと固定することも可能であり、引掛け部材を1つとすることもできる。
【0071】
各実施形態では、係合部材に、間隔調整用の穴が複数形成されているもの若しくは長穴が形成されているものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、引掛け部材の側において、間隔調整用の穴が複数形成されているもの若しくは長穴が形成されているものとしてもよい。この場合においても、係合部材の取り付け位置の変更によって間隔調整がなされると言えるため、「引掛け部材が2つあり、係合部材が、2つの引掛け部材の間の距離を規定するように構成されている」に該当するものである。
【符号の説明】
【0072】
1...係合金具
11R、11L...引掛け部材
12...係合部材
121...係合部
124...長穴
1241、1242...保持部
13´...ピン部材(挿通部材)
100...開閉装置
101...開閉体
101A、101B、101C...パネル体
1013...上部ローラ保持部材(被締結部材)
1014...ボルト(締結部材)
201...ワイヤ201(吊上部材)
S...スリット
S1...締結部材受入部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15