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特開2024-147009通信システム、情報処理装置、通信方法及び通信プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147009
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】通信システム、情報処理装置、通信方法及び通信プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 41/5025 20220101AFI20241008BHJP
   H04L 41/5067 20220101ALI20241008BHJP
   H04L 45/302 20220101ALI20241008BHJP
【FI】
H04L41/5025
H04L41/5067
H04L45/302
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059772
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000232254
【氏名又は名称】日本電気通信システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】アウスト シュテファン
【テーマコード(参考)】
5K030
【Fターム(参考)】
5K030GA14
5K030HB02
5K030LB09
5K030MB01
(57)【要約】
【課題】ネットワークサービスに対するユーザの満足度を高めることが可能な通信システム、情報処理装置、通信方法及び通信プログラムを提供すること。
【解決手段】通信システム100は、第1の通信装置110を用いて提供されたネットワークサービスに対するユーザの満足度を示す第1のスコアと、第2の通信装置120を用いて提供されたネットワークサービスに対するユーザの満足度を示す第2のスコアを算出するスコア算出部911と、スコア判定部912によって第1のスコアと第2のスコアが異なると判定された場合に、ネットワーク130を介して第1の通信装置110へ転送される第1の通信データの通信経路、又は、第1の通信装置110からネットワーク130を介して第2の通信装置120へ転送される第2の通信データの通信経路を、経路情報が規定する通信経路に変更する通信経路変更部913とを含む。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信装置と、
第2の通信装置と、
前記第1の通信装置を用いて提供されたネットワークサービスに対するユーザの満足度を示す第1のスコアと、前記第2の通信装置を用いて提供されたネットワークサービスに対するユーザの満足度を示す第2のスコアを算出するスコア算出部と、
前記第1のスコアと前記第2のスコアが同じであるか否か判定するスコア判定部と、
前記第1のスコアと前記第2のスコアが異なると判定された場合に、既定の通信品質を充たす通信経路を示す経路情報に基づき、ネットワークを介して前記第1の通信装置へ転送される第1の通信データの通信経路、又は、前記第1の通信装置から前記ネットワークを介して前記第2の通信装置へ転送される第2の通信データの通信経路を、前記経路情報が規定する通信経路に変更する通信経路変更部と
を含む、
通信システム。
【請求項2】
前記通信経路変更部は、前記第1のスコアが前記第2のスコアよりも低いと判定された場合、前記第1の通信データの通信経路を、前記経路情報が規定する通信経路に変更する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記通信経路変更部は、前記第2のスコアが前記第1のスコアよりも低いと判定された場合、前記第2の通信データの通信経路を、前記経路情報が規定する通信経路に変更する、請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記通信データには、触覚データ、音声データ及び映像データが含まれる、請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記ネットワークサービスには、遠隔医療に関するネットワークサービス、機械又は設備の遠隔操作に関するネットワークサービス、移動体装置の遠隔操作に関するネットワークサービス、複合現実又は仮想現実に関するネットワークサービスが含まれる、請求項3に記載の通信システム。
【請求項6】
第1の通信装置及び第2の通信装置とネットワークを介して通信する情報処理装置であって、
前記第1の通信装置を用いて提供されたネットワークサービスに対するユーザの満足度を示す第1のスコアと、前記第2の通信装置を用いて提供されたネットワークサービスに対するユーザの満足度を示す第2のスコアを算出するスコア算出部と、
前記第1のスコアと前記第2のスコアが同じであるか否か判定するスコア判定部と、
前記第1のスコアと前記第2のスコアが異なると判定された場合に、既定の通信品質を充たす通信経路を示す経路情報に基づき、前記情報処理装置から前記ネットワークを介して前記第1の通信装置へ転送される第1の通信データの通信経路、又は、前記第1の通信装置から前記ネットワークを介して前記第2の通信装置へ転送される第2の通信データの通信経路を、前記経路情報が規定する通信経路に変更する通信経路変更部と
を含む、情報処理装置。
【請求項7】
前記通信経路変更部は、前記第1のスコアが前記第2のスコアよりも低いと判定された場合、前記第1の通信データの通信経路を、前記経路情報が規定する通信経路に変更する、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記通信経路変更部は、前記第2のスコアが前記第1のスコアよりも低いと判定された場合、前記第2の通信データの通信経路を、前記経路情報が規定する通信経路に変更する、請求項6又は7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが、
第1の通信装置を用いて提供されたネットワークサービスに対するユーザの満足度を示す第1のスコアと、第2の通信装置を用いて提供されたネットワークサービスに対するユーザの満足度を示す第2のスコアを算出し、
前記第1のスコアと前記第2のスコアが同じであるか否か判定し、
前記第1のスコアと前記第2のスコアが異なると判定された場合に、既定の通信品質を充たす通信経路を示す経路情報に基づき、ネットワークを介して前記第1の通信装置へ転送される第1の通信データの通信経路、又は、前記第1の通信装置から前記ネットワークを介して前記第2の通信装置へ転送される第2の通信データの通信経路を、前記経路情報が規定する通信経路に変更する
通信方法。
【請求項10】
コンピュータに対し、
第1の通信装置を用いて提供されたネットワークサービスに対するユーザの満足度を示す第1のスコアと、第2の通信装置を用いて提供されたネットワークサービスに対するユーザの満足度を示す第2のスコアを算出させ、
前記第1のスコアと前記第2のスコアが同じであるか否か判定させ、
前記第1のスコアと前記第2のスコアが異なると判定された場合に、既定の通信品質を充たす通信経路を示す経路情報に基づき、ネットワークを介して前記第1の通信装置へ転送される第1の通信データの通信経路、又は、前記第1の通信装置から前記ネットワークを介して前記第2の通信装置へ転送される第2の通信データの通信経路を、前記経路情報が規定する通信経路に変更させる
通信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HAV(Haptic Audio Video)マルチモーダル通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、触覚データ、音声データ及び映像データ等の通信データを遣り取りするHAVマルチモーダル通信システムが提案されている。このような通信システムの一例として、特許文献1は、マルチモーダル感覚データに基づいて、ロボットプラットフォームを遠隔制御するシステムを開示する。このシステムでは、ロボットプラットフォームを遠隔制御ステーションに通信接続し、ロボットプラットフォームのセンサを用いてマルチモーダル感覚データを取得し、マルチモーダル感覚データを送信し、遠隔制御ステーションからの遠隔制御命令をロボットプラットフォームで受信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-81591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1が開示するシステムは、HAVマルチモーダル通信システムにおけるネットワークサービスに対するユーザの満足度を評価するものではないため、ネットワークサービスに対するユーザの満足度を高めることができないという課題があった。
【0005】
本開示の目的の一つは、上述した課題を鑑み、ネットワークサービスに対するユーザの満足度を高めることが可能な通信システム、情報処理装置、通信方法及び通信プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例示的な一実施形態に係る通信システムは、
第1の通信装置と、
第2の通信装置と、
第1の通信装置を用いて提供されたネットワークサービスに対するユーザの満足度を示す第1のスコアと、第2の通信装置を用いて提供されたネットワークサービスに対するユーザの満足度を示す第2のスコアを算出するスコア算出部と、
第1のスコアと第2のスコアが同じであるか否か判定するスコア判定部と、
第1のスコアと第2のスコアが異なると判定された場合に、既定の通信品質を充たす通信経路を示す経路情報に基づき、ネットワークを介して第1の通信装置へ転送される第1の通信データの通信経路、又は、第1の通信装置からネットワークを介して第2の通信装置へ転送される第2の通信データの通信経路を、経路情報が規定する通信経路に変更する通信経路変更部とを含む。
【0007】
例示的な一実施形態に係る第1の通信装置及び第2の通信装置とネットワークを介して通信する情報処理装置は、
第1の通信装置を用いて提供されたネットワークサービスに対するユーザの満足度を示す第1のスコアと、第2の通信装置を用いて提供されたネットワークサービスに対するユーザの満足度を示す第2のスコアを算出するスコア算出部と、
第1のスコアと第2のスコアが同じであるか否か判定するスコア判定部と、
第1のスコアと第2のスコアが異なると判定された場合に、既定の通信品質を充たす通信経路を示す経路情報に基づき、情報処理装置からネットワークを介して第1の通信装置へ転送される第1の通信データの通信経路、又は、第1の通信装置からネットワークを介して第2の通信装置へ転送される第2の通信データの通信経路を、経路情報が規定する通信経路に変更する通信経路変更部とを含む。
【0008】
例示的な一実施形態に係る通信方法は、
コンピュータが、
第1の通信装置を用いて提供されたネットワークサービスに対するユーザの満足度を示す第1のスコアと、第2の通信装置を用いて提供されたネットワークサービスに対するユーザの満足度を示す第2のスコアを算出し、
第1のスコアと第2のスコアが同じであるか否か判定し、
第1のスコアと第2のスコアが異なると判定された場合に、既定の通信品質を充たす通信経路を示す経路情報に基づき、ネットワークを介して第1の通信装置へ転送される第1の通信データの通信経路、又は、第1の通信装置からネットワークを介して第2の通信装置へ転送される第2の通信データの通信経路を、経路情報が規定する通信経路に変更する。
【0009】
例示的な一実施形態に係る通信プログラムは、
コンピュータに対し、
第1の通信装置を用いて提供されたネットワークサービスに対するユーザの満足度を示す第1のスコアと、第2の通信装置を用いて提供されたネットワークサービスに対するユーザの満足度を示す第2のスコアを算出させ、
第1のスコアと第2のスコアが同じであるか否か判定させ、
第1のスコアと第2のスコアが異なると判定された場合に、既定の通信品質を充たす通信経路を示す経路情報に基づき、ネットワークを介して第1の通信装置へ転送される第1の通信データの通信経路、又は、第1の通信装置からネットワークを介して第2の通信装置へ転送される第2の通信データの通信経路を、経路情報が規定する通信経路に変更させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示により、ネットワークサービスに対するユーザの満足度を高めることが可能な通信システム、情報処理装置、通信方法及び通信プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】例示的な一実施形態に係る通信システムを示す図である。
図2】HAVマルチモーダル通信システムの時間に関連する支援を示す図である。
図3】HAVデータの流れの監視と、API(Application Programming Interface)サポートを示す図である。
図4】QoE(Quality of Experience)の推定アルゴリズムの一例を示す図である。
図5】QoS(Quality of Service)、QoE及びODD(Operational Design Domain)を含むHAVマルチモーダル通信システムの一例を示す図である。
図6】HAVマルチモーダル通信プラットフォームの詳細と流れの調整を示す図である。
図7】HAVマルチモーダル通信プラットフォームにおけるポリシーの定義及び取り扱いについて説明する図である。
図8】HAVマルチモーダル通信プラットフォームにおけるポリシーの取り扱いを説明する図である。
図9】HAVマルチモーダル通信プラットフォームが実行する処理の一例を示す図である。
図10】ネットワークサービスプロバイダの管理装置が実行する処理の一例を示す図である。
図11】HAVマルチモーダル通信プラットフォームが実行する処理の他の例を示す図である。
図12】ネットワークサービスプロバイダの管理装置が実行する処理の他の例を示す図である。
図13】先行側(ローカル)におけるマルチモーダルHAVプラットフォームのサービス構成を示す図である。
図14】後続側(リモート)におけるマルチモーダルHAVプラットフォームのサービス構成を示す図である。
図15】例示的な一実施形態に係る管理装置が有する主要な構成要素を示す図である。
図16】例示的な一実施形態に係る管理装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、例示的な実施形態について説明する。図1は、例示的な一実施形態に係る通信システムを示す図である。図1に示す通信システムは、様々な触覚データ、音声データ及び映像データを通信する広域通信システムである。この通信システムは、先行システム1と、後続システム2とを含む。先行システム1と後続システム2との間で通信されるデータは、様々な通信パスを介して転送される。
【0013】
先行システム1は、ユーザ装置11を含む。ユーザ装置11は、触覚データ、音声データ及び映像データを処理する装置である。ユーザ装置11は、通信機能を備える。触覚データ、音声データ及び映像データは、複数のセンサ、アクチュエータ及び入力装置等の装置が生成する。これらのデータは、HAVデータとしても称される。本実施形態では、ユーザ装置11は、これらのデータに、時刻情報を示すタイムフレーム番号を、追加情報として付加する。
【0014】
ユーザ装置11は、これらのHAVデータを、広域エリアネットワークを介して、複数のデータストリームとして後続システム2に送信する。広域エリアネットワークの具体例としては、携帯電話ネットワーク等が挙げられる。
【0015】
後続システム2は、ジッター/バッファ20と、ユーザ装置21とを含む。ジッター/バッファ20は、タイムフレーム番号を用いて、HAVデータストリームを修正及び再スケジューリングし、通信パスを介した受信データの正確性及び信頼性を改善する。
【0016】
ユーザ装置21は、HAVデータを処理する装置である。ユーザ装置21は、通信機能を備える。ユーザ装置21は、受信したHAVデータを再生する。
【0017】
図2は、HAVマルチモーダル通信システムの時間に関連する支援を示す図である。触覚データ、音声データ及び映像データは、通常、様々な種類のデータサンプリングスキームを有する。これらのデータは、人間によって様々に使用される。触覚は、瞬間的な知覚のために素早い送達を必要とする。一方、音声及び映像は、知覚における優位性が低い。したがって、触覚データ、音声データ及び映像データのサンプリングは異なり、使用に関するHAVデータのサンプリングは、全体として異なる。
【0018】
通常、先行システム1のユーザ装置に相当する送信装置10では、触覚データは1000Hz(1ms)でサンプリングされる。一方、音声データは、20msのサンプリングレートを必要とし、映像データは、30msのサンプリングレートを必要とする。この非同期の問題を解決すべく、後続システム2のユーザ装置に相当する受信装置21は、HAVデータの非同期を解決する機能を有する。HAVデータの遅延を調整すべく、ジッター/バッファ20は、受信装置21におけるHAVデータの使用及び再生のために、HAVデータを保存し、図2に示すように、これらのHAVデータのタイミングを同期させることにより、HAVデータの転送を支援する。
【0019】
図3は、HAVデータの流れの監視と、APIサポートを示す図である。図3には、単一のQosセッションのための複数のHAVデータの流れが示されている。例えば、サードパーティと携帯電話との間のネゴシエーション等のQosセッション情報は、静的である。一方、HAVトラフィック情報は、動的である。Qosセッション情報及びHAVトラフィック情報の双方は、Qosに関連するアプリケーションを支援し、また、HAVに関連するアプリケーションに必要とされ得る。
【0020】
APIは、本通信システムで必要とされる様々な情報を含み得る。図3に示すPは、プロバイダネットワークに関連する情報である。Sは、セッションIDを示す。Qosは、品質パラメータを示す。f_HAVは、流れに関連する情報、例えば、消費やドロップ等である。t_HAVは、トラフィックに関連する情報、例えば、低いトラフィック、高いトラフィック、ドロップ等である。f_HAV及びt_HAVの双方は、リアルタイムで監視され、報告される。図3に示すAPIを用いて、携帯電話ネットワークの管理装置(図示せず)は、必要とされる情報を報告し、これらの情報は、サードパーティのサービスプロバイダが取得することができる。
【0021】
図4は、QoEの推定アルゴリズムの一例を示す図である。QoEの推定アルゴリズムでは、QoE(ローカル)とQoE(リモート)との差分が算出される。QoE(ローカル)及びQoE(リモート)が同一である場合、差分は0であり、これは、ローカルとリモートの性能が同じであることを意味し、ユーザが、ローカルで操作及び観察を行う場合、又は携帯電話ネットワークを介してリモートで操作及び観察を行う場合に、違いが無いことを意味する。これは、携帯電話システムがHAVデータの転送に悪影響を及ぼさないため、HAVマルチモーダル通信システムの理想的な状態と言える。
【0022】
QoE(ローカル)及びQoE(リモート)が同一で無い場合、QoEは、例えば、ポリシーを改善し、又は、QoSの設定を改善することにより、調整されるべきである。したがって、遠隔地におけるHAVデータのQoE(QoE_remote)は、QoE(ローカル)と通信パスの状態に依存する関数となる。これにより、HAVシステムが、QoEに関連するQoSの設定を調整することができ、遅延が少なく、改善されたHAVの同期、改善されたバッファリング等の最適なHAVシステムのユーザ体験を提供することができる。QoE処理は、携帯電話ネットワークによって支援され、又は、AIに関連する処理を用いて支援され、ユーザ体験を自動的に単純化及び推定することができる。
【0023】
図5は、QoS、QoE及びODDを含むHAVマルチモーダル通信システムの一例を示す図である。図5に示すHAVマルチモーダル通信システムは、HAVマルチモーダル通信プラットフォーム50と、携帯電話システム60とを含む。
【0024】
HAVマルチモーダル通信プラットフォーム50は、高信頼性のHAVマルチモーダル通信に関連する構成要素を含む。これらの構成要素は、HAVに関連するアプリケーション51の設計、実装及び実行を可能にする。アプリケーション51には、遠隔医療を提供するためのアプリケーション、機械及び/又は設備の遠隔操作のためのアプリケーション、車両の遠隔操作を行うためのアプリケーション、複合現実(MR:Mixed Reality)/仮想現実(VR:Virtual Reality)を実現するためのアプリケーションが含まれる。アプリケーション51は、セッションエンジン52が管理するセッションを開始する。
【0025】
セッションエンジン52は、プラットフォーム50内における、セッションの開始及び停止、並びに、関連するリソース及び識別情報を管理する。
【0026】
アプリケーション51は、QoEアシスタント53及びQoEエンジン54に接続される。QoEアシスタント53は、QoEが不十分な場合に、アプリケーション51を支援する。そのため、リモートレンダリング、機械学習、CNN(Convolutional Neural Network)、ANN(Artificial Neural Network)等の追加の外部リソースが必要となる。これらの外部リソースは、サポートエンジン70を介して提供される。したがって、費用が高いリソースの集中的な演算とレンダリングが外部で行われ、これらの結果がHAVマルチモーダル通信プラットフォーム50にフィードバックされる。
【0027】
QoEエンジン54は、QoEに関連する情報を用いてアプリケーション51を支援し、必要に応じて、QoSパラメータを修正する。これを実現すべく、プラットフォーム50は、携帯電話ネットワーク内のポリシー予約部63に接続される。これは、適合を伴う閉ループを提供し、サービスフロー管理部62に関連する携帯電話の状態情報の頻繁な監視が報告され、QoSがオンデマンドで調整され得る。
【0028】
QoSポリシーブレーカ55は、QoSインタフェースであり、後述するオペレータドメイン管理部に存在する。QoSポリシーブレーカ55は、サービスプロバイダからのQoS要求を受信し、受信したQoS要求を一連のネットワークパラメータに変換して、必要なデータ通信パフォーマンスを特定する。QoSポリシーブレーカ55は、ドメイン管理で利用可能及び予約可能なQoSパラメータを検索する。QoSポリシーブレーカ55は、受け入れ可能なメディアストリームと、受け入れられないメディアストリームの種類を指定することができる。使用するコーデックや必要な帯域幅等、HAVデータの特性に基づいて、いずれのHAVセッションを受け入れるかを指定することができる。
【0029】
QoSポリシーブレーカ55は、後述するQoS管理部に、必要なQoSパフォーマンスを送信する。QoSポリシーブレーカ55は、QoS管理部からオファー及びアンサーの交換に関する情報を受け取る。
【0030】
アプリケーション51は、調整部56に接続される。調整部56は、アプリケーション51によって使用されるユーザ装置の設定を管理及び維持する。QoSハンドリング及び関連するトリガーイベントが、携帯電話ネットワークから調整部56に報告され、ユーザ装置及び関連するHAVの流れが監視される。
【0031】
調整部56は、ODDウォッチドッグクライアント57に接続される。ODDウォッチドッグクライアント57は、車両操作及び医療応用に関連する規則的な操作制御に従う。ODDウォッチドッグクライアント57は、携帯電話システム60内のODDウォッチドッグ61と通信する。また、ODDウォッチドッグクライアント57は、他のリンクに関連する報告及び観測のメカニズムを使用し得る。
【0032】
サービスフロー管理部62は、上記APIを介して、携帯電話ネットワークの状態、フローの情報、トラフィックを、連続して報告する。したがって、要求されるネットワーク情報はアクセス可能であり、これを用いてポリシーやQoS設定を修正することにより、QoE及びユーザ体験を向上させることができる。
【0033】
図6は、HAVマルチモーダル通信プラットフォーム50の詳細と流れの調整を示す図である。図6に示すHAVマルチモーダル通信プラットフォーム50では、サードパーティ80が、アプリケーションに関するサービスを提供する。サードパーティ80は、携帯電話の操作者によって許可される。QoSポリシー81に基づき携帯電話機能へのアクセスを可能にするようにポリシーが交換されるため、許可は必要である。サードパーティ80は、これらのQoSポリシーを決定し、高い周波数帯域、少ない遅延、マルチモーダルフローサポート等のネゴシエーションのために携帯電話に送信する。アプリケーション511~51nは、バーチャル店舗(ストアフロント)510で提供される。各アプリケーション511~51nは、先行のローカルのユーザ装置11~13に対応する調整部561と、後続の遠隔のユーザ装置21~23に対応する調整部562と関連する。これらの調整部561,562は、対応するユーザ装置の設定、センサ及びアクチュエータ、関連するHAVデータフローを管理する。
【0034】
外部のレンダリングマシン71及びAI予測マシン72が、演算能力を用いて、プラットフォーム50を支援する。この演算能力には、レンダリングや予測の他、バーチャル店舗510内のアプリケーション511~51nのために、プラットフォーム50のオペレーションを支援し、高いレベルのQoEを保証する他のAIサービス等が含まれる。
【0035】
図7は、HAVマルチモーダル通信プラットフォームにおけるポリシーの定義及び取り扱いについて説明する図である。図7に示すポリシーは、調整情報を含む。このポリシーは、複数の部分(a)~(c)を含む。部分(a)は、ユーザ装置の情報と、関連するHAVフローを含む。部分(b)は、携帯電話ネットワークから提供される、5Gのハンドリング情報と、トリガーイベントを含む。部分(c)は、データフローの情報と、関連するHAVフローを含む。さらに、調整の支援は、HAVマルチモーダル通信に関連する携帯電話ネットワークから提供される。このポリシーは、サードパーティによって設定され、携帯電話ネットワークのプロバイダへ送信される。アプリケーションは、これらのQoS設定を用いてサードパーティのプロバイダによって支援される。また、アプリケーションは、最適なQoE性能のために、独立して複数のユーザ装置の間の他の調整を開始してもよい。
【0036】
図8は、HAVマルチモーダル通信プラットフォームにおけるポリシーの取り扱いを説明する図である。図8には、サードパーティ80、認証部83、マスターオペレータドメイン管理部84、QoS管理部85、先行のローカルのユーザ装置11、及び、後続の遠隔のユーザ装置21が示されている。
【0037】
ステップS1でサードパーティ80は、認証要求を、携帯電話プロバイダの認証部83に送信する。ステップS2では、認証部83が、サードパーティ80の認証を行い、請求及び会計処理を行う。ステップS3では、認証部83は、認証応答をサードパーティ80に送信する。
【0038】
ステップS4では、サードパーティ80は、QoSポリシーを定義する。ステップS5では、サードパーティ80は、ポリシー要求を、マスターオペレータドメイン管理部84に送信する。マスターオペレータドメイン管理部84は、ポリシー要求を受信すると、ステップS6でQoS予約要求をQoS管理部85に送信する。
【0039】
QoS管理部85は、QoS予約要求を受信すると、ステップS7でQoS有効化信号をユーザ装置11に送信し、ステップS8でQoS有効化信号をユーザ装置21に送信する。ユーザ装置11は、QoS有効化信号を受信すると、ステップS9でQoSを起動し、ステップS10で確認応答をQoS管理部85に送信する。ユーザ装置21は、QoS有効化信号を受信すると、ステップS11でQoSを起動し、ステップS12で確認応答をQoS管理部85に送信する。QoS管理部85は、ユーザ装置11及びユーザ装置21から確認応答を受信すると、ステップS13で、ユーザ装置11及びユーザ装置21においてQoSが起動された旨を示すQoS予約応答をサードパーティ80に送信する。
【0040】
ステップS14では、ユーザ装置11がQoSデータをQoS管理部85に送信する。ステップS15では、ユーザ装置21がQoSデータをQoS管理部85に送信する。QoS管理部85は、ユーザ装置11及びユーザ装置21からQoSデータを受信すると、ステップS16でこれらのQoSデータの状態を示すQoS状態情報を、サードパーティ80に送信する。ステップS17では、サードパーティ80が、QoS状態情報に基づき、QoSを監視する。
【0041】
図9は、HAVマルチモーダル通信プラットフォーム50が実行する処理の一例を示す図である。
【0042】
ステップS20では、プラットフォーム50が、アプリケーションを開始する。ステップS21では、プラットフォーム50は、QoSポリシーが生成されているか否か判定する。QoSポリシーが生成されていると判定された場合(YES)、ステップS23に処理が分岐する。一方、ポリシーが生成されていない判定された場合(NO)、プラットフォーム50は、ユーザの指示に従い、ステップS22でQoSポリシーを生成する。なお、予め既定のQoSポリシーを用意してもよい。QoSポリシーは、特定のネットワークサービスに関連する通信データの転送の優先順位を規定することができる。例えば、遠隔制御に関するアプリケーション、ゲームに関するアプリケーション、マルチメディアに関するアプリケーションが使用する通信データの転送を優先することができる。
【0043】
ステップS23では、プラットフォーム50は、QoSポリシーの承認要求及びQoSポリシーを、サービスプロバイダの管理装置に送信する。ステップS24では、プラットフォーム50は、サービスプロバイダの管理装置からの応答に基づき、送信したQoSポリシーが承認されたか否か判定する。QoSポリシーが承認されなかったと判定した場合(NO)、ステップS25でプラットフォーム50は、代わりのネットワークサービスプロバイダを選択する。一方、QoSポリシーが承認されたと判定した場合(YES)、ステップS26に処理が分岐する。
【0044】
ステップS26では、プラットフォーム50は、QoSサービスをアプリケーションに提供する。ステップS27では、プラットフォーム50は、QoSサービスが終了したか否か判定する。QoSサービスが終了していないと判定した場合(NO)、ステップS26に処理が戻る。一方、QoSサービスが終了したと判定した場合(YES)、ステップS28でプラットフォーム50は、QoS予約終了通知を、ネットワークサービスプロバイダの管理装置に送信し、ステップS20に処理が戻る。
【0045】
図10は、ネットワークサービスプロバイダの管理装置が実行する処理の一例を示す図である。
【0046】
ステップS30では、管理装置がQoSサービスを提供する。ステップS31では、管理装置は、プラットフォーム50からQoSポリシーの承認要求を受信したか否か判定する。QoSポリシーの承認要求を受信していない場合(NO)、ステップS31の処理が再び実行される。一方、QoSポリシーの承認要求を受信した場合(YES)、ステップS32に処理が分岐する。
【0047】
ステップS32では、管理装置は、QoSポリシーの承認要求と共に受信したQoSポリシーが承認されたか否か判定する。QoSポリシーは、ネットワークサービスプロバイダの管理装置のユーザが承認することができる。また、管理装置が、予め用意された承認可能なQoSポリシーの情報に基づき、QoSポリシーの承認要求と共に受信したQoSポリシーが承認可能なものであるか否か判定することもできる。
【0048】
QoSポリシーが承認されなかったと判定した場合(NO)、ステップS31に処理が戻る。一方、QoSポリシーが承認されたと判定した場合(YES)、ステップS33で管理装置は、QoSを予約する。ステップS34では、管理装置は、QoSレポートをプラットフォーム50に送信する。ステップS35では、管理装置は、プラットフォーム50からQoS予約終了通知を受信したか否か判定する。QoS予約終了通知を受信していない場合(NO)、ステップS34に処理が戻る。一方、QoS予約終了通知を受信した場合(YES)、ステップS30に処理が戻る。
【0049】
図11は、HAVマルチモーダル通信プラットフォーム50が実行する処理の他の例を示す図である。
【0050】
ステップS40では、プラットフォーム50が、送信側の通信装置を用いて提供されたネットワークサービスに対するユーザの満足度である第1のQoEと、受信側の通信装置を用いて提供されたネットワークサービスに対するユーザの満足度である第2のQoEとを取得する。ステップS41では、プラットフォーム50は、第1のQoEに基づく第1のスコアと、第2のQoEに基づく第2のスコアを算出する。
【0051】
ステップS42では、プラットフォーム50は、第1のスコアと第2のスコアが同じであるか否か判定する。第1のスコアと第2のスコアが同じであると判定された場合(YES)、ステップS43に処理が分岐する。ステップS43では、プラットフォーム50が、HAVサービスが終了したか否か判定する。HAVサービスが終了していないと判定した場合(NO)、ステップS40に処理が戻る。一方、HAVサービスが終了したと判定した場合(YES)、図11の処理が終了する。
【0052】
ステップS42において第1のスコアと第2のスコアが異なると判定された場合(NO)、ステップS44に処理が分岐する。ステップS44では、プラットフォーム50が、HAVサービスが終了したか否か判定する。HAVサービスが終了したと判定した場合(YES)、図11の処理が終了する。一方、HAVサービスが終了していないと判定した場合(NO)、ステップS45でプラットフォーム50が、通信経路を変更し、ステップS40に処理が戻る。
【0053】
図12は、HAVマルチモーダル通信プラットフォーム50が実行する処理の他の例を示す図である。
【0054】
ステップS50では、プラットフォーム50が、ODDの種類が既定の重要なODDであるか否か判定する。既定の重要なODDには、例えば、遠隔医療のODD、車両の遠隔制御のODDが含まれる。既定の重要なODD以外のODDには、トレーニングのODDが含まれる。
【0055】
ODDの種類が既定の重要なODDでないと判定した場合(NO)、図12の処理が終了する。一方、ODDの種類が既定の重要なODDであると判定した場合(YES)、ステップS51でプラットフォーム50が、ODD境界が設定されているか否か判定する。ODD境界は、認定プログラムの一部であり、アプリケーション、ネットワークサービス、又はデータフローの種類によって異なる。
【0056】
ODD境界が設定されていると判定された場合(YES)、ステップS53に処理が分岐する。一方、ODD境界が設定されていないと判定された場合(NO)、ステップS52で管理装置が、ODD境界を設定する。管理装置は、各ネットワークサービスの安全に関する要件に基づいて、ODD境界を設定することができる。この要件は、データベース内のシステムの証明書として予め保存される。
【0057】
ステップS53では、プラットフォーム50は、アプリケーションの種類に基づいて、ODDを実行すべきか否か判定する。具体的には、プラットフォーム50は、ユーザが使用するアプリケーションが既定のアプリケーションである場合、ODDを実行すべきであると判定する。既定のアプリケーションは、例えば、ユーザの生命に関わるようなアプリケーションである。ODDを実行すべきでないと判定した場合(NO)、図12の処理が終了する。一方、ODDを実行すべきと判定した場合(YES)、ステップS54でプラットフォーム50が、ウォッチドッグを開始し、図12の処理が終了する。
【0058】
図13は、先行側(ローカル)におけるマルチモーダルHAVプラットフォームのサービス構成を示す図である。このサービス構成は、スタートページ/メニューと、アプリケーション設定情報(コンフィグレーション)と、ポリシー設定情報と、QoE/QoS設定情報と、ODD設定情報とを含む。
【0059】
スタートページ/メニューは、遠隔医療、モビリティ及びトレーニング等のアプリケーションのカテゴリーを含む。各カテゴリーには、関連するアプリケーション、例えば、現在のアプリケーション及び代替のアプリケーション等が含まれる。
【0060】
また、スタートページ/メニューは、QoS指標と、QoE指標と、QoSレベル情報と、QoEレベル情報と、選択されたネットワークの指標と、先行の装置の設定情報と、後続の装置の設定情報とを含む。先行の装置の設定情報は、現在の先行の装置のハードウェア/ソフトウェアの設定情報である。後続の装置の設定情報は、現在の後続の装置のハードウェア/ソフトウェアの設定情報である。
【0061】
さらに、アプリケーションに関連する情報、例えば、ハードウェア/ソフトウェア設定情報、装置、センサ、アクチュエータに関する情報が、アプリケーション設定情報として登録される。さらに、要求されるシステム及びプラットフォームの設定に関するポリシーの設定情報が、ポリシー設定情報として登録される。さらに、QoS及びQoEに関連する情報が、QoS及びQoE設定情報として登録される。さらに、ODDに関連する設定情報及び認証情報が、ODD設定情報として登録される。
【0062】
図14は、後続側(リモート)におけるマルチモーダルHAVプラットフォームのサービス構成を示す図である。このサービス構成は、スタートページ/メニューと、アプリケーション設定情報(コンフィグレーション)と、QoE/QoS設定情報と、ODD設定情報とを含む。スタートページ/メニューは、現在のアクティブなアプリケーションを含む。このアプリケーションは、先行の装置において制御されているアプリケーションである。アプリケーションは、QoS指標と、QoE指標と、選択されたネットワークの指標と、ODD指標と、先行の装置の設定情報と、後続の装置の設定情報を示す。関連するシステムの設定及び情報が、アプリケーション設定情報として設定される。QoS及びQoEに関連する情報が、QoS及びQoE設定情報として登録される。さらに、ODDに関連する設定情報及び認証情報が、ODD設定情報として登録される。
【0063】
図15は、例示的な一実施形態に係る通信システム100が有する主要な構成要素を示す図である。通信システム100は、管理装置90と、第1の通信装置110と、第2の通信装置120とを含む。管理装置90は、HAVマルチモーダル通信プラットフォームに相当する。第1の通信装置110は、ユーザ装置11に相当する。第2の通信装置120は、ユーザ装置21に相当する。管理装置90、第1の通信装置110及び第2の通信装置120は、ネットワーク130を介して、相互にデータ通信をすることができる。ネットワーク130は、携帯電話ネットワークやインターネット等の広域ネットワークである。管理装置90は、スコア算出部911と、スコア判定部912と、通信経路変更部913とを含む。
【0064】
図16は、例示的な一実施形態に係る管理装置90の構成を示す図である。管理装置90の具体例として、サーバ等の情報処理装置が挙げられる。管理装置90は、演算装置91と、通信インタフェース(I/F)92と、記憶装置93とを備える。
【0065】
演算装置91は、管理装置90の全体制御を行う装置である。演算装置91の具体例としては、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の種々のプロセッサ等の集積回路が挙げられる。なお、演算装置91が実行するプログラムを、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の集積回路が実行してもよい。
【0066】
通信インタフェース92は、外部装置とデータを通信する装置である。記憶装置93は、演算装置91が実行するプログラム、演算装置91が処理する情報等のデータが保存される。
【0067】
演算装置91は、アプリケーション910と、スコア算出部911と、スコア判定部912と、通信経路変更部913とを実行する。
【0068】
アプリケーション910は、種々のネットワークサービスを提供するプログラムである。アプリケーション910が提供するネットワークサービスには、遠隔医療に関するネットワークサービス、機械又は設備の遠隔操作に関するネットワークサービス、車両等の移動体装置の遠隔操作に関するネットワークサービス、ゲームやメタバース等の複合現実又は仮想現実に関するネットワークサービスが含まれる。
【0069】
スコア算出部911は、第1の通信装置110を用いて提供されたネットワークサービスに対するユーザの満足度(QoE)を示す第1のスコアと、第2の通信装置120を用いて提供されたネットワークサービスに対するユーザの満足度(QoE)を示す第2のスコアを算出するプログラムである。具体的には、スコア算出部911は、通信データに対する複数のユーザのそれぞれの満足度を示す指標値の平均値を、第1のスコア及び第2のスコアとして算出することができる。この指標値は、ユーザが、種々の主観評価法に基づいて決定することができる。例えば、スコア算出部911は、第1の通信装置110を用いて提供されたネットワークサービスに関連する音声データ、映像データ及び/又は触覚データに対する複数のユーザのそれぞれが決定した指標値の平均値を、第1のスコアとして算出することができる。また、スコア算出部911は、第2の通信装置120を用いて提供されたネットワークサービスに関連する音声データ、映像データ及び/又は触覚データに対する複数のユーザのそれぞれが決定した指標値の平均値を、第2のスコアとして算出することができる。
【0070】
スコア判定部912は、第1のスコアと第2のスコアが同じであるか否か判定するプログラムである。
【0071】
通信経路変更部913は、第1のスコアと第2のスコアが異なると判定された場合に、管理装置90からネットワーク130を介して第1の通信装置110へ転送される第1の通信データの通信経路、又は、第1の通信装置110からネットワーク130を介して第2の通信装置120へ転送される第2の通信データの通信経路を変更するプログラムである。
【0072】
具体的には、第1のスコアが第2のスコアよりも低い場合、換言すると、第1の通信装置110のユーザの満足度が、第2の通信装置120のユーザの満足度よりも低い場合、通信経路変更部913は、ネットワーク130における既定の通信品質を充たす通信経路を示す経路情報に基づき、管理装置90からネットワーク130を介して第1の通信装置110へ転送される第1の通信データの通信経路を、経路情報が規定する通信経路に変更する。
【0073】
既定の通信品質を充たす通信経路を示す経路情報は、ネットワーク130の通信状況を監視する装置(図示せず)が、管理装置90に提供することができる。既定の通信品質を充たす通信経路は、例えば、ベストエフォートに基づいて選択された通信経路、既定のサービス品質保証(SLA:Service Level Agreement)に合致する通信経路等である。経路情報が示す通信経路には、管理装置90からネットワーク130を介した第1の通信装置110への通信経路と、第1の通信装置110からネットワーク130を介した第2の通信装置120への通信経路が含まれる。
【0074】
管理装置90は、通信経路変更部913によって変更された通信経路を介して、第1の通信装置110へ、アプリケーション910によるネットワークサービスに関連する通信データを送信する。
【0075】
また、第2のスコアが第1のスコアよりも低い場合、換言すると、第2の通信装置120のユーザの満足度が、第1の通信装置110のユーザの満足度よりも低い場合、通信経路変更部913は、ネットワーク130における既定の通信品質を充たす通信経路を示す経路情報に基づき、第1の通信装置110からネットワーク130を介して第2の通信装置120へ転送される第2の通信データの通信経路を、経路情報が規定する通信経路に変更する。通信経路変更部913は、変更された通信経路の情報を第1の通信装置110に送信する。第1の通信装置110は、管理装置90から受信した変更された通信経路の情報に基づき、第1の通信装置110からネットワーク130を介して第2の通信装置120へ、アプリケーション910によるネットワークサービスに関連する通信データを送信する。
【0076】
この構成を採用することにより、第1の通信装置を用いて提供されたネットワークサービスに対するユーザの満足度と、第2の通信装置を用いて提供されたネットワークサービスに対するユーザの満足度が異なる場合、第1の通信データの通信経路、又は第2の通信データの通信経路が、既定の通信品質を充たす通信経路に変更される。これにより、通信品質を充たす通信経路を介して通信データが転送されるため、ネットワークサービスに対するユーザの満足度を高めることができる。
【0077】
また、通信経路変更部913は、第1のスコアが第2のスコアよりも低いと判定された場合、第1の通信データの通信経路を、経路情報が規定する通信経路に変更する。これにより、第1の通信データが、通信品質を充たす通信経路を介して転送されるため、第1の通信装置を用いて提供されたネットワークサービスに対するユーザの満足度を高めることができる。
【0078】
さらに、通信経路変更部913は、第2のスコアが第1のスコアよりも低いと判定された場合、第2の通信データの通信経路を、経路情報が規定する通信経路に変更する。これにより、第2の通信データが、通信品質を充たす通信経路を介して転送されるため、第2の通信装置を用いて提供されたネットワークサービスに対するユーザの満足度を高めることができる。
【0079】
上述の例において、プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disk(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、又はその他の形式の伝搬信号を含む。プロセッサ及びサーバは、コンピュータに相当する。
【0080】
本開示は、上述した実施形態に限られたものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、図16に示す管理装置90が備えるプログラムを、複数の個別の情報処理装置が実行してもよい。換言すると、複数の個別の情報処理装置を含むシステムが、管理装置90が備えるプログラムを含み得る。
【符号の説明】
【0081】
1 先行システム
2 後続システム
10 送信装置
11 ユーザ装置
12 ユーザ装置
13 ユーザ装置
20 バッファ
21 ユーザ装置、受信装置
22 ユーザ装置
23 ユーザ装置
50 HAVマルチモーダル通信プラットフォーム
510 バーチャル店舗
51 アプリケーション
511 アプリケーション
512 アプリケーション
51n アプリケーション
52 セッションエンジン
53 QoEアシスタント
54 QoEエンジン
56 調整部
561 調整部
562 調整部
57 ODDウォッチドッグクライアント
60 携帯電話システム
61 ODDウォッチドッグ
62 サービスフロー管理部
63 ポリシー予約部
70 サポートエンジン
71 レンダリングマシン
72 AI予測マシン
80 サードパーティ
81 QoSポリシー
83 認証部
84 マスターオペレータドメイン管理部
85 QoS管理部
100 通信システム
110 第1の通信装置
120 第2の通信装置
130 ネットワーク
90 管理装置
91 演算装置
92 通信インタフェース
93 記憶装置
910 アプリケーション
911 スコア算出部
912 スコア判定部
913 通信経路変更部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16