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特開2024-147045圧電アクチュエータ、及び、液体吐出ヘッド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147045
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】圧電アクチュエータ、及び、液体吐出ヘッド
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20241008BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241008BHJP
   B41J 2/015 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B41J2/14 307
B41J2/01 401
B41J2/14 611
B41J2/015 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059810
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】廣田 翔
(72)【発明者】
【氏名】相羽 貴司
(72)【発明者】
【氏名】蔵 圭司
(72)【発明者】
【氏名】水野 泰介
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EA06
2C056EC07
2C056EC38
2C056FA10
2C056HA05
2C057AF23
2C057AF40
2C057AF65
2C057AG48
2C057AG94
2C057AM22
2C057AN01
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】変形特性の個体間のばらつき及び経時的な変化を共に抑制可能なにする。
【解決手段】Z方向に互いに異なる位置に配置された5つの電極51~55を備えた圧電アクチュエータ22において、駆動電極53のX方向の長さL3が、高電位電極52の個別部52aのX方向の長さL2よりも長く、かつ、高電位電極54のX方向の長さL4よりも長い。アクチュエータ部60は、第1~第4活性部61~64のみならず、非活性部69及び第5活性部65を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に順に積層された第1圧電層、第2圧電層、第3圧電層、及び、第4圧電層と、
前記第1圧電層の前記第2圧電層と反対側の面に配置された第1電極、前記第1圧電層と前記第2圧電層との間に配置された第2電極、前記第2圧電層と前記第3圧電層との間に配置された第3電極、前記第3圧電層と前記第4圧電層との間に配置された第4電極、及び、前記第4圧電の前記第3圧電と反対側の面に配置された第5電極と、を備え、
前記第1電極には高電位及び前記高電位よりも電位が低い低電位が選択的に付与され、前記第2電極には前記高電位が付与され、前記第3電極には前記高電位及び前記低電位が選択的に付与され、前記第4電極には前記高電位が付与され、前記第5電極には前記低電位が付与され、
前記第1圧電層のうち前記第1方向において前記第1電極と前記第2電極とに挟まれた部分である第1活性部と、
前記第2圧電層のうち前記第1方向において前記第2電極と前記第3電極とに挟まれた部分である第2活性部と、
前記第3圧電層のうち前記第1方向において前記第3電極と前記第4電極とに挟まれた部分である第3活性部と、
前記第1圧電層、前記第2圧電層、前記第3圧電層及び前記第4圧電層のうち前記第1方向において前記第1電極と前記第5電極とに挟まれた部分である2つの第4活性部であって、前記第1方向と直交する第2方向において前記第1活性部、前記第2活性部及び前記第3活性部を挟む2つの第4活性部と、を有し、
前記第3電極の前記第2方向の長さは、前記第2電極の前記第2方向の長さよりも長く、かつ、前記第4電極の前記第2方向の長さよりも長く、
前記第1圧電層及び前記第2圧電層のうち前記第1方向において前記第1電極と前記第3電極とに挟まれた部分である2つの非活性部であって、それぞれ前記第2方向において前記2つの第4活性部のうちの1つと前記第1活性部及び前記第2活性部とに挟まれた2つの非活性部と、
前記第3圧電層及び前記第4圧電層のうち前記第1方向において前記第3電極と前記第5電極とに挟まれた部分である2つの第5活性部であって、それぞれ前記第2方向において前記2つの第4活性部のうちの1つと前記第3活性部とに挟まれ、前記第1方向に前記2つの非活性部と重なる2つの第5活性部と、をさらに有することを特徴とする、圧電アクチュエータ。
【請求項2】
前記第2電極の前記第2方向の長さと、前記第4電極の前記第2方向の長さとが、互いに異なることを特徴とする、請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項3】
前記第3電極の前記第2方向の長さと前記第2電極の前記第2方向との差は、積層公差よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項4】
前記第3電極の前記第2方向の長さと前記第4電極の前記第2方向との差は、積層公差よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項5】
前記第4活性部の前記第2方向の長さは、前記第5活性部の前記第2方向の長さよりも長いことを特徴とする、請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項6】
前記第4電極は、前記第1方向に前記第5電極と重ならない中央部と、前記第1方向に前記第5電極と重なる前記第2方向の両端部と、を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項7】
ノズル及び前記ノズルに連通する圧力室を含む流路が形成された流路部材と、
前記流路部材における前記圧力室が開口した面に配置された圧電アクチュエータと、を備え、
前記圧電アクチュエータは、
第1方向に順に積層された第1圧電層、第2圧電層、第3圧電層、及び、第4圧電層と、
前記第1圧電層の前記第2圧電層と反対側の面に配置された第1電極、前記第1圧電層と前記第2圧電層との間に配置された第2電極、前記第2圧電層と前記第3圧電層との間に配置された第3電極、前記第3圧電層と前記第4圧電層との間に配置された第4電極、及び、前記第4圧電の前記第3圧電と反対側の面に配置された第5電極と、を備え、
前記第1電極には高電位及び前記高電位よりも電位が低い低電位が選択的に付与され、前記第2電極には前記高電位が付与され、前記第3電極には前記高電位及び前記低電位が選択的に付与され、前記第4電極には前記高電位が付与され、前記第5電極には前記低電位が付与され、
前記第1圧電層のうち前記第1方向において前記第1電極と前記第2電極とに挟まれた部分である第1活性部と、
前記第2圧電層のうち前記第1方向において前記第2電極と前記第3電極とに挟まれた部分である第2活性部と、
前記第3圧電層のうち前記第1方向において前記第3電極と前記第4電極とに挟まれた部分である第3活性部と、
前記第1圧電層、前記第2圧電層、前記第3圧電層及び前記第4圧電層のうち前記第1方向において前記第1電極と前記第5電極とに挟まれた部分である2つの第4活性部であって、前記第1方向と直交する第2方向において前記第1活性部、前記第2活性部及び前記第3活性部を挟む2つの第4活性部と、を有し、
前記第3電極の前記第2方向の長さは、前記第2電極の前記第2方向の長さよりも長く、かつ、前記第4電極の前記第2方向の長さよりも長く、
前記第1圧電層及び前記第2圧電層のうち前記第1方向において前記第1電極と前記第3電極とに挟まれた部分である2つの非活性部であって、それぞれ前記第2方向において前記2つの第4活性部のうちの1つと前記第1活性部及び前記第2活性部とに挟まれた2つの非活性部と、
前記第3圧電層及び前記第4圧電層のうち前記第1方向において前記第3電極と前記第5電極とに挟まれた部分である2つの第5活性部であって、それぞれ前記第2方向において前記2つの第4活性部のうちの1つと前記第3活性部とに挟まれ、前記第1方向に前記2つの非活性部と重なる2つの第5活性部と、をさらに有し、
前記圧力室は、前記第4活性部と前記第1方向に重ならず、かつ、前記第1活性部、前記第2活性部、前記第3活性部及び前記2つの第5活性部と前記第1方向に重なることを特徴とする、液体吐出ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電層の積層方向である第1方向に互いに異なる位置に配置された5つの電極を備えた圧電アクチュエータ、及び、当該圧電アクチュエータを備えた液体吐出ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、圧電層の積層方向である第1方向に互いに異なる位置に配置された5つの電極を備えた圧電アクチュエータが開示されている。当該圧電アクチュエータにおいて、圧力室の中央部に対応する第1の活性部S11、S12、S13aと、圧力室の中央部よりも外周側の部分に対応する第2の活性部S21,S22とは、電圧の印加によって逆方向の変形が生じるようにしている。そのため、圧力室の配置を高密度化しても、第1の活性部の変形が、隣接する圧力室に伝播する際に、第2の活性部の変形によってキャンセルし、クロストークを抑制することができる。
【0003】
特許文献1において、圧力室の中央部に位置する3つの電極21B,22Aは、X方向において互いに同じ長さである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-083336号公報(図10
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成では、圧電アクチュエータを作製する際、5つの電極の位置ズレによって、活性部の構成が変化し易い。したがって、作製された圧電アクチュエータ毎に、活性部の構成が異なり、圧電アクチュエータの変形特性にばらつきが生じてしまう。また、活性部の構成によっては、変形回数の増加に伴う変形特性の変化が大きくなってしまう。
【0006】
本発明の目的は、変形特性の個体間のばらつき及び経時的な変化を共に抑制可能な圧電アクチュエータ及び液体吐出ヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る圧電アクチュエータは、第1方向に順に積層された第1圧電層、第2圧電層、第3圧電層、及び、第4圧電層と、前記第1圧電層の前記第2圧電層と反対側の面に配置された第1電極、前記第1圧電層と前記第2圧電層との間に配置された第2電極、前記第2圧電層と前記第3圧電層との間に配置された第3電極、前記第3圧電層と前記第4圧電層との間に配置された第4電極、及び、前記第4圧電の前記第3圧電と反対側の面に配置された第5電極と、を備え、前記第1電極には高電位及び前記高電位よりも電位が低い低電位が選択的に付与され、前記第2電極には前記高電位が付与され、前記第3電極には前記高電位及び前記低電位が選択的に付与され、前記第4電極には前記高電位が付与され、前記第5電極には前記低電位が付与され、前記第1圧電層のうち前記第1方向において前記第1電極と前記第2電極とに挟まれた部分である第1活性部と、前記第2圧電層のうち前記第1方向において前記第2電極と前記第3電極とに挟まれた部分である第2活性部と、前記第3圧電層のうち前記第1方向において前記第3電極と前記第4電極とに挟まれた部分である第3活性部と、前記第1圧電層、前記第2圧電層、前記第3圧電層及び前記第4圧電層のうち前記第1方向において前記第1電極と前記第5電極とに挟まれた部分である2つの第4活性部であって、前記第1方向と直交する第2方向において前記第1活性部、前記第2活性部及び前記第3活性部を挟む2つの第4活性部と、を有し、前記第3電極の前記第2方向の長さは、前記第2電極の前記第2方向の長さよりも長く、かつ、前記第4電極の前記第2方向の長さよりも長く、前記第1圧電層及び前記第2圧電層のうち前記第1方向において前記第1電極と前記第3電極とに挟まれた部分である2つの非活性部であって、それぞれ前記第2方向において前記2つの第4活性部のうちの1つと前記第1活性部及び前記第2活性部とに挟まれた2つの非活性部と、前記第3圧電層及び前記第4圧電層のうち前記第1方向において前記第3電極と前記第5電極とに挟まれた部分である2つの第5活性部であって、それぞれ前記第2方向において前記2つの第4活性部のうちの1つと前記第3活性部とに挟まれ、前記第1方向に前記2つの非活性部と重なる2つの第5活性部と、をさらに有することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る液体吐出ヘッドは、ノズル及び前記ノズルに連通する圧力室を含む流路が形成された流路部材と、前記流路部材における前記圧力室が開口した面に配置された圧電アクチュエータと、を備え、前記圧電アクチュエータは、第1方向に順に積層された第1圧電層、第2圧電層、第3圧電層、及び、第4圧電層と、前記第1圧電層の前記第2圧電層と反対側の面に配置された第1電極、前記第1圧電層と前記第2圧電層との間に配置された第2電極、前記第2圧電層と前記第3圧電層との間に配置された第3電極、前記第3圧電層と前記第4圧電層との間に配置された第4電極、及び、前記第4圧電の前記第3圧電と反対側の面に配置された第5電極と、を備え、前記第1電極には高電位及び前記高電位よりも電位が低い低電位が選択的に付与され、前記第2電極には前記高電位が付与され、前記第3電極には前記高電位及び前記低電位が選択的に付与され、前記第4電極には前記高電位が付与され、前記第5電極には前記低電位が付与され、前記第1圧電層のうち前記第1方向において前記第1電極と前記第2電極とに挟まれた部分である第1活性部と、前記第2圧電層のうち前記第1方向において前記第2電極と前記第3電極とに挟まれた部分である第2活性部と、前記第3圧電層のうち前記第1方向において前記第3電極と前記第4電極とに挟まれた部分である第3活性部と、前記第1圧電層、前記第2圧電層、前記第3圧電層及び前記第4圧電層のうち前記第1方向において前記第1電極と前記第5電極とに挟まれた部分である2つの第4活性部であって、前記第1方向と直交する第2方向において前記第1活性部、前記第2活性部及び前記第3活性部を挟む2つの第4活性部と、を有し、前記第3電極の前記第2方向の長さは、前記第2電極の前記第2方向の長さよりも長く、かつ、前記第4電極の前記第2方向の長さよりも長く、前記第1圧電層及び前記第2圧電層のうち前記第1方向において前記第1電極と前記第3電極とに挟まれた部分である2つの非活性部であって、それぞれ前記第2方向において前記2つの第4活性部のうちの1つと前記第1活性部及び前記第2活性部とに挟まれた2つの非活性部と、前記第3圧電層及び前記第4圧電層のうち前記第1方向において前記第3電極と前記第5電極とに挟まれた部分である2つの第5活性部であって、それぞれ前記第2方向において前記2つの第4活性部のうちの1つと前記第3活性部とに挟まれ、前記第1方向に前記2つの非活性部と重なる2つの第5活性部と、をさらに有し、前記圧力室は、前記第4活性部と前記第1方向に重ならず、かつ、前記第1活性部、前記第2活性部、前記第3活性部、前記2つの非活性部及び前記2つの第5活性部と前記第1方向に重なることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る圧電アクチュエータ22を備えたヘッド3を含む、プリンタ1の全体構成図である。
図2図1のヘッド3の平面図である。
図3図2のIII-III線に沿ったヘッド3の断面図である。
図4図2のIV-IV線に沿ったヘッド3の断面図である。
図5図4の断面におけるアクチュエータ部60の動作を示す図である。
図6】アクチュエータ部60の変形特性の変化を示すイメージ図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る圧電アクチュエータ222を示す図4に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明において、Z方向は鉛直方向であり、X方向及びY方向は水平方向である。X方向及びY方向は、共にZ方向と直交する。X方向は、Y方向と直交する。Z方向が本発明の「第1方向」に該当し、X方向が本発明の「第2方向」に該当する。
【0011】
<第1実施形態>
先ず、図1を参照し、本発明の第1実施形態に係る圧電アクチュエータ22を備えたヘッド3を含む、プリンタ1の全体構成について説明する。
【0012】
プリンタ1は、ヘッド3と、キャリッジ2と、2つの搬送ローラ対4とを備えている。
【0013】
キャリッジ2は、Y方向に延びる2本のガイドレール5に支持され、ガイドレール5に沿ってY方向に移動可能である。
【0014】
ヘッド3は、シリアル式であり、キャリッジ2に搭載され、キャリッジ2と共にY方向に移動可能である。ヘッド3の下面には、複数の吐出口15xが開口している。吐出口15xは、図3に示すノズル15の先端の開口である。
【0015】
2つの搬送ローラ対4は、X方向にキャリッジ2を挟んで配置されている。各搬送ローラ対4は、上下に配置された2つのローラを含む。搬送ローラ対4のローラが用紙Pを挟持した状態で回転することで、用紙PがX方向に沿った搬送方向に搬送される。
【0016】
プリンタ1の制御部は、キャリッジ2と共にヘッド3をY方向に移動させながらノズル15からインクを吐出させる吐出動作と、搬送ローラ対4によって用紙Pを搬送方向に所定量搬送する搬送動作とを、交互に行わせる。これにより、用紙Pに画像が記録される。
【0017】
次に、図2図6を参照し、ヘッド3の構成について説明する。
【0018】
ヘッド3は、図2に示すように、流路部材21と、圧電アクチュエータ22と、COF(Chip On Film)23とを含む。
【0019】
流路部材21は、Z方向から見て矩形状であり、Y方向に沿った2つの辺21a,21bと、X方向に沿った2つの辺21c,21dとを有する。
【0020】
圧電アクチュエータ22は、流路部材21と同様、Z方向から見て矩形状であり、Y方向に沿った2つの辺22a,22bと、X方向に沿った2つの辺22c,22dとを有する。圧電アクチュエータ22は、Z方向から見て流路部材21よりも一回り小さい。
【0021】
流路部材21は、図3に示すように、Z方向に積層された4枚のプレート31~34で構成されている。
【0022】
プレート31には、図3に示すように、複数の圧力室10が形成されている。各圧力室10は、図2に示すように、Z方向から見て略矩形状であり、Y方向の長さがX方向の長さよりも長い。複数の圧力室10は、4つの圧力室列9を形成している。4つの圧力室列9は、Y方向に並んでいる。各圧力室列9は、X方向に等間隔で配列された8個の圧力室10を有する。
【0023】
プレート32には、図3に示すように、圧力室10毎に、貫通孔12,13が形成されている。貫通孔12,13は、それぞれ、対応する圧力室10のY方向の一端10c及びY方向の他端10dとZ方向に重なっている。貫通孔12は、Z方向と直交する断面積が圧力室10におけるY方向と直交する断面積よりも小さく、絞り流路として機能する。
【0024】
プレート33には、図3に示すように、貫通孔13毎に、貫通孔14が形成されている。貫通孔14は、対応する貫通孔13とZ方向に重なっている。
【0025】
プレート33には、図3に示すように、さらに、4本のマニホールド流路11が形成されている。4本のマニホールド流路11は、図2に示すように、4つの圧力室列9のそれぞれに対応する。各マニホールド流路11は、X方向に延び、対応する圧力室列9の8個の圧力室10とZ方向に重なる部分を有する。各マニホールド流路11は、対応する圧力室列9の8個の圧力室10と、貫通孔12を介して連通している。
【0026】
プレート31の上面において、圧電アクチュエータ22が配置されない領域に、4つのインク供給口8が形成されている(図2参照)。4つのインク供給口8は、4本のマニホールド流路11のそれぞれに対応する。各インク供給口8は、対応するマニホールド流路11のX方向の一端(図2の下端)とZ方向に重なる位置にある。4つのインク供給口8から、4本のマニホールド流路11のそれぞれに、インクが供給される。
【0027】
プレート34には、図3に示すように、複数のノズル15を構成する貫通孔が形成されている。複数のノズル15は、それぞれ、貫通孔14とZ方向に重なっている。ノズル15は、貫通孔13,14を介して、圧力室10と連通している。
【0028】
各マニホールド流路11に供給されたインクは、貫通孔12をZ方向上方に流れ、圧力室10に流入する。当該インクは、圧力室10内をY方向に沿って一端10cから他端10dに向かって流れ、貫通孔13,14をZ方向下方に流れて、ノズル15の先端の吐出口15xから吐出される。
【0029】
圧電アクチュエータ22は、図3に示すように、流路部材21に対してZ方向の上方に位置し、プレート31の上面に配置されている。プレート31の上面は、流路部材21における圧力室10が開口した面である。
【0030】
圧電アクチュエータ22は、図4に示すように、圧電体40と、インク分離層45と、電極51~55とを有する。
【0031】
圧電体40は、Z方向の上方から順に積層された第1圧電層41、第2圧電層42、第3圧電層43、及び、第4圧電層44を含む。圧電層41~44は、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする圧電材料からなる。
【0032】
インク分離層45は、プレート31の上面に配置され、プレート31に形成された全ての圧力室10を覆っている。インク分離層45は、例えば、ステンレス鋼等の金属材料、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする圧電材料、合成樹脂材料等からなる。
【0033】
圧電層41~44及びインク分離層45は、Z方向から見て、互いに同じ形状及びサイズを有し、図2に示すようにZ方向から見て矩形状の圧電アクチュエータ22の外形を画定している。
【0034】
電極51~55は、図4に示すように、駆動電極51と、高電位電極52と、駆動電極53と、高電位電極54と、低電位電極55とを含む。電極51~55は、Z方向に互いに異なる位置に配置されている。具体的には、Z方向において上から順に、駆動電極51、高電位電極52、駆動電極53、高電位電極54及び低電位電極55が配置されている。
【0035】
電極51~55は、COF23(図2参照)の配線と電気的に接続されている。COF23に実装されたドライバIC24は、COF23の配線を介し、電極51~55に対して電位を付与する。駆動電極51,53には、高電位(VDD電位)及び低電位(GND電位)が選択的に付与される。高電位電極52,54には、高電位(VDD電位)が付与される。低電位電極55には、低電位(GND電位)が付与される。低電位(GND電位)は、高電位(VDD電位)よりも電位が低い。
【0036】
駆動電極51,53は、圧力室10に対して個別に設けられている(図2の駆動電極51を参照)。高電位電極52,54及び低電位電極55は、それぞれ、圧力室10に対して個別に設けられた個別部52a,54a,55aと、個別部52a,54a,55aを互いに接続する接続部とを有する。
【0037】
駆動電極51が本発明の「第1電極」に該当し、高電位電極52の個別部52aが本発明の「第2電極」に該当し、駆動電極53が本発明の「第3電極」に該当し、高電位電極54の個別部54aが本発明の「第4電極」に該当し、低電位電極55の個別部55aが本発明の「第5電極」に該当する。
【0038】
駆動電極51は、第1圧電層41の上面であって、第1圧電層41の第2圧電層42と反対側の面に配置されている。駆動電極51は、圧力室10とZ方向に重なる重複部と、圧力室10とZ方向に重ならず、上記重複部に対してX方向の一方及び他方に配置された外側部とを有する。
【0039】
高電位電極52は、第1圧電層41と第2圧電層42との間に配置されている。高電位電極52の個別部52aは、圧力室10とZ方向に重なっている。個別部52aのX方向の長さL2は、圧力室10のX方向の長さL10よりも短い。圧力室10は、個別部52aとZ方向に重なる重複部と、個別部52aとZ方向に重ならず、上記重複部に対してX方向の一方及び他方に配置された外側部とを有する。
【0040】
駆動電極53は、第2圧電層42と第3圧電層43との間に配置されている。駆動電極53は、圧力室10とZ方向に重なる重複部と、圧力室10とZ方向に重ならず、上記重複部に対してX方向の一方及び他方に配置された外側部とを有する。駆動電極53のX方向の長さL3は、個別部52a,54aのX方向の長さL2,L4よりも長く、駆動電極51のX方向の長さL1よりも短い。駆動電極53の外側部のX方向の長さは、駆動電極51の外側部のX方向の長さよりも短い。
【0041】
長さL3と長さL2,L4との差は、積層公差(例えば20~30μm)よりも大きい。
【0042】
高電位電極54は、第3圧電層43と第4圧電層44との間に配置されている。高電位電極54の個別部54aは、圧力室10とZ方向に重なっている。個別部54aのX方向の長さL4は、個別部52aのX方向の長さL2と同じであり、圧力室10のX方向の長さL10よりも短い。圧力室10は、個別部54aとZ方向に重なる重複部と、個別部54aとZ方向に重ならず、上記重複部に対してX方向の一方及び他方に配置された外側部とを有する。
【0043】
低電位電極55は、第4圧電層44とインク分離層45との間であって、第4圧電層44の第3圧電層43と反対側の面に配置されている。低電位電極55の個別部55aは、圧力室10に対してX方向の一方及び他方に配置されており、それぞれ圧力室10のX方向の一端及び他端とZ方向に重なる部分を有する。また、2つの個別部55aは、高電位電極54の個別部54aのX方向の一端及び他端とZ方向に重なっている。換言すると、高電位電極54の個別部54aは、Z方向に個別部55aと重ならない中央部54xと、Z方向に個別部55aと重なるX方向の両端部54yとを有する。
【0044】
駆動電極53のX方向の一端は、X方向において、駆動電極51のX方向の一端と高電位電極52の個別部52aのX方向の一端との間、かつ、駆動電極51のX方向の一端と高電位電極54の個別部54aのX方向の一端との間に位置している。駆動電極53のX方向の他端は、X方向において、駆動電極51のX方向の他端と高電位電極52の個別部52aのX方向の他端との間、かつ、駆動電極51のX方向の他端と高電位電極54の個別部54aのX方向の他端との間に位置している。
【0045】
圧力室10のX方向の中央において、駆動電極51と、高電位電極52の個別部52aと、駆動電極53と、高電位電極54の個別部54aとがZ方向に重なっている。
【0046】
第1圧電層41のうちZ方向において駆動電極51と高電位電極52の個別部52aとに挟まれた部分を、第1活性部61という。第2圧電層42のうちZ方向において高電位電極52の個別部52aと駆動電極53とに挟まれた部分を、第2活性部62という。第3圧電層43のうちZ方向において駆動電極53と高電位電極54の個別部54aとに挟まれた部分を、第3活性部63という。活性部61~63は、Z方向に互いに重なっている。
【0047】
圧力室10のX方向の両端において、駆動電極51と、駆動電極53と、低電位電極55の個別部55aとがZ方向に重なっている。さらに、圧力室10に対してX方向の一方及び他方において、駆動電極51と、低電位電極55の個別部55aとがZ方向に重なっている。
【0048】
圧電層41~44のうちZ方向において駆動電極51と低電位電極55の個別部55aとに挟まれた部分を、第4活性部64という。第4活性部64は、圧力室10に対してX方向の一方及び他方に配置され、X方向において活性部61~63を挟んでいる。
【0049】
圧電層41,42のうちZ方向において駆動電極51と駆動電極53とに挟まれた部分を、非活性部69という。非活性部69は、圧力室10のX方向の両端に配置され、X方向において活性部61,62を挟み、かつ、X方向において第4活性部64に挟まれている。つまり、2つの非活性部69は、それぞれ、X方向において2つの第4活性部64のうちの1つと活性部61,62とに挟まれている。
【0050】
圧電層43,44のうちZ方向において駆動電極53と低電位電極55の個別部55aとに挟まれた部分を、第5活性部65という。第5活性部65は、圧力室10のX方向の両端に配置され、X方向において活性部63を挟み、かつ、X方向において第4活性部64に挟まれている。つまり、2つの非活性部69は、それぞれ、X方向において2つの第4活性部64のうちの1つと活性部63とに挟まれている。第5活性部65は、Z方向に非活性部69と重なっている。
【0051】
第5活性部65のX方向の長さW5は、非活性部69のX方向の長さと同じであり、第4活性部64のX方向の長さW4よりも短い。
【0052】
活性部61~63は、圧力室10とZ方向に重なっている。非活性部69及び第5活性部65は、圧力室10とZ方向に重なる重複部と、圧力室10とZ方向に重ならず、上記重複部に対してX方向の一方及び他方に配置された外側部とを有する。第4活性部64は、圧力室10とZ方向に重ならず、圧力室10に対してX方向の一方及び他方に配置されている。
【0053】
圧力室10は、活性部64とZ方向に重ならず、かつ、活性部61~63,65及び非活性部69とZ方向に重なっている。
【0054】
圧電アクチュエータ22は、圧力室10毎に、第1活性部61、第2活性部62、第3活性部63、第4活性部64及び第5活性部65から構成されるアクチュエータ部60を有する。
【0055】
第1活性部61及び第3活性部63は主に上向きに分極され、第2活性部62、第4活性部64及び第5活性部65は主に下向きに分極されている。
【0056】
ここで、図5を参照し、ノズル15からインクを吐出させる際のアクチュエータ部60の動作について説明する。
【0057】
プリンタ1が記録動作を開始する前は、図5(a)に示すように、駆動電極51,53に低電位(GND電位)が付与されている。このとき、アクチュエータ部60において、駆動電極51,53と高電位電極52,54との電位差によって、活性部61~63にその分極方向に等しい向きの電界が生じ、活性部61~63が面方向(X方向及びY方向に沿った方向)に収縮している。これにより、圧電体40及びインク分離層45からなる積層体における圧力室10とZ方向に重なる部分が、圧力室10に向かって凸となるように撓んでいる。このとき圧力室10は、上記積層体がフラットな場合(図5(b)参照)と比べ、容積が小さくなっている。
【0058】
プリンタ1が記録動作を開始し、ノズル15からインクが吐出させる際には、先ず、図5(b)に示すように、駆動電極51の電位が低電位(GND電位)から高電位(VDD電位)に切り替えられる。このとき、アクチュエータ部60において、駆動電極51,53と高電位電極52,54との電位差がなくなることで、活性部61~63の収縮が解消される。一方、駆動電極51,53と低電位電極55との電位差が生じることで、第4活性部64及び第5活性部65にその分極方向に等しい向きの電界が生じ、第4活性部64及び第5活性部65が面方向に収縮する。ただし、第4活性部64及び第5活性部65は、クロストークを抑制する機能を有するものであり、アクチュエータ部60の変形にほとんど寄与しない。つまり、このとき上記積層体は、圧力室10とZ方向に重なる部分が圧力室10から離れる方向に凸となるように撓まず、フラットな状態となる。これにより、圧力室10の容積は、図5(a)に比べて大きくなる。
【0059】
クロストークとは、ある圧力室10におけるアクチュエータ部60の変形に伴う圧力変動が当該圧力室10とX方向に隣接する別の圧力室10に伝わる現象をいう。
【0060】
その後、図5(a)に示すように、駆動電極51の電位が高電位(VDD電位)から低電位(GND電位)に切り替えられる。このとき、アクチュエータ部60において、駆動電極51,53と低電位電極55との電位差がなくなることで、第4活性部64及び第5活性部65の収縮が解消される。一方、駆動電極51,53と高電位電極52,54との電位差が生じることで、活性部61~63にその分極方向に等しい向きの電界が生じ、活性部61~63が面方向に収縮する。これにより、上記積層体における圧力室10とZ方向に重なる部分が、圧力室10に向かって凸となるように撓む。このとき、圧力室10の容積が大きく減少することで、圧力室10内のインクに大きな圧力が付与され、ノズル15からインクが吐出される。
【0061】
このようなアクチュエータ部60の動作が繰り返し行われると、アクチュエータ部60の変形特性(例えば、アクチュエータ部60の駆動に伴うインクの吐出速度)の変化が大きくなることが懸念される。しかしながら、本実施形態では、アクチュエータ部60が、第1~第4活性部61~64のみならず、非活性部69及び第5活性部65を有することで、図6(b)に示すように、アクチュエータ部60全体としての変形特性の変化を抑えることができる。
【0062】
図6(a),(b)において、横軸は吐出回数を示し、縦軸は吐出回数がゼロの場合を基準とした吐出速度の変化率を示す。図6(a)において、縦軸のプラス側の曲線は、駆動電極53よりも下側の、第3活性部63と2つの第5活性部65とを含む部分(アクチュエータ部60の下半分)と同等の構成のアクチュエータ部について、縦軸のマイナス側の曲線は、駆動電極53よりも上側の、非活性部69を介在して第1活性部63と2つの第4活性部64とが設けられた部分(アクチュエータ部60の上半分)と同等の構成のアクチュエータ部について、当該部分を駆動させてノズル15からインクを吐出させ、一定の吐出回数毎に吐出速度を測定した結果のイメージ図である。
【0063】
図6(a)から、アクチュエータ部60の下半分は、吐出回数の増加(即ち、アクチュエータ部の変形回数の増加)に伴い吐出速度が上昇する(即ち、変形量が増加する)一方、
アクチュエータ部60の上半分は、吐出回数の増加に伴い吐出速度が低下する(即ち、変形量が低下する)ことがわかる。変形量の増加は、非活性部69が設けられない(第5活性部65が設けられた)ことによるものであると推察される。変形量の低下は、非活性部69が設けられたことによるものであると推察される。
【0064】
図6(b)は、図6(a)の縦軸のプラス側(アクチュエータ部60の下半分の変形特性)と図6(a)の縦軸のマイナス側(アクチュエータ部60の上半分の変形特性)とを足し合わせたものであり、本実施形態のアクチュエータ部60全体の変形特性を示すイメージ図である。アクチュエータ部60全体では、非活性部69が設けられたことによる経時的な変形特性の低下(図6(a)の縦軸のマイナス側)と、非活性部69が設けられない(第5活性部65が設けられた)ことによる経時的な変形特性の上昇(図6(a)の縦軸のプラス側)とが足し合わされることで、変形特性の変化が抑えられることがわかる。
【0065】
なお、図6(b)の曲線はマイナス側となっているが、図6(a)のマイナス側の曲線の変化率によっては、図6(b)の曲線がプラス側となり得る。
【0066】
以上に述べたように、本実施形態によれば、Z方向に互いに異なる位置に配置された5つの電極51~55を備えた圧電アクチュエータ22において、駆動電極53のX方向の長さL3が、高電位電極52の個別部52aのX方向の長さL2よりも長く、かつ、高電位電極54のX方向の長さL4よりも長い(図4参照)。これにより、圧電アクチュエータ22を作製する際に、電極51~55にX方向の位置ズレが生じたとしても、高電位電極52の個別部52aにおいて駆動電極53とZ方向に重ならない部分、及び、高電位電極54の個別部54aにおいて駆動電極53とZ方向に重ならない部分が生じ難い。したがって、作製された圧電アクチュエータ22毎に活性部61~65の構成が異なることがなく、変形特性の個体間のばらつきが生じない。
【0067】
また、本実施形態では、駆動電極53のX方向の長さが高電位電極52,54の個別部52a,54aのX方向の長さL2よりも長いことで、アクチュエータ部60が、第1~第4活性部61~64のみならず、非活性部69及び第5活性部65を有する(図4参照)。当該構成では、非活性部69が設けられたことによる経時的な変形特性の低下(図6(a)の縦軸のマイナス側)と、非活性部69が設けられない(第5活性部65が設けられた)ことによる経時的な変形特性の上昇(図6(a)の縦軸のプラス側)とにより、アクチュエータ部60全体としての変形特性の変化を抑えることができる(図6(b)参照)。
【0068】
このように、本実施形態によれば、変形特性の個体間のばらつき及び経時的な変化を共に抑制可能である。
【0069】
長さL3と長さL2,L4との差は、積層公差(例えば20~30μm)よりも大きい。この場合、より確実に、変形特性の個体間のばらつきが生じない。つまり、圧電アクチュエータ22を作製する際に、電極51~55にX方向の位置ズレが生じたとしても、高電位電極52の個別部52aにおいて駆動電極53とZ方向に重ならない部分、及び、高電位電極54の個別部54aにおいて駆動電極53とZ方向に重ならない部分が、より確実に生じない。
【0070】
第4活性部64のX方向の長さW4は、第5活性部65のX方向の長さW5よりも長い(図4参照)。第4活性部64はクロストークを抑制する機能を有するものであり、長さW4が短いと、クロストーク抑制効果が低下し得る。この点、本実施形態では、長さW4が長いため、クロストーク抑制効果を発揮できる。
【0071】
高電位電極54の個別部54aのX方向の両端部54yが、低電位電極55の個別部55aとZ方向に重なっている(図4参照)。これにより、圧電アクチュエータ22を作製する際に、電極51~55にX方向の位置ズレが生じても、個別部54aと個別部55aとの間にX方向の隙間が生じ難い。仮に、当該隙間が生じると、当該隙間が非活性部となることで、非活性部69が設けられない(第5活性部65が設けられた)ことによる経時的な変形特性の上昇(図6(a)の縦軸のプラス側)が得られず、アクチュエータ部60全体としての変形特性の変化を抑制できない。この点、本実施形態では、上記隙間が生じ難いため、非活性部69が設けられない(第5活性部65が設けられた)ことによる経時的な変形特性の上昇(図6(a)の縦軸のプラス側)が得られ、アクチュエータ部60全体としての変形特性の変化を抑制できる(図6(b)参照)。
【0072】
ヘッド3において、圧力室10は、第4活性部64とZ方向に重ならず、かつ、第1~第3活性部61~63及び第5活性部65とZ方向に重なっている(図4参照)。この場合、圧力室10が第5活性部65とZ方向に重ならない場合に比べ、第1~第3活性部61~63の変形が圧力室10の中央部に局所的に作用する。これにより、圧力室10の容積を効率よく変化させることができる。
【0073】
<第2実施形態>
続いて、図7を参照し、本発明の第2実施形態に係る圧電アクチュエータ222について説明する。
【0074】
第2実施形態に係る圧電アクチュエータ222は、高電位電極252の個別部252aのX方向の長さL22と、高電位電極54の個別部54aのX方向の長さL4とが、互いに異なる点を除き、第1実施形態に係る圧電アクチュエータ22(図4参照)と略同じ構成を有する。
【0075】
長さL22は、長さL4よりも短い。これにより、第1活性部261及び第2活性部262のX方向の長さ(=L22)が、第3活性部63のX方向の長さ(=L4)よりも短くなっている。また、非活性部269のX方向の長さが、第5活性部65のX方向の長さよりも長くなっている。
【0076】
或いは、長さL22は、長さL4より長くてもよい。これにより、第1活性部261及び第2活性部262のX方向の長さ(=L22)が、第3活性部63のX方向の長さ(=L4)より長くなってもよい。また、非活性部269のX方向の長さが、第5活性部65のX方向の長さより短くなってもよい。
【0077】
本実施形態によれば、個別部252aのX方向の長さと高電位電極54の個別部54aのX方向の長さとが互いに同じである場合(第1実施形態の図4参照:L2=L4)に比べ、変形特性の経時的な変化をさらに抑制できる可能性がある。
【0078】
<変形例>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0079】
例えば、インク分離層45を省略してもよい。
【0080】
液体吐出ヘッドは、シリアル式に限定されず、ライン式であってもよい。
【0081】
本発明は、プリンタに限定されず、ファクシミリ、コピー機、複合機等にも適用可能である。また、本発明は、画像の記録以外の用途で使用される液体吐出装置(例えば、基板に導電性の液体を吐出して導電パターンを形成する液体吐出装置)にも適用可能である。さらに、本発明に係る圧電アクチュエータは、液体吐出装置以外の任意の装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 プリンタ
3 ヘッド(液体吐出ヘッド)
10 圧力室
15 ノズル
21 流路部材
22;222 圧電アクチュエータ
41 第1圧電層
42 第2圧電層
43 第3圧電層
44 第4圧電層
51 駆動電極(第1電極)
52;252 高電位電極
52a;252a 個別部(第2電極)
53 駆動電極(第3電極)
54 高電位電極
54a 個別部(第4電極)
54x 中央部
54y 両端部
55 低電位電極
55a 個別部(第5電極)
60 アクチュエータ部
61;261 第1活性部
62;262 第2活性部
63 第3活性部
64 第4活性部
65 第5活性部
69;269 非活性部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7