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特開2024-14701マスクと支持部との連結体及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014701
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】マスクと支持部との連結体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/04 20060101AFI20240125BHJP
   C25D 1/10 20060101ALI20240125BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240125BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240125BHJP
   H10K 71/16 20230101ALI20240125BHJP
【FI】
C23C14/04 A
C25D1/10
H10K50/10
H10K59/10
H10K71/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061762
(22)【出願日】2023-04-05
(31)【優先権主張番号】10-2022-0091157
(32)【優先日】2022-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0097125
(32)【優先日】2022-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0097839
(32)【優先日】2022-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0120077
(32)【優先日】2022-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0163155
(32)【優先日】2022-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0012920
(32)【優先日】2023-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523128645
【氏名又は名称】オラム マテリアル コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Olum Material Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】テーク ヨン チャン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン ホ リー
(72)【発明者】
【氏名】フィ ス キム
(72)【発明者】
【氏名】ドン ジン リー
(72)【発明者】
【氏名】ビュン イル リー
【テーマコード(参考)】
3K107
4K029
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC33
3K107CC35
3K107CC45
3K107DD14
3K107FF04
3K107FF15
3K107FF17
3K107GG04
3K107GG33
4K029AA06
4K029AA24
4K029BA62
4K029BB03
4K029BD01
4K029CA01
4K029HA02
4K029HA03
4K029HA04
4K029JA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】マスクと支持部との連結体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明によるマスクと支持部との連結体10は、半導体ウェーハ上にOLED画素を形成する工程に使われるマスク20と支持部30との連結体であって、フレーム部31及びグリッド部33、35を含む支持部;支持部上に連結され、マスクパターンが形成された複数のセル部Cを含むマスク;を含むことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェーハ上にOLED画素を形成する工程に使われるマスクと支持部との連結体であって、
フレーム部及びグリッド部を含む支持部と、
前記支持部上に連結され、マスクパターンが形成された複数のセル部を含むマスクと、
を含む、マスクと支持部との連結体。
【請求項2】
前記グリッド部の厚さは、前記フレーム部よりも薄い、請求項1に記載のマスクと支持部との連結体。
【請求項3】
前記支持部及び前記マスクは、円形状を有し、
前記グリッド部は、第1方向に延設され、両端が前記フレーム部に連結される複数の第1グリッド部と、
前記第1方向と異なる第2方向に延設されて、前記第1グリッド部と交差し、両端が前記フレーム部に連結される複数の第2グリッド部と、
を含む、請求項1に記載のマスクと支持部との連結体。
【請求項4】
前記マスクは、
前記フレーム部上に連結されるダミー部と、
前記ダミー部よりも前記マスクの中心部に配され、複数のマスクパターンを含む前記複数のセル部と、
前記ダミー部よりも前記マスクの中心部に配され、前記複数のセル部の間に配される区画部と、を含み、
前記区画部は、前記グリッド部上に支持される、請求項3に記載のマスクと支持部との連結体。
【請求項5】
前記支持部は、シリコンウェーハから形成されたものであり、
前記マスクは、前記シリコンウェーハ上で電鋳メッキで形成された、請求項3に記載のマスクと支持部との連結体。
【請求項6】
前記支持部と前記マスクとの間にNi及びSiを含む連結部、またはFe、Ni及びSiを含む連結部が介在された、請求項5に記載のマスクと支持部との連結体。
【請求項7】
前記支持部と前記マスクとの間にNi、Cu、Au、Ag、Al、Sn、In、Bi、Zn、Sb、Ge、Cdのうち少なくとも何れか1つを含む連結部が介在された、請求項5に記載のマスクと支持部との連結体。
【請求項8】
前記マスクは、インバー、スーパーインバー、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)のうち少なくとも何れか1つの材質である、請求項1に記載のマスクと支持部との連結体。
【請求項9】
前記マスクは、異なる材質の第1マスク層及び第2マスク層を含み、
前記第1マスク層は、Ni、Cu、Au、Ag、Al、Co、Ti、Cr、W、Moのうち少なくとも何れか1つを含む材質であり、前記第2マスク層は、インバーまたはスーパーインバー材であり、
前記第1マスク層が、前記支持部と前記マスクとの間で連結を媒介する、請求項1に記載のマスクと支持部との連結体。
【請求項10】
前記シリコンウェーハの(100)面または(111)面の結晶方向と、前記第1グリッド部または第2グリッド部の長手方向と、が平行ではない、請求項5に記載のマスクと支持部との連結体。
【請求項11】
前記マスクは、
前記フレーム部上に連結されるダミー部と、
前記ダミー部よりも前記マスクの中心部に配され、複数のマスクパターンを含む前記複数のセル部と、を含み、
それぞれの前記セル部の間にスリットラインが形成されて前記セル部が離隔配置された、請求項3に記載のマスクと支持部との連結体。
【請求項12】
前記フレーム部及び前記グリッド部は、テーパー状の側面を含む、請求項5に記載のマスクと支持部との連結体。
【請求項13】
前記支持部の表面抵抗は、5X10-4~1X10-2ohm・cmである、請求項5に記載のマスクと支持部との連結体。
【請求項14】
前記ダミー部は、前記ダミー部を貫通するように形成されるか、前記ダミー部上で所定の深さに形成された複数のダミーパターンを含む複数のダミーセル部を含む、請求項4に記載のマスクと支持部との連結体。
【請求項15】
半導体ウェーハ上にOLED画素を形成する工程に使われるマスクと支持部との連結体の製造方法であって、
(a)第1面及び前記第1面の反対面である第2面を含み、導電性基板である支持部を準備する段階と、
(b)前記支持部の前記第1面上で電鋳メッキ方式でマスクを形成する段階と、
(c)前記支持部及び前記マスクを熱処理する段階と、
(d)前記支持部の前記第2面上で前記支持部をエッチングしてフレーム部及びグリッド部を形成する段階と、
を含む、マスクと支持部との連結体の製造方法。
【請求項16】
前記(a)段階と前記(b)段階との間に、
(a2)Ni、Cu、Au、Ag、Al、Sn、In、Bi、Zn、Sb、Ge、Cdのうち少なくとも何れか1つの材質を含む連結部を形成する段階をさらに含み、
前記(b)段階で、前記連結部上で電鋳メッキ方式で前記マスクを形成する、請求項15に記載のマスクと支持部との連結体の製造方法。
【請求項17】
前記(c)段階の熱処理後、Ni及びSiを含む連結部、またはFe、Ni及びSiを含む連結部が介在されて、前記支持部と前記マスクとが連結される、請求項15に記載のマスクと支持部との連結体の製造方法。
【請求項18】
前記(c)段階の熱処理は、200~800℃で行う、請求項15に記載のマスクと支持部との連結体の製造方法。
【請求項19】
前記(c)段階と前記(d)段階との間に、
(c2)前記支持部の第2面上で少なくとも前記グリッド部が形成される領域の厚さを減縮する段階をさらに含む、請求項15に記載のマスクと支持部との連結体の製造方法。
【請求項20】
半導体ウェーハ上にOLED画素を形成する工程に使われるマスクと支持部との連結体であって、
フレーム部;第1方向に延設され、両端が前記フレーム部に連結される複数の第1グリッド部;前記第1方向と異なる第2方向に延設されて、前記第1グリッド部と交差し、両端が前記フレーム部に連結される複数の第2グリッド部;を含み、円形状を有する支持部と、
前記支持部上に連結され、マスクパターンが形成された複数のセル部を含み、円形状を有するマスクと、
前記支持部と前記マスクとの間で連結を媒介する連結部と、を含み、
前記支持部は、シリコンウェーハから形成されたものであり、前記マスクは、前記シリコンウェーハ上に電鋳メッキで形成されたものであり、
前記連結部は、下記の(1)ないし(3)のうち何れか1つを含み、
(1)Ni及びSi;
(2)Fe、Ni及びSi;
(3)Ni、Cu、Au、Ag、Al、Sn、In、Bi、Zn、Sb、Ge、Cdのうち少なくとも何れか1つ;
前記マスクは、インバー、スーパーインバー、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)のうち少なくとも何れか1つの材質である、マスクと支持部との連結体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクと支持部との連結体及びその製造方法に係り、より詳細には、半導体ウェーハ上への画素形成時に使用し、超高解像度のマスクパターンを精密に形成することができるマスクと支持部との連結体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
OLED製造工程で画素を形成する技術として、薄膜の金属マスク(Shadow Mask)を基板に密着させて所望の位置に有機物を蒸着するFMM(Fine Metal Mask)法が主に使われる。
【0003】
既存のOLED製造工程では、マスク薄膜を製造した後、マスクをOLED画素蒸着フレームに溶接固定させて使用するが、固定させる過程で大面積マスクの整列がうまくいかないという問題点があった。また、フレームに溶接固定する過程でマスク膜の厚さが過度に薄く、大面積であるために、荷重によってマスクが垂れるか、捻じられるという問題点があった。
【0004】
超高画質のOLED製造工程では、1μm以下の微細な整列の誤差も画素蒸着の失敗に繋がるので、マスクが垂れるか、捻じれるなどの変形を防止し、整列を明確にする技術などの開発が必要な実情である。
【0005】
一方、最近、VR(virtual reality)機器に適用されるマイクロディスプレイ(micro display)が注目されている。マイクロディスプレイは、VR機器でユーザの目の前で映像を示すために、既存のディスプレイよりもさらに小さな画面サイズを有しながらも、小さな画面内で高画質を具現しなければならない。したがって、既存の超高画質のOLED製造工程に使われるマスクよりも小型のマスクパターンと、画素蒸着工程前にマスクのさらに微細な整列と、が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、前記のような従来技術の諸問題点を解決するために案出されたものであって、マイクロディスプレイの超高画質画素を具現することができるマスクと支持部との連結体及びその製造方法を提供することをその目的とする。
【0007】
また、本発明は、マスクの整列を明確にして画素蒸着の安定性を向上させうるマスクと支持部との連結体及びその製造方法を提供することをその目的とする。
【0008】
しかし、このような課題は、例示的なものであって、これにより、本発明の範囲が限定されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の前記の目的は、半導体ウェーハ上にOLED画素を形成する工程に使われるマスクと支持部との連結体であって、フレーム部及びグリッド部を含む支持部;前記支持部上に連結され、マスクパターンが形成された複数のセル部を含むマスク;を含むマスクと支持部との連結体によって達成される。
【0010】
前記グリッド部の厚さは、前記フレーム部よりも薄い。
【0011】
前記支持部及び前記マスクは、円形状を有し、前記グリッド部は、第1方向に延設され、両端が前記フレーム部に連結される複数の第1グリッド部;前記第1方向と異なる第2方向に延設されて、前記第1グリッド部と交差し、両端が前記フレーム部に連結される複数の第2グリッド部;を含みうる。
【0012】
前記マスクは、前記フレーム部上に連結されるダミー部;前記ダミー部よりも前記マスクの中心部に配され、複数のマスクパターンを含む前記複数のセル部;前記ダミー部よりも前記マスクの中心部に配され、前記複数のセル部の間に配される区画部;を含み、前記区画部は、前記グリッド部上に支持される。
【0013】
前記支持部は、シリコンウェーハから形成されたものであり、前記マスクは、前記シリコンウェーハ上に電鋳メッキ(electroforming)で形成されたものである。
【0014】
前記支持部と前記マスクとの間にNi及びSiを含む連結部、またはFe、Ni及びSiを含む連結部が介在される。
【0015】
前記支持部と前記マスクとの間にNi、Cu、Au、Ag、Al、Sn、In、Bi、Zn、Sb、Ge、Cdのうち少なくとも何れか1つを含む連結部が介在される。
【0016】
前記マスクは、インバー(Invar)、スーパーインバー(Super Invar)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)のうち少なくとも何れか1つの材質である。
【0017】
前記マスクは、異なる材質の第1マスク層及び第2マスク層を含み、前記第1マスク層は、Ni、Cu、Au、Ag、Al、Co、Ti、Cr、W、Moのうち少なくとも何れか1つを含む材質であり、前記第2マスク層は、インバーまたはスーパーインバー材であり、前記第1マスク層が、前記支持部と前記マスクとの間で連結を媒介することができる。
【0018】
前記シリコンウェーハの(100)面または(111)面の結晶方向と、前記第1グリッド部または第2グリッド部の長手方向と、が平行ではない。
【0019】
前記マスクは、前記フレーム部上に連結されるダミー部;前記ダミー部よりも前記マスクの中心部に配され、複数のマスクパターンを含む前記複数のセル部;を含み、それぞれの前記セル部の間にスリットラインが形成されて前記セル部が離隔して配置される。
【0020】
前記フレーム部及び前記グリッド部は、テーパー(taper)状の側面を含みうる。
【0021】
前記支持部の表面抵抗は、5X10-4~1X10-2ohm・cmである。
【0022】
前記ダミー部は、前記ダミー部を貫通するように形成されるか、前記ダミー部上で所定の深さに形成された複数のダミーパターンを含む複数のダミーセル部を含みうる。
【0023】
そして、本発明の前記の目的は、半導体ウェーハ上にOLED画素を形成する工程に使われるマスクと支持部との連結体の製造方法であって、(a)第1面及び前記第1面の反対面である第2面を含み、導電性基板である支持部を準備する段階;(b)前記支持部の前記第1面上で電鋳メッキ方式でマスクを形成する段階;(c)前記支持部及び前記マスクを熱処理する段階;(d)前記支持部の前記第2面上で前記支持部をエッチングしてフレーム部及びグリッド部を形成する段階;を含むマスクと支持部との連結体の製造方法によって達成される。
【0024】
前記(a)段階と前記(b)段階との間に、(a2)Ni、Cu、Au、Ag、Al、Sn、In、Bi、Zn、Sb、Ge、Cdのうち少なくとも何れか1つの材質を含む連結部を形成する段階をさらに含み、前記(b)段階で、前記連結部上で電鋳メッキ方式で前記マスクを形成しうる。
【0025】
前記(c)段階の熱処理後、Ni及びSiを含む連結部、またはFe、Ni及びSiを含む連結部が介在されて、前記支持部と前記マスクとが連結される。
【0026】
前記(c)段階の熱処理は、200~800℃で行うことができる。
【0027】
前記(c)段階と前記(d)段階との間に、(c2)前記支持部の第2面上で少なくとも前記グリッド部が形成される領域の厚さを減縮する段階をさらに含みうる。
【0028】
そして、本発明の前記の目的は、半導体ウェーハ上にOLED画素を形成する工程に使われるマスクと支持部との連結体であって、フレーム部;第1方向に延設され、両端が前記フレーム部に連結される複数の第1グリッド部;前記第1方向と異なる第2方向に延設されて、前記第1グリッド部と交差し、両端が前記フレーム部に連結される複数の第2グリッド部;を含み、円形状を有する支持部;前記支持部上に連結され、マスクパターンが形成された複数のセル部を含み、円形状を有するマスク;前記支持部と前記マスクとの間で連結を媒介する連結部;を含み、前記支持部は、シリコンウェーハから形成されたものであり、前記マスクは、前記シリコンウェーハ上に電鋳メッキで形成されたものであり、前記連結部は、下記の(1)ないし(3)のうち何れか1つを含み、(1)Ni及びSi;(2)Fe、Ni及びSi;(3)Ni、Cu、Au、Ag、Al、Sn、In、Bi、Zn、Sb、Ge、Cdのうち少なくとも何れか1つ;前記マスクは、インバー、スーパーインバー、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)のうち少なくとも何れか1つの材質であるマスクと支持部との連結体によって達成される。
【発明の効果】
【0029】
前記のように構成された本発明によれば、マイクロディスプレイの超高画質画素を具現することができる。
【0030】
また、本発明によれば、マスクの整列を明確にして画素蒸着の安定性を向上させうる。
【0031】
また、本発明によれば、マスクのあらゆる部分で均一なストレスレベルを有させる。
【0032】
もちろん、このような効果によって、本発明の範囲が限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施形態によるマスクと支持部との連結体を示す概略図である。
図2図1のA-A’の概略側断面図である。
図3】本発明の一実施形態によるマスクを示す概略平面図及びE-E’の概略側断面図である。
図4】本発明の一実施形態による支持部を示す概略平面図である。
図5】本発明の第1実施形態によるマスクと支持部との連結体の製造過程を示す概略図である。
図6】本発明の第1実施形態によるマスクと支持部との連結体の製造過程を示す概略図である。
図7】本発明の第1実施形態によるマスクと支持部との連結体の製造過程を示す概略図である。
図8】本発明の第1実施形態によるマスクと支持部との連結体の製造過程を示す概略図である。
図9】本発明の第1実施形態によるマスクと支持部との連結体の製造過程を示す概略図である。
図10】本発明の第1実施形態によるマスクと支持部との連結体の製造過程を示す概略図である。
図11】本発明の第1実施形態によるマスクと支持部との連結体の製造過程を示す概略図である。
図12】本発明の他の実施形態によるマスクを示す概略平面図及びE-E’/F-F’の概略側断面図である。
図13】本発明の他の実施形態による支持部を示す概略平面図である。
図14】本発明の第2実施形態によるマスクと支持部との連結体の製造過程を示す概略図である。
図15】本発明の第2実施形態によるマスクと支持部との連結体の製造過程を示す概略図である。
図16】本発明の第2実施形態によるマスクと支持部との連結体の製造過程を示す概略図である。
図17】本発明の第2実施形態によるマスクと支持部との連結体の製造過程を示す概略図である。
図18】本発明の第2実施形態によるマスクと支持部との連結体の製造過程を示す概略図である。
図19】本発明の第2実施形態によるマスクと支持部との連結体の製造過程を示す概略図である。
図20】本発明の第2実施形態によるマスクと支持部との連結体の製造過程を示す概略図である。
図21】本発明の第2実施形態によるマスクと支持部との連結体の製造過程を示す概略図である。
図22】本発明の他の実施形態によるマスクと支持部との連結体を示す概略図である。
図23】本発明の一実施形態によるスリットラインが形成されたマスクを示す概略平面図及びG-G’の概略側断面図である。
図24】本発明の一実施形態によるマスクと支持部との連結体を適用したOLED画素蒸着装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
後述する本発明についての詳細な説明は、本発明が実施される特定の実施形態を例示として図示する添付図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本発明を十分に実施可能なように詳しく説明される。本発明の多様な実施形態は、互いに異なるが、互いに排他的である必要はないということを理解しなければならない。例えば、ここに記載されている特定の形状、構造及び特性は、一実施形態に関連して、本発明の精神及び範囲を外れずに、他の実施形態として具現可能である。また、それぞれの開示された実施形態内の個別構成要素の位置または配置は、本発明の精神及び範囲を外れずに、変更可能であるということを理解しなければならない。したがって、後述する詳細な説明は、限定的な意味として取ろうとするものではなく、本発明の範囲は、適切に説明されるならば、その請求項が主張するところと均等なあらゆる範囲と共に、添付の請求項によってのみ限定される。図面で類似した参照符号は、多様な側面にわたって同一または類似した機能を称し、厚さ及び面積、厚さなどとその形態は、便宜上、誇張して表現されることもある。
【0035】
以下、当業者が本発明を容易に実施させるために、本発明の望ましい実施形態に関して添付図面を参照して詳しく説明する。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態によるマスクと支持部との連結体10を示す概略図である。図2は、図1のA-A’の概略側断面図である。図3は、本発明の一実施形態によるマスク20を示す概略平面図及びE-E’の概略側断面図である。図4は、本発明の一実施形態による支持部30を示す概略平面図である。
【0037】
最近、VR機器に適用されるマイクロディスプレイは、大面積の基板ではない、半導体ウェーハ、シリコンウェーハのような対象基板1900[図24参照]に対して画素蒸着工程を行うことができる。マイクロディスプレイは、画面がユーザの目の前に直ちに位置するので、大面積のサイズよりは、約1~2インチサイズ程度と小さな画面を有する。しかも、ユーザの目の前に近くに位置するために、解像度はさらに高く具現される必要がある。
【0038】
したがって、本発明は、一辺の長さが1,000mを超える大面積の対象基板に対する画素形成工程で使用するよりは、200mm、300mm、450mm級の半導体ウェーハ対象基板1900上で画素形成工程を進行するが、超高画質として画素を形成するマスクと支持部との連結体10及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0039】
例えば、現在、QHD画質の場合は、500~600PPI(pixel per inch)であって、画素のサイズが約30~50μmに至り、4K UHD、8K UHD高画質の場合は、これよりも高い~860PPI、~1600PPIなどの解像度を有する。VR機器に直接適用されるマイクロディスプレイ、またはVR機器に組み込んで使われるマイクロディスプレイは、約2,000PPI以上級の超高画質を目標としており、画素のサイズは、約5~10μm程度に至る。半導体ウェーハ、シリコンウェーハの場合、半導体工程から開発された技術を活用してガラス基板に比べて微小であり、精密な工程が可能なので、高解像度マイクロディスプレイの基板として採用されうる。本発明は、このような半導体ウェーハ上に画素を形成するマスクと支持部との連結体10であることを特徴とする。
【0040】
図1及び図2を参照すれば、本発明は、半導体ウェーハを対象基板1900[図24参照]として画素蒸着工程を行うために、マスク20が半導体ウェーハ(または、シリコンウェーハ)に対応する形状を有することを特徴とする。マスク20の形状が半導体ウェーハに対応するという意味は、マスク20が半導体ウェーハと同じサイズ及び形状を有するか、半導体ウェーハとサイズ及び形状は異なるが、少なくとも同軸を成し、マスクパターン(P)が半導体ウェーハの形状内に配される状態まで含むことを明らかにする。また、半導体ウェーハに対応する形状を有したマスク20は、フレームの役割を行う支持部30と一体に連結されてマスク整列を明確にすることを特徴とする。
【0041】
マスクと支持部との連結体10は、マスク20及び支持部30を含みうる。支持部30の一面上にマスク20が連結される。支持部30は、マスク20を支持するフレームとしての役割を行える。
【0042】
図1ないし図3を参照すれば、マスク20は、セル部(C)、区画部(SR)、ダミー部(DM)を含みうる。マスク20のうち、支持部30と接触されず、マスクパターン(P)が形成された部分をセル部(C)、セル部(C)の間に配される部分を区画部(SR)、支持部30に付着された部分をダミー部(DM)で示す。セル部(C)、区画部(SR)、円形ダミー部(DM)は、形成された位置によって名称と符号とを異なるように記載したが、セル部(C)、区画部(SR)とダミー部(DM)は、分離された領域ではなく、同じ材質を有し、一体に連結される構成である。言い換えれば、セル部(C)、区画部(SR)、円形ダミー部(DM)は、電鋳メッキ工程で同時に形成されるマスク20の各部分である。以下の説明で、セル部(C)、区画部(SR)、ダミー部(DM)は、マスク20と混用されて使われる。
【0043】
マスク20は、インバーまたはスーパーインバー材であることが望ましい。または、マスク20は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)など、またはこれらの組み合わせ、合金として電鋳メッキが可能であり、支持部30’[または、導電性基板30’、図7参照]のシリコン成分とシリサイドを形成する金属材とを含むこともある。または、マスク20は、3元系以上のCoを含むスーパーインバー材を含むこともある。マスク20は、円形の半導体ウェーハに対応するように円形状である。マスク20は、200mm、300mm、450mmなどの半導体ウェーハに相応するか、大きなサイズを有しうる。
【0044】
従来のマスクは、大面積基板に対応するように四角、多角状などの形態を有する。そして、このマスクに対応するようにフレームも、四角、多角状などの形態を有し、マスクが角部を含むので、エッジにストレス(stress)が集中されるという問題点が発生する恐れがある。ストレスが集中されれば、マスクの一部のみに他の力が作用するので、マスクの反りまたは歪が生じ、これは、画素整列の失敗に繋がる。特に、2,000PPI以上の超高画質では、マスクのエッジにストレスが集中されることを避けなければならない。
【0045】
したがって、本発明のマスク20は、円形状を有することによって、エッジを含まないことを特徴とする。すなわち、マスク20のダミー部(DM)が円形状にエッジを含まないこともある。エッジがないので、マスク20の特定の部分に他の力が作用する問題を解消することができ、円形枠に沿ってストレスが均一に分散される。これにより、マスク20の反りまたは歪が生じず、画素整列を明確にするのに寄与することができ、2,000PPI以上のマスクパターン(P)を具現できるという利点を有する。本発明は、熱膨張係数が低い円形の半導体ウェーハ(または、シリコンウェーハ)と、ストレスが枠に沿って均一に分散される円形のマスク20と、を対応させて画素蒸着工程を行うことによって、約5~10μm程度に至る画素を蒸着させうる。
【0046】
セル部(C)には、複数のマスクパターン(P)が形成されうる。マスクパターン(P)は、R、G、Bに対応する複数の画素パターン(P)である。マスクパターン(P)は、側部が傾いた形状、テーパー状、または上部から下部に行くほどパターン幅が広がる形状を有しうる。多様なマスクパターン(P)は、群集を成してディスプレイセル部(C)の1つを構成することができる。ディスプレイセル部(C)は、対角線の長さが約1~2インチ程度であって、1つのディスプレイに対応する領域である。または、ディスプレイセル部(C)は、複数のディスプレイに対応する領域でもある。
【0047】
マスクパターン(P)は、ほぼテーパー状を有することができ、パターン幅は、数ないし十数μmのサイズ、望ましくは、約5~10μmのサイズ(2,000PPI以上の解像度)に形成されうる。
【0048】
マスク20は、複数のセル部(C)を含みうる。複数のセル部(C)は、第1方向(x軸方向)及び第1方向に垂直な第2方向(y軸方向)に互いに所定の間隔を置いて配置される。図1では、21個のセル部(C)が第1、2方向に沿って配されたものが示されるが、これに制限されるものではない。セル部(C)の間に区画部(SR)が配置される。セル部(C)及び区画部(SR)は、マスク20のうち、ダミー部(DM)よりも中心部に配される部分である。
【0049】
ダミー部(DM)は、枠が円形状または半導体ウェーハに対応する形状にマスク20の外郭形状を定義することができる。ダミー部(DM)が支持部30上に連結される。具体的には、ダミー部(DM)が支持部30のフレーム部31の少なくとも一部と付着連結される。ダミー部(DM)とフレーム部31との間に連結部40が形成されることによって、互いに付着される。
【0050】
図1図2及び図4を参照すれば、支持部30は、フレーム部31、複数の第1グリッド部33、複数の第2グリッド部35を含みうる。フレーム部31、第1、2グリッド部33、35は、名称と符号とを異なるように記載したが、フレーム部31、第1、2グリッド部33、35は、分離された領域ではなく、同じ材質を有し、一体に連結される構成である。以下の説明で、フレーム部31、第1、2グリッド部33、35は、支持部30と混用されて使われる。
【0051】
支持部30は、シリコン材であることが望ましく、さらに望ましくは、支持部30は、シリコンウェーハから形成されたものであって、単結晶シリコン材である。支持部30は、対象基板1900[図24参照]である円形の半導体ウェーハに対応するようにフレーム部31が円形状である。マスク20が上部に連結されるように、支持部30は、マスク20と同一であるか、少なくとも大きな形状である。
【0052】
フレーム部31は、支持部30の外郭形状を定義することができる。フレーム部31は、円形状である。但し、マスク20の電鋳メッキが容易に行われ、支持部30が半導体ウェーハに対応してOLED画素工程を行う目的の範囲内であれば、他の形状を有してもよい。
【0053】
複数の第1グリッド部33は、第1方向に延設され、両端がフレーム部31に連結される。そして、複数の第2グリッド部35は、第1方向と異なる第2方向に延設されて、第1グリッド部33と交差し、両端がフレーム部31に連結される。一例として、第1方向は、x軸方向、第2方向は、y軸方向に第1方向と第2方向は垂直である。第1グリッド部33は、それぞれ互いに間隔を成し、平行に配され、第2グリッド部35は、それぞれ互いに間隔を成し、平行に配される。そして、第1、2グリッド部33、35が互いに交差するので、交差した部分にマトリックス状に空き空間(CR)が表われる。この空き空間(CR)は、マスク20のセル部(C)が配される空間であって、セル領域(CR)[図4参照]と称する。
【0054】
支持部30の厚さは、マスク20の厚さよりも厚い。2,000PPIよりも高いマスクパターン(P)の解像度を具現するために、マスク20の厚さは、約2~12μm程度に形成されうる。マスク20の厚さがこれよりも厚ければ、全体としてテーパー状を有するマスクパターン(P)の幅またはマスクパターン(P)の間隔を前記解像度に合わせて形成し難くなる。
【0055】
支持部30では、フレーム部31の厚さ(T1)が第1グリッド部33/第2グリッド部35の厚さ(T2)よりも厚い。
【0056】
フレーム部31は、マスク20と支持部30との連結体10でフレームの役割を行い、マスク20を支持する剛性を有するが、支持部30が全体として変形されるか、撓むことを防止するために、第1、2グリッド部33、35よりも厚さ(T1)が厚い。一例として、フレーム部31の厚さ(T1)は、シリコンウェーハを直ちに適用する場合、約700~1,000μmであり、所定の厚さの減縮を適用する場合、約500~1,000μmである。
【0057】
第1、2グリッド部33、35の厚さ(T2)は、少なくともマスク20を支持しながら第1、2グリッド部33、35の間に有機物ソース1600が通過するセル領域(CR)[図4参照]を備えなければならず、有機物ソース1600が第1、2グリッド部33、35の厚さ(T2)によってシャドウエフェクト(shadow effect)が表われてはならないので、マスク20の厚さよりは厚く、フレーム部31よりも薄いことが望ましい。一例として、第1、2グリッド部33、35の厚さ(T2)は、約50~200μmである。
【0058】
一方、他の実施形態によれば、フレーム部31の厚さ(T1)と第1グリッド部33/第2グリッド部35の厚さ(T2)は、同一でもある。この際、フレーム部31も、シリコンウェーハで厚さの減縮を適用して約50~200μmの厚さを有しうる。
【0059】
マスク20と支持部30との間に連結部40が介在される。連結部40を介在して支持部30上にマスク20が連結される。支持部30のフレーム部31は、マスク20のダミー部(DM)と連結され、支持部30の第1、2グリッド部33、35は、マスク20の区画部(SR)と連結される。すなわち、区画部(SR)は、第1、2グリッド部33、35上に支持される。
【0060】
一実施形態によれば、連結部40は、支持部30上にマスク20が形成された積層体の状態で熱処理(H)[図7参照]を通じて形成されたものである。この際、連結部40は、マスク20の成分と支持部30の成分とが合わせられた金属間化合物(intermetallic compound)として提供されうる。連結部40は、マスク20のFe、Ni成分と支持部30のSi成分とが合わせられることによって、Ni及びSiを含むか、Fe、Ni及びSiを含むか、または、Fe、Niを含むシリサイドで提供されうる。金属間化合物の結合力によってマスク20と支持部30は、連結部40を介在して互いに連結される。
【0061】
また、一実施形態によれば、連結部40は、マスク20が支持部30上により高い接着力を有しながら形成されるように接着を媒介する接着層(adhesion layer)の役割を行える。一例として、支持部30がシリコンウェーハである場合、インバー、スーパーインバーなどの材質であるマスク20が直接支持部30に接着された状態である場合よりも、Ni、Cuなどの材質である連結部40を介して接着された状態がさらに接着力が高くなる。それを考慮して、連結部40は、Ni、Cu、Au、Ag、Al、Sn、In、Bi、Zn、Sb、Ge、Cdのうち少なくとも何れか1つを含みうる。
【0062】
一方、支持部30も、マスク20のように枠が円形状を有し、エッジを含まないので、支持部30の特定の部分に他の力が作用する問題を解消することができる。そして、円形枠に沿ってストレスが均一に分散される。これにより、支持部30が捻じれるか、歪まないのに寄与することができる。このような円形の支持部30上に円形のマスク20を連結するので、ストレスを二重に分散させることができる効果がある。そして、支持部30の第1、2グリッド部33、35は、マスク20の区画部(SR)の下部に配されてマスク20が全体として支持されることによって、非常に薄い厚さのマスク20がセル部(C)及び区画部(SR)で垂れの発生を防止する。結局、マスク20及び支持部30が捻じられず、画素整列を明確にするのに寄与することができ、2,000PPI以上の高解像度を具現することができる効果がある。
【0063】
一方、再び図3を参照すれば、シリコンウェーハの(100)面の結晶方向(crystal orientation;CO)または(111)面の結晶方向(CO)と第1、2グリッド部33、35の長手方向と、が平行ではない。第1、2グリッド部33、35は、X軸方向またはY軸方向に沿って延設され、支持部30のシリコンウェーハの(100)面または(111)面の結晶方向(CO)は、X軸/Y軸方向に平行(0°または180°角度)せず、0°または180°角度ではない所定の角度を有しうる。他の観点として、シリコンウェーハの(100)面または(111)面の結晶方向(CO)は、複数のセル部(C)が配された方向であるX軸/Y軸方向と0°または180°角度ではない所定の角度を有しうる。シリコンウェーハは、他の結晶方向よりも(100)面または(111)面の結晶方向(CO)に割れる可能性が高いが、第1、2グリッド部33、35に対応するマスク20のセル部(C)、区画部(SR)などをこの結晶方向(CO)に交互に配置することによって、マスク20と支持部30との連結体10の破損危険性を下げ、全体的な剛性を増大する利点がある。
【0064】
図5ないし図11は、本発明の第1実施形態によるマスクと支持部との連結体(10:10-1)の製造過程を示す概略図である。
【0065】
図5を参照すれば、支持部30’を準備する。電鋳メッキを行うことができるように、支持部30’は、導電性材質の導電性基板30’である。導電性を有しながら同時に低い抵抗を有するように、支持部30’[または、導電性基板30’]に1019cm-3以上の高濃度ドーピングが行われる。ドーピングは、支持部30’の全体に行われても、支持部30’の表面部分のみに行われることもある。一実施形態によれば、支持部30’の表面抵抗は、5X10-4~1X10-2ohm・cmである。支持部30’は、電鋳メッキで負極体(cathode)電極として使われる。
【0066】
表面にメタルオキシドを有するメタル、結晶粒界(grain boundary)を有する多結晶シリコンとは異なって、ドーピングされた単結晶シリコンの場合は、欠陥がないために、電鋳メッキ時に表面全部で均一な電場の形成による均一なメッキ膜[または、マスク20]が生成されうるという利点がある。均一なメッキ膜を通じて製造するマスク20は、OLED画素の画質レベルをさらに改善することができる。そして、欠陥を除去、解消する追加工程が行われる必要がないので、工程コストが削減され、生産性が向上するという利点がある。
【0067】
次いで、支持部30’の一面上にパターン化された絶縁部(M1)を形成しうる。絶縁部(M1)は、支持部30’の一面上に突出するように(陽刻で)形成した部分であって、メッキ膜[または、マスク20]の生成を防止するように、絶縁特性を有しうる。これにより、絶縁部(M1)は、フォトレジスト、シリコン酸化物、シリコン窒化物のうち何れか1つの材質で形成されうる。絶縁部(M1)は、支持部30上に蒸着などの方法でシリコン酸化物、シリコン窒化物を形成することができ、支持部30’をベースとして熱酸化(Thermal Oxidation)、熱窒化(Thermal Nitiridation)方法を使用しても良い。プリンティング法などを用いてフォトレジストを形成しても良い。絶縁部(M1)は、生成するメッキ膜よりは厚く形成することが望ましい。
【0068】
絶縁部(M1)は、テーパー状を有することが望ましい。フォトレジストを使用してテーパー状のパターンを形成する時には、多重露光方法、領域ごとに露光強度を異ならせる方法などを使用することができる。
【0069】
次いで、支持部30’上に電鋳メッキを行ってマスク20を形成しうる。支持部30’を負極体として使用し、これに対向する正極体(図示せず)を準備する。正極体(図示せず)は、メッキ液(図示せず)に浸漬されており、支持部30’は、全部または一部がメッキ液(図示せず)に浸漬されている。絶縁部(M1)が絶縁特性を有するので、絶縁部(M1)に対応する部分では、メッキ膜が形成されないために、マスク20のマスクパターン(P)を構成することができる。マスクパターン(P)[または、絶縁部(M1)]は、セル部(C)に対応する領域に形成されうる。
【0070】
一方、マスク20が支持部30’のシリコン材と類似した熱膨張係数(Coefficient of Thermal Expansion、CTE)を有するように組成を制御することができる。マスクと支持部との連結体10で支持部30は、シリコン材のフレームとして作用し、マスク20は、支持部30と熱膨張係数が類似して初めて、マスク20がフレームである支持部30上で垂れが発生しなくなる。また、支持部30上でセル部(C)及びマスクパターン(P)の整列誤差であるPPA(pixel position accuracy)の変化を最小化することができる。
【0071】
それを考慮して、シリコン材の支持部30’と後述する熱処理(H)後、マスク20の熱膨張係数が約(3.5±1)X10-6/℃になるようにマスク20の組成を制御することができる。インバー材のマスク20であっても、Fe、Niの組成比率を異なって電鋳メッキしてシリコン材の支持部30と熱膨張係数を最も同じ程度に制御することができる。または、工程の温度条件によってマスク20が支持部30’上でぴんと張って連結されるように、マスク20の熱膨張係数が支持部30’よりも小さいか、大きく制御することもできる。
【0072】
一方、図6を参照すれば、マスク20は、支持部30’の上面上のみに形成されるように電鋳メッキを行わず、上面及び側面上にメッキされるように電鋳メッキを行うこともできる。後述する熱処理(H)を行う場合、支持部30’の上面のみにマスク20が形成されれば、熱処理(H)過程でマスク20のフレーム部分が剥離される危険があるために、さらに支持部30’の側面にもメッキ膜22を形成しうる。したがって、側面のメッキ膜22が支持部30’の側面で支持部30’との接着力を補強することによって、熱処理(H)過程で全体マスク20が剥離されず、支持部30によく固定接着させるという利点がある。側面のメッキ膜22部分は、後でエッチングやレーザカッティングで除去することもできる。
【0073】
また、後述する熱処理(H)を行う場合、電鋳メッキで生成されたマスク20が支持部30’で剥離されず、よく接着されている必要がある。このために、図6の上面及び側面上にメッキするものの以外にも他の方案を考慮することができる。
【0074】
一つの方案として、まず、電鋳メッキが行われる支持部30’の自然酸化膜(native oxide)を制御することができる。シリコンウェーハ材の支持部30’の表面上には、酸化物が形成されている。このような酸化物がある表面では、均一な電場が生じなくてメッキ膜[マスク20]が均一に生成されず、生成されたメッキ膜[マスク20]と支持部30’との接着力が低い状態である。したがって、自然酸化膜を除去する工程を行った後、電鋳メッキ工程を行うことが望ましい。
【0075】
他の方案として、メッキ膜[マスク20]と支持部30’との間で接着を媒介する他の膜をさらに形成しうる。後述するバリア膜の以外に膜の両面に接着力を提供する膜または膜の組み合わせを使用することができる。
【0076】
さらに他の方案として、電鋳メッキ前、支持部30’の表面を前処理することができる。物理的な処理または化学的な処理を通じて電鋳メッキ工程から生成されるメッキ膜[マスク20]を支持部30’上により強い接着力を有しながら生成させうる。それ以外に、電鋳メッキ工程でメッキ方法を制御してメッキ膜[マスク20]を支持部30’上に強い接着力を有しながら生成させうる。
【0077】
次いで、図7を参照すれば、マスク20及び支持部30’を熱処理(H)することができる。熱処理は、300~800℃の温度で行うことができる。
【0078】
一般的に、圧延で生成したインバー薄板に比べて、電鋳メッキで生成したインバー薄板が熱膨張係数が高い。これにより、インバー薄板に熱処理を行うことにより、熱膨張係数を下げることができるが、この熱処理過程でインバー薄板に若干の変形が生じうる。別途に分離されて存在するマスク20に対してのみ熱処理を行うならば、マスクパターン(P)に一部の変形が生じることもある。したがって、支持部30’とマスク20とが接着された状態で熱処理を行えば、支持部30’の絶縁部(M1)が占める空間部分に形成されたマスクパターン(P)の形態が熱処理による微細な変形を防止できるという利点がある。
【0079】
また、電鋳メッキで生成されたインバー薄板とシリコンウェーハは、熱膨張係数が約3~4ppiにほとんど同じ程度である。したがって、熱処理(H)を行うとしても、マスク20と支持部30’は、熱膨張程度が同一なので、互いに熱膨張によるずれが発生せず、マスクパターン(P)の微細変形が防止される。
【0080】
また、本発明は、熱処理(H)によってマスク20と支持部30’とが連結されることを特徴とする。熱処理(H)過程でマスク20と支持部30’との間に連結部40が形成されうる。連結部40は、マスク20の成分と支持部30の成分とが合わせられた金属間化合物として提供されうる。連結部40は、マスク20のFe、Ni成分と支持部30のSi成分とが合わせられることによって、Ni及びSiを含むか、Fe、Ni及びSiを含むか、または、Fe、Niを含むシリサイドで提供されうる。金属間化合物の結合力によってマスク20と支持部30’は、連結部40を介在して互いに付着される。
【0081】
一実施形態によれば、シリサイドで提供される連結部40の形成条件で下記の電鋳メッキ前処理/電鋳メッキ条件が必要である。最初に、1019cm-3以上の高濃度ドーピングが行われて表面抵抗が約5X10-4~1X10-2ohm・cmである支持部30’上でマスク20が電鋳メッキされる。二番目に、マスク20の電鋳メッキ前にシリコンウェーハ材の支持部30’の表面をHF処理してSiOが調節されたSi表面を形成しうる。三番目に、初期にNi-richしたFe-Niを形成してNi含量が35~45%になるように組成を調節してNi-silicideを促進することができる。または、Fe-Ni成分のマスク20の電鋳メッキ前に、Ni、Co、Tiなどの第1マスク層をグルー層(glue layer)として追加してシリサイドの形成を促進することができる。
【0082】
また、一実施形態によれば、熱処理(H)は、300~800℃の温度で行うが、熱処理(H)工程を多様な段階に進めることができる。2-step熱処理として、低温領域(約250~350℃)でNiSiを形成してマスク20を支持部30’上に接着した後、高温領域(約450~650℃)に徐々に上げて熱処理を行うことができる。電鋳メッキで形成されたインバーマスクの場合、微結晶(microcrystal)及び/または非晶質(amorphous)構造を有しているために、熱処理時に温度を急激に上げれば、体積収縮によってインバーマスクがシリコンウェーハ支持部(支持部)30’から脱着または分離される。したがって、低温でインバーマスクをシリコンウェーハ支持部30’に接着後、徐々に高温に上げて熱処理を進行することが望ましい。
【0083】
また、一実施形態によれば、熱処理(H)時に、還元性雰囲気を保持しなければならない。還元性雰囲気は、H、Ar、N雰囲気で形成することができ、望ましくは、Dry Nガスを使用してインバーマスクの酸化を防止することができる。インバーマスクの酸化防止のためには、O濃度が100ppmよりも小さく管理する必要がある。または、<10-2torrの真空雰囲気を形成しうる。
熱処理(H)は、30分~2時間進めることができる。
【0084】
シリコンウェーハ支持部30’上に電鋳メッキされたマスク20の界面でNiシリサイド、(Ni、Fe)Siシリサイドなどの連結部40(adhesive layer)が形成されることによって、マスク20と支持部30’は、連結部40を介在して互いに連結される。
【0085】
一方、熱処理(H)時に、Ni、Fe-NiとSiとの反応制御のために、マスク20を支持部30’上で電鋳メッキする前に、支持部30’上にバリア膜(図示せず)を形成しうる。バリア膜は、マスク20メッキ膜の成分[一例として、Ni、Fe-Ni]がシリコンウェーハ支持部30’で制御されず、浸透することを防ぐことができる。同時に、表面で電鋳メッキが行われるように、バリア膜は、導電性を有することが望ましい。それを考慮して、バリア膜は、窒化チタン(TiN)、チタン/窒化チタン(Ti/TiN)、タングステンカーバイド(WC)、チタンタングステン(WTi)、グラフェン(graphene)などの材質を含みうる。バリア膜蒸着などの薄膜形成工程を制限なしに使用することができる。バリア膜は、Fe、NiとSiとの反応を制御して均一なシリサイドを形成させ、適切な付着力でマスク20と連結部40とを付着させうる。それ以外に、バリア膜は、マスク20を支持部30’上に電鋳メッキした状態でマスク20が支持部30’と分離されないように、所定の接着力または付着力を提供することができる膜または膜の組み合わせで構成することもできる。
【0086】
温度、時間を調節して連結部40の厚さ(シリサイド厚さ)を10~300nmまで制御して支持部30’とマスク20とを連結することができる。
【0087】
次いで、図8を参照すれば、支持部30’[または、導電性基板30’]の厚さ減縮工程(TN)を行うことができる。厚さ減縮工程(TN)は、マスク20と接触する支持部30’の上面(第1面)の反対面である下面(第2面)上で行うことができる。厚さ減縮工程(TN)は、ラッピング(Lapping)、ポリッシング(Polishing)、バフィング(Buffing)などの方法を使用して行うことができる。
【0088】
厚さ減縮工程(TN)は、支持部30’の中心部に対して行われる。厚さ減縮工程(TN)は、マスク20のセル部(C)が配された領域に対応する支持部30’の領域に対して行われる。または、厚さ減縮工程(TN)は、第1、2グリッド部33、35が形成される領域に対して行われ、フレーム部31が形成される領域に対しては行われない。第1、2グリッド部33、35が形成される領域は、マスク20のセル部(C)、区画部(SR)とダミー部(DM)との少なくとも一部に対応する領域まで含みうる。
【0089】
これにより、厚さ減縮工程(TN)が行われた支持部30’は、グリッド部33、35の厚さ(T2)がフレーム部31の厚さ(T1)よりも薄くなり、グリッド部33、35とフレーム部31との間に少なくとも段差が形成されうる。
【0090】
一方、厚さ減縮工程(TN)は、段階を分けて、支持部30’の下面(第2面)上で全体として1次厚さ減縮工程が行われた後に、第1、2グリッド部33、35が形成される領域に対して2次厚さ減縮工程が行われることもある。
【0091】
選択的に、シャドウエフェクトが発生しない目的の範囲であれば、第1、2グリッド部33、35が形成される領域に対して厚さ減縮工程(TN)が行われない。この場合、図7で後述する図9に直ちに工程が行われる。
【0092】
次いで、図9を参照すれば、支持部30’をエッチング(EC)することができる。エッチング(EC)は、マスク20と連結された支持部30’の第1面(上面)の反対面である第2面(下面)上で行われる。エッチング(EC)は、支持部30’でマスク20のセル部(C)に対応する部分に対して行うことができる。マスク20の区画部(SR)に対応する部分は、エッチングを行わない。
【0093】
エッチング(EC)が完了した支持部30は、フレーム部31及び第1、2グリッド部33、35を含む形態になる。支持部30でフレーム部31及び第1、2グリッド部33、35が明確に表われるように、エッチング(EC)は、異方性エッチング特性を有する乾式エッチング方法を使用することが望ましい。支持部30’がシリコンウェーハであるために、既存の半導体関連技術、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)関連技術を活用してエッチング(EC)を行えるという利点がある。
【0094】
耐エッチング性を付与するために、支持部30’の下面上には、セル部(C)に対応する部分を除いた残りの部分に絶縁部(M2)を形成しうる。絶縁部(M2)は、プリンティング方法などを用いてフォトレジストを形成したものであり、熱酸化、熱窒化などの方法でハードマスクの役割を行うシリコン酸化物、シリコン窒化物を形成したものでもある。一方、エッチングに対するマスクの役割として金属を使用しても良い。絶縁部(M2)によって覆われていない支持部30’の下面に露出された部分をエッチング(EC)することができる。
【0095】
次いで、図10を参照すれば、絶縁部(M2)を除去し、洗浄などの後続工程を行ってマスクと支持部との連結体10の製造を完了することができる。支持部30は、フレーム部31及び第1、2グリッド部33、35を含み、支持部30上にマスク20が連結部40を介在して連結された形態が提供されうる。マスク20のセル部(C)は、支持部30によって支持されることなしに下部が開口された領域に提供されてOLED画素蒸着工程で有機物ソース1600[図24参照]の移動経路として提供されうる。
【0096】
図11は、本発明の他の実施形態によるマスクと支持部との連結体(10:10-1’)を示す概略図である。
【0097】
一方、図9のエッチング(EC)工程は、乾式エッチングではない湿式エッチングを行うこともできる。湿式エッチングは、等方性エッチング特性を有するので、支持部30’の第2面(下面)上で絶縁部(M2)に対してアンダーカット(undercut)を発生させうる。また、等方性エッチング特性を有するので、図11に示されたように、フレーム部31、第1、2グリッド部33、35の側面がテーパー状に形成されうる。この場合、テーパー状の側面に沿って有機物ソース1600が傾いた角度で移動することができるので、支持部30で1次でシャドウエフェクトを防止し、テーパー状に形成されたマスクパターン(P)で2次でシャドウエフェクトを防止できるという利点がある。
【0098】
前記のように、本発明は、支持部30上でマスク20を電鋳メッキを通じて形成した後、マスク20に対して別途の物理的な引張を加えていない状態で支持部30を加工してフレームを形成するので、マスクの整列がずれる危険がない。これにより、マスクの整列が明確になって画素蒸着の安定性を向上させると同時に、2,000PPI以上の超高画質画素を具現することができる効果がある。
【0099】
図12は、本発明の他の実施形態によるマスク20を示す概略平面図及びE-E’/F-F’の概略側断面図である。図13は、本発明の他の実施形態による支持部30を示す概略平面図である。
【0100】
図3のマスク20は、枠が円形状であるが、マスクパターン(P)を含むセル部(C)は、四角状である。マスク20のほぼ中心部にセル部(C)が第1、2方向に沿って配される時、それぞれのセル部(C)で円形マスク20の枠までの距離が異なる。他の観点として、それぞれのセル部(C)とダミー部(DM)と接する面積が異なる。これにより、マスク20のセル部(C)とダミー部(DM)との各領域でストレスレベルが不均一な問題が発生することもある。
【0101】
また、セル部(C)は、マスク20を貫通するようにマスクパターン(P)が形成された一方、ダミー部(DM)は、貫通されたパターンがないので、ダミー部(DM)がストレスに対して変形が不十分に発生し、セル部(C)は、同じストレスに対しても変形が大きく表われるしかない。マスクと支持部との連結体10は、500~600PPI以上、望ましくは、2,000PPI以上の超高画質のOLED画素を構成できるようにマスクパターン(P)が微細に形成され、その位置が変形されてはならない。したがって、セル部(C)とダミー部(DM)とに作用するストレスレベルを均一に合わせる必要性が要求される。これは、支持部30のセル領域(CR)とダミーセル領域(DCR)とに対しても、同様に適用可能である。
【0102】
図12を再び参照すれば、本発明のダミー部(DM)は、複数のダミーセル部(DC)を含むことを特徴とする。ダミーセル部(DC)は、セル部(C)の第1方向(x軸方向)及び第1方向に垂直な第2方向(y軸方向)に所定の間隔を置いて配置される。ダミーセル部(DC)とセル部(C)との所定の間隔は、セル部(C)とセル部(C)との間の所定の間隔に対応することができる。ダミーセル部(DC)とセル部(C)との間にも、区画部(SR)が配置される。
【0103】
ダミーセル部(DC)の少なくとも一辺の長さは、セル部(C)の一辺の長さと対応することができる。セル部(C)は、四角状に提供され、セル部(C)の枠辺(C1、C2)は、互いに垂直な直線で構成することができる。セル部(C)が正方形であれば、C1、C2の長さは同じであり、長方形であれば、C1、C2の長さは異なる。ダミーセル部(DC)は、セル部(C)の延長線上で第1、2方向に沿って配されるが、マスク20の枠に配される特性上、四角状に提供されることは難しい。ダミーセル部(DC)は、少なくとも一部の辺が曲率を有する形状である。他の観点として、ダミーセル部(DC)の枠辺(DC1、DC2、DC3)のうち、2辺ないし4辺は直線で提供され、一部の辺は、曲線で提供されうる。図12において、例えば、左上側に位置するダミーセル部(DC)は、2辺(DC1、DC2)が直線で提供され、DC3辺は、2つの直線及び1つの曲線で提供される。他の例を挙げれば、最も右側/左側に位置するダミーセル部(DC)と最も上側/下側に位置するダミーセル部(DC)は、ほぼ「コ」字状に3辺が直線で提供され、右側辺は、曲線で提供される。
【0104】
また、ダミーセル部(DC)には、複数のダミーパターン(DP)が形成されうる。図12の図示と同様に、ダミーパターン(DP)は、マスクパターン(P)と同じ形状を有するように形成されうる。例えば、側部が傾いた形状、テーパー状、または上部から下部に行くほどパターン幅が広がる形状を有しうる。複数のダミーパターン(DP)は、群集を成してダミーセル部(DC)の1つを構成することができる。ダミーパターン(DP)は、ほぼテーパー状を有することができ、パターン幅は、数ないし十数μmのサイズ、望ましくは、約5~10μmのサイズ(2,000PPI以上の解像度)に形成されうる。
【0105】
一方、ダミーパターン(DP)は、マスク20の全体領域でストレスの均一度を保持させる目的の範囲内であれば、マスク20を厚さ方向に貫通しなくても所定の深さに形成されうる。また、ダミーパターン(DP)は、マスク20の全体領域でストレスの均一度を保持させる目的の範囲内であれば、必ずしもマスクパターン(P)と同じ形状、サイズを有さず、マスクパターン(P)よりも大きく、テーパー状の以外の形状を有してもよい。但し、マスクパターン(P)と同じ形状を有するほどストレスレベルの均一度が高くなる。
【0106】
一方、ダミーパターン(DP)は、マスク20のダミー部(DM)上で所定の領域をカッティングした形態で形成されうる。ダミーパターン(DP)が複数ではなく、規則的に繰り返し形成されず、連続して繋がった形状を有してもよい。例えば、マスク20のセル部(C)部分のみ残し、残りの部分をカッティングで切り取った形態でダミーパターン(DP)が提供されることもある。
【0107】
図13を参照すれば、支持部30には、複数のダミーセル領域(DCR)が形成されうる。ダミーセル領域(DCR)は、第1方向(x軸方向)及び第1方向に垂直な第2方向(y軸方向)にセル領域(CR)と所定の間隔を置いて配置される。ダミーセル領域(DCR)とセル領域(CR)との所定の間隔は、セル領域(CR)とセル領域(CR)との間の所定の間隔に対応することができる。ダミーセル領域(DCR)とセル領域(CR)との間にも、第1、2グリッド部33、35が配置される。ダミーセル領域(DCR)は、前述したダミーセル部(DC)と同じ作用を行うので、前述したダミーセル部(DC)の説明に代替する。
【0108】
図14ないし図21は、本発明の第2実施形態によるマスクと支持部との連結体(10:10-2)の製造過程を示す概略図である。以下、図12及び図13のダミーセル(DC)とダミーセル領域(DCR)とを含むマスクと支持部との連結体(10:10-2)を想定して製造過程を説明する。但し、ダミーセル(DC)とダミーセル領域(DCR)とを除き、図5ないし図11のように工程を進行しても良い。また、図14ないし図21では、図5ないし図11で前述した説明と同じ内容については具体的な説明を省略する。
【0109】
図14を参照すれば、支持部30’[または、導電性基板30’]を準備する。
【0110】
次いで、支持部30’の一面上に連結部40を形成しうる。連結部40は、電鋳メッキで形成しうる。または、連結部40の材質が電鋳メッキが難しい場合、スパッタリング(sputtering)やブレージング(brazing)方法を用いて形成しうる。連結部40は、電鋳メッキで生成された時、支持部30’と接着力が高いNi、Cu、Au、Ag、Alなどの材質で形成されうる。または、連結部40は、スパッタリング、ブレージングで生成された時、支持部30’と接着力が高いSn、In、Bi、Zn、Sb、Ge、Cdなどの材質で形成されうる。
【0111】
連結部40は、支持部30’[または、導電性基板30’]とマスク20との接着力を高める役割及び連結部40上でマスク20が電鋳メッキされる役割を行うので、その厚さは、マスク20の厚さよりも薄いことが望ましい。それを考慮すれば、連結部40の厚さは、マスク20の厚さの20%を超えないことが望ましい。特に、連結部40の厚さが過度に薄ければ、支持部30’とマスク20との接着力を期待しにくく、連結部40の厚さが過度に厚ければ、マスク20の電鋳メッキの品質に影響を与えるか、後述する支持部30’のエッチング(EC)後、連結部40が過度に多く残存してマスクパターン(P)を覆う問題が発生する恐れがあるので、連結部40の厚さは、0.1~1μmであることが望ましい。
【0112】
次いで、図15を参照すれば、連結部40の一面上にパターン化された絶縁部(M1)を形成しうる。
【0113】
絶縁部(M1)の以外に支持部30’の一面上にパターン化された絶縁部(MC)[または、ダミー絶縁部(MC)]をさらに形成しうる。絶縁部(M1)は、セル部(C)に対応する領域に形成され、絶縁部(MC)は、ダミーセル部(DC)に対応する領域に形成されうる。絶縁部(MC)の形状は、絶縁部(M1)と同一である。絶縁部(MC)と絶縁部(M1)は、同一工程で共に形成されうる。
【0114】
次いで、連結部40上に電鋳メッキを行ってマスク20を形成しうる。絶縁部(M1)が絶縁特性を有するので、絶縁部(M1)に対応する部分では、メッキ膜が形成されないために、マスク20のマスクパターン(P)を構成することができる。マスクパターン(P)は、セル部(C)に対応する領域に形成されうる。
【0115】
また、絶縁部(MC)が絶縁特性を有するので、絶縁部(MC)に対応する部分では、メッキ膜が形成されないために、マスク20のダミーパターン(DP)を構成することができる。ダミーパターン(DP)は、ダミーセル部(DC)に対応する領域に形成されうる。
【0116】
図16及び図17は、図14及び図15の方法とは異なる実施形態のマスク20の形成過程を示す概略図である。
【0117】
一方、図14の連結部40が電鋳メッキ可能な材質であれば、図16及び図17のように、第1マスク層21に代替することもできる。
【0118】
まず、図16を参照すれば、支持部30’[または、導電性基板30’]の一面上にパターン化された絶縁部(M1、MC)を形成しうる。引き続き、支持部30’上に電鋳メッキを行って第1マスク層21を形成しうる。絶縁部(M1、MC)が絶縁特性を有するので、絶縁部(M1、MC)に対応する部分では、メッキ膜が形成されないために、第1マスク層21のマスクパターン(P)/ダミーパターン(DP)を構成することができる。マスクパターン(P)[または、絶縁部(M1)]は、セル部(C)に対応する領域に形成されうる。
【0119】
第1マスク層21は、電鋳メッキで生成された時、支持部30’と接着力が高いNi、Cu、Au、Ag、Al、Co、Ti、Cr、W、Moのうち何れか1つの材質を含みうる。または、第1マスク層21は、支持部30’とシリサイド(silicide)を形成する金属材で形成されうる。後述するように、マスク20と支持部30’とを熱処理(H)[図18参照]する過程で、マスク20が支持部30’に強く接着されて剥離されないようにする必要がある。したがって、第2マスク層25の材質よりも支持部30’との接着力がさらに強い第1マスク層21を支持部30’上に先に形成しうる。第1マスク層21は、図14の連結部40のような役割を行える。
【0120】
但し、第1マスク層21は、支持部30’と接着力が高いが、熱膨張係数が高く、強度が低いので、マスク20で第1マスク層21は第2マスク層25よりも薄い比重の厚さを有するように形成される必要がある。それを考慮すれば、第1マスク層21の厚さは、マスク20の厚さの0.01~5%の厚さに形成され、さらに望ましくは、0.03~2%の厚さに形成されうる。
【0121】
次いで、図17を参照すれば、第1マスク層21上に電鋳メッキを行って第2マスク層25を形成しうる。第2マスク層25は、第1マスク層21と異なる材質である。第1マスク層21は、導電性であり、絶縁部(M1、MC)が絶縁特性を有するので、第2マスク層25は、第1マスク層21上でマスクパターン(P)/ダミーパターン(DP)を含みながら形成されうる。第2マスク層25は、電鋳メッキで生成される時、第1マスク層21と接着力が高いながら熱膨張係数が低く、強度が高いインバー、スーパーインバーなどの材質で形成されうる。また、マスク20で主に熱膨張係数、強度を担当することができるように、第2マスク層25は、第1マスク層21よりも厚く形成されうる。それを考慮すれば、第2マスク層25の厚さは、マスク20の厚さの95~99.99%の厚さに形成され、さらに望ましくは、98~99.97%の厚さに形成されうる。一例として、マスク20の総厚さが約2~15μmである時、第1マスク層21の厚さは、約10~300nmに形成されうる。
【0122】
第1マスク層21と第2マスク層25とを順次に積層形成してマスク20を構成することができる。
【0123】
また、マスク20が支持部30’のシリコン材と類似した熱膨張係数を有するように、第1、2マスク層21、25の厚さを制御することができる。第1、2マスク層21、25は、それぞれ異なる熱膨張係数を有するので、第1、2マスク層21、25の厚さの比率によって、マスク20の熱膨張係数が変わる。例えば、熱膨張係数が相対的に大きな第1マスク層21の厚さの比重を大きく形成するほどマスク20全体の熱膨張係数は大きくなる。逆に、熱膨張係数が相対的に小さな第2マスク層25の厚さの比重を大きく形成するほどマスク20全体の熱膨張係数は小さくなる。第1、2マスク層21、25の厚さの比重は、電鋳メッキ時間を調節することで制御することができる。
【0124】
以下、図14及び図15の連結部40を形成した後、マスク20を電鋳メッキして形成する例を想定して後続工程を説明する。但し、以下の工程は、図16及び図17の支持部30’上に第1、2マスク層21、25を順次に積層形成してマスク20を形成する例を同様に適用することができる。
【0125】
次いで、図18を参照すれば、マスク20及び支持部30’を熱処理(H)することができる。連結部40も、共に熱処理(H)することができる。熱処理(H)は、約200~800℃の温度で行うことができ、より望ましくは、低温領域帯である約200~400℃の温度で行うことができる。熱処理(H)過程で所定の圧力をさらに印加してより少ない熱で熱処理を行うこともできる。熱処理(H)前/後で絶縁部(M1、MC)を除去する工程が行われる。
【0126】
図7において、前述した熱処理(H)の効果の以外にも、本発明は、熱処理(H)によってマスク20と支持部30’とが接着される効果がある。一例として、熱処理(H)過程でマスク20と支持部30’との間の連結部40が熱処理によって液相に溶融された後、再び固相に凝固される相変化で、マスク20と支持部30’との間で接着を媒介することができる。連結部40が接着層またはグルー層として作用する。他の例として、連結部40の金属成分がマスク20、及び支持部30’に拡散されるか、逆に、マスク20及び支持部30’の成分が連結部40に拡散されるか、互いに成分が拡散される方式でマスク20、支持部30’及び連結部40の界面状態を変更して連結が行われる。
【0127】
次いで、図19及び図20を参照すれば、支持部30’[または、導電性基板30’]の厚さ減縮工程(TN)を行い、支持部30’をエッチング(EC)することができる。図8及び図9において、前述した内容をそのまま適用することができる。
【0128】
図22は、本発明の他の実施形態によるマスクと支持部との連結体(10:10-2)を示す概略図である。
【0129】
次いで、図21及び図22を参照すれば、絶縁部(M2)を除去し、洗浄などの後続工程を行ってマスクと支持部との連結体(10:10-2)の製造を完了することができる。支持部30は、フレーム部31及び第1、2グリッド部33、35を含み、支持部30上にマスク20が連結部40を介在して連結された形態が提供されうる。マスク20と支持部30との枠は一致されたと示されるが、支持部30の枠またはマスク20の枠がさらに大きく形成されうる。
【0130】
図23は、本発明の一実施形態によるスリットライン(SL)が形成されたマスクを示す概略平面図及びG-G’の概略側断面図である。
【0131】
図23を参照すれば、マスク20は、複数のマスクパターン(P)を含む複数のセル部(C)を含みうる。そして、それぞれのセル部(C)は、間にスリットライン(SL)が形成されうる。スリットライン(SL)によってセル部(C)は離隔して配置される。そして、隣接する一対のセル部(C)は、同じ第1、2グリッド部33、35及び連結部40上にそれぞれ一側辺が支持される。図23の(b)を参照すれば、点線で示した第2グリッドシート部35/連結部40上に2つの隣接するセル部(C)の右側辺及び左側辺がそれぞれ支持されることを確認することができる。
【0132】
図2のセル部(C)が区画部(SR)を通じて互いに繋がったマスク20とは異なって、図23のマスク20は、セル部(C)がスリットライン(SL)によって互いに離隔する。スリットライン(SL)によってそれぞれのセル部(C)が連結されず、独立して存在することによって、残留応力がそれぞれのセル部(C)のみに存在し、他のセル部(C)に影響を与えることを防止させうる。
【0133】
図24は、本発明の一実施形態によるマスクと支持部との連結体10を適用したOLED画素蒸着装置1000を示す概略図である。
【0134】
図24を参照すれば、OLED画素蒸着装置1000は、マグネット1310が収容され、冷却水ライン1350が配設されたマグネットプレート1300と、マグネットプレート1300の下部から有機物ソース1600を供給する蒸着ソース供給部1500と、を含む。
【0135】
マグネットプレート1300と蒸着ソース供給部1500との間には、有機物ソース1600が蒸着されるガラスなどの対象基板1900が介在される。対象基板1900には、有機物ソース1600を画素別に蒸着させるマスクと支持部との連結体10が密着されるか、非常に近接するように配置される。マグネット1310が磁場を発生させ、磁場による引力でマスクと支持部との連結体10が対象基板1900に密着される。
【0136】
蒸着ソース供給部1500は、左右経路を往復し、有機物ソース1600を供給することができ、蒸着ソース供給部1500から供給される有機物ソース1600は、マスクと支持部との連結体10に形成されたマスクパターン(P)を通過して対象基板1900の一側に蒸着される。マスクと支持部との連結体10のマスクパターン(P)を通過した蒸着された有機物ソース1600は、OLEDの画素1700として作用する。
【0137】
マスクパターン(P)は、側面が傾斜して形成(テーパー状に形成)されるので、傾いた方向に沿って通過する有機物ソース1600によってシャドウエフェクトによってOLED画素1700の蒸着が不均一になることを防止することができる。
【0138】
前記のように、本発明は、支持部30’[または、導電性基板30’]上でマスク20を電鋳メッキを通じて形成した後、マスク20に対して別途の物理的な引張を加えていない状態でマスク20と支持部30’とを加工及び連結してフレームである支持部30を形成するので、マスク20の整列がずれる危険がない。これにより、マスク20の整列が明確になって画素蒸着の安定性を向上させると同時に、2,000PPI以上の超高画質画素を具現することができる効果がある。
【0139】
本発明は、前述したように望ましい実施形態を挙げて図示して説明したが、前記実施形態に限定されず、本発明の精神を外れない範囲内で当業者によって多様な変形と変更とが可能である。そのような変形例及び変更例は、本発明と添付の特許請求の範囲の範囲内に属するものと認めなければならない。
【符号の説明】
【0140】
10:マスクと支持部との連結体
20:マスク
21:第1マスク層
25:第2マスク層
30’:導電性基板(支持部)
30:支持部
31:フレーム部
33:第1グリッド部
35:第2グリッド部
40:連結部
1000:OLED画素蒸着装置
C:セル部
SR:区画部
DM:ダミー部
P:マスクパターン
SL:スリットライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24